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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】VAP-1の阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20250108BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20250108BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20250108BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250108BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250108BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
C07D471/04 108A
A61K31/437
A61K31/5025
A61K31/519
A61P27/02
A61P43/00 111
C07D471/04 101
C07D471/04 106A
C07D487/04 CSP
C07D487/04 144
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021517588
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 US2019053487
(87)【国際公開番号】W WO2020069335
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】62/738,933
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519222900
【氏名又は名称】アキュセラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーム、マーク、ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ズニガ、エディソン、エス.
(72)【発明者】
【氏名】ククサ、ウラジミール、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】クラフト、ラッセル、スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】サヴェードラ、エデュアルド、モレノ
(72)【発明者】
【氏名】メイスナー、ヨハンネス、ヴィルヘルム、ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】デン ハルトグ、ヤコブス、アントニウス、ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ドロス、アルベルト、コルネリス
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/120528(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/124696(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/073154(WO,A1)
【文献】特表2015-521167(JP,A)
【文献】特表2022-511374(JP,A)
【文献】Journal of Ophthalmology,2013年,vol.2013,p.1-8,Article ID 925267
【文献】RN 2228931-88-0 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2018年06月28日,検索日:28 JUL 2023
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
A61K 31/437
A61K 31/5025
A61K 31/519
C07D 487/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(IV)
【化1】

[式中、
およびXが独立して、=N-または=CH-であり、XおよびXの少なくとも1つは、=N-であり、
が、=N-または-CR-であり、
が、=N-または-CR-であり、
Yが、-O-であり、
z1が、1であり、
n1、n5、およびn6が独立して、0~4の整数であり、
m1、m5、m6、v、v5、およびv6が独立して、1または2であり、
が、結合、-O-、-S-、-NR1L-、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンであり、
1Lが、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が独立して、水素、ハロゲン、-CX1.1 、-CHX1.1 、-CH1.1、-CN、-SOn11A、-SOv1NR1B1C、-NHNR1B1C、-ONR1B1C、-NHC(O)NHNR1B1C、-NHC(O)NR1B1C、-N(O)m1、-NR1B1C、-C(O)R1D、-C(O)OR1D、-C(O)NR1B1C、-OR1A、-NR1BSO1A、-NR1BC(O)R1D、-NR1BC(O)OR1D、-NR1BOR1D、-OCX1.1 、-OCHX1.1 、R12置換もしくは非置換アルキル、R12置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12置換もしくは非置換シクロアルキル、R12置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12置換もしくは非置換アリール、またはR12置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が、水素であり、
およびRが独立して、水素または-Fであり、
が、水素、ハロゲン、-CX5.1 、-CHX5.1 、-CH5.1、-CN、-N、-SOn55A、-SOv5NR5B5C、-NHNR5B5C、-ONR5B5C、-NHC(O)NHNR5B5C、-NHC(O)NR5B5C、-N(O)m5、-NR5B5C、-C(O)R5D、-C(O)OR5D、-C(O)NR5B5C、-OR5A、-NR5BSO5A、-NR5BC(O)R5D、-NR5BC(O)OR5D、-NR5BOR5D、-OCX5.1 、-OCHX5.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が、水素、ハロゲン、-CX6.1 、-CHX6.1 、-CH6.1、-CN、-N、-SOn66A、-SOv6NR6B6C、-NHNR6B6C、-ONR6B6C、-NHC(O)NHNR6B6C、-NHC(O)NR6B6C、-N(O)m6、-NR6B6C、-C(O)R6D、-C(O)OR6D、-C(O)NR6B6C、-OR6A、-NR6BSO6A、-NR6BC(O)R6D、-NR6BC(O)OR6D、-NR6BOR6D、-OCX6.1 、-OCHX6.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
12が、水素、ハロゲン、-CX12.1 、-CHX12.1 、-CH12.1、-CN、-NR12B12C、-C(O)R12D、-C(O)OR12D、-C(O)NR12B12C、-OR12A、-OCX12.1 、-OCHX12.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Aが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12A置換もしくは非置換アルキル、R12A置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12A置換もしくは非置換シクロアルキル、R12A置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12A置換もしくは非置換アリール、またはR12A置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Bが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12B置換もしくは非置換アルキル、R12B置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12B置換もしくは非置換シクロアルキル、R12B置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12B置換もしくは非置換アリール、またはR12B置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Cが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12C置換もしくは非置換アルキル、R12C置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12C置換もしくは非置換シクロアルキル、R12C置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12C置換もしくは非置換アリール、またはR12C置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、あるいは同じ窒素原子へ結合したR1B置換基およびR1C置換基は場合により、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成するよう結合していてもよく、
1Dが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12D置換もしくは非置換アルキル、R12D置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12D置換もしくは非置換シクロアルキル、R12D置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12D置換もしくは非置換アリール、またはR12D置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
5A、R5B、R5C、R5D、R6A、R6B、R6C、R6D、R12A、R12B、R12C、およびR12Dが独立して、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、あるいは、同じ窒素原子へ結合したR5B置換基およびR5C置換基、R6B置換基およびR6C置換基、またはR12B置換基およびR12C置換基は場合により、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成するよう結合していてもよく、
1.1、X5.1、X6.1、およびX12.1が独立して、-Cl、-Br、-I、あるいは-Fであり、
置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、または置換もしくは非置換アルキレンは、完全に飽和されている]
によって表される化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項2】
構造式(V-A):
【化4】

[R、R、R、R、R、R、X、X、L、Y、およびz1は、請求項1に規定する通りである]
によって表される、請求項1に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項3】
構造式(V-B):
【化5】

[R、R、R、R、R、R、X、X、L、Y、およびz1は、請求項1に規定する通りである]
によって表される請求項1に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項4】
構造式(VI-A):
【化6】

[R、R、R、R、R、X、X、L、Y、およびz1は、請求項1に規定する通りである]
によって表される、請求項1に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項5】
構造式(VI-B):
【化7】

[XはCHであり、XはNであり、R、R、R、R、R、L、Y、およびz1は、請求項1に規定する通りである]
によって表される、請求項1に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項6】
構造式(VII-A):
【化8】

[R、R、R、R、R、X、X、L、Y、およびz1は、請求項1に規定する通りである]
によって表される、請求項1に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項7】
構造式(VII-B):
【化9】

[R、R、R、R、R、X、X、L、Y、およびz1は、請求項1に規定する通りである]
によって表される、請求項1に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項8】
およびRが独立して、あるいはRまたはRは、水素、-F、-Brまたは-CHである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項9】
が-FでありかつRが水素である化合物と、Rが水素でありかつRが-Fである化合物との混合物を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項10】
が、水素である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項11】
が、結合、-NR1L-、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレンであり、前記置換もしくは非置換アルキレン、または前記置換もしくは非置換ヘテロアルキレンは、完全に飽和されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項12】
が、-NR1B1C、-C(O)NR1B1C、-OR1A、R12置換もしくは非置換アルキル、R12置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12置換もしくは非置換シクロアルキル、R12置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12置換もしくは非置換アリール、またはR12置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、前記置換もしくは非置換アルキレン、または前記置換もしくは非置換ヘテロアルキレンは、完全に飽和されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項13】
が、R12置換もしくは非置換シクロアルキルである、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項14】
下記式:
【化18】

によって表される化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物と、少なくとも1つの医薬として許容され得る賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
血管接着タンパク質-1(VAP-1)を阻害するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
眼の疾患あるいは障害を処置する必要のある対象における眼の疾患あるいは障害を処置するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
眼の疾患または障害が、ぶどう膜炎である、請求項17に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月28日出願の米国仮出願第62/738,933号の利益を主張しており、先行出願の開示は、本出願の開示の一部と見なされ、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ぶどう膜炎などのVAP-1タンパク質活性によって介在される疾患および障害の有効な処置のための化合物についての必要性が医学分野に存在する。当技術分野におけるこの課題および他の課題に対する解決策が、本明細書に開示される。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、構造式(IV):
【化1】

を有する化合物であって、
式中、
およびXが独立して、=N-または=CH-であり、
が、=N-または-CR-であり、
が、=N-または-CR-であり、
Yが、結合、-O-、-S-、-NR-、-OCX-、-(CHZ2W-、-C(O)O-、または-C(O)NH-であり、
Wが、結合、-O-、-S-、または-NH-であり、
z1およびz2が独立して、0~3の整数であり、
n1、n2、n5、n6、およびn7が独立して、0~4の整数であり、
m1、m2、m5、m6、m7、v1、v2、v5、v6、およびv7が独立して、1または2であり、
が、結合、-O-、-S-、-NR1L-、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンであり、
1Lが、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が独立して、水素、ハロゲン、-CX1.1 、-CHX1.1 、-CH1.1、-CN、-SOn11A、-SOv1NR1B1C、-NHNR1B1C、-ONR1B1C、-NHC(O)NHNR1B1C、-NHC(O)NR1B1C、-N(O)m1、-NR1B1C、-C(O)R1D、-C(O)OR1D、-C(O)NR1B1C、-OR1A、-NR1BSO1A、-NR1BC(O)R1D、-NR1BC(O)OR1D、-NR1BOR1D、-OCX1.1 、-OCHX1.1 、R12置換もしくは非置換アルキル、R12置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12置換もしくは非置換シクロアルキル、R12置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12置換もしくは非置換アリール、またはR12置換もしくは非置換ヘテロアリール、または少なくとも1つのアミノ酸であり、
が、水素、ハロゲン、-CX2.1 、-CHX2.1 、-CH2.1、-CN、-SOn22A、-SOv2NR2B2C、-NR2B2C、-C(O)R2D、-C(O)OR2D、-C(O)NR2B2C、-OR2A、-OCX2.1 、-OCHX2.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
およびRが独立して、水素または-Fであり、
が、水素、ハロゲン、-CX5.1 、-CHX5.1 、-CH5.1、-CN、-N、-SOn55A、-SOv5NR5B5C、-NHNR5B5C、-ONR5B5C、-NHC(O)NHNR5B5C、-NHC(O)NR5B5C、-N(O)m5、-NR5B5C、-C(O)R5D、-C(O)OR5D、-C(O)NR5B5C、-OR5A、-NR5BSO5A、-NR5BC(O)R5D、-NR5BC(O)OR5D、-NR5BOR5D、-OCX5.1 、-OCHX5.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が、水素、ハロゲン、-CX6.1 、-CHX6.1 、-CH6.1、-CN、-N、-SOn66A、-SOv6NR6B6C、-NHNR6B6C、-ONR6B6C、-NHC(O)NHNR6B6C、-NHC(O)NR6B6C、-N(O)m6、-NR6B6C、-C(O)R6D、-C(O)OR6D、-C(O)NR6B6C、-OR6A、-NR6BSO6A、-NR6BC(O)R6D、-NR6BC(O)OR6D、-NR6BOR6D、-OCX6.1 、-OCHX6.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が、水素、ハロゲン、-CX7.1 、-CHX7.1 、-CH7.1、-CN、-SOn77A、-SOv7NR7B7C、-NR7B7C、-C(O)R7D、-C(O)OR7D、-C(O)NR7B7C、-OR7A、-OCX7.1 、-OCHX7.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
12が、水素、ハロゲン、-CX12.1 、-CHX12.1 、-CH12.1、-CN、-SOn1212A、-SOv12NR12B12C、-NR12B12C、-C(O)R12D、-C(O)OR12D、-C(O)NR12B12C、-OR12A、-OCX12.1 、-OCHX12.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Aが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12A置換もしくは非置換アルキル、R12A置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12A置換もしくは非置換シクロアルキル、R12A置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12A置換もしくは非置換アリール、またはR12A置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Bが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12B置換もしくは非置換アルキル、R12B置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12B置換もしくは非置換シクロアルキル、R12B置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12B置換もしくは非置換アリール、またはR12B置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Cが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12C置換もしくは非置換アルキル、R12C置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12C置換もしくは非置換シクロアルキル、R12C置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12C置換もしくは非置換アリール、またはR12C置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、あるいは同じ窒素原子へ結合したR1B置換基およびR1C置換基は場合により、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成するよう結合していてもよく、
1Dが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12D置換もしくは非置換アルキル、R12D置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12D置換もしくは非置換シクロアルキル、R12D置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12D置換もしくは非置換アリール、またはR12D置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
2A、R2B、R2C、R2D、R5A、R5B、R5C、R5D、R6A、R6B、R6C、R6D、R7A、R7B、R7C、R7D、R12A、R12B、R12C、およびR12Dが独立して、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、あるいは、同じ窒素原子へ結合したR2B置換基およびR2C置換基、R5B置換基およびR5C置換基、R6B置換基およびR6C置換基、R7B置換基およびR7C置換基、R8B置換基およびR8C置換基、またはR12B置換基およびR12C置換基は場合により、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成するよう結合していてもよく、
X、X1.1、X2.1、X5.1、X6.1、X7.1、およびX12.1が独立して、-Cl、-Br、-I、あるいは-Fである、化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグが本明細書で提供される。
【0004】
別の態様では、構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと、少なくとも1つの医薬として許容され得る賦形剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0005】
一態様では、構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグを用いて血管接着タンパク質1(VAP-1)を阻害する方法が提供される。
【0006】
一態様では、眼の疾患または障害を処置または予防することを必要とする対象に、治療有効量の構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ、またはそれらの医薬として許容され得る塩を投与することを含む、該対象における眼の疾患または障害を処置または予防する方法が提供される。
【0007】
別の態様では、ぶどう膜炎を処置または予防することを必要とする対象に、治療有効量の構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ、またはそれらの医薬として許容され得る塩を投与することを含む、該対象におけるぶどう膜炎を処置または予防する方法が提供される。
【0008】
参照による組み込み
本明細書のすべての公表物、特許、および特許出願は、各個々の公表物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例えば、血管接着タンパク質1(VAP-1)を阻害するための化合物および組成物、ならびにそれを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。また、例えば、VAP-1の調節(例えば、阻害)によって介在される、疾患、障害、もしくは容態、またはそれらの症状を処置または予防する方法が、本明細書で提供される。
【0010】
I.定義
本明細書で使用される略語は、化学および生物学の分野におけるそれらの従来の意味を有する。本明細書で述べる化学構造および化学式は、化学の分野で公知の化学原子価の標準規則によって構築されている。
【0011】
置換基が左から右に書かれた従来の化学式によって指定されている場合、該置換基は右から左に構造を書くことから生じる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CHO-は、-OCH-と等価である。
【0012】
「アルキル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、完全に飽和した、一価不飽和または多価不飽和であることができる、直鎖(すなわち、非分枝)もしくは分枝炭素鎖(または炭素)、またはそれらの組み合わせを意味しており、指定された炭素原子数を有する一価ラジカル、二価ラジカル、および多価ラジカルを含むことができる(すなわち、C~C10は、1~10個の炭素を意味する)。アルキルは非環化鎖である。飽和炭化水素ラジカルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、(シクロヘキシル)メチル、これらの同族体および異性体、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの基が含まれるが、それらに限定されない。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例には、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニルおよび3-プロピニル、3-ブチニルならびにより高次の同族体および異性体が含まれるが、これらに限定されない。アルコキシは、酸素リンカー(-O-)を介して該分子の残部に結合したアルキルである。
【0013】
「アルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、-CHCHCHCH-によって例示されるがこれに限定されない、アルキルに由来する二価ラジカルを意味する。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有しており、本明細書では、10個以下の炭素原子を有する該基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に8個以下の炭素原子を有する、より短い鎖のアルキル基またはアルキレン基である。「アルケニレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、アルケンに由来する二価ラジカルを意味する。
【0014】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、安定した直鎖もしくは分枝鎖、または少なくとも1つの炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、N、P、Si、およびS)を含むその組み合わせを意味しており、窒素原子および硫黄原子は場合により酸化されていてよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてよい。ヘテロ原子(複数可)(例えば、N、S、Si、またはP)は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、またはアルキル基が分子の残部に結合している位置に配置されていてよい。ヘテロアルキルは非環化鎖である。例には、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、-CH=CH-N(CH)-CH、-O-CH、-O-CH-CH、および-CNが含まれるが、これらに限定されない。例えば、-CH-NH-OCHおよび-CH-O-Si(CHなど、最多2つまたは3つのヘテロ原子が連続していてよい。ヘテロアルキル部分は、1つのヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでよい。ヘテロアルキル部分は、場合により異なる2つのヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでよい。ヘテロアルキル部分は、場合により異なる3つのヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでよい。ヘテロアルキル部分は、場合により異なる4つのヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでよい。ヘテロアルキル部分は、場合により異なる5つのヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでよい。ヘテロアルキル部分は、場合により異なる最多8つのヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、またはP)を含んでよい。
【0015】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、-CH-CH-S-CH-CH-および-CH-S-CH-CH-NH-CH-によって例示されるがこれらに限定されない、ヘテロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子はまた、鎖末端の片方かまたは両方を占めることもできる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なおさらに、アルキレン連結基およびヘテロアルキレン連結基については、連結基の式が書かれている方向によって連結基の向きが暗示されることはない。例えば、式-C(O)R’-は、-C(O)R’-および-R’C(O)-の両方を表している。先に説明したように、本明細書で使用されるヘテロアルキル基には、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R’’、-OR’、-SR’、および/または-SOR’などのヘテロ原子を経て分子の残部に結合している基が含まれる。「ヘテロアルキル」が列挙され、続いて-NR’R’’などの具体的なヘテロアルキル基が列挙される場合、ヘテロアルキルおよび-NR’R’’という用語は冗長ではなく、または相互に排他的ではないことが理解されよう。むしろ、明確さを追加するために、具体的なヘテロアルキル基が列挙されている。したがって、「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書では、-NR’R’’などの具体的なヘテロアルキル基を除外するものとして解釈されるべきではない。
【0016】
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、それぞれ、特に明記しない限り、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状版を意味する。シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは芳香族ではない。加えて、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、複素環が該分子の残部に結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例には、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが含まれるが、これらに限定されない。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」は、単独で、または別の置換基の一部として、それぞれ、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。「シクロアルキル」はまた、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどの二環式炭化水素環および多環式炭化水素環を指すことも意味する。
【0017】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、「ハロ(C~C)アルキル」という用語は、これらに限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含む。
【0018】
「アシル」という用語は、特に明記しない限り、-C(O)Rを意味し、式中、Rは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。
【0019】
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、多価不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味しており、該置換基は、単一の環または一緒に縮合した(すなわち、縮合環アリール)かまたは共有結合した複数の環(好ましくは1~3の環)であることができる。縮合環アリールは、一緒に縮合した複数の環を指し、該縮合環の少なくとも1つはアリール環である。「ヘテロアリール」という用語は、窒素原子および硫黄原子が場合により酸化され、窒素原子(複数可)が場合により四級化される、N、O、またはSなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指す。したがって、「ヘテロアリール」という用語は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、縮合環の少なくとも1つがヘテロ芳香環である、一緒に縮合した複数の環)を含む。5,6-縮合環ヘテロアリーレンは、一緒に縮合した2つの環であって、片方の環が5員を有し、もう片方の環が6員を有し、かつ少なくとも1つの環がヘテロアリール環である、2つの環を指す。同様に、6,6-縮合環ヘテロアリーレンは、一緒に縮合した2つの環であって、片方の環が6員を有し、もう片方の環が6員を有し、かつ少なくとも1つの環がヘテロアリール環である、2つの環を指す。および、6,5-縮合環ヘテロアリーレンは、一緒に縮合した2つの環であって、片方の環が6員を有し、もう片方の環が5員を有し、かつ少なくとも1つの環がヘテロアリール環である、2つの環を指す。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を経て分子の残部に結合することができる。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフチル、ピロリル、ピラゾリル、ピリダジニル、トリアジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、ピラジニル、プリニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラン、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチオフェニル、イソキノリル、キノキサリニル、キノリル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが含まれる。先に記載のアリール環系およびヘテロアリール環系の各々についての置換基は、以下に説明される許容され得る置換基の群から選択される。「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、単独で、または別の置換基の一部として、それぞれ、アリールおよびヘテロアリールに由来する二価ラジカルを意味する。ヘテロアリール基置換基は、環ヘテロ原子である窒素に-O-結合していてよい。
【0020】
スピロ環は、隣接する環が単一の原子を経て結合している2つ以上の環である。スピロ環内での個々の環は同一であっても異なっていてもよい。スピロ環の個々の環は、置換または非置換であってよく、一組のスピロ環内での他の個々の環とは異なる置換基を有してよい。スピロ環内での個々の環についての可能な置換基は、スピロ環の一部ではないときに同じ環についての可能な置換基(例えば、シクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環についての置換基)である。スピロ環は、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキレン、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレンであってよく、スピロ環基内での個々の環は、1つの種類からなるすべての環を有することを含む、直前のリストのいずれかであってよい(例えば、すべての環が、各環が同じかまたは異なる置換ヘテロシクロアルキレンであってよい置換ヘテロシクロアルキレンであってよい)。スピロ環系に言及するとき、複素環式スピロ環は、少なくとも1つの環が複素環であり、かつ各環が異なる環であってよい、スピロ環を意味する。スピロ環系に言及するとき、置換スピロ環は、少なくとも1つの環が置換されており、かつ各置換基が場合により異なっていてよいことを意味する。
【0021】
記号
【化2】

は、分子または化学式の残部への化学部分の結合点を示す。
【0022】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、炭素原子に二重結合している酸素を意味する。
【0023】
本明細書で使用される「アルキルアリーレン」という用語は、アルキレン部分(本明細書ではアルキレンリンカーとも称する)に共有結合しているアリーレン部分を意味する。いくつかの実施形態では、アルキルアリーレン基は、以下の式を有する。
【化3】
【0024】
アルキルアリーレン部分は、アルキレン部分またはアリーレンリンカー(例えば、炭素2、3、4、または6で)上で、(例えば、置換基と)ハロゲン、オキソ、-N、-CF、-CCl、-CBr、-Cl、-CN、-CHO、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOCH-SOH、-OSOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC(O)NHNH、置換もしくは非置換C~Cアルキル、または置換もしくは非置換2~5員ヘテロアルキル)で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、アルキルアリーレンは非置換である。
【0025】
先の用語の各々(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、および「ヘテロアリール」)は、示されたラジカルの置換型および非置換、の両方を含む。各種類のラジカルについてのある特定の置換基を以下に提供する。
【0026】
アルキルラジカルおよびヘテロアルキルラジカルについての置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしば称される該基を含む)は、限定されないが、0~(2m’+1)の範囲の数において(m’は、このようなラジカルにおける炭素原子の総数)、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-NR’NR’’R’’’、-ONR’R’’、-NR’C(O)NR’’NR’’’R’’’’、-CN、-NO、-NR’SOR’’、-NR’C(O)R’’、-NR’C(O)-OR’’、-NR’OR’’から選択されるさまざまな基のうちの1つ以上であることができる。R、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’は各々、好ましくは独立して、水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール(例えば、1~3個のハロゲンで置換されたアリール)、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アルキル基、アルコキシ基、もしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本明細書に説明される化合物が複数のR基を含む場合、例えば、R基の各々は独立して、これらの複数の基が存在するときの各R’基、R’’基、R’’’基、およびR’’’’基と同様に独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合しているとき、該R’およびR’’を窒素原子と合わせて、4員環、5員環、6員環、または7員環を形成することができる。例えば、-NR’R’’には、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルが含まれるが、これらに限定されない。置換基の先の論議から、当業者は、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、-CFおよび-CHCF)およびアシル(例えば、-C(O)CH、-C(O)CF、-C(O)CHOCHなど)など、水素基以外の基に結合している炭素原子を含む基を含むことを意味することを理解するであろう。
【0027】
アルキルラジカルについて説明された置換基と同様に、アリール基およびヘテロアリール基についての置換基はさまざまであり、例えば、芳香環系における開いた原子価の0から芳香族の総数までの範囲の数において、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-NR’NR’’R’’’、-ONR’R’’、-NR’C(O)NR’’NR’’’R’’’’、-CN、-NO、-R’、-N、-CH(Ph)、フルオロ(C~C)アルコキシ、およびフルオロ(C~C)アルキル、-NR’SOR’’、-NR’C(O)R’’、-NR’C(O)-OR’’、-NR’OR’’から選択され、式中、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’は、好ましくは、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択される。本明細書に説明される化合物が複数のR基を含む場合、例えば、R基の各々は独立して、これらの複数の基が存在するときの各R’基、R’’基、R’’’基、およびR’’’’基と同様に独立して選択される。
【0028】
環についての置換基(例えば、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレン)は、環の特定の原子上ではなく、むしろ環上の置換基(一般に浮遊置換基と称される)として示すことができる。このような場合、置換基は(化学的原子価則に従って)環原子のいずれかに結合することができ、縮合環またはスピロ環の場合、縮合環またはスピロ環の1員と会合しているように示される置換基(単一の環上の浮遊置換基)は、縮合環またはスピロ環のいずれかの上の置換基(複数の環上の浮遊置換基)であってよい。置換基が環に結合しているが、特定の原子(浮遊置換基)には結合しておらず、置換基についての下付き文字が1より大きな整数であるとき、複数の置換基は同じ原子、同じ環、異なる原子、異なる縮合環、異なるスピロ環上にあってよく、および各置換基は、場合によりで異なっていてよい。分子の残部への環の結合点が単一の原子(浮遊置換基)に限定されない場合、結合点は、環のいずれの原子であってもよく、縮合環またはスピロ環の場合、化学的原子価則に従いながら、縮合環またはスピロ環のいずれかの任意の原子であってよい。環、縮合環、またはスピロ環が1つ以上の環ヘテロ原子を含有し、環、縮合環、またはスピロ環がさらに1つの浮遊置換基(分子の残部への結合点を含むがこれに限定されない)とともに示されている場合、浮遊置換基はヘテロ原子に結合していてよい。環ヘテロ原子が浮遊置換基を用いて構造または式における1つ以上の水素に結合しているのが示されている場合(例えば、環原子に対する2つの結合および水素に対する第3の結合を有する環窒素)、ヘテロ原子が浮遊置換基に結合していれば、該置換基は、化学的原子価則に従いながら、水素を置き換えると理解されよう。
【0029】
2つ以上の置換基を場合により結合させて、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成してよい。このようないわゆる環形成置換基は、必ずしもではないが、典型的には、環状塩基構造に結合しているのが見出される。一実施形態では、環形成置換基は、塩基構造の隣接するメンバーに結合している。例えば、環状塩基構造の隣接するメンバーに結合した2つの環形成置換基は、縮合環構造を生成する。別の実施形態では、環形成置換基は、塩基構造の単一のメンバーに結合している。例えば、環状塩基構造の単一のメンバーに結合した2つの環形成置換基は、スピロ環状構造を生成する。さらに別の実施形態では、環形成置換基は、塩基構造の隣接していないメンバーに結合している。
【0030】
アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、場合により、式-T-C(O)-(CRR’)-U-の環を形成してよく、式中、TおよびUは独立して、-NR-、-O-、-CRR’-、または単結合であり、qは0~3の整数である。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、場合により、式-A-(CH-B-の置換基で置き換えてよく、式中、AおよびBは独立して-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NR’-、または単結合であり、rは1~4の整数である。そのように形成された新たな環の単結合のうちの1つは、場合により、二重結合で置き換えてよい。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、場合により、式-(CRR’)-X’-(C’’R’’R’’’)-の置換基で置き換えてよく、式中、sおよびdは独立して、0~3の整数であり、X’は、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-S(O)NR’-である。置換基R、R’、R’’、およびR’’’は好ましくは独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、およびケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0032】
「置換基」は、本明細書で使用される場合、以下の部分から選択される基を意味する。
(A)オキソ、ハロゲン、-CF、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC=(O)NHNH、-NHC=(O)NH、-NHSOH、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF、-OCHF、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ならびに
(B)以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール。
(i)オキソ、ハロゲン、-CF、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC=(O)NHNH、-NHC=(O)NH、-NHSOH、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF、-OCHF、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、および
(ii)以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール。
(a)オキソ、ハロゲン、-CF、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC=(O)NHNH、-NHC=(O)NH、-NHSOH、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF、-OCHF、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、および
(b)オキソ、ハロゲン、-CF、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC=(O)NHNH、-NHC=(O)NH、-NHSOH、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF、-OCHF、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール。
【0033】
「サイズ制限置換基(size-limited substituent)」または「サイズ制限置換基(size-limited substituent group)」は、本明細書で使用される場合、「置換基」について先に説明したすべての置換基から選択される基を意味し、ここで、各置換または非置換アルキルは、置換または非置換C~C20アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは、2~20員の置換または非置換ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C~Cシクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは、3~8員の置換または非置換ヘテロシクロアルキルであり、各置換または非置換アリールは、置換または非置換C~C10アリールであり、各置換または非置換ヘテロアリールは、5~10員の置換または非置換ヘテロアリールである。
【0034】
「低級置換基(lower substituent)」または「低級置換基(lower substituent group)」は、本明細書で使用される場合、「置換基」について先に説明したすべての置換基から選択される基を意味し、ここで、各置換または非置換アルキルは、置換または非置換C~Cアルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは、2~8員の置換または非置換ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C~Cシクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは、3~7員の置換または非置換ヘテロシクロアルキルであり、各置換または非置換アリールは、置換または非置換C~C10アリールであり、各置換または非置換ヘテロアリールは、5~9員の置換または非置換ヘテロアリールである。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書の化合物において説明されている置換された各基は、少なくとも1つの置換基で置換されている。より具体的には、いくつかの実施形態では、本明細書の化合物において説明される各置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、および/または置換ヘテロアリーレンのそれぞれは、少なくとも1つの置換基で置換されている。他の実施形態では、これらの基の少なくとも1つまたはすべては、少なくとも1つのサイズ制限置換基で置換されている。他の実施形態では、これらの基の少なくとも1つまたはすべては、少なくとも1つの低級置換基で置換されている。
【0036】
本明細書の化合物の他の実施形態では、各置換もしくは非置換アルキルは、置換もしくは非置換C~C20アルキルであってよく、各置換もしくは非置換ヘテロアルキルは、2~20員の置換もしくは非置換ヘテロアルキルであり、各置換もしくは非置換シクロアルキルは、置換もしくは非置換C~Cシクロアルキルであり、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルは、3~8員の置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、各置換もしくは非置換アリールは、置換もしくは非置換C~C10アリールであり、および/または各置換もしくは非置換ヘテロアリールは、5~10員の置換もしくは非置換ヘテロアリールである。本明細書の化合物のいくつかの実施形態では、各置換もしくは非置換アルキレンは、置換もしくは非置換C~C20アルキレンであり、各置換もしくは非置換ヘテロアルキレンは、2~20員の置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、各置換もしくは非置換シクロアルキレンは、置換もしくは非置換C~Cシクロアルキレンであり、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレンは、3~8員の置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレンであり、各置換もしくは非置換アリーレンは、置換もしくは非置換C~C10アリーレンであり、および/または各置換もしくは非置換ヘテロアリーレンは、5~10員の置換もしくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0037】
いくつかの実施形態では、各置換もしくは非置換アルキルは、置換もしくは非置換C~Cアルキルであり、各置換もしくは非置換ヘテロアルキルは、2~8員の置換もしくは非置換ヘテロアルキルであり、各置換もしくは非置換シクロアルキルは、置換もしくは非置換C~Cシクロアルキルであり、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルは、3~7員の置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、各置換もしくは非置換アリールは、置換もしくは非置換C~C10アリールであり、および/または各置換もしくは非置換ヘテロアリールは、5~9員の置換もしくは非置換ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、各置換もしくは非置換アルキレンは、置換もしくは非置換C~Cアルキレンであり、各置換もしくは非置換ヘテロアルキレンは、2~8員の置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、各置換もしくは非置換シクロアルキレンは、置換もしくは非置換C~Cシクロアルキレンであり、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレンは、3~7員の置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレンであり、各置換もしくは非置換アリーレンは、置換もしくは非置換C~C10アリーレンであり、および/または各置換もしくは非置換ヘテロアリーレンは、5~9員の置換もしくは非置換ヘテロアリーレンである。いくつかの実施形態では、化合物は、後の「例」の節、図面、または表において述べる化学種である。
【0038】
本開示のある特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心またはキラル中心)または二重結合を有し、絶対立体化学の観点から、アミノ酸について(R)-もしくは(S)-として、または(D)-もしくは(L)-として定義することができる鏡像異性体、ラセミ化合物、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、立体異性形態、および個々の異性体は、本開示の範囲内に包含される。本開示の化合物は、合成および/または単離するには不安定すぎることが当技術分野で公知である化合物を含まない。本開示は、ラセミ化合物としておよび光学的に純粋な形態の化合物を含むことを意図している。光学活性(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製することができるか、または従来技術を使用して分離することができる。本明細書に説明する化合物がオレフィン結合または他の幾何不斉中心を含有しているとき、および特に指定しない限り、該化合物はEおよびZの両方の幾何異性体を含むことが意図される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、同じ数および種類の原子、このゆえに同じ分子量を有するが、原子の構造配置または立体配置に関して異なっている化合物を指す。
【0040】
「互変異性体」という用語は、本明細書で使用される場合、平衡状態で存在し、ある異性形態から別の異性形態に容易に変換される2つ以上の構造異性体のうちの1つを指す。
【0041】
本開示のある特定の化合物が互変異性形態で存在することができることは当業者には明らかであり、化合物のこのような互変異性形態はすべて本開示の範囲内にある。
【0042】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造はまた、構造のすべての立体化学形態、すなわち、各不斉中心のR配置およびS配置を含むことを意味する。それゆえ、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびに鏡像異性体混合物およびジアステレオマー混合物は、本開示の範囲内にある。
【0043】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造はまた、1つ以上の同位体濃縮された原子の存在においてのみ異なっている化合物を含むことも意味する。例えば、重水素またはトリチウムによる水素の置き換え、または13C濃縮もしくは14C濃縮された炭素による炭素の置き換えを除き、本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内にある。
【0044】
本開示の化合物はまた、このような化合物を構成する原子のうちの1つ以上に不自然な比率の原子同位体も含有することができる。例えば、該化合物は、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素125(125I)、または炭素14(14C)などの放射性同位体で放射性標識されることができる。放射性であるかどうかにかかわらず、本開示の化合物のすべての同位体の多様性は、本開示の範囲内に包含される。
【0045】
「同位体変異体」という用語は、このような化合物を構成する原子のうちの1つ以上に不自然な割合の同位体を含有する化合物を指す。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体変異体」は、水素(H)、重水素(H)、トリチウム(H)、炭素11(11C)、炭素12(12C)、炭素13(13C)、炭素14(14C)、窒素13(13N)、窒素14(14N)、窒素15(15N)、酸素14(14O)、酸素15(15O)、酸素16(16O)、酸素17(17O)、酸素18(18O)、フッ素17(17F)、フッ素18(18F)、リン31(31P)、リン32(32P)、リン33(33P)、硫黄32(32S)、硫黄33(33S)、硫黄34(34S)、硫黄35(35S)、硫黄36(36S)、塩素35(35Cl)、塩素36(36Cl)、塩素37(37Cl)、臭素79(79Br)、臭素81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素125(125I)、ヨウ素127(127I)、ヨウ素129(129I)、およびヨウ素131(131I)を含むがこれらに限定されない、不自然な割合の1つ以上の同位体を含有する。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体変異体」は、安定した形態、すなわち、非放射性である。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体変異体」は、水素(H)、重水素(H)、炭素12(12C)、炭素13(13C)、窒素14(14N)、窒素15(15N)、酸素16(16O)、酸素17(17O)、酸素18(18O)、フッ素17(17F)、リン31(31P)、硫黄32(32S)、硫黄33(33S)、硫黄34(34S)、硫黄36(36S)、塩素35(35Cl)、塩素37(37Cl)、臭素79(79Br)、臭素81(81Br)、およびヨウ素127(127I)を含むがこれらに限定されない、不自然な割合の1つ以上の同位体を含有する。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体変異体」は、不安定な形態、すなわち放射性である。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体変異体」は、トリチウム(H)、炭素11(11C)、炭素14(14C)、窒素13(13N)、酸素14(14O)、酸素15(15O)、フッ素18(18F)、リン32(32P)、リン33(33P)、硫黄35(35S)、塩素36(36Cl)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素125(125I)、ヨウ素129(129I)、およびヨウ素131(131I)を含むがこれらに限定されない、不自然な割合の1つ以上の同位体を含有する。本明細書で提供される化合物では、当業者の判断によって実施可能な場合、いかなる水素も、例えば、Hである可能性があり、またはいかなる炭素も、例えば、13Cである可能性があり、またはいかなる窒素も、例えば、15Nである可能性があり、またはいかなる酸素も、例えば、18Oである可能性がある。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体変異体」は、不自然な割合の重水素(D)を含有する。
【0046】
本出願全体を通して、代替案はMarkush群で記述されており、例えば、各アミノ酸位置には複数の可能なアミノ酸が含有されていることは留意されるものとする。Markush群の各メンバーは別々に考慮され、それにより別の実施形態を含むものとし、Markush群は単一の単位として読まれるべきではないことが特に意図されている。
【0047】
「類似体(analog)」または「類似体(analogue)」は、化学および生物学のなかでのその平易な通常の意味に従って使用されており、別の化合物(すなわち、いわゆる「参照」化合物)と構造上類似しているが組成が異なる、例えば、ある原子が異なる元素の原子によって置き換え、または特定の官能基の存在、またはある官能基の別の官能基による置き換え、または参照化合物の1つ以上のキラル中心の絶対立体化学において異なる、化合物を指す。したがって、類似体とは、機能および様相が参照化合物と類似しているかまたは同等であるが、構造または起源が類似していない化合物である。
【0048】
本明細書で使用される「a」または「an」という用語は、1つ以上を意味する。加えて、「a(n)で置換された」という句は、本明細書で使用される場合、特定の基が、指定された置換基のいずれかまたはすべてのうちの1つ以上で置換されることができることを意味する。例えば、アルキル基またはヘテロアリール基などの基が「非置換C~C20アルキル、または2~20員の非置換ヘテロアルキルで置換されている」場合、該基は、1つ以上の非置換C~C20アルキルを含有することができ、および/または1つ以上の2~20員の非置換ヘテロアルキルを含有することができる。
【0049】
その上、部分がR置換基で置換されている場合、該基は「R置換された」と称されることがある。部分がR置換されている場合、該部分は少なくとも1つのR置換基で置換されており、各R置換基は場合により異なっている。特定のR基が化学属(式(I)など)の説明に存在する場合、ローマ字母記号を使用して、該特定のR基の各様相を区別することができる。例えば、複数のR13置換基が存在する場合、各R13置換基は、R13A、R13B、R13C、R13Dなどとして区別することができ、R13A、R13B、R13C、R13Dなどの各々は、R13の定義の範囲内で、場合により異なって定義されている。
【0050】
本開示の化合物の説明は、当業者に公知の化学結合の原理によって制限されている。したがって、基がいくつかの置換基のうちの1つ以上によって置換されることができる場合、このような置換は、化学結合の原理に準拠し本質的に不安定ではないおよび/または、水性、中性、およびいくつかの公知の生理学的条件などの外界条件下では不安定である可能性が高いとして当業者に公知であろう化合物を与えるように選択される。例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、当業者に公知の化学結合の原理に準拠して、環ヘテロ原子を介して分子の残部に結合され、それにより、本質的に不安定な化合物を回避する。
【0051】
「医薬として許容され得る塩」という用語は、本明細書に説明する化合物に見られる特定の置換基に応じて、医薬として許容され得る酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本開示の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、このような化合物の中性形態を、純溶媒または適切な不活性溶媒中のいずれかで、十分量の所望の塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。医薬として許容され得る塩基付加塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または同様の塩が含まれるが、これらに限定されない。本開示の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、このような化合物の中性形態を、純溶媒または適切な不活性溶媒中のいずれかで、十分量の所望の酸と接触させることによって、酸付加塩を得ることができる。医薬として許容され得る酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸塩、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、またはリン酸などの無機酸に由来するもの、および酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸などの比較的毒性のない有機酸に由来する塩が含まれるが、これらに限定されない。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸(galactunoric acid)などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al.,’’Pharmaceutical Salts’’,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19を参照されたい)。本開示のある特定の具体的な化合物は、該化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする塩基性官能基および酸性官能基の両方を含有する。
【0052】
したがって、本開示の化合物は、医薬として許容され得る酸などを用いた塩として存在していてよい。本開示は、このような塩を含む。このような塩の非限定的な例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩、またはラセミ混合物を含むそれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸などのアミノ酸を用いた塩、および第四級アンモニウム塩(例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)が含まれる。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0053】
当該化合物の当該中性形態は好ましくは、従来の様式で、該塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を単離することによって再生される。
【0054】
塩形態に加えて、本開示は、プロドラッグ形態にある化合物を提供する。本明細書に説明する化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で化学変化を容易に受けて、本開示の化合物を提供する化合物である。本明細書に説明する化合物のプロドラッグは、投与後にインビボで変換されることができる。
【0055】
本開示のある特定の化合物は、非溶媒和形態、および水和形態を含む溶媒和形態で存在することができる。
【0056】
「医薬として許容され得る賦形剤」および「医薬として許容され得る担体」は、対象への化合物の投与および対象による吸収を助け、患者に有意な有害な毒物学的作用を引き起こすことなく本開示の組成物内に含めることができる物質を指す。医薬として許容され得る賦形剤の非限定的な例には、水、NaCl、通常の生理塩類溶液、乳酸Ringer液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香味料、塩溶液(Ringer液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、および着色料などが含まれる。このような調製物は、滅菌することができ、所望の場合、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色料、および/または本開示の化合物と有害に反応しない芳香族物質などの補助剤と混合することができる。当業者は、他の医薬賦形剤が本開示において有用であることを認識するであろう。
【0057】
「調製物」という用語は、他の担体の有無にかかわらず有効成分が担体によって取り囲まれ、したがってそれと関係しているカプセルを提供する担体としての封入材料を用いた活性化合物の製剤を含むことを意図する。同様に、サシェ剤およびロゼンジ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、サシェ剤、およびロゼンジ剤は、経口投与に適した固形剤形として使用することができる。
【0058】
「VAP-1阻害剤」は、化合物の非存在または公知の不活性を有する化合物など、対照と比較したときにVAP-1の活性を低減させる化合物(例えば、本明細書に説明する化合物)を指す。
【0059】
血管接着タンパク質1(VAP-1)は、膜結合型および可溶性型としてヒトに見られる、銅含有アミンオキシダーゼ/セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(AOC/SSAO)のファミリーのメンバーである。膜結合型のVAP-1は主に、内皮細胞、平滑筋細胞、および脂肪細胞で発現するのに対し、可溶性VAP-1は主に血管内皮細胞から血漿中に放出される。VAP-1は、膜の外側に、遠位接着ドメインと酵素活性のあるアミンオキシダーゼ部位とを有している。接着分子として、VAP-1は、炎症部位への白血球の血管外遊出において重要である白血球のローリング、接着、および移行(transmigration)に関与している。VAP-1は、アミンオキシダーゼとしても作用する。VAP-1は、補因子として活性部位にトパキノン(TPQ)を有し、アンモニアおよび過酸化水素を放出しながら、第一級アミン、例えばメチルアミンおよびアミノアセトンを相応のアルデヒド、例えばホルムアルデヒドおよびメチルグリオキサールへ変換するのを触媒する。
RCHNH+O+HO→RCHO+H+NH
【0060】
「接触させること」は、その平易な通常の意味に従って使用されており、少なくとも2つの異なる種(例えば、生体分子または細胞を含む化合物)が、反応し、相互作用し、または物理的に接触するのに十分に近位となることを可能にするプロセスを指す。しかしながら、結果として得られる反応生成物が、添加された試薬間の反応から直接生成される可能性があるか、または反応混合物中で生成される可能性のある、添加された試薬のうちの1つ以上からの中間体から生成される可能性があることは理解されよう。
【0061】
「接触させること」という用語は、2つの種が反応し、相互作用し、または物理的に接触することを可能にすることを含むことができ、ここで、該2つの種は、本明細書に説明する化合物およびタンパク質または酵素(例えば、VAP-1)であってよい。
【0062】
本明細書で定義されるように、タンパク質に関する「活性化」、「活性化する」、および/または「活性化すること」などの用語は、タンパク質を最初の不活性状態または失活状態から生物学的に活性のある誘導体へと変換することを指す。これらの用語は、疾患において低下したタンパク質の活性化、または該タンパク質を活性化すること、感作すること、または該タンパク質のシグナル伝達または酵素活性または量を上方調節することを言う。
【0063】
「アゴニスト」、「活性化因子」、「上方調節因子」などの用語は、所与の遺伝子またはタンパク質の発現または活性を検出可能に上昇させることができる物質を指す。アゴニストは、アゴニストの非存在下での対照と比較して、発現または活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多く上昇させることができる。ある特定の場合では、発現または活性は、アゴニストの非存在下での発現または活性の1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍またはそれより多い。いくつかの実施形態では、アゴニストは、標的と相互作用して、標的の活性化の上昇を引き起こすかまたは促進する分子である。いくつかの実施形態では、活性化因子は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を増加する、活性化する、促進する、活性化を増強する、感作する、または上方制御する分子である。
【0064】
本明細書で定義される場合、タンパク質-阻害剤相互作用に関する「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などの用語は、阻害剤の非存在下でのタンパク質の活性または機能と比較して、タンパク質の活性または機能に負に影響すること(例えば、該活性または機能を低下させること)を意味する。いくつかの実施形態では、阻害は、阻害剤の非存在下でのタンパク質の濃度またはレベルと比較して、タンパク質の濃度またはレベルに負に影響すること(例えば、該濃度またはレベルを低下させること)を意味する。いくつかの実施形態では、阻害は、疾患または疾患の症状の軽減を指す。いくつかの実施形態では、阻害は、特定のタンパク質標的の活性の低減を指す。したがって、阻害には少なくとも部分的に、部分的または完全に、刺激を遮断すること、活性化を低下、防止、もしくは遅延させること、またはシグナル伝達もしくは酵素活性もしくはタンパク質の量を不活性化、脱感作、もしくは下方調節することが含まれる。いくつかの実施形態では、阻害は、直接的な相互作用から結果として生じる標的タンパク質の活性の低減を指す(例えば、阻害剤は、標的タンパク質に結合する)。いくつかの実施形態では、阻害は、間接的な相互作用からの標的タンパク質の活性の低減を指す(例えば、阻害剤は、標的タンパク質を活性化するタンパク質に結合し、それにより、標的タンパク質の活性化を防止する)。
【0065】
「阻害剤」、「抑制因子」、「アンタゴニスト」、または「下方調節因子」という用語は、相互交換可能に、所与の遺伝子またはタンパク質の発現または活性を検出可能に低下させることができる物質を指す。アンタゴニストは、アンタゴニストの非存在下での対照と比較して、発現または活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多く低下させることができる。ある特定の場合では、発現または活性は、アンタゴニストの非存在下での発現または活性の1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1またはそれより少ない。アンタゴニストは、アゴニストの活性を防止、低減、阻害、または中和させることができ、アンタゴニストはまた、同定されたアゴニストがない場合でさえ、標的、例えば、標的受容体の構成性活性を防止、阻害、または低減させることもできる。いくつかの実施形態では、阻害剤は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を低下させ、遮断し、防止し、活性化を遅延させ、不活性化し、脱感作させ、または下方調節する分子である。阻害剤はまた、構成性活性を低下させ、遮断し、または不活性化する分子として定義することもできる。「アンタゴニスト」は、アゴニストの作用(複数可)に対抗する分子である。
【0066】
「疾患」または「容態」という用語は、本明細書で提供される化合物または方法で処置することができる患者または対象の状態または健康状態を指す。該疾患は、自己免疫疾患であってよい。該疾患は、炎症性疾患であってよい。
【0067】
本明細書で使用される場合、「炎症性疾患」という用語は、異常な炎症(例えば、疾患に罹患していない健常者などの対照と比較してレベルの上昇した炎症)を特徴とする疾患または容態を指す。炎症性疾患の例には、自己免疫疾患およびぶどう膜炎(例えば、虹彩毛様体炎および虹彩炎を含む前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎または周辺部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎または脈絡網膜炎、ならびに全ぶどう膜炎)が含まれる。このような容態は、他の疾患、障害、および容態と密接に絡み合っていることがよくある。炎症関連の疾患、障害、および容態の非限定的なリストには、ベーチェット病、クローン病、フックス虹彩異色性虹彩毛様体炎、多発血管炎性肉芽腫症、HLA-B27関連ぶどう膜炎、関節炎(例えば、若年性特発性関節炎)、サルコイドーシス、脊椎関節炎、交感性眼炎、尿細管間質性腎炎、ぶどう膜炎症候群、強直性脊椎炎、慢性肉芽腫症、付着部炎、炎症性腸疾患、川崎病、多発性硬化症、結節性多発動脈炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、サルコイドーシス、全身性エリテマトーデス、フォークト・小柳・原田病、ウイップル病、白点症候群、および仮面症候群が含まれる。ぶどう膜炎はまた、ブルセラ症、ヘルペスウイルス(単純ヘルペス)、水痘帯状疱疹、レプトスピラ症、ライム病、推定眼ヒストプラスマ症症候群、梅毒、イヌ回虫症、トキソプラズマ性脈絡網膜炎、結核、およびジカ熱などの感染症と関連している可能性もある。
【0068】
白点症候群には、急性後部多発性斑状色素上皮症、散弾状脈絡網膜症、多巣性脈絡膜炎および全ぶどう膜炎、多発消失性白点症候群、点状脈絡膜内層症、匐行性脈絡膜炎、ならびに急性帯状潜在性網膜外層症が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
仮面症候群は、非腫瘍性と腫瘍性の容態に分けられる。非腫瘍性仮面症候群の非限定的な例には、網膜色素変性症、眼内異物、若年性黄色肉芽腫、および網膜剥離が含まれる。腫瘍性仮面症候群の非限定的な例には、網膜芽細胞腫、リンパ腫、悪性黒色腫、白血病、および細網肉腫が含まれる。
【0070】
「処置すること」または「処置」という用語は、症状の軽減、寛解、縮小、または損傷、病変もしくは容態を患者にとってより耐え易くすること、変性または衰退の速度の遅延、変性の最終点の衰弱度を弱めること、患者の心身の健康状態の改善などの任意の客観的または主観的なパラメータを含む、損傷、疾患、病状、または容態の療法または改善における成功の任意の兆候を指す。症状の処置または改善は、身体検査、神経精神医学的検査、および/または精神医学的評価の結果を含む、客観的または主観的なパラメータに基づくことができる。「処置すること」という用語およびその活用は、損傷、病状、容態、または疾患の予防を含むことができる。いくつかの実施形態では、処置することは、予防することである。いくつかの実施形態では、処置することは、予防することを含まない。
【0071】
本明細書で使用される(および当技術分野で十分に理解されている)「処置すること」または「処置」はまた、臨床結果を含む、対象の容態において有益なまたは所望の結果を得るための任意のアプローチも広範に含む。有益なまたは所望の臨床結果には、1つ以上の症状または容態の緩和または改善、疾患の程度の減弱、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させないこと)、疾患の伝染または拡延の予防、疾患の進行の遅延または遅滞、病状の改善または緩和、疾患の再発の減弱、および寛解を、部分的であろうと全身であろうと、および検出可能であろう検出不可能であろうと、含むことができるが、これらに限定されない。言い換えれば、本明細書で使用される場合の「処置」には、疾患の任意の治癒、改善、または予防が含まれる。処置は、疾患の発生を防ぐことができ、疾患の拡延を抑制することができ、病気の症状(例えば、眼の疼痛、光輪視、赤目、非常に高い眼圧)を緩和することができ、疾患の根本的な原因を完全にもしくは部分的に取り除くことができ、疾患の持続時間を短縮することができ、またはこれらの組み合わせを行うことができる。
【0072】
本明細書で使用される場合の「処置すること」および「処置」には、予防的処置が含まれる。処置方法には、治療有効量の本明細書に説明する化合物を対象に投与することが含まれる。投与するステップは、単回の投与からなることができるか、または一連の投与を含むことができる。処置期間の長さは、容態の重症度、患者の齢、化合物の濃度、処置に使用される組成物の活性、またはそれらの組み合わせなどのさまざまな因子に依存する。また、処置または予防のために使用される薬剤の有効薬用量は、特定の処置レジームまたは予防レジームの過程にわたって増減することができることも理解されよう。薬用量の変更は、当技術分野で公知の標準的な診断アッセイによって生じて明らかになる可能性がある。いくつかの場合、長期的な投与が必要になることがある。例えば、組成物は、患者を処置するのに十分な量および持続時間で対象に投与される。
【0073】
「予防する」という用語は、患者における疾患症状の発生の低下を指す。先に示したように、予防は、完全(検出可能な症状なし)または部分的であってよく、それにより、処置がない場合に発生する可能性があろうよりも少ない症状が観察されることになる。いくつかの実施形態では、予防するは、疾患、障害もしくは容態の進行を遅滞させること、または有害なもしくはそうでなければ望ましくない状態へのそれらの進行を抑制することを指す。
【0074】
「患者」または「それを必要とする対象」は、本明細書で提供される医薬組成物の投与によって処置することができる疾患または容態に罹患しているかまたはその傾向がある生物を指す。非限定的な例には、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、乳牛、シカ、および他の非哺乳動物が含まれる。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。
【0075】
「有効量」とは、化合物の非存在と比較して、記載された目的を化合物が達成する(例えば、該化合物の投与が目的とする効果を達成する、疾患を処置する、酵素活性を低減させる、酵素活性を上昇させる、シグナル伝達経路を低減させる、または疾患もしくは容態のうちの1つ以上の症状を軽減する)のに十分な量である。「有効量」の例は、疾患の1つ以上の症状の処置、予防、または軽減に寄与するのに十分な量であり、「治療有効量」と称されることもある。1つ以上の症状の「軽減」(およびこの句の文法上の等価物)は、症状(複数可)の重症度もしくは頻度の低下、または症状の排除を意味する。薬物の「予防有効量」とは、対象に投与されたときに、意図した予防効果、例えば、損傷、疾患、病状または容態の発症(または再発)を予防もしくは遅延させること、または損傷、疾患、病状、もしくは容態、またはそれらの症状の発症(または再発)の可能性を低減させること、を有するであろう薬物の量である。完全な予防効果は、必ずしも1回の投与で発生するわけではなく、一連の投与の後でのみ発生することがある。したがって、予防有効量は、1回以上の投与で投与されてよい。「活性低下量」は、本明細書で使用される場合、アンタゴニストの非存在と比較して酵素の活性を低下させるのに必要とされるアンタゴニストの量を指す。「機能崩壊量」は、本明細書で使用される場合、アンタゴニストの非存在と比較して、酵素またはタンパク質の機能を崩壊させるために必要とされるアンタゴニストの量を指す。正確な量は、処置の目的に依存し、公知の技術を使用して当業者によって確認可能である(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992)、Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999)、Pickar,Dosage Calculations(1999)、およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams&Wilkinsを参照されたい)。治療有効量は、関連する生理学的効果を測定することによって確認することができ、投与計画および対象の容態の診断解析などと関係して調整することができる。例として、投与後の特定の時間におけるVAP-1阻害剤(または、例えば、その代謝産物)の血清レベルの測定は、治療有効量が投与されたかどうかを示すことができる。
【0076】
本明細書に説明するいかなる化合物についても、治療有効量は、細胞培養アッセイから最初に決定することができる。目標濃度は、本明細書に説明する方法または当技術分野で公知の方法を使用して測定して、本明細書に説明する方法を達成することができる活性化合物(複数可)の濃度である。
【0077】
当技術分野で周知のように、ヒトでの使用のための治療有効量はまた、動物モデルから決定することもできる。例えば、ヒトのための用量は、動物において有効であることがわかっている濃度を達成するように製剤することができる。ヒトにおける薬用量は、先に説明したように、化合物の有効性を監視し、薬用量を上向きまたは下向きに調整することによって調整することができる。先に説明した方法および他の方法に基づいてヒトにおいて最大の有効性を達成するように用量を調整することは、当業者の能力の範囲内に十分ある。先に説明した方法および他の方法に基づいてヒトにおいて最大の治療域の有効性を達成する用量または毒性を調整することは、当業者の能力の範囲内に十分ある。
【0078】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、先に説明したように、障害を改善するのに十分な治療薬の量を指す。例えば、所与のパラメータについて、治療有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、または少なくとも100%の上昇または低下を示す。治療有効性は、「倍」の上昇または低下として表すこともできる。例えば、治療有効量は、対照に対して少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、またはそれより大きな効果を有することができる。
【0079】
薬用量は、患者の必要条件および採用される化合物に応じて変えることができる。本開示の文脈において、患者に投与される用量は、患者における有益な治療応答を経時的にもたらすのに十分であるものとする。用量の大きさはまた、任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決定される。特定の状況に適した薬用量の決定は、当業者の技能の範囲内である。一般に、処置は、化合物の最適用量よりも少ない、少なめの薬用量で開始される。その後、状況下で最適な効果に到達するまで、薬用量を少しずつ増加させる。薬用量および間隔は、処置されている特定の臨床適応症に有効な投与化合物のレベルを提供するために個別に調整することができる。このことは、個体の病状の重症度に見合った治療投与計画を提供する。
【0080】
本明細書で使用される場合、「投与すること」という用語は、経口投与または局所投与を意味する。本開示の組成物は、局所経路によって送達することができ、液剤、懸濁剤、乳濁剤、ゲル剤、および軟膏として製剤されることができる。経口製剤には、患者による摂取するのに適した錠剤、丸剤、およびカプセル剤などが含まれる。
【0081】
本明細書に説明するいかなる化合物についても、治療有効量は、細胞培養アッセイから最初に決定することができる。目標濃度は、本明細書に説明する方法または当技術分野で公知の方法を使用して測定して、本明細書に説明する方法を達成することができる活性化合物(複数可)の濃度である。
【0082】
【0083】
薬用量および間隔は、処置されている特定の臨床適応症に有効な投与化合物のレベルを提供するために個別に調整することができる。このことは、個体の病状の重症度に見合った治療投与計画を提供する。
【0084】
本明細書で提供される教示を利用して、実質的な毒性を引き起こさないが、特定の患者によって示される臨床症状を処置するのに有効である、有効な予防処置投与計画または治療処置投与計画を立案することができる。この立案には、化合物の効力、相対的な生物学的利用率、患者の体重、有害な副作用の存在および重大度、好ましい投与様式、ならびに選択した薬剤の毒性プロファイルなどの因子を考慮することによって、活性化合物を慎重に選択することを包含するものとする。
【0085】
本明細書で使用される場合の「細胞」は、そのゲノムDNAを保存または複製するのに十分な代謝機能または他の機能を実行する細胞を指す。細胞は、例えば、インタクトな膜の存在、特定の色素による染色、後代を産生する能力、または配偶子の場合、第2の配偶子と結合して、生存可能な子孫を産生する能力を含む、当技術分野で周知の方法によって同定することができる。細胞は、原核細胞および真核細胞を含むことができる。原核細胞には細菌が含まれるが、これに限定されない。真核細胞には、酵母細胞ならびに植物および動物に由来する細胞、例えば、哺乳動物、昆虫(例えば、スポドプテラ属)およびヒトの細胞が含まれるが、これらに限定されない。細胞は、それらが自然に非付着性であるか、または例えばトリプシン処理によって表面に付着しないように処理されているときに有用であることができる。
【0086】
「対照」または「対照実験」は、その平易な通常の意味に従って使用され、実験の対象または試薬が、実験の手順、試薬、または変数を除く以外は、並行実験として処理される実験を指す。いくつかの場合、対照は、実験の効果を評価する際の比較の基準として使用される。いくつかの実施形態では、対照とは、(実施形態および例を含む)本明細書に説明されるような化合物の非存在下でのタンパク質の活性の測定である。
【0087】
疾患(例えば、VAP-1関連疾患(例えば、ぶどう膜炎))と関係する物質あるいは物質の活性または機能の文脈における「関係する」あるいは「と関係する」という用語は、該疾患(例えば、ぶどう膜炎)が、物質または物質の活性もしくは機能によって(全体としてまたは部分として)引き起こされるか、あるいは該疾患の症状が、物質または物質の活性もしくは機能によって(全体としてまたは部分として)引き起こされることを意味する。例えば、VAP-1の活性または機能と関係するぶどう膜炎は、異常なVAP-1機能(例えば、酵素活性、タンパク質間相互作用、シグナル伝達経路)から(全体的にまたは部分的に)結果として生じるぶどう膜炎、または該疾患の特定の症状が異常なVAP-1の活性もしくは機能によって(全体的にまたは部分的に)引き起こされるぶどう膜炎であってよい。本明細書で使用される場合、疾患と関係しているとして説明されているものは、原因となる因子である場合、疾患の処置のための標的となることができる。例えば、VAP-1の活性または機能と関係するぶどう膜炎、またはVAP-1関連疾患(例えば、ぶどう膜炎)は、VAP-1の活性または機能(例えば、シグナル伝達経路の活性)の上昇が疾患(例えば、ぶどう膜炎)を引き起こす状況下で、本明細書に説明する化合物(例えば、VAP-1調節因子またはVAP-1阻害剤)を用いて処置することができる。例えば、VAP-1の活性または機能と関係する炎症性疾患またはVAP-1関連炎症性疾患は、VAP-1の活性または機能(例えば、シグナル伝達経路の活性)の上昇が該疾患を引き起こす状況下で、VAP-1調節因子またはVAP-1阻害剤を用いて処置することができる。
【0088】
本明細書で使用される「異常な」という用語は、正常とは異なっていることを指す。酵素活性またはタンパク質機能を説明するために使用されるとき、「異常な」は、正常な対照または正常な非罹患対照試料の平均よりも大きなまたは小さな活性または機能を指す。異常な活性は、疾患をもたらす活性の量を指すことができ、異常な活性を正常なまたは非疾患関連の量に戻すこと(例えば、化合物を投与すること、または本明細書に説明する方法を使用することによる)は、疾患または1つ以上の疾患症状の軽減をもたらす。
【0089】
本明細書で使用される場合、「VAP-1阻害剤」、「VAP-1アンタゴニスト」、「血管接着タンパク質1阻害剤」、「血管接着タンパク質1アンタゴニスト」という用語、および他のすべての関連する当技術分野で認められた用語は、これらの多くが以下で述べるが、インビトロアッセイ、インビボモデル、および/または治療有効性を示す他の手段において、直接的または間接的にのいずれかで、VAP-1受容体を調節することができる化合物を指す。これらの用語はまた、ヒト対象において少なくともいくつかの治療上の利益を呈する化合物も指す。
【0090】
「変化をもたらすのに十分な量で」という句は、特定の療法の投与前(例えば、ベースラインレベル)と投与後に測定された指標のレベルの間に検出可能な差異があることを意味する。指標には、任意の客観的パラメータ(例えば、血清濃度)または主観的パラメータ(例えば、対象の個人的満足感)が含まれる。
【0091】
分子の「活性」は、分子のリガンドあるいは受容体への結合、触媒活性、遺伝子発現または細胞のシグナル伝達、分化、もしくは成熟を刺激する能力、抗原活性、他の分子の活性の調節などを説明するかまたは指すことができる。
【0092】
「実質的に純粋な」は、成分が組成物の総含有量の約50%を超え、典型的には全組成物含有量の約60%を超えることを示す。より典型的には、「実質的に純粋な」は、全組成物の少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%またはそれより多くが関心対象の成分である組成物を指す。いくつかの場合、ポリペプチドは、組成物の総含有量の約90%を超える、または約95%を超える(重量あたりの重量における百分率に基づく)。
【0093】
【0094】
「ぶどう膜炎」という用語は、ぶどう膜と呼ばれる眼の一部に疾患が影響を与えることがよくあるので使用されている。それにもかかわらず、ぶどう膜炎は、ぶどう膜に限定されない。これらの疾患はまた、水晶体、網膜、視神経、および硝子体にも影響を与え、視力低下または盲も引き起こす。ぶどう膜炎の一般的な症状には、視力低下、疼痛、光線過敏症、および浮遊物増加が含まれる。ぶどう膜炎は、膨張を引き起こし、眼組織を破壊する炎症性疾患のグループを説明する一般的な用語である。
【0095】
II.化合物
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する化合物は、置換基(例えば、R、R、またはRおよび/または他の変数)の複数の場合を含むことができる。このような実施形態では、各変数は場合により異なっていることがあり、より明確にするために各基を区別するために適切に標識することができる。例えば、各R、R、Rが異なる場合、これらはそれぞれ、例えば、R3.1、R3.2、R3.3、R3.4、R3.5、R5.1、R5.2、R5.3、R5.4、またはR6.1、R6.2、R6.3、R6.4、R6.5、R6.6、R6.7、R6.8、R6.9、もしくはR6.10と称されることがあり、Rの定義は、R3.1、R3.2、R3.3、R3.4、R3.5によって想定され(これらに独立して割り当てられ)、Rは、R5.1、R5.2、R5.3、R5.4によって想定され(これらに独立して割り当てられ)、またはRは、R6.1、R6.2、R6.3、R6.4、R6.5、R6.6、R6.7、R6.8、R6.9もしくはR6.10によって想定され(これらに独立して割り当てられ)る。R、R、もしくはRの定義内で使用される変数、および/または複数の状況で現れ異なっている他の変数は、より明確にするために各基を区別するよう同様に適切に標識することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、特に示されない限り、本明細書に説明する化合物は、すべての立体異性体のラセミ混合物である。いくつかの実施形態では、特に示されない限り、本明細書に説明する化合物は、すべての鏡像異性体のラセミ混合物である。いくつかの実施形態では、特に示されない限り、本明細書に説明する化合物は、2つの正反対の立体異性体のラセミ混合物である。いくつかの実施形態では、特に示されない限り、本明細書に説明する化合物は、2つの正反対の鏡像異性体のラセミ混合物である。いくつかの実施形態では、特に示されない限り、本明細書に説明する化合物は、単一の立体異性体である。いくつかの実施形態では、特に示されない限り、本明細書に説明する化合物は、単一の鏡像異性体である。いくつかの実施形態では、該化合物は、本明細書に(例えば、態様、実施形態、例、図面、表、スキーム、または特許請求の範囲に)説明する化合物である。
【0097】
一態様では、構造式(IV):
【化4】

を有する化合物であって、
式中、
およびXが独立して、=N-または=CH-であり、
が、=N-または-CR-であり、
が、=N-または-CR-であり、
Yが、結合、-O-、-S-、-NR-、-OCX-、-(CHZ2W-、-C(O)O-、または-C(O)NH-であり、
Wが、結合、-O-、-S-、または-NH-であり、
z1およびz2が独立して、0~3の整数であり、
n1、n2、n5、n6、およびn7が独立して、0~4の整数であり、
m1、m2、m5、m6、m7、v1、v2、v5、v6、およびv7が独立して、1または2であり、
が、結合、-O-、-S-、-NR1L-、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンであり、
1Lが、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が独立して、水素、ハロゲン、-CX1.1 、-CHX1.1 、-CH1.1、-CN、-SOn11A、-SOv1NR1B1C、-NHNR1B1C、-ONR1B1C、-NHC(O)NHNR1B1C、-NHC(O)NR1B1C、-N(O)m1、-NR1B1C、-C(O)R1D、-C(O)OR1D、-C(O)NR1B1C、-OR1A、-NR1BSO1A、-NR1BC(O)R1D、-NR1BC(O)OR1D、-NR1BOR1D、-OCX1.1 、-OCHX1.1 、R12置換もしくは非置換アルキル、R12置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12置換もしくは非置換シクロアルキル、R12置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12置換もしくは非置換アリール、またはR12置換もしくは非置換ヘテロアリール、または少なくとも1つのアミノ酸であり、
が、水素、ハロゲン、-CX2.1 、-CHX2.1 、-CH2.1、-CN、-SOn22A、-SOv2NR2B2C、-NR2B2C、-C(O)R2D、-C(O)OR2D、-C(O)NR2B2C、-OR2A、-OCX2.1 、-OCHX2.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
およびRが独立して、水素または-Fであり、
が、水素、ハロゲン、-CX5.1 、-CHX5.1 、-CH5.1、-CN、-N、-SOn55A、-SOv5NR5B5C、-NHNR5B5C、-ONR5B5C、-NHC(O)NHNR5B5C、-NHC(O)NR5B5C、-N(O)m5、-NR5B5C、-C(O)R5D、-C(O)OR5D、-C(O)NR5B5C、-OR5A、-NR5BSO5A、-NR5BC(O)R5D、-NR5BC(O)OR5D、-NR5BOR5D、-OCX5.1 、-OCHX5.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が、水素、ハロゲン、-CX6.1 、-CHX6.1 、-CH6.1、-CN、-N、-SOn66A、-SOv6NR6B6C、-NHNR6B6C、-ONR6B6C、-NHC(O)NHNR6B6C、-NHC(O)NR6B6C、-N(O)m6、-NR6B6C、-C(O)R6D、-C(O)OR6D、-C(O)NR6B6C、-OR6A、-NR6BSO6A、-NR6BC(O)R6D、-NR6BC(O)OR6D、-NR6BOR6D、-OCX6.1 、-OCHX6.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
が、水素、ハロゲン、-CX7.1 、-CHX7.1 、-CH7.1、-CN、-SOn77A、-SOv7NR7B7C、-NR7B7C、-C(O)R7D、-C(O)OR7D、-C(O)NR7B7C、-OR7A、-OCX7.1 、-OCHX7.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
12が、水素、ハロゲン、-CX12.1 、-CHX12.1 、-CH12.1、-CN、-SOn1212A、-SOv12NR12B12C、-NR12B12C、-C(O)R12D、-C(O)OR12D、-C(O)NR12B12C、-OR12A、-OCX12.1 、-OCHX12.1 、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Aが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12A置換もしくは非置換アルキル、R12A置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12A置換もしくは非置換シクロアルキル、R12A置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12A置換もしくは非置換アリール、またはR12A置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Bが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12B置換もしくは非置換アルキル、R12B置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12B置換もしくは非置換シクロアルキル、R12B置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12B置換もしくは非置換アリール、またはR12B置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
1Cが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12C置換もしくは非置換アルキル、R12C置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12C置換もしくは非置換シクロアルキル、R12C置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12C置換もしくは非置換アリール、またはR12C置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、あるいは同じ窒素原子へ結合したR1B置換基およびR1C置換基は場合により、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成するよう結合していてもよく、
1Dが、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、R12D置換もしくは非置換アルキル、R12D置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R12D置換もしくは非置換シクロアルキル、R12D置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R12D置換もしくは非置換アリール、またはR12D置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
2A、R2B、R2C、R2D、R5A、R5B、R5C、R5D、R6A、R6B、R6C、R6D、R7A、R7B、R7C、R7D、R12A、R12B、R12C、およびR12Dが独立して、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-COOH、-CONH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、あるいは、同じ窒素原子へ結合したR2B置換基およびR2C置換基、R5B置換基およびR5C置換基、R6B置換基およびR6C置換基、R7B置換基およびR7C置換基、R8B置換基およびR8C置換基、またはR12B置換基およびR12C置換基は場合により、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成するよう結合していてもよく、
X、X1.1、X2.1、X5.1、X6.1、X7.1、およびX12.1が独立して、-Cl、-Br、-I、あるいは-Fである、化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグが本明細書で提供されている。
【0098】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、構造式(IV-A)
【化5】

を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、構造式(IV-B)
【化6】

を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、構造式(V-A)
【化7】

を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、構造式(V-B)
【化8】

を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、構造式(VI-A)
【化9】

を有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、構造式(VI-B)
【化10】

を有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、構造式(VII-A)
【化11】

を有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、構造式(VII-B)
【化12】

を有する。
【0106】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、X=N-である。
【0107】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、X=CH-である。
【0108】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、X=N-である。
【0109】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、X=CH-である。
【0110】
式(IV)および/または(V-A)の化合物のいくつかの実施形態では、
【化13】

によって表される部分構造は、
【化14】

である。
【0111】
式(IV)および/または(V-B)の化合物のいくつかの実施形態では、
【化15】

によって表される部分構造は、
【化16】

である。
【0112】
式(IV)および/または(VI-A)の化合物のいくつかの実施形態では、
【化17】

によって表される部分構造は、
【化18】

である。
【0113】
式(IV)および/または(VII-A)の化合物のいくつかの実施形態では、
【化19】

によって表される部分構造は、
【化20】

である。
【0114】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Yは結合である。
【0115】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Yは-OCF-である。
【0116】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Yは-O-である。
【0117】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Yは-S-である。
【0118】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Yは-NH-である。
【0119】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Yは-CHO-である。
【0120】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Yは-C(O)NH-である。
【0121】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、z1は0である。式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、z1は1である。式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、z1は2である。
【0122】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、あるいは非置換アルキルである。
【0123】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、RおよびRは独立して、水素、-F、-Br、または-CHである。
【0124】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Rは-Fである。
【0125】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0126】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Rは-Fである。
【0127】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0128】
いくつかの実施形態では、式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、
が-FでありかつRが水素である、および
が水素でありかつRが-Fであることを有する化合物の混合物である。
【0129】
いくつかの実施形態では、式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグは、(E)-アルケン異性体および(Z)-アルケン異性体の混合物を含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、(E)-異性体、またはその互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと、(Z)-異性体、またはその互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグとの比は、約10:1~約1:10である。
【0131】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、(E)-異性体、またはその互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと、(Z)-異性体、またはその互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグとの比は、約5:1~約1:5である。
【0132】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、(E)-異性体、またはその互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと、(Z)-異性体、またはその互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグとの比は、約1:1である。
【0133】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0134】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Lは結合、-NR1L-、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレンである。
【0135】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Lは結合である。
【0136】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Lは-NR1L-結合である。
【0137】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、R1Lは、水素あるいは置換または非置換アルキルである。
【0138】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Lは、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレンである。
【0139】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Rは、-NR1B1C、-C(O)NR1B1C、-OR1A、R12置換または非置換アルキル、R12置換または非置換ヘテロアルキル、R12置換または非置換シクロアルキル、R12置換または非置換ヘテロシクロアルキル、R12置換または非置換アリール、あるいはR12置換または非置換ヘテロアリールである。
【0140】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Rは、R12置換または非置換のC~Cアルキルである。
【0141】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、Rは-(CHCHである。
【0142】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、RはR12置換あるいは非置換シクロアルキルである。
【0143】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグのいくつかの実施形態では、R12は、置換または非置換アルキル、あるいは置換または非置換アリールである。
【0144】
一態様では、以下:
【化21】

である化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグが本明細書で提供される。
【0145】
ある特定の実施形態では、Lは、結合、-O-、-S-、-NR1L-、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換ヘテロアルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、または置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0146】
ある特定の実施形態では、Lは、R置換または非置換アルキレン(例えば、C~Cアルキレン、C~Cアルキレン、またはC~Cアルキレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、R置換アルキレン(例えば、C~Cアルキレン、C~Cアルキレン、またはC~Cアルキレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、非置換アルキレン(例えば、C~Cアルキレン、C~Cアルキレン、またはC~Cアルキレン)である。
【0147】
ある特定の実施形態では、Lは、R置換または非置換ヘテロアルキレン(例えば、2~8員のヘテロアルキレン、2~6員のヘテロアルキレン、または2~4員のヘテロアルキレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、R置換ヘテロアルキレン(例えば、2~8員のヘテロアルキレン、2~6員のヘテロアルキレン、または2~4員のヘテロアルキレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、非置換ヘテロアルキレン(例えば、2~8員のヘテロアルキレン、2~6員のヘテロアルキレン、または2~4員のヘテロアルキレン)である。
【0148】
ある特定の実施形態では、Lは、R置換または非置換シクロアルキレン(例えば、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルキレン、またはC~Cシクロアルキレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、R置換シクロアルキレン(例えば、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルキレン、またはC~Cシクロアルキレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、非置換シクロアルキレン(例えば、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルキレン、またはC~Cシクロアルキレン)である。
【0149】
ある特定の実施形態では、Lは、R置換または非置換ヘテロシクロアルキレン(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキレン、3~6員のヘテロシクロアルキレン、または5~6員のヘテロシクロアルキレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、R置換ヘテロシクロアルキレン(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキレン、3~6員のヘテロシクロアルキレン、または5~6員のヘテロシクロアルキレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、非置換ヘテロシクロアルキレン(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキレン、3~6員のヘテロシクロアルキレン、または5~6員のヘテロシクロアルキレン)である。
【0150】
ある特定の実施形態では、Lは、R置換または非置換アリーレン(例えば、C~C10アリーレン、C10アリーレン、またはフェニレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、R置換アリーレン(例えば、C~C10アリーレン、C10アリーレン、またはフェニレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、非置換アリーレン(例えば、C~C10アリーレン、C10アリーレン、またはフェニレン)である。
【0151】
ある特定の実施形態では、Lは、R置換または非置換ヘテロアリーレン(例えば、5~10員のヘテロアリーレン、5~9員のヘテロアリーレン、または5~6員のヘテロアリーレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、R置換ヘテロアリーレン(例えば、5~10員のヘテロアリーレン、5~9員のヘテロアリーレン、または5~6員のヘテロアリーレン)である。ある特定の実施形態では、Lは、非置換ヘテロアリーレン(例えば、5~10員のヘテロアリーレン、5~9員のヘテロアリーレン、または5~6員のヘテロアリーレン)である。
【0152】
ある特定の実施形態では、Rは独立して、水素、ハロゲン、-CX1.1 、-CHX1.1 、-CH1.1、-CN、-SOn11A、-SOv1NR1B1C、-NHNR1B1C、-ONR1B1C、-NHC(O)NHNR1B1C、-NHC(O)NR1B1C、-N(O)m1、-NR1B1C、-C(O)R1D、-C(O)OR1D、-C(O)NR1B1C、-OR1A、-NR1BSO1A、-NR1BC(O)R1D、-NR1BC(O)OR1D、-NR1BOR1D、-OCX1.1 、-OCHX1.1 、R12置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、もしくはC~Cアルキル)、R12置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、R12置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R12置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R12置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR12置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。
【0153】
ある特定の実施形態では、Rは、R12置換または非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。ある特定の実施形態では、Rは、R12置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。ある特定の実施形態では、Rは、非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。
【0154】
ある特定の実施形態では、Rは、R12置換または非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。ある特定の実施形態では、Rは、R12置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。ある特定の実施形態では、Rは、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。
【0155】
ある特定の実施形態では、Rは、R12置換または非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、Rは、R12置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、Rは、非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。
【0156】
ある特定の実施形態では、Rは、R12置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、Rは、R12置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、Rは、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。
【0157】
ある特定の実施形態では、Rは、R12置換または非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。ある特定の実施形態では、Rは、R12置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。ある特定の実施形態では、Rは、非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。
【0158】
ある特定の実施形態では、Rは、R12置換または非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。ある特定の実施形態では、Rは、R12置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。ある特定の実施形態では、Rは、非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。
【0159】
ある特定の実施形態では、R1Aは、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-Cl、-COOH、-CONH、R12A置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、もしくはC~Cアルキル)、R12A置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)、R12A置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R12A置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R12A置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR12A置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。
【0160】
ある特定の実施形態では、R1Bは、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-Cl、-COOH、-CONH、R12B置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)、R12B置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、R12B置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R12B置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R12B置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR12B置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。ある特定の実施形態では、同じ窒素原子に結合したR1B置換基およびR1C置換基は、場合により、R12B置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、またはR12B置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)を形成するよう結合していてもよい。
【0161】
ある特定の実施形態では、R1Cは、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-Cl、-COOH、-CONH、R12C置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)、R12C置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、R12C置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R12C置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R12C置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR12C置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。ある特定の実施形態では、同じ窒素原子に結合したR1B置換基およびR1C置換基を、場合により、R12C置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、またはR12C置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)を形成するよう結合していてもよい。
【0162】
ある特定の実施形態では、R1Dは、水素、ハロゲン、-CF、-CCl、-CBr、-Cl、-COOH、-CONH、R12D置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)、R12D置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、R12D置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R12D置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R12D置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR12D置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。
【0163】
は独立して、オキソ、ハロゲン、-CCl、-CBr、-CF、-CI、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC(O)NHNH、-NHC(O)NH、-NHSOH、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl、-OCF、-OCBr、-OCI、-OCHCl、-OCHBr、-OCHI、-OCHF、R10置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、もしくはC~Cアルキル)、R10置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、R10置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R10置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R10置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR10置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。
【0164】
実施形態では、Rは、R10置換または非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。実施形態では、Rは、R10置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。実施形態では、Rは、非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。
【0165】
実施形態では、Rは、R10置換または非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。実施形態では、Rは、R10置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。実施形態では、Rは、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。
【0166】
実施形態では、Rは、R10置換または非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。実施形態では、Rは、R10置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。実施形態では、Rは、非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。
【0167】
実施形態では、Rは、R10置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。実施形態では、Rは、R10置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。実施形態では、Rは、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。
【0168】
実施形態では、Rは、R10置換または非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。実施形態では、Rは、R10置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。実施形態では、Rは、非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。
【0169】
実施形態では、Rは、R10置換または非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。実施形態では、Rは、R10置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。実施形態では、Rは、非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。
【0170】
10は独立して、オキソ、ハロゲン、-CCl、-CBr、-CF、-CI、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC(O)NHNH、-NHC(O)NH、-NHSOH、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl、-OCF、-OCBr、-OCI、-OCHCl、-OCHBr、-OCHI、-OCHF、R11置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、もしくはC~Cアルキル)、R11置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、R11置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R11置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R11置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR11置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。
【0171】
実施形態では、R10は、R11置換または非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。実施形態では、R10は、R11置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。実施形態では、R10は、非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。
【0172】
実施形態では、R10は、R11置換または非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。実施形態では、R10は、R11置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。実施形態では、R10は、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。
【0173】
実施形態では、R10は、R11置換または非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。実施形態では、R10は、R11置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。実施形態では、R10は、非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。
【0174】
実施形態では、R10は、R11置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。実施形態では、R10は、R11置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。実施形態では、R10は、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。
【0175】
実施形態では、R10は、R11置換または非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。実施形態では、R10は、R11置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。実施形態では、R10は、非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。
【0176】
実施形態では、R10は、R11置換または非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。実施形態では、R10は、R11置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。実施形態では、R10は、非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。
【0177】
12は独立して、オキソ、ハロゲン、-CCl、-CBr、-CF、-CI、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC(O)NHNH、-NHC(O)NH、-NHSOH、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl、-OCF、-OCBr、-OCI、-OCHCl、-OCHBr、-OCHI、-OCHF、R13置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、もしくはC~Cアルキル)、R13置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、R13置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R13置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R13置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR13置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。
【0178】
ある特定の実施形態では、R12は、R13置換または非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。ある特定の実施形態では、R12は、R13置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。ある特定の実施形態では、R12は、非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。
【0179】
ある特定の実施形態では、R12は、R13置換または非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R12は、R13置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R12は、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。
【0180】
ある特定の実施形態では、R12は、R13置換または非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R12は、R13置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R12は、非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。
【0181】
ある特定の実施形態では、R12は、R13置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R12は、R13置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R12は、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。
【0182】
ある特定の実施形態では、R12は、R13置換または非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。ある特定の実施形態では、R12は、R13置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。ある特定の実施形態では、R12は、非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。
【0183】
ある特定の実施形態では、R12は、R13置換または非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。ある特定の実施形態では、R12は、R13置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。ある特定の実施形態では、R12は、非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。
【0184】
13は独立して、オキソ、ハロゲン、-CCl、-CBr、-CF、-CI、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC(O)NHNH、-NHC(O)NH、-NHSOH、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl、-OCF、-OCBr、-OCI、-OCHCl、-OCHBr、-OCHI、-OCHF、R14置換もしくは非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、もしくはC~Cアルキル)、R14置換もしくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、R14置換もしくは非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、R14置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、R14置換もしくは非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、またはR14置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。
【0185】
ある特定の実施形態では、R13は、R14置換または非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。ある特定の実施形態では、R13は、R14置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。ある特定の実施形態では、R13は、非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキル)である。
【0186】
ある特定の実施形態では、R13は、R14置換または非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R13は、R14置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R13は、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、または2~4員のヘテロアルキル)である。
【0187】
ある特定の実施形態では、R13は、R14置換または非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R13は、R14置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R13は、非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、またはC~Cシクロアルキル)である。
【0188】
ある特定の実施形態では、R13は、R14置換または非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R13は、R14置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。ある特定の実施形態では、R13は、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、または5~6員のヘテロシクロアルキル)である。
【0189】
ある特定の実施形態では、R13は、R14置換または非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。ある特定の実施形態では、R13は、R14置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。ある特定の実施形態では、R13は、非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、またはフェニル)である。
【0190】
ある特定の実施形態では、R13は、R14置換または非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。ある特定の実施形態では、R13は、R14置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。ある特定の実施形態では、R13は、非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリール)である。
11、R12A、R12B、R12C、R12D、およびR14は独立して、水素、オキソ、ハロゲン、-CCl、-CBr、-CF、-CI、-CN、-OH、-NH、-COOH、-CONH、-NO、-SH、-SOH、-SOH、-SONH、-NHNH、-ONH、-NHC(O)NHNH、-NHC(O)NH、-NHSOH、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl、-OCF、-OCBr、-OCI、-OCHCl、-OCHBr、-OCHI、-OCHF、非置換アルキル(例えば、C~Cアルキル、C~Cアルキル、もしくはC~Cアルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員のヘテロアルキル、2~6員のヘテロアルキル、もしくは2~4員のヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルキル、もしくはC~Cシクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員のヘテロシクロアルキル、3~6員のヘテロシクロアルキル、もしくは5~6員のヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C~C10アリール、C10アリール、もしくはフェニル)、または非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員のヘテロアリール、5~9員のヘテロアリール、もしくは5~6員のヘテロアリール)である。
【0191】
III.医薬組成物
一態様では、構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと、少なくとも1つの医薬として許容され得る賦形剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0192】
一態様では、以下:
【化22】

である化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグである化合物と、少なくとも1つの医薬として許容され得る賦形剤と、を含む、医薬組成物が本明細書で提供されている。
【0193】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つの医薬として許容され得る賦形剤は、医薬として許容され得る眼科用担体である。
【0194】
本開示の化合物(例えば、VAP-1阻害剤)は、対象への投与に適した組成物の形態であることができる。一般に、このような組成物は、化合物(例えば、VAP-1阻害剤)と1つ以上の医薬として許容され得るまたは生理学的に許容され得る希釈剤、担体、または賦形剤とを含む、「医薬組成物」である。ある特定の実施形態では、化合物(例えば、VAP-1阻害剤)は、治療として許容され得る量で存在する。医薬組成物は、本開示の方法で使用することができ、したがって、例えば、医薬組成物は、本明細書に説明する治療上のおよび予防上の方法および使用を実施するために、エクスビボまたはインビボで対象に投与することができる。
【0195】
本開示の医薬組成物は、意図した投与方法または投与経路に適合するように製剤することができ、例示的な投与経路を本明細書で述べる。
【0196】
有効成分(例えば、VAP-1機能の阻害剤)を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤またはカプセル剤(例えば、硬カプセル剤または軟カプセル剤)として、経口使用に適した形態であることができる。経口使用を意図した医薬組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法によって調製することができ、このような組成物は、例えば、甘味剤、香味剤、着色料および防腐剤など、1つ以上の作用薬を含有して、医薬としてエレガントで口当たりの良い製剤を提供することができる。錠剤、カプセル剤などは、それらの製造に適した非毒性の医薬として許容され得る賦形剤と混合された有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、またはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア;および潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであってよい。
【0197】
経口投与に適した錠剤、カプセル剤などは、コーティングされていないか、または、消化管内での崩壊および吸収を遅延させ、それによって持続的な作用を提供するために、公知の技術によってコーティングされることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を採用することができる。該錠剤などはまた、放出制御のための浸透治療錠剤を形成するために当技術分野で公知の技術によってコーティングされることができる。追加の作用薬には、投与される組成物の送達を制御するために、ポリエステル、ポリアミン酸、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、ポリ無水物、ポリグリコール酸、エチレン-ビニルアセタート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロタミンスルファート、またはラクチド/グリコリドコポリマー、ポリラクチド/グリコリドコポリマー、もしくはエチレンビニルアセタートコポリマーなどの、生分解性または生体適合性の粒子あるいはポリマー物質が含まれる。例えば、経口剤は、コアセルベーション技術によって、または界面重合によって、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルもしくはポリ(メチルメタクロラート)マイクロカプセルを使用することによって調製されたマイクロカプセル内に、あるいはコロイド薬物送達システム内に封入することができる。コロイド分散システムには、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、マイクロビーズ、ならびに水中油型エマルション、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質系システムが含まれる。先の製剤の調製のための方法は、当業者には明らかであろう。
【0198】
経口使用のための製剤はまた、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリンもしくは微結晶性セルロースと混合された硬ゼラチンカプセル剤として、または有効成分が水媒体もしくは油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセル剤として提示されることもできる。
【0199】
水性懸濁液は、その製造に適した賦形剤と混合された活性物質を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガム;分散剤または湿潤剤、例えば、天然のホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアラート)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノールの場合)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアート)であることができる。水性懸濁液はまた、1つ以上の防腐剤を含有することもできる。
【0200】
医薬組成物は、典型的には、本開示によって企図される治療有効量のVAP-1阻害剤と、1つ以上の医薬としておよび生理学的に許容され得る製剤とを含む。適切な医薬として許容され得るまたは生理学的に許容され得る希釈剤、担体または賦形剤には、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸および重硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、エチルプロピルまたはn-プロピル、p-ヒドロキシベンゾアート)、乳化剤、懸濁剤、分散剤、溶媒、充填剤、増量剤、洗剤、緩衝剤、ビヒクル、希釈剤、および/またはアジュバントが含まれるが、これらに限定されない。例えば、適切なビヒクルは、生理塩類溶液またはクエン酸緩衝塩類溶液であってよく、おそらく非経口投与用の医薬組成物において一般的な他の材料が補充されていてもよい。中性緩衝塩類溶液または血清アルブミンと混合された塩類溶液は、さらなる例示的なビヒクルである。当業者は、本明細書で企図される医薬組成物および剤形において使用することができるさまざまな緩衝剤を容易に認識するであろう。典型的な緩衝剤には、医薬として許容され得る弱酸、弱塩基、またはこれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。一例として、緩衝剤成分は、リン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびこれらの塩などの水溶性材料であることができる。許容され得る緩衝剤には、例えば、トリス緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、およびN-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)が含まれる。
【0201】
製剤はまた、リポソーム、ヒドロゲル、プロドラッグおよびマイクロカプセル化送達システムを含む放出制御製剤など、身体からの迅速な分解または排除から組成物を保護するための担体を含むこともできる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を単独で、または蝋と合わせて採用することができる。インプラント(例えば、植え込み型ポンプ)およびカテーテルシステム、低速注入ポンプおよびデバイスを含む、任意の薬物送達装置を使用して、VAP-1阻害剤を送達することができ、該薬物送達装置のすべてが当業者に周知である。
【0202】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁剤の形態であってよい。この懸濁剤は、本明細書に記載のそれらの適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術によって製剤することができる。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の液剤として、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であってよい。採用することができる許容され得る希釈剤、溶媒、および分散媒体には、水、Ringer液、等張性塩化ナトリウム溶液、Cremophor(登録商標)EL(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝塩類溶液(PBS)、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびこれらの適切な混合物が含まれる。加えて、無菌不揮発性油は、従来より、溶媒または懸濁媒体として採用されており、この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む、任意の刺激のない不揮発性油を採用することができる。その上、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用されている。特定の注射可能な製剤の長期吸収は、吸収を遅延させる作用薬(例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチン)を含むことによって達成することができる。
【0203】
経口使用のための製剤は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセル剤の形態であってよい。該製剤はまた、有効成分が水媒体または落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油などの油媒体と混合された軟ゼラチンカプセル剤の形態であってもよい。
【0204】
本明細書に説明する方法において使用されるVAP-1化合物は、いくつかの場合、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液の形態にある。この懸濁剤は、先に記載の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術によって製剤することができる。無菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の懸濁液として、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として製剤することもできる。採用されることができる許容され得るビヒクルおよび溶媒の中には、水、Ringer液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の刺激のない不揮発性油を採用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用されている。
【0205】
いくつかの実施形態では、組成物は、溶液(例えば、水溶液)の形態にある。
【0206】
いくつかの場合、本明細書に説明する組成物はさらに、防腐剤を含む。いくつかの場合、防腐剤は、組成物中に持ち込まれた微生物の成長を防止するかまたは微生物を破壊する濃度で、本明細書に説明する組成物に添加される。
【0207】
いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウム、過ホウ酸ナトリウム、安定化オキシクロロ複合体、SofZia(Alcon)、ポリクアテルニウム1、クロロブタノール、エデト酸二ナトリウム、およびポリヘキサメチレンビグアニドから選択される。
【0208】
いくつかの場合、本明細書に説明する組成物はさらに、消毒剤を含む。いくつかの場合、消毒剤には、ビグアニドポリマー、第四級アンモニウム化合物ポリマー、亜塩素酸塩、ビスビグアニド、亜塩素酸塩化合物(例えば、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、またはこれらの混合物)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0209】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物はさらに、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール複合体、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、有機緩衝剤、アミノ酸緩衝剤、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0210】
いくつかの場合、ホウ酸塩には、ホウ酸、ホウ酸の塩、他の医薬として許容され得るホウ酸塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの場合、ホウ酸塩には、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン、および他のこのようなホウ酸塩が含まれる。
【0211】
本明細書で使用される場合、ポリオールという用語は、互いに対してトランス配置にない2つの隣接する炭素原子の各々に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する任意の化合物を含む。いくつかの実施形態では、ポリオールは、得られる複合体が水溶性であり、医薬として許容され得る限り、線状もしくは環状、置換もしくは非置換、またはこれらの混合物である。いくつかの場合、ポリオールの例には、糖、糖アルコール、糖酸、およびウロン酸が含まれる。いくつかの場合、ポリオールには、マンニトール、グリセリン、キシリトール、およびソルビトールが含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
いくつかの実施形態では、リン酸塩緩衝剤は、リン酸;リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、およびリン酸三カリウムなどのアルカリ金属リン酸塩;リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸一マグネシウム、リン酸二マグネシウム(リン酸水素マグネシウム)、およびリン酸三マグネシウムなどのアルカリ土類金属リン酸塩;リン酸水素二アンモニウムおよびリン酸二水素アンモニウムなどのリン酸アンモニウム。またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの場合、リン酸塩緩衝剤は無水物である。いくつかの場合、リン酸塩緩衝剤は水和物である。
【0213】
いくつかの実施形態では、ホウ酸塩-ポリオール複合体は、米国特許第6,503,497号に説明されているものを含む。いくつかの場合、ホウ酸塩-ポリオール複合体は、約0.01~約2.0%w/vの量のホウ酸塩と、約0.01%~約5.0%w/vの量の1つ以上のポリオールとを含む。
【0214】
いくつかの場合、クエン酸塩緩衝剤には、クエン酸およびクエン酸ナトリウムが含まれる。
【0215】
いくつかの場合、酢酸塩緩衝剤には、酢酸、酢酸カリウム、および酢酸ナトリウムが含まれる。
【0216】
いくつかの場合、炭酸塩緩衝剤には、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが含まれる。
【0217】
いくつかの場合、有機緩衝剤には、例えば、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸、N-(カルバモイルメチル)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸(PIPES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、β-ヒドロキシ-4-モルホリンプロパンスルホン酸、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、塩化コラミン、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、2-[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]エタンスルホン酸(TES)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、アセトアミドグリシン、3-{[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-プロパニル]アミノ}-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン-1,4,-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)水和物(HEPPSO)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPPS)、トリシン、グリシンアミド、ビシンまたはN-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸ナトリウム(TAPS)などのGoodの緩衝液;グリシン;およびジエタノールアミン(DEA)が含まれる。
【0218】
いくつかの場合、アミノ酸緩衝剤には、タウリン、アスパラギン酸およびその塩(例えば、カリウム塩など)、E-アミノカプロン酸などが含まれる。
【0219】
いくつかの場合、本明細書に説明する組成物はさらに、張性調整剤を含む。張性調整剤は、適用部位での浸透圧ショックを防止することによって局所刺激を低減させるために、眼科用組成物などの製剤中へと導入される作用薬である。いくつかの場合、眼科用溶液を特定のイオン濃度およびpDに広く維持する緩衝溶液および/またはpD調整剤は、張性調整剤と見なされる。いくつかの場合、張性調整剤には、一価カチオンのハロゲン化物塩など、さまざまな塩が含まれる。いくつかの場合、張性調整剤には、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、およびグリセリンが含まれる。いくつかの場合、適切な張性調整剤は、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組み合わせを含む。
【0220】
いくつかの場合、本明細書に説明する組成物中の張性調整剤の濃度は、約0.5%~約10.0%の間である。いくつかの場合、百分率は、重量百分率である。
【0221】
いくつかの場合、本明細書に説明する組成物はさらに、pD調整剤を含む。いくつかの実施形態では、使用されるpD調整剤は、酸または塩基である。いくつかの実施形態では、塩基は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などである。いくつかの場合、酸化物は、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物であり、水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属、またはこれらの重水素化等価物であり、炭酸塩は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどである。いくつかの場合、酸は、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸などの鉱酸および有機酸など、またはこれらの重水素化等価物である。いくつかの場合、pD調整剤には、酢酸塩、重炭酸塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩、リン酸塩、その医薬として許容され得る塩、およびこれらの組み合わせまたは混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0222】
いくつかの場合、本明細書に説明する組成物はさらに、消毒剤を含む。いくつかの場合、消毒剤には、ビグアニドポリマー、第四級アンモニウム化合物ポリマー、亜塩素酸塩、ビスビグアニド、亜塩素酸塩化合物(例えば、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、またはこれらの混合物)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0223】
いくつかの場合、本明細書に説明する組成物はさらに、安定剤(stabilizing agent)または安定剤(stabilizer)を含む。本明細書に開示される眼科的に許容され得る製剤において有用である安定剤には、例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、アルコール、長鎖脂肪酸エステル、長鎖エーテル、脂肪酸の親水性誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、炭化水素、疎水性ポリマー、吸湿性ポリマー、およびこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、安定剤のアミド類似体もまた使用される。さらなる実施形態では、選択された安定剤は、製剤の疎水性を変化させ、配合物中のさまざまな成分の混合を改善し、製剤中の水分レベルを制御し、または相の移動度を制御する。
【0224】
他の実施形態では、安定剤は、眼科用作用薬の分解を抑制するのに十分な量で存在する。このような安定剤の例には、グリセロール、メチオニン、モノチオグリセロール、EDTA、アスコルビン酸、ポリソルベート80、ポリソルベート20、アルギニン、ヘパリン、デキストラン硫酸、シクロデキストリン、ペントサンポリスルファートおよび他のヘパリノイド、マグネシウムおよび亜鉛などの二価のカチオン、またはこれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0225】
眼科的に許容され得る製剤のための追加の有用な安定剤には、タンパク質凝集速度を低減させることによって眼科用製剤の安定性を増強するための1つ以上の抗集合添加剤が含まれる。選択される抗集合添加剤は、眼科用作用薬、例えば、VAP-1阻害剤が曝露される条件の性質に依存する。例えば、撹拌および熱応力を受けるある特定の製剤は、凍結乾燥および再構成を受ける製剤とは異なる抗集合添加剤を必要とする。有用な抗集合添加剤には、ほんの一例として、尿素、グアニジニウムクロリド、グリシンまたはアルギニンなどの単純なアミノ酸、糖、多価アルコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコールおよびデキストランスなどのポリマー、アルキルグリコシドなどのアルキル糖類、および界面活性剤が含まれる。
【0226】
他の有用な製剤は、必要に応じて化学的安定性を増強するために、場合により1つ以上の眼科的に許容され得る酸化防止剤を含む。適切な酸化防止剤には、ほんの一例として、アスコルビン酸、メチオニン、チオ硫酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウムが含まれる。一実施形態では、酸化防止剤は、金属キレート剤、チオール含有化合物、および他の一般的な安定剤から選択される。
【0227】
さらに他の有用な組成物は、物理的安定性を増強するために、または他の目的のために、1つ以上の眼科的に許容され得る界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油、ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40が含まれるが、これらに限定されない。
【0228】
他の実施形態では、追加の界面活性剤(共界面活性剤)および/または緩衝剤は、界面活性剤および/または緩衝剤が生成物を安定性のために最適なpDに維持するように、本明細書ですでに説明した1つ以上の医薬として許容され得るビヒクルと組み合わされる。適切な共界面活性剤には、a)天然ならびに合成の親油性作用剤、例えば、リン脂質、コレステロール、およびコレステロール脂肪酸エステルならびにこれらの誘導体、b)例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル(Spans)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(Tween80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート(Tween60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート(Tween20)および他のTween、ソルビタンエステル、グリセロールエステル、例えば、Myrjおよびグリセロールトリアセタート(トリアセチン)、ポリエチレングリコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ポリソルベート80、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えば、Cremophor(登録商標)RH40、Cremphor A25、Cremphor A20、Cremophor(登録商標)EL)およびその他のCremophor、スルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩(SLS);PEG-8グリセリルカプリラート/カプラート(Labrasol)などのPEGグリセリル脂肪酸エステル、PEG-4グリセリルカプリラート/カプラート(Labrafac Hydro WL 1219)、PEG-32グリセリルラウラート(Gelucire 444/14)、PEG-6グリセリルモノオレアート(Labrafil M 1944 CS)、PEG-6グリセリルリノラート(Labrafil M 2125 CS);プロピレングリコールラウラート、プロピレングリコールカプリラート/カプラートなどのプロピレングリコールモノ脂肪酸およびジ脂肪酸エステル;Brij(登録商標)700、アスコルビル-6-パルミタート、ステアリルアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレングリセロールトリイリシノレアート、およびこれらの任意の組み合わせまたは混合物を含む非イオン性界面活性剤、c)カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム、ジオクチル、アルギン酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレンスルファート、ラウリル硫酸ナトリウム、トリエタノールアミンステアラート、ラウリン酸カリウム、胆汁酸塩、およびこれらの任意の組み合わせまたは混合物を含むがそれらに限定されない陰イオン性界面活性剤、ならびにd)セチルトリメチルアンモニウムブロミド、およびラウリルジメチルベンジル-アンモニウムクロリドなどのカチオン性界面活性剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0229】
pD
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する組成物のpDは、(例えば、緩衝剤および/またはpD調整剤の使用によって)約4~約8、約4.5~約7.5、または約5~約7の眼科的に適合性のあるpD範囲に調整される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、約5.0~約7.0のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、約5.5~約7.0のpDを有する。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、約6.0~約7.0のpDを有する。
【0230】
いくつかの実施形態では、有用な製剤は、1つ以上のpD調整剤または緩衝剤を含む。適切なpD調整剤または緩衝剤には、酢酸塩、重炭酸塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩、リン酸塩、重水素化形態の酢酸塩、重炭酸塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩、リン酸塩、その医薬として許容され得る塩、およびこれらの組み合わせまたは混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0231】
一実施形態では、1つ以上の緩衝剤が本開示の製剤で利用されるとき、該緩衝剤は、例えば、医薬として許容され得るビヒクルと組み合わされ、例えば、約0.1%~約20%、または約0.5%~約10%の範囲の量で最終製剤中に存在する。本開示のある特定の実施形態では、ゲル製剤中に含まれる緩衝剤の量は、ゲル製剤のpDが身体の天然の緩衝系に干渉しないような量である。
【0232】
一実施形態では、希釈剤はまた、より安定した環境を提供するので、化合物を安定させるためにも使用される。いくつかの場合では、緩衝剤溶液(pDの制御または維持も提供する)中に溶解した塩が、リン酸緩衝塩類溶液を含むがこれに限定されない当技術分野の希釈剤として利用される。
【0233】
いくつかの実施形態では、pDは、Glasoe et al.,’’Use of glass electrodes to measure acidities in deuterium oxide,’’J.Physical Chem.64(1):188-190(1960)において開示された式により計算される。
【0234】
水溶液の用量間均一性
典型的な眼科用水溶液は、点眼薬ボトル内に包装され、点眼薬として投与される。例えば、眼科用水溶液の単回投与(すなわち、単回用量)は、患者または対象の眼の中への1滴、2滴、3滴、またはそれより多量を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する眼科用水溶液の1用量は、点眼ボトルからの水溶液組成物の1滴である。
【0235】
いくつかの場合、本明細書に説明されるものには、用量間で均一な濃度を提供する眼科用水性組成物を含む。いくつかの場合、用量間の均一な濃度は、ある用量から別の用量への薬物含有量の有意な変化を示さない。いくつかの場合、用量間の均一な濃度は、ある用量から別の用量への一貫した薬物含有量を提供する。
【0236】
いくつかの実施形態では、組成物は、50%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、40%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、30%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、20%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。
【0237】
いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、10回連続用量に基づいている。いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、8回連続用量に基づいている。いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、5回連続用量に基づいている。いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、3回連続用量に基づいている。いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、2回連続用量に基づいている。
【0238】
沈降しない製剤は、薬物を均一に分散させるために振盪を必要としないものとする。「振盪なし」の製剤は、患者の振盪行動が、投与される薬剤の量の変化の主な原因であるので、振盪を必要とする製剤よりも潜在的に有利である。ラベルの上に明確に標識されている振盪の指示にもかかわらず、患者は、用量を投与する前に振盪を必要とする眼科用組成物を振盪しないかまたは振盪し忘れていることがよくあることが報告されている。その一方で、製品を振盪する患者でさえ、通常、振盪が製品を均一にするのに十分な強度および/または持続時間であるかどうかを判断することは不可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する眼科用ゲル組成物および眼科用軟膏組成物は、本明細書に説明する用量間の均一性を維持する「無振盪」製剤である。
【0239】
水溶液の粘度
いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約10~約50,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約100~約40,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約500~約30,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約1000~約20,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約2000~約10,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約4000~約8000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。
【0240】
いくつかの実施形態では、眼科用水性製剤は、約500~50,000センチポアズ、約750~50,000センチポアズ、約1000~50,000センチポアズ、約1000~40,000センチポアズ、約2000~30,000センチポアズ、約3000~20,000センチポアズ、約4000~10,000センチポアズ、または約5000~8000センチポアズの粘度を提供するのに十分な増粘剤を含有する。
【0241】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する組成物は、体温で低粘度の組成物である。いくつかの実施形態では、低粘度の組成物は、約1%~約10%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、低粘度の組成物は、約2%~約10%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、低粘度の組成物は、約5%~約10%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、低粘度の組成物は、増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する低粘度の眼科用作用薬組成物は、約100cP~約10,000cPの見かけの粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する低粘度の眼科用作用薬組成物は、約500cP~約10,000cPの見かけの粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する低粘度の眼科用作用薬組成物は、約1000cP~約10,000cPの見かけの粘度を提供する。
【0242】
容積モル浸透圧濃度
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、眼のイオン収支を崩壊させないように製剤される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、眼と同じまたは実質的に同じであるイオン収支を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、眼のイオン収支を崩壊させない。
【0243】
本明細書で使用される場合、「実際の容積モル浸透圧濃度/容積モル浸透圧濃度」または「送達可能な容積モル浸透圧濃度/容積モル浸透圧濃度」は、眼科用作用薬ならびにゲル化剤および/または増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、カルボキシメチルセルロースなど)を除くすべての賦形剤の容積モル浸透圧濃度/容積モル浸透圧濃度を測定することによって決定されるような、組成物の容積モル浸透圧濃度/容積モル浸透圧濃度を意味する。本明細書に開示される組成物の実際の容積モル浸透圧濃度は、適切な方法、例えば、Viegas et.al.,Int.J.Pharm.,1998,160,157-162に説明されているような凝固点降下法によって測定される。いくつかの場合、本明細書に開示される組成物の実際の容積モル浸透圧濃度は、より高温での組成物の容積モル浸透圧濃度の決定を可能にする蒸気圧浸透圧測定(例えば、蒸気圧降下法)によって測定される。いくつかの場合、蒸気圧降下法は、ゲル化剤(例えば、熱可逆性ポリマー)がゲルの形状にある、ゲル化剤を含む組成物の容積モル浸透圧濃度のより高温での決定を可能にする。
【0244】
いくつかの実施形態では、標的作用部位(例えば、眼)での容積モル浸透圧濃度は、本明細書に説明する組成物の送達された容積モル浸透圧濃度とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する組成物は、約150mOsm/L~約500mOsm/L、約250mOsm/L~約500mOsm/L、約250mOsm/L~約350mOsm/L、約280mOsm/L~約370mOsm/Lまたは約250mOsm/L~約320mOsm/Lの送達可能な容積モル浸透圧濃度を有する。
【0245】
本明細書に開示される眼科用組成物の実際の容積モル浸透圧濃度は、約100mOsm/kg~約1000mOsm/kg、約200mOsm/kg~約800mOsm/kg、約250mOsm/kg~500mOsm/kg、または約250mOsm/kg~約320mOsm/kg、または約250mOsm/kg~約350mOsm/kgまたは約280mOsm/kg~約320mOsm/kgである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約100mOsm/L~約1000mOsm/L、約200mOsm/L~約800mOsm/L、約250mOsm/L~約500mOsm/L、約250mOsm/L~約350mOsm/L、約250mOsm/L~約320mOsm/L、または約280mOsm/L~約320mOsm/Lの実際の容積モル浸透圧濃度を有する。
【0246】
いくつかの実施形態では、適切な張度調整剤には、医薬として許容され得る糖、塩、またはそれらの任意の組み合わせもしくは混合物が含まれるがこれらに限定されず、例えば、デキストロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、および他の電解質が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの場合、張性調整剤は、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する眼科用組成物は、組成物の容積モル浸透圧濃度を許容範囲にするのに必要な量の1つ以上の塩を含む。このような塩には、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンまたはアンモニウムカチオンおよび塩化物アニオン、クエン酸塩アニオン、アスコルビン酸塩アニオン、ホウ酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、重炭酸塩アニオン、硫酸塩アニオン、チオ硫酸塩アニオンまたは重亜硫酸塩アニオンを有するものが含まれ、適切な塩には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、および硫酸アンモニウムが含まれる。
【0248】
無菌
いくつかの実施形態では、組成物は滅菌されている。ヒトで使用するために本明細書に開示される医薬組成物を滅菌するための手段およびプロセスが本明細書に開示される実施形態内に含まれる。目標は、微生物に起因する感染が比較的ない安全な医薬品を提供することとする。米国食品医薬品局は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるhttp://www.fda.gov/cder/guidance/5882fnl.htmで入手可能な公表物「Guidance for Industry:Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing」において規制ガイダンスを提供している。
【0249】
本明細書で使用される場合、滅菌は、製品またはパッケージに存在する微生物を破壊または除去するために使用されるプロセスを意味する。物体および組成物の滅菌に利用可能な任意の適切な方法が使用される。微生物を不活性化するために利用可能な方法には、極度の熱、致死的な化学物質、またはγ線の適用が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、眼科用製剤の調製のためのプロセスは、製剤を、熱滅菌、化学滅菌、放射線滅菌または濾過滅菌から選択される滅菌方法に供することを含む。使用される方法は、滅菌されるデバイスまたは組成物の性質に大きく依存する。滅菌の多くの方法の詳細な説明は、Lippincott,Williams&Wilkinsによって公表されたRemington:The Science and Practice of Pharmacyの第40章に付与されており、この対象に関して参照により組み込まれる。
【0250】
濾過
濾過滅菌は、溶液から微生物を除去するが破壊しないために使用される方法である。膜フィルターは、熱に弱い溶液を濾過するために使用される。このようなフィルターは、混合セルロースエステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVFであってPVDFとしても公知)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の薄くて強い均質なポリマーであり、0.1~0.22μmの範囲の孔径を有する。さまざまな特徴の溶液は、場合により、異なるフィルター膜を使用して濾過される。例えば、PVF膜およびPTFE膜は、有機溶媒の濾過に適しているのに対し、水溶液は、PVF膜またはMCE膜で濾過される。フィルター装置は、注射器に取り付けられた単一の使用時点使い捨てフィルターから、製造工場で使用するための商用規模のフィルターまでの範囲の多くの規模で使用するのに利用可能である。膜フィルターは、オートクレーブ滅菌または化学滅菌によって滅菌される。膜濾過システムの検証は、標準化されたプロトコル(Microbiological Evaluation of Filters for Sterilizing Liquids,Vol 4,No.3.Washington,D.C:Health Industry Manufacturers Association,1981)に従って実施され、Brevundimonas diminuta(ATCC 19146)などの異常に小さい微生物の既知の量(約107/cm)を膜フィルターに負荷することを包含する。
【0251】
医薬組成物は、場合により、膜フィルターを通過させることによって滅菌される。ナノ粒子(米国特許第6,139,870号)または多層ベシクル(Richard et al.,International Journal of Pharmaceutics(2006),312(1-2):144-50)を含む製剤は、0.22μmフィルターを経た濾過によって該ナノ粒子または多層ベシクルの組織化された構造を破壊することなく滅菌することを受けることができる。
【0252】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、濾過滅菌によって製剤(またはその成分)を滅菌することを含む。熱硬化性ポリマーを含む眼科用ゲル組成物では、濾過は、本明細書に説明する製剤のゲル温度(Tgel)未満(例えば、約5℃)で、蠕動ポンプを用いて妥当な時間で濾過することができる粘度(例えば、理論値100cP未満)で行われる。
【0253】
放射線滅菌
放射線滅菌の利点の1つは、熱劣化またはその他の損傷なしに多くの種類の製品を滅菌することができることである。通常採用される放射線は、β線、またはそれに代わるものとして60Co線源からのγ線である。γ線の透過能力により、溶液、組成物、および不均一混合物を含む多くの製品タイプの滅菌において使用することができる。照射の殺菌効果は、γ線と生体高分子との相互作用から生じる。この相互作用により、荷電種およびフリーラジカルが生成される。転位および架橋プロセスなどのその後の化学反応の結果、これらの生体高分子の正常な機能が喪失される。本明細書に説明される製剤はまた、場合により、β線照射を使用しても滅菌される。
【0254】
熱による滅菌
高熱を適用することによる滅菌には多くの方法が利用可能である。1つの方法は、飽和蒸気オートクレーブを使用することによる。この方法では、少なくとも121℃の温度の飽和蒸気を滅菌対象物に接触させることができる。熱の伝達は、滅菌対象物の場合は微生物に直接であるか、または滅菌される水溶液の大部分を加熱することによって微生物に間接的である。この方法は、滅菌プロセスにおける可撓性、安全性、および経済性を可能にするので、広く実践されている。
【0255】
微生物
いくつかの実施形態では、組成物は実質的に微生物を含まない。許容され得る汚染微生物数(bioburden)または無菌のレベルは、米国薬局方第<1111>章以降を含むがこれらに限定されない治療上許容され得る組成物を定義する適用可能な基準に基づいている。例えば、許容され得る無菌(例えば、汚染微生物数)レベルには、製剤1グラムあたり約10コロニー形成単位(cfu)、製剤1グラムあたり約50cfu、製剤1グラムあたり約100cfu、製剤1グラムあたり約500cfu、または製剤1グラムあたり約1000cfuが含まれる。いくつかの実施形態において、製剤のための許容され得る汚染微生物数レベルまたは無菌は、10cfu/mL未満、50cfu/mL未満、500cfu/mL未満、または1000cfu/mL未満の微生物薬を含む。加えて、許容され得る汚染微生物数レベルまたは無菌には、特定の好ましくない微生物薬の除外が含まれる。例として、特定の好ましくない微生物薬には、Escherichia coli(E.coli)、Salmonella属、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、および/または他の特定の微生物薬が含まれるが、これらに限定されない。
【0256】
無菌保証の品質管理、品質保証および検証プロセスの重要な要素は、無菌試験の方法である。無菌試験は、ほんの一例として、2つの方法によって実施される。1つ目は、試験する組成物の試料を成長培地に添加し、最長21日間インキュベートする直接接種である。成長培地の濁度は汚染を示す。この方法の欠点には、感度を低減させるバルク材料の試料採取の大きさが小さいこと、および目視観察に基づく微生物成長の検出が含まれる。別の方法は、膜濾過無菌試験である。この方法では、大量の生成物を小さな膜濾紙に通過させる。次に、濾紙を培地中に入れて微生物の成長を促進する。この方法には、バルクの生成物全体が試料採取されるので、感度が高くなるという利点がある。市販のMillipore Steritest無菌試験システムが場合により、膜濾過無菌試験による測定に使用される。クリーム剤または軟膏の濾過試験には、SteritestフィルターシステムNo.TLHVSL210を使用する。エマルションまたは粘性のある生成物の濾過試験には、SteritestフィルターシステムNo.TLAREM210またはTDAREM210を使用する。事前充填済みの注射器の濾過試験には、SteritestフィルターシステムNo.TTHASY210を使用する。エアロゾル剤またはフォーム剤として分配された材料の濾過試験には、SteritestフィルターシステムNo.TTHVA210を使用する。アンプルまたはバイアル内の可溶性粉末の濾過試験には、SteritestフィルターシステムNo.TTHADA210またはTTHADV210を使用する。
【0257】
E.coliおよびSalmonellaについての試験には、30~35℃で24~72時間インキュベートしたラクトースブロスの使用、MacConkey寒天および/もしくはEMB寒天における18~24時間のインキュベーション、ならびに/またはRappaport培地の使用が含まれる。P.aeruginosaの検出のための試験には、NAC寒天の使用が含まれる。米国薬局方の第<62>章ではさらに、特定の好ましくない微生物についての試験手順を列挙している。
【0258】
眼科用ジェルVAP-1組成物
ゲルは、さまざまな方法で定義されている。例えば、米国薬局方では、ゲルを、小さな無機粒子で構成された懸濁液または液体が相互に浸透した大きな有機分子で構成された懸濁液のいずれかからなる半固体の系と定義している。ゲルには、単相または二相の系が含まれる。単相のゲルは、分散した高分子と液体との間に明らかな境界が存在しないような様式で、液体全体に均一に分布した有機高分子からなる。一部の単相のゲルは、合成高分子(例えば、カルボマー)または天然ガム(例えば、トラガカント)から調製される。いくつかの実施形態では、単相のゲルは一般に、水性であるが、アルコールおよび油を使用しても作製される。二相のゲルは、小さな離散粒子のネットワークからなる。
【0259】
いくつかの実施形態では、ゲルはまた、疎水性または親水性であるとしても分類される。ある特定の実施形態では、疎水性ゲルの非限定的な例の基剤は、コロイド状シリカ、またはアルミニウム石鹸もしくは亜鉛石鹸でゲル化されたポリエチレンまたは脂肪油を含む流動パラフィンを含む。対照的に、親水性ゲルの非限定的な例の基剤には、適切なゲル化剤(例えば、トラガカント、デンプン、セルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、およびマグネシウム-ケイ酸アルミニウム)でゲル化された水、グリセロール、またはプロピレングリコールが含まれる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物のレオロジーは、擬似プラスチック、プラスチック、チキソトロピー、またはダイラタントである。
【0260】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は眼科用ゲルであり、眼科的に許容され得る担体は、水および少なくとも1つの増粘剤を含む。いくつかの実施形態では、増粘剤は、セルロース系ポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン三ブロックコポリマー、デキストラン系ポリマー、ポリビニルアルコール、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0261】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する眼科用ゲル組成物は、(例えば、室温で)局所投与される前に半固体であるかゲル化状態である。例えば、このようなゲルに適した増粘剤には、ほんの一例として、ゲル化剤および懸濁剤が含まれる。一実施形態では、粘度増強製剤には、緩衝剤は含まれない。他の実施形態では、粘度増強製剤には、医薬として許容され得る緩衝剤が含まれる。塩化ナトリウムまたは他の張性剤を場合により使用して、所望の場合、張性を調整する。
【0262】
ほんの一例として、眼科的に許容され得る粘度剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムが含まれる。標的眼部位と適合性のある他の増粘剤には、アカシア(アラビアガム)、寒天、アルミニウムマグネシウムシリカート、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ブラダーラック(bladderwrack)、ベントナイト、カルボマー、カラゲナン、カルボポール、キサンタン、セルロース、微結晶性セルロース(MCC)、セラトニア、キチン、カルボキシメチル化キトサン、ツノマタ、デキストロース、フルセララン、ゼラチン、ガッティガム、グアーガム、ヘクトライト、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、蜂蜜、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、ピンポンノキガム、キサンタムガム、トラガカントガム、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリラート)、オキシポリゼラチン、ペクチン、ポリゲリン、ポビドン、プロピレンカルボナート、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(PVM/MA)、ポリ(メトキシエチルメタクリラート)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリラート)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、二酸化ケイ素、ポリビニルピロリドン(PVP、ポビドン)、Splenda(登録商標)(デキストロース、マルトデキストリンおよびスクラロース)またはこれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。具体的な実施形態では、増粘性賦形剤は、MCCおよびCMCの組み合わせである。別の実施形態では、増粘剤は、カルボキシメチル化キトサン、またはキチン、およびアルギン酸塩の組み合わせである。キチンおよびアルギン酸塩と本明細書に開示される眼科用作用薬との組み合わせは、放出制御製剤として作用し、製剤からの眼科用作用薬の拡散を制限する。その上、カルボキシメチル化キトサンとアルギン酸塩との組み合わせは場合により、眼内での眼科用作用薬の透過性を高めるのを助けるために使用される。
【0263】
いくつかの実施形態では、約0.1mMおよび約100mMからの点眼薬と、医薬として許容され得る粘度剤と、注射用水とを含む粘度増強製剤であり、水中の粘度剤の濃度は、約100~約100,000cPの最終粘度を粘度増強製剤に提供するのに十分である。ある特定の実施形態では、ゲルの粘度は、約100~約50,000cP、約100cP~約1,000cP、約500cP~約1500cP、約1000cP~約3000cP、約2000cP~約8,000cP、約4,000cP~約50,000cP、約10,000cP~約500,000cP、約15,000cP~約1,000,000cPの範囲にある。他の実施形態では、さらにより粘性のある媒体が所望である場合、生体適合性ゲルは、眼科用作用薬の少なくとも約35重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、またはさらには少なくとも約80重量%などを含む。高濃度試料では、生体適合性の粘度増強製剤は、眼科用作用薬の少なくとも約25重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%またはそれ以上を含む。
【0264】
一実施形態では、医薬として許容され得る高粘度の眼科的に許容され得る製剤は、少なくとも1つの眼科用作用薬と少なくとも1つのゲル化剤とを含む。ゲル製剤の調製において使用するのに適したゲル化剤には、セルロース、セルロース誘導体、セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはメチルセルロース)、グアーガム、キサンタンガム、イナゴマメガム、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸)、ケイ酸塩、デンプン、トラガカント、カルボキシビニルポリマー、カラゲナン、パラフィン、ペトロラタム、およびこれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれるが、それらに限定されない。他のいくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(登録商標))がゲル化剤として利用される。ある特定の実施形態では、本明細書に説明する増粘剤はまた、本明細書に提示されるゲル製剤のためのゲル化剤としても利用される。
【0265】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する眼科用ゲル組成物は、インサイツゲル製剤である。いくつかの場合、インサイツゲル形成は、眼の生物学的利用率、角膜粘膜付着、リソソーム相互作用およびイオン性ゲル化、角膜吸収の改善、熱ゲル化、またはこれらの組み合わせを改善する、眼科用組成物の前角膜滞留時間の延長に基づく。いくつかの場合、インサイツゲル製剤は、pH、温度、イオン、UV、または溶媒交換によって活性化される。
【0266】
いくつかの場合、眼科用ゲル組成物は、VAP-1阻害剤と、1つ以上のゲル化剤とを含む。いくつかの場合、ゲル化剤には、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー407)、テトロニクス、エチル(ヒドロキシエチル)セルロース、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボポール(例えば、カルボポール1342P NF、カルボポール980NF)、アルギン酸塩(例えば、低分子量アセチルジェランガム(Gelrite(登録商標))、ジェラン、ヒアルロン酸、プルロニック(登録商標)(例えば、Pluronic F-127)、キトサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、デキストラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、チオール化キシログルカン、ポリメタクリル酸(PMMA)、ポリエチレングリコール(PEG)、擬ラテックス、キシログルカン、またはこれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0267】
いくつかの場合、インサイツゲル形成はさらに、浸透増強剤を含む。いくつかの場合、浸透増強剤には、界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤)、塩化ベンザルコニウム、EDTA、界面活性ヘテログリコシド、カルシウムキレート剤、ヒドロキシルプロピルベータシクロデキストリン(HPベータCD)、胆汁酸塩などが含まれる。
【0268】
いくつかの実施形態では、他のゲル製剤は、使用される特定の眼科用作用薬、他の薬剤または賦形剤/添加剤に応じて有用であり、このようなものとして本開示の範囲内に収まると見なされる。例えば、他の市販のグリセリン系のゲル、グリセリン由来の化合物、共役したまたは架橋したゲル、マトリックス、ヒドロゲル、およびポリマー、ならびにゼラチンおよびそれらの誘導体、アルギン酸塩、およびアルギン酸塩系のゲル、さらにはさまざまな天然および合成のヒドロゲルならびにヒドロゲル由来の化合物はすべて、本明細書に説明する点眼薬製剤において有用であると予想される。いくつかの実施形態において、眼科的に許容され得るゲルには、アルギン酸ヒドロゲルSAF(登録商標)-Gel(ConvaTec、ニュージャージー州プリンストン市)、Duoderm(登録商標)Hydroactive Gel(ConvaTec)、Nu-gel(登録商標)(Johnson&Johnson Medical、テキサス州アーリントン市)、Carrasyn(登録商標)(V)Acemannan Hydrogel(Carrington Laboratories,Inc.、テキサス州アーヴィング市)、グリセリンゲルElta(登録商標)Hydrogel(Swiss-American Products,Inc.、テキサス州ダラス市)およびK-Y(登録商標)Sterile(Johnson&Johnson)が含まれるが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、生分解性生体適合性ゲルはまた、本明細書に開示および説明される眼科的に許容され得る製剤中に存在する化合物でもある。
【0269】
いくつかの実施形態では、増粘剤は、セルロースガム、アルキルセルロース、ヒドロキシル-アルキルセルロース、ヒドロキシル-アルキルアルキルセルロース、カルボキシ-アルキルセルロース、またはこれらの組み合わせから選択されるセルロース系のポリマーである。いくつかの実施形態では、増粘剤は、ヒドロキシル-アルキルアルキルセルロースである。いくつかの実施形態では、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0270】
ある特定の実施形態では、粘度増強製剤は、室温と体温(例えば、最高約42℃の重篤な発熱をしている個体を含む)との間の相転移を特徴とする。いくつかの実施形態では、相転移は、体温より1℃低い場合、体温より2℃低い場合、体温より3℃低い場合、体温より4℃低い場合、体温より6℃低い場合、体温より8℃低い場合、または体温より10℃低い場合に生じる。いくつかの実施形態では、相転移は、体温より約15℃低い場合、体温より約20℃低い場合、または体温より約25℃低い場合に生じる。具体的な実施形態では、本明細書に説明する製剤のゲル化温度(Tgel)は、約20℃、約25℃、または約30℃である。ある特定の実施形態では、本明細書に説明する製剤のゲル化温度(Tgel)は、約35℃、または約40℃である。体温の定義には、健常な個体、または発熱している(最高約42℃)個体を含む、非健常な個体の体温が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する医薬組成物は、ほぼ室温で液体であり、室温でまたはほぼ室温で投与される。
【0271】
ポリオキシプロピレンとポリオキシエチレンとのコポリマー(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン三ブロックコポリマー)は、水溶液に組み込まれると熱硬化性ゲルを形成する。これらのポリマーは、体温に近い温度で液状からゲル状に変化する能力を有しており、それゆえ、標的となる眼の部位に適用される製剤が有用となれる。液状からゲル状への相転移は、溶液中のポリマー濃度および成分に依存する。
【0272】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマーの量は、製剤の総重量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%または約40%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマーの量は、製剤の総重量の約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%または約25%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約7.5%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約10%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約11%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約12%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約13%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約14%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約15%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約16%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約17%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約18%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約19%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約20%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約21%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約23%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサマー407)の量は、製剤の総重量の約25%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の増粘剤(例えば、ゲル化剤)の量は、製剤の総重量の約1%、約5%、約10%、または約15%である。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する任意の製剤中の増粘剤(例えば、ゲル化剤)の量は、製剤の総重量の約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、または約5%である。
【0273】
代替の実施形態では、サーモゲルは、PEG-PLGA-PEG三ブロックコポリマーである(Jeong et al.,Nature(1997),388:860-2、Jeong et al.,J.Control.Release(2000),63:155-63、Jeong et al.,Adv.Drug Delivery Rev.(2002),54:37-51)。ポリマーは、約5%w/w~約40%w/wの濃度にわたってゾルゲル挙動を呈する。所望の特性に応じて、PLGAコポリマー中のラクチド/グリコリドのモル比は、約1:1~約20:1の範囲である。得られたコプロイマーは水溶性であり、室温では自由流動性の液体を形成するが、体温ではヒドロゲルを形成する。市販のPEG-PLGA-PEG三ブロックコポリマーは、Boehringer Ingelheimによって製造されたRESOMER RGP t50106である。この材料は、50:50のポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)のPLGAコポリマーで構成され、10%w/wのPEGであり、約6000の分子量を有する。
【0274】
追加の生分解性熱可塑性ポリエステルには、AtriGel(登録商標)(Atrix Laboratories,Inc.によって提供)および/または、例えば、米国特許第5,324,519号、第4,938,763号、第5,702,716号、第5,744,153号、および第5,990,194号に開示されているものが含まれ、ここで、適切な生分解性熱可塑性ポリエステルは、熱可塑性ポリマーとして開示されている。適切な生分解性熱可塑性ポリエステルの例には、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、これらのコポリマー、これらのターポリマー、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかのこのような実施形態では、適切な生分解性熱可塑性ポリエステルは、ポリラクチド、ポリグリコリド、これらのコポリマー、これらのターポリマー、またはそれらの組み合わせである。一実施形態では、生分解性熱可塑性ポリエステルは、カルボキシ末端基を有する50/50ポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)であり、組成物の約30重量%~約40重量%で存在し、約23,000~約45,000の平均分子量を有する。あるいは、別の実施形態では、生分解性熱可塑性ポリエステルは、カルボキシ末端基のない75/25ポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)であり、組成物の約40重量%~約50重量%で存在し、約15,000~約24,000の平均分子量を有する。さらなる実施形態または代替の実施形態では、ポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)の末端基は、重合方法に応じて、ヒドロキシル、カルボキシル、またはエステルのいずれかである。乳酸またはグリコール酸の重縮合により、末端のヒドロキシル基およびカルボキシル基を有するポリマーが得られる。環状のラクチドモノマーまたはグリコリドモノマーと水、乳酸、またはグリコール酸との開環重合により、同じ末端基を有するポリマーが得られる。しかしながら、環状モノマーをメタノール、エタノール、または1-ドデカノールなどの単官能性アルコールで開環すると、1つのヒドロキシル基と1つのエステル末端基とを有するポリマーが得られる。1,6-ヘキサンジオールまたはポリエチレングリコールなどのジオールを用いて環状モノマーを開環重合すると、ヒドロキシル末端基のみを有するポリマーが得られる。
【0275】
熱硬化性ゲルのポリマー系は温度を低下させるとより完全に溶解するので、可溶化の方法には、所要量のポリマーを、温度を低下させて使用される水の量に添加することが含まれる。一般に、振盪することによってポリマーを湿潤させた後、混合物に蓋をして、ポリマーを溶解するために、約0~10℃の低温チャンバーまたは恒温容器の中に入れる。混合物を撹拌または振盪して、熱硬化性ゲルポリマーのより迅速な溶解をもたらす。その後、眼科用作用薬ならびに緩衝剤、塩、および防腐剤などのさまざまな添加物を添加し、溶解する。いくつかの場合、医薬は、水に不溶性である場合、懸濁される。pDは、適切な緩衝剤の添加によって調節される。
【0276】
眼軟膏VAP-1阻害剤組成物
軟膏は、均質で粘性のある半固体の製剤であり、最も一般的には、皮膚または粘膜への外用を目的とした、脂性で濃い油(例えば、油80%-水20%)である。軟膏は、含有される水の最大量を規定する水数を有する。軟膏は、皮膚軟化薬として、または保護、治療、もしくは予防の目的のために、ある程度の閉塞が望まれる場合に皮膚に有効成分を適用するために使用される。軟膏は、眼の粘膜(眼軟膏)を含むさまざまな体表面に局所的に使用される。
【0277】
軟膏のビヒクルは、軟膏基剤として公知である。基剤の選択は、軟膏についての臨床的適応に依存する。軟膏基剤の異なるタイプは、炭化水素基剤、例えば。硬パラフィン、軟パラフィン、微結晶性の蝋およびセレシン、吸収基剤、例えば、羊毛蝋、蜜蝋、水溶性基剤、例えば、マクロゴール200、300、400,乳化基剤、例えば、乳化蝋、セトリミド、植物油、例えば、オリーブ油、ヤシ油、ゴマ油、アーモンド油、および落花生油である。
【0278】
軟膏は、疎水性、親水性、または水乳化性の基剤を使用して製剤され、皮膚分泌物と非混和性、混和性、または乳化性である製剤が提供される。いくつかの実施形態では、軟膏はまた、炭化水素(脂肪)、吸収、水除去性、または水溶性の基剤にも由来する。活性薬は基剤中に分散しており、その後、薬物が標的部位(例えば、膜など)内へと浸透した後に活性薬が分配される。
【0279】
本開示は、障害または疾患を有効に処置するために十分な用量間均一性で低濃度の薬物を軟膏に組み込むことが時折困難であることを認識している。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)、ポリエトキシ化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)EL)、12~20の炭素原子を有するアルコール、または該成分のうちの2つ以上からなる混合物は、軟膏基剤、特に油性成分および炭化水素成分を実質的に含む軟膏基剤中に、有効量の眼科用薬、特にアスコマイシンおよびスタウロスポリン誘導体を分散および/または溶解するための有効な賦形剤であり、そうして得られた軟膏は、皮膚によっておよび眼組織によって非常によく耐容性を示される。
【0280】
本開示はさらに、本明細書に説明する軟膏組成物中に組み込まれるVAP-1阻害剤などの眼科用薬物が、組成物が患者の眼表面、特に強膜に局所投与されるとき、該患者の脈絡膜および/または網膜を標的とすることを認識している。いくつかの実施形態では、眼科用軟膏組成物には、眼科用薬物、軟膏基剤、ならびにポリ(エチレングリコール)、ポリエトキシ化ヒマシ油、12~20個の炭素原子を有するアルコール、および該成分のうちの2つ以上からなる混合物から選択される、該薬物を軟膏基剤中に分散および/または溶解させるための作用薬が含まれる。
【0281】
いくつかの実施形態では、軟膏基剤には、天然蝋、例えば、白色および黄色の蜜蝋、カルナウバ蝋、羊毛蝋(wool wax)(羊毛蝋(wool fat))、精製ラノリン、無水ラノリン、石油蝋、例えば、硬パラフィン、微結晶性蝋、炭化水素、例えば、流動パラフィン、白色および黄色の軟パラフィン、白色ワセリン、黄色ワセリン、またはこれらの組み合わせなど、眼科的に許容され得る油脂の基剤が含まれる。
【0282】
先に記載の油脂基剤は、例えば、英国薬局方、第2001年版、または欧州薬局方第3版においてより詳細に説明されている。
【0283】
いくつかの実施形態では、軟膏基剤は、組成物の総重量に基づいて、約50~約95重量%、好ましくは70~90重量%の量で存在する。
【0284】
好ましい軟膏基剤は、より好ましくは流動パラフィンとの組み合わせにおける、先に示したもののような1つ以上の天然蝋、好ましくは羊毛蝋(wool wax)(羊毛蝋(wool fat))のうちの1つ以上と、先に示したもののような1つ以上の炭化水素、好ましくは軟パラフィンまたはワセリンとの1つ以上の組み合わせを含む。
【0285】
上述の軟膏基剤の特別な実施形態は、例えば、5~17重量部の羊毛蝋と、50~65重量部の白色ワセリンと、20~30重量部の流動パラフィンとを含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、眼科用薬物を軟膏基剤中に分散させおよび/または溶解するための作用薬は、ポリ(エチレングリコール)、ポリエトキシ化ヒマシ油、12~20個の炭素原子を有するアルコール、および該成分のうちの2つ以上からなる混合物から選択される。作用薬は、好ましくは、半固体眼科用組成物全体の1~20重量百分率、より好ましくは1~10重量百分率の量で使用される。
【0287】
12~20個の炭素原子を有するアルコールには、特にステアリルアルコール(C1837OH)、セチルアルコール(C1633OH)およびこれらの混合物が含まれる。いわゆるセトステアリルアルコール、ステアリルアルコールとセチルアルコールとから実質的になり、好ましくは40重量百分率以上のステアリルアルコールを含み、ステアリルアルコールおよびセチルアルコールの合計が少なくとも90重量百分率に達する固体アルコールの混合物、ならびに80重量百分率以上のセチルステアリルアルコールと乳化剤、特にナトリウムセトステアリルスルファートおよび/またはラウリル硫酸ナトリウムを、好ましくは7重量百分率以上の乳化剤中に含む組成物が好ましい。
【0288】
ポリエトキシ化ヒマシ油は、天然ヒマシ油または水素化ヒマシ油とエチレングリコールとの反応生成物である。いくつかの場合、このような生成物は、公知の様式で、例えば、天然ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油またはその画分とエチレンオキシドとの、例えば、約1:30~約1:60のモル比での反応によって得られ、例えば、独国特許出願公開第1,182,388号および第1,518,819号に開示された方法に従って、生成物から遊離ポリエチレングリコール成分を場合により除去して得られる。分子量(蒸気浸透圧測定による)=約1630、鹸化数=約65~70、酸数=約2、ヨウ素数=約28~32、およびnD25=約1.471を有する、商品名Cremophor(登録商標)ELの下で市販されている製品が特に適切で好ましい。また、例えば、次の特徴、すなわち、酸数=約0.3、鹸化数=約47.4、ヒドロキシ価=約42.5、pH(5%)=約4.6、色彩APHA=約40、融点=約36.0℃、凝固点=約32.4℃、HO含有量(%、KF)=約0.03を呈する水素化ヒマシ油とエチレンオキシドとの反応生成物であるNikkol(登録商標)HCO-60が、この分類における使用に適している。
【0289】
ポリ(エチレングリコール)は、いくつかの実施形態では、本開示による軟膏基剤中に眼科用作用薬を分散させおよび/または溶解するための作用薬として使用される。適切なポリ(エチレングリコール)は、典型的には、一般式H-(OCH-CHOHのポリマー化合物の混合物であり、ここで、指数nは、典型的には4~230、平均分子量は約200~約10000の範囲である。好ましくは、nは、約6~約22の数であり、平均分子量は約300~約1000、より好ましくは、nは、約6~約13の範囲であり、平均分子量は、約300~約600であり、最も好ましくは、nは、約8.5~約9の値を有しており、相対分子量は約400である。適切なポリ(エチレングリコール)は、容易に商業的に入手可能であり、例えば、約200、300、400、600、1000、1500、2000、3000、4000、6000、8000、および10000の平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)である。
【0290】
ポリ(エチレングリコール)、特に前の段落で説明した好ましいタイプは、好ましくは、半固体眼科用組成物全体の1~10重量百分率、より好ましくは1~5重量百分率の量で使用される。
【0291】
本開示による組成物の特に好ましい実施形態は、ポリ(エチレングリコール)、ポリエトキシ化ヒマシ油、および好ましくは該成分の混合物から選択された軟膏基剤中に薬物を分散させおよび/または溶解するための作用薬を含む。
【0292】
ゲル/軟膏の粘度
いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約10,000~約300,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約15,000~約200,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約50,000~約150,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約70,000~約130,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約20℃で1秒-1の剪断速度で約90,000~約110,000cpsのブルックフィールドRVDV粘度を有する。
【0293】
いくつかの実施形態では、眼科用ゲル製剤は、約500~1,000,000センチポアズ、約750~1,000,000センチポアズ、約1000~1,000,000センチポアズ、約1000~400,000センチポアズ、約2000~100,000センチポアズ、約3000~50,000センチポアズ、約4000~25,000センチポアズ、または約5000~20,000センチポアズ、または約6000~15,000センチポアズの粘度を提供するのに十分な増粘剤を含有する。いくつかの実施形態において、眼科用ゲル製剤は、約50,0000~1,000,000センチポアズの粘度を提供するのに十分な増粘剤を含有する。
【0294】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する組成物は、体温で低粘度の組成物である。いくつかの実施形態では、低粘度の組成物は、約1%~約10%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、低粘度組成物は、約2%~約10%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、低粘度の組成物は、約5%~約10%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、低粘度の組成物は、増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する低粘度の眼科用作用薬組成物は、約100cP~約10,000cPの見かけの粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する低粘度の眼科用作用薬組成物は、約500cP~約10,000cPの見かけの粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する低粘度の眼科用作用薬組成物は、約1000cP~約10,000cPの見かけの粘度を提供する。
【0295】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する組成物は、体温で粘性組成物である。いくつかの実施形態では、粘性組成物は、約10%~約25%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、粘性組成物は、約14%~約22%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、粘性組成物は、約15%~約21%の増粘剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーなどのゲル化成分)を含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する粘性眼科用組成物は、約100,000cP~約1,000,000cPの見かけの粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する粘性眼科用組成物は、約150,000cP~約500,000cPの見かけの粘度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する粘性眼科用組成物は、約250,000cP~約500,000cPの見かけの粘度を提供する。このような実施形態のいくつかでは、粘性眼科用組成物は、室温で液体であり、室温と体温(例えば、約42℃までの重篤な熱を帯びている個体を含む)のほぼ間でゲル化する。いくつかの実施形態では、粘性眼科用組成物は、本明細書に説明する眼科の疾患または容態の処置のための単剤療法として投与される。
【0296】
いくつかの実施形態では、本明細書に提示されるゲル製剤の粘度は、説明された任意の手段によって測定される。例えば、いくつかの実施形態では、LVDV-II+CP Cone Plate粘度計およびCone Spindle CPE-40を使用して、本明細書に説明するゲル製剤の粘度を計算する。他の実施形態では、ブルックフィールド(スピンドルおよびカップ)粘度計を使用して、本明細書に説明するゲル製剤の粘度を計算する。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される粘度範囲は、室温で測定される。他の実施形態では、本明細書で言及される粘度範囲は、体温で(例えば、健常なヒトの平均体温で)測定される。
【0297】
ゲル/軟膏の用量間均一性
典型的な眼科用ジェルは点眼薬のボトルに詰められ、点眼薬として投与される。例えば、眼科用ゲルの単回投与(すなわち、単回用量)は、患者の眼の中への1滴、2滴、3滴またはそれより多量を含む。さらに、典型的な眼科用軟膏は、軟膏の小片が送達される分配ノズルを備えたチューブまたは他の圧搾可能な容器の中に包装される。例えば、眼科用軟膏の単回投与(すなわち、単回用量)は、患者の眼の中への1小片、または複数小片を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に説明する眼科用ゲルの1用量は、点眼ボトルからのゲル組成物の1滴である。いくつかの実施形態では、眼科用軟膏の1用量は、分配チューブのノズルを経て分配される軟膏組成物の1小片である。
【0298】
いくつかの場合、本明細書に説明されるものには、用量間で均一な濃度を提供する眼科用ゲル組成物を含む。いくつかの場合、用量間の均一な濃度は、ある用量から別の用量への薬物含有量の有意な変化を示さない。いくつかの場合、用量間の均一な濃度は、ある用量から別の用量への一貫した薬物含有量を提供する。
【0299】
いくつかの場合、本明細書に説明されるものには、用量間で均一な濃度を提供する眼科用軟膏組成物を含む。いくつかの場合、用量間の均一な濃度は、ある用量から別の用量への薬物含有量の有意な変化を示さない。いくつかの場合、用量間の均一な濃度は、ある用量から別の用量への一貫した薬物含有量を提供する。
【0300】
いくつかの実施形態では、組成物は、50%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、40%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、30%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、20%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5%未満の用量間眼科用作用薬濃度の変化を有する。
【0301】
いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、10回連続用量に基づいている。いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、8回連続用量に基づいている。いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、5回連続用量に基づいている。いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、3回連続用量に基づいている。いくつかの実施形態では、用量間の眼科用作用薬濃度の変化は、2回連続用量に基づいている。
【0302】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する眼科用ゲル組成物および眼科用軟膏組成物は、「無振盪」製剤である。
【0303】
いくつかの実施形態では、組成物はプラスチック容器内で保存される。いくつかの実施形態では、プラスチック容器の材料は、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0304】
本開示によって企図される化合物(例えば、VAP-1阻害剤)は、現在公知であるかまたは将来開発される任意の他の適切な医薬組成物の形態にあってよい。
【0305】
IV.使用方法
血管接着タンパク質1の阻害
VAP-1は、血管疾患および炎症関連疾患の処置のための治療標的である。VAP-1を阻害するためのアプローチには、低分子干渉RNA、機能遮断抗体、および小分子阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。経口投与されたVAP-1阻害剤を使用した臨床試験が実施され、安全であることが示されている。VAP-1阻害剤の例には、ASP8232、BTT-1029、PXS-4728A、BTT-1023、LJP-1207、LJP-1586、SZE5302、抗体7-88、BTT-2052、PXS-4681A、PXS-4159A、BTT-2027、モフェギリンヒドロクロリド、アミノヘキソース、ヒドラジン誘導体、プロペニルアミンおよびプロパルギルアミン、4置換-2-ブチニルアミン、ハロアリルアミン、ピロリン誘導体、プロパルギルジアミン、アリルアミン、ジアミン、4,5,6,7-テトラヒドロイミダゾ[4,5-c]ピリジン誘導体、チオカルバモイル誘導体、カルボキサミド、スルホンアミド、チアゾール誘導体および/またはグアニジン誘導体、オキシム誘導体、ジヒドラジン、アリールアルキルアミン、オキサゾリジノン、ハロアルキルアミン、ベンフォチアミン、およびイミダゾピリジン誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0306】
ぶどう膜炎は、膨張を引き起こし、眼組織を破壊する炎症性疾患のグループを説明する一般的な用語である。「ぶどう膜炎」という用語は、ぶどう膜と呼ばれる眼の一部に疾患が影響を与えることがよくあるので使用されている。それにもかかわらず、ぶどう膜炎は、ぶどう膜に限定されない。これらの疾患はまた、水晶体、網膜、視神経、および硝子体にも影響を与え、視力低下または盲も引き起こす。ぶどう膜炎の一般的な症状には、視力低下、疼痛、光線過敏症、および浮遊物増加が含まれる。
【0307】
ぶどう膜は眼の中間層であり、眼の血管の多くが含有されている。これは、炎症細胞が眼に入ることができる1つの通路である。ぶどう膜は、眼の白色の外皮である強膜と、網膜と呼ばれる眼の内側層の間に位置して、虹彩、毛様体、および脈絡膜からなる。ぶどう膜炎は、主にレンズ、網膜、視神経、硝子体に問題を引き起こすことで視力を乱す。眼のどこで発生するかによって分類される具体的なぶどう膜炎のタイプには、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、および全ぶどう膜炎が含まれる。
【0308】
ぶどう膜炎は主に、眼の内部の炎症応答によって引き起こされる。ぶどう膜炎につながる例示的な炎症応答には、身体自体の免疫系からの攻撃、眼内または身体の他の部分の中で発生する感染症または腫瘍、眼への打撲傷、および眼に浸透する可能性のある毒素が含まれる。
【0309】
ぶどう膜炎の診断には、徹底的な検査および患者の完全な病歴の記録が含まれることがある。感染症または自己免疫障害の可能性を除外するために、臨床検査が行われることがある。中枢神経系の評価は、周辺部ぶどう膜炎と呼ばれる中間部ぶどう膜炎の下位群の患者に対して行われることが多く、周辺部ぶどう膜炎と関係することが多い多発性硬化症に罹患しているかどうかが判断される。使用される例示的な眼の検査には、患者の視力が低下したかどうかを測定する視力検査表または視力検査、瞳孔が点眼薬で拡張され、次いで、眼の内側部分にある裏側を非侵襲的に検査するために検眼鏡と呼ばれる器具で光が透けて見える眼底検査、眼圧の測定、および眼の大部分を非侵襲的に検査する細隙灯検査が含まれる。
【0310】
ぶどう膜炎の処置は、主に炎症を取り除き、疼痛を緩和し、さらなる組織の損傷を防ぎ、視力の何らかの喪失を回復しようとする。処置は、患者が示すぶどう膜炎のタイプによる。
【0311】
処置はまた、患者が罹患しているぶどう膜炎の具体的なタイプによる可能性もある。前部ぶどう膜炎は、例えば、虹彩および毛様体の筋攣縮を防ぐために瞳孔を拡張する点眼薬を外用することによって、または炎症を軽減するために点眼薬を外用することによって処置される。中間部、後部、および全ぶどう膜炎は、眼の周りへの注射、口からの投薬、またはいくつかの場合、眼の内側に外科的に埋め込まれた徐効性カプセル剤を用いて処置されることがよくある。
【0312】
一態様では、血管接着タンパク質1(VAP-1)を、構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/もしくは(VII-B)を含む化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと接触させることを含む、VAP-1を阻害する方法が提供される。一態様では、血管接着タンパク質1(VAP-1)を、構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと、少なくとも1つの医薬として許容され得る賦形剤と、を含む医薬組成物と接触させることを含む、VAP-1を阻害する方法が提供される。
【0313】
一態様では、VAP-1によって介在される疾患あるいは障害を処置あるいは予防することを必要とする対象に、治療有効量の構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/もしくは(VII-B)を含む化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグを投与することを含む、該疾患あるいは障害を処置あるいは予防する方法が提供される。一態様では、VAP-1によって介在される疾患あるいは障害を処置あるいは予防することを必要とする対象に、構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/もしくは(VII-B)を含む化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと、少なくとも1つの医薬として許容され得る賦形剤と、を含む、治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、該疾患あるいは障害を処置あるいは予防する方法が提供される。
【0314】
一態様では、眼の疾患または障害を処置または予防することを必要とする対象に、治療有効量の構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/または(VII-B)の化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性体もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグを投与することを含む、該疾患あるいは障害を処置あるいは予防する方法が提供されるのが提供される。一態様では、眼の疾患または障害を処置または予防することを必要とする対象に、構造式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(V-A)、(V-B)、(VI-A)、(VI-B)、(VII-A)、および/もしくは(VII-B)を含む化合物、またはそのアルケン異性体、互変異性もしくは同位体変異体、またはそれらの医薬として許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグと、少なくとも1つの医薬として許容され得る賦形剤と、を含む、治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、該疾患あるいは障害を処置あるいは予防する方法が提供される。
【0315】
いくつかの実施形態では、VAP-1によって介在される疾患または障害はぶどう膜炎である。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害はぶどう膜炎である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物または組成物は、局所的に投与される。
【0316】
本開示の化合物は、例えば、投与の目的(例えば、所望の解決)、製剤が投与される対象の齢、体重、性別、ならびに健康条件および身体条件、投与の経路、ならびにその疾患、障害、または症状の性質による量で対象に投与されることができる。投薬投与計画はまた、投与される作用薬(複数可)と関係する何らかの副作用の存在、性質、および程度を考慮に入れることもできる。有効な薬用量ならびに投薬投与計画は、例えば、安全性および用量漸増の試行、インビボでの試験(例えば、動物モデル)、ならびに当業者に公知の他の方法から容易に決定することができる。
【0317】
一般に、投薬パラメータは、薬用量が、対象に対して不可逆的に毒性である可能性がある量(最大耐量(MTD))より少なく、対象に測定可能な効果をもたらすのに必要な量以上であることを指示する。このような量は、例えば、投与経路および他の因子を考慮して、ADMEと関係する薬物動態学的パラメータおよび薬力学的パラメータによって決定される。
【0318】
有効量(ED)とは、投与されている対象の一部で治療応答または所望の効果を生み出す作用薬の用量または量である。作用薬の「中央値有効量」またはED50とは、該作用薬が投与される集団の50%で治療応答または所望の効果を生み出す作用薬の用量または量である。ED50は、作用薬の効果の合理的な期待の尺度として通常使用されるが、関連因子をすべて考慮して、臨床医が適切と見なす可能性のある用量である必要はない。したがって、いくつかの状況では、有効量は、計算されたED50よりも多く、他の状況では、有効量は、計算されたED50よりも小さく、さらに他の状況では、有効量は、計算されたED50と同じである。
【0319】
さらに、本開示の化合物の有効量は、対象に1用量以上で投与されたとき、健常対象と比較して所望の結果を生み出す量であってよい。例えば、特定の障害を経験している対象について、有効量は、該障害の診断パラメータ、尺度、マーカーなどを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%超改善するものであってよく、ここで、100%は、正常な対象によって呈される診断パラメータ、尺度、マーカーなどとして定義される。
【0320】
いくつかの実施形態では、本開示によって企図される化合物を、1日あたり対象の体重の約0.01mg/kg~約1000mg/kg、または約1mg/kg~約100mg/kgの薬用量レベルで(例えば、経口的に)1日1回、2回、3回、4回またはそれより多く投与して、所望の治療効果を得ることができる。経口作用薬の投与のために、組成物は、0.05~1000ミリグラムの有効成分、特に0.05、0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.5、5.0、7.5、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、125.0、150.0、175.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0ミリグラムの有効成分を含有する錠剤、カプセル剤などの形態で提供されることができる。医薬として許容され得る担体(複数可)、希釈剤(複数可)および/または賦形剤(複数可)は、約0.1g~約10gの量で存在することができる。
【0321】
いくつかの実施形態では、所望の化合物の薬用量は、「単位剤形」内に含有される。「単位剤形」という句は、物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の効果を生み出すのに十分な、所定量の化合物(例えば、VAP-1阻害剤)を含む。単位剤形のパラメータは、特定の作用薬および達成される効果に依存することが認識されよう。
【0322】
いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、ぶどう膜炎の処置のための眼科用溶液として製剤される。
【0323】
いくつかの実施形態では、ぶどう膜炎の発症を抑止することを必要とする個体の眼に、本明細書に説明する有効量の眼科用組成物を投与することを含む、ぶどう膜炎の発症を抑止する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、ぶどう膜炎の発症を抑止または予防することを必要とする個体の眼に、約0.001重量%~約50重量%のVAP-1化合物を含む有効量の眼科用組成物を投与することを含む、ぶどう膜炎の発症を抑止または予防する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、長期間にわたって所定の時間間隔で投与される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、毎日1回投与される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、隔日で投与される。いくつかの実施形態では、眼科用組成物は、1週間、2週間、1か月、2か月、3か月、6か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、または12~15年にわたって投与される。
【0324】
本明細書に説明する例および実施形態は、例示する目的のみのためであって、それに鑑みてさまざまな修正または変更が当業者に示唆されており、それらの修正および変更は、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが理解される。本明細書で引用されたすべての公表物、特許、および特許出願は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書により組み込まれる。
【0325】
V.例
本明細書に説明する例および実施形態は、例示する目的のみのためであって、それに鑑みてさまざまな修正または変更が当業者に示唆されており、それらの修正および変更は、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが理解される。本明細書で引用されたすべての公表物、特許、および特許出願は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書により組み込まれる。
【0326】
VAP-1阻害剤の同定
いくつかの実施形態では、本明細書に説明する化合物は、治療に関連する少なくとも1つの特性または特徴を有する。候補阻害剤は、例えば、当技術分野で認められたアッセイまたはモデルを使用することによって同定することができる。「例」の節は、本明細書に説明する化合物のVAP-1阻害活性を決定するために使用されたアッセイ(複数可)、および化合物の1つ以上の特徴を評価するために使用されることができるアッセイを説明しており、本明細書に説明するVAP-1阻害剤を評価するのに有用なデータおよび情報を生成するために採用することができる他の手順、アッセイ形式などは当業者に公知である。
【0327】
同定後、候補阻害剤は、阻害剤の特徴に関するデータ(例えば、薬物動態パラメータ)を提供する技術を使用することによってさらに評価することができる。候補阻害剤と参照標準物質(現行で「最高クラスの」阻害剤であり得る)との比較は、このような候補の潜在的な実行可能性を示している。参照化合物またはベンチマーク化合物として機能することができるVAP-1阻害剤には、望ましい活性および特徴を実証することが示されているものが含まれる。候補阻害剤を分析する他の手段は、当業者には明らかであろう。
【0328】
合成の詳細
次の一般的なスキームは、本開示の化合物の調製において使用することができる合成方法、およびその調製において生成される一般的な化学中間体を表す。当業者は、これらのスキームが代表的なものにすぎず、多くの場合、代替の合成手段を採用することができることを認識するであろう。
【0329】
次の例は、当業者に本開示を作製および使用する方法の完全な開示および説明を提供するために述べられており、本発明者が自分らの開示と見なす範囲を制限することを意図するものではなく、また、以下の実験が実行されたことまたは実行される可能性のある実験全部であることを表すことも意図されていない。現在形で書かれた例示的な説明は、必ずしも実行されたわけではなく、該説明は、そこに説明された性質のデータなどを生成するために実行されることができることが理解されるべきである。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされてきたが、いくつかの実験上の誤差および偏差を考慮するものとする。
【0330】
特に明記されていない限り、部分は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏(℃)であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。以下を含む標準的な略語が使用される。wt=野生型、bp=塩基対(複数可)、kb=キロベース(複数可)、nt=ヌクレオチド(複数可)、aaアミノ酸(複数可)、sまたはsec=秒(複数可)、min=分(複数可)、hまたはhr=時間(複数可)、ng=ナノグラム、μg=マイクログラム、mg=ミリグラム、g=グラム、kg=キログラム、dlまたはdL=デシリットル、μlまたはμL=マイクロリットル、mlまたはmL=ミリリットル、lまたはL=リットル、μM=マイクロモル濃度、mM=ミリモル濃度、M=モル濃度、kDa=キロダルトン、i.m.=筋肉内(で)、i.p.=腹腔内(で)、SCまたはSQ=皮下(で)、QD=毎日、BID=1日2回、QW=毎週、QM=毎月、psi=平方インチあたりのポンド、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、BW=体重、U=単位、ns=統計的に有意ではない、HATU=(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート)、TFA=トリフルオロ酢酸、MBTE=メチルt-ブチルエーテル、DCM=ジクロロメタン、PBS=リン酸緩衝塩類溶液、IHC=免疫組織化学、DMSO=ジメチルスルホキシド、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、DMEM=ダルベッコ変法イーグル培地、EDTA=エチレンジアミン四酢酸、Me=メチル、Et=エチル、S-一重線、D-二重線、dd-二重線の二重線、m-多重線。
【0331】
ヒドラジン出発材料の一般的な調製:
一般的な実験手順A:BBr介在性脱メチル化
【0332】
DCM中の(ヘテロ)アリールメトキシ(1当量)の撹拌溶液にBBr(3当量)を添加した。反応物を18℃で1時間撹拌した。MeOHを添加し、揮発性物質を減圧下で除去した。得られた残分を飽和NaHCO水溶液とEtOAcの間に分画し、層を分離し、水相をEtOAcで洗浄し、合わせた有機物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の生成物を得た。
【0333】
一般的な実験手順B:フルオロアリルアミンによるアルキル化
【0334】
DMF中の(ヘテロ)アリールアルコール(1.1当量)の撹拌溶液に、KCO-(1.2当量)、続いてtert-ブチル(2-(ブロモメチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(1当量)を添加した。反応物を70℃で15時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗残分を自動フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を得た。
【0335】
一般的な実験手順C:HCl介在性Boc脱保護/TsOH塩の形成
【0336】
N-Bocアミンにジオキサン中の4M HClを添加した。反応物を18℃で15時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、得られた残分をSCX-2で遊離塩基にして通過させ、自動フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた残分に、MeOH(2mL)中の1当量または2当量のp-トルエンスルホン酸(トシル酸またはTsOH)を添加し、溶媒を減圧下で除去して、所望の生成物を得た。
【0337】
一般的な実験手順D:アルファ-ブロモ-ケトンを用いた6,5-複素芳香環の形成
【0338】
EtOH中のヘテロアリールアミン(1当量)の撹拌溶液に、アルファブロモ-ケトン(1.2当量)を添加した。溶液を80℃まで1.5時間加熱した。反応をワークアップし、溶媒を減圧下で除去し、残分をDCM中に溶解し、飽和NaHCO、鹹水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗残分を自動フラッシュカラムクロマトグラフィーにより、所望の生成物に精製した。
【0339】
一般的な実験手順Eの第1部:O-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミンによるN-アミノ化
【0340】
DCM中のヘテロアリールアミン(1当量)の懸濁液に、温度を22℃未満に維持しながら、O-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン(2当量)を少量ずつ添加した。懸濁液を18℃で15時間撹拌した。固形物を濾別し、DCMで洗浄した。残分を減圧下で18℃で乾燥させて、所望の生成物を得た。
【0341】
一般的な実験手順Eの第2部:バレロイルクロリドを用いた6,5-複素芳香環の形成
【0342】
ピリジン中のN-アミノヘテロアリールアミン(1当量)の混合物に、塩化バレロイル(2当量)を添加した。この混合物を窒素下、100℃で一晩撹拌した。この混合物を真空下で濃縮し、残分をNaCOおよびDCMの飽和水溶液の混合物中で撹拌した。1時間後、水層をDCMで抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残分を自動フラッシュカラムクロマトグラフィーにより、所望の生成物に精製した。
【0343】
LCMS
採用した機器は、UV検出器を備えたAgilent1290シリーズ、およびWaters XBridge BEH C18 XP(2.1×50mm、2.5μm)カラムを装備したHP 6130 MSD質量検出器であった。質量検出器は、陽性および陰性の両複合体についてのエレクトロスプレイを介した大気圧イオン化を採用した。
【0344】
LCMS法「28817C TFA LCMS-5 C-3.M」
【0345】
採用した方法は、次のとおりであった。
・移動相A:トリフルオロ酢酸(水溶液、0.05%)
・移動相B:アセトニトリル
・ポンプ流量:0.6ml/分
・UV検出:215、268nm
・注入量:0.2μl
・試行時間:3.5分
・カラム温度:35℃
・ポンププログラム:勾配
【表1】
【0346】
LCMS法「一般3」
・移動相A:20:1の水:MeCN溶液中の10mMのNH4Ac
・移動相B:MeCN
・ポンプ流量:0.6ml/分
・UV検出:215、268nm
・注入量:0.2μl
・試行時間:3.0分
・カラム温度:30℃
・ポンププログラム:勾配
【表2】
【0347】
LCMS法「一般4」
・移動相A:20:1の水:MeCN溶液中の10mMのNH4Ac
・移動相B:MeCN
・ポンプ流量:0.6ml/分
・UV検出:215、268nm
・注入量:0.2μl
・試行時間:3.0分
・カラム温度:30℃
・ポンププログラム:勾配
【表3】
【0348】
LCMS法「一般+-」
【0349】
採用した方法は、次のとおりであった。
・移動相A:トリフルオロ酢酸(水溶液、0.05%)
・移動相B:アセトニトリル
・ポンプ流量:1ml/分
・UV検出:220、254nm
・注入量:5μl
・試行時間:24分
・カラム温度:35℃
・ポンププログラム:勾配
【表4】
【0350】
例示的な化合物
例1
(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)
【化23】

ステップ1.一般的な実験手順Dにより、2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジンを調製した。5-メトキシピリジン-2-アミン(500mg、4.03mmol)によって、2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン(760mg、40%)が黄色の油状物として得られた。
【数1】
【0351】
ステップ2.一般的な実験手順Aにより、2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オールを調製した。2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン(1.25g、6.12mmol)によって、2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オール(870mg、70%)がオフホワイト色の固形物として得られた。
【数2】
【0352】
ステップ3.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オール(181mg、0.95mmol)によって、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(192mg、53%)が淡黄色の油状物として得られた。
【数3】
【0353】
ステップ4.一般的な実験手順Cにより、(E)-2-.(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)を調製した。tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(192mg、0.51mmol)によって、(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)(73mg、23%)がベージュ色の固形物として得られた。
【数4】
【0354】
例2
(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート
【化24】

ステップ1.一般的な実験手順Dにより、2-ブチル-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジンを調製した。4-メトキシピリジン-2-アミン(500mg、4.03mmol)によって、2-ブチル-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン(760mg、40%)が黄色の油状物として得られた。
【数5】
【0355】
ステップ2.一般的な実験手順Aにより、2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-オールを調製した。2-ブチル-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン(760mg、3.72mmol)によって、2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-オール(167mg、24%)がオフホワイト色の固形物として得られた。
【数6】
【0356】
ステップ3.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-オール(167mg、0.87mmol)によって、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(140mg、43%)が淡黄色の油状物として得られた。
【数7】

ステップ4.一般的な実験手順Cにより、(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナートを調製した。tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(140mg、0.37mmol)によって、(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナートがベージュ色の固形物として得られた。
【数8】
【0357】
例3
(E)-2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート
【化25】

ステップ1.一般的な実験手順Eの第1部により、2-イミノ-4-メトキシピリジン-1(2H)-アミン2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナートを調製した。DCM(35mL)中の2-アミノ-4-メトキシピリジン(0.75g、6.06mmol)の懸濁液に、温度を22℃未満に維持しながら、O-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン(2.8g、2当量、12.1mmol)を少量ずつ添加した。懸濁液を18℃で15時間撹拌した。固形物を濾別し、DCM(40mL)で洗浄した。残分を18℃、減圧下で乾燥させて、2-イミノ-4-メトキシピリジン-1(2H)-アミン2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(1.84g、43%)を白色の固形物として得た。
【数9】
【0358】
ステップ2.一般的な実験手順Eの第2部により、2-ブチル-7-メトキシ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジンを調製した。ピリジン(21mL)中の2-イミノ-4-メトキシピリジン-1(2H)-アミン2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(1.84g、5.18mmol)の混合物に、バレロイルクロリド(1.24mL、2当量、10.4mmol)を添加した。この混合物を100℃、窒素下で15時間撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮し、残分を飽和NaCO水溶液(20mL)およびDCM(20mL)の混合物中で撹拌した。1時間後、水層をDCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮すると、0.70gの暗赤色の固形物を得た。残分を自動フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、2-ブチル-7-メトキシ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン(325mg、31%)を白色の固形物として得た。
【数10】
【0359】
ステップ3.一般的な実験手順Aにより、2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オールを調製した。2-ブチル-7-メトキシ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン(470mg、2.3mmol)によって、2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール(291mg、66%)がオフホワイト色の固形物として得られた。
【数11】
【0360】
ステップ4.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール(291mg、1.52mmol)によって、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(405mg、70%)が白色の固形物として得られた。
【数12】
【0361】
ステップ5.一般的な実験手順Cにより、(E)-2-.(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナートを調製した。tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(405mg、1.07mmol)によって、(E)-2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート(158mg、32%)がオフホワイト色の固形物として得られた。
【数13】
【0362】
例4
(E)-2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート
【化26】

ステップ1.一般的な実験手順Eの第1部により、2-イミノ-5-メトキシピリジン-1(2H)-アミン2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナートを調製した。2-アミノ-5-メトキシピリジン(0.75g、6.06mmol)によって、2-イミノ-5-メトキシピリジン-1(2H)-アミン2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(383mg、13%)がオフホワイトの固形物として得られた。
【数14】
【0363】
ステップ2.一般的な実験手順Eの第2部により、2-ブチル-6-メトキシ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジンを調製した。2-イミノ-5-メトキシピリジン-1(2H)-アミン2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(265mg、0.781mmol)によって、2-ブチル-6-メトキシ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン(39mg、24%)が白色の固形物として得られた。
【数15】
【0364】
ステップ3.一般的な実験手順Aにより、2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オールを調製した。2-ブチル-6-メトキシ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン(1.25g、6.09mmol)によって、2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール(0.69g、59%)が白色の固形物として得られた。
【数16】
【0365】
ステップ4.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール(250mg、1.31mmol)によって、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(454mg、92%)が黄色の油状物として得られた。
【数17】
【0366】
ステップ5.一般的な実験手順Cにより、(E)-2-.(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナートを調製した。tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(454mg、1.20mmol)によって、(E)-2-(((2-ブチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート(156mg、29%)がオフホワイト色の固形物として得られた。
【数18】
【0367】
例5
(Z)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート
【化27】

ステップ1.一般的な実験手順Dにより、2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジンを調製した。5-メトキシピリジン-2-アミン(1.0g、8.05mmol)によって、2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン(1.42g、72%)が橙色の油状物として得られた。
【数19】
【0368】
ステップ2.一般的な実験手順Aにより、2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オールを調製した。2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン(1.75g、6.12mmol)によって、2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オール(870mg、70%)がオフホワイト色の固形物として得られた。
【数20】
【0369】
ステップ3.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(Z)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オール(178mg、0.94mmol)によって、tert-ブチル(Z)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(65mg、18%)が褐色の油状物として得られた。
【数21】
【0370】
ステップ4.一般的な実験手順Cにより、(Z)-2-.(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナートを調製した。tert-ブチル(Z)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(65mg、0.17mmol)によって、(Z)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート(17.5mg、23%)が褐色の油状物として得られた。
【数22】
【0371】
例6
((E)-2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)
【化28】

ステップ1.以下の手順により、2-(ヘキサ-1-イン-1-イル)-5-メトキシピリジンを調製した。MeCN(50mL)中の2-ブロモ-5-メトキシピリジン(1.88g、1当量、10mmol)、[(PhP)PdCl](351mg、0.05当量、50μmol)およびヨウ化銅(I)(190mg、0.1当量、1.0mmol)の撹拌溶液にNを30分間散布した。ヘキサ-1-イン(1.64g、2.30mL、2.0当量、20mmol)およびNEt(4.2mL、3.0当量、30mmol)を添加し、反応物を60℃で16時間加熱した。反応物を減圧下で濃縮し、自動フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、t2-(ヘキサ-1-イン-1-イル)-5-メトキシピリジンを褐色の油状物として得た(1.60g、85%)。
【数23】
【0372】
ステップ2.以下の手順により、1-アミノ-2-(ヘキサ-1-イン-1-イル)-5-メトキシピリジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナートを調製した。0℃まで冷却したDCM(17mL)中に溶解した2-(ヘキサ-1-イン-1-イル)-5-メトキシピリジン(1.60g、1当量、8.5mmol)の撹拌溶液に、DCM(40mL)中に懸濁したO-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン(2.18g、1.2当量、10.1mmol)を添加した。この混合物を0℃で2.5時間撹拌し、次にEtO(228mL、4V)を添加した。得られた固形物を濾過し、供給物をEtO(57mL)で洗浄し、風乾し、次に真空乾燥させて、1-アミノ-2-(ヘキサ-1-イン-1-イル)-5-メトキシピリジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(2.21g、65%)をオフホワイト色の固形物として得た。
【数24】
【0373】
ステップ3.以下の手順により、2-ブチル-6-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジンを調製した。酢酸(15.6mL、50当量、273mmol)中の1-アミノ-2-(ヘキサ-1-イン-1-イル)-5-メトキシピリジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(2.21g、1当量、5.46mmol)の溶液を80℃で16時間撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAc(55mL)で希釈し、飽和NaHCO飽和(2×11mL)および鹹水(11mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、2-ブチル-6-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン(1.07g、95.9%)を暗赤色の油状物として得た。
【数25】
【0374】
ステップ4.一般的な実験手順Aにより、2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オールを調製した。2-ブチル-6-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジンによって、2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オールが褐色の固形物(993mg、97%)として得られた。
【数26】
【0375】
ステップ5.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オールによって、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(98mg、47%)が淡黄色の蝋状物として得られた。
【数27】
【0376】
ステップ6.一般的な実験手順Cにより、((E)-2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)を調製した。tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートによって、((E)-2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)(77mg、53%)が白色の固形物として得られた。
【数28】
【0377】
例7
(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート
【化29】

ステップ1.一般的な実験手順Dにより、2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-b]ピリダジンを調製した。EtOH(20mL)中の6-メトキシピリダジン-3-アミン(428mg、1当量、3.42mmol)の撹拌溶液に、1-ブロモヘキサン-2-オン(735mg、1.2当量、4.10mmol)を添加した。溶液を80℃まで1.5時間加熱した。反応をワークアップし、溶媒を減圧下で除去し、残分をDCM(20mL)中に溶解し、飽和NaHCO(10mL)、鹹水(10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗残分を自動フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(384mg、55%)を無色の油状物として得た。
【数29】
【0378】
ステップ2.一般的な実験手順Aにより、2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-オールを調製した。2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(171mg、0.83mmol)によって、2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-オール(137mg、86%)が褐色の油状物として得られた。
【数30】
【0379】
ステップ3.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-オール(89mg、0.47mmol)によって、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(89mg、50%)が黄色の油状物として得られた。
【数31】
【0380】
ステップ4.一般的な実験手順Cにより、(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナートを調製した。
【0381】
tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(89mg、0.24mmol)によって、(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート(36.8mg、35%)が橙色の固形物として得られた。
【数32】
【0382】
例8
(E)-2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)
【化30】

ステップ1.以下の手順により、1-アミノ-4-メトキシピリジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナートを調製した。0℃まで冷却したDCM(20mL)中に溶解した4-メトキシピリジン(1.09g、1当量、10mmol)の撹拌溶液に、DCM(24mL)中に懸濁したO-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン(2.58g、1.2当量、12mmol)を緩徐に添加した。この混合物を0℃で3時間撹拌し、次にDCM(6mL)中の追加のMesSONH(0.65g)を添加し、この混合物を2.5日間撹拌した。EtO(200mL、4V)を添加し、白色のペーストを分離した。液層をデカントし、ペーストをEtO(50mL)で洗浄し、真空乾燥して、粗製の1-アミノ-4-メトキシピリジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(3.51g、45%)を得た。純度は
【数33】

によって決定。
【0383】
ステップ2.以下の手順により、エチル2-ブチル-5-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシラートを調製した。1-アミノ-4-メトキシピリジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート(3.51g、1当量、4.5mmol)を無水DMF(15.5mL)中に溶解し、次にエチルヘプタ-2-イノアート(1.9g、2.1mL、2.7当量、12mmol)および炭酸カリウム(1.7g、2.7当量、12mmol)を連続して添加した。この混合物を100℃で一晩撹拌した。追加のエチルヘプタ-2-イノアート(2.8g、3.1mL、4.0当量、18mmol)を添加し、この混合物を100℃でさらに1日撹拌した。さらなる反応はHPLCによって観察されなかった。この混合物を室温まで冷却させておき、次に水(62mL、4V)、鹹水(16mL)で処理し、AcOEt(4×62mL)で抽出した。有機層を水/鹹水1:1(2×62mL)、鹹水(62mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、5.12gの暗色の油状物を得た。自動フラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、エチル2-ブチル-5-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシラートが橙色の固形物として得られた(410mg、33%)。
【数34】
【0384】
ステップ3.以下の手順により、2-ブチル-5-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジンを調製した。固形物のエチル2-ブチル-5-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシラート(410mg、1当量、1.48mmol)、水(3.0mL)、95%HSO(1.7mL、20当量、29.7mmol)および1,4-ジオキサン(6.0mL)を順次添加した。この温かい混合物を100℃で40時間さらに加熱した。室温まで冷却した後、この混合物を水(33mL)で希釈し、炭酸ナトリウム(3.46g、22当量、32.6mmol)の固体で注意深く塩基性にした。得られた混合物をAcOEt(3×45mL)で抽出し、NaSO上で乾燥させ、蒸発乾固させた。自動フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、2-ブチル-5-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジンが橙色の油状物(161mg、53%)として得られた。
【数35】
【0385】
ステップ4.一般的な実験手順Aにより、2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オールを調製した。2-ブチル-5-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジン(161mg、0.79mmol)によって、2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オールが褐色の固形物(144mg、89%)として得られた。
【数36】
【0386】
ステップ5.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。この手順により、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(28mg、24%)が淡黄色の蝋状物として得られた。
【数37】
【0387】
ステップ6.一般的な実験手順Cにより、(E)-2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)を調製した。tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(28mg、0.074mmol)によって、(E)-2-(((2-ブチルピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミンビス(4-メチルベンゼンスルホナート)が白色の固形物(29mg、63%)として得られた。
【数38】
【0388】
例9
(Z)-2-(((2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート
【化31】

ステップ1.一般的な実験手順Dにより、2-シクロペンチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジンを、2-ブロモ-1-シクロペンチルエタン-1-オンを用いて調製した。
【数39】
【0389】
ステップ2.一般的な実験手順Aにより、2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オールを調製した。2-シクロペンチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン(725mg、3.35mmol)によって、2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オール(315mg、47%)が褐色の固形物として得られた。
【数40】
【0390】
ステップ3.一般的な実験手順Bにより、tert-ブチル(Z)-(2-(((2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-オール(190mg、0.94mmol)によって、tert-ブチル(Z)-(2-(((2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(94mg、26%)が褐色の油状物として得られた。
【数41】
【0391】
ステップ4.一般的な実験手順Cにより、(Z)-2-.(((2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナートを調製した。tert-ブチル(Z)-(2-(((2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(94mg、0.24mmol)によって、(Z)-2-(((2-シクロペンチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート(38mg、34%)がベージュ色の固形物として得られた。
【数42】
【0392】
例10
(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン 4-メチルベンゼンスルホナート
【化32】

ステップ1.一般的な実験手順16により、2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリミジンを調製した。5-メトキシピリミジン-2-アミン(594mg、4.75mmol)によって、2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリミジン(178mg、16%)が黄色の固形物として得られた。
【数43】
【0393】
ステップ2.一般的な実験手順2により、2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-オールを調製した。2-ブチル-6-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリミジン(178mg、0.867mmol)によって、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(105mg、61%)が明褐色の固形物として得られた。
【数44】
【0394】
ステップ3.一般的な実験手順3により、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマートを調製した。tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(105mg、0.55mmol)によって、tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(30mg、15%)が褐色の固形物として得られた。
【数45】
【0395】
ステップ4.一般的な実験手順5により、(E)-2-.(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナートを調製した。tert-ブチル(E)-(2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロアリル)カルバマート(30mg、0.79mmol)によって、(E)-2-(((2-ブチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロプロパ-2-エン-1-アミン4-メチルベンゼンスルホナート(28mg、79%)が褐色の固形物として得られた。
【数46】
【0396】
例11
生物学的試料およびアッセイ
以下の一般的な材料および方法を、示されている場合、または例において使用されることができる場合に使用した。分子生物学における標準的な方法は、科学文献(例えば、Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、ならびに細菌細胞およびDNA突然変異誘発(第1巻)、哺乳動物細胞および酵母におけるクローン化(第2巻)、複合糖質およびタンパク質発現(第3巻)、ならびに生物情報学(第4巻)を説明しているAusubel et al.(2001)Current Protocols in Molecular Biology,第1巻~第4巻,John Wiley and Sons,Inc.New York,N.Y.を参照されたい)において説明されている。
【0397】
VAP-1アッセイ
血管接着タンパク質1(VAP-1)の酵素活性を阻害する本明細書に説明する化合物の能力は、蛍光分析によって測定された。R&D Systemsが提供するアッセイ手順は、阻害剤スクリーニングアッセイとして使用するためにわずかに改変された。このアッセイでは、Amplex(登録商標)Redを蛍光生成物であるレゾルフィンへとセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびHを介して変換することによって、rhVAP-1によるベンジルアミンの酸化的脱アミノ化から生成されたHを測定した。反応緩衝液は、10mMのNaHCO3(pH7.4)とした。Hを反応緩衝液中で段階希釈することによって標準曲線を準備した。レゾルフィンの10μM溶液を反応緩衝液中で調製し、2つのウェルに分注した。これらのウェルは、最大蛍光についての陽性対照として機能した。各ウェル内の最終容量が100μLになるように、反応緩衝液を個々のウェルに添加した。Amplex Redを反応緩衝液中で1mMに希釈した。HRPの10Uストックを反応緩衝液中で調製した。反応カクテルは、等しい部分の1mMのAmplex Redおよび10UのHRPと、3部分の反応緩衝液とを混合することによって調製した。反応カクテルを適切なウェルに添加し、ウェル内の終濃度が0.05mMのAmplex Redおよび0.5UのHRPとなるようにした。ベンジルアミンの200μM溶液を反応緩衝液中で調製した。終濃度が50μMとなるように、ベンジルアミンを適切なウェルに添加した。阻害剤をDMSO中で20倍に希釈し、適切なウェルに分注した。LJPー1207は、陽性対照を提供した。rhVAP-1は、R&D Systemsから購入した。各ロットに使用する濃度を、活性が第1のロットと等しくなるように決定した。対照として2つのウェルを空のままにした。プレートを37℃で30分間インキュベートし、ホイルの下で遮光した。プレートを、530/35発光および590/35励起で読み取った。データ処理は、ExcelおよびPrismソフトウェアを使用して実行した。
【0398】
MAOアッセイ
本明細書に説明する化合物がMAOを阻害する能力は、改変されたPromega MAO-Glo(商標)アッセイキットを用いて決定した。基質である((4S)-4,5-ジヒドロ-2-(6-ヒドロキシベンゾチアゾリル)-4-チアゾールカルボン酸)をMAOによって変換して、メチルエステルであるルシフェリンを生成した。次に、ルシフェリンをルシフェラーゼによって変換して、オキシルシフェリンと光とを生成した。プレートリーダーのルミネセンス設定を使用して光を測定した。ルシフェリンを反応緩衝液中で段階希釈することによって標準曲線を準備した。標準的なキット反応緩衝液を使用し、すなわち、100mMのHEPES(pH7.5)、5%グリセロールとした。MAO-A阻害アッセイについての終濃度が10μMとなるように、およびMAO-B阻害アッセイについての終濃度が1μMとなるように、基質をウェル内に分注した。阻害剤をDMSO中で4倍に希釈し、適切なウェルに分注した。クロルギリンおよびデプレニルは、陽性対照として機能した。rhMAO-AおよびrhMAO-Bは、Sigmaから購入した。MAO-AまたはMAO-Bを適切なウェルに添加した。プレートを室温で穏やかに振盪しながら(90rpm)、1時間インキュベートした。検出薬を等量で(48μLの検出薬を48μLの反応物に)添加した。プレートを室温で穏やかに振盪しながら(90rpm)、20分間インキュベートした。プレートのルミネセンスを読み取った。Prismソフトウェアを使用してデータ処理を実行した。
【0399】
本明細書に説明する化合物がMAOを阻害する能力は、改変されたPromega MAO-Glo(商標)アッセイを用いて決定した。試験化合物、基質および酵素は、製造元の使用説明書に従って、検出薬を添加する前に、室温で穏やかに振盪しながら(90rpm)、1時間インキュベートした。検出薬を等量で(48μLの検出薬を48μLの反応物に)添加した。プレートを室温で穏やかに振盪しながら(90rpm)、20分間インキュベートした。プレートのルミネセンスを読み取った。Prismソフトウェアを使用してデータ処理を実行した。
【0400】
血管接着タンパク質1(VAP-1)の酵素活性を阻害する本明細書に説明する化合物の能力は、蛍光分析によって測定された。R&D Systemsが提供するアッセイ手順は、阻害剤スクリーニングアッセイとして使用するためにわずかに改変された。このアッセイでは、Amplex(登録商標)Redを蛍光生成物であるレゾルフィンへとセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびHを介して変換することによって、rhVAP-1によるベンジルアミンの酸化的脱アミノ化から生成されたHを測定した。Amplex Red、HRP、ベンジルアミン、阻害剤(DMSOをビヒクルとして含有、0.5%v/v)およびrhVAP-1をウェルに添加した。アッセイは、10mMのNaHCO(pH7.4)で実施した。Hを反応緩衝液中で段階希釈することによって標準曲線を準備した。プレートを37℃で30分間インキュベートし、ホイルの下で遮光した。プレートを、530/35発光および590/35励起で読み取った。Prismソフトウェアを使用してデータ処理を実行した。
【0401】
本明細書に説明するアッセイを使用して、本開示のいくつかの化合物についての活性を測定した。効力レベルを表1に明らかにする。
【表5-1】

【表5-2】
【0402】
先の例に関して本開示を説明してきたが、改変および変形は、本開示の趣旨および範囲内に包含されることが理解されるであろう。したがって、本開示は以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。