(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】複合容器及び複合容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 3/28 20060101AFI20250108BHJP
A47G 19/00 20060101ALI20250108BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
B65D3/28 C
A47G19/00 A
B29C39/10
(21)【出願番号】P 2021141754
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
(72)【発明者】
【氏名】川野 朗
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-142716(JP,U)
【文献】実開昭56-147218(JP,U)
【文献】実開昭59-133419(JP,U)
【文献】特開2009-126563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0261464(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0023364(KR,A)
【文献】西独国特許出願公開第03240811(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 3/28
B65D 1/48
B65D 1/40
B65D 1/02
A47G 19/00
B29C 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面及び側面を有し、樹脂製の骨組体と、紙製の筒状体とを用いて構成された収容部を有し、
前記筒状体は、一又は複数の紙製面体を筒状にしたものであり、
前記骨組体は、前記紙製面体の一の端辺と他の端辺との間に介在し、当該端辺同士を接合する接合支柱部を有
し、
前記骨組体は、前記底面に配置されて前記底面の骨組を構成する底骨組体と、前記側面に配置されて前記側面の骨組を構成する側骨組体とを有し、
前記側骨組体は、前記紙製面体により被覆される第一支柱部と、前記接合支柱部と、前記接合支柱部に一体化するように設けられる第二支柱部と、を有し、
前記第一支柱部、前記接合支柱部及び前記第二支柱部の一端はそれぞれ底骨組体に連結されており、前記第二支柱部の断面積は前記第一支柱部の断面積よりも小さく構成される、複合容器。
【請求項2】
前記接合支柱部の断面積及び前記第二支柱部の断面積の和は、前記第一支柱部の断面積と等しい、請求項
1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記底骨組体は
、前記底面の外縁部分を構成する底枠体と、前記底面の中心位置から前記底枠体を介して前記第一支柱部、又は、前記第二支柱部及び接合支柱部に連結される補強部と、を備え、
当該底骨組体は、底面用紙製面体により被覆される、請求項
1又は請求項
2に記載の複合容器。
【請求項4】
前記骨組体は、前記収容部の天面の骨組を構成する天骨組体を備え、
前記第一支柱部、前記接合支柱部及び第二支柱部の他端はそれぞれ前記天骨組体に連結される請求項
1~請求項
3のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項5】
前記天骨組体は、前記天面の外縁部分を構成する天枠体と、前記天枠体から外側に突出するフランジ部とを備える請求項
4に記載の複合容器。
【請求項6】
底面及び側面を有し、樹脂製の骨組体と、紙製の筒状体とを用いて構成された収容部を有する複合容器の製造方法であって、
前記筒状体は、一又は複数の紙製面体を用いて筒状にしたものであり、
前記骨組体は、前記紙製面体の一の端辺と他の端辺との間に介在し、当該端辺同士を接合する接合支柱部を有し、
前記骨組体は、前記底面に配置されて前記底面の骨組を構成する底骨組体と、前記側面に配置されて前記側面の骨組を構成する側骨組体とを有し、
前記側骨組体は、前記紙製面体により被覆される第一支柱部と、前記接合支柱部と、前記接合支柱部に一体化するように設けられる第二支柱部と、を有し、
前記第一支柱部、前記接合支柱部及び前記第二支柱部の一端はそれぞれ底骨組体に連結されており、前記第二支柱部の断面積は前記第一支柱部の断面積よりも小さく構成され、
前記骨組体を成形するための金型に、前記紙製面体をインサート品として所定位置に設置して、前記底面側から前記金型に樹脂を流し込むことで当該複合容器を得る、複合容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合容器及び複合容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロプラスチックをはじめとするプラスチック廃棄物による自然環境への負荷を抑制すべく、使い捨て容器における樹脂量削減に対する取り組みが進められている。具体的な取り組みとして、プラスチック製容器に使用する樹脂量の低減、プラスチック製品から紙製品等への代替等が行われている。さらに、プラスチック製容器と紙製部材とを組み合わせた複合容器なども提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では樹脂製容器と紙製スリーブ(補強部材)とを組み合わせた複合容器が提案されている。当該複合容器では、樹脂製容器の胴部に厚みを0.01mm以上0.09mm以下の薄肉部を設けることで樹脂量の低減を図っている。しかしながら、胴部にこのような薄肉部を設けると、胴部は容易に変形し把持することができない。そこで、当該樹脂製容器では、胴部に連結されるフランジ部と、胴部においてフランジ部に連結される厚肉部と、厚肉部に径方向外方に突出する突出部とを設け、上記薄肉部を厚肉部よりも底部側に配置するものとしている。そして、筒状にした紙製のスリーブに樹脂製容器の胴部を挿入し、スリーブを突出部に支持させることで、樹脂製容器と紙製のスリーブとを容易に取り付けることができ、且つ、薄肉部により低下した樹脂性容器の剛性をスリーブにより補強するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示の複合容器によれば、紙製スリーブにより剛性を得ることで、胴部の樹脂量が大きく削減されている。しかしながら、胴部の上部には厚肉部が設けられており、底部についても所定の強度を維持すべく薄肉部よりも肉厚にされている。そのため、樹脂製部分が比較的多く、使用する樹脂量のより一層の低減が求められる。さらに、上記複合容器では、樹脂製容器と、紙製スリーブとをそれぞれ別個に準備した後に、樹脂製容器に紙製スリーブを取り付ける作業を要する。そのため、製造工程が煩雑であり、製造効率の向上が求められる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、樹脂量の低減と製造効率の向上を図ることのできる複合容器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る複合容器は、底面及び側面を有し、樹脂製の骨組体と、紙製の筒状体とを用いて構成された収容部を有し、前記筒状体は、一又は複数の紙製面体を筒状にしたものであり、前記骨組体は、前記紙製面体の一の端辺と他の端辺との間に介在し、当該端辺同士を接合する接合支柱部を有し、前記骨組体は、前記底面に配置されて前記底面の骨組を構成する底骨組体と、前記側面に配置されて前記側面の骨組を構成する側骨組体とを有し、前記側骨組体は、前記紙製面体により被覆される第一支柱部と、前記接合支柱部と、前記接合支柱部に一体化するように設けられる第二支柱部と、を有し、前記第一支柱部、前記接合支柱部及び前記第二支柱部の一端はそれぞれ底骨組体に連結されており、前記第二支柱部の断面積は前記第一支柱部の断面積よりも小さく構成される。
【0009】
本発明に係る複合容器において、前記接合支柱部の断面積及び前記第二支柱部の断面積の和は、前記第一支柱部の断面積と等しいことが好ましい。
【0010】
本発明に係る複合容器において、前記底骨組体は、前記底面の外縁部分を構成する底枠体と、前記底面の中心位置から前記底枠体を介して前記第一支柱部、又は、前記第二支柱部及び接合支柱部に連結される補強部と、を備え、当該底骨組体は、底面用紙製面体により被覆されることが好ましい。
【0011】
本発明に係る複合容器において、前記骨組体は、前記収容部の天面の骨組を構成する天骨組体を備え、前記第一支柱部、前記接合支柱部及び第二支柱部の他端はそれぞれ前記天骨組体に連結されることが好ましい。
【0012】
前記天骨組体は、天面の外縁部分を構成する天枠体と、前記天枠体から外側に突出するフランジ部とを備えることが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る複合容器の製造方法は、底面及び側面を有し、樹脂製の骨組体と、紙製の筒状体とを用いて構成された収容部を有する複合容器の製造方法であって、前記筒状体は、一又は複数の紙製面体を用いて筒状にしたものであり、前記骨組体は、前記紙製面体の一の端辺と他の端辺との間に介在し、当該端辺同士を接合する接合支柱部を有し、前記骨組体は、前記底面に配置されて前記底面の骨組を構成する底骨組体と、前記側面に配置されて前記側面の骨組を構成する側骨組体とを有し、前記側骨組体は、前記紙製面体により被覆される第一支柱部と、前記接合支柱部と、前記接合支柱部に一体化するように設けられる第二支柱部と、を有し、前記第一支柱部、前記接合支柱部及び前記第二支柱部の一端はそれぞれ底骨組体に連結されており、前記第二支柱部の断面積は前記第一支柱部の断面積よりも小さく構成され、前記骨組体を成形するための金型に、前記紙製面体をインサート品として所定位置に設置して、前記底面側から前記金型に樹脂を流し込むことで当該複合容器を得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る複合容器によれば、収容部を樹脂製の骨組体と紙製の筒状体とを用いて構成することで、収容部全体を樹脂で構成する場合と比較すると、使用する樹脂量を大きく低減することができる。さらに、骨組体についても紙製の筒状体のみでは不足する分の強度を補うことができる程度の厚み等にすればよいため、骨組体に要する樹脂量も少なくて済む。
【0015】
また、紙製の筒状体は、一又は複数の紙製面体を筒状にしたものである。紙製面体を筒状にする際には、例えば、1枚の紙製面体を丸めて一の端辺部分と他の端辺部分とを接合する必要がある。また、複数枚の紙製面体を用いる場合には、各紙製面体同士の端辺部分を接合する必要がある。本発明では、紙製面体の一の端辺と他の端辺とを、その間に介在させた接合支柱部により接合するものとしている。従って、例えば、インサート成形法を採用し、樹脂製の骨組体を製造するための金型に、紙製面体を所定位置にセットして樹脂を充填することで、樹脂製部分と紙製部分とを別個に製造して組み立てるといった作業が不要となり、製造効率の向上を図ることができる。
【0016】
以上より本発明に係る複合容器及び複合容器の製造方法によれば、樹脂量の低減と製造効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態の複合容器を説明するための図であり、(a)は当該複合容器を示す上面図であり、(b)は当該複合容器の一部断面図である。但し、断面部分は(a)のA-A断面を表す。
【
図2】
図1に示す複合容器の筒状体を構成する側面用紙製面体及び底面用面体を示す図である。
【
図4】
図4のDの符号を付した領域の拡大図(a)及びEの符号を付した領域の拡大図である。
【
図5】
図1に示す複合容器の天面部分を示す側断面図であり、(a)は
図1(a)のA-A断面に対応する位置の側断面であり、(b)は
図1(b)のDで囲む領域に対応する位置の側断面であり(c)は
図1(a)におけるA-A断面及びB-B断面のいずれにも該当しない位置の側断面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の複合容器及び複合容器の製造方法について説明する。
【0019】
1.複合容器
図1を参照しながら、本実施の形態の複合容器100の概略構成を説明する。当該複合容器100は、
図1(b)に示すように、底面11及び側面12を有し、天面13が開口する収容部10を有する。収容部10はカップ状を呈し、底面11及び天面13はそれぞれ円形であり、天面13の方が底面11よりも大径になっている。底面11及び天面13は同軸であり、それぞれの中心を通る線を中心軸線Oとする。但し、
図1(a)は当該複合容器100を示す上面図であり、(b)は当該複合容器100の一部断面図である。
【0020】
当該複合容器100は、樹脂製部材と紙製部材とを一体化したハイブリッド容器である。具体的には、収容部10は樹脂製部材によりその骨組となる部分(以下、骨組体20)が構成されており、紙製の筒状体30が骨組体20に接合され、骨組体20を被覆している。以下、骨組体20に関し、収容部10の側面部分の骨組を構成する部分を側骨組体21と称し、底面部分の骨組を構成する部分を底骨組体22と称し、天面部分の骨組を構成する部分を天骨組体23と称する。
【0021】
図1(a)、(b)に示すように、側骨組体21は、一端が底骨組体22に連結され、他端が天骨組体23に連結される4本の支柱部(21a、21b)を備えている。これら4本の支柱部(21a、21b)は等間隔に配置される。
【0022】
底骨組体22は、収容部10の底面11の外縁部分を構成する底枠体22aと、底面11の強度を補うための補強部22bとを備えている。底枠体22aは断面がL字状の環状枠として構成されている。補強部22bは中心軸線Oを中心とする十字状を呈する。補強部22bは底面11の中心位置から90度間隔で延びる板状部材の端部は各支柱部(21a、21b)に連結されると共に、底枠体22aに連結されている。
【0023】
天骨組体23は、収容部10の天面13の外縁部分を構成する天枠体23aと、天枠体23aから外側に突出するフランジ部23bとを備えている。天枠体23aは高さ方向に所定長を有するリング枠状に構成されている。天枠体23aの天端にフランジ部23bが連設されている。
【0024】
本実施の形態において筒状体30は、
図2(a)に示す扇形形状の側面用紙製面体(紙製面体)31を丸め、その一の端辺31aと他の端辺31bとを接合することで筒状にされたものである。なお、後述するように一の端辺31aと他の端辺31bとは、側骨組体21に設けられる接合支柱部21cにより接合される。
また、本実施の形態では、筒状体30は
図2(b)に示す底骨組体22を被覆するための円形の底面用紙製面体32を備える。
図1(b)に示すように、側面用紙製面体31の底端辺31c(筒状体30の底端辺)は底骨組体22に接合され、その天端辺31dは天骨組体23に接合される。また、底面用紙製面体32の外周縁部分は底骨組体22の底枠体22aに接合され、その内面部分は補強部22bに接合される。
【0025】
次に、
図3~
図5を参照しながら、側骨組体21の構成等についてさらに詳細に説明する。
図3は
図1(b)のC-C断面を表す。4本の支柱部(21a、21b)のうち3本の支柱部21aは、
図3、
図4(a)及び
図5(a)に示すように側面用紙製面体31の内面に接合される。この3本の支柱部21aを以下第一支柱部21aと称し、他の一本の支柱部21bを第二支柱部21bと称する。そして、
図4(a)に示すように、第一支柱部21aと側面用紙製面体31との接合部分の幅を「w1」、厚みを「w2」とし、側面用紙製面体31の厚みを「w3」とする。
【0026】
第二支柱部21bは、
図4(b)に示すように、第一支柱部21aと同じ幅「w1」を有するがその厚み「w4」は第一支柱部21aの厚み「w2」よりも薄く構成されている。そのため、第二支柱部21bの断面積は、第一支柱部21aの断面積よりも小さい。
第二支柱部21bには、
図4(b)及び
図5(b)に示すように径方向外側に突出するように接合支柱部21cが設けられている。
【0027】
図4(b)に示すように、当該接合支柱部21cは側面用紙製面体31と同じ厚み「w3」を有し、側面用紙製面体31の一の端辺31aと他の端辺31bとの間に介在し、これらを接合する。また、第二支柱部21bも側面用紙製面体31の一の端辺31a近傍及び他の端辺31b近傍において、その内面に接合される。
【0028】
本実施の形態の複合容器100では、一実施例として「w1」~「w4」は以下の値を有する。
w1 :4.0mm(第一支柱部21aと側面用紙製面体31との接合面の幅)
w2 :1.0mm(第一支柱部21aの厚み)
w3 :0.2mm(接合支柱部21c及び側面用紙製面体31の厚み)
w4 :0.8mm(第二支柱部21bの厚み)
収容部10の高さ:90mm
底面11の直径 :61mm
天面13の直径 :85mm
【0029】
このように本実施の形態の複合容器100では、w2=w3+w4であり、第一支柱部21aの厚み(w2)と、第二支柱部21b及び接合支柱部21cのそれぞれの厚みの和(w3+w4)が同じ値となるようにした。但し、w1~w4の値は、収容部10の大きさや側面用紙製面体31の強度や厚みに応じて適宜変更することができる。
【0030】
例えば、第一支柱部21aと側面用紙製面体31との接合面の幅(w1)は、側面用紙製面体31の厚み(w3)の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、15倍以上であることがさらに好ましい。また、第一支柱部21aと側面用紙製面体31との接合面の幅(w1)は、側面用紙製面体31の厚み(w3)の35倍以下であることが好ましく、30倍以下であることがより好ましく、25倍以下であることがさらに好ましい。
【0031】
また、第一支柱部21aの厚み(w2)は、側面用紙製面体31の厚み(w3)の2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上であることがより好ましく、3倍以上であることがさらに好ましい。また、第一支柱部21aの厚み(w2)は、側面用紙製面体31の厚み(w3)の7倍以下であることが好ましく、6倍以下であることがより好ましく、5.5倍以下であることがさらに好ましい。
【0032】
さらに、第二支柱部21bの厚み(w4)は、側面用紙製面体31の厚み(w3)の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましく、2.5倍以上であることがさらに好ましい。また、第二支柱部21bの厚み(w4)は、側面用紙製面体31の厚み(w3)の6.5倍以下であることが好ましく、5.5倍以下であることがより好ましく、5倍以下であることがさらに好ましい。これと同時に、第二支柱部21bの厚み(w4)は、第一支柱部21aの厚み(w2)の1倍未満であることが好ましく、0.95倍以下であることが好ましく、0.9倍以下であることがより好ましく、0.85倍以下であることがさらに好ましい。
【0033】
また、本実施の形態では、第一支柱部21a及び第二支柱部21bはそれぞれ底骨組体22から天骨組体23に向かって延びる長尺な板状を呈するが、径方向内側においてその両角は丸められている。本実施の形態では第一支柱部21aと第二支柱部21bでは、それぞれの厚み(w2、w4)に加えて、両角のR形状を変化して、両者の断面形状を異なるものとし、第一支柱部21aの断面積が、第二支柱部21b及び接合支柱部21cのそれぞれの断面積の和と等しくなるようにしている。それにより当該骨組体20の成形時に後述する作用効果が得られる。
【0034】
なお、収容部10の側面12において、側骨組体21の存在しない位置、つまり第一支柱部21a、第二支柱部21b及び接合支柱部21cの存在しない位置では、
図5(c)に示すように、収容部10の側面12は側面用紙製面体31によってのみ構成され、側面用紙製面体31の天端辺31dに天骨組体23が直接接合される。
【0035】
当該複合容器100において、骨組体20を構成する樹脂の種類は特に限定されるものではないが、包装容器材料として用いられるポリプロピレン(ホモポリマー、ブロック共重合体、ランダム共重合体)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の汎用樹脂を広く用いることができる。特に、後述する製造方法を採用する上で、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂であることがより好ましい。
【0036】
筒状体30を構成する紙製面体(31、32)は、植物繊維その他の繊維を膠着させて薄く平らに成形されたものであればよく、いわゆる合成紙や各種プラスチックを積層した積層紙・複合紙でもよく、耐水や耐油等の機能を付与した機能紙でもよい。使用する紙の坪量は適宣設計することができる。特に、後述する製造方法を採用する上で、表層にポリエチレン樹脂等のオレフィン系樹脂層が積層されることで、耐水や耐油等の機能が付与された積層紙であることがより好ましい。
【0037】
2.複合容器の製造方法
次に、上記複合容器100の製造方法について説明する。当該複合容器100を製造する際にはいわゆるインサート成形を採用することができる。上記骨組体20に応じた金型と、予め所定形状に切断加工された側面用紙製面体31及び底面用紙製面体32とを準備する。そして、金型に側面用紙製面体31及び底面用紙製面体32をそれぞれインサート品として所定位置に設置して、樹脂を骨組体20の底面側から流し込む。なお、当該金型は、底骨組体22の補強部22bの中心位置から樹脂を流し込むようにされている。
【0038】
上述のとおり、底骨組体22、側骨組体21及び天骨組体23は互いに連結されている。そのため、補強部22bの中心位置に対応する位置から金型に流し込まれた樹脂は、径方向外側に広がって4方に分流し、底枠体22aを介して、側骨組体21、天骨組体23の順に流れる。本実施の形態では、側骨組体21を構成する3本の第一支柱部21aの断面積と、第二支柱部21b及び接合支柱部21cの断面積の和が等しくされている。そのため、3本の第一支柱部21aと、第二支柱部21b及び接合支柱部21cに対して、それぞれ同じ速度で樹脂を流し込まれる。その結果、金型の天骨組体23に対応する位置には、4箇所から同量の樹脂が同じ速度で流れ込むため、天枠体23aはフランジ部23bに対応する位置に均等に樹脂を充填することができ、フランジ部23bの厚み等を均一にすることができる。
【0039】
このとき、充填樹脂材としてポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を用い、側面用紙製面体31及び底面用紙製面体32として表面の少なくとも骨組体20と接合される側の面にポリエチレン層等のポリオレフィン系樹脂層が積層された積層紙を用いることで、上記インサート成形時に骨組体20と各紙製面体(31、32)とが熱融着し、接着剤等を使用せずとも骨組体20と各紙製面体(31、32)とを接合することができる。
【0040】
上記説明した複合容器100によれば、側面用紙製面体31を筒状にした筒状体30により主として収容部10を構成しつつ、樹脂製の骨組体20により筒状体30の強度を補うことができる。従って、収容部10全体を樹脂で構成する場合と比較すると、使用する樹脂量を大きく低減することができる。さらに、骨組体20についても紙製の筒状体30のみでは不足する分の強度を補うことができる程度の厚み等にすればよいため、骨組体20に要する樹脂量も少なくて済む。
【0041】
さらに、筒状体30は、一枚の側面用紙製面体31を筒状にしたものである。上記実施の形態では、側面用紙製面体31の一の端辺31aと他の端辺31bとをその間に介在させた接合支柱部21cにより接合するものとしている。そのため、上述したように、インサート成形法を採用し、骨組体20を製造するための金型に、各紙製面体(31,32)をインサート品として所定位置にセットして、樹脂を充填することで、上記複合容器100を製造することができる。従って、複合容器100を製造する際に、樹脂製の骨組体20と紙製の筒状体30とを別個に製造して組み立てるといった作業が不要となり、製造効率の向上を図ることができる。
【0042】
従って、上記実施の形態の複合容器100及び複合容器100の製造方法によれば、樹脂量の低減と製造効率の向上を図ることができる。
【0043】
以上説明した複合容器100及び複合容器100の製造方法は、本発明に係る複合容器及び複合容器の製造方法の一態様に過ぎず、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施の形態では、例えば、上記実施の形態では、骨組体20を筒状体30の内側に接合し、骨組体20が筒状体30により被覆されるものとしたが、本発明に係る複合容器は当該態様に限定されるものではない。例えば、骨組体20を筒状体30の外側に接合し、収容部10の内側に骨組体20が配置されないようにしてもよいし、骨組体20の一部(例えば、支柱部21aの一部、或いは、底骨組体22等)が筒状体30の外側から接合され、残りが筒状体30の内側から接合されるなど種々の態様を適用することができる。上記実施の形態のように骨組体20を筒状体30で被覆すれば、外部から骨組体20が視認されず、例えば筒状体30の表面に各種意匠を施すことが容易になる。そのため、デザイン性の高い外観を得るなどの点から好適である。一方、骨組体20を筒状体30の外側から接合すれば、収容部10の内側に骨組体20が存在しないため、例えば、収容部10にヨーグルト、プリン、或いはクリーム等の化粧品等を収容したときに、骨組体20と筒状体30との接合部分にこれらの内容物が付着して内容物をきれいに取り出すことができないといった不具合が生じることを抑制することができる。内容物に応じて、骨組体20を筒状体30の内側に配置するか、或いは外側に配置するか等については適宜選択することができる。
【0044】
また、上記実施の形態では収容部10が、その底面11及び天面13が円形のカップ状に形成された収容部10を例示したが、収容部10の具体的な形状は特に限定されるものではない。例えば、深皿状、或いは壜状等に形成されていてもよく、底面11及び天面13の形状についても円形に限らず、正方形、長方形等であってもよいし、多角形状等であってもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、1枚の側面用紙製面体31を丸めて、一の端辺31aと他の端辺31bとを接合するものとしたが、収容部10の側面12を構成する際に用いる側面用紙製面体31の枚数は特に限定されるものではなく、2枚以上を用いて、各側面用紙製面体31の端辺同士を接合することにより筒状体30を得てもよい。また、1枚の側面用紙製面体31は切り込み部分を有していてもよく、その切断辺同士を上記実施の形態と同様に側骨組体21の一部を用いて接合するようにしてもよい。そのようにすれば多様な形状の収容部10を形成することができる。
【0046】
さらに、上記実施の形態では、底骨組体22と底面用紙製面体32とを用いて、収容部10の底面11を構成したが、底骨組体22の形状は特に限定されるものではなく、当該複合容器100に要求される底面11の強度を維持することができれば、補強部22bを設ける必要はない。また、底面11の全面が樹脂製の底板材により構成されていてもよく、底面11の構成は特に限定されるものではない。
【0047】
天面13側の構成についても同様に上記実施の形態で示した構成に限定されるものではない。上記実施の形態では、天面13の全面が開口するものとしたが、例えば、天面13を塞ぐ蓋が設けられていてもよいのは勿論である。また、天面13に天壁等が設けられ、その一部に収容部10に収容された内容物を取り出すための吐出口などが設けられていてもよい。
また、インサート成形により上記複合容器100を製造すれば、製造効率も良好であるが、骨組体20と、紙製面体31、32をそれぞれ別個に準備し、骨組体20に対して紙製面体31を接着剤等用いて接着、或いは局所的に熱を加えて溶着する等により両者を接合してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 :収容部
11 :底面
12 :側面
13 :天面
20 :骨組体
21 :側骨組体
21a :第一支柱部(支柱部)
21b :第二支柱部(支柱部)
21c :接合支柱部
22 :底骨組体
22a :底枠体
22b :補強部
23 :天骨組体
23a :天枠体
23b :フランジ部
30 :筒状体
31 :側面用紙製面体
31a :端辺
31b :端辺
31c :底端辺
31d :天端辺
32 :底面用紙製面体
100 :複合容器
O :中心軸線