(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】ヒールフラットソール
(51)【国際特許分類】
A43B 17/02 20060101AFI20250108BHJP
A43B 17/14 20060101ALI20250108BHJP
A43B 17/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A43B17/02
A43B17/14
A43B17/00 E
(21)【出願番号】P 2024080502
(22)【出願日】2024-05-16
【審査請求日】2024-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】324003668
【氏名又は名称】稲増 圭重
(74)【代理人】
【識別番号】100081581
【氏名又は名称】内山 美奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100081581
【氏名又は名称】内山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】稲増 圭重
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3049265(JP,U)
【文献】登録実用新案第3180040(JP,U)
【文献】特開平05-154007(JP,A)
【文献】特開2001-095605(JP,A)
【文献】特開2013-063196(JP,A)
【文献】特開昭58-190401(JP,A)
【文献】特開平03-251203(JP,A)
【文献】登録実用新案第3177013(JP,U)
【文献】特開平09-070302(JP,A)
【文献】特開2019-042144(JP,A)
【文献】特開2017-176490(JP,A)
【文献】米国特許第2601509(US,A)
【文献】実開昭57-197206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 17/02
A43B 17/14
A43B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に対して外側に傾きのある靴の内底面の中敷の下にセットして使用するヒールフラットソールであって、靴の内底面を地面に対して水平にすることを特徴とするヒールフラットソール。
【請求項2】
足が本来保有しているアーチを下から支えない形状とし、前に進むことだけを前提に制作せず、人間本来の足の動きとして、後ろ、横、斜め方向への動きや立ったり座ったり、立ち止まったりといった様々な動きが必要になることに対応するため、ヒールフラットソール自体に前傾角度を設けないようにしたことを特徴とする請求項1記載のヒールフラットソール。
【請求項3】
地面に対して外側に傾きのある靴の影響で、本来踵3母指球2小指球1の割合での体重分配が踵と小指球に増加した体重分配となった状態を本発明のヒールフラットソールによって、本来の分配に修正する効果をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載のヒールフラットソール。
【請求項4】
地面に対して外側に傾きのある靴の内底面の中敷きの下にセットして使用するヒールフラットソールであって、踵に接する面から順に上パーツ、中パーツ、下パーツの3層構造で構成し、上パーツより下パーツを小さくし、かつ内側の支えをなくし、3層すべての構成要素である中足部外側傾きを補正する中足部プレートは一定幅で中足骨までの傾きを補正し、靴の内底面を地面に対して水平に補正することを特徴とするヒールフラットソール。
【請求項5】
該上パーツ、該中パーツ、該下パーツは靴の外側の傾き補正のために長さを使用者の足サイズの50%から70% 踵幅を該上パーツは70%から90%、該中パーツは中央部から踵部にかけて上パーツより小さめで踵方向に幅が小さくなっており、該下パーツは中央部以外は1cmから2cmの幅形状としたこと特徴とする請求項4に記載のヒールフラットソール。
【請求項6】
地面に対して外側に傾きのあるスニーカーの内底面の中敷の下にセットして使用するヒールフラットソールであって、踵に接する面から順に上パーツ、中パーツ、下パーツの3層構造の少なくとも2層構造以上で構成し、上パーツより下パーツを小さくし、かつ内側の支えをなくし、3層構造とする場合には、中パーツの外側中足部補正部分である中足部プレート長さを上パーツの中足部プレートの半分とし、下パーツの中足部プレート長さを1cmとした形状を有し、靴の内底面を地面に対して水平にすることを特徴とするスニーカー用ヒールフラットソール。
【請求項7】
本発明のスポーツシューズ用ヒールフラットソールは、一般のスポーツシューズが内側縦アーチを盛り上げており、上げれば上げるほど靴内底面の外側傾きがひどくなるため、請求項6記載のスニーカー用ヒールフラットソールより外側の傾きの矯正高さを大きくした形状を有することを特徴とするスポーツシューズ用ヒールフラットソール。
【請求項8】
地面に対して外側に傾きのある靴の内底面の傾きを調整する方法であって、靴の内底面の中敷きの下にセットして内底面を地面に対して水平に調整することを特徴とする靴の内底面の傾きを調整する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に内底面が外側に傾いている靴に入れた足の踵の水平を維持し、アーチを支持しないインソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在販売されている多くのパンプスをはじめとする靴の形状は、足関節の底屈回外位、すなわちつま先が下にさがり、足の裏が内側に向くためそれに合わせて作成されている。そのため靴の内部は水平となっておらず、内底面は外側に2~5度程度傾きが見られる。そのため、履くと自然と外側に荷重が掛かりやすくなり、踏ん張る時に足趾(指)の屈曲+回外、すなわち足の指が握るように曲がりながらつま先が下にさがり足の裏が内側に向く状態が生じるが、これは足の構造に起因する。
足の距骨下関節が回外することで踏ん張ることができず前滑りする原因となる。また足趾がつま先の形状に押され内側に流れるため母趾と小趾が圧迫され外反母趾、内反小趾、すなわち小指が内側に曲がるようになる原因につながる。
【0003】
また距骨下関節が回外することで外側により体重がかかり靴が脱げやすくなる。
靴の形状に関しては、踵の乗るスペースが短く全体が前外側に傾いている。足の動きを考えると踵が乗る部分は平坦の方が良い。
外側に傾いていることによる影響として靴の中での前滑りによる足の痛み、滑ることでより踏ん張るため足の疲労度、外側に倒れやすいため靴が脱げやすく、内反小趾変形、すなわち小指が内側に曲がることによる小指の変形や足関節内反捻挫、すなわち足関節が内側に曲がることによる捻挫や転倒の原因の一つとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
足関節の正常の動きにおいて内果と外果(いわゆる両くるぶし)では内果より外果が後下方に位置するため、自然とつま先が下を向き足が内側に向きやすい構造となっており、正常の足関節底屈動作では回外動作、すなわちつま先が下にさがり、足の裏が内側に向いてしまう。
そのため正常な静止時の足を型どった木型で作られている靴の形状では、つま先が下にさがり、足の裏が内側に向くため、足関節回外位となり、捻挫が起こりやすいことが考えられる。このことから特にヒールの高い靴を作るときに足関節をまっすぐの位置で底屈させた状態となるような構造の靴が好ましい。
しかし、現在このような靴は製造されていないため、靴の内底の傾きを補正するインソールの開発が必須となる。
【0006】
上記先行文献では、インソールを足の形状(土踏まずや踵)に対して作成している。土踏まずの高さは足の形状ではなく骨の位置で確認するため、見た目の足の形状ではわからないはずである。また人の足の大きさ、長さなどはもちろんアーチの変化量も様々なためアーチの高さについても標準はないはずである。
踵を支える形状を水平面にするとされているが、靴の中が傾いているためカップ型にするだけでは水平面にはならない。
また踵は内側に倒れたり、外側に倒れたりするのでカップ形状にしてしまうとその動きを阻害してしまい違う所に負担がかかってくるので好ましくない。
【0007】
そして本願との大きな違いは本願ではアーチ部分の支持を行わない点であることと、本願では足指のあたる前方部分は靴によって大きく異なるため、あえて前方部分を設けていない点である。
さらに本願では衝撃吸収素材に関しては、足そのもので衝撃吸収できる構造となっているためクッションなどは必要なく、足の衝撃吸収機能が行えるように靴の中の環境を整えることが最も大切であると考えていることである。
本来自然の体の作用として体重をかけた時に踵が内側に倒れて土踏まずが潰れる動きが出来るようになっているため、これを妨げないことが大切であって、その考えをもとに発明されたのが本願である。また靴のアウトソールが地面からの衝撃吸収を行っているのでそれで充分であり、さらに衝撃吸収を行うとフワフワのスポンジの上にいることになるためより体は緊張して疲れやすくなる。このことは砂浜の上を歩くより畳の上を歩く方が楽であることから明白である。
【0008】
どのインソールにも共通していえることは足の動きを考えずにアーチを下から支えたり、素材で衝撃を逃がしたりとするモノが多くみられ、足の形状しか見ておらず、足の形状に合わせてインソールを作製するため、問題が生じている。足は足場の形状に合わせて形を変える機能を持っているため複雑な動きが可能である。足のある一定の形状にのみ合わせたインソールはその動きを制限してしまう。
実際足の形状に合わせて作ったインソールが痛くて履けないといった患者がたくさん存在している。靴の現状を考えず、足の動きのことも考慮しないで製造されているインソールが多く出回っている。
これらの問題を解決するために、本発明者は日々試行錯誤を繰り返し本発明を完成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のヒールフラットソールは、上記した課題を解決するために、地面に対して左右各外側に傾いている内底面を有する靴の中敷き内に挿入して使用するインソールであって、靴の中に入れた足の踵を地面に水平となるように靴内底面の各外側高さを補正することを要旨とする。
【0010】
本発明のヒールフラットソールは、上記した課題を解決するために、さらに、足が本来保有しているアーチを変形させて衝撃を吸収する機能を阻害しないように、アーチを下から支えない形状としていることを要旨とする。
【0011】
本発明のヒールフラットソールは、は上記した課題を解決するために、前に進むことだけを前提に制作せず、人間本来の足の動きとして、後ろ、横、斜め方向への動きや立ったり座ったり、立ち止まったりといった様々な動きが必要になることを考慮し、前傾角度を設けないようにしたことを要旨とする。
【0012】
本発明のヒールフラットソールは、上記した課題を解決するために、少なくとも上パーツ、中パーツ、下パーツのいずれかで構成される層構造あるいは一体成型としたことを要旨とする。
【0013】
本発明のヒールフラットソールは、上記した課題を解決するために、過度のクッション性を求めず、素材は樹脂、高反発素材 革など硬度が70-90程度である素材であれば限定はない。 半年以上において毎日使用した場合にも形状の崩れがなく、変形しない硬度であればよい。
【0014】
本発明のヒールフラットソールは、上記した課題を解決するために、前足部がない形状であることを要旨とする。
【0015】
本発明のパンプス用ヒールフラットソールは上記した課題を解決するために、上パーツ、中パーツ、下パーツとも外側の補正のために長さを使用者の足サイズの50%から70% 幅を上パーツは70%から90%、中パーツは中央部から踵部にかけて上パーツより小さめで踵方向に幅が小さくなっており、下パーツは中央部以外は1cmから2cmの形状としたことを要旨とする。
【0016】
本発明のスニーカー用ヒールフラットソールは、上記した課題を解決するために、パーツを最低2枚以上、上パーツと中パーツの構成とし、3枚構成の場合には前方のバー(中足部プレート)部分の中パーツを上パーツに比べて長さ半分とし、下パーツ長さを1cmとした形状を有することを要旨とする。
【0017】
本発明のスポーツシューズ用ヒールフラットソールは、一般のスポーツシューズが内側縦アーチを盛り上げているため、上げれば上げるほど靴内底の外側傾きがひどくなるため、スニーカー用より外側の傾きの矯正高さを大きくした形状を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
靴そのものが人の足の形状を基本に作成されているため、靴の内底面は外側に5度ほど傾いており、その傾きを補正して靴の中の内底面を地面に対して水平にすることで、踵が動きやすく足の筋肉を自然に使えるような効果をもたらし、前滑り軽減や足趾の変形予防や靴脱げ軽減が図れる。またアーチを変形させて衝撃を吸収する機能を阻害しないように、アーチを下から支えない形状としていることにより、本来の足がもっているアーチを崩して衝撃を吸収する機能が発揮でき歩行中の足の痛み軽減や疲れ軽減ひいては浮腫等が軽減する。また足指のあたる前方部分は靴によって大きく異なるためにあえて前方部分を設けていない。このことから本発明は汎用的に多くの靴に対して使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例1のインソールの上パーツの一例と部分の名称を白枠で囲った数字に対応させて示した説明図である。
【
図2】本発明の実施例1のインソールの中パーツの一例と部分の名称を白枠で囲った数字に対応させて示した説明図である。
【
図3】本発明の実施例1のインソールの下パーツの一例と部分の名称を白枠で囲った数字に対応させて示した説明図である。
【
図4】本発明の実施例1のインソールの上パーツの各部の寸法を直線表示で示した説明図である。
【
図5】本発明の実施例1のインソールの中パーツの各部の寸法を直線表示で示した説明図である。
【
図6】本発明の実施例1のインソールの下パーツの各部の寸法を直線表示で示した説明図である。
【
図7】本発明の実施例1のインソールの裏側からみた全体図説明図であり、中パーツ下パーツの上パーツに対して大きさが順に小さくなっていることを示す図である。
【
図8】靴にインソールを装着して足を靴に挿入した状態で縦断面して踵面を地面に対して水平状況に補正していることを示した断面図である。
【
図9】靴にインソールを装着した場合に足裏とインソールの対応位置関係を示す概略説明図である。
【
図16】本発明のスニーカー用インソールの実施例の一つを示す上パーツの平面説明図である。
【
図17】本発明のスニーカー用インソールの実施例の一つを示す中パーツの平面説明図である。
【
図18】本発明のスニーカー用インソールの実施例の一つを示す下パーツの平面説明図である
【
図19】本発明のスニーカー用のインソールの実施例の一つを示す全体を裏側から示す説明図であり、中パーツ下パーツの上パーツに対して大きさが小さくなっていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
本発明の一実施例について、
図1~
図9を参照しながら説明する。なお
図4-6図には丸に数字を入れて各部の長さを示している。またこの長さの表示は以下のサイズ展開で示す表2にも用いられているが、明細書においては丸に数字が表示できないため、()数字で示している。
図1~
図7はパンプスについての左足用インソールに関する。複雑な足の構造と靴の構造の欠陥に対応するため、本発明のインソールは基本的に3層構造で構成している。それぞれを3層の位置によって上パーツ(
図1図4)中パーツ(
図2図5)下パーツ(
図3図6)を示し、3層合体したものを裏側から示したものが
図7である。これを靴の元から敷かれている中敷きの下に上パーツを上方向にして、2の部分を踵が乗り、靴の外側にヒートフラットソールの側面をあて後ろ側は後方一杯の位置にセットして使用する(
図9参照)。各図は白い囲み線で各部位を数字で特定し、各部分の名前やサイズ(白直線)を
図4-6図で示しているが、各部位はつながっている。インソールのの形状に関しては、パンプスの形状はヒールが高く足関節底屈位(つま先が下を向く)となる構造のため足のアーチについての考えは必要ない。足の衝撃吸収機構であるトラス機構(足裏に体重がかかる時にアーチが下がり接地面を大きくし衝撃を分散する役割)が使えないため、アーチが自然に働くように支持しないということも考慮しなくてよいといえる。 以下表1に日本皮革産業連合会2021年足サイズ計測事業報告書を示す。
【0021】
【表1】
外果ー踵距離 MLーH
内果ー踵距離 MMーH
踵幅18% HM1ーHL1
踵幅16% HM2ーHL2
半足幅外 BLーPL
外不踏長 BLーH
【0022】
上記報告書の外果―踵距離(ML-H
図10参照)と外踏まず長の長さ(BL―H)を参考にして踵が乗る部位2と3の領域(
図1~
図3)と外側を支持する長さ(4)の設定を行った。踵のみが乗る長さではなく外側支持機構である立方骨、第4、5中足骨(
図11・12を参照)を支えられる幅とした。この幅に関しても上記「0021」日本皮革産業連合会2021年足サイズ計測事業報告書の半足幅外(BL―PL)を基準に第4趾と第5趾の中足骨が乗る1/2の幅で設定した。
中足部プレートの幅(5)を日本人の足幅にするために、半足幅外を参考に設定した。半足幅外は踵と第2趾(示指)を結んだ縦線と母趾(親指)と小趾(小指)の付け根を結んだ横線の交わったと点から小趾(小指)の付け根までの距離(
図10FM-BL)である。
また靴には振り角度があり約4°から8°外側に振っている(
図13の右上方向の矢印)。そのためこのインソールは5°+1°で6°内側に振る(
図4-6の斜め線69)ようにした。靴とインソールを同じ外側方向に向くように装着するため踵が乗る面を内側に傾けることにより足が真っ直ぐ向くように設定した。この向きがあっていないと足の裏に違和感が生じた。靴と足の向きを合わせ足の裏の違和感をなくす設定になっている。踵が乗るヒールスタンドは足と同じ正面を向く。
【0023】
図1-3に示す3枚のパーツからなるインソールの特徴は
後足部:踵骨の内返し、すなわち踵が外側に倒れる(足の回外における踵の動き)を止めるために外側を高く内側は低く設計している。
中足部:立方骨、第4、5中足部(薬指と小指の付け根の手前側)を下から支える位置までの長さとしている。
前足部:足趾(足の指)が入る部分は靴によって違うためあえて前足部(足の付け根の母指球と小指球より前側)は無い形状にした。
図1は上パーツであり、
図4にその各部の長さを白線と数字で示す。1は中足部プレート、2はヒールスタンドであり、1と2が合わさって足の左側を20mm前後の幅130mm前後の長さで支えており、靴の内底面の外側への傾きを補う部分である。靴を履いた場合の足関節底屈位、すなわちつま先が下を向く形での安定性を考慮すると外側の高さを補正する形状にする必要がある。小指までの全長を支えるようにしていないのは、足のアーチは母指球と小指球の付け根で終わりそれ以上長いと足指の動きを制限してしまう恐れがある事と靴のつま先の形状の種類が多いこと、母指球と小指球より前の長さと高さも靴によって違うためである。
【0024】
次に2は踵の乗る部分であり、踵を地面に水平に支える部分となる。しかし従来の中敷きのようにそれは踵全体幅を覆うのではなく、38mmから62mm程度の実際の踵幅の80%程度となっている。内側の支えを無くすことで靴内底部の外側への傾きを補正するのに、外側の補正を多くして内側の補正を少なくし、靴を履いた場合の踵を地面に対して水平となるように工夫している。なおこの2の幅は仮に踵全体を覆うようにしてもかまわない。外側の傾斜を補正するのは、中パーツ下パーツにおいて上パーツに比べ小さくしていることで傾きをもたらすようにしているためである。2のヒールスタンドの縦方向の長さ(2の踵長)はほぼ安定的に踵を水平に保つために74mmから86mm程度の長さ、すなわち踵の大半の部分を覆う形状となっている。靴の傾きによって踵が外側に倒れやすいため
図5の中パーツの(3)は距骨下関節(踵骨と踵で作られる関節)の外返し(踵が内側に倒れる)を行いやすくするために上のパーツ
図4の(3)よりやや小さいサイズとなっている。このサイズと形状にした理由は全体の内側へ行くほど厚さを薄くする位置をできるだけ内側に設けて(70%~90%程度)、しっかりと外側の高さ補正を維持して内側近くでなだらかに厚さを減少することにより踵を水平に保つ効果を狙ったものである。
【0025】
そして下パーツは
図3図6の形状をしており、中足部プレート1と同じ幅で踵方向に伸びるヒールプレート2そして中央部に内側に伸びるサポートプレート3の部分から構成されている。このパーツの働きは外側の矯正をメインとし、サポート部分において、踵前長さ5(
図6)は10mmから16mm程度であるが幅としては中パーツと同じ幅まで設けている。これは靴の前方傾斜を緩やかにするための土手の部分でもあり後方への傾斜を生み出す場所でもある。いわば中足部が高さを矯正されるため、前滑りすることを防止することが可能となる。さらに、踵骨が中間位で補正されると踵骨が靴に引っかかり脱げづらくなる。これら3つの異なる形のパーツを組み合わせることで傾斜を作り足の動きにあった靴の形に近づけ靴と足の適合性を上げることができる。本来の足の動きができる環境にするインソールである。
【0026】
このヒートアップソールの各サイズ別の設計にあたり、まず実際に販売されているパンプスのヒールの高さと傾きについて、傾斜に関しては丸型水準器を使用して計測した。結果は以下の通りである。
ヒールの高さ:2.5cm、傾き:外側の傾き2°
ヒールの高さ:4.0cm、傾き:外側の傾き2°
ヒールの高さ:4.5cm、傾き:外側の傾き2°
ヒールの高さ:6.5cm、傾き:外側の傾き3°
ヒールの高さ:9.5cm、傾き:外側の傾き3°
このことから、ヒールの高さが4.5cmを超えると外側への傾きが多くなることがわかる。
【0027】
この外側の傾きを補正するため、本発明のパンプス用のインソールの厚みと傾きは以下のように構成している。
外側の厚み:3mm、傾き:内側2-3°←ヒールの高さが4.5cm以下の
パンプスに適用
外側の厚み:5mm、傾き:内側3-4°←ヒールの高さが4.5cmを超え
るパンプスに適用
ヒールの高さが4.5cm以下の場合は、外側への傾きが2°あるためその場合は内側へ2-3°の傾きのあるヒールフラットソールを使用し踵は水平からやや内側に傾くようにする。すなわち
図7のヒールフラットソールを裏返して上パーツを上にして水平なところに踵支えるヒールスタンド2を手前にして置くと、内側に傾く。中パーツ、下パーツの厚みを内側に行くほど低くしているためである。この内側の傾きで外側に傾いている靴の内底面の外側への傾きを相殺して水平にすることができる。ヒールの高さが4.5cmを超える場合は、外側への傾きが3°あるためその場合は内側へ3-4°の傾きのあるヒールフラットソールを使用し踵は水平からやや内側に傾くようにする。6mmの厚さを試したところインソールの傾きが内側に5°傾いたことにより踵が内側に倒れるのが強まり足の内側に荷重がかかり過ぎ外果(外くるぶし)下方や足底部(踵部)にやや痛みが生じた。厚みの幅は7mmとするとまたインソール自体の厚みが出過ぎたことにより靴が脱げやすい傾向がみられた。よって6mm以上は足に負担がかかり痛みが生じることが判明した。
そして内側角度を1度プラスしているのは歩く時に外側に体重がかかりやすいためそれを防ぐことと、足の指を使いやすくして歩きやすくする効果を狙った理由からである。 以上から厚み幅は3mmから6mm傾きは2°から4°が好ましい。
【0028】
靴の外側への傾きをインソールの内側への傾きで靴の傾斜を打ち消すことで踵骨が中間位から外返し、すなわち踵が真ん中から内側に倒れる位置となり小趾側(小指)に乗っていた荷重が母趾側(親指)にも乗り重心が安定した位置となる。
足関節底屈位、すなわちつま先が下に下がる状態では踵骨が中間位から回内位、つまり踵が真ん中央から内側に倒れる状態になることで足趾(足の指)全体に体重が乗り外側に流れる動きを止める事が出来る。また足部全体が接地することで足趾(足の指)が使えるようになり踏ん張りやすくなる。なお各パーツの境界線すなわち端(外周厚さ)は靴中軸内に挿入した場合に違和感を少しでも無くす方向とするために急に厚みを持たせるのではなく、少しなだらかに徐々に厚みが生じるように面取りなどを施しても良いことはもちろんである。
【0029】
インソールの上記構造では中パーツ下パーツが踵後方を削っていることから後方への傾斜もあり後方へ少し傾く。前方への傾斜がやや緩やかになることで前滑りが軽減する。また前方にはインソールを設けないため、足趾(足の指)全体が接地していることで足趾(足の指)で踏ん張ることができるため前すべりの軽減にもつながる。
外側への傾斜があることで足は内側(足の裏が内を向き甲が外を向く)を向きやすく、また踏ん張る時に足趾(足の指)が屈曲(曲がる)するとさらに内側を向きやすくなる。足関節底屈(つま先を下にさげる)させる筋の走行によっても回外(つま先が下にさがり、足の裏が内側に向く)が生じるため、このことによりパンプスのつま先の形状に足趾(足の指)が当たりより小趾(小指)が内側に押される内反小趾(小指が内側を向く)に繋がりやすい。そのため傾斜を無くすことにより物理的な小趾(小指)側の負担軽減も行え、内反小趾(小指が内側を向く)の予防にもつながる。
【0030】
以上に示す測定値と靴についてのグレーディング(パターンの拡大縮小)原則、すなわち全長0.5cm長くなるのに対して幅1.5mm大きくなることを応用して、本発明のヒートフラットソールのサイズを足のサイズごとに以下に示す。
XSは(20.0cm)・Sは(22.0cm)・Mは(24.0cm)・Lは(26.0cm)・XLは(28.0cm)を示す。サイズが2cm刻みのため各サイズ全体を6mm拡大縮小する設定となる。
(1)から(8)は
図1から
図4~6図の各部分の長さを示す数字に対応している。
【表2】
採用する素材としては同様の硬度を有するものであれば高反発素材や革等インソールとしてある程度の期間の使用に耐え全体重がかかった状態での歩行においても変形することなくインソールとして適したものであればどのようなものでも良い。
EVAを例にして示すと以下のものを想定している。
EVA硬さ:60-90 これ以外の素材でも同等の硬さを有するものは採用可能である。
EVA硬さ:35 は柔らかすぎるため支えられなかった
図8は実際にパンプスに本発明のヒールフラットソールを靴に右足を挿入した場合の地面に対する靴、インソール、踵の状態を説明した縦断面図である。
そこに示すように本発明のヒートフラットソールを装着した場合、靴が外側に傾いているのにかかわらず、挿入した踵は地面に対して水平になっていることがわかる。
【0031】
パンプスの靴について足に合わず悩んでいる方、特に自分専用のインソールを高価な費用をかけて作成したがやっぱり合わず痛くて使用できないと悩んでいる方へ本発明のヒールフラットソールを試してもらったアンケート結果を記載する。
アンケートでたずねた質問は多くの女性が悩んでいることから生じる問題に関する項目であるパンプスの着用時間、足の疲れ、痛み、パカパカ脱げる、前に滑るなどである。インソールなしでの着用時間は30分未満が50%、半日(4~5時間)が25%、1日中(6~8時間)が25%に対してインソール着用後は30分未満が25%、1日中(6~8時間)が75%に改善がみられた。
悩みに関しても疲れる75%、足が痛い50%、パカパカ脱げる25%、前に滑る75%がインソール着用後、疲れずらい50%足の痛みの軽減25%、脱げづらくなった75%、前滑り軽減50%と改善がみられた。
【0032】
これらの悩みが改善したのは踵の乗る位置の平坦化と外側傾斜が改善されことが影響している。パンプス内での足の位置が安定したことにより本来の動きを行えるようになったことである。踵骨が中間位で保持されることで足部の内在筋(足裏にある筋肉)の筋活動が増え足趾の踏ん張りが効くことで前滑りが軽減したことによりつま先に当たりづらくなり痛みが軽減した。また踵が外側に倒れづらくなったことで足首も外側に倒れなくなり履き口が広がらずにすむこと脱げづらくなったと考えられる。疲労に関しても足の動きが関与するため前に滑る、痛みがある、脱げやすいなどは足を過度に緊張させる要因が認められたための疲労であったと思われる。それらの要因が軽減したことにより疲労が軽減したと考えられる。以上の悩みの軽減がパンプスの着用時間の延長に繋がった。外側への傾斜が改善されることでパンプスの着用時の悩みが改善され質の良い生活に繋がった。
【実施例2】
【0033】
本実施例はスニーカーについてのものである。
日本で販売されているスニーカーとスポーツシューズではスポーツシューズの方が靴の内底面の傾きが強い傾向がある。これは木型設計時における何らかの原因、靴の地面との接地位置(親指の付け根の関節と小指の付け根を結んだ線)の誤りなどが考えられる。
また衝撃吸収を目的にしている構造が多くスポンジ素材などの柔らかい素材を使っていることなどによって靴が歪んでいることが考えられる。足の自然な動きなどの動作に関して考えていないのが現状である。
【0034】
母趾球と小趾球を結んだ線が歩いた時に曲がる位置になる。靴の曲がる位置もその位置で曲がる靴が良い靴と言われている(
図14のDが良い靴)。
ヒールが高くなるにつれ接地位置は前に移動する。これはつま先立ちと同じことになるので親指と小指を結んだ線より接地位置が前に移動していく。
図15の斜線部分が接地位置である。ヒールの高さが上がるとこの位置は前になる。
しかし販売されている靴(スニーカー、パンプス、革靴)はこの二つを結んだ線の手前踵側で接地されている靴がほぼ全てである。すなわち母趾球と小趾球を結んだ線が踵側に寄っている。
また裸足で立った時に、
図13に示す母趾球(親指の付け根の下)、小趾球(小指の付け根の下)、かかとの3点で体重を支えることになる(それらを結ぶと逆三角形の形となる)。足の体重分配は3(踵)対2(母指球)対1(小指球)の割合とされている。 そして靴の地面との接地位置は、
図15に示す斜線の部分であるべきところ、靴に外側に傾斜があることから足の体重を支える構造とズレていることに関係してこの割合が崩れて踵と小指球側の割合が増えることが考えられる。ヒールフラットインソールはこのバランスを修正することも可能としている。
【0035】
スニーカーにおいて靴の内底面の傾きを丸型水準器を使用して計測した。結果は以下の通りである。
外側への傾き1-4°であった。
この外側の傾きを補正するため、本発明のスニーカー用のインソールの厚みと傾きは以下のように構成している。
インソールの厚みと傾き
厚み:5mm、傾き:内側2-3°←アウトソールが厚く柔らかいもの
厚み:3mm、傾き:内側1-2°←アウトソールが薄く固いもの
スニーカーのアウトソールの擦り減り方で踵の外側が削れることがよくあると思うが、本来擦り減る場所は踵の真ん中である。これは昔から言われており、最近の研究でも同じことが言われている。しかし日本で売られている靴で真ん中が擦り減ることはほとんど見かけない。これはパンプス同様にスニーカーの内底面の外側も低くなっていることが影響している。
インソールの形状はパンプスとほぼ同じだがヒールの高さと外側傾斜が違うためそれを考慮した構造となっている。
【0036】
図16に示すように一番上の上パーツはパンプスと同じ形状で踵と中足部を支える形状となっている。これはパンプスと同じくスニーカーでも外側が低くなっているためそれを支える形状になっている。2枚目の中パーツはパンプスと同様に距骨下関節(踵骨と踵で作られる関節)の外返し(踵が内側に倒れる)を行いやすくするために上のパーツよりやや小さいサイズとなっている。このサイズと形状にした理由は全体の傾斜角度調整と足底部(足の裏)に生じた疼痛である。パンプスの中パーツより踵幅後ろを1cm幅を広げ1°傾きを緩やかにし靴の傾斜をフラット近づく設定にしている。靴の中が平らになることで足趾(足の指)が動かしやすくなりその人が本来持っている足の動きを行いやすくすることできる。
中足部プレートの前方部分を上パーツの中足部プレートより半分の長さとしている。これは外側縦アーチ(踵と小指の付け根のアーチ)の足の安定性に関係する役割を阻害しないように、すなわち外側縦アーチ(踵と小指の付け根のアーチ)が当たらない高さにすることで短く設定した。パンプスと違いスニーカーには前側の傾斜がないため中足部プレートが厚すぎることで荷重時に第5中足骨が持ち上げられ過ぎてしまい違和感または痛みが生じてしまう。そのため外側の傾斜と外側縦アーチ(踵と小指の付け根のアーチ)を考慮した長さとなっている。
【0037】
大きく異なるのは後方の踵が乗る部分のヒールティルドである
図17)。この部分に関しては距骨下関節(踵骨と踵で作られる関節)の外返し(踵が内側に倒れる)を誘導するために上のパーツよりやや小さいサイズとなっている。このサイズにした理由は全体の傾斜角度調整と足底部(足の裏)に生じた疼痛である。スニーカーに必要な角度を作る際に適した幅となっている。1cm幅を広げると1°傾きが緩やかになる。
よってスニーカー専用の場合は1cm幅を広げ1°傾きを緩やかにすることで足の違和感が軽減する)また後方部分を前内側から後外側にかけて斜めにカットした形状にした際に足底部(足の裏)に疼痛が生じた。これは感覚受容器(触れる、圧が加わるなどの受容器)が足底には多く存在するため斜めにカットした形状部分が当たり刺激となったことによって生じた。そのため足底部に当たり感が無い形状にするために階段状(
図17に線で示している 右側の外形ライン 縦方向にまっすぐ斜め左方向続いてまっすぐに下方向)の形状となっている。内側の幅が1cm短い理由としては、内側縦アーチ(踵から親指の付け根までのアーチ)がある場所になるため骨の支持性が必要無い(踵から親指の付け根までの間の骨は浮いているため)ため短くしている。またアーチを下から支えることで足の衝撃吸収機構であるトラス機構(足裏に体重がかかる時にアーチが下がり接地面を大きくし衝撃を分散する役割)を阻害してしまい足に負担が掛かる恐れがあるため支持しない形状となっている。
【0038】
3枚目の一番下の中足部プレートも2枚目の中足部プレートと同じ理由で短く設定した。外側の支持ができる長さを考慮して一番上の中足部プレートの約1/4の長さに設定している。
パンプス用と同様にスニーカー用のインソールも内側縦アーチ(踵から親指の付け根のアーチ)を下から支えない形状にした。これは内側縦アーチの衝撃を分散する役割を阻害しないためである。過度に下から支えることで足本来の動きができず、アーチの役割を阻害してしまう。足の安定性に関与する外側縦アーチ(踵と小指の付け根のアーチ)と衝撃の分散に関与する内側縦アーチの二つのアーチを効率よく使うためには、靴の中が安定した環境にする必要がある。足の機能を効率よく使い体の負担を減らす形状となっている。
スニーカー用のインソールを入れて歩行を行うと靴の擦り減りが真ん中に修正された。これはスニーカー内部の傾きが解消されたことによって起こった結果である。履く頻度の高い靴での外側荷重が解消することで体への負担も変わってくることが考えられる。
以下にアンケート結果を示す。
スニーカーにヒールフラットソールを入れる前と入れた後で足の指の使い方が変わり蹴り出しやすくなったとの意見や足のむくみが減った、長い時間歩いても膝の痛みが減った、股関節の痛みが減ったなどの意見が多く得られた。本発明によって効果が得られていることがわかる。
【実施例3】
【0039】
スポーツシューズ (傾き:外側の傾き1-4°)についての実施例を説明する。
スポーツシューズはインソールだけでなく靴の構造で内側縦アーチ(踵から親指の付け根のアーチ:土踏まず)を持ち上げているのもある。そのため靴内部で傾斜が生じスニーカーより傾斜がキツくなっている。アーチが高い方が良いという考えから内部構造を工夫しているのではないかと考えられるがそれが悪影響に繋がっている。
また体にかかる負荷が大きいスポーツ程、靴の構造や素材を工夫するが履いた時の実際の足の状態に関して考慮されていない。そのため運動時において履いてうまく運動できる靴と、工夫が返って足の動きを阻害してうまく運動できない靴が存在している。例えばバレーボールやゴルフの構え姿勢や投球動作などの片足立ちをした時に足の外側に体重がかかりやすく体が傾くことが多いことから靴内部での傾きがあることが考えられる。
【0040】
本発明のヒールフラットソールのスポーツシューズ用の具体的サイズ形状についてはスニーカーと同様に傾斜に関してはパンプスより傾きを減らしている。スポーツは前後方向だけでなく、色々な方向に動くため傾きが強すぎることにより動作の誘導が強くなったり、動作に制限をかけてしまう恐れがあるためその点を考慮した傾きとなっている。
以下のような形状となる。
厚み:5mm、傾き:内側2-3°←マラソンなどアウトソールやインソールに厚みがあるもの
厚み:3mm、傾き:内側1-2°←室内競技などアウトソールやインソールが薄いもの
パーツの構造はスニーカー用と同じで足のアーチを考慮した構造となっている。本実施例は3層構造のパーツを構成するのではなく、一体成型している。3層でなくても足の乗る位置における厚みをそれぞれ目的に合わせて変化させていれば2層あるいは3層で形成する必要はなく、一体成型でも同様の効果が得られる。何かで足を支えるのではなく足本来の機能を効率よく使うことに重点を置いており、スポーツする人本来の動きができるように足の動きを制限しない厚み、傾斜に設定することで本来持っている足の動きが使えより快適にスポーツを行うことができるインソールの提供となる。
【0041】
また外側縦アーチ(踵と小指の付け根のアーチ)は内側縦アーチ(踵から親指の付け根のアーチ:土踏まず)より高さがないため中足部プレートに厚みがあることで第5中足骨に当たり痛みや違和感が生じる。そのため2枚目の中足部プレートの長さを半分、一番下の3枚目を1cmにすることで外側縦アーチ(踵と小指の付け根のアーチ)を阻害しないようにした。
開発したインソールを入れることで構えた時の重心が中央に安定し、足の踏ん張りが効きやすくなったり、投球動作でよりスムーズで安定した投球動作を提供することができた。
以下にアンケート結果を示す。
ゴルフをする方からの意見ではアドレス(構え)の時に足の踏ん張りが効きやすくなり、体のブレが減ったとの感想が多かった。
また野球をする方からの意見では投球動作時の片足立ちが楽にできるようになった、靴の中で足が遊ばなくなったなどの意見が多かった。
陸上の短距離を走る方からは、意識せずに母指球で蹴れるようになったとの意見があった。総合するとスポーツシューズに本発明のインソールを用いると意識して足で踏ん張る動作や足の指で蹴る動作がなくなることによってスポーツ動作がより行いやすく安定する結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、地面に対して靴の中に入れた足の踵が地面に水平となるように傾いている靴底面の外側高さを補正するものであって、この補正によって踵が安定してバランスを保つことができる。また足が本来保有しているアーチを下から支えない形状としたことで人間本来の足の動きとして、後ろ、横、斜め方向への動きや立ったり座ったり、立ち止まったりといった様々な動きがスムーズに行えるように靴内の環境を整えるものであり、全人類の歩行における多くの問題を解決するものであって幅広く社会全体の人々の靴トラブルの解決に向け寄与するもので産業上の利用可能性を有する。
【要約】 (修正有)
【課題】内底面が外側に傾いている靴に入れた足の踵の水平を維持し、アーチを支持しないインソールに関する。
【解決手段】地面に対して靴の中に入れた足の踵が地面に水平となるように傾いている靴底面の外側高さを補正し、靴の内底の傾きを補正し、足が本来保有しているアーチを下から支えない形状とし、人間本来の足の動きとして、後ろ、横、斜め方向への動きや立ったり座ったり、立ち止まったりといった様々な動きが必要になることを考慮し、前傾角度を設けないようにした。
【選択図】
図8