(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】情報処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
H04N 19/85 20140101AFI20250108BHJP
G06T 9/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
H04N19/85
G06T9/00
(21)【出願番号】P 2022501808
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2021004515
(87)【国際公開番号】W WO2021166707
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2020028089
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】名雲 武文
(72)【発明者】
【氏名】北村 卓也
【審査官】岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/124248(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/028121(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0285626(US,A1)
【文献】Sam W. Hutchings et al.,A Reconfigurable 3-D-Stacked SPAD Imager With In-Pixel Histogramming for Flash LIDAR or High-Speed T,IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS,IEEE,2019年11月,VOL. 54, NO. 11,pp.2947-2956
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 - 19/98
G06T 9/00 - 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データの
i信号のビット深度とq信号のビット深度とを互いに独立に補正するビット深度補正部と、
前記ビット深度が補正された
前記i信号と前記q信号とを互いに独立に符号化し、
前記i信号の符号化データと前記q信号の符号化データとをそれぞれ生成する符号化部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記ビット深度補正部は、入出力特性を示す所定の曲線であるガンマカーブを用いて、前記中間データの
前記i信号のビット深度と前記q信号のビット深度とを補正する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ビット深度補正部は、後段処理で必要な演算精度に基づいて設計されたガンマカーブを用いて、前記中間データの
前記i信号のビット深度と前記q信号のビット深度とを補正する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ビット深度補正部は、前記演算精度を満たすように設定された最小量子化値の逆数を積分することにより導出されるガンマカーブを用いて、前記中間データの
前記i信号のビット深度と前記q信号のビット深度とを補正する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記符号化データを記憶する記憶部をさらに備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ビット深度補正部
により前記i信号のビット深度と前記q信号のビット深度とが補正された前記中間データに対して、データの線形性を必要としない信号処理を行う信号処理部をさらに備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記符号化データを復号し、前記中間データを生成する復号部をさらに備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記復号部により生成された前記中間データの前記i信号のビット深度と前記q信号のビット深度とを逆補正する逆ビット深度補正部をさらに備える
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データのi信号のビット深度とq信号のビット深度とを互いに独立に補正し、
前記ビット深度が補正された前記i信号と前記q信号とを互いに独立に符号化し、前記i信号の符号化データと前記q信号の符号化データとをそれぞれ生成する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および方法に関し、特に、センシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができるようにした情報処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を撮像する際に、被写体までの距離を測定してデプスデータを生成し、撮像画像とともに、そのデプスデータを活用する方法が考えられた(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】安富啓太, 川人祥二, "技術解説 Time-of-Flight カメラ", 映像情報メディア学会誌, 2016年 70巻 11号 P.880-885, 2016年8月29日受付
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人間が見て楽しむビューイング(Viewing)用の画像データと異なり、センシング用のデータは大きなダイナミックレンジを必要とすることが多く、データを表現するためにビット深度の大きいデータフォーマットを利用する事が多い。この大きなビット深度のため、センシング用データの伝送や、ノイズリダクション処理などでメモリ量、伝送コスト、または演算コスト等が増大するおそれがあった。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、センシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一側面の情報処理装置は、間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データのi信号のビット深度とq信号のビット深度とを互いに独立に補正するビット深度補正部と、前記ビット深度が補正された前記i信号と前記q信号とを互いに独立に符号化し、前記i信号の符号化データと前記q信号の符号化データとをそれぞれ生成する符号化部とを備える画像処理装置である。
【0007】
本技術の一側面の情報処理方法は、間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データのi信号のビット深度とq信号のビット深度とを互いに独立に補正し、前記ビット深度が補正された前記i信号と前記q信号とを互いに独立に符号化し、前記i信号の符号化データと前記q信号の符号化データとをそれぞれ生成する画像処理方法である。
【0008】
本技術の一側面の情報処理装置および方法においては、間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データのi信号のビット深度とq信号のビット深度とが互いに独立に補正され、そのビット深度が補正されたi信号とq信号とが互いに独立に符号化され、そのi信号の符号化データとq信号の符号化データとがそれぞれ生成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】間接ToF方式の測距の様子の例を説明する図である。
【
図2】間接ToF方式の測距の様子の例を説明する図である。
【
図3】間接ToF方式の測距の様子の例を説明する図である。
【
図4】測距装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図5】符号化部の主な構成例を示すブロック図である。
【
図6】復号部の主な構成例を示すブロック図である。
【
図8】ガンマカーブの設計について説明する図である。
【
図9】ガンマカーブの設計について説明する図である。
【
図10】ガンマカーブの設計について説明する図である。
【
図11】ガンマカーブの設計について説明する図である。
【
図12】測距処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図13】i信号処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図14】i信号符号化処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図15】i信号復号処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図16】測距装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図17】符号化部の主な構成例を示すブロック図である。
【
図18】ジョイント符号化部の主な構成例を示すブロック図である。
【
図19】ビット割り当ての例について説明する図である。
【
図20】復号部の主な構成例を示すブロック図である。
【
図21】測距処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図22】iq信号処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図23】iq信号符号化処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図24】ジョイント符号化処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図25】iq信号復号処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図26】測距システムの主な構成例を示すブロック図である。
【
図27】測距処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図28】測距装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図29】測距処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図30】コンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【
図31】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図32】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.ToF
2.第1の実施の形態(測距装置)
3.第2の実施の形態(測距装置)
4.第3の実施の形態(測距システム)
5.第4の実施の形態(測距装置)
6.コンピュータ
7.移動体への応用例
8.本技術の適用対象
9.その他
【0011】
<1.ToF>
従来、例えば、非特許文献1に記載のように、被写体を撮像する際に、被写体までの距離を測定してデプスデータを生成し、撮像画像とともに、そのデプスデータを活用する方法が考えられた。そして、その測距の方法として様々な方法が提案された。
【0012】
例えば、
図1に示されるように、発光源1から被写体3に向けて光を照射し、その反射光が測距センサ2において受光されるまでの時間を測定し、その時間に基づいて被写体3までの距離を導出するToF(Time-of-Flight)が考えられた。また、そのToF方式として、直接ToF方式と間接ToF方式が考えられた。
【0013】
直接ToF方式の場合、TDC(Time-to-Digital Converter)が用いられるため、多画素化が困難であった。間接ToF方式の場合、画素内にTDC等の時間算出回路が不要であり、画素内の素子数の増大を抑制することができる。そのため、多画素化を容易に実現することができる。
【0014】
間接ToF方式の場合、光源に同期した時間窓(クロック)を用いて、フォトダイオードで発生した光電荷をロックインピクセルによって変調する。このとき、時間情報が信号量に反映されるため、飛行時間を導出することができる。
【0015】
間接ToF方式で用いられる変調方式には、例えば、連続波変調とパルス波変調とがある。連続波変調の様子の例を
図2に示す。
図2に示されるグラフにおいて、正弦波11が発射光(Emitted)を示し、正弦波12が反射光(Reccived)を示している。
図2に示されるように、連続波変調の場合、4つの時間窓を用いてロックイン検出を行うことで、発射光と反射光との位相差を導出することができる。ここで用いるロックイン検出とは、光源と同期した短い電子シャッタによって、同じ位相の信号を複数回蓄積する動作を示す。正弦波で変調した場合、位相差φ
TOFは、4つの時間窓TW1,TW2,TW3,TW4で蓄積した信号A
0,A
1,A
2,A
3を用いて、以下の式(1)のように、導出される。
【0016】
【0017】
変調周波数fmは既知であるため、以下の式(2)を用いて位相(φTOF)から時間(tTOF)に換算することができる。
【0018】
【0019】
なお、受光した光には光源以外の直流成分、すなわち、背景光成分が含まれているが、上述の式(1)の演算によりその背景光成分はキャンセルされる。したがって、センサが飽和しない範囲においては、背景光の影響を受けずに距離が推定可能である。
【0020】
これに対してパルス波変調の様子の例を
図3に示す。パルス波変調の場合、TW1,TW2により蓄積された信号をA
0,A
1とすると、飛行時間t
TOFは以下の式(3)のように導出される。
【0021】
【0022】
TDは排出窓で、余分な背景光は排出される。時間窓TWの数を3つ以上にすることで、背景光成分のみを知ることができ、背景光の影響を受けずに距離が推定可能となる。パルス波変調では、光源のデューティー比を高くとることで、背景光に対してロバストな撮像を実現することができる。
【0023】
しかしながら、人間が見て楽しむビューイング(Viewing)用の画像データと異なり、センシング用のデータは大きなダイナミックレンジを必要とすることが多く、データを表現するためにビット深度の大きいデータフォーマットを利用する事が多い。この大きなビット深度のため、センシング用データの伝送や、ノイズリダクション処理などでメモリ量、伝送コスト、または演算コスト等が増大するおそれがあった。
【0024】
一般にセンシング用のデータは、広いダイナミックレンジを必要とするものの、必要な精度は均一ではない。例えば、近接のdepthデータであれば、mm単位の精度が必要とされるが、数10mの距離であれば、cm単位の精度で十分である。このような事例は、センシングデータの中間データや中間処理に関しても同様の傾向がある事が多い。
【0025】
そこで、間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データのビット深度を補正するようにする。例えば、間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データのビット深度を補正し、そのビット深度が補正された中間データを符号化し、符号化データを生成するようにする。
【0026】
このようにすることにより、センシングデータ(中間データ)のデータ量の増大を抑制することができる。したがって、そのセンシングデータ(中間データ)の処理の負荷の増大を抑制することができる。例えば、そのセンシングデータ(中間データ)を用いた演算、記憶、伝送等の負荷の増大を抑制することができる。
【0027】
<2.第1の実施の形態>
<測距装置>
図4は、本技術を適用した情報処理装置の一態様である測距装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示される測距装置100は、間接TOF方式により被写体までの距離を測定する装置である。なお、
図4においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、
図4に示されるものが全てとは限らない。つまり、この測距装置100において、
図4においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、
図4において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0028】
図4に示されるように、測距装置100は、センサ101、i信号生成部102、信号処理部103、符号化部104、フレームメモリ105、復号部106、q信号生成部107、信号処理部108、符号化部109、フレームメモリ110、復号部111、位相差検出部112、デプス算出部113、符号化部114、および符号化部115を有する。
【0029】
センサ101は、図示せぬ光源から被写体に照射された照射光に対応する、被写体からの光(反射光)を検出するセンサである。センサ101は、例えば
図2や
図3を参照して説明したような間接TOF方式に対応し、4つの時間窓TW1乃至TW4において蓄積した信号A
0乃至A
3をセンシングデータとして出力する。センサ101は、時間窓TW1において蓄積した信号A
0と、時間窓TW3において蓄積した信号A
2とを、センシングデータとして、i信号生成部102に供給する。また、センサ101は、時間窓TW2において蓄積した信号A
1と、時間窓TW4において蓄積した信号A
3とを、センシングデータとして、q信号生成部107に供給する。
【0030】
i信号生成部102は、センサ101において得られるセンシングデータの中間データであるi信号の生成に関する処理を行う。例えば、i信号生成部102は、センサ101から供給される信号A0および信号A2を取得する。また、i信号生成部102は、それらの信号の差分(A2-A0)を算出することにより、i信号を導出する。さらに、i信号生成部102は、導出したi信号を信号処理部103に供給する。
【0031】
信号処理部103は、i信号に対する信号処理に関する処理を行う。例えば、信号処理部103は、i信号生成部102から供給されるi信号を取得する。また、信号処理部103は、そのi信号に対する信号処理を行う。この信号処理の内容は任意である。信号処理部103は、複数の信号処理を行ってもよいし、同一の信号処理を複数回行ってもよい。もちろん、信号処理を省略することもできる。
【0032】
信号処理部103は、必要に応じて、信号処理対象であるi信号をフレームメモリ105に記憶させる。その際、信号処理部103は、i信号を、符号化部104に供給して符号化させ、符号化データとしてフレームメモリ105に記憶させる。
【0033】
また、信号処理部103は、必要に応じて、フレームメモリ105に記憶されているi信号を読み出す。その際、信号処理部103は、フレームメモリ105から読み出された符号化データが復号部106において復号されて得られた、i信号を取得する。
【0034】
なお、このフレームメモリ105への書き込みや読み出しは、任意のタイミングにおいて行われてもよい。例えば、この書き込みや読み出しが、信号処理部103による信号処理の前に行われてもよいし、後に行われてもよいし、途中で行われてもよい。また、この書き込みや読み出しが複数回繰り返されてもよい。例えば、信号処理の前、途中、後のそれぞれにおいてこの書き込みや読み出しが行われるようにしてもよい。
【0035】
さらに、信号処理部103は、適宜信号処理が行われたi信号を位相差検出部112に供給する。なお、信号処理部103は、i信号を符号化部114に供給することもできる。
【0036】
符号化部104は、i信号の符号化に関する処理を行う。例えば、符号化部104は、信号処理部103から供給されるi信号を符号化し、その符号化データを生成する。そして、符号化部104は、生成したi信号の符号化データをフレームメモリ105に供給する。つまり、符号化部104は、フレームメモリ105に記憶させるi信号の符号化に関する処理を行う。
【0037】
このように、符号化部104がi信号を符号化することにより、フレームメモリ105に記憶させるi信号のデータ量の増大を抑制することができる。つまり、フレームメモリ105の負荷(i信号の記憶に用いられる記憶容量)の増大を抑制することができ、フレームメモリ105の利用効率を向上させることができる。換言するに、フレームメモリ105として必要な記憶容量の増大を抑制することができ、フレームメモリ105の製造コストや消費電力の増大を抑制することができる。また、i信号(符号化データ)をフレームメモリ105に書き込む処理時間(所謂書き込み時間)や、i信号(符号化データ)をフレームメモリ105から読み出す処理時間(所謂読み出し時間)の増大を抑制することができ、信号処理部103の処理時間の増大を抑制することができる。
【0038】
フレームメモリ105は、例えば半導体メモリ等、任意の記憶媒体を有し、i信号の記憶に関する処理を行う。例えば、フレームメモリ105は、符号化部104から供給されるi信号の符号化データを取得し、その記憶媒体に記憶する。また、フレームメモリ105は、その記憶媒体に記憶されているi信号(符号化データ)を読み出し、復号部106に供給する。つまり、フレームメモリ105は、信号処理部103の信号処理の対象(i信号)を記憶する。なお、この記憶媒体はどのようなものであってもよく、例えばフラッシュメモリやハードディスクであってもよいし、着脱可能なリムーバブルメディアであってもよい。
【0039】
復号部106は、i信号の符号化データの復号に関する処理を行う。例えば、復号部106は、フレームメモリ105から供給される符号化データを復号し、i信号を生成する。そして、復号部106は、生成したi信号を信号処理部103に供給する。つまり、復号部106は、フレームメモリ105に記憶させるi信号の復号に関する処理を行う。
【0040】
このようにすることにより、信号処理部103は、フレームメモリ105から読み出したi信号を、符号化されていないプレーンの状態で信号処理することができる。つまり、信号処理部103による信号処理の対象(i信号)を、上述したように符号化して記憶させることができる。したがって、信号処理部103の信号処理の対象(i信号)を記憶するフレームメモリ105について、上述したような効果を得ることができる。
【0041】
q信号生成部107は、センサ101において得られるセンシングデータの中間データであるq信号の生成に関する処理を行う。例えば、q信号生成部107は、センサ101から供給される信号A1および信号A3を取得する。また、q信号生成部107は、それらの信号の差分(A3-A1)を算出することにより、q信号を導出する。さらに、q信号生成部107は、導出したq信号を信号処理部108に供給する。
【0042】
信号処理部108、符号化部109、フレームメモリ110、および復号部111は、それぞれ、信号処理部103、符号化部104、フレームメモリ105、および復号部106と同様の構成を有し、同様の処理を行い、同様の効果を得ることができる。ただし、信号処理部108乃至復号部111の各処理部は、i信号の代わりにq信号を処理の対象とする。つまり、信号処理部108は、q信号に対する信号処理に関する処理を行う。符号化部109は、フレームメモリ110に記憶させるq信号の符号化に関する処理を行う。フレームメモリ110は、信号処理部108の信号処理の対象(q信号)を記憶する。復号部111は、フレームメモリ110に記憶させるq信号の復号に関する処理を行う。
【0043】
位相差検出部112は、発光信号と受信信号との位相差の検出に関する処理を行う。例えば、位相差検出部112は、信号処理部103から供給されるi信号を取得する。また、位相差検出部112は、信号処理部108から供給されるq信号を取得する。さらに、位相差検出部112は、取得したi信号とq信号とを用いて上述した式(1)の演算を行い、発光信号と受信信号との位相差φTOFを算出する。
【0044】
位相差検出部112は、その算出した位相差φTOFを測距装置100の外部に出力することができる。例えば、位相差検出部112は、画素毎や部分領域毎にその位相差φTOFを算出し、その位相差φTOFのマップ情報として測距装置100の外部に出力することができる。例えば、位相差検出部112は、その位相差φTOFのマップ情報を信頼性のマップ情報(Confidence map)として測距装置100の外部に出力することができる。
【0045】
また、位相差検出部112は、その算出した位相差φTOFをデプス算出部113に供給することができる。
【0046】
デプス(Depth)算出部113は、デプス値の算出に関する処理を行う。例えば、デプス算出部113は、位相差検出部112から供給される、発光信号と受信信号との位相差φTOFを取得することができる。また、デプス算出部113は、その取得した位相差φTOFを用いて、以下の式(4)の演算を行うことにより、被写体までの距離(すなわちデプス値)dを推定することができる。
【0047】
【0048】
さらに、デプス算出部113は、以上のように算出したデプス値dを測距装置100の外部に出力することができる。例えば、デプス算出部113は、以上のようなデプス値dを画素毎または部分領域毎に算出し、マップ情報(デプス画像)として測距装置100の外部に出力することができる。
【0049】
符号化部114は、符号化部104と同様に、i信号の符号化に関する処理を行う。つまり、符号化部114は、符号化部104と同様の構成を有し、同様の処理を行う。すなわち、符号化部114は、信号処理部103から供給されるi信号を符号化し、その符号化データを生成する。ただし、符号化部114は、生成したi信号の符号化データを測距装置100の外部に出力する。つまり、符号化部114は、測距装置100の外部に出力させるi信号の符号化に関する処理を行う。
【0050】
換言するに、測距装置100は、中間データであるi信号を出力することができる。そして、符号化部114がi信号を符号化することにより、測距装置100は、そのi信号を符号化して出力することができる。このようにすることにより、出力されたi信号の伝送に使用される伝送帯域や、出力されたi信号の記憶に必要な記憶容量の増大を抑制することができる。したがってコストの増大を抑制することができる。
【0051】
符号化部115は、符号化部114と同様の構成を有し、同様の処理を行い、同様の効果を得ることができる。ただし、符号化部115は、i信号の代わりにq信号を処理の対象とする。つまり、符号化部115は、信号処理部108から供給されるq信号を符号化し、その符号化データを生成する。そして、符号化部115は、その生成したq信号の符号化データを測距装置100の外部に出力する。すなわち、符号化部115は、測距装置100の外部に出力させるq信号の符号化に関する処理を行う。
【0052】
換言するに、測距装置100は、中間データであるq信号を出力することができる。そして、符号化部115がq信号を符号化することにより、測距装置100は、そのq信号を符号化して出力することができる。このようにすることにより、出力されたq信号の伝送に使用される伝送帯域や、出力されたq信号の記憶に必要な記憶容量の増大を抑制することができる。したがってコストの増大を抑制することができる。
【0053】
なお、測距装置100においては、i信号とq信号とが互いに独立に処理される。この限りにおいて、測距装置100の構成は任意であり、上述した例に限定されない。例えば、i信号生成部102およびq信号生成部107を一体化し、1つの信号生成部としてもよい。また、信号処理部103および信号処理部108を一体化し、1つの信号処理部としてもよい。さらに、符号化部104および符号化部109を一体化し、1つの符号化部としてもよい。また、フレームメモリ105およびフレームメモリ110を一体化し、1つのフレームメモリとしてもよい。さらに、復号部106および復号部111を一体化し、1つの復号部111としてもよい。
【0054】
このように、i信号を処理する処理部とq信号を処理する処理部とを一体化する場合においても、i信号とq信号は互いに独立に処理されるものとする。例えば、時分割により、i信号とq信号とを互いに独立に処理するようにしてもよいし、2系統の入出力を備えるようにしてもよい。
【0055】
なお、測距装置100のこれらの処理部(センサ101乃至符号化部115)は、それぞれ、任意の構成を有する。例えば、各処理部が、上述の処理を実現する論理回路により構成されるようにしてもよい。また、各処理部が、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有し、それらを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を実現するようにしてもよい。もちろん、各処理部が、その両方の構成を有し、上述の処理の一部を論理回路により実現し、他を、プログラムを実行することにより実現するようにしてもよい。各処理部の構成は互いに独立していてもよく、例えば、一部の処理部が上述の処理の一部を論理回路により実現し、他の一部の処理部がプログラムを実行することにより上述の処理を実現し、さらに他の処理部が論理回路とプログラムの実行の両方により上述の処理を実現するようにしてもよい。
【0056】
<符号化部>
図5は、
図4の符号化部104の主な構成例を示すブロック図である。なお、
図5においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、
図5に示されるものが全てとは限らない。つまり、この符号化部104において、
図5においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、
図5において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0057】
図5に示されるように、符号化部104は、センシングガンマ補正部131および符号化部132を有する。
【0058】
センシングガンマ補正部131は、入力データのビット深度の補正に関する処理を行う。例えば、センシングガンマ補正部131は、符号化部104の外部(例えば信号処理部103)からの入力データとして、センシングデータの中間データであるi信号を取得する。また、センシングガンマ補正部131は、そのi信号のビット深度を補正する。その際、センシングガンマ補正部131は、入出力特性を示す所定の曲線であるガンマカーブを用いて、i信号のビット深度を補正する(ガンマ補正を行う)。例えば、センシングガンマ補正部131は、そのガンマカーブに応じた圧縮率でi信号のビット深度を削減する。さらに、センシングガンマ補正部131は、ビット深度補正後(ガンマ補正後)のi信号を符号化部132に供給する。
【0059】
符号化部132は、i信号の符号化に関する処理を行う。例えば、符号化部132は、センシングガンマ補正部131から供給されるガンマ補正後のi信号を取得し、それを符号化して符号化データを生成する。この符号化方法は任意である。例えば、既存の画像符号化方式を利用してもよい。符号化部132は、生成したi信号の符号化データを符号化部104の外部(例えばフレームメモリ105)に供給する。
【0060】
このように、センシングガンマ補正部131がi信号のビット深度を削減するように補正するので、符号化部104は、センシングデータ(の中間データであるi信号)の符号化効率の低減を抑制することができる。したがって、測距装置100は、上述したようにセンシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができる。
【0061】
なお、符号化部109も、この符号化部104と同様の構成を有する。つまり、
図5に示される構成例は、符号化部109にも適用することができる。ただし、符号化部109の場合、処理対象はq信号である。
【0062】
また、符号化部114も、この符号化部104と同様の構成を有する。つまり、
図5に示される構成例は、符号化部114にも適用することができる。ただし、符号化部114の場合、符号化部132により生成されたi信号の符号化データは、測距装置100の外部に出力される。
【0063】
さらに、符号化部115も、この符号化部104と同様の構成を有する。つまり、
図5に示される構成例は、符号化部115にも適用することができる。ただし、符号化部115の場合、処理対象はq信号であり、符号化部132により生成されたq信号の符号化データは、測距装置100の外部に出力される。
【0064】
つまり、上述したように、測距装置100の場合、i信号およびq信号は互いに独立に処理される。換言するに、センシングガンマ補正部131は、i信号のビット深度とq信号のビット深度とを、互いに独立に補正することができる。また、符号化部132は、そのビット深度が補正されたi信号とq信号とを、互いに独立に符号化し、i信号の符号化データとq信号の符号化データとをそれぞれ生成することができる。
【0065】
<復号部>
図6は、
図4の復号部106の主な構成例を示すブロック図である。なお、
図6においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、
図6に示されるものが全てとは限らない。つまり、この復号部106において、
図6においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、
図6において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0066】
図6に示されるように、復号部106は、復号部151およびセンシング逆ガンマ補正部152を有する。
【0067】
復号部151は、i信号の符号化データの復号に関する処理を行う。例えば、復号部151は、復号部106の外部(例えばフレームメモリ105)から読み出されたi信号の符号化データを取得する。また、復号部151は、その符号化データを復号し、i信号(逆ガンマ補正前の再構成データ)を生成する。この復号方法は、符号化部132が適用する符号化方法に対応するものであれば任意である。例えば、既存の画像復号方式を利用してもよい。つまり、復号部151は、符号化部132の逆処理を行う。さらに、復号部151は、生成したi信号(逆ガンマ補正前の再構成データ)をセンシング逆ガンマ補正部152に供給する。
【0068】
センシング逆ガンマ補正部152は、i信号のビット深度の逆補正に関する処理を行う。例えば、センシング逆ガンマ補正部152は、復号部151から供給されるi信号(逆ガンマ補正前の再構成データ)を取得する。また、センシング逆ガンマ補正部152は、そのi信号(逆ガンマ補正前の再構成データ)のビット深度を逆補正する。その際、センシング逆ガンマ補正部152は、入出力特性を示す所定の曲線である逆ガンマカーブを用いて、i信号のビット深度を逆補正する(逆ガンマ補正を行う)。
【0069】
この逆ガンマカーブは、センシングガンマ補正部131が用いるガンマカーブの逆関数である。つまり、この逆ガンマ補正は、センシングガンマ補正部131がガンマ補正の逆処理である。例えば、センシング逆ガンマ補正部152は、その逆ガンマカーブに応じた伸張率で、ガンマカーブに応じた圧縮率で削減されたi信号のビット深度を復元する。つまり、削減前のビット深度に戻す。
【0070】
さらに、センシング逆ガンマ補正部152は、そのビット深度を復元したi信号(再構成データ)を復号部106の外部(例えば信号処理部103)に供給する。
【0071】
このように、センシング逆ガンマ補正部152がi信号のビット深度を復元するように補正するので、復号部106は、センシングデータ(の中間データであるi信号)を元のビット深度に戻すことができる。つまり、復号部106は、センシングデータ(の中間データであるi信号)の符号化効率の低減を抑制することができる。したがって、測距装置100は、上述したようにセンシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができる。
【0072】
なお、復号部111も、この復号部106と同様の構成を有する。つまり、
図6に示される構成例は、復号部111にも適用することができる。ただし、復号部111の場合、処理対象はq信号である。
【0073】
つまり、上述したように、測距装置100の場合、i信号およびq信号は互いに独立に処理される。換言するに、復号部151は、i信号の符号化データとq信号の符号化データとを、互いに独立に復号し、i信号とq信号をそれぞれ生成することができる。また、センシング逆ガンマ補正部152は、そのi信号のビット深度とq信号のビット深度とを、互いに独立に逆補正する(つまり、元のビット深度に戻す)ことができる。
【0074】
<ガンマカーブと逆ガンマカーブ>
上述したガンマカーブと逆ガンマカーブの例を
図7に示す。
図7に示されるガンマカーブ161と逆ガンマカーブ162は、互いに逆関数である。つまり、センシングガンマ補正部131によるビット深度の補正と、センシング逆ガンマ補正部152によるビット深度の逆補正は、可逆な処理であり、互いに逆処理である。つまり、i信号やq信号に対して、この補正および逆補正を行うことにより、元の信号値に戻すことができる。
【0075】
このガンマカーブおよび逆ガンマカーブは、後段処理で必要な演算精度に基づいて設計されるようにしてもよい。つまり、センシングガンマ補正部131が、後段処理で必要な演算精度に基づいて設計されたガンマカーブを用いて、i信号やq信号のビット深度を補正するようにしてもよい。また、センシング逆ガンマ補正部152が、後段処理で必要な演算精度に基づいて設計された逆ガンマカーブを用いて、i信号やq信号のビット深度を逆補正するようにしてもよい。
【0076】
<信号特性>
ここで、ガンマカーブの算出方法に先立ち、間接ToF方式(iToF)の奥行信号(デプスデータ)の生成に起因する必要データ精度の説明を行う。上述したとおり、iToFでは、i信号やq信号を用いたarctanを利用して、発光信号と受信信号との位相差を検出し、その位相信号を奥行情報(デプスデータ)に変換する。
【0077】
ここで、同じ奥行距離を持ちながら、異なるi,qを持つ2つの信号を考える。
図8に示されるグラフにおいて、L2ノルムが小さく原点に近い信号をAとし、L2ノルムが大きく原点から遠い信号をBとする。ここで、信号Aと信号Bに何らかのノイズが重畳され、それぞれiの値が1小さくなったと仮定する(図中水平方向の矢印)。信号Aおよび信号Bのノイズ重畳前の位相差は角度171で表される。ノイズ重畳により、信号Bの位相差は角度172に対応し、信号Aの位相差は角度173に対応する。つまり、それぞれのノイズ重畳後の値を見るとわかるように、iToFではL2ノルムの小さい画素値は、劣化に敏感であり、L2ノルムが大きくなるにつれ、劣化の影響が小さくなる。
【0078】
この例によりi信号およびq信号で必要とされるデータの精度は、i信号およびq信号が持つ値の絶対値により変化し、絶対値の値が小さい場合には高精度が要求され、絶対値が大きい場合には低い精度でも問題がないことが分かる。そのため、絶対値の大小にかかわらず均一な精度でデータを保持することは、データ保持する上で冗長な精度を持つことになり、コスト増の要因となる。
【0079】
換言するに、センシングガンマ補正部131が、上述したようにガンマカーブを用いてi信号やq信号のビット深度を補正(削減)し、センシング逆ガンマ補正部152が、上述したように逆ガンマカーブを用いてi信号やq信号のビット深度を逆補正(復元)することにより、この冗長性の増大を抑制することができる。つまり、コストの増大を抑制することができる。
【0080】
<ガンマカーブの設計>
次に、以上のようなガンマカーブの設計方法について説明する。例えば、
図9のグラフに示されるように、センサ出力の差分により生成されたi信号の信号値をiとし、q信号の信号値をqとし、それらの信号値を用いて導出される発光信号と受信信号の位相差をφとすると以下の式(5)が成り立つ。
【0081】
【0082】
この式(5)から以下の式(6)が成り立つので、iに要求される精度は、以下の式(7)のように算出することができる。
【0083】
【0084】
上述の式(5)、式(7)、および以下の式(8)から、iに要求される精度は、以下の式(9)のように算出することができる。
【0085】
【0086】
同様の演算により、qの精度も以下の式(10)のように算出することができる。
【0087】
【0088】
これらより、フェーズφを、精度を一定に保つ場合のi, qへ適用可能な量子化値(quanti, quantq)は、その絶対値を以下の式(11)や式(12)のようにスケールすることにより求めることができる。
【0089】
【0090】
以上のように導出した量子化値を用いてガンマカーブを導出する。式(11)や式(12)で示される量子化値(quanti, quantq)は、iを固定した場合、q=iの時に最小値を取る。そのため、最小量子化値min_quan(x)は、i, qともに以下の式(13)を用いて算出される。
【0091】
【0092】
求めるガンマカーブを上述の式で量子化できるカーブと設計する。
図10に示される曲線181のように、求めたいガンマカーブの傾きは、最小量子化値の逆数より算出できる。
【0093】
図11に示される曲線182のように、このガンマカーブの傾き、すなわち、最小量子化値の逆数を積分することで、iToFのi信号およびq信号に最適なガンマカーブを算出することができる。算出されたガンマカーブがy=xの直線以下になれば、ガンマカーブによるデータ量の圧縮が可能となる。なお、最小量子化値のパラメータであるAは、求めたい精度、達成したい圧縮率により調整するためのパラメータとなる。
【0094】
この例では、iToF信号の処理に必要なi,qの精度(=量子化値)を基に最適なガンマカーブ算出方法を説明したが、この算出方法はこの例に限定されない。例えばシステム要件等により最小量子化値を設定することで、任意のセンシングシステムに本手法を適用することが可能となる。
【0095】
<測距処理の流れ>
次に、測距装置100により実行される処理について説明する。最初に、測距装置100が測距する際の測距処理の流れの例を、
図12のフローチャートを参照して説明する。
【0096】
測距処理が開始されると、測距装置100のセンサ101は、ステップS101において、各時間窓で蓄積した信号(例えば、信号A0乃至A3)を検出する。
【0097】
ステップS102において、i信号生成部102は、ステップS101において検出された信号を用いてi信号を生成する(例えばA2-A0)。ステップS103において、q信号生成部107は、ステップS101において検出された信号を用いてq信号を生成する(例えばA3-A1)。
【0098】
ステップS104において、信号処理部103乃至復号部106は、i信号処理を実行し、ステップS102において生成されたi信号を信号処理する。ステップS105において、信号処理部108乃至復号部111は、q信号処理を実行し、ステップS103において生成されたq信号を信号処理する。
【0099】
ステップS106において、位相差検出部112は、ステップS104において適宜信号処理が行われたi信号と、ステップS105において適宜信号処理が行われたq信号とを用いて、発光信号と受信信号の位相差を検出する。
【0100】
ステップS107において、位相差検出部112は、ステップS106において検出された位相差を基にコンフィデンスマップを生成し、測距装置100の外部に出力する。なお、コンフィデンスマップの出力は省略することができる。その場合、この処理は省略することができる。
【0101】
ステップS108において、デプス算出部113は、ステップS106において検出された位相差を用いてデプス値を算出する。ステップS109において、デプス算出部113は、そのデプス値をデプスデータとして測距装置100の外部に出力する。なお、デプスデータの出力は省略することができる。その場合、これらの処理は省略することができる。
【0102】
ステップS110において、符号化部114は、i信号符号化処理を実行し、i信号の符号化データを生成する。また、ステップS111において、符号化部115は、q信号符号化処理を実行し、q信号の符号化データを生成する。さらに、ステップS112において、符号化部114は、ステップS110において生成したi信号の符号化データを測距装置100の外部に出力する。同様に、ステップS113において、符号化部115は、ステップS111において生成したq信号の符号化データを測距装置100の外部に出力する。なお、i信号やq信号の符号化データの出力は省略することができる。その場合、これらの処理は省略することができる。
【0103】
ステップS113の処理が終了すると、測距処理が終了する。
【0104】
<i信号処理の流れ>
次に、
図13のフローチャートを参照して、
図12のステップS104において実行されるi信号処理の流れの例を説明する。i信号処理が開始されると、信号処理部103は、ステップS131においてi信号を記憶するか否かを判定する。i信号を記憶すると判定された場合、処理はステップS132に進む。ステップS132において、符号化部104は、i信号符号化処理を実行し、i信号を符号化して符号化データを生成する。ステップS133において、フレームメモリ105は、ステップS132において生成されたi信号の符号化データを記憶する。ステップS133の処理が終了すると処理はステップS134に進む。また、ステップS131においてi信号を記憶しないと判定された場合、処理はステップS134に進む。
【0105】
ステップS134において、信号処理部103は、i信号を読み出すか否かを判定する。i信号を読み出すと判定された場合、処理はステップS135に進む。ステップS135において、フレームメモリ105は、要求されたi信号の符号化データを読み出す。ステップS136において、復号部106は、i信号復号処理を実行し、i信号の符号化データを復号してi信号を生成する。ステップS136の処理が終了すると処理はステップS137に進む。また、ステップS134においてi信号を読み出さないと判定された場合、処理はステップS137に進む。
【0106】
ステップS137において、信号処理部103は、i信号に対して信号処理を行うか否かを判定する。信号処理を行うと判定された場合、処理はステップS138に進む。ステップS138において、信号処理部103は、i信号を信号処理する。ステップS138の処理が終了すると処理はステップS139に進む。また、ステップS137において、信号処理を行わないと判定された場合、処理はステップS139に進む。
【0107】
ステップS139において、信号処理部103は、信号処理を終了するか否かを判定する。未処理のデータや未実行の信号処理が存在する等して、信号処理を終了しないと判定された場合、処理はステップS131に戻り、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS139において、全ての処理を行う等して、信号処理を終了すると判定された場合、処理はステップS140に進む。
【0108】
ステップS140において、信号処理部103は、信号処理を適宜行ったi信号を位相差検出部112に供給する。ステップS140の処理が終了するとi信号処理が終了し、処理は、
図12に戻る。
【0109】
なお、このi信号処理において、ステップS131乃至ステップS133の処理群と、ステップS134乃至ステップS136の処理群と、ステップS137およびステップS138の処理群との処理順は任意であり、
図13の例に限定されない。例えば、ステップS137およびステップS138の処理を行ってから、ステップS131乃至ステップS133の処理や、ステップS134乃至ステップS136の処理を行うようにしてもよい。また、その他の順でもよい。つまり、i信号の書き込みや読み出しは、信号処理の任意のタイミングにおいて行うことができる。
【0110】
<i信号符号化処理の流れ>
次に、
図14のフローチャートを参照して、
図13のステップS132等において実行されるi信号符号化処理の流れの例を説明する。
【0111】
i信号符号化処理が開始されると、符号化部104のセンシングガンマ補正部131は、ステップS161において、上述のように設計されたガンマカーブを用いてi信号のビット深度をガンマ補正する。
【0112】
ステップS162において、符号化部132は、ステップS161においてガンマ補正されたi信号を符号化し、i信号の符号化データを生成する。ステップS162の処理が終了すると、i信号符号化処理が終了し、処理は
図13に戻る。
【0113】
<i信号復号処理の流れ>
次に、
図13のステップS136等において実行されるi信号復号処理の流れの例を、
図15のフローチャートを参照して説明する。
【0114】
i信号復号処理が開始されると、復号部106の復号部151は、ステップS181において、i信号の符号化データを復号し、逆ガンマ補正前のi信号を生成する。
【0115】
ステップS182において、センシング逆ガンマ補正部152は、ステップS181において生成されたi信号のビット深度を、上述のように設計された逆ガンマカーブを用いて逆ガンマ補正し、ガンマ補正前のi信号を復元する。ステップS182の処理が終了するとi信号復号処理が終了し、処理は
図13に戻る。
【0116】
以上のように各処理を実行することにより、測距装置100は、センシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができる。
【0117】
なお、
図12の測距処理のステップS110において符号化部114により実行されるi信号符号化処理は、
図14のフローチャートを参照して説明したi信号符号化処理と同様の流れで行うことができる。つまり、
図14のフローチャートを参照した説明は、このステップS110のi信号符号化処理にも適用することができる。
【0118】
また、
図12の測距処理のステップS105において信号処理部108乃至復号部111により実行されるq信号処理は、
図13のフローチャートを参照して説明したi信号処理と同様の流れで行うことができる。つまり、
図13のフローチャートを参照した説明は、このステップS105のq信号処理にも適用することができる。
【0119】
ただし、この場合、i信号の代わりにq信号が処理対象とされる。また、このq信号処理の場合、ステップS132において、i信号符号化処理の代わりに、q信号を符号化するq信号符号化処理が実行される。このq信号符号化処理は、
図14のフローチャートを参照して説明したi信号符号化処理と同様の流れで行うことができる。つまり、
図14のフローチャートを参照した説明は、このq信号符号化処理にも適用することができる。ただし、この場合、i信号の代わりにq信号が処理対象とされる。同様に、q信号処理の場合、ステップS136において、i信号復号処理の代わりに、q信号の符号化データを復号するq信号復号処理が実行される。このq信号復号処理は、
図15のフローチャートを参照して説明したi信号復号処理と同様の流れで行うことができる。つまり、
図15のフローチャートを参照した説明は、このq信号復号処理にも適用することができる。ただし、この場合、i信号の代わりにq信号が処理対象とされる。
【0120】
また、
図12の測距処理のステップS111において符号化部115により実行されるq信号符号化処理は、上述したq信号処理のステップS132において実行されるq信号符号化処理と同様の流れで行うことができる。つまり、
図14のフローチャートを参照した説明は、このステップS111のq信号符号化処理にも適用することができる。ただし、この場合、i信号の代わりにq信号が処理対象とされる。
【0121】
<3.第2の実施の形態>
<測距装置>
第1の実施の形態においては、センシングデータの中間データであるi信号とq信号とを互いに独立に処理するように説明したが、これに限らず、センシングデータの中間データを、i信号とq信号の両方を含む多次元ベクトルデータとして処理するようにしてもよい。つまり、i信号とq信号とを1つの信号にまとめて処理するようにしてもよい。
【0122】
図16は、本技術を適用した情報処理装置の一態様である測距装置の構成の一例を示すブロック図である。
図16に示される測距装置200は、測距装置100と同様に、間接TOF方式により被写体までの距離を測定する装置である。ただし、測距装置200の場合、上述のように、センシングデータの中間データが、i信号とq信号の両方を含む多次元ベクトルデータとして処理される。
【0123】
なお、
図16においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、
図16に示されるものが全てとは限らない。つまり、この測距装置200において、
図16においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、
図16において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0124】
図16に示されるように、測距装置200は、基本的に測距装置100と同様の構成を有する。ただし、測距装置200は、符号化部104乃至復号部106、並びに、符号化部109乃至復号部111の代わりに、符号化部201、フレームメモリ202、および復号部203を有する。
【0125】
さらに、測距装置200は、符号化部114および符号化部115の代わりに、符号化部204を有する。
【0126】
符号化部201は、i信号およびq信号の符号化に関する処理を行う。例えば、符号化部201は、信号処理部103から供給されるi信号と、信号処理部108から供給されるq信号とを取得する。また、符号化部201は、それらの信号を含む多次元ベクトルデータを符号化し、符号化データを生成する。そして、符号化部201は、生成した符号化データ(i信号およびq信号に対応する符号化データ)をフレームメモリ202に供給する。つまり、符号化部201は、フレームメモリ202に記憶させるi信号およびq信号を含む多次元ベクトルデータの符号化に関する処理を行う。
【0127】
したがって、符号化部201は、符号化部104や符号化部109と同様の効果を得ることができる。
【0128】
フレームメモリ202は、フレームメモリ105やフレームメモリ110と同様の記憶媒体を有し、i信号およびq信号の記憶に関する処理を行う。例えば、フレームメモリ202は、符号化部201から供給される符号化データを取得し、その記憶媒体に記憶する。また、フレームメモリ202は、その記憶媒体に記憶されている符号化データを読み出し、復号部203に供給する。つまり、フレームメモリ202は、信号処理部103および信号処理部108の信号処理の対象(i信号およびq信号)を記憶する。なお、この記憶媒体はどのようなものであってもよく、例えばフラッシュメモリやハードディスクであってもよいし、着脱可能なリムーバブルメディアであってもよい。
【0129】
したがって、フレームメモリ202は、フレームメモリ105やフレームメモリ110と同様の効果を得ることができる。
【0130】
復号部203は、i信号およびq信号の符号化データの復号に関する処理を行う。例えば、復号部203は、フレームメモリ202から供給される、i信号およびq信号を含む多次元ベクトルデータの符号化データを復号し、i信号およびq信号を生成する。そして、復号部203は、生成したi信号を信号処理部103に供給し、生成したq信号を信号処理部108に供給する。つまり、復号部203は、フレームメモリ202に記憶させるi信号およびq信号を含む多次元ベクトルデータの復号に関する処理を行う。
【0131】
したがって、復号部203は、復号部106や復号部111と同様の効果を得ることができる。
【0132】
符号化部204は、符号化部201と同様に、i信号およびq信号の符号化に関する処理を行う。つまり、符号化部204は、符号化部201と同様の構成を有し、同様の処理を行う。すなわち、符号化部204は、信号処理部103から供給されるi信号と、信号処理部108から供給されるq信号とを含む多次元ベクトルデータを符号化し、その符号化データを生成する。ただし、符号化部204は、生成した符号化データを測距装置200の外部に出力する。つまり、符号化部204は、測距装置200の外部に出力させるi信号およびq信号を含む多次元ベクトルデータの符号化に関する処理を行う。
【0133】
したがって、符号化部204は、符号化部114や符号化部115と同様の効果を得ることができる。
【0134】
つまり、測距装置200は、センシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができる。
【0135】
なお、測距装置200のこれらの処理部は、それぞれ、任意の構成を有する。例えば、各処理部が、上述の処理を実現する論理回路により構成されるようにしてもよい。また、各処理部が、例えばCPU、ROM、RAM等を有し、それらを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を実現するようにしてもよい。もちろん、各処理部が、その両方の構成を有し、上述の処理の一部を論理回路により実現し、他を、プログラムを実行することにより実現するようにしてもよい。各処理部の構成は互いに独立していてもよく、例えば、一部の処理部が上述の処理の一部を論理回路により実現し、他の一部の処理部がプログラムを実行することにより上述の処理を実現し、さらに他の処理部が論理回路とプログラムの実行の両方により上述の処理を実現するようにしてもよい。
【0136】
<符号化部>
図17は、符号化部201の主な構成例を示すブロック図である。なお、
図17においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、
図17に示されるものが全てとは限らない。つまり、この符号化部201において、
図17においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、
図17において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0137】
図17に示されるように、符号化部201は、ブロック分割部221、ブロック分割部222、ジョイント符号化部223、およびバッファ224を有する。
【0138】
ブロック分割部221は、信号処理部103から供給されるi信号を取得し、所定のブロック単位に分割し、ジョイント符号化部223に供給する。つまり、i信号は、このブロック分割部221により、ジョイント符号化部223への入力サイズに合わせて分割される。ブロック分割部222は、信号処理部108から供給されるq信号を取得し、所定のブロック単位に分割し、ジョイント符号化部223に供給する。つまり、q信号は、このブロック分割部222により、ジョイント符号化部223への入力サイズに合わせて分割される。
【0139】
ジョイント符号化部223は、ブロック単位で供給されるi信号およびq信号の符号化に関する処理を行う。例えば、ジョイント符号化部223は、ブロック分割部221から供給されるブロック単位のi信号を取得する。また、ジョイント符号化部223は、ブロック分割部222から供給されるブロック単位のq信号を取得する。さらに、ジョイント符号化部223は、トータルビット量(i信号とq信号の合計ビット量)を指定する情報を取得する。
【0140】
そして、ジョイント符号化部223は、その取得したブロック状のi信号およびq信号を、外部より指定されたトータルビット量に合わせるように符号化し、1本のビットストリーム(符号化データ)を生成する。ジョイント符号化部223は、生成した符号化データをバッファ224に供給する。
【0141】
バッファ224は、ジョイント符号化部223から供給される符号化データを一時的に保持し、ビットレートを平滑化させて出力する。なお、例えば、ジョイント符号化部223が、ビットレートが指定されたトータルビット量に正確に一致するように符号化データを生成することができる場合、このバッファ224は、省略してもよい。
【0142】
なお、符号化部204も、この符号化部201と同様の構成を有する。つまり、
図17に示される構成例は、符号化部204にも適用することができる。ただし、符号化部204の場合、バッファ224から出力される符号化データは、測距装置200の外部に出力される。
【0143】
<ジョイント符号化部>
図18は、ジョイント符号化部223の主な構成例を示すブロック図である。なお、
図18においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、
図18に示されるものが全てとは限らない。つまり、このジョイント符号化部223において、
図18においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、
図18において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0144】
図18に示されるように、ジョイント符号化部223は、許容誤差量算出部241、ベース量子化量算出部242、許容誤差量算出部243、ベース量子化量算出部244、ターゲットビット量決定部245、およびiq符号化部246を有する。
【0145】
許容誤差量算出部241は、供給されるi信号に対し、許容される誤差量(許容誤差量とも称する)を算出する。許容誤差量算出部241は、算出したi信号の許容誤差量をベース量子化量算出部242に供給する。
【0146】
ベース量子化量算出部242は、供給される許容誤差量に基づいて、各画素のベース量子化量を算出する。例えば、ベース量子化量算出部242は、以下の式(14)のように、floor関数を用いて許容誤差量を所定の値以下を切り捨てることにより、ベース量子化量base q stepを算出する。
【0147】
base q setep = floor(log2 許容誤差量)
・・・(14)
【0148】
ベース量子化量算出部242は、算出したi信号についてのベース量子化量をターゲットビット量決定部245に供給する。
【0149】
許容誤差量算出部243は、供給されるq信号に対し、許容誤差量算出部241と同様の処理を行う。ベース量子化量算出部244は、ベース量子化量算出部242と同様の処理を行い、q信号についてのベース量子化量を算出し、ターゲットビット量決定部245に供給する。
【0150】
ターゲットビット量決定部245は、このように供給されたi信号およびq信号のそれぞれについてのベース量子化量と、外部から指定されるトータルビット量とに基づいて、ターゲットビット量として、i信号の割り当てビット量と、q信号の割り当てビット量とを決定する。ターゲットビット量決定部245は、決定した、i信号の割り当てビット量を示す情報と、q信号の割り当てビット量を示す情報とを、iq符号化部246に供給する。
【0151】
例えば、ターゲットビット量決定部245は、
図19に示されるように、i信号およびq信号のそれぞれの有効ビット深度vdを算出する。例えば、以下の式(15)および式(16)を用いて有効ビット深度vdを算出する。
【0152】
【0153】
iq符号化部246は、ジョイント符号化部223に供給される、ブロック毎のi信号およびq信号をそれぞれ取得する。また、iq符号化部246は、ターゲットビット量決定部245により決定されたi信号の割り当てビット量およびq信号の割り当てビット量、並びに、外部から指定されるトータルビット量に基づいて、i信号とq信号のビット深度をそれぞれ補正し、それらを結合して1つのデータとして符号化し、符号化データを生成する。iq符号化部246は、生成した符号化データをバッファ224に供給する。
【0154】
このiq符号化部246の構成は任意である。例えば、iq符号化部246が、符号化部104(
図5)と同様の構成を有するようにしてもよい。その場合、符号化の処理対象となるセンシングデータの中間データをi信号とq信号の両方を含む多次元ベクトルデータとする。つまり、センシングガンマ補正部131は、i信号とq信号の両方を含む多次元ベクトルデータのビット深度を補正し、符号化部132は、そのビット深度が補正された多次元ベクトルデータを符号化し、符号化データを生成する。その際のビット深度の補正は、上述のように、ターゲットビット量決定部245により決定されたi信号の割り当てビット量およびq信号の割り当てビット量、並びに、外部から指定されるトータルビット量に基づいて行う。
【0155】
<復号部>
図20は、復号部203の主な構成例を示すブロック図である。なお、
図20においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、
図20に示されるものが全てとは限らない。つまり、この復号部203において、
図20においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、
図20において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0156】
図20に示されるように、復号部203は、バッファ281、ジョイント復号部282、ブロック結合部283、およびブロック結合部284を有する。
【0157】
バッファ281は、フレームメモリ202から読み出された符号化データを保持し、ビットレートを平滑化してジョイント復号部282に供給する。なお、符号化データのビットレートが平滑化されて復号部203に供給される場合、このバッファ281を省略してもよい。
【0158】
ジョイント復号部282は、符号化データを復号し、その復号データから、外部から指定されるトータルビット量や、i信号の割り当てビット量やq信号の割り当てビット量等に基づいて、ブロック毎のi信号とq信号を抽出する。ジョイント復号部282は、抽出したi信号をブロック結合部283に供給する。また、ジョイント復号部282は、抽出したq信号をブロック結合部284に供給する。
【0159】
ブロック結合部283は、供給されたブロック毎のi信号を結合し、結合したi信号を信号処理部103に供給する。また、ブロック結合部284は、供給されたブロック毎のq信号を結合し、結合したq信号を信号処理部108に供給する。
【0160】
つまり、復号部203は、符号化部201の逆処理を行う。
【0161】
<測距処理の流れ>
測距装置200により実行される測距処理の流れの例を、
図21のフローチャートを参照して説明する。測距処理が開始されると、ステップS201乃至ステップS203の各処理は、
図12のステップS101乃至ステップS103の各処理と同様に実行される。
【0162】
ステップS204において、信号処理部103、信号処理部108、並びに、符号化部201乃至復号部203は、iq信号処理を実行し、ステップS202において生成されたi信号と、ステップS203において生成されたq信号との両方を信号処理する。
【0163】
ステップS205乃至ステップS208の各処理は、
図12のステップS106乃至ステップS109の各処理と同様に実行される。
【0164】
ステップS209において、符号化部204は、iq信号符号化処理を実行し、i信号およびq信号の両方を含む多次元ベクトルデータの符号化データを生成する。そして、ステップS210において、符号化部204は、ステップS209において生成した符号化データを測距装置200の外部に出力する。なお、この符号化データの出力は省略することができる。その場合、これらの処理は省略することができる。
【0165】
ステップS210の処理が終了すると、測距処理が終了する。
【0166】
<iq信号処理の流れ>
次に、
図22のフローチャートを参照して、
図21のステップS204において実行されるiq信号処理の流れの例を説明する。iq信号処理が開始されると、信号処理部103および信号処理部108は、ステップS231においてi信号およびq信号を記憶するか否かを判定する。i信号およびq信号を記憶すると判定された場合、処理はステップS232に進む。ステップS232において、符号化部201は、iq信号符号化処理を実行し、i信号およびq信号を符号化して符号化データを生成する。ステップS233において、フレームメモリ202は、ステップS232において生成されたi信号およびq信号の両方を含む多次元ベクトルデータの符号化データを記憶する。ステップS233の処理が終了すると処理はステップS234に進む。また、ステップS231においてi信号およびq信号を記憶しないと判定された場合、処理はステップS234に進む。
【0167】
ステップS234において、信号処理部103および信号処理部108は、i信号およびq信号を読み出すか否かを判定する。i信号およびq信号を読み出すと判定された場合、処理はステップS235に進む。ステップS235において、フレームメモリ202は、要求されたi信号およびq信号の両方を含む多次元ベクトルデータの符号化データを読み出す。ステップS236において、復号部203は、iq信号復号処理を実行し、その符号化データを復号してi信号およびq信号を生成する。ステップS236の処理が終了すると処理はステップS237に進む。また、ステップS234においてi信号およびq信号を読み出さないと判定された場合、処理はステップS237に進む。
【0168】
ステップS237において、信号処理部103および信号処理部108は、i信号およびq信号に対して信号処理を行うか否かを判定する。信号処理を行うと判定された場合、処理はステップS238に進む。ステップS238において、信号処理部103は、i信号を信号処理する。ステップS239において、信号処理部108は、q信号を信号処理する。ステップS239の処理が終了すると処理はステップS240に進む。また、ステップS237において、信号処理を行わないと判定された場合、処理はステップS240に進む。
【0169】
ステップS240において、信号処理部103および信号処理部108は、信号処理を終了するか否かを判定する。未処理のデータや未実行の信号処理が存在する等して、信号処理を終了しないと判定された場合、処理はステップS231に戻り、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS240において、全ての処理を行う等して、信号処理を終了すると判定された場合、処理はステップS241に進む。
【0170】
ステップS241において、信号処理部103は、信号処理を適宜行ったi信号を位相差検出部112に供給し、信号処理部108は、信号処理を適宜行ったq信号を位相差検出部112に供給する。ステップS241の処理が終了するとiq信号処理が終了し、処理は、
図21に戻る。
【0171】
なお、このiq信号処理において、ステップS231乃至ステップS233の処理群と、ステップS234乃至ステップS236の処理群と、ステップS237乃至ステップS239の処理群との処理順は任意であり、
図22の例に限定されない。例えば、ステップS237乃至ステップS239の処理を行ってから、ステップS231乃至ステップS233の処理や、ステップS234乃至ステップS236の処理を行うようにしてもよい。また、その他の順でもよい。つまり、i信号およびq信号の書き込みや読み出しは、信号処理の任意のタイミングにおいて行うことができる。
【0172】
<iq信号符号化処理の流れ>
次に、
図23のフローチャートを参照して、
図22のステップS232等において実行されるiq信号符号化処理の流れの例を説明する。
【0173】
iq信号符号化処理が開始されると、符号化部201のブロック分割部221は、ステップS261において、i信号をブロック単位に分割する。ステップS262において、ブロック分割部222は、q信号をブロック単位に分割する。
【0174】
ステップS263において、ジョイント符号化部223は、ジョイント符号化処理を実行し、指定されたトータルビット量に基づいて、i信号およびq信号をジョイント符号化し、i信号およびq信号の両方を含む多次元ベクトルデータの符号化データを生成する。
【0175】
ステップS264において、バッファ224は、ステップS263において生成された符号化データを保持する。ステップS265において、バッファ224は、その符号化データを、ビットレートが平滑化するように読み出し、測距装置200の外部に出力する。ステップS265の処理が終了すると、iq信号符号化処理が終了し、処理は
図22に戻る。
【0176】
<ジョイント符号化処理の流れ>
次に、
図24のフローチャートを参照して、
図23のステップS263において実行されるジョイント符号化処理の流れの例を説明する。
【0177】
ジョイント符号化処理が開始されると、許容誤差量算出部241は、ステップS281において、i信号の許容誤差量を算出する。ステップS282において、許容誤差量算出部243は、q信号の許容誤差量を算出する。
【0178】
ステップS283において、ベース量子化量算出部242は、i信号のベース量子化量を算出する。ステップS284において、ベース量子化量算出部244は、q信号のベース量子化量を算出する。ステップS285において、ターゲットビット量決定部245は、i信号およびq信号のそれぞれの割り当てビット量(有効ビット深度)を算出する。
【0179】
ステップS286において、iq符号化部246は、それらの情報に基づいて、i信号およびq信号を符号化し、i信号およびq信号の両方を含む多次元ベクトルデータの符号化データを生成する。ステップS286の処理が終了すると、iq信号符号化処理が終了し、処理は
図23に戻る。
【0180】
<iq信号復号処理の流れ>
次に、
図22のステップS236等において実行されるiq信号復号処理の流れの例を、
図25のフローチャートを参照して説明する。
【0181】
iq信号復号処理が開始されると、復号部203のバッファ281は、ステップS301において、供給された符号化データを保持する。ステップS302において、バッファ281は、ビットレートが平滑化するように、その符号化データを読み出す。
【0182】
ステップS303において、ジョイント復号部282は、その符号化データをジョイント復号し、ブロック単位のi信号と、ブロック単位のq信号を生成する。
【0183】
ステップS304において、ブロック結合部283は、ステップS303において生成されたブロック単位のi信号を結合する。ステップS305において、ブロック結合部284は、ステップS303において生成されたブロック単位のq信号を結合する。
【0184】
以上のようにしてi信号とq信号を生成すると、iq信号復号処理が終了し、処理は
図22に戻る。
【0185】
以上のように各処理を実行することにより、測距装置200は、センシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができる。
【0186】
<4.第3の実施の形態>
<測距システム>
以上においては、符号化の際に、ビット深度の補正を行い、復号の際にその逆処理(ビット深度の逆補正)を行うように説明したが、これに限らず、例えば復号の際の逆処理(ビット深度の逆補正)を省略することもできる。
【0187】
図26は、本技術を適用した情報処理システムの一態様である測距システムの構成の一例を示すブロック図である。
図26に示される測距システム400は、間接TOF方式により被写体までの距離が測定され、その測定結果に基づいて処理が行われるシステムである。
【0188】
なお、
図26においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、
図26に示されるものが全てとは限らない。つまり、この測距システム400において、
図26においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、
図26において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0189】
図26に示されるように、測距システム400は、測距装置401および検出装置402を有する。測距装置401は、測距装置100や測距装置200と同様に、間接TOF方式により被写体までの距離を測定する装置である。測距装置401は、その測距結果(例えばデプスデータ等)を検出装置402に供給する。検出装置402は、その測距結果に基づいて、所望の被写体を検出する装置である。検出装置402は、その検出結果を含む検出データを出力する。なお、検出装置402は、この被写体の検出に関する学習(例えば機械学習)を行い、その学習結果に基づいて処理を行う。
【0190】
測距装置401は、センサ411、信号処理部412、ビット深度補正部413、および符号化部414を有する。センサ411は、センサ101、i信号生成部102、およびq信号生成部107と同様のセンサであり、同様の処理を行い、センシングデータの中間データであるi信号とq信号を生成する。信号処理部412は、信号処理部103および信号処理部108と同様の処理部であり、同様の処理を行い、i信号およびq信号を互いに独立に信号処理する。
【0191】
ビット深度補正部413は、センシングガンマ補正部131と同様の処理部であり、同様の処理を行って、i信号およびq信号のビット深度を補正する。なお、ビット深度補正部413は、i信号とq信号を互いに独立に処理してもよいし、i信号およびq信号の両方を含む多次元ベクトルデータとして処理してもよい。
【0192】
符号化部414は、符号化部132と同様の処理部であり、同様の処理を行って、i信号およびq信号を符号化し、その符号化データを生成する。なお、符号化部414は、i信号とq信号を互いに独立に処理してもよいし、i信号およびq信号の両方を含む多次元ベクトルデータとして処理してもよい。
【0193】
符号化部414により生成された符号化データは、検出装置402に供給される。
【0194】
検出装置402は、復号部421、検出部422、および学習部423を有する。復号部421は、測距装置401から供給された符号化データを復号し、ビット深度の逆補正が行われる前のi信号およびq信号を生成し、検出部422に供給する。
【0195】
検出部422は、学習部423から供給される学習結果に基づいて、そのビット深度の逆補正が行われる前のi信号およびq信号を用いて所望の被写体を検出し、その検出結果を含む検出データを出力する。
【0196】
学習部423は、ビット深度の逆補正が行われる前のi信号およびq信号から所望の被写体を検出するための学習を行う。例えば、学習部423は、ビット深度の逆補正が行われる前のi信号およびq信号、検出結果、並びに、学習用正解データ等を取得し、それらのデータに基づいて被写体検出の学習を行う。そして、学習部423は、その学習結果を検出部422に供給する。
【0197】
上述したように、検出部422がその学習結果に基づいて検出を行う。このように学習結果を利用する場合、例えばガンマカーブの様に補正器前後で値が一意に決定されるのでれば、逆補正前の信号を用いて機械学習を行うことにより、逆補正前の信号からの検出も可能である。つまり、ビット深度の逆補正が不要になり、負荷の増大を抑制することができる。
【0198】
なお、学習を事前に行う場合、学習部423は省略することができる。
【0199】
また、ビット深度補正部413による、符号化の際のi信号やq信号のビット深度の補正を、学習結果を用いて行うようにしてもよい。例えば、
図26において、学習部423により導出される学習結果を、ビット深度補正部413にフィードバックしてもよい。例えば、学習部423が、この符号化の際のビット深度の補正による、検出部422における検出処理への影響を抑制するように、ビット深度の補正の学習を行い、その学習結果をビット深度補正部413にフィードバックしてもよい。そして、ビット深度補正部413がその学習結果を用いて、i信号やq信号のビット深度を補正してもよい。
【0200】
このようにすることにより、ビット深度補正部413は、後段処理への影響をより低減させるように、ビット深度の補正を行うことができる。
【0201】
なお、測距装置401や検出装置402のこれらの処理部は、それぞれ、任意の構成を有する。例えば、各処理部が、上述の処理を実現する論理回路により構成されるようにしてもよい。また、各処理部が、例えばCPU、ROM、RAM等を有し、それらを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を実現するようにしてもよい。もちろん、各処理部が、その両方の構成を有し、上述の処理の一部を論理回路により実現し、他を、プログラムを実行することにより実現するようにしてもよい。各処理部の構成は互いに独立していてもよく、例えば、一部の処理部が上述の処理の一部を論理回路により実現し、他の一部の処理部がプログラムを実行することにより上述の処理を実現し、さらに他の処理部が論理回路とプログラムの実行の両方により上述の処理を実現するようにしてもよい。
【0202】
<測距処理の流れ>
この測距システム400(の各装置)により実行される測距処理の流れの例を、
図27のフローチャートを参照して説明する。
【0203】
例えば、測距装置401のセンサ411は、ステップS401において、i信号およびq信号を生成する。ステップS402において、信号処理部412は、そのi信号およびq信号を信号処理する。
【0204】
ステップS403において、ビット深度補正部413は、フィードバックされた学習結果に基づいて、i信号およびq信号のビット深度を補正する。ステップS404において、符号化部414は、そのビット深度が補正されたi信号およびq信号を符号化し、符号化データを生成する。符号化部414は、生成した符号化データを検出装置402へ送信する。
【0205】
検出装置402の復号部421は、ステップS421において、その符号化データを受信する。ステップS422において、復号部421は、その符号化データを復号し、ビット深度が逆補正される前の状態のi信号およびq信号を生成する。
【0206】
ステップS423において、検出部422は、学習部423からフィードバックされた学習結果に基づいて、そのビット深度が逆補正される前の状態のi信号およびq信号を用いて、所望の被写体等を検出し、その検出データを出力する。
【0207】
ステップS424において、学習部424は、その検出について学習を行い、その学習結果を検出部422にフィードバックする。
【0208】
また、ステップS425において、学習部424は、その学習結果を測距装置401へ送信する。測距装置401のビット深度補正部413は、ステップS406において、その学習結果を受信する。
【0209】
以上のように各処理を実行することにより、測距装置401および検出装置402は、センシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができる。
【0210】
<5.第4の実施の形態>
<測距装置>
図28は、本技術を適用した情報処理装置の一態様である測距装置の構成の一例を示すブロック図である。
図28に示される測距装置500は、測距装置100と同様に、間接TOF方式により被写体までの距離を測定する装置である。
【0211】
ただし、測距装置500は、信号処理の前後においてビット深度の補正を行う。
図28に示されるように、測距装置500は、センサ101、i信号生成部102、センシングガンマ補正部501、信号処理部103、センシング逆ガンマ補正部502、q信号生成部107、センシングガンマ補正部503、信号処理部108、センシング逆ガンマ補正部504、位相差検出部112、およびデプス算出部113を有する。
【0212】
センシングガンマ補正部501は、センシングガンマ補正部131と同様の処理部であり、同様の処理を行う。例えば、センシングガンマ補正部501は、i信号生成部102から供給されるi信号を取得し、そのビット深度を補正し、補正後のi信号を信号処理部103に供給する。
【0213】
信号処理部103は、センシングガンマ補正部501から供給される補正後のi信号を取得し、信号処理を行う。
【0214】
このようにすることにより、信号処理部103は、ビット深度が低減された状態のi信号に対して、信号処理を行うことができる。したがって、信号処理部103の負荷の増大を抑制することができる。ただし、この場合、信号処理対象となるi信号が非線形となる。そのため、信号処理部103は、入力データの線形性による影響が少ない信号処理を行うようにしてもよい。例えば、信号処理部103は、ノイズリダクション等の処理を行うことができる。
【0215】
センシング逆ガンマ補正部502は、信号処理部103において信号処理が適宜行われたi信号を取得し、そのビット深度を逆補正し、リニア信号に戻す。センシング逆ガンマ補正部502は、その逆補正により元のビット深度に戻されたi信号を位相差検出部112に供給する。
【0216】
このように逆補正を行うことにより、入力データの線形性による影響が大きな信号処理も、この逆補正後に行うことができるようになる。
【0217】
センシングガンマ補正部503は、q信号に対してセンシングガンマ補正部501と同様の処理を行う。つまり、センシングガンマ補正部501は、信号処理部108の信号処理の対象であるq信号について、そのビット深度を補正する。
【0218】
このようにすることにより、信号処理部108は、ビット深度が低減された状態のq信号に対して、信号処理を行うことができる。したがって、信号処理部108の負荷の増大を抑制することができる。ただし、この場合、信号処理対象となるq信号が非線形となる。そのため、信号処理部108は、入力データの線形性による影響が少ない信号処理を行うようにしてもよい。例えば、信号処理部108は、ノイズリダクション等の処理を行うことができる。
【0219】
センシング逆ガンマ補正部504は、q信号に対してセンシング逆ガンマ補正部502と同様の処理を行う。つまり、センシング逆ガンマ補正部504は、信号処理部108において信号処理が適宜行われたq信号を取得し、そのビット深度を逆補正し、リニア信号に戻す。センシング逆ガンマ補正部504は、その逆補正により元のビット深度に戻されたq信号を位相差検出部112に供給する。
【0220】
このように逆補正を行うことにより、入力データの線形性による影響が大きな信号処理も、この逆補正後に行うことができるようになる。
【0221】
以上のような構成とすることにより、測距装置500は、信号処理に関する演算コストや実装コストの増大を抑制することができる。
【0222】
なお、測距装置500のこれらの処理部は、それぞれ、任意の構成を有する。例えば、各処理部が、上述の処理を実現する論理回路により構成されるようにしてもよい。また、各処理部が、例えばCPU、ROM、RAM等を有し、それらを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を実現するようにしてもよい。もちろん、各処理部が、その両方の構成を有し、上述の処理の一部を論理回路により実現し、他を、プログラムを実行することにより実現するようにしてもよい。各処理部の構成は互いに独立していてもよく、例えば、一部の処理部が上述の処理の一部を論理回路により実現し、他の一部の処理部がプログラムを実行することにより上述の処理を実現し、さらに他の処理部が論理回路とプログラムの実行の両方により上述の処理を実現するようにしてもよい。
【0223】
<測距処理の流れ>
測距装置500により実行される測距処理の流れの例を、
図29のフローチャートを参照して説明する。
【0224】
測距処理が開始されると、ステップS501乃至ステップS503の各処理は、
図12のステップS101乃至ステップS103の各処理と同様に実行される。
【0225】
ステップS504において、センシングガンマ補正部501は、i信号をガンマ補正する。また、ステップS505において、センシングガンマ補正部503は、q信号をガンマ補正する。
【0226】
ステップS506において、信号処理部103は、i信号を信号処理する。また、ステップS507において、信号処理部108は、q信号を信号処理する。
【0227】
ステップS508において、センシング逆ガンマ補正部502は、i信号を逆ガンマ補正する。また、ステップS509において、センシング逆ガンマ補正部504は、q信号を逆ガンマ補正する。
【0228】
ステップS510乃至ステップS513の各処理は、
図12のステップS106乃至ステップS109の各処理と同様に実行される。
【0229】
ステップS513の処理が終了すると、測距処理が終了する。
【0230】
以上のように各処理を実行することにより、測距装置500は、信号処理に関する演算コストや実装コストの増大を抑制することができる。つまり、センシングデータの処理の負荷の増大を抑制することができる。
【0231】
<6.コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
【0232】
図30は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0233】
図30に示されるコンピュータ900において、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903は、バス904を介して相互に接続されている。
【0234】
バス904にはまた、入出力インタフェース910も接続されている。入出力インタフェース910には、入力部911、出力部912、記憶部913、通信部914、およびドライブ915が接続されている。
【0235】
入力部911は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部912は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部913は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部914は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ915は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア921を駆動する。
【0236】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU901が、例えば、記憶部913に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース910およびバス904を介して、RAM903にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM903にはまた、CPU901が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0237】
コンピュータが実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア921に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア921をドライブ915に装着することにより、入出力インタフェース910を介して、記憶部913にインストールすることができる。
【0238】
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部914で受信し、記憶部913にインストールすることができる。
【0239】
その他、このプログラムは、ROM902や記憶部913に、あらかじめインストールしておくこともできる。
【0240】
<7.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0241】
図31は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0242】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図31に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0243】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0244】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0245】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0246】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0247】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0248】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0249】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0250】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0251】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図31の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0252】
図32は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0253】
図32では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0254】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0255】
なお、
図32には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0256】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0257】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0258】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0259】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0260】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、車外情報検出ユニット12030や車内情報検出ユニット12040に適用され得る。具体的には、車外情報検出ユニット12030や車内情報検出ユニット12040として測距装置100、測距装置200、測距システム400、または測距装置500による測距を利用することで、運転者のジェスチャを認識する処理を行い、そのジェスチャに従った各種(例えば、オーディオシステム、ナビゲーションシステム、エアーコンディショニングシステム)の操作を実行したり、より正確に運転者の状態を検出したりすることができる。また、測距システム10による測距を利用して、路面の凹凸を認識して、サスペンションの制御に反映させたりすることができる。さらに、それらの処理の負荷の増大を抑制することができる。
【0261】
<8.本技術の適用対象>
本技術は、任意の画像符号化・復号方式に適用することができる。つまり、上述した本技術と矛盾しない限り、変換(逆変換)、量子化(逆量子化)、符号化(復号)、予測等、画像符号化・復号に関する各種処理の仕様は任意であり、上述した例に限定されない。また、上述した本技術と矛盾しない限り、これらの処理の内の一部を省略してもよい。
【0262】
また本技術は、複数の視点(ビュー(view))の画像を含む多視点画像の符号化・復号を行う多視点画像符号化・復号システムに適用することができる。その場合、各視点(ビュー(view))の符号化・復号において、本技術を適用するようにすればよい。
【0263】
さらに本技術は、所定のパラメータについてスケーラビリティ(scalability)機能を有するように複数レイヤ化(階層化)された階層画像の符号化・復号を行う階層画像符号化(スケーラブル符号化)・復号システムに適用することができる。その場合、各階層(レイヤ)の符号化・復号において、本技術を適用するようにすればよい。
【0264】
本技術は、任意の構成に適用することができる。
【0265】
例えば、本技術は、衛星放送、ケーブルTVなどの有線放送、インターネット上での配信、およびセルラー通信による端末への配信などにおける送信機や受信機(例えばテレビジョン受像機や携帯電話機)、または、光ディスク、磁気ディスクおよびフラッシュメモリなどの媒体に画像を記録したり、これら記憶媒体から画像を再生したりする装置(例えばハードディスクレコーダやカメラ)などの、様々な電子機器に応用され得る。
【0266】
また、例えば、本技術は、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ(例えばビデオプロセッサ)、複数のプロセッサ等を用いるモジュール(例えばビデオモジュール)、複数のモジュール等を用いるユニット(例えばビデオユニット)、または、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット(例えばビデオセット)等、装置の一部の構成として実施することもできる。
【0267】
また、例えば、本技術は、複数の装置により構成されるネットワークシステムにも適用することもできる。例えば、本技術を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングとして実施するようにしてもよい。例えば、コンピュータ、AV(Audio Visual)機器、携帯型情報処理端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の任意の端末に対して、画像(動画像)に関するサービスを提供するクラウドサービスにおいて本技術を実施するようにしてもよい。
【0268】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、および、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0269】
<本技術を適用可能な分野・用途>
本技術を適用したシステム、装置、処理部等は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野に利用することができる。また、その用途も任意である。
【0270】
例えば、本技術は、観賞用コンテンツ等の提供の用に供されるシステムやデバイスに適用することができる。また、例えば、本技術は、交通状況の監理や自動運転制御等、交通の用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、セキュリティの用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。また、例えば、本技術は、機械等の自動制御の用に供されるシステムやデバイスに適用することができる。さらに、例えば、本技術は、農業や畜産業の用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。また、本技術は、例えば火山、森林、海洋等の自然の状態や野生生物等を監視するシステムやデバイスにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、スポーツの用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。
【0271】
<9.その他>
なお、本明細書において「フラグ」とは、複数の状態を識別するための情報であり、真(1)または偽(0)の2状態を識別する際に用いる情報だけでなく、3以上の状態を識別することが可能な情報も含まれる。したがって、この「フラグ」が取り得る値は、例えば1/0の2値であってもよいし、3値以上であってもよい。すなわち、この「フラグ」を構成するbit数は任意であり、1bitでも複数bitでもよい。また、識別情報(フラグも含む)は、その識別情報をビットストリームに含める形だけでなく、ある基準となる情報に対する識別情報の差分情報をビットストリームに含める形も想定されるため、本明細書においては、「フラグ」や「識別情報」は、その情報だけではなく、基準となる情報に対する差分情報も包含する。
【0272】
また、符号化データ(ビットストリーム)に関する各種情報(メタデータ等)は、符号化データに関連づけられていれば、どのような形態で伝送または記録されるようにしてもよい。ここで、「関連付ける」という用語は、例えば、一方のデータを処理する際に他方のデータを利用し得る(リンクさせ得る)ようにすることを意味する。つまり、互いに関連付けられたデータは、1つのデータとしてまとめられてもよいし、それぞれ個別のデータとしてもよい。例えば、符号化データ(画像)に関連付けられた情報は、その符号化データ(画像)とは別の伝送路上で伝送されるようにしてもよい。また、例えば、符号化データ(画像)に関連付けられた情報は、その符号化データ(画像)とは別の記録媒体(または同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されるようにしてもよい。なお、この「関連付け」は、データ全体でなく、データの一部であってもよい。例えば、画像とその画像に対応する情報とが、複数フレーム、1フレーム、またはフレーム内の一部分などの任意の単位で互いに関連付けられるようにしてもよい。
【0273】
なお、本明細書において、「合成する」、「多重化する」、「付加する」、「一体化する」、「含める」、「格納する」、「入れ込む」、「差し込む」、「挿入する」等の用語は、例えば符号化データとメタデータとを1つのデータにまとめるといった、複数の物を1つにまとめることを意味し、上述の「関連付ける」の1つの方法を意味する。
【0274】
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0275】
例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0276】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行されるようにしてもよい。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0277】
また、例えば、1つのフローチャートの各ステップを、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合、その複数の処理を、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0278】
また、例えば、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0279】
また、例えば、本技術に関する複数の技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0280】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データのビット深度を補正するビット深度補正部と、
前記ビット深度が補正された前記中間データを符号化し、符号化データを生成する符号化部と
を備える情報処理装置。
(2) 前記ビット深度補正部は、入出力特性を示す所定の曲線であるガンマカーブを用いて、前記中間データの前記ビット深度を補正する
(1)に記載の情報処理装置。
(3) 前記ビット深度補正部は、後段処理で必要な演算精度に基づいて設計されたガンマカーブを用いて、前記中間データの前記ビット深度を補正する
(2)に記載の情報処理装置。
(4) 前記ビット深度補正部は、前記演算精度を満たすように設定された最小量子化値の逆数を積分することにより導出されるガンマカーブを用いて、前記中間データの前記ビット深度を補正する
(3)に記載の情報処理装置。
(5) 前記ビット深度補正部は、前記中間データのi信号の前記ビット深度とq信号の前記ビット深度とを、互いに独立に補正し、
前記符号化部は、前記ビット深度が補正された前記i信号と前記q信号とを、互いに独立に符号化し、前記i信号の符号化データと前記q信号の符号化データとをそれぞれ生成する
(1)乃至(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6) 前記ビット深度補正部は、i信号とq信号の両方を含む多次元ベクトルデータの前記中間データの前記ビット深度を補正し、
前記符号化部は、前記ビット深度が補正された前記多次元ベクトルデータの前記中間データを符号化し、前記符号化データを生成する
(1)乃至(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(7) トータルビット量に基づいて、前記i信号および前記q信号のそれぞれに割り当てるビット量を決定するビット割り当て量決定部をさらに備え、
前記ビット深度補正部は、決定された前記ビット量に基づいて、前記i信号および前記q信号のそれぞれの前記ビット深度を補正する
(6)に記載の情報処理装置。
(8) 前記i信号および前記q信号のそれぞれのベース量子化量を算出するベース量子化量算出部をさらに備え、
前記ビット割り当て量決定部は、前記トータルビット量と、前記i信号および前記q信号のそれぞれの前記ベース量子化量とに基づいて、前記i信号および前記q信号のそれぞれに割り当てるビット量を決定する
(7)に記載の情報処理装置。
(9) 前記i信号および前記q信号のそれぞれの許容誤差量を算出する許容誤差量算出部をさらに備え、
前記ベース量子化量算出部は、
前記i信号の前記許容誤差量に基づいて前記i信号の前記ベース量子化量を算出し、
前記q信号の前記許容誤差量に基づいて前記q信号の前記ベース量子化量を算出する
(8)に記載の情報処理装置。
(10) 前記i信号および前記q信号のそれぞれをブロック単位に分割するブロック分割部をさらに備え、
前記ビット深度補正部は、前記ブロック毎に前記中間データの前記ビット深度を補正し、
前記符号化部は、前記ビット深度が補正された前記中間データを、前記ブロック毎に符号化し、前記符号化データを生成する
(6)乃至(9)のいずれかに記載の情報処理装置。
(11) 前記符号化データを記憶する記憶部をさらに備える
(1)乃至(10)のいずれかに記載の情報処理装置。
(12) 前記ビット深度補正部により前記ビット深度が補正された前記中間データに対して、データの線形性を必要としない信号処理を行う信号処理部をさらに備える
(1)乃至(11)のいずれかに記載の情報処理装置。
(13) 前記符号化データを復号し、前記中間データを生成する復号部をさらに備える
(1)乃至(12)のいずれかに記載の情報処理装置。
(14) 前記復号部により生成された前記中間データのビット深度を逆補正する逆ビット深度補正部をさらに備える
(13)に記載の情報処理装置。
(15) 間接TOF(Time-of-Flight)方式のセンサにおいて得られるセンシングデータから生成される中間データのビット深度を補正し、
前記ビット深度が補正された前記中間データを符号化し、符号化データを生成する
情報処理方法。
【符号の説明】
【0281】
100 測距装置, 101 センサ, 102 i信号生成部, 103 信号処理部, 104 符号化部, 105 フレームメモリ, 106 復号部, 107 q信号生成部, 108 信号処理部, 109 符号化部, 110 フレームメモリ, 111 復号部, 112 位相差検出部, 113 デプス算出部, 114および115 符号化部, 131 センシングガンマ補正部, 132 符号化部, 151 復号部, 152 センシング逆ガンマ補正部, 200 測距装置, 201 符号化部, 202 フレームメモリ, 203 復号部, 204 符号化部, 221および222 ブロック分割部, 223 ジョイント符号化部, 224 バッファ, 241 許容誤差量算出部, 242 ベース量子化量算出部, 243 許容誤差量算出部, 244 ベース量子化量算出部, 245 ターゲットビット量決定部, 246 iq符号化部, 281 バッファ, 282 ジョイント復号部, 283および284 ブロック結合部, 400 測距システム, 401 測距装置, 402 検出装置, 411 センサ, 412 信号処理部, 413 ビット深度補正部, 414 符号化部, 421 復号部, 422 検出部, 423 学習部, 500 測距装置, 501 センシングガンマ補正部, 502 センシング逆ガンマ補正部, 503 センシングガンマ補正部, 504 センシング逆ガンマ補正部