(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】核酸、薬物組成物及び複合体並びに調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20250108BHJP
A61K 47/56 20170101ALI20250108BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20250108BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250108BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
C12N15/113 130Z
A61K47/56
A61K31/713 ZNA
A61P29/00
A61P7/02
(21)【出願番号】P 2021569555
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2020091606
(87)【国際公開番号】W WO2020238758
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】201910441597.6
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517452453
【氏名又は名称】スーチョウ リボ ライフ サイエンス カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU RIBO LIFE SCIENCE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ホンイェン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、シャン
(72)【発明者】
【氏名】カン、タイウー
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-519797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝細胞における血漿プレカリクレイン(PKK)遺伝子の発現を抑制するsiRNA複合体であって、
前記siRNA複合体は式(308)に示される構造を有し、
【化1】
式中、
n1は、1~2から選択される整数であり、n3は、0~1から選択される整数であり、n1+n3=2~3であり、
各m1、m2又はm3はそれぞれ独立して、2~10から選択される整数であり、
各R
10、R
11、R
12、R
13、R
14又はR
15は、それぞれ独立して、H、メチル基及びエチル基からなる群より選択され、
R
3は式(A59)に示される構造の基であり、
【化2】
式中、E
1はOH、SH又はBH
2であり、
NuはsiRNAであり、
前記siRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含むsiRNAであって、前記siRNAの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、
前記センス鎖および前記アンチセンス鎖は、同一又は異なる長さを有し、
前記センス鎖は19~23ヌクレオチドの長さを有し、前記アンチセンス鎖は19~26ヌクレオチドの長さを有し、
前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である二本鎖領域を形成し、
前記ヌクレオチド配列Iと配列番号1に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、
5’-GGUGUUUGCUAUUCAGUUZ
1-3’(配列番号1)、
5’-Z
2AACUGAAUAGCAAACACC-3’(配列番号2)
ただし、Z
1はUであり、Z
2はAであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
1に対応するヌクレオチドZ
3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
2に対応するヌクレオチドZ
4が含まれ、前記Z
4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIと配列番号2で示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチドの相違は、Z
4の位置における相違であり、Z
4はU、C又はGから選択され、或いは、
前記ヌクレオチド配列Iと配列番号61に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号62に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、
5’-GCUUCUUGAAAGAUAGUGZ
5-3’(配列番号61)、
5’-Z
6CACUAUCUUUCAAGAAGC-3’(配列番号62)
ただし、Z
5はUであり、Z
6はAであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
5に対応するヌクレオチドZ
7が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
6に対応するヌクレオチドZ
8が含まれ、前記Z
8は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIと配列番号62で示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチドの相違は、Z
8の位置における相違であり、Z
8はU、C又はGから選択され、或いは、
前記ヌクレオチド配列Iと配列番号121に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号122に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、
5’-GAAGCAAUGUGGUCAUCAZ
9-3’(配列番号121)、
5’-Z
10UGAUGACCACAUUGCUUC-3’(配列番号122)
ただし、Z
9はAであり、Z
10はUであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
9に対応するヌクレオチドZ
11が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
10に対応するヌクレオチドZ
12が含まれ、前記Z
12は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIと配列番号122で示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチドの相違は、Z
12の位置における相違であり、Z
12はA、C又はGから選択され、或いは、
前記ヌクレオチド配列Iと配列番号181に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号182に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、
5’-CACAAAGAAAUGUUUGUCZ
13-3’(配列番号181)、
5’-Z
14GACAAACAUUUCUUUGUG-3’(配列番号182)
ただし、Z
13はUであり、Z
14はAであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
13に対応するヌクレオチドZ
15が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
14に対応するヌクレオチドZ
16が含まれ、前記Z
16は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIと配列番号182で示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチドの相違は、Z
16の位置における相違であり、Z
16はU、C又はGから選択され、或いは、
前記ヌクレオチド配列Iと配列番号241に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号242に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、
5’-GAAUUCCAAAAACCAAUAZ
17-3’(配列番号241)、
5’-Z
18UAUUGGUUUUUGGAAUUC-3’(配列番号242)
ただし、Z
17はUであり、Z
18はAであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
17に対応するヌクレオチドZ
19が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
18に対応するヌクレオチドZ
20が含まれ、前記Z
20は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIと配列番号242で示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチドの相違は、Z
20の位置における相違であり、Z
20はU、C又はGから選択され、或いは、
前記ヌクレオチド配列Iと配列番号301に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号302に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、
5’-GGUCUGUGCUGGCUAUAAZ
21-3’(配列番号301)、
5’-Z
22UUAUAGCCAGCACAGACC-3’(配列番号302)
ただし、Z
21はAであり、Z
22はUであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
21に対応するヌクレオチドZ
23が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
22に対応するヌクレオチドZ
24が含まれ、前記Z
24は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIと配列番号302で示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチドの相違は、Z
24の位置における相違であり、Z
24はA、C又はGから選択され、
R
2は、長さ1~20の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、1又は複数の炭素原子は、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)
2、C
2-C
10アルケニレン基、C
2-C
10アルキニレン基、C
6-C
10アリーレン基、C
3-C
18ヘテロシクリレン基及びC
5-C
10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、R
2は、C
1-C
10アルキル基、C
6-C
10アリール基、C
5-C
10ヘテロアリール基、C
1-C
10ハロゲン化アルキル基、-OC
1-C
10アルキル基、-OC
1-C
10アルキルフェニル基、-C
1-C
10アルキル-OH、-OC
1-C
10ハロゲン化アルキル基、-SC
1-C
10アルキル基、-SC
1-C
10アルキルフェニル基、-C
1-C
10アルキル-SH、-SC
1-C
10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH
2、-C
1-C
10アルキル-NH
2、-N(C
1-C
10アルキル基)(C
1-C
10アルキル基)、-NH(C
1-C
10アルキル基)、-N(C
1-C
10アルキル基)(C
1-C
10アルキルフェニル基)、-NH(C
1-C
10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-CO
2H、-C(O)O(C
1-C
10アルキル基)、-CON(C
1-C
10アルキル基)(C
1-C
10アルキル基)、-CONH(C
1-C
10アルキル基)、-CONH
2、-NHC(O)(C
1-C
10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C
1-C
10アルキル基)C(O)(C
1-C
10アルキル基)、-N(C
1-C
10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C
1-C
10アルキル基、-C(O)C
1-C
10アルキルフェニル基、-C(O)C
1-C
10ハロアルキル基、-OC(O)C
1-C
10アルキル基、-SO
2(C
1-C
10アルキル基)、-SO
2(フェニル基)、-SO
2(C
1-C
10ハロゲン化アルキル基)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
10アルキル基)、-SO
2NH(フェニル基)、-NHSO
2(C
1-C
10アルキル基)、-NHSO
2(フェニル基)及び-NHSO
2(C
1-C
10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
各L
1は独立して、長さ1~70の炭素原子の直鎖アルキレンであり、1又は複数の炭素原子は、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)
2、C
2-C
10アルケニレン基、C
2-C
10アルキニレン基、C
6-C
10アリーレン基、C
3-C
18ヘテロシクリレン基及びC
5-C
10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、L
1は、C
1-C
10アルキル基、C
6-C
10アリール基、C
5-C
10ヘテロアリール基、C
1-C
10ハロゲン化アルキル基、-OC
1-C
10アルキル基、-OC
1-C
10アルキルフェニル基、-C
1-C
10アルキル-OH、-OC
1-C
10ハロゲン化アルキル基、-SC
1-C
10アルキル基、-SC
1-C
10アルキルフェニル基、-C
1-C
10アルキル-SH、-SC
1-C
10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH
2、-C
1-C
10アルキル-NH
2、-N(C
1-C
10アルキル基)(C
1-C
10アルキル基)、-NH(C
1-C
10アルキル基)、-N(C
1-C
10アルキル基)(C
1-C
10アルキルフェニル基)、-NH(C
1-C
10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-CO
2H、-C(O)O(C
1-C
10アルキル基)、-CON(C
1-C
10アルキル基)(C
1-C
10アルキル基)、-CONH(C
1-C
10アルキル基)、-CONH
2、-NHC(O)(C
1-C
10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C
1-C
10アルキル基)C(O)(C
1-C
10アルキル基)、-N(C
1-C
10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C
1-C
10アルキル基、-C(O)C
1-C
10アルキルフェニル基、-C(O)C
1-C
10ハロアルキル基、-OC(O)C
1-C
10アルキル基、-SO
2(C
1-C
10アルキル基)、-SO
2(フェニル基)、-SO
2(C
1-C
10ハロゲン化アルキル基)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
10アルキル基)、-SO
2NH(フェニル基)、-NHSO
2(C
1-C
10アルキル基)、-NHSO
2(フェニル基)及び-NHSO
2(C
1-C
10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
は、基が共有結合的に結合する部位を表し、
M
1は標的基を表す、siRNA複合体。
【請求項2】
前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号3に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号4に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-GGUGUUUGCUAUUCAGUUZ
3-3’(配列番号3)、
5’-Z
4AACUGAAUAGCAAACACC-3’(配列番号4)
ただし、Z
4は、A、U、G又はCから選択され、Z
3は、Z
4と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号63に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号64に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-GCUUCUUGAAAGAUAGUGZ
7-3’(配列番号63)、
5’-Z
8CACUAUCUUUCAAGAAGC-3’(配列番号64)
ただし、Z
8は、A、U、G又はCから選択され、Z
7は、Z
8と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号123に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号124に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-GAAGCAAUGUGGUCAUCAZ
11-3’(配列番号123)、
5’-Z
12UGAUGACCACAUUGCUUC-3’(配列番号124)
ただし、Z
12は、A、U、G又はCから選択され、Z
11は、Z
12と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号183に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号184に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-CACAAAGAAAUGUUUGUCZ
15-3’(配列番号183)、
5’-Z
16GACAAACAUUUCUUUGUG-3’(配列番号184)
ただし、Z
16は、A、U、G又はCから選択され、Z
15は、Z
16と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号243に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号244に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-GAAUUCCAAAAACCAAUAZ
19-3’(配列番号243)、
5’-Z
20UAUUGGUUUUUGGAAUUC-3’(配列番号244)
ただし、Z
20は、A、U、G又はCから選択され、Z
19は、Z
20と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号303に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号304に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-GGUCUGUGCUGGCUAUAAZ
23-3’(配列番号303)、
5’-Z
24UUAUAGCCAGCACAGACC-3’(配列番号304)
ただし、Z
24は、A、U、G又はCから選択され、Z
23は、Z
24と相補的なヌクレオチドである、請求項1に記載のsiRNA複合体。
【請求項3】
前記センス鎖がヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVの長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIがヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、ヌクレオチド配列IVがヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが等しく、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記実質的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、完全に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間にミスマッチがないことを指す、請求項1又は2に記載のsiRNA複合体。
【請求項4】
前記ヌクレオチド配列Iが配列番号1に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がAであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAAであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCAAであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCCAAであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iが配列番号61に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGUUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGUUであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iが配列番号121に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCUUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCCUUであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iが配列番号181に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGAGUであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iが配列番号241に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がACUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCACUであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iが配列番号301に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGAUであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGAUである、請求項3に記載のsiRNA複合体。
【請求項5】
前記アンチセンス鎖がヌクレオチド配列Vをさらに含み、ヌクレオチド配列Vは、長さが1~3ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の3’末端に結合され、アンチセンス鎖の3’突出端を構成する、請求項1~4のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項6】
前記siRNAのセンス鎖が配列番号5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が配列番号6に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GGUGUUUGCUAUUCAGUUZ
3-3’(配列番号5)、
5’-Z
4AACUGAAUAGCAAACACCUU-3’(配列番号6)
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号8に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-AAGGUGUUUGCUAUUCAGUUZ
3-3’(配列番号7)、
5’-Z
4AACUGAAUAGCAAACACCUUGG-3’(配列番号8)
ただし、前記Z
4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z
3は、A、U、G又はCから選択され、Z
4は、Z
3と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号65に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号66に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GCUUCUUGAAAGAUAGUGZ
7-3’(配列番号65)、
5’-Z
8CACUAUCUUUCAAGAAGCAA-3’(配列番号66)
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号67に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号68に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-UUGCUUCUUGAAAGAUAGUGZ
7-3’(配列番号67)、
5’-Z
8CACUAUCUUUCAAGAAGCAACC-3’(配列番号68)
ただし、前記Z
8は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z
7は、A、U、G又はCから選択され、Z
8は、Z
7と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号125に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号126に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GAAGCAAUGUGGUCAUCAZ
11-3’(配列番号125)、
5’-Z
12UGAUGACCACAUUGCUUCAA-3’(配列番号126)
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号127に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号128に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-UUGAAGCAAUGUGGUCAUCAZ
11-3’(配列番号127)、
5’-Z
12UGAUGACCACAUUGCUUCAAGG-3’(配列番号128)
ただし、前記Z
12は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z
11は、A、U、G又はCから選択され、Z
12は、Z
11と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号185に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号186に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-CACAAAGAAAUGUUUGUCZ
15-3’(配列番号185)、
5’-Z
16GACAAACAUUUCUUUGUGAC-3’(配列番号186)
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号187に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号188に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GUCACAAAGAAAUGUUUGUCZ
15-3’(配列番号187)、
5’-Z
16GACAAACAUUUCUUUGUGACUC-3’(配列番号188)
ただし、前記Z
16は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z
15は、A、U、G又はCから選択され、Z
16は、Z
15と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号245に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号246に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GAAUUCCAAAAACCAAUAZ
19-3’(配列番号245)、
5’-Z
20UAUUGGUUUUUGGAAUUCAG-3’(配列番号246)
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号247に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号248に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-CUGAAUUCCAAAAACCAAUAZ
19-3’(配列番号247)、
5’-Z
20UAUUGGUUUUUGGAAUUCAGUG-3’(配列番号248)
ただし、前記Z
20は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z
19は、A、U、G又はCから選択され、Z
20は、Z
19と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号305に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号306に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GGUCUGUGCUGGCUAUAAZ
23-3’(配列番号305)、
5’-Z
24UUAUAGCCAGCACAGACCAU-3’(配列番号306)
或いは、前記siRNAのセンス鎖が配列番号307に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号308に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-AUGGUCUGUGCUGGCUAUAAZ
23-3’(配列番号307)、
5’-Z
24UUAUAGCCAGCACAGACCAUCC-3’(配列番号308)
ただし、前記Z
24は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z
23は、A、U、G又はCから選択され、Z
24は、Z
23と相補的なヌクレオチドである、請求項1~5のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項7】
前記センス鎖と前記アンチセンス鎖における各ヌクレオチドが、独立してフルオロ修飾ヌクレオチド又は非フルオロ修飾ヌクレオチドであり、
前記フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチド配列Iとヌクレオチド配列IIに位置し、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドである、請求項1~6のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項8】
各非フルオロ修飾ヌクレオチドがいずれもメトキシ修飾ヌクレオチドであり、前記メトキシ修飾ヌクレオチドが、リボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換されたヌクレオチドを指す、請求項7に記載のsiRNA複合体。
【請求項9】
5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第5、7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、8、9、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第5、7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第7、8及び9位のヌクレオチドが-フルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドである請求項8に記載のsiRNA複合体。
【請求項10】
前記siRNAにおいて、少なくとも1つのリン酸エステル基がチオリン酸エステル基であり、該チオリン酸エステル基が、
前記センス鎖の5’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の3’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、及び
前記アンチセンス鎖の3’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間からなる群より選ばれる少なくとも1つに結合されて存在する、請求項1~9のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項11】
前記siRNAのアンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドが、5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、前記5’-リン酸ヌクレオチドが、式(2)に示される構造を有するヌクレオチドであり、前記5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドが、式(3)~式(6)のいずれか1つに示される構造のヌクレオチドから選択され、
【化3】
式中、Rが、H、OH、メトキシ基又はフッ素から選択され、Baseが、塩基を表し、A、U、C、G又はTから選択される、請求項1~10に記載のsiRNA複合体。
【請求項12】
前記siRNAのセンス鎖は、配列番号9に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号10に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号11に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号12に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号69に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号70に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号71に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号72に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号129に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号130に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号131に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号132に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号189に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号190に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号191に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号192に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号249に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号250に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号251に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号252に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号309に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号310に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号311に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号312に示されるヌクレオチド配列を含む、或いは、
前記siRNAのセンス鎖は、配列番号13に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号14に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号15に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号16に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号17に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号18に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号19に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号20に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号21に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号22に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号23に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号24に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号73に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号74に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号75に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号76に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号77に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号78に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号79に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号80に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号81に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号82に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号83に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号84に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号133に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号134に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号135に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号136に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号137に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号138に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号139に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号140に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号141に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号142に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号143に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号144に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号193に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号194に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号195に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号196に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号197に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号198に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号199に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号200に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号201に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号202に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号203に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号204に示されるヌクレオチド配列を含み
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号253に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号254に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号255に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号256に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号257に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号258に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号259に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号260に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号261に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号262に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号263に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号264に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号313に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号314に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号315に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号316に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号317に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号318に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号319に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号320に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号321に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号322に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号323に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号324に示されるヌクレオチド配列を含み、或いは、
前記siRNAのセンス鎖は、配列番号25に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号26に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号27に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号28に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号29に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号30に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号31に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号32に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号33に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号34に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号35に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号36に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号85に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号86に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号87に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号88に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号89に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号90に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号91に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号92に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号93に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号94に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号95に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号96に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号145に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号146に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号147に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号148に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号149に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号150に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号151に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号152に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号153に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号154に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号155に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号156に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号205に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号206に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号207に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号208に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号209に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号210に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号211に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号212に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号213に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号214に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号215に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号216に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号265に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号266に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号267に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号268に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号269に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号270に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号271に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号272に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号273に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号274に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号275に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号276に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号325に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号326に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号327に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号328に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号329に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号330に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号331に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号332に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号333に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号334に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号335に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号336に示されるヌクレオチド配列を含み、或いは、
前記siRNAのセンス鎖は、配列番号37に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号38に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号39に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号40に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号41に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号42に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号43に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号44に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号45に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号46に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号47に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号48に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号49に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号50に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号51に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号52に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号53に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号54に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号55に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号56に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号57に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号58に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号59に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号60に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号97に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号98に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号99に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号100に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号101に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号102に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号103に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号104に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号105に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号106に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号107に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号108に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号109に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号110に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号111に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号112に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号113に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号114に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号115に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号116に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号117に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号118に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号119に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号120に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号157に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号158に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号159に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号160に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号161に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号162に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号163に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号164に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号165に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号166に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号167に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号168に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号169に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号170に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号171に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号172に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号173に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号174に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号175に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号176に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号177に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号178に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号179に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号180に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号217に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号218に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号219に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号220に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号221に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号222に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号223に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号224に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号225に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号226に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号227に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号228に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号229に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号230に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号231に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号232に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号233に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号234に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号235に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号236に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号237に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号238に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号239に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号240に示されるヌクレオチド配列を含み
、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号277に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号278に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号279に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号280に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号281に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号282に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号283に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号284に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号285に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号286に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号287に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号288に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号289に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号290に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号291に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号292に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号293に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号294に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号295に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号296に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号297に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号298に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号299に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号300に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号337に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号338に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号339に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号340に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号341に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号342に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号343に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号344に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号345に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号346に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号347に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号348に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号349に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号350に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号351に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号352に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号353に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号354に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号355に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号356に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号357に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号358に示されるヌクレオチド配列を含み、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号359に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号360に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項13】
各L
1は、独立して式A1~A26の基及びその任意の組合せからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【化4】
(式中、各j1は、独立して1~20の整数であり、
各j2は、独立して1~20の整数であり、
各R’は、独立してC
1-C
10アルキル基であり、
各Raは、式A27~A45の基又はその任意の組合せからなる群から選択され、
【化5】
各Rbは、独立してC
1-C
10アルキル基であり、
は、基が共有結合部分に結合される部位を表す。)
【請求項14】
L
1は、A1、A4、A5、A6、A8、A10、A11、A13の基及びその結合の組合せからなる群から選択される、又は、
L
1は、A1、A4、A8、A10及びA11から選択される少なくとも2つの結合の組合せである、請求項13に記載のsiRNA複合体。
【請求項15】
L
1の長さが3~25個の原子である、請求項1~14のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項16】
L
1の長さが4~15個の原子である、請求項15に記載のsiRNA複合体。
【請求項17】
m1、m2及びm3は、それぞれ独立して2~5の整数である、又は、m1=m2=m3である、請求項1~16のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項18】
各前記標的基は、独立して哺乳動物の肝細胞表面のアシアロ糖タンパク質受容体と親和性のあるリガンドである、又は、少なくとも1つの標的基若しくはそれぞれの標的基がガラクトース若しくはN-アセチルガラクトサミンである、請求項1~17のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項19】
式(403)、(404)、(405)、(406)、(407)、(408)、(409)、(410)、(411)、(412)、(413)、(414)、(415)、(416)、(417)、(418)、(419)、(420)、(421)又は(422)に示される構造を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【化6】
【請求項20】
式A59におけるP原子が前記siRNAのセンス鎖の3’末端に結合される、請求項1~19のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のsiRNA複合体を含む、炎症性疾患又は血栓塞栓性疾患の治療、予防又は軽減用組成物。
【請求項22】
請求項1~20のいずれか1項に記載のsiRNA複合体を含む、細胞におけるPKK遺伝子の発現の抑制用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血漿プレカリクレイン(PKK)遺伝子発現を抑制できる核酸、核酸を含む薬物組成物とsiRNA複合体に関する。本開示は、さらに、これらの核酸、薬物組成物及びsiRNA複合体の調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラジキニン(bradykinin、BK)は、血管透過性を高めるための主な調節因子である。BKが多すぎると、血管の漏出が増加し、炎症が悪化する。研究によると、BKの主な天然阻害剤であるC1-エステラーゼ阻害剤(C1-INH)における遺伝的欠陥は、遺伝性血管性浮腫(HAE)を引き起こす。稀な疾患であるHAEの患者は、未知のトリガーによって引き起こされる有痛性浮腫の急性発作に苦しむことが多く、喉頭部位の発作は生命を脅かす可能性がある。
【0003】
プレカリクレイン(PKK)は、血漿カリクレイン(PK)の前駆体であり、第XIIa因子(FXIIa)の活性化によってPKに変換され、PKは、高分子キニノゲン(high move weight kinchgen)を切断してブラジキニンを血管内に放出する。したがって、PKK遺伝子の発現を抑制することにより、過剰なBKを細胞レベルで抑制し、さらに、過剰なBKによって引き起こされる炎症等の疾患又は症状、特に遺伝性血管性浮腫を予防及び治療することができる。また、低分子干渉RNA(small interfering RNA、siRNA)は、RNA干渉(RNA interference、RNAi)というメカニズムに基づき、関心対象の任意の目的遺伝子の発現を配列特異的に抑制又は遮断し、疾患を治療する目的を達成することができる。
【0004】
PKK遺伝子発現を抑制し、遺伝性血管性浮腫を治療するsiRNA薬物を開発する1つの鍵は、適切なsiRNA及びその修飾並びに効果的な送達系を探すことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の発明者は、驚くべきことに、本開示により提供される以下のsiRNA及びその修飾配列がPKK遺伝子発現を特異的に抑制することができ、当該siRNAを含有する薬物組成物又はsiRNA複合体が肝臓を特異的に標的とすることにより、肝臓中のPKK遺伝子の発現を抑制し、炎症性疾患、特に遺伝性血管性浮腫の治療又は予防を実現できることを発見し、それによって本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態において、本開示は、PKK遺伝子発現を抑制できるsiRNAを提供する。当該siRNAは、センス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記siRNAの各ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、i)~v)から選択される1組であり、
i)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号1に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-GGUGUUUGCUAUUCAGUUZ1-3’(配列番号1)、
5’-Z2AACUGAAUAGCAAACACC-3’(配列番号2)
ただし、Z1はUであり、Z2はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ1に対応するヌクレオチドZ3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ2に対応するヌクレオチドZ4が含まれ、前記Z4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
ii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号61に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号62に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-GCUUCUUGAAAGAUAGUGZ5-3’(配列番号61)、
5’-Z6CACUAUCUUUCAAGAAGC-3’(配列番号62)
ただし、Z5はUであり、Z6はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ5に対応するヌクレオチドZ7が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ6に対応するヌクレオチドZ8が含まれ、前記Z8は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
iii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号121に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号122に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-GAAGCAAUGUGGUCAUCAZ9-3’(配列番号121)、
5’-Z10UGAUGACCACAUUGCUUC-3’(配列番号122)
ただし、Z9はAであり、Z10はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ9に対応するヌクレオチドZ11が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ10に対応するヌクレオチドZ12が含まれ、前記Z12は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
iv)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号181に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号182に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-CACAAAGAAAUGUUUGUCZ13-3’(配列番号181)、
5’-Z14GACAAACAUUUCUUUGUG-3’(配列番号182)
ただし、Z13はUであり、Z14はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ13に対応するヌクレオチドZ15が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ14に対応するヌクレオチドZ16が含まれ、前記Z16は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
v)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号241に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号242に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-GAAUUCCAAAAACCAAUAZ17-3’(配列番号241)、
5’-Z18UAUUGGUUUUUGGAAUUC-3’(配列番号242)
ただし、Z17はUであり、Z18はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ17に対応するヌクレオチドZ19が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ18に対応するヌクレオチドZ20が含まれ、前記Z20は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
vi)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号301に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号302に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-GGUCUGUGCUGGCUAUAAZ21-3’(配列番号301)、
5’-Z22UUAUAGCCAGCACAGACC-3’(配列番号302)
ただし、Z21はAであり、Z22はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ21に対応するヌクレオチドZ23が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ22に対応するヌクレオチドZ24が含まれ、前記Z24は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0007】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA及び薬学的に許容可能な担体を含む薬物組成物を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示により提供されるsiRNA及び当該siRNAに複合して結合される複合基を含むsiRNA複合体を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の、炎症性疾患、特に遺伝性血管性浮腫の治療及び/又は予防のための薬物の調製における使用を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む、炎症性疾患、特に遺伝性血管性浮腫の治療及び/又は予防方法を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の有効量を細胞と接触させることを含む、前記細胞におけるPKK遺伝子発現の抑制方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体を含むキットを提供する。
【0013】
<引用による本明細書への組み込み>
本明細書で言及される全ての出版物、特許及び特許出願は、各々の出版物、特許及び特許出願が特別にかつ個別に引用により本明細書に組み込まれるのと同じ程度に、引用により本明細書に組み込まれる。
【発明の効果】
【0014】
本開示により提供されるsiRNA、当該siRNAを含む組成物及びsiRNA複合体は、安定性に優れ、PKK mRNA抑制活性が高く、オフターゲット効が低減され、及び/又はPKK関連疾患の症状を顕著に治療、予防又は軽減することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、体外細胞実験において優れた標的mRNA抑制活性を示す。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、肝細胞において少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%の標的mRNA発現抑制率を示す。本開示により提供されるsiRNAは、体外psiCHECK系においてPKK mRNAに対して高い抑制活性を示し、異なるsiRNA濃度でPKK目的配列に対していずれも一定の抑制効果を示し、特に0.1nM濃度で、siPKKa1M1S、siPKKd1M1S及びsiPKKf1M1Sによる目的配列に対する抑制率は90%程度の高さに達することができる。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、体外においてヒトPKK遺伝子断片を安定的にトランスフェクションしたHEK293A細胞においてPKK mRNAに対していずれも高い抑制作用を示し、特に、siPKKa1M1S及びsiPKKf1M1SによるPKK mRNA抑制率がいずれも約80%に達する。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA複合体は、体外においてヒトPKK遺伝子断片を安定的にトランスフェクションしたHEK293A細胞においてPKK mRNAに対していずれも高い抑制作用を示し、抑制率が少なくとも53.2%であり、ひいては83.1%にも達する。
【0016】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、体内における安定性及び/又は活性がより高い。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、体内において少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%の標的mRNA発現抑制率を示す。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、体内において少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%のPKK遺伝子発現抑制率を示す。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、体内において少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%の肝臓内PKK遺伝子発現抑制率を示す。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、動物モデルの体内において少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%の肝臓内PKK遺伝子発現抑制率を示す。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、ヒト被験体の体内において少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%の肝臓内PKK遺伝子発現抑制率を示す。
【0017】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体は、顕著なオフターゲット効果を示していない。オフターゲット効果は、例えば、非標的mRNAの遺伝子の正常発現を抑制することであってよい。オフターゲットmRNA発現の結合/抑制が標的mRNAの効果と比較して50%、40%、30%、20%又は10%未満である場合、当該オフターゲット効果は顕著ではないと見なされる。
【0018】
このように、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物及びsiRNA複合体は、PKK遺伝子の発現を抑制し、炎症性疾患又は塞栓性疾患や生理学的症状、特に遺伝性血管性浮腫及びその関連症状を効果的に治療及び/又は予防することができ、応用において明るい見通しを有している。
【0019】
本開示の他の特徴及び利点については、発明を実施するための形態において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】様々な濃度の異なるsiRNAをそれぞれトランスフェクションした後の、体外psiCHECK系における目的配列の相対的発現レベルのヒストグラムである。
【
図2】異なるsiRNAをトランスフェクションした後の、体外hPKK-HEK293A細胞におけるPKK mRNAの相対的発現レベルのヒストグラムである。
【
図3】異なるsiRNA複合体をトランスフェクションした後の、体外hPKK-HEK293A細胞におけるPKK mRNAの相対的発現レベルのヒストグラムである。
【
図4A】C57マウスに5ml/kgの1×PBS、3mg/kgのCy5-siPKKa1M1S又は3mg/kgのCy5-L10-siPKKa1M1SP(siRNAの量として)を投与してから48h後のマウス体内の各臓器の蛍光イメージング画像である。
【
図4B】C57マウスに5ml/kgの1×PBS、3mg/kgのCy5-siPKKf1M1S又は3mg/kgのCy5-L10-siPKKf1M1S(siRNAの量として)を投与してから48h後のマウス体内の各臓器の蛍光イメージング画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本開示の発明を実施するための形態を詳しく説明する。また、ここで説明される発明を実施するための形態は、本開示を説明又は解釈するためのものに過ぎず、本開示を制限するためのものではないと理解すべきである。
【0022】
本開示において、PKK mRNAとは、Genbank登録番号NM_000892.4、NM_001318394.1又はNM_001318396.1に示される配列を有するmRNAを指す。いくつかの実施形態において、PKK mRNAとは、Genbank登録番号NM_000892.4に示される配列を有するmRNAを指す。さらに、特に説明がない限り、本開示において用いられる用語「標的遺伝子」とは、上記PKK mRNAを転写する遺伝子を指し、用語「標的mRNA」とは、上記PKK mRNAを指す。
【0023】
(定義)
文脈において、特に説明がない限り、大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基配列を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1つのヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1つのヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字sの左右に隣接する2つのヌクレオチド間がチオリン酸エステル基により結合されていることを表し、P1は、当該P1の右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドであることを表し、組合せ文字VPは、当該組合せ文字VPの右側に隣接する1つのヌクレオチドがビニルリン酸エステル修飾ヌクレオチドであることを表し、組合せ文字Psは、当該組合せ文字Psの右側に隣接する1つのヌクレオチドがチオリン酸エステル修飾ヌクレオチドであることを表し、大文字Pは、当該文字Pの右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチドであることを表す。
【0024】
文脈において、前記「フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基がフッ素で置換されたヌクレオチドを指し、「非フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを指す。「ヌクレオチドアナログ」とは、核酸においてヌクレオチドの代わりとなることができるが、アデニンリボヌクレオチド、グアニンリボヌクレオチド、シトシンリボヌクレオチド、ウラシルリボヌクレオチド又はチミンデオキシリボヌクレオチドと構造が異なる基を指し、例えば、イソヌクレオチド、架橋ヌクレオチド(bridged nucleic acid、BNA)又は非環式ヌクレオチドがある。前記「メトキシ修飾ヌクレオチド」とは、リボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換されたヌクレオチドを指す。
【0025】
本明細書の文脈において、「相補」又は「逆相補」という表現は、互換的に使用されてもよく、当業者に周知の意味、すなわち、二本鎖核酸分子において、一方の鎖の塩基と他方の鎖上の塩基とが相補的に対合するという意味を有する。DNAにおいて、プリン塩基であるアデニン(A)は、常にピリミジン塩基であるチミン(T)(又は、RNAにおいてウラシル(U)である)と対合し、プリン塩基であるグアニン(C)は、常にピリミジン塩基であるシトシン(G)と対合する。各塩基対は、いずれも1つのプリンと1つのピリミジンを含む。一方の鎖上のアデニンが常に他方の鎖上のチミン(又はウラシル)と対合するとともに、グアニンが常にシトシンと対合する場合、両方の鎖同士が相補的である、またその相補鎖の配列から当該鎖の配列を推定できると考えられる。これに応じて、「ミスマッチ」は、本分野では、二本鎖核酸において、対応する位置での塩基が相補的に対合して存在しないことを意味する。
【0026】
文脈において、特に説明がない限り、「基本的に逆相補的」とは、関連する2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、「実質的に逆相補的」とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、「完全に逆相補的」とは、2つのヌクレオチド配列間に塩基ミスマッチが存在しないことを指す。
【0027】
文脈において、一方のヌクレオチド配列と他方のヌクレオチド配列に「ヌクレオチド差異」が存在するとは、前者が後者に比べて、同じ位置のヌクレオチドの塩基種類が変化したことを指し、例えば、後者において1つのヌクレオチド塩基がAであるとき、前者の同じ位置での、対応するヌクレオチド塩基がU、C、G又はTである場合に、当該位置で2つのヌクレオチド配列間にヌクレオチド差異が存在すると認められている。いくつかの実施形態において、元の位置のヌクレオチドの代わりに無塩基ヌクレオチド又はその等価物を用いる場合、当該位置でヌクレオチド差異が生じたとも考えられる。
【0028】
文脈において、特に本開示のsiRNA、siRNAを含む組成物又はsiRNA複合体の調製方法を説明する際に、特に説明がない限り、前記ヌクレオシドモノマー(nucleoside monomer)とは、調製するsiRNA又はsiRNA複合体におけるヌクレオチドの種類と順序に応じてホスホルアミダイト固相合成に用いられる修飾又は未修飾のヌクレオシドホスホルアミダイトモノマー(unmodified or modified RNA phosphoramidites。RNA phosphoramiditesをNucleoside phosphoramiditesということもある)を指す。ホスホルアミダイト固相合成は、当業者に公知のRNA合成に用いられる方法である。本開示に用いられるヌクレオシドモノマーは、いずれも市販品を購入可能である。
【0029】
本開示の文脈において、特に説明がない限り、「複合」とは、それぞれ特定の機能を有する2つ以上の化学部分間が共有結合的に互いに結合することを指し、これに応じて、「複合体」とは、当該各化学部分間が共有結合的に結合することにより形成された化合物を指す。さらには、「siRNA複合体」は、特定の機能を有する1又は複数の化学部分がsiRNAに共有結合的に結合して形成された化合物を表す。以下の文章では、本開示のsiRNA複合体を単に「複合体」ともいうことがある。siRNA複合体は、文脈により、複数のsiRNA複合体の総称又はある化学式に示されるsiRNA複合体であると理解される。本開示の文脈において、「複合分子」は、反応させることによりsiRNAに複合され、最終的に本開示のsiRNA複合体を形成することができる特定の化合物であると理解すべきである。
【0030】
本明細書で用いられる場合、「任意の」又は「任意に」とは、続いて記載する事象又は状況が発生してもよく、発生しなくてもよいこと、並びに当該記載が事象又は状況が発生した場合と発生しない場合を含むことを指す。例えば、「任意に置換され」た「アルキル」は、以下の文章で定義される「アルキル」及び「置換アルキル」を含む。1又は複数の置換基を含む任意の基に関して、これらの基が、立体的に非現実的な、合成上実行不可能な及び/又は本質的に不安定ないかなる置換又は置換パターンも導入することは意図されないと、当業者に理解される。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」とは、特定の数の炭素原子を有する直鎖と分岐鎖を指し、前記特定の数は、通常1~20個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、1~8個又は1~6個の炭素原子である。例えば、C1-C6アルキルは、1~6個の炭素原子の直鎖と分岐鎖アルキルを含む。特定の数の炭素を有するアルキル残基を言及する場合、当該数の炭素を有する全ての分岐鎖及び直鎖形式を含むことを意図する。したがって、例えば、「ブチル」は、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルを含むことを意味し、「プロピル」は、n-プロピル及びイソプロピルを含む。アルキレンは、アルキルのサブセットであり、アルキルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0032】
本明細書で用いられる場合、「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和分岐鎖又は直鎖アルキルを指し、前記炭素-炭素二重結合は、親アルキルの隣接する炭素原子から1つの水素分子を除去することにより得られる。当該基は、二重結合のシス又はトランス配置にあってもよい。典型的なアルケニルとしては、ビニルと、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、プロパ-2-エン-2-イル等のプロペニルと、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチルプロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル等のブテニルとを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、アルケニルは、2~20個の炭素原子を有するが、他の実施形態において、2~10個、2~8個又は2~6個の炭素原子を有する。アルケニレンは、アルケニルのサブセットであり、アルケニルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和分岐鎖又は直鎖アルキル基を指し、前記炭素-炭素三重結合は、親アルキルの隣接する炭素原子から2つの水素分子を除去することにより得られる。典型的なアルキニルとしては、エチニルと、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イル等のプロピニルと、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イル等のブチニルとを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、アルキニルは、2~20個の炭素原子を有するが、他の実施形態において、2~10、2~8又は2~6個の炭素原子を有する。アルキニレンは、アルキニルのサブセットであり、アルキニルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「アルコキシ」とは、酸素橋により結合した特定の数の炭素原子のアルキルを指し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、2-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ、3-ヘキシルオキシ、3-メチルペンチルオキシ等がある。アルコキシは、通常1~10個、1~8個、1~6個又は1~4個の、酸素橋により結合した炭素原子を有する。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「アリール」とは、芳香族単環式又は多環式炭化水素環系から誘導される、環炭素原子から水素原子を除去して形成された基を指す。前記芳香族単環式又は多環式炭化水素環系は、水素及び6~18個の炭素原子の炭素のみを含有し、この環系中の環の少なくとも1つは完全不飽和であり、すなわち、それは、ヒュッケル理論に従う環状、非局在化(4n+2)π-電子系を含む。アリールとしては、フェニル、フルオレニル及びナフチル等の基を含むが、これらに限定されない。アリーレンは、アリールのサブセットであり、アリールと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「ハロゲン置換基」又は「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指し、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0037】
本明細書で用いられる場合、「ハロゲン化アルキル」とは、特定の数の炭素原子が1又は複数、最大許容数までのハロゲン原子で置換された、上記のように定義されるアルキル基を指す。ハロゲン化アルキルの実例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2-フルオロエチル及びペンタフルオロエチルを含むが、これらに限定されない。
【0038】
「複素環基」とは、2~12個の炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子とを含む、安定した3~18員非芳香族環状基を指す。明細書において特に説明がない限り、複素環基は、単環、二環、三環又は四環系であり、縮合環又は架橋環系を含んでもよい。複素環基におけるヘテロ原子は、任意に酸化されてもよい。1又は複数の窒素原子(存在する場合)は、任意に4級化される。複素環基は、一部飽和又は完全飽和である。複素環基は、環の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合することができる。このような複素環基の実例としては、ジオキサニル、チオフェニル[1,3]ジスルホニル(thienyl[1,3]dithianyl)、デカヒドロイソキノリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドール、オクタヒドロイソインドール、2-オキサピペラジニル、2-オキサピペリジル、2-オキサピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフラン、トリスルホニル(trithianyl)、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル(thiomorpholinyl)、チアモルホリニル(thiamorpholinyl)、1-オキソチオモルホリニル(1-oxo-thiomorpholinyl)及び1,1-ジオキソチオモルホリニル(1,1-dioxo-thiomorpholinyl)を含むが、これらに限定されない。
【0039】
「ヘテロアリール」とは、2個~17個の炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子とを含む、3~18員芳香環ラジカルから誘導される基を指す。本明細書で用いられる場合、ヘテロアリールは、単環、二環、三環又は四環系であってもよく、この環系中の環の少なくとも1つは完全不飽和であり、すなわち、それは、ヒュッケル理論に従う環状非局在化(4n+2)π-電子系を含む。ヘテロアリールは、縮合環又は架橋環系を含む。ヘテロアリールにおけるヘテロ原子は任意に酸化される。1又は複数の窒素原子(存在する場合)は、任意に4級化される。ヘテロアリールは、環中の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合される。ヘテロアリールの実例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾインドール、1,3-ベンゾジオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル(benzo[b][1,4]dioxepinyl)、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル(benzo[b][1,4]oxazinyl)、1,4-ベンゾジオキサン(1,4-benzodioxanyl)、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾジオキシニル(benzodioxinyl)、ベンゾピラニル、ベンゾピロニル、ベンゾフリル、ベンゾフラノニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリル(cinnolinyl)、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル(5,6-dihydrobenzo[h]quinazolinyl)、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル(5,6-dihydrobenzo[h]cinnolinyl)、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフリル、ジベンゾチオフェニル、フリル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル(indazolyl)、インドール、イソインドール、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル(indolizinyl)、イソオキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル(5,8-methano-5,6,7,8-tetrahydroquinazolinyl)、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、1,6-ナフチリジノニル(1,6-naphthyridinonyl)、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル(2-oxoazepinyl)、オキサゾリル、オキシラニル(oxiranyl)、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[H]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル(phthalazinyl)、プテリジニル(pteridinyl)、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル(quinoxalinyl)、キノリル、テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル(thieno[2,3-c]pridinyl)及びチオフェニル(thiophenyl/thienyl)を含むが、これらに限定されない。
【0040】
本開示において各種のヒドロキシ保護基を用いることができる。一般的には、保護基は、化学官能性を特定の反応条件に不敏感にすることができ、かつ分子の残りの部分を実質的に損傷することなく分子中の当該官能性に付加する、及びそれから除去することができる。代表的なヒドロキシ保護基は、Beaucageら、Tetrahedron 1992,48,2223~2311、及びGreeneand Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Chapter 2, 2d ed,John Wiley & Sons,New York,1991に開示されており、引用により、上記文献は、それぞれ全体として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、保護基は、塩基性条件で安定しているが、酸性条件で除去することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で使用できるヒドロキシ保護基の非排他的実例としては、ジメトキシトリチル(DMT)、モノメトキシトリチル、9-フェニルキサンテン-9-イル(Pixyl)及び9-(p-メトキシフェニル)キサンテン-9-イル(Mox)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で使用できるヒドロキシ保護基の非排他的実例としては、Tr(トリチル)、MMTr(4-メトキシトリチル)、DMTr(4,4’-ジメトキシトリチル)及びTMTr(4,4’,4’’-トリメトキシトリチル)を含む。
【0041】
「被験体」という用語は、本明細書で用いられる場合、任意の動物、例えば、哺乳動物又は有袋動物を指す。本開示の被験体としては、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、アカゲザル又は他の種類のマカク属のサル)、マウス、ブタ、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ラット及び任意の種類の家禽を含むが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で用いられる場合、「治療」は、有益な又は所望の結果を得る方法を指し、治療効果を含むが、これに限定されない。「治療効果」は、治療される潜在的障害を根絶又は改善することを意味する。また、治療効果は、被験体が依然として潜在的障害の苦痛を受ける可能性があるにもかかわらず、潜在的障害に関連する1又は複数の生理学的症状を根絶又は改善することにより、被験体に改善が観察されて得られる。
【0043】
本明細書で用いられる場合、「予防」は、有益又は所望の結果を得る方法を指し、予防効果を含むが、これに限定されない。「予防効果」を得るために、当該疾患に対する診断が行われていないかもしれないが、siRNA、siRNA複合体又は薬物組成物を特定の疾患に罹患するリスクのある被験体に投与、又は疾患の1又は複数の病理学的症状が報告された被験体に投与することができる。
【0044】
一態様では、本開示は、PKK遺伝子発現を抑制することができる第1~第6のsiRNAを提供する。以下、順に詳細に説明する。
【0045】
本開示のsiRNAは、基本的な構造単位としてヌクレオチド基を含み、前記ヌクレオチド基がリン酸基、リボース基及び塩基を含むことは、当業者に公知であるので、ここで説明を省略する。
【0046】
本開示のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の長さが19~26ヌクレオチドである。このように、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さ比は、19/19、19/20、19/21、19/22、19/23、19/24、19/25、19/26、20/20、20/21、20/22、20/23、20/24、20/25、20/26、21/20、21/21、21/22、21/23、21/24、21/25、21/26、22/20、22/21、22/22、22/23、22/24、22/25、22/26、23/20、23/21、23/22、23/23、23/24、23/25又は23/26であってもよい。いくつかの実施形態において、前記siRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さ比は、19/21、21/23又は23/25である。
【0047】
<第1のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第1のsiRNAであってもよい。
【0048】
前記第1のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第1のsiRNAの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列と長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号2に示されるヌクレオチド配列と長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-GGUGUUUGCUAUUCAGUUZ1-3’(配列番号1)、
5’-Z2AACUGAAUAGCAAACACC-3’(配列番号2)
ただし、Z1はUであり、Z2はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ1に対応するヌクレオチドZ3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ2に対応するヌクレオチドZ4が含まれ、前記Z4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0049】
文脈において、「位置が対応する」とは、ヌクレオチド配列の同一端から、ヌクレオチド配列において同じ位置にあることを指す。例えば、ヌクレオチド配列Iの3’端の1番目のヌクレオチドは、位置が配列番号1の3’端の1番目のヌクレオチドに対応するヌクレオチドである。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号1に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z4の位置での差異を含み、Z4がU、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z4の位置での差異であり、Z4がU、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Z3は、Z4と相補的なヌクレオチドである。上記ヌクレオチド差異を有するsiRNAは、標的mRNA抑制能力が高く、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNAも、本開示の保護範囲内にある。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記基本的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記実質的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、完全に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に塩基ミスマッチがないことを指す。
【0054】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号3に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号4に示されるヌクレオチド配列である。
5’-GGUGUUUGCUAUUCAGUUZ3-3’(配列番号3)、
5’-Z4AACUGAAUAGCAAACACC-3’(配列番号4)
ただし、前記Z4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z4は、A、U、G又はCから選択され、Z3は、Z4と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z3はUであり、Z4はAである。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIと第2のヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2のヌクレオチド配列とは、標的mRNAにおける、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の5’末端に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0056】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がAであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAAであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がUUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCAAであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がUUGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCCAAであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がUUGGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAAであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がUUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0057】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0058】
<第2のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第2のsiRNAであってもよい。
【0059】
前記第2のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第2のsiRNAの各ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号61に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号62に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-GCUUCUUGAAAGAUAGUGZ5-3’(配列番号61)、
5’-Z6CACUAUCUUUCAAGAAGC-3’(配列番号62)
ただし、Z5はUであり、Z6はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ5に対応するヌクレオチドZ7が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ6に対応するヌクレオチドZ8が含まれ、前記Z8は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0060】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号61に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号62に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0062】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号62に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z8の位置での差異を含み、Z8がU、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z8の位置での差異であり、Z8がU、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Z7は、Z8と相補的なヌクレオチドである。上記ヌクレオチド差異を有するsiRNAは、標的mRNA抑制能力が高く、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNAも、本開示の保護範囲内にある。
【0063】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0064】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号63に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号64に示されるヌクレオチド配列である。
5’-GCUUCUUGAAAGAUAGUGZ7-3’(配列番号63)、
5’-Z8CACUAUCUUUCAAGAAGC-3’(配列番号64)
ただし、前記Z8は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z8は、A、U、G又はCから選択され、Z7は、Z8と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z7はUであり、Z8はAである。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVと第2のヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2のヌクレオチド配列とは、標的mRNAにおける、配列番号61に示されるヌクレオチド配列の5’末端に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0066】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGUUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAACであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGUUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAACCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0067】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0068】
<第3のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第3のsiRNAであってもよい。
【0069】
前記第3のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第3のsiRNAの各ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号121に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号122に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-GAAGCAAUGUGGUCAUCAZ9-3’(配列番号121)、
5’-Z10UGAUGACCACAUUGCUUC-3’(配列番号122)
ただし、Z9はAであり、Z10はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ9に対応するヌクレオチドZ11が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ10に対応するヌクレオチドZ12が含まれ、前記Z12は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0070】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号121に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号122に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0072】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号122に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z12の位置での差異を含み、Z12がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z12の位置での差異であり、Z12がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Z11は、Z12と相補的なヌクレオチドである。上記ヌクレオチド差異を有するsiRNAは、標的mRNA抑制能力が高く、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNAも、本開示の保護範囲内にある。
【0073】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0074】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号123に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号124に示されるヌクレオチド配列である。
5’-GAAGCAAUGUGGUCAUCAZ11-3’(配列番号123)、
5’-Z12UGAUGACCACAUUGCUUC-3’(配列番号124)
ただし、前記Z12は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z12は、A、U、G又はCから選択され、Z11は、Z12と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z11はAであり、Z12はUである。
【0075】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVと第2のヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2のヌクレオチド配列とは、標的mRNAにおける、配列番号121に示されるヌクレオチド配列の5’末端に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0076】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCUUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAAGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCCUUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAAGGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0077】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0078】
<第4のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第4のsiRNAであってもよい。
【0079】
前記第4のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第4のsiRNAの各ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号181に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号182に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-CACAAAGAAAUGUUUGUCZ13-3’(配列番号181)、
5’-Z14GACAAACAUUUCUUUGUG-3’(配列番号182)
ただし、Z13はUであり、Z14はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ13に対応するヌクレオチドZ15が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ14に対応するヌクレオチドZ16が含まれ、前記Z16は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0080】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号181に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号182に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0082】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号182に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z16の位置での差異を含み、Z16がU、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z16の位置での差異であり、Z16がU、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Z15は、Z16と相補的なヌクレオチドである。上記ヌクレオチド差異を有するsiRNAは、標的mRNA抑制能力が高く、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNAも、本開示の保護範囲内にある。
【0083】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0084】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号183に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号184に示されるヌクレオチド配列である。
5’-CACAAAGAAAUGUUUGUCZ15-3’(配列番号183)、
5’-Z16GACAAACAUUUCUUUGUG-3’(配列番号184)
ただし、前記Z16は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z16は、A、U、G又はCから選択され、Z15は、Z16と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z15はUであり、Z16はAである。
【0085】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVと第2のヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2のヌクレオチド配列とは、標的mRNAにおける、配列番号181に示されるヌクレオチド配列の5’末端に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0086】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がACであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がACUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGAGUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がACUCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がACであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0087】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0088】
<第5のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第5のsiRNAであってもよい。
【0089】
前記第5のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第5のsiRNAの各ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号241に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号242に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-GAAUUCCAAAAACCAAUAZ17-3’(配列番号241)、
5’-Z18UAUUGGUUUUUGGAAUUC-3’(配列番号242)
ただし、Z17はUであり、Z18はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ17に対応するヌクレオチドZ19が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ18に対応するヌクレオチドZ20が含まれ、前記Z20は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0090】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号241に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号242に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0092】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号242に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z20の位置での差異を含み、Z20がU、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z20の位置での差異であり、Z20がU、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Z19は、Z20と相補的なヌクレオチドである。上記ヌクレオチド差異を有するsiRNAは、標的mRNA抑制能力が高く、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNAも、本開示の保護範囲内にある。
【0093】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0094】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号243に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号244に示されるヌクレオチド配列である。
5’-GAAUUCCAAAAACCAAUAZ19-3’(配列番号243)、
5’-Z20UAUUGGUUUUUGGAAUUC-3’(配列番号244)
ただし、前記Z20は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z19は、A、U、G又はCから選択され、Z20は、Z19と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z19はUであり、Z20はAである。
【0095】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVと第2のヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2のヌクレオチド配列とは、標的mRNAにおける、配列番号241に示されるヌクレオチド配列の5’末端に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0096】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がACUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAGUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCACUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAGUGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0097】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0098】
<第6のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第6のsiRNAであってもよい。
【0099】
前記第6のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第6のsiRNAの各ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号301に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号302に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-GGUCUGUGCUGGCUAUAAZ21-3’(配列番号301)、
5’-Z22UUAUAGCCAGCACAGACC-3’(配列番号302)
ただし、Z21はAであり、Z22はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ21に対応するヌクレオチドZ23が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ22に対応するヌクレオチドZ24が含まれ、前記Z24は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0100】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号301に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号302に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0102】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号302に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z24の位置での差異を含み、Z24がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z24の位置での差異であり、Z24がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Z23は、Z24と相補的なヌクレオチドである。上記ヌクレオチド差異を有するsiRNAは、標的mRNA抑制能力が高く、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNA複合体も、本開示の保護範囲内にある。
【0103】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0104】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号303に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号304に示されるヌクレオチド配列である。
5’-GGUCUGUGCUGGCUAUAAZ23-3’(配列番号303)、
5’-Z24UUAUAGCCAGCACAGACC-3’(配列番号304)
ただし、前記Z24は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z24は、A、U、G又はCから選択され、Z23は、Z24と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z23はAであり、Z24はUである。
【0105】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVと第2のヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2のヌクレオチド配列とは、標的mRNAにおける、配列番号301に示されるヌクレオチド配列の5’末端に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0106】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGAUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAUCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGAUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAUCCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAUであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がAUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0107】
以下に、ヌクレオチド配列V、核酸配列、siRNAにおけるヌクレオチド修飾、及び修飾配列の説明は、上記第1~第6のsiRNAのいずれか1つに適用可能である。すなわち、特に明記されていない場合、以下のsiRNAの説明は、第1のsiRNA、第2のsiRNA、第3のsiRNA、第4のsiRNA、第5のsiRNA及び第6のsiRNAを1つずつ説明したものと見なされるべきである。例えば、特定のsiRNAが指定されていない場合、「前記siRNAは、ヌクレオチド配列Vをさらに含む」とは、「第1のsiRNA、第2のsiRNA、第3のsiRNA、第4のsiRNA、第5のsiRNA及び第6のsiRNAは、ヌクレオチド配列Vをさらに含む」ことを意味する。
【0108】
いくつかの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列Vをさらに含み、ヌクレオチド配列Vは、長さが1~3ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の3’末端に結合され、アンチセンス鎖の3’突出端(オーバーハング末端)を構成する。これにより、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さ比は、19/20、19/21、19/22、20/21、20/22、20/23、21/22、21/23、21/24、22/23、22/24、22/25、23/24、23/25又は23/26であってもよい。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Vは、長さが2ヌクレオチドであり、これにより、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さ比は、19/21、21/23又は23/25であってもよい。
【0109】
前記ヌクレオチド配列Vにおける各ヌクレオチドは、任意のヌクレオチドであってもよく、合成しやすく合成コストを節約するために、前記ヌクレオチド配列Vは、連続した2個のチミンデオキシリボヌクレオチド(dTdT)又は連続した2個のウラシルリボヌクレオチド(UU)であり、或いは、siRNAのアンチセンス鎖と標的mRNAとの親和力を向上させるために、ヌクレオチド配列Vは、標的mRNAの対応する位置のヌクレオチドと相補的である。したがって、いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さの比は19/21又は21/23であり、このとき、本開示のsiRNAはより高いmRNAサイレンシング活性を有する。
【0110】
標的mRNAの対応する位置のヌクレオチドとは、5’末端で標的mRNAのヌクレオチド配列に隣接するヌクレオチド又はヌクレオチド配列を指す。当該標的mRNAのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列IIと実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であるヌクレオチド配列であるか、又はヌクレオチド配列II及びヌクレオチド配列IVから構成されるヌクレオチド配列と実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であるヌクレオチド配列である。
【0111】
いくつかの実施形態において、前記第1のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GGUGUUUGCUAUUCAGUUZ3-3’(配列番号5)、
5’-Z4AACUGAAUAGCAAACACCUU-3’(配列番号6)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号8に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-AAGGUGUUUGCUAUUCAGUUZ3-3’(配列番号7)、
5’-Z4AACUGAAUAGCAAACACCUUGG-3’(配列番号8)
ただし、前記Z4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z4は、A、U、G又はCから選択され、Z3は、Z4と相補的なヌクレオチドである。
【0112】
いくつかの実施形態において、前記第2のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号65に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号66に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GCUUCUUGAAAGAUAGUGZ7-3’(配列番号65)、
5’-Z8CACUAUCUUUCAAGAAGCAA-3’(配列番号66)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号67に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号68に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-UUGCUUCUUGAAAGAUAGUGZ7-3’(配列番号67)、
5’-Z8CACUAUCUUUCAAGAAGCAACC-3’(配列番号68)
ただし、前記Z8は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z8は、A、U、G又はCから選択され、Z7は、Z8と相補的なヌクレオチドである。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記第3のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号125に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号126に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GAAGCAAUGUGGUCAUCAZ11-3’(配列番号125)、
5’-Z12UGAUGACCACAUUGCUUCAA-3’(配列番号126)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号127に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号128に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-UUGAAGCAAUGUGGUCAUCAZ11-3’(配列番号127)、
5’-Z12UGAUGACCACAUUGCUUCAAGG-3’(配列番号128)
ただし、前記Z12は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z12は、A、U、G又はCから選択され、Z11は、Z12と相補的なヌクレオチドである。
【0114】
いくつかの実施形態において、前記第4のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号185に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号186に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-CACAAAGAAAUGUUUGUCZ15-3’(配列番号185)、
5’-Z16GACAAACAUUUCUUUGUGAC-3’(配列番号186)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号187に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号188に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GUCACAAAGAAAUGUUUGUCZ15-3’(配列番号187)、
5’-Z16GACAAACAUUUCUUUGUGACUC-3’(配列番号188)
ただし、前記Z16は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z16は、A、U、G又はCから選択され、Z15は、Z16と相補的なヌクレオチドである。
【0115】
いくつかの実施形態において、前記第5のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号245に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号246に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GAAUUCCAAAAACCAAUAZ19-3’(配列番号245)、
5’-Z20UAUUGGUUUUUGGAAUUCAG-3’(配列番号246)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号247に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号248に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-CUGAAUUCCAAAAACCAAUAZ19-3’(配列番号247)、
5’-Z20UAUUGGUUUUUGGAAUUCAGUG-3’(配列番号248)
ただし、前記Z20は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z20は、A、U、G又はCから選択され、Z19は、Z20と相補的なヌクレオチドである。
【0116】
いくつかの実施形態において、前記第6のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号305に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号306に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GGUCUGUGCUGGCUAUAAZ23-3’(配列番号305)、
5’-Z24UUAUAGCCAGCACAGACCAU-3’(配列番号306)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号307に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号308に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-AUGGUCUGUGCUGGCUAUAAZ23-3’(配列番号307)、
5’-Z24UUAUAGCCAGCACAGACCAUCC-3’(配列番号308)
ただし、前記Z24は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Z24は、A、U、G又はCから選択され、Z23は、Z24と相補的なヌクレオチドである。
【0117】
いくつかの実施形態において、本開示に記載されたsiRNAは、表1a~表1fに列挙されたsiPKKa1、siPKKa2、siPKKb1、siPKKb2、siPKKc1、siPKKc2、siPKKd1、siPKKd2、siPKKe1、siPKKe2、siPKKf1及びsiPKKf2である。
【0118】
前述したように、本開示のsiRNAにおけるヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAにおけるヌクレオチドは、それぞれ非修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAにおけるヌクレオチドの一部又は全部は、修飾ヌクレオチドであり、ヌクレオチド基上のこれらの修飾により、本開示のsiRNAがPKK遺伝子発現を抑制する機能を明らかに弱める又は喪失させることはない。
【0119】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。本開示の文脈において、用いられる用語「修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が他の基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ、或いは、修飾された塩基を有するヌクレオチドを指す。前記修飾ヌクレオチドにより、siRNAが遺伝子発現を抑制する機能を明らかに弱める又は喪失させることはない。例えば、J.K. Watts,G.F. Deleavey,and M.J. Damha,Chemically modified siRNA: tools and applications. Drug Discov Today,2008,13(19-20): 842-55に開示された修飾ヌクレオチドを選択してもよい。
【0120】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖又は前記アンチセンス鎖は、少なくとも1つのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、及び/又は少なくとも1つのリン酸エステル基が、修飾基を有するリン酸エステル基である。言い換えれば、前記センス鎖と前記アンチセンス鎖において少なくとも1本の一本鎖のリン酸-糖骨格中のリン酸エステル基及び/又はリボース基の少なくとも一部は、修飾基を有するリン酸エステル基及び/又は修飾基を有するリボース基である。
【0121】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖及び/又は前記アンチセンス鎖におけるヌクレオチドは、全て修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖と前記アンチセンス鎖における各ヌクレオチドは、独立してフルオロ修飾ヌクレオチド又は非フルオロ修飾ヌクレオチドである。
【0122】
本開示の発明者は、驚くべきことに、本開示に記載されたsiRNAにより、動物実験において血漿中安定性と遺伝子サイレンシング効率の高度なバランスが取られていることを見出した。
【0123】
いくつかの実施形態において、前記フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチド配列Iとヌクレオチド配列IIに位置し、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの少なくとも第7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの少なくとも第2、6、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドである。
【0124】
いくつかの実施形態において、前記フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチド配列Iとヌクレオチド配列IIに位置し、前記ヌクレオチド配列Iにおけるフルオロ修飾ヌクレオチドが5個以下であり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの少なくとも第7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIにおけるフルオロ修飾ヌクレオチドが7個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIの少なくとも第2、6、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドである。
【0125】
いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記センス鎖において、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位又は5、7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記センス鎖において残りの位置のヌクレオチドが非フルオロ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記アンチセンス鎖において、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位又は第2、6、8、9、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において残りの位置のヌクレオチドが非フルオロ修飾ヌクレオチドである。
【0126】
本開示の文脈において、「フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基がフッ素で置換された、以下の式(7)に示される構造を有するヌクレオチドを指す。「非フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを指す。いくつかの実施形態において、各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログから独立して選択される1つである。
【0127】
これらのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチドは、当業者に公知であり、これらのヌクレオチドは、2’-アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-置換アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-置換アルキル修飾ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-置換アミノ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチドから選択される1つであってもよい。
【0128】
いくつかの実施形態において、2’-アルコキシ修飾ヌクレオチドは、式(8)に示されるメトキシ修飾ヌクレオチド(2’-OMe)である。いくつかの実施形態において、2’-置換アルコキシ修飾ヌクレオチドは、例えば、式(9)に示される2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチド(2’-MOE)であってもよい。いくつかの実施形態において、2’-アミノ修飾ヌクレオチド(2’-NH2)は式(10)に示される。いくつかの実施形態において、2’-デオキシヌクレオチド(DNA)は式(11)に示される。
【0129】
【0130】
ヌクレオチドアナログとは、核酸においてヌクレオチドの代わりとなることができるが、アデニンリボヌクレオチド、グアニンリボヌクレオチド、シトシンリボヌクレオチド、ウラシルリボヌクレオチド又はチミンデオキシリボヌクレオチドと構造が異なる基を指す。いくつかの実施形態において、ヌクレオチドアナログは、イソヌクレオチド、架橋ヌクレオチド(bridged nucleic acid、BNA)又は非環式ヌクレオチドであってもよい。
【0131】
BNAとは、拘束された又は近づけないヌクレオチドを指す。BNAは、五員環、六員環、又は七員環の、「固定された」C3’-エンド糖パッカリングを有する架橋構造を含んでもよい。通常当該橋を当該リボースの2’-、4’-位に導入して2’,4’-BNAヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、BNAは、式(12)に示されるLNA、式(13)に示されるENA、式(14)に示されるcET BNA等であってもよい。
【0132】
【0133】
非環式ヌクレオチドは、ヌクレオチドの糖環が開環されたヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、非環式ヌクレオチドは、式(15)に示されるアンロックド核酸(UNA)、又は式(16)に示されるグリセロール核酸(GNA)であってもよい。
【0134】
【0135】
上記式(15)及び式(16)において、Rは、H、OH又はアルコキシ(O-アルキル)から選択される。
【0136】
イソヌクレオチドとは、ヌクレオチドにおいて塩基のリボース環における位置が変化した化合物を指す。いくつかの実施形態において、イソヌクレオチドは、式(17)又は(18)に示される、塩基がリボース環の1’-位から2’-位又は3’-位に移行した化合物であってもよい。
【0137】
【0138】
上記式(17)~式(18)の化合物において、Baseは、A、U、G、C又はT等の核酸塩基を表し、Rは、H、OH、F又は上述した非フッ素基から選択される。
【0139】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチドアナログは、イソヌクレオチド、LNA、ENA、cET、UNA及びGNAから選択されるいずれか1つである。いくつかの実施形態において、各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、いずれもメトキシ修飾ヌクレオチドであり、文脈において、前記メトキシ修飾ヌクレオチドは、リボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換されたヌクレオチドを指す。
【0140】
文脈において、「フルオロ修飾ヌクレオチド」、「2’-フルオロ修飾ヌクレオチド」、「リボース基の2’-ヒドロキシ基がフッ素で置換されたヌクレオチド」及び「2’-フルオロリボース基を有するヌクレオチド」は、意味が同じであり、いずれもヌクレオチドの2’-ヒドロキシ基がフッ素で置換された、式(7)に示される構造を有する化合物を指し、「メトキシ修飾ヌクレオチド」、「2’-メトキシ修飾ヌクレオチド」、「リボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換されたヌクレオチド」及び「2’-メトキシリボース基を有するヌクレオチド」は、意味が同じであり、いずれもヌクレオチドのリボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換された、式(8)に示される構造を有する化合物を指す。
【0141】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、以下の修飾を有するsiRNAである。すなわち、5’末端から3’末端に向かって、前記センス鎖において、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位又は第5、7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記センス鎖において残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位又は第2、6、8、9、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドである。
【0142】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、以下の修飾を有するsiRNAである。すなわち、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第5、7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、また、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、8、9、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第5、7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第7、8及び9位のヌクレオチドが-フルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、また、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドである。
【0143】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、表1a~表1fに列挙されたsiPKKa1-M1、siPKKa1-M2、siPKKa1-M3、siPKKa2-M1、siPKKa2-M2、siPKKa2-M3、siPKKb1-M1、siPKKb1-M2、siPKKb1-M3、siPKKb2-M1、siPKKb2-M2、siPKKb2-M3、siPKKc1-M1、siPKKc1-M2、siPKKc1-M3、siPKKc2-M1、siPKKc2-M2、siPKKc2-M3、siPKKd1-M1、siPKKd1-M2、siPKKd1-M3、siPKKd2-M1、siPKKd2-M2、siPKKd2-M3、siPKKe1-M1、siPKKe1-M2、siPKKe1-M3、siPKKe2-M1、siPKKe2-M2、siPKKe2-M3、siPKKf1-M1、siPKKf1-M2、siPKKf1-M3、siPKKf2-M1、siPKKf2-M2及びsiPKKf2-M3のいずれか1つである。
【0144】
上記修飾を有するsiRNAは、コストが低いだけでなく、血中のリボヌクレアーゼで核酸を切断しにくくすることができ、これにより、核酸の安定性を向上させ、核酸のヌクレアーゼ加水分解耐性という特性をより高めている。また、上記修飾siRNAは、標的mRNA抑制活性が高い。
【0145】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖において、少なくとも1本の一本鎖のリン酸-糖骨格中のリン酸エステル基の少なくとも一部は、修飾基を有するリン酸エステル基である。いくつかの実施形態において、修飾基を有するリン酸エステル基は、リン酸エステル基におけるリン酸ジエステル結合の少なくとも1つの酸素原子が硫黄原子で置換されたチオリン酸エステル基である。いくつかの実施形態において、前記修飾基を有するリン酸エステル基は、式(1)に示される構造を有するチオリン酸エステル基である。
【0146】
【0147】
このような修飾により、siRNAの二本鎖構造を安定化させ、塩基対合の高い特異性と高い親和力を維持することができる。
【0148】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAにおいて、チオリン酸エステル基は、センス鎖又はアンチセンス鎖の任意の一端の1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、センス鎖又はアンチセンス鎖の任意の一端の2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、又はそれらの任意の組合せからなる群より
選ばれる少なくとも1つに結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステル基は、センス鎖の5’末端を除く全ての上記位置に結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステル基は、センス鎖の3’末端を除く全ての上記位置に結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステル基は、以下の位置のうち少なくとも一箇所に結合されて存在する。
前記センス鎖の5’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の3’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、及び
前記アンチセンス鎖の3’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間。
【0149】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、表1a~表1fに列挙されたsiPKKa1-M1S、siPKKa1-M2S、siPKKa1-M3S、siPKKa2-M1S、siPKKa2-M2S、siPKKa2-M3S、siPKKb1-M1S、siPKKb1-M2S、siPKKb1-M3S、siPKKb2-M1S、siPKKb2-M2S、siPKKb2-M3S、siPKKc1-M1S、siPKKc1-M2S、siPKKc1-M3S、siPKKc2-M1S、siPKKc2-M2S、siPKKc2-M3S、siPKKd1-M1S、siPKKd1-M2S、siPKKd1-M3S、siPKKd2-M1S、siPKKd2-M2S、siPKKd2-M3S、siPKKe1-M1S、siPKKe1-M2S、siPKKe1-M3S、siPKKe2-M1S、siPKKe2-M2S、siPKKe2-M3S、siPKKf1-M1S、siPKKf1-M2S、siPKKf1-M3S、siPKKf2-M1S、siPKKf2-M2S及びsiPKKf2-M3Sのいずれか1つである。
【0150】
いくつかの実施形態において、前記siRNAのアンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドは、5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドである。
【0151】
慣用の前記5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドは、当業者に公知であり、例えば、5’-リン酸ヌクレオチドは、以下の構造を有してもよい。
【0152】
【0153】
また、例えば、Anastasia Khvorova and Jonathan K. Watts,The chemical evolution of oligonucleotide therapies of clinical utility. Nature Biotechnology,2017,35(3): 238~48には、以下の4種類の5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドが開示されている。
【0154】
【化7】
式中、RはH、OH、メトキシ、フッ素から選択され、Baseは核酸塩基を表し、A、U、C、G又はTから選択される。
【0155】
いくつかの実施形態において、5’-リン酸ヌクレオチドは、式(2)に示される、5’-リン酸修飾を含むヌクレオチドであり、5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドは、式(3)に示される、ビニルリン酸エステル(5’-(E)-vinylphosphonate、E-VP)修飾を含むヌクレオチドであり、又は、式(5)に示される、チオリン酸エステル修飾ヌクレオチドである。
【0156】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、表1a~表1fに列挙されたsiPKKa1-M1P1、siPKKa1-M2P1、siPKKa1-M3P1、siPKKa2-M1P1、siPKKa2-M2P1、siPKKa2-M3P1、siPKKa1-M1SP1、siPKKa1-M2SP1、siPKKa1-M3SP1、siPKKa2-M1SP1、siPKKa2-M2SP1、siPKKa2-M3SP1、siPKKb1-M1P1、siPKKb1-M2P1、siPKKb1-M3P1、siPKKb2-M1P1、siPKKb2-M2P1、siPKKb2-M3P1、siPKKb1-M1SP1、siPKKb1-M2SP1、siPKKb1-M3SP1、siPKKb2-M1SP1、siPKKb2-M2SP1、siPKKb2-M3SP1、siPKKc1-M1P1、siPKKc1-M2P1、siPKKc1-M3P1、siPKKc2-M1P1、siPKKc2-M2P1、siPKKc2-M3P1、siPKKc1-M1SP1、siPKKc1-M2SP1、siPKKc1-M3SP1、siPKKc2-M1SP1、siPKKc2-M2SP1、siPKKc2-M3SP1、siPKKd1-M1P1、siPKKd1-M2P1、siPKKd1-M3P1、siPKKd2-M1P1、siPKKd2-M2P1、siPKKd2-M3P1、siPKKd1-M1SP1、siPKKd1-M2SP1、siPKKd1-M3SP1、siPKKd2-M1SP1、siPKKd2-M2SP1、siPKKd2-M3SP1、siPKKe1-M1P1、siPKKe1-M2P1、siPKKe1-M3P1、siPKKe2-M1P1、siPKKe2-M2P1、siPKKe2-M3P1、siPKKe1-M1SP1、siPKKe1-M2SP1、siPKKe1-M3SP1、siPKKe2-M1SP1、siPKKe2-M2SP1、siPKKe2-M3SP1、siPKKf1-M1P1、siPKKf1-M2P1、siPKKf1-M3P1、siPKKf2-M1P1、siPKKf2-M2P1、siPKKf2-M3P1、siPKKf1-M1SP1、siPKKf1-M2SP1、siPKKf1-M3SP1、siPKKf2-M1SP1、siPKKf2-M2SP1及びsiPKKf2-M3SP1のいずれか1つである。
【0157】
本開示の発明者は、本開示により提供される上記siRNAの血漿とリソソーム安定性が顕著に向上しているだけでなく、標的mRNA抑制活性が高いことを意外にも見出した。
【0158】
本開示により提供されるsiRNAは、本分野における通常のsiRNA調製方法(例えば、固相合成方法及び液相合成方法)により得ることができる。ここで、固相合成は、既に商用カスタマイズサービスが行われている。対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを用いることにより修飾ヌクレオチド基を本開示に記載されたsiRNAに導入することができ、対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを調製する方法、及び修飾ヌクレオチド基をsiRNAに導入する方法も、当業者によく知られている。
【0159】
<薬物組成物>
本開示は、活性成分として上述したsiRNAと、薬学的に許容可能な担体を含む薬物組成物を提供する。
【0160】
前記薬学的に許容可能な担体は、siRNA投与分野で通常用いられる担体であってもよく、例えば、磁性ナノ粒子(magnetic nanoparticles、例えば、Fe3O4又はFe2O3に基づくナノ粒子)、カーボンナノチューブ(carbon nanotubes)、メソポーラスシリコン(mesoporous silicon)、リン酸カルシウムナノ粒子(calcium phosphate nanoparticles)、ポリエチレンイミン(polyethylenimine、PEI)、ポリアミドアミンデンドリマー(polyamidoamine (PAMAM) dendrimer)、ポリリジン(poly(L-lysine)、PLL)、キトサン(chitosan)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(1,2-dioleoyl-3-trimethylammonium-propane、DOTAP)、ポリD-又はL-乳酸/グリコール酸共重合体(poly(D&L-lactic/glycolic acid)copolymer、PLGA)、ポリ(アミノエチルエチレンリン酸エステル)(poly(2-aminoethyl ethylene phosphate)、PPEEA)及びポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)(poly(2-dimethylaminoethyl methacrylate)、PDMAEMA)並びにこれらの誘導体の1又は複数があるが、これらに限定されない。
【0161】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物におけるsiRNA及び薬学的に許容可能な担体の含有量に対して特段の要件はないが、いくつかの実施形態においては、siRNAと薬学的に許容可能な担体との重量比が、1:(1~500)であってもよい。いくつかの実施形態においては、上記重量比が1:(1~50)である。
【0162】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物には、薬学的に許容できる他の添加剤が含まれてもよく、当該添加剤は、本分野で通常採用される各種の製剤又は化合物の1種又は複数種であってもよい。例えば、前記薬学的に許容できる他の添加剤は、pH緩衝液、保護剤及び浸透圧調節剤の少なくとも1種を含んでもよい。
【0163】
前記pH緩衝液は、pH7.5~8.5のトリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩緩衝液(tris(hydroxymethyl) aminomethane hydrochloride buffer)及び/又はpH5.5~8.5のリン酸塩緩衝液であってもよく、例えば、pH5.5~8.5のリン酸塩緩衝液であってもよい。
【0164】
前記保護剤は、イノシトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、マンノース、マルトース、ラクトース及びグルコースの少なくとも1種であってもよい。前記薬物組成物の全重量を基準とし、前記保護剤の含有量は0.01~30重量%であってもよい。
【0165】
前記浸透圧調節剤は、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムであってもよい。前記浸透圧調節剤の含有量は、前記薬物組成物の浸透圧が200~700ミリオスモル/キログラム(mOsm/kg)となるように決定される。所望の浸透圧により、当業者は、前記浸透圧調節剤の含有量を容易に決定することができる。
【0166】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、注射液等の液体製剤であってもよく、凍結乾燥粉末注射剤として、投与時に液体添加剤と混合し、液体製剤としてもよい。前記液体製剤は、皮下、筋肉又は静脈注射投与に用いることができるが、これらに限定されず、噴霧により肺に投与、或いは、噴霧により肺を通して他の臓器組織(例えば、肝臓)に投与することもできるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、静脈注射投与に用いられる。
【0167】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、リポソーム製剤の形式であってもよい。いくつかの実施形態において、前記リポソーム製剤に用いられる薬学的に許容可能な担体は、アミン含有トランスフェクション化合物(以下、有機アミンともいう)、補助脂質及び/又はPEG化(ポリエチレングリコール化)脂質を含む。ここで、前記有機アミン、補助脂質及びPEG化脂質は、中国特許出願CN103380113A(引用によりその全体を本明細書に組み込む)に記載されたアミン含有トランスフェクション化合物又はその薬学的に許容できる塩又は誘導体、補助脂質及びPEG化脂質からそれぞれ選択される1種又は複数種であってもよい。
【0168】
いくつかの実施形態において、前記有機アミンは、CN103380113Aに記載された式(201)に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩であってもよい。
【0169】
【化8】
式中、
X
101及びX
102はそれぞれ独立してO、S、N-A又はC-Aであり、Aは水素又はC
1-C
20炭化水素鎖であり、
Y
101及びZ
101はそれぞれ独立してC=O、C=S、S=O、CH-OH又はSO
2であり、
R
101、R
102、R
103、R
104、R
105、R
106及びR
107はそれぞれ独立して水素、環式又は非環式の、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖脂肪族基、環式又は非環式の、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖ヘテロ脂肪族基、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖アシル基、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖アリール基、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖ヘテロアリール基であり、
xが1~10の整数であり、
nが1~3の整数であり、mが0~20の整数であり、pが0又は1であり、ここで、m=p=0である場合、R
102は水素であり、
n又はmの少なくとも1つが2である場合、R
103と式(201)における窒素とが、式(202)又は式(203)に示される構造を形成する。
【0170】
【化9】
式中、g、e及びfはそれぞれ独立して1~6の整数であり、「HCC」は炭化水素鎖を表し、各
*Nは式(201)における窒素原子を表す。
【0171】
いくつかの実施形態において、R103はポリアミンである。他の実施形態において、R103はケタールである。いくつかの実施形態において、式(201)におけるR101及びR102のそれぞれは、独立して、任意に置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖アルキル又はアルケニルであり、前記アルキル又はアルケニルは、3~約20個の炭素原子、例えば、8~約18個の炭素原子、及び0~4個の二重結合、例えば、0~2個の二重結合を有する。
【0172】
いくつかの実施形態において、nとmのそれぞれが独立して1又は3の値である場合、R103は、下記式(204)~式(213)のいずれか1つであってもよい。
【0173】
【化10】
式(204)~式(213)において、g、e及びfはそれぞれ独立して1~6の整数であり、各「HCC」は炭化水素鎖を表し、各
*はR
103と式(201)における窒素原子との結合可能点を示し、任意の
*位置上の各Hは、式(201)における窒素原子と結合するために置換されてもよい。
【0174】
式(201)に示される化合物は、CN103380113Aの記載により調製されてもよい。
【0175】
いくつかの実施形態において、前記有機アミンは、式(214)に示される有機アミン及び/又は式(215)に示される有機アミンである。
【0176】
【0177】
前記補助脂質は、コレステロール、コレステロールのアナログ及び/又はコレステロールの誘導体であり、
前記PEG化脂質は、1,2-ジパルミトアミド-sn-グリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)]-2000(1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphatidylethanolamine-N-[methoxy(polyethylene glycol)]-2000)である。
【0178】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物において、前記有機アミン、前記補助脂質、前記PEG化脂質のモル比は、(19.7~80):(19.7~80):(0.3~50)であり、例えば、(50~70):(20~40):(3~20)であってもよい。
【0179】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAと上記アミン含有トランスフェクション試薬により形成された薬物組成物粒子は、約30nm~約200nmの平均径を有し、一般に約40nm~約135nmであり、より一般的には、当該リポソーム粒子の平均径は、約50nm~約120nm、約50nm~約100nm、約60nm~約90nm又は約70nm~約90nmであり、例えば、当該リポソーム粒子の平均径は、約30、40、50、60、70、75、80、85、90、100、110、120、130、140、150又は160nmである。
【0180】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAと上記アミン含有トランスフェクション試薬により形成された薬物組成物において、siRNAと全脂質(例えば有機アミン、補助脂質及び/又はPEG化脂質)の重量比(重量/重量比)は、約1:1~約1:50、約1:1~約1:30、約1:3~約1:20、約1:4から約1:18、約1:5~約1:17、約1:5~約1:15、約1:5~約1:12、約1:6~約1:12又は約1:6~約1:10の範囲内にあり、例えば、本開示のsiRNAと全脂質の重量比は約1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17又は1:18である。
【0181】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、市販時に各成分が独立して存在してもよく、使用時に液体製剤として存在してもよい。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAと上記薬学的に許容可能な担体により形成された薬物組成物は、既知の各種の方法に従い調製されてもよく、従来のsiRNAの代わりに本開示により提供されるsiRNAを用いればよい。いくつかの実施形態において、以下の方法に従い調製されてもよい。
【0182】
有機アミン、補助脂質及びPEG化脂質を上記モル比でアルコールに懸濁させ均一に混合して脂質溶液を得る。アルコールの用量は、得られた脂質溶液の総質量濃度が2~25mg/mL、例えば、8~18mg/mLとなるように決定される。前記アルコールは、薬学的に許容できるアルコール、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400など、室温付近で液体であるアルコールから選択される1種又は複数種であり、例えばエタノールであってもよい。
【0183】
本開示により提供されるsiRNAを緩衝塩溶液に溶解し、siRNA水溶液を得る。緩衝塩溶液の濃度が0.05~0.5Mであり、例えば、0.1~0.2Mであってもよく、緩衝塩溶液のpHを4.0~5.5に調節し、例えば、5.0~5.2であってもよく、緩衝塩溶液の用量は、siRNAの濃度が0.6mg/mL以下、例えば、0.2~0.4mg/mLとなるように決定される。前記緩衝塩は、可溶性酢酸塩、可溶性クエン酸塩から選択される1種又は複数種であり、例えば、酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムであってよい。
【0184】
脂質溶液とsiRNA水溶液を混合した後、得られた生成物を40~60℃で少なくとも2分間、例えば、5~30分間培養し、培養したリポソーム製剤を得る。脂質溶液とsiRNA水溶液の体積比は1:(2~5)であり、例えば、1:4であってもよい。
【0185】
培養したリポソーム製剤を濃縮又は希釈し、不純物を除去し、除菌し、本開示により提供される薬物組成物を得る。その物理化学的パラメーターは、pHが6.5~8であり、封入効率が80%以上であり、粒子径が40~200nmであり、多分散指数が0.30以下であり、浸透圧が250~400mOsm/kgである。例えば、物理化学的パラメーターは、pHが7.2~7.6、封入効率が90%以上、粒子径が60~100nm、多分散指数が0.20以下、浸透圧が300~400mOsm/kgであってもよい。
【0186】
ここで、濃縮又は希釈は、不純物を除去する前、不純物を除去した後又は同時に行われてもよい。不純物を除去する方法としては、従来の各種の方法を採用してもよく、例えば、タンジェンシャルフロー系、中空糸カラムを用い、100KDaの条件で限外濾過し、限外濾過交換溶液をpH7.4のリン酸塩緩衝液(PBS)としてもよい。除菌方法としては、従来の各種の方法を採用してもよく、例えば、0.22μmのフィルターで濾過して除菌してもよい。
【0187】
<siRNA複合体>
本開示は、上記siRNA及び当該siRNAに複合して結合される複合基を含むsiRNA複合体を提供する。
【0188】
一般的には、前記複合基は、薬学的に許容できる少なくとも1つの標的基及び任意のリンカー(linker)を含み、前記siRNA、前記リンカー及び前記標的基は順に結合されている。いくつかの実施形態において、前記標的基は1~6個である。いくつかの実施形態において、前記標的基は2~4個である。前記siRNA分子は、前記複合基に非共有結合的又は共有結合的に複合されてもよく、例えば、前記複合基に共有結合的に複合されてもよい。siRNAと複合基との複合部位は、siRNAのセンス鎖の3’端又は5’端にあってもよく、アンチセンス鎖の5’端にあってもよく、siRNAの内部配列にあってもよい。いくつかの実施形態において、前記siRNAと複合基との複合部位は、siRNAのセンス鎖の3’末端にある。
【0189】
いくつかの実施形態において、前記複合基は、ヌクレオチドのリン酸基、2’-位のヒドロキシ基又は塩基に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、前記複合基は、3’-位のヒドロキシ基に結合されてもよく、この場合、ヌクレオチド間が2’-5’リン酸ジエステル結合により結合されている。複合基は、siRNA鎖の末端に結合される場合、通常ヌクレオチドのリン酸基に結合され、siRNAの内部配列に結合される場合、通常リボース糖環或いは塩基に結合される。各種の結合方法については、Muthiah Manoharan et.al. siRNA conjugates carrying sequentially assembled trivalent N-acetylgalactosamine linked through nucleosides elicit robust gene silencing in vivo in hepatocytes. ACS Chemical biology,2015,10 (5): 1181~7.を参照することができる。
【0190】
いくつかの実施形態において、前記siRNAと複合基との間が酸不安定又は還元可能な化学結合により結合されてもよく、細胞エンドソームの酸性環境で、これらの化学結合が分解され、siRNAが遊離状態になることができる。分解できない複合方法については、複合基は、siRNAのセンス鎖に結合され、複合によるsiRNA活性への影響をできるだけ低下させることができる。
【0191】
いくつかの実施形態において、前記薬学的に許容できる標的基は、siRNA投与分野で通常用いられるリガンド、例えば、WO2009082607A2に記載された各種のリガンドであってもよく、引用によりその開示内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0192】
いくつかの実施形態において、前記薬学的に許容できる標的基は、コレステロール、胆汁酸、ビタミン(例えば、トコフェロール)、鎖長が異なる脂質分子等の親油性分子と、ポリエチレングリコール等のポリマーと、膜透過性ペプチド等のポリペプチドと、アプタマーと、抗体と、量子ドットと、ラクトース、ポリラクトース、マンノース、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)等の糖類と、葉酸(folate)と、アシアロ糖タンパク質、アシアロ糖残基、リポタンパク(例えば、高密度リポタンパク、低密度リポタンパク等)、グルカゴン、神経伝達物質(例えば、アドレナリン)、成長因子、トランスフェリン等の肝実質細胞に発現する受容体リガンド等の標的分子又はその誘導体により形成されたリガンドから選択される1種又は複数種であってもよい。
【0193】
いくつかの実施形態において、前記各リガンドは、細胞表面の受容体と結合できるリガンドから独立して選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、肝細胞表面の受容体と結合できるリガンドである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、哺乳動物の肝細胞表面の受容体と結合できるリガンドである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、ヒト肝細胞表面の受容体と結合できるリガンドである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)と結合できるリガンドである。これらのリガンドの種類は、当業者に公知であり、その作用として、一般的に標的細胞表面の特異的受容体と結合し、リガンドに結合されるsiRNAの標的細胞への送達を媒介する。
【0194】
いくつかの実施形態において、前記薬学的に許容できる標的基は、哺乳動物の肝細胞表面におけるアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)と結合するいずれか1種のリガンドであってもよい。いくつかの実施形態において、各リガンドは、独立してアシアロ糖タンパク質、例えば、アシアロオロソムコイド(asialoorosomucoid、ASOR)又はアシアロフェチュイン(asialofetuin、ASF)である。いくつかの実施形態において、前記リガンドは、糖又は糖の誘導体である。
【0195】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは糖である。いくつかの実施形態において、各リガンドはいずれも糖である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、単糖、多糖、修飾単糖、修飾多糖又は糖誘導体である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの前記リガンドは、単糖、二糖又は三糖であってもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは修飾糖である。いくつかの実施形態において、各リガンドは、いずれも修飾糖である。いくつかの実施形態において、各リガンドは、いずれも独立して多糖、修飾多糖、単糖、修飾単糖、多糖誘導体又は単糖誘導体から選択される。いくつかの実施形態において、リガンドのそれぞれ又は少なくとも1つは、グルコース及びその誘導体、マンナン及びその誘導体、ガラクトース及びその誘導体、キシロース及びその誘導体、リボース及びその誘導体、フコース及びその誘導体、ラクトース及びその誘導体、マルトース及びその誘導体、アラビノース及びその誘導体、フルクトース及びその誘導体並びにシアル酸からなる群から選択される。
【0196】
いくつかの実施形態において、各前記リガンドは、D-マンノピラノース、L-マンノピラノース、D-アラビノース、D-キシロフラノース、L-キシロフラノース、D-グルコース、L-グルコース、D-ガラクトース、L-ガラクトース、α-D-マンノフラノース、β-D-マンノフラノース、α-D-マンノピラノース、β-D-マンノピラノース、α-D-グルコピラノース、β-D-グルコピラノース、α-D-グルコフラノース、β-D-グルコフラノース、α-D-フルクトフラノース、α-D-フルクトピラノース、α-D-ガラクトピラノース、β-D-ガラクトピラノース、α-D-ガラクトフラノース、β-D-ガラクトフラノース、グルコサミン、シアル酸、ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-トリフルオロアセチルガラクトサミン、N-プロピオニルガラクトサミン、N-n-ブチリルガラクトサミン、N-イソブチリルガラクトサミン、2-アミノ-3-O-[(R)-1-カルボキシエチル]-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース、2-デオキシ-2-メチルアミノ-L-グルコピラノース、4,6-ジデオキシ-4-ホルムアミド-2,3-ジ-O-メチル-D-マンノピラノース、2-デオキシ-2-スルホアミノ-D-グルコピラノース、N-グリコリル-α-ノイラミン酸、5-チオ-β-D-グルコピラノース、メチル2,3,4-トリス-O-アセチル-1-チオ-6-O-トリチル-α-D-グルコピラノシド、4-チオ-β-D-ガラクトピラノース、エチル3,4,6,7-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-1,5-ジチオ-α-D-グルコヘプトピラノシド、2,5-アンヒドロ-D-アロニトリル、リボース、D-リボース、D-4-チオリボース、L-リボース又はL-4-チオリボースから独立して選択されてもよい。前記リガンドの他の選択肢は、例えば、CN105378082Aの記載を参照してもよく、引用によりその開示内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0197】
いくつかの実施形態において、前記siRNA複合体における、薬学的に許容できる標的基は、ガラクトース又はN-アセチルガラクトサミンであってもよく、ガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン分子は、1価、2価、3価、4価であってもよい。ここでいう1価、2価、3価、4価は、それぞれsiRNA分子と、標的基としてのガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン分子を含む複合基から形成されたsiRNA複合体におけるsiRNA分子とガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン分子とのモル比が1:1、1:2、1:3又は1:4であることを指すと理解すべきである。いくつかの実施形態において、前記薬学的に許容できる標的基はN-アセチルガラクトサミンである。いくつかの実施形態において、本開示に記載されたsiRNAがN-アセチルガラクトサミンを含む複合基と複合する場合、N-アセチルガラクトサミン分子は3価又は4価である。いくつかの実施形態において、本開示に記載されたsiRNAがN-アセチルガラクトサミンを含む複合基と複合する場合、N-アセチルガラクトサミン分子は3価である。
【0198】
標的基は、適切なリンカーを介してsiRNA分子に結合されてもよく、当業者は、標的基の具体的な種類により適切なリンカーを選択することができる。これらのリンカー、標的基の種類及びsiRNAへの結合方法については、WO2015006740A2の開示内容を参照してもよく、引用によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0199】
いくつかの実施形態において、前記標的基がN-アセチルガラクトサミンである場合、適切なリンカーは、式(301)に示される構造であってもよい。
【0200】
【化12】
式中、
kは1~3の整数であり、
L
Aは、式(302)に示される構造を有するアミド結合を含む鎖状部であり、各前記L
Aは、その両端でそれぞれ1つの前記標的基及び前記L
C部にエーテル結合により結合される。
【0201】
【化13】
L
Bは、式(303)に示される構造を有するN-アシルピロリジンを含む鎖状部であり、前記鎖状部は、その一端にカルボニル基を有し、前記L
C部にアミド結合により結合され、他端に酸素基を有し、前記siRNAにリン酸エステル結合により結合される。
【0202】
【化14】
L
Cは、ヒドロキシメチルアミノメタン、ジヒドロキシメチルアミノメタン又はトリヒドロキシメチルアミノメタンに基づく2~4価のリンカー基であり、前記L
Cは、酸素原子を介してエーテル結合により各前記L
A部に結合されるとともに、窒素原子を介してアミド結合により前記L
B部に結合される。
【0203】
いくつかの実施形態において、n=3であり、LCがトリヒドロキシメチルアミノメタンに基づく4価のリンカー基である場合、リンカーとしての-(LA)3トリヒドロキシメチルアミノメタン-LB-によりN-アセチルガラクトサミン分子とsiRNA分子を結合して形成されたsiRNA複合体は、その構造が以下の式(304)に示される。
【0204】
【化15】
式中、二重螺旋構造はsiRNAを表す。
【0205】
同様に、siRNAと複合基との複合部位は、siRNAのセンス鎖の3’端又は5’端にあってもよく、アンチセンス鎖の5’端にあってもよく、siRNAの内部配列にあってもよい。
【0206】
いくつかの実施形態において、本開示に記載されたsiRNAのセンス鎖の3’末端は、リンカー-(LA)3トリヒドロキシメチルアミノメタン-LB-により3個のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)分子に共有結合的に複合され、siRNA分子とGalNAc分子とのモル比が1:3である、構造が以下の式(305)に示されるsiRNA複合体(以下、(GalNAc)3-siRNAともいう)を得る。
【0207】
【化16】
式中、二重螺旋構造は前記siRNAを表し、前記リンカーは前記siRNAのセンス鎖の3’末端に結合される。
【0208】
いくつかの実施形態において、前記標的基がN-アセチルガラクトサミンである場合、適切なリンカーは、式(306)に示される構造であってもよい。
【0209】
【化17】
式中、
lは0~3の整数であり、
*は、リンカーにおいてエーテル結合により標的基に結合される部位を表し、
#は、リンカーにおいてリン酸エステル結合によりsiRNAに結合される部位を表す。
【0210】
いくつかの実施形態において、l=2である場合、前記siRNA複合体は、式(307)に示される構造を有する。
【0211】
【化18】
式中、二重螺旋構造は前記siRNAを表し、前記リンカーは前記siRNAのセンス鎖の3’末端に結合される。
【0212】
上記siRNA複合体は、従来技術において既に詳しく記載された方法により合成されてもよい。例えば、WO2015006740A2には、複数種のsiRNA複合体の調製方法が詳しく記載されている。当業者によく知られている方法により、本開示のsiRNA複合体を得る。例えば、WO2014025805A1には、式(305)に示される構造の調製方法が記載されており、Rajeevらは、ChemBioChem 2015,16,903-908に式(307)に示される構造の調製方法を記載した。
【0213】
いくつかの実施形態において、前記siRNA複合体は、式(308)に示される構造を有する。
【0214】
【化19】
式中、
n1は、1~3から選択される整数であり、n3は、0~4から選択される整数であり、
m1、m2及びm3は独立して、2~10から選択される整数であり、
R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、それぞれ独立して、Hであり、又はC
1-C
10アルキル基、C
1-C
10ハロゲン化アルキル基及びC
1-C
10アルコキシ基からなる群から選択され、
R
3は式A59に示される構造の基である。
【0215】
【化20】
式中、E
1はOH、SH又はBH
2であり、Nuは本開示のsiRNAである。
【0216】
R2は、長さ1~20の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、1又は複数の炭素原子は、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)2、C2-C10アルケニレン基、C2-C10アルキニレン基、C6-C10アリーレン基、C3-C18ヘテロシクリレン基及びC5-C10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、R2は、C1-C10アルキル基、C6-C10アリール基、C5-C10ヘテロアリール基、C1-C10ハロゲン化アルキル基、-OC1-C10アルキル基、-OC1-C10アルキルフェニル基、-C1-C10アルキル-OH、-OC1-C10ハロゲン化アルキル基、-SC1-C10アルキル基、-SC1-C10アルキルフェニル基、-C1-C10アルキル-SH、-SC1-C10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH2、-C1-C10アルキル-NH2、-N(C1-C10アルキル基)(C1-C10アルキル基)、-NH(C1-C10アルキル基)、N(C1-C10アルキル基)(C1-C10アルキルフェニル基)、NH(C1-C10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-CO2H、-C(O)O(C1-C10アルキル基)、-CON(C1-C10アルキル基)(C1-C10アルキル基)、-CONH(C1-C10アルキル基)、-CONH2、-NHC(O)(C1-C10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C1-C10アルキル基)C(O)(C1-C10アルキル基)、-N(C1-C10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C1-C10アルキル基、-C(O)C1-C10アルキルフェニル基、-C(O)C1-C10ハロアルキル基、-OC(O)C1-C10アルキル基、-SO2(C1-C10アルキル基)、-SO2(フェニル基)、-SO2(C1-C10ハロゲン化アルキル基)、-SO2NH2、-SO2NH(C1-C10アルキル基)、-SO2NH(フェニル基)、-NHSO2(C1-C10アルキル基)、-NHSO2(フェニル基)及び-NHSO2(C1-C10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
各L1は、長さ1~70の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、1又は複数の炭素原子は、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)2、C2-C10アルケニレン基、C2-C10アルキニレン基、C6-C10アリーレン基、C3-C18ヘテロシクリレン基及びC5-C10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、L1は、C1-C10アルキル基、C6-C10アリール基、C5-C10ヘテロアリール基、C1-C10ハロゲン化アルキル基、-OC1-C10アルキル基、-OC1-C10アルキルフェニル基、-C1-C10アルキル-OH、-OC1-C10ハロゲン化アルキル基、-SC1-C10アルキル基、-SC1-C10アルキルフェニル基、-C1-C10アルキル-SH、-SC1-C10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH2、-C1-C10アルキル-NH2、-N(C1-C10アルキル基)(C1-C10アルキル基)、-NH(C1-C10アルキル基)、N(C1-C10アルキル基)(C1-C10アルキルフェニル基)、NH(C1-C10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-CO2H、-C(O)O(C1-C10アルキル基)、-CON(C1-C10アルキル基)(C1-C10アルキル基)、-CONH(C1-C10アルキル基)、-CONH2、-NHC(O)(C1-C10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C1-C10アルキル基)C(O)(C1-C10アルキル基)、-N(C1-C10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C1-C10アルキル基、-C(O)C1-C10アルキルフェニル基、-C(O)C1-C10ハロアルキル基、-OC(O)C1-C10アルキル基、-SO2(C1-C10アルキル基)、-SO2(フェニル基)、-SO2(C1-C10ハロゲン化アルキル基)、-SO2NH2、-SO2NH(C1-C10アルキル基)、-SO2NH(フェニル基)、-NHSO2(C1-C10アルキル基)、-NHSO2(フェニル基)及び-NHSO2(C1-C10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
いくつかの実施形態において、L1は、A1~A26の基又はその任意の組合せからなる群から選択されてもよく、A1~A26の構造と定義は以下のとおりである。
【0217】
【化21】
式中、j1は1~20の整数であり、j2は1~20の整数であり、
R’はC
1-C
10アルキル基であり、
Raは、式A27~A45の基又はその任意の組合せからなる群から選択される。
【0218】
【化22】
RbはC
1-C
10アルキル基であり、
は、基が共有結合的に結合する部位を表す。
【0219】
便宜上、L1は、線形アルキレン基として定義されるが、例えば上述の取替及び/又は置換によって生じるアミンやアルケニル基で、線形基ではない、又は名称が異なる可能性があることは、当業者に理解される。本開示内容の目的のために、L1の長さは、2つの結合点を結合する鎖における原子数である。この目的のために、前記直鎖アルキレンの炭素原子を置換して得られた環(例えば、ヘテロシクリレン又はヘテロアリーレン)を、1個の原子とする。
【0220】
M1は、標的基を表し、その定義と選択可能な範囲は上記標的基と同じである。いくつかの実施形態において、各M1は、哺乳動物の肝細胞表面におけるアシアロ糖タンパク質受容体に対して親和力を有するリガンドから独立して選択される1つである。
【0221】
M1が哺乳動物の肝細胞表面におけるアシアロ糖タンパク質受容体に対して親和力を有するリガンドである場合、いくつかの実施形態において、n1は、1~3の整数であってもよく、n3は、0~4の整数であってもよく、前記siRNA複合体におけるM1標的基の個数が少なくとも2であることを確保する。いくつかの実施形態において、n1+n3≧2であり、これにより、M1標的基の個数が少なくとも3であり、M1標的基と肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体をより容易に結合させ、さらに前記siRNA複合体がエンドサイトーシス(細胞内取込み)作用により細胞に取り込まれることを促進することができる。実験から分かるように、M1標的基の個数が3個以上である場合、M1標的基と肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合の容易さの向上が明らかではないので、合成の容易さ、構造/プロセスコスト及び送達効率等の多方面を総合的に考慮すると、いくつかの実施形態において、n1は1~2の整数であり、n3は0~1の整数であり、かつ、n1+n3=2~3である。
【0222】
いくつかの実施形態において、m1、m2又はm3は、独立して2~10の整数から選択される場合、複数のM1標的基間の空間位置をM1標的基と肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合に適合させることができる。本開示により提供されるsiRNA複合体をより簡略化し、より合成しやすく、及び/又はコストを低下させるために、いくつかの実施形態において、m1、m2及びm3は、それぞれ独立して2~5の整数であり、いくつかの実施形態において、m1=m2=m3である。
【0223】
R10、R11、R12、R13、R14及びR15が、H、C1-C10アルキル基、C1-C10ハロゲン化アルキル基及びC1-C10アルコキシからそれぞれ独立して選択される1つである場合、いずれも本開示のsiRNA複合体の性質を変化させることなく、本開示の目的を実現することができることは、当業者に理解され得る。いくつかの実施形態において、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立してH、メチル基又はエチル基から選択される。いくつかの実施形態において、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、いずれもHである。
【0224】
R3は、式A59に示される構造の基であり、ここで、E1はOH、SH又はBH2であり、調製原料の入手しやすさを考慮し、いくつかの実施形態において、E1はOH又はSHである。
【0225】
R2は、窒素含有骨格上のN原子とA59との結合を実現するために選択される。本開示の文脈において、「窒素含有骨格」とは、R10、R11、R12、R13、R14及びR15が結合された炭素原子とN原子が互いに結合している鎖状構造を指す。したがって、R2は、適当な方法でA59基を窒素含有骨格上のN原子に結合することができる任意のリンカー基であってもよい。いくつかの実施形態において、固相合成プロセスにより式(308)に示されるsiRNA複合体を調製する場合に、R2基には、窒素含有骨格上のN原子に結合される結合部位及びR3におけるP原子に結合される結合部位がともに含まれる必要がある。いくつかの実施形態において、R2における前記窒素含有骨格中のN原子に結合される部位は、N原子とアミド結合を形成し、前記R3上のP原子に結合される部位は、P原子とリン酸エステル結合を形成し、いくつかの実施形態において、R2は、B5、B6、B5’又はB6’であってもよい。
【0226】
【化23】
式中、
は、基が共有結合的に結合する部位を表す。
【0227】
q2の値の範囲は、1~10の整数であってもよく、いくつかの実施形態において、q2は1~5の整数である。
【0228】
L1は、M1標的基と窒素含有骨格上のNを結合し、式(308)に示されるsiRNA複合体に肝標的機能を提供するという役割を果たす。いくつかの実施形態において、L1は、式A1~A26の基から選択される1又は複数の結合の組合せである。いくつかの実施形態において、L1は、A1、A4、A5、A6、A8、A10、A11及びA13から選択される1又は複数の結合の組合せである。いくつかの実施形態において、L1は、A1、A4、A8、A10及びA11から選択される少なくとも2つの結合の組合せである。いくつかの実施形態において、L1は、A1、A8、A10から選択される少なくとも2つの結合の組合せである。
【0229】
いくつかの実施形態において、L1の長さは、3~25個の原子、3~20個の原子、4~15個の原子又は5~12個の原子であってもよい。いくつかの実施形態において、L1の長さは、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個の原子である。
【0230】
いくつかの実施形態において、j1は2~10の整数であり、いくつかの実施形態において、j1は3~5の整数である。いくつかの実施形態において、j2は2~10の整数であり、いくつかの実施形態において、j2は3~5の整数である。R’はC1-C4アルキル基であり、いくつかの実施形態において、R’は、メチル基、エチル基及びイソプロピル基の1つである。Raは、A27、A28、A29、A30及びA31の1つであり、いくつかの実施形態において、Raは、A27又はA28である。Rbは、C1-C5アルキル基であり、いくつかの実施形態において、Rbは、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びブチル基の1つである。いくつかの実施形態において、式A1~A26においてそれぞれj1、j2、R’、Ra、Rbを選択することにより、M1標的基と窒素含有骨格上のN原子との結合を実現し、M1標的基間の空間位置をM1標的基と肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合にさらに適合させる。
【0231】
いくつかの実施形態において、当該siRNA複合体は、式(403)、(404)、(405)、(406)、(407)、(408)、(409)、(410)、(411)、(412)、(413)、(414)、(415)、(416)、(417)、(418)、(419)、(420)、(421)又は(422)に示される構造を有する。
【0232】
【0233】
いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNA配列における任意の可能な位置に結合されてもよく、例えば、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖のいずれか1つのヌクレオチドに結合されてもよく、いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖のいずれか1つのヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の端部に結合され、いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖の端部に結合される。前記端部とは、前記センス鎖又は前記アンチセンス鎖においてその一端から前の4個のヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の末端に結合され、いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖の3’末端に結合される。siRNAのセンス鎖の上記位置に結合される場合に、式(308)に示されるsiRNA複合体は、細胞に入り込んだ後、巻き戻されるときに、単独のsiRNAのアンチセンス鎖を放出し、PKK mRNAがタンパク質を翻訳する過程を遮断し、PKK遺伝子発現を抑制することができる。
【0234】
いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNAにおけるヌクレオチド上の任意の可能な位置、例えば、ヌクレオチドの5’位、ヌクレオチドの2’位、ヌクレオチドの3’位又はヌクレオチドの塩基に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、リン酸ジエステル結合を形成することにより前記siRNAにおけるヌクレオチドの2’位、3’位又は5’位に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖の3’末端ヌクレオチドの3’ヒドロキシ基を脱水素した酸素原子に結合され(このとき、A59におけるP原子は、siRNAに含まれるリン酸基のP原子と見なすこともできる)、或いは、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖における1つのヌクレオチドの2’-ヒドロキシ基中の水素を置換することによりヌクレオチドに結合され、或いは、式A59におけるP原子は、siRNAのセンス鎖の5’末端ヌクレオチドの5’ヒドロキシ基中の水素を置換することによりヌクレオチドに結合される。
【0235】
本開示の発明者は、本開示のsiRNA複合体が、血漿中安定性が顕著に向上し、オフターゲット効果が低減され、高いPKK mRNAサイレンシング活性をさらに示すことを、意外にも見出した。いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、表1a~1fに示されるsiRNAの1つであってもよい。これらのsiRNAを含むsiRNA複合体は、より高いPKK mRNAサイレンシング活性を示す。
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【表1f】
大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基配列を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1つのヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1つのヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字の左右2つのヌクレオチド間がチオリン酸エステル基により結合されていることを表し、P1は、当該P1の右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドであることを表す。いくつかの実施形態において、P1は、特定の修飾がVP、Ps又はPであることを表し、組合せ文字VPは、当該組合せ文字VPの右側に隣接する1つのヌクレオチドがビニルリン酸エステル(5’-(E)-vinylphosphonate、E-VP)修飾ヌクレオチドであることを表し、組合せ文字Psは、当該組合せ文字Psの右側に隣接する1つのヌクレオチドがチオリン酸エステル修飾ヌクレオチドであることを表し、大文字Pは、当該文字Pの右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチドであることを表す。
【0242】
本開示に記載されたsiRNA又はsiRNA複合体において、各隣接するヌクレオチド間がリン酸ジエステル結合又はチオリン酸ジエステル結合により結合され、リン酸ジエステル結合又はチオリン酸ジエステル結合における非架橋酸素原子又は硫黄原子は、負電荷を帯び、ヒドロキシ基又はスルフヒドリル基(Sulfhydryl group)として存在してもよく、ヒドロキシ基又はスルフヒドリル基における水素イオンは、一部又は全部がカチオンで置換されてもよい。前記カチオンは、任意のカチオン、例えば、金属カチオン、アンモニウムイオンNH4
+、有機アンモニウムカチオンの1つであってもよい。溶解性の向上を考慮し、1つの実施形態において、前記カチオンは、アルカリ金属イオン、第3級アミンにより形成されたアンモニウムカチオン及び4級アンモニウムカチオンから選択される1種又は複数種である。アルカリ金属イオンは、K+及び/又はNa+であってもよく、第3級アミンにより形成されたカチオンは、トリエチルアミンにより形成されたアンモニウムイオン、及び/又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンにより形成されたアンモニウムイオンであってもよい。したがって、本開示に記載されたsiRNA又はsiRNA複合体は、少なくとも一部が塩として存在してもよい。いくつかの実施形態において、リン酸ジエステル結合又はチオリン酸ジエステル結合における非架橋酸素原子又は硫黄原子は、少なくとも一部がナトリウムイオンに結合され、本開示に記載されたsiRNA又はsiRNA複合体は、ナトリウム塩又は部分ナトリウム塩として存在する。
【0243】
当業者であれば明らかに知っているように、対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを用いることにより修飾ヌクレオチド基を本開示に記載されたsiRNAに導入することができる。対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを調製する方法、及び修飾ヌクレオチド基をsiRNAに導入する方法も、当業者によく知られている。全ての修飾ヌクレオシドモノマーは、市販品を購入してもよく、既知の方法により調製されてもよい。
【0244】
<式(308)に示されるsiRNA複合体の調製>
任意の合理的な合成経路により式(308)に示されるsiRNA複合体を調製してもよい。
【0245】
いくつかの実施形態において、式(308)に示されるsiRNA複合体は、以下の方法により調製することができる。当該方法は、ホスホルアミダイト固相合成の条件で、それぞれsiRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖のヌクレオチド種類と順序により、3’から5’に向かってヌクレオシドモノマーを順に結合し、各ヌクレオシドモノマーの結合が脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を含み、siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖を単離し、アニールを行うことを含み、前記siRNAは、上記本開示のsiRNAである。
【0246】
また、当該方法は、カップリング反応条件及びカップリング試薬の存在下で、式(321)に示される化合物を、ヌクレオシドモノマー又は固相担体に結合されたヌクレオチド配列と接触させ、式(321)に示される化合物をカップリング反応させてヌクレオチド配列に結合することをさらに含む。以下に、式(321)に示される化合物は、複合分子とも呼ばれる。
【0247】
【化25】
式中、
R
4は、式(308)に示される化合物におけるNuに示されるsiRNAに結合可能な基である。いくつかの実施形態において、R
4は、共有結合によりNuに示されるsiRNAに結合可能な基である。いくつかの実施形態において、R
4は、反応を経てリン酸ジエステル結合によりNuに示されるsiRNAの任意の官能基に複合可能な基であり、
各S
1は、独立してM
1において全ての活性ヒドロキシ基がYCOO-基で置換された基であり、各Yは、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、ハロフェニル基及びアルキルフェニル基から独立して選択される1つであり、いくつかの実施形態において、Yはメチル基である。
【0248】
n1、n3、m1、m2、m3、R10、R11、R12、R13、R14、R15、L1、M1それぞれの定義と選択可能な範囲は、前述したとおりである。
【0249】
R4は、窒素含有骨格上のN原子との結合を実現し、式(308)に示されるsiRNA複合体の合成に適切な反応部位を提供するために選択される。いくつかの実施形態において、R4には、R2リンカー基又は保護されたR2リンカー基、及び反応させることによりsiRNAとA59に示される構造を形成することができる官能基が含まれる。
【0250】
いくつかの実施形態において、R4は、Nuに示されるsiRNA又はヌクレオシドモノマー上の基と亜リン酸エステルを形成することができる第1の官能基と、ヒドロキシ基又はアミノ基と反応させて共有結合を形成することができる第2の官能基又は前記共有結合により結合された固相担体とを含む。いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、ホスホルアミダイト、ヒドロキシ基又は保護されたヒドロキシ基である。いくつかの実施形態において、前記第2の官能基は、ホスホルアミダイト、カルボキシ基又はカルボン酸塩である。いくつかの実施形態において、前記第2の官能基は、共有結合を介して分子の他の部分に結合される固相担体であり、前記共有結合は、ヒドロキシ基又はアミノ基により形成されている。いくつかの実施形態において、前記固相担体は、リン酸エステル結合、カルボン酸エステル結合又はアミド結合を介して結合されている。いくつかの実施形態において、前記固相担体は樹脂である。
【0251】
いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、ヒドロキシ基、-ORk又は式(C3)に示される基を含み、前記第2の官能基は、式(C1)、(C2)、(C3)、(C1’)又は(C3’)に示される構造を含む。
【0252】
【化26】
式中、q
1は1~4の整数であり、XはO又はNHであり、M+はカチオンであり、R
kはヒドロキシ保護基であり、SPSは固相担体を表し、
は、基が共有結合部分に結合される部位を表す。
【0253】
いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、式(C3)に示されるように、ホスホルアミダイト基を含み、当該ホスホルアミダイト基は、ヌクレオチド上の任意位置のヒドロキシ基、例えば、2’位のヒドロキシ基又は3’位のヒドロキシ基とカップリング反応させて亜リン酸エステルを形成し、酸化又は硫化されて式A59に示されるリン酸ジエステル結合又はチオリン酸エステル結合を形成し、複合分子をsiRNAに複合することができる。この場合、前記第2の官能基が存在しなくても、式(321)に示される化合物は、ヌクレオチドに複合することができ、式(308)に示されるsiRNA複合体の取得に影響することはない。この場合に、ホスホルアミダイト固相合成等の方法によりsiRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を得た後、式(321)に示される化合物と、ヌクレオチド配列において末端ヌクレオチド上のヒドロキシ基を反応させ、後の酸化又は硫化過程においてリン酸ジエステル結合による結合又はチオリン酸エステル結合を形成し、式(321)に示される化合物をsiRNAに複合させる。
【0254】
いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、保護されたヒドロキシ基を含む。いくつかの実施形態において、前記第2の官能基は、固相担体と反応できる基を含み、前記反応により固相担体を含む複合分子を提供する。いくつかの実施形態において、前記第2の官能基は、式(C1)、(C2)又は(C3)に示されるように、カルボキシ基、カルボン酸塩又はホスホルアミダイトを含む。前記第2の官能基がカルボキシ基又はカルボン酸塩を含む場合、式(321)に示される化合物と固相担体、例えば、樹脂におけるヒドロキシ基又はアミノ基をエステル化反応又はアミド化反応させ、カルボン酸エステル結合により結合された、固相担体を含む複合分子を形成する。前記第2の官能基がホスホルアミダイト官能基を含む場合、式(321)に示される化合物と汎用の固相担体、例えば、樹脂におけるヒドロキシ基をカップリング反応させ、酸化されてリン酸ジエステル結合により結合された、固相担体を含む複合分子を形成する。その後、上記固相担体が結合された生成物を出発とし、ホスホルアミダイト固相合成方法に従いヌクレオシドモノマーを順に結合し、複合基が結合されたsiRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を得る。ホスホルアミダイト固相合成過程において、前記第1の官能基は、脱保護され、その後、カップリング反応条件下でヌクレオシドモノマーにおけるホスホルアミダイト基とカップリングさせる。
【0255】
いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、ヒドロキシ基又は保護されたヒドロキシ基を含み、前記第2の官能基は、式(C1’)又は(C3’)に示されるように、カルボン酸エステル結合により結合された固相担体又はアミド結合により結合された固相担体、又はリン酸エステル結合により結合された固相担体を含む。この場合、出発として固相担体の代わりに式(321)に示される化合物を用い、ホスホルアミダイト固相合成方法に従いヌクレオシドモノマーを順に結合し、複合基が結合されたsiRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を得る。
【0256】
いくつかの実施形態において、カルボン酸塩は、-COO-M+で表されてもよく、ここで、M+はカチオンであり、例えば、金属カチオン、アンモニウムカチオンNH4
+、有機アンモニウムカチオンから選択される1つである。1つの実施形態において、前記金属イオンは、アルカリ金属イオンから選択される1つであり、例えば、K+又はNa+である。溶解性を向上させ、反応をスムーズに行うことを考慮して、いくつかの実施形態において、有機アンモニウムイオンは、第3級アミンにより形成されたアンモニウムカチオン又は4級アンモニウムカチオン、例えば、トリエチルアミンにより形成されたアンモニウムイオン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンにより形成されたアンモニウムイオンである。いくつかの実施形態において、カルボン酸塩は、トリエチルアミンカルボン酸塩又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンカルボン酸塩である。
【0257】
いくつかの実施形態において、R4は、式(B9)、(B10)、(B9’)、(B10’)、(B11)、(B12)、(B11’)又は(B12’)に示される構造を含む。
【0258】
【化27】
式中、q
1は1~4の整数であり、q
2は1~10の整数であり、XはO又はNHであり、M
+はカチオンであり、R
kはヒドロキシ保護基であり、SPSは固相担体を表し、
は、基が共有結合部分に結合される部位を表す。いくつかの実施形態において、q
1は1又は2である。いくつかの実施形態において、q
2は1~5の整数である。いくつかの実施形態において、R
4は、式(B9)又は(B10)に示される構造を含む。いくつかの実施形態において、R
4は、式(B11)又は(B12)に示される構造を含む。
【0259】
いくつかの実施形態において、Rkは、Tr(トリチル基)、MMTr(4-メトキシトリチル基)、DMTr(4,4’-ビスメトキシトリチル基)、TMTr(4,4’,4’-トリメトキシトリチル基)の1又は複数である。いくつかの実施形態において、Rkは、DMTr、すなわち、4,4’-ビスメトキシトリチル(4,4’-dimethoxytrityl)であってもよい。
【0260】
L1の定義は、前述したとおりである。
【0261】
いくつかの実施形態において、L1は、M1標的基を窒素含有骨格上のN原子に結合し、式(308)に示されるsiRNA複合体に肝標的機能を提供するために用いられる。いくつかの実施形態において、L1は、A1~A26のいずれか1つ又はその組合せを含む。
【0262】
上記記載により、当業者であれば容易に理解できるように、本分野で公知のホスホルアミダイト固相合成方法と比較して、上記第1の官能基及び任意の第2の官能基により、複合分子がヌクレオチド配列の任意の可能な位置、例えば、ヌクレオチド配列の端部、ヌクレオチド配列の末端に結合された、式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることができる。これに応じて、特に説明がない限り、以下にsiRNA複合体及び/又は複合分子の調製に関する記載において、「脱保護」、「カップリング」、「キャッピング」、「酸化」、「硫化」等の反応に言及する場合、本分野で公知のホスホルアミダイト核酸の固相合成方法に係る反応条件と試薬もまた同様にこれらの反応に適用されると理解すべきである。例示的な反応条件と試薬は、以下に詳細に説明する。
【0263】
いくつかの実施形態において、各S1は、独立してM1である。いくつかの実施形態において、各S1は、独立してM1において少なくとも1つの活性ヒドロキシ基がヒドロキシ保護基で保護された基である。いくつかの実施形態において、各S1は、独立してM1に存在する活性ヒドロキシ基が全てヒドロキシ保護基で保護された基である。いくつかの実施形態において、当業者に既知のあらゆるヒドロキシ保護基を、M1における活性ヒドロキシ基を保護するために用いることができる。いくつかの実施形態において、保護されたヒドロキシ基は、式YCOO-で表されてもよく、各Yは、独立してC1-C10アルキル基及びC6-C10アリール基からなる群から選択され、前記C1-C10アルキル基及びC6-C10アリール基は、1又は複数の置換基で任意に置換され、前記置換基は、ハロゲン及びC1-C6アルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、各Yは、独立して、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、ハロフェニル基及びC1-C6アルキルフェニル基からなる群から選択される。
【0264】
いくつかの実施形態において、各S1は、それぞれ独立して式A46~A54からなる群から選択される。
【0265】
【0266】
いくつかの実施形態において、S1は式A49又はA50である。
【0267】
いくつかの実施形態において、各Yは、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、ハロフェニル基及びアルキルフェニル基から独立して選択される1つであり、いくつかの実施形態において、Yはメチル基である。
【0268】
前述したように、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法は、siRNAの他方の鎖を合成し(例えば、上記工程で、複合分子が結合されたsiRNAのセンス鎖を合成した場合、固相合成方法に従いsiRNAのアンチセンス鎖を合成することをさらに含み、その逆も同様である)、センス鎖及びアンチセンス鎖を単離し、かつ、アニールを行う工程をさらに含む。具体的には、単離工程において、ヌクレオチド配列及び/又は複合分子に結合される固相担体が切断されるとともに、必要な保護基が除去され(この場合、式(321)に示される化合物における各S1基が、対応するM1標的基に変換される)、複合分子が結合されたsiRNAのセンス鎖(又はアンチセンス鎖)及び対応するアンチセンス鎖(又はセンス鎖)が得られ、センス鎖とアンチセンス鎖をアニールして二本鎖RNA構造を形成し、式(308)に示されるsiRNA複合体を得る。
【0269】
いくつかの実施形態において、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法は、カップリング反応条件及びカップリング試薬の存在下で、式(321)に示される化合物をセンス鎖又はアンチセンス鎖の3’端の1番目のヌクレオシドモノマーと接触させ、式(321)に示される化合物を配列における1番目のヌクレオチドに結合させ、ホスホルアミダイト固相合成の条件で、所望のセンス鎖又はアンチセンス鎖のヌクレオチドの種類と順序により、3’から5’に向かってヌクレオシドモノマーを順に結合し、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を合成する工程であって、(321)に示される化合物は、R4に、保護されたヒドロキシ基を含む第1の官能基、及び式(C1’)又は(C3’)に示される構造を有する第2の官能基が含まれる、式(321)に示される化合物であり、1番目のヌクレオシドモノマーと結合する前に、式(321)に示される化合物を脱保護し、各ヌクレオシドモノマーの結合が脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を含み、複合基が結合された核酸のセンス鎖又はアンチセンス鎖を得る工程;ホスホルアミダイト固相合成の条件で、アンチセンス鎖又はセンス鎖のヌクレオチドの種類と順序により、3’から5’に向かってヌクレオシドモノマーを順に結合し、核酸のアンチセンス鎖又はセンス鎖を合成し、各ヌクレオシドモノマーの結合が脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を含み、保護基を除去して固相担体から切断し、単離精製してセンス鎖及びアンチセンス鎖を得、アニールを行う工程を含む。
【0270】
いくつかの実施形態において、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法は、当該二本鎖siRNAにおけるセンス鎖又はアンチセンス鎖のヌクレオチドの種類と順序により、3’から5’に向かってヌクレオシドモノマーを順に結合し、センス鎖及びアンチセンス鎖を合成し、各ヌクレオシドモノマーの結合が脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を含み、固相担体に結合されたセンス鎖、及び固相担体に結合されたアンチセンス鎖を得る工程;カップリング反応条件及びカップリング試薬の存在下で、式(321)に示される化合物を、固相担体に結合されたセンス鎖又は固相担体に結合されたアンチセンス鎖と接触させ、R4にホスホルアミダイト基である第1の官能基が含まれる式(321)に示される化合物をセンス鎖又はアンチセンス鎖に結合させ、保護基を除去して固相担体から切断し、それぞれ単離精製し、複合基が結合されたsiRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を得、アニールを行う工程を含む。
【0271】
いくつかの実施形態において、式A59におけるP原子は、siRNAにおけるセンス鎖の3’末端に結合され、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法は、
(1)式(321)に示される化合物(式(321)に示される化合物は、R4に、保護されたヒドロキシ基ORkを含む第1の官能基、及び式(C1’)又は(C3’)に示される構造を有する第2の官能基が含まれる化合物である)におけるヒドロキシ保護基Rkを除去し、カップリング反応条件及びカップリング試薬の存在下で、脱保護された生成物をヌクレオシドモノマーと接触させ、複合分子により固相担体に結合されるヌクレオシドモノマーを得ること、
(2)当該複合分子により固相担体に結合されるヌクレオシドモノマーを出発とし、3’-5’の方向に、ホスホルアミダイト固相合成方法によりsiRNAのセンス鎖を合成すること、
(3)ホスホルアミダイト固相合成方法により、siRNAのアンチセンス鎖を合成すること、
(4)siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖を単離してアニールし、式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることを含む。
【0272】
工程(1)において、上記式(321)に示される化合物における保護基Rkを除去する方法は、脱保護条件で、式(321)に示される化合物を脱保護試薬と接触させることを含む。脱保護条件は、温度が0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間が30~300秒、いくつかの実施形態では50~150秒であり、脱保護試薬は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸から選択される1種又は複数種であってもよく、いくつかの実施形態ではジクロロ酢酸である。脱保護試薬と式(321)に示される化合物とのモル比は10:1~1000:1であり、いくつかの実施形態では50:1~500:1である。
【0273】
前記カップリング反応条件とカップリング試薬は、上記カップリング反応に適した任意の条件と試薬を用いてもよい。いくつかの実施形態において、採用される固相合成方法におけるカップリング反応と同じ条件と試薬を用いてもよい。
【0274】
いくつかの実施形態において、前記カップリング反応の条件は、反応温度が0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃である。式(321)に示される化合物とヌクレオシドモノマーとのモル比は1:1~1:50であり、いくつかの実施形態では1:2~1:5である。式(321)に示される化合物とカップリング試薬とのモル比は1:1~1:50であってもよく、いくつかの実施形態では1:3~1:10であり、反応時間は200~3000秒、いくつかの実施形態では500~1500秒である。カップリング試薬は、1H-テトラゾール、5-エチルチオ1H-テトラゾール、5-ベンジルチオ1H-テトラゾールから選択される1種又は複数種であり、いくつかの実施形態では5-エチルチオ1H-テトラゾールである。前記カップリング反応は、有機溶剤で行われてもよく、前記有機溶剤は、無水アセトニトリル、無水DMF、無水ジクロロメタンから選択される1種又は複数種であり、いくつかの実施形態では無水アセトニトリルである。式(321)に示される化合物に対して、前記有機溶剤の用量は3~50L/mol、いくつかの実施形態では5~20L/molである。
【0275】
工程(2)において、ホスホルアミダイト核酸固相合成方法により、上記工程で調製された複合分子により固相担体に結合されるヌクレオシドモノマーを出発とし、3’-5’の方向に、第2のsiRNA複合体のセンス鎖SSを合成する。この場合、複合基は、得られたセンス鎖の3’末端に結合される。
【0276】
工程(2)及び(3)における前記固相合成の他の条件は、ヌクレオシドモノマーの脱保護条件、脱保護試薬の種類と用量、カップリング反応条件、カップリング試薬の種類と用量、キャッピング反応の条件、キャッピング試薬の種類と用量、酸化反応条件、酸化試薬の種類と用量、硫化反応条件、硫化試薬の種類と用量を含み、本分野で通常用いられる各種の試薬、用量及び条件を採用する。
【0277】
例えば、いくつかの実施形態において、工程(2)及び(3)において、前記固相合成では、以下の条件を用いてもよい。
【0278】
ヌクレオシドモノマーの脱保護条件は、温度が0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間が30~300秒、いくつかの実施形態では50~150秒であり、脱保護試薬は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸から選択される1種又は複数種であってもよく、いくつかの実施形態ではジクロロ酢酸である。脱保護試薬と固相担体における4,4’-ジメトキシトリチル保護基とのモル比は2:1~100:1であってもよく、いくつかの実施形態では3:1~50:1である。
【0279】
カップリング反応条件は、温度が0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、固相担体に結合される核酸配列とヌクレオシドモノマーとのモル比は1:1~1:50であってもよく、いくつかの実施形態では1:5~1:15であり、固相担体に結合される核酸配列とカップリング試薬とのモル比は1:1~1:100、いくつかの実施形態では1:50~1:80であり、反応時間とカップリング試薬の選択は、前記と同じである。
【0280】
キャッピング反応条件は、温度が0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間が5~500秒、いくつかの実施形態では10~100秒であり、キャッピング試薬の選択は、前記と同じである。キャッピング試薬の総量と固相担体に結合される核酸配列とのモル比は1:100~100:1、いくつかの実施形態では1:10~10:1である。キャッピング試薬として等モル量の酢酸無水物とN-メチルイミダゾールを用いる場合、酢酸無水物、N-メチルイミダゾール、固相担体に結合される核酸配列のモル比は、1:1:10~10:10:1であってもよく、いくつかの実施形態では1:1:2~2:2:1である。
【0281】
酸化反応条件は、温度が0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間が1~100秒、いくつかの実施形態では5~50秒であり、酸化試薬は、いくつかの実施形態ではヨウ素である(いくつかの実施形態ではヨウ素水として提供される)。酸化試薬と、カップリング工程において固相担体に結合される核酸配列とのモル比は、1:1~100:1であってもよく、いくつかの実施形態では5:1~50:1である。いくつかの実施形態では、前記酸化反応は、テトラヒドロフラン:水:ピリジン=3:1:1~1:1:3の混合溶剤で行われる。硫化反応条件は、温度が0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間が50~2000秒、いくつかの実施形態では100~1000秒であり、硫化試薬は、いくつかの実施形態ではキサンタンヒドリドである。硫化試薬と、カップリング工程において固相担体に結合される核酸配列とのモル比は10:1~1000:1であり、いくつかの実施形態では10:1~500:1である。いくつかの実施形態では、前記硫化反応は、アセトニトリル:ピリジン=1:3~3:1の混合溶剤で行われる。
【0282】
全てのヌクレオシドモノマーを結合した後、アニールする前に、当該方法は、siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖を単離することをさらに含む。単離方法は、当業者に公知であり、一般的に、合成されたヌクレオチド配列を固相担体から切断し、塩基上、リン酸基上及びリガンド上の保護基を除去し、精製し脱塩することを含む。
【0283】
合成されたヌクレオチド配列を固相担体から切断し、塩基上、リン酸基上及びリガンド上の保護基を除去するには、siRNA合成において通常の切断と脱保護方法により行われてもよい。例えば、得られた固相担体が結合されたヌクレオチド配列を濃アンモニア水と接触させ、脱保護過程において、A46~A54基の保護基YCOO-をヒドロキシ基に変換させ、S1基を対応するM1基に変換させ、式(308)に示されるsiRNA複合体を生成する。ここで、前記濃アンモニア水は、25~30重量%のアンモニア水であってもよく、濃アンモニア水の用量は、目的とするsiRNA配列に対して0.2ml/μmol~0.8ml/μmolであってもよい。
【0284】
合成されたヌクレオチド配列に少なくとも1つの2’-TBDMS保護がある場合、前記方法は、固相担体が除去されたヌクレオチド配列をトリエチルアミン三フッ化水素酸塩と接触させることにより、当該2’-TBDMS保護を除去することをさらに含む。この場合、得られた目的とするsiRNA配列における対応するヌクレオチドには、遊離の2’-ヒドロキシ基を有する。純粋なトリエチルアミン三フッ化水素酸塩の用量は、目的とするsiRNA配列に対して0.4ml/μmol~1.0ml/μmolであってもよい。このように式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることができる。
【0285】
精製及び脱塩する方法は、当業者によく知られている。例えば、分取用イオンクロマトグラフィー精製カラムを用いて、NaBr又はNaClの勾配溶出によって、核酸の精製を完了し、生成物を回収して合わせた後、逆相クロマトグラフィー精製カラムにより脱塩することができる。
【0286】
このように得られた式(308)に示されるsiRNA複合体において、ヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合又はチオリン酸ジエステル結合における非架橋酸素原子又は硫黄原子は、基本的にナトリウムイオンに結合されており、式(308)に示されるsiRNA複合体は、基本的にナトリウム塩として存在する。よく知られたイオン交換方法により、水素イオン及び/又は他のカチオンで前記ナトリウムイオンを置換し、他の形式の式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることができる。前記カチオンは、前述したとおりである。
【0287】
合成過程において、常に核酸配列の純度と分子量を検出し、合成品質をよりよく制御することができる。このような検出方法は、当業者に公知である。例えば、イオン交換クロマトグラフィーにより核酸純度を検出し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS)により分子量を測定することができる。
【0288】
アニール方法も、当業者によく知られているものである。例えば、簡単に合成されたセンス鎖(S鎖)とアンチセンス鎖(AS鎖)を等モル比で注射用水に混合して70~95℃に加熱し、その後室温で冷却し、水素結合により二本鎖構造を形成させることができる。このように式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることができる。
【0289】
前記siRNA複合体を得た後、いくつかの実施形態において、例えば、液体クロマトグラフィータンデム質量分析等の方法を用いて、分子量検出等により合成された式(308)に示されるsiRNA複合体の特徴を明らかにし、合成されたsiRNA複合体が、目的設計の式(308)に示されるsiRNA複合体であるとともに、合成されたsiRNAの配列が、所望のsiRNAの配列、例えば表1に示される配列の1つであると確認することもできる。
【0290】
式(321)に示される化合物は、有機溶剤において、エステル化反応条件下及び塩基とエステル化触媒の存在下で、式(313)に示される化合物を環状酸無水物と接触させ、イオン交換を行い、単離して式(321)に示される化合物を得ることを含む調製方法により得ることができる。
【0291】
【化29】
式中、n1、n3、m1、m2、m3、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、L
1、S
1それぞれの定義と選択可能な範囲は、前述したとおりであり、
R
6は、式(321)におけるR
4を提供する基である。いくつかの実施形態において、R
6は、式(A61)に示される構造を有する。
【0292】
【化30】
式中、R
iは、窒素含有骨格上のN原子との結合を実現できる、R
kOと結合して1つの遊離ヒドロキシ基が結合されている任意の基であり、R
kはヒドロキシ保護基である。この場合、R
4にヒドロキシ保護基としての第1の官能基と第2の官能基が含まれ、前記第2の官能基が式(C1)又は(C2)に示される構造を含む式(321)に示される化合物が得られる。
【0293】
前記エステル化反応条件は、反応温度が0~100℃、反応時間が8~48時間であり、いくつかの実施形態においては、前記エステル化反応条件は、反応温度が10~40℃、反応時間が20~30時間である。
【0294】
いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種を含む。いくつかの実施形態において、前記エポキシ類溶剤は、ジオキサン及び/又はテトラヒドロフランであり、前記エーテル類溶剤は、エチルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルであり、前記ハロゲン化アルキル類溶剤は、ジクロロメタン、トリクロロメタン及び1,2-ジクロロエタンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、ジクロロメタンである。前記式(313)に示される化合物に対して、前記有機溶剤の用量が3~50L/molであり、いくつかの実施形態において、5~20L/molである。
【0295】
いくつかの実施形態において、前記環状酸無水物は、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物又はピメリン酸無水物の1つであり、いくつかの実施形態において、コハク酸無水物である。前記環状酸無水物と前記式(313)に示される化合物とのモル比が1:1~10:1であり、いくつかの実施形態において、2:1~5:1である。
【0296】
前記エステル化触媒は、当該エステル化反応を触媒する任意の触媒であってもよく、例えば、当該触媒は、4-ジメチルアミノピリジンであってもよい。前記触媒と式(313)に示される化合物とのモル比が1:1~10:1であり、いくつかの実施形態において、2:1~5:1である。
【0297】
いくつかの実施形態において、前記塩基は、任意の無機塩基、有機塩基又はこれらの組合せであってもよい。溶解性及び生成物の安定性を考慮すると、前記塩基は、例えば、第3級アミンであってもよい。いくつかの実施形態において、前記第3級アミンは、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。前記第3級アミンと式(313)に示される化合物とのモル比は1:1~20:1であり、いくつかの実施形態において、3:1~10:1である。
【0298】
前記イオン交換作用は、式(321)に示される化合物を所望のカルボン酸又はカルボン酸塩の形式に変換することであり、イオン交換方法は、当業者に公知である。適切なイオン交換溶液と交換条件を用いて、M+カチオンを有する複合分子を得ることができるが、ここでは詳しい説明を省略する。いくつかの実施形態において、前記イオン交換反応は、トリエチルアミンリン酸塩溶液を用いて行われ、前記トリエチルアミンリン酸塩溶液の濃度は0.2~0.8Mであり、いくつかの実施形態においては、前記トリエチルアミンリン酸塩溶液の濃度は0.4~0.6Mであり、式(313)に示される化合物に対して、前記トリエチルアミンリン酸塩溶液の用量は3~6L/molであり、更なる実施形態においては4~5L/molである。
【0299】
任意の適切な単離方法によって、反応混合物から式(321)に示される化合物を単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を蒸発除去した後、クロマトグラフィー方法により式(321)に示される化合物を単離することができ、例えば、(1)順相精製シリカゲル:200~300メッシュのシリカゲル充填剤を、1wt‰トリエチルアミンを含むジクロロメタン:メタノール=100:18~100:20で勾配溶出すること、又は、(2)逆相精製:C18、C8逆相充填剤を、メタノール:アセトニトリル=0.1:1~1:0.1で勾配溶出することという2つのクロマトグラフィー条件で単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を直接除去して式(321)に示される化合物の粗製品を得ることができ、当該粗製品は、そのまま後の反応に用いることができる。
【0300】
いくつかの実施形態において、式(321)に示される化合物の調製方法は、縮合反応条件下で、有機溶剤において、縮合剤、縮合触媒と第3級アミンの存在下で、上記イオン交換反応により得られた生成物を、さらにアミノ基又はヒドロキシ基を含む固相担体と接触させることをさらに含む。この場合、R4に第1の官能基及び第2の官能基が含まれ、第1の官能基がヒドロキシ保護基を含み、第2の官能基が式(C1’)に示される構造を含む式(321)に示される化合物が得られる。
【0301】
前記固相担体は、siRNAの固相合成に用いられる担体の1つであり、そのうちのいくつかは、当業者に公知である。例えば、前記固相担体は、活性ヒドロキシ基又はアミノ官能基を含む固相担体から選択されてもよく、いくつかの実施形態において、前記固相担体は、アミノ樹脂又はヒドロキシ樹脂である。いくつかの実施形態において、前記アミノ樹脂又はヒドロキシ樹脂は、粒子径100~400メッシュ(mesh)、表面におけるアミノ基又はヒドロキシ基の担持量0.2~0.5mmol/gというパラメーターを有する。前記式(321)に示される化合物と固相担体との用量比は10~400μmol化合物/グラムの固相担体(μmol/g)である。いくつかの実施形態において、前記式(321)に示される化合物と固相担体との用量比は50~200μmol/gである。
【0302】
前記有機溶剤は、当業者に既知の任意の適切な溶剤又は混合溶剤であってもよい。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリル、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記エポキシ類溶剤は、ジオキサン及び/又はテトラヒドロフランであり、前記エーテル類溶剤は、エチルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルであり、前記ハロゲン化アルキル類溶剤は、ジクロロメタン、トリクロロメタン及び1,2-ジクロロエタンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリルである。式(321)に示される化合物に対して、前記有機溶剤の用量は20~200L/molであり、いくつかの実施形態において、50~100L/molである。
【0303】
いくつかの実施形態において、前記縮合剤は、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステル(benzotriazol-1-yl-oxytripyrrolidino phosphonium hexafluorophosphate、PyBop)、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オン(3-(Diethoxyphosphoryloxy)-1,2,3-benzotriazin-4(3H)-one、DEPBT)及び/又はO-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステル(O-benzotriazol-1-yl-tetramethyluronium hexafluorophosphate)であってもよく、いくつかの実施形態において、前記縮合剤は、O-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステルである。前記縮合剤と式(321)に示される化合物とのモル比は1:1~20:1であり、他の実施形態において1:1~5:1である。
【0304】
いくつかの実施形態において、前記第3級アミンは、トリエチルアミン及び/又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、いくつかの実施形態において、N,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、前記第3級アミンと式(321)に示される化合物とのモル比は1:1~20:1であり、いくつかの実施形態において、1:1~5:1である。
【0305】
いくつかの実施形態において、式(321)に示される化合物の調製方法は、キャッピング反応条件下で、有機溶剤において、得られた縮合生成物をキャッピング試薬及びアシル化触媒と接触させ、単離して式(321)に示される化合物を得ることをさらに含んでもよい。前記キャッピング反応の作用は、後の反応において不必要な副生成物が生じることを避けるために、まだ完全に反応していないあらゆる活性反応官能基を除去することである。前記キャッピング反応の条件は、反応温度が0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間が1~10h、いくつかの実施形態では3~6hである。キャッピング試薬としては、当業者に公知の、siRNA固相合成に用いられるキャッピング試薬を用いてもよい。
【0306】
いくつかの実施形態において、前記キャッピング試薬は、キャッピング試薬1(cap1)及びキャッピング試薬2(cap2)からなり、キャッピング試薬1は、N-メチルイミダゾールであり、いくつかの実施形態において、N-メチルイミダゾールのピリジン/アセトニトリル混合溶液として提供され、ピリジンとアセトニトリルとの体積比は1:10~1:1であり、いくつかの実施形態において、1:3~1:1であり、ピリジンとアセトニトリルの総体積とN-メチルイミダゾールとの体積は1:1~10:1であり、いくつかの実施形態において、3:1~7:1である。前記キャッピング試薬2は、酢酸無水物である。いくつかの実施形態において、前記キャッピング試薬2は、酢酸無水物のアセトニトリル溶液として提供され、酢酸無水物とアセトニトリルとの体積が1:1~1:10であり、更なる実施形態において1:2~1:6である。
【0307】
いくつかの実施形態において、前記N-メチルイミダゾールのピリジン/アセトニトリル混合溶液の体積と式(321)に示される化合物の質量との比は5ml/g~50ml/gであり、いくつかの実施形態では15ml/g~30ml/gである。前記酢酸無水物のアセトニトリル溶液の体積と式(321)に示される化合物の質量との比は0.5ml/g~10ml/gであり、いくつかの実施形態では1ml/g~5ml/gである。
【0308】
いくつかの実施形態において、キャッピング試薬としては、等モル量の酢酸無水物とN-メチルイミダゾールを用いる。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリル、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリルである。式(321)に示される化合物に対して、前記有機溶剤の用量は10~50L/mol、いくつかの実施形態では5~30L/molである。
【0309】
いくつかの実施形態において、前記アシル化触媒は、エステル化縮合又はアミド化縮合に使用できる任意の触媒、例えばアルカリ複素環化合物から選択されてもよい。いくつかの実施形態において、前記アシル化触媒は、4-ジメチルアミノピリジンである。前記触媒と式(321)に示される化合物との質量比は0.001:1~1:1であり、いくつかの実施形態では0.01:1~0.1:1である。
【0310】
いくつかの実施形態において、任意の適切な単離方法により反応混合物から式(321)に示される化合物を単離することができる。いくつかの実施形態において、有機溶剤で十分に洗浄し、濾過し、未反応の反応物、過剰なキャッピング試薬及び他の不純物を除去することにより、式(321)に示される化合物を得ることができる。前記有機溶剤は、アセトニトリル、ジクロロメタン、メタノールから選択され、いくつかの実施形態において、アセトニトリルである。
【0311】
いくつかの実施形態において、式(321)に示される複合分子の調製方法は、有機溶剤において、カップリング反応条件下及びカップリング試薬の存在下で、式(313)に示される化合物をホスホルジアミダイトと接触させ、単離して式(321)に示される化合物を得ることを含む。この場合、R4に第1の官能基及び第2の官能基が含まれ、第1の官能基がヒドロキシ保護基を含み、第2の官能が式(C3)に示される構造を含む式(321)に示される化合物が得られる。
【0312】
いくつかの実施形態において、カップリング反応条件は、温度が0~50℃であってもよく、例えば15~35℃である。式(313)に示される化合物とホスホルジアミダイトとのモル比は1:1~1:50であってもよく、例えば1:5~1:15であり、式(313)に示される化合物とカップリング試薬とのモル比は1:1~1:100であってもよく、例えば1:50~1:80である。反応時間は200~3000秒であってもよく、例えば500~1500秒である。前記ホスホルジアミダイトは、例えばビス(ジイソプロピルアミノ)(2-シアノエトキシ)ホスフィンを用いてもよく、市販品を購入してもよく、又は本分野で公知の方法により合成されてもよい。カップリング試薬は、1H-テトラゾール、5-エチルチオ1H-テトラゾール、5-ベンジルチオ1H-テトラゾールから選択される1種又は複数種であり、例えば、5-エチルチオ1H-テトラゾールである。前記カップリング反応は、有機溶剤で行われてもよく、前記有機溶剤は、無水アセトニトリル、無水DMF、無水ジクロロメタンから選択される1種又は複数種であり、例えば無水アセトニトリルである。いくつかの実施形態において、式(313)に示される化合物に対して、前記有機溶剤の用量が3~50L/molであり、例えば、5~20L/molであってもよい。当該カップリング反応を行うことにより、式(313)に示される化合物におけるヒドロキシ基とホスホルジアミダイトを反応させてホスホルアミダイト基を形成する。いくつかの実施形態において、溶剤を直接除去して式(321)に示される化合物の粗製品を得ることができ、当該粗製品は、そのまま後の反応に用いることができる。
【0313】
いくつかの実施形態において、式(321)に示される化合物の調製方法は、カップリング反応条件下で、有機溶剤において、カップリング試薬の存在下で、単離して得られた生成物を、さらにヒドロキシ基含有固相担体と接触させる工程をさらに含む。その後、キャッピング反応、酸化反応を行い、単離して式(321)に示される化合物を得る。この場合、R4に第1の官能基及び第2の官能基が含まれ、第1の官能基がヒドロキシ保護基を含み、第2の官能が式(C3)に示される構造を有する式(321)に示される化合物が得られる。
【0314】
いくつかの実施形態において、前記固相担体は、本分野で公知の核酸固相合成に使用できる固相担体であり、例えば、脱保護反応された市販の汎用の固相担体(NittoPhase(登録商標)HL UnyLinkerTM 300 Oligonucleotide Synthesis Support,Kinovate Life Sciences社、構造が式B80に示される)であってもよい。
【0315】
【0316】
脱保護反応は、当業者に公知である。いくつかの実施形態において、脱保護条件は、温度が0~50℃、例えば15~35℃であり、反応時間が30~300秒、例えば50~150秒である。脱保護試薬は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸から選択される1種又は複数種であってもよく、いくつかの実施形態において、脱保護試薬は、ジクロロ酢酸である。脱保護試薬と固定相における-DMTr(4,4’-ジメトキシトリチル)保護基とのモル比が2:1~100:1であり、例えば3:1~50:1である。前記脱保護を行うことにより、前記固相担体の表面に反応活性を有する遊離ヒドロキシ基が得られ、後続のカップリング反応を行いやすくする。
【0317】
カップリング反応条件及びカップリング試薬の選択は、以上のとおりである。当該カップリング反応を行うことにより、脱保護反応で形成された遊離ヒドロキシ基とホスホルアミダイト基を反応させて亜リン酸エステル結合を形成する。
【0318】
いくつかの実施形態において、キャッピング反応条件は、温度が0~50℃、例えば15~35℃であり、反応時間が5~500秒、例えば10~100秒であり、前記キャッピング反応をキャッピング試薬の存在下で行う。キャッピング試薬の選択と用量は、以上のとおりである。
【0319】
酸化反応条件は、温度が0~50℃、例えば15~35℃であってもよく、反応時間が1~100秒、例えば5~50秒であってもよく、酸化試薬は、例えばヨウ素であってもよい(いくつかの実施形態ではヨウ素水として提供する)。いくつかの実施形態では、酸化試薬と固相担体に結合される核酸配列とのモル比は1:1~100:1であり、例えば、5:1~50:1であってもよい。いくつかの実施形態では、前記酸化反応は、テトラヒドロフラン:水:ピリジン=3:1:1~1:1:3の混合溶剤で行われる。
【0320】
いくつかの実施形態において、R6は、式B7又はB8の基の1つである。
【0321】
【化32】
式中、q
2の定義は、前述したとおりである。
【0322】
この場合、式(313)に示される化合物は、有機溶剤において、アミド化反応条件下及びアミド化反応縮合剤と第3級アミンの存在下で、式(314)に示される化合物を式(A-1)に示される化合物又は式(A-2)に示される化合物と接触させ、その後単離する、という調製方法により得ることができる。
【0323】
【化33】
式中、n1、n3、m1、m2、m3、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、L
1、S
1、q
2及びR
kそれぞれの定義と選択可能な範囲は、前述したとおりである。
【0324】
前記アミド化反応条件は、反応温度が0~100℃、反応時間が1~48時間であってもよく、いくつかの実施形態では、前記アミド化反応条件は、反応温度が10~40℃、反応時間が2~16時間である。
【0325】
いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アルコール類溶剤、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種である。前記アルコール類溶剤は、いくつかの実施形態において、メタノール、エタノール、プロパノールの1種又は複数種であり、いくつかの実施形態において、エタノールである。前記エポキシ類溶剤は、いくつかの実施形態において、ジオキサン及び/又はテトラヒドロフランである。前記エーテル類溶剤は、いくつかの実施形態において、エチルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルである。前記ハロゲン化アルキル類溶剤は、いくつかの実施形態において、ジクロロメタン、トリクロロメタン及び1,2-ジクロロエタンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、ジクロロメタンである。式(314)に示される化合物に対して、有機溶剤の用量が3~50L/molであり、更なる実施形態において3~20L/molである。
【0326】
いくつかの実施形態において、前記アミド化反応縮合剤は、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステル、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オン、4-(4,6-ジメトキシトリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリン塩酸塩(4-(4,6-dimethoxytriazin-2-yl)-4-methylmorpholine hydrochloride)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)又はO-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステルであり、更なる実施形態において、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オンである。前記アミド化反応縮合剤と式(314)に示される化合物とのモル比が1:1~10:1であってもよく、いくつかの実施形態において、2.5:1~5:1である。
【0327】
いくつかの実施形態において、前記第3級アミンは、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、更なる実施形態において、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。前記第3級アミン基と式(314)に示される化合物とのモル比が3:1~20:1であり、いくつかの実施形態において、5:1~10:1である。
【0328】
いくつかの実施形態において、式(A-1)及び式(A-2)に示される化合物は、任意の適当な方法により調製されてもよい。例えば、RkがDMTr基である場合、グリセリン酸カルシウムとDMTrClを反応させて式(A-1)に示される化合物を調製することができる。同様に、3-アミノ-1,2-プロパンジオールと環状酸無水物を接触させた後、DMTrClと反応させて式(A-2)に示される化合物を調製することができ、前記環状酸無水物は、炭素原子数4~13、いくつかの実施形態において4~8の環状酸無水物であってもよい。当業者であれば容易に理解できるように、前記環状酸無水物の選択は、(A-2)に示される化合物におけるq2の異なる値に対応しており、例えば、前記環状酸無水物がコハク酸無水物である場合、q2=1であり、前記環状酸無水物がグルタル酸無水物である場合、q2=2であり、類推してもよい。
【0329】
いくつかの変形において、式(314)に示される化合物を、前記環状酸無水物、3-アミノ-1,2-プロパンジオール及びDMTrClと順に反応させることにより、式(313)に示される化合物を調製することもできる。当業者であれば理解されるように、これらの変形は式(313)に示される化合物の構造及び機能に影響を与えず、かつこれらの変形は当業者が上記方法に基づいて実現しやすいことである。
【0330】
上記と同様に、任意の適切な単離方法により反応混合物から式(313)に示される化合物を単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を蒸発除去した後、クロマトグラフィー方法により式(313)に示される化合物を単離することができ、例えば、(1)順相精製シリカゲル:200~300メッシュのシリカゲル充填剤を、石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:N,N-ジメチルホルムアミド=1:1:1:0.5~1:1:1:0.6で勾配溶出すること、及び、(2)逆相精製:C18、C8逆相充填剤を、メタノール:アセトニトリル=0.1:1~1:0.1で勾配溶出することという2つのクロマトグラフィー条件で単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を直接除去して式(313)に示される化合物の粗製品を得ることができ、当該粗製品は、そのまま後の反応に用いることができる。
【0331】
いくつかの実施形態において、式(314)に示される化合物は、有機溶剤において、アミド化反応縮合剤と第3級アミンの存在下で、縮合反応条件下で、式(320)に示される化合物を式(316)に示される化合物と接触させた後、単離することを含む調製方法により得ることができる。
【0332】
【化34】
式中、n1、n3、m1、m2、m3、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15それぞれの定義と選択可能な範囲は、前述したとおりである。
【0333】
式(316)に示される化合物としては、例えば、J. Am. Chem. Soc. 2014,136,16958-16961に開示された化合物を用いてもよく、或いは、式(316)に示される化合物は、当業者が各種の方法により調製することができ、例えば、米国特許US 8,106,022 B2の実施例1に開示された方法を参照していくつかの式(316)に示される化合物を調製することができ、引用により上記文献の全ての内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0334】
いくつかの実施形態において、前記縮合反応条件は、反応温度が0~100℃、反応時間が0.1~24時間であり、いくつかの実施形態では、反応温度が10~40℃、反応時間が0.5~16時間である。
【0335】
所望の生成物である式(314)に示される化合物の構造を考慮すると、前記式(316)に示される化合物と前記式(320)に示される化合物とのモル比は、式(320)におけるn1とn3の和に基づいて決定されるべきである。いくつかの実施形態において、例えば、n1+n3=3の場合、反応が完全であり、過剰ではないことを確保するために、式(316)に示される化合物と式(320)に示される化合物とのモル比が3:1~3.5:1であってもよく、いくつかの実施形態において、3.01:1~3.15:1である。
【0336】
いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリル、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種であり、前記エポキシ類溶剤は、いくつかの実施形態において、ジオキサン及び/又はテトラヒドロフランであり、前記エーテル類溶剤は、いくつかの実施形態において、エチルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルであり、前記ハロゲン化アルキル類溶剤は、いくつかの実施形態において、ジクロロメタン、トリクロロメタン及び1,2-ジクロロエタンの1種又は複数種であり、いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、ジクロロメタンである。式(320)に示される化合物に対して、前記有機溶剤の用量は3~50L/mol、いくつかの実施形態では5~20L/molである。
【0337】
いくつかの実施形態において、前記アミド化反応縮合剤は、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステル、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オン(DEPBT)、O-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステル、4-(4,6-ジメトキシトリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリン塩酸塩又は1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの1種又は複数種であり、更なる実施形態において、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステルと1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの混合物であり、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステルと1-ヒドロキシベンゾトリアゾールが等モル量で使用される。前記全アミド化反応縮合剤と式(316)に示される化合物とのモル比は1:1~3:1であってもよく、いくつかの実施形態において、1.05:1~1.5:1である。
【0338】
前記第3級アミンは、N-メチルモルホリン、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであってもよく、いくつかの実施形態において、N-メチルモルホリンであり、前記第3級アミンと式(316)に示される化合物とのモル比は2:1~10:1であってもよく、いくつかの実施形態において、2:1~5:1である。
【0339】
上記と同様に、任意の適切な単離方法により反応混合物から式(314)に示される化合物を単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を蒸発除去した後、クロマトグラフィー方法により式(314)に示される化合物を単離することができ、例えば、(1)順相精製シリカゲル:200~300メッシュのシリカゲル充填剤を、ジクロロメタン:メタノール=100:5~100:7で勾配溶出すること、及び、(2)逆相精製:C18、C8逆相充填剤を、メタノール:アセトニトリル=0.1:1~1:0.1で勾配溶出することという2つのクロマトグラフィー条件で単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を直接除去して式(314)に示される化合物の粗製品を得ることができ、当該粗製品は、そのまま後の反応に用いることができる。
【0340】
式(320)に示される化合物は、市販品を購入するか、又は当業者により既知の方法を用いて得ることができる。例えば、m1=m2=m3=3、n1=1、n3=2であり、R10、R11、R12、R13、R14、R15がいずれもHである場合、式(320)に示される化合物は、アルファ・エイサー社から市販品を購入することができる。
【0341】
本開示のsiRNA複合体は、薬学的に許容できる他の添加剤と併用してもよく、当該添加剤は、本分野で通常採用される各種の製剤又は化合物の1種又は複数種であってもよく、詳細は、上述した本開示の薬物組成物に関する記載を参照のこと。
【0342】
<本開示のsiRNA、薬物組成物及びsiRNA複合体の使用>
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の、PKK関連疾患の治療及び/又は予防のための薬物の調製における使用を提供する。
【0343】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含むPKK関連疾患の予防及び/又は治療方法を提供する。
【0344】
本開示のsiRNA活性成分を、それを必要とする被験体に投与することにより、RNA干渉のメカニズムによってPKK関連疾患を予防及び/又は治療する目的を達成することができる。したがって、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体は、PKK関連疾患の予防又は治療に用いられ、又はPKK関連疾患の予防及び/又は治療のための薬物の調製に用いることができる。
【0345】
いくつかの実施形態において、前記PKK関連疾患は、炎症性疾患又は血栓塞栓性疾患である。いくつかの実施形態において、前記炎症性疾患は、慢性炎症性疾患又は急性炎症性疾患であってもよい。いくつかの実施形態において、前記炎症性疾患は、遺伝性血管性浮腫(HAE)、浮腫、血管性浮腫、腫脹、眼瞼の血管性浮腫、眼球浮腫、黄斑浮腫又は脳浮腫を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記血栓塞栓性疾患は、血栓症、血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中又は脳梗塞を含むが、これらに限定されない。
【0346】
前記疾患は、共通の1つ以上のリスク因子、原因又は結果を有する可能性がある。
【0347】
炎症性疾患の発症のある特定のリスク因子及び原因は、炎症性疾患に対する遺伝的素因及び環境因子を含む。いくつかの実施形態において、被験体は、変異補体1エステラーゼ阻害剤(C1-INH)遺伝子又は変異因子12(FXII)遺伝子を有する。いくつかの実施形態において、被験体は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、又はアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)を摂取したことがあるか、摂取している。いくつかの実施形態において、被験体は、血管性浮腫を引き起こすアレルギー反応があった。いくつかの実施形態において、被験体は、I型HAEを有する。いくつかの実施形態において、被験体は、II型HAEを有する。いくつかの実施形態において、被験体は、III型HAEを有する。炎症性疾患の発症に関連するある特定の転帰として、四肢(すなわち、手、足、腕、脚)、腸(腹部)、顔、性器、喉頭(すなわち、発声器)を含む様々な身体部分の浮腫/腫脹、血管透過性、血管漏出、一般的な炎症、腹痛、膨満感、嘔吐、下痢、皮膚のかゆみ、呼吸器(喘息)反応、鼻炎、アナフィラキシー、気管支収縮、低血圧、昏睡、及び死が挙げられる。
【0348】
血栓塞栓性疾患の発症のある特定のリスク因子及び原因として、血栓塞栓性疾患に対する遺伝的素因、外科手術(特に整形外科)、悪性腫瘍、妊娠、高齢、経口避妊薬の使用、心房細動、以前の血栓塞栓性病態、慢性炎症性疾患、及び遺伝性又は後天性の血栓性凝固障害が挙げられる。血栓塞栓症の病態の発症に関連するある特定の転帰として、病変血管の血流の減少、組織の死、及び死亡が挙げられる。
【0349】
本明細書で用いられる用語「薬剤投与/投与」とは、本開示のsiRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体を少なくとも一部、所望の部位に局在化して所望の効果を生じさせる方法又は経路により、本開示のsiRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体を被験体の体内に入れることを指す。本開示の方法に適した投与経路は、局所投与と全身投与を含む。一般的には、局所投与により、被験体の体循環よりも多くのsiRNA複合体が特定の部位に送達されるが、全身投与により、本開示のsiRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体が被験体の基本体循環に送達される。本開示が炎症性疾患及び/又は血栓塞栓性疾患の予防及び/又は治療手段を提供することを意図することを考慮すると、いくつかの実施形態において、薬物を肝臓に送達することができる投与方法を採用する。
【0350】
本分野で既知の任意の適切な経路で被験体に投与することができ、前記経路としては、経口投与又は胃腸外経路、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、気管内投与(エアロゾル)、肺部投与、鼻部投与、直腸投与及び局所投与(口腔内投与と舌下投与を含む)を含むが、これらのみに限定されない。投与頻度は、1日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、四半期、半年又は1年に1回又は複数回であってもよい。
【0351】
本開示に記載されたsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体の用量は、本分野における通常の用量であってもよく、前記用量は、各種のパラメーター、特に被験体の年齢、体重及び性別により決定してもよい。細胞培養又は実験動物で標準薬学的手順により毒性と治療効果を測定し、例えば、LD50(50%の群体を死亡させる致死用量)及びED50(定量的反応において、50%の最大反応強度を引き起こすことができる用量を指し、定性的反応において、50%の実験対象に陽性反応が発生する場合の用量を指す)を測定してもよい。細胞培養分析及び動物研究により得られたデータに基づいて、ヒト用量の範囲を得ることができる。
【0352】
本開示に記載されたsiRNA、薬物組成物、及び/又はsiRNA複合体を投与する場合、例えば、雄性又は雌性、6~12週齢、体重18~25gのC57BL/6J又は30~45gのob/obマウスに対して、siRNAの量として、(i)siRNA複合体について、そのsiRNA用量は0.001~100mg/kg体重であってもよく、いくつかの実施形態では0.01~50mg/kg体重であり、いくつかの実施形態では0.05~20mg/kg体重であり、いくつかの別の実施形態では0.1~15mg/kg体重であり、さらにいくつかの実施形態では0.1~10mg/kg体重であり、(ii)siRNA及び薬学的に許容可能な担体により形成された薬物組成物に対して、そのsiRNA用量は0.001~50mg/kg体重であってもよく、いくつかの実施形態では0.01~10mg/kg体重であり、いくつかの実施形態では0.05~5mg/kg体重であり、いくつかの実施形態では0.1~3mg/kg体重である。
【0353】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の有効量をPKK高発現細胞と接触させ、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体を前記細胞に導入し、RNA干渉のメカニズムによって細胞におけるPKK遺伝子の発現を抑制する目的を達成することを含む、PKK遺伝子の発現の抑制方法を提供する。前記細胞は、SMMC-7721、HepG2、Huh7等の肝がん細胞系又は単離した初代肝細胞から選択されてもよく、IMR-32ヒト神経芽細胞腫細胞から選択されてもよい。いくつかの実施形態において、前記細胞は、PKK mRNA又はその配列断片を発現するプラスミドをトランスフェクションした細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、PKK mRNA又はその配列断片を発現するプラスミドをトランスフェクションしたHEK293A細胞である。
【0354】
本開示により提供される方法により細胞におけるPKK遺伝子の発現を抑制する。提供される修飾siRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体におけるsiRNA用量は、一般的に、標的mRNAの発現を低減でき、標的細胞表面では1pM~1μM、0.01nM~100nM、0.05nM~50nM、又は0.05nM~約5nMの細胞外濃度となる量である。当該局所濃度を達成するのに必要な量は、送達方法、送達部位、送達部位と標的細胞又は組織との間の細胞層の数、送達するのが局所か全身か等を含む、各種の因子により変化する。送達部位における濃度は、標的細胞又は組織の表面における濃度よりも顕著に高くてもよい。
【0355】
<キット>
本開示は、本開示の修飾siRNA、薬物組成物及びsiRNA複合体の少なくとも1種の有効量を含むキットを提供する。
【0356】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、容器で修飾siRNAを提供することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、薬学的に許容できる賦形剤を提供する容器を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記キットには、他の成分、例えば、安定化剤又は防腐剤等が含まれてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、本明細書に記載された修飾siRNAを提供する容器とは別の容器で少なくとも1種の他の治療剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記キットは、修飾siRNAと薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤又は他の成分(存在する場合)を混合するための説明書を含んでもよい。
【0357】
本開示のキットにおいて、前記修飾siRNA及び薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤、並びに、前記修飾siRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体、及び/又は薬学的に許容できる添加剤は、任意の形式、例えば、液体形式、乾燥形式又は凍結乾燥形式として提供されてもよい。いくつかの実施形態において、前記修飾siRNA及び薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤、並びに、前記薬物組成物、及び/又はsiRNA複合体及び薬学的に許容できる任意の添加剤は、基本的にクリーン及び/又は無菌である。いくつかの実施形態において、本開示のキットで無菌水を提供することができる。
【0358】
以下に実施例により本開示をさらに説明するが、本開示は、これによって何ら制限されない。
【実施例】
【0359】
特に説明がない限り、以下の実施例で用いられる試薬、培地は、いずれも市販品であり、用いられる核酸電気泳動、real-time PCR、プラスミド構築等の操作は、いずれもMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))に記載された方法を参照して行われる。
【0360】
本開示により合成されたPKK遺伝子に対するsiRNA、siRNA複合体又は陰性対照であるsiRNA、siRNA複合体で細胞をトランスフェクションした場合、トランスフェクション試薬としてLipofectamineTM2000(Invitrogen)を用い、具体的な操作については、メーカーにより提供される説明書を参照のこと。
【0361】
別に説明がない限り、以下で提供される試薬割合は、いずれも体積比(v/v)として計算される。
【0362】
特に断らない限り、以下の体内/体外効果実験データは、いずれも
【数1】
で表され、データ分析では、Graphpad prism5.0統計分析ソフトウェアを採用した。
【0363】
(調製例1)
<siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPの調製>
本調製例は、siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPを合成した。当該siRNA複合体に複合されたsiRNAは、表3における、siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPに対応するセンス鎖及びアンチセンス鎖の配列を有する。
【0364】
(1-1)L-10化合物の合成
以下の方法に従い、L-10化合物を合成した。
【0365】
【0366】
(1-1-1)複合末端セグメントGAL-5の合成
【化36】
【0367】
(1-1-1a)GAL-2の合成
100.0gのGAL-1(N-アセチル-D-ガラクトサミン塩酸塩、CAS番号:1772-03-8、寧波弘翔生化公司から購入、463.8mmol)を1000mlの無水ピリジンに溶解させ、氷水浴下で540mlの酢酸無水物(Enox社から購入、5565.6mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌反応した。反応液を10Lの氷水に注入し、減圧吸引濾過し、ケーキを2Lの氷水で洗浄した後、完全に溶解するまでアセトニトリル/トルエン混合溶剤(アセトニトリル:トルエンの体積比=1:1)を加え、溶剤を蒸発乾固し、130.0gの白色固形製品GAL-2を得た。
【0368】
(1-1-1b)GAL-3の合成
工程(1-1-1a)で得られたGAL-2(35.1g、90.0mmol)を213mlの無水1,2-ジクロロエタンに溶解させ、氷水浴及び窒素保護条件で、24.0gのTMSOTf(CAS番号:27607-77-8、マックリン社から購入、108.0mmol)を加え、室温で一晩反応させた。
【0369】
反応液に400mlのジクロロメタンを加えて希釈し、珪藻土で濾過し、1Lの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、均一に攪拌し、有機相を分離し、水相をジクロロエタンにより1回あたり300mlで2回抽出し、有機相をあわせ、それぞれ300mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び300mlの飽和食塩水で洗浄し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧蒸発乾固し、26.9gの淡黄色の粘稠な水飴状製品GAL-3を得た。
【0370】
(1-1-1c)GAL-4の合成
工程(1-1-1b)で得られたGAL-3(26.9g、81.7mmol)を136mlの無水1,2-ジクロロエタンに溶解させ、乾燥した4Å分子篩粉30gを加え、9.0gの5-ヘキセン-1-オール(CAS番号:821-41-0、Adamas-beta社から購入、89.9mmol)を加え、室温で30分間攪拌し、氷浴下で窒素保護下で9.08gのTMSOTf(40.9mmol)を加え、室温で一晩攪拌反応させた。4Å分子篩粉を濾過除去し、濾液に300mlのジクロロメタンを加えて希釈し、珪藻土で濾過し、500mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて10分間攪拌し洗浄し、有機相を分離し、水相を300mlのジクロロエタンで1回抽出し、有機相をあわせ、それぞれ300mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び300mlの飽和食塩水で洗浄し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧蒸発乾固し、41.3gの黄色水飴状製品GAL-4を得、精製することなく、そのまま次の酸化反応を行った。
【0371】
(1-1-1d)GAL-5の合成
工程(1-1-1c)に記載された方法により得られたGAL-4(14.9g、34.7mmol)を77mlのジクロロメタンと77mlのアセトニトリルの混合溶剤に溶解させ、それぞれ103mlの脱イオン水及び29.7gの過ヨウ素酸ナトリウム(CAS番号:7790-28-5、Aladdin社から購入、138.8mmol)を加え、氷水浴下で10分間攪拌し、塩化ルテニウム(III)(CAS番号:14898-67-0、Energy社から購入、238mg、1.145mmol)を加え、室温で一晩反応させた。反応液に300mlの水を加えて希釈攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウムを加えてpHを約7.5に調整し、有機相を分離して捨て、水相をジクロロメタンで、1回あたり200mlで3回抽出し、有機相を捨てた。固形クエン酸で水相のpHを約3に調節し、ジクロロメタンで、1回あたり200mlで3回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧蒸発乾固し、6.85gの白色泡状固形製品GAL-5を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.01 (br, 1H), 7.83 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 4.96 (dd, J = 11.2, 3.2 Hz, 1H), 4.49 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.07 - 3.95 (m, 3H), 3.92 - 3.85 (m, 1H), 3.74 - 3.67 (m, 1H), 3.48 - 3.39 (m, 1H), 2.20 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.11 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.90 (s, 3H), 1.77 (s, 3H), 1.55 - 1.45 (m, 4H)。
【0372】
(1-1-2)L-8の合成
【0373】
【化37】
J-0(9.886g、52.5mmol、アルファ・エイサー社から購入)と工程(1-1-1)で得られたGAL-5(72.819g、162.75mmol、複数のロットの製品を組み合わせた)を525mlのジクロロメタンに溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、44.782g、346.50mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステル(PyBOP、90.158g、173.25mmol)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、23.410g、173.25mmol)を加え、室温で4h反応させ、20mlの飽和炭酸水素ナトリウム及び200mlの飽和食塩水を加えて洗浄し、水相をジクロロメタンで、1回あたり100mlで2回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後に溶剤を減圧蒸発乾固して粗製品を得た。精製には、200~300メッシュの順相シリカゲルを用い、10wt%トリエチルアミンでシリカゲルの酸性を中和し、1wt‰トリエチルアミンでカラムを平衡化し、ジクロロメタン:メタノール=100:25~100:40で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固して38.8gの純粋なL-8を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.84 (d, J = 9.0 Hz, 3H), 7.27 - 7.23 (m, 1H), 7.13 - 7.18 (m, 1H), 5.22 (d, J = 3.1 Hz, 3H), 4.97 (dd, J = 11.3, 3.1 Hz, 3H), 4.48 (d, J = 8.4 Hz, 3H), 4.09 - 3.98 (m, 9H), 3.88 (dd, J = 19.3, 9.3 Hz, 3H), 3.75 - 3.66 (m, 3H), 3.44 - 3.38 (m, 3H), 3.17 - 3.30 (m, 4H), 3.10 - 2.97 (m, 4H), 2.35 - 2.20 (m, 6H), 2.15 - 2.08 (m, 9H), 2.07 - 1.98 (m, 13H), 1.94 - 1.87 (m, 9H), 1.81 - 1.74 (m, 9H), 1.65 - 1.42 (m, 18H). MS m/z:C
85H
119N
7O
30,[M+H]
+、理論値:1477.59、実測値:1477.23。
【0374】
(1-1-3a)A-1の合成
【0375】
【化38】
DMTrCl(4,4’-ビスメトキシトリチルクロリド、101.65g、300mmol)を1000mlの無水ピリジンに溶解させ、DL-グリセリン酸カルシウム水和物(28.63g、100mmol)を加え、45℃で20h反応させ、反応液を濾過し、ケーキを200mlのDCMでリンスし、濾液を乾燥まで減圧濃縮し、残りを500mlのジクロロメタンに改めて溶解させ、0.5Mトリエチルアミンリン酸塩(pH=7~8)で、1回あたり200mlで2回洗浄し、水相をジクロロメタンで、1回あたり200mlで2回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶剤を減圧蒸発乾固し、200~300メッシュの順相シリカゲルカラムで精製し、石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:メタノール=1:1:1:0.35~1:1:1:0.55で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固し、600mlのジクロロメタンに改めて溶解させ、200mlの0.5Mトリエチルアミンリン酸塩で1回洗浄し、200mlのジクロロメタンで水相を1回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶剤を減圧蒸発乾固し、真空油ポンプで一晩減圧し、50.7gの白色固形製品A-1を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.46 (ddd, J = 6.5, 2.3, 1.1 Hz, 1H), 7.40 - 7.28 (m, 7H), 6.89 - 6.81 (m, 4H), 4.84 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.36 - 4.24 (m, 1H), 4.29 (s, 6H), 3.92 (dd, J = 12.4, 7.0 Hz, 1H), 3.67 (dd, J = 12.3, 7.0 Hz, 1H), 2.52 (q, J = 6.3 Hz, 6H), 1.03 (t, J = 6.3 Hz, 9H). MS m/z:C
24H
23O
6,[M-H]
-、理論値:407.15、実測値:406.92。
【0376】
(1-1-3b)L-7の合成
【化39】
工程(1-1-2)で得られたL-8(40g、27.09mmol、複数のロットの製品を組み合わせた)と工程(1-1-3a)で得られたA-1(41.418g、81.27mmol)とを混合し、271mlのジクロロメタンに溶解させ、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オン(DEPBT)(24.318g、81.37mmol)を加え、さらにジイソプロピルエチルアミン(21.007g、162.54mmol)を加え、25℃で1.5h攪拌反応させ、800mlの飽和炭酸水素ナトリウムで有機相を洗浄し、水相をジクロロメタンで、1回あたり50mlで3回抽出し、150mlの飽和食塩水で有機相を洗浄し、50mlのジクロロメタンで水相を1回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後に溶剤を減圧蒸発乾固し、真空油ポンプで一晩発泡乾燥させ、粗製品を得た。カラム精製には、2kgの200~300メッシュの順相シリカゲルを用い、200mlのトリエチルアミンでシリカゲルの酸性を中和し、1wt%トリエチルアミンを含む石油エーテルでカラムを平衡化し、石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:N,N-ジメチルホルムアミド=1:1:1:0.5~1:1:1:0.6で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固して40.4gの純粋なL-7を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ7.90 - 7.78 (m, 4H), 7.75 - 7.64 (m, 1H), 7.38 - 7.18 (m, 9H), 6.91 - 6.83 (m, 4H), 5.25 - 5.10 (m, 4H), 4.97 (dd, J = 11.2, 3.2 Hz, 3H), 4.48 - 4.30 (m, 4H), 4.02 (s, 9H), 3.93 - 3.84 (m, 3H), 3.76 - 3.66 (m, 9H), 3.45 - 3.35 (m, 3H), 3.24 - 2.98 (m, 10H), 2.30 - 2.20 (m, 2H), 2.11 - 1.88 (m, 31H), 1.80 - 1.40 (m, 28H). MS m/z:C
90H
128N
7O
35,[M-DMTr]
+、理論値:1564.65、実測値:1564.88。
【0377】
(1-1-4)L-9の合成
【0378】
【化40】
工程(1-1-3b)で得られたL-7(40g、21.4247mmol)、コハク酸無水物(4.288g、42.8494mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、5.235g、42.8494mmol)を混合して215mlのジクロロメタンに溶解させ、さらにジイソプロピルエチルアミン(DIEA、13.845g、107.1235mmol)を加え、25℃で24h攪拌し、800mlの0.5Mトリエチルアミンリン酸塩で反応液を洗浄し、水相をジクロロメタンで、1回あたり5mlで3回抽出し、有機相をあわせ、減圧蒸発乾固して粗製品を得た。カラム精製には、1kgの200~300メッシュの順相シリカゲルを用い、1wt%トリエチルアミンでシリカゲルの酸性を中和し、ジクロロメタンでカラムを平衡化し、1wt‰トリエチルアミンを含むジクロロメタン:メタノール=100:18~100:20で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固して31.0gの純粋なL-9複合分子を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.58 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 7.94 - 7.82 (m, 3H), 7.41 - 7.29 (m, 5H), 7.22 (d, J = 8.1 Hz, 5H), 6.89 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 5.49 - 5.37 (m, 1H), 5.21 (d, J = 3.0 Hz, 3H), 4.97 (d, J = 11.1 Hz, 3H), 4.49 (d, J = 8.2 Hz, 3H), 4.02 (s, 9H), 3.88 (dd, J = 19.4, 9.4 Hz, 3H), 3.77 - 3.65 (m, 9H), 3.50 - 3.39 (m, 6H), 3.11 - 2.90 (m, 5H), 2.61 - 2.54 (m, 4H), 2.47 - 2.41 (m, 2H), 2.26 - 2.17 (m, 2H), 2.15 - 1.95 (m, 22H), 1.92 - 1.84 (m, 9H), 1.80 - 1.70 (m, 10H), 1.65 - 1.35 (m, 17H), 1.31 - 1.19 (m, 4H), 0.96 (t, J = 7.1 Hz, 9H). MS m/z:C
94H
132N
7O
38,[M-DMTr]
+、理論値:1664.72、実測値:1665.03。
【0379】
(1-1-5)L-10化合物の合成
【0380】
【化41】
この工程において、L-9複合分子を固相担体に結合することにより、L-10化合物を調製した。
【0381】
工程(1-1-4)で得られたL-9複合分子(22.751g、11mmol)、O-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート塩/エステル(HBTU、6.257g、16.5mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA、2.843g、22mmol)を混合し、900mlのアセトニトリルに溶解させ、室温で5分間攪拌し、反応液にアミノメチル樹脂(88g、100~200メッシュ、アミノ基担持量400μmol/g、南開和成社から購入)を加え、25℃で、シェーカーで反応を行い、回転数150回転/分間、18h反応させた後濾過し、ケーキをDCMで1回あたり300mlで2回リンスし、アセトニトリルで、1回あたり300mlで3回リンスし、真空油ポンプで18h乾燥させ、その後、表2に示す配合割合に従い原料(CapA、CapB、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)及びアセトニトリル)を加えてキャッピング反応を行った。25℃でシェーカーに静置し、回転数150回転/分間で5h反応させ、反応液を濾過し、ケーキをアセトニトリルで、1回あたり300mlで3回リンスし、乾燥まで溶剤を減圧蒸発させ、真空油ポンプで一晩減圧乾燥させ、102g、担持量90.8μmol/gのL-10化合物(即ち、固相担体に結合されたL-9複合分子)を得た。
【0382】
【表2】
ここで、CapAとCapBは、キャッピング試薬溶液であり、CapAは、20体積%のN-メチルイミダゾールのピリジン/アセトニトリル混合溶液であり、ピリジンとアセトニトリルとの体積比が3:5であり、CapBは、20体積%酢酸無水物のアセトニトリル溶液である。
【0383】
(1-2)siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPのセンス鎖の合成
固相ホスホルアミダイト法により、上記工程で調製されたL-10化合物を出発として循環させ、センス鎖のヌクレオチドの並び順に従い3’-5’方向に一つずつヌクレオシドモノマーを結合した。ヌクレオシドモノマーを結合するごとに、脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を行った。2個のヌクレオチド間がリン酸エステルにより結合される場合、次のヌクレオシドモノマーを結合するとき、脱保護、カップリング、キャッピング、酸化の4つの反応を行った。2個のヌクレオチド間がチオリン酸エステルにより結合される場合、次のヌクレオシドモノマーを結合するとき、保護、カップリング、キャッピング、硫化の4つの反応を行った。合成条件は、以下のように規定した。
【0384】
ヌクレオシドモノマーを0.1M濃度のアセトニトリル溶液で提供し、各脱保護反応の条件は同じであり、即ち、温度が25℃、反応時間は70秒とし、脱保護試薬はジクロロ酢酸のジクロロメタン溶液(3%v/v)であり、ジクロロ酢酸と固相担体における4,4’-ジメトキシトリチル保護基とのモル比は5:1である。
【0385】
各カップリング反応条件は、いずれも同じであり、温度が25℃、固相担体に結合される核酸配列とヌクレオシドモノマーとのモル比は1:10、固相担体に結合される核酸配列とカップリング試薬とのモル比は1:65である。反応時間は600秒とし、カップリング試薬は、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(5-(Ethylthio)-1H-tetrazole、ETT)の0.5Mアセトニトリル溶液である。
【0386】
各キャッピング条件は、いずれも同じであり、温度が25℃、反応時間は15秒とした。キャッピング試薬溶液は、モル比が1:1であるCapAとCapBの混合溶液であり、キャッピング試薬と固相担体に結合される核酸配列とのモル比は、酢酸無水物:N-メチルイミダゾール:固相担体に結合される核酸配列=1:1:1である。
【0387】
各酸化反応条件は同じであり、温度が25℃、反応時間は15秒とし、酸化試薬は濃度0.05Mのヨウ素水である。ヨウ素と、カップリング工程において固相担体に結合される核酸配列とのモル比は30:1である。反応はテトラヒドロフラン:水:ピリジン=3:1:1の混合溶剤で行った。
【0388】
各硫化反応の条件は同じであり、温度が25℃、反応時間は300秒とし、硫化試薬はキサンタンヒドリドである。硫化試薬と、カップリング工程において固相担体に結合される核酸配列とのモル比は120:1である。反応はアセトニトリル:ピリジン=1:1の混合溶剤で行った。
【0389】
最後のヌクレオシドモノマーの結合が完了した後、固相担体に結合された核酸配列に対して切断、脱保護、精製、脱塩を順に行い、次に凍結乾燥させてセンス鎖を得た。
【0390】
切断と脱保護条件は以下のとおりである。合成された担体が結合されたヌクレオチド配列を、濃度25wt%のアンモニア水に加え、アンモニア水の用量は0.5ml/μmolであり、55℃で16h反応させ、残りの液体を濾過除去し、上清を乾燥まで真空濃縮した。
【0391】
精製と脱塩条件は以下のとおりである。分取用イオンクロマトグラフィー精製カラム(Source 15Q)により、NaClによる勾配溶出で、核酸の精製を完了した。具体的には、溶出剤A:20mMリン酸ナトリウム(pH 8.1)、溶剤が水/アセトニトリル=9:1(体積比)であり、溶出剤B:1.5M塩化ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム(pH 8.1)、溶剤が水/アセトニトリル=9:1(体積比)であり、溶出勾配:溶出剤A:溶出剤B=100:0~50:50で勾配溶出した。製品溶出液を回収してからあわせ、逆相クロマトグラフィー精製カラムにより脱塩し、具体的な条件としては、デキストランゲルカラムにより脱塩し、充填剤がデキストランゲルG25(Sephadex G25)であり、脱イオン水で溶出した。
【0392】
検出方法は以下のとおりである。イオン交換クロマトグラフィー(IEX-HPLC)を用いて上記センス鎖の純度を検出し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により分子量を分析した。実測値は理論値に一致しており、3’末端にL-9複合分子が複合されたセンス鎖SSが合成されたことを示した。
【0393】
(1-3)siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPのアンチセンス鎖の合成
固相ホスホルアミダイト法により、汎用の固相担体(UnyLinkerTM loaded NittoPhase(登録商標)HL Solid Supports,Kinovate Life Sciences社)を出発として循環させ、siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPのアンチセンス鎖を合成した。固相合成方法における脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化反応条件は、センス鎖の合成と同じとした。アンチセンス鎖の最後のヌクレオシドモノマーを結合した後、さらに脱保護、カップリング、キャッピング、酸化の4つの反応を行ってCPR-Iモノマー(蘇州吉瑪、番号Cat#13-2601-XX)をアンチセンス鎖の5’末端に結合し、5’-リン酸ヌクレオチドを形成した。
【0394】
【化42】
当該結合において用いられた脱保護、カップリング、キャッピング、酸化反応条件は、センス鎖の合成と同じとした。当該結合が完了した後、さらに切断と脱保護、精製と脱塩工程を行い、切断と脱保護、精製と脱塩条件は、センス鎖の合成と同じとした。最後に凍結乾燥させてアンチセンス鎖ASを得た。
【0395】
イオン交換クロマトグラフィー(IEX-HPLC)によりアンチセンス鎖の純度を検出し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によりアンチセンス鎖の分子量を分析した。その結果、実測値が理論値に一致しており、目的配列を有するアンチセンス鎖ASが合成されたことを示した。
【0396】
(1-4)siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPの合成
siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPに対して、工程(1-2)及び(1-3)で合成されたセンス鎖とアンチセンス鎖をそれぞれ注射用水に溶解させ、40mg/mLの溶液を得、等モル比で混合し、50℃で15min加熱し、室温で冷却した後、水素結合により二本鎖構造を形成した。超純水(Milli-Q超純水装置、抵抗率18.2MΩ*cm(25℃))を用いて複合体を濃度が0.2mg/mLになるまで希釈した後、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS、Liquid Chromatography-Mass Spectrometry、Waters社から購入、型番:LCT Premier)により分子量を検出した。実測値が理論値と一致しており、合成されたsiRNA複合体が、L-9複合分子を含む目的設計の二本鎖核酸配列であることが示された。その構造を、式(403)に示した。前記siRNAは、表3に示される、siRNA複合体であるL10-siPKKa1M1SPに対応するセンス鎖及びアンチセンス鎖の配列を有する。
【0397】
【表3】
大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基配列を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1つのヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1つのヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字sの左右2つのヌクレオチド間がチオリン酸エステル基により結合されていることを表し、大文字Pは、当該文字Pの右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチド修飾ヌクレオチドであることを表す。
【0398】
(調製例2~6)
<本開示のsiRNA複合体の合成>
調製例1と同じ方法により、さらに、以下の本開示のsiRNA複合体であるL10-siPKKb1M1SP、L10-siPKKc1M1SP、L10-siPKKd1M1SP、L10-siPKKe1M1S及びL10-siPKKf1M1Sをそれぞれ合成した。これらのsiRNA複合体に含まれるsiRNAは、それぞれ表3に列挙された、番号がL10-siPKKb1M1SP、L10-siPKKc1M1SP、L10-siPKKd1M1SP、L10-siPKKe1M1S及びL10-siPKKf1M1SのsiRNA複合体に対応するセンス鎖とアンチセンス鎖の配列を有する。調製方法の相違点は単に以下のとおりである。(i)それぞれ表3における各siRNA複合体に対応するsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の配列に従ってセンス鎖及びアンチセンス鎖を合成した。(2)siRNA複合体であるL10-siPKKe1M1S及びL10-siPKKf1M1Sに対して、それらのアンチセンス鎖の5’-末端が5’-リン酸を含まず、これに応じて、前述したCPR-Iモノマーを結合する工程を行う必要がなくなる。
【0399】
調製が完了した後、調製例1の方法により調製された各siRNA複合体の分子量をそれぞれ検出し、実測値が理論値と一致しており、合成されたsiRNA複合体が、L-9複合分子を含む目的設計の二本鎖核酸配列であることが示された。その構造は、いずれも式(403)に示した。これらのsiRNA複合体に含まれるsiRNAは、それぞれ表3に示される、siRNA複合体である10-siPKKb1M1SP、L10-siPKKc1M1SP、L10-siPKKd1M1SP、L10-siPKKe1M1S及びL10-siPKKf1M1Sに対応する配列であった。
【0400】
(調製例7~12)
<本開示により提供されるsiRNAの合成>
固相合成方法により、表4に列挙されたsiRNA配列のセンス鎖又はアンチセンス鎖をそれぞれ合成し、DEPC水を用いて、等モルの表4における相補的なセンス鎖及びアンチセンス鎖をそれぞれ溶解させ、その後にアニールして、本開示により提供されるsiPKKa1M1S、siPKKb1M1S、siPKKc1M1S、siPKKd1M1S、siPKKe1M1S、siPKKf1M1Sを得、以上のsiRNAの配列は、表4に示した。
【0401】
(比較調製例1)
<参照siRNAの合成>
固相合成方法により、表4における、siRNA番号がNCのsiRNAに対応するセンス鎖及びアンチセンス鎖をそれぞれ合成した。DEPC水を用いて、得られた等モルのセンス鎖及びアンチセンス鎖をそれぞれ溶解させ、その後にアニールして、参照siRNAを得、番号をNCとした。
【0402】
【表4】
大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基配列を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1つのヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1つのヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字sの左右2つのヌクレオチド間がチオリン酸エステル基により結合されていることを表し、大文字Pは、当該文字Pの右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチドであることを表す。
【0403】
上記配列の調製過程において、目的配列に未修飾のヌクレオチドが含まれる場合、切断と脱保護条件で、アンモニア水で処理した後、一本鎖核酸の量に対して、0.4ml/μmolのN-メチルピロリドンで生成物を溶解させ、次に0.3ml/μmolのトリエチルアミン及び0.6 ml/μmolのトリエチルアミン三フッ化水素酸塩を加えることにより、リボース上の2’-TBDMS保護を除去した。調製例1の方法により上記siRNAの分子量をそれぞれ検出し、実測値が理論値と一致しており、得られたsiRNAが、それぞれ表4に示される各siRNAに対応する配列を有することが確認された。
【0404】
(調製例13~16)
Cy5で標識されたsiRNA複合体(Cy5-L10-siPKKa1M1SP及びCy5-L10-siPKKf1M1S)及びCy5で標識されたsiRNA(Cy5-siPKKa1M1S及びCy5-siPKKf1M1S)の合成
(1)siRNA複合体であるCy5-L10-siPKKa1M1SP及びCy5-L10-siPKKf1M1Sの合成
(i)センス鎖の最後のヌクレオシドモノマーを結合した後、追加のCy5蛍光基をセンス鎖に結合し、(ii)センス鎖の切断と脱保護条件が異なること以外は、L10-siPKKa1M1SPの調製と同じ方法により、Cy5-L10-siPKKa1M1SPを調製した。
【0405】
具体的には以下のとおりである。
【0406】
(i)において、調製例(1~2)で説明された固相ホスホルアミダイト法によりセンス鎖を調製する過程において、センス鎖の最後のヌクレオシドモノマーを結合した後、さらに脱保護、カップリング、キャッピング、酸化の4つの反応によりCy5ホスホルアミダイトモノマー(上海兆維科技発展有限公司から購入、番号OP-057)をセンス鎖の5’末端に結合した。1)脱保護反応時間を300秒まで延長し、2)Cy5カップリング反応時間を900秒まで延長すること以外は、用いた脱保護、カップリング、キャッピング、酸化反応条件は、(1-2)センス鎖の合成と同じとした。
【0407】
【0408】
(ii)において、切断と脱保護条件は以下のとおりである。合成された担体が結合されたヌクレオチド配列をAMA溶液(40wt%のメチルアミン水溶液と25wt%アンモニア水との体積比が1:1である混合溶液)に加え、AMA溶液の用量が0.5ml/μmolであり、25℃の水浴条件下で2h反応させ、残りの担体を濾過除去し、上清を乾燥まで真空濃縮した。
【0409】
センス鎖の精製と脱塩条件は、それぞれ調製例の工程(1-2)におけるセンス鎖を合成する場合の精製と脱塩条件と同じとした。その後に凍結乾燥させて、Cy5-L10-siPKKa1M1SPのセンス鎖を得た。
【0410】
それにより、siRNA複合体であるCy5-L10-siPKKa1M1SPを得、当該siRNA複合体のsiRNAセンス鎖の5’末端には、Cy5蛍光基が共有結合され、表5に示される、siRNA複合体であるCy5-L10-siPKKa1M1SPに対応するセンス鎖及びアンチセンス鎖の配列を有する。
【0411】
合成において根拠となるsiRNAセンス鎖とアンチセンス鎖の核酸配列が、それぞれ表5に示される、Cy5-L10-siPKKf1M1Sに対応するsiRNAセンス鎖及びアンチセンス鎖の配列であること以外は、Cy5-L10-siPKKa1M1SPの調製と同じ方法により、Cy5-L10-siPKKf1M1Sを調製した。それにより、siRNA複合体であるCy5-L10-siPKKf1M1Sを得、当該siRNA複合体のsiRNAセンス鎖の5’末端には、Cy5蛍光基が共有結合された。
【0412】
(4-2)Cy5-siPKKa1M1S及びCy5-siPKKf1M1Sの合成
汎用の固相担体(UnyLinkerTM loaded NittoPhase(登録商標)HL Solid Supports,Kinovate Life Sciences社)を出発として循環させ、Cy5-siPKKa1M1Sのセンス鎖を合成したこと以外は、Cy5-L10-siPKKa1M1SPの調製と同じ方法により、Cy5-siPKKa1M1Sを調製した。固相合成方法における脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化反応条件、切断と脱保護、精製と脱塩条件は、Cy5-L10-siPKKa1M1Sのセンス鎖の合成と同じとした。
【0413】
合成において根拠となるsiRNA配列が、表5に示される、Cy5-siPKKf1M1Sに対応するsiRNA配列であること以外は、Cy5-siPKKa1M1Sの調製と同じ方法により、Cy5-siPKKf1M1Sを調製した。
【0414】
Cy5-L10-siPKKa1M1SP、Cy5-L10-siPKKf1M1S、Cy5-siPKKa1M1S及びCy5-siPKKf1M1SにおけるsiRNA配列は、表5に示した。
【0415】
【表5】
大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基配列を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1つのヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1つのヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字sの左右2つのヌクレオチド間がチオリン酸エステル基により結合されていることを表す。
【0416】
調製が完了した後、調製例1の方法により調製されたsiRNA複合体又はsiRNAの分子量をそれぞれ検出し、実測値が理論値と一致しており、合成されたsiRNA複合体が、L-9複合分子及びCy5蛍光基を含む目的設計の二本鎖核酸配列であり、合成されたsiRNAが、表5における対応する二本鎖核酸配列を有することが示された。
【0417】
上記本開示のsiRNA又はsiRNA複合体の調製が完了した後、固体粉末に凍結乾燥して使用に備えた。使用中に、例えば注射用水、生理食塩水(NS)、リン酸緩衝液(PB)又はリン酸塩緩衝液(PBS)等を用いて、それを所望の濃度の溶液に再溶解させて使用することができる。
【0418】
「実験例1」
siRNAの体外psiCHECK系における抑制活性
10%のウシ胎児血清(FBS、Hyclone社)及び0.2体積%のペニシリン-ストレプトマイシン(Penicillin-Streptomycin、Gibco、Invitrogen社)を含むDMEM完全培地(Hyclone社)でHEK293A細胞(南京科佰生物技術有限公司から購入)を37℃で5%CO2/95%空気含有インキュベーターにおいて培養した。
【0419】
Kumico Ui-Tei et.al., Functional dissection of siRNA sequence by systematic DNA substitution: modified siRNA with a DNA seed arm is a powerful tool for mammalian gene silencing with significantly reduced off-target effect. Nucleic Acids Research, 2008.36(7), 2136-2151に記載された方法に基づいて、on-target検出プラスミドを構築し、評価対象siRNAと共にHEK293A細胞に共トランスフェクションし、二重ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現レベルにより、siRNAの抑制活性を反映した。
【0420】
具体的工程は以下のとおりである。
【0421】
[1]検出プラスミドの構築
psiCHECKTM-2(PromegaTM)プラスミドを用いて検出プラスミドを構築し、当該プラスミドが1つの目的配列を含み、すなわちsiRNA標的配列を含む。測定対象siRNAに対して、目的配列は以下のとおりである。
【0422】
siPKKa1M1Sの目的配列:
GGTGTTTGCTATTCAGTTT(配列番号395)
siPKKb1M1Sの目的配列:
GCTTCTTGAAAGATAGTGT(配列番号396)
siPKKc1M1Sの目的配列:
GAAGCAATGTGGTCATCAA(配列番号397)
siPKKd1M1Sの目的配列:
CACAAAGAAATGTTTGTCT(配列番号398)
siPKKe1M1Sの目的配列:
GAAUUCCAAAAACCAAUAU(配列番号399)
siPKKf1M1Sの目的配列:
GGUCUGUGCUGGCUAUAAA(配列番号400)
目的配列をpsiCHECKTM-2プラスミドのXho I/Not I部位にクローニングした。
【0423】
[2]トランスフェクション
HEK293A細胞を8×103細胞/ウェルで96ウェルプレートに接種し、16h後に細胞増殖密度が70~80%に達したとき、培養ウェル中のH-DMEM完全培地をすべて吸引し、各ウェルに80μlのOpti-MEM培地(GIBCO社)を加えて培養を1.5h継続した。
【0424】
各siRNAに対して、DEPC水を用いて上記検出プラスミドを希釈して200ng/μlの検出プラスミド希釈標準溶液とした。各siRNAに対して、siRNA及びDEPC水を用いて、濃度がそれぞれ10nM、1nM及び0.1nM(siRNAの量として)のsiRNA希釈標準溶液を調製した。
【0425】
1A1溶液を調製し、1部の1A1溶液は、濃度が10nMのsiRNA希釈標準溶液1μl、検出プラスミド希釈標準溶液0.05μl(検出プラスミド10ngを含む)及びOpti-MEM培地10μlを含む。
【0426】
1A2溶液を調製し、1部の1A2溶液は、濃度が1nMのsiRNA希釈標準溶液1μl、検出プラスミド希釈標準溶液0.05μl(検出プラスミド10ngを含む)及びOpti-MEM培地10μlを含む。
【0427】
1A3溶液を調製し、1部の1A3溶液は、濃度が0.1nMのsiRNA希釈標準溶液1μl、検出プラスミド希釈標準溶液0.05μl(検出プラスミド10ngを含む)及びOpti-MEM培地10μlを含む。
【0428】
1B溶液を調製し、1部の1B溶液は、LipofectamineTM 2000を0.2μl及びOpti-MEM培地10μlを含む。
【0429】
1C溶液を調製し、1部の1C溶液は、検出プラスミド希釈標準溶液0.05μl(検出プラスミド10ngを含む)及びOpti-MEM培地10μlを含む。
【0430】
各siRNAに対して、それぞれ1部の1B溶液を1部の1A1溶液、1部の1A2溶液、1部の1A3溶液と混合し、室温で20min培養し、それぞれトランスフェクション複合体1X1、1X2又は1X3を得た。1部の1B溶液を1部の1C溶液と混合し、室温で20min培養してトランスフェクション複合体1X4を得た。
【0431】
各siRNAに対して、3つの培養ウェル中に、それぞれトランスフェクション複合体1X1を加え、均一に混合し、添加量が20μl/ウェルであり、siRNAの最終濃度が約0.1nMの共トランスフェクション混合物を得、試験群1と記す。
【0432】
各siRNAに対して、別の3つの培養ウェル中に、それぞれトランスフェクション複合体1X2を加え、均一に混合し、添加量が20μl/ウェルであり、siRNAの最終濃度が約0.01nMの共トランスフェクション混合物を得、試験群2と記す。
【0433】
各siRNAに対して、別の3つの培養ウェル中に、それぞれトランスフェクション複合体1X3を加え、均一に混合し、添加量が20μl/ウェルであり、siRNAの最終濃度が約0.001nMの共トランスフェクション混合物を得、試験群3と記す。
【0434】
別の3つの培養ウェル中に、それぞれトランスフェクション複合体1X4を加え、siRNAを含まない共トランスフェクション混合物を得、添加量が20μl/ウェルであり、対照群と記す。
【0435】
siRNAを含む共トランスフェクション混合物とsiRNAを含まない共トランスフェクション混合物を培養ウェル中に4h共トランスフェクションした後、各ウェルに20%FBSを含むH-DMEM完全培地を100μl追加した。96ウェルプレートをCO2インキュベーターに置いて、共トランスフェクションを24h継続した。
【0436】
[3]検出
培養ウェル中の培地を吸引し、各ウェルに150μlのDual-Glo(登録商標) Luciferase試薬とH-DMEM混合溶液(体積比1:1)を加え、十分かつ均一に混合し、室温で10min培養した後、120μlの混合溶液を96ウェルの酵素標識プレートに移し、Synergy II多機能マイクロプレートリーダー(BioTek社)を用いて各培養ウェル中のFirefly化学発光値(Fir)を読み取り、さらに各ウェルに60μlのDual-Glo(登録商標) Stop & Glo(登録商標)試薬を加え、十分かつ均一に混合し、室温で10min培養した後、Firを読み取る並び順に従って、マイクロプレートリーダーを用いて各培養ウェル中のRenillaの化学発光値(Ren)を読み取った。
【0437】
各ウェルの発光比Ratio=Ren/Firを算出し、各試験群又は対照群の発光比Ratio(試験)又はRatio(対照)は三つの培養ウェルRatioの平均値である、対照群の発光比を基準とし、各試験群の発光比を正規化し、Renillaレポーター遺伝子の相対的発現レベル、すなわち残留活性を示すためのRatio(試験)/Ratio(対照)の比Rを得た。siRNAによる目的配列に対する抑制率=(1-R)×100%である。
【0438】
図1は、それぞれsiPKKa1M1S、siPKKb1M1S、siPKKc1M1S、siPKKd1M1S、siPKKe1M1S、siPKKf1M1Sをトランスフェクションした後のHEK293A細胞におけるRenillaレポーター遺伝子の残留活性を示す。
【0439】
比較実験例1
参照siRNA NCの体外(in vitro)における抑制活性。
試験されるsiRNAが参照siRNA NCであること以外は、実験例1の方法により参照siRNA NCのpsiCHECK系における抑制活性を同時に考察した。結果を
図1に示した。
【0440】
結果から明らかなように、siPKKa1M1S、siPKKb1M1S、siPKKc1M1S、siPKKd1M1S、siPKKe1M1S及びsiPKKf1M1Sは、いずれも目的配列抑制活性が高く、かつ濃度依存性を示した。特に、0.1nMのsiRNA濃度で、siPKKa1M1S、siPKKd1M1S及びsiPKKf1M1Sによる抑制率が90%程度に達し、高いPKK遺伝子発現抑制効果を示した。
【0441】
「実験例2」
hPKK安定トランスフェクション細胞株の構築とsiRNAの活性分析
配列、例えば配列番号401に示される遺伝子断片をpcDNA3.1汎用担体に構築して、pcDNA3.1組換えプラスミドを得、当該遺伝子断片は、ヒトPKK mRNAをコードする遺伝子の配列であった。この構築プロセスは、金唯智生物技術有限公司に依頼した。
【0442】
ATGATTTTATTCAAGCAAGCAACTTATTTCATTTCCTTGTTTGCTACAGTTTCCTGTGGATGTCTGACTCAACTCTATGAAAACGCCTTCTTCAGAGGTGGGGATGTAGCTTCCATGTACACCCCAAATGCCCAATACTGCCAGATGAGGTGCACATTCCACCCAAGGTGTTTGCTATTCAGTTTTCTTCCAGCAAGTTCAATCAATGACATGGAGAAAAGGTTTGGTTGCTTCTTGAAAGATAGTGTTACAGGAACCCTGCCAAAAGTACATCGAACAGGTGCAGTTTCTGGACATTCCTTGAAGCAATGTGGTCATCAAATAAGTGCTTGCCATCGAGACATTTATAAAGGAGTTGATATGAGAGGAGTCAATTTTAATGTGTCTAAGGTTAGCAGTGTTGAAGAATGCCAAAAAAGGTGCACCAGTAACATTCGCTGCCAGTTTTTTTCATATGCCACGCAAACATTTCACAAGGCAGAGTACCGGAACAATTGCCTATTAAAGTACAGTCCCGGAGGAACACCTACCGCTATAAAGGTGCTGAGTAACGTGGAATCTGGATTCTCACTGAAGCCCTGTGCCCTTTCAGAAATTGGTTGCCACATGAACATCTTCCAGCATCTTGCGTTCTCAGATGTGGATGTTGCCAGGGTTCTCACTCCAGATGCTTTTGTGTGTCGGACCATCTGCACCTATCACCCCAACTGCCTCTTCTTTACATTCTATACAAATGTATGGAAAATCGAGTCACAAAGAAATGTTTGTCTTCTTAAAACATCTGAAAGTGGCACACCAAGTTCCTCTACTCCTCAAGAAAACACCATATCTGGATATAGCCTTTTAACCTGCAAAAGAACTTTACCTGAACCCTGCCATTCTAAAATTTACCCGGGAGTTGACTTTGGAGGAGAAGAATTGAATGTGACTTTTGTTAAAGGAGTGAATGTTTGCCAAGAGACTTGCACAAAGATGATTCGCTGTCAGTTTTTCACTTATTCTTTACTCCCAGAAGACTGTAAGGAAGAGAAGTGTAAGTGTTTCTTAAGATTATCTATGGATGGTTCTCCAACTAGGATTGCGTATGGGACACAAGGGAGCTCTGGTTACTCTTTGAGATTGTGTAACACTGGGGACAACTCTGTCTGCACAACAAAAACAAGCACACGCATTGTTGGAGGAACAAACTCTTCTTGGGGAGAGTGGCCCTGGCAGGTGAGCCTGCAGGTGAAGCTGACAGCTCAGAGGCACCTGTGTGGAGGGTCACTCATAGGACACCAGTGGGTCCTCACTGCTGCCCACTGCTTTGATGGGCTTCCCCTGCAGGATGTTTGGCGCATCTATAGTGGCATTTTAAATCTGTCAGACATTACAAAAGATACACCTTTCTCACAAATAAAAGAGATTATTATTCACCAAAACTATAAAGTCTCAGAAGGGAATCATGATATCGCCTTGATAAAACTCCAGGCTCCTTTGAATTACACTGAATTCCAAAAACCAATATGCCTACCTTCCAAAGGTGACACAAGCACAATTTATACCAACTGTTGGGTAACCGGATGGGGCTTCTCGAAGGAGAAAGGTGAAATCCAAAATATTCTACAAAAGGTAAATATTCCTTTGGTAACAAATGAAGAATGCCAGAAAAGATATCAAGATTATAAAATAACCCAACGGATGGTCTGTGCTGGCTATAAAGAAGGGGGAAAAGATGCTTGTAAGGGAGATTCAGGTGGTCCCTTAGTTTGCAAACACAATGGAATGTGGCGTTTGGTGGGCATCACCAGCTGGGGTGAAGGCTGTGCCCGCAGGGAGCAACCTGGTGTCTACACCAAAGTCGCTGAGTACATGGACTGGATTTTAGAGAAAACACAGAGCAGTGATGGAAAAGCTCAGATGCAGTCACCAGCATGAGAAGCAGTCCAGAGTCTAGGCAATTTTTACAACCTGAGTTCAAGTCAAATTCTGAGCCTGGGGGGTCCTCATCTGCAAAGCATGGAGAGTGGCATCTTCTTTGCATCCTAAGGACGAAAAACACAGTGCACTCAGAGCTGCTGAGGACAATGTCTGGCTGAAGCCCGCTTTCAGCACGCCGTAACCAGGGGCTGACAATGCGAGGTCGCAACTGAGATCTCCATGACTGTGTGTTGTGAAATAAAATGGTGAAAGATCA (配列番号401)
【0443】
10%のウシ胎児血清(FBS、Hyclone社)及び0.2体積%のペニシリン-ストレプトマイシン(Penicillin-Streptomycin、Gibco、Invitrogen社)を含むDMEM完全培地(Hyclone社)でHEK293A細胞(南京科佰生物技術有限公司から購入)を37℃で5%CO2/95%空気含有インキュベーターにおいて培養した。使用前に、DMEM完全培地でHEK293A細胞を1×105細胞/mL濃度の細胞懸濁液に調製した。
【0444】
HEK293A細胞懸濁液を25cm3のプラスチック培養フラスコ中に接種し、各瓶に5mL接種し、約70%コンフルエントになるまで培養したとき、培養フラスコ中のDMEM完全培地をすべて吸引し、培養フラスコ中に5mLのOPTI-MEM培地(GIBCO社)を加えて培養を1.5h継続した。
【0445】
1A溶液を調製し、1部の1A溶液が3μgのpcDNA3.1組換えプラスミドと500μlのOpti-MEM培地を含み、均一に混合した。
【0446】
1B溶液を調製し、1部の1B溶液が9μlのLipofectamineTM 2000及び500μlのOpti-MEM培地を含み、軽く均一に混合した。
【0447】
1部の1B溶液と1部の1A溶液を室温で20min共同培養して、1部のトランスフェクション複合体1Xを得た。
【0448】
HEK293A細胞を培養するための前述した培養フラスコのそれぞれに、1部のトランスフェクション複合体1Xを加え、均一に混合し、4h後に新しい培地を交換し、48h培養して、選別されるHEK293A細胞を得た。
【0449】
1×PBSで抗生物質G418(索莱宝公司、番号G8160-1g)を70mg/mlの溶液に溶解させ、次にG418濃度が700μg/ml、350μg/mlになるまでH-DMEM完全培地でそれぞれ希釈して、G418培地及び半選別濃度のG418培地を得た。
【0450】
前述した選別されるHEK293A細胞に対し、培養フラスコ中の培地を吸引し、G418培地を加えて選別し、2日ごとに新しいG418培地を1回交換し、毎日細胞の死亡状況を観察し、細胞数が2回の観察期間に顕著に減少しなかった場合(正常細胞が完全に死亡したと考えられる)、新しいH-DMEM完全培地を交換して培養した。
【0451】
細胞が60%コンフルエントに達したとき、培養フラスコ中の培地を吸引し、新しいG418培地を加えて培養した。4日後に、新しいG418培地を再び交換した。トランスフェクション後の15日目に、培養した細胞を収集し、安定トランスフェクション細胞株hPKK-HEK293Aを得た。半選別濃度のG418培地で当該安定トランスフェクション細胞株hPKK-HEK293Aの培養を継続した。
【0452】
定量的リアルタイムPCRにより得られた安定トランスフェクション細胞株hPKK-HEK293Aを分析して分かるように、得られた安定トランスフェクション細胞株hPKK-HEK293Aは、hPKK遺伝子を高コピーで成功して組み込んだ。一般的なPCRで遺伝子全長の長さを増幅し、増幅断片の大きさを検出し、結果から明らかなように、安定トランスフェクション細胞株hPKK-HEK293Aに前述した配列番号401に示される配列全長を有する転写産物を組み込んだ。
【0453】
以下、定量的リアルタイムPCR(Quantitative Real-Time PCR、qPCR)により本開示のsiRNA化合物による安定トランスフェクション細胞株hPKK-HEK293AにおけるPKK mRNAに対する相対的抑制レベルを測定した。
【0454】
H-DMEM完全培地でhPKK-HEK293A細胞を1.5×105細胞/mlに希釈して、hPKK-HEK293A細胞懸濁液を得、1000μl/ウェルの量で当該細胞懸濁液を12ウェルプレートに接種し、14.5h培養した。培養ウェル内のH-DMEM完全培地をすべて吸引し、各ウェルに1000μlのOpti-MEM培地を加え、培養を1.5h継続した。
【0455】
DEPC水を用いて、siPKKa1M1S、siPKKb1M1S、siPKKc1M1S、siPKKd1M1S、siPKKe1M1S又はsiPKKf1M1Sを、それぞれ濃度が20μMのsiRNA希釈標準溶液に溶解させた。
【0456】
1A溶液を調製し、各siRNAに対して、それぞれ1A溶液を調製し、1部の1A溶液は、順に上記siRNA希釈標準溶液3μl及びOpti-MEM培地100μlを含む。
【0457】
1B溶液を調製し、1部の1B溶液は、2μlのLipofectamineTM 2000及び100μlのOpti-MEM培地を含む。
【0458】
それぞれ1部の1B溶液を得られた各siRNAの1A溶液と混合し、それぞれ室温で20min培養して、各siRNAのトランスフェクション複合体1Xを得た。
【0459】
1部の1B溶液を100μlのOpti-MEM培地と混合し、室温で20min培養して、対照複合体1X’を得た。
【0460】
hPKK-HEK293A細胞を接種した上記異なる培養ウェルにそれぞれ各siRNAのトランスフェクション複合体1Xを加え、添加量が200μl/ウェルであり、均一に混合した。各siRNAの最終濃度がそれぞれ約50nMの混合物を得、各siRNAのトランスフェクション複合体1Xがそれぞれ2つの培養ウェルをトランスフェクションして、siRNAを含むトランスフェクション混合物を得、試験群と記す。
【0461】
hPKK-HEK293A細胞を接種した別の2つの培養ウェルに、それぞれトランスフェクション複合体1X’を加え、添加量が200μl/ウェルであり、siRNAを含まないトランスフェクション混合物を得、ブランク対照群と記す。
【0462】
siRNAを含むトランスフェクション混合物とsiRNAを含まないトランスフェクション混合物を培養ウェル中で4h培養した後、各ウェルに20%FBS(RMBIO社から購入、番号FBS-P500)を含むH-DMEM完全培地を1000μl追加し、次に12ウェルプレートを5%CO2/95%空気を含むインキュベーターにおいて37°Cで24h培養を継続した。
【0463】
その後、UNIQカラム式全RNA抽出キット(生工、B511361-0100)を用いて、キットの説明書に記載の方法に基づいて各ウェルの細胞中の全RNAを抽出し、各ウェルの細胞に対して、1.2×105個の細胞を抽出に用いた。
【0464】
各細胞サンプルの全RNAに対して、逆転写キットGoldenstarTM RT6 cDNA Synthesis Kit(北京ケイ科新業生物技術有限公司から購入、番号TSK301M)により提供された試薬を使用し、GoldenstarTM Oligo(dT)17をプライマーとして選択し、キットの説明書における逆転写操作工程に従って逆転写反応系20μlを調製した。逆転写条件は以下のとおりである。各逆転写反応系に対して、逆転写反応系を50℃で50min培養し、次に85℃で5min培養し、最後に4℃で30s培養し、反応が終了した後、各逆転写反応系にDEPC水80μlを加えて、cDNAを含む溶液を得た。
【0465】
各逆転写反応系に対して、5μlの上記cDNAを含む溶液をそれぞれテンプレートとし、NovoStart(登録商標) SYBR qPCR SuperMix Plusキット(近岸蛋白質科技有限公司から購入、番号E096-01B)により提供された試薬を用いてqPCR反応系20μlを調製した。目的遺伝子PKK及び内因性参照遺伝子GAPDHを増幅するためのPCRプライマー配列を表6に示す。各プライマーの最終濃度は0.25μMであった。各qPCR反応系をABI StepOnePlus Real-Time PCR装置に置き、3段階法を用いて増幅し、増幅プロセスは、95℃で10min予め変性し、次に95℃で30s変性し、60℃で25sアニールし、72℃で30s伸長し、上記変性、アニール、伸長工程を合計35回繰り返して、目的遺伝子PKK及び内因性参照遺伝子GAPDHを増幅した生成物W2を得た。生成物W2を直ちに順に95℃で15s、60℃で1min、95℃で15s培養し、定量的リアルタイムPCR装置により生成物W2中の目的遺伝子PKK及び内因性参照遺伝子GAPDHの融解曲線をそれぞれ収集し、目的遺伝子PKK及び内因性参照遺伝子GAPDHのCt値を得た。
【0466】
【0467】
比較Ct(ΔΔCt)法を採用し、各試験群と対照群における目的遺伝子PKKの発現量を相対的かつ定量的に算出し、算出方法は以下のとおりである。
【0468】
ΔCt(試験群)=Ct(試験群の目的遺伝子)-Ct(試験群の内因性参照遺伝子)
ΔCt(対照群)=Ct(対照群の目的遺伝子)-Ct(対照群の内因性参照遺伝子)
ΔΔCt(試験群)=ΔCt(試験群)-ΔCt(対照群の平均値)
ΔΔCt(対照群)=ΔCt(対照群)-ΔCt(対照群の平均値)
ここで、各試験群は、それぞれ各siRNAで処理されたhPKK-HEK293A細胞であり、対照群は、siRNAで処理されていないhPKK-HEK293A細胞である。ΔCt(対照群の平均値)は、対照群の2つの培養ウェルのそれぞれのΔCt(対照群)の算術平均値である。それにより、試験群及び対照群の各培養ウェルは、いずれも1つのΔΔCt値に対応している。
【0469】
対照群を基準として、試験群PKK mRNAの発現レベルを正規化し、対照群PKK mRNAの発現レベルを100%と定義し、
試験群PKK mRNAの相対的発現レベル=2-ΔΔCt(試験群)×100%。
【0470】
同一の試験群siRNAに対して、各濃度での試験群PKK mRNAの相対的発現レベルの平均値は、当該濃度の2つの培養ウェルの相対的発現レベルの算術平均値である。
【0471】
siRNAによるPKK mRNA発現量に対する抑制率は、抑制率=(1-試験群PKK mRNAの相対的発現レベル)×100%という等式により算出された。
【0472】
PKK mRNAの相対的発現レベルは、
図2に示した。
【0473】
図2の結果から分かるように、本開示のsiRNAは、hPKK-HEK293A細胞においてPKK mRNAに対していずれも高い抑制作用を示し、特にsiPKKa1M1S及びsiPKKf1M1SによるPKK mRNA抑制率がいずれも約80%に達した。
【0474】
「実験例3」
siRNA複合体によるhPKK-HEK293A細胞におけるPKK mRNAに対する抑制
実験例2で用いられたsiRNAの代わりにそれぞれ以下のsiRNA複合体の1つを用い、siRNA複合体の濃度をsiRNAで算出したこと以外は、実験例2の方法によりsiRNA複合体によるhPKK-HEK293A細胞におけるPKK mRNAに対する抑制効率を測定した。前記siRNA複合体は、それぞれL10-siPKKa1M1SP、L10-siPKKb1M1SP、L10-siPKKc1M1SP、L10-siPKKd1M1SP、L10-siPKKe1M1S及びL10-siPKKf1M1Sであった。結果は、
図3に示した。
【0475】
図3の結果から分かるように、本開示のsiRNA複合体は、hPKK-HEK293A細胞においてPKK mRNAに対していずれも高い抑制作用を示し、抑制率が少なくとも53.2%であり、さらに83.1%に達した。以上より、本開示のsiRNA複合体は、PKK関連疾患を抑制するための優れた応用の可能性を備えている。
【0476】
「実験例4」
siRNA複合体のC57マウスの各臓器での分布状況
1×PBS溶液を用いて、Cy5-siPKKa1M1S、Cy5-L10-siPKKa1M1SP、Cy5-siPKKf1M1S又はCy5-L10-siPKKf1M1Sを0.6mg/mlの濃度(siRNAの量として)の溶液にそれぞれ溶解させた。
【0477】
6~7週齢のC57BL/6J雌マウス(北京維通利華実験動物技術有限公司から購入)10匹を選択してランダムに分け、各群に2匹のマウスを含み、それぞれ1×PBS及び上記調製されたCy5-siPKKa1M1S、Cy5-L10-siPKKa1M1SP、Cy5-siPKKf1M1S又はCy5-L10-siPKKf1M1S溶液を皮下注射した。全ての動物に対して体重に応じて投与用量を算出し、投与体積は、siRNAの量としていずれも5ml/kg、各動物の投与量は3mg/kg体重(siRNAの量として)とした。
【0478】
投与した2h、6h、24h、48h後、各群のマウスを順に小動物生体光学イメージングシステムIVIS Lumina Series IIIに入れ、イソフルランガスでマウスを麻酔し、麻酔後のマウスの腹部を上に向けて小動物生体光学イメージングシステムに入れて生体イメージングを行い、Cy5蛍光シグナルを動的に検出し、Cy5で標識されたsiRNA又はCy5で標識されたsiRNA複合体の動物生体での分布状況を追跡した。48h後、全てのマウスを殺し、各マウスの心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓の5つの臓器をそれぞれ取り出し、IVIS Lumina Series IIIにおいて蛍光イメージングを行った。各群から1つのマウスを選択し、上記5つの臓器を順に縦方向に配置し、1×PBS、Cy5-siPKKa1M1S又はCy5-L10-siPKKa1M1SPを投与したマウスの臓器を同じ視野に置いて撮影し、結果が
図4Aに示した。1×PBS、Cy5-siPKKf1M1S又はCy5-L10-siPKKf1M1Sを投与したマウスの臓器を同じ視野に置いて撮影し、結果を
図4Bに示した。
【0479】
図4A及び
図4Bから分かるように、Cy5-L10-siPKKa1M1SP及びCy5-L10-siPKKf1M1Sのみが肝臓に大量に凝集し、Cy5-siPKKa1M1S及びCy5-siPKKf1M1Sは腎臓に少量凝集しているが、他の臓器には凝集しておらず、本開示のsiRNA複合体が、siRNAを肝臓に効果的かつ特異的に送達できることを示した。したがって、
図4A及び
図4Bから、本開示により提供されるsiRNA複合体が肝臓を特異的に標的できることは明らかであり、肝臓におけるPKK遺伝子の発現を特異的に抑制することが期待できる。さらに、実験例3の結果を組み合わせて、本開示により提供されるsiRNA複合体が、肝臓におけるPKK遺伝子の発現を特異的に抑制できることは明らかである。
【0480】
以上、本開示のいくつかの実施形態を詳しく記載したが、本開示は、上記実施形態の具体的な細部に限定されず、本開示の技術的思想の範囲で、本開示の技術的解決手段に対して複数種の簡単な変形をすることができ、これらの簡単な変形は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0481】
このほかに説明すべきこととして、上記いくつかの実施形態に記載された各具体的な技術的特徴は、矛盾がない場合、任意の適切な方法により組み合わせることができ、不必要な重複を避けるために、本開示では各種の可能な組合せ方法を別途説明しない。
【0482】
また、本開示の各種の異なる実施形態は任意に組み合わせることもでき、本開示の精神から逸脱しない限り、その組み合わせも同様に、本開示に開示された内容とみなすべきである。
【配列表】