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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】透過性壁カプセル化金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/12 20060101AFI20250108BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20250108BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20250108BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
B29C33/12
B29C39/10
B29C39/26
B29C33/38
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022537073
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2020025569
(87)【国際公開番号】W WO2021121659
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】16/722,834
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル、ルイス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン、ガネーシュ クマール
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-192438(JP,A)
【文献】特開2007-276252(JP,A)
【文献】特開2013-032014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/12
B29C 39/10
B29C 39/26
B29C 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的構成要素をカプセル化するための金型であって、前記金型が、
電気的構成要素を受容するためのカプセル化チャンバであって、
中実外壁、透過性内壁、及び前記中実外壁と前記透過性内壁との間の空気チャンバを備えるハウジング、
開口頂部、
下部開口部、及び
前記下部開口部内に位置決めされた中実の取り外し可能な底部によって画定された、カプセル化チャンバと、
ガスを前記空気チャンバの中へ導入するように構成された空気入口と、を備え、
前記カプセル化チャンバが、前記電気的構成要素を受容するが、前記電気的構成要素の周りにカプセル化材料を前記導入するための隙間を残すようにサイズ決定及び形状決めされている、金型。
【請求項2】
前記カプセル化材料が、シリコーンゴムを含む、請求項1に記載の金型。
【請求項3】
前記隙間が、約2mm~約5mmである、請求項1に記載の金型。
【請求項4】
前記空気チャンバが、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に位置決めされた複数のプレナムチャンバを備え、
前記空気入口が、複数の開口を備え、前記複数の開口の各々が、前記プレナムチャンバのうちの1つにつながっている、請求項1に記載の金型。
【請求項5】
前記中実外壁から前記透過性内壁まで延在して前記プレナムチャンバを形成する、複数のプレナム側壁部材を更に備える、請求項4に記載の金型。
【請求項6】
前記中実外壁、前記透過性内壁、及び前記空気チャンバの各々が、円筒形形状である、請求項1に記載の金型。
【請求項7】
前記中実底部が、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に前記空気チャンバを形成する隙間を維持するために、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に位置決めされた少なくとも1つのリングを備える、請求項1に記載の金型。
【請求項8】
前記開口頂部が、中央開口部を有する平面ディスクを備え、
前記平面ディスクが、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に前記空気チャンバを形成する前記隙間をより広く維持するために、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に位置決めされた少なくとも1つの第2のリングを備える、請求項7に記載の金型。
【請求項9】
電気的構成要素をカプセル化するための注型成形プロセスであって、前記注型成形プロセスが、
金型を提供することであって、前記金型が、
中実外壁、透過性内壁、及び前記中実外壁と内壁との間の空気チャンバを備えるハウジング、
開口頂部、
底部、及び
ガスを前記空気チャンバの中へ導入するように構成された空気入口、によって画定されたカプセル化チャンバを備える、提供することと、
電気的構成要素を前記金型内に位置決めすることと、
カプセル化材料を、前記電気的構成要素と前記透過性内壁との間の前記金型の中へ導入することと、
前記金型内の前記電気的構成要素の少なくとも一部分の周りの前記カプセル化材料を硬化させて、組み合わせ鋳造物を形成することと、
加圧ガスを前記空気チャンバの中へ導入して、前記透過性内壁を通過させて、前記カプセル化材料の接触面を前記金型から分離することと、
前記組み合わせ鋳造物を前記金型から排出することと、を含む、注型成形プロセス。
【請求項10】
前記金型の前記底部が、開閉可能であり、
前記金型の前記底端部を取り囲むことが、前記カプセル化材料を導入することの前に行われ、
前記金型の前記底部を開くことが、前記加圧ガスを前記空気チャンバの中へ導入することの前に行われ、
前記組み合わせ鋳造物を排出することが、前記底部が開かれた後に、前記開口頂端部を通して前記組み合わせ鋳造物を前記底部から押圧することを含む、請求項9に記載の注型成形プロセス。
【請求項11】
前記電気的構成要素が、
頂部と、
底部と、
円筒壁と、
前記頂部から延在して、前記金型の前記開口頂端部内に位置決めされた第1のポストと、
前記底部から延在して、前記金型の前記底端部内に位置決めされた第2のポストと、を備える、請求項9に記載の注型成形プロセス。
【請求項12】
前記カプセル化材料を導入し、前記カプセル化材料を硬化させることが、前記電気的構成要素の前記頂部を露出させたままの状態で、前記電気的構成要素を前記カプセル化材料内に少なくとも部分的にカプセル化する、請求項11に記載の注型成形プロセス。
【請求項13】
前記カプセル化材料を導入し、前記カプセル化材料を硬化させることが、前記電気的構成要素の前記底部を露出させたままの状態で、前記電気的構成要素を前記カプセル化材料内に少なくとも部分的にカプセル化する、請求項11に記載の注型成形プロセス。
【請求項14】
前記カプセル化材料を導入し、前記カプセル化材料を硬化させることが、前記電気的構成要素の前記頂部及び前記底部を露出させたままの状態で、前記電気的構成要素を前記カプセル化材料内に少なくとも部分的にカプセル化する、請求項11に記載の注型成形プロセス。
【請求項15】
前記空気チャンバが、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に位置決めされた複数のプレナムチャンバを備え、
前記空気入口が、複数の開口を備え、前記複数の開口の各々が、前記プレナムチャンバのうちの1つにつながり、
前記加圧ガスを前記空気チャンバの中へ導入することが、加圧ガスを前記プレナムチャンバの各々の中へ導入することによって、前記空気チャンバ内の圧力を実質的に均一にすることを含む、請求項9に記載の注型成形プロセス。
【請求項16】
前記電気的構成要素が、真空遮断器である、請求項9に記載の注型成形プロセス。
【請求項17】
前記カプセル化材料が、シリコーンゴムを含む、請求項9に記載の注型成形プロセス。
【請求項18】
前記カプセル化材料を硬化させることが、約2mm~約5mmの厚さの前記シリコーンゴムの前記組み合わせ鋳造物を形成することを含む、請求項17に記載の注型成形プロセス。
【請求項19】
被加工物をカプセル化するための金型であって、前記金型が、
中実外壁、透過性内壁、及び前記中実外壁と前記透過性内壁との間の空気チャンバを備えるハウジング、
開口頂部、及び
中実底部、によって画定されたカプセル化チャンバを備え、前記中実底部が、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に前記空気チャンバを形成する隙間を維持するために、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に位置決めされた少なくとも1つのリングを備え、
前記空気チャンバが、前記中実外壁と前記透過性内壁との間に位置決めされた複数のプレナムチャンバを備え、
前記中実外壁が、複数の空気入口を備え、前記複数の開口の各々が、前記プレナムチャンバのうちの1つにつながっている、金型。
【請求項20】
前記中実底部が、前記中実底部の外周に沿って複数のロックノッチを含み、前記複数のロックノッチの各ロックノッチが、ロック部材を受容するように構成されている、請求項19に記載の金型。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
成形は、金型、マトリックス、又はセッティングと呼ばれる剛体フレームを使用して、液体又は軟質の原材料を形状決めすることによって物体(例えば、鋳造物)を製造するプロセスである。金型は、ゴム、プラスチック、ガラス、金属などの液体又は軟質の原材料が充填される、中空内部容積を有し得る。材料は、金型の内部で硬化又は凝固して、金型の内部容積に一致する形状になる。金型は、所望される最終製品のパターン又はモデルを使用して作成され得る。1つの共通の成形プロセスは、注型成形であり、これは、重力を用いて液体又は軟質の原材料を金型の中空内部容積の中へ導入(例えば、注入)する。金型からの硬化した(例えば、凝固した)鋳造物の取り出しをより容易にするために、離型剤が金型の中空内部容積に塗布され得る。最終的な組み合わせ鋳造物に冷却する前に液体又は軟質の原材料が剛性物体をカプセル化するように、成形プロセスの前又はその間に剛性物体が金型に挿入され得る。
【0002】
シリコーンは、高分子有機ケイ素化合物である。シリコーンゴムは、シリコーンから成るエラストマー(ゴム状の材料)である。本開示の全体にわたって、シリコーンという用語は、エラストマーの形態(例えば、シリコーンゴム)を指す。シリコーンは、電圧線碍子、真空遮断器、などのような、電力システムの防水及び耐熱構成要素に使用され得る。例えば、真空遮断器は、追加的な保護のために、外側シリコーン層内にカプセル化され得る。シリコーンは、その上記した軟質の特性、その溶融温度(およそ300℃)、及びその比較的低い硬化速度のため、注型成形に理想的な材料である。同様に、シリコーンは、室温で2液付加硬化プロセスによって鋳造され得る。しかしながら、シリコーン鋳造は、鋳造物を金型から取り出す(例えば、排出する)際に、更なる問題点を有する。
【0003】
直線壁でシームレスな背の高いシリコーン鋳造物を、注入された鋳造金型から排出することは、金型の内面に対して高い摩擦を呈し得るシリコーンゴムなどの数多くの弾性体の場合には困難である。シリコーン鋳造物の外面と金型の内面との間の接着力のため、シリコーン鋳造物を共通の金型から取り出すには、大きい力が必要である。典型的には、シリコーン鋳造物の排出を容易にするためにテーパが使用されるが、いくつかの事例では、テーパ付きの最終製品は、電気的用途には使用できない。代替的に、クラムシェル金型プロセスが使用され得るが、いくつかの事例では、クラムシェル金型からの継ぎ目のパーティングライン(例えば、鋳ばり)が同様に鋳造物を電気的用途に使用できなくする。パーティングラインに沿った過剰な材料などの、絶縁電気的構成要素の外面上の材料の任意の隆起部は、絶縁電気的構成要素と、隣接した中実絶縁層との間に望ましくない隙間を生じさせる。これらの隙間は、電気的構成要素の動作中に、中実断熱層間の危険な高電圧ブレークダウンにつながり得る。
【0004】
例えば、パーティングラインは、障害経路としての役割を果たすので、予備成形された円筒形で直線壁の剛性シェルの中へ組み立てられている真空遮断器(例えば、被覆)は、そのようなラインを有するべきでなく、また、一定の条件の下で主回路の誘電破壊を生じさせ得る空隙を作成するので、テーパ付き外側形態を有するべきでない。
【0005】
本文書は、上述の課題のうちの少なくともいくつかに対処する新規な解決策を説明する。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、電気的構成要素をカプセル化するための金型は、カプセル化チャンバと、空気入口と、を含む。一例として、一実施形態では、カプセル化チャンバは、ハウジング、開口頂部、及び中実底部によって画定されている。随意に、底部は、取り外し可能であり得る。ハウジングは、中実外壁、透過性内壁、及び中実外壁と内壁との間の空気チャンバを含む。随意に、中実外壁、透過性内壁、及び空気チャンバの各々は、円筒形形状であり得る。空気入口は、ガスを空気チャンバの中へ導入するように構成されている。カプセル化チャンバは、電気的構成要素を受容するが、電気的構成要素の周りにカプセル化材料を導入するための隙間を残すようにサイズ決定及び形状決めされ得る。随意に、カプセル化材料は、シリコーンゴムであり得る。随意に、隙間は、約2mm~約5mmであり得る。
【0007】
一例として、一実施形態では、中実底部は、中実外壁と透過性内壁との間に空気チャンバを形成する隙間を維持するために、中実外壁と透過性内壁との間に位置決めされた少なくとも1つのリングを含む。随意に、開口頂部は、中央開口部を有する平面ディスクを含み、平面ディスクは、中実外壁と透過性内壁との間に空気チャンバを形成する隙間をより広く維持するために、中実外壁と透過性内壁との間に位置決めされた少なくとも1つの第2のリングを含む。
【0008】
一例として、別の実施形態では、空気チャンバは、中実外壁と透過性内壁との間に位置決めされた複数のプレナムチャンバを含む。随意に、空気入口は、複数の開口を含み得、複数の開口の各々は、プレナムチャンバのうちの1つにつながっている。随意に、ハウジングは、中実外壁から透過性内壁まで延在してプレナムチャンバを形成する複数のプレナム側壁部材を含み得る。
【0009】
代替の実施形態では、電気的構成要素をカプセル化するための注型成形プロセスは、金型を提供することと、電気的構成要素を金型内に位置決めすることと、カプセル化材料を金型の中へ導入することと、金型内の電気的構成要素の少なくとも一部分の周りのカプセル化材料を硬化させて、組み合わせ鋳造物を形成することと、カプセル化材料の接触表面を金型から分離することと、組み合わせ鋳造物を金型から排出することと、を含む。随意に、電気的構成要素は、真空遮断器であり得る。随意に、カプセル化材料は、シリコーンゴムであり得る。カプセル化材料を硬化させるステップは、約2mm~約5mmの厚さのシリコーンゴムの組み合わせ鋳造物を形成することを含み得る。
【0010】
一例として、一実施形態では、金型は、ハウジング、開口頂部、底部、及び空気入口によって画定されたカプセル化チャンバを含む。ハウジングは、中実外壁、透過性内壁、及び中実外壁と内壁との間の空気チャンバを含む。空気入口は、ガスを空気チャンバの中へ導入するように構成されている。カプセル化材料を金型の中へ導入するステップの間に、カプセル化材料が、電気的構成要素と透過性内壁との間に導入される。カプセル化材料の接触表面を金型から分離するステップの間に、加圧ガスを空気チャンバの中へ導入して、透過性内壁を通過させる。
【0011】
一例として、別の実施形態では、金型の底部は、開閉可能であり、金型の底端部を取り囲むステップは、カプセル化材料を導入するステップの前に行われ、金型の底部を開くステップは、加圧ガスを空気チャンバの中へ導入するステップの前に行われ、組み合わせ鋳造物を排出するステップは、底部が開かれた後に、開口頂端部を通して組み合わせ鋳造物を底部から押圧することを含む。
【0012】
一例として、別の実施形態では、電気的構成要素は、頂部と、底部と、円筒壁と、第1のポストと、第2のポストと、を含む。随意に、第1のポストは、頂部から延在して、金型の開口頂端部内に位置決めされ得る。随意に、第2のポストは、底部から延在して、金型の底端部内に位置決めされ得る。随意に、カプセル化材料を導入するステップ、及びカプセル化材料を硬化させるステップは、電気的構成要素の頂部を露出させたままの状態で、電気的構成要素の底部を露出させたままの状態で、又は電気的構成要素の頂部及び底部の両方を露出させたままの状態で、電気的構成要素をカプセル化材料内に少なくとも部分的にカプセル化し得る。
【0013】
一例として、別の実施形態では、空気チャンバは、中実外壁と透過性内壁との間に位置決めされた複数のプレナムチャンバを含む。随意に、空気入口は、複数の開口を含み得、複数の開口の各々は、プレナムチャンバのうちの1つにつながっている。随意に、加圧ガスを空気チャンバの中へ導入するステップは、加圧ガスをプレナムチャンバの各々に導入することによって、空気チャンバ内の圧力を実質的に均一にすることを含み得る。
【0014】
別の代替の実施形態では、被加工物をカプセル化するための金型は、ハウジング、開口頂部、及び中実底部によって画定されたカプセル化チャンバを含む。一例として、一実施形態では、ハウジングは、中実外壁、透過性内壁、及び中実外壁と内壁との間の空気チャンバを含む。随意に、空気チャンバは、中実外壁と透過性内壁との間に位置決めされた複数のプレナムチャンバを含み得る。随意に、中実外壁はまた、複数の開口も含み得、複数の開口の各々は、プレナムチャンバのうちの1つにつながっている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】金型プロセス中に透過性内壁を用いて電気的構成要素を、カプセル化するための例示的な金型の断面図である。
図2】カプセル化プロセス中の図1の金型の断面図である。
図3】排出プロセス中の図1の金型の断面図である。
図4】シリコーンカプセル化材料を用いて例示的な真空遮断器をカプセル化するための例示的な金型の等角図である。
図5図4の金型の拡大図である。
図6図4の金型の断面図である。
図7図6の金型と同様の別の例示的な金型の断面図である。
図8A図6の金型ハウジングの外壁の等角断面図である。
図8B図7の金型ハウジングの外壁の等角断面図である。
図9】金型内部に例示的なカプセル化された真空遮断器を有する金型の断面図である。
図10】一実施形態による、組み合わせ鋳造物を製造するための例示的な方法を例示しているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示に関連する用語法は、この詳細な説明の最後に提供されている。図は、原寸に比例していない。
【0017】
図1は、電気的構成要素110などの被加工物をカプセル化するための例示的な金型100の断面図である。金型100は、金型プロセス中に透過性内壁134を用いる。金型100は、電気的構成要素110を受容するためのカプセル化チャンバ120と、金型100の外部からの空気が金型100の中へ圧入され得る経路を提供する空気入口150と、を含み得る。
【0018】
カプセル化チャンバ120は、ハウジング130の内部容積によって画定され得る。ハウジング130は、外壁132と、内壁134と、頂部壁136と、底部壁138と、を含み得る。空気チャンバ140は、外壁132と内壁134との間の容積によって、随意に、頂部壁136から底部壁138まで、又は頂部壁と底部壁との間の任意の点の間に画定され得る。随意に、頂部壁136及び/又は底部壁138は、取り外し可能であり得、内壁134は、外壁132から分離され得る。代替的に、外壁132、内壁134、頂部壁136、及び底部壁138は、一体型であり得る。
【0019】
頂部壁136は、上部開口部142を含み得、底部壁138は、下部開口部144(図3を参照されたい)を含み得る。取り外し可能なプレート146は、下部開口部144内に位置決めされ得る。例えば、カプセル化チャンバ120は、上部開口部142から下部開口部144を塞ぐプレート146までの内壁134内の容積として画定され得る。
【0020】
下でより詳細に説明するように、外壁132、頂部壁136、及び底部壁138は、これらの壁が、空気チャンバ140からハウジング130の外側へとガスが外壁132、頂部壁136、及び底部壁138を通過することを阻止するのに十分に小さい気孔率値(すなわち、固体内のボイドの測定値)を有するという点で中実であり得る。(注記:本文書で壁を指すために使用されるとき、「中実」という用語は、壁が完全に中実でなければならないことを意味するものではない。代わりに、この用語は、上で説明したように、壁の内面又は外面が空気を実質的に透過しないことを意味する。)外壁132はまた、空気入口150を受容するように、かつガスが空気チャンバ140に進入するための導管であるように構成された開口148も含み得る。下でより詳細に説明するように、内壁134は、透過性であり得、かつガスが空気チャンバ140からカプセル化チャンバ120の内部へと内壁134を通過することを可能にするのに十分大きいが、カプセル化材料が内壁134を通過することを可能にするような気孔ではない気孔率値を有し得る。例えば、内壁134は、好適な制御された気孔率を有するステンレス鋼、青銅、アルミニウム、又は任意の材料から作製され得る。空気入口150は、ガスを空気チャンバ140の中へ導入するように構成され得る。下でより詳細に説明するように、ガスは、加圧ガスであり得る。
【0021】
カプセル化チャンバ120は、カプセル化材料200を導入するための隙間Gを残しながら、電気的構成要素110又は他の被加工物のサイズ及び形状に実質的に合致するようにサイズ決定され得る(図2を参照されたい)。例えば、カプセル化チャンバ120は、円筒形、立方形、などであり得る。
【0022】
図1に例示されるように、電気的構成要素110(又は他の被加工物)は、電気的構成要素110の側壁112とハウジング130の内壁134との間に均一な隙間Gを提供するように、カプセル化チャンバ120内に位置決めされ得る。電気的構成要素110は、電気的絶縁の利益を享受し得る任意の装置であり得る。例えば、電気的構成要素110は、回路遮断器、スイッチ、モータ、発電機、バッテリ、抵抗器、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、変圧器、リレー、集積回路、マイクロプロセッサ、などであり得る。電気的絶縁を必要とする例示的な回路遮断器構成要素は、図9に示される真空遮断器900などの真空遮断器であり得る。
【0023】
図2は、カプセル化プロセス中の図1の金型100の断面図である。カプセル化材料200は、電気的構成要素110又は他の被加工物をカプセル化して、組み合わせ鋳造物を形成するための材料である。例えば、カプセル化材料200は、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(Ethylene Propylene Diene Monomer、EPDM)ゴム、ポリウレタンゴム、などであり得る。カプセル化材料200の厚さは、適切な電気的絶縁を提供する任意の厚さであり得る。例えば、カプセル化材料200の厚さは、約0.25mm~約100mm、約0.5mm~約50mm、約1mm~約25mm、又は約2mm~約5mmであり得る。カプセル化プロセス中には、液体カプセル化材料200が、供給源から、制御可能な弁202を通して、電気的構成要素110とカプセル化チャンバ120との間の隙間Gに注入される。電気的構成要素110がカプセル化材料200によって所望の高さまでカプセル化されると、弁202が閉じられて、液体源カプセル化材料200が取り出される。電気的構成要素110の側壁112は、カプセル化材料200の中に少なくとも部分的にカプセル化され得るか、又は代替的に、液体カプセル化材料が電気的構成要素110の上面114も覆うことが可能であり得る。電気的構成要素110は、ハウジング130のプレート146の上に直接静置され得るか、又は代替的に、カプセル化材料200が電気的構成要素110の下面116もカプセル化することを可能にするようにプレート146から離間され得る。
【0024】
図3は、排出プロセス中の図1の金型100の断面図である。液体カプセル化材料200を硬化させた(すなわち、カプセル化材料200を融点未満の温度に冷却して固体に戻させた)後に、カプセル化チャンバ120のプレート146が取り出され得る。カプセル化材料200の接触面204は、ハウジング130、特に内壁134と直接接触しているカプセル化材料200の表面である。カプセル化材料200の接触面204とハウジング130との間の接着力は、電気的構成要素110及び/又はカプセル化材料200に損傷を与えることなく組み合わせ鋳造物を排出するための追加的な力を必要とする。ガスは、空気入口150からハウジング130の外壁132の開口148を通ってハウジング130の空気チャンバ140の中へ導入される。空気チャンバ140内のガスの圧力が高くなるにつれて、加圧ガスが、ハウジング130の透過性内壁134のボイドを通してカプセル化材料200の接触面204に対して押し込まれて、カプセル化材料200を一様に押し、したがって、接着力を相殺するための追加的な力を提供する。ガスが、透過性内壁134を出てカプセル化チャンバ120の中へ入ると、ガスの薄い層が、カプセル化チャンバ120からカプセル化材料200の接触面204を分離する。このガスの薄い層は、電気的構成要素110及び/又はカプセル化材料200に対する非常に小さい押し出しF力又は損傷で、組み合わせ鋳造物のカプセル化チャンバ120からの排出を可能にする。
【0025】
図4は、シリコーンカプセル化材料200を用いて、真空遮断器900又は他の電気的構成要素などの被加工物をカプセル化するための、別の例示的な金型400の等角図である。図5は、図4の金型400の拡大図である。図6は、図4の金型400の断面図である。金型400は、上述の金型100と動作が同様であるが、追加的な特徴を伴う。
【0026】
図4図6を一緒に参照すると、金型400は、真空遮断器又は他の被加工物を受容するためのカプセル化チャンバ420を含み得る。カプセル化チャンバ420は、ハウジング430の内部容積によって画定され得る。ハウジング430は、外壁432と、内壁434と、頂部436と、底部438と、を含み得る。外壁432は、円筒形状を有し得る。外壁432はまた、空気入口150を受容するための1つ以上の開口448も有し得る。内壁434もまた、外壁432の内径よりも小さい外径を有する円筒形状を有し得る。内壁434は、外壁432内に位置決めされて、内壁434と外壁432との間に隙間Gを作成し得る。頂部436は、外周に沿って、ロックボルト454又は他のロック部材を受容するための複数のロックノッチ452を有する、平面ディスクであり得る。頂部436は、被加工物及び液体カプセル化材料200を受容するための中央開口部456を有し得る。頂部436はまた、外壁432と内壁434との間に隙間Gを維持するために、下面に一対の入れ子式リング458、460も有し得る。底部438もまた、外周に沿って複数のロックノッチ462を有し、ロックボルト454を受容するための頂部436のロックノッチ452と整列される、平面ディスクであり得る。被加工物が真空遮断器である場合、真空遮断器900の上部端子ポスト902は、頂部436の中央開口部456を通って延在し得、一方で、底部438もまた、真空遮断器900の下部端子ポスト904を受容するための中央開口部464、及び下側から液体カプセル化材料200をカプセル化チャンバ420に充填するための1つ以上の環状開口466を有し得る。底部438は、頂部436の入れ子式リング458、460とサイズ及び形状が同様である、対応する一対の入れ子式リング468、470を上面に有し得る。頂部の入れ子式リング458、460及び底部の入れ子式リング468、470は、内壁434から外壁432までの間隔を維持して、頂部436の下面と、外壁432及び内壁434の内面と、底部438の上面との組み合わせは、封止された空気チャンバ472を形成する。例えば、外壁432と内壁434との間に空気チャンバ472を形成する隙間Gをより広く維持するために、外壁432と内壁434との間に頂部436の内側リング460が位置決めされ得る。同様に、外壁432と内壁434との間に空気チャンバ472を形成する隙間Gをより広く維持するために、外壁432と内壁434との間に底部438の内側リング470が位置決めされ得る。ロックボルト454は、頂部436及び底部438から取り外されて、部品の修理及び/又は交換のために金型400を分解することを可能にし得る(図5を参照されたい)。例えば、金型400は、様々な内径を有する内壁の選択肢を含み得る。内壁434は、異なる真空遮断器900ごとに、又は所望のカプセル化材料200の厚さごとに選択され得る。同様に、金型400は、様々な高さを有する複数対の外壁及び内壁の選択肢を含み得る。異なる高さを有する真空遮断器に対して、一対の対応する外側壁432及び内側壁434が選択され得る。
【0027】
図7は、図6の金型と同様の別の例示的な金型400’の断面図である。
【0028】
金型400’は、修正されたハウジング430’によって金型400と異なる。ハウジング430’は、外壁432’と、内壁434’と、頂部436’と、底部438’と、を含み得る。外壁432’及び内壁434’は、各々が円筒形状を有し得る。プレナムチャンバ440’は、外壁432’から内壁434’まで内向きに延在するプレナム側壁部材447’によって形成され得る。プレナム側壁部材447’は、外壁432’を補強し得る。外壁432’はまた、1つ以上の開口448’も有し得、開口の各々が、プレナムチャンバ440’につながる空気入口としての役割を果たす。したがって、この実施形態では、外壁と内壁との間に1つの空気チャンバを有する代わりに、複数のプレナムチャンバ440’が、外壁432’と内壁434’との間に複数の空気チャンバを提供する。この設計は、被加工物を排出することによって既に解放された領域内の全ての圧力が軽減され、これが、流体クッション効果を低減させて被加工物を途中で張り付けさせ得るのを回避することを補助し得る。また、単一のより大きいチャンバではなく複数のプレナムチャンバに送給することは、被加工物に沿った圧力を実質的に均一にすることを補助すること、及び外壁と内壁との間に流動化層を保持することを補助することができる。内壁434’は、外壁432’内に位置決めされ得、よって、内壁434’と外壁432’との間の隙間G’内にプレナムチャンバが位置決めされる。頂部436’は、平面ディスクであり得る。頂部436’は、被加工物及び液体カプセル化材料200を受容するための中央開口部456’を有し得る。頂部436’はまた、外壁432’と内壁434’との間に隙間G’を維持するために、下面に一対の入れ子式リング458’、460’も有し得る。底部438’もまた、平面ディスクであり得る。被加工物が真空遮断器である場合、底部438’もまた、真空遮断器900の下部端子ポスト904を受容するための中央開口部464’、及び下側から液体カプセル化材料200をカプセル化チャンバ420’に充填するための1つ以上の環状開口466’を有し得る。底部438’は、頂部436’の入れ子式リング458’、460’とサイズ及び形状が同様である、対応する一対の入れ子式リング468’、470’を上面に有し得る。頂部の入れ子式リング458’、460’及び底部の入れ子式リング468’、470’は、内壁434’から外壁432’までの間隔を維持する。
【0029】
修正された金型400’の隙間G’は、金型400の隙間Gよりも大きくなり、外壁と内壁との間の単一の封止された空気チャンバの合計容積と比較して、より大きいプレナムチャンバ440’内の合計容積を提供し得る。
【0030】
図8Aは、図6の金型ハウジング430の外壁432の等角断面図であり、一方で、図8Bは、プレナム側壁部材447’が取り付けられた、図7の金型ハウジング430’の外壁432’の等角断面図である。例えば、共通の内壁434に適用された外壁432及び外壁432’を比較すると、外壁432の全径Dは、外壁432’の全径D’よりも小さくなり得る。
【0031】
図9は、例示的な真空遮断器900が金型400の内側でシリコーンカプセル化材料200によって部分的に取り囲まれた状態の、金型400の断面図である。真空遮断器900は、実質的に円筒形の中間セクション906を有し得る。カプセル化材料200は、カプセル化チャンバ420内の真空遮断器900の円筒形中間セクション906の周りで硬化され得る。上で説明したように、ガスは、開口448を介して空気チャンバ472の中へ導入されて、内壁434からカプセル化材料200の接触面204を解放し得る。延在している下部端子ポスト904が押圧され得るか、又は底部438が取り出され得、電気的構成要素110の下側が押圧されて、組み合わせ鋳造物をカプセル化チャンバ420から持ち上げ得る。成形プロセス中に、下部端子ポスト904は、ロックナット又は他の固定構造によって金型の底部に固定され得る。
【0032】
図10は、注型成形の方法のためのフローチャートを提示する。例えば、被加工物又は他の電気的構成要素を注型成形する方法であり、この方法は、(a)1001で、中実外壁と透過性内壁との間に空気チャンバを有する金型を提供することと、(b)1002で、被加工物又は他の電気的構成要素を金型内に位置決めすることと、(c)1003で、(頂部は、随意に開いたままであり得るが)被加工物を金型内に取り囲むことと、(d)1004で、カプセル化材料を被加工物と透過性内壁との間の金型の中へ導入することと、(e)1005で、金型内の電気的構成要素の少なくとも一部分の周りのカプセル化材料を硬化させて、組み合わせ鋳造物を形成することと、(f)1006で、随意に金型の底端部を開くことと、(g)1007で、ガスを空気チャンバの中へ導入して透過性内壁を通過させて、カプセル化材料の接触表面を金型から分離することと、(h)1008で、開口底端部から組み合わせ鋳造物を押圧して、組み合わせ鋳造物を金型の頂端部から排出ことなどによって、組み合わせ鋳造物を金型から取り出すことと、を含み得る。
【0033】
組み合わせ鋳造物は、最終製品として円筒形カバー(例えば、剛性外側シェル)内に位置決めされ得る。例示的なカプセル化されたポールユニットの教示は、米国特許第7,852,180号に見出され得、その開示は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。膜スイッチを有する例示的な圧入機構は、米国特許第8,674,254号に見出され得、その開示は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。真空遮断器と被覆との間にいかなる空隙も有しないことが望ましい。カプセル化材料は、真空遮断器と被覆との間の空隙を回避するのを補助する。これは特に真空遮断器に適用可能であり、その場合、シリコーンカプセル化は、カプセル化されたポールユニット又は他の開閉装置構成要素の一部として、真空遮断器と被覆との間の電気的絶縁性の機械的インタフェース層としての役割を果たす。
【0034】
本明細書で使用されるとき、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数のものへの言及が含まれる。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用するとき、用語「備える(comprising)」は、限定するものではないが、「含む(including)」ことを意味する。本明細書で使用するとき、用語「例示的な(exemplary)」は、「例として(by way of example)」を意味することを意図するものであり、特定の例示的な項目が好ましいか又は必要であることを示すことを意図するものではない。
【0035】
この文書では、そのような「第1の」及び「第2の」という用語が名詞を修正するために使用される場合、そのような使用は、単に1つの項目を別の項目と区別することを意図するものであり、具体的に記載されない限り、連続的な順序を必要とするものではない。数値に関連して使用されるとき、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、その数値に近いが正確にはその数値ではない値を含むことを意図する。例えば、いくつかの実施形態では、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、値の±10パーセント以内の値を含み得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「頂部」及び「底部」、「上部」及び「下部」、又は「前方」及び「後方」などの用語は、絶対的な向きを有することを意図するものではなく、代わりに、互いに対する様々な構成要素の相対的位置を説明することを意図する。例えば、第1の構成要素は「上側」構成要素であってもよく、第2の構成要素は、構成要素が一部であるデバイスが第1の方向に配向されているときに「下側」構成要素であってもよい。構成要素の相対的な配向は逆であってもよく、又は構成要素を含む構造の向きが変更される場合には、構成要素が同じ平面上にあってもよい。特許請求の範囲は、そのような構成要素を含むデバイスの全ての配向を含むことを意図する。
【0037】
上記の特徴及び機能、並びに代替物は、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされてもよい。様々な現在予期されない又は予期されない代替物、修正、変形、又は改善は、当業者によって行われてもよく、これらの各々はまた、開示される実施形態によって包含されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10