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特許7614664網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20250108BHJP
   A61B 3/024 20060101ALI20250108BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
G09G3/20 680A
A61B3/024
H04N7/18 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023209117
(22)【出願日】2023-12-12
(65)【公開番号】P2024137671
(43)【公開日】2024-10-07
【審査請求日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】10-2023-0036242
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523468219
【氏名又は名称】セリコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CELLICO INC.
【住所又は居所原語表記】(SIHEUNG‐DONG, PANGYO CREATIVE ECONOMY VALLEY) R765, 7F, 815, DAEWANGPANGYO‐RO, SUJEONG‐GU, SEONGNAM‐SI, GYEONGGI‐DO, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】カン,ホ・スン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジョン・ギ
【審査官】薄井 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-153477(JP,A)
【文献】特開2010-068821(JP,A)
【文献】特表2021-502881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0262611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0181274(US,A1)
【文献】特表2021-502130(JP,A)
【文献】特開平07-288754(JP,A)
【文献】特開2010-162346(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137544(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0270648(US,A1)
【文献】国際公開第2023/286316(WO,A1)
【文献】特開2013-056206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20
G09G 5/00
A61B 3/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルグラスのディスプレイに含まれる複数のスキャニングポイントを順に駆動して、ユーザの入力信号にしたがって、前記ユーザの暗点をチェックした暗点マップを提供するマップ提供部と、
前記暗点マップに基づいて、前記ユーザの暗点領域を設定する領域設定部と、
前記暗点領域に相当する外部画像を前記ディスプレイに含まれるディスプレイ領域に表示する領域表示部と、を含み、
前記領域表示部は、前記ディスプレイを複数の区分領域に区分する領域区分装置と、前記ユーザの入力信号にしたがって、前記複数の区分領域のうち一つを前記ディスプレイ領域として選択する領域選択部と、をさらに含み、
前記領域選択部は、前記ディスプレイ領域に相当する位置で予め定められた基準速度以上の物体の動きが検出される場合、前記ディスプレイ領域を前記物体の移動方向とは逆の方向に前記複数の区分領域のうち最も遠い区分領域を前記ディスプレイ領域として選択する、網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【請求項2】
前記マップ提供部は、前記複数のスキャニングポイントを順にターン-オンおよびターン-オフするスキャニング駆動部と、
前記ユーザの入力信号にしたがって、前記スキャニングポイントのターン-オンおよびターン-オフを識別するか否かを判断する判断部と、をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【請求項3】
前記スキャニングポイントは、前記ディスプレイの中心を基準に形成される複数の基準ライン上に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【請求項4】
前記スキャニング駆動部は、前記ディスプレイの中心からの距離が遠い順に、前記複数の基準ラインそれぞれに配置される前記スキャニングポイントを駆動することを特徴とする、請求項3に記載の網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【請求項5】
前記領域設定部は、前記暗点マップに含まれるスキャニングポイントのうち前記暗点に該当する暗点ポイントに応じて前記暗点領域を設定することを特徴とする、請求項4に記載の網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【請求項6】
前記領域設定部は、前記複数の基準ライン上に配置される前記暗点ポイントの個数が相違する場合、前記暗点ポイントの個数が最も多く配置される選択基準ラインに配置される前記暗点ポイントの個数に応じて前記暗点領域を設定することを特徴とする、請求項5に記載の網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【請求項7】
前記暗点領域は、前記選択基準ラインに配置される前記暗点ポイントの個数に相当する長さを直径とする円の形態とすることを特徴とする、請求項6に記載の網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【請求項8】
前記拡張現実装置は、前記ウェアラブルグラスに含まれるカメラで撮影された前記外部画像を拡大し、前記暗点領域に相当する前記外部画像を前記暗点領域の外部にディスプレイする画像補正部をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【請求項9】
前記拡張現実装置は、前記ウェアラブルグラスに含まれるカメラで撮影された前記外部画像を縮小し、前記ディスプレイ領域にディスプレイすることを特徴とする、請求項に記載の網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置に関する。
【背景技術】
【0002】
網膜色素変性症(Retinitis pigmentosa、RP)は、網膜に分布する光受容体の機能障害によって発生する進行性網膜変性疾患であり、黄斑変性症は、黄斑下に老廃物が沈着して網膜視細胞が退行するか、黄斑下に非正常に血管が生成されて視力が低下する疾患である。最近、網膜色素変性症および黄斑変性症患者が増加するにつれて発生する問題を解決するための様々な研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国登録特許第10-1856014号公報(登録日2018年05月02日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ディスプレイに含まれる複数のスキャニングポイントを順に駆動して、ユーザの入力信号にしたがってユーザの暗点をチェックした暗点マップに基づいて暗点領域を設定し、暗点領域に相当する外部画像をディスプレイに含まれるディスプレイ領域に表示することにより、網膜色素変性症および黄斑変性症患者の狭くなった視野を補償し、患者の生活の質を改善することができる拡張現実装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明の実施形態による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置は、マップ提供部、領域設定部および領域表示部を含むことができる。マップ提供部は、ウェアラブルグラスのディスプレイに含まれる複数のスキャニングポイントを順に駆動して、ユーザの入力信号にしたがって前記ユーザの暗点をチェックした暗点マップを提供することができる。領域設定部は、前記暗点マップに基づいて、前記ユーザの暗点領域を設定することができる。領域表示部は、前記暗点領域に相当する外部画像を前記ディスプレイに含まれるディスプレイ領域に表示することができる。
【0006】
このような課題を解決するために、本発明の実施形態による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置は、マップ提供部、領域設定部および領域表示部を含むことができる。マップ提供部は、ウェアラブルグラスのディスプレイに含まれる複数のスキャニングポイントを順に駆動して、ユーザの入力信号にしたがって前記ユーザの暗点をチェックした暗点マップを提供することができる。領域設定部は、前記暗点マップに基づいて、前記ユーザの暗点領域を設定することができる。領域表示部は、前記暗点領域に相当する外部画像を前記ディスプレイに含まれるディスプレイ領域に表示することができる。
【0007】
一実施形態において、前記スキャニングポイントは、前記ディスプレイの中心を基準に形成される複数の基準ライン上に配置することができる。
【0008】
一実施形態において、前記スキャニング駆動部は、前記ディスプレイの中心からの距離が遠い順に、前記複数の基準ラインそれぞれに配置される前記スキャニングポイントを駆動することができる。
【0009】
一実施形態において、前記領域設定部は、前記暗点マップに含まれるスキャニングポイントのうち前記暗点に該当する暗点ポイントに応じて前記暗点領域を設定することができる。
【0010】
一実施形態において、前記領域設定部は、前記複数の基準ライン上に配置される前記暗点ポイントの個数が相違する場合、前記暗点ポイントの個数が最も多く配置される選択基準ラインに配置される前記暗点ポイントの個数に応じて前記暗点領域を設定することができる。
【0011】
一実施形態において、前記暗点領域は、前記選択基準ラインに配置される前記暗点ポイントの個数に相当する長さを直径とする円の形態とすることができる。
【0012】
一実施形態において、前記領域表示部は、領域区分装置および領域選択部をさらに含むことができる。領域区分装置は、前記ディスプレイを複数の区分領域に区分することができる。領域選択部は、前記ユーザの入力信号にしたがって、前記複数の区分領域のうち一つを前記ディスプレイ領域として選択することができる。
【0013】
一実施形態において、前記領域選択部は、前記ディスプレイ領域に相当する位置で予め定められた基準速度以上の物体の動きが検出される場合、前記ディスプレイ領域を前記物体の移動方向とは逆の方向に前記複数の区分領域のうち最も遠い区分領域を前記ディスプレイ領域として選択することができる。
【0014】
一実施形態において、前記拡張現実装置は、画像補正部をさらに含むことができる。画像補正部は、前記ウェアラブルグラスに含まれるカメラで撮影された前記外部画像を拡大し、前記暗点領域に相当する前記外部画像を前記暗点領域の外部にディスプレイすることができる。
【0015】
一実施形態において、前記拡張現実装置は、前記ウェアラブルグラスに含まれるカメラで撮影された前記外部画像を縮小し、前記ディスプレイ領域にディスプレイすることができる。
【0016】
上記で言及した本発明の技術的課題の他にも、本発明の他の特徴および利点が以下に記述されるか、そのような技術および説明から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が明確に理解することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のような本発明によると、以下のような効果がある。
【0018】
本発明による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置は、ディスプレイに含まれる複数のスキャニングポイントを順に駆動して、ユーザの入力信号にしたがってユーザの暗点をチェックした暗点マップに基づいて暗点領域を設定し、暗点領域に相当する外部画像をディスプレイに含まれるディスプレイ領域に表示することにより、網膜色素変性症および黄斑変性症患者の狭くなった視野を補償し、患者の生活の質を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置を説明するための図である。
図2】本発明の実施形態による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置を説明するための図である。
図3図1の拡張現実装置に含まれるマップ提供部を示す図である。
図4図1の拡張現実装置の動作を説明するための図である。
図5図1の拡張現実装置の動作を説明するための図である。
図6図1の拡張現実装置に含まれるマップ提供部および領域設定部の一動作例を説明するための図である。
図7図1の拡張現実装置に含まれるマップ提供部および領域設定部の一動作例を説明するための図である。
図8図1の拡張現実装置に含まれる領域表示部の一動作例を説明するための図である。
図9図1の拡張現実装置に含まれる領域表示部の一動作例を説明するための図である。
図10図1の拡張現実装置の一実施形態を説明するための図である。
図11図1の拡張現実装置の他の実施形態を説明するための図である。
図12図1の拡張現実装置の他の実施形態を説明するための図である。
図13図1の拡張現実装置の他の実施形態を説明するための図である。
図14】本発明の実施形態による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付けるに際し、同じ構成要素に限っては、仮に異なる図面上に表示されていても、できるだけ同じ番号を有するようにしていることに留意すべきである。
【0021】
一方、本明細書に述べられている用語の意味は、以下のように理解すべきである。
【0022】
単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味で定義しない限り、複数の表現を含むものと理解すべきであり、これらの用語によって権利範囲が限定されてはならない。
【0023】
「含む」または「有する」などの用語は、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないことを理解すべきである。
【0024】
以下、添付の図面を参照して、上記問題点を解決するために考案された本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0025】
図1図2および図14は、本発明の実施形態による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置を説明するための図であり、図3は、図1の拡張現実装置に含まれるマップ提供部を示す図であり、図4および図5は、図1の拡張現実装置の動作を説明するための図である。
【0026】
図1図5および図14を参照すると、本発明の実施形態による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置10は、マップ提供部100、領域設定部200および領域表示部300を含むことができる。本発明による拡張現実装置10は、ウェアラブルグラス15およびスマートフォン18を含む全システムに含まれることができる。マップ提供部100は、ウェアラブルグラス15のディスプレイ17に含まれる複数のスキャニングポイントSPを順に駆動して、ユーザの入力信号SSにしたがってユーザの暗点をチェックした暗点マップAMPを提供することができる。ユーザの入力信号SSは、ユーザの音声信号、手動作信号またはタッチ信号などをはじめ、様々な方式で提供される信号であることができる。例えば、網膜色素変性症および黄斑変性症患者(ユーザ)の視野は、一部の領域が覆われて見えない暗点を含むことができる。本発明による拡張現実装置10を使用する前に、ユーザの暗点が分布する領域を確認するために、本発明による暗点マップAMPを提供するマップ提供部100を使用することができる。
【0027】
一実施形態において、マップ提供部100は、スキャニング駆動部110および判断部120をさらに含むことができる。スキャニング駆動部110は、複数のスキャニングポイントを順にターン-オンおよびターン-オフすることができる。例えば、ウェアラブルグラス15に含まれるディスプレイ17には、複数のスキャニングポイントSPを配置することができる。複数のスキャニングポイントSPは、第1スキャニングポイントSP1~第NスキャニングポイントSPNを含むことができる。マップ提供部100に含まれるスキャニング駆動部110は、第1スキャニングポイントSP1から第NスキャニングポイントSPNまで順にターン-オンし、ターン-オフすることができる。
【0028】
判断部120は、ユーザの入力信号SSにしたがってスキャニングポイントSPのターン-オンおよびターン-オフを識別するか否かを判断することができる。例えば、第1スキャニングポイントSP1がターン-オンする場合、ユーザは、ディスプレイ17に含まれる第1スキャニングポイントSP1がつけられたか否かを判断して、入力信号SSで拡張現実装置10に提供することができる。この場合、判断部120は、入力信号SSにしたがって暗点マップAMPに含まれるスキャニングポイントを色で区分して表示することができる。例えば、ユーザが「第1スキャニングポイントSP1はターン-オンされた」という入力信号SSを提供する場合、暗点マップAMPに含まれる第1スキャニングポイントSP1を赤色で表示することができ、スキャニング駆動部110が第1スキャニングポイントSP1をターン-オンしたにもかかわらず、ユーザが「第1スキャニングポイントSP1はターン-オフされた」という入力信号SSを提供する場合、暗点マップAMPに含まれる第1スキャニングポイントSP1を白色で表示することができる。
【0029】
領域設定部200は、暗点マップAMPに基づいて、ユーザの暗点領域MREを設定することができる。暗点マップAMPにしたがって形成される暗点領域MREを設定する方法は、様々であり得る。例えば、暗点マップAMPに白色で表示された領域のうち左右間隔(横)を基準に暗点領域MREを設定してもよく、上下間隔(縦)を基準に暗点領域MREを設定してもよい。例えば、左右間隔を直径とする円を暗点領域MREとして定めてもよく、上下間隔を直径とする円を暗点領域MREとして定めてもよい。また、左右間隔および上下間隔のうちより長い間隔を直径とする領域を暗点領域MREとして定めてもよい。
【0030】
領域表示部300は、暗点領域MREに相当する外部画像OIMをディスプレイ17に含まれるディスプレイ領域DREに表示することができる。本発明による拡張現実装置10を用いてユーザから測定された暗点領域MREは、カメラ16の外部画像OIMには実在するにもかかわらず、ユーザの目には見えない領域であることができる。この場合、暗点領域MREに対応する実際画像をディスプレイ17の暗点領域MRE以外の他の領域(ディスプレイ領域)に配置することにより、ユーザの視野遮断による不便を除去することができる。
【0031】
本発明による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置10は、ディスプレイ17に含まれる複数のスキャニングポイントSPを順に駆動して、ユーザの入力信号SSにしたがってユーザの暗点をチェックした暗点マップAMPに基づいて暗点領域MREを設定し、暗点領域MREに相当する外部画像OIMをディスプレイ17に含まれるディスプレイ領域DREに表示することにより、網膜色素変性症および黄斑変性症患者の狭くなった視野を補償し、患者の生活の質を改善することができる。また、本発明による拡張現実装置10は、緑内障患者および糖尿網膜変性症患者などにも適用することができる。
【0032】
図6および図7は、図1の拡張現実装置に含まれるマップ提供部および領域設定部の一動作例を説明するための図である。
【0033】
図1図7を参照すると、一実施形態において、スキャニングポイントSPは、ディスプレイ17の中心CPを基準に形成される複数の基準ライン上に配置することができる。例えば、図4に図示されているように、ディスプレイ17に含まれるすべてのスキャニングポイントSPをチェックする場合、ユーザ(患者)の疲労度が増加するだけでなく、検診時間が長くなり得る。このような問題を解決するために、複数の基準ラインを用いることができる。
【0034】
一実施形態において、スキャニング駆動部110は、ディスプレイ17の中心CPからの距離が遠い順に複数の基準ラインそれぞれに配置されるスキャニングポイントSPを駆動することができる。例えば、複数の基準ラインは、第1基準ラインRL1~第4基準ラインRL4を含むことができる。第1基準ラインRL1は、ディスプレイ17の左側上端角から右側下端角を連結する直線であることができ、第2基準ラインRL2は、ディスプレイ17の上端の中央から下端の中央を連結する直線であることができる。また、第3基準ラインRL3は、ディスプレイ17の右側上端角から左側下端角を連結する直線であることができ、第4基準ラインRL4は、ディスプレイ17の右側の中央から左側の中央を連結する直線であることができる。本発明による拡張現実装置10は、第1基準ラインRL1~第4基準ラインRL4上に配置されるスキャニングポイントSPのみを駆動して暗点マップAMPを構成することができる。
【0035】
一実施形態において、領域設定部200は、暗点マップAMPに含まれるスキャニングポイントSPのうち暗点に該当する暗点ポイントに応じて暗点領域MREを設定することができる。例えば、ユーザが「第1基準ラインRL1上に配置される最初のスキャニングポイントはターン-オンされた」という入力信号SSを提供する場合、暗点マップAMPに含まれる第1基準ラインRL1上に配置される最初のスキャニングポイントを赤色で表示することができる。スキャニング駆動部110が第1基準ラインRL1上に配置される最初のスキャニングポイントをターン-オンしたにもかかわらず、ユーザが「第1基準ラインRL1上に配置される最初のスキャニングポイントはターン-オフされた」という入力信号SSを提供する場合、暗点マップAMPに含まれる第1基準ラインRL1上に配置される最初のスキャニングポイントを白色で表示することができる。ここで、白色で表示されるスキャニングポイントが暗点ポイントであることができる。
【0036】
一実施形態において、領域設定部200は、複数の基準ライン上に配置される暗点ポイントの個数が相違する場合、暗点ポイントの個数が最も多く配置される選択基準ラインに配置される暗点ポイントの個数に応じて暗点領域MREを設定することができる。例えば、第2基準ラインRL2に配置される暗点ポイントの個数は5個とすることができ、第1基準ラインRL1、第3基準ラインRL3および第4基準ラインRL4に配置される暗点ポイントは4個とすることができる。この場合、第1基準ラインRL1~第4基準ラインRL4上に配置される暗点ポイントは、相違することができる。ここで、領域設定部200は、暗点ポイントの個数が最も多く配置される第2基準ラインRL2を選択基準ラインとして選択することができ、第2基準ラインRL2に配置される5個の暗点ポイントに基づいて暗点領域MREを設定することができる。
【0037】
また、他の方式として、領域設定部200は、暗点ポイントの個数が最も少なく配置される第1基準ラインRL1を選択基準ラインとして選択することができ、第1基準ラインRL1に配置される4個の暗点ポイントに基づいて暗点領域MREを設定することもできる。ここで、領域設定部200が暗点領域を設定する方式は、上述したことに限定されず、様々な方式により決定することができる。
【0038】
一実施形態において、暗点領域MREは、選択基準ラインに配置される暗点ポイントの個数に相当する長さを直径とする円の形態とすることができる。例えば、選択基準ラインは、第2基準ラインRL2であり、第2基準ラインRL2に配置される暗点ポイントの個数が5である場合、暗点ポイント5個に相当する長さは、第1長さD1であり得る。この場合、暗点領域MREは、ディスプレイ17の中心CPを基準に第1長さD1を有する円の領域であり得る。
【0039】
図8および図9は、図1の拡張現実装置に含まれる領域表示部の一動作例を説明するための図である。
【0040】
図1図9を参照すると、一実施形態において、領域表示部300は、領域区分装置310および領域選択部320をさらに含むことができる。領域区分装置310は、ディスプレイ17を複数の区分領域GREに区分することができる。例えば、複数の区分領域GREは、第1区分領域GRE1~第4区分領域GRE4を含むことができる。図9に図示されているように、第1区分領域GRE1は、ディスプレイ17の左側上端のうち暗点領域MRE以外の領域とすることができ、第2区分領域GRE2は、ディスプレイ17の右側上端のうち暗点領域MRE以外の領域とすることができる。また、第3区分領域GRE3は、ディスプレイ17の右側下端のうち暗点領域MRE以外の領域とすることができ、第4区分領域GRE4は、ディスプレイ17の左側下端のうち暗点領域MRE以外の領域であることができる。
【0041】
領域選択部320は、ユーザの入力信号SSにしたがって複数の区分領域GREのうち一つをディスプレイ領域DREとして選択することができる。例えば、ユーザの入力信号SSにしたがって第1区分領域GRE1~第4区分領域GRE4のうち一つの領域をディスプレイ領域DREとして選択し、暗点領域MREに相当する外部画像OIMをディスプレイすることができる。
【0042】
一実施形態において、領域選択部320は、ディスプレイ領域DREに相当する位置で予め定められた基準速度以上の物体OBの動きが検出される場合、ディスプレイ領域DREを物体OBの移動方向とは逆の方向に複数の区分領域GREのうち最も遠い区分領域をディスプレイ領域DREとして選択することができる。例えば、第1区分領域GRE1がディスプレイ領域DREであることができ、ディスプレイ領域DREによって、ユーザは、第1区分領域GRE1に相当する実際外部画像OIMは確認することができない。この場合、本発明による拡張現実装置10は、第1区分領域GRE1に相当する実際空間での物体OBの動きを感知し、物体OBの速度が基準速度以上であり、物体OBの運動方向が第1方向DR1である場合、領域選択部320は、ディスプレイ領域DREをディスプレイ内で第1方向DR1の逆の方向に最も遠く位置する第4区分領域GRE4に移動させることができる。
【0043】
図10は、図1の拡張現実装置の一実施形態を説明するための図であり、図11図13は、図1の拡張現実装置の他の実施形態を説明するための図である。
【0044】
図1図13を参照すると、一実施形態において、拡張現実装置10は、画像補正部330をさらに含むことができる。画像補正部は、ウェアラブルグラス15に含まれるカメラ16で撮影された外部画像OIMを拡大し、暗点領域MREに相当する外部画像OIMを暗点領域MREの外部にディスプレイすることができる。例えば、ユーザの暗点領域MREに物体OBや人が配置されて視野が遮断される場合、本発明による拡張現実装置10に含まれる画像補正部330は、カメラ16で撮影された画像を左側上端に拡大して、既存に暗点領域MREに配置されていた物体OBや人を暗点領域MREの外部に表示されるようにすることができる。
【0045】
また、一実施形態において、拡張現実装置10は、ウェアラブルグラス15に含まれるカメラ16で撮影された外部画像OIMを縮小し、ディスプレイ領域DREにディスプレイすることができる。例えば、患者に応じて、患者の視野のうち中央領域以外の残りの部分が暗点領域MREであり得る。この場合、画像補正部330を用いて、カメラ16で撮影された外部画像OIMを縮小し、中央領域により広い範囲が配置されるように制御することもできる。また、本発明による拡張現実装置10は、外部画像を移動、拡大、縮小する他に、アウトラインを強調するか、黒白で表示する方式などをはじめ、様々な方式で補正することができる。
【0046】
本発明による網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置10は、ディスプレイ17に含まれる複数のスキャニングポイントSPを順に駆動して、ユーザの入力信号SSにしたがってユーザの暗点をチェックした暗点マップAMPに基づいて暗点領域MREを設定し、暗点領域MREに相当する外部画像OIMをディスプレイ17に含まれるディスプレイ領域DREに表示することにより、網膜色素変性症および黄斑変性症患者の狭くなった視野を補償し、患者の生活の質を改善することができる。
【0047】
上記で言及された本発明の技術的課題の他にも、本発明の他の特徴および利点が以下に記述されるか、そのような技術および説明から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が明確に理解することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、網膜色素変性症および黄斑変性症患者のための拡張現実装置に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
10 拡張現実装置
100 マップ提供部
200 領域設定部
300 領域表示部
図1
図2
図3
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図5
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図10
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