(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】センサ及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20250108BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20250108BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 R
A61B5/00 B
(21)【出願番号】P 2022024483
(22)【出願日】2022-02-21
【審査請求日】2024-03-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤/サブテーマII:超低消費電力IoTデバイス・革新的センサ技術/超高感度センサシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】喜々津 哲
(72)【発明者】
【氏名】東 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 聡志
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207167(JP,A)
【文献】特開2017-003336(JP,A)
【文献】特開2018-155719(JP,A)
【文献】特開2022-014223(JP,A)
【文献】特開2005-236134(JP,A)
【文献】特開平06-294850(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0121828(US,A1)
【文献】米国特許第11237230(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00-33/26
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁気素子と第1導電部材とを含む第1素子を含む素子部であって、
前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含み、
前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含み、前記第1導電部分から前記第1他導電部分への第2方向は、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する、
前記素子部と、
第1回路を含む制御部であって、前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と接続され、前記第1導電部材に第1電流を供給可能であり、前記第1電流は、交流成分を含み、前記第1電流の極小値は第1極性であり、前記第1電流の極大値は前記第1極性である、前記制御部と、
を備え
、
前記第1電流の前記極小値の絶対値は、前記第1極性の第1電流値の絶対値よりも大きく、
前記第2方向に沿う検出対象磁界が前記第1磁気素子に印加されていない状態において、前記第1電流値を有する電流が前記第1導電部材に流れたときの前記第1磁気素子の電気抵抗は、飽和電気抵抗の0.9倍であり、
前記飽和電気抵抗は、前記第1導電部材に流れる電流が増大したときの前記第1磁気素子の電気抵抗の飽和値である、センサ。
【請求項2】
前記第1電流の変化に応じて前記第1磁気素子の第1電気抵抗が変化する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第2方向の成分を有する第2方向磁界の変化に対する前記第1電気抵抗の変化率は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向の成分を有する第3方向磁界の変化に対する前記第1電気抵抗の変化率よりも高い、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第2方向における前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向における前記第1磁気素子の長さよりも長い、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項5】
前記制御部は、第2回路を含み、
前記第2回路は、前記第1磁気素子に検出電流を供給可能である、請求項2または3に記載のセンサ。
【請求項6】
前記制御部は、第3回路を含み、
前記第3回路は、前記第1電気抵抗の変化に対応する値を検出可能である、請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記素子部は、前記第1素子を含むブリッジ回路を含み、
前記第2回路は、前記ブリッジ回路に前記検出電流を供給可能であり、
前記第3回路は、前記ブリッジ回路の第1中点の電位と、前記ブリッジ回路の第2中点の電位と、の差に対応する値を検出可能である、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから得られる出力信号を処理する処理部と、
を備えた検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサ及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、磁性層を用いたセンサがある。センサにおいて、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、センサは、素子部及び制御部を含む。前記素子部は、第1素子を含む。前記第1素子は、第1磁気素子と第1導電部材とを含む。前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含む。前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含む。前記第1導電部分から前記第1他導電部分への第2方向は、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する。前記制御部は、第1回路を含む。前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と接続され、前記第1導電部材に第1電流を供給可能である。前記第1電流は、交流成分を含む。前記第1電流の極小値は第1極性であり、前記第1電流の極大値は前記第1極性である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)~
図1(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図2】
図2(a)~
図2(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図3】
図3は、センサの特性を例示するグラフ図である。
【
図4】
図4は、センサの特性を例示するグラフ図である。
【
図5】
図5は、センサの特性を例示するグラフ図である。
【
図6】
図6は、センサの特性を例示するグラフ図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図9】
図9(a)~
図9(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
【
図18】
図18は、実施形態に係るセンサ及び検査装置を示す模式図である。
【
図19】
図19は、実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)~
図1(c)及び
図2(a)~
図2(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図2(a)は、平面図である、
図2(b)は、
図2(a)のA1-A2線断面図である。
図2(c)は、
図2(a)のB1-B2線断面図である。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係るセンサ110は、素子部10U及び制御部70を含む。素子部10Uは、第1素子10Aを含む。センサ110は、例えば磁気センサである。
【0010】
第1素子10Aは、第1磁気素子11及び第1導電部材21を含む。
【0011】
図2(b)に示すように、第1磁気素子11は、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bを含む。この例では、第1磁気素子11は、第1非磁性層11nを含む。第1非磁性層11nは、第1磁性層11aと第1対向磁性層11bとの間に設けられる。
【0012】
第1磁性層11aから第1対向磁性層11bへの第1方向D1をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。Z軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をX軸方向とする。
【0013】
図1(a)に示すように、第1導電部材21は、第1導電部分21eと第1他導電部分21fとを含む。第1導電部分21eから前記第1他導電部分21fへの第2方向D2は、第1方向D1と交差する。第2方向D2は、例えば、Y軸方向である。
【0014】
制御部70は、第1回路71を含む。第1回路71は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fと接続される。第1回路71は、第1導電部材21に第1電流i1を供給可能である。
【0015】
図1(b)は、第1電流i1を例示している。
図1(b)の横軸は、時間tmである。
図1(b)の縦軸は、第1電流i1の値である。
図1(b)に示すように、第1電流i1は、交流成分ia1を含む。第1電流i1の極小値は第1極性であり、第1電流i1の極大値は第1極性である。第1極性は、正及び負の一方である。以下、第1極性が正である場合の例について説明する。
【0016】
例えば、第1電流i1は、交流成分ia1及び直流成分id1を含む。直流成分id1は、交流成分ia1の振幅ip1の1/2よりも大きい。第1電流i1において、極小値と極大値との差が振幅ip1に対応する。実施形態においては、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である。第1電流i1が第2極性(例えば負)になることがない。第1電流i1が0になることがない。
【0017】
第1電流i1により第1磁界Haが生じる。第1磁界Haは、交差方向Dxに沿う。交差方向Dxは、第1方向D1(第1磁性層11aから第1対向磁性層11bへの方向)と交差する。交差方向Dxは、例えばX軸方向である。
図1(c)は、第1磁界Haを例示している。
図1(c)の横軸は、時間tmである。
図1(c)の縦軸は、第1磁界Haの強度である。
図1(c)に示すように、第1磁界Haは、交流磁界成分Ha1を含む。第1磁界Haの極小値は第1極性であり、第1磁界Haの極大値は第1極性である。
【0018】
例えば、第1磁界Haは、交流磁界成分Ha1と、直流磁界成分Hd1と、を含む。直流磁界成分Hd1は、交流磁界成分Ha1の振幅Hp1の1/2よりも大きい。第1磁界Haにおいて、極小値と極大値との差が振幅Hp1に対応する。実施形態においては、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である。第1磁界Haが第2極性(例えば負)になることがない。第1磁界Haが0になることがない。第1磁界Haの極小値Hminは、直流磁界成分Hd1と、交流磁界成分Ha1の振幅Hp1の1/2と、の差である。実施形態において、例えば、第1磁界Haの極小値Hminは正である。
【0019】
このように、第1電流i1が第1導電部材21を流れることで、第1導電部材21から第1磁界Haが発生する。第1導電部材21は、磁界発生部28の例の1つである。磁界発生部28から交差方向Dxに沿う第1磁界Haが発生する。
【0020】
第1磁界Haは、第1磁気素子11に印加される。第1磁界Haの変化に応じて第1磁気素子11の第1電気抵抗が変化する。電気抵抗の変化は例えばMR(magnetoresistance effect)効果による。例えば、第1電流i1の変化に応じて、第1磁気素子11の第1電気抵抗が変化する。
【0021】
一方、検出対象磁界Htが第1磁気素子11に加わる。検出対象磁界Htによっても、第1磁気素子11の第1電気抵抗が変化する。このように、第1電気抵抗は、第1電流i1(及び第1磁界Ha)と、検出対象磁界Htの両方に応じて変化する。実施形態においては、第1電気抵抗の変化を検出し、その結果を第1電流i1の交流成分ia1の周波数(第1磁界Haの交流磁界成分Ha1の周波数)に基づいて処理することで、検出対象磁界Htを検出できる。
【0022】
実施形態においては、上記のように、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である。例えば、第1電流i1及び第1磁界Haは、常に第1極性(正)であり、0または負になることがない。これにより、ノイズを抑制した検出が可能になる。
【0023】
例えば、第1電流i1(及び第1磁界)が正から0または負になるときに、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bの少なくともいずれかにおいて磁区の乱れが生じる。磁区の乱れは、例えば、磁区の生成、磁区の消滅、または、磁区の移動などを含む。磁区の乱れにより、第1磁気素子11から得られる信号にノイズが発生する。実施形態においては、第1電流i1及び第1磁界Haが常に1つの極性(例えば正)であると、磁区の乱れに起因するノイズが抑制できる。これにより、より安定して高い感度での検出が可能になる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置を提供できる。
【0024】
図1(a)に示すように、制御部70は、第2回路72を含んで良い。第2回路72は、第1磁気素子11に検出電流idを供給可能である。
【0025】
図1(a)に示すように、制御部70は、第3回路73を含んで良い。第3回路73は、第1電気抵抗の変化に対応する値を検出可能である。例えば、検出電流idにより第1電気抵抗に応じた電位差が生じる。第3回路73は、電位差の変化を含む信号を検出する。第3回路73の出力部73oから検出対象磁界Htに応じた信号が得られる。
【0026】
図2(a)に示すように、第2方向D2における第1導電部材21の長さを長さLc1とする。第3方向D3における第1導電部材21の長さを長さLc2とする。実施形態において、長さLc1は、長さLc2よりも長いことが好ましい。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第3方向D3は、交差方向Dxに対応する。これにより、発生する磁界(第1磁界Ha)の向きがより安定になる。長さLc1の長さLc2に対する比(Lc1/Lc2)は、例えば、
2以上100
0以下である。
【0027】
図2(a)に示すように、第2方向D2における第1磁気素子11の長さを長さLe1とする。第3方向D3における第1磁気素子11の長さを長さLe2とする。実施形態において、長さLe1は、長さLe2よりも長いことが好ましい。これにより、磁性層の磁化の向きがより安定になる。これは、形状異方性による。長さLe1の長さLe2に対する比(Le1/Le2)は、例えば、
2以上100
0以下である。
【0028】
図2(b)に示すように、この例では、第1電流i1が流れていないときに、第1磁性層11aの磁化11aMは、第2方向D2に沿う。第1対向磁性層11bの磁化11bMは、第2方向D2に沿う。実施形態において、磁化11aMは、磁化11bMと交差しても良い。実施形態において、第1磁性層11aは、例えば、参照層及び磁化自由層の一方で良い。第1対向磁性層11bは、例えば、参照層及び磁化自由層の他方で良い。
【0029】
第1磁気素子11の第1電気抵抗の変化は、例えば、第1磁気素子11に加わる磁界に応じて、磁化11aMと磁化11bMとの間の角度が変化することに基づく。
【0030】
図2(b)及び
図2(c)に示すように、第1導電部材21から第1磁気素子11への方向は、第1方向D1に沿う。この例では、第1磁性層11aは、第1導電部材21と第1対向磁性層11bとの間にある。実施形態において、第1対向磁性層11bが第1導電部材21と第1磁性層11aとの間にあっても良い。
【0031】
実施形態において、第1非磁性層11nは導電性でも良い。第1非磁性層11nは、例えば、Cuなどを含む。第1磁気素子は、GMR(Giant MagnetoResistive effect)素子として機能する。第1非磁性層11nは絶縁性でも良い。第1非磁性層11nは、例えば、MgOなどを含む。第1磁気素子は、TMR(Tunnel Magneto Resistance effect)素子として機能する。
【0032】
図2(b)及び
図2(c)に示すように、第1素子10Aは、第1絶縁部材81を含んでも良い。第1絶縁部材81の少なくとも一部は、第1磁気素子11と第1導電部材21との間に設けられる。第1絶縁部材81は、第1磁気素子11と第1導電部材21との間を電気的に絶縁する。
【0033】
図2(a)に示すように、第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは、第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eから第1他素子部分11fへの方向は、第2方向D2に沿う。第1素子部分11eと第1導電部分21eとの間の距離は、第1素子部分11eと第1他導電部分21fとの間の距離よりも短い。第1他素子部分11fと第1他導電部分21fとの間の距離は、第1他素子部分11fと第1導電部分21eとの間の距離よりも短い。
【0034】
実施形態において、第1磁界Haにより、磁性層の磁化の向きが変化する。上記のように、第1磁界Haは、交差方向Dxに沿う。検出対象磁界Htは、交差方向Dxと交差する方向(例えば第2方向D2)の成分を含む。検出対象磁界Htの第2方向D2の成分が、第1磁界Haによる磁化の向きに影響を与える。磁化の向きに基づく第1電気抵抗の変化を検出することで、検出対象磁界Htを検出できる。
【0035】
例えば、第1磁気素子11に、第2方向D2の成分を有する第2方向磁界を印加したときの第1電気抵抗の変化は大きい。一方、第1磁気素子11に交差方向Dx(後述する第3方向D3)の成分を有する第3方向磁界を印加したときの第1電気抵抗の変化は小さい。第2方向磁界の変化に対する第1電気抵抗の変化率は、第3方向磁界の変化に対する第1電気抵抗の変化率よりも高い。
【0036】
図3及び
図4は、センサの特性を例示するグラフ図である。
図3は、実施形態に係るセンサ110の特性のシミュレーション結果を例示している。シミュレーションにおいて、第1磁性層11aが磁化自由層とされ、第1対向磁性層11bが参照層とされる。第2方向D2に沿う検出対象磁界Ht、及び、第3方向D3に沿う磁界が、第1磁気素子11に印加される。シミュレーションにおいて、これらの磁界は、直流成分を含まない。これらの磁界が印加されたときにおける、第1磁性層11aの磁化11aMの向き、及び、第1対向磁性層11bの磁化11bM
の向きが計算される。これらの磁化の向きの角度に基づいて磁気抵抗が計算される。
【0037】
図3の横軸は、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasである。磁界強度Hasは、磁化自由層の異方性磁界Hkで規格化されている。
図3の縦軸は、磁気抵抗MR1である。磁気抵抗MR1は、磁気抵抗の最大値で規格化されている。
図3には、各種の規格化検出対象磁界Htsのときの値が示されている。規格化検出対象磁界Htsは、磁化自由層の異方性磁界Hkで規格化されている。
【0038】
図3において、規格化検出対象磁界Htsが0.0001のときの磁気抵抗MR1は、第1磁気素子11に検出対象磁界Htが実質的に印加されていないときの磁気抵抗に対応する。このとき、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが上昇すると、磁気抵抗MR1は上昇する。第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが1以上において、磁気抵抗MR1は飽和する。
【0039】
図3に示すように、規格化検出対象磁界Htsが大きくなるに従って、磁気抵抗MR1の変化はなだらかになる。例えば、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが1.5のときに、磁気抵抗MR1は、規格化検出対象磁界Htsに応じて大きく変化する。このような特性を利用することで、磁気抵抗を検出することで、検出対象磁界Htを高い感度で検出できる。
【0040】
図4において、
図3と同様のグラフにいくつかのパラメータの値が記載されている。第2方向D2に沿う検出対象磁界Htがゼロの場合(
図4では、Hts=0.0001)の磁気抵抗MR1の飽和値を1とする。検出対象磁界Htがゼロの場合において、磁気抵抗MR1が0.9となる磁界強度を、第1磁界値Hs1とする。第1磁界値Hs1は、第1極性(この例では正)である。第1磁界値Hs1は、例えば、近似飽和磁界に対応する。実施形態において、第1磁界Haの極小値Hmin(
図1(c)参照)の絶対値は、第1磁界値Hs1の絶対値よりも大きいことが好ましい。
【0041】
すなわち、実施形態において、例えば、
Hd1-Hp/2 > Hs1
が満たされることが好ましい。このような条件により、検出対象磁界Htをより高い感度で効率的に検出できる。
【0042】
第2方向D2に沿う検出対象磁界Htが第1磁気素子11に印加されていない状態において、第1極性の第1磁界値Hs1を有する、交差方向Dx(すなわち、第3方向D3)に沿う磁界が第1磁気素子11に印加されたときの第1磁気素子11の電気抵抗は、飽和電気抵抗(磁気抵抗MR1の飽和値)の0.9倍である。飽和電気抵抗は、交差方向Dx(すなわち、第3方向D3)に沿う磁界が増大したときの第1磁気素子11の電気抵抗の飽和値である。
【0043】
実施形態において、第1電流i1の極小値は、第1電流i1の直流成分id1と、交流成分ia1の振幅ip1の1/2と、の差に対応する。この差(第1電流i1の極小値の絶対値)は、第1磁界値Hs1に対応する第1極性の第1電流値の絶対値よりも大きいことが好ましい。例えば、第2方向D2に沿う検出対象磁界Htが第1磁気素子11に印加されていない状態において、第1極性の第1電流値を有する電流が第1導電部材21に流れたときの第1磁気素子11の電気抵抗は、飽和電気抵抗の0.9倍である。飽和電気抵抗は、第1導電部材21に流れる電流が増大したときの第1磁気素子11の電気抵抗の飽和値である。このような第1電流i1により、検出対象磁界Htをより高い感度で効率的に検出できる。
【0044】
図5は、センサの特性を例示するグラフ図である。
図5は、第1磁気素子11から得られる信号の振幅を例示するグラフである。
図5の例では、第1磁界Haにおいて、交流磁界成分Ha1の振幅Hp1の規格化値は、0.4である。直流磁界成分Hd1の規格化値は、1.3である。第1磁界Haの極小値Hminの規格化値は、1.1である。このような第1磁界Haが印加されている状態で、規格化検出対象磁界Htsが変更される。
図5の横軸は、規格化検出対象磁界Htsである。
図5の縦軸は、第1磁気素子11から得られる信号の振幅AM1である。振幅AM1は、磁気抵抗MR1の変化がゼロから飽和値まで変化した場合を1とした相対値である。
【0045】
図5に示すように、規格化検出対象磁界Htsが0~0.1の範囲で、規格化検出対象磁界Htsが増大すると、振幅AM1は増大する。規格化検出対象磁界Htsが0.1を超えると、規格化検出対象磁界Htsの増大に従って振幅AM1は緩やかに減少する。
【0046】
図6は、センサの特性を例示するグラフ図である。
図6は、第1磁気素子11から得られる信号の感度を例示するグラフである。
図6は、
図5に例示した特性から得られる。
図6の横軸は、規格化検出対象磁界Htsである。
図6の縦軸は、感度SN1である。感度SN1は、振幅AM1を規格化検出対象磁界Htsで微分した値である。
【0047】
図6に示すように、規格化検出対象磁界Htsが微小な磁界である場合に、2以上の高い感度SN1が得られる。実施形態によれば、微小な磁界を高い感度で検出できる。
【0048】
例えば、磁化自由層の困難軸方向(
図1の例では、第3方向D3)の検出対象磁界Htを検出する参考例が考えられる。この参考例においては、感度SN1は1であると考えられる。実施形態に係るセンサ110においては、第2方向D2の検出対象磁界Htを高い感度で検出できる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0049】
実施形態においては、ノイズが少ない範囲の第1磁界Haを第1磁気素子11に印加できる。これにより、低ノイズの出力が得られる。さらに上記のように、実施形態によれば、微小な検出対象磁界Htを高い感度で検出できる。
【0050】
以下、実施形態に係るセンサのいくつかの例について説明する。
図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図7においては、理解を容易にするために、第1磁気素子11が、X軸方向において、第1導電部材21からシフトされて描かれている。第1磁気素子11は、第1導電部材21とZ軸方向において重なっても良い。
【0051】
図7に示すように、実施形態に係るセンサ111において、素子部10Uは、第1素子10A及び第1抵抗31を含む。第1抵抗31は、第1抵抗部分31eと第1他抵抗部分31fとを含む。この例では、第1素子部分11eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第1抵抗部分31eと電気的に接続される。第1他抵抗部分31fは、第2回路72と電気的に接続される。第3回路73は、第1他素子部分11fと第1抵抗部分31eとの接続点の電位の変化を検出する。
【0052】
図8、及び、
図9(a)~
図9(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図8に示すように、実施形態に係るセンサ112において、素子部10Uは、第2素子10Bをさらに含む。第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。
【0053】
図8においては、図を見やすくするために、第1磁気素子11が、X軸方向において、第1導電部材21からシフトされて描かれている。第1磁気素子11は、第1導電部材21とZ軸方向において重なっても良い。
図8においては、図を見やすくするために、第2磁気素子12が、X軸方向において、第2導電部材22からシフトされて描かれている。第2磁気素子12は、第2導電部材22とZ軸方向において重なっても良い。
【0054】
図9(b)及び
図9(c)に示すように、第2磁気素子12は、第2磁性層12a及び第2対向磁性層12bを含む。この例では、第2磁気素子12は、第2非磁性層12nを含む。第2非磁性層12nは、第2磁性層12aと第2対向磁性層12bとの間に設けられる。
【0055】
第2磁気素子12において、第2磁性層12aは、例えば、参照層及び磁化自由層の一方で良い。第2対向磁性層12bは、例えば、参照層及び磁化自由層の他方で良い。第2磁気素子12の電気抵抗の変化は、例えば、第2磁気素子12に加わる磁界に応じて、第2磁性層12aの磁化12aM、と、第2対向磁性層12bの磁化12bMとの間の角度が変化することに基づく。
【0056】
図8に示すように、第2導電部材22は、第2導電部分22eと第2他導電部分22fとを含む。第2導電部分22eから第2他導電部分22fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0057】
図8に示すように、この例では、第1導電部分21eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第2他導電部分22fと電気的に接続される。第2導電部分22eは、第1回路71と電気的に接続される。第1回路71は、第1導電部材21及び第2導電部材22に第1電流i1を供給可能である。
【0058】
第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは、第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eから第1他素子部分11fへの向きは、第1向きである。
【0059】
第2磁気素子12は、第2素子部分12e及び第2他素子部分12fを含む。第2素子部分12eは、第2導電部分22eに対応する。第2他素子部分12fは、第2他導電部分22fに対応する。第2素子部分12eから第2他素子部分12fへの向きは、第2向きである。
【0060】
第2回路72から供給される検出電流idは、第1向きに第1磁気素子11を流れ、第2向きに第2磁気素子12を流れる。第1回路71から供給される第1電流i1が第1導電部材21を第1向きに流れているときに、第1電流i1は第2導電部材22を第2向きの逆向きに流れる。
【0061】
図10は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図10に示すように、実施形態に係るセンサ113において、素子部10Uは、第1素子10A、第2素子10B、第1抵抗31及び第2抵抗32を含む。第1素子10Aは、第1磁気素子11と第1導電部材21とを含む。第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。
図10においては、図を見やすくするために、第1磁気素子11が、X軸方向において、第1導電部材21からシフトされて描かれている。
図10においては、図を見やすくするために、第2磁気素子12が、X軸方向において、第2導電部材22からシフトされて描かれている。
【0062】
第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eから第1他素子部分11fへの向きは、第1向きである。
【0063】
第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。第2導電部材22は、第2導電部分22eと第2他導電部分22fとを含む。第2導電部分22eから第2他導電部分22fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0064】
第1抵抗31は、第1抵抗部分31eと第1他抵抗部分31fとを含む。第1抵抗部分31eから第1他抵抗部分31fへの方向は、第2方向D2に沿う。第2抵抗32は、第2抵抗部分32eと第2他抵抗部分32fとを含む。第2抵抗部分32eから第2他抵抗部分32fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0065】
第2磁気素子12は、第2素子部分12e及び第2他素子部分12fを含む。第2素子部分12eは、第2導電部分22eに対応する。第2他素子部分12fは、第2他導電部分22fに対応する。第2素子部分12eから第2他素子部分12fへの向きは、第2向きである。
【0066】
第1素子部分11eは第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第2抵抗部分32eと電気的に接続される。第2他抵抗部分32fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0067】
第1抵抗部分31eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他抵抗部分31fは、第2素子部分12eと電気的に接続される。第2他素子部分12fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0068】
検出電流idは、第1向きに第1磁気素子11を流れ、第2向きに第2磁気素子12を流れる。
【0069】
図10に示すように、この例では、第1導電部分21eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第2導電部分22eと電気的に接続される。第2他導電部分22fは、第1回路71と電気的に接続される。第1回路71は、第1導電部材21及び第2導電部材22に第1電流i1を供給可能である。
【0070】
第1電流i1が第1導電部材21を第1向きに流れているときに、第1電流i1は第2導電部材22を第2向きに流れる。
【0071】
第3回路73は、第1接続点CP1と第2接続点CP2との間の電位差を検出可能である。第1接続点CP1は、第1他素子部分11fと第2抵抗部分32eとの間の接続点である。第2接続点CP2は、第1他抵抗部分31fと第2素子部分12eとの間の接続点である。
【0072】
第3回路73は、差動アンプ74と処理回路75とを含んで良い。差動アンプ74は、第1接続点CP1と第2接続点CP2との間の電位差を検出する。処理回路75は、差動アンプ74からの出力信号を処理する。処理回路75は、例えば、ロックインアンプ、バンドパスフィルタ回路、及び、FFT(Fast Fourier Transform)回路の少なくともいずれかを含んで良い。処理回路75は、例えば、差動アンプ74の第1周波数成分を抽出する。第1周波数は、例えば、第1電流i1の交流成分ia1の周波数である。第1周波数は、例えば、第1磁界Haの交流磁界成分Ha1の周波数である。第1周波数は、例えば、第1電流i1の交流成分ia1の高調波成分を含んで良い。第1周波数は、例えば、第1磁界Haの交流磁界成分Ha1の高調波成分を含んで良い。
【0073】
このように、素子部10Uは、第1素子10Aを含むブリッジ回路10V(
図10参照)を含んでも良い。第2回路72は、ブリッジ回路10Vに検出電流idを供給可能である。第3回路73は、ブリッジ回路10Vの第1中点(例えば第1接続点CP1)の電位と、ブリッジ回路10Vの第2中点(例えば第2接続点CP2)の電位と、の差に対応する値を検出可能である。
【0074】
図11は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図11に示すように、実施形態に係るセンサ114において、素子部10Uは、第1素子10A、第1抵抗31、第2抵抗32及び第3抵抗33を含む。第3抵抗33は、第3抵抗部分33e及び第3他抵抗部分33fを含む。第3抵抗部分33eから第3他抵抗部分33fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0075】
この例では、第1素子部分11eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第2抵抗部分32eと電気的に接続される。第2他抵抗部分32fは、第2回路72と電気的に接続される。第1抵抗部分31eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他抵抗部分31fは、第3抵抗部分33eと電気的に接続される。第3他抵抗部分33fは、第2回路72と電気的に接続される。第1接続点CP1は、第1他素子部分11fと第2抵抗部分32eとの間の接続点である。第2接続点CP2は、第1他抵抗部分31fと第3抵抗部分33eとの間の接続点である。
【0076】
図12、
図13(a)~
図13(c)、及び、
図14(a)~
図14(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図12に示すように、実施形態に係るセンサ115において、素子部10Uは、第1素子10A、第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dを含む。第1素子10Aは、第1磁気素子11と第1導電部材21とを含む。第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。第3素子10Cは、第3磁気素子13と第3導電部材23とを含む。第4素子10Dは、第4磁気素子14と第4導電部材24とを含む。
【0077】
図13(b)及び
図13(c)に示すように、第3磁気素子13は、第3磁性層13a及び第3対向磁性層13bを含む。この例では、第3磁気素子13は、第3非磁性層13nを含む。第3非磁性層13nは、第3磁性層13aと第3対向磁性層13bとの間に設けられる。
【0078】
第3磁気素子13において、第3磁性層13aは、例えば、参照層及び磁化自由層の一方で良い。第3対向磁性層13bは、例えば、参照層及び磁化自由層の他方で良い。第3磁気素子13の電気抵抗の変化は、例えば、第3磁気素子13に加わる磁界に応じて、第3磁性層13aの磁化13aM、と、第3対向磁性層13bの磁化13bMとの間の角度が変化することに基づく。
【0079】
図14(b)及び
図14(c)に示すように、第4磁気素子14は、第4磁性層14a及び第4対向磁性層14bを含む。この例では、第4磁気素子14は、第4非磁性層14nを含む。第4非磁性層14nは、第4磁性層14aと第4対向磁性層14bとの間に設けられる。
【0080】
第4磁気素子14において、第4磁性層14aは、例えば、参照層及び磁化自由層の一方で良い。第4対向磁性層14bは、例えば、参照層及び磁化自由層の他方で良い。第4磁気素子14の電気抵抗の変化は、例えば、第4磁気素子14に加わる磁界に応じて、第4磁性層14aの磁化14aM、と、第4対向磁性層14bの磁化14bMとの間の角度が変化することに基づく。
【0081】
図13(a)に示すように、第3導電部材23は、第3導電部分23eと第3他導電部分23fとを含む。第3導電部分23eから第3他導電部分23fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0082】
図14(a)に示すように、第4導電部材24は、第4導電部分24eと第4他導電部分24fとを含む。第4導電部分24eから第4他導電部分24fへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0083】
図12に示すように、第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは、第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eから第1他素子部分11fへの向きは、第1向きである。
【0084】
図12に示すように、第2磁気素子12は、第2素子部分12e及び第2他素子部分12fを含む。第2素子部分12eは、第2導電部分22eに対応する。第2他素子部分12fは、第2他導電部分22fに対応する。第2素子部分12eから第2他素子部分12fへの向きは、第2向きである。
【0085】
図12に示すように、第3磁気素子13は、第3素子部分13e及び第3他素子部分13fを含む。第3素子部分13eは、第3導電部分23eに対応する。第3他素子部分13fは、第3他導電部分23fに対応する。第3素子部分13eから第3他素子部分13fへの向きは、第3向きである。
【0086】
図12に示すように、第4磁気素子14は、第4素子部分14e及び第4他素子部分14fを含む。第4素子部分14eは、第4導電部分24eに対応する。第4他素子部分14fは、第4他導電部分24fに対応する。第4素子部分14eから第4他素子部分14fへの向きは、第4向きである。
【0087】
第1素子部分11eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第2素子部分12eと電気的に接続される。第2他素子部分12fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0088】
第3素子部分13eは、第2回路72と電気的に接続される。第3他素子部分13fは、第4素子部分14eと電気的に接続される。第4他素子部分14fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0089】
検出電流idは、第1向きに第1磁気素子11を流れ、第2向きに第2磁気素子12を流れ、第3向きに第3磁気素子13を流れ、第4向きに第4磁気素子14を流れる。
【0090】
この例では、第1導電部分21eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第4導電部分24eと電気的に接続される。第4他導電部分24fは、第3他導電部分23fと電気的に接続される。第3導電部分23eは、第2他導電部分22fと電気的に接続される。第2導電部分22eは、第1回路71と電気的に接続される。
【0091】
第1回路71から供給される第1電流i1が第1導電部材21を第1向きに流れているときに、第1電流i1は第2導電部材22を第2向きの逆向きに流れ、第1電流i1は第3導電部材23を第3向きの逆向きに流れ、第1電流i1は第4導電部材24を第4向ききに流れる。
【0092】
第1接続点CP1は、第1他素子部分11fと第2素子部分12eとの間の接続点である。第2接続点CP2は、第3他素子部分13fと第4素子部分14eとの間の接続点である。
【0093】
図15は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図15に示すように、実施形態に係るセンサ116において、素子部10Uは、第1素子10A、第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dを含む。センサ116においては、複数の導電部材の接続関係が、センサ115における複数の導電部材の接続関係と異なる。センサ116において、複数の磁気素子の接続関係が、センサ115における複数の磁気素子の接続関係と同じで良い。
【0094】
センサ116において、第1導電部分21e及び第3導電部分23eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第2導電部分22eと電気的に接続される。第3他導電部分23fは、第4導電部分24eと電気的に接続される。第2他導電部分22f及び第4他導電部分24fは、第1回路71と電気的に接続される。
【0095】
センサ116において、第1磁気素子11の参照層における磁化の向きは、第4磁気素子14の参照層における磁化の向きと同じである。第2磁気素子12の参照層における磁化の向きは、第3磁気素子13の参照層における磁化の向きと同じである。第1磁気素子11の参照層における磁化の向き及び第4磁気素子14の参照層における磁化の向きは、第2磁気素子12の参照層における磁化の向き及び第3磁気素子13の参照層における磁化の向きと逆である。センサ116の構成においても、ノイズの影響が抑制され、特性の向上が可能なセンサが提供できる。
【0096】
(第2実施形態)
第2実施形態は、検査装置に係る。後述するように、検査装置は、診断装置を含んでも良い。
【0097】
図16は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図16に示すように、第2実施形態に係る検査装置710は、センサ150a(磁気センサ)と、処理部770と、を含む。センサ150aは、第1実施形態に係るセンサ及びその変形で良い。処理部770は、センサ150aから得られる出力信号を処理する。処理部770において、センサ150aから得られた信号と、基準値と、の比較などが行われても良い。処理部770は、処理結果に基づいて、検査結果を出力可能である。
【0098】
例えば、検査装置710により、検査対象680が検査される。検査対象680は、例えば、電子装置(半導体回路などを含む)である。検査対象680は、例えば、電池610などでも良い。
【0099】
例えば、実施形態に係るセンサ150aは、電池610とともに用いられても良い。例えば、電池システム600は、電池610及びセンサ150aを含む。センサ150aは、電池610に流れる電流により生じる磁界を検出できる。
【0100】
図17は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図17に示すように、センサ150aは、例えば、実施形態に係る複数のセンサを含む。この例では、センサ150aは、複数のセンサ(センサ110などの素子部10Uなど)を含む。複数のセンサは、例えば、2つの方向(例えば、X軸方向及びY軸方向)に沿って並ぶ。複数のセンサ110は、例えば、基板の上に設けられる。
【0101】
センサ150aは、検査対象680(例えば電池610でも良い)に流れる電流により生じる磁界を検出できる。例えば、電池610が異常な状態に近づくと、電池610に異常な電流が流れる場合がある。センサ150aにより異常な電流を検出することで、電池610の状態の変化を知ることができる。例えば、電池610に近づけてセンサ150aが置かれた状態で、2つの方向のセンサ群駆動手段を用いて、電池610の全体を短時間で検査できる。センサ150aは、電池610の製造における、電池610の検査に用いられても良い。
【0102】
実施形態に係るセンサは、例えば、診断装置などの検査装置710に応用できる。
図18は、実施形態に係るセンサ及び検査装置を示す模式図である。
図18に示すように、検査装置710の例である診断装置500は、センサ150を含む。センサ150は、第1実施形態に関して説明したセンサ、及び、それらの変形を含む。
【0103】
診断装置500において、センサ150は、例えば、脳磁計である。脳磁計は、脳神経が発する磁界を検出する。センサ150が脳磁計に用いられる場合、センサ150に含まれる磁気素子のサイズは、例えば、1mm以上10mm未満である。このサイズは、例えば、MFCを含めた長さである。
【0104】
図18に示すように、センサ150(脳磁計)は、例えば、人体の頭部に装着される。センサ150(脳磁計)は、センサ部301を含む。センサ150(脳磁計)は、複数のセンサ部301を含んでも良い。複数のセンサ部301の数は、例えば、約100個(例えば50個以上150個以下)である。複数のセンサ部301は、柔軟性を有する基体302に設けられる。
【0105】
センサ150は、例えば、差動検出などの回路を含んでも良い。センサ150は、センサとは別のセンサ(例えば、電位端子または加速度センサなど)を含んでも良い。
【0106】
センサ150のサイズは、従来のSQUIDセンサのサイズに比べて小さい。このため、複数のセンサ部301の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他の回路と、の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他のセンサと、の共存が容易である。
【0107】
基体302は、例えばシリコーン樹脂などの弾性体を含んでも良い。基体302に、例えば、複数のセンサ部301が繋がって設けられる。基体302は、例えば、頭部に密着できる。
【0108】
センサ部301の入出力コード303は、診断装置500のセンサ駆動部506及び信号入出力部504と接続される。センサ駆動部506からの電力と、信号入出力部504からの制御信号と、に基づいて、センサ部301において、磁界測定が行われる。その結果は、信号入出力部504に入力される。信号入出力部504で得た信号は、信号処理部508に供給される。信号処理部508において、例えば、ノイズの除去、フィルタリング、増幅、及び、信号演算などの処理が行われる。信号処理部508で処理された信号が、信号解析部510に供給される。信号解析部510は、例えば、脳磁計測のための特定の信号を抽出する。信号解析部510において、例えば、信号位相を整合させる信号解析が行われる。
【0109】
信号解析部510の出力(信号解析が終了したデータ)が、データ処理部512に供給される。データ処理部512では、データ解析が行われる。このデータ解析において、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などの画像データが取り入られることが可能である。このデータ解析においては、例えば、EEG(Electroencephalogram)などの頭皮電位情報などが取り入れられることが可能である。データ解析により、例えば、神経発火点解析、または、逆問題解析などが行われる。
【0110】
データ解析の結果は、例えば、画像化診断部516に供給される。画像化診断部516において、画像化が行われる。画像化により、診断が支援される。
【0111】
上記の一連の動作は、例えば、制御機構502によって制御される。例えば、一次信号データ、または、データ処理途中のメタデータなどの必要なデータは、データサーバに保存される。データサーバと制御機構とは、一体化されても良い。
【0112】
実施形態に係る診断装置500は、センサ150と、センサ150から得られる出力信号を処理する処理部と、を含む。この処理部は、例えば、信号処理部508及びデータ処理部512の少なくともいずれかを含む。処理部は、例えば、コンピュータなどを含む。
【0113】
図18に示すセンサ150では、センサ部301は、人体の頭部に設置されている。センサ部301は、人体の胸部に設置されても良い。これにより、心磁測定が可能となる。例えば、センサ部301を妊婦の腹部に設置しても良い。これにより、胎児の心拍検査を行うことができる。
【0114】
被験者を含めたセンサ装置は、シールドルーム内に設置されるのが好ましい。これにより、例えば、地磁気または磁気ノイズの影響が抑制できる。
【0115】
例えば、人体の測定部位、または、センサ部301を局所的にシールドする機構を設けても良い。例えば、センサ部301にシールド機構を設けても良い。例えば、信号解析またはデータ処理において、実効的なシールドを行っても良い。
【0116】
実施形態において、基体302は、柔軟性を有しても良く、柔軟性を実質的に有しなくても良い。
図18に示す例では、基体302は、連続した膜を帽子状に加工したものである。基体302は、ネット状でも良い。これにより、例えば、良好な装着性が得られる。例えば、基体302の人体への密着性が向上する。基体302は、ヘルメット状で、硬質でも良い。
【0117】
図19は、実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
図19は、磁計の一例である。
図19に示す例では、平板状の硬質の基体305上にセンサ部301が設けられる。
【0118】
図19に示した例において、センサ部301から得られる信号の入出力は、
図18に関して説明した入出力と同様である。
図19に示した例において、センサ部301から得られる信号の処理は、
図18に関して説明した処理と同様である。
【0119】
生体から発生する磁界などの微弱な磁界を計測する装置として、SQUID (Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)センサを用いる参考例がある。この参考例においては、超伝導を用いるため、装置が大きく、消費電力も大きい。測定対象(患者)の負担が大きい。
【0120】
実施形態によれば、装置が小型にできる。消費電力を抑制できる。測定対象(患者)の負担が軽減できる。実施形態によれば、磁界検出のSN比を向上できる。感度を向上できる。
【0121】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1磁気素子と第1導電部材とを含む第1素子を含む素子部であって、
前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含み、
前記第1導電部材は、第1導電部分と第1他導電部分とを含み、前記第1導電部分から前記第1他導電部分への第2方向は、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する、
前記素子部と、
第1回路を含む制御部であって、前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と接続され、前記第1導電部材に第1電流を供給可能であり、前記第1電流は、交流成分を含み、前記第1電流の極小値は第1極性であり、前記第1電流の極大値は前記第1極性である、前記制御部と、
を備えたセンサ。
【0122】
(構成2)
前記第1電流の変化に応じて前記第1磁気素子の第1電気抵抗が変化する、構成1に記載のセンサ。
【0123】
(構成3)
前記第2方向の成分を有する第2方向磁界の変化に対する前記第1電気抵抗の変化率は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向の成分を有する第3方向磁界の変化に対する前記第1電気抵抗の変化率よりも高い、構成2に記載のセンサ。
【0124】
(構成4)
前記第2方向における前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向における前記第1磁気素子の長さよりも長い、構成1または2に記載のセンサ。
【0125】
(構成5)
前記第1電流が流れていないときに、前記第1磁性層の磁化は、前記第2方向に沿い、前記第1対向磁性層の磁化は、前記第2方向に沿う、構成1~4のいずれか1つに記載のセンサ。
【0126】
(構成6)
前記制御部は、第2回路を含み、
前記第2回路は、前記第1磁気素子に検出電流を供給可能である、構成2または3に記載のセンサ。
【0127】
(構成7)
前記制御部は、第3回路を含み、
前記第3回路は、前記第1電気抵抗の変化に対応する値を検出可能である、構成6に記載のセンサ。
【0128】
(構成8)
前記素子部は、前記第1素子を含むブリッジ回路を含み、
前記第2回路は、前記ブリッジ回路に前記検出電流を供給可能であり、
前記第3回路は、前記ブリッジ回路の第1中点の電位と、前記ブリッジ回路の第2中点の電位と、の差に対応する値を検出可能である、構成7に記載のセンサ。
【0129】
(構成9)
前記素子部は、第2素子をさらに含み、
前記第2素子は、第2磁気素子と第2導電部材とを含み、
前記第2磁気素子は、第2磁性層及び第2対向磁性層を含み、
前記第2導電部材は、第2導電部分と第2他導電部分とを含み、前記第2導電部分から前記第2他導電部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1導電部分は、前記第1回路と電気的に接続され、
前記第1他導電部分は、前記第2他導電部分と電気的に接続され、
前記第2導電部分は、前記第1回路と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第2導電部材に前記第1電流を供給可能であり、
前記第1磁気素子は、第1素子部分及び第1他素子部分を含み、前記第1素子部分は、前記第1導電部分に対応し、前記第1他素子部分は前記第1他導電部分に対応し、前記第1素子部分から前記第1他素子部分への向きは、第1向きであり、
前記第2磁気素子は、第2素子部分及び第2他素子部分を含み、前記第2素子部分は、前記第2導電部分に対応し、前記第2他素子部分は前記第2他導電部分に対応し、前記第2素子部分から前記第2他素子部分への向きは、第2向きであり、
前記検出電流は、前記第1向きに前記第1磁気素子を流れ、前記第2向きに前記第2磁気素子を流れ、
前記第1電流が前記第1導電部材を前記第1向きに流れているときに、前記第1電流は前記第2導電部材を前記第2向きの逆向きに流れる、構成7に記載のセンサ。
【0130】
(構成10)
前記素子部は、
第2素子と、
第1抵抗と、
第2抵抗と、
をさらに含み、
前記第1磁気素子は、第1素子部分及び第1他素子部分を含み、前記第1素子部分は、前記第1導電部分に対応し、前記第1他素子部分は前記第1他導電部分に対応し、前記第1素子部分から前記第1他素子部分への向きは、第1向きであり、
前記第2素子は、第2磁気素子と第2導電部材とを含み、
前記第2磁気素子は、第2磁性層及び第2対向磁性層を含み、
前記第2導電部材は、第2導電部分と第2他導電部分とを含み、前記第2導電部分から前記第2他導電部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1抵抗は、第1抵抗部分と第1他抵抗部分とを含み、前記第1抵抗部分から前記第1他抵抗部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2抵抗は、第2抵抗部分と第2他抵抗部分とを含み、前記第2抵抗部分から前記第2他抵抗部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2磁気素子は、第2素子部分及び第2他素子部分を含み、前記第2素子部分は、前記第2導電部分に対応し、前記第2他素子部分は前記第2他導電部分に対応し、前記第2素子部分から前記第2他素子部分への向きは、第2向きであり、
前記第1素子部分は前記第2回路と電気的に接続され、
前記第1他素子部分は、前記第2抵抗部分と電気的に接続され、
前記第2他抵抗部分は、前記第2回路と電気的に接続され、
前記第1抵抗部分は、前記第2回路と電気的に接続され、
前記第1他抵抗部分は、前記第2素子部分と電気的に接続され、
前記第2他素子部分は、前記第2回路と電気的に接続され、
前記検出電流は、前記第1向きに前記第1磁気素子を流れ、前記第2向きに前記第2磁気素子を流れ、
前記第1電流が前記第1導電部材を前記第1向きに流れているときに、前記第1電流は前記第2導電部材を前記第2向きに流れる、構成7に記載のセンサ。
【0131】
(構成11)
前記素子部は、
第2素子と、
第3素子と、
第4素子と、
をさらに含み、
前記第1磁気素子は、第1素子部分及び第1他素子部分を含み、前記第1素子部分は、前記第1導電部分に対応し、前記第1他素子部分は前記第1他導電部分に対応し、前記第1素子部分から前記第1他素子部分への向きは、第1向きであり、
前記第2素子は、第2磁気素子と第2導電部材とを含み、
前記第2磁気素子は、第2磁性層及び第2対向磁性層を含み、
前記第2導電部材は、第2導電部分と第2他導電部分とを含み、前記第2導電部分から前記第2他導電部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2磁気素子は、第2素子部分及び第2他素子部分を含み、前記第2素子部分は、前記第2導電部分に対応し、前記第2他素子部分は前記第2他導電部分に対応し、前記第2素子部分から前記第2他素子部分への向きは、第2向きであり、
前記第3素子は、第3磁気素子と第3導電部材とを含み、
前記第3磁気素子は、第3磁性層及び第3対向磁性層を含み、
前記第3導電部材は、第3導電部分と第3他導電部分とを含み、前記第3導電部分から前記第3他導電部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第3磁気素子は、第3素子部分及び第3他素子部分を含み、前記第3素子部分は、前記第3導電部分に対応し、前記第3他素子部分は前記第3他導電部分に対応し、前記第3素子部分から前記第3他素子部分への向きは、第3向きであり、
前記第4素子は、第4磁気素子と第4導電部材とを含み、
前記第4磁気素子は、第4磁性層及び第4対向磁性層を含み、
前記第4導電部材は、第4導電部分と第4他導電部分とを含み、前記第4導電部分から前記第4他導電部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第4磁気素子は、第4素子部分及び第4他素子部分を含み、前記第4素子部分は、前記第4導電部分に対応し、前記第4他素子部分は前記第4他導電部分に対応し、前記第4素子部分から前記第4他素子部分への向きは、第4向きであり、
前記第1素子部分は前記第2回路と電気的に接続され、
前記第1他素子部分は、前記第2素子部分と電気的に接続され、
前記第2他素子部分は、前記第2回路と電気的に接続され、
前記第3素子部は、前記第2回路と電気的に接続され、
前記第3他素子部分は、前記第4素子部分と電気的に接続され、
前記第4他素子部分は、前記第2回路と電気的に接続され、
前記検出電流は、前記第1向きに前記第1磁気素子を流れ、前記第2向きに前記第2磁気素子を流れ、前記第3向きに前記第3磁気素子を流れ、前記第4向きに前記第4磁気素子を流れ、
前記第1電流が前記第1導電部材を前記第1向きに流れているときに、前記第1電流は前記第2導電部材を前記第2向きの逆向きに流れ、前記第1電流は前記第3導電部材を前記第3向きの逆向きに流れ、前記第1電流は前記第4導電部材を前記第4向ききに流れる、構成7に記載のセンサ。
【0132】
(構成12)
前記第1電流の前記極小値の絶対値は、前記第1極性の第1電流値の絶対値よりも大きく、
前記第2方向に沿う検出対象磁界が前記第1磁気素子に印加されていない状態において、前記第1電流値を有する電流が前記第1導電部材に流れたときの前記第1磁気素子の電気抵抗は、飽和電気抵抗の0.9倍であり、
前記飽和電気抵抗は、前記第1導電部材に流れる電流が増大したときの前記第1磁気素子の電気抵抗の飽和値である、構成1~11に記載のセンサ。
【0133】
(構成13)
第1磁気素子を含む第1素子を含む素子部であって、前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含む前記素子部と、
磁界発生部を含む制御部であって、前記磁界発生部は、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第1方向と交差する交差方向に沿う第1磁界を発生可能であり、前記第1磁界は、交流磁界成分を含み、前記第1磁界の極小値は第1極性であり、前記第1磁界の極大値は前記第1極性である、前記制御部と、
を備えたセンサ。
【0134】
(構成14)
前記第1磁界の前記極小値の絶対値は、前記第1極性の第1磁界値の絶対値よりも大きく、
前記第2方向に沿う検出対象磁界が前記第1磁気素子に印加されていない状態において、前記第1磁界値を有する、前記交差方向に沿う磁界が前記第1磁気素子に印加されたときの前記第1磁気素子の電気抵抗は、飽和電気抵抗の0.9倍であり、
前記飽和電気抵抗は、前記交差方向に沿う磁界が増大したときの前記第1磁気素子の電気抵抗の飽和値である、構成13に記載のセンサ。
【0135】
(構成15)
前記第1磁界の変化に応じて前記第1磁気素子の第1電気抵抗が変化する、構成13または14に記載のセンサ。
【0136】
(構成16)
前記第1磁気素子は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層を含む、構成1~15のいずれか1つに記載のセンサ。
【0137】
(構成17)
前記第1素子は、第1絶縁部材を含み、
前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第1磁気素子と前記第1導電部材との間に設けられる、構成1~16のいずれか1つに記載のセンサ。
【0138】
(構成18)
前記第1導電部材から前記第1磁気素子への方向は、前記第1方向に沿う、構成1~17のいずれか1つに記載のセンサ。
【0139】
(構成19)
構成1~18のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから得られる出力信号を処理する処理部と、
を備えた検査装置。
【0140】
実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置が提供できる。
【0141】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、センサまたは検査装置に含まれる、磁性層、磁気素子、導電部材、制御部及び処理部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0142】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0143】
本発明の実施の形態として上述したセンサ及び検査装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのセンサ及び検査装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0144】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
10A~10D…第1~第4素子、 10U…素子部、 10V…ブリッジ回路、 11~14…第1~第4磁気素子、 11a~14a…第1~第4磁性層、 11aM~14aM…磁化、 11b~14b…第1~第4対向磁性層、 11bM~14bM…磁化、 11e~14e…第1~第4素子部分、 11f~14f…第1~第4他素子部分、 11n~14n…第1~第4非磁性層、 21~24…第1~第4導電部材、 21e~24e…第1~第4導電部分、 21f~24f…第1~第4他導電部分、 28…磁界発生部、 70…制御部、 71~73…第1~第3回路、 73o…出力部、 74…差動アンプ、 75…処理回路、 81…絶縁部材、 110~116、150、150a…センサ、 301…センサ部、 302…基体、 303…入出力コード、 305…基体、 500…診断装置、 502…制御機構、 504…信号入出力部、 506…センサ駆動部、 508…信号処理部、 510…信号解析部、 512…データ処理部、 516…画像化診断部、 600…電池システム、 610…電池、 680…検査対象、 710…検査装置、 770…処理部、 AM1…振幅、 CP1、CP2…第1、第2接続点、 D1~D3…第1~第3方向、 Dx…交差方向、 Ha…第1磁界、 Ha1…交流磁界成分、 Has…磁界強度、 Hd1…直流磁界成分、 Hmin…極小値、 Hp1…振幅、 Hs1…第1磁界値、 Ht…検出対象磁界、 Hts…規格化検出対象磁界、 Lc1、Lc2、Le1、Le2…長さ、 MR1…磁気抵抗、 SN1…感度、 i1…第1電流、 ia1…交流成分、 id…検出電流、 id1…直流成分、 ip1…振幅、 tm…時間