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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】副玩具体
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/26 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
A63H33/26 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022082663
(22)【出願日】2022-05-19
(62)【分割の表示】P 2020121739の分割
【原出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2022103394
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】浅野 真由
(72)【発明者】
【氏名】笹田 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 正祥
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-106658(JP,A)
【文献】特開2016-015986(JP,A)
【文献】特開2019-097887(JP,A)
【文献】特開2019-146784(JP,A)
【文献】ojisan sejii,“妖怪ウォッチ零式分解・修理手順・メダルパターン解析・取扱い方法”,YouTube,日本,YouTube,LLC,2015年01月09日,[2021.09.28検索]
【文献】妖怪ウォッチ専門チャンネル,“[全員召喚]最強の妖怪HERO決定戦!ミストシャドウ、ワイルドボーイ、クロックレディ、獅子王、剣豪紅丸,YouTube,日本,YouTube,LLC,2020年05月09日,pp.1-6,[2021.09.21検索]
【文献】株式会社バンダイ,“DX YSPウォッチ”,INTERNETARCHIVE waybackmachine,日本,Internet Archive,2020年06月16日,pp.1-5,[2021.09.21検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主玩具体に着脱可能な副玩具体であって、
台座部と、
前記台座部に設けられ、当該台座部に対して変位可能な変位部と、
前記変位部の変位状態に応じて、前記主玩具体に対して変位前の状態であるかを示す第1識別情報および当該主玩具体に対して変位後の状態であるかを示す第2識別情報の何れか一方の情報を当該主玩具体に送信可能な第1送信部と、
を備え、
前記1識別情報は、前記主玩具体において演出出力する第1の演出内容と関連付けられ、
前記2識別情報は、前記主玩具体において演出出力し、前記第1の演出内容とは異なる第2の演出内容と関連付けられる、副玩具体。
【請求項2】
請求項1に記載の副玩具体において、
前記台座部に設けられ、前記変位部の変位状態を判定可能な判定部をさらに備え、
前記判定部は、前記変位部が前記変位前の状態であるかおよび前記変位後の状態であるかを判定する、副玩具体。
【請求項3】
請求項2に記載の副玩具体において、
前記変位部は、前記変位前の状態に対応する第1位置から前記変位後の状態に対応する第2位置に変位可能であって、
前記第1位置から前記第2位置へ変位するように前記変位部を付勢する付勢部と、
前記台座部に設けられ、前記第1位置に前記変位部を係止する係止部と、
前記係止部の係止を解除可能に使用者に操作される操作部と、
を有する、副玩具体。
【請求項4】
請求項3に記載の副玩具体において、
前記判定部は、前記台座部に設けられ、前記変位部による押圧状態の変化によりオン状態とオフ状態と切り替え可能な押圧スイッチを含み、押圧スイッチがオン状態であるかオフ状態であるかに基づき前記変位部が前記変位前の状態であるか前記変位後の状態であるかを判定する、副玩具体。
【請求項5】
請求項4に記載の副玩具体において、
前記押圧スイッチは、前記変位部が前記第1位置に位置し該押圧スイッチを押圧した状態であることによりオン状態となり、前記変位部の前記第1位置からの変位に応じて前記変位部が前記押圧スイッチを押圧した状態の解除を検知したことに応じて前記押圧スイッチがオフ状態となるように構成され、
前記判定部は、前記押圧スイッチがオン状態であることに基づき、前記変位部が前記変位前の状態であると判定し、前記押圧スイッチがオフ状態であることに基づき、前記変位部が前記変位後の状態であると判定する、副玩具体。
【請求項6】
請求項2~5の何れか1項に記載の副玩具体において、
前記主玩具体は、
前記第1の演出内容および前記第2の演出内容を出力する演出出力部と、
電源部と、
前記副玩具体の識別情報に関連付けた演出内容を記憶する第1記憶部と、
前記電源部から供給される電力によって駆動し、前記副玩具体に質問信号を送信する第2送信部と、
前記電源部から供給される電力によって駆動し、前記第1送信部から前記第1識別情報および前記第2識別情報を受信する第1受信部と、
を有し、
前記演出出力部は、前記電源部から供給される電力によって駆動し、
前記副玩具体は、
前記第1識別情報および前記第2識別情報を記憶する第2記憶部と、
前記第2送信部からの前記質問信号を受信し、前記質問信号の受信により生じた誘導起電力により駆動される第2受信部と、
を有し、
前記第1送信部は、前記誘導起電力により駆動され、前記判定部での判定結果に基づいて、前記第2記憶部で記憶した前記第1識別情報および前記第2識別情報の何れか一方を読み出し前記第1受信部へ送信する、副玩具体。
【請求項7】
請求項6に記載の副玩具体において、
前記判定部は、前記誘導起電力により駆動される、副玩具体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出出力玩具に関し、特に、使用者が行う操作に応答して演出を出力する演出出力玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主玩具体と副玩具体とを接近させることにより演出を出力する玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、主玩具体に対し副玩具体が接近しているか離間しているかを判断し、その判断によって異なる演出を出力することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-4263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、副玩具体の形態に変化はなく、それ故、副玩具体の形態の変化に基づき異なる演出を出力することなどは記載されていないが、玩具の興趣性をさらに向上させる観点からは、副玩具体の形態の変化に応じて多様な演出を出力することが望まれる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0007】
一実施の形態における演出出力玩具は、主玩具体と前記主玩具体に着脱可能な副玩具体とを有し、前記主玩具体は、演出出力部を備え、前記副玩具体は、台座部と、前記台座部に設けられ、前記台座部に対して変位可能な変位部と、を備え、前記演出出力部は、前記変位部が変位したことに基づき前記変位部の変位状態に応じた異なる演出内容を出力するものである。また、一実施の形態における副玩具体は、主玩具体に着脱可能な副玩具体であって、台座部と、 前記台座部に設けられ、当該台座部に対して変位可能な変位部と、前記変位部の変位状態に応じて、前記主玩具体に対して変位前の状態であるかを示す第1識別情報および当該主玩具体に対して変位後の状態であるかを示す第2識別情報の何れか一方の情報を当該主玩具体に送信可能な第1送信部と、を備え、 前記1識別情報は、前記主玩具体において演出出力する第1の演出内容と関連付けられ、前記2識別情報は、前記主玩具体において演出出力し、前記第1の演出内容とは異なる第2の演出内容と関連付けられる。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、演出出力玩具の興趣性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態における演出出力玩具を示す斜視図である。
図2】実施の形態における本体および円盤体を示す斜視図である。
図3】実施の形態における演出出力玩具を示す斜視図である。
図4】実施の形態における演出出力玩具を示す斜視図である。
図5】実施の形態における演出出力玩具の内部のアンテナを示す斜視図である。
図6】実施の形態における演出出力玩具にメダルを挿入する態様を示す断面図である。
図7】実施の形態における演出出力玩具のブロック図である。
図8】実施の形態における演出出力玩具の動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は互いに直交している。本願では説明を簡単にするために、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する場合もある。
【0012】
また、X方向およびY方向から成る面は平面を成し、Z方向に垂直な平面である。本願において「平面視」と表現した場合、それは、Z方向からX方向およびY方向から成る面を見ることを意味し、Z方向と直交する面を見ることを意味する。
(実施の形態)
【0013】
本実施の形態の演出出力玩具は、腕時計型の玩具であり、様々な演出を出力することで高い興趣性を実現するものである。演出は、演出出力玩具にメダルを挿入した際、演出出力玩具の円盤体を回転させた際、または、円盤体の盤面に設けられた板状パーツを変位させた際などに出力される。その演出内容は例えば音声または光であり、メダルの種類、円盤体の回転後の位置、板状パーツの位置などによって異なり、それらの組み合わせによって多岐にわたる。このような演出を出力することにより、使用者が変身を疑似体験できる設定である。
<演出出力玩具の構成>
【0014】
以下に図1図7を用いて、実施の形態における演出出力玩具10について説明する。本実施の形態においては、図1に示すように、演出出力玩具10は、腕時計の形状を有しているものとして説明しているが、形状はどのような形状であってもよい。演出出力玩具10は、本体(主玩具体)1と、本体1に対して着脱可能な円盤体(副玩具体)2とを備えている。Y方向における本体1の一方の側面には、ベルト24が取り付けられ、Y方向における本体1の他方の側面には、ベルト25が取り付けられている。本体1は、図2で後述する円盤体2を取り付け可能な取付面9が設けられた表面と、Z方向において当該第1の面とは反対側に位置する裏面とを有している。円盤体2は、図2で後述するように本体1の表面側の取付面9に取り付けられる。
【0015】
Y方向における本体1の一方の側面には、後述するメダルをY方向から挿入可能な挿入口3が設けられている。また、図示していないが、Y方向における本体1の他方の側面には、メダルを排出可能な排出口が設けられている。本体の側面には、使用者による操作(押し込み)によりメダルを排出口から排出するためのプッシュスイッチ4が設けられている。また、挿入口3と隣接する本体1の側面には、光による演出を出力する箇所である発光部(演出出力部)5aが設けられている。
【0016】
取付面9に取り付けられた円盤体2は、本体1に対して取付面9がX方向およびY方向から成る平面において所定の位置から時計回りまたは反時計回りに回転可能であることによって、本体1に対して、X方向およびY方向から成る平面において所定の位置から時計回りまたは反時計回りに回転可能である。言い換えれば、円盤体2は回動可能であり回動軸は、Z方向に沿う。例えば、円盤体2は、所定の位置から本体1に対して90度の範囲で回転可能である。ここで、Z軸方向の平面視において円盤体2が初期位置とする所定の位置から反時計回りに回転しきった位置は第1回転位置であり、円盤部材2が時計回りに回転しきった位置は第2回転位置である。図1において、円盤部材2は第1回転位置に位置しているものとする。円盤体2の台座部6は、上面の中央部に設けられ、円盤形状である。
【0017】
平面視において、台座部6の端部には、1つの操作部7が設けられている。操作部7は、X方向およびY方向から成る平面に沿う方向において、盤面の中央に向かって押し込むことで操作可能な操作部である。操作部7は、X方向およびY方向から成る平面に沿う方向であって、盤面の中央から離れる方向に付勢されている。このため、使用者が指で操作部7を押し込んだ後、操作部7を押し込む力を弱めると、操作部7は自動的に、押し込まれる前の位置に復帰する。。
【0018】
円形の盤面には、半円形状を有する板状パーツ(変位部)8が設けられており、板状パーツ8の半円形の面は、円形の盤面の半分の領域を占めている。つまり、X方向およびY方向から成る平面に沿い、平面視で円形の盤面の中心を通る中心線を境界として、盤面は第1位置1Aと第2位置2Bとに分かれており、図1では、板状パーツ8は第1位置1Aに位置している。
【0019】
板状パーツ8は、当該中心線を軸として台座部6上で180回転可能である。言い換えれば、板状パーツ8は台座部6に対し変位可能である。つまり、板状パーツ8は、使用者の操作により、第1位置1A側または第2位置2B側に変位させる(倒す、スイングする)ことができる。すなわち、板状パーツ8は、変位前の状態に対応する第1位置1Aから、変位後の状態に対応する第2位置2Bに変位可能である。
【0020】
盤面には、平面視で当該中心線と重なる位置に、付勢部12が設けられている。付勢部12は例えばスプリングを備えて構成され、板状パーツ8は、付勢部12により、第1位置1A側から第2位置2B側に倒れる向きに変位するように付勢されている。ただし、台座部6には後述の係止部14が設けられており、板状パーツ8は、第1位置1Aにおいて当該係止部14により係止されている。係止部14は、板状パーツ8上において、平面視において当該中心線側とは反対側に突出した突出部を有している。この突出部の下面に板状パーツ8が押し当てられることで、板状パーツ8は係止される。このように、板状パーツ8は、第2位置2B側に倒れる向きに付勢されている状態で、第1位置1Aに位置している。円形の盤面の中心には、光による演出を出力する箇所である発光部(演出出力部)5bが設けられている。発光部5a、5bのそれぞれは、例えばLED(Light Emitting Diode)を備えている。
【0021】
板状パーツ8が第1位置1Aに位置している状態では、図1に示すように、盤面には所定のデザイン(ここでは、例えば「A」の文字)が表れている。
【0022】
図2には、本体1と、本体1から取り外された円盤体2とを示している。図2では、本体1は表面側が示され、円盤体2は裏面側が示されている。図2に示すように、本体1の表面上には、取付部9が設けられ、前述したように、取付部9は本体1に対してX方向およびY方向から成る平面において時計回りまたは反時計回りに回転可能である。言い換えれば、取付部9の回転軸は、Z方向に沿う。取付部9は、本体1に対して所定の位置から90度の範囲で回転可能である。
【0023】
台座部6の裏面と、取付部9の上面とは、円盤体2を本体1に取り付けた際に対向する。取付部9の上面には複数の孔部11aが設けられている。また、台座部6の裏面(被取付部)には、複数の孔部11aと対応する位置に、複数の突起部6aが設けられている。円盤体2を本体1に取り付ける際には、突起部6aが孔部11a内に嵌合し、これにより台座部6は取付部9に固定される。すなわち、取付部9を本体1に対して回転させることで、円盤体2は本体1に対して回転する。
【0024】
取付部9は、両側の側面に一対の凸部9aを有しており、凸部9a内には、磁石が内蔵されている。この磁石は、円盤体2の回転を検知するために用いられる。
【0025】
本体1の側面には、本体1の電源のオン、オフを操作するための電源スイッチ26が設けられている。
【0026】
円盤体2には複数の種類があり、本体1に対し装着する円盤部材2は他の種類の円盤体2と交換可能である。円盤体2は種類ごとに異なる識別情報を有しており、当該識別情報は、図7を用いて後述する記憶部23に記憶されている。
【0027】
図3に、使用者の操作により、円盤体2を図1に示す状態から時計回りに90度回転させた図を示す。
【0028】
図4に、板状パーツ8を第1位置1Aから第2位置2Bに変位させた図を示す。板状パーツ8は、使用者が指で操作部7を押し込むことで、付勢部12により加えられた力で第2位置2Bに変位する。言い換えれば、操作部7は、係止部14の係止を解除可能に使用者に操作される。係止部14による係止が解除されると、板状パーツ8は付勢部12により加えられた力により第2位置2B側に180度回転して倒れる。板状パーツ8が第2位置2Bに位置している状態では、図4に示すように、盤面には所定のデザイン(ここでは、例えば「B」の文字)が表れる。板状パーツ8を第2位置2Bから第1位置1Aに変位させるには、使用者が板状パーツ8を回転させ、板状パーツ8を係止部14に係止させればよい。
【0029】
図5に、本体1および円盤体2に内蔵されたアンテナ1r、2rを、本体1および円盤体2を透過させて示す。図5では、本体1および円盤体2のそれぞれの輪郭を2点鎖線で示し、本体1の内部のアンテナ1rと、円盤体2の内部のアンテナ2rのみを示している。
【0030】
図5に示すように、アンテナ1rは、平面視で略円形形状を有する本体1の外周に沿って多重にループした構造を有するコイルであり、本体1に内蔵された電子基板(図示しない)に接続されている。アンテナ2rは、平面視で略円形形状を有する円盤体2の外周に沿って多重にループした構造を有するコイルであり、円盤体2に内蔵された電子基板(図示しない)に接続されている。
【0031】
また、図示はしていないが、本体1は、音声による演出を出力する箇所である音声出力部(演出出力部)を内蔵している。音声出力部は、本体1に内蔵された電子基板に接続されている。
【0032】
図6に、メダル13を演出出力玩具10に挿入する様子を示す。メダル13の形状は、厚さの薄い円筒形である。メダル13には、アンテナコイルおよびIC(Integrated Circuit)が一体とされたタグが埋め込まれている。当該タグは電子情報を保持する情報保持媒体であり、メダル13の種類毎に、当該タグには異なる識別情報が記憶されている。
【0033】
図6では、メダル13の表面に「C」の文字デザインを表している。メダル13の表面には、例えばキャラクターのデザインを付すことが考えられる。すなわち、例えば、複数のキャラクターに対応して複数の種類のメダル13があり、キャラクター毎に、メダル13は異なる識別情報を有している。
【0034】
図5に示すアンテナ1r、2rのそれぞれは、本体1と円盤体2とメダル13との相互間において情報通信を行うための送受信部である。本体1に挿入されたメダル13は、使用者がプッシュスイッチ4を押すことにより、排出口から排出される。
【0035】
図7に、本実施の形態の演出出力玩具のブロック図を示す。本体1は、電源部15、制御回路16、記憶部17および通信部18を有している。通信部18は、制御回路16に接続された通信制御部19と、通信制御部19に接続されたアンテナ1rとを備えている。電源部15および記憶部17のそれぞれは、制御回路16に接続されている。電源部15は、例えば本体1に着脱可能な乾電池である。
【0036】
円盤体2は、台座部6に設けられたRF(Radio Frequency)タグ20を備えている。RFタグ20は、制御回路22と、制御回路22に接続された記憶部23と、制御回路22に接続されたアンテナ2rとにより構成されている。
【0037】
本体1に内蔵された通信部18と、円盤体2に内蔵されたRFタグ20とは、互いに電気的に接続されておらず、相互間の通信はアンテナ1r、2rを用いた無線通信により行われる。このため、本体1と円盤体2とを容易に着脱でき、本体1に対し円盤体2を回転させることができる。また、RFタグ20の構成要素は、本体1側の通信部18から送信された質問信号を含む電磁波により誘起された起電力により駆動される。したがって、円盤体2は電源部を必要とせず、小型かつ軽量であるため、低年齢の使用者であっても容易に扱うことができる。このように、本体1と円盤体2とは相互に無線通信を行うものであり、円盤体は電源部を要しないため、演出出力玩具10(図1参照)は低年齢の使用者であっても容易に使用可能である。
【0038】
図示はしていないが、図1図4に示す台座部6の係止部14近傍には、押圧スイッチが設けられており、当該押圧スイッチは、図7に示す制御回路22に接続されている。したがって、押圧スイッチの押圧状態の検知により、制御回路22は、板状パーツ8の変位状態を判定可能な判定部として機能する。当該押圧スイッチはオン状態とオフ状態とを有している。当該押圧スイッチは、板状パーツ8が係止部14に係止され第1位置1Aに位置しているときには押圧されてオン状態となり、板状パーツ8が第1位置1Aに位置していないときには解除されてオフ状態となる。すなわち、当該押圧スイッチは、板状パーツ8が第1位置1Aに位置し板状パーツ8が当該押圧スイッチを押圧した状態であることによりオン状態となり、板状パーツ8の第1位置1Aからの変位に応じて板状パーツ8が押圧スイッチを当該押圧した状態の解除を検知したことに応じて当該押圧スイッチがオフ状態となるように構成されている。
【0039】
すなわち、制御回路22は、板状パーツ8による押圧状態の変化によりオン状態とオフ状態と切り替え可能な当該押圧スイッチを含み、当該押圧スイッチがオン状態であるかオフ状態であるかに基づき板状パーツ8が変位前の状態であるか変位後の状態であるかを判定する判定部である。
【0040】
また、本体1には、メダル13が挿入されたことを検知するための機械的なスイッチが内蔵されている。当該スイッチは、制御回路16に接続されている。
<演出出力玩具の動作>
【0041】
次に、演出出力玩具の動作について、図8に示すフローを用いて説明する。以下の説明では、図1図7を用いて説明した各名称に符号を付して説明する。また、ここで説明する各種の演出は、例えば音声または光によるものであり、演出出力部(本体1に内蔵された音声出力部、発光部5aまたは5b)により出力される。
【0042】
演出出力玩具10を動作させる際には、まず、電源スイッチ26をオンにする。このとき、制御回路16は、演出出力部に起動時の演出を出力させてもよい。
【0043】
次に、演出出力玩具10にメダル13を挿入する(ステップS1)。これにより、本体1のメダル挿入位置に設けられたスイッチがオン状態となり、制御回路16がメダル13の挿入を検知することができる。続いて、制御回路16は通信制御部19を介してアンテナ1rから2種類の質問信号を送信する(ステップS2)。すなわち、制御回路16は、メダル13の種類に応じたメダルの識別情報を問い合わせる第1質問信号、円盤体2に設けられた板状パーツ8の位置に応じた円盤体2の識別情報(板状パーツ8が変位前の状態であることに関連付けた識別情報または板状パーツ8が変位後の状態であることに関連付けた識別情報)を問い合わせる第2質問信号を送信する。つまり、アンテナ1rは、電源部15から供給される電力によって駆動し、円盤体2およびメダル13に第1、第2質問信号を送信する送信部である。
【0044】
第1質問信号の送信により、アンテナ1rとメダル13内のタグとの間で、メダル13内のタグが保持する識別情報に係る信号の授受がなされる。これにより、制御回路16は、メダル13の種類を判定し、メダル13の種類に応じたメダル挿入時演出を演出出力部に出力させることができる。メダル13の種類に応じたメダル挿入時演出は、記憶部17に記憶されている。
【0045】
第2質問信号の送信により、アンテナ2rに誘導起電力が生じる。RFタグ20を構成するアンテナ2r、制御回路22および記憶部23のそれぞれは、当該誘導起電力により駆動される。
【0046】
送信された第2質問信号はアンテナ2rにより受信されるここで、記憶部23は、板状パーツ8が変位前の状態である(第1位置1Aに位置する)ことに関連付けた識別情報である第1識別情報と、板状パーツ8が変位後の状態である(第1位置1Aに位置しない)ことに関連付けた識別情報である第2識別情報とを記憶している。そして、制御回路22は、上記押圧スイッチがオン状態であることに基づき、板状パーツ8が変位前の状態であると判定し、あるいは、上記押圧スイッチがオフ状態であることに基づき、板状パーツ8が変位後の状態であると判定する。
【0047】
制御回路22は、これらの判定結果に基づいて、記憶部23で記憶した第1識別情報および第2識別情報の何れか一方を読み出し、アンテナ2rを用いてアンテナ1rへ送信する。
【0048】
アンテナ1rは、電源部15から供給される電力によって駆動し、円盤体2から送信された識別情報を受信する。すなわち、アンテナ1rは、質問信号の送信および識別情報の受信を行う送受信部である。制御回路16は、演出出力部に、アンテナ1rで受信した第1識別情報に関連付けて記憶部17で記憶した第1演出内容を出力させる。ここで、本体1に内蔵された音声出力部および発光部5aは、本体1の電源部15により駆動するのに対し、発光部5bは、上記誘導起電力により駆動される。つまり、発光部5bを発光させる演出を行う際には、第2質問信号をアンテナ2rにより受信することでアンテナ2rに発光部5bを駆動可能な誘導起電力が発生し、制御回路22は、記憶部23から読み出した円盤体2に係る識別情報に基づいて発光演出を出力するよう制御命令を出す。このことは、以下で説明する他の演出を出力する場合でも同様である。
【0049】
上記第1演出内容は、例えば待機演出である。ただし、上記第1演出内容は、待機演出の他に、待機演出の出力前に出力される変身前演出(変身準備演出)を含んでいてもよい。ここでは、例として、第1演出内容として変身前演出を出力し(ステップS3)、その後、待機演出を出力する(ステップS4)。
【0050】
上記のように、制御回路22が第1識別情報を受け取った場合には第1演出内容が出力されるが、板状パーツ8が変位後の状態である(第1位置1Aに位置しない)ことで、制御回路22が第1識別情報ではなく第2識別情報を受け取った場合には、第1演出内容は出力されない。その場合は、例えば、第1演出内容、後述の第2演出内容および第3演出内容とは異なる演出が出力される。すなわち、第1識別情報に関連付けた第1演出内容が出力される前に第2識別情報を受け取った場合には、第2識別情報に関連付けた後述の第2演出内容は出力されない。
【0051】
なお、ステップS3およびステップS4による第1演出内容の出力は、例えば、ステップS2でメダルを挿入した後、使用者が円盤体2を図1に示す第1回転位置から図3に示す第2回転位置に回転させることを条件として行ってもよい。この場合、円盤体2が第1回転位置から第2回転位置に回転したと制御回路16が判定した後に、第1演出内容を演出出力部が出力する。つまり、メダル挿入時演出の後に続けて第1演出内容を出力するのではなく、円盤体2の回転を待ってから第1演出内容を出力する。円盤体2が第1回転位置から第2回転位置に回転したかどうかは、図2に示す取付部9に設けられた凸部9a内の磁石による磁力を、本体1に設けられた磁力センサにより検出することで判断できる。
【0052】
次に、制御回路16は、待機演出出力中の所定の時間内に、板状パーツ8が第1位置から第2位置に変位したかどうかを判定する(ステップS5)。ここでは、使用者が操作部7を操作する(押す)ことにより、板状パーツ8は図3に示す第1位置1Aから図4に示す第2位置2Bに変位する。板状パーツ8が第1位置1Aから変位することにより、台座部6上に設けられた板状パーツ8による押圧状態を変化可能な押圧スイッチは押圧された状態から解除され、押圧スイッチはオフ状態となる。押圧スイッチに接続された制御回路22は、使用者による操作に応じて板状パーツ8が変位し、板状パーツ8が変位後の状態であると判定する。この判定に基づき、記憶部23で記憶した第2識別情報を読み出して、アンテナ2rを介してアンテナ1rへ送信する。
【0053】
ステップS5において、待機演出出力を開始した後、所定の時間内に制御回路16が第2識別情報を受け取り、これに基づいて板状パーツ8が第1位置から第2位置に変位したと判定した場合には、制御回路16は、演出出力部に第2演出内容を出力させる(ステップS6)。第2演出内容は、アンテナ1rで受信した第2識別情報に関連付けて記憶部17で記憶したものであり、第1演出内容とは異なる。第2演出内容は例えば変身演出であり、この演出の出力により、使用者は演出出力玩具を用いた変身を疑似体験できる。
【0054】
制御回路16が第2演出内容を出力させる判断をする条件として、上記のように待機演出出力を開始した後、所定の時間内に制御回路16が第2識別情報を受け取ることを規定しているが、この所定の時間とは、例えば待機演出の出力中の時間、つまり、待機演出の出力開始から終了までの時間である。
【0055】
当該所定の時間内に制御回路16が第2識別情報を受け取らなかった場合、つまり、使用者が操作部7を操作せず、板状パーツ8が第1位置1Aから変位しなかった場合には、当該所定の時間の終了後であって、かつ、待機演出の出力終了後に、制御回路16は、演出出力部に第3演出内容を出力させる(ステップS7)。第3演出内容は、第1演出内容および第2演出内容のいずれとも異なるものである。第3演出内容は、例えば、使用者に変身の失敗を知らせる音声、または、変身のための操作を再度行うことを促す音声を出力するものである。
【0056】
その後、使用者が、板状パーツ8を操作して第2位置2Bから第1位置1Aに変位させ、円盤体2を第1回転位置に戻した後、円盤体2を第1回転位置から第2回転位置に回転させることで、演出出力玩具10の動作はステップS4に戻ることができる。
<本実施の形態の効果>
【0057】
上記のように、本実施の形態の演出出力玩具10は、板状パーツ8が変位したことに基づき、板状パーツ8の変位状態に応じた異なる演出内容を出力することで、高い興趣性を実現するものである。
【0058】
すなわち、メダル13の種類および円盤体2の回転位置のみでなく、円盤体2の少なくとも一部の変位状態(少なくとも一部が変位しているか否かによる円盤体2の形態の変化)によっても演出内容を変更することができる。言い換えると、演出出力玩具10は、円盤体2の外観の変化に基づいて演出出力玩具10から出力する演出内容を変化することができる。
【0059】
なお、第2演出内容は1種類のみではなく、例えば、メダル13の種類若しくは円盤体2の種類またはそれら両方との組み合わせにより複数用意されていてもよい。つまり、メダル13の種類若しくは円盤体2の種類またはそれら両方との組み合わせにより多様な演出を出力することができる。
【0060】
また、板状パーツ8の変位を判定するための押圧スイッチを、板状パーツ8が第2位置2Bに位置する際に押圧されるものとして配置することが考えられる。本実施の形態においては、板状パーツ8が第1位置1Aに位置しているとき、板状パーツ8は係止部14により係止されているのに対し、板状パーツ8が第2位置2Bに位置しているとき、板状パーツ8は係止されていない。このため、本体1が移動することなどにより板状パーツ8が第2位置2Bから変位し易い。よって、押圧スイッチが、板状パーツ8が第2位置2Bに位置する際に押圧されるものである場合、板状パーツ8が第2位置2Bから変位し易いため、板状パーツ8が第1位置1Aから第2位置2Bに変位したか否かの判定において誤動作が生じる虞がある。
【0061】
これに対し、本実施の形態の押圧スイッチは、板状パーツ8が係止部14により係止される第1位置1Aに位置しているときに押圧されるため、係止部14を解除しない限り板状パーツ8は変位しないため、誤動作を防ぐことができる。また、押圧スイッチは、板状パーツ8が係止部14により係止される第1位置1Aに位置しているときに押圧されるため、使用者が操作部7を操作して係止部14を解除した直後に板状パーツ8が変位したことを判定可能であるから、操作部7を操作して係止部14を解除してから第2演出内容の出力を迅速に行うことができる。すなわち、操作と演出の出力との間の時間差を縮小でき、円盤体2の形態変化に基づいて反応良く演出を変化させることが可能になる。
【0062】
以上、本願の発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本願の発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 本体
2 円盤体
3 挿入口
6 台座部
7 操作部
8 板状パーツ
10 演出出力玩具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8