(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】避雷設備及び設置方法
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20250108BHJP
H02G 13/00 20060101ALI20250108BHJP
E04G 5/04 20060101ALN20250108BHJP
【FI】
E04H9/14 D
H02G13/00
E04G5/04 C
(21)【出願番号】P 2021101123
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】加納 秀道
(72)【発明者】
【氏名】松本 洋
(72)【発明者】
【氏名】富岡 晶
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀剛
(72)【発明者】
【氏名】大竹 文隆
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-280788(JP,A)
【文献】特開2018-003380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
H02G 13/00
E04G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置される避雷設備であって、
金属パネルに接続されるパネル導体接続部材と、
前記金属パネルの端面に対向する位置において仮設接続手段が接続可能とされており、
前記パネル導体接続部材及び前記建物を互いに接続する建物導体接続部材と、
を備え
、
前記金属パネルが、前記建物における導電性の下地材に固定される外壁パネルであり、
前記避雷設備が、導電性の部材からなり、複数の前記金属パネルの間の目地に固定され、
前記金属パネル及び前記避雷設備を受雷部として、前記下地材に至る導電経路を形成するようにした避雷設備であって、
前記パネル導体接続部材が、第1接続部材と、第2接続部材と、を備え、
前記第1接続部材が、前記金属パネルの主面に電気的に接続され、
前記建物導体接続部材が、前記金属パネルの端面に対向する位置に配置されるアンカーナットを有するとともに、前記下地材に電気的に接続され、
前記第1接続部材が、前記第2接続部材を介して、前記アンカーナットに締め付け固定され、
所定のアンカーを有する前記仮設接続手段が、前記アンカーと前記アンカーナットとの接続により、前記建物導体接続部材に接続される、
避雷設備。
【請求項2】
前記建物導体接続部材は、複数の前記金属パネルの間の目地に固定されている、
請求項1に記載の避雷設備。
【請求項3】
前記パネル導体接続部材を被覆するカバーを備える、
請求項1又は2に記載の避雷設備。
【請求項4】
建物に避雷設備を設置する設置方法であって、
金属パネルにパネル導体接続部材を接続する工程と、
前記金属パネルの端面に対向する位置に配置されており且つ仮設接続手段が接続可能とされている建物導体接続部材を介して、前記パネル導体接続部材及び前記建物を互いに接続する工程と、
を備え
、
前記金属パネルが、前記建物における導電性の下地材に固定される外壁パネルであり、
前記避雷設備が、導電性の部材からなり、複数の前記金属パネルの間の目地に固定され、
前記金属パネル及び前記避雷設備を受雷部として、前記下地材に至る導電経路を形成するようにした避雷設備であって、
前記パネル導体接続部材が、第1接続部材と、第2接続部材と、を備え、
前記第1接続部材が、前記金属パネルの主面に電気的に接続され、
前記建物導体接続部材が、前記金属パネルの端面に対向する位置に配置されるアンカーナットを有するとともに、前記下地材に電気的に接続され、
前記第1接続部材が、前記第2接続部材を介して、前記アンカーナットに締め付け固定され、
所定のアンカーを有する前記仮設接続手段が、前記アンカーと前記アンカーナットとの接続により、前記建物導体接続部材に接続される、
設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物に設置される避雷設備、及び避雷設備の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3251928号公報には、高層建築物の高層階の外壁に対する避雷工法が記載されている。この工法では、高層建築物の高層階の外壁に避雷手段付きPC板が取り付けられる。避雷手段付きPC板は、PC板と、ステンレス鋼板からなる板状の垂直避雷導体とを備える。PC板にはアンカーボルトが埋設されており、垂直避雷導体には複数のサポート、ボルト、ナット及び連結杆が設けられる。垂直避雷導体にはボルト及びナットによって連結杆が接続される。連結杆は、PC板のアンカーボルトに溶着等の手段によって電気的に接続される。これにより、垂直避雷導体にPC板が連結されて避雷手段付きPC板が構成される。
【0003】
避雷手段付きPC板は、高層建築物の高層階部分の梁に取り付けられる。この梁の内側に位置する鉄筋又は鉄骨には導線が溶着され、この導線は梁から鉛直下方に延在するように配置される。導線の梁とは反対側の端部には、避雷手段付きPC板のアンカーボルトに接続される接続端子が設けられている。アンカーボルトには2つのナットと当該2つのナットの間に挟まれる接続用座金が取り付けられ、接続端子は、導線の端部に取り付けられた筒状のスリーブを備える。接続端子のスリーブがアンカーボルトの接続用座金に接続されることにより、梁から延びる導線が避雷手段付きPC板のアンカーボルトに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した避雷手段付きPC板は、アンカーボルトが埋設されたPC板、及びPC板に接続される連結杆付きの垂直避雷導体を互いに接続することによって構成される。建物の梁には導線を設置して、設置した導線をPC板のアンカーボルトに接続端子を介して接続する必要がある。従って、事前に避雷手段付きPC板を用意したり、梁に導線を設置したり、導線をアンカーボルトに接続したりすることに手間がかかるという問題がある。このように、前述した避雷手段付きPC板では設置に手間がかかるため、建物への避雷設備の設置を効率よく行えないという現状がある。
【0006】
本開示は、設置を効率よく行うことができる避雷設備、及び避雷設備の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る避雷設備は、建物に設置される避雷設備であって、金属パネルに接続されるパネル導体接続部材と、金属パネルの端面に対向する位置において仮設接続手段が接続可能とされており、パネル導体接続部材及び建物を互いに接続する建物導体接続部材と、を備え、金属パネルが、建物における導電性の下地材に固定される外壁パネルであり、避雷設備が、導電性の部材からなり、複数の金属パネルの間の目地に固定され、金属パネル及び避雷設備を受雷部として、下地材に至る導電経路を形成するようにした避雷設備であって、パネル導体接続部材が、第1接続部材と、第2接続部材と、を備え、第1接続部材が、金属パネルの主面に電気的に接続され、建物導体接続部材が、金属パネルの端面に対向する位置に配置されるアンカーナットを有するとともに、下地材に電気的に接続され、第1接続部材が、第2接続部材を介して、アンカーナットに締め付け固定され、所定のアンカーを有する仮設接続手段が、アンカーとアンカーナットとの接続により、建物導体接続部材に接続される。
【0008】
この避雷設備は、金属パネルに接続されるパネル導体接続部材と、パネル導体接続部材及び建物を互いに接続する建物導体接続部材とを備える。よって、金属パネルが受けた雷電流をパネル導体接続部材及び建物導体接続部材を介して建物に導くことができる。パネル導体接続部材は金属パネルに接続され、建物導体接続部材は金属パネルの端面に対向する位置でパネル導体接続部材を建物に導体接続する。従って、金属パネルの端面に対向する位置に配置された建物導体接続部材を介してパネル導体接続部材を建物に導体接続すればよいので、避雷設備の設置を効率よく行うことができる。すなわち、金属パネルの端面に対向する位置に配置された建物導体接続部材を用いることにより、アンカーボルト及び垂直避雷導体を含む避雷手段付きPC板を予め用意したり、梁に導線を設置したりすることが不要となるので、設置を効率よく行うことができる。また、建物導体接続部材は、仮設接続手段が接続可能とされている。従って、仮設のときには、建物導体接続部材を仮設接続手段が接続される部位として用いることができる。そして、仮設接続手段を建物導体接続部材から外した後に、建物導体接続部材へのパネル導体接続部材を介した金属パネルの導体接続を行うことができる。従って、仮設接続手段が接続される建物導体接続部材を仮設接続手段の撤去と共に金属パネルの導体接続のために用いることが可能である。よって、仮設接続手段の撤去と共に避雷設備の設置を行うことができるので、避雷設備の設置を効率よく行うことができる。
【0009】
建物導体接続部材は、複数の金属パネルの間の目地に固定されていてもよい。この場合、複数の金属パネルの間の目地に固定されており且つ仮設接続手段が接続可能な建物導体接続部材を、仮設接続手段の撤去後に避雷設備として用いることができる。
【0010】
前述した避雷設備は、パネル導体接続部材を被覆するカバーを備えてもよい。この場合、パネル導体接続部材をカバーで隠すことが可能となる。従って、避雷設備のデザイン性を高めることができると共に、パネル導体接続部材及び建物導体接続部材をカバーによって保護することができる。
【0011】
本開示に係る避雷設備の設置方法は、建物に避雷設備を設置する設置方法であって、金属パネルにパネル導体接続部材を接続する工程と、金属パネルの端面に対向する位置に配置されており且つ仮設接続手段が接続可能とされている建物導体接続部材を介して、パネル導体接続部材及び建物を互いに接続する工程と、を備え、金属パネルが、建物における導電性の下地材に固定される外壁パネルであり、避雷設備が、導電性の部材からなり、複数の金属パネルの間の目地に固定され、金属パネル及び避雷設備を受雷部として、下地材に至る導電経路を形成するようにした避雷設備であって、パネル導体接続部材が、第1接続部材と、第2接続部材と、を備え、第1接続部材が、金属パネルの主面に電気的に接続され、建物導体接続部材が、金属パネルの端面に対向する位置に配置されるアンカーナットを有するとともに、下地材に電気的に接続され、第1接続部材が、第2接続部材を介して、アンカーナットに締め付け固定され、所定のアンカーを有する仮設接続手段が、アンカーとアンカーナットとの接続により、建物導体接続部材に接続される。
【0012】
この避雷設備の設置方法では、金属パネルにパネル導体接続部材が接続され、パネル導体接続部材及び建物に建物導体接続部材が接続される。よって、金属パネルが受けた雷電流をパネル導体接続部材及び建物導体接続部材を介して建物に導くことができる。建物導体接続部材は金属パネルの端面に対向する位置に配置されており、この位置でパネル導体接続部材を建物に導体接続する。従って、パネルの端面に対向する位置に配置された建物導体接続部材を用いてパネル導体接続部材を建物に導体接続できるので、設置を効率よく行うことができる。建物導体接続部材は仮設接続手段を接続可能とされている。従って、仮設接続手段が接続されていた建物導体接続部材から仮設接続手段を外した後に、建物導体接続部材にパネル導体接続部材を導体接続することができる。従って、建物導体接続部材から仮設接続手段を外して避雷設備を設置することができるので、避雷設備の設置を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、設置を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る避雷設備が建物に設置された状態の例を示す建物の側面図である。
【
図2】
図1の建物を構成する金属パネルの接合構造の例を示す断面図である。
【
図3】実施形態に係る避雷設備を示す断面図である。
【
図4】実施形態に係る避雷設備を示す断面図である。
【
図5】実施形態に係る建物の金属パネル及び建物導体接続部材を示す建物の側面図である。
【
図6】
図5の建物導体接続部材に接続された仮設接続手段の例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る避雷設備、及び避雷設備の設置方法の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合(例えば、断面の奥側に位置する部分を破線ではなく明瞭化のため実線で示している場合等)があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0016】
本開示において、「避雷設備」とは、建物に設置される設備であって落雷による雷電流を建物に伝達させる設備を示している。「建物」は、土地に定着した構造物を示している。「金属パネル」は、導電性を有するパネルを示しており、少なくとも一部が金属製であるパネルを示している。「パネル」は、板状の建材を示している。「パネル」は、主面と端面とを有する。「主面」とはパネル面(例えば、パネルを構成する面のうち面積が最も広い面)を示しており、「端面」は主面に交差する面を示している。
【0017】
金属パネルにはパネル導体接続部材が接続される。「パネル導体接続部材」は、金属パネルに接続される導電性の部材を示しており、金属パネルと電気的に接続される。パネル導体接続部材には建物導体接続部材が接続される。「建物導体接続部材」は、建物に電気的に接続されていると共に導体によって構成される部材を示している。建物導体接続部材には仮設接続手段が接続可能とされている。「仮設接続手段」は、仮設(例えば、工事中)のときに設置される部材又は設備等、パネル導体接続部材が接続されていない状態で設置される部材又は設備を示している。「パネル導体接続部材が接続されていない状態」は、例えば、パネル導体接続部材が接続される前、又は、接続されていたパネル導体接続部材が外された状態(例えば、一旦パネル導体接続部材が接続された後、外壁改修等でパネル導体接続部材が外された状態)を示している。一例として、「仮設接続手段」は、工事中に設置される足場(具体例として後述する足場アンカー51)を示している。
【0018】
図1は、本実施形態に係る避雷設備10を示す側面図である。一例として、避雷設備10は、建物1の壁2に設置される。例えば、避雷設備10は建物1の壁2(側面)等を雷撃から保護する。例えば、壁2には複数の金属パネル3が設けられ、避雷設備10は金属パネル3に接続された状態で設置されている。本実施形態では、金属パネル3及び避雷設備10を受雷部として用いることにより、建物1を側雷から保護する。
【0019】
本実施形態では、第1方向D1に沿って複数の金属パネル3が並ぶと共に、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って複数の金属パネル3が並んでいる。例えば、第2方向D2は第1方向D1に直交する方向である。一例として、第1方向D1は鉛直方向であり、第2方向D2は水平方向である。複数の金属パネル3の間には目地4が形成されている。例えば、建物1は、第1方向D1に沿って延びる目地4と、第2方向D2に沿って延びる目地4とを有する。本実施形態に係る避雷設備10は、目地4に設置される。
【0020】
第1方向D1に沿って並ぶ複数の金属パネル3は、例えば、第2方向D2に沿って延在する接続部5を介して互いに接続されている。
図2は、第1方向D1、及び金属パネル3の厚さ方向である第3方向D3に沿って延在する平面で金属パネル3を切断した接続部5の断面図を示している。第3方向D3は第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差(一例として直交)する方向である。例えば、接続部5は金属パネル3の上端に位置する第1接続部6と金属パネル3の下端に位置する第2接続部7とを含んでおり、第1接続部6及び第2接続部7が互いに接続することによって一対の金属パネル3が接続される。
【0021】
一例として、第1接続部6は複数の突出部6bと複数の凹部6cとを有し、第2接続部7は複数の突出部7bと複数の凹部7cとを有する。例えば、突出部6b及び凹部6cは第3方向D3に沿って交互に並んでおり、突出部7b及び凹部7cは第3方向D3に沿って交互に並んでいる。突出部6bが凹部7cに入り込み、且つ突出部7bが凹部6cに入り込んだ状態で、第1方向D1に沿って並ぶ一対の金属パネル3が互いに接続されている。例えば、少なくとも1つの突出部6b及び凹部7cの間にはシール材Sが介在している。シール材Sは、一例として、防水パッキンである。
【0022】
金属パネル3から見て建物1の屋内側には建物1の下地材8が設けられており、金属パネル3はビス9によって下地材8に固定されている。一例として、下地材8は建物1の胴縁である。金属パネル3の突出部6bの下部には第1方向D1及び第3方向D3に窪む凹部6dが形成されており、凹部6dにビス9が固定されている。凹部6dで金属パネル3に打ち込まれたビス9は金属パネル3及び下地材8を第3方向D3に貫通している。ビス9と凹部6dとの間にはパッキン9bが介在している。
【0023】
金属パネル3は、一例として、サンドイッチパネルである。金属パネル3は、金属パネル3の厚さ方向に沿って並ぶ金属板3b及び金属板3cと、金属板3b及び金属板3cに挟まれた断熱材3dとを有する。例えば、金属板3b及び金属板3cは、共に鉄製である。一例として、金属板3b及び金属板3cの厚さは5mm以上である。金属パネル3は、第1方向D1及び第2方向D2に延在すると共に第3方向D3に沿って並ぶ一対の主面3fを有する。
【0024】
図3は、第2方向D2及び第3方向D3に延びる平面に沿って避雷設備10を切断した避雷設備10の断面図である。
図1及び
図3に示されるように、避雷設備10は、例えば、複数の金属パネル3の端面3gの間に設置される。一例として、避雷設備10は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の金属パネル3の間に形成された目地4に設置される。避雷設備10は、金属パネル3に接続されるパネル導体接続部材11と、パネル導体接続部材11及び建物1(一例として下地材8)を互いに接続する建物導体接続部材20とを備える。避雷設備10は、パネル導体接続部材11及び建物導体接続部材20に加えて金属パネル3を含んでいてもよい。更に、避雷設備10は、例えば、パネル導体接続部材11を被覆する金属製のカバー30とコーキング剤40とを備えていてもよい。
【0025】
例えば、パネル導体接続部材11の材料は、金属パネル3の金属板3b,3cの材料と同一(一例として鉄製)である。建物導体接続部材20の材料が金属板3b,3cの材料と同一であってもよい。カバー30の材料が金属板3b,3cの材料と同一であってもよい。このように、避雷設備10の少なくとも一部の材料が金属板3b,3cの材料と同一である場合、熱膨張等による不具合の発生をより確実に回避できる。しかしながら、パネル導体接続部材11、建物導体接続部材20及びカバー30の材料は、導体であればよく、特に限定されない。
【0026】
パネル導体接続部材11は、例えば、複数の金属パネル3を互いに電気的に接続する第1接続部材12と、第1接続部材12及び建物導体接続部材20を互いに接続する第2接続部材13とを備える。第1接続部材12は、例えば、金属パネル3の主面3fに接触する第1板部14と、第1板部14から主面3fの面外方向(例えば第3方向D3)に突出する第2板部15とを備える。
【0027】
第1板部14は、例えば、第1方向D1及び第2方向D2に沿って延在する矩形状を呈する。
図4は、第1方向D1及び第3方向D3に沿って避雷設備10を切断した避雷設備10の断面図である。
図3及び
図4に示されるように、第2板部15は、矩形状の第1板部14の4つの辺14bのそれぞれから突出している。第1接続部材12は、例えば、第1板部14を底部とすると共に複数の第2板部15のそれぞれを側部とする矩形箱状を呈する。この場合、第1板部14は底面14cを有し、第2板部15は底面14cの外縁から延びる内側面15bを有する。第1板部14は、後述する第2接続部材13のボルト17が挿通される貫通孔14fを有する。
【0028】
第2板部15は、パネル導体接続部材11にカバー30を接続する部位である。第1接続部材12は、例えば、4つの第2板部15を有する。4つの第2板部15のうち鉛直下方を向く第2板部15は、第2板部15を貫通する孔15cを有する。孔15cは、避雷設備10の水抜き孔として機能する。例えば、第2板部15は、複数(一例として2つ)の孔15cを有する。この場合、複数の孔15cのいずれかが詰まっても他の孔15cによって雨水W等を下方に排出することが可能となる。
【0029】
第1接続部材12は、例えば、第1板部14に打ち込まれるビス16によって複数の金属パネル3のそれぞれに固定される。例えば、複数のビス16の一方が第1板部14及び一方の金属パネル3に打ち込まれ、複数のビス16の他方が第1板部14及び他方の金属パネル3に打ち込まれることにより、パネル導体接続部材11を介して複数の金属パネル3が互いに接続される。第1板部14はビス16が打ち込まれるビス孔14dを有し、例えば、ビス孔14dの形状(第3方向D3に沿って見た形状)は円形状を呈する。
【0030】
第2接続部材13は、第1接続部材12の第1板部14を貫通すると共に建物導体接続部材20に締め付けられるボルト17と、第1板部14から見て建物導体接続部材20とは反対側の底面14cにおいてボルト17が締め付けられるナット18とを有する。以上より、避雷設備10において金属製のカバー30からの雷電流は、第1接続部材12(第2板部15及び第1板部14)と第2接続部材13とを介して建物導体接続部材20に伝達される。
【0031】
カバー30は、例えば、化粧カバーである。カバー30は、例えば、建物1の外部に露出する露出部31と、建物1の外部に露出しない非露出部32とを備える。一例として、露出部31及び非露出部32は、共に、板状を呈する。露出部31は、例えば、矩形板状を呈する。露出部31は、建物1の外側を向く外面31bと、外面31bの反対側を向く内面31cとを有する。
【0032】
非露出部32は、例えば、パネル導体接続部材11(第1接続部材12)に挿入され、露出部31が第2板部15の端面15d(第1板部14とは反対側に位置する第2板部15の端面15d)に載せられる。これにより、第1接続部材12がカバー30によって封止される。すなわち、カバー30は、パネル導体接続部材11(第1接続部材12)を封止する蓋として機能する。
【0033】
一例として、非露出部32は、露出部31の内面31cから内面31cの面外方向に突出する複数の壁部32bを有する。例えば、カバー30は、非露出部32が第2板部15の内側面15bに対向する位置に配置される。本実施形態では、非露出部32が各第2板部15に対向している。例えば、パネル導体接続部材11及びカバー30は、パネル導体接続部材11の外側から打ち込まれるビス33によって互いに固定されている。ビス33は、例えば、第2板部15の外側面15fから第2板部15及び非露出部32に打ち込まれる。第2板部15にはビス33が打ち込まれるビス孔15gが形成されており、例えば、ビス孔15gの形状は円形状を呈する。
【0034】
コーキング剤40は、例えば、カバー30、パネル導体接続部材11(第2板部15)及び金属パネル3によって画成された領域Rに充填される。一例として、領域Rは、露出部31の内面31c、第2板部15の外側面15f、及び金属板3bによって画成される。例えば、コーキング剤40は、パネル導体接続部材11から見て第2方向D2の両側のそれぞれと、第1方向D1の一方側(上側)に充填される。
【0035】
これにより、パネル導体接続部材11の上方及び左右方向における防水性が確保される。更に、ビス16が打ち込まれるビス孔14d、ビス33が打ち込まれるビス孔15gに対する防水処置を不要とすることが可能となる。コーキング剤40は、第1方向D1の他方側(下側)には充填されない。コーキング剤40がカバー30の下側に充填されないことにより、孔15cが下方に露出するので、パネル導体接続部材11の下方から雨水W等を排出することができる。
【0036】
建物導体接続部材20は、金属パネル3の端面3gに対向する位置に配置されている。例えば、金属パネル3の端面3g及び建物導体接続部材20は第2方向D2に沿って並んでいる。一例として、建物導体接続部材20は、一対の金属パネル3の端面3gの間に配置されている。建物導体接続部材20は、パネル導体接続部材11と建物1(例えば下地材8)とを互いに電気的に接続する。建物導体接続部材20は、例えば、パネル導体接続部材11が接続される前から予め建物1に固定されている。
【0037】
図5は、金属パネル3の厚さ方向である第3方向D3に沿って建物導体接続部材20を見た建物導体接続部材20の正面図である。
図3及び
図5に示されるように、建物導体接続部材20は、例えば、目地4に固定されている。建物導体接続部材20は、例えば、下地材8に固定されるベース21と、ベース21に形成されたアンカー接続部22とを備える。ベース21は、例えば、板状を呈する。建物導体接続部材20は、例えば、足場つなぎアンカー金具である。この場合、建物導体接続部材20として簡易な足場つなぎアンカー金具を用いることができるので、建物導体接続部材20の構成を簡易にすることができる。建物導体接続部材20は、ベース21及び下地材8にビス23が打ち込まれることよって建物1に接続される。一例として、ベース21は、矩形板状を呈し、ベース21の長辺が目地4の延在方向(例えば第1方向D1)に沿うように配置されている。
【0038】
アンカー接続部22は、一例として、複数のビス23の間に配置されている。アンカー接続部22は、例えば、ベース21から突出する筒状(一例として円筒状)を呈するアンカーナットである。アンカー接続部22には、避雷設備10の設置時にパネル導体接続部材11(第2接続部材13)のボルト17が締め付けられる。
【0039】
しかしながら、建物導体接続部材20のアンカー接続部22には、避雷設備10の設置前には足場Aに固定される足場固定具50の足場アンカー51が仮設接続手段として接続されている。
図6は、仮設接続手段の一例である足場アンカー51が建物導体接続部材20(アンカー接続部22)に接続された状態を模式的に示す斜視図である。
図6に示されるように、足場固定具50は、例えば、アンカー接続部22に接続される足場アンカー51と、足場Aの足場パイプPに締め付け固定されるパイプクランプ52と、足場アンカー51及びパイプクランプ52を互いに連結する連結部材53とを備える。
【0040】
足場アンカー51は、連結部材53に固定されており連結部材53から突出している。連結部材53は、連結具53bと、連結具53bから延び出すと共にパイプクランプ52に連結される連結ボルト53cとを備える。例えば、連結ボルト53cは連結具53bに対してねじ込み可能とされており、連結具53bへの連結ボルト53cのねじ込み具合(ねじ込み深さ)が調整されてアンカー接続部22と足場Aとの間隔が調整可能とされている。
【0041】
前述したように、避雷設備10の建物導体接続部材20(アンカー接続部22)には仮設接続手段が接続可能とされている。本実施形態では、足場Aを組んで建物1を構築するときには、建物導体接続部材20に足場アンカー51を接続して建物導体接続部材20を足場接続部として用いることが可能である。そして、建物1の構築が進んで足場Aを解体するときには、建物導体接続部材20から足場アンカー51を外して建物導体接続部材20に避雷設備10を設置することが可能である。以下では、本実施形態に係る避雷設備10の設置方法について説明する。
【0042】
まず、建物1(下地材8)に建物導体接続部材20を固定する(建物に建物導体接続部材を固定する工程)。このとき、建物導体接続部材20のベース21及び下地材8にビス23を打ち込むことによって下地材8に建物導体接続部材20を固定する。例えば、アンカー接続部22から見てベース21の一方側(一例として上側)及び他方側(一例として下側)のそれぞれに複数のビス23を打ち込む。
【0043】
次に、足場Aを構築する(仮設接続手段を構築する工程)。具体例として、複数の足場パイプPを立てて足場Aを構築すると共に足場固定具50のパイプクランプ52を足場パイプPに固定する。そして、建物導体接続部材20に足場アンカー51を接続する(建物導体接続部材に仮設接続手段を接続する工程)。このとき、連結具53bに対する連結ボルト53cのねじ込み具合を調整して建物導体接続部材20と足場Aとの間隔を調整する。
【0044】
その後、足場Aを解体する(仮設接続手段を撤去する工程)。このとき、足場Aの足場パイプPの撤去等を行うと共に、
図5に示されるように、建物導体接続部材20から足場アンカー51を外す(建物導体接続部材から仮設接続手段を外す工程)。建物導体接続部材20から足場アンカー51が外された後に建物導体接続部材20に避雷設備10を設置する。
【0045】
避雷設備10の設置では、例えば
図3及び
図4に示されるように、金属パネル3にパネル導体接続部材11を接続する(パネル導体接続部材を接続する工程)。具体的には、第1接続部材12(第1板部14)を一対の金属パネル3のそれぞれの金属板3bに載せる。このとき、第2板部15の孔15cを鉛直下方に向けた状態とする。そして、第1板部14及び金属パネル3(金属板3b)にビス16を打ち込むことにより、パネル導体接続部材11を金属パネル3に固定する(金属パネルにパネル導体接続部材を固定する工程)。
【0046】
続いて、建物導体接続部材20を介してパネル導体接続部材11及び建物1を互いに接続する(パネル導体接続部材及び建物を互いに接続する工程)。例えば、パネル導体接続部材11の第1接続部材12を第2接続部材13を介して建物導体接続部材20に接続する。具体的には、第1接続部材12(第1板部14)の貫通孔14fに第2接続部材13のボルト17を通してボルト17にナット18を締め付けることによって第2接続部材13を第1接続部材12に締結する。これにより、建物導体接続部材20を介した建物1(下地材8)へのパネル導体接続部材11の接続が完了する。
【0047】
パネル導体接続部材11の接続の後には、例えば、カバー30を設置する(カバーを設置する工程)。具体的には、カバー30の非露出部32を第1接続部材12(複数の第2板部15で囲まれた領域)に挿入し、第2板部15の端面15dに露出部31の内面31cを接触させる。そして、カバー30の非露出部32を第2板部15の内側面15bに対向させ、第2板部15の外側面15fから第2板部15及び非露出部32にビス33を打ち込む。
【0048】
ビス33を打ち込んで第2板部15を非露出部32に固定し、パネル導体接続部材11にカバー30を固定した後には、コーキング剤40を充填する(コーキング剤を充填する工程)。例えば、上方又は左右方向を向く第2板部15の外側の領域Rにコーキング剤40を充填すると共に、下方を向く孔15cが形成された第2板部15の外側にはコーキング剤40を充填しない。以上の工程を経て避雷設備10が完成し、避雷設備10の設置方法の一連の工程が完了する。
【0049】
次に、本実施形態に係る避雷設備10、及び避雷設備の設置方法から得られる作用効果について説明する。本実施形態に係る避雷設備10、及び避雷設備の設置方法は、金属パネル3に接続されるパネル導体接続部材11と、パネル導体接続部材11及び建物1を互いに接続する建物導体接続部材20とを備える。よって、金属パネル3が受けた雷電流をパネル導体接続部材11及び建物導体接続部材20を介して建物1に導くことができる。
【0050】
パネル導体接続部材11は金属パネル3に接続され、建物導体接続部材20は金属パネル3の端面3gに対向する位置でパネル導体接続部材11を建物1に導体接続する。従って、金属パネル3の端面3gに対向する位置に配置された建物導体接続部材20を介してパネル導体接続部材11を建物1に導体接続すればよいので、避雷設備10の設置を効率よく行うことができる。
【0051】
本実施形態では、パネル導体接続部材11及び建物導体接続部材20によって金属パネル3の端面3gを迂回して建物1に接続される導電経路が形成される。よって、金属パネル3の端面3gに対向する位置に配置された建物導体接続部材20を用いることにより、従来のように避雷手段付きPC板を予め用意したり、梁に導線を設置したりすることが不要となるので、設置を効率よく行うことができる。
【0052】
ここで比較例に係る避雷設備100について
図8を参照しながら説明する。避雷設備100は、パネル導体接続部材11及び建物導体接続部材20に代えてパネル間接続部材101を備える点、金属パネル3に加工が施されている点、及び建物1と金属パネル3とを互いに接続する接続部材102を備える点において前述した避雷設備10とは異なっている。
【0053】
図8に示されるように、パネル間接続部材101は、U字状を呈しており、U字状の底面101bにビス101cが打ち込まれることによって下地材8に導体接続される。パネル間接続部材101における金属パネル3の表面側(
図8では上側)にはシーリング101dが施されている。接続部材102は、金属パネル3を貫通すると共にL字状をなす第1金物103と、第1金物103から建物1(下地材8)まで延在する第2金物104とを備える。
【0054】
第1金物103は、金属パネル3において露出する露出部103bと、露出部103bから金属パネル3を貫通して金属パネル3における建物1の内側に延在する延在部103cとを有する。露出部103bは、2個のビス103d、及び2個のエビナット103fによって金属パネル3に固定される。
【0055】
第2金物104は、第1金物103に接続される第1端子104bと、第1端子104bから建物1の内側に延びる第1延在部104cと、第1延在部104cから下地材8に向かって延びる第2延在部104dと、第2延在部104dを下地材8に固定する第2端子104fとを有する。第1延在部104c及び第2延在部104dは、一例として,アルミ製である。
【0056】
以上の避雷設備100では、金属パネル3と建物1を互いに接続する接続部材102において、第1金物103を金属パネル3に貫通させなければならない。そして、金属パネル3に第1金物103を固定すると共に、建物1に第2金物104を固定する作業が必要となり、それぞれの作業において、下地材8への第2金物104の固定、端子間の接続、及びビスの打ち込み等が必要となる。従って、特に金属パネル3に加工を施さなければならないため、作業が煩雑となるという問題が生じうる。
【0057】
これに対し、本実施形態に係る避雷設備10、及び避雷設備の設置方法では、
図3に示されるように、金属パネル3の端面3gに対向する位置に配置されていると共に予め建物1に接続されている建物導体接続部材20に、金属パネル3に導体接続されたパネル導体接続部材11を接続するだけで避雷設備10の設置を完了できる。従って、本実施形態に係る避雷設備10、及び避雷設備の設置方法では、前述した比較例と比べて格段に効率よく避雷設備10を設置することができる。
【0058】
また、建物導体接続部材20は、仮設接続手段が接続可能とされている。よって、建物導体接続部材20を、仮設時には仮設接続手段が接続される部位として用いることができる。そして、仮設接続手段を撤去して仮設接続手段を建物導体接続部材20から外した後に、建物導体接続部材20へのパネル導体接続部材11を介した金属パネル3の導体接続を行うことができる。具体例として、建物導体接続部材20は、足場アンカー51が接続可能とされている。従って、建物1の構築において足場Aを組んでいるときには、建物導体接続部材20を足場アンカー51が接続される部位として用いることができる。そして、足場Aを解体して足場アンカー51を建物導体接続部材20から外した後に、建物導体接続部材20へのパネル導体接続部材11を介した金属パネル3の導体接続を行うことができる。従って、仮設接続手段が接続される建物導体接続部材20を仮設接続手段の撤去と共に金属パネル3の導体接続のために用いることが可能である。よって、仮設接続手段の解体と共に避雷設備10の設置を行うことができるので、避雷設備10の設置を効率よく行うことができる。
【0059】
前述したように、建物導体接続部材20は、複数の金属パネル3の間の目地4に固定されていてもよい。この場合、複数の金属パネル3の間の目地4に固定されており且つ仮設接続手段が接続可能な建物導体接続部材20を、仮設接続手段の解体後に避雷設備10として有効利用することができる。本実施形態では、足場用の設備の1つであった建物導体接続部材20を足場Aの解体後に避雷設備10として用いることができる。
【0060】
前述した避雷設備10は、パネル導体接続部材11を被覆するカバー30を備えてもよい。この場合、パネル導体接続部材11をカバー30で隠すことが可能となる。従って、避雷設備10のデザイン性を高めることができると共に、パネル導体接続部材11及び建物導体接続部材20をカバー30によって保護することができる。
【0061】
以上、本実施形態に係る避雷設備10、及び避雷設備の設置方法について説明した。しかしながら、本開示に係る避雷設備、及び避雷設備の設置方法は、前述した実施形態の内容に限定されない。以下では、変形例に係る避雷設備60、及び避雷設備の設置方法について
図7を参照しながら説明する。
図7に示されるように、変形例に係る避雷設備60は、カバー30及びコーキング剤40を有しない点が前述した避雷設備10とは異なっている。避雷設備60の構成の一部は、避雷設備10の構成の一部と同一である。従って、以下の説明では、前述した避雷設備10の説明と重複する説明を適宜省略する。
【0062】
避雷設備60は、パネル導体接続部材11とは異なる構成のパネル導体接続部材61と、建物導体接続部材20と、複数の金属パネル3の間に充填されるシーリング材70とを備える。パネル導体接続部材61は、複数の金属パネル3を互いに電気的に接続する第1接続部材62と、第2接続部材13とを備える。第1接続部材62は、金属パネル3の主面3fに接触する板状部材63を備える。板状部材63及び金属パネル3にはビス64が打ち込まれる。
【0063】
板状部材63は、複数の金属パネル3のそれぞれに接触する接触面63bと、接触面63bとは反対側を向く露出面63cとを有する。板状部材63には、第2接続部材13のボルト17が挿通される貫通孔63dが形成されている。貫通孔63dにボルト17が通されて露出面63cの上からボルト17にナット18が締め付けられることによって、第2接続部材13が第1接続部材62に強固に接続される。なお、ビス64と板状部材63の間、及びナット18と露出面63cの間のそれぞれには、例えばパッキンが介在しており、防水処置が施されていてもよい。
【0064】
以上、変形例に係る避雷設備60、及び避雷設備60の設置方法では、金属パネル3が受けた雷電流をパネル導体接続部材61及び建物導体接続部材20を介して建物1に導くことができる。また、金属パネル3の端面3gに対向する位置に配置された建物導体接続部材20を介してパネル導体接続部材61を建物1に導体接続すればよいので、避雷設備60の設置を効率よく行うことができる。従って、避雷設備60からは前述した避雷設備10と同様の作用効果が得られる。
【0065】
以上、本開示に係る避雷設備、及び避雷設備の設置方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る避雷設備、及び避雷設備の設置方法は、前述した実施形態又は変形例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更されたものであってもよい。すなわち、避雷設備の各部の構成、形状、大きさ、数、材料及び配置態様、並びに、避雷設備の設置方法の工程の内容及び順序は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0066】
例えば、前述の実施形態では、仮設接続手段が足場Aの足場アンカー51である例について説明した。しかしながら、仮設接続手段は、パネル導体接続部材11が接続されていないときに用いられる部材又は設備であれば、足場以外のものであってもよい。また、前述の実施形態では、一対の金属パネル3の間に形成された目地4に設置される避雷設備10について説明した。しかしながら、本開示に係る避雷設備は、一対の金属パネルの間以外の位置に設置されるものであってもよい。例えば、本開示に係る避雷設備は、4枚の金属パネル3の間における第1方向D1に延びる目地4と第2方向D2に延びる目地4との交差部に設置されるものであってもよい。例えば、本開示に係る避雷設備は、第2方向D2の端部に位置する金属パネル3の第2方向D2の端部側の端面3g(金属パネル3の片側の端面3gのみ)に設置される避雷設備であってもよい。このように、本開示に係る避雷設備が設置される場所は、前述の実施形態に限られず適宜変更可能である。
【0067】
例えば、前述の実施形態では、第1板部14が円形状のビス孔14dを有し、第2板部15が円形状のビス孔15gを有するパネル導体接続部材11について説明した。しかしながら、パネル導体接続部材のビス孔の形状は、例えば、長円形状であってもよい。このように、パネル導体接続部材のビス孔の形状は適宜変更可能である。
【0068】
例えば、前述の実施形態では、第2板部15が矩形状の第1板部14の4つの辺14bのそれぞれから突出しており、第1板部14を底部とすると共に複数の第2板部15のそれぞれを側部とする矩形箱状の第1接続部材12を備えるパネル導体接続部材11について説明した。しかしながら、パネル導体接続部材は、第2板部15が第1板部14の1つ以上且つ3つ以下の辺14bのそれぞれから突出する第1接続部材を備えていてもよいし、矩形箱状以外の形状の第1接続部材を備えていてもよい。パネル導体接続部材の第2接続部材の構成についても、前述した第2接続部材13の態様に限られず、適宜変更可能である。更に、パネル導体接続部材は、第1接続部材12及び第2接続部材13を含む態様に限られず、1部材又は3部材以上によって構成されていてもよい。このように、パネル導体接続部材の形状、構成及び配置態様については適宜変更可能である。
【0069】
例えば、前述の実施形態では、矩形板状のベース21と、ベース21から突出する筒状のアンカー接続部22とを備え、複数のビス23によって目地4に固定されている建物導体接続部材20について説明した。しかしながら、ベースの形状、及びアンカー接続部の形状は、ベース21及びアンカー接続部22に限られず、適宜変更可能である。また、目地に対する建物導体接続部材の固定の態様についても、ビス23によって固定する態様に限られず適宜変更可能である。更に、建物導体接続部材が固定されている部位は、目地以外の部位であってもよい。このように、建物導体接続部材の構成及び配置態様については適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…建物、2…壁、3…金属パネル、3b,3c…金属板、3d…断熱材、3f…主面、3g…端面、4…目地、5…接続部、6…第1接続部、6b…突出部、6c…凹部、6d…凹部、7…第2接続部、7b…突出部、7c…凹部、8…下地材、9…ビス、9b…パッキン、10,60…避雷設備、11,61…パネル導体接続部材、12,62…第1接続部材、13…第2接続部材、14…第1板部、14b…辺、14c…底面、14d…ビス孔、14f…貫通孔、15…第2板部、15b…内側面、15c…孔、15d…端面、15f…外側面、15g…ビス孔、16…ビス、17…ボルト、18…ナット、20…建物導体接続部材、21…ベース、22…アンカー接続部、23…ビス、30…カバー、31…露出部、31b…外面、31c…内面、32…非露出部、32b…壁部、33…ビス、40…コーキング剤、50…足場固定具、51…足場アンカー(仮設接続手段)、52…パイプクランプ、53…連結部材、53b…連結具、53c…連結ボルト、63…板状部材、63b…接触面、63c…露出面、63d…貫通孔、64…ビス、70…シーリング材、A…足場、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、P…足場パイプ、R…領域、S…シール材、W…雨水。