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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】ポストコンシューマー樹脂包装
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20250108BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/20 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022546115
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021051480
(87)【国際公開番号】W WO2021151797
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】20154461.6
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】デューソン,リー
(72)【発明者】
【氏名】ナイドゥー,ユベスベリ
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-195560(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03050912(EP,A1)
【文献】英国特許出願公開第02572796(GB,A)
【文献】国際公開第2012/102778(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0233413(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層ポストコンシューマー樹脂(PCR)を含む包装用の持続可能な物品であって、当該多層は、
a ナチュラルプラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(N-PCR)を含む外層;及び、
b ナチュラルプラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(N-PCR)又は着色プラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(J-PCR)を含む内層(ここで、該内層の少なくとも50%は着色プラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(J-PCR)を含む)
を含み、
前記外層及び/又は内層は、NIRで検出可能な黒色マスターバッチを含み、
前記物品が5重量%未満の未使用のプラスチックを含む、前記物品。
【請求項2】
前記物品が、未使用のプラスチックを含んでいない、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記内層が、100%の着色プラスチック廃棄物(J-PCR)を含む、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記外層と内層の重量比が、99:1~1:99である、請求項1~3のいずれか1項に記載の物品。
【請求項5】
前記外層と内層の重量比が、1:3~1:5である、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記外層と内層の重量比が、1:4である、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記多層が第2の内層を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
前記ナチュラルプラスチック廃棄物および着色プラスチック廃棄物が、廃棄された高密度ポリエチレン(HDPE)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
前記物品が、3%未満の未使用プラスチックを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項10】
前記物品が、0%の未使用プラスチックを含む、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記物品が容器である、請求項1~10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項12】
前記物品が、非食品グレードの物品である、請求項1~11のいずれか1項に記載の物品。
【請求項13】
日用消費財(FMCG)を包装するための、請求項1~12のいずれか1項に記載の物品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未使用の石油ベースの化合物を実質的に含まないようにすることができる包装用の持続可能な物品に関する。特に、本発明は、NIR吸収性の高い着色されたポストコンシューマー樹脂(PCR)から作られた新規包装に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で、プラスチックは人々の生活の欠くことのできないものになっているが、それに伴い、プラスチックの廃棄物の増大する問題も持ち上がっている。プラスチックは、有用で用途の広い低コストの材料であり、使い勝手が良い。問題は、プラスチックの使用ではなく、使い捨てである。プラスチックを使い捨てすることで、その価値の95%が失われる。
【0003】
しかしながら、近年は、プラスチックをリサイクルするための多大な努力がなされている。確立された消費者リサイクルストリームを介して収集され、分類され、洗浄され、ペレットに再処理されたプラスチックは、ポストコンシューマー樹脂(PCR)として定義される。これは、消費財用の新しいプラスチック製包装を作製するために、未使用樹脂の代わりに使用することができる。
【0004】
プラスチックのリサイクルの取り組みは規模が大きくなり、それによって、グレードの分類が可能になっている。大まかに定義すると、食品グレードと非食品グレードのPCR材料がある。
【0005】
非食品グレードのPCRは、一般に、4種類に分類される:再生高密度ポリエチレン(HDPE)、再生ポリプロピレン(PP)、再生低密度ポリエチレン(LDPE)、及び、再生ポリエチレンテレフタレート(PET)。
【0006】
再生HDPEは、3つのグレードがある:牛乳又は乳製品の廃棄ボトルから得られるナチュラルPCR(透明)、白色及び/又は明るい色のボトルから得られるオフホワイトPCR(不透明)、並びに、混合色のボトルから得られる灰色のPCR(明色又は暗色)。
【0007】
ナチュラルグレードとオフホワイトグレードは、白色又は着色のボトル又は容器としての新しい包装の作製において容易に使用することが可能であるが、灰色PCRの場合、それが灰色であることに起因して、上記と同じように使用することはできない。灰色のペレットは、黒又は黒の色合いなどの暗い色の包装材料の作製において使用することが可能であると考えられていた。しかしながら、該灰色PCRを近赤外(NIR)分光法で検出可能な黒色顔料を用いて着色しようと試みた場合、得られた色は、実際には黒色ではなく、同じ検出可能な黒色顔料で着色された未使用のプラスチックの黒色と比較したときにその色に実質的な差が存在するということが観察された。従って、このことによって、再生された当該ボトルは販売に適さない(少なくとも、プレミアム製品の販売には適さない)。
【0008】
可能性のある代替案は、顔料としてカーボンブラックを使用することであり得る。しかしながら、カーボンブラックで着色されたプラスチック又はPCRは、材料回収施設(MRF)において、プラスチック回収施設(PRF)において、及び、プラスチックを再処理してPCRにするために異なるポリマーストリームに分離するための再処理装置において主に使用される自動近赤外線(NIR)選別システムでは検出することができない。従って、カーボンブラックで着色されたプラスチックは、典型的には、最後には未分類の残留物となり、これは、再処理にはあまり適さず、一般に廃棄物として処理される。
【0009】
EP0654496A2には、ポストコンシューマー樹脂製のプラスチック容器、特に、応力亀裂耐性を有し、ポストコンシューマープラスチックフィルム樹脂、ポストコンシューマープラスチックフィルム樹脂とポストコンシューマープラスチックミルク樹脂の溶融ブレンド、又はポストコンシューマープラスチックフィルム樹脂とポストコンシューマープラスチックミルク樹脂と未使用高密度エチレンコポリマープラスチック材料の溶融ブレンドを含む少なくとも1つの層を含む軽量プラスチック容器が開示されている。
【0010】
従って、着色剤マスターバッチにおいて近赤外線(NIR)で検出可能な顔料を使用しながら、廃棄された着色及び黒色プラスチックを新しい包装とすることによる着色及び/又は黒色プラスチックのための循環型経済を創造することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】EP0654496A2
【発明の概要】
【0012】
従って、本発明の目的は、着色又は黒色のプラスチック廃棄物を新しい包装とすることである。
【0013】
本発明の別の目的は、未使用の石油ベースの化合物を実質的に含まないようにすることができる包装用の持続可能な物品を提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、着色剤マスターバッチとして近赤外線(NIR)で検出可能な顔料を使用しながら、着色又は黒色のプラスチック廃棄物で作られた持続可能な物品を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、95%を超えるPCRを有する黒色の物品を提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、95%を超えるPCRを有し、臭気が低減された黒色の物品を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、消費者に受け入れられる黒色でそのような持続可能な包装を提供することである。
【0018】
驚くべきことに、ナチュラルプラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(N-PCR)の薄い外層と少なくとも50%の着色プラスチック廃棄物(J-PCR)を含む厚い内層を含む多層ポストコンシューマー樹脂を使用することにより、NIRで検出可能な顔料を使用した消費者が許容できる黒色の持続可能な包装を得ることができることを見出した。
【0019】
従って、第1の態様において、本発明は、多層ポストコンシューマー樹脂(PCR)を含む包装用の持続可能な物品を提供し、ここで、該多層は、天然プラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(N-PCR)を含む外層とナチュラルプラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(N-PCR)又は着色プラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(J-PCR)を含む内層を含み、ここで、該内層の少なくとも50%は着色プラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(J-PCR)を含み、該外層及び/又は内層はNIRで検出可能な着色剤マスターバッチを含む。
【0020】
第2の態様において、本発明は、日用消費財(FMCG)を包装するための本発明による物品の使用を提供する。
【0021】
本発明に関連して、「ポストコンシューマー樹脂(PCR)」への言及は、典型的には、確立された消費者リサイクルストリームを介して収集され、分類され、洗浄され、ペレットに再処理されたプラスチックを意味する。
【0022】
本発明に関連して、「持続可能な」への言及は、典型的には、本発明とは別のやり方で物品を製造するために使用されてきたであろう関連する未使用の石油ベースプラスチック材料と比較した場合、そのライフサイクルアセスメント又はライフサイクルインベントリのいくつかの側面において10%を超える改善を有している材料を意味する。本明細書中で使用されている場合、「ライフサイクルアセスメント」(LCA)又は「ライフサイクルインベントリ」(LCI)とは、所与の製品又はサービスの存在によって引き起こされる又はそのような存在に必然的に伴う該製品又はサービスの環境への影響の調査及び評価を示している。該LCA又はLCIには、「ゆりかごから墓場まで」の分析が含まれ得る。これは、製造(「ゆりかご」)から使用段階及び廃棄段階(「墓場」)までのライフサイクルアセスメント又はライフサイクルインベントリ全体を表している。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)容器は、HDPE樹脂ペレットにリサイクルし、その後、容器、フィルム又は射出成形品を形成させるのに使用することが可能であり、それにより、例えば、化石燃料エネルギーを大幅に節約することができる。該ポリエチレンは、その寿命の終わりに、例えば、焼却によって処分することができる。全てのインプット及びアウトプットは、そのライフサイクルの全ての段階で考慮される。
【0023】
これらの及び他の態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を読むことによって当業者に明らかになるであろう。不確かさを避けるために、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の他の任意の態様において利用することができる。表現「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味するが、必ずしも「からなる」又は「で構成されている」を意味するわけではないということが意図されている。言い換えれば、記載されている段階又はオプションは、包括的である必要はない。以下の詳細な説明に記載されている例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの例自体に限定することを意図するものではないことは留意されたい。同様に、別途示されていない限り、全てのパーセンテージは、重量/重量パーセントである。実施例及び比較例における場合を除いて、又は、明示的に示されている場合を除いて、この説明において材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性及び/若しくは使用について示している全ての数字は、「約」という語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「xからyまで」の形式で表される数値範囲は、xとyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記述されている場合、異なるエンドポイントを組み合わせた全ての範囲も考慮されることは理解される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の態様において、本発明は、包装用の持続可能な物品に関する。本発明の持続可能な物品は、ポストコンシューマー樹脂(PCR)から作製され、そして、好ましくは、未使用のプラスチックを実質的に含んでいない。
【0025】
「実質的に含んでいない」とは、当該物品が、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、さらに好ましくは2重量%未満、一層さらに好ましくは1重量%未満、又は、まさに0重量%の未使用プラスチックを含んでいることを意味する。
【0026】
本発明で使用されるPCRは、再生ポリエチレンであり、好ましくは再生高密度ポリエチレン(HDPE)である。
【0027】
好ましくは、本発明の物品は、多層ポストコンシューマー樹脂(PCR)を含む。
【0028】
該多層は、少なくとも2つの層(外層及び内層)を含む。
【0029】
該外層は、典型的には、物品の外側にある層であり、これは、通常、消費者に直接見える。
【0030】
該多層の外層は、ナチュラルプラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(N-PCR)を含む。ナチュラルプラスチック廃棄物は、典型的には、廃棄された牛乳若しくは乳製品のボトル又は類似したものに由来する。
【0031】
該多層の内層は、ナチュラルプラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(N-PCR)又は着色プラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(J-PCR)を含む。好ましくは、該内層の少なくとも50%は、着色プラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(J-PCR)を含む。好ましくは、該内層は、少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、一層さらに好ましくは少なくとも80%、一層さらに好ましくは少なくとも90%、又は、まさに100%の着色プラスチック廃棄物(J-PCR)を含む。
【0032】
着色プラスチック廃棄物は、典型的には、廃棄された着色及び/又は混合消費者用ボトルに由来する。着色プラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂は、一般に、Jazz PCR(J-PCR)と称される。
【0033】
N-PCR及びJ-PCRは、どちらも、ヨーロッパのViridor、QCP及びBiffa並びに北米のKW plasticsなどのさまざまな供給業者から市場で入手することができる。
【0034】
二層として存在している場合、外層と内層の重量比は、典型的には、99:1~1:99であるが、好ましくは1:1から、さらに好ましくは3:7から、又は、まさに1:3から、好ましくは1:20まで、さらに好ましくは1:10まで、又は、まさに1:5までである。
【0035】
本発明の多層は、さらに、第2の内層を含むことができ、この第2の内層は、存在する場合、最も内側の層となり、これは、典型的には製品と接触する層となる。
【0036】
該第2の内層は、存在する場合、ナチュラルプラスチック廃棄物のポストコンシューマー樹脂(N-PCR)を含む。
【0037】
N-PCRの外層の使用は、主に物品の外側により強い色彩を提供することを意図しているが、多層物品にN-PCRの第2の内層(又は、最内層)を設置することで、多くの場合J-PCRに由来する悪臭が低減される。
【0038】
三層として存在する場合、外層対内層対第2の内層の重量比は、1:1.5:1~1:98:1であるが、好ましくは1:2:1から、さらに好ましくは1:3:1から、好ましくは1:18:1まで、さらに好ましくは1:10:1まで、又は、まさに1:8:1まで、又は、まさに1:5:1までである。
【0039】
好ましくは、該外層及び/又は内層は、着色剤マスターバッチを含む。さらに好ましくは、該外層は、着色剤マスターバッチを含む。「着色剤マスターバッチ」とは、キャリヤ材料中に顔料が高濃度で分散している混合物を意味する。該着色剤マスターバッチは、物品に色を与えるために使用される。
【0040】
該キャリヤは、生物ベースのプラスチック若しくは石油ベースのプラスチックであり得るか、又は、生物ベースのオイル若しくは石油ベースのオイルであり得るか、又は、ポストコンシューマー樹脂(PCR)製であり得る。
【0041】
該キャリヤの非限定的な例としては、生物由来又はオイル由来のポリエチレン(例えば、LLDPE、LDPE、HDPE)、生物由来のオイル(例えば、オリーブ油、菜種油、ピーナッツ油)、石油由来のオイル、再生オイル、生物由来又は石油由来のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、再生高密度ポリエチレン(rHDPE)、再生低密度ポリエチレン(rLDPE)などがある。好ましくは、該キャリヤは、再生高密度ポリエチレン(rHDPE)又は再生低密度ポリエチレン(rLDPE)である。
【0042】
全ての層が100%のPCRでできていることが望ましい場合、該キャリヤもまた、好ましくは、PCRから選択される。同様に、層が100%の特定のPCRを有することが望まれる場合、該キャリヤは、好ましくは、同じPCRから選択される。
【0043】
該マスターバッチの顔料は、存在する場合、NIRで検出可能な顔料である。本発明の範囲内では、カーボンブラックは好ましくない。NIRで検出可能な該顔料は、好ましくは黒色である。該顔料は、典型的には、既知の色の組み合わせで作られている。
【0044】
消費者が許容できる黒は、反射率計を使用して測定して、CIE L値として表される色において、Lの値が25未満(好ましくは23未満、さらに好ましくは20未満、一層さらに好ましくは15未満、一層さらに好ましくは12未満、又は、まさに10未満)であり、aの値が-5~5(好ましくは-2~3、さらに好ましくは0~2)の範囲内であり、及び、bの値が-10~10(好ましくは-8~5)の範囲内である色として定義され得る。
【0045】
NIRで検出可能な顔料は、近赤外(NIR)分光法で検出可能な顔料を意味する。
【0046】
該キャリヤの顔料には、例えば、無機顔料、有機顔料、高分子樹脂又はそれらの混合物が含まれ得る。
【0047】
任意に、該着色剤マスターバッチは、さらに、1種類以上の添加剤を含むことができる。添加剤の非限定的な例としては、スリップ剤、紫外線吸収剤、核剤、紫外線安定剤、熱安定剤、清澄剤、充填剤、光沢剤、加工助剤、香料、フレーバー及びそれらの混合物などがある。
【0048】
そのようなNIRで検出可能な顔料は、当技術分野において知られており、そして、さまざまな供給業者によって提供されている。例えば、Clariantによって世界的に提供されており、及び、Colourtone Masterbatch Ltd.によって欧州において提供されている。
【0049】
本発明による物品は、好ましくは、容器である。特に、本発明による物品は、非食品グレードの容器である。
【0050】
方法
本発明の物品は、ブロー成形を使用して製造することができる。ブロー成形は、熱可塑性材料から中空のプラスチック部品を形成させる製造プロセスでる。ブロー成形プロセスは、熱可塑性プラスチックを溶融させてパリソン又は予備成形物を形成させることから始まる。パリソンは、圧縮空気が通過できる穴が一端に開いているチューブ様のプラスチック片である。加圧ガス(通常は、空気)を使用して、該パリソン又は該高温の予備成形物を膨張させ、金型キャビティに押し付ける。その圧力は、プラスチックが冷えるまで保持する。プラスチックが冷却されて硬化した後、金型が開き、成形品が排出される。
【0051】
主要な3種類のブロー成形がある:押出ブロー成形、射出ブロー成形、及び、射出延伸ブロー成形。押出ブロー成形では、プラスチックの溶融チューブを金型キャビティ内に押し出し、圧縮空気で膨張させる。シリンダーの一端は、挟まれて閉じている。プラスチック成形品が冷却した後、それを金型から取り出す。押出ブロー成形を使用して、本発明の多層物品を製造することができる。
【0052】
使用
さらなる態様において、本発明は、パーソナルケア製品、美容製品、化粧品、ホームケア製品及び/又は食品などの日用消費財(FMCG)を包装するための本発明による物品の使用を提供する。
【実施例
【0053】
例1
この例では、両方ともJ-PCRで作られた内層と外層を有し、80%層の1%がColourtone F95884で、外層の4%がColourtone F95884で着色されているボトル(比較例A)を、本発明による層を有し、80%層の1%がColourtone F95884で、外層の4%がColourtone F95884で着色されているボトル(実施例1)と比較する。
【表1】
【表2】
【0054】
結果として得られた比較例Aのボトルの色は、黒色マスターバッチ(Colourtone F95884)で着色されたにもかかわらず、灰色がかっていた。消費者が許容できる望ましい黒は、両方の層に未使用のHDPEを使用する対照ボトルで得られる。この色は、本発明による層を有するボトル(実施例1)の色と同等であるが、比較例Aのボトルの色とは同等ではない。
【0055】
例2
この例では、全ての層がJ-PCRで作られた3つの層を有し、60%中間層(内層)の3%がClariant PE94000797で、20%外層の3%がClariant PE94000804で着色されている3層ボトル(比較例B)を、本発明による層を有し、60%中間層(内層)の3%がClariant PE94000797で、20%外層の3%がClariant PE94000804で着色されているボトル(実施例2及び実施例3)と比較する。
【表3】
【0056】
結果として得られた比較例Bのボトルの色は、黒色マスターバッチ(中間層(内層)Clariant PE94000797、及び、外層Clariant PE94000804)で着色されたにもかかわらず、灰色がかっていた。消費者が許容できる望ましい黒は、本発明による層を有する実施例2及び実施例3のボトルで得られたが、比較例Bのボトルでは得られなかった。