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特許7614689移動体の経路生成システム、経路生成方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】移動体の経路生成システム、経路生成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/628 20240101AFI20250108BHJP
   G05D 1/672 20240101ALI20250108BHJP
   G05D 1/246 20240101ALI20250108BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20250108BHJP
   G05D 1/225 20240101ALI20250108BHJP
   G05D 1/646 20240101ALI20250108BHJP
【FI】
G05D1/628
G05D1/672
G05D1/246
G05D1/43
G05D1/225
G05D1/646
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024178386
(22)【出願日】2024-10-10
(62)【分割の表示】P 2024130722の分割
【原出願日】2024-03-21
【審査請求日】2024-11-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521293800
【氏名又は名称】株式会社LexxPluss
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松田 錬磨
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-062935(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053798(WO,A1)
【文献】特開2013-041527(JP,A)
【文献】特開2023-147640(JP,A)
【文献】特開2022-075659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を実行する制御部を備え、
前記移動体は、搬送対象物を連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行し、
前記搬送車に前記搬送対象物が連結されている場合、前記制御部は、前記搬送車に対する前記搬送対象物の相対角度に基づいて、前記移動体の存在領域を推定し、
前記移動体の存在領域の形状は、前記搬送車に対する前記搬送対象物の相対角度の変化に応じて変化し、
前記搬送車は検出部を有し、
前記検出部は、前記搬送車が前記搬送対象物の下側に潜り込んだ状態で、前記搬送対象物の複数の車輪部の位置を検出するセンサを含み、
前記制御部は、前記センサで検出した前記複数の車輪部の位置に基づいて、前記搬送対象物の相対角度を推定する、移動体の経路生成システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記搬送対象物の4つの車輪部の位置を検出するセンサを含み、
前記制御部は、前記搬送車に前記搬送対象物が連結されている場合、前記4つの車輪部の位置と、予め記憶された前記4つの車輪部に対する前記搬送対象物の外形形状に基づいて、前記移動体の存在領域情報を推定する、請求項1に記載の経路生成システム。
【請求項3】
前記搬送車は、前記搬送対象物の車輪の太さを検出するセンサを含み、
前記制御部は、予め記憶された搬送対象物の種類又は搬送対象物の寸法の情報から、前記車輪の太さに対応する情報を取得し、
取得した搬送対象物の種類又は搬送対象物の寸法の情報に基づいて、前記移動体の存在領域情報を推定する、請求項1又は2に記載の経路生成システム。
【請求項4】
現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を制御部が実行し、
前記移動体は、搬送対象物を回動可能に連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行し、
前記搬送車に前記搬送対象物が連結されている場合、前記制御部は、前記搬送車に対する前記搬送対象物の相対角度に基づいて、前記移動体の存在領域を推定し、
前記移動体の存在領域の形状は、前記搬送車に対する前記搬送対象物の相対角度の変化に応じて変化し、
前記搬送車は検出部を有し、
前記検出部は、前記搬送車が前記搬送対象物の下側に潜り込んだ状態で、前記搬送対象物の複数の車輪部の位置を検出するセンサを含み、
前記制御部は、前記センサで検出した前記複数の車輪部の位置に基づいて、前記搬送対象物の相対角度を推定する、移動体の経路生成方法。
【請求項5】
現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を制御部に実行させ、
前記移動体は、搬送対象物を回動可能に連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行し、
前記搬送車に前記搬送対象物が連結されている場合、前記制御部は、前記搬送車に対する前記搬送対象物の相対角度に基づいて、前記移動体の存在領域を推定し、
前記移動体の存在領域の形状は、前記搬送車に対する前記搬送対象物の相対角度の変化に応じて変化し、
前記搬送車は検出部を有し、
前記検出部は、前記搬送車が前記搬送対象物の下側に潜り込んだ状態で、前記搬送対象物の複数の車輪部の位置を検出するセンサを含み、
前記制御部は、前記センサで検出した前記複数の車輪部の位置に基づいて、前記搬送対象物の相対角度を推定する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体の経路生成システム、経路生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造工場などの施設内において、各種物品の搬送に無人搬送車を活用することが検討されている。無人搬送車で物品を搬送する場合、現在地から目的地までの走行経路を生成して、生成した走行経路に沿って目標地点まで自律的に走行する場合がある。特許文献1には、障害物を避けて走行するように走行経路を生成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-144771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された走行経路の生成方法は、無人搬送車等の移動体の形状が一定である前提で経路を生成している。そのため、移動体の外形の変化に対応しておらず、効率性及び安全性の点で改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動体の外形に応じた最適な移動経路を生成可能な移動体の経路生成システム、経路生成方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を実行する制御部を備え、
前記移動体は、搬送対象物を連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行する、移動体の経路生成システムが提供される。
【0007】
また本開示によれば、現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を制御部が実行し、
前記移動体は、搬送対象物を連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行する、移動体の経路生成方法が提供される。
【0008】
また本開示によれば、現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を制御部に実行させ、
前記移動体は、搬送対象物を連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行する、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、移動体の外形に応じた最適な移動経路を生成可能な移動体の経路生成システム、経路生成方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るコストマップ及び搬送車の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る移動体の一例を示す平面図である。
図3】本実施形態に係る移動体の他の例を示す平面図である。
図4】本実施形態に係る移動体の他の例を示す平面図である。
図5】本実施形態に係る移動経路生成方法のフローの一例を示す図である。
図6】本実施形態に係るシステムで生成される移動経路の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る搬送対象物が搬送車に対して回動した状態を示す平面図である。
図8】本実施形態に係る移動体の存在領域の一例を示す平面図である。
図9】本実施形態に係る搬送車の一例を示す斜視図である。
図10】本実施形態に係る搬送車の他の例を示す斜視図である。
図11】本実施形態に係る搬送車の一例を示す下面図である。
図12】本実施形態に係る搬送システムの全体構成図の一例を示す図である。
図13】本実施形態における統括制御装置の構成図である。
図14】本実施形態に係る搬送車の機能構成図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
本実施形態の経路生成システムは、例えば、製造工場、物流倉庫などにおいて、各種製造部品、荷物等の搬送物を搬送するために用いられる無人搬送車(以下、単に「搬送車」とも称する。)を含む移動体の移動経路を生成するために用いられる。
【0013】
図1は、本実施形態において、コストマップに基づいて生成される移動体1の移動経路Rの一例を示す。コストマップ情報は、移動体1が走行する施設内など現実空間に対応する地図データに、障害物からの距離に基づくコストが設定されたものである。コストマップには、現実空間の壁や柱、物体、人、他の搬送車等に対応する障害物のデータが設定される。障害物のデータは予めコストマップと共に記憶されていてもよいし、搬送車が取得するセンサデータに基づいて生成もしくは更新されてもよい。制御部は、コストマップ情報を所定期間ごとに繰り返し更新することが好ましい。
【0014】
図1に示すように、地図データ全体の領域を多数の区画(小領域)に分割した区画ごとにコストを設定することができる。各区画は、例えば全て同一形状の正方形とすることができるが、これに限られない。記憶部には、上記コストマップ情報が記憶される。
【0015】
図1のコストマップでは、壁等の障害物Aからの距離に基づいたコストが設定されている。コストは、搬送車の走行経路を生成する際に用いる数値であり、走行が困難な領域になるほど大きい数値が設定される。例えば、図1の障害物が存在する区画A(最も色が濃い領域)のコストを「100」、障害物の区画Aに隣接する区画B(2番目に色が濃い領域)のコストを「10」、それ以外の区画C(最も色が薄い領域)のコストを「0」等として、障害物に近い区画ほどコスト値が大きくなるように3段階で設定してもよい。あるいは、区画Bの隣の区画のコストを「5」等に設定して4段階としてもよいし、2段階でも5段階以上でもよく、他の方法で設定してもよい。
【0016】
また、コストが一定数以上の領域を通行回避領域(インフレーションエリア)として記憶してもよい。例えば、コストが1以上の領域を通行回避領域と設定する場合、コストが5の領域と、コストが100の領域が通行回避領域となる。このような通行回避領域のコストの条件は、システム管理者又はユーザが適宜設定したり、変更(更新)したりすることができる。通行回避領域の情報は、制御部が移動経路を生成する際に参照することができる。制御部は、移動体の存在領域が通行回避領域に干渉しないように移動経路を生成することができる。移動経路は、直線又は曲線を含む連続した線状とすることができ、平面視で、当該線状の移動経路上を搬送車の中心又は旋回中心またはライン検出部等の所定の位置が通過するように搬送車の走行が制御される。
【0017】
図1の地図データには、移動体1の現在の存在領域が示される。移動体1は、図2に示すように、搬送車10に連結装置20で搬送対象物30(台車等)が連結された搬送装置であってもよいし、図3に示すように、搬送車10に連結装置20が取り付けられたものでもよいし、搬送車10単体でもよい。
【0018】
移動体1の存在領域は、少なくとも平面視で移動体1の外形を表す外形線(外枠)で囲まれる領域とすることができる。存在領域は、搬送車と、搬送車に連結される連結物(連結装置及び搬送対象物)との凸包とすることができる。例えば、図2図3の例では、仮想線Lを含む外形線の内側の領域を存在領域とすることができる。また、図4に示すように、搬送車10が搬送対象物30の下側に潜り込んだ状態で搬送対象物30を搬送する場合、存在領域は搬送対象物30の外形線(図4の例では長方形)で囲まれる領域であってもよい。
【0019】
記憶部には、上記のコストマップに関する情報、及び、搬送車10、連結装置20、搬送対象物30等の移動体の外形、各種寸法等を含む情報が予め記憶される。外形情報は、平面視での移動体の2次元データ又は3次元データを含んでもよい。また、例えば、図2に示すように、軸部11の中心(軸線)から搬送対象物の後端までの距離d1、軸線から搬送対象物の前端までの距離d6、搬送対象物の幅w1、図3に示す軸線から連結装置20の後端までの距離d2、連結装置20の幅w2、図3に示す搬送対象物の幅w3、長さ(奥行)d3、奥行方向における搬送車の中心から前方の長さd4、後方の長さd5、相対的な角度θの情報を含んでもよい。また、これらの情報の何れかは、搬送車に設けた検出部で取得した情報から推定してもよい。例えば、軸線から搬送対象物の前端までの距離d6は、搬送車に設けた測距センサで検出することができ、あるいは、搬送対象物の幅w1は、LiDARセンサ等の情報から取得することができる。制御部は、移動体1の状態に応じて、移動体1の存在領域を推定する。移動体1の状態は、連結装置20、搬送対象物30それぞれが搬送車10に連結されているか否かに関する情報、また連結されている場合、搬送車10に対する姿勢(相対角度)の情報を含む。
【0020】
制御部は、コストマップ情報と、移動体の現在の存在領域情報と、所定の目標位置の情報と、に基づいて、目標位置までの移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を実行する。
【0021】
なお、制御部は、目標位置が複数設定される場合、目標位置に応じて複数の移動経路を生成することができる。例えば、目標位置として、最終的な目的地と、途中の経由地の2つの地点(座標)の情報が入力された場合、目的地までの第1移動経路と、経由地までの第2移動経路を生成することができる。制御部は、複数の移動経路のうち、予め定められた優先順位に基づいて移動経路を決定することができる。例えば、上記の例では、目的地までの第1移動経路よりも、手前にある経由地までの第2移動経路を優先してもよいし、その逆でもよい。目的地までの第1移動経路よりも、手前にある経由地までの第2移動経路を優先する場合、第2移動経路を通るように搬送車を走行制御し、経由地に到達した段階で、再度、目的地までの移動経路を生成したり、次の経由地(目的地よりも手前にある位置)までの移動経路を生成したりしてもよい。
【0022】
制御部は、移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに搬送車に搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行する。移動体の現在の位置及び姿勢の情報は、後述する位置推定部265、姿勢検出部235等により取得又は推定することができる。外形情報は、例えば、搬送車10単体の場合の外形形状、搬送車10に連結装置20が取り付けられており搬送対象物30は連結されていない場合の外形形状、連結装置20によって搬送車10に搬送対象物30が連結されている場合の外形形状をそれぞれ予め記憶部に記憶して、参照することができる。また、形状の異なる複数種類の搬送対象物30が存在する場合、搬送対象物30の種類に応じた外形形状を記憶しておくことができる。制御部は、搬送車の検出部(カメラ又はセンサ等)で取得した情報、ユーザからの入力情報、外部装置や施設内のカメラ、センサ等から送信される情報に基づいて、現在の移動体の外形形状を推定することができる。例えば、搬送車に設けたセンサで搬送対象物や連結装置の連結有無を検出することで、制御部は、当該検出情報に基づいて、搬送車に搬送対象物や連結装置のそれぞれが連結されているか否かを推定することができる。また制御部は、搬送車の検出部(カメラ又はセンサ等)で取得した情報、ユーザからの入力情報、外部装置や施設内のカメラ、センサ等から送信される情報に基づいて、現在の搬送者に対する連結装置又は搬送対象物の相対角度を推定することができる。例えば、搬送車に設けたセンサで搬送対象物の相対角度を検出することができる。
【0023】
図5に示すように、本実施形態のシステムにおいては、まず、経路生成条件情報を記憶する(S101)。経路生成条件情報は、例えば、走行エリアの現実空間に対応する2次元又は3次元のマップ情報、コストの設定条件に関するコスト関連情報、通行回避領域の設定条件に関する通行回避領域情報、移動体の種類、外形形状に関する移動体関連情報、等を含む。ユーザの入力情報等に基づいて予め記憶部に記憶することができる。
【0024】
次いで、現在の移動体の存在領域を推定する(S102)。例えば、検出部で取得した情報に基づいて、搬送車の位置、姿勢(向き)、連結装置及び搬送対象物それぞれの連結有無及び相対角度を推定し、これらの情報から、図1に示すようなコストマップ上での現在の移動体の存在領域を推定することができる。なお、予め記憶部に記憶した情報、推定した情報、生成した移動経路の情報等は、外部の装置に送信したり、表示部に表示させたりすることができる。これによりユーザは、例えば図1に示すコストマップ上での移動体の現在の存在領域および移動経路等を確認することができる。
【0025】
そして、制御部は、コストマップ、現在の移動体の存在領域、及び目標位置の情報に基づいて、コストの合計値が最小で移動距離も最小となる最短の移動経路を生成する(S103)。目標位置の情報は、例えば、ユーザの入力情報に基づいて、予め記憶部に記憶され、ユーザからの入力情報や外部装置から送信される目標位置更新情報に基づいて、随時更新されるようにしてもよい。
【0026】
そして、生成した移動経路に基づいて駆動部が制御され、移動経路に沿って目標位置に搬送車が移動する(S104)。搬送車は目標位置に到達すると停止し、新たな目標位置が設定されると再度、現在の存在領域を推定し、移動経路を生成する。また、目標位置に到達する前にも、繰り返し現在の存在領域の推定処理と移動経路の生成処理を実行してもよい。例えば、移動経路に沿って移動する過程で、物体や人等の障害物を検出した場合、一時的に移動を停止したり、障害物を回避するために移動経路から離脱して移動したりする場合がある。その場合、停止又は離脱した時点での移動体の存在領域の推定処理と移動経路の生成処理を実行することで、常に最適な移動経路を選択することができる。また、このような移動経路の生成は、一定期間(1秒ごと、10秒ごと、1分ごと等、任意に設定可能)ごとに繰り返し行うようにしてもよいし、移動した距離(1mごと、10mごと、100mごと等、任意に設定可能)に基づいて繰り返し行うようにしてもよいし、他の予め定められた条件に基づいて、期間及び移動距離に関係なく行うようにしてもよい。他の条件とは例えば、障害物を検出した、接触した、回避動作をした、搬送対象物を連結した、連結を解除した、ユーザから所定の入力を受け付けた、外部装置から所定の情報を受信した、コストマップが更新された、所定角度を超えて旋回した(所定期間における搬送車の向きの変化が所定値以上である)、所定値以上の加速度を検出した(所定期間内での速度変化が所定値以上)、等の何れか、または複数の組み合わせとすることができる。
【0027】
以上の通り、本実施形態にあっては、搬送車に搬送対象物が連結されているか否かに基づいて現在の存在領域を推定し、移動経路を生成することができる。そのため、例えば搬送車単体または連結装置のみが取り付けられた状態では、搬送対象物が連結された状態よりも存在領域が小さくなる。その結果、例えば図6に示すように、搬送対象物が連結されていない場合には、搬送対象物が連結されている場合の移動経路R1に比べて効率の良い移動経路R2を生成することができる。また、搬送対象物が連結されている場合には、搬送対象物を連結していない場合に比べて障害物から十分に離れた移動経路R1が生成されるので、障害物への接触を防止することができ、安全性も高めることができる。このように、本実施形態によれば、移動効率の向上と安全性の向上の両立を図ることができる。
【0028】
本実施形態において制御部は、搬送車に搬送対象物が連結されている場合、搬送車及び搬送対象物を含む凸包を移動体の存在領域として推定するようにしてもよい。その場合、存在領域の形状が複雑ではなく単純な形状になるので、移動経路の生成処理の負荷が軽減され、また、障害物への接触も、さらに抑制することができる。
【0029】
本実施形態において制御部は、搬送車に対する搬送対象物の相対角度に基づいて、移動体の存在領域を推定するようにしてもよい。これによれば、現在の移動体の存在領域の推定精度が高まり、より効率的で安全性の高い移動経路を生成することができる。
【0030】
本実施形態において制御部は、搬送車に対して搬送対象物を連結する連結装置の搬送車に対する相対角度に基づいて、移動体の存在領域を推定するようにしてもよい。これによれば、現在の移動体の存在領域の推定精度がさらに高まり、より効率的で安全性の高い移動経路を生成することができる。例えば図7に示すように、搬送車に対して軸部11の軸線を中心に連結装置及び搬送対象物が回動する場合、相対角度αを検出する。制御部は、移動体の存在領域を推定する際、図8に示すように、移動体を構成する搬送車10のみを含む円形の範囲C1、搬送車10及び連結装置20を含む円形の範囲C2、搬送車10、連結装置20及び搬送対象物30を含む円形の範囲C3を存在領域と推定してもよい。各円の大きさ、中心位置は予め記憶部に記憶する。円形に限らず、三角形、四角形、他の多角形等でもよく、予め記憶部に記憶することができる。
【0031】
本実施形態において制御部は、搬送車に設けた検出部からの情報に基づいて、搬送対象物の相対角度を推定するようにしてもよい。これによれば、搬送車のセンサ情報等を利用して、移動体の存在領域の推定精度を高めることができる。本実施形態において検出部は、搬送車に対して搬送対象物を連結する連結装置または搬送対象物における予め定めた特定箇所の位置または角度を検出する測距センサ等のセンサを含むようにしてもよいし、搬送車に対する連結装置の回動角度を検出する回動状態検出部を含むようにしてもよい。回動状態検出部は、例えば図7に示す軸部11回りの連結装置20の回転の変位を電気信号に変換し検出するエンコーダで構成されてもよいし、他のセンサ(角度センサ等)で構成してもよい。回動状態検出部を備えることで、搬送車に対する搬送対象物の位置及び向きを検出することができる。なお、搬送対象物30は連結装置20に対して固定されていてもよいが、連結装置20に対して搬送対象物30が回動するようにしてもよく、その場合には、連結装置20に対する搬送対象物30の回動状態を検出する検出部を設けてもよい。
【0032】
本実施形態において、搬送対象物の複数の車輪の位置を検出するセンサ又はカメラ等の検出部を含むようにしてもよく、制御部は、検出情報に基づいて複数の車輪の位置及び搬送対象物の相対角度を推定するようにしてもよい。
【0033】
例えば図4に示すように、カゴ台車等の搬送対象物30の下側に搬送車10が潜り込んだ状態で搬送車10と搬送対象物30とが連結される場合、搬送車10に設けた物体までの距離を検出するLiDAR等のセンサで4つの車輪31の位置を検出する。これにより搬送車10に対する車輪の相対的な位置が検出される。当該車輪の位置情報に基づいて、搬送対象物の幅w3、長さ(奥行)d3、奥行方向における搬送車の中心から前方の長さd4、後方の長さd5、相対的な角度θの情報を推定することができ、当該情報に基づいて、存在領域を推定することができる。また、予め記憶される4つ車輪に対する搬送対象物30の外形形状(長方形など)の情報に基づいて、搬送車10に対する搬送対象物30の相対位置(搬送車の中心と搬送対象物の中心との相対位置)を推定することができる。また、予め外形形状が記憶されていない場合であっても、4つの車輪31の位置情報に基づいて、存在領域を推定することができる。例えば、4つの車輪の中心点を結んだ四角形を存在領域と推定してもよいし、車輪の中心点を結ぶ対角線の延長線上の車輪の中心点から外側に所定距離(例えば100mm、300mm、500mm)に位置する4箇所を結んだ四角形を存在領域と推定してもよい。4つの車輪の中心点を結んだ四角形を外側に所定倍数だけ拡大(例えば1.2倍、1.5倍等)まで拡大した範囲を存在領域と推定してもよい。
【0034】
また、センサで4つの車輪31の太さ(幅)を検出するようにしてもよい。予め車輪の太さと搬送対象物の種類(カゴ台車、台車、他装置)、幅、奥行、等の情報を関連付けて記憶することで、検出した車輪の太さから、関連づけられた情報を取得することができる。また、車輪の太さと車輪の位置と、搬送対象物の種類又はサイズの情報を関連付けて記憶してもよい。
【0035】
図9は、搬送車10に取り付けられた連結装置20を備える搬送装置を示している。連結装置20は、搬送車10に対して回動可能に結合される搬送車側結合部21と、搬送対象物の下側フレームを解除可能に把持する把持部22と、を備える。搬送車10は、ガイドラインに沿って移動するAGV、ガイドラインに関わらず自律走行するAMR、またはそれらを組み合わせて両方実行可能にした搬送車であってもよい。
【0036】
搬送車側結合部21は、搬送車10の上部に位置し、搬送車10によって下方から支持される。本例の搬送車側結合部21は、搬送車10の上部に設けられた鉛直方向(上下方向)に延びる軸部11を中心に回動可能に結合される。ここで「回動」とは、360°回転する必要はなく、例えば180°、90°以下の範囲など、所定の範囲内で変位する場合も含む。搬送者側結合部21は、搬送車10に対して回動不能に固定されていてもよい。搬送車側結合部21は、搬送車10に対して上下方向には変位しないが、変位する構成であってもよい。搬送車側結合部21の(搬送車10に対する)上記軸部11を中心とする相対的な位置(角度)は、内部のモータ又はアクチュエータ等の駆動装置によって制御される。搬送車側結合部21は基本的に、把持部22が搬送車10の後方側に位置するように、搬送車10に対して設置される。搬送車側結合部21は、搬送車10に対して取り外し可能であってもよい。
【0037】
把持部22は、解除姿勢と把持姿勢との間で変位し、把持姿勢で搬送対象物のフレーム等を把持することで、搬送対象物が搬送車に連結される。搬送車10と搬送対象物50が連結装置20によって連結された状態で、搬送車が任意の目的地に移動することで、搬送対象物50(カゴ台車及び搬送される物品、荷物等)を当該目的位置に搬送することができる。
【0038】
連結装置20に設けられた補助固定輪34は、アクチュエータ等の駆動機構により降下させることで地面に接地させることができ、上昇させることで地面から離れる。例えば、搬送対象物50の車輪52のうち、連結装置20側に位置する2つの車輪が固定輪である場合には、地面から浮かせた状態で搬送し、搬送対象物50の車輪52が全て自在輪である場合には図7に示すように補助固定輪34を接地させた状態で搬送するようにしてもよい。また、連結装置20から遠い位置にあるする2つの車輪が固定輪である場合に、地面から浮かせた状態で搬送してもよい。搬送対象物50の車輪の種類、数、位置の情報に応じて、搬送時における補助固定輪34の接地又は非接地を選択してもよい。このような車輪の情報及び補助固定輪34の接地または非接地の条件に関する情報は、予め記憶部に記憶しておいてもよいし、ユーザが任意のタイミングで入力して制御したり記憶したりしてもよい。なお、補助固定輪34は、搬送車側結合部21に結合されており、アクチュエータ等の駆動装置によって、上下動することで、接地状態と非接地状態との間で変位する。上下動は、水平方向に延びる軸部を支点に揺動するものでもよいし、レール等に沿って上下にスライドするものでもよい。
【0039】
本実施形態では、搬送車側結合部21と搬送車10の結合部に、電力供給及び通信のためのコネクタ等が設けられ、搬送車10と連結装置20との間で、互いに電力供給及び信号の通信(送受信)が可能となっている。具体的に、搬送車10からの電力供給及び制御信号によって、連結装置20の把持部22や補助固定輪34の上下動等の動作を制御することができる。なお、連結装置20自体に後述する制御部や記憶部、通信部、電源等が設けられていてもよく、搬送車からの電力供給や制御信号なしで動作するようにしてもよい。
【0040】
本実施形態では、連結装置20に、撮像部36が設けられている。撮像部36は、把持部20の上側に位置する。また、連結装置20の幅方向(左右方向)における撮像部36の取付位置が、把持部20及び補助固定輪34に重なるように設けられることが好ましい。つまり、撮像部36の撮影方向が、把持部20の延在方向に一致し、撮像部36の中心が把持部20の左右方向の中心と一致することが好ましい。撮像部36は、撮像機能及び測距機能(深度検出機能)を有するセンサとすることができる。具体的には、例えば、Intel社のRealSense(登録商標)のDepth Camera等で構成される。制御部は、撮像部36の取得情報に基づいて搬送対象物50の位置及び連結装置に対する相対的な角度(姿勢)を推定することができる。制御部は、撮像部36の撮影画像の解析等により、障害物の存在(障害物の有無)や姿勢(カゴ台車に触れている等)、距離(撮像部36からの距離)、状態(人が作業しているか、歩いているか、座っているか、倒れているか)を検出することもできる。画像解析によって、予め記憶部に記憶される複数の選択肢の中から何れかを制御部が選択するようにしてもよい。このような情報に基づいて、例えば進行方向に障害物(物品、人を含む)を検出した場合には進行を停止するようにしてもよい。あるいは、作業員がカゴ台車内の物品を出し入れしていることを検出した場合には、連結動作や解除動作を停止したりしてもよい。逆に、障害物がない場合や作業員が作業していない(もしくは作業を終了した)ことを判定した場合には、連結動作又は解除動作を開始するようにしてもよい。このように、制御部は、撮像部36からの取得情報に基づいて、搬送車及び連結装置を制御することができる。また撮像部36は、図4のように、補助固定輪34を支持する支持アーム35の上部に設けてもよい。把持部20の上側と下側の両方に撮像部36を設けることで撮像範囲が拡大することに加えて、搬送対象物等の検出精度(位置、姿勢の推定精度)を高めることができるので、連結動作の効率性及び安全性を高めることができる。なお、撮像部36は必須の構成ではない。
【0041】
なお、搬送車の上部に回動可能な板状のターンテーブルを設け、そこに搬送車側結合部21を設置するようにしてもよい。その場合、ターンテーブルが連結装置とともに回動し、ディスクブレーキ等でターンテーブルの回転を抑制することで連結装置の回動を抑制することができる。
【0042】
また、搬送車10に対する連結装置の回動角度をモータで制御する場合、モータが基本的に脱力していて自由に回転するが、必要なとき(ロックするために所定の角度にしたり、搬送者に対する搬送対象物の角度を調整したりする場合)のみ、モータを駆動させて回転して連結装置の回動角度(向き)を任意に変えられるようにしてもよい。モータは、連結装置を回動させるために設けられる専用モータでもよし、搬送車の駆動輪を制御するモータ等でもよい。
【0043】
ここで、搬送対象物50は、例えば、かご台車、台車、キャビネット、パレット、コンベア、他の各種装置等とすることができるが、これに限られない。搬送対象物50は車輪52を備え、搬送車10に連結された状態で牽引されることで、搬送車に追従して移動する。つまり、搬送対象物50は基本的に、(搬送車10の進行方向を前方とした場合に)搬送車10の後方に位置するが、例えば搬送車10が後退する場合など、搬送車10の進行方向側に位置してもよい。また、搬送形態は、前方に位置する搬送車が後方の搬送対象物を引っ張る牽引搬送でもよいし、前方に位置する搬送対象物を搬送車が後方から押しながら移動する搬送形態でもよい。車輪52は、搬送物を積載するカゴ台車のかご部分などの底面に複数(例えば4個、6個等)設けられており、全て自在輪で構成されてもよいし、固定輪と自在輪とで構成されていてもよい。搬送対象物が固定輪と自在輪とを備える場合、搬送車が固定輪側に位置するように搬送車と搬送対象物を連結するようにしてもよいし、その逆でもよい。つまり、制御部は、搬送対象物の車輪の情報(固定輪の有無及びその位置)の情報に基づいて、搬送対象物に対する連結装置の把持位置(方向)を決定することも可能である。さらに、重量物が予め定めた所定の重量(1kg、10kg、50kg、100kgなど)を超える場合に、固定輪と逆側に搬送車を連結させるようにしてもよい。つまり、搬送対象物の車輪情報に加えて、搬送対象物の重量情報に基づいて、搬送対象物に対する連結装置の把持位置(方向)を決定することも可能である。このような連結装置の把持位置の決定に関する条件情報は予め記憶部に記憶されるか、ユーザからの入力情報によって記憶したり更新したりしてもよい。また、車輪情報、重量情報はユーザからの入力情報から取得してもよいし、搬送対象物からの送信される情報を受信するようにしてもよいし、搬送車又は連絡装置のカメラ画像の解析やセンサ検出情報から推定するようにしてもよい。
【0044】
<搬送車の構成>
図10は、搬送車10の構成例を示す斜視図である。本例の搬送車10は無人搬送車であるが、人が乗ることが可能な各種車両にも適用可能である。図10の矢印15は搬送車の進行方向を示している。進行方向は、基本的に搬送車の前方であるが、状況に応じて後方でもあり得る。図10に示す通り、搬送車10は、連結装置20を結合するための軸部11、搬送車周辺の物体を検出する物体位置検出部12、駆動輪13、非駆動輪14を備えている。
【0045】
例えば、搬送車には、物体位置検出部12が搭載されている。物体位置検出部12は、搬送車から物体(搬送対象物、人等を含む)までの相対的な距離、角度を検出する装置である。物体位置検出部12、撮像部36の一例としては、レーザー光を照射して物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測することで物体までの距離や方向を計測するレーザー距離センサ(LiDAR(Light detection and ranging)など)、ミリ波の送信信号と物体に反射して戻ってくる受信信号に基づいて物体までの距離を検出するミリ波レーダー、または、カメラで物体を撮影して撮影画像を解析することで物体までの距離を計測するカメラ式距離センサ、などを適用することができる。本実施形態では、物体位置検出部12を搬送車の上面部の進行方向前方に配置する例を示したが、これに替えて進行方向の前方側面に配置しても良い。また、前方だけでなく進行方向の後方側面や左右両側面に配置しても良い。
【0046】
物体位置検出部12は、搬送車の周囲360度に対して物体を検出するようにしても良いが、少なくとも搬送車の進行方向15に対して物体を検出できるように構成されている。進行方向15は、搬送車の前方であっても後方であってもよい。
【0047】
図11は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す下面図である。搬送車の底面には、搬送車の進行方向15に対する左右両側の位置に駆動輪13が設けられ、各駆動輪13の前後の位置にはそれぞれ非駆動輪14が設けられる。駆動輪13は、モータの回転軸に接続されて駆動される車輪であり、右側の駆動輪と左側の駆動輪はそれぞれ個別に制御される。制御部は、駆動輪の回転速度を制御することにより、搬送車の速度を制御することができる。また制御部は、各駆動輪の回転速度や回転方向を個別に制御することにより、搬送車をカーブさせて走行させたり、その場で搬送車を回転させて向きを変えたり、停止させたり、後退させたりすることが可能となる。非駆動輪14は、駆動されない車輪で構成され駆動輪13により搬送車が移動することで受動的に回転する車輪である。非駆動輪14は、例えば、車輪と車軸を固定するフォークを有し、フォークは搬送車の底面部材と旋回可能に接続される回転キャスターで構成される。そのため、搬送車の進行方向や回転動作に応じて非駆動輪14の車輪回転方向が受動的に変化する。図11では、2つの駆動輪と、四隅に4つの非駆動輪を備える搬送車のハードウェア構成を例示したが、本発明は当該ハードウェア構成に限定されるものではなく、駆動輪2つと非駆動輪2つの計4輪の構成を採用することも可能であり、また当該4輪構成において前輪がステアリング可能となる構成を採用することも可能である。
【0048】
搬送車の底面には、誘導ライン(ガイドライン)を検出する誘導ライン検出部16が設けられている。誘導ライン検出部16は、望ましくは駆動輪13よりも搬送車の進行方向前方に設けられる。これにより、誘導ラインがカーブしている位置を走行する場合に誘導ラインに追従して走行しやすくなり、また搬送車及び牽引する台車が進行する際にいち早く誘導ラインから情報を受信することでいち早く停止等の処理が実行できる。誘導ライン検出部は、上述したような誘導方式のタイプに応じたセンサが用いられる。誘導方式として、電磁誘導方式を用いる場合はピックアップコイル、磁気誘導方式を用いる場合は磁気センサ、画像認識方式を用いる場合はカメラが誘導ライン検出部のセンサとして用いられる。ガイドラインは、床面に限られず、建物の側壁面、天井面等に設けられていてもよく、当該ガイドラインを認識可能な位置(搬送車の下面、側面、上面等)に搬送車のセンサ(カメラを含む)を設置することができる。また、ガイドラインは、2次元又は3次元のマップデータ上に仮想的に設けられた軌道であってもよい。搬送車の制御部は、予め記憶部に記憶されるマップ情報及び軌道情報(移動経路情報)と、カメラやセンサ等の情報に基づいて推定した現在の自己位置情報と、に基づいて、仮想的なガイドラインに沿って搬送車の走行を制御するようにしてもよい。
【0049】
自律走行モードで走行する搬送車が予め設定された走行モード切替位置において誘導ラインを検出した場合には、自律走行モードから誘導走行モードに走行制御モードが切り替えられる。また、逆に誘導ライン上を誘導走行モードで走行する搬送車が予め設定された走行モード切替位置に入った場合には、誘導走行モードから自律走行モードに走行制御モードが切り替えられる。荷物が収納されている棚やベルトコンベヤや作業員の作業位置の近接位置に搬送車を誘導するために、誘導ラインで構成される軌道は、複数の分岐点を介して、棚や作業位置と近接する位置に敷設されている。
【0050】
誘導ラインの敷設されていない自律走行エリアを自律走行モードで走行している搬送車10は、走行モード切替位置に進入し、かつ誘導ラインを検出することを条件に誘導ラインに追従する誘導走行モードに走行モードを変更する。他方、誘導ライン上を誘導走行モードで走行する搬送車が走行モード切替位置に進入した場合には、誘導走行モードから自律走行モードに走行制御モードが切り替わり、搬送車は誘導ラインを離脱して、自律走行を開始する。
【0051】
<搬送システムの構成>
次に、本実施形態の搬送システムの構成を説明する。図12は、本実施形態に係る搬送システムの全体構成図の一例を示す図である。搬送システム1000は、複数の搬送車(10a, 10b)、搬送物である台車2000、搬送車の状態を表示又は搬送車へ指令を入力可能な操縦機3000、搬送車の運行に必要な情報を管理する統括制御装置4000、統括制御装置の情報を表示し統括制御装置に情報を入力する入出力装置5000、複数の搬送車(10a, 10b)と操縦機3000と統括制御装置4000を通信可能に接続する通信ネットワーク6000を備える。
【0052】
また、搬送システム1000は通信ネットワーク6000を介して外部システム7000と接続させることもできる。搬送システム1000を製造工場に導入して、製造に必要な部品を収納庫から製造ラインに搬送する場合には、搬送システム1000は、外部システム7000として製造管理システムとシステム間連携を行う。この場合、製造管理システムから製造作業の稼働進捗状況に関する情報を取得すれば、搬送車による輸送量や輸送経路を製造作業の作業進捗状況に応じて動的に調整することができる。
【0053】
別の例として、搬送システム1000を物流倉庫に導入して、トラック等で荷物が倉庫に搬入される際に搬入物を搬入口から収納庫に搬送し、また倉庫から荷物を出荷する際に収納庫から出荷される荷物を搬出口へ搬送する場合には、搬送システム1000は、外部システム7000として物流管理システムとシステム間連携を行う。この場合、物流管理システムから搬入に関する情報や出荷に関する情報を取得すれば、搬送車による輸送量や輸送経路を変更することができる。
【0054】
搬送システムが導入される施設では、一般的に複数の搬送車(10a, 10b)が稼働するため、それぞれの搬送車は通信ネットワーク6000を介して他搬送車や他構成要素と通信可能に連結される。例えば、搬送車は自機の検出部で検出した各種検出情報やその他の制御情報を操縦機3000や統括制御装置4000や他搬送車10に送信する。また搬送車10は台車2000と電気的に接続又は近距離通信手段で通信可能に接続され、台車から連結状態に関する情報や台車の識別情報などを受信可能に構成される。
【0055】
操縦機3000は、各搬送車の状態情報を表示する機能と、指定した搬送車へ指令を入力する機能を備えている。例えば、操縦機に表示される搬送車の状態情報としては、各搬送車の識別情報、位置(座標、マップ上での位置)、速度、向き、走行履歴、搬送対象物の搬送履歴(搬送した搬送対象物の識別情報、搬送開始位置、搬送終了位置、搬送時刻、連結時刻、解除時刻等の時刻情報を含む)、搬送車に搭載されて搬送車の電源となるバッテリの充電量の情報、搬送車が取得するセンサ情報、撮影画像、搬送車が搬送する台車等の搬送物(搬送対象物)の識別情報、連結装置の情報、把持姿勢か解除姿勢か、連結装置のロックに関する情報(ロック状態か否か)、回動角度など、本システムで取得したり、記憶したりする情報の全てを表示可能である。搬送車へ入力する指令としては、例えば、搬送車の目的地(目的位置)に関する指令情報、台車との連結や連結解除の動作指令、搬送車の走行開始指令、搬送車の停止指令、充電ステーションへの帰還指令、搬送車に搬送させる搬送対象物の指示、連結指示、連結解除指示、回動ロック支持、ロック解除指示、回動角度の指示、ロック条件(ロック可能な回動角度)に関する指示、搬送する搬送対象物の識別情報、搬送開始位置、搬送終了位置、搬送時刻、連結時刻、解除時刻等の時刻情報などの指示情報である。
【0056】
図13に本実施形態における統括制御装置4000の構成図を示す。統括制御装置4000は、施設エリアで運行される複数の搬送車の状態情報を記録する状態情報記録部4010と、複数の搬送車の動作シナリオを管理する動作シナリオ管理部4020と、搬送車の誘導ライン検出部により取得された誘導ラインの検出情報を含む搬送車の検出情報に基づいて作業エリアのマップを生成及び更新するマップ管理部4030と、搬送車の検出情報に基づいて誘導ライン及び搬送車の異常を判定する異常判定部4040と、外部の入出力装置5000及び通信ネットワーク6000と通信を行う通信部4050と、を有している。
【0057】
状態情報記録部4010で記録される搬送車の状態情報は、例えば、運行中の複数の搬送車により検出される障害物検出位置、誘導ライン検出位置、搬送車の走行位置の履歴情報、更には、バッテリ充電量の情報、複数の搬送車と連結された台車の識別情報、複数の搬送車の動作モード(誘導走行モードまたは自律走行モード)、その他搬送車の検出部230で検出される各種検出情報、作業エリアのマップ情報などである。動作シナリオ管理部4020で管理される動作シナリオは、例えば、複数の搬送車それぞれの目的地の情報、目的地に行き着くまでに実行する複数の動作内容、複数動作の動作順序、複数動作の切替条件を含んでいる。
【0058】
マップ管理部4030は、搬送車により検出される障害物検出位置、誘導ライン検出位置、搬送車の走行位置の履歴情報に基づいて、作業エリア内の障害物と誘導ラインの位置情報を含むマップを生成する。更に、マップ管理部4030は、1台又は複数台の搬送車により蓄積された誘導ラインの検出位置の情報に基づいて、マップに登録されている誘導ラインや作業エリアの情報を更新する。
【0059】
異常判定部4040は、マップ情報に登録されている誘導ラインの位置情報と、搬送車で検出される誘導ラインの検出位置情報を含む搬送車の検出情報に基づいて、誘導ライン及び搬送車の異常を判定する。
【0060】
入出力装置5000は、統括制御装置4000の状態情報記録部4010に記録された情報、マップ情報(マップの更新情報を含む)及び異常判定部による判定結果などを表示するとともに、動作シナリオ管理部4020で管理される動作シナリオを入力することで新規に動作シナリオを追加したり、更新したりすることができる。入出力装置5000に入力される情報は、例えば、任意の搬送車の目的地が誘導走行エリア110の作業エリアAであることや、誘導走行エリア110に進入して作業エリアAに行き着くための動作内容、動作切替条件などを含んでいる。
【0061】
<搬送車の機能>
図14を用いて搬送車の有する機能を説明する。図14は本実施形態に係る搬送車の機能構成図を示す図である。搬送車10は、連結装置20,搬送車外部の台車2000や通信ネットワーク6000と通信を行う通信部210と、記録部220(記憶部を含む)、後述する各種センサを備えた検出部230、台車と連結するための連結装置、車輪を駆動させる車輪駆動部280、入力部240、表示部250、車輪駆動部280などの動作を制御する制御部260、を備えている。
【0062】
記録部220は、通信部210が外部から受信した情報、検出部230が検出した検出情報、制御部が生成、出力した情報を記録する機能を有する。記録部220は、搬送車の目的位置、移動経路、移動履歴等の情報を記憶することができる。記録部220は、目的位置までの距離に応じた速度情報、当該速度情報を算出するための算出式(プログラム)情報等を記憶することができる。
【0063】
検出部230は、物体位置検出部12、誘導ライン検出部16、走行距離検出部233、衝突検出部234、姿勢検出部235、充電量検出部236を備えている。物体位置検出部12は、前述した通り、レーザー光を照射して物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測することで物体までの距離や方向を計測するレーザー距離センサ(LiDAR(Light detection and ranging)など)、ミリ波の送信信号と物体に反射して戻ってくる受信信号に基づいて物体までの距離を検出するミリ波レーダー、または、カメラで物体を撮影して撮影画像を解析することで物体までの距離を計測するカメラ式距離センサ、などで構成される。制御部は、検出部の情報に基づいて、搬送車の現在位置、現在速度の情報を推定することができる。検出部230は、搬送車の現在位置を検出するGNSS等を含む位置センサ、搬送車の速度を検出する速度センサを備える。
【0064】
誘導ライン検出部16は、上述したように誘導方式のタイプに応じたセンサが用いられる。誘導方式として、電磁誘導方式を用いる場合はピックアップコイル、磁気誘導方式を用いる場合は磁気センサ、画像認識方式を用いる場合はカメラが誘導ライン検出部のセンサとして用いられる。誘導ライン検出部は、誘導ラインの直上に位置している場合に誘導ラインを検出して検出信号を出力する。また、カメラにより二次元コードやバーコードを使った誘導ラインを読み取る画像認識方式の場合には、誘導ラインの検出信号に加えて、検出したコードの情報に基づいて位置情報を生成し、更にコードの画像情報を行うことで誘導ラインと搬送車の相対角度情報を生成することができる。
【0065】
走行距離検出部233は、非駆動輪14または駆動輪13の回転数を検出し、当該回転数の検出情報と非駆動輪または駆動輪の直径(または円周長)の情報に基づいて搬送車の走行距離及び走行速度を計測することができる(この場合、走行距離検出部233が、速度センサとして機能し得る)。また、代替手段として、ミリ波を水平方向の任意の方向(壁面や床面でもよい)に照射して反射波を検出するミリ波センサを用いて、搬送車の走行速度を検出し、当該走行速度を積分することで走行距離を推定する手段を適用することも可能である。また、上記した方法以外のあらゆる走行距離を計測したり、走行速度を取得したりする方法を適用可能である。
【0066】
衝突検出部234は、搬送車が物体や人に衝突したことを検出する機能を有する。具体的には、ジャイロセンサなどにより加速度を検出して、加速度の急変を検出した場合に衝突が発生したと判断することができる。代替手段として、搬送車の進行方向前方にバンパーと共に物理スイッチを設け、当該物理スイッチが押されたことにより衝突が発生したと判断する手段を適用することも可能である。また、上記以外の衝突検知方法を適用することができる。衝突検出部234が衝突を検出した場合には、搬送車を停止させ、衝突発生情報と衝突発生位置の少なくともいずれかの情報を記録部に記録すると共に、当該情報を統括制御装置4000及び操縦機3000に情報を通知する。姿勢検出部235は、磁気コンパス又は左右駆動輪の回転数の情報又は車輪のステアリング情報に基づいて、自車の向き(姿勢)を検出する。
【0067】
充電量検出部236は、搬送車の電源であるバッテリの充電量を検出する。充電量検出部236で検出した充電量が所定値以下となった場合には、充電が必要と判断して、充電量減少の検知情報を記録部に記録すると共に、当該情報を統括制御装置4000及び操縦機3000に情報を通知する。更に、充電量が所定値以下であることを検出した場合に、上記処理に加えて充電スポットへ自動で移動して充電を行うようにしても良い。なお、充電量検出部236が要充電と判断するための前記所定値は、当該搬送車に設定された目的地までの距離と当該搬送車に連結された搬送物の重量の少なくともいずれかに基づいて予め設定された値であっても良い。
【0068】
入力部240は、搬送車に搭載された物理スイッチ又はタッチパネル等で構成され、ユーザは動作指令等を直接搬送車に入力することができる。表示部250は、例えば、搬送車に搭載された液晶パネル等で構成され、搬送車の状態情報(検出部230での各種検出情報、走行モードの種別、現在実行中の動作シナリオなど)を表示することができる。
【0069】
制御部260は、動作判定部261と、モード切替部262と、連結制御部263と、表示制御部264と、位置推定部265と、走行制御部266を備えている。動作判定部261は、動作シナリオ管理部4020から取得した自搬送車の動作シナリオに基づいて搬送車の動作を判定する。
【0070】
モード切替部262は、動作シナリオ等により予め定められた条件、または入力部240で入力された指令に基づいて、搬送車の走行モードを誘導走行モードと自律走行モードの間でモードの切り替えを行う。連結制御部263は、動作シナリオ等で予め定められた条件、または入力部240で入力された指令に基づいて、連結装置の動作を制御して、台車等の搬送物との連結/非連結を制御する。表示制御部264は、前述した入力部240の入力IF及び表示部250を制御する。
【0071】
位置推定部265は、走行距離検出部233で検出した走行距離と、姿勢検出部235で検出した自車の向きの情報と、記録部220に記録されているエリア全体のマップ情報に基づいて、走行エリア全体における自車の現在位置を含む所定時刻の位置を推定することができる。または、物体位置検出部12で計測した自車から物体までの距離や方向の情報と、記録部220に記録されているエリア全体のマップ情報に基づいて走行エリア全体における自車の位置を推定することも可能である。あるいは、二次元コードで構成された誘導ライン上を走行している場合には、二次元コードの識別情報と上記マップ情報とに基づいて走行エリア全体における自車の位置を推定することも可能である。位置推定部265は、搬送車に設けたGNSS等によって位置情報を取得することも可能である。
【0072】
位置推定部265は、推定した自車位置情報と、物体位置検出部12で検出した自車から物体までの距離情報に基づいて、物体が存在する位置を推定することができる。また、誘導ライン検出部16で誘導ラインを検出した際の自車位置情報に基づいて、誘導ラインの設置位置を推定する。
【0073】
走行制御部266は、動作判定部261、モード切替部262による判定情報の少なくともいずれかに基づいて、搬送車の走行を制御する。走行制御部266は、搬送車の前進、後退、停止、旋回、及び移動速度、旋回速度を制御することができる。具体的には、車輪駆動部280の有する右輪駆動部281、左輪駆動部282をそれぞれ個別に制御する。右輪駆動部281と左輪駆動部282は例えばモーターで構成され、各駆動輪の回転速度や回転方向を個別に制御することで、搬送車を任意の軌跡半径でカーブさせて走行させたり、搬送車を回転させて向きを変えたりすることが可能となる。
【0074】
搬送車に設けたセンサからの情報に基づいて、ガイドラインの延在方向に対する搬送車の角度を推定する角度推定処理と、搬送車に設けたセンサからの情報に基づいて、ガイドラインの延在方向に垂直な方向におけるガイドラインと搬送車との相対位置を推定する相対位置推定処理と、搬送車の角度及び相対位置に基づいて、搬送車の向きを制御するようにしてもよい。例えば、カメラにより二次元コードやバーコードを使ったガイドラインを読み取る画像認識方式の場合には、誘導ラインの検出信号に加えて、検出したコードの情報に基づいて位置情報を生成し、更にコードの画像情報を行うことで誘導ラインと搬送車の相対角度情報を生成するようにしてもよい。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、搬送車の制御部260および記録部220は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。また、本明細書において説明した搬送システムでは、操縦機3000、統括制御装置4000、入出力装置5000がそれぞれネットワークを介して接続された別個のハードウェアで構成される例を説明したが、操縦機3000、統括制御装置4000、入出力装置5000の機能の一部又は全部が搬送車10に実装されていても良い。
【0077】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る制御部260の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0078】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0079】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0080】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を実行する制御部を備え、
前記移動体は、搬送対象物を連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行する、移動体の経路生成システム。
(項目2)
前記制御部は、前記搬送車に前記搬送対象物が連結されている場合、前記搬送車及び前記搬送対象物を含む凸包を前記移動体の存在領域として推定する、項目1に記載の経路生成システム。
(項目3)
前記制御部は、前記搬送車に対する前記搬送対象物の相対角度に基づいて、前記移動体の存在領域を推定する、項目1又は2に記載の経路生成システム。
(項目4)
前記制御部は、 前記搬送車に対して前記搬送対象物を連結する連結装置の前記搬送車に対する相対角度に基づいて、前記移動体の存在領域を推定する、項目1又は2に記載の経路生成システム。
(項目5)
前記制御部は、前記搬送車に設けた検出部からの情報に基づいて、前記搬送対象物の相対角度を推定する、項目1又は2に記載の経路生成システム。
(項目6)
前記検出部は、前記搬送車に対して前記搬送対象物を連結する連結装置または前記搬送対象物における予め定めた特定箇所の位置または角度を検出するセンサを含む、項目1又は2に記載の経路生成システム。
(項目7)
前記検出部は、前記搬送対象物の複数の車輪の位置を検出するセンサを含み、
前記制御部は、前記複数の車輪の位置に基づいて、前記搬送対象物の相対角度を推定する、項目1又は2に記載の経路生成システム。
(項目8)
現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を制御部が実行し、
前記移動体は、搬送対象物を連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行する、移動体の経路生成方法。
(項目9)
現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を制御部に実行させ、
前記移動体は、搬送対象物を連結して搬送可能な搬送車を含み、
前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行する、プログラム。
【符号の説明】
【0081】
10:搬送車、 20:連結装置、 22:把持部、23:下側支持部、24:突起部、25:変位部、 50:搬送対象物、 51:搬送対象物の下側フレーム、130 動作エリア、 131 誘導ライン、 132 走行モード切替位置、 210 通信部、 220 記録部、 230 検出部、 240 入力部、 250 表示部、 260 制御部、 280 車輪駆動部、2000 台車、 2010 連結受け部、 3000 操縦機、4000 統括制御装置、 5000 入出力装置、 6000 通信ネットワーク、 7000 外部システム
【要約】
【課題】移動体の外形に応じた最適な移動経路を生成可能な移動体の経路生成システム、経路生成方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】本開示による移動体の経路生成システムは、現実空間に対応する地図データ上で障害物からの距離に基づくコストが設定されるコストマップ情報と、前記地図データ上での移動体の現在の存在領域情報と、目標位置の情報と、に基づいて、前記目標位置までの前記移動体の移動経路を生成する移動経路生成処理を実行する制御部を備え、前記移動体は、搬送対象物を連結して搬送可能な搬送車を含み、前記制御部は、前記移動体の現在の位置、姿勢及び外形情報、並びに前記搬送車に前記搬送対象物が連結されているか否かに基づいて、前記存在領域情報を推定する存在領域推定処理を実行する。
【選択図】図1

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