IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

特許7614983履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法
<>
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図1
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図2
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図3
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図4
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図5
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図6
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図7
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図8
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図9
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図10
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図11
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図12
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図13
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図14
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図15
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図16
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図17
  • 特許-履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】履歴情報管理装置、画像処理装置、及び履歴情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250108BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250108BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
H04N1/00 C
G03G21/00 388
G03G21/00 386
B41J29/38 801
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021139324
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032941
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】有福 直也
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-125687(JP,A)
【文献】特開2020-058016(JP,A)
【文献】特開2007-028019(JP,A)
【文献】特開2020-088440(JP,A)
【文献】特開2014-215921(JP,A)
【文献】特開2004-288038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの実行に係る設定履歴情報を所定の制限数記憶可能な記憶部と、
前記設定履歴情報を使用して前記ジョブの実行を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記設定履歴情報の記憶数が前記所定の制限数に達したときに、
ログインユーザが管理者権限を有しない場合、前記設定履歴情報の使用実績に応じて前記設定履歴情報を前記記憶部から削除し、
前記ログインユーザが前記管理者権限を有する場合、履歴情報管理装置を使用するすべてのユーザに係る前記設定履歴情報の中で記憶順序が最も古い前記設定履歴情報を前記記憶部から削除することを特徴とする履歴情報管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記設定履歴情報の使用実績として、記憶されている前記設定履歴情報の中で使用回数が最も少ない前記設定履歴情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の履歴情報管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記設定履歴情報の使用実績として、記憶されている前記設定履歴情報の中で初期値から変更された項目数が最も少ない前記設定履歴情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の履歴情報管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記設定履歴情報の使用実績として、記憶されている前記設定履歴情報の中で使用回数が最も少ない前記ジョブに係る前記設定履歴情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の履歴情報管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記設定履歴情報の使用実績として、記憶されている前記設定履歴情報の中で前記ジョブの処理に関する設定を一括して登録した一括設定から実行された前記ジョブに係る前記設定履歴情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の履歴情報管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記設定履歴情報の使用実績として、記憶されている前記設定履歴情報の中で当該設定履歴情報に係る前記ジョブの実行が不可能な前記設定履歴情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の履歴情報管理装置。
【請求項7】
前記ジョブは、登録されているアドレス帳から選択された宛先を送信先とするイメージ送信ジョブを含み、
前記制御部は、前記設定履歴情報の使用実績として、記憶されている前記設定履歴情報の中で登録されている前記アドレス帳から選択された前記宛先を送信先とする前記イメージ送信ジョブに係る前記設定履歴情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の履歴情報管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記設定履歴情報の使用実績として、記憶されている前記設定履歴情報の中で前記イメージ送信ジョブの宛先が修正又は削除された前記設定履歴情報を削除することを特徴とする請求項7に記載の履歴情報管理装置。
【請求項9】
前記設定履歴情報を表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、ユーザ認証が有効時、当該ユーザに係る前記設定履歴情報のみを前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の履歴情報管理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の履歴情報管理装置と、
前記ジョブに基づく画像処理を実行する画像処理部とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
ジョブの実行に係る設定履歴情報を所定の制限数記憶可能な記憶部と、
前記設定履歴情報を使用して前記ジョブの実行を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記設定履歴情報の記憶数が前記所定の制限数に達した場合に、前記設定履歴情報の使用実績に応じて前記設定履歴情報を前記記憶部から削除し、
前記制御部は、前記設定履歴情報の使用実績として、記憶されている前記設定履歴情報の中で使用毎に変更の対象となる特定の項目のみが変更された前記ジョブに係る前記設定履歴情報を削除することを特徴とする履歴情報管理装置。
【請求項12】
ジョブの実行に係る設定履歴情報を所定の制限数記憶する工程と、
前記設定履歴情報を使用して前記ジョブを制御する工程と、
前記設定履歴情報の記憶数が前記所定の制限数に達したときに、
ログインユーザが管理者権限を有しない場合、前記設定履歴情報の使用実績に応じて前記設定履歴情報を削除し、
前記ログインユーザが前記管理者権限を有する場合、履歴情報管理装置を使用するすべてのユーザに係る前記設定履歴情報の中で記憶順序が最も古い前記設定履歴情報を削除する工程とを備えることを特徴とする履歴情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履歴情報管理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像処理装置には、プリント、ファクス、又はイメージ送信等のジョブの実行に関し、これらのジョブの実行に係る設定値を設定履歴情報として記憶するものがある。
【0003】
近年、記憶した設定履歴情報を利用することにより、ジョブの実行に係るユーザの手間や時間を軽減する試みがなされている。具体的には、画像処理装置は、ユーザによる選択が可能となるように設定履歴情報を表示部に一覧表示する。ユーザによる設定履歴情報の選択を受け付けた画像処理装置は、当該設定履歴情報に紐づけられた設定値に基づきジョブを実行することで、当該設定履歴情報に対応するジョブを容易に再現することができる。
【0004】
しかしながら、画像処理装置が記憶可能な設定履歴情報の数には制限がある。通常、画像処理装置は、ジョブの実行順に最新の設定履歴情報を記憶する。記憶した設定履歴情報が記憶可能な制限数に達すると、画像処理装置は、記憶済の設定履歴情報を削除することで、最新の設定履歴情報を記憶するための記憶容量を確保する。
【0005】
設定履歴情報の削除は、ユーザにとって利用価値が高くない、すなわち、削除されたとしてもユーザが不便さを感じない設定履歴情報に対して必ずしも行われるものではない。時として、ユーザにとって利用価値が高い設定履歴情報が不本意に削除されることもある。したがって、ユーザは、履歴として残す必要が無いと判断される設定履歴情報と履歴として残す必要がある設定履歴情報とを確認して管理する必要があった。
【0006】
このような状況を鑑みて、例えば、特許文献1には、ジョブの履歴を表示する場合に、ユーザが見たいジョブの履歴が非表示となってしまうことを防ぐ画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-125687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、統合履歴データテーブルに空きがない場合、最も実行日時が古い設定履歴を統合履歴データベースから削除することが記載されているものの、削除対象の履歴情報が履歴として残す必要がある情報であるか否かについては検討されていない。
【0009】
本開示は、ユーザにとって有用な設定履歴情報の保存・管理を行うことが可能な履歴情報管理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示に係る履歴情報管理装置は、ジョブの実行に係る設定履歴情報を所定の制限数記憶可能な記憶部と、前記設定履歴情報を使用して前記ジョブの実行を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記設定履歴情報の記憶数が前記所定の制限数に達した場合に、前記設定履歴情報の使用実績に応じて前記設定履歴情報を前記記憶部から削除することを特徴としている。
【0011】
また、本開示に係る画像処理装置は、上記履歴情報管理装置と、前記ジョブに基づく画像処理を実行する画像処理部とを備えることを特徴としている。
【0012】
また、本開示に係る履歴情報管理方法は、ジョブの実行に係る設定履歴情報を所定の制限数記憶する工程と、前記設定履歴情報を使用して前記ジョブの実行を制御する工程と、前記設定履歴情報の記憶数が前記所定の制限数に達した場合に、前記設定履歴情報の使用実績に応じて前記設定履歴情報を前記記憶部から削除する工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ユーザにとって有用な設定履歴情報の保存・管理を行うことが可能な履歴情報管理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る複合機の全体構成を説明する図である。
図2】第1実施形態に係る複合機の機能構成図である。
図3】設定履歴情報のデータ構造を説明する図である。
図4】ジョブ履歴情報のデータ構造を説明する図である。
図5】第1実施形態の処理の流れを説明するフローチャートである。
図6】第1実施形態の処理の流れを説明するフローチャートである。
図7】使用回数管理テーブルのデータ構造を説明する図である。
図8】設定履歴情報のデータ構造を説明する図である。
図9】第1実施形態の動作例を説明する図である。
図10】第1実施形態の動作例を説明する図である。
図11】第1実施形態の動作例を説明する図である。
図12】第1実施形態の動作例を説明する図である。
図13】第2実施形態に係る複合機の機能構成図である。
図14】第2実施形態の処理の流れを説明するフローチャートである。
図15】第2実施形態の処理の流れを説明するフローチャートである。
図16】第2実施形態の動作例を説明する図である。
図17】第2実施形態の動作例を説明する図である。
図18】第3実施形態の処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。本開示では、例えば、コピー、ファクス、イメージ送信等に係るジョブを一つの筐体で実施可能な複合機を履歴情報管理装置又は当該履歴情報管理装置を実装した画像処理装置の一形態として説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した説明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
【0016】
[1 第1実施形態]
[1.1 機能構成]
第1実施形態に係る複合機10の機能構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、複合機10の全体構成を概略的に説明する外観斜視図である。図2は、複合機10の機能構成図である。複合機10は、制御部11と、表示部13と、操作入力部15と、通信部17と、画像処理部としての画像形成部19及び画像読取部21と、記憶部23とを備える。
【0017】
制御部11は、複合機10全体を制御する。制御部11は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central processing unit)等)により構成される。制御部11は、記憶部23に記憶された各種プログラムを読み出して実行することによりその機能を実現する。
【0018】
表示部13は、各種情報をユーザ等に対して表示する。表示部13は、例えば、LCD(Liquid crystal display)や有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等により構成することができる。
【0019】
操作入力部15は、ユーザ等による情報の入力を受け付ける。操作入力部15は、ハードキー(例えば、テンキー)やボタン等で構成することができる。なお、操作入力部15は、表示部13を介しての入力が可能なタッチパネルとして構成することができる。この場合、タッチパネルの入力方式としては、例えば、抵抗膜式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった一般的な方式を用いることができる。
【0020】
通信部17は、例えば、LAN(Local area network)、WAN(Wide area network)、インターネット、電話回線、ファクス回線等のネットワーク(NW)を介して他の装置との通信を行うための有線/無線の何れか又はその両方のインタフェースを備える。
【0021】
画像形成部19は、イメージデータに基づく画像を記録媒体としての用紙に形成する。画像形成部19は、給紙部25から用紙を給紙し、用紙上にイメージデータに基づく画像を形成した後、排紙部27に排紙する。画像形成部19は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成することができる。この場合、画像形成部19は、トナー色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した不図示のトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて画像形成を行う。
【0022】
画像読取部21は、読取対象の原稿画像を走査して読み取ることにより、イメージデータを生成する。画像読取部21は、例えば、CCD(Charge coupled device)、CIS(Contact image sensor)等のイメージセンサを備えたスキャナ装置として構成することができる。画像読取部21は、原稿画像からの反射光像をイメージセンサで読み取ることで、イメージデータを生成する構成であれば、その構成に制限はない。
【0023】
記憶部23は、複合機10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部23は、例えば、RAM(Random access memory)、HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid state drive)、ROM(Read only memory)等の記憶装置により構成することができる。
【0024】
第1実施形態において、記憶部23は、ジョブ実行プログラム231と、設定履歴情報処理プログラム232と、削除判定プログラム233と、表示処理プログラム234とを記憶し、設定値ファイル記憶領域235と、設定履歴情報記憶領域236と、ジョブ履歴情報記憶領域237とを確保する。
【0025】
ジョブ実行プログラム231は、コピー、ファクス、イメージ送信等の各機能の実行に伴う処理をジョブ単位で行うために、制御部11が読み出すプログラムである。ジョブ実行プログラム231を読み出した制御部11は、表示部13、操作入力部15、通信部17、画像形成部19、画像読取部21等を制御することでジョブを実行する。また、ジョブ実行プログラム231を読み出した制御部11は、設定履歴情報の設定値ファイルに含まれる設定値に基づき各種ジョブを実行することができる。
【0026】
設定履歴情報処理プログラム232は、例えば、ジョブの実行に係る設定値等の取得、設定履歴情報の生成、設定履歴情報に対する各種処理を行う際に、制御部11が読み出すプログラムである。設定履歴情報処理プログラム232を読み出した制御部11は、ジョブの実行に係る設定値を取得して当該設定値を収めた設定値ファイルを生成する。そして、制御部11は、生成した設定値ファイルを設定値ファイル記憶領域235に記憶する。また、制御部11は、何れのジョブに関するものかを識別するための識別情報(例えば、ジョブID)に対して設定値ファイルを紐づけることにより設定履歴情報を生成する。そして、制御部11は、生成した設定履歴情報を設定履歴として設定履歴情報記憶領域236に記憶する。
【0027】
削除判定プログラム233は、設定履歴情報記憶領域236に対する設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達した際に、制御部11が読み出すプログラムである。削除判定プログラム233を読み出した制御部11は、設定履歴情報の使用実績に応じて特定した設定履歴情報を設定履歴情報記憶領域236から削除する。設定履歴情報の使用実績については後程説明する。
【0028】
表示処理プログラム234は、設定履歴情報を設定履歴として一覧表示する表示画面、ジョブの実行に係る各種設定値の入力を受け付けるための設定画面、当該設定画面を切り替え可能に表示する基本画面(ホーム画面)、又はユーザ認証のためのログイン画面等を表示部13に表示する際に制御部11が読み出すプログラムである。
【0029】
設定値ファイル記憶領域235は、設定履歴情報処理プログラム232を読み出した制御部11が、生成した設定値ファイルを記憶する記憶領域である。設定値は、例えば、カラーモード、解像度、フォーマット、濃度等の、ユーザにより設定された設定値や装置自身が保持する装置初期値等の設定値が含まれる。ジョブ実行プログラム231を読み出した制御部11は、実行対象の設定履歴情報に紐づけられた設定値ファイルを設定値ファイル記憶領域235から読み出して実行する。
【0030】
設定履歴情報記憶領域236は、設定履歴情報処理プログラム232を読み出した制御部11が、生成した設定履歴情報を記憶する記憶領域である。設定履歴情報記憶領域236に記憶された設定履歴情報は、設定履歴としての表示処理や、当該設定履歴情報に基づくジョブの実行の際に適宜読み出される。なお、設定履歴情報記憶領域236は、設定履歴情報を所定の制限数記憶することができる。ここで、記憶可能な所定の制限数には、特に制限はない。以降の説明では、説明を容易とするために、設定履歴情報記憶領域236が一度に記憶可能な所定の制限数を“10”として説明するが、記憶可能な所定の制限数はこれに限定されるものではない。設定履歴情報記憶領域236が記憶可能な所定の制限数は、記憶部23の物理的記憶容量や、表示部13での表示可能領域を考慮して設定すればよい。
【0031】
ここで、本開示に係る設定履歴情報について説明する。図3は、設定履歴情報記憶領域236に記憶された設定履歴情報のデータ構造の一構成例を説明する図である。
【0032】
図3の例示に係る設定履歴情報は、ジョブIDと、実行日時と、ジョブ種と、表示設定値と、設定値ファイル名とを含む。
【0033】
ジョブIDは、設定履歴情報が何れのジョブに関するものであるかを識別するための識別情報である。実行日時は、ジョブが実行された日時を表す。ジョブ種は、実行ジョブの種類(例えば、コピー、Scan to E-mail等)を表す。表示設定値は、後述する設定履歴情報表示画面において表示する設定値(内容)の一部を表す。設定値ファイル名は、当該設定履歴情報に紐づけられた設定値ファイルのファイル名である。
【0034】
例えば、ジョブID“0099”に係る設定履歴情報は、“2020/02/22 20:20”に実行された、ジョブ種“コピー”に関する設定履歴情報を表している。そして、当該ジョブは、設定値ファイル名“0099.config”に含まれる設定値に基づき実行されたコピージョブであって、“トレイ:トレイ1、原稿:片面→両面、濃度:文字、・・・”等の設定値(項目)を設定履歴情報表示画面に表示する表示設定値として設定した例である。なお、各ジョブIDで設定された表示設定値は、あくまでも例示であって、設定履歴情報表示画面で表示される設定値が図3の記載事項に限定されるものではない。
【0035】
再び、図2に戻り、ジョブ履歴情報記憶領域237は、ジョブの実行記録をジョブ履歴情報として記憶する記憶領域である。ここで、本開示に係るジョブ履歴情報について説明する。図4は、ジョブ履歴情報記憶領域237に記憶されたジョブ履歴情報のデータ構造の一構成例を説明する図である。
【0036】
図4の例示に係るジョブ履歴情報は、ジョブIDと、実行日時と、ジョブ種と、ユーザ名と、ステータスとを含む。
ジョブID、実行日時、ジョブ種は、図3で説明した設定履歴情報が含む項目と同一項目であって、同一内容である。ユーザ名は、当該ジョブを実行したユーザの名称を表す。ステータスは、当該ジョブの処理ステータスを表す。
【0037】
例えば、ジョブID“0098”に係るジョブ履歴情報は、“2020/02/22 19:19”に実行された、ジョブ種“Scan to E-mail”に関するジョブ履歴情報を表している。そして、当該ジョブは、ユーザ名“aaaaa”によって実行指示が入力され、当該ジョブのステータスは“終了”していることが表されている。
【0038】
ジョブ履歴情報は、設定履歴情報とは異なり、ジョブの実行履歴を記録する情報である。ジョブ履歴情報は、ジョブの登録や、ジョブの完了後、設定履歴情報の生成後等の任意のタイミングで生成することができる。なお、本開示に係る設定履歴情報は、使用実績に応じて削除されるため、ジョブ履歴情報に基づくジョブ履歴と設定履歴情報に基づく設定履歴とでは表示される履歴情報に違いが生じることがある。
【0039】
[1.2 処理の流れ]
次に、第1実施形態に係る処理の流れについて説明する。図5は、複合機10による設定履歴情報の記憶に係る処理を説明するフローチャートである。ここで説明する処理は、制御部11が、表示処理プログラム234、ジョブ実行プログラム231、設定履歴情報処理プログラム232、及び削除判定プログラム233を読み出すことで実行する処理である。
【0040】
まず、制御部11は、ユーザにより設定履歴の表示指示が入力されたか否かを判定する(ステップS10)。設定履歴の表示指示は、例えば不図示のホーム画面や各ジョブ種に応じた設定画面を介して受け付けることができる。
【0041】
設定履歴の表示指示が入力されたと判定した場合、制御部11は設定履歴情報記憶領域236に記憶された設定履歴情報を設定履歴として表示する(ステップS10;Yes→ステップS20)。一方、設定履歴の表示指示が入力されなかったと判定した場合、制御部11は処理をステップS40に移行する(ステップS10;No→ステップS40)。
【0042】
次いで、制御部11はユーザによる設定履歴情報の選択を受け付ける(ステップS30)。
【0043】
制御部11は、設定履歴情報の選択を受け付けると、当該設定履歴情報に紐づけられた設定値ファイルを読み出し、ジョブ種に応じた設定画面を表示する(ステップS40)。ところで、ユーザにより設定履歴の表示指示が入力されなかった場合、制御部11はユーザにより選択されたジョブ種に応じた設定画面を表示する。
【0044】
制御部11は、設定画面を介してジョブの実行指示の入力を受け付けると、ジョブを実行する(ステップS50→ステップS60)。
【0045】
制御部11は、ジョブを実行すると、設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達したか否かを判定する(ステップS70)。
【0046】
設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達した場合、制御部11は、設定履歴情報削除処理を実行する(ステップS70;Yes→ステップS80)。一方、設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達していない場合、制御部11は処理をステップS90に移行する(ステップS70;No→ステップS90)。
【0047】
制御部11は、ステップS60において実行したジョブに係る新たな設定履歴情報を設定履歴情報記憶領域236に記憶し、処理を終了する(ステップS90)。
【0048】
なお、ジャムやトラブルコード等により、ユーザが意図的にキャンセルしたジョブについては、再度同じジョブを実行することが考えられるため、不要な設定履歴情報とし、当該設定履歴情報は記憶しない。
【0049】
次に、図5のステップS80に係る設定履歴情報削除処理について図6のフローチャートを用いて説明する。ここで説明する処理は、制御部11が削除判定プログラム233を読み出すことで実行する処理である。なお、図6では、削除対象の設定履歴情報を特定する手法として、設定履歴情報の使用実績として当該設定履歴情報の使用回数(参照回数)に基づく特定法について説明する。
【0050】
制御部11は、設定履歴情報の使用実績として当該設定履歴情報の使用回数を算出する(ステップS810)。
【0051】
そして、制御部11は、使用回数の最も少ない設定履歴情報を特定する(ステップS820)。
【0052】
制御部11は、特定した使用回数の最も少ない設定履歴情報の中から、記憶順序の最も古い設定履歴情報として日付の最も古い設定履歴情報を削除して処理を終了する(ステップS830)。
【0053】
図7は、図3で例示した各ジョブIDに係る設定履歴情報と当該設定履歴情報の使用回数の算出結果とを纏めた使用回数管理テーブルのデータ構造の一構成例である。
【0054】
テーブルの左端のジョブIDは、図3で例示した各ジョブIDを表している。テーブル中央の使用回数は、制御部11により算出された設定履歴情報の使用回数を表す。テーブルの右端の削除判定フラグは、特定した使用回数の最も少ない設定履歴情報の中で日付の最も古い設定履歴情報(削除対象)に対して付されるフラグである。制御部11は、削除判定フラグが付された設定履歴情報を削除する。
【0055】
図7は、ジョブID“0099”、“0097”及び“0094”に係る設定履歴情報の使用回数が“0回”と算出された例である。これらの設定履歴情報の中で、最も日付が古いジョブの設定履歴情報であるジョブID“0094”に係る設定履歴情報が削除対象の設定履歴情報として特定されている(図3参照)。
【0056】
図8(a)に示すように、ジョブID“0094”に係る設定履歴情報が削除されると、最新のジョブに係る設定履歴情報の記憶が可能となる。図8(b)は、ジョブID“0094”の削除により生じた記憶領域に、新たなコピージョブの実行により生成されたジョブID“0100”に係る設定履歴情報が記憶された様子を表している。
【0057】
[1.3 動作例]
次に、第1実施形態に係る動作例について説明する。図9は、設定履歴情報を設定履歴として表示する設定履歴表示画面の一構成例である。なお、本動作例は、図5のステップS10及びステップS20の処理に対応する。
【0058】
図9(a)は、図3で例示したジョブID“0099”からジョブID“0095”の設定履歴情報を設定履歴として設定履歴表示画面W10に一覧表示した例である。なお、設定履歴表示画面W10は、例えば、図10(a)で例示するホーム画面W20や、図10(b)で例示する各ジョブ種に応じた設定画面W30を介して表示させることができる。
【0059】
設定履歴表示画面W10は、設定履歴情報表示領域R10と、スライダーバーSB10とを含む。設定履歴情報表示領域R10は、各ジョブIDに係る設定履歴情報を選択可能に表示する表示領域である。スライダーバーSB10は、上下にスライド可能に構成されている。スライダーバーSB10は、設定履歴情報表示領域R10に非表示の領域の表示指示を受け付ける。例えば、スライダーバーSB10を上下に動かす、矢印ボタンを押下する、設定履歴情報表示領域R10内でフリック操作するといった操作を行うことで、設定履歴情報表示領域R10に非表示の領域を表示させることができる。
【0060】
例えば、図9(b)は、スライダーバーSB10を操作することにより、図9(a)において非表示の領域を表示させた例である。すなわち、図9(b)は、図3で例示したジョブID“0094”からジョブID“0090”に係る設定履歴情報を設定履歴として設定履歴表示画面W10に一覧表示した例である。
【0061】
ここで、設定履歴表示画面W10の表示指示を受け付けるホーム画面W20及び設定画面W30について説明する。図10(a)は、ホーム画面W20の一構成例である。ホーム画面W20は、例えば、電源投入時、待機時、スリープ状態からの復旧時等に表示部13に表示され、ユーザによる操作入力を受け付ける基本画面である。ホーム画面W20は、モード選択ボタンB10を含む。
【0062】
モード選択ボタンB10は、複合機10の操作モードの選択を受け付けるボタンである。図10(a)は、選択可能な操作モードとして、“簡易コピー”ボタン、“簡易ファクス”ボタン、“簡易スキャン”ボタン、“メール”ボタン、“ファクス”ボタン、“スキャン保存”ボタン、“外部アドレス帳”ボタン、及び“設定履歴”ボタンB102を設けた構成例である。なお、図10(a)で例示するボタン構成例は一例であり、例えば、不図示のシステム構成画面等を介して適宜変更することが可能である。
【0063】
ユーザは、例えば、モード選択ボタンB10の“設定履歴”ボタンB102を押下することにより、図9(a)又は(b)で示した設定履歴表示画面W10を表示部13に表示させることができる。
【0064】
一方、図10(b)は、イメージ送信ジョブに係る設定画面W30の一構成例である。設定画面W30は、ホーム画面W20のモード選択ボタンB10に含まれる“メール”ボタンの押下により表示させることができる。
【0065】
設定画面W30は、アドレス帳ボタンや、件名入力ボックス等に加え、設定値表示領域R12と、処理選択ボタンB12とを含む。
【0066】
設定値表示領域R12は、イメージ送信に係る設定値を表示する表示領域である。設定値表示領域R12には、イメージ送信に係る装置デフォルト値、又は制御部11が読み出した設定値ファイルに基づく設定値が表示される。
【0067】
処理選択ボタンB12は、ユーザが所望する処理(アクション)の選択を受け付けるボタンである。処理選択ボタンB12は、“外部アドレス帳”、“検索番号で読み出し”、“プログラムで読み出し”、“送信履歴”、“簡易設定”等の各種処理の選択を受け付ける選択ボタンに加え、“設定履歴”ボタンB122を含む。ユーザは、例えば、処理選択ボタンB12の“設定履歴”ボタンB122を押下することにより、図9(a)又は(b)で示した設定履歴表示画面W10を表示部13に表示させることができる。
【0068】
ところで、設定画面W30は、ホーム画面W20を介したモード選択ボタンB10の押下に加え、設定履歴表示画面W10に一覧表示された設定履歴情報を選択することによっても表示させることが可能である。なお、図10(b)は、図9(a)の設定履歴情報表示領域R10において、ジョブID“0098”の“Scan to E-mail”に係る設定履歴情報が選択された場合に、表示部13に表示される設定画面W30の一構成例でもある。この場合、設定画面W30の設定値表示領域R12には、ジョブID“0098”の設定履歴情報に紐づけられた設定値ファイルの設定値が反映されて表示される。
【0069】
図11は、図8(b)に示す記憶状況の設定履歴情報を設定履歴として表示する際の設定履歴表示画面W10の一構成例である。なお、図11(a)及び(b)は、図9(a)及び(b)と同様にスライダーバーSB10の操作前後を表す図である。
【0070】
図8(b)等で説明したように、ジョブID“0094”の削除にともない、当該ジョブID“0094”に係る設定履歴情報は、設定履歴情報表示領域R10において非表示となる(図11(b))。
【0071】
一方、新たなコピージョブの実行により生成されたジョブID“0100”に係る設定履歴情報は、最新の設定履歴情報として、設定履歴の最上位位置に表示されることになる(図11(a))。
【0072】
[削除対象となる設定履歴情報の特定について]
図5のステップS80及び当該ステップS80の処理を説明する図6のステップS810及びステップS820の処理において、削除対象とする設定履歴情報は、例えば、図12で例示する特定手法によって特定することも可能である。
【0073】
特定手法(1)は、これまでに述べた使用回数が最も少ない設定履歴情報を特定する手法である。
【0074】
特定手法(2)は、ステップS810において、初期値から変更された設定値の項目数を算出し、ステップS820において、変更された設定値の項目数が最も少ない設定履歴情報を特定する手法である。初期値からの変更が少ない場合、当該設定履歴情報の使用頻度は低いと判断することができる。
【0075】
特定手法(3)は、ステップS810において、ジョブ種別毎の設定履歴情報の使用回数を算出し、ステップS820において、最も少ないジョブ種別の設定履歴情報を特定する手法である。ジョブ(種別)の使用頻度が少ない場合、当該設定履歴情報の使用頻度は低いと判断することができる。
【0076】
特定手法(4)は、ステップS810において、例えば、部数といった、設定履歴情報の使用毎に変更の対象となる特定の項目しか変更されていない設定履歴情報を特定する手法である。設定履歴情報を記憶したとしても、設定内容が変更される可能性が高く、設定履歴情報を残す必要性は低いと判断することができる。
【0077】
特定手法(5)は、ステップS810において、ジョブプログラムから実行されたジョブに係る設定履歴情報を特定する手法である。ここで、本開示に係るジョブプログラムとは、ジョブに関する設定を恒久的に手動で記憶させる技術であり、ジョブ処理に関する設定を一括して登録している一括設定を示すものである。定形のジョブを繰り返し実行するユースケースにおいて、ユーザがジョブプログラムを呼び出して実行することにより、当該ジョブに係る設定値を一括して設定できるため、同ジョブを実行する際の設定のステップ数を少なくすることができる。このように、ジョブプログラムから実行されたジョブに係る設定値は、既にジョブプログラムとして登録されているため、設定履歴情報を残す必要性は低いと判断することができる。
【0078】
特定手法(6)は、ステップS810において、登録されたアドレス帳から選択された宛先を送信先とするイメージ送信ジョブに係る設定履歴情報を特定する手法である。アドレス帳に対して宛先が登録されており、また、宛先選択は容易であるため、イメージ送信ジョブに係る設定履歴情報を残す必要性は低いと判断することができる。
【0079】
特定手法(7)は、ステップS810において、登録されたアドレス帳の宛先が修正又は削除されたイメージ送信ジョブに係る設定履歴情報を特定する手法である。当該設定履歴情報は、登録当初のアドレス帳の宛先に基づくものではないため、設定履歴情報を残す必要性は低いと判断することができる。
【0080】
特定手法(8)は、ステップS810において、他設定では実行不可又は実行が抑制されている設定利履歴情報を特定する手法である。当該設定履歴情報は、任意の設定の影響(例えば、カラー印刷禁止設定等)により、当該設定履歴情報を選択してもジョブの実行が不可能であるため、設定履歴情報を残す必要性が低いと判断することができる。
【0081】
図12で例示した特定手法の適用は、ユーザの選択に基づき決定されてもよい。また、削除対象の設定履歴情報の特定に際し、手法(1)から(8)の何れかの特定手法を一つ選択するのではなく、例えば、特定手法(3)→特定手法(5)→特定手法(8)といったように、優先順位を設けてこれらの特定手法を複数組み合わせることも可能である。
【0082】
以上のように、第1実施形態によれば、設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達した場合に、設定履歴情報の使用実績に応じて設定履歴情報を記憶部から削除する構成であるため、ユーザにとって有用な設定履歴情報の保存・管理を行うことが可能な履歴情報管理装置等を提供することができる。
【0083】
[2 第2実施形態]
第2実施形態は、ユーザの認証状況や、管理者権限でのログイン状況に応じて削除対象の設定履歴情報の特定を行う形態である。
【0084】
[2.1 機能構成]
図13は、第2実施形態に係る複合機30の機能構成図である。複合機30は第1実施形態に係る複合機10の記憶部23に替えて記憶部33を備える。なお、以下の説明において、第1実施形態に係る複合機10と同一構成な箇所については、同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0085】
記憶部33は、記憶部23の構成に加え、認証プログラム331を記憶する。認証プログラム331は、ユーザの認証の際に制御部11が読み出すプログラムである。
【0086】
制御部11は、例えば、ログインユーザ名、ログインパスワード等のユーザ認証に係る認証情報の入力を受け付け、ユーザ認証を行う。なお、管理者権限でのログイン動作がなされる場合、制御部11は、必要に応じて管理者情報の入力を要求したり、管理ユーザとしての登録情報を参照することにより管理者ユーザの認証を行う。
【0087】
制御部11は、ユーザにより入力されたログインユーザ名及びログインパスワードの組み合わせと、予め自機に登録しているログインユーザ名及びログインパスワードの組み合わせとを照合することにより、ユーザ認証を行うことができる。なお、ユーザ認証は、別途外部に設けた認証サーバが行う形態であってもよい。この場合、ユーザ認証用のログインユーザ名及びログインパスワードは、認証サーバが保持する。
【0088】
ところで、ユーザ認証は、ログインユーザ名とログインパスワードとの組み合わせ以外にも、例えば、識別番号、登録番号等とログインパスワードとの組み合わせ、トークン、鍵、IC(Integrated circuit)カード、スマートフォン等を用いた所有物認証、指紋認証や顔認証等の生体認証により行うことも可能である。
【0089】
[2.2 処理の流れ]
[2.2.1 ユーザ認証有効時の処理について]
まず、ユーザ認証有効時の処理の流れについて図14のフローチャートを用いて説明する。なお、第1実施形態の図5のフローチャートで説明した処理と同一な処理については同一のステップ番号を付するものとする。ここで説明する処理は、制御部11が、認証プログラム331、表示処理プログラム234、ジョブ実行プログラム231、設定履歴情報処理プログラム232、及び削除判定プログラム233を読み出すことで実行する処理である。
【0090】
まず、制御部11は、認証画面を介してユーザによるログインユーザ名、ログインパスワード等の認証情報の入力を受け付ける(ステップS100)。
【0091】
制御部11は、入力されたログインユーザ名、ログインパスワードに基づきユーザ認証を行い、ユーザ認証が成功したか否かを判定する(ステップS110)。
【0092】
ユーザ認証が成功した場合、制御部11はユーザによる設定履歴の表示指示が入力されたか否かを判定する(ステップS110;Yes→ステップS10)。一方、ユーザ認証が失敗した場合、制御部11は処理をステップS40に移行する(ステップS110;No→ステップS40)。
【0093】
設定履歴の表示指示が入力されたと判定した場合、制御部11は認証に成功したユーザに係る設定履歴情報のみを表示する(ステップS10;Yes→ステップS120)。一方、設定履歴の表示指示が入力されなかったと判定した場合、制御部11は処理をステップS40に移行する(ステップS10;No→ステップS40)。
【0094】
制御部11はユーザによる設定履歴情報の選択を受け付ける(ステップS30)。
【0095】
制御部11は、設定履歴情報の選択を受け付けると、当該設定履歴情報に紐づけられた設定値ファイルを読み出し、ジョブ種に応じた設定画面を表示する(ステップS40)。ところで、ユーザ認証が失敗した場合や(ステップS110;No)、ユーザによる設定履歴の表示指示が入力されなかった場合(ステップS10;No)、制御部11はユーザにより選択されたジョブ種に応じた設定画面を表示する(ステップS40)。
【0096】
制御部11は、設定画面を介してジョブの実行指示の入力を受け付けると、ジョブを実行する(ステップS50→ステップS60)。
【0097】
制御部11は、ジョブを実行すると、設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達したか否かを判定する(ステップS70)。
【0098】
設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達した場合、制御部11は、設定履歴情報削除処理を実行する(ステップS70;Yes→ステップS80)。一方、設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達していない場合、制御部11は処理をステップS90に移行する(ステップS70;No→ステップS90)。
【0099】
制御部11は、ステップS60において実行したジョブに係る新たな設定履歴情報を設定履歴情報記憶領域236に記憶し、処理を終了する(ステップS90)。
【0100】
[2.2.2 管理者権限でのログイン動作が伴う処理について]
次に、管理者権限でのログイン動作が伴う場合の処理について、図15のフローチャートを用いて説明する。
【0101】
まず、図5又は図14のフローチャートに係るステップS100(ステップS10)からステップS70に係る処理が実行されると、制御部11は、ステップS100(ステップS10)からステップS70に係る処理が管理者権限でログインした管理ユーザによるものであるか否かを判定する(ステップS130)。
【0102】
ステップS100(ステップS10)からステップS70に係る処理が管理者権限でログインした管理ユーザによるものであった場合、制御部11は、複合機30を使用する全てのユーザに係る設定履歴情報を精査する(ステップS130;Yes→ステップS140)。次いで、制御部11はすべてのユーザに係る設定履歴情報において、最も古い設定履歴情報を特定し、これを削除する(ステップS150)。
【0103】
そして、制御部11は、ステップS60において実行したジョブに係る新たな設定履歴情報を設定履歴情報記憶領域236に記憶し、処理を終了する(ステップS90)。
【0104】
なお、ステップS100(ステップS10)からステップS70に係る処理が管理者権限でログインした管理ユーザによるものでなかった場合、制御部11は、設定履歴情報削除処理のステップS810に係る処理を実行する(ステップS130;No→ステップS810)。
【0105】
例えば、削除対象となる設定履歴情報の特定が特定手法(1)の“使用回数が最も少ない設定履歴情報の特定”である場合、制御部11は、設定履歴情報の使用実績として設定履歴情報の使用回数を算出する(ステップS810)。
【0106】
そして、制御部11は、使用回数の最も少ない設定履歴情報を特定する(ステップS820)。なお、ステップS810及びステップS820の設定履歴情報の特定に係る処理は、先に説明した特定手法(1)から特定手法(8)の何れかの特定手法、又はこれらの特定手法を複数組み合わせた処理とすることができる。
【0107】
次に、制御部11は、特定した設定履歴情報を削除可能な設定履歴情報としてユーザに明示する(ステップS160)。
【0108】
制御部11は、明示した設定履歴情報の削除指示が入力されたか否かを判定する(ステップS170)。
【0109】
制御部11は、明示した設定履歴情報の削除指示が入力されたと判定すると、特定した使用回数の最も少ない設定履歴情報から、日付の最も古い設定履歴情報を削除する(ステップS170;Yes→ステップS830)。
【0110】
一方、明示した設定履歴情報の削除指示が入力されないと判定した場合、制御部11は、ユーザにより選択された設定履歴情報を削除する(ステップS170;No→ステップS180)。
【0111】
そして、制御部11は、ステップS60において実行したジョブに係る新たな設定履歴情報を設定履歴情報記憶領域236に記憶し、処理を終了する(ステップS90)。
【0112】
このように、管理ユーザに対しては、管理者権限として、全てのユーザの設定履歴情報の削除権限を付与することにより、より効率的な設定履歴情報の管理を行うことができる。また、例えば、同一種の設定履歴情報を複数のユーザが保持する場合、個別管理ではなく、管理者権限に基づき同一保存先を参照する形態とすることで、記憶領域の効率化を図り、全体としての設定履歴情報の記憶数を増加させることも可能である。
【0113】
[2.3 動作例]
次に、第2実施形態に係る動作例について説明する。図16は、ログインユーザ名、ログインパスワード等の認証情報の入力を受け付ける認証画面W40の一構成例を説明する図である。ユーザは、認証画面W40を介してユーザ認証を行うことにより、複合機30に対してログインユーザとしてログインすることができる。
【0114】
認証画面W40は、ログインユーザ名入力ボックスBx10と、ログインパスワード入力ボックスBx12と、認証先指定ボタンB14と、OKボタンB16と、キャンセルボタンB18とを含む。
【0115】
ログインユーザ名入力ボックスBx10は、ログインユーザ名の入力を受け付ける入力ボックスである。複合機30へのログインを試みるユーザや管理者権限でログインを試みる管理ユーザは、ログインユーザ名入力ボックスBx10にログイン名を入力する。なお、ログイン名は、入力ボックス隣に配置された“リストから選択”ボタンの押下により表示される不図示のユーザ名リストから選択することも可能である。
【0116】
ログインパスワード入力ボックスBx12は、ログインユーザ名に対応するログインパスワードの入力を受け付ける入力ボックスである。複合機30へのログインを試みるユーザ等は、ログインユーザ名の入力と併せてログインパスワードを入力する。
【0117】
認証先指定ボタンB14は、ユーザ認証先の指定を受け付けるボタンである。認証先は、装置単体であってもよいし、例えば、ネットワーク上に別途設けられた認証サーバ等を指定することも可能である。認証先として装置単体での認証が選択された場合、制御部11は入力されたログインユーザ名及びログインパスワードを、予め準備した認証情報(例えば、ユーザ名とパスワードとの組み合わせ等)と対比することにより、ユーザ認証を行う。一方、ネットワーク上に設けられた認証サーバ等を利用する場合、制御部11は入力されたログインユーザ名及びログインパスワードを認証サーバに送信し、認証サーバからの認証結果を受信することでユーザ認証を行うことも可能である。
【0118】
OKボタンB16は、ユーザによる入力動作の確定指示を受け付ける。ユーザは、ログインユーザ名入力ボックスBx10及びログインパスワード入力ボックスBx12への入力、認証先指定ボタンB14を介した認証先の指定を確定させる場合に押下する。キャンセルボタンB18は、ユーザによる入力動作のキャンセル指示入力を受け付けるボタンである。
【0119】
図17(a)は、第2実施形態に係る設定履歴表示画面W50の一構成例である。なお、図17(a)で例示する動作例は、図14のステップS120に係る処理に対応する。設定履歴表示画面W50は、第1実施形態に係る設定履歴表示画面W10の構成に加え、ログインユーザ名表示領域R14を含む。
【0120】
設定履歴表示画面W50の設定履歴情報表示領域R10には、図14のステップS110においてユーザ認証に成功したログインユーザに係る設定履歴情報のみが表示される。例えば、図3で例示したジョブID“0099”から“0095”に係る設定履歴情報がログインユーザ“aaaaa”により実行されたものである場合、当該設定履歴情報表示領域R10には、ジョブID“0099”から“0095”に係る設定履歴情報が表示されることになる。また、ログインユーザ名がログインユーザ名表示領域R14に表示されるため、設定履歴表示画面W50を参照するユーザ(ログインユーザ)は、誰の(自己の)実行ジョブに係る設定履歴情報であるかを容易に把握することができる。
【0121】
図17(b)は、図17(a)に示す設定履歴情報の中で、削除対象となる設定履歴情報として図中一点鎖線枠で示すジョブID“0095”に係る設定履歴情報が特定されたと仮定した場合の画面表示例である。なお、本動作例は、図14のステップS60からステップS90の処理に対応する。
【0122】
図17(b)で示されるように、削除対象の設定履歴情報として特定されたジョブID“0095”に係る設定履歴情報は、設定履歴情報表示領域R10に表示されなくなり、新たなコピージョブにより生成されたジョブID“0100”に係る設定履歴情報が、最新の設定履歴情報として設定履歴の最上位位置に表示される。
【0123】
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態に係る効果に加え、認証に成功したログインユーザは、自己の実行ジョブに係る設定履歴情報のみを操作対象とすることができる。これにより、ログインユーザは、他のユーザの実行ジョブに係る設定履歴情報を操作する恐れがないため、不用意に他のユーザの設定履歴情報を削除してしまうといった事故を未然に防ぐことができる。さらに、他のユーザに対して、例えば、イメージ送信ジョブに係る宛先情報等が漏洩する恐れがないため、第2実施形態によれば、セキュリティ性も向上させることができる。
【0124】
[3 第3実施形態]
第1実施形態では、設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達した時点で、削除対象の設定履歴情報の特定のための算出処理を実施する形態であった。第3実施形態では、ジョブ実行後に設定歴情報の使用回数の算出処理を行うことで、設定履歴情報削除処理の効率化を図る形態である。
【0125】
第3実施形態に係る複合機の機能構成は、第1実施形態の複合機10と略同一とすることができる。第3実施形態の場合、設定履歴情報処理プログラム232を読み出した制御部11が、削除対象の設定履歴情報の特定のための算出処理を行えばよい。
【0126】
図18は、第3実施形態に係る設定履歴情報の使用回数の算出処理を説明するフローチャートである。図18での説明では、図5のステップS10からステップS30に係る処理が実行されているものとして説明する。また、図5で説明した処理と同一処理とすることが可能な箇所については、同一のステップ番号を付して説明する。
【0127】
制御部11は、ジョブ種に応じた設定画面を表示する(ステップS40)。次いで、制御部11は、表示された設定画面を介してユーザにより設定値が変更されたか否かを判定する(ステップS190)。
【0128】
ユーザにより設定値が変更されたと判定した場合、制御部11は、当該変更設定値を一時的に記憶する(ステップS190;Yes→ステップS200)。なお、ユーザにより設定値が変更されていないと判定した場合、制御部11は処理をステップS50に移行する(ステップS190;No→ステップS50)。
【0129】
制御部11は、設定画面を介してジョブの実行指示の入力を受け付けると、ジョブを実行する(ステップS50→ステップS60)。
【0130】
制御部11は、設定履歴情報記憶領域236に記憶されている設定履歴情報を参照し、ジョブの実行に係る設定履歴情報と同一のジョブ種、設定値ファイル内容を有する設定履歴情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS210)。
【0131】
同一内容の設定履歴情報が記憶されていると判定すると、制御部11は、使用実績としての設定履歴情報の使用回数Nを読み出す(ステップS210;Yes→ステップS220)。なお、使用回数Nは、設定値項目の一部として設定値ファイルに含めてもよいし、図7での例示のように、設定履歴情報のジョブIDに対して設定履歴情報の使用回数を紐づけた使用回数管理テーブルとして管理してもよい。
【0132】
制御部11は、ステップS220で読み出した使用回数Nに“1”を足すことにより使用回数Nを更新して記憶する(ステップS230→ステップS240)。この場合、ジョブの実行に係る設定履歴情報そのものを新たな設定履歴情報として設定履歴情報記憶領域236に記憶する必要はない。この場合、ステップS200において一時記憶した変更設定値を削除することで、設定履歴情報記憶領域236の記憶容量を圧迫する恐れもない。
【0133】
一方、同一内容の設定履歴情報が記憶されていないと判定すると、制御部11は、当該設定履歴情報を新たな設定履歴情報として設定履歴情報記憶領域236に記憶し(ステップS210;No→ステップS90)、処理を終了する。
【0134】
このように、第3実施形態では、設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達する前に、削除対象とする設定履歴情報を特定するための前処理を行う構成であるため、設定履歴情報削除処理の効率化を実現することができる。
【0135】
ところで、第3実施形態では、設定履歴情報削除処理の効率化を図る上で、削除対象とする設定履歴情報の特定手法として特定手法(1)について説明した。しかしながら、第3実施形態は、図12で例示した特定手法(2)から特定手法(8)の何れについても適用可能である。すなわち、特定手法(2)から特定手法(8)の何れかについて、図18のステップS210からステップS240に対応する処理を、設定履歴情報の記憶数が所定の制限数に達する前(例えば、ジョブの実行直後)に行うことで、設定履歴情報削除処理の効率化を実現することが可能である。
【0136】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0137】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0138】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0139】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray(登録商標)Disk等))、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0140】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【符号の説明】
【0141】
10、30 複合機
11 制御部
13 表示部
15 操作入力部
17 通信部
19 画像形成部
21 画像読取部
23、33 記憶部
231 ジョブ実行プログラム
232 設定履歴情報処理プログラム
233 削除判定プログラム
234 表示処理プログラム
235 設定値ファイル記憶領域
236 設定履歴情報記憶領域
237 ジョブ履歴情報記憶領域
25 給紙部
27 排紙部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18