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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10D 30/66 20250101AFI20250108BHJP
   H10D 30/01 20250101ALI20250108BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652N
H01L29/78 658F
H01L29/78 658G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021133192
(22)【出願日】2021-08-18
(65)【公開番号】P2023027863
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】井野 匡貴
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-093392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0114600(US,A1)
【文献】特開2012-059943(JP,A)
【文献】特開2012-204395(JP,A)
【文献】特開2012-080074(JP,A)
【文献】特開2017-162969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/76
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 29/739
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハにトレンチを形成し、
前記トレンチの内部に第1スペースを残して、前記トレンチの内部を覆う絶縁性のエッチング防止膜を形成し、
前記エッチング防止膜の前記トレンチの底面上に形成された部分を選択的に除去し、前記半導体ウェーハの一部を前記トレンチの底面に露出させ、
前記トレンチ内の前記第1スペースを介して前記半導体ウェーハを前記トレンチの深さ方向にエッチングすることにより、前記トレンチを前記深さ方向に延伸させ、
前記トレンチの延伸部分に露出された前記半導体ウェーハを等方的にエッチングし、前前記深さ方向と交差する横方向に前記延伸部分を拡張し、
前記トレンチの前記延伸部分に露出された前記半導体ウェーハを熱酸化することにより、前記延伸部分の内部に第2スペースを残して、前記延伸部分の内面を覆う第1絶縁膜を形成し、
前記トレンチの前記第1スペースおよび前記第2スペースを埋め込んだ導電性部材を形成した後、前記導電性部材の一部が前記第2スペース内に残るように、前記導電性部材を除去することにより、前記導電性部材の前記一部である埋め込み電極を形成し、
前記トレンチの内部の前記導電部材が除去されたスペースを絶縁部材により充填した後、前記エッチング防止膜の少なくとも一部、および、前記絶縁部材の一部を選択的に除去することにより、前記埋め込み電極上に第2絶縁膜を形成し、
前記トレンチの内部の前記エッチング防止膜の前記少なくとも一部および前記絶縁部材の一部が除去された第3スペースにおいて、前記第2絶縁膜上に第1制御電極を形成し、
前記トレンチは、隣り合う2つの第1トレンチを含み、前記第1制御電極は、前記隣り合う2つの第1トレンチの内部に設けられ、
前記隣り合う2つの第1トレンチの間の第2トレンチの内部に第2制御電極を形成する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力制御用半導体装置には、オン抵抗を低減することが求められる。例えば、トレンチゲート構造を有するMOSトランジスタでは、ゲート電極の配置間隔を狭くすることにより、ゲートチャネルを高密度化することが好ましい。これにより、チャンネル抵抗を小さくして、オン抵抗を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-204395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、ゲートチャネルを高密度化できる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、半導体部と、第1から第3電極と、第1および第2制御電極と、を備える。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第1導電形の第3半導体層と、を含む。前記第1電極は、前記半導体部の裏面上に設けられ、前記第2電極は、前記半導体部の表面側に設けられる。前記第3電極は、前記半導体部の前記表面側に設けられた第1トレンチ中に配置され、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、前記半導体部から第1絶縁膜により電気的に絶縁される。前記第1制御電極は、前記第1トレンチ中に設けられ、前記第2電極と前記第3電極との間に位置し、前記第3電極から第2絶縁膜により電気的に絶縁され、前記第2電極から第3絶縁膜により電気的に絶縁され、前記半導体部から第4絶縁膜により電気的に絶縁される。前記第2制御電極は、前記半導体部の前記表面側において、前記第1トレンチの隣りに設けられた第2トレンチ中に配置され、前記半導体部から第5絶縁膜により電気的に絶縁される。前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在する。前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第4絶縁膜を介して前記第1制御電極に向き合い、前記第5絶縁膜を介して前記第2制御電極に向き合う。前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に部分的に設けられる。前記第2電極は、前記第2半導体層および前記第3半導体層に電気的に接続される。前記第1トレンチおよび前記第2トレンチは、前記半導体部の前記表面から前記第1半導体層中に延在し、前記第1トレンチと前記第1電極との間隔は、前記第2トレンチと前記第1電極との間隔よりも狭い。前記第1トレンチ中の前記第3電極は、前記第1絶縁膜を介して、前記第1半導体層に向き合う。前記第1制御電極から前記第2制御電極に向かう第1方向において、前記第1絶縁膜は、前記第3電極の両側にそれぞれ設けられた第1部分と第2部分とを含み、前記第4絶縁膜は、前記第1方向において、前記第1制御電極の両側にそれぞれ設けられた第1部分と第2部分とを含む。前記第1絶縁膜の前記第1部分、前記第2部分、および前記第3電極のそれぞれの前記第1方向の幅を合わせた第1幅は、前記第4絶縁膜の前記第1部分、前記第2部分および前記第1制御電極のそれぞれの前記第1方向の幅を合わせた第2幅よりも広い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図4図3に続く製造過程を示す模式断面図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
図6図5に続く製造過程を示す模式断面図である。
図7図6に続く製造過程を示す模式断面図である。
図8図7に続く製造過程を示す模式断面図である。
図9図8に続く製造過程を示す模式断面図である。
図10図9に続く製造過程を示す模式断面図である。
図11図10に続く製造過程を示す模式断面図である。
図12図11に続く製造過程を示す模式断面図である。
図13】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、トレンチゲート構造を有するMOSトランジスタである。
【0010】
半導体装置1は、半導体部10と、第1電極20と、第2電極30と、第3電極40と、第1制御電極50と、第2制御電極60と、を備える。半導体部10は、例えば、シリコンである。
【0011】
第1電極20は、半導体部10の裏面上に設けられる。第1電極20は、例えば、ドレイン電極である。第1電極20は、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)などを含む金属層である。
【0012】
第2電極30は、半導体部10の表面側に設けられる。第2電極30は、例えば、ソース電極である。第2電極30は、例えば、第1金属層33と、第2金属層35と、を含む。第1金属層33は、半導体部10と第2金属層35との間に設けられる。
【0013】
第1金属層33は、例えば、窒化チタニウム(TiN)とタングステン(W)とを含む積層構造(図示しない)を有する。窒化チタニウム層は、半導体部10とタングステン層との間に設けられる。第2金属層は、例えば、アルミニウムを含む。
【0014】
半導体部10は、第1トレンチTR1と、第2トレンチTR2と、を含む。第1トレンチTR1および第2トレンチTR2は、半導体部10の第2電極30に向き合う表面側に設けられる。第1トレンチTR1および第2トレンチTR2は、隣り合う位置に設けられる。第1トレンチTR1と第1電極20との間の距離は、第2トレンチTR2と第1電極20との間の距離よりも短い。
【0015】
第3電極40および第1制御電極50は、第1トレンチTR1の内部に設けられる。第1制御電極50は、第2電極30と第3電極40との間に設けられる。第3電極40は、例えば、第2電極30に電気的に接続されるフィールドプレートである。第1制御電極50は、例えば、ゲート電極である。第3電極40および第1制御電極50は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。
【0016】
第3電極40は、第1絶縁膜43により半導体部10から電気的に絶縁される。第1制御電極50は、第3電極40から第2絶縁膜45により電気的に絶縁される。また、第1制御電極50は、第2電極30から第3絶縁膜53により電気的に絶縁される。さらに、第1制御電極50は、半導体部10から第4絶縁膜55により電気的に絶縁される。第4絶縁膜55は、例えば、ゲート絶縁膜である。第1絶縁膜43、第2絶縁膜45、第3絶縁膜53および第4絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0017】
第2制御電極60は、第2トレンチTR2の内部に設けられる。第2制御電極60は、半導体部10と第2電極30との間に設けられる。第2制御電極60は、第5絶縁膜65により半導体部10から電気的に絶縁される。第2制御電極60は、第2電極から別の第3絶縁膜53により電気的に絶縁される。第2制御電極60は、例えば、ゲート電極である。第3電極40は、第2トレンチTR2の内部に設けられない。第2制御電極60は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。第5絶縁膜65は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0018】
半導体部10は、例えば、第1導電形の第1半導体層11と、第2導電形の第2半導体層13と、第1導電形の第3半導体層15と、第1導電形の第4半導体層17と、を含む。以下、第1導電形をn形、第2導電形をp形として説明する。
【0019】
第1半導体層11は、第1電極20と第2電極30との間に延在する。第1半導体層11は、例えば、n形ドリフト層である。第1トレンチTR1および第2トレンチTR2は、それぞれ、半導体部10の第2電極30と向き合う表面から第1半導体層11中に延在する。
【0020】
第2半導体層13は、第1半導体層11と第2電極30との間に設けられる。また、第2半導体層13は、第1トレンチTR1と第2トレンチTR2との間に設けられる。第2半導体層13は、例えば、p形拡散層である。第2半導体層13は、第4絶縁膜55を介して、第1制御電極50に向き合う。また、第2半導体層13は、第5絶縁膜65を介して、第2制御電極60に向き合う。
【0021】
第3半導体層15は、第2半導体層13と第2電極30との間に設けられる。また、第3半導体層15は、第1トレンチTR1と第2トレンチTR2との間に設けられる。第3半導体層15は、例えば、n形ソース層である。第3半導体層15は、第4絶縁膜55に接する部分と、第5絶縁膜65に接する部分とを含む。
【0022】
第4半導体層17は、第1電極20と第1半導体層11との間に設けられる。第4半導体層17は、例えば、n形ドレイン層である。第4半導体層17は、第1半導体層11の第1導電形不純物の濃度よりも高濃度の第1導電形不純物を含み、第1電極20に電気的に接続される。
【0023】
図1に示すように、第2電極30の第1金属層33は、例えば、第3絶縁膜53の表面から第3半導体層15中に延在するコンタクト部33cを有する。第2電極30は、コンタクト部33cを介して、第2半導体層13および第3半導体層15に電気的に接続される。
【0024】
実施形態に係る半導体装置1では、第3電極40は、第1半導体層11中に埋め込まれ、第1絶縁膜43により第1半導体層11から電気的に絶縁される。例えば、第1制御電極50から第2制御電極60に向かう第1方向(X方向)において、第1絶縁膜43は、第3電極40の両側に位置する部分を含む。
【0025】
第1絶縁膜43の第3電極40の両側に設けられた部分および第3電極40のそれぞれのX方向の幅を合わせた第1幅WFは、第1制御電極50およびX方向において第1制御電極50の両側に設けられた第4絶縁膜55のそれぞれのX方向の幅を合わせた第2幅WGよりも広い。
【0026】
図1に示すように、第3電極40は、例えば、長方形の断面を有し、一定のX方向の幅を有してZ方向に延在する。実施形態は、この例に限定される訳ではなく、第3電極40は、第2電極30から第1電極20に向かう方向(-Z方向)に、X方向の幅が減少するテーパ形状の断面を有しても良い。言い換えれば、第3電極40は、少なくとも、第2絶縁膜45を介して第1制御電極50に向き合う端の位置において、最も広い第1幅WFを有する。
【0027】
また、図1に示すように、半導体部10は、第2トレンチTR2に隣り合う別の第1トレンチTR1をさらに有する。第2トレンチTR2は、第1トレンチTR1と別の第1トレンチTR1との間に設けられる。別の第1トレンチTR1の内部には、別の第3電極40および別の第1制御電極50が設けられる。
【0028】
第1半導体層11は、第1トレンチTR1と別の第1トレンチTR1との間に設けられる第1領域11aを含む。第2制御電極60は、第1半導体層11の第1領域11aと、第2電極30との間に設けられる。第1領域11aのX方向の幅は、第2制御電極60のX方向の幅よりも広い。
【0029】
例えば、第1電極20と第2電極30との間に印加される電圧が高くなると、第1半導体層11と第3電極40との間の絶縁耐圧を高くすることが求められる。このため、第1絶縁膜43の膜厚を厚くすることが好ましい。
【0030】
一方、ゲートチャネルを高密度化するために、隣り合う第1制御電極間の間隔を狭くすると、隣り合う第3電極40の間隔が狭くなる。このため、第1半導体層11の第1領域11aが狭まり、第1領域11aを介して第1電極20と第2電極30と間に流れる電流の経路が狭くなり、オン抵抗が上昇する。第1絶縁膜43の膜厚を厚くすると、第1領域11aのX方向の幅がさらに狭くなり、オン抵抗の上昇を招く。
【0031】
実施形態に係る半導体装置1では、隣り合う第1制御電極50の間に第2制御電極60を設けることにより、隣り合う第3電極40の間隔を狭めることなく、ゲートチャネルを高密度化し、チャネル抵抗を低減することができる。
【0032】
さらに、実施形態では、第1半導体層11の第1領域11aのX方向の幅が、第2制御電極60のX方向の幅よりも広くなるように、第1トレンチTR1における第1幅WFを制御する。これにより、半導体装置1のオン抵抗の上昇を防ぐことができる。
【0033】
なお、実施形態に係る第2制御電極60は、上記の例に限定される訳ではない。例えば、隣り合う第1制御電極50の間に、複数の第2制御電極60を設けても良い。
【0034】
図2(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。図2(a)は、半導体装置1の表面側を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)中に示すA-A線に沿った断面図である。
【0035】
図2(a)に示すように、半導体装置1は、制御パッド70と、制御配線70eと、をさらに備える。制御パッド70および制御配線70eは、例えば、第3絶縁膜53を介して、半導体部10の表面側に設けられる。制御パッド70および制御配線70eは、第3絶縁膜53により半導体部10から電気的に絶縁される。また、制御パッド70および制御配線70eは、第2電極30から離間し、第2電極30から電気的に絶縁されるように設けられる。
【0036】
制御配線70eは、制御パッド70に接続される。制御配線70eは、制御パッド70から第2電極30に沿って延伸するように設けられる。第2電極30は、例えば、半導体部10の外縁に沿って延びる延伸部30eを有する。制御配線70eは、第2電極30の主部と延伸部30eとの間に延在する。
【0037】
図2(b)に示すように、制御配線70eは、第2電極30と同じ積層構造を有する。制御配線70eは、第3絶縁膜53中に延在するコンタクト部70gを介して、第1制御電極50に電気的に接続される。制御配線70eは、第2制御電極60にも同様に電気的に接続される。
【0038】
第2電極30の延伸部30eは、第3絶縁膜53中に延在するコンタクト部30fを介して、第3電極40に電気的に接続される。言い換えれば、第2電極30は、コンタクト部30fを有する延伸部30eを介して、第3電極40に電気的に接続される。
【0039】
次に、図3(a)~図12(b)を参照して、半導体装置1の製造方法を説明する。 図3(a)~図12(b)は、実施形態に係る半導体装置1の製造過程を示す模式断面図である。
【0040】
図3(a)に示すように、第1トレンチTR1を半導体ウェーハ100の表面側に形成する。第1トレンチTR1は、半導体ウェーハ100の表面上に絶縁膜101を形成した後、絶縁膜101をマスクとして、半導体ウェーハを選択的にエッチングすることにより形成される。半導体ウェーハ100の表面に沿って、複数の第1トレンチTR1が設けられる。
【0041】
半導体ウェーハ100は、例えば、第1導電形のシリコンウェーハである。半導体ウェーハ100は、例えば、第4半導体層17となる第1導電形の基板(図示しない)の上に第1半導体層11をエピタキシャル成長した構造を有する。絶縁膜101は、例えば、シリコン酸化膜である。絶縁膜101は、例えば、半導体ウェーハ100を熱酸化することにより形成される。半導体ウェーハ100は、例えば、異方性RIE(Reactive Ion Etching)を用いてエッチングされる。
【0042】
図3(b)に示すように、第1トレンチTR1の内部にスペースを残して、絶縁膜103、絶縁膜105および絶縁膜107を形成する。絶縁膜103、絶縁膜105および絶縁膜107は、第1トレンチTR1の内面を覆う。絶縁膜103は、例えば、シリコン酸化膜であり、第1トレンチTR1の内面に露出された半導体ウェーハ100を熱酸化することにより形成される。絶縁膜105は、例えば、シリコン窒化膜である。絶縁膜107は、例えば、シリコン酸化膜である。絶縁膜105および絶縁膜107は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて、半導体ウェーハ100の表面側に堆積される。
【0043】
図4(a)に示すように、絶縁膜103、絶縁膜105および絶縁膜107を選択的に除去する。絶縁膜103、絶縁膜105および絶縁膜107の第1トレンチTR1の底面上に形成された部分を、例えば、異方性RIEを用いて選択的に除去し、半導体ウェーハ100の一部を露出させる。この際、絶縁膜105および絶縁膜107の絶縁膜101上に形成された部分も除去される。
【0044】
図4(b)に示すように、第1トレンチTR1の底面に露出された半導体ウェーハ100をエッチングすることにより、第1トレンチTR1をその深さ方向(-Z方向)に延ばす。半導体ウェーハ100は、例えば、異方性RIEを用いてエッチングされる。
【0045】
図5(a)に示すように、第1トレンチTR1の延伸部分TReにおいて、半導体ウェーハ100をエッチングし、延伸部分TReを拡張する。半導体ウェーハ100は、例えば、CDE(Chemical Dry Etching)を用いて等方的にエッチングされる。
【0046】
なお、図4(b)および図5(a)に示す過程を通して、絶縁膜101、絶縁膜103、絶縁膜105および絶縁膜107は、エッチング防止膜として機能する。
【0047】
図5(b)に示すように、第1トレンチTR1の延伸部分TReの内面を覆う第1絶縁膜43を形成する。第1絶縁膜43は、延伸部分TReの内部に所望のスペースを残すように形成される。第1絶縁膜43は、例えば、シリコン酸化膜である。第1絶縁膜43は、第1トレンチTR1の延伸部分TReの内面に露出された半導体ウェーハ100を熱酸化することにより形成される。
【0048】
第1絶縁膜43が形成されることにより、第1トレンチTR1の延伸部分TReは、さらに拡張された第1幅WFを有する。また、絶縁膜105は、第1トレンチTR1の上部における熱酸化を抑制する。その結果、第1幅WFは、第1トレンチTR1の上部の幅WIよりも広くなる。なお、絶縁膜107は、第1絶縁膜43を形成する前のウェット処理にて除去される。
【0049】
図6(a)に示すように、導電膜110を半導体ウェーハ100の表面側に形成する。第1トレンチTR1の内部は、導電膜110により充填される。導電膜110は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。導電膜110は、例えば、CVDを用いて形成される。
【0050】
図6(b)に示すように、第1トレンチTR1の延伸部分TReに埋め込まれた部分を残して、導電膜110を除去する。導電膜110の延伸部分TReに埋め込まれた部分は、第1半導体層11中に埋め込まれた電極(第3電極40)となる。導電膜110は、例えば、ウェットエッチングにより除去される。なお、絶縁膜105は、導電膜110と共に除去される。
【0051】
図7(a)に示すように、絶縁膜113を半導体ウェーハ100の表面側に形成する。第1トレンチTR1の導電膜110を除去したスペースは、絶縁膜113により充填される。絶縁膜113は、例えば、CVDを用いて形成されるシリコン酸化膜である。
【0052】
図7(b)に示すように、隣り合う第1トレンチTR1の間に、第2トレンチTR2を形成する。第2トレンチTR2は、例えば、エッチングマスク115を用いた異方性RIEにより形成される。第2トレンチTR2は、例えば、絶縁膜113の表面から半導体ウェーハ100中に延在するように形成される。第2トレンチTR2は、その底面が、例えば、Z方向において、第3電極40の上端よりも上に位置するように形成される。
【0053】
図8(a)に示すように、絶縁膜117を半導体ウェーハ100の表面側に形成する。第2トレンチTR2は、絶縁膜117により充填される。絶縁膜117は、例えば、CVDを用いて形成されるシリコン酸化膜である。
【0054】
図8(b)に示すように、第1トレンチTR1および第2トレンチTR2を埋め込んだ部分を残して、絶縁膜113および絶縁膜117を除去する。絶縁膜113および絶縁膜117は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)およびウェットエッチングを用いて除去される。
【0055】
図9(a)に示すように、第2半導体層13を半導体ウェーハ100の表面側に形成する。第2半導体層13は、例えば、ボロン(B)などの第2導電形不純物を半導体ウェーハ100の表面側にイオン注入することにより形成される。半導体ウェーハ100中にイオン注入された第2導電形不純物は、熱処理により活性化され拡散される。第2半導体層13は、第1半導体層11と第2半導体層13との境界が第2トレンチTR2の底面よりも浅いレベルに位置するように設けられる。
【0056】
図9(b)に示すように、絶縁膜101、絶縁膜103、絶縁膜113および絶縁膜117を除去することにより、第2半導体層13を露出させる。第1トレンチTR1には、絶縁膜103および絶縁膜113のぞれぞれの一部が残される。第2トレンチTR2の内部に形成された絶縁膜117は、すべて除去される。
【0057】
図10(a)に示すように、第4絶縁膜55および第5絶縁膜65を第1トレンチTR1および第2トレンチTR2の内部にそれぞれ形成する。第4絶縁膜55および第5絶縁膜65は、半導体ウェーハ100の露出された部分を熱酸化することにより形成される。第4絶縁膜55および第5絶縁膜65は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0058】
図10(b)に示すように、導電膜120を半導体ウェーハ100の表面側に形成する。第1トレンチTR1および第2トレンチTR2は、導電膜120により充填される。導電膜120は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。導電膜120は、例えば、CVDを用いて形成される。
【0059】
図11(a)に示すように、第1制御電極50および第2制御電極60を第1トレンチTR1および第2トレンチTR2の内部にそれぞれ形成する。第1制御電極50および第2制御電極60は、第1トレンチTR1および第2トレンチTR2の内部に形成された部分を残して、導電膜120(図10(b)参照)を除去することにより形成される。導電膜120は、例えば、CDEにより等方的にエッチングされる。
【0060】
図11(b)に示すように、第3半導体層15を半導体ウェーハ100の表面側に形成する。第3半導体層15は、例えば、リン(P)などの第1導電形不純物をイオン注入することにより形成される。イオン注入された第1導電形不純物は、熱処理により活性化される。第3半導体層15は、第2半導体層13上に形成される。
【0061】
図12(a)に示すように、第1制御電極50および第2制御電極60の上に第3絶縁膜53を形成する。第3絶縁膜53は、例えば、シリコン酸化膜である。第3絶縁膜53は、半導体ウェーハ100の表面側に、例えば、CVDを用いて形成される。
【0062】
さらに、第3絶縁膜53の表面から第2半導体層13に連通するコンタクトトレンチCTを形成する。コンタクトトレンチCTは、例えば、異方性RIEを用いて形成される。
【0063】
図12(b)に示すように、半導体ウェーハ100の表面側に第2電極30を形成する。第2電極30は、第1金属層33および第2金属層35を第3絶縁膜53上に順に堆積することにより形成される。第1金属層33は、例えば、窒化チタニウム(TiN)およびタングステン(W)を含む積層構造を有する。第1金属層33は、例えば、スパッタ法およびCVDを用いて形成される。第2金属層35は、例えば、アルミニウム(Al)を含み、スパッタ法を用いて形成される。
【0064】
コンタクトトレンチCTは、第1金属層33により充填される。第1金属層33のコンタクトトレンチCTの内部に延在する部分は、例えば、第2半導体層13および第3半導体層15に電気的に接続される。
【0065】
さらに、半導体ウェーハ100の裏面側を、例えば、研削もしくは研磨することにより、所定のウェーハ厚に薄層化する。その後、半導体ウェーハ100の裏面上に第1電極20を形成し、半導体装置1を完成する。第1電極20は、例えば、ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)を含む積層構造を有する。第1電極20は、例えば、スパッタ法を用いて形成される。
【0066】
図13は、実施形態の変形例に係る半導体装置2を模式的に示す部分断面図である。半導体装置2においても、第3電極40および第1制御電極50は、第1トレンチTR1の内部に設けられる。第2制御電極60は、第2トレンチTR2の内部に設けられる。第2トレンチTR2の内部には、第3電極40は設けられない。
【0067】
第1トレンチTR1において、第3電極40およびその両側に位置する第1絶縁膜43の部分のそれぞれのX方向の幅を合わせた第1幅WFは、第1制御電極50およびその両側に設けられる第4絶縁膜55のそれぞれのX方向の幅を合わせた第2幅WGよりも広い。
【0068】
第3電極40は、第1半導体層11中に設けられる。第1制御電極50は、第3電極40との間隔Dsgが広くなるように設けられる。間隔Dsgは、例えば、第2幅WGよりも広い。これにより、第3電極40と第1制御電極50との間の寄生容量を低減することができる。例えば、図6(a)および(b)に示す製造過程において、導電膜110のエッチング量を増し、第3電極40の上端を下げることにより、間隔Dsgを広げることができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1、2 半導体装置、 10…半導体部、 11…第1半導体層、 13…第2半導体層、 15…第3半導体層、 17…第4半導体層、 20…第1電極、 30…第2電極、 30e…延伸部、 30f、33c、70g…コンタクト部、 33…第1金属層、 35…第2金属層、 40…第3電極、 43…第1絶縁膜、 45…第2絶縁膜、 50…第1制御電極、 53…第3絶縁膜、 55…第4絶縁膜、 60…第2制御電極、 65…第5絶縁膜、 70…制御パッド、 70e…制御配線、 100 半導体ウェーハ、 101、103、105、107、113、117…絶縁膜、 110、120…導電膜、 115…エッチングマスク、 CT…コンタクトトレンチ、 TR1…第1トレンチ、 TR2…第2トレンチ、 TRe…延伸部分
図1
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図13