(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】塗布具付き容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20250108BHJP
A45D 34/00 20060101ALI20250108BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A45D34/04 515Z
A45D34/00 510Z
B65D83/00 J
(21)【出願番号】P 2019178292
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-04-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】上村 英夫
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】北村 英隆
【審判官】米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-112832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00,83/08-83/76
A45D 34/00,34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の口部に着脱自在に装着された有頂筒状のキャップ体と、
前記キャップ体に装着されると共に前記キャップ体から前記容器本体の下方側に向けて突出する本体部、及び、前記本体部に下端部に配設された塗布部を有する塗布具と、
前記容器本体の前記底部に配設された集液部材と、
を備え、
前記集液部材が、前記塗布部の下端部が挿入された集液筒部と、
前記集液筒部の下端部にヒンジ部を介して連結され、前記集液筒部から突出して前記容器本体内に嵌合された複数の嵌合部と、
を有し、
前記集液筒部には、貫通孔部が形成されていることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項2】
複数の前記嵌合部のうち少なくとも最も前記貫通孔部の近くに位置する嵌合部には、前記容器本体の外周面側から前記貫通孔部側に向けて延びる導入壁部が設けられており、
前記導入壁部が、前記容器本体の中心軸回りの周方向で前記貫通孔部と重複する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗布具付き容器。
【請求項3】
複数の前記嵌合部のうち前記周方向で前記貫通孔部から離れている嵌合部には、上方に突出する係止突部が設けられており、
前記容器本体には、前記導入壁部及び前記係止突部それぞれの上端部が当該導入壁部及び係止突部の上方から係止される被係止部が形成されており、
前記集液筒部には、前記嵌合部を前記ヒンジ部回りに回動させたときに前記係止突部を挿入可能な挿入部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の塗布具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の残量を低減可能な塗布具付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載されているような、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、容器本体の口部に着脱自在に装着されたキャップ体と、キャップ体に装着されると共にキャップ体から容器本体の底部側に向けて突出する本体部、及び、本体部に下端部に配設された塗布部を有する塗布具と、を備える塗布具付き容器が知られている。
このような塗布具付き容器では、塗布具をキャップ体と共に容器本体から離脱させることにより、塗布部に付着させた内容物を容器本体から引き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような塗布具付き容器では、容器本体内の内容物が減少すると、塗布部が内容物を付着させにくくなるので、内容物の残量を少なくすることが困難であり、また、残量を低減する点に改善の余地がある。一方、塗布部の下端と容器本体の底部との間の距離を短くする、または、塗布具の下端を容器本体の底部に当接させることによって、容器本体内の内容物の残量を低減させることができるものの、塗布具付き容器の各構成部材の寸法バラツキを考慮すると、塗布具が装着されたキャップ体を容器本体に装着した状態で塗布部が容器本体の底部に押し付けられてしまうことなどが生じるため、塗布部の下端を容器本体の底部に接近させることが困難である。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、容器本体内の内容物の残量を低減した塗布具付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の塗布具付き容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、前記容器本体の口部に着脱自在に装着された有頂筒状のキャップ体と、前記キャップ体に装着されると共に前記キャップ体から前記容器本体の下方側に向けて突出する本体部、及び、前記本体部に下端部に配設された塗布部を有する塗布具と、前記容器本体の前記底部に配設された集液部材と、を備え、前記集液部材が、前記塗布部の下端部が挿入された集液筒部と、前記集液筒部の下端部にヒンジ部を介して連結され、前記集液筒部から突出して前記容器本体内に嵌合された複数の嵌合部と、を有し、前記集液筒部には、貫通孔部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、容器本体内に残存する内容物が少なくなった状態で、容器本体を傾けると、集液筒部の外側にある内容物の一部が貫通孔部を通して集液筒部内に流入する。そのため、容器本体を傾けた状態における集液筒部内の内容物の液面は、集液筒部が設けられていない場合と比較して上昇する。これにより、集液筒部が設けられていない状態で容器本体を傾けた場合と比較して、塗布部に内容物を付着させやすくなる。したがって、容器本体内の内容物の残量を低減できる。
また、集液部材を容器本体の底部に配設する際に、嵌合部がヒンジ部回りに回動して集液筒部に対して折り畳まれ、底部に配置した状態では復元変形により嵌合部が展開される。そのため、容器本体の口部が容器本体の底部よりも小径であっても、口部に対して集液部材を押し込むだけで、集液部材を容器本体内に導入して容器本体内に配設できる。
さらに、有底筒状の容器本体の底部に容器本体とは別体の集液部材を配設しているため、容器本体の設計を大きく変更することなく、容器本体内の内容物の残量を低減できる効果を奏することができる。
【0008】
また、本発明の塗布具付き容器では、複数の前記嵌合部のうち少なくとも最も前記貫通孔部の近くに位置する嵌合部には、前記容器本体の外周面側から前記貫通孔部側に向けて延びる導入壁部が設けられており、前記導入壁部が、前記容器本体の中心軸回りの周方向で前記貫通孔部と重複する位置に設けられてもよい。
この場合では、容器本体を傾けた際に容器本体内で集液筒部の外側に位置する内容物を導入壁部に沿って貫通孔部に向けて、ひいては集液筒部に向けて案内するので、容器本体を傾けた際に内容物を集液筒部内に集めやすくなる。
また、集液部材を容器本体内に導入する際に嵌合部を集液筒部に向けて折り畳んだときに導入壁部が貫通孔部に挿入されるので、嵌合部に形成された導入壁部が集液筒部と干渉することが抑制される。
【0009】
また、本発明の塗布具付き容器では、複数の前記嵌合部のうち前記周方向で前記貫通孔部から離れている嵌合部には、上方に突出する係止突部が設けられており、前記容器本体には、前記導入壁部及び前記係止突部それぞれの上端部が当該導入壁部及び係止突部の上方から係止される被係止部が形成されており、前記集液筒部には、前記嵌合部を前記ヒンジ部回りに回動させたときに前記係止突部を挿入可能な挿入部が形成されてもよい。
この場合では、導入壁部及び係止突部と被係止部とが上下方向で係止することにより、容器本体内に配設された集液部材を上下方向で位置決めできる。
また、集液部材を容器本体内に導入する際に嵌合部を集液筒部に向けて折り畳んだときに係止突部が挿入部に挿入されるので、嵌合部に形成された係止突部が集液筒部と干渉することが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかる塗布具付き容器によれば、容器本体内に残存する内容物が少なくなっても、容器本体を傾けて集液筒部の外側にある内容物の一部を貫通孔部を通して集液筒部内に流入させることにより、内容物を塗布部に効率よく付着させることができる。これにより、容器本体内の内容物の残量を低減できる。また、嵌合部がヒンジ部回りに回動するので、容器本体の口部の内径が小径であっても、集液部材を容器本体内に導入して容器本体内に配設できる。さらに、集液部材が容器本体とは別体であるため、容器本体の設計を大きく変更することなく、容器本体内の内容物の残量を低減できる効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる塗布具付き容器を示す軸方向断面図である。
【
図2】
図1の塗布具付き容器を示すA-A矢視断面図。
【
図3】
図1の塗布具付き容器の組立方法を説明する軸方向断面図である。
【
図4】
図1の塗布具付き容器の使用方法を説明する軸方向断面図である。
【
図5】同じく、
図1の塗布具付き容器の使用状態を説明する軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による塗布具付き容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0013】
本実施形態にかかる塗布具付き容器1は、
図1及び
図2に示すように、例えば液状の内容物が収容される有底円筒状の容器本体2と、容器本体2の円筒状の口部3に着脱自在に装着された有頂円筒状のキャップ体4と、キャップ体4に装着された塗布具5と、容器本体2の底部に配設された円筒状の集液部材6と、を備える。なお、液状の内容物の粘性は、塗布具付き容器1を正立させるとすぐに容器本体2の底部に溜まる程度となっている。しかし、液状の内容物の粘性は、適宜変更されてもよい。
ここで、これら容器本体2、キャップ体4及び集液部材6は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置した状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、
図1において容器軸Oに沿って容器本体2の底部からキャップ体4に向かう方向を上方、その逆方向を下方と称する。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸O回りに周回する方向を周方向と称する。
【0014】
容器本体2は、口部3と、口部3の下端から下方に延設された円筒状の胴部11と、胴部11の下端開口部を閉塞する平面視で円状をなす底部12と、を有する。これら口部3、胴部11及び底部12は、容器軸Oと同軸に配設されている。
口部3の内径及び外径は、胴部11の内径及び外径よりも小径とされている。なお、口部の内径及び外径は、胴部の内径及び外径よりも小径である必要はない。また、口部3の外周面には、雄ネジ部3Aが形成されている。さらに、口部3の内側には、円錐筒状をなす扱き筒部材13が嵌合されている。
【0015】
扱き筒部材13は、円筒状の嵌合筒部21と、嵌合筒部21の下端から下方に延設された円錐筒状の扱き筒部22と、を有する。嵌合筒部21の内径及び外径は、上下方向の全長にわたって同等であり、扱き筒部22の内径及び外径は、下方に向かうにしたがって漸次縮径している。扱き筒部22の下端の内径及び外径は、後述する取付柱部63の外径よりも若干小径となっている。また、嵌合筒部21の上端には、径方向外方に突出するフランジ部21Aが形成されている。
【0016】
胴部11は、口部3の下端から下方に延設された円筒状の上側部分31と、上側部分31の下端から下方に延設された円筒状の下側部分32と、を有する。
上側部分31の内径及び外径は、下側部分32の内径及び外径よりも小径とされており、上側部分31と下側部分32との接続部分には、段部が形成されている。
下側部分32の下端部には、径方向内側に向けて窪む被係止凹部(被係止部)32Aが全周にわたって形成されている。したがって、下側部分32のうち被係止凹部32Aが形成されている部分における内径及び外径は、下側部分32のうち他の部分の内径及び外径よりも小径とされている。
【0017】
キャップ体4は、平面視で円状をなす頂壁部41と、頂壁部41の外周縁から下方に向けて延設された円筒状の側筒部42と、を有する。これら頂壁部41及び側筒部42は、容器軸Oと同軸に配設されている。
側筒部42の内径は、胴部11の上側部分31の外径よりも若干大径とされており、側筒部42の外径は、胴部11の下側部分32の外径と同等とされている。また、側筒部42の下端部の内周面には、径方向内側に向けて突出する装着突部42Aが形成されている。
【0018】
塗布具5は、キャップ体4に装着されると共にキャップ体4から下方に向けて突出する円柱状の本体部51と、本体部51の下端部に配設された塗布部52と、を有する。本体部51は、容器軸Oと同軸に配設されている。
本体部51は、平面視で円状をなす天板部61と、天板部61の外周縁から下方に向けて延設された円筒状の装着筒部62と、天板部61の中央から下方に向けて延設された円柱状の取付柱部63と、を有する。これら天板部61、装着筒部62及び取付柱部63は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0019】
天板部61及び装着筒部62は、キャップ体4の内側に嵌合されている。
装着筒部62の内周面には、口部3の雄ネジ部3Aと螺合する雌ネジ部62Aが形成されている。また、装着筒部62の下端には、装着突部42Aが装着筒部62の下方から係止している。これにより、装着筒部62、ひいては塗布具5がキャップ体4から抜け落ちることが抑制されている。
取付柱部63の上端部には、上端から下方に向けて延びる孔部である中空部63Aが形成されている。これにより、塗布具5をキャップ体4に装着する際に取付柱部63の上端部が径方向内側に弾性変形しやすくなり、装着筒部62が装着突部42Aを乗り越えやすくなる。
塗布部52は、例えば筆状部材である。また、塗布部52の下端は、容器本体2の底部には至っていない。本実施形態では、塗布部52の下端は、上下方向において胴部11の被係止凹部32Aに位置しており、塗布部52の下端と容器本体2の底部12との間には、間隙が設けられている。
【0020】
集液部材6は、有底円筒状をなす集液筒部71と、集液筒部71の下端にヒンジ部72を介して連結され、径方向外側に向けて集液筒部71から突出して容器本体2内に嵌合された複数の嵌合部73と、を有する。集液筒部71は、容器軸Oと同軸に配設されている。
集液筒部71には、上下方向の全長にわたって延在する貫通孔部71Aが形成されている。そのため、集液筒部71は、上面視でC字状をなすように周方向の一部が開口している。貫通孔部71Aは、周方向において集液筒部71の例えば120°にわたって延在する。
また、集液筒部71には、上端から下方に向けて延在するスリット部(挿入部)71Bが形成されている。このスリット部71Bは、貫通孔部71Aの周方向の中央部とは容器軸Oを挟んだ径方向の反対側に形成されており、スリット部71Bの周方向の幅は、貫通孔部71Aの周方向の幅よりも十分に短くなっている。
集液筒部71は、被係止凹部32Aよりも上方まで延在しており、集液筒部71内には、塗布部52の下端部が挿入されている。
【0021】
嵌合部73は、周方向に等間隔をあけて複数(本実施形態では3つ)形成されている。3つの嵌合部73のうち周方向で貫通孔部71Aに最も近接する2つの嵌合部73Aは、集液筒部71において貫通孔部71Aの周方向両端部から径方向外側に延在している。また、3つの嵌合部73のうち周方向で貫通孔部71Aから離間している残りの1つの嵌合部73Bは、集液筒部71においてスリット部71Bが形成されている部分から径方向外側に延在している。
【0022】
2つの嵌合部73Aの上面には、嵌合部73Aの径方向外端部から径方向内側に向けて延在する導入壁部74が形成されている。導入壁部74は、周方向において貫通孔部71Aと重複する位置に設けられており、導入壁部74の径方向内端部は、径方向で貫通孔部71Aを向いている。また、導入壁部74の径方向外端部の上端は、被係止凹部32Aに対して導入壁部74の下方から係止している。さらに、導入壁部74の径方向内端部は、集液筒部71から径方向で離間している。
一方、1つの嵌合部73Bの上面には、係止突部75が上方に向けて突設されている。係止突部75の上端は、被係止凹部32Aに対して係止突部75の下方から係止している。また、係止突部75の周方向の幅は、スリット部71Bの周方向の幅と同等となっており、係止突部75は、スリット部71Bに挿入可能となっている。
【0023】
以上のような構成の塗布具付き容器1において、集液部材6は、例えば
図3に示すように、口部3上に配置した状態で集液部材6を容器本体2に対して押し込むことによって容器本体2内に配設される。すなわち、集液部材6を容器本体2に対して押し込むと、嵌合部73は、ヒンジ部72回りに上方へ回動し、嵌合部73を集液筒部71に対して折り畳まれる。このとき、導入壁部74は、貫通孔部71Aに挿入され、係止突部75は、スリット部71Bに挿入される。そして、折畳状態にある集液部材6は、集液部材6を容器本体2内へさらに押し込むことによって、口部3内を下方に向けて進む。集液部材6が口部3を通過して胴部11内に至ると、嵌合部73は、復元変形して展開される。これにより、集液部材6は、容器本体2の底部12に配設される。
集液部材6を容器本体2内に配設した後に、塗布具5が装着されたキャップ体4を容器本体2の口部3に螺着する。このようにして、塗布具付き容器1を組み立てる。
【0024】
次に、以上のような構成の塗布具付き容器1の使用方法につい説明する。
まず、例えば
図1に示すように、内容物が十分に残存している場合には、塗布具5の塗布部52には、内容物が付着している。この状態でキャップ体4を容器本体2から螺合解除させ、キャップ体4を容器本体2から取り外すと共に塗布具5を容器本体2から引き出す。取付柱部63や塗布部52に付着している余剰な内容物は、扱き筒部材13によって除去される。その後、塗布部52に付着している内容物を塗布対象に塗布する。
【0025】
次に、例えば
図4に示すように、内容物の残存量が少なくなって内容物の液面が塗布部52の下端よりも下方に位置している場合には、塗布部52に内容物を付着させることができなくなる。そこで、
図5に示すように、塗布具付き容器1を傾ける。塗布具付き容器1を傾けると、
図2に示す周方向で2つの嵌合部73A間に位置する領域Aに残存している内容物は、導入壁部74によって貫通孔部71Aを通して集液筒部71内に案内される。そのため、集液筒部71内に存在する内容物が増加し、集液筒部71における液面は、塗布部52に対して上昇する。これにより、内容物を塗布部52に付着させる。その後、上述と同様に、キャップ体4を容器本体2から螺合解除させ、キャップ体4を容器本体2から取り外すと共に塗布具5を容器本体2から引き出す。
【0026】
なお、集液筒部71には、スリット部71Bが形成されているが、スリット部71Bの周方向の幅が貫通孔部71Aの周方向の幅よりも十分に小さくなっており、また、スリット部71Bが集液筒部71の上端から上下方向の中間部まで形成されて集液筒部71の上下方向の全長にわたっては形成されていないので、集液筒部71内に流入した内容物がスリット部71Bを通して集液筒部71の外側に流出しにくくなっている。また、集液筒部71内に流入した内容物がスリット部71Bを通して集液筒部71の外側に流出する間に、適宜の量の内容物が塗布部52に付着される。
【0027】
なお、
図2に示す周方向で1つの嵌合部73Bと2つの嵌合部73Bのうちのいずれかとの間に位置する領域B、Cに残存している内容物の少なくとも一部を領域Aに移動させるため、塗布具付き容器1を
図5に示す傾け方とは逆に傾けた後に
図5に示すように塗布具付き容器1を傾けてもよい。
図5に示す傾け方とは逆に傾けて領域B、Cに残存している内容物の少なくとも一部を領域Aに移動させると、集液筒部71内に流入する内容物が増加する。これにより、内容物を塗布部52により付着させやすくなる。領域B、Cに残存している内容物は、塗布具付き容器1を
図5に示す傾け方とは逆に傾けた際に、導入壁部74を乗り越えることによって領域Aに流入する。
以上のようにして、塗布具付き容器1を使用する。
【0028】
以上のような構成の塗布具付き容器1によれば、容器本体2内に残存する内容物が少なくなっても、容器本体2を傾けて集液筒部71の外側にある内容物の一部を貫通孔部71Aを通して集液筒部71内に流入させることにより、内容物を塗布部52に付着させることができる。これにより、容器本体内の内容物の残量を低減できる。
また、嵌合部73がヒンジ部72回りに回動するので、容器本体2の口部3の内径が胴部11の内径よりも小径であっても、集液部材6を口部3に押し込むことによって、集液部材6を容器本体2内に導入して容器本体2内に配設できる。
さらに、集液部材6が容器本体2とは別体であるため、容器本体2の設計を大きく変更することなく、容器本体2内の内容物の残量を低減できる効果を奏することができる。
【0029】
また、容器本体2を傾けた際に集液筒部71の外側に位置する内容物の少なくとも一部を導入壁部74に沿って貫通孔部71Aに向けて案内し、集液筒部71内に流入させるので、塗布具付き容器1を傾けたときに内容物を集液筒部71内により集めやすくなる。
さらに、導入壁部74及び係止突部75と被係止凹部32Aとが上下方向で係止するので、集液部材6を容器本体2に対して上下方向で位置決めできる。
その上、嵌合部73を集液筒部71に対して折り畳む際に嵌合部73に形成された導入壁部74及び係止突部75が貫通孔部71A及びスリット部71Bに各別に挿入されるので、導入壁部74及び係止突部75が集液筒部71と干渉することを抑制できる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、内容物の残存量が少なくなった状態で塗布具付き容器を傾けることによって内容物を塗布部に付着させているが、塗布具付き容器を振ったり揺すったりすることによって集液筒部内に内容物を導入して内容物を塗布部に付着させてもよい。
キャップ体は、容器本体に装着された塗布具を容器本体に対して螺着させることによって容器本体に装着されているが、螺着以外の他の方法によって容器本体に装着されてもよい。また、キャップ体自体に雌ネジ部が形成されていてもよい。
塗布部は、筆状部材に限らず、ペン状部材など、他の形状を有する部材であってもよい。
集液部材は、少なくとも2つ以上の嵌合部を有していればよい。また、嵌合部には、導入壁部が設けられていなくてもよい。同様に、嵌合部には、係止突部が設けられていなくてもよい。
導入壁部は、塗布具付き容器を傾けたときに貫通孔部、ひいては集液筒部内に内容物を案内することができれば、導入壁部の径方向内端部が径方向で貫通孔部を向いていない構成とされてもよい。また、導入壁部は、集液部材を容器本体内に配設する際に導入壁部が集液筒部と干渉しなければ、貫通孔部内に挿入可能でなくてもよい。
集液筒部は、有底円筒状をなしているが、底部を有さない円筒状であってもよい。
集液筒部には、係止突部を挿入可能なスリット部が形成されているが、係止突部を挿入可能であれば、スリット状の挿入部に限らず、孔部など、他の形状の挿入部が形成されていればよい。また、集液部材を容器本体内に配設する際に係止突部が集液筒部と干渉しなければ、集液部材に挿入部が形成されていなくてもよい。
貫通孔部は、集液筒部の上下方向の全長にわたって貫通孔部が形成されているが、塗布具付き容器を傾けるなどしたときに集液筒部の外側にある内容物を集液筒部内に導入することができれば、上下方向の全長にわたって延在していなくてもよい。
被係止凹部は、胴部の全周にわたって形成されているが、上下方向で係止する導入壁部及び係止突部の周方向位置に合わせて周方向に離間して複数形成されてもよい。また、被係止部は、容器本体の胴部に形成された被係止凹部に限らず、胴部の内周面から径方向内側に向けて突設された突部など、他の構成を有していてもよい。
容器本体やキャップ体、集液筒部は、円筒状をなしているが、多角形筒状など、他の形状をなしていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明によれば、容器本体内の内容物の残量を低減した塗布具付き容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0032】
1 容器、2 容器本体、3 口部、4 キャップ体、5 塗布具、6 集液部材、12 底部、32A 被係止凹部(被係止部)、51 本体部、52 塗布部、71 集液筒部、71A 貫通孔部、71B スリット部(挿入部)、72 ヒンジ部、73,73A,73B 嵌合部、74 導入壁部、75 係止突部