(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】物件提案システム、物件提案方法、及び物件提案プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20250108BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2024025080
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523258388
【氏名又は名称】横田商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】横田 幸一
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-133204(JP,A)
【文献】特開2023-106054(JP,A)
【文献】特開2019-128713(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2204337(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2023-0036660(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2023-0174318(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2392558(KR,B1)
【文献】"製品紹介 写真を撮るだけで介護リフォームの見積作成ができるAIアプリを開発”,月刊シニアビジネスマーケット,綜合ユニコム(株),2018年03月01日,第15巻, 第3号,p.074
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物件提案システムであって、
業者と、業者が施工可能な作業の種類を示す情報と、作業ごとの費用を算出する基準となる情報とを関連付けた業者情報記憶手段、を有し、
プロセッサが、
前記業者が使用する業者端末から、前記業者が施工可能な作業の内容をあらわした所定の画像の登録を受け付ける第1受付ステップと、
建築された物件のイメージをあらわした複数の候補画像を
ユーザに提示する提示ステップと、
前記複数の候補画像から、ユーザの選択を受け付ける第
2受付ステップと、
第1人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の
施工内容の抽出を指示する
第1指示ステップと、
第2人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の施工が可能な業者の選定を指示する第2指示ステップと、
前記業者情報記憶手段を参照して、前記選択された候補画像中の物件の施工が可能な業者が
、前記施工内容に応じた施工を行う場合の費用の見積
を出力する
見積ステップと、を実行し、
前記第1人工知能は、
前記候補画像を入力として、
前記候補画像にあらわされた物件の
前記施工内容を出力とする
第1学習モデルを有
し、
前記第2人工知能は、前記業者と、前記第1受付ステップにより受け付けた前記所定の画像とを機械学習させた学習モデルであって、前記候補画像を入力として、前記候補画像と前記所定の画像との関係性から前記候補画像にあらわされた物件の施工が可能な業者を出力とする第2学習モデルを有する、
物件提案システム。
【請求項2】
選択された候補画像に基づき、売りに出されている土地の情報を記憶した土地情報記憶手段を参照して、選択された候補画像に即した売り土地を選定する土地選定ステップ、をさらに実行し、
前記見積ステップでは、さらに前記選定した売り土地の費用を含めた見積を出力する、
請求項1記載の物件提案システム。
【請求項3】
物件提案方法であって、
業者と、業者が施工可能な作業の種類を示す情報と、作業ごとの費用を算出する基準となる情報とを関連付けた業者情報記憶手段、を有し、
コンピュータにより、
前記業者が使用する業者端末から、前記業者が施工可能な作業の内容をあらわした所定の画像の登録を受け付ける第1受付ステップと、
建築された物件のイメージをあらわした複数の候補画像を
ユーザに提示する提示ステップと、
前記複数の候補画像から、ユーザの選択を受け付ける
第2受付ステップと、
第1人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の
施工内容の抽出を指示する
第1指示ステップと、
第2人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の施工が可能な業者の選定を指示する第2指示ステップと、
前記業者情報記憶手段を参照して、前記選択された候補画像中の物件の施工が可能な業者が、前記施工内容に応じた施工を行う場合の費用の見積
を出力する
見積ステップと、を実行し、
前記第1人工知能は、前記候補画像を入力として、
前記候補画像にあらわされた物件の
前記施工内容を出力とする
第1学習モデルを有
し、
前記第2人工知能は、前記業者と、前記第1受付ステップにより受け付けた前記所定の画像とを機械学習させた学習モデルであって、前記候補画像を入力として、前記候補画像と前記所定の画像との関係性から前記候補画像にあらわされた物件の施工が可能な業者を出力とする第2学習モデルを有する、
物件提案方法。
【請求項4】
物件提案プログラムであって、
業者と、業者が施工可能な作業の種類を示す情報と、作業ごとの費用を算出する基準となる情報とを関連付けた業者情報記憶手段、を有し、
コンピュータに対し、
前記業者が使用する業者端末から、前記業者が施工可能な作業の内容をあらわした所定の画像の登録を受け付ける第1受付ステップと、
建築された物件のイメージをあらわした複数の候補画像を
ユーザに提示する提示ステップと、
前記複数の候補画像から、ユーザの選択を受け付ける
第2受付ステップと、
第1人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の
施工内容の抽出を指示する
第1指示ステップと、
第2人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の施工が可能な業者の選定を指示する第2指示ステップと、
前記業者情報記憶手段を参照して、前記選択された候補画像中の物件の施工が可能な業者が前記施工内容に応じた施工を行う場合の費用の見積
を出力する
見積ステップと、を実行し、
前記第1人工知能は、前記候補画像を入力として、
前記候補画像にあらわされた物件の
前記施工内容を出力とする
第1学習モデルを有
し、
前記第2人工知能は、前記業者と、前記第1受付ステップにより受け付けた前記所定の画像とを機械学習させた学習モデルであって、前記候補画像を入力として、前記候補画像と前記所定の画像との関係性から前記候補画像にあらわされた物件の施工が可能な業者を出力とする第2学習モデルを有する、
物件提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物件提案システム、物件提案方法、及び物件提案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産業者が客に対し、いまだ建築していない建物の販売を提案する場合、客に具体的なイメージをもってもらうことが重要であり、また実際に建築したい際に不都合が生じないかどうかをしっかりと確認しておく必要がある。
【0003】
例えば特許文献1では、土地上に建物を建てた場合の具体的なイメージを三次元の合成イメージにより把握可能とする装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建築に関して特段の専門知識を有しない者からすると、自分が建てたい、あるいは住みたい物件の漠然としたイメージはあっても、それを専門の不動産業者に伝えることは難しいし、専門の不動産業者からしてもそのようイメージを正確に共有することは難しいため、イメージの共有には少なからぬコミュニケーションコストがかかる。また、客としては、いきなり専門の不動産業者に相談するよりも、まずは自分の望むような建物の建築がどの程度の費用で可能なものなのかを簡単に知りたいということも少なくない。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザが所望する物件のイメージを簡単に具体化させて、具体的な物件の販売提案を可能とすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る物件提案システムは、物件提案システムであって、プロセッサが、物件のイメージをあらわした複数の候補画像を提示する提示ステップと、前記複数の候補画像から、ユーザの選択を受け付ける第1の受付ステップと、第1人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の仕様の生成を指示する指示ステップと、前記物件の仕様に応じた施工が可能な業者と施工に要する費用の見積とを出力する出力ステップと、を実行し、前記第1人工知能は、選択された候補画像を入力として、当該選択された候補画像にあらわされた物件の仕様を出力とする学習モデルを有する。
【0008】
業者と、業者が施工可能な作業の種類を示す情報と、作業ごとの費用を算出する基準となる情報とを関連付けた業者情報記憶手段、を有し、前記出力ステップでは、第2人工知能に対し、前記業者情報記憶手段を参照させて、前記物件の仕様に応じた施工が可能な業者と施工に要する費用の見積とを出力させてもよい。
【0009】
前記業者が施工可能な作業の種類を示す情報は、業者が施工可能な作業の内容をあらわした画像であるものとしてもよい。
【0010】
前記業者が使用する業者端末から、前記業者が施工可能な作業の内容をあらわした画像の登録を受け付ける第2の受付ステップ、を有するものとしてもよい。
【0011】
前記学習モデルは、業者と、業者が施工可能な施工内容をあらわした画像とを機械学習したモデルであるものとしてもよい。
【0012】
前記業者が施工可能な施工内容をあらわした画像は、前記候補画像と同一の画像であるものとしてもよい。
【0013】
ユーザから特殊な施工の要望を受け付ける第三の受付ステップ、を有し、前記指示ステップでは、第1人工知能に対し、選択された候補画像中の物件に即し、前記ユーザから要望として受け付けた特殊な施工を反映した物品の仕様の生成を指示するものとしてもよい。
【0014】
前記指示ステップでは、前記第1人工知能に対し、選択された画像を入力とすると共に、売りに出されている土地の情報を記憶した土地情報記憶手段を参照させて、選択された画像に即した売り土地を選定させ、当該選定した売り土地に当該選択された画像にあらわされた物件を建てる場合の物件の仕様の生成を指示し、前記出力ステップでは、前記物件の仕様に応じた施工が可能な業者と施工に要する費用、及び前記選定した売り土地の費用の見積とを出力するものとしてもよい。
【0015】
本発明の別の観点に係る物件提案方法は、コンピュータにより、物件のイメージをあらわした複数の候補画像を提示する提示ステップと、前記複数の候補画像から、ユーザの選択を受け付ける受付ステップと、第1人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の仕様の生成を指示する指示ステップと、前記物件の仕様に応じた施工が可能な業者と施工に要する費用の見積とを出力する出力ステップと、を実行し、前記第1人工知能は、選択された候補画像を入力として、当該選択された候補画像にあらわされた物件の仕様を出力とする学習モデルを有する。
【0016】
本発明の別の観点に係る物件提案プログラムは、コンピュータに対し、物件のイメージをあらわした複数の候補画像を提示する提示ステップと、前記複数の候補画像から、ユーザの選択を受け付ける受付ステップと、第1人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の仕様の生成を指示する指示ステップと、前記物件の仕様に応じた施工が可能な業者と施工に要する費用の見積とを出力する出力ステップと、を実行させ、前記第1人工知能は、選択された候補画像を入力として、当該選択された候補画像にあらわされた物件の仕様を出力とする学習モデルを有する。
なお、コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザが所望する物件のイメージを簡単に具体化させて、具体的な物件の販売等の提案を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態にかかる物件提案システムの全体構成および機能構成を示す図である。
【
図2】上記物件提案システムにより実行される処理の流れの一例を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態にかかる物件提案システム1について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
●システム構成
図1に、本発明の実施形態に係る
物件提案システム1及びサーバ装置10の構成を示す
。
【0021】
物件提案システム1は、ネットワークNWを介して通信可能に構成されサーバ装置10とユーザ端末20により構成されている。
サーバ装置10は、ハードウェア装置により構成されてもよいし、一部又は全部の機能がクラウドコンピュータにより実現されていてもよい。また、サーバ装置10の各構成は、API(Application Programming Interface、アプリケーション・プログラミング・インタフェース)により実現されていてもよい。
サーバ装置10とユーザ端末20との相互の通信は、無線であってもよいし、有線であってもよい。
さらに、サーバ装置10は、複数のハードウェア構成により構成されていてもよい。この場合に、当該複数のハードウェア構成は有線又は無線により接続され、互いに情報の送受信が行われてよい。
【0022】
●ユーザ端末20
ユーザ端末20は、ユーザが操作する端末であり、例えばスマートホンやタブレット端末、パーソナルコンピュータである。ユーザ端末20は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などにより、主として、出力部21、操作受付部22、通信処理部23からなる機能ブロックを構成する。
【0023】
出力部21は、例えばデータを表示するためのディスプレイ等によって実現される、いわゆる表示部である。出力部21には、サーバ装置10から受信した、ユーザに対する情報が表示される。なお、出力部21は、音声を出力するスピーカ等を備えてもよい。
【0024】
操作受付部22は、データを入力するためのタッチパネル、キーボード、マウス、又はマイク等によって実現される。
【0025】
通信処理部23は、インターネット等のネットワークNWを介し、サーバ装置10と所定のプロトコルに従ったデータの送受信処理を実行可能とする処理部であって、アプリまたはWebブラウザ等により実現される。
【0026】
●サーバ装置10
ここで、
図1を用いて、サーバ装置10の構成を説明する。サーバ装置10は、ネットワークNWを介してユーザ端末20とデータをやり取りしながら、物件の提案処理を実行する情報処理装置である。サーバ装置10は、画像データベースDB1、土地情報データベースDB2、業者情報データベースDB3を記憶している。
【0027】
画像データベースDB1は、物件のイメージをあらわした候補画像を記憶している。ここにいう物件は、土地とその土地上に建築された建物である。また、物件のイメージとは、物件の具体的な内容をあらわしたものであって、例えば土地とその土地に建築された建物の外観をあらわしたものである。
【0028】
この候補画像は、実際の建物を撮像した写真のデータであってもよいし、合成画像やイラスト画像などであってもよい。また、候補画像は、インターネット上等から収集されたものであってもよいし、ユーザによって提供されたものであってもよい。
一の物件のイメージをあらわす候補画像は、複数の画像で構成されていてもよい。例えば、一の物件のあらわす候補画像が、外観と内観それぞれをあらわす二つの画像で構成されていてもよい。また、各候補画像に対して、候補画像にあらわされた物件の内容を説明する情報が付与されていてもよい。
なお、候補画像のデータ形式は、サーバ装置10が読み込める形式のものであれば特に限定されない。
【0029】
土地情報データベースDB2は、現実に売りに出されている土地の情報を記憶している。
土地の情報には、例えば、場所を示す住所、面積、土地形状のほか、売り値や周辺環境に係る情報など、およそ土地上に建物を建築する際に必要とされる情報や土地を購入する客が確認を要する情報が広く含まれる。また、土地の二次元あるいは三次元イメージが含まれてもよい。
【0030】
業者情報データベースDB3は、建築する建物の仕様に応じて各種の施工を行う業者に関する情報を記憶している。
業者の情報には、業者の名称や所在地等の基本情報に加え、業者ごとに施工可能な作業の種類、作業ごとの費用を算出する基準となる作業単価など、所定の作業の施工可否や作業の費用見積の基準となる情報が含まれる。
また、業者のスケジュールや作業に要する期間に係る情報が含まれていてもよく、これにより業者が作業を受注できるタイミングや、所定の作業を業者に発注した場合にかかる期間などを把握できる。
【0031】
また、業者ごとに施工可能な作業の種類を示す情報として、業者が実際に施工した作業をあらわす画像や業者が施工可能な作業をあらわした画像が登録されるようになっていてもよい。このような画像の登録は、所定のウェブページ上において、業者が使用する端末から受け付けられるようになっていてもよい。また、画像は、業者自らが用意したものを、所定のウェブページを介して業者情報データベースDB3に登録できるようになっていてもよいし、予め用意された、各種の作業をあらわした画像を業者に選択させ、選択を行った業者に当該画像を関連付けて登録できるようになっていてもよい。また、ユーザが候補画像として選択する画像と同一の画像を、業者が実際に施工可能な作業をあらわす画像として登録する画像に用いてもよい。
【0032】
図1に示すように、サーバ装置10は、CPU(Central Processing Unit、特許請求の範囲におけるプロセッサの例である)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などにより、主として、表示制御部11、記憶制御部12、AI制御部13、人工知能部14、通信処理部15からなる各機能ブロックを構成する。
【0033】
表示制御部11は、物件提案システム1に関する画面をユーザ端末20に表示させるための処理を実行する。表示制御部11は、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)ファイルの生成及び送信等の処理を行い、ユーザが本システムで物件の提案を受ける上で閲覧する画面としてのウェブページをユーザ端末20に表示させる。なお、表示制御部11は、物件提案システム1を利用するためのアプリケーションの表示用データの生成及び送信等の処理を行ってもよい。
【0034】
記憶制御部12は、サーバ装置10が備える適宜の記憶装置を制御し、データの書き込みおよび読み出しを行う機能部である。記憶制御部12は、例えば、所定の登録画面を介して受け付けた情報を各データベースDB1、DB2、DB3に記憶させる。
【0035】
AI制御部13は、人工知能部14への入力を制御する機能部である。AI制御部13は、ユーザにより選択入力された物件のイメージをあらわした候補画像を入力として、当該候補画像にあらわれた物件の仕様を出力することを命令するプロンプトを生成する。また、AI制御部13は、物件の仕様に応じた施工が可能な業者と施工に要する費用の見積を出力することを命令するプロンプトを生成する。なお、プロンプトは、人工知能部14に対し生成内容を指示する情報であり、例えば自然言語により記述された文字列である。
【0036】
人工知能部14は、BART(Bidirectional and Auto-regressive Transformer)、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)、又はGPT(Generative Pretrained Transformer、GPT-1、GPT-2、GPT-3を含む)等を含むトランスフォーマ等の言語モデル、特に大規模言語モデル(LLM、Large Language Models)等の学習モデルを備えるAIである。
学習モデル(機械学習モデルとも言う)とは、機械学習アルゴリズムによる学習モデルをいう。機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木及びサポートベクターマシン等が挙げられる。また、ニューラルネットワークを利用して、学習するための特徴量、結合重み付け係数を自ら生成する深層学習(ディープラーニング)も挙げられる。人工知能部14は、上記のアルゴリズムを適宜適用することができる。
【0037】
人工知能部14は、教師あり学習、教師なし学習、又は自己教師あり学習等の学習方法によって構築された学習済みモデルを人工知能として有する。教師あり学習では、教師データ(学習データ)を用いて機械学習を行う。教師データは、学習用の入力データ及び出力データ(正解データ)のペアで構成される。また、言語モデルは、特定のタスクのために訓練されたものだけでなく、幅広いタスクに対して汎用的に用いることができる汎用モデルであってもよい。
【0038】
人工知能部14に含まれる人工知能は、事前に適切な学習データを得ているが、追加の学習を行うことが可能である。例えば、物件のイメージをあらわした画像のみを入力データとして大量に与えてもよい。また、物件のイメージをあらわした画像と、当該イメージ中の物件の仕様とをペアにした教師データセットを用いてファインチューニングを行ってもよい。また、物件提案システム1を実際に稼働しているなかで、ユーザが選択した候補画像に対応して人工知能部14が生成した物件の仕様に対するフィードバックとして、修正用データセットを用意してファインチューニングを行ってもよい。これにより学習モデルから出力される内容が最適化される。
また、サーバ装置10に業者情報データベースDB3を参照させ、業者と、業者が施工可能な施工内容をあらわした画像とを機械学習させてもよい。これにより、ユーザにより選択された候補画像と、各業者が施工可能な施工内容をあらわした画像との関係性に基づき、当該施工画像にあらわされた物件の施工が可能な業者の有無や選定を適切に実行させることができる。特に、ユーザが候補画像として選択する画像と同一の画像を、業者が実際に施工可能な作業をあらわす画像として用いている場合には、施工業者の選定がより確かなものとなる。
【0039】
本実施形態において、人工知能部14が備える学習モデルは、ユーザにより選択された候補画像を入力として、当該選択された候補画像にあらわされた物件の仕様を出力とすることができる。これにより人工知能部14は、機能実行の一例において、ユーザにより選択入力された物件のイメージをあらわした候補画像を入力として、AI制御部13により生成されたプロンプトに基づき、当該候補画像にあらわれた物件の仕様を生成し、出力する。
【0040】
物件の仕様とは、物件の間取りや土地に対する建物の向き(方角)、施工内容など、土地上に建物を建築する際に必要となる建物の情報である。この物件の仕様に係る情報によれば、建物を建築する際、どのような種類の作業が必要となるかを把握できるし、そのような仕様の建物を建築するのに必要な土地の形状や面積なども把握できる。
【0041】
人工知能部14は、機能実行の他の一例において、物件の仕様に係る情報を入力として、AI制御部13により生成されたプロンプトに基づき、物件の提案情報を生成し、出力する。
物件の提案情報とは、選択された候補画像にあらわされた物件を実際に提供する場合のシミュレーションン情報であり、当該物件に近しい実際の売り土地、当該物件と同様の物件を施工が可能な業者、これら売り土地や施工などの諸費用の見積などをまとめたものである。ユーザは、人工知能部14により生成された提案情報を参照することにより、自らが希望する物件が、実際的にはどのような費用や場所において購入できるのかを把握できる。
【0042】
なお、物件の提案情報の生成は、人工知能部14が有する学習モデルによって実行できるほか、RAG(検索拡張生成 Retrieval Augmented Generation)により土地情報データベースDB2及び/又は業者情報データベースDB3の情報を参照させて最適化させてもよい。即ち、ユーザが選択した候補画像に即した物件の提案において、人工知能部14に対するプロンプトにおいて、土地については土地情報データベースDB2に登録されているものから選択するように当該土地情報データベースDB2を参照させる命令をいれる。これにより、架空の土地や売りに出されていないような土地ではなく、現実に入手可能な土地を前提として、ユーザの希望に即した物件がどのような費用や施工業者によって入手できるものかを把握できるように提案できる。また、同様に人工知能部14に対するプロンプトにおいて、業者情報については業者情報データベースDB3に登録されている情報に基づくように業者情報データベースDB3を参照させる命令をいれる。これにより、より実際的な見積や施工内容を明らかにできるし、業者情報としてスケジュールを参照すれば施工に要する期間なども見通せる。
【0043】
通信処理部15は、インターネット等のネットワークNWを介し、ユーザ端末20と所定のプロトコルに従ったデータの送受信処理を実行可能とする処理部である。通信処理部15は、ユーザ端末20から提案の要望等を受信したり、人工知能部14により生成された、物件の提案に係る情報をユーザ端末20に送信したりする。
【0044】
この通信処理部15により、サーバ装置10はユーザ端末20を介して、物件のイメージをあらわした複数の候補画像をユーザに提示する。
【0045】
また、この通信処理部15により、サーバ装置10は以下の情報をユーザ端末20から受け付ける。
即ち、一の例において、通信処理部15はユーザ端末20から、物件をあらわした複数の候補画像から、ユーザの選択を受け付ける。
【0046】
また、他の一の例において、通信処理部15はユーザ端末20から、業者が使用する業者端末等から、業者が施工可能な作業の内容をあらわした画像の登録を受け付ける。業者が施工可能な作業の内容をあらわした画像は、例えば業者情報データベースDB3に登録してもよい。
【0047】
また、他の一の例において、通信処理部15はユーザ端末20から、ユーザによる物件に対する追加要望を受け付ける。物件に対する追加要望とは、例えば特殊な施工の要望など、ユーザが選択した候補画像にあらわされた物件に対する追加的な施工の要望である。候補画像の選択のみによっては、ユーザの細かな希望を反映しきれない場合もあり、そのような場合に候補画像の選択とは別に追加要望を付けることができれば便利である。追加要望は例えば、候補画像の選択とは別に設けられ、任意に選択可能な項目としてユーザに提供されていてもよい。任意に選択可能な項目は、テキスト形式で案内されるものであってもよいし、画像形式で案内されるものであってもよい。
また、他の追加要望として、場所、建物や土地の面積、予算などを入力できるようになっていてもよい。
これらの追加要望は、AI制御部13により生成される、人工知能部14に対するプロンプトの一部を構成し、これにより当該追加要望を加味した物件の仕様の生成と出力をサーバ装置10に要求できる。
【0048】
●処理フロー
図2に示すように、まず、サーバ装置10は、画像データベースDB1を参照し、ユーザ端末20に対して複数の候補画像を送信して、所望の物件の選択を要求する(ステップS101)。ユーザはこれに応じて、自分の希望に合致する物件をあらわした候補画像を選択する(ステップS102)。なお、ユーザが候補画像の選択と合わせて、物件に対する追加要望を入力できるようになっていてもよい。
【0049】
AI制御部13は、人工知能部14に対し、ユーザにより選択された候補画像を入力として、当該候補画像にあらわれた物件の仕様を出力させる(ステップS103)。
AI制御部13は、人工知能部14に土地情報データベースDB2と業者情報データベースDB3を参照させて(ステップS104、S105)、候補画像によりあらわされた物件のイメージに即した売り土地を選定させると共に、物件の仕様に応じた具体的な施工内容と費用の見積、さらには施工が可能な業者の情報などを出力させる(ステップS106)。
出力された情報は、物件の提案情報としてユーザ端末20に送信される(ステップS107)。
【0050】
上述の通り、本発明に係る物件提案システム1によれば、漠然としたイメージからでもユーザの希望する物件の具体的にし、実際的な物件の提案を行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、ユーザの追加要望の一つとして、あるいは別途の追加要望としてさらに詳細な要望をユーザ側の条件として取り入れて物件提案に反映させてもよい。
例えば、ユーザが候補画像を選択する際に、予算や施工時期又は施工期間を条件として入力できるようにしてもよい。この場合、例えばAI制御部13は、人工知能部14に対するプロンプトに当該条件を反映させた結果の生成の命令を組み込んでもよく、かかる命令は、学習済データに基づいて結果を生成することを要求するものであってもよいし、業者情報データベースDB3を参照して結果を生成することを要求するものであってもよい。
また、人工知能部14によって生成された物件の提案情報について、上記したユーザの予算や施工時期に基づいた絞り込みを可能にしてもよい。また、サーバ装置10から、物件の提案情報に含まれる施工可能業者の業者端末に対し、ユーザが要望する予算や施工時期の要求を送信すると共に、業者端末から受信した当該要求に対する回答をユーザ端末20に送信するようにしてもよい。
【0052】
また、人工知能部14によって生成された物件の仕様情報に基づき、業者情報データベースDB3を参照して、当該仕様情報に即した施工が可能な業者を判別する判別処理部をサーバ装置10に備えさせてもよい。この場合、判別処理部は、仕様情報のみならず、別途ユーザから受け付けた予算や施工時期又は施工期間などの条件も踏まえて施工が可能な業者を判別してもよい。なお、例えば予算は、施工業者による単価等に基づいて判別され、施工時期や施工期間は施工業者のスケジュール情報から判別される。
【符号の説明】
【0053】
1 物件提案システム
10 サーバ装置
11 表示制御部
12 記憶制御部
13 AI制御部
14 人工知能部
15 通信処理部
DB1 画像情報データベース
DB2 業者情報データベース
DB3 土地情報データベース
20 ユーザ端末
【要約】
【課題】ユーザが所望する物件のイメージを簡単に具体化させて、具体的な物件の販売提案を可能とする。
【解決手段】プロセッサが、物件のイメージをあらわした複数の候補画像を提示する提示ステップと、前記複数の候補画像から、ユーザの選択を受け付ける第1の受付ステップと、第1人工知能に対し、選択された候補画像中の物件の仕様の生成を指示する指示ステップと、前記物件の仕様に応じた施工が可能な業者と施工に要する費用の見積とを出力する出力ステップと、を実行し、前記第1人工知能は、選択された候補画像を入力として、当該選択された候補画像にあらわされた物件の仕様を出力とする学習モデルを有する物件提案システム1。
【選択図】
図1