(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】高球状ポリアミド微粒子及びそれに関連する合成方法
(51)【国際特許分類】
C08G 69/00 20060101AFI20250108BHJP
C08G 69/08 20060101ALI20250108BHJP
C08G 69/26 20060101ALI20250108BHJP
C08J 3/16 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
C08G69/00
C08G69/08
C08G69/26
C08J3/16 CFG
(21)【出願番号】P 2021112501
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2024-07-01
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ホジャット・セイッド・ジャメイユ
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-181826(JP,A)
【文献】特開平05-220807(JP,A)
【文献】特表2010-514876(JP,A)
【文献】特開平10-316750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/00
C08G 69/08
C08G 69/26
C08J 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド微粒子の合成方法であって、マトリックス流体と、乳化安定剤と、溶媒と、環状アミドモノマーとを含む混合物を脱水及び剪断してエマルションの総重量に基づく
1重量%以下の含水量を有する前記エマルションを生成することと、
前記マトリックス流体の重量に基づく
0.01重量%~
1重量%の濃度で、前記エマルションに脱プロトン化剤を添加することと、
重合開始剤を前記エマルションに添加することと、
前記環状アミドモノマーを重合させて複数のポリアミド微粒子とすることと、
を含み、前記ポリアミド微粒子が、
0.2~
10の直径スパンを有
し、前記溶媒が前記マトリックス流体と混和性を有し、前記溶媒が前記マトリックス流体とは異なる、ポリアミド微粒子の合成方法。
【請求項2】
前記乳化安定剤が、前記マトリックス流体の重量に基づく
0.01重量%~
50重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、前記マトリックス流体の重量に基づく
13重量%~
75重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記環状アミドモノマーが、前記マトリックス流体の重量に基づく
20重量%~
90重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記脱プロトン化剤を添加することが、前記重合開始剤を添加する前である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記脱プロトン化剤を添加することが、前記重合開始剤を添加する後である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記脱プロトン化剤を添加することが、前記重合開始剤を添加することと同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記環状アミドモノマーが、アゼリジノン、2-アゼチジノン、2-ピロリジノン、2-ピペリジノン、ε-カプロラクタム、2-アザシクロオクタノン、2-アザシクロノナノン、2-アザシクロデカノン、2-アザシクロウンデカノン、2-アザ-シクロドデカノン、ラウロラクタム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリアミド微粒子のポリアミドが、ポリカプロアミド、ポリ(ヘキサメチレンスクシンアミド)、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリペンタメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリウンデカ
ンアミド、ポリドデカ
ンアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ナイロン10.10、ナイロン10.12、ナイロン10.14、ナイロン10.18、ナイロン6.10、ナイロン6.18、ナイロン6.12、ナイロン6.14、及びこれらの任意のコポリアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記マトリックス流体が、脂肪酸で修飾されたポリシロキサン、脂肪族アルコールで修飾されたポリシロキサン、ポリオキシアルキレンで修飾されたポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサン、シリコーン油、フッ素化シリコーン油、ペルフッ素化シリコーン油、ポリエチレングリコール、パラフィン、液体石油ゼリー、アメリカミンク油、タートル油、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、テリハボク油、パーム油、パリーマ油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ひまし油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、及び脂肪族アルコール、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒が、
150℃を超える沸点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記脱水が、前記脱水中に前記溶媒の
10%~
15%が留去されるように実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記重合開始剤が、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記脱プロトン化剤が、第I族及び第II族金属水酸化物、第I族及び第II族金属水素化物、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、リチウムt-ブトキシド、カプロラクタム酸ナトリウム、ε-カプロラクタムマグネシウムブロミド、ジカプロラクタマート-ビス-(2-メトキシエトキシオキソ)-アルミン酸ナトリウム、及びこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリアミド微粒子を洗浄することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリアミド微粒子が、
0.5~
125μmのD10、
1~
200μmのD50、及び
70~
300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリアミド微粒子が、
0.8以上の円形度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ポリアミド微粒子を合成する方法であって、マトリックス流体と、乳化安定剤と、溶媒と、環状アミドモノマーとを含む混合物を脱水及び剪断し、エマルションの総重量に基づく
1重量%以下の含水量を有する前記エマルションを生成することと、
前記マトリックス流体の重量に基づく
0.01重量%~
1重量%の濃度で、脱プロトン化剤を前記エマルションに添加することと、
重合開始剤を前記エマルションに添加することと、
前記環状アミドモノマーを複数のポリアミド微粒子に重合することと、
を含み、前記ポリアミド微粒子が、
0.5μm~
125μmのD10、
1μm~
200μmのD50、及び
70μm~
300μmのD90を有し、D10<D50<D90であ
り、前記溶媒が前記マトリックス流体と混和性を有し、前記溶媒が前記マトリックス流体とは異なる、ポリアミド微粒子を合成する方法。
【請求項19】
ポリアミド微粒子を合成する方法であって、マトリックス流体と、乳化安定剤と、溶媒と、環状アミドモノマーと、を含む混合物を、脱水及び剪断し、エマルションの総重量に基づく
1重量%以下の含水量を有する前記エマルションを生成することと、
前記エマルションに、前記マトリックス流体の重量に基づく
0.01重量%~
1重量%の濃度で、脱プロトン化剤を添加することと、
重合開始剤を前記エマルションに添加することと、
前記環状アミドモノマーを複数のポリアミド微粒子に重合することと、
を含み、
前記ポリアミド微粒子が
0.8以上の円形度を有
し、前記溶媒が前記マトリックス流体と混和性を有し、前記溶媒が前記マトリックス流体とは異なる、
ポリアミド微粒子を合成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱可塑性ポリアミド微粒子及びそのような微粒子の製造方法に関する。このような微粒子、特に高球状熱可塑性ポリアミド微粒子は、とりわけ、付加製造の出発材料として有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
付加製造としても知られる三次元(3D)印刷は、急速に成長する技術分野である。3D印刷は、従来、ラピッドプロトタイピング作業に使用されてきたが、この3D印刷技術は、ラピッドプロトタイプとは完全に異なる構造的及び機械的許容誤差が求められ得る商業的及び産業的物体の製造に採用されることが増えてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
3D印刷は、(a)溶融状態若しくは固化可能な材料の小さな液滴若しくは流れ、又は(b)粉末微粒子のいずれかを、堆積位置に精密に堆積させ、その後、より大きな物体(これは、任意の数の複雑な形状を有し得る)へと固結化することによって動作する。このような堆積及び固結化プロセスは、典型的には、コンピュータの制御下で行われて、より大きな物体を層ごとに積み上げる。特定の実施例では、粉末微粒子の固結化は、レーザを使用して選択的レーザ焼結(SLS:selective laser sintering)を促進する3D印刷システムで行われ得る。不完全な層間融合は、構造的弱点を招く場合があり、厳密な構造的及び機械的許容誤差を有する物体の印刷にとって問題となり得る。
【0004】
3D印刷で使用可能な粉末微粒子としては、熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性ポリマー、金属、及び他の固化可能物質が挙げられる。多くの熱可塑性ポリマーが知られているが、特に粉末床溶融結合(PBF:powder bed fusion)を使用する場合、3D印刷で使用するのに好適な特性を有するものは比較的少ない。粉末材料を使用する付加製造方法としては、PBF、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的加熱焼結(SHM:selective heat sintering)、選択的レーザ溶融(SLM:selective laser melting)、電子ビーム溶融(EBM:electron beam melting)、結合剤噴射、及びマルチジェットフュージョン(MJF:multi jet fusion)が挙げられる。SLS印刷方法では、粒子は、高出力レーザからのエネルギーによって融合される。3D印刷で使用するのに好適な典型的な熱可塑性ポリマーとしては、厳密な融点と、融点より約20℃~50℃低い再結晶点とを有するものが挙げられる。この差が、隣接するポリマー層間のより効果的な合体が起こることを可能にし得るが、それにより、構造的及び機械的一体性の改善が促進される。
【0005】
粉末微粒子、特にポリマー粉末微粒子を使用して良好な印刷性能を実現するために、粉末微粒子は固体状態で良好な流動特性を維持する必要がある。流動特性は、例えば、サンプルからの、特定のサイズの標準ふるいを通過することができる粉末微粒子の割合を測定する、かつ/又は安息角を測定することによって評価され得る。ふるい分け可能な粉末微粒子の割合が高いことは、微粒子が凝集しておらず、実質的に個々の微粒子として存在しているということを示し得るが、これは粉末流動しやすいことの特徴であり得る。より低い安息角の値は、粉末がより容易に流動することを示す特性であり得る。サンプル中の粒子形状の相対的に狭い粒径分布及び規則性も、良好な粉体流性能を促進する助けとなり得る。
【0006】
市販の粉末微粒子は、低温粉砕又は沈殿プロセスによって得られることが多く、不規則な粒子形状及び広い粒径分布が生じ得る。不規則な粒子形状は、3D印刷プロセス中における粉体の流動性能を低下させる場合がある。加えて、形状不規則性を有する粉末微粒子、特に現在の商業的プロセスから得られるものは、堆積及び固結化に続く充填時の効率を不十分なものとし、それにより、堆積中に粉末微粒子が密接に充填されないため、印刷された物体内には広範に空隙が形成され得る。粒径分布範囲が広いことも、この点に関して同様に問題となり得る。粉体流動性能が不十分であっても、充填剤及び流動助剤との乾式混合によってある程度対処され得る。しかしこれらの技法は、エラストマーなどのより軟質のポリマー材料を用いた場合には、粒子が凝集することにより、その効果が限定的なものとなり得る。
【0007】
本開示は、熱可塑性ポリアミド微粒子及びそのような微粒子の製造方法に関する。このような微粒子、特に高球状熱可塑性ポリアミド微粒子は、とりわけ、付加製造の出発材料として有用であり得る。
【0008】
本明細書に示される態様によれば、ポリアミド微粒子の合成方法が提供され、その方法は、マトリックス流体と、マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%の乳化安定剤と、マトリックス流体の重量に基づく約13重量%~約75重量%の溶媒と、マトリックス流体の重量に基づく約20重量%~約90重量%の環状アミドモノマーと、を含む混合物を脱水及び剪断してエマルションを生成し、エマルションは、その総重量に基づく約1重量%以下の含水量を有するようにすることと、マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%の濃度で、脱プロトン化剤をエマルションに添加することと、環状アミドモノマーを重合させて複数のポリアミド微粒子にするのに効果的な条件下で、エマルションを重合開始剤と接触させることと、を含む。
【0009】
本明細書に示される態様によれば、ポリアミド微粒子の合成方法が提供され、その方法は、マトリックス流体と、マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%の乳化安定剤と、マトリックス流体の重量に基づく約13重量%~約75重量%の溶媒と、を含む混合物を脱水及び剪断することと、マトリックス流体の重量に基づく約20重量%~約90重量%の環状アミドモノマーを剪断しながら混合物に添加して、エマルションを生成することと、エマルションの総重量に基づく約1重量%以下の含水量にエマルションを脱水して、脱水されたエマルションを生成することと、マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%の濃度で、脱プロトン化剤を脱水されたエマルションに添加することと、環状アミドモノマーを重合させて複数のポリアミド微粒子とするのに効果的な条件下で、脱水されたエマルションを重合開始剤と接触させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題には、その形態及び機能において、当業者が想到し、しかも本開示の利益を有するような、相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物を考えることができる。
【0011】
【
図1】本開示の非限定的な例示的方法のフローチャートである。
【0012】
【
図2】本開示のポリアミド微粒子のFT-IRスペクトルである。
【0013】
【
図3】本開示の方法に従って製造されたポリアミド微粒子の示差走査熱量計(DSC)の図面である。
【0014】
【
図4A】本開示の方法に従って製造されたポリアミド微粒子の2枚の走査電子顕微鏡写真である。
【
図4B】本開示の方法に従って製造されたポリアミド微粒子の2枚の走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、熱可塑性ポリアミド微粒子及びそのような微粒子の製造方法に関する。このような微粒子、特に高球状熱可塑性ポリアミド微粒子は、とりわけ、付加製造の出発材料として有用であり得る。
【0016】
より具体的には、本明細書に記載の熱可塑性ポリアミド微粒子は、脱プロトン化剤の存在下で環状アミドの油中油型溶融エマルション開環重合によって生成され、良好な流動特性を有する高球状ポリアミド微粒子が得られる。
【0017】
更に、本明細書に記載の合成方法の一部で使用される乳化安定剤は、有利なことに、ポリアミド微粒子の外側表面と会合し得る。このような乳化安定剤は、本明細書に記載されるポリアミド微粒子の流動特性を更に向上させる流動助剤として作用し得る。
定義及び試験方法
【0018】
本明細書においては、用語「混和性(を有する)」は、組み合わされたときに単一の流体相を形成する成分の混合物に言及する際に使用される。
【0019】
本明細書においては、用語「熱可塑性(を有する)」は、可逆的に、加熱及び冷却により軟化及び硬化する材料に言及する際に使用される。
【0020】
本明細書においては、用語「酸化物」は、金属酸化物及び非金属酸化物の両方を指して使用される。本開示の目的のために、ケイ素は、金属であるとみなされる。
【0021】
本明細書においては、乳化安定剤と表面との間の用語「会合した」、「会合」、及びその文法的な変形は、表面への乳化安定剤の化学結合及び/又は物理的接着を指して使用される。理論に束縛されるものではないが、本明細書では、ポリマーと乳化安定剤との間の会合について記述しているが、その会合は、水素結合及び/又は他の機構を介した、主として物理的な接着状態であると考えられる。しかしながら、化学結合がある程度発生している可能性がある。
【0022】
本明細書で、ナノ粒子及びポリマー粒子の表面に対して用語「埋め込む」を使用する場合には、ナノ粒子がポリマー粒子の表面上に単に置かれるという場合よりも大きな程度に、ポリマーがナノ粒子と接触するように、ナノ粒子が表面内部に少なくとも部分的に延在していることを指す。
【0023】
以下本明細書では、D10、D50、D90、及び直径スパンは、粒径を記載するために主に使用される。本明細書で用語「D10」を使用する場合には、試料の10%(別段の指定がない限り体積基準で)を構成する粒子が、当該値未満の直径を有するというケースの、その直径値を指す。本明細書で用語「D50」を使用する場合には、試料の50%(別段の指定がない限り体積基準で)を構成する粒子が、当該値未満の直径を有するというケースの、その直径値を指す。本明細書で用語「D90」を使用する場合には、試料の90%(別段の指定がない限り体積基準で)を構成する粒子が、当該値未満の直径を有するというケースの、その直径値を指す。
【0024】
粒径は、Malvern社製MASTERSIZER(商標)3000を使用した光散乱技術によって、又は光学デジタル顕微鏡写真の分析によって決定され得る。別途記載のない限り、光散乱技術は、粒径を分析するために使用される。
【0025】
光散乱技術については、対照試料は、Malvern Analytical Ltd.から入手した商標名Quality Audit Standards QAS4002(商標)の15μm~150μmの範囲内の直径を有するガラスビーズであった。別途記載のない限り、試料は乾燥粉末として分析した。分析された粒子は空気中に分散され、MASTERSIZER(商標)3000と共にAERO S乾燥粉末分散モジュールを使用して分析された。粒径は、サイズの関数としての体積密度のプロットから、計器ソフトウェアを使用して導出された。
【0026】
粒径測定及び直径スパンはまた、光学デジタル顕微鏡法によっても決定され得る。光学画像は、粒径分析のためのバージョン2.3.5.1ソフトウェア(システムバージョン1.93)を使用するKeyence VHX-2000デジタル顕微鏡を使用して得られる。
【0027】
本明細書で使用する場合、ふるいについて言及する際には、孔/スクリーンサイズは、U.S.A.Standard Sieve(ASTM E11-17)に記載されているものである。
【0028】
本明細書で使用する場合、粒子に関する「円形度」という用語は、粒子が完全な球体にどの程度近いかを指して用いられる。円形度を決定するために、粒子の光学顕微鏡画像が撮影される。顕微鏡画像の平面内の粒子の周囲の長さ(P)及び面積(A)が(例えば、Malvern Instrumentsから入手可能なSYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器を使用して)計算される。粒子の円形度はCEA/Pであり、CEAは、実際の粒子の面積(A)に相当する面積を有する円の円周である。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「剪断力」は、流体中で機械的撹拌を誘導する撹拌又は類似のプロセスに言及する際に使用される。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「アスペクト比」は、長さを幅で割った比率を指して使用される。なお、長さは幅よりも大きいものとする。
【0031】
別途記載のない限り、ポリマーの融点は、ASTM E794-06(2018)で10℃/分の昇温速度及び冷却速度を使用して決定される。
【0032】
別途記載のない限り、ポリマーの軟化温度又は軟化点は、ASTM D6090-17によって決定される。軟化温度は、1℃/分の加熱速度で0.50グラムのサンプルを使用して、Mettler-Toledo社から入手可能なカップアンドボール装置を使用することによって測定され得る。
【0033】
安息角は、粉末の流動性の尺度である。安息角の測定値は、ASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids Characterized by Carr Indices」を使用するホソカワミクロン社製Powder Characteristics Tester PT-Rを使用して決定された。
【0034】
ハウスナー比(Hr)は、粉末の流動性の尺度であり、Hr=ρtap/ρbulkによって計算され、ρbulkは、ASTM D6393-14による嵩密度であり、ρtapはASTM D6393-14によるタップ密度である。
熱可塑性ポリアミド微粒子及び製造方法
【0035】
本開示は、熱可塑性ポリアミド微粒子、及び油中油型溶融エマルション開環重合を使用してそのような粒子を製造する方法に関する。
【0036】
図1は、本開示の非限定的な例示的方法100のフローチャートである。マトリックス流体102及び乳化安定剤104を組み合わせて(工程106)、混合物108を生成する。混合及び/又は加熱は、マトリックス流体102と乳化安定剤104とを組み合わせる(工程106)プロセス中に含まれてもよい。マトリックス流体102と乳化安定剤104とを組み合わせる(工程106)ことは、任意の好適な混合装置で生じ得る。
【0037】
マトリックス流体102の例としては、脂肪酸で修飾されたポリシロキサン、脂肪族アルコールで修飾されたポリシロキサン、ポリオキシアルキレンで修飾されたポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサン、シリコーン油、フッ素化シリコーン油、ペルフッ素化シリコーン油、ポリエチレングリコール、パラフィン、液体石油ゼリー、アメリカミンク油、タートル油、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、テリハボク油、パーム油、パリーマ油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ひまし油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、及び脂肪族アルコールなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限られない。
【0038】
マトリックス流体102は、25℃で約50cSt~約500,000cSt(又は約50cSt~約5,000cSt、又は約1,000cSt~約60,000cSt、又は約40,000cSt~約100,000cSt、又は約75,000cSt~約150,000cSt、又は約100,000cSt~約300,000cSt、又は約250,000cSt~約500,000cSt)の粘度を有し得る。
【0039】
乳化安定剤は、ナノ粒子(例えば、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、及びこれらの組み合わせ)、及び界面活性剤など、並びにこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0040】
酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子、非金属酸化物ナノ粒子、又はこれらの混合物であってもよい。酸化物ナノ粒子の例としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化タリウム、及び酸化タングステンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、及びアルミノホウケイ酸塩のような混合された金属酸化物及び/又は非金属酸化物もまた、金属酸化物という用語に含まれる。酸化物ナノ粒子は、親水性であっても又は疎水性であってもよく、天然の粒子であっても又は粒子の表面処理の結果であってもよい。例えば、ジメチルシリル、トリメチルシリルなどのような疎水性表面処理を有するシリカナノ粒子が本開示の方法及び組成物に使用されてもよい。加えて、メタクリレート官能基のような機能的な表面処理を施したシリカが、本開示の方法及び組成物に使用されてもよい。非官能化酸化物ナノ粒子もまた同様に、使用に好適であり得る。
【0041】
シリカナノ粒子の市販の例としては、Evonikから入手可能なAEROSIL(登録商標)(例えば、AEROSIL(登録商標)R812S(疎水変性表面及び260±30m2/gのBET表面積を有する平均直径約7nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)RX50(疎水変性表面及び35±10m2/gのBET表面積を有する平均直径約40nmのシリカナノ粒子)、及びAEROSIL(登録商標)380(疎水変性表面及び380±30m2/gのBET表面積を有するシリカナノ粒子))等、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0042】
カーボンブラックは、本明細書に開示される組成物及び方法において乳化安定剤として存在し得る別の種類のナノ粒子である。様々な等級のカーボンブラックが当業者に馴染みのあるものであり、そのうちのいずれかが本明細書で使用され得る。赤外線を吸収することができる他のナノ粒子が同様に使用されてもよい。
【0043】
ポリマーナノ粒子は、本明細書の開示において乳化安定剤として存在し得る別の種類のナノ粒子である。好適なポリマーナノ粒子は、本明細書内の開示による溶融乳化によって処理されたときに溶融しないように、熱硬化性である及び/又は架橋されている1つ以上のポリマーを含んでもよい。高い融点又は分解点を有する高分子量熱可塑性ポリマーは、同様に、好適なポリマーナノ粒子乳化安定剤を含んでもよい。
【0044】
ナノ粒子は、約1nm~約500nm(又は約10nm~約150nm、又は約25nm~約100nm、又は約100nm~約250nm、又は約250nm~約500nm)の平均直径(体積に基づくD50)を有し得る。
【0045】
ナノ粒子は、約10m2/g~約500m2/g(又は約10m2/g~約150m2/g、又は約25m2/g~約100m2/g、又は約100m2/g~約250m2/g、又は250m2/g~約500m2/g)のBET表面積を有し得る。
【0046】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は双極性の化学物質であってもよい。界面活性剤の例としては、ソルビタンオレエート、ポリ[ジメチルシロキサン]-CO-[3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルメチルシロキサン]、硫酸塩(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム及びドデシルナフタレン硫酸ナトリウム)、スルホン酸塩(例えば、ドクサートナトリウム(1,4-ビス(2-エチルヘキソキシ)-1,4-ジオキソブタン-2-スルホン酸ナトリウム)、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、ジアルキルベンゼンアルキル硫酸塩、ジアルキルベンゼンアルキルスルホン酸塩、酸(例えば、Aldrichから入手可能なアビエチン酸、第一工業製薬から入手可能なNEOGEN R(商標)及びNEOGEN SC(商標))、アルコール(例えば、ポリビニルアルコール及びジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)、酸(例えば、ポリアクリル酸)、エーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アンモニウム(例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム)、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなど、及びこれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。市販の界面活性剤の例としては、CALFAX(商標)DB-45(Pilot Chemicalsから入手可能なジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム)、SPAN(商標)80(ソルビタンマレエート非イオン性界面活性剤)、MERPOL(商標)界面活性剤(Stepan Companyから入手可能)、TERGITOL(商標)TMN-6(Dowから入手可能な水溶性、非イオン性界面活性剤)、TRITON(商標)X-100(Sigma-Aldrichから入手可能なオクチルフェノールエトキシレート)、IGEPAL(商標)CA-360(Sigma-Aldrichから入手可能なポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル)、BRIJ(商標)S10(Sigma-Aldrichから入手可能なポリエチレングリコールオクタデシルエーテル)、IGEPAL CA-210(商標)(Sigma-Aldrichから入手可能なポリオキシエチレン(2)イソオクチルフェニルエーテル)、IGEPAL CA-520(商標)(Sigma-Aldrichから入手可能なポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテル)、IGEPAL CA-720(商標)(Sigma-Aldrichから入手可能なポリオキシエチレン(12)イソオクチルフェニルエーテル)、IGEPAL CO-890(商標)(Sigma-Aldrichから入手可能なポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、分枝鎖)、IGEPAL CO-720(商標)(Sigma-Aldrichから入手可能なポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル、分枝鎖)、IGEPAL CO-290(商標)(Sigma-Aldrichから入手可能なアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)、IGEPAL CA-210(商標)(Sigma-Aldrichから入手可能なポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル、分枝鎖)、ANTAROX 890(商標)(Rhone-Poulencから入手可能なジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)、及びANTAROX 897(商標)(Rhone-Poulencから入手可能なジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の界面活性剤又はこれらの組み合わせの選択、並びに各々の使用量は、当業者の裁量の範囲内である。
【0047】
乳化安定剤は、マトリックス流体102の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%(又は約0.01重量%~約10重量%、又は約1重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)の濃度で混合物108中に含まれ得る。
【0048】
次いで、混合物108を脱水して(工程110)、存在する水の全てとは言わないものの、その大部分を除去し、それによって第1の脱水された混合物112を形成する。脱水(工程110)は、例えば、ある圧力(例えば、約1Pa~約150Pa、又は約1Pa~約10Pa、又は約5Pa~約50Pa、又は約25Pa~約100Pa、又は約75Pa~約150Pa)、及び水を蒸発させるのに好適でありかつマトリックス流体102の分解温度未満(好ましくはマトリックス流体102の沸点未満)である温度(例えば、約100℃以上、約100℃~約300℃、又は約150℃、又は約250℃)の下で、混合物108を加熱することを通じて実施され得る。混合物108はまた、例えば、約200RPM(回転数/分)~300RPMの速度で混合(例えば、撹拌)するための剪断条件に供されてもよい。
【0049】
次いで、溶媒114を脱水した混合物112に添加し(工程113)、それによって混合物116を形成する。溶媒114は、マトリックス流体102と混和性を有する任意の溶媒であっても、あるいは溶媒の混合物であってもよい。また、少なくとも150℃(又は約150℃~約250℃、又は約165℃~約200℃)の沸点を有してもよい。溶媒の例としては、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘキサン、フェニルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、1-フェニル-1-シクロヘキセン、3-シクロヘキセン-1-イルベンゼン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、プロピルシクロヘキサン、4-フェニル-1-シクロヘキセン、1-フェニルオクタン、オクタノフェノン、1-フェニルノナン、1-フェニルデカン、1-フェニルウンデカン、1-フェニルドデカン、1-フェニルトリデカン、1-フェニルテトラデカン、1-フェニルヘプタデカン、1-フェニルオクタデカン、1,4-ジドデシルベンゼン、1,4-ビス(2-エチルヘキシル)ベンゼン、及びエイコサン、トリアコンタンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。市販の溶媒の非限定的な例は、DECALIN(商標)(Sigma-Aldrichから入手可能なデカヒドロナフタレン)である。溶媒114は、(マトリックス流体102の重量に基づく)約15重量%~約75重量%(又は約15重量%~40重量%、又は約30重量%~55重量%、又は約50重量%~75重量%)の重量百分率で、脱水された混合物112に添加されてもよい(工程113)。
【0050】
次いで、混合物116を脱水して(工程117)、存在する水の全てとは言わないものの、その大部分を除去し、それによって第2の脱水された混合物118を形成してもよい。脱水(工程117)は、例えば、溶媒の一部(例えば、溶媒の約10%~約15%)を蒸発させるのに好適である圧力(例えば、約1Pa~約150Pa、又は約1Pa~約10Pa、又は約5Pa~約50Pa、又は約25Pa~約100Pa、又は約75Pa~約150Pa)、及び温度(例えば、約100℃以上、約100℃~約300℃、又は約150℃、又は約200℃)の下で、混合物116を加熱することを通じて実行され得る。
【0051】
この非限定的な例の方法100は、2つの脱水工程を示しているが、当業者であれば、他の方法を使用して第2の脱水された混合物118を得ることができることを認識するであろう。好ましくは、第2の脱水された混合物118は、マトリックス流体102と、マトリックス流体102の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%(又は約0.01重量%~約10重量%、1重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)の乳化安定剤104と、マトリックス流体102の重量に基づく約13重量%~約75重量%(又は約13重量%~40重量%、又は約25重量%~55重量%、又は約50重量%~75重量%)の溶媒114と、を含む。また、第2の脱水された混合物118は、好ましくは、第2の脱水された混合物118の総重量に基づく約1重量%以下(又は0重量%~約1重量%、又は0重量%~約0.1重量%、又は約0.01重量%~約0.1重量%)の含水量を有する。
【0052】
次いで、環状アミドモノマー122を第2の脱水された混合物118に添加し(工程120)、エマルション124を形成する。好ましくは、環状アミドモノマー122を第2の脱水された混合物118に添加する(工程120)間、第2の脱水された混合物118は、エマルション124の形成を促進するために、(好ましくは高剪断条件下で)剪断される。
【0053】
環状アミドモノマー122の例としては、アゼリジノン(azeridinone)、2-アゼチジノン、2-ピロリジノン、2-ピペリジノン、ε-カプロラクタム、2-アザシクロオクタノン、2-アザシクロノナノン、2-アザシクロデカノン、2-アザシクロウンデカノン、2-アザ-シクロドデカノン、及びラウロラクタムなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。環状アミドモノマー122は好ましくは、ナイロン12、ナイロン6、又はこれらのコポリマーを製造するのに好適な環状アミドモノマーである。
【0054】
環状アミドモノマー122は、マトリックス流体102の重量に基づく約20重量%~約90重量%(又は約20重量%~50重量%、又は約30重量%~75重量%、又は約50重量%~90重量%)で存在し得る。
【0055】
次いで、エマルション124は、高剪断条件下で環状アミドモノマー122を添加する(工程120)ことによって導入された水の全てとは言えないものの大部分を留去するのに十分な圧力(例えば、約1Pa~約150Pa、又は約1Pa~約10Pa、又は約5Pa~約50Pa、又は約25Pa~約100Pa、又は約75Pa~約150Pa)及び温度(例えば、約100℃以上、約100℃~約300℃、又は約150℃~約250℃)で脱水され(工程126)、それによって脱水されたエマルション128が生成される。例えば、エマルション124は、約550RPM~600RPMの速度で撹拌され、約130℃~約175℃(又は約140℃~約170℃、又は約150℃~約160℃)の温度で維持されてもよい。
【0056】
この非限定的な例の方法100は、いくつかの脱水工程を示しているが、当業者であれば、エマルション124を実現するために他の方法を使用できることを認識するであろう。好ましくは、エマルション124は、マトリックス流体102と、マトリックス流体102の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%(又は約0.01重量%~約10重量%、又は約1重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)の乳化安定剤104と、マトリックス流体102の重量に基づく約13重量%~約75重量%(又は約13重量%~40重量%、又は約25重量%~55重量%、又は約50重量%~75重量%)の溶媒114と、マトリックス流体102の重量に基づく約20重量%~約90重量%(又は約20重量%~50重量%、又は約30重量%~75重量%、又は約50重量%~90重量%)の環状アミドモノマー122と、を含む。また、エマルション124は好ましくは、エマルション124の総重量に基づく約1重量%以下(又は0重量%~約1重量%、又は0重量%~約0.1重量%、又は約0.01重量%~約0.1重量%)の含水量を有する。
【0057】
次いで、脱プロトン化剤130を、高剪断条件及び脱水条件下で脱水されたエマルション128に添加してもよい(工程132)。理論に束縛されるものではないが、脱プロトン化剤130は環状アミドモノマーを脱プロトン化すると考えられる。例えば、ドデカン-12-ラクタムは、以下のスキームIに従って、水酸化ナトリウムで脱プロトン化され得る。
【化1】
【0058】
脱プロトン化剤130の例としては、第I族及び第II族金属水酸化物及び水素化物(例えば、NaOH、NaH、KOH、LiH、LiOH)、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、リチウムt-ブトキシド、ナトリウムカプロラクタマート(例えば、Bruggemann Chemicalsから入手可能なBRUGGOLEN(商標)C10、及びRhein Chemieから入手可能なADDONYL(商標)CR CATALYZE及びADDONYL(商標)Kat NL)、ε-カプロラクタムマグネシウムブロミド(例えば、Bruggemann Chemicalsから入手可能なNYRIM(商標)C1)、及びジカプロラクタマート-ビス-(2-メトキシエトキシソ)-アルミン酸ナトリウム(例えば、Katchemから入手可能なDILACTAMATE(商標))など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。脱プロトン化剤130は、マトリックス流体102の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%(又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.05重量%~約0.5重量%、又は約0.05重量%~約0.1重量%、又は約0.1重量%~約0.5重量%)の濃度で、エマルション124に添加され得る。
【0059】
次いで好ましくは、得られたエマルション134を不活性ガス(例えば、第18族ガス若しくは窒素、又はこれらの混合物)に曝露して、水の混入を回避しながら大気圧まで圧力を上昇させる。反応の次の工程を大気圧下で行うことが好ましいが、大気圧よりも低い圧力下又は大気圧よりも高い圧力下で行ってもよい。
【0060】
次いで、重合開始剤136をエマルション134に添加し(工程138)、それによって、混合物140が形成されるが、これは、環状アミドモノマーの重合を促進しながらも、エマルション安定性を維持し、水の混入を回避するのに十分な温度及び剪断条件下で処理される(工程142)。
【0061】
重合開始剤の例としては、ジイソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)及びメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI))、N-アセチル-ε-カプロラクタム、ジイソシアネート誘導体、N-カルバモイルラクタム、ヘキサメチレン-1,6-ジカルバモイルカプロラクタム(例えば、Bruggemann Chemicalsから入手可能なBRUGGOLEN(商標)C20)、ポリイソシアネート(例えば、Rhein Chemieから入手可能なADDONYL(商標)ACTIVATE、ADDONYL(商標)8101、ADDONYL(商標)TT、及びADDONYL(商標)P、並びにEms Chemieから入手可能なGRILONIT LA)、ポリカルボジイミド、及びN,N’-アルキレンビスアミド(例えば、N,N’-エチレン-ビスステアルアミド)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これにより、重合した環状アミドモノマー(「ポリアミド」)の液滴を含む溶融エマルション144が形成される。
【0062】
本明細書の環状モノマーの重合を説明するとき、個々の環状モノマーは、脱プロトン化形態であっても又はプロトン化形態であってもよく、両方の形態が混合物中に同時に存在してもよい。環状モノマーという用語は、特定の形態に限定するもの、又は各形態の相対的濃度に限定するものとはみなされない。
【0063】
図1においては、重合開始剤136の前に、脱プロトン化剤130をエマルションに添加しているが、本明細書に記載の方法は、(a)重合開始剤の後に、脱プロトン化剤をエマルションに添加すること、又は(b)脱プロトン化剤及び重合開始剤を同時にエマルションに添加することと、を含み得る。
【0064】
一般に、溶融エマルション144を処理する(工程142)ための温度は、生成されるポリアミドの融点又は軟化温度よりも高く、かつ溶融エマルション144中のいかなる成分の分解温度よりも低い温度であるべきである。例えば、溶融エマルション144を処理し(工程142)かつ溶融エマルション144を形成するための温度は、約150℃~約170℃(又は約150℃~約160℃、又は約155℃~約170℃、又は約160℃~約170℃)だけ、生成されるポリアミドの融点又は軟化温度よりも高くてよいが、ただし、溶融エマルション144を処理する(工程142)ための温度は、溶融エマルション144中のいかなる成分の分解温度よりも低い。
【0065】
溶融エマルション144を処理(工程142)して溶融エマルション144を形成する剪断速度は、ポリアミドを液滴として分散させるのに十分に高くなくてはならない。当該液滴は、約1000μm以下(又は約1μm~約1000μm、又は約1μm~約50μm、又は約10μm~約100μm、又は約10μm~約250μm、又は約50μm~約500μm、又は約250μm~約750μm、又は約500μm~約1000μm)の直径を有する液滴を含むべきである。高剪断条件は、混合物140を、例えば、約575RPM~625RPMの速度で撹拌することを含んでもよい。
【0066】
溶融エマルション144を処理し(工程142)かつ形成するための温度及び剪断速度を維持するための時間は、約10秒~約18時間以上(又は約10秒~約30分、又は約5分~約1時間、又は約15分~約2時間、又は約1時間~約6時間、又は約3時間~約18時間)であってもよい。理論に束縛されるものではないが、液滴直径の定常状態には、処理(工程142)が停止され得る時点で到達すると考えられる。その時間は、とりわけ、温度、剪断速度、液滴の組成、溶媒114の組成、及び乳化安定剤104の組成に依存し得る。
【0067】
溶融エマルション144を製造するための処理(工程142)に使用される混合装置は、溶融エマルション144を、生成されつつあるポリアミドの融点又は軟化温度よりも高い温度に維持することができ、かつ溶融エマルション144中のポリアミド液滴の分散を維持するのに十分な剪断速度を適用することができるべきである。溶融エマルション144を製造するための処理(工程142)に使用される混合装置の例としては、押し出し機(例えば、連続押し出し機、バッチ押し出し機など)、撹拌反応器、ブレンダ、インラインホモジナイザシステムを備える反応器など、及びそこから派生する装置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
溶融エマルション144は、その後冷却されてもよい(工程148)。冷却(工程148)は低速(例えば、周囲条件下で溶融エマルションを冷却することを可能にする)から高速(例えば、急冷)であり得る。例えば、冷却速度は、約10℃/時間~約100℃/秒、更には急冷(例えばドライアイス)によるほぼ瞬時(又は約10℃/時間~約60℃/時間、又は約0.5℃/分~約20℃/分、又は約1℃/分~約5℃/分、又は約10℃/分~約60℃/分、又は約0.5℃/秒~約10℃/秒、又は約10℃/秒~約100℃/秒)の範囲であってもよい。
【0069】
冷却中、剪断力はほとんど又は全く溶融エマルション144に適用されなくてもよい。場合によっては、加熱中に適用される剪断力が冷却中に適用されてもよい。
【0070】
溶融エマルション144を冷却すること(工程148)から得られる冷却された混合物150は、固化したポリアミド微粒子及び他の成分(例えば、溶媒110、過剰な乳化安定剤104、マトリックス流体102など)を含む。ポリアミド微粒子は、マトリックス流体/溶媒/乳化安定剤混合物中に分散又は沈降させてもよい。
【0071】
ポリアミド微粒子の具体的な組成は、とりわけ、第2の脱水された混合物118に添加された(工程120)環状アミドモノマー122に依存する。本明細書に開示される方法によって調製され得るポリアミドの例としては、環状アミドがポリ(ドデカン-12-ラクタム)を含む実施形態では、ポリアミド12(ナイロン12)が挙げられ、環状アミドがポリ(ヘキサン-6-ラクタム)を含む実施形態では、ポリアミド6(ナイロン6)が挙げられる。ポリ(ドデカン-12-ラクタム)及びポリ(ヘキサン-6-ラクタム)の両方が存在する場合、コポリアミド6/12が生成され得る。
【0072】
形成され得る他のポリアミドとしては、ポリ(ヘキサメチレンスクシンイミド)(ナイロン46、ポリアミド46、又はPA46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66、ポリアミド66、又はPA66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56、ポリアミド56、又はPA56)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610、ポリアミド610、又はPA610)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11、ポリアミド11、又はPA11)、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T、ポリアミド6T、又はPA6T)、ナイロン10.10(ポリアミド10.10又はPA10.10)、ナイロン10.12(ポリアミド10.12又はPA10.12)、ナイロン10.14(ポリアミド10.14又はPA10.14)、ナイロン10.18(ポリアミド10.18又はPA10.18)、ナイロン6.10(ポリアミド6.10又はPA6.10)、ナイロン6.18(ポリアミド6.18又はPA6.18)、ナイロン6.12(ポリアミド6.12又はPA6.12)、ナイロン6.14(ポリアミド6.14又はPA6.14)、及び半芳香族ポリアミド等、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。コポリアミドも使用され得る。コポリアミドの例としては、PA11/10.10、PA6/11、PA6.6/6、PA11/12、PA10.10/10.12、PA10.10/10.14、PA11/10.36、PA11/6.36、及びPA10.10/10.36など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミドの例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6、ポリアミド6、又はPA6)、ポリ(ヘキサメチレンスクシンアミド)(ナイロン46、ポリアミド46、又はPA46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66、ポリアミド66、又はPA66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56、ポリアミド56、又はPA56)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610、ポリアミド610、又はPA610)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11、ポリアミド11、又はPA11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12、ポリアミド12、又はPA12)、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T、ポリアミド6T、又はPA6T)、ナイロン10.10(ポリアミド10.10又はPA10.10)、ナイロン10.12(ポリアミド10.12又はPA10.12)、ナイロン10.14(ポリアミド10.14又はPA10.14)、ナイロン10.18(ポリアミド10.18又はPA10.18)、ナイロン6.10(ポリアミド6.10又はPA6.10)、ナイロン6.18(ポリアミド6.18又はPA6.18)、ナイロン6.12(ポリアミド6.12又はPA6.12)、ナイロン6.14(ポリアミド6.14又はPA6.14)、及び半芳香族ポリアミド等、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コポリアミドも使用され得る。コポリアミドの例としては、PA11/10.10、PA6/11、PA6.6/6、PA11/12、PA10.10/10.12、PA10.10/10.14、PA11/10.36、PA11/6.36、及びPA10.10/10.36など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミドエラストマーの例としては、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリカーボネート-エステルアミド、及びポリエーテル-ブロック-アミドエラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
次いで、冷却された混合物150を処理して(工程156)、ポリアミド微粒子152を他の成分154から分離してもよい。好適な処理としては、洗浄、濾過、遠心分離、及びデカントなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。ポリアミド微粒子152の洗浄に使用される溶媒は、一般に、(a)マトリックス流体及び溶媒と混和性を有し、かつ(b)ポリアミドに対して非反応性(例えば、非膨潤性及び非溶解性)を有したものであるべきである。洗浄溶媒の選択は、とりわけ、マトリックス流体の組成及びポリアミド微粒子152の組成に依存する。例えば、ポリアミド微粒子152は、n-ヘプタン、n-ヘキセン、酢酸エチル、及びメタノールのうちの1つ以上で洗浄されてもよい。
【0074】
溶媒及び他の残りの成分は、例えば空気乾燥、熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、又はこれらのハイブリッドなどの適切な方法を使用して乾燥することによって、ポリアミド微粒子152から除去されてもよい。加熱は、好ましくは、熱可塑性ポリマーのガラス転移点より低い温度(例えば、約50℃~約150℃)で行われてもよい。
【0075】
他の成分154から分離した後のポリアミド微粒子152は、任意選択的に、更に分類され(工程157)(又はサイズによってフィルタリングされ)、精製ポリアミド微粒子158を生成し得る。例えば、粒径分布を狭くする(又は直径スパンを減少させる)ために、ポリアミド微粒子152は、約10μm~約250μm(又は約10μm~約100μm、又は約50μm~約200μm、又は約150μm~約250μm)の孔径を有するふるいを通過させることができる。
【0076】
別の例示的な精製技術では、ポリアミド微粒子152を水で洗浄して、乳化安定剤の少なくとも一部(例えば、界面活性剤)を除去してもよい。更に別の例示的な精製技術では、ポリアミド微粒子152を添加剤とブレンドして、所望の最終生成物を得ることができる。このような添加剤としては、流動助剤(例えば、ナノ粒子シリカ、カーボンブラック、又はPTFE粒子)、他のポリマー粒子、及び充填剤など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0077】
場合によっては、ポリアミド微粒子152の製造に使用される乳化安定剤は、下流用途において望ましくないことがある。したがって、更に別の例示的な精製技術は、ポリアミド微粒子152から(例えば、洗浄及び/又は熱分解により)乳化安定剤を少なくとも実質的に除去することを含んでもよい。
【0078】
場合によっては、乳化安定剤は、流動助剤(例えば、ナノ粒子シリカ、カーボンブラック、又はPTFE粒子)として有用であり得る。
【0079】
ポリアミド微粒子152及び/又は精製ポリアミド微粒子158(粒子152/158と称される)は、組成、物理的構造などによって特徴付けられ得る。
【0080】
ポリアミドは、ポリアミド微粒子152/158の重量を基準にして、約90重量%~約99.5重量%(又は約90重量%~約95重量%、又は約92重量%~約97重量%、又は約95重量%~約99.5重量%)で微粒子152/158中に存在してもよい。
【0081】
上記のように、乳化安定剤は、ポリアミド液滴と周囲の液体混合物との間の界面にある。結果として、混合物が冷却されると、乳化安定剤は、当該界面に、又はその付近に留まる。結果として、ポリアミド微粒子152/158は、当該粒子152/158の外側表面に会合された乳化安定剤を、(a)粒子152/158の外側表面上にコーティングとして分散された状態で、かつ/又は(b)粒子152/158の外側部分(例えば、外側の1体積%)に埋め込まれた状態で、含み得る。
【0082】
コーティングは、外側表面上に実質的に均一に配置され得る。本明細書ではコーティングに関して、用語「実質的に均一」は、コーティング組成物(例えば、乳化安定剤)によって被覆される表面位置、特に外側表面の全体における均一なコーティングの厚さを指して使用される。乳化安定剤104は、ポリアミド微粒子152/158の表面積の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得る。乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するために精製される場合、乳化安定剤104は、ポリアミド微粒子158の表面積を基準にして、25%未満(又は0%~約25%、又は約0.1%~約5%、又は約0.1%~約1%、又は約1%~約5%、又は約1%~約10%、又は約5%~約15%、又は約10%~約25%)でポリアミド微粒子158中に存在し得る。ポリアミド微粒子152/158の外側表面上の乳化安定剤104の被覆率は、SEM顕微鏡写真の画像解析を用いて決定され得る。乳化安定剤104は、ポリアミド微粒子152/158の表面積の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得る。乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製される場合、乳化安定剤104は、粒子128の表面積を基準にして、25%未満(又は0%~約25%、又は約0.1%~約5%、又は約0.1%~約1%、又は約1%~約5%、又は約1%~約10%、又は約5%~約15%、又は約10%~約25%)で粒子128中に存在し得る。ポリアミド微粒子152/158の外側表面上の乳化安定剤104の被覆率は、SEM顕微鏡写真の画像解析を用いて決定され得る。
【0083】
更に、空洞がポリアミド微粒子内部に形成される場合、乳化安定剤104は、空隙の内部とポリアミド微小粒子との間の界面に存在し得る。空隙は、一般にポリアミド材料を包含しない。むしろ、空隙は、例えば、溶媒(例えば、溶媒114、洗浄溶媒)、空気を包含してもよく、あるいは何も包含していなくてもよい。粒子152/158は、粒子138/144の重量を基準にして、約5重量%以下(又は約0.001重量%~約5重量%、又は約0.001重量%~約0.1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約1重量%~約5重量%)の洗浄溶媒及び/又は溶媒114を含み得る。
【0084】
乳化安定剤104は、微粒子152/158の重量基準にして、約10重量%以下(又は約0.01重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約3重量%~約7重量%、又は約5重量%~約10重量%)の量で、微粒子152/158中に存在し得る。乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するために精製される場合、乳化安定剤104は、0.01重量%未満(又は0重量%~約0.01重量%、又は0重量%~0.001重量%)で、微粒子156中に存在し得る。
【0085】
ポリアミド微粒子152/158は、約0.5μm~約125μmのD10、約1μm~約200μmのD50、及び約70μm~約300μmのD90を有してもよく、なお、D10<D50<D90である。微粒子138/144はまた、約0.2~約10(又は約0.2~約0.5、又は約0.4~約0.8、又は約0.5~約1.0、又は約1~約3、又は約2~約5、又は約5~約10)の直径スパンを有し得る。限定するものではないが、1.0以上の直径スパン値は広いとみなされ、直径スパン値0.75以下は狭いとみなされる。
【0086】
ポリアミド微粒子152/158は、約0.8以上(又は約0.8~約1、又は約0.80~約0.95、又は約0.90~約1.0、又は約0.93~約0.99、又は約0.95~約0.99、又は約0.97~約0.99、又は約0.98~約1.0)の円形度を有し得る。
【0087】
粒子152/158は、約22°~約50°(又は約22°~約30°、又は約25°~約35°、又は約30°~約40°、又は約35°~約45°、又は約40°~約50°)の安息角を有し得る。
【0088】
粒子152/158は、約1.0~約1.5(又は約1.0~約1.2、又は約1.1~約1.3、又は約1.2~約1.35、又は約1.3~約1.5)のハウスナー比を有し得る。
【0089】
粒子152/158は、約0.3g/cm3~約0.8g/cm3(又は約0.3g/cm3~約0.6g/cm3、又は約0.4g/cm3~約0.7g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.6g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.8g/cm3)の嵩密度を有し得る。
【0090】
処理(工程142)の温度及び剪断速度、並びに構成成分の組成及び相対濃度に応じて、ポリアミド微粒子152/158を構成する構造の異なる形状が観察されている。典型的には、ポリアミド微粒子152/158は、実質的に球状の(約0.90以上の円形度を有する)粒子を含む。しかしながら、ディスク状及び細長い構造を含む他の構造が、ポリアミド微粒子152/158において観察されている。したがって、ポリアミド微粒子152/158は、(a)0.90以上の円形度を有する実質的に球状の粒子、(b)約2~約10のアスペクト比を有するディスク状構造、及び(c)アスペクト比10以上の細長い構造のうちの1つ以上を含んでもよい。上記の(a)、(b)、及び(c)構造のそれぞれは、(a)、(b)、及び(c)構造の外側表面上に分散された乳化安定剤、及び/又は(a)、(b)、及び(c)構造の外側部分に埋め込まれた乳化安定剤を有する。(a)、(b)、及び(c)構造のうちの少なくともいくつかは凝集し得る。例えば、(c)の細長い構造は、(a)の実質的に球状の粒子の表面上に位置し得る。
熱可塑性ポリアミド微粒子の用途
【0091】
本明細書に記載されるポリアミド微粒子は、3D印刷プロセス、特に粒子固結化を促進するために選択的レーザ焼結を用いるものに利用することができる。本開示のポリアミド微粒子は、例えば商業的に入手可能なものなどの、不規則な形状又はより広い粒子分布を有するポリマー微粒子と比べて、有利な特性を呈し得る。非限定的な例では、本開示のポリアミド微粒子は、より低いレーザパワーで固結化され、3D印刷により生成された物体においては空隙形成の程度を減少し得る。
【0092】
本開示の3D印刷プロセスは、特定の形状の表面上に本開示のポリアミド微粒子を堆積させることと、堆積させた後で、当該ポリアミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(物体)を形成することとを含み、固結体は、固結された後に、約1%以下の空隙率を有する。例えば、ポリアミド微粒子の加熱及び固結化は、レーザを用いた3D印刷装置において行われて、選択的レーザ焼結によって加熱及び圧密化が行われるようになっていてもよい。
【0093】
本明細書に開示されるポリアミド微粒子の任意のものが、3D印刷に好適な組成物中に配合され得る。組成物の選択は、様々な要因に基づいて行われ得るが、そのような要因としては、選択的レーザ焼結に使用されるレーザ出力、生成される物体のタイプ、及びその物体の意図される使用条件などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本開示のポリアミド微粒子を使用して3D印刷され得る物体の例としては、容器(例えば、食品、飲料、化粧品、パーソナルケア組成物、医薬品等用の容器)、靴のソール、玩具、家具部品及び装飾用家庭商品、プラスチックギア、ネジ、ナット、ボルト、結束バンド、自動車部品、医療品目、プロテーゼ、整形外科用インプラント、航空宇宙/航空機関連部品、教育における学習を支援するアーチファクトの生成、手術を支援するための3D解剖学的モデル、ロボット工学用品、生体医学装置(装具)、家庭電化製品、歯科用品、電子機器、スポーツ用品等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0095】
本開示のポリアミド微粒子の他の用途としては、塗料及び粉末コーティングの充填剤、インクジェット材料及び電子写真トナーなどとしての使用が挙げられ得るが、これらに限定されない。場合によっては、ポリアミド微粒子は、上記の他の用途において有用である、直径及びスパンのような他の好ましい特性を有してもよい。
【0096】
条項
【0097】
条項1.ポリアミド微粒子を合成する方法であって、マトリックス流体と、乳化安定剤と、溶媒と、環状アミドモノマーとを含む混合物を脱水及び剪断してエマルションを生成し、エマルションの総重量に基づく約1重量%以下の含水量を有するようにすることと、
マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%の濃度で、エマルションに脱プロトン化剤を添加することと、
重合開始剤をエマルションに添加することと、環状アミドモノマーを重合して複数のポリアミド微粒子とすることと、を含む、ポリアミド微粒子を合成する方法。
【0098】
条項2.乳化安定剤が、マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%である、条項1に記載の方法。
【0099】
条項3.溶媒が、マトリックス流体の重量に基づく約13重量%~約75重量%である、条項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
条項4.環状アミドモノマーが、マトリックス流体の重量に基づく約20重量%~約90重量%である、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
条項5.脱プロトン化剤を添加することが、重合開始剤を添加する前である、条項1、条項2、条項3、又は条項4に記載の方法。
【0102】
条項6.脱プロトン化剤を添加することが、重合開始剤を添加する後である、条項1、条項2、条項3、又は条項4に記載の方法。
【0103】
条項7.脱プロトン化剤を添加することが、重合開始剤を添加するのと同時に行われる、条項1、条項2、条項3、又は条項4に記載の方法。
【0104】
条項8.環状アミドモノマーが、アゼリジノン、2-アゼチジノン、2-ピロリジノン、2-ピペリジノン、ε-カプロラクタム、2-アザシクロオクタノン、2-アザシクロノナノン、2-アザシクロデカノン、2-アザシクロウンデカノン、2-アザ-シクロドデカノン、及びラウロラクタム、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
条項9.ポリアミド微粒子のポリアミドが、ポリカプロアミド、ポリ(ヘキサメチレンスクシンアミド)、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリペンタメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリウンデカンアミド、ポリドデカンアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ナイロン10.10、ナイロン10.12、ナイロン10.14、ナイロン10.18、ナイロン6.10、ナイロン6.18、ナイロン6.12、ナイロン6.14、及びこれらの任意のコポリアミドから選択される、条項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
条項10.マトリックス流体が、脂肪酸で修飾されたポリシロキサン、脂肪族アルコールで修飾されたポリシロキサン、ポリオキシアルキレンで修飾されたポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサン、シリコーン油、フッ素化シリコーン油、ペルフッ素化シリコーン油、ポリエチレングリコール、パラフィン、液体石油ゼリー、アメリカミンク油、タートル油、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、テリハボク油、パーム油、パリーマ油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ひまし油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、及び脂肪族アルコール、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つを含む、条項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
条項11.乳化安定剤がナノ粒子及び/又は界面活性剤を含む、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
条項12.ナノ粒子が、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、及び/又はポリマーナノ粒子を含む、条項11に記載の方法。
【0109】
条項13.ナノ粒子がポリアミド微粒子の外側表面と会合している、条項11又は12に記載の方法。
【0110】
条項14.ナノ粒子の少なくとも一部がポリアミド微粒子の外側表面に埋め込まれている、条項11、条項12、又は条項13に記載の方法。
【0111】
条項15.界面活性剤が、オレイン酸ソルビタン、ポリ[ジメチルシロキサン]-CO-[3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルメチルシロキサン]、サルフェート、スルホネート、ジアルキルベンゼンアルキルサルフェート、ジアルキルベンゼンアルキルスルホネート、酸、アルコール、酸、エーテル、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アンモニウム(例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリド)、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、及びドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、並びにこれらの任意の混合物からなる群から選択される1つを含む、条項11、条項12、条項13、又は条項14に記載の方法。
【0112】
条項16.溶媒が約150℃を超える沸点を有する、条項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
条項17.溶媒が、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘキサン、フェニルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、1-フェニル-1-シクロヘキセン、3-シクロヘキセン-1-イルベンゼン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、プロピルシクロヘキサン、4-フェニル-1-シクロヘキセン、1-フェニルオクタン、オクタノフェノン、1-フェニルノナン、1-フェニルデカン、1-フェニルウンデカン、1-フェニルドデカン、1-フェニルトリデカン、1-フェニルテトラデカン、1-フェニルヘプタデカン、1-フェニルオクタデカン、1,4-ジドデシルベンゼン、1,4-ビス(2-エチルヘキシル)ベンゼン、エイコサン、及びトリアコンタン、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つを含む、条項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0114】
条項18.脱水は、混合物を約1Pa~約150Paの圧力下で、約100℃~約300℃の温度に加熱することによって実施される、条項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
条項19.脱水が、脱水中に溶媒の約10%~約15%が留去されるように実施される、条項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0116】
条項20.重合開始剤が、トルエンジイソシアネート(TDI)及びメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つを含む、条項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0117】
条項21.脱プロトン化剤が、第I族及び第II族金属水酸化物、第I族及び第II族金属水素化物、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、リチウムt-ブトキシド、カプロラクタム酸ナトリウム、ε-カプロラクタムマグネシウムブロミド、及びジカプロラクタマート-ビス-(2-メトキシエトキシオキソ)-アルミン酸ナトリウム、並びにこれらの任意の組み合わせを含む、条項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0118】
条項22.ポリアミド微粒子を洗浄することを更に含む、条項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0119】
条項23.洗浄が、n-ヘプタン、n-ヘキサン、酢酸エチル、メタノール、又はこれらの任意の組み合わせを用いて実施される、条項22に記載の方法。
【0120】
条項24.ポリアミド微粒子が、約0.5μm~約125μmのD10、約1μm~約200μmのD50、及び約70μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、条項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【0121】
条項25.ポリアミド微粒子が、約0.2~約10の直径スパンを有する、条項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【0122】
条項26.ポリアミド微粒子が、約0.8以上の円形度を有する、条項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【0123】
条項27.ポリアミド微粒子が、約22°~約50°の安息角を有する、条項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
条項28.ポリアミド微粒子が、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【0125】
条項23.ポリアミド微粒子が、約0.3g/cm3~約0.8g/cm3の嵩密度を有する、条項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0126】
条項24.ポリアミド微粒子を合成する方法であって、マトリックス流体と、マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%の乳化安定剤と、マトリックス流体の重量に基づく約13重量%~約75重量%の溶媒と、を含む混合物を脱水及び剪断することと、
マトリックス流体の重量に基づく約20重量%~約90重量%の環状アミドモノマーを剪断しながら混合物に添加して、エマルションを生成することと、
エマルションの総重量に基づく約1重量%以下の含水量にエマルションを脱水して、脱水されたエマルションを生成することと、
マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%の濃度で、脱プロトン化剤を脱水されたエマルションに添加することと、環状アミドモノマーを重合させて複数のポリアミド微粒子とするのに効果的な条件下で、脱水されたエマルションを重合開始剤と接触させることと、
を含む、ポリアミド微粒子を合成する方法。条項5~23の一項以上はまた、条項24と組み合わせてもよい。
【0127】
条項25.ポリアミド微粒子を合成する方法であって、マトリックス流体と、ナノ粒子を含み、マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%の乳化安定剤と、マトリックス流体の重量に基づく約13重量%~約75重量%の溶媒と、を含む混合物を、脱水及び剪断することと、
マトリックス流体の重量に基づく約20重量%~約90重量%の環状アミドモノマーを剪断しながら混合物に添加して、エマルションを生成することと、
エマルションの総重量に基づく約1重量%以下の含水量にエマルションを脱水して、脱水されたエマルションを生成することと、
脱水されたエマルションに、マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%の濃度で、脱プロトン化剤を添加することと、環状アミドモノマーを重合させて複数のポリアミド微粒子とするのに効果的な条件下で、脱水されたエマルションを重合開始剤と接触させることと、
を含み、
ナノ粒子が、ポリアミド微粒子の外側表面と会合する、
ポリアミド微粒子を合成する方法。条項5~11及び条項14~23のうちの一項以上はまた、条項25と組み合わせてもよい。乳化安定剤は、界面活性剤(例えば、条項15の界面活性剤)を更に含んでもよい。
【0128】
本発明の実施形態のより良好な理解を促進するために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例が与えられる。以下の実施例は、本発明の範囲を制限するか、又は定義するために読まれるべきではない。
【実施例】
【0129】
実施例1.ナイロン12(「Ny12」)を含むポリアミド微粒子を、PDMSとポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(IGEPAL(商標)CS-360)とを組み合わせ、その組み合わせで得られた混合物を、真空乾燥させることによって調製した。次にデカヒドロナフタレン(DECALIN(商標))を添加し、組み合わせで得られた混合物を真空乾燥させた。ラウロラクタム(「LL」)を真空下で添加し、続いて脱プロトン化剤を添加してラウロラクタムの一部を脱プロトン化した。真空を破り、代わりに不活性ガスをゆっくりと流入させた。反応混合物を、一定量のAROP(芳香環開環重合)開始剤を数回、徐々に(30分間の時間間隔で)添加した。反応混合物を冷却し、球状のNy12微粒子を、n-ヘキサン、酢酸エチル、メタノールで順次洗浄した。Ny12微粒子をオーブン内で一晩、80℃で乾燥させた。表1は、本開示のポリアミド微粒子の調製に好適な、様々な非限定的な例示的反応条件を列挙する。
【表1】
【0130】
得られたポリアミド微粒子の化学構造をFTIR分光法により確認した。例示的なFTIRスペクトルを
図2に示す。1636cm
-1及び3264cm
-1にそれぞれ現れる、顕著なカルボニル及びアミドN-H伸縮吸収ピークは、ポリアミドを裏付けている。
【0131】
本開示で論じたように、残留PDMS油が、ポリアミド微粒子中に存在してもよい。誘導結合プラズマ(ICP)によるケイ素測定を使用して、記載の洗浄手順後に残っているPDMS油を決定した。ICP測定結果に基づくと、762ppmのシリコンが、Ny12微粒子のサンプル中に残留していたが、これは、サンプル中に含有されるシリコン油の大まかな推定量を表し得るものである。計算によれば、1000gのポリマー試料中に2.0gのシリコン油が存在し、これは微粒子の表面上にあってもよく、又は微粒子の内部に捕捉されていてもよい。
【0132】
また、示差走査熱量測定(DSC)により、ポリアミド微粒子のサンプルを分析した。得られたNy12の典型的なDSCスキャン結果を
図3に示す。
【0133】
実施例2.PDMS(16.0グラム、30,000cSt、(米国Clearco Product Inc製))及び4.0グラムのIGEPAL(商標)CO-630(非イオン性乳化剤、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(Sigma-Aldrich製))を反応器内で組み合わせた。反応器を、170℃で1時間、250RPMで撹拌しながら真空密封した。次に、8.0グラムのDECALIN(商標)を加え、同じRPMで攪拌しながら更に1時間真空乾燥した。温度は143℃~145℃に維持された。温度設定値を、反応スケール及び反応器サイズに従って微調整して、DECALIN(商標)の10%~15%を留去した。次に、11.24グラムのラウロラクタムを加え、155℃で45分間、550RPM~600RPMで撹拌しながら真空乾燥させた。最後に、0.05グラムの水酸化ナトリウムを加え、上記と同じ温度/撹拌条件で、15分間真空乾燥を続けた。次いで、真空を破り、窒素をゆっくりと流入させて、600RPMで間断なく撹拌しながら、反応系の温度を160℃にした。油中油型溶融エマルション系は、TDIを活性化剤として滴加することによってAROPを開始する準備ができた。200μLのTDIは、4等分されて、それぞれの分割された部分の間に30分間の時間間隔をおきながら、600RPMで勢いよく攪拌しながらゆっくりと(約2分間かけて)添加した。TDIの最後の部分を添加した後、反応系を160℃で3時間保持し、その後、高速冷却のためにドライアイスを含むアルミニウムプレート上に排出した。洗浄をn-ヘキサンを用いて(3回)行い、更に酢酸エチル及びメタノールを用いて(3回)行い、PDMS、不純物、及び未反応のモノマーを除去した。得られた材料はオフホワイト色の粉末で、80℃の温度で一晩乾燥させた。
【0134】
図4A及び
図4Bは、実施例2で作製したポリアミド微粒子を写した2枚の走査電子顕微鏡写真である。
【0135】
実施例3.PDMS(16.0グラム、30,000cSt、(米国Clearco Product Inc製))及び4.0グラムのIGEPAL(商標)CO-630(非イオン性乳化剤、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(Sigma-Aldrich製))を反応器内で組み合わせた。反応器を、170℃で1時間、250RPMで撹拌しながら真空密封した。次に、8.0グラムのDECALIN(商標)を加え、同じRPMで更に1時間真空乾燥した。溶媒を還流させることにより、温度は143℃~145℃に維持された。DECALIN(商標)の10%~15%を留去させるため温度設定値を、反応スケール及び反応器サイズに従って微調整する必要があった。次に、11.19グラムのラウロラクタムを加え、155℃で45分間、550RPM~600RPMで撹拌しながら真空乾燥させた。最後に、0.08グラムの水酸化ナトリウムを加え、上記と同じ温度/撹拌条件で、15分間真空乾燥を続けた。次いで、真空を破り、窒素をゆっくりと流入させて、600RPMで間断なく撹拌しながら、反応系の温度を160℃にした。油中油型溶融エマルション系は、TDIを活性化剤として滴加することによってAROPを開始する準備ができた。200μLのTDIは、4等分されて、それぞれの分割された部分の間に30分間の時間間隔をおきながら、600RPMで勢いよく攪拌しながらゆっくりと(最大2分間かけて)添加した。TDIの最後の部分を添加した後、反応系を160℃で3時間保持し、その後、高速冷却のためにドライアイスを含むアルミニウムプレート上に排出した。洗浄をn-ヘキサンを用いて(3回)行い、更に酢酸エチル及びメタノールを用いて(3回)行い、PDMS、不純物、及び未反応のモノマーを除去した。得られた材料はオフホワイト色の粉末で、80℃の温度で一晩乾燥させた。
【0136】
実施例4.PDMS(33.9グラム、10,000cSt、(米国Clearco Product Inc製))及び4.23グラムのIGEPAL(商標)CO-630(非イオン性乳化剤、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(Sigma-Aldrich製))を反応器内で組み合わせた。反応器を、170℃で1時間、250RPMで撹拌しながら真空密封した。次に、12.08グラムのDECALIN(商標)を加え、同じRPMで更に1時間真空乾燥した。溶媒を還流させることにより、温度は143℃~145℃に維持された。DECALIN(商標)の10%~15%を留去させるため温度設定値を、反応スケール及び反応器サイズに従って微調整する必要があった。次に、12.88グラムのラウロラクタムを加え、155℃で45分間、550RPM~600RPMで撹拌しながら真空乾燥させた。最後に、0.06グラムの水酸化ナトリウムを加え、上記と同じ温度/撹拌条件で、15分間真空乾燥を続けた。次いで、真空を破り、窒素をゆっくりと流入させて、600RPMで間断なく撹拌しながら、反応系の温度を160℃にした。油中油型溶融エマルション系は、TDIを活性化剤として滴加することによってAROPを開始する準備ができた。250μLのTDIは、5等分されて、それぞれの分割された部分の間に30分間の時間間隔をおきながら、600RPMで勢いよく攪拌しながらゆっくりと(最大2分間かけて)添加した。TDIの最後の部分を添加した後、反応系を160℃で3時間保持し、その後、高速冷却のためにドライアイスを含むアルミニウムプレート上に排出した。洗浄をn-ヘキサンを用いて(3回)行い、更に酢酸エチル及びメタノールを用いて(3回)行い、PDMS、不純物、及び未反応のモノマーを除去した。得られたオフホワイト色粉末を、80℃で一晩乾燥させた。
【0137】
実施例5.PDMS(20.6グラム、10,000cSt、(米国Clearco Product Inc製))及び0.6グラムのIGEPAL(商標)CO-630(非イオン性乳化剤、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(Sigma-Aldrich製))を反応器内で組み合わせた。反応器を、170℃で1時間、250RPMで撹拌しながら真空密封した。次に、10.3グラムのDECALIN(商標)を加え、同じRPMで更に1時間真空乾燥した。溶媒を還流させることにより、温度は143℃~145℃に維持された。DECALIN(商標)の10%~15%を留去させるため温度設定値を、反応スケール及び反応器サイズに従って微調整する必要があった。次に、11.0グラムのラウロラクタムを加え、155℃で45分間、550RPM~600RPMで撹拌しながら真空乾燥させた。最後に、0.07グラムの水酸化ナトリウムを加え、上記と同じ温度/撹拌条件で、15分間真空乾燥を続けた。次いで、真空を破り、窒素をゆっくりと流入させて、600RPMで間断なく撹拌しながら、反応系の温度を160℃にした。油中油型溶融エマルション系は、TDIを活性化剤として滴加することによってAROPを開始する準備ができた。25μLのTDIは、5等分されて、それぞれの分割された部分の間に30分間の時間間隔をおきながら、600RPMで勢いよく攪拌しながらゆっくりと(最大2分間かけて)添加した。TDIの最後の部分を添加した後、反応系を160℃で3時間保持し、その後、高速冷却のためにドライアイスを含むアルミニウムプレート上に排出した。洗浄をn-ヘキサンを用いて(3回)行い、更に酢酸エチル及びメタノールを用いて(3回)行い、PDMS、不純物、及び未反応のモノマーを除去した。得られたオフホワイト色粉末を、80℃で一晩乾燥させた。
【0138】
本明細書に記載される全ての文書は、そのような慣行が許可される全ての管轄区域のために、参照により本明細書に組み込まれるが、そのような文書には、任意の優先権文書及び/又はテスト手順書が本文書と矛盾しない限りにおいて含まれるものとする。前述の一般的な説明及び具体的実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示及び説明されているが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本開示はそれにより限定されることは意図されていない。例えば、本明細書に記載される組成物は、本明細書に明示的に列挙又は開示されていないいかなる構成成分又は組成物も含まなくてもよい。任意の方法は、本明細書に列挙又は開示されていないいかなる工程を欠いてもよい。同様に、用語「備える、含む(comprising)」は、用語「含む(including)」と同義であると考えられる。方法、組成物、要素又は要素の群が移行句「備える、含む(comprising)」で先行する場合はいつでも、本発明者らがまた、組成物、要素、又は複数の要素の列挙に先行する移行句「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群から選択される」、又は「である」で同じ組成物又は要素の群を企図すること、及びその逆もまた同様であることは理解される。
【0139】
別途記載のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、請求項の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0140】
下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、請求項で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ以上を意味するように定義される。
【0141】
1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装の全ての特徴は、本出願に記載又は表示されていない。本開示の物理的な実施形態の開発では、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなど、実装によって及び随時に変化する開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことは理解される。開発者の努力に多くの時間が費やされる可能性があるが、それでも、そのような努力は、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な仕事であろう。
【0142】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。上述の具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、本明細書に教示の利益を有する当業者にとって明らかである、異なるが同等の方法で本開示が修正及び実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された具体的な例示的実施形態が、変更され、組み合わされ、又は修正され得、全てのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択の要素の不在下で実施されてもよい。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ポリアミド微粒子の合成方法であって、マトリックス流体と、乳化安定剤と、溶媒と、環状アミドモノマーとを含む混合物を脱水及び剪断してエマルションを生成し、前記エマルションの総重量に基づく約1重量%以下の含水量を有するようにすることと、
前記マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%の濃度で、前記エマルションに脱プロトン化剤を添加することと、
重合開始剤を前記エマルションに添加することと、
前記環状アミドモノマーを重合させて複数のポリアミド微粒子とすることと、
を含む、ポリアミド微粒子の合成方法。
〔2〕前記乳化安定剤が、前記マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%である、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記溶媒が、前記マトリックス流体の重量に基づく約13重量%~約75重量%である、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕前記環状アミドモノマーが、前記マトリックス流体の重量に基づく約20重量%~約90重量%である、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕前記脱プロトン化剤を添加することが、前記重合開始剤を添加する前である、前記〔1〕に記載の方法。
〔6〕前記脱プロトン化剤を添加することが、前記重合開始剤を添加する後である、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕前記脱プロトン化剤を添加することが、前記重合開始剤を添加することと同時に行われる、前記〔1〕に記載の方法。
〔8〕前記環状アミドモノマーが、アゼリジノン、2-アゼチジノン、2-ピロリジノン、2-ピペリジノン、ε-カプロラクタム、2-アザシクロオクタノン、2-アザシクロノナノン、2-アザシクロデカノン、2-アザシクロウンデカノン、2-アザ-シクロドデカノン、ラウロラクタム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔9〕前記ポリアミド微粒子のポリアミドが、ポリカプロアミド、ポリ(ヘキサメチレンスクシンアミド)、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリペンタメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリウンデカアミド、ポリドデカアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ナイロン10.10、ナイロン10.12、ナイロン10.14、ナイロン10.18、ナイロン6.10、ナイロン6.18、ナイロン6.12、ナイロン6.14、及びこれらの任意のコポリアミドから選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔10〕前記マトリックス流体が、脂肪酸で修飾されたポリシロキサン、脂肪族アルコールで修飾されたポリシロキサン、ポリオキシアルキレンで修飾されたポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサン、シリコーン油、フッ素化シリコーン油、ペルフッ素化シリコーン油、ポリエチレングリコール、パラフィン、液体石油ゼリー、アメリカミンク油、タートル油、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、テリハボク油、パーム油、パリーマ油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ひまし油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、及び脂肪族アルコール、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つを含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔11〕前記溶媒が、約150℃を超える沸点を有する、前記〔1〕に記載の方法。
〔12〕前記脱水が、前記脱水中に前記溶媒の約10%~約15%が留去されるように実施される、前記〔1〕に記載の方法。
〔13〕前記重合開始剤が、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つを含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔14〕前記脱プロトン化剤が、第I族及び第II族金属水酸化物、第I族及び第II族金属水素化物、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、リチウムt-ブトキシド、カプロラクタム酸ナトリウム、ε-カプロラクタムマグネシウムブロミド、ジカプロラクタマート-ビス-(2-メトキシエトキシオキソ)-アルミン酸ナトリウム、及びこれらの任意の組み合わせを含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔15〕前記ポリアミド微粒子を洗浄することを更に含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔16〕前記ポリアミド微粒子が、約0.5~約125μmのD10、約1~約200μmのD50、及び約70~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、前記〔1〕に記載の方法。
〔17〕前記ポリアミド微粒子が、約0.2~約10の直径スパンを有する、前記〔1〕に記載の方法。
〔18〕前記ポリアミド微粒子が、約0.8以上の円形度を有する、前記〔1〕に記載の方法。
〔19〕ポリアミド微粒子を合成する方法であって、マトリックス流体と、前記マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%の乳化安定剤と、前記マトリックス流体の重量に基づく約13重量%~約75重量%の溶媒と、を含む混合物を脱水及び剪断することと、
前記マトリックス流体の重量に基づく約20重量%~約90重量%の環状アミドモノマーを剪断しながら前記混合物に添加して、エマルションを生成することと、
前記エマルションの総重量に基づく約1重量%以下の含水量に前記エマルションを脱水して、脱水されたエマルションを生成することと、
前記マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%の濃度で、脱プロトン化剤を前記脱水されたエマルションに添加することと、
前記環状アミドモノマーを重合させて複数のポリアミド微粒子とするのに効果的な条件下で、前記脱水されたエマルションを重合開始剤と接触させることと、
を含む、ポリアミド微粒子を合成する方法。
〔20〕ポリアミド微粒子を合成する方法であって、マトリックス流体と、ナノ粒子を含み、前記マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約50重量%の乳化安定剤と、前記マトリックス流体の重量に基づく約13重量%~約75重量%の溶媒と、を含む混合物を、脱水及び剪断することと、
前記マトリックス流体の重量に基づく約20重量%~約90重量%の環状アミドモノマーを剪断しながら前記混合物に添加して、エマルションを生成することと、
前記エマルションの総重量に基づく約1重量%以下の含水量に前記エマルションを脱水して、脱水されたエマルションを生成することと、
前記脱水されたエマルションに、前記マトリックス流体の重量に基づく約0.01重量%~約1重量%の濃度で、脱プロトン化剤を添加することと、
前記環状アミドモノマーを重合させて複数のポリアミド微粒子とするのに効果的な条件下で、前記脱水されたエマルションを重合開始剤と接触させることと、
を含み、
前記ナノ粒子が、前記ポリアミド微粒子の外側表面と会合する、
ポリアミド微粒子を合成する方法。