(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】ギアド圧縮機、ギアド圧縮機の設計方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/053 20060101AFI20250108BHJP
F04D 17/12 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
F04D29/053 A
F04D17/12
(21)【出願番号】P 2021014123
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅博
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02321502(GB,A)
【文献】特開平05-018394(JP,A)
【文献】特開2013-036375(JP,A)
【文献】特開2015-031202(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00202295(GB,A)
【文献】欧州特許第01067291(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/053
F04D 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧縮部と、
前記複数の圧縮部を駆動する圧縮部駆動機構と、を備え
前記圧縮部駆動機構は、
前記複数の圧縮部のそれぞれの回転軸に固定された複数の従動歯車と、
駆動源によって直接または間接的に駆動され、前記複数の従動歯車より外径が大きい複数の大径歯車と、を備え、
前記複数の大径歯車は、水平方向に並んで配置され、それぞれ二以上の前記従動歯車と噛み合っており、
前記複数の大径歯車として、
前記駆動源の駆動軸に固定され、前記駆動軸の中心軸回りに回転する第一駆動歯車と、
前記第一駆動歯車に噛み合い、前記駆動軸と平行に延びる支軸に固定され、前記支軸の中心軸回りに回転する第一中間歯車と、を含み、
前記駆動軸の中心軸と、前記支軸の中心軸とは、同一の仮想水平面内に位置する
ギアド圧縮機。
【請求項2】
前記複数の圧縮部は、作動流体を段階的に圧縮し、
前記複数の従動歯車のうち、最初に圧縮を行う第一段圧縮部の従動歯車が、前記第一中間歯車と噛み合い、前記駆動軸及び前記支軸と平行に延びる第一回転軸に固定されている
請求項1に記載のギアド圧縮機。
【請求項3】
前記第一回転軸の中心軸は、前記仮想水平面内に位置する
請求項2に記載のギアド圧縮機。
【請求項4】
前記複数の従動歯車のうち、前記第一段圧縮部に次いで前記作動流体の圧縮を行う第二段圧縮部の従動歯車は、前記第一駆動歯車に噛み合っている
請求項2又は3に記載のギアド圧縮機。
【請求項5】
前記第二
段圧縮
部の従動歯車は、前記駆動軸と平行に延びる第二回転軸に固定され、
前記第二回転軸の中心軸は、前記仮想水平面内に位置する
請求項4に記載のギアド圧縮機。
【請求項6】
前記複数の大径歯車は、歯数が同一である
請求項1から5の何れか一項に記載のギアド圧縮機。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載のギアド圧縮機の設計方法であって、
前記複数の圧縮部同士が干渉しないように、前記複数の大径歯車の個数及び外径を決定する
ギアド圧縮機の設計方法。
【請求項8】
前記複数の大径歯車の外径を決定する際に、
スラストカラーを用いて前記回転軸のスラスト力を受けることが可能な所定の外径上限以下となるように前記大径歯車の外径を決定する
請求項7に記載のギアド圧縮機の設計方法。
【請求項9】
前記駆動源は、4極モーターであって、
前記複数の大径歯車の外径を決定する際に、
前記大径歯車の周速が所定の周速上限未満となり、且つ前記4極モーターを定常運転可能な回転数の下限以上となるように前記大径歯車の外径を決定する
請求項7又は8に記載のギアド圧縮機の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ギアド圧縮機、ギアド圧縮機の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駆動歯車と、駆動歯車に噛み合う第一中間歯車及び第二中間歯車と、第一中間歯車を介して駆動歯車の回転が伝達される第一従動歯車と、第二中間歯車を介して駆動歯車の回転が伝達される第二従動歯車と、を備えるギアド圧縮機が開示されている。この特許文献1では、第一中間歯車と第二中間歯車とを設けることで、第一段圧縮部の大型化に伴う第一段圧縮部と第二段圧縮部との干渉を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ギアド圧縮機として、駆動歯車として一つの大径歯車を用いて複数の圧縮部を駆動するものが知られている。このような一つの大径歯車を用いて複数の圧縮部を駆動するギアド圧縮機や、上述した特許文献1のようなギアド圧縮機にあっては、圧縮部の大容量化が望まれている。
しかし、大径歯車を用いて複数の圧縮部を駆動するギアド圧縮機の場合、圧縮部を大型化すると、圧縮部同士の干渉を防ぐために大径歯車の直径を大きくする必要が有り、ギアド圧縮機の高さ寸法が大きくなってしまう。そのため、ギアド圧縮機の転倒モーメントの増大、メンテナンス性の低下などを招いてしまう。
一方で、特許文献1のギアド圧縮機では、圧縮部を駆動する従動歯車の数を三つ以上とした場合、少なくとも駆動歯車の上方に中間歯車を配置する必要が有り、圧縮部同士の干渉を防ぐためには、やはり高さ寸法が増加してしまう。また、特許文献1のギアド圧縮機においては、中間歯車の数が増加することで部品点数増加によるコスト増を招くという課題もある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、高さ寸法を抑えるとともに、コスト増加を抑えることができるギアド圧縮機、ギアド圧縮機の設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るギアド圧縮機は、複数の圧縮部と、複数の圧縮部を駆動する圧縮部駆動機構と、を備える。圧縮部駆動機構は、前記複数の圧縮部のそれぞれの回転軸に備えられた複数の従動歯車と、駆動源によって直接または間接的に駆動され、前記複数の従動歯車より外径が大きい複数の大径歯車と、を備える。前記複数の大径歯車は、それぞれ二以上の前記従動歯車と噛み合っており、前記複数の大径歯車として、前記駆動源の駆動軸に固定され、前記駆動軸の中心軸回りに回転する第一駆動歯車と、前記第一駆動歯車に噛み合い、前記駆動軸と平行に延びる支軸に固定され、前記支軸の中心軸回りに回転する第一中間歯車と、を含み、前記駆動軸の中心軸と、前記支軸の中心軸とは、同一の仮想水平面内に位置する。
【0007】
本開示に係るギアド圧縮機の設計方法は、上記したようなギアド圧縮機の設計方法であって、前記複数の圧縮部同士が干渉しないように、前記複数の大径歯車の個数及び外径を決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のギアド圧縮機、ギアド圧縮機の設計方法によれば、大型化を抑えるとともに、コスト増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係るギアド圧縮機の概略構成を示す図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係る圧縮部駆動機構の比較検討対象となる圧縮部駆動機構の一例を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るギアド圧縮機の設計方法の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の第二実施形態に係るギアド圧縮機の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示によるギアド圧縮機、ギアド圧縮機の設計方法を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
[第一実施形態]
(ギアド圧縮機の構成)
図1、
図2に示すように、この第一実施形態において、ギアド圧縮機1Aは、複数のインペラを駆動する多軸多段の構成となっている。ギアド圧縮機1Aは、駆動源2Aと、圧縮部駆動機構3Aと、圧縮部40と、を有している。圧縮部40は、複数設けられている。この第一実施形態において、ギアド圧縮機1Aは、複数の圧縮部40として、第一段圧縮部40Aと、第二段圧縮部40Bと、第三段圧縮部40Cと、第四段圧縮部40Dとの四つの圧縮部40を備えている。なお、この第一実施形態における圧縮部40の数は、四つに限られない。
【0011】
駆動源2Aは、ギアド圧縮機1Aを駆動するための動力を発生する。駆動源2Aとしては、例えば電動モーターMを用いることができる。
【0012】
圧縮部駆動機構3Aは、ギヤケース33(
図2参照)内に、複数の大径歯車30Aと、複数の従動歯車45と、を備えている。この第一実施形態の圧縮部駆動機構3Aは、例えば所定の水平方向である第一方向Dhに並べて配置された二個の大径歯車30Aを備えている。この第一実施形態の大径歯車30A及び従動歯車45は、何れもはすば歯車である。大径歯車30Aの歯数は、複数の従動歯車45のうち最も歯数の多い従動歯車45よりも多い。さらに、大径歯車30Aの外径は、複数の従動歯車45のうち最も外径の大きい従動歯車45よりも大きい。この第一実施形態の圧縮部駆動機構3Aは、複数の大径歯車30Aとして、第一駆動歯車31と、第一中間歯車32とを備えている。
【0013】
図2に示すように、第一駆動歯車31は、駆動源2A(電動モーターM)の駆動軸21Aに固定されている。駆動軸21Aは、水平面内において第一方向Dhに垂直な方向である軸方向Daに延びている。駆動軸21Aは、ギヤケース33に一対の軸受21bを介して支持されている。これら一対の軸受21bは、駆動軸21Aを軸方向Daに延びる中心軸O1回りに回転自在に支持している。この第一実施形態では、電動モーターMによって電気エネルギーが回転エネルギーに変換されることで、駆動源2Aの駆動軸21Aが中心軸O1回りに回転する。そして、駆動軸21Aと共に、中心軸O1回りに第一駆動歯車31が回転する。このようにして、第一駆動歯車31は、電動モーターMによって駆動される。
【0014】
第一中間歯車32は、第一駆動歯車31に噛み合うように配置されている。第一中間歯車32は、支軸34に固定されている。支軸34は、駆動軸21Aと平行に、軸方向Daに延びている。支軸34は、ギヤケース33に一対の軸受34bを介して軸方向Daに延びる中心軸O2回りに回転自在に支持されている。第一中間歯車32は、電動モーターMによって駆動される第一駆動歯車31の回転が伝達されることで、中心軸O2回りに従動する。この第一実施形態において、第一駆動歯車31の外径及び歯数と、第一中間歯車32の外径及び歯数とは、同一とされている。
【0015】
図1、
図2に示すように、複数の大径歯車30Aである第一駆動歯車31及び第一中間歯車32には、それぞれ二以上の従動歯車45が噛み合っている。この第一実施形態において、第一駆動歯車31及び第一中間歯車32には、中心軸O1、O2周りの周方向に間隔をあけて、それぞれ二個ずつ従動歯車45が噛み合っている。
【0016】
第一駆動歯車31には、第二段圧縮部40Bの従動歯車45Bと、第三段圧縮部40Cの従動歯車45Cとが噛み合っている。第二段圧縮部40Bの従動歯車45Bと、第三段圧縮部40Cの従動歯車45Cとは、中心軸O1回りの第一駆動歯車31の回転に従動し、中心軸O3、O4回りに回転する。
【0017】
第一中間歯車32には、第一段圧縮部40Aの従動歯車45Aと、第四段圧縮部40Dの従動歯車45Dとが噛み合っている。第一段圧縮部40Aの従動歯車45Aと、第四段圧縮部40Dの従動歯車45Dとは、中心軸O2回りの第一中間歯車32の回転に従動し、中心軸O5、O6回りに回転する。
【0018】
第一段圧縮部40A、第二段圧縮部40B、第三段圧縮部40C、及び第四段圧縮部40Dは、遠心圧縮機であり、それぞれ回転軸41を有している。
図2に示すように、回転軸41は、軸方向Daに延びる駆動軸21Aと平行に延びている。従動歯車45(従動歯車45A、45B、45C、45D)は、それぞれ回転軸41の軸方向Daの中央部に固定されている。換言すると、各回転軸41は、従動歯車45から軸方向Daの両側に延びている。
【0019】
各回転軸41は、それぞれ対をなす軸受42を介してギヤケース33に支持されている。これら軸受42は、各回転軸41を、それぞれ軸方向Daに延びる中心軸O3~O6回りに回転自在に支持している。各回転軸41は、それぞれスラストカラー43を備えている。スラストカラー43は、従動歯車45に対して軸方向Daの両側にそれぞれ配置されている。スラストカラー43は、従動歯車45よりも大径に形成されている。スラストカラー43の外周部は、大径歯車30A(第一駆動歯車31、第一中間歯車32)の外周部に軸方向Daで対向し、回転軸41の軸方向Daへの移動を規制している。
【0020】
第一段圧縮部40Aは、第一インペラ46A、46Bと、スクロールケーシング(図示せず)と、を有している。スクロールケーシングは、第一インペラ46A、46Bを覆い、ガス導入部とガス排出口を有している。第一インペラ46A、46Bは、第一段圧縮部40Aの回転軸41の軸方向Daの両端にそれぞれ固定されている。
第二段圧縮部40Bは、第二インペラ47A、47Bと、スクロールケーシング(図示せず)と、を有している。スクロールケーシングは、第二インペラ47A、47Bを覆い、ガス導入部とガス排出口を有している。第二インペラ47A、47Bは、第二段圧縮部40Bの回転軸41の軸方向Daの両端部にそれぞれ固定されている。
第三段圧縮部40Cは、第三インペラ48A、48Bと、スクロールケーシング(図示せず)と、を有している。スクロールケーシングは、第三インペラ48A、48Bを覆い、ガス導入部とガス排出口を有している。第三インペラ48A、48Bは、第三段圧縮部40Cの回転軸41の軸方向Daの両端部にそれぞれ固定されている。
第四段圧縮部40Dは、第四インペラ49A、49Bと、スクロールケーシング(図示せず)と、を有している。スクロールケーシングは、第四インペラ49A、49Bを覆い、ガス導入部とガス排出口を有している。第四インペラ49A、49Bは、第四段圧縮部40Dの回転軸41の軸方向Daの両端部にそれぞれ固定されている。
【0021】
第一インペラ46A、46B、第二インペラ47A、47B、第三インペラ48A、48B、及び第四インペラ49A、49Bは、何れも、ガス導入部よりスクロールケーシング内に吸入された作動流体を、その内部に形成された流路を介して径方向外周側に送り出しつつ圧縮する。第一段圧縮部40A、第二段圧縮部40B、第三段圧縮部40C、及び第四段圧縮部40Dは、配管(図示無し)を介して接続されている。これにより、ギアド圧縮機1Aでは、第一段圧縮部40A、第二段圧縮部40B、第三段圧縮部40C、及び第四段圧縮部40Dを順次経ることで、作動流体が段階的に圧縮される。
【0022】
上記したように、この第一実施形態の上記ギアド圧縮機1Aでは、複数の大径歯車30Aによって、複数の従動歯車45を回転させる構成となっている。次に、上記構成を備えるギアド圧縮機1Aと、
図3に示すように、一つの大径歯車130で、複数の従動歯車145を回転させる構成との比較を行う。
一つの大径歯車130で複数の従動歯車145を回転させる場合、圧縮部140同士の干渉を避けようとすると、圧縮部140の容量に応じて大径歯車130の外径D2が大きくなる。これに対して、この第一実施形態のギアド圧縮機1Aでは、第一方向Dhにおける圧縮部40同士の干渉を避けつつ、複数の大径歯車30Aの外径D1(
図1参照)を、一つの大径歯車130の外径D2よりも小さくすることが可能となる。したがって、
図1に示すように、圧縮部駆動機構3Aを備えたギアド圧縮機1Aの高さHを低く抑えることが可能となる。さらに、ギアド圧縮機1Aでは、複数の大径歯車30Aを第一方向Dhに並べて配置することで、圧縮部駆動機構3Aの第一方向Dhにおける幅が大きくなるが、複数の圧縮部40の下方のスペースを、例えばガスクーラーなどの周辺機器を配置するスペースとして有効利用することができる。
【0023】
一方で、
図3に示すような一つの大径歯車130を用いた場合、大径歯車130を高速度で回転させると、大径歯車130を構成する歯に高い強度が要求される。このため、大径歯車130の周速は、定められた上限周速未満(例えば140m/s未満)とする必要がある。そのため、大径歯車130を回転させる電動モーターMには、例えば、1000~1200rpmといった低速で且つ大型の大径歯車130を回転可能な大型のモーターを用いる必要がある。このような低速回転が可能な大型の電動モーターMは、6極モーター等の高価なものとなる。
【0024】
これに対し、この第一実施形態のギアド圧縮機1Aのように、大径歯車30Aの外径D1を小さくすると、大径歯車30Aを回転させる電動モーターMの回転数を、例えば1500~1800rpmに高めることができる。そのため、ギアド圧縮機1Aでは、電動モーターMとして、より安価な4極モーター等を用いることが可能となる。
【0025】
上述した大径歯車30A(第一駆動歯車31、第一中間歯車32)の外径D1は、所定の外径上限(例えば1.8m)以下としてもよい。
ここで、大径歯車30Aの外径D1が外径上限を超えると、スラストカラー43の製造が困難となる。換言すれば、大径歯車30Aの外径D1を外径上限以下に抑えることで、スラストカラー43を採用することが可能となる。スラストカラー43は、回転軸41に固定され、大径歯車30Aの外周部に摺接する。そのため、スラストカラー43は、静止体である摺動パッドに摺接するスラストディスクを備えたスラスト軸受に比較すると、機械損失が小さく抑えられる。
つまり、上述したギアド圧縮機1Aのように複数の大径歯車30Aを備える場合、外径D2が外径上限を超えるような大径歯車130を有する場合と同等の圧縮部40を設けつつ、外径D1を外径上限以下にすることができるため、スラストカラー43を用いて機械損失を低減することが可能となる。
【0026】
(圧縮部駆動機構の設計方法)
次に、上記したギアド圧縮機1Aの設計方法について説明する。
図4に示すように、この第一実施形態におけるギアド圧縮機1Aの設計方法S1は、工程S2、工程S3、工程S4を含んでいる。
ギアド圧縮機1Aの設計方法S1では、上記ギアド圧縮機1Aにおける複数の圧縮部40同士が干渉しないように、複数の大径歯車30Aの個数と外径D1とを決定する。ここで、大径歯車30Aの歯数は、大径歯車30Aの外径D1と歯のピッチとにより定まる。複数の従動歯車45(従動歯車45A、45B、45C、45D)の歯数は、これら大径歯車30Aの歯数と、電動モーターMにより定常運転可能な駆動軸21Aの回転数と、第一段圧縮部40A、第二段圧縮部40B、第三段圧縮部40C、及び第四段圧縮部40Dの運転時に必要な回転数の設定値とに基づいて求めることができる。
【0027】
工程S2では、スラストカラー43を用いて回転軸41に作用するスラスト力を受けることが可能な、大径歯車30Aの外径D1の所定の外径上限を求める。外径D1が所定の外径上限を超える場合、上述した製造上の理由によりスラストカラー43は使用できなくなる。すなわち、工程S2によって、大径歯車30Aの外径D1を上記外径上限以下とすることで、より低損失なスラストカラー43を用いることが可能となる。
【0028】
工程S3では、電動モーターMとして4極モーターを使用可能な外径D1を求める。より具体的には、工程S3では、定常運転可能な4極モーターの回転数下限を求め、この回転数の下限において大径歯車30Aの周速上限を超えない外径D1を求める。上述したように周速上限は、大径歯車30Aの歯の強度等に基づいて定められている。電動モーターMの回転数が一定の場合、大径歯車30Aの周速は、外径D1が大きいほど高まる。すなわち、上記回転数下限で周速上限となる外径D1を外径上限に設定して、大径歯車30Aの外径D1をこの外径上限以下とすれば、電動モーターMを上記回転数下限以上で運転させることが可能となる。すなわち、工程S3によって、4極モーターよりも低速回転領域で使用可能な6極モーターを用いる必要が無くなり、6極モーターよりも安価な4極モーターを用いることが可能となる。
【0029】
工程S4では、大径歯車30Aの外径D1を、圧縮部40同士が干渉しない外径D1の条件と、工程S2で求めた外径上限の条件と、工程S3で求めた外径D1の条件と、の全て満たす外径D1に決定する。
なお、上述した工程S2、S3は、必要に応じて行えばよく、例えば、工程S2のみを行ったり、工程S3のみを行ったり、工程S2,S3を何れも行わなかったりしてもよい。
【0030】
(作用効果)
上記構成のギアド圧縮機1Aは、駆動源2Aによって直接または間接的に駆動され、複数の従動歯車45より外径が大きく歯数の多い複数の大径歯車30Aを備えている。複数の大径歯車30Aは、水平方向に並んで配置されている。また、複数の大径歯車30Aには、それぞれ二以上の従動歯車45が噛み合っている。
そのため、駆動源2Aによる駆動力を、複数の大径歯車30A、複数の従動歯車45を介して、複数の圧縮部40に伝達することができる。
そして、複数の大径歯車30Aがそれぞれ二以上の従動歯車45と噛み合っているので、圧縮部駆動機構3Aを構成する歯車の数が増えるのを抑え、ギアド圧縮機1Aの部品点数増加によるコスト増を抑えることができる。
さらに、一つの大径歯車130(
図3参照)を用いる場合と比較して、水平方向である第一方向Dhに並んで配置された大径歯車30Aの外径を小さくすることができるため、ギアド圧縮機1Aの高さ寸法が増加することを抑え、ギアド圧縮機1Aの転倒モーメントの増大、メンテナンス性の低下などを抑えることができる。
また、複数の大径歯車30Aを水平方向に並べて配置しているので、複数の大径歯車30A同士を容易にかみ合わせることができる。さらに、ギアド圧縮機1Aの第一方向Dhにおける幅が大きくなるが、複数の圧縮部40の下方のスペースを、例えばガスクーラーなどの周辺機器を配置するスペースとして有効利用することができる。
【0031】
上記構成のギアド圧縮機1Aは、さらに、複数の大径歯車30Aとして、第一駆動歯車31と、第一中間歯車32と、を含んでいる。
このような構成によれば、第一駆動歯車31は、駆動源2Aによって直接駆動され、第一中間歯車32は、第一駆動歯車31を介して間接的に駆動される。そして、第一駆動歯車31に噛み合った複数の従動歯車45と、第一中間歯車32に噛み合った複数の従動歯車45とは、それぞれ第一駆動歯車31及び第一中間歯車32を介して駆動される。つまり、上記ギアド圧縮機1Aでは、第一中間歯車32だけではなく、第一駆動歯車31にも複数の従動歯車45を噛み合わせているので、従動歯車45を中間歯車にのみ噛み合わせる場合よりも中間歯車の個数を低減し、その結果、ギアド圧縮機1Aの部品点数を低減することが可能となる。
【0032】
また、上記構成のギアド圧縮機1Aでは、複数の大径歯車30Aの外径D1が同一になっている。そのため、複数の大径歯車30Aの周速を揃えることができるとともに、一部の大径歯車30Aのみ大径化することを抑えることができる。したがって、ギアド圧縮機1Aの高さを有効に抑えることができる。
【0033】
また、上記構成のギアド圧縮機1Aの設計方法S1によれば、一つの大径歯車130を用いる場合と比較して、高さ寸法を抑えるとともにコスト増加を抑えたギアド圧縮機1Aを設計することが可能となる。
【0034】
[第二実施形態]
次に、本開示に係る圧縮部駆動機構の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、上記第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第二実施形態では、駆動歯車25を有する点で第一実施形態と異なっている。なお、第二実施形態のギアド圧縮機1Bの設計方法は、第一実施形態のギアド圧縮機1Aの設計方法と同様であるためその説明を省略する。
【0035】
(ギアド圧縮機の構成)
図5、
図6に示すように、この第二実施形態において、ギアド圧縮機1Bは、駆動源2Bと、圧縮部駆動機構3Bと、圧縮部40と、を有している。
【0036】
圧縮部駆動機構3Bは、ギヤケース33内に、駆動歯車25と、複数の大径歯車30Bと、複数の従動歯車45と、を備えている。
【0037】
駆動歯車25は、駆動源2B(電動モーターM)の駆動軸21Bに固定されている。駆動軸21Bは、軸方向Daに延びている。駆動軸21Bは、ギヤケース33に一対の軸受21bを介して支持されている。これら一対の軸受21bは、駆動軸21Bを軸方向Daに延びる中心軸O11回りに回転自在に支持している。駆動歯車25は、電動モーターMの動作により駆動軸21Bとともに中心軸O11回りに回転する。このようにして、駆動歯車25は、電動モーターMによって駆動される。
【0038】
駆動歯車25、複数の大径歯車30B及び複数の従動歯車45は、何れもはすば歯車である。複数の大径歯車30Bの歯数は、複数の従動歯車45のうち最も歯数の多い従動歯車45よりも多い。さらに、複数の大径歯車30Aの外径は、複数の従動歯車45のうち最も外径の大きい従動歯車45よりも大きい。この第二実施形態の圧縮部駆動機構3Bは、複数の大径歯車30Bとして、第二中間歯車35と、第三中間歯車36とを備えている。この第二実施形態において、第二中間歯車35と、第三中間歯車36とは、第一方向Dhに並べて配置されている。第二中間歯車35、第三中間歯車36は、駆動歯車25の第一方向Dh両側にそれぞれ配置されている。第二中間歯車35、第三中間歯車36は、駆動歯車25に噛み合うように配置されている。
【0039】
第二中間歯車35、第三中間歯車36は、それぞれ、支軸37に固定されている。これら支軸37は、軸方向Daすなわち駆動軸21Bと平行に延びている。これら支軸37は、ギヤケース33にそれぞれ対をなす軸受37bを介して、軸方向Daに延びる中心軸O12、O13回りに回転自在に支持されている。第二中間歯車35、第三中間歯車36は、駆動歯車25の回転が伝達されることで従動し、中心軸O12、O13回りに回転する。このようにして、第二中間歯車35、第三中間歯車36は、駆動源2Bによって間接的に駆動される。この第二実施形態において、第二中間歯車35と、第三中間歯車36とは、歯数、及び外径が同一とされている。
【0040】
複数の大径歯車30Bである第二中間歯車35及び第三中間歯車36には、それぞれ二以上の従動歯車45が噛み合っている。この第二実施形態において、第二中間歯車35には、中心軸O12周りの周方向に間隔をあけて、二個の従動歯車45が噛み合っている。同様に、第三中間歯車36には、中心軸O13周りの周方向に間隔をあけて、二個の従動歯車45が噛み合っている。
【0041】
この第二実施形態の第二中間歯車35には、第二段圧縮部40Bの従動歯車45Bと、第三段圧縮部40Cの従動歯車45Cとが噛み合っている。第二段圧縮部40Bの従動歯車45Bと、第三段圧縮部40Cの従動歯車45Cとは、第二中間歯車35の中心軸O12回りの回転に従動し、中心軸O3、O4回りに回転する。この第二実施形態の第三中間歯車36には、第一段圧縮部40Aの従動歯車45Aと、第四段圧縮部40Dの従動歯車45Dとが噛み合っている。第一段圧縮部40Aの従動歯車45Aと、第四段圧縮部40Dの従動歯車45Dとは、第三中間歯車36の中心軸O13回りの回転に従動し、中心軸O5、O6回りに回転する。
【0042】
(作用効果)
上記構成のギアド圧縮機1Bの圧縮部駆動機構3Bは、駆動源2Bによって間接的に駆動されて、複数の従動歯車45よりも外径が大きく且つ歯数の多い複数の大径歯車30Bを備えている。複数の大径歯車30Bには、それぞれ二以上の従動歯車45が噛み合っている。
そのため、一つの大径歯車30Bに対して一つの従動歯車45が噛み合わされる場合と比較して、大径歯車30Bの個数が増えることを抑えることができる。したがって、圧縮部駆動機構3Bを構成する歯車の個数が増えるのを抑え、ギアド圧縮機1Bの部品点数増加によるコスト増を抑えるができる。
さらに、一つの大径歯車130(
図3参照)を用いる場合と比較して、水平方向である第一方向Dhに並んで配置された大径歯車30Bの外径を小さくすることができるため、ギアド圧縮機1Bの高さ寸法が増加することを抑え、ギアド圧縮機1Bの転倒モーメントの増大、メンテナンス性の低下などを抑えることができる。
【0043】
また、上記ギアド圧縮機1Bは、複数の大径歯車30Bとして、駆動歯車25に噛み合う第二中間歯車35と第三中間歯車36とを備えている。
これにより、例えば、駆動歯車25の外径を大きく形成することができない場合であっても、複数の従動歯車45を第二中間歯車35、及び第三中間歯車36を介して駆動することができるため、第一実施形態と同様に、ギアド圧縮機1Bの大型化を抑えるとともに、コスト増加を抑えることが可能となる。
【0044】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記第一、第二実施形態では、駆動源2Aとして、電動モーターMを用いるようにしたが、これに限るものではなく、駆動源2Aとして、例えば、蒸気タービン等を用いる構成としてもよい。
【0045】
また、上記第一、第二実施形態では、大径歯車30A、30Bに、それぞれ二個ずつの従動歯車45を噛み合わせて配置するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、大径歯車30A、30Bは、三個以上を備えるようにしてもよい。また、各大径歯車30A、30Bに、三個以上の従動歯車を噛み合わせて配置するようにしてもよい。
【0046】
さらに、上記第一、第二実施形態では、従動歯車45が設けられた回転軸41の軸方向Daの両端部にインペラを備えるようにしたが、回転軸41の軸方向Daの一端部のみにインペラを備えるようにしてもよい。
【0047】
また、上記第一、第二実施形態では、複数の圧縮部40として、遠心圧縮機である第一段圧縮部40A、第二段圧縮部40B、第三段圧縮部40C、及び第四段圧縮部40Dを備えるようにしたが、遠心圧縮機以外の圧縮部を備えることも可能である。
【0048】
<付記>
各実施形態に記載のギアド圧縮機1A、1B、ギアド圧縮機1A、1Bの設計方法は、例えば以下のように把握される。
【0049】
(1)第1の態様に係るギアド圧縮機1A、1Bは、複数の圧縮部40と、前記複数の圧縮部を駆動する圧縮部駆動機構3A、3Bと、を備え、圧縮部駆動機構3A、3Bは、前記複数の圧縮部40のそれぞれの回転軸41に固定された複数の従動歯車45と、駆動源2A、2Bによって直接または間接的に駆動され、前記複数の従動歯車45より外径が大きい複数の大径歯車30A、30Bと、を備え、前記複数の大径歯車30A、30Bは、水平方向Dhに並んで配置され、それぞれ二以上の前記従動歯車45と噛み合っている。
圧縮部40の例としては、遠心圧縮機が挙げられる。
駆動源2A、2Bの例としては、電動モーター、蒸気タービンが挙げられる。
【0050】
このギアド圧縮機1A、1Bでは、複数の大径歯車30A、30Bが、複数の従動歯車45よりも外径が大きく、このような複数の大径歯車30A、30Bに、それぞれ二以上の従動歯車45を噛み合わせて配置しているので、ギアド圧縮機1A、1Bを構成する歯車の数が増えるのを抑えることができる。したがって、ギアド圧縮機1A、1Bのコスト増加を抑えることができる。さらに、大径歯車を一つだけ用いる場合と比較して、水平方向である第一方向に並んで配置された大径歯車30A、30Bの外径を小さくすることができるため、ギアド圧縮機1A、1Bの高さ寸法が増加することを抑え、ギアド圧縮機1A、1Bの転倒モーメントの増大、メンテナンス性の低下などを抑えることができる。また、複数の大径歯車30A,30Bを水平方向に並べて配置していることで、ギアド圧縮機1A、1Bの水平方向Dhにおける幅が大きくなるが、複数の圧縮部40の下方のスペースを、例えばガスクーラーなどの周辺機器を配置するスペースとして有効利用することができる。
【0051】
(2)第2の態様に係るギアド圧縮機1Aは、(1)のギアド圧縮機1Aであって、前記複数の大径歯車30Aとして、前記駆動源2Aの駆動軸21Aに固定された第一駆動歯車31と、前記第一駆動歯車31に噛み合う第一中間歯車32と、を含む。
【0052】
これにより、第一駆動歯車31は、駆動源2Aによって直接駆動され、第一中間歯車32は、駆動源2Aによって第一駆動歯車31を介して間接的に駆動される。第一駆動歯車31に噛み合った複数の従動歯車45と、第一中間歯車32に噛み合った複数の従動歯車45とは、それぞれ第一駆動歯車31及び第一中間歯車32を介して駆動される。つまり、ギアド圧縮機1Aでは、第一中間歯車32だけではなく、第一駆動歯車31にも複数の従動歯車45を噛み合わせているので、従動歯車45を中間歯車にのみ噛み合わせる場合よりも中間歯車の個数を低減し、その結果、ギアド圧縮機1Aの部品点数を低減することが可能となる。
【0053】
(3)第3の態様に係るギアド圧縮機1Bは、(1)のギアド圧縮機1Bであって、前記駆動源2Bの駆動軸21Bに固定された駆動歯車25をさらに備え、前記複数の大径歯車30Bは、前記駆動歯車25に噛み合う第二中間歯車35と、前記駆動歯車25に、前記第二中間歯車35とは異なる位置で噛み合う第三中間歯車36と、を含む。
【0054】
これにより、第二中間歯車35、及び第三中間歯車36には、駆動歯車25を介して駆動源2Bの駆動力が伝達される。そのため、例えば、駆動歯車25の外径を大きく形成することができない場合であっても、第二中間歯車35を介して複数の従動歯車45を駆動できるとともに、第三中間歯車36を介して複数の従動歯車45を駆動することが可能となる。したがってギアド圧縮機1Bの大型化を抑えるとともに、コスト増加を抑えることができる。
【0055】
(4)第4の態様に係るギアド圧縮機1A、1Bは、(1)から(3)の何れか一つのギアド圧縮機1A、1Bにおいて、前記複数の大径歯車30A、30Bは、歯数が同一である。
【0056】
これにより、複数の大径歯車30Aの外径D1を同一にすることができるため、複数の大径歯車30Aの周速を容易に揃えることができる。さらに、一部の大径歯車30Aのみ大径化することを抑えることができる。したがって、ギアド圧縮機1A、1Bの高さを有効に抑えることができる。
【0057】
(5)第5の態様に係るギアド圧縮機1A、1Bの設計方法S1は、(1)から(4)の何れか一つのギアド圧縮機1A、1Bの設計方法S1であって、前記複数の圧縮部40同士が干渉しないように、前記複数の大径歯車30A、30Bの個数及び外径を決定する。
【0058】
これにより、大径歯車を一つだけ用いて複数の圧縮部40を駆動する場合と比較して、大径歯車30A、30Bの高さ寸法を低減することができる。したがって、大型化を抑えるとともに、コスト増加を抑えることができるギアド圧縮機1A、1Bを設計することが可能となる。
【0059】
(6)第6の態様に係るギアド圧縮機1A、1Bの設計方法S1は、(5)のギアド圧縮機1A、1Bの設計方法S1であって、前記複数の大径歯車の外径を決定する際に、スラストカラーを用いて前記回転軸のスラスト力を受けることが可能な所定の外径上限以下となるように前記大径歯車30A、30Bの外径を決定する。
【0060】
これにより、スラストカラーを用いることができるため、静止体に回転体が接触するスラストディスクを用いてスラスト力を受ける場合と比較して、機械損失を小さく抑えるとともに、振動の発生等を抑えることができる。
【0061】
(7)第7の態様に係るギアド圧縮機1A、1Bの設計方法S1は、(5)又は(6)のギアド圧縮機1A、1Bの設計方法S1であって、前記駆動源2Aは、4極モーターであって、前記複数の大径歯車30A、30Bの外径を決定する際に、前記大径歯車30A、30Bの周速が所定の周速上限未満となり、且つ前記4極モーターを定常運転可能な回転数の下限以上となるように前記大径歯車30A,30Bの外径を決定する。
【0062】
これにより、駆動源2Aとしてより安価な4極モーターを用いても、大径歯車30A、30Bの周速が周速上限未満とすることが可能となるため、ギアド圧縮機1A、1Bのコスト低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0063】
1A、1B…ギアド圧縮機
2A、2B…駆動源
3A、3B…圧縮部駆動機構
21A、21B…駆動軸
21b…軸受
25…駆動歯車
30A、30B…大径歯車
31…第一駆動歯車
32…第一中間歯車
33…ギヤケース
34…支軸
34b…軸受
35…第二中間歯車
36…第三中間歯車
37…支軸
37b…軸受
40…圧縮部
40A…第一段圧縮部
40B…第二段圧縮部
40C…第三段圧縮部
40D…第四段圧縮部
41…回転軸
42…軸受
43…スラストカラー
45、45A、45B、45C、45D…従動歯車
46A、46B…第一インペラ
47A、47B…第二インペラ
48A、48B…第三インペラ
49A、49B…第四インペラ
130…大径歯車
140…圧縮部
145…従動歯車
Da…軸方向
Dh…第一方向
D1、D2…外径
H…高さ
M…電動モーター
O1、O2、O3、O4、O5、O11、O12、O13…中心軸