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<図1>
  • 特許-開閉装置及び開閉制御方法 図1
  • 特許-開閉装置及び開閉制御方法 図2
  • 特許-開閉装置及び開閉制御方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】開閉装置及び開閉制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/77 20150101AFI20250108BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
E05F15/77
E06B9/68 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020208767
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095440
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】和気 亮二
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-076383(JP,A)
【文献】特開2017-110338(JP,A)
【文献】特開2019-054402(JP,A)
【文献】特開2004-162318(JP,A)
【文献】特開2005-240492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0282496(US,A1)
【文献】実開昭62-103991(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
E05F 15/00 - 15/79
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして開閉動作を行う開閉手段と、
前記開閉手段の開閉停の動作を指示するための操作子手段と、
前記操作子手段の操作状態に応じて前記開閉手段の開閉停の動作を制御する制御手段とを備えた開閉装置において、
前記操作子手段は近距離無線通信機能を備えており、
前記近距離無線通信機能によって前記操作子手段に接続確立され、その後は自動接続されるように設定された携帯通信端末手段を備え、
前記近距離無線通信機能によって前記操作子手段と前記携帯通信端末手段とが自動接続した場合に、前記操作子手段の操作を有効化し、有効化された前記操作子手段の前記操作状態に応じた前記開閉手段の開閉停の動作に関する制御信号を前記制御手段に送信し、前記開閉手段の開閉動作を制御することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、前記操作子手段は、前記制御手段に有線にて接続される押しボタンスイッチ及び/又は前記制御手段に無線にて接続されるリモコン操作スイッチで構成されることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉装置において、前記近距離無線通信機能はブルートゥース(登録商標)及び/又はWi-Fiで構成されることを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の開閉装置において、前記制御手段は、受信した前記開閉手段の動作に関する制御信号に対応して開閉停の各動作を実行すると共に前記携帯通信端末手段から取得した操作者情報であって前記操作子手段から前記制御手段へ送信された操作者情報をログとして記録することを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
操作子手段から入力される制御信号に応じて開口部の周縁部から開閉手段を移動させることによって前記開口部を開閉する開閉手段の開閉停の動作を制御する制御手段の開閉制御方法において、
前記操作子手段は近距離無線通信機能を備えており、
前記近距離無線通信機能によって前記操作子手段に接続確立され、その後は自動接続されるように設定された携帯通信端末手段を備え、
前記近距離無線通信機能によって前記操作子手段と前記携帯通信端末手段とが自動接続した場合に、前記操作子手段の操作を有効化し、有効化された前記操作子手段の操作状態に応じた前記開閉手段の開閉停の動作に関する制御信号を送信し、前記開閉手段の開閉動作を制御することを特徴とする開閉制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉制御方法において、前記操作子手段は、前記制御手段に有線にて接続される押しボタンスイッチ及び/又は前記制御手段に無線にて接続されるリモコン操作スイッチで構成されることを特徴とする開閉制御方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の開閉制御方法において、前記近距離無線通信機能はブルートゥース(登録商標)及び/又はWi-Fiで構成されることを特徴とする開閉制御方法。
【請求項8】
請求項5、6又は7に記載の開閉制御方法において、前記制御手段は、受信した前記開閉手段の動作に関する制御信号に対応して開閉停の各動作を実行すると共に前記携帯通信端末手段から取得した操作者情報であって前記操作子手段から前記制御手段へ送信された操作者情報をログとして記録することを特徴とする開閉制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋、ビル、工場、倉庫などの出入口や大きな部屋、通路、ホール空間あるいは地下街、立体駐車施設などの建物を含む構造物躯体の窓や出入口などの開口部を仕切るために設置されるシート状、シャッター状、スクリーン状、スラット状又はパネル状、クロスなどのシャッターなどの開閉体の開閉動作を制御する開閉装置及び開閉制御方法に係り、特に認証された携帯通信端末を保持する者が開閉体の動作を制御できるようにした開閉装置及び開閉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の開口部に設置されたシャッターやドアなどの開閉装置には、その開閉停の各動作を電動で行う電動シャッターや電動ドアが使用されることが多い。このように電動で開閉動作を行うもので壁に設置されるタイプの押しボタンスイッチの場合、セキュリティを考慮してシリンダー錠を備え付けた鍵付ボックス内に設置される場合が多い。または、押しボタンスイッチの近傍にテンキースイッチを設け、テンキースイッチから暗証番号を入力することで押しボタンスイッチを有効化している。
【0003】
特許文献1には、入力装置のキースイッチから暗証番号を入力することにより、シャッター等の制御対象を操作できるようにした電子錠装置に係り、特に同装置における暗証番号の変更方法に関するものが記載してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平1-287381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
店舗などへ品物を搬入する際には、店舗が閉まっている早朝や夜間にシャッターを開けて品物を搬入する場合がある。この場合、配達員に事前にシャッターの押しボタンスイッチの鍵を渡すか、またはテンキースイッチの暗証番号を伝えるなどして運用している。しかしながら、鍵については複製される可能性があり、また暗証番号についてはリーク等の危険性がある。さらに、毎回テンキースイッチを操作している関係で操作部の文字のかすれ等によってテンキー入力時の暗証番号が他人に推測される可能性もあり、セキュリティの観点から好ましくない面があった。
【0006】
一方、現行のシャッター操作用無線リモコン装置は、操作者が誰であってもリモコン操作に対応して開閉停の動作コードをシャッター側に送信しているので、シャッター操作用無線リモコン装置の複製や盗難などによって誰もがシャッターの開動作を行うことができ、セキュリティの観点から好ましくない面があった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、シャッター開操作時のセキュリティを向上させることができる開閉装置及び開閉制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開閉装置の第1の特徴は、空間を仕切るようにして開閉動作を行う開閉手段と、前記開閉手段の動作を指示するための操作子手段と、前記操作子手段の操作状態に応じて前記開閉手段の動作を制御する制御手段とを備えた開閉装置において、前記操作子手段は近距離無線通信機能を備えており、前記近距離無線通信機能によって前記操作子手段に接続確立され、その後は自動接続されるように設定された携帯通信端末手段を備え、前記近距離無線通信機能によって前記操作子手段と前記携帯通信端末手段とが自動接続した場合に、前記操作子手段の前記操作状態に応じた前記開閉手段の動作に関する制御信号を前記制御手段に送信し、前記開閉手段の開閉動作を制御することにある。
【0009】
開閉手段は、窓シャッター装置、ガレージシャッター装置、シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などである。携帯通信端末手段は、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯可能な通信端末であり、Wi-Fi、赤外線通信、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信機能を備えている。近距離無線通信機能は、通信を行う機器同士を事前に認識させることで、二度目以降は設定をしなくても自動接続するようになっている。また、操作子手段は、制御手段に有線又は無線で接続される押しボタンスイッチや無線で接続されるリモコン操作スイッチなどである。この発明では、操作子手段に近距離無線通信機能を備えさせ、近距離無線通信機能を利用して、操作子手段と携帯通信端末手段とが自動接続した場合に、操作子手段の操作状態に応じた開閉手段の動作に関する制御信号を制御手段に送信し、開閉手段の開閉動作を制御するようにした。これによって、制御手段は近距離無線通信機能で接続された携帯通信端末手段を保持する操作者だけが操作子手段を操作して開閉体手段の開動作を実行できるので、シャッター開操作時のセキュリティを向上させることができる。
【0010】
本発明の開閉装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉装置において、前記操作子手段は、前記制御手段に有線にて接続される押しボタンスイッチ及び/又は前記制御手段に無線にて接続されるリモコン操作スイッチで構成されることにある。
これは、近距離無線通信機能を制御手段に有線にて接続される押しボタンスイッチ及び/又は無線にて接続されるリモコン操作スイッチに設けたものである。押しボタンスイッチ及びリモコン操作スイッチの両方に設けることが好ましいが、いずれか一方に設けてもよい。
【0011】
本発明の開閉装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉装置において、前記近距離無線通信機能はブルートゥース(登録商標)及び/又はWi-Fiで構成されることにある。
これは、近距離無線通信機能として、押しボタンスイッチ及び/又はリモコン操作スイッチがブルートゥース(登録商標)及び/又はWi-Fiを備えるようにしたものである。
【0012】
本発明の開閉装置の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の開閉装置において、前記制御手段は、受信した前記開閉手段の動作に関する制御信号に対応して開閉停の各動作を実行すると共に前記携帯通信端末手段から取得した操作者情報をログとして記録することにある。
これは、制御手段が受信した開閉停の制御信号に対応して開閉停の各動作を実行すると共に携帯通信端末手段から取得した操作者情報をログとして記録するようにしたものである。記録されたログを読み出すことによって、いつ誰が開閉装置の開閉停動作を行ったかを把握することができる。また、読みだされたログに基づいて意図しない操作者が開閉停の動作を行った事実を認識することができる。
【0013】
本発明の開閉制御方法の第1の特徴は、操作子手段から入力される制御信号に応じて開口部の周縁部から開閉手段を移動させることによって前記開口部を開閉する開閉手段の動作を制御する開閉制御方法において、前記操作子手段は近距離無線通信機能を備えており、前記近距離無線通信機能によって前記操作子手段に接続確立され、その後は自動接続されるように設定された携帯通信端末手段を備え、前記近距離無線通信機能によって前記操作子手段と前記携帯通信端末手段とが自動接続した場合に、前記操作子手段の前記操作状態に応じた前記開閉手段の動作に関する制御信号を前記制御手段に送信し、前記開閉手段の開閉動作を制御することにある。
これは、前記第1の特徴に記載の開閉装置に対応した開閉制御方法の発明である。
【0014】
本発明の開閉制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御方法において、前記操作子手段は、前記制御手段に有線にて接続される押しボタンスイッチ及び/又は前記制御手段に無線にて接続されるリモコン操作スイッチで構成されることにある。
これは、前記第2の特徴に記載の開閉装置に対応した開閉制御方法の発明である。
【0015】
本発明の開閉制御方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉制御方法において、前記近距離無線通信機能はブルートゥース(登録商標)又はWi-Fiで構成されることにある。
これは、前記第3の特徴に記載の開閉装置に対応した開閉制御方法の発明である。
【0016】
本発明の開閉制御方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の開閉制御方法において、前記制御手段は、受信した前記開閉手段の動作に関する制御信号に対応して開閉停の各動作を実行すると共に前記携帯通信端末手段から取得した操作者情報をログとして記録することにある。
これは、前記第4の特徴に記載の開閉装置に対応した開閉制御方法の発明である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の開閉装置及び開閉制御方法によれば、シャッター開操作時のセキュリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の開閉装置の概略構成を示す図である。
図2】この実施の形態に係る開閉装置の押しボタン及びリモコン操作スイッチ並びに携帯通信端末が実行する処理の一例を示すフローチャート図である。
図3】この実施の形態に係る開閉装置の押しボタン及びリモコン操作スイッチ、携帯通信端末並びに開閉体制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉装置として上下に開閉制御されるシャッター装置を例に説明する。図1は、本発明の開閉装置の概略構成を示す図である。このシャッター装置は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、モータ15、シャッター駆動回路16、開閉体制御装置17、押しボタンスイッチ18、リモコン操作スイッチ19、携帯通信端末70などから構成される。これ以外の巻取シャフトやチェーンなどについては図示を省略してある。
【0020】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。図示していない巻取りシャフトは、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。図示していないチェーンは、モータ15の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取りシャフトの回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ15の回転駆動力はチェーンを介して巻取りシャフト側に伝達され、モータ15が回転すると、チェーンを介して巻取りシャフトが回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0021】
シャッター駆動回路16は、マイクロコンピュータ構成になっており、図示していない電源ラインを介して電力が供給されている。シャッター駆動回路16は、開閉体制御装置17からの制御信号に基づいて、モータ15の回転を制御する。開閉体制御装置17と3点式の押しボタンスイッチ18とは、特定小電力無線(例えば、周波数429[MHz])によって無線接続されている。開閉体制御装置17は、押しボタンスイッチ18からの信号を受信するアンテナを備えている。なお、開閉体制御装置17と押しボタンスイッチ18は、有線接続されていても良い。なお、3点式の押しボタンスイッチ18に代えて無線型リモコンスイッチ19やモーション操作スイッチなどを用いて操作できるようにしてもよい。モーション操作スイッチは、電気や磁気、光、超音波などを使って操作者(対象者)の動きを感知するセンサである。
【0022】
押しボタンスイッチ18は、従来の鍵付ボックス内の押しボタンスイッチに代えて、開閉体のガイドレール14の前面側の平坦部、すなわち開口部の周縁部に配置される。押しボタンスイッチ18は、シャッター近傍の壁に設置してもよい。押しボタンスイッチ18は、昇(開)ボタン、停止(停)ボタン、下降(閉)ボタンを備えた3点式で構成されている。なお、押しボタンスイッチ18は、1点式の押しボタンでもよい。押しボタンスイッチ18は、マイクロコンピュータ構成になっており、シャッターカーテン12の開閉動作を制御するためのプログラムや各種パラメータを記憶したメモリ等を内蔵しており、電池又はACアダプタからの電源によって動作する。
【0023】
リモコン送信スイッチ19は、押しボタンスイッチ18の昇(開)ボタンに対応した開スイッチ、停止(停)ボタンに対応した停スイッチ、下降(閉)ボタンに対応した閉スイッチを有し、それぞれの開閉停の各スイッチの操作状態に対応した開閉停の各動作に関する制御信号(送信機IDを含む)を開閉体制御装置17のリモコン受信機(図示せず)に出力する。開閉体制御装置17のリモコン受信機は、リモコン送信スイッチ19の間で所定の周波数帯(例えば、426[MHz])で接続され、リモコン送信スイッチ19特有の送信機IDを介してそれぞれ接続されるようになっている。すなわち、開閉体制御装置17のリモコン受信機は、制御信号に含まれる送信機IDが登録済のものと適合した場合に限り開閉停の各動作を実行するようになっている。
【0024】
押しボタンスイッチ18及びリモコン操作スイッチ19は、Wi-Fi、赤外線通信、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信機能を備えており、Wi-Fi通信モジュールや赤外線通信モジュール、又はブルートゥース(登録商標)モジュールなどを介して携帯通信端末70に接続される。押しボタンスイッチ18及びリモコン操作スイッチ19は、Wi-Fi、赤外線通信、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信機能によって、携帯通信端末70と一旦接続が確立されると、その後は両者が所定距離の範囲内にある場合は自動接続されるように構成されている。従って、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19は、携帯通信端末70に自動接続されることによって、認証されたものとして、押しボタンスイッチ18のボタン操作及びリモコン操作スイッチ19のスイッチ操作を有効化させる。
【0025】
携帯通信端末70は、携帯電話、PHS、スマートフォン(多機能型携帯電話)、PDA等の携帯型の通信端末である。携帯通信端末70は、Wi-Fi、赤外線通信、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信機能を備えているので、Wi-Fi通信モジュールや赤外線通信モジュール、又はブルートゥース(登録商標)モジュールなどを介して押しボタンスイッチ18及び/又はリモコン操作スイッチ19に接続される。この実施の形態では、携帯通信端末70は、スマートフォンで構成され、通常の通話機能だけでなく、タッチパネル式の表示画面を備える。タッチパネル式の表示画面には、通話を含む複数のアプリケーションを起動するための各種アイコンが表示されており、所望のアイコンをタッチ操作することによって所望のアプリケーションを起動することができる。
【0026】
なお、押しボタンスイッチ18及び/又はリモコン操作スイッチ19に対して携帯通信端末70が近距離無線通信機能で一旦接続確立されることによって、押しボタンスイッチ18及び/又はリモコン操作スイッチ19は携帯通信端末70を所持している者がシャッター装置を正式に操作可能な者であると認証し、開閉停の各動作に関する制御信号(送信機IDを含む)を開閉体制御装置17へ送信する。図1に示す開閉装置は、開閉装置専用の鍵付ボックス内の押しボタンスイッチに代えて押しボタンスイッチ18及び/又はリモコン操作スイッチ19を用いてシャッターカーテン12の開閉動作を適宜制御することができる。
【0027】
図2は、この実施の形態に係る開閉装置の押しボタンスイッチ及びリモコン操作スイッチ、並びに携帯通信端末が実行する処理の一例を示すフローチャート図である。以下、このフローチャート図を用いて開閉装置が実行する処理を説明する。
【0028】
図2において、押しボタンスイッチ18の昇(開)ボタン、停止(停)ボタン、下降(閉)ボタンのいずれかのボタンが操作された場合、又はリモコン操作スイッチ19の開スイッチ、停スイッチ、閉スイッチのいずれかのスイッチが操作された場合に、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19の処理がスタートする。リモコン操作スイッチ19は、スイッチ操作によってリモコンの電源がON状態となり、処理をスタートする。なお、押しボタンスイッチ18が常時電源の供給される方式でない場合にはリモコン操作スイッチ19と同様にボタン操作によって電源がON状態となり、処理をスタートする。
【0029】
ステップS21では、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19のブルートゥース(登録商標)モジュールがデバイス信号を発信する。このデバイス信号を受信した携帯通信端末70は、ブルートゥース(登録商標)からのデバイス信号の受信処理をスタートする。
ステップS22では、携帯通信端末70は、受信したブルートゥース(登録商標)のデバイス信号の登録有りか(ペアリング設定済)又は登録なしかを判定し、登録有り(yes)の場合は次のステップS23に進み、登録なし(no)の場合は処理を終了する。登録なし(no)と判定された携帯通信端末70は、事前にペアリング設定が行われていないもの、すなわち承認されていないものということを意味するので、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19の操作処理は無効とされる。
【0030】
ステップS23では、携帯通信端末70は、デバイス信号の登録有りと判定したので、該当するデバイスの接続を許可する信号を押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19に送信する。
ステップS24では、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19は、携帯通信端末70から許可信号を受信したか否かを判定し、受信した(yes)場合は次のステップS25に進み、受信していない(no)場合はこのステップの処理を繰り返す。なお、所定時間経過しても許可信号を受信しない場合は処理を終了する。
【0031】
ステップS25では、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19はブルートゥース(登録商標)による携帯通信端末70との接続を確立する。
ステップS26では、携帯通信端末70はブルートゥース(登録商標)による押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19との接続を確立し、処理を終了する。
【0032】
ステップS27では、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19は、操作されたボタン又はスイッチに対応した開閉停の制御信号を開閉体制御装置17に送信する。これによって、シャッター装置は開閉停の動作を実行する。
ステップS28では、リモコン操作スイッチ19の電源をオフ状態にする。なお、押しボタンスイッチ18は、開閉体制御装置17に有線接続してある場合はなにもせず、無線接続してある場合は同様に電源をオフ状態にする。
【0033】
図3は、この実施の形態に係る開閉装置の押しボタンスイッチ及びリモコン操作スイッチ、携帯通信端末並びに開閉体制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャート図である。以下、このフローチャート図を用いて開閉装置が実行する処理を説明する。
【0034】
図3において、図2と同じ処理には同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図3の実施例が図2のものと異なる点は、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19の接続が確立した後に実行するステップS271の内容が変更され、開閉体制御装置17が実行するステップS272の処理が追加された点である。
ステップS271では、押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19は、操作されたボタン又はスイッチに対応した開閉停の制御信号を開閉体制御装置17に送信すると共に操作者情報(携帯通信端末70のブルートゥース(登録商標)アドレス等)を送信する。
ステップS272では、開閉体制御装置17は、受信した開閉停の制御信号に対応して開閉停の各動作を実行すると共に携帯通信端末70から取得した操作者情報をログとして記録する。記録されたログを読み出すことによって、いつ誰がシャッター装置の開閉停動作を行ったかを把握することができる。また、読みだされたログに基づいて意図しない操作者からのリモコン操作であったことを認識することができる。
【0035】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出される開閉手段を例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【0036】
上述の実施の形態では、近距離無線通信機能としてブルートゥース(登録商標)を例に説明したが、通信を行う機器同士を認識させることで、二度目以降は設定をしなくても自動接続ができ、すぐに使用することが可能な近距離無線通信機能であれば、ブルートゥース(登録商標)以外の接続方式を使用してもよい。例えば、携帯通信端末70と押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19とをWi-Fi通信モジュールを介して接続し、WEP(WPA,WPA2でもよい)の認証を受けた場合を接続確立としてもよい。これによって、携帯通信端末70は押しボタンスイッチ18又はリモコン操作スイッチ19にWi-Fi接続可能な距離に存在する場合だけシャッター装置の動作を制御することができるようになる。
【符号の説明】
【0037】
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…モータ
16…シャッター駆動回路
17…開閉体制御装置
18…押しボタンスイッチ
19…リモコン操作スイッチ
70…携帯通信端末
図1
図2
図3