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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20250108BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020086963
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182053
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】市村 純也
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-044190(JP,A)
【文献】特開2015-197593(JP,A)
【文献】特開2014-106243(JP,A)
【文献】国際公開第2010/018727(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を含み全体として正の屈折力を有する中間群と、正の屈折力を有する最終レンズ群からなるズームレンズであって、
広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記最終レンズ群が物体側へ移動し、かつ隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、広角端における最も物体側のレンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPw、望遠端における最も物体側の前記レンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPt、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をft、広角端から望遠端へのズーミングに際しての前記第1レンズ群の移動量をm1、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離をLwとするとき、
8.0≦f1/fw≦12.0
-1.3≦f2/fw≦-0.5
0.5≦ENPw/fw≦2.0
0.5≦ENPt/ft≦1.4
0.2≦m1/Lw≦0.7
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
広角端から望遠端へのズーミングに際しての前記第2レンズ群の移動量をm2、広角端における最も物体側の前記レンズ面から像面までの光軸上での距離をLwとするとき、
0.05≦m2/Lw≦0.50
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を含み全体として正の屈折力を有する中間群と、正の屈折力を有する最終レンズ群からなるズームレンズであって、
広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記最終レンズ群が物体側へ移動し、かつ隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、広角端における最も物体側のレンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPw、望遠端における最も物体側の前記レンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPt、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をft、広角端から望遠端へのズーミングに際しての前記第2レンズ群の移動量をm2、広角端における最も物体側の前記レンズ面から像面までの光軸上での距離をLwとするとき、
8.0≦f1/fw≦12.0
-1.3≦f2/fw≦-0.5
0.5≦ENPw/fw≦2.0
0.5≦ENPt/ft≦1.4
0.05≦m2/Lw≦0.50
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項4】
広角端から望遠端へのズーミングに際しての前記最終レンズ群の移動量をmr、前記第1レンズ群の移動量をm1とするとき、
0.2≦mr/m1≦0.9
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を含み全体として正の屈折力を有する中間群と、正の屈折力を有する最終レンズ群からなるズームレンズであって、
広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記最終レンズ群が物体側へ移動し、かつ隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、広角端における最も物体側のレンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPw、望遠端における最も物体側の前記レンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPt、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をft、広角端から望遠端へのズーミングに際しての前記最終レンズ群の移動量をmr、前記第1レンズ群の移動量をm1とするとき、
8.0≦f1/fw≦12.0
-1.3≦f2/fw≦-0.5
0.5≦ENPw/fw≦2.0
0.5≦ENPt/ft≦1.4
0.2≦mr/m1≦0.9
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項6】
広角端における最も像側のレンズ面から像面までの距離をBFwとするとき、
0.6≦fw/BFw≦2.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
広角端における最も物体側の前記レンズ面から像面までの距離をLwとするとき、
3.0≦Lw/fw≦10.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第1レンズ群は、一つのレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
フォーカシングに際して、前記中間群に含まれる少なくとも一つのレンズ群が移動することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記中間群は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力のレンズ群と、負の屈折力のレンズ群とを有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記中間群は、その最も像側に、負の屈折力のレンズ群を有し、
フォーカシングに際して、前記負の屈折力のレンズ群が移動することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記第2レンズ群の光軸上での厚さをD2とするとき、
0.7≦D2/fw≦1.4
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項13】
請求項1から1のいずれか一項に記載のズームレンズと、
該ズームレンズからの光を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
ズームレンズと、該ズームレンズからの光を受光する撮像素子とを有し、
前記ズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を含み全体として正の屈折力を有する中間群と、最終レンズ群からなり、
広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群が物体側へ移動し、かつ隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、最大像高をyim、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、広角端における最も物体側のレンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPw、望遠端における最も物体側の前記レンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPt、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をft、広角端から望遠端へのズーミングに際しての前記第1レンズ群の移動量をm1、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離をLwとするとき、
8.0≦f1/fw≦12.0
0.3≦f2/yim≦1.3
0.5≦ENPw/fw≦2.0
0.5≦ENPt/ft≦1.4
0.2≦m1/Lw≦0.7
なる条件を満足することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に好適なズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなズームレンズとして、レトロフォーカスタイプのズームレンズがある。特許文献1には、広角化および高変倍比化されたレトロフォーカスタイプのズームレンズが開示されている。
またズームレンズには、ポジティブリードタイプのズームレンズがある。特許文献2には、いわゆるミラーレスタイプの撮像装置に好適なバックフォーカスが短いポジティブリードタイプのズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-139172号公報
【文献】特開2014-134747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているようなレトロフォーカスタイプにおいて高変倍比化すると、レンズ全長が長くなり易く、小型化が難しい。また特許文献2に開示されたズームレンズでは、広角化と小型化が不十分である。
【0005】
本発明は、十分に広角化され、高変倍比を有する小型のズームレンズおよびこれを備えた撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を含み全体として正の屈折力を有する中間群と、正の屈折力を有する最終レンズ群からなるズームレンズである。広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記最終レンズ群が物体側へ移動し、かつ隣り合うレンズ群の間隔が変化する。第1レンズ群の焦点距離をf1、第2レンズ群の焦点距離をf2、ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、広角端における最も物体側のレンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPw、望遠端における最も物体側の前記レンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPt、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をft、広角端から望遠端へのズーミングに際しての前記第1レンズ群の移動量をm1、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離をLwとするとき、
8.0≦f1/fw≦12.0
-1.3≦f2/fw≦-0.5
0.5≦ENPw/fw≦2.0
0.5≦ENPt/ft≦1.4
0.2≦m1/Lw≦0.7
なる条件を満足することを特徴とする。なお、上記ズームレンズを備えた撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【0007】
また本発明の他の一側面としての撮像装置は、ズームレンズと、該ズームレンズからの光を受光する撮像素子とを有する。ズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を含み全体として正の屈折力を有する中間群と、最終レンズ群からなる。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群および第2レンズ群が物体側へ移動し、かつ隣り合うレンズ群の間隔が変化する。第1レンズ群の焦点距離をf1、第2レンズ群の焦点距離をf2、ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、最大像高をyim、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、広角端における最も物体側のレンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPw、望遠端における最も物体側の前記レンズ面から入射瞳までの光軸上での距離をENPt、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をft、広角端から望遠端へのズーミングに際しての前記第1レンズ群の移動量をm1、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上での距離をLwとするとき、
8.0≦f1/fw≦12.0
0.3≦f2/yim≦1.3
0.5≦ENPw/fw≦2.0
0.5≦ENPt/ft≦1.4
0.2≦m1/Lw≦0.7
なる条件を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、十分に広角化され、高変倍比を有する小型のズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のズームレンズの断面図。
図2】実施例1のズームレンズの縦収差図。
図3】実施例2のズームレンズの断面図。
図4】実施例2のズームレンズの縦収差図。
図5】実施例3のズームレンズの断面図。
図6】実施例3のズームレンズの縦収差図。
図7】実施例4のズームレンズの断面図。
図8】実施例4のズームレンズの縦収差図。
図9】実施例1~4のズームレンズを備えた撮像装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。本発明の実施例のズームレンズは、例えば図1に示すように、物体側から像側に順に配置された、正の屈折力(焦点距離の逆数)を有する第1レンズ群B1と、負の屈折力を有する第2レンズ群B2と、複数のレンズ群(第3から第7レンズ群)B3~B7を含み、全体として正の屈折力を有する中間群BCと、正の屈折力を有する最終レンズ群BRにより構成されている。該ズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群B1、第2レンズ群B2および最終レンズ群BRが物体側に移動する。
【0011】
なお、レンズ群は、ズーミングまたはフォーカシングにおいての前後のレンズ群との間隔が変化する1又は複数のレンズのまとまりである。また広角端と望遠端は、ズーミングにおいてレンズ群が機構上、光軸方向に移動可能な範囲の両端に位置したときの状態(ズーム位置)をいう。
【0012】
図1では、物体側からの順番をiとして、第iレンズ群をBiで示し、最も像側の最終レンズ群(第8レンズ群)をBRで示している。また、第3から第7レンズ群B3~B7をまとめて中間群BCとして示している。図1において、(W)は広角端、(M)は中間ズーム位置、(T)は望遠端での断面を示している。このことは、図3図5および図7でも同様である。
【0013】
実施例のズームレンズでは、図1から分かるように、広角端で広い画角を得ながら第1レンズ群B1の屈折力を正とし、これを大きく物体側に繰り出すことで高い変倍(ズーム)比を実現している。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群B2と第3レンズ群B3との間隔を狭めながらこれらを物体側に移動させることで、中間群BCの移動量を確保して高変倍比化し易くしている。また、最終レンズ群BRの屈折力を正とすることで、広角端においてレンズ全長を短くしてズームレンズを小型化している。さらに、最終レンズ群BRが広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群B1の移動に合わせて物体側に移動することで、望遠端において光学系の対称性を維持しながら焦点距離を長くし、望遠端で良好な結像性能を得ている。
【0014】
そして実施例のズームレンズは、第1レンズ群B1の焦点距離をf1、第2レンズ群B2の焦点距離をf2、広角端におけるズームレンズ全系の焦点距離をfwとするとき、以下の条件式(1)、(2)を満足する。
8.0≦f1/fw≦15.0 (1)
-1.3≦f2/fw≦-0.5 (2)
条件式(1)と(2)は、第1レンズ群B1と第2レンズ群B2の屈折力の好ましい範囲を示し、標準的な望遠型のズームレンズに比べて、第1レンズ群B1の屈折力が弱く、第2レンズ群B2の屈折力が強いことを示している。f1/fwが条件式(1)の上限を超えるように第1レンズ群B1の屈折力が弱すぎると、中間ズーム位置から望遠端にかけての変倍比(ズーム比)を大きくすることが難しくなるため、好ましくない。f1/fwが条件式(1)の下限を下回るように第1レンズ群B1の屈折力が強すぎると、必要な画角を得るために第2レンズ群B2の屈折力をさらに強くすることが必要になり、像面湾曲が増加したり、歪曲の補正不足になったりするため、好ましくない。
f2/fwが条件式(2)式の上限を超えるように第2レンズ群B2の屈折力が強すぎると、像面湾曲が増加したり歪曲の補正不足になったりするため、好ましくない。f2/fwが条件式(2)式の下限を下回るように第2レンズ群B2の屈折力が弱すぎると、広角端で必要な画角が得られないか第1レンズ群Bの屈折力が弱くなりすぎるかして、ズーム比を大きくすることが難しくなるため、好ましくない。
【0015】
実施例のズームレンズは、上記条件式(1)、(2)を満足することに加えて、以下の条件式(3)~(12)のうち少なくとも1を満足することが好ましい。
【0016】
実施例のズームレンズは、ズームレンズの広角端における入射瞳位置(最も物体側のレンズ面から入射瞳までの距離)をENPwとするとき、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
0.5≦ENPw/fw≦2.0 (3)
条件式(3)は、広角端における入射瞳位置の好ましい範囲を示し、標準的なズームレンズに対して入射瞳までの距離が短いことを示している。ENPw/fwが条件式(3)の上限を超えるように入射瞳までの距離が長すぎると、第1レンズ群B1または第2レンズ群B2の厚さが厚くなりすぎて条件式(2)式を満足しつつ広角端で広画角を得ることが難しくなるか、第1レンズ群B1の屈折力を正としてレンズ全長を短くすることが難しくなるためかするため、好ましくない。ENPw/fwが条件式(3)の下限を下回るように入射瞳までの距離が短すぎると、不必要に第2レンズ群B2の屈折力が強くなるため、像面湾曲や歪曲を良好に補正することが難しくなるため、好ましくない。
【0017】
実施例のズームレンズは、広角端から望遠端へのズーミングに際しての第1レンズ群B1の移動量をm1、広角端における第1レンズ群B1の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をLwとするとき、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。本実施例において、レンズ群の移動量は、広角端における光軸上の位置と望遠端における光軸上の位置との差に相当する。移動量の符号は、広角端に比べて望遠端においてレンズ群が像側に位置するときを負、広角端に比べて望遠端においてレンズ群が物体側に位置するときを正とする。
0.2≦m1/Lw≦0.7 (4)
条件式(4)は、第1レンズ群B1の移動量の好ましい範囲を示す。m1/Lwが条件式(4)の上限を超えるように第1レンズ群B1の移動量が大きすぎると、第1レンズ群B1を移動させる駆動機構を構成することが難しくなるとともに、望遠端で周辺光量を確保できなくなるので、好ましくない。m1/Lwが条件式(4)の下限を下回るように第1レンズ群B1の移動量が小さすぎると、第1レンズ群B1と第2レンズ群B2との間隔の変化が小さくなってズーム比を大きくしにくくなるか、第1レンズ群Bと第2レンズ群Bの屈折力を必要以上に強めることになるかするため、好ましくない。
【0018】
実施例のズームレンズは、広角端から望遠端へのズーミングに際しての第2レンズ群B2の移動量をm2、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの距離をLwとするとき、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
0.05≦m2/Lw≦0.50 (5)
条件式(5)は、第2レンズ群B2の移動量の好ましい範囲を示す。m2/Lwが条件式(5)の上限を超えるように第2レンズ群B2の移動量が大きすぎると、第1レンズ群B1と第2レンズ群B2との間隔の変化を得られずズーム比を大きくすることが難しくなるため、好ましくない。m2/Lwが条件式(5)の下限を下回るように第2レンズ群B2の移動量が小さすぎると、第1レンズ群B1と第2レンズ群B2との間隔の変化を得やすくズーム比を大きくすることができるが、第1レンズ群Bと第2レンズ群B2との間の距離が離れすぎて望遠端で周辺光量が確保できなくなるため、好ましくない。
【0019】
実施例のズームレンズは、広角端から望遠端へのズーミングに際しての最終レンズ群BCの移動量をmr、第1レンズ群B1の移動量をm1とするとき、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
0.2≦mr/m1≦0.9 (6)
条件式(6)は、第1レンズ群B1の移動量に対する最終レンズ群BCの移動量の比率の好ましい範囲を示す。最終レンズ群BCは、第1レンズ群B1との間隔を広げながら物体側に移動することが好ましい。mr/m1が条件式(6)の上限を超えるように最終レンズ群BCの移動量が大きすぎると、最終レンズ群BCが物体側に移動することによる減倍の影響で高ズーム化が難しくなるので、好ましくない。mr/m1が条件式(6)の下限を下回るように最終レンズ群BCの移動量が小さいと、望遠端で光学系の対称性が崩れて軸外収差の補正が難しくなるとともに、最終レンズ群BCのレンズ径が大きくなりすぎるため、好ましくない。
【0020】
実施例のズームレンズは、広角端におけるズームレンズ全系の焦点距離をfw、広角端における最終レンズ群BCの最も像側の面(最終面)から像面までの距離をBFwとするとき、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。
0.6≦fw/BFw≦2.0 (7)
条件式(7)は、全系の広角端での焦点距離とバックフォーカスとの比の好ましい範囲を示す。レンズ全長を短縮するために、バックフォーカスは短いことが好ましい。fw/BFwが条件式(7)の上限を超えるようにバックフォーカスが短いと、最終レンズ群BCが像面に近づいて最終レンズ群BCのレンズ径が大きくなりすぎるため、好ましくない。(fw/BFwが条件式(7)の下限を下回るように広角端でのバックフォーカスが長くなると、レンズ全長を短くすることができなくなるため、好ましくない。
【0021】
実施例のズームレンズは、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの距離をLw、広角端におけるズームレンズ全系の焦点距離をfwとするとき、以下の条件式(8)を満足することが好ましい。
3.0≦Lw/fw≦10.0 (8)
条件式(8)は、全系の広角端での焦点距離とレンズ全長との比の好ましい範囲を示す。Lw/fwが条件式(8)の上限を超えると、全系の広角端での焦点距離に対してレンズ全長が長くなりすぎるため、好ましくない。Lw/fwが条件式(8)の下限を視玉話目と、全系の広角端での焦点距離に対してレンズ全長が短くなりすぎて、必要なレンズ群間隔の変化が得られず、高ズーム化を得ることが難しくなるため、好ましくない。
【0022】
実施例のズームレンズは、望遠端における入射瞳位置をENPt、ズームレンズ全系の望遠端での焦点距離をftとするとき、以下の条件式(9)を満足することが好ましい。
0.5≦ENPt/ft≦1.4 (9)
条件式(9)は、望遠端における入射瞳位置の好ましい範囲を示す。ENPt/ftが条件式(9)の上限を超えると、第1レンズ群Bと第2レンズ群Bの間隔が大きくなりすぎて望遠端で周辺光量が不足しやすくなるため、好ましくない。(9)式の下限を超えると第1レンズ群Bと第2レンズ群Bの間隔変化が少なくなり、高い変倍比が得られなくなるため好ましくない。
【0023】
実施例のズームレンズは、これを備えた撮像装置における最大像高をyimとするとき、以下の条件式(10)を満足することが好ましい。
0.3≦f2/yim≦1.3 (10)
条件式(10)は、第2レンズ群B2の焦点距離と最大像高との比の好ましい範囲を示す。なお、最大像高は、近軸近似した値である。広角端で適切な量の樽型歪曲を発生させ、広角端での周辺光量の確保と良好な像面湾曲特性を得ることで、第2レンズ群B2の屈折力を強くすることができる。このため、実質的な像高と第2レンズ群B2の焦点距離との関係を適切にすることが重要であり、f2/yimを条件式(10)の範囲とすることで、高い光学性能と広画角を両立することができる。f2/yimが条件式(10)の上限を超えるように第2レンズ群B2の屈折力が弱すぎると、広角端で必要な画角が得られなくなるため好ましくない。f2/yimが条件式(10)の下限を下回るように第2レンズ群B2の屈折力が強すぎると、像面湾曲や歪曲収差が大きくなって光学性能が低下するため、好ましくない。
【0024】
第1レンズ群B1と中間群BCが離れるとともに、中間群BCと最終レンズ群BRが離れることで、第1レンズ群B1と最終レンズ群BRを通る周辺光線の高さが対称になることで、互いに収差をキャンセルすることができ、第1レンズ群B1の構成を簡素化することが可能となる。このため、第1レンズ群B1を複数のレンズにより構成して色収差を補正することよりも、第1レンズ群B1の厚さを薄くしてズームレンズを小型化した方がよい。このため、実施例のズームレンズでは、第1レンズ群B1を一つのレンズにより構成するとともに、以下の条件式(11)を満足することが好ましい。
0.1≦D1/f1≦0.8 (11)
条件式(11)は、第1レンズ群B1の光軸上での厚さD1の好ましい範囲を示している。D1/f1が条件式(11)の上限を超えるように第1レンズ群B1が厚くなると、ズームレンズの小型化が難しくなるため、好ましくない。D1/f1が条件式(11)の下限を下回るように第1レンズ群B1が薄くなると、必要な屈折力が得られなくなるため、好ましくない。
【0025】
また実施例のズームレンズは、以下の条件式(12)を満足することで、条件式(3)式を満足しやすくなる。
0.7≦D2/fw≦1.4 (12)
条件式(12)は、第2レンズ群B2の光軸上での厚さD2の好ましい範囲を示す。D2/fwが条件式(12)の上限を超えるように第2レンズ群B2の厚さが厚くなり、レンズ全長の短縮が難しくなるか、第2レンズ群B2のレンズ径が大きくなりすぎるかするため、好ましくない。D2/fwが条件式(12)の下限をしたまわるように第2レンズ群B2が薄すぎると、高次の像面湾曲および高次の歪曲が発生してこれらを補正しきれなくなるので、好ましくない。
【0026】
なお、中間群BCは、ズーミングの補助やフォーカシング等の目的から複数のレンズ群を含み、その構成には自由度を有する。
【0027】
上述した条件式(1)~(12)の数値範囲を以下のようにすると、より好ましい。
8.5≦f1/fw≦15.0 (1a)
-1.2≦f2/fw≦-0.6 (2a)
0.7≦ENPw/fw≦1.8 (3a)
0.25≦m1/Lw≦0.60 (4a)
0.1≦m2/Lw≦0.4 (5a)
0.3≦mr/L1≦0.8 (6a)
0.6≦fw/BFw≦1.8 (7a)
4.0≦Lw/fw≦9.0 (8a)
0.7≦ENPt/ft≦1.3 (9a)
0.4≦f2/yim≦1.2 (10a)
0.2≦D1/f1≦0.6 (11a)
0.8≦D2/fw≦1.3 (12a)
また、条件式(1)~(10)の数値範囲を以下のようにすると、さらに好ましい。
8.5≦f1/fw≦12.0 (1b)
-1.2≦f2/fw≦-0.7 (2b)
0.8≦ENPw/fw≦1.5 (3b)
0.3≦m1/Lw≦0.5 (4b)
0.15≦m2/Lw≦0.30 (5b)
0.4≦mr/L1≦0.7 (6b)
0.7≦fw/BFw≦1.5 (7b)
5.0≦Lw/fw≦8.5 (8b)
0.8≦ENPt/ft≦1.3 (9b)
0.5≦f2/yim≦1.1 (10b)
以下、実施例1~5を具体的に説明する。図1は、実施例1のズームレンズの断面を示している。実施例1のズームレンズは、物体側から像側に順に、正の屈折力を有する第1レンズ群B1、負の屈折力を有する第2レンズ群B2、正の屈折力を有する第3レンズ群B3、正の屈折力を有する第4レンズ群B4、負の屈折力を有する第5レンズ群B5、正の屈折力を有する第6レンズ群B6、負の屈折力を有する第7レンズ群B7および正の屈折力を有する最終レンズ群(第8レンズ群)BRにより構成されている。第3レンズ群B3から第7レンズ群B7が中間群BCを構成する。STOは第4レンズ群B4における物体側に設けられた開口絞りであり、imgは像面である。上記のズームレンズの構成は、後述する実施例2~4のズームレンズでも同じである。
【0028】
各レンズ群の下には、広角端から望遠端へのズーミングに際しての各レンズ群の移動軌跡を示している。各レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。またフォーカス群としての第7レンズ群B7の上に示した矢印INFは、無限遠距離から至近距離へのフォーカシングにおける第7レンズ群B7の像側への移動を示している。
【0029】
実施例1に対応する数値例1を後に記載する。数値例1のズームレンズは、広角端での半画角が51.5°と広画角で、ズーム比が3.3倍と高倍率な広角ズームレンズである。
【0030】
実施例1では、中間群BCを正の第3レンズ群B3、正の第4レンズ群B4、負の第5レンズ群B5、正の第6レンズ群B6および負の第7レンズ群B7により構成し、広角端から望遠端へのズーミングに際して第3レンズ群B3と第4レンズ群B4の間隔を狭めるとともに、第5レンズ群B5と第6レンズ群B6の間隔を広げている。このように中間群BCに正のレンズ群と負のレンズ群を含ませてそれらの間隔を変化させると、ズーム比を大きくすることができる。また、フォーカシングを中間群BCのうち最も像側の負の第7レンズ群B7を移動させて行うことで、フォーカシングに際しての画角の変化を少なくすることができる。
【0031】
また、中間群BCを多群構成とすることで、それぞれのレンズ群の位置に対する敏感度が高くなりやすい。ズームレンズの組立誤差による光学性能の低下を防ぐために、複数のレンズ群が一体化された構成とすることが好ましく、実施例1では第4レンズ群B4と第6レンズ群B6を一体化している。
【0032】
図2は、実施例1のズームレンズの結像性能を示す収差図であり、広角端(W)、中間ズーム位置(M)および望遠端(T)での球面収差、像面湾曲および歪曲を示している。球面収差図において、実線はd線(587.56nm)、点線はF線(486.13nm)、破線はC線(656.27nm)、二点鎖線はg線(435.83nm)の球面収差をそれぞれ示している。横軸のスケールはデフォーカス量であり、-0.4~+0.4[mm]である。像面湾曲図において、実線はサジタル像面の像面湾曲を、点線はメリジオナル像面の像面湾曲をそれぞれ示している。横軸は球面収差と同じである。歪曲図ではd線に対する歪曲を示している。横軸のスケールを-10~+10[%]で示している。以上の収差図の説明は、後述する実施例2~4のズームレンズの収差図(図4図6および図8)でも同じである。
【0033】
図3は、実施例2のズームレンズの断面を示している。各レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。
【0034】
実施例2に対応する数値例2を後に記載する。数値例2のズームレンズは、広角端での半画角が51.5°と広画角で、ズーム比が3.88倍と高倍率な広角ズームレンズである。
【0035】
なお、実施例2では、フォーカス群である第7レンズ群B7の移動軌跡を、無限遠距離に合焦した状態でのズーミングに際しての第6レンズ群B6の移動軌跡と同一にする(第6および第7レンズ群B6の相対位置が変わらないようにする)ことで、構造を簡略化している。
【0036】
図5は、実施例2のズームレンズの断面を示している。各レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。ただし、第2レンズ群B2は、広角端から中間ズーム位置にかけて一旦像側に移動した後に望遠端まで物体側に移動する。
【0037】
また実施例2に対応する数値例2を後に記載する。数値例2のズームレンズは、広角端での半画角が51.5°と広画角で、ズーム比が3.88倍と高倍率な広角ズームレンズである。
【0038】
図5は、実施例3のズームレンズの断面を示している。各レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。ただし、第2レンズ群B2は、広角端から中間ズーム位置にかけて一旦像側に移動した後に望遠端まで物体側に移動する。
【0039】
実施例3に対応する数値例3を後に記載する。数値例3のズームレンズは、広角端での半画角が51.5°と広画角で、ズーム比が4.77倍と高倍率な広角ズームレンズである。第1および第2レンズ群B1、B2の焦点距離f1、f2が条件式(1)、(2)を満足する必要があるため、実施例3では、全系の望遠端での焦点距離に応じて実施例1、2に比べてレンズ全長を伸ばして第1レンズ群B1の移動量を大きくすることで実施例1、2に比べて高ズーム比を実現している。
【0040】
また、全系の望遠端での焦点距離が長くなると、高ズーム比化による球面収差の補正が必要になる。このため、実施例3では、中間レンズ群BCに非球面を設けている。
【0041】
図7は、実施例4のズームレンズの断面を示している。各レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。substoは、第3レンズ群B3における物体側に設けられた副絞りである。
【0042】
実施例4に対応する数値例4を後に記載する。数値例4のズームレンズは、広角端での半画角が51.5°と広画角で、ズーム比が3.88倍と高倍率な広角ズームレンズである。
【0043】
実施例4では、中間群BCの第3レンズ群B3と第4レンズ群B4をズーミングに際して一体で移動させ、無限遠距離から至近距離へのフォーカシングに際して第7レンズ群B7に加えて第3レンズ群B3を移動させるフローティング構成としている。本実施例において、第3レンズ群B3、第4レンズ群B4、第6レンズ群Bおよび第7レンズ群B7を同一の保持部材(鏡筒)により保持した上で、第3レンズ群B3と第7レンズ群B7をアクチュエータにより保持部材に対して移動させることで、中間群BCを多群化しても構造の複雑化を回避することができる。また第3レンズ群B3をフォーカシングに際して移動させることで像面変動を抑えられるが画角の変化が大きくなる。このため、第3レンズ群B3と第7レンズ群B7とを組み合わせてフローティング構成とすることで、容易に良好な光学性能を得ることができる。
【0044】
このように、中間群BCの構成を様々に変更することが可能である。例えば、中間群BCのうち少なくとも一つのレンズ群をズーミングに際して不動としてもよい。また最終レンズ群BRがズーミングに際して不動であってもよい。
【0045】
さらに、上記各実施例のズームレンズの物体側または像側にきわめて弱い屈折力(実質的に屈折力を持たない)素子を配置してもよい。
【0046】
以下、数値例1~4を示す。各数値例において、|f|は焦点距離(mm)、FはFナンバー、imgφはイメージサークル径(mm)、angは半画角(°)を示す。
【0047】
Bはレンズ群の番号を示す。面番号(i)は物体側から像側に順に面に付した番号であり、面番号の左側のsは、その面が開口絞りSTOであることを示す。曲率Rは物体側からi番目の面の曲率半径(mm)、間隔dはi番目と(i+1)番目の面間のレンズ厚または空気間隔(mm)を示す。括弧付きの間隔dはレンズ群間の間隔を示している。glassはガラス材料の名称を示している。ndはi番目の光学部材の材料のd線における屈折率を、νdiはi番目の光学部材の材料のd線を基準としたアッベ数をそれぞれ示している。
【0048】
アッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、νd=(Nd-1)/(NF-NC)で表される。
【0049】
各種データにおける焦点距離(mm)とF値は、無限遠距離に合焦した状態での値である。最大像高は、像の歪曲収差を考慮しない場合の像高であり、実像高は像の歪曲収差を考慮した場合の近軸近似した像高である。各実施例では、ズームレンズの歪曲収差による像の歪みを、該ズームレンズを通した撮像により得られた画像データの処理によって補正することを想定している。レンズ全長(mm)は、最も物体側のレンズ面(第1面)から像面までの距離を示す。BFはバックフォーカス(mm)を示し、最も像側において屈折力を有するレンズから像面までの距離であり、この間で平板等の屈折力を有さない素子がある場合はそれを除外して算出される空気換算長である。
【0050】
また、面番号の右側に*が付記されているレンズ面は、以下の関数に従う非球面形状を有することを示し、各数値例にその係数を示している。yはレンズ面の面頂点を基準とする径方向での座標、xはレンズ面の面頂点を基準とする光軸方向での座標を示す。光の進行方向を正とし、rは近軸曲率半径、Kは円錐定数、A,B,C,D,E,F,Gは非球面係数である。「e-x」は×10-xを意味する。
x =(y /r)/[1+{1-(1+K)(y/r)}1/2
+Ay+By+Cy+Dy10+Ey12+Fy14+Gy16
また、数値例1~4における前述した条件式(1)~(12)に対応する値を表1にまとめて示す。
[数値例1]
単位 mm
面データ
|f|=17.50-58.00 F/4.10-5.70 imgφ=44.00 ang=51.5-38.2
B 面番号 有効径 曲率半径 間隔d glass nd νd
OBJ (INF)
1 1 50.67 85.9659 4.8500 SLAH65 1.80400 46.57
2 49.07 238.0833 (1.0000)
2 3 37.95 98.9757 1.8000 SLAH89 1.85150 40.78
4 25.29 13.9299 8.8500
5* 25.29 -134.3202 1.8000 SFPL51 1.49700 81.54
6* 24.96 20.6396 1.0500
7 24.99 39.4880 3.2000 STIH53 1.84666 23.78
8 24.62 251.1777 (18.0320)
3 9 17.20 23.0000 0.8000 STIH4 1.75520 27.51
10 16.17 13.3852 4.5000 SNBM51 1.61340 44.27
11 15.00 -295.5298 (9.1382)
4 s12 10.82 1e+018 1.0000
13 14.95 24.8053 3.0000 SLAH60 1.83400 37.16
14 14.60 -90.6871 (2.3519)
5 15 12.42 -28.7964 2.5600 EFDS1W 1.92286 20.88
16 12.33 -11.9313 0.7000 SNBH56 1.85478 24.80
17 12.05 79.8422 (2.8745)
6 18 12.21 70.7105 0.7000 TAFD37 1.90043 37.37
19 12.44 12.8054 4.2500 SFPL51 1.49700 81.54
20 13.68 -36.6331 0.3000
21 15.61 27.0364 3.4000 SFPL51 1.49700 81.54
22 16.11 -37.5492 (1.6119)
7 23* 17.31 160.1061 1.2000 LLAH85V 1.85400 40.38
24* 17.62 26.7619 (5.0060)
8 25 31.79 80.0000 3.2000 STIH53 1.84666 23.78
26 32.00 -2e+004 (21.3756)
IMG

非球面データ
第5面
r = -1.34320e+002 K = 0.00000e+000 A = -1.51443e-005 B = 2.20176e-007
C = -1.88857e-009 D = 7.42003e-012 E = -1.41526e-014 F = 0.00000e+000
第6面
r = 2.06396e+001 K = 0.00000e+000 A = -5.67792e-005 B = 2.26193e-007
C = -2.82983e-009 D = 1.16083e-011 E = -2.37960e-014 F = 0.00000e+000
第23面
r = 1.60106e+002 K = 0.00000e+000 A = -3.09624e-005 B = 3.24535e-007
C = 1.40707e-009 D = -3.21705e-011 E = 2.23386e-013 F = 0.00000e+000
第24面
r = 2.67619e+001 K = 0.00000e+000 A = -3.09169e-005 B = 3.01643e-007
C = 6.23768e-010 D = -2.74846e-011 E = 2.01482e-013 F = 0.00000e+000

各種データ
WIDE MIDDLE TELE
焦点距離 17.50 28.00 58.00
F値 4.10 4.50 5.70
半画角(°) 51.50 38.16 20.77
最大像高 22.00 22.00 22.00
実像高 19.47 20.98 21.94
全長 108.50 114.27 158.50
BF 21.38 33.45 49.01

群間隔データ
WIDE MIDDLE TELE WIDE至近 MIDDLE至近 TELE至近
d0 1e+020 1e+020 1e+020 170.0024 184.2324 160.0022
d2 1.0000 4.9023 28.8555
d8 18.0320 8.4120 1.4260
d11 9.1382 5.5039 1.0000
d14 2.3519 3.1782 4.2263
d17 2.8745 2.0482 1.0000
d22 1.6119 0.3000 0.4014 2.6184 1.8032 4.2211
d24 5.0060 9.3647 25.4257 4.0000 7.8632 21.6063
d26 21.3756 33.4503 49.0052

群データ
群 始面 焦点距離
B1 1 165.0033
B2 3 -15.3637
B3 9 41.1282
B4 12 23.6337
B5 15 -26.7620
B6 18 35.2937
B7 23 -37.7830
B8 25 94.0819

[数値例2]
単位 mm
面データ
|f|=17.50-68.00 F/4.10-5.70 imgφ=44.00 ang=51.5-32.2
B 面番号 有効径 曲率半径 間隔d glass nd νd
OBJ (INF)
1 1 59.18 72.3559 6.6000 SLAL14 1.69680 55.53
2 57.46 204.6939 (1.0000)
2 3 40.89 121.4477 1.5000 SLAH89 1.85150 40.78
4 27.75 15.4153 (9.9289)
5* 27.66 -125.4374 1.2000 SFPL51 1.49700 81.54
6* 27.26 23.0138 1.1000
7 27.30 40.9791 3.8000 STIH57 1.96300 24.11
8 26.67 139.2348 (25.4614)
3 9 17.02 1e+018 1.0000
10 16.60 22.3757 0.8000 STIH53 1.84666 23.78
11 16.09 15.0225 5.0000 STIM5 1.60342 38.03
12 15.95 -89.1651 8.5585
4 s13 10.91 1e+018 (1.0000)
14 15.74 28.3757 2.8000 NBFD13 1.80610 40.73
15 15.09 -189.8864 (1.4263)
5 16 13.18 -29.4334 2.6000 EFDS1W 1.92286 20.88
17 13.11 -12.3920 0.7000 SNBH56 1.85478 24.80
18 12.89 65.6652 (4.0646)
6 19 13.11 85.9576 0.7000 TAFD32 1.87070 40.73
20 13.46 14.7435 4.5000 SFPL51 1.49700 81.54
21 14.78 -33.1392 0.3000
22 16.84 30.7064 3.8500 SFPL55 1.43875 94.66
23 18.00 -32.8197 (1.0000)
7 24* 18.66 66.2997 1.2000 LLAH85V 1.85400 40.38
25* 18.81 24.8566 (6.9450)
8 26 31.77 93.3969 5.0000 NBFD30 1.85883 30.00
27 32.01 -74.0438 (1.4500)
28 31.75 -90.8570 1.8000 SLAL14 1.69680 55.53
29 32.00 120.8955 (18.2653)
IMG

非球面データ
第 5面
r = -1.25437e+002 K = 0.00000e+000 A = -1.21444e-005 B = 2.13106e-007
C = -1.83267e-009 D = 6.86627e-012 E = -1.04722e-014 F = 0.00000e+000
第 6面
r = 2.30138e+001 K = 0.00000e+000 A = -4.23611e-005 B = 2.19662e-007
C = -2.47772e-009 D = 1.00597e-011 E = -1.73084e-014 F = 0.00000e+000
第 24面
r = 6.62997e+001 K = 0.00000e+000 A = -4.78663e-005 B = 3.67814e-007
C = 2.75341e-009 D = -5.44162e-011 E = 2.74951e-013 F = 0.00000e+000
第 25面
r = 2.48566e+001 K = 0.00000e+000 A = -5.02945e-005 B = 3.68886e-007
C = 2.35785e-009 D = -5.32539e-011 E = 2.72497e-013 F = 0.00000e+000

各種データ
WIDE MIDDLE TELE
焦点距離 17.50 35.00 68.00
F値 4.10 4.50 5.70
半画角(°) 51.50 32.15 17.93
最大像高 22.00 22.00 22.00
実像高 19.43 21.75 22.10
全長 123.50 130.13 173.50
BF 18.27 33.13 42.65

群間隔データ
WIDE MIDDLE TELE WIDE至近 MIDDLE至近 TELE至近
d0 1e+020 1e+020 1e+020 155.0026 188.3762 175.0008
d2 1.0000 9.5350 35.1839
d8 25.4614 7.9043 1.5989
d12 8.5585 3.7393 1.0000
d15 1.4263 3.2817 4.4909
d18 4.0646 2.2092 1.0000
d23 1.0000 1.0000 1.0000 2.2507 3.4105 6.3635
d25 6.9450 12.5481 29.7440 5.6943 10.1388 24.3806
d29 18.2653 33.1295 42.6535

[数値例3]
単位 mm
面データ
|f|=17.50-83.50 F/4.10-5.70 imgφ=44.00 ang=51.5-28.8
B 面番号 有効径 曲率半径 間隔d glass nd νd
OBJ (INF)
1 1 54.95 74.1217 6.0000 SLAL14 1.69680 55.53
2 51.90 202.5547 (1.0000)
2 3 43.64 118.8980 1.5000 SLAH89 1.85150 40.78
4 29.46 16.1441 11.0000
5* 29.41 -90.7311 1.2000 SFPL51 1.49700 81.54
6* 29.41 27.9713 1.0000
7 29.47 47.3762 3.8500 STIH57 1.96300 24.11
8 28.93 196.4761 (31.7808)
3 9 18.11 1e+018 0.5000
10 19.34 21.0000 0.8000 STIH53 1.84666 23.78
11 18.87 14.3644 5.1000 STIM5 1.60342 38.03
12 18.88 -372.5334 (8.7434)
4 s13 11.59 1e+018 1.0000
14* 18.87 34.2461 3.3000 NBFD13 1.80610 40.73
15 18.52 -86.1376 0.3000
16 18.02 1e+018 (1.5322)
5 17 15.55 -32.2089 2.9000 EFDS1W 1.92286 20.88
18 15.46 -13.9595 0.7000 SNBH56 1.85478 24.80
19 15.08 65.9376 (4.3640)
6 20 15.08 73.8851 0.7000 TAFD32 1.87070 40.73
21 14.98 15.4368 4.6000 SFPL51 1.49700 81.54
22 15.52 -37.9051 0.3000
23 17.42 26.8245 3.9969 SFPL55 1.43875 94.66
24 18.21 -38.6928 (0.6000)
7 25* 18.45 101.8598 1.0000 LLAH85V 1.85400 40.38
26* 18.58 25.2883 (6.5977)
8 27 31.39 481.2369 4.1000 STIH6 1.80518 25.42
28 31.77 -54.8079 6.0000
29 31.64 -99.2809 1.2000 SLAL14 1.69680 55.53
30 32.00 242.4893 (14.8851)
IMG

非球面データ
第5面
r = -9.07311e+001 K = 0.00000e+000 A = -1.08275e-005 B = 1.88138e-007
C = -1.31510e-009 D = 4.41010e-012 E = -6.65564e-015 F = 0.00000e+000
第6面
r = 2.79713e+001 K = 0.00000e+000 A = -3.48796e-005 B = 1.95356e-007
C = -1.56778e-009 D = 4.97646e-012 E = -7.56979e-015 F = 0.00000e+000
第14面
r = 3.42461e+001 K = 0.00000e+000 A = -7.06073e-006 B = -7.25532e-009
C = 0.00000e+000 D = 0.00000e+000 E = 0.00000e+000 F = 0.00000e+000
第25面
r = 1.01860e+002 K = 0.00000e+000 A = -2.96801e-005 B = 2.93428e-007
C = 1.95181e-009 D = -4.59273e-011 E = 2.31678e-013 F = 0.00000e+000
第26面
r = 2.52883e+001 K = 0.00000e+000 A = -2.92611e-005 B = 2.98754e-007
C = 1.15295e-009 D = -3.84528e-011 E = 2.02177e-013 F = 0.00000e+000

各種データ
WIDE MIDDLE TELE
焦点距離 17.50 40.00 83.50
F値 4.10 4.50 5.70
半画角(°) 51.50 28.81 14.76
最大像高 22.00 22.00 22.00
実像高 19.43 22.05 22.41
全長 130.50 135.64 183.50
BF 14.89 34.26 43.12

群間隔データ
WIDE MIDDLE TELE WIDE至近 MIDDLE至近 TELE至近
OBJ 1e+020 1e+020 1e+020 148.0036 212.8644 215.0010
d2 1.0000 9.3874 37.4116
d8 31.7808 8.9907 0.9720
d12 8.7434 2.8762 1.0000
d16 1.5322 3.6764 4.8962
d19 4.3640 2.2197 1.0000
d24 0.6000 0.8203 3.6311 1.6215 2.7529 8.3898
d26 6.5977 12.4052 30.4242 5.5762 10.4741 25.6654
d30 14.8851 34.2645 43.1173

[数値例4]
単位 mm
面データ
|f|=17.50-68.00 F/4.10-5.70 imgφ=44.00 ang=51.5-32.2
B 面番号 有効径 曲率半径 間隔d glass nd νd
OBJ (INF)
1 1 55.68 78.9840 5.5000 SLAL14 1.69680 55.53
2 54.03 187.0630 (1.0000)
2 3 43.40 97.2284 1.5000 SLAH89 1.85150 40.78
4 30.12 16.9954 10.2000
5* 29.78 -560.5680 1.5000 SFPL51 1.49700 81.54
6* 28.78 30.6951 6.2000
7 27.65 62.2063 2.4000 STIH57 1.96300 24.11
8 27.19 136.7590 (31.2669)
3 9 17.88 1e+018 0.5000
10 18.64 22.9783 0.8000 NBFD30 1.85883 30.00
11 18.27 15.0000 5.0000 SNBH52 1.67300 38.15
12 18.19 -116.8683 (1.9921)
4 s13 12.39 1e+018 1.0000
14* 17.33 32.6936 2.4000 SNBH51 1.74950 35.33
15 16.73 122.6949 (1.7438)
5 16 14.01 -75.9862 2.9000 EFDS1W 1.92286 20.88
17 13.71 -20.9452 0.7000 SNBH56 1.85478 24.80
18 13.33 60.4934 (5.9010)
6 19 13.35 66.0059 0.7000 NBFD30 1.85883 30.00
20 13.67 12.7487 4.6500 SFPL51 1.49700 81.54
21 14.96 -42.1573 (0.3000)
22 16.57 34.5510 4.0000 SFPL55 1.43875 94.66
23 17.51 -23.0967 (1.6099)
7 24* 17.75 -41.9226 1.0000 LLAH85V 1.85400 40.38
25* 18.42 72.5868 (5.7864)
8 26 31.15 -494.1917 4.3000 SNBH56 1.85478 24.80
27 31.64 -42.2226 5.9500
28 31.24 -48.9305 1.2000 SBSL7 1.51633 64.14
29 32.00 400.0000 (14.5700)
IMG

第5面
r = -5.60568e+002 K = 0.00000e+000 A = -4.01972e-006 B = 1.08171e-007
C = -1.14163e-009 D = 4.22311e-012 E = -6.28995e-015 F = 0.00000e+000
第6面
r = 3.06951e+001 K = 0.00000e+000 A = -2.19963e-005 B = 1.05513e-007
C = -1.44457e-009 D = 5.33410e-012 E = -7.85702e-015 F = 0.00000e+000
第14面
r = 3.26936e+001 K = 0.00000e+000 A = -6.82471e-006 B = -2.13541e-008
C = 0.00000e+000 D = 0.00000e+000 E = 0.00000e+000 F = 0.00000e+000
第24面
r = -4.19226e+001 K = 0.00000e+000 A = -1.92577e-005 B = 6.58402e-007
C = -8.47928e-009 D = 7.96371e-011 E = -2.12006e-013 F = 0.00000e+000
第25面
r = 7.25868e+001 K = 0.00000e+000 A = -1.41745e-005 B = 5.74133e-007
C = -8.06927e-009 D = 6.70897e-011 E = -1.80243e-013 F = 0.00000e+000

各種データ
WIDE MIDDLE TELE
焦点距離 17.50 35.00 68.00
F値 4.10 4.50 5.70
半画角(°) 51.50 32.15 17.93
最大像高 22.00 22.00 22.00
実像高 19.39 21.53 22.27
全長 126.50 125.61 176.50
BF 14.57 27.63 38.40

間隔データ
WIDE MIDDLE TELE WIDE至近 MIDDLE至近 TELE至近
OBJ 1e+020 1e+020 1e+020 121.8855 172.9728 172.3051
d2 1.0000 0.3000 34.9660
d8 31.2669 9.8862 1.5913 32.7156 10.6838 2.5833
d12 1.9921 1.9920 1.9920 0.5390 1.1933 1.0000
d15 1.7438 4.5975 6.6447
d18 5.9010 3.0471 1.0000
d23 1.6099 1.1198 1.4300 2.6317 2.2305 3.4121
d25 5.7864 14.4086 27.7257 4.7676 13.2993 25.7429
d29 14.5700 27.6293 38.4004
【0051】
【表1】
【0052】
図9は、上記各実施例のズームレンズを撮像光学系として用いた撮像装置としてのデジタルスチルカメラを示している。20はカメラ本体、21は実施例1~4のいずれかのズームレンズによって構成された撮像光学系である。22はカメラ本体20に内蔵され、撮像光学系21により形成された光学像(被写体像)を撮像するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子である。23は撮像素子22からの撮像信号を処理することで生成された画像データを記録する記録部であり、24は画像データを表示する背面ディスプレイである。
【0053】
各実施例のズームレンズを用いることで、小型で高い高額性能を有するカメラを得ることができる。
【0054】
なお、カメラは、クイックターンミラーを有する一眼レフカメラであってもよいし、クイックターンミラーを有さないミラーレスカメラであってもよい。
【0055】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
Bi 第iレンズ群
BC 中間群
BR 最終レンズ群
img 像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9