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特許7615167ウィック・ヒーター組立体及びこれを含むエアロゾル生成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】ウィック・ヒーター組立体及びこれを含むエアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/44 20200101AFI20250108BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20250108BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20250108BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20250108BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/46
A24F40/10
A24F40/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022562274
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 KR2022009394
(87)【国際公開番号】W WO2023008756
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0099323
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チュル ホ
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ギョウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ヒュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジャン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ミン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン チュル
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0015385(US,A1)
【文献】国際公開第2020/157506(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0011827(KR,A)
【文献】国際公開第2020/259973(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0238424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状のエアロゾル発生基材を吸収する多孔性ウィック;及び前記吸収された液状のエアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを発生させるヒーター;を
含むウィック・ヒーター組立体において、
前記多孔性ウィックは複数個の多孔性ビード(bead)を含み、
前記ヒーターは、多孔性ウィックの一面又は多孔性ウィックに内蔵されて位置し、横パターンと縦パターンとが交互に繰り返されながら連結された平らな形態の加熱パターンを含み、
前記加熱パターン内の縦パターン間の間隔(A)が前記多孔性ビードの直径(B)よりも大きく、
前記ウィック・ヒーター組立体は、前記縦パターンの間の空間に前記多孔性ビードが挿入された構造であ
前記ウィック・ヒーター組立体は、前記液状のエアロゾル発生基材の移動のために、前記複数個の多孔性ビードの間;と前記縦パターンと挿入された多孔性ビードとの間;に空隙を有する構造を有する、
ウィック・ヒーター組立体。
【請求項2】
前記ヒーターは、前記多孔性ウィックにおいて外部に露出して最外殻に位置する多孔性ビードが連続的に連結されて形成された領域に接触して位置する、請求項1に記載のウィック・ヒーター組立体。
【請求項3】
前記加熱パターンは、横パターンを連結部として縦パターン間に平行を維持しながら連結された構造であり、
前記縦パターン間の間隔は一定である、請求項1に記載のウィック・ヒーター組立体。
【請求項4】
各縦パターンが終わる地点で前記横パターンが連結され、各横パターンが終わる地点で前記縦パターンが連結される構造が繰り返される、請求項3に記載のウィック・ヒーター組立体。
【請求項5】
前記多孔性ビードの直径(B)に対する前記縦パターン間の間隔(A)の比(A / B)が1.1超20以下である、請求項1に記載のウィック・ヒーター組立体。
【請求項6】
前記多孔性ビードの直径(B)に対する前記縦パターン間の間隔(A)の比(A / B)が1.5超10以下である、請求項1に記載のウィック・ヒーター組立体。
【請求項7】
前記ヒーターは、多孔性ウィックの一面から内部方向に400μm以下の深さに内蔵されて位置する加熱パターンである、請求項1に記載のウィック・ヒーター組立体。
【請求項8】
前記多孔性ウィックの形状は、H類似形状である、請求項1に記載のウィック・ヒーター組立体。
【請求項9】
前記多孔性ウィックは、体心立方構造又は面心立方構造でスフィアパッキングされた構造体である、請求項1に記載のウィック・ヒーター組立体。
【請求項10】
液状のエアロゾル発生基材を貯蔵する液状貯蔵部;
エアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル発生部;
及び
使用者の吸入により生成されたエアロゾルを排出するマウスピース;を
含み、
前記エアロゾル発生部は、請求項1から9のいずれか一項に記載のウィック・ヒーター組立体を含む、エアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィック・ヒーター組立体及びこれを含むエアロゾル生成装置に関する。
【0002】
本出願は、2021年7月28日付け韓国特許出願第10-2021-0099323号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容を本明細書の一部として含む。
【背景技術】
【0003】
近年、一般的なシガレットの欠点を克服する代替喫煙物品に関する需要が増加している。例えば、既存のシガレットを燃焼させてエアロゾルを生成する方法ではなく、液状のエアロゾル発生基材を加熱させてエアロゾルを生成する装置に対する需要が増加しており、これに関する研究が活発に進められている。
【0004】
前記液状のエアロゾル発生基材を加熱させる方法のエアロゾル発生装置は、液状のエアロゾル発生基材を吸収するウィック(wick)と、液状を加熱させるヒーター(heater)とが結合されたウィック・ヒーター組立体を含む。前記ウィック・ヒーター組立体を製造するためにウィック上にヒーターを結合する方法において、ヒーターをウィックの内部に内蔵させるインモールド(In-modl)方式と、ヒーターをウィックの表面上で内部方向にヒーター厚さ分だけ陥没させる方式が使用されることができる。
【0005】
上記のように、ヒーターをウィック表面上でその厚さ分だけ陥没させる場合には、ウィック・ヒーター組立体の生産費用が相対的に削減されるという利点があり、インモールド方式に比べてエアロゾルの発生量が増加するという利点があるが、パターン化されたヒーターの一面が陥没せずに外部に露出して空気と直接接触することにより、当該ヒーター面まで液状のエアロゾル発生基材が円滑に移動できない場合には、ヒーターで部分的に異常過熱現象が発生し、炭味が発現する問題点があった。
【0006】
具体的に、ウィックとして多孔性ビードを使用する場合には、ヒーターの加熱パターンの間の空間に多孔性ビードが挿入されて空隙を形成するようになり、これを経路として多孔性ウィックから空気と接触するヒーターの一面まで液状のエアロゾル発生基材が移動することができる。このとき、加熱後、多孔性ウィックからヒーターの空気接触面まで再び液状のエアロゾル発生基材が移動するためには一定時間を要し、液状のエアロゾル発生基材が到達する前に空気と接触している状態で加熱が始まると気化熱による冷却効果を期待することができないため、ヒーターの一部において300度以上の異常過熱で液状炭化現象及び炭味が発現する問題点が指摘されてきた。
【0007】
したがって、加熱パターンを有するヒーターを含むウィック・ヒーター組立体において、外部空気と接触するヒーター面まで円滑に液状のエアロゾル発生基材が移動できないという問題点を解決するための研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1690389号「液体貯蔵部分を有する電気的に加熱される喫煙システム」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは上記問題を解決するために、多孔性ウィックに含まれた多孔性ビードの大きさとヒーターの加熱パターン間の間隔との関係を考慮したウィック・ヒーター組立体の設計を通じて、円滑な液状エアロゾル発生基材の移動により異常過熱現象及び炭味発現を防止することができるウィック・ヒーター組立体及びこれを含むエアロゾル発生装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1側面によれば、
液状のエアロゾル発生基材を吸収する多孔性ウィック;及び前記吸収された液状のエアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを発生させるヒーター;を含むウィック・ヒーター組立体において、前記多孔性ウィックは、複数個の多孔性ビード(bead)を含み、前記ヒーターは、多孔性ウィックの一面又は多孔性ウィックに内蔵されて位置し、横パターンと縦パターンとが交互に繰り返されながら連結された平らな形態の加熱パターンを含み、前記加熱パターン内の縦パターン間の間隔(A)が前記多孔性ビードの直径(B)よりも大きい、ウィック・ヒーター組立体を提供する。
【0011】
本発明の一具体例において、縦パターンの間の空間に多孔性ビードが挿入された構造であってもよい。
【0012】
本発明の一具体例において、前記液状のエアロゾル発生基材の移動のために、複数個の多孔性ビードの間;と前記縦パターンと挿入された多孔性ビードとの間;に空隙を有する構造であってもよい。
【0013】
本発明の一具体例において、前記加熱パターンは、横パターンを連結部として縦パターン間に平行を維持しながら連結された構造であり、前記縦パターン間の間隔は一定であってもよい。
【0014】
本発明の一具体例において、前記多孔性ビードの直径(B)に対する前記縦パターン間の間隔(A)の比(A / B)が1.1超20以下であってもよい。
【0015】
本発明の一具体例において、前記多孔性ビードの直径(B)に対する前記縦パターン間の間隔(A)の比(A / B)が1.5超10以下であってもよい。
【0016】
本発明の一具体例において、前記ヒーターは、多孔性ウィックの一面から内部方向に400μm以下の深さに内蔵されて位置する加熱パターンであってもよい。
【0017】
本発明の第2側面によれば、
液状のエアロゾル発生基材を貯蔵する液状貯蔵部;エアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル発生部;及び使用者の吸入により生成されたエアロゾルを排出するマウスピース;を含み、前記エアロゾル発生部は、前記ウィック・ヒーター組立体を含む、エアロゾル発生装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るウィック・ヒーター組立体及びこれを含むエアロゾル発生装置は、加熱パターン間隔と多孔性ビードの大きさとの関係を考慮したウィック・ヒーター組立体の設計で、ヒーターの加熱で液状のエアロゾル発生基材が気化した後にも、ウィックの毛細管現象を通じて空気と接触する加熱パターン面まで液状のエアロゾル発生基材が円滑に移動し、ヒーターの一部が瞬間過度に加熱される異常過熱現象及びこれによる炭味発現現象を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のウィック・ヒーター組立体の模式図を示す。
図2】本発明のウィック・ヒーター組立体に含まれたヒーターの模式図を示す。
図3】従来のウィック・ヒーター組立体内の(a)ヒーター加熱前の初期状態及び(b)ヒーター加熱後の状態における、液状エアロゾル発生基材の移動を模式図で示す。
図4】従来のウィック・ヒーター組立体を用いてエアロゾルを生成した後に発生した液状炭化現象を撮影した写真である。
図5】本発明のウィック・ヒーター組立体内の(a)ヒーター加熱前の初期状態及び(b)ヒーター加熱後の状態における、液状エアロゾル発生基材の移動を模式図で示す。
図6】本発明のウィック・ヒーター組立体を用いてエアロゾルを生成した後にウィック・ヒーター組立体を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるとの原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載された具体例及び図面に示された構成は本発明の最も好ましい一具体例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを置き換えることができる様々な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0021】
図面において各構成要素又はその構成要素をなす特定部分の大きさは、説明の便宜及び明確性のために誇張、省略又は概略的に示されている。したがって、各構成要素の大きさは実際の大きさを全的に反映するものではない。関連する公知機能或いは構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要にぼかすことができると判断される場合、そのような説明は省略する。
【0022】
ウィック・ヒーター組立体において、ヒーターを加熱してエアロゾルを発生させた後、多孔性ウィックの毛細管現象を通じて液状のエアロゾル発生基材が再び空気と接触するヒーターのパターン形態面まで搬送されるのに一定の所要時間が必要である。ただし、液状のエアロゾル発生基材が上記パターン形態の面まで到達できない状態で再び加熱が始まる場合に、気化熱による冷却効果なくヒーターが局部的に異常過熱を起こし、これにより液状が燃える現象が発生する問題点があった。
【0023】
本発明の発明者は上記のような問題点を解決するために、ウィック・ヒーター組立体の設計時に多孔性ウィックの毛細管現象を通じて吸収された液状のエアロゾル発生基材が空気と接触するパターン形態の面まで円滑に移送され、異常過熱や炭化現象が発生しない、ヒーター縦パターン間隔と多孔性ビードの大きさとの関係について研究し、本発明のウィック・ヒーター組立体及びこれを含むエアロゾル発生基材を提供するに至った。
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
【0025】
本明細書において、「エアロゾル発生基材」は、エアロゾル(aerosol)を発生させることができる物質と定義される。前記エアロゾル発生基材は液状の組成物であってもよく、具体的にニコチン、タバコ抽出物及び/又は様々な香味剤を基礎とする液状組成物を含むことができるが、これに特に制限されない。具体例として、前記エアロゾル発生基材は、プロピレングリコール及びグリセリンのうちの少なくとも1つを含むことができ、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールのうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。前記エアロゾル発生基材は、シナモン、カプサイシンなどの様々な添加物質をさらに含むことができる。前記エアロゾル発生基材は、流動性が大きい液体物質だけでなく、ゲル又は固形分形態の物質を含むことができ、基材に含まれた組成成分は実施例によって異なる場合があり、特定の割合に制限されない。
【0026】
本明細書において、「エアロゾル発生装置」は、使用者の口を介して使用者の肺に直接吸入が可能なエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生基材を用いてエアロゾルを発生させる装置と定義される。例えば、前記エアロゾル発生装置は、液状型エアロゾル発生装置、蒸気化器とシガレットを共に使用するハイブリッド型エアロゾル発生装置を含むことができるが、これに特に制限されず、様々な類型のエアロゾル発生装置をさらに含むことができる。
【0027】
本発明は、液状のエアロゾル発生基材30を吸収する多孔性ウィック10;及び前記吸収された液状のエアロゾル発生基材30を加熱してエアロゾルを発生させるヒーター20;を含むウィック・ヒーター組立体において、前記多孔性ウィック10は、複数個の多孔性ビード(bead)11を含み、前記ヒーター20は、多孔性ウィックの一面又は多孔性ウィックに内蔵されて位置し、横パターン21と縦パターン22とが交互に繰り返されながら連結された平らな形態の加熱パターンを含み、前記加熱パターン内の縦パターン22間の間隔Aが前記多孔性ビード11の直径Bよりも大きい、ウィック・ヒーター組立体を提供する。
【0028】
前記ウィック・ヒーター組立体は、液状のエアロゾル発生基材30を吸収する多孔性ウィック(porous wick)10を含む。前記多孔性ウィック10は、液状貯蔵部から液状のエアロゾル発生基材30を吸収してこれを加熱させ、エアロゾルを発生させるヒーター20まで移送する役割をする構成であってもよい。
【0029】
前記多孔性ウィック10は、複数個のビード(bead)を含む構造体で、例えば、体心立方構造(Body-centered Cubic;BCC)又は面心立方構造(Face-centered Cubic;FCC)でスフィアパッキング(sphere packing)された構造体であってもよいが、これに特に制限されず、様々なパッキング構造を有してもよい。前記多孔性ウィック10の形状は、液状貯蔵部から液状のエアロゾル発生基材30を容易に吸収することができる形状であれば特に限定されず、例えばH類似形状、∩類似形状、∪類似形状などでさまざまな形状に設計及び具現されることができる。
【0030】
前記多孔性ウィック10は、複数個の多孔性ビード11を含む。前記多孔性ビード11の素材は様々であってもよく、例えばガラスビード(glass bead)、セラミックビード(ceramic bead)又はアルミナビード(alumina bead)を含むことができるが、多孔性素材として液状のエアロゾル発生基材30を円滑に移送することができる素材のビードであれば、これに特に制限されない。
【0031】
前記ウィック・ヒーター組立体は、前記吸収された液状のエアロゾル発生基材30を加熱してエアロゾルを発生させるヒーター20を含む。前記ヒーター20は、多孔性ウィック10から移送された液状のエアロゾル発生基材30を加熱により気化させてエアロゾルを生成する役割をする構成であってもよい。
【0032】
図1及び図2に示すように、前記ヒーター20は、多孔性ウィック10の一面又は多孔性ウィック10に内蔵されて位置し、横パターン21と縦パターン22とが交互に繰り返されながら連結された平らな形態の加熱パターンを含む。
【0033】
本明細書において多孔性ウィックの「一面」は、多孔性ウィックにおいて外部に露出して最外郭に位置する多孔性ビードが連続的に連結されて形成された領域と定義されることができ、平らな面又は折り曲げられた面がすべて含まれることができる。
【0034】
本明細書において、「横パターン」は、ヒーターが位置する多孔性ウィックの一面又はヒーターが内蔵されて位置する多孔性ウィックの一面において長さが長い角の方向に配置されたパターンと定義され、「縦パターン」は逆に、多孔性ウィックの一面又はヒーターが内蔵されて位置する多孔性ウィックの一面において長さが短い角の方向に配置されたパターンと定義される。
【0035】
前記加熱パターンは、横パターン21を連結部として縦パターン22間に平行を維持しながら連結された構造であってもよい。具体的に、図2に示すように、ヒーターの両端には端子が位置し、両端子の間には縦パターン22-横パターン21-縦パターン22-横パターン21の順に繰り返し連結された加熱パターンが位置することができ、各縦パターン22が終わる地点で横パターン21が連結され、各横パターン21が終わる地点で縦パターン22が連結されて繰り返される構造であってもよい。前記横パターン21及び縦パターン22が繰り返されるヒーター20の構造を通じて、縦パターン22の間に間隔が形成されることができ、前記多孔性ウィック10を介して吸収された液状のエアロゾル発生基材30が、上記間隔を介して空気と接触するヒーター面や外部方向を向くヒーター面まで移動され、加熱時にエアロゾルを発生させることができる。
【0036】
前記加熱パターン内の縦パターン22間の間隔Aが前記多孔性ビード11の直径Bよりも大きい。図5に示すように、前記加熱パターン内の縦パターン22間の間隔Aが前記多孔性ビード11の直径Bよりも大きい場合には、前記縦パターン22の間の空間に多孔性ビード(11)が挿入された構造であってもよい。前記多孔性ビード11の挿入により、縦パターン22の間の空間には液状のエアロゾル発生基材30が移動することができる空隙が形成されることができる。
【0037】
前記液状のエアロゾル発生基材30の移動のために、前記ウィック・ヒーター組立体は、複数個の多孔性ビード11の間;と前記縦パターン22と挿入された多孔性ビード11との間;に空隙を有する構造であってもよい。挿入された多孔性ビード11の間;又は縦パターン22と挿入された多孔性ビード11との間;に空隙が形成され、これにより、液状のエアロゾル発生基材30が毛細管現象を通じて移動し、空気と接触するヒーター面や外部方向を向くヒーター面まで移送されることができる。
【0038】
具体的に、前記加熱パターン内の縦パターン22間の間隔Aが前記多孔性ビード11の直径Bよりも大きい場合には、図5の(a)に示すようにヒーター20の加熱前の初期状態はもちろん、図5の(b)に示すように、縦パターン22の間に形成された空間に多孔性ビード11が容易に挿入されて空隙を形成し、これにより空隙なく液状を円滑に移送されることができ、縦パターン22の間の経路を介しても液状が特別な妨害要素なく移送され、ヒーター20の加熱時にパターン形態のヒーター面が外部空気と接触しないように、液状のエアロゾル発生基材30で全て包み込まれた状態でエアロゾルを発生させることができる。その結果、液状であるエアロゾル発生基材30の気化による冷却効果で、異常過熱現象や液状の炭化現象による炭味の発現などの問題を防止することができる効果がある。
【0039】
一方、前記加熱パターン内の縦パターン22間の間隔(A)が前記多孔性ビード11の直径(B)と同一であるか又は小さい場合には、縦パターン22の間に形成された空間に多孔性ビード11が挿入されにくく、縦パターン22の間の経路を介した移送を多孔性ビード11の大きい直径が妨げることができ、液状の円滑な移送のための空隙の形成も難しいことがある。
【0040】
具体的に、図3の(a)に示すように、ヒーター20の加熱前にはパターン形態のヒーター面が外部空気と接触しないように液状のエアロゾル発生基材30がヒーターをすべて包み込む初期状態であっても、図3の(b)に示すように、いったんヒーター30を加熱してエアロゾルを発生させた後には、ヒーターの縦パターン22の間の経路を介してはパターン間隔よりも大きい直径を有する多孔性ビード11の妨害により、液体の円滑な移送が難しいことがあり、これにより、パターン形態のヒーター面が空気と接触した状態でヒーターが加熱され、異常過熱及び液状の炭化現象が発生する可能性がある。
【0041】
前記ウィック・ヒーター組立体の前記縦パターン22間の間隔は一定であってもよい。上記ウィック・ヒーター組立体の製造時に多孔性ビード11の直径サイズを考慮して、縦パターン22間の間隔を液状のエアロゾル発生基材30が円滑に移送され、ヒーター20の局部的異常過熱や炭化現象を防止することができる程度の一定の間隔で設計することができる。
【0042】
前記多孔性ビード11の直径Bに対する前記縦パターン22間の間隔Aの比(A/B)が1.1を超過、1.2を超過、1.3を超過、1.4を超過、1.5を超過、1.6を超過、1.7を超過、1.8を超過、1.9を超過、2を超過、3を超過、4を超過、5を超過、6を超過、7を超過、8を超過、9を超過することができ、前記多孔性ビード11の直径Bに対する前記縦パターン22間の間隔Aの比(A/B)が20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、 15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下又は2以下であってもよい。前記多孔性ビード11の直径Bに対する前記縦パターン22間の間隔Aの比(A/B)が1.1以下である場合には、多孔性ビード11が縦パターン22の間の空間に均一に挿入されることが容易ではなく、多孔性ビード11が挿入されても縦パターン22の間に形成されることができる空隙の体積が相対的に小さいため、液状のエアロゾル発生基材30がパターンの間を通過して空気と接触するパターン面まで到達しにくい場合がある。また、前記比(A/B)が1.1以下である場合、挿入された多孔性ビード11の上部側に複数の多孔性ビード11が多量に積み重なる場合には、液状のエアロゾル発生基材30が移動することができる経路をさらに妨げる要素として作用してヒーター20のパターン面まで液状が到達しにくく、局部的過熱により液状が燃える現象が発生する可能性がある。前記多孔性ビード11の直径Bに対する前記縦パターン22間の間隔Aの比(A/B)が20を超える場合には、ビードサイズ対比ヒーターのパターン間の間隔が過度に遠くなり、ヒーター自体の経路が短くなるにつれて電力密度が高くなって発熱量が増加し、このとき、液状の円滑な供給が要求されるにもかかわらず、相対的に多孔性ビードの直径が小さいため、ウィックを介した液状供給が円滑でなく、液状が燃える現象が発生する可能性がある。
【0043】
前記ヒーター20は、多孔性ウィック10の一面から内部方向に400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下又は50μm以下の深さに内蔵されて位置する加熱であってもよい。前記加熱パターンが多孔性ウィック10の一面から内部方向に400μmを超える深さに内蔵された場合には、多孔性ウィック10の周辺部を加熱するのに必要な熱量の増加で一定温度まで多孔性ウィック全体の温度を上昇させることが容易でないため、エアロゾル発生量が減少することができる。
【0044】
前記エアロゾル発生装置は、液状のエアロゾル発生基材30を貯蔵する液状貯蔵部;エアロゾル発生基材30を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル発生部;及び使用者の吸入により生成されたエアロゾルを排出するマウスピース;を含み、前記エアロゾル発生部は、前記ウィック・ヒーター組立体を含む。
【0045】
前記エアロゾル発生装置は、液状エアロゾル発生基材30を貯蔵する液状貯蔵部を含む。前記液状貯蔵部は、内部に液状のエアロゾル発生基材30を貯蔵することができる所定の空間を備え、当該空間に液状のエアロゾル発生基材30を貯蔵することができる。前記液状貯蔵部は、貯蔵された液状のエアロゾル発生基材30を多孔性ウィック10を介してヒーター20に供給することができ、液状のエアロゾル発生基材30を内部に貯蔵し多孔性ウィック10にこれを容易に供給することができるものであれば、大きさ及び形状は特に制限されない。
【0046】
前記エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生基材30を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル発生部を含む。前記エアロゾル発生部は、前記ウィック・ヒーター組立体を含む。前記ウィック・ヒーター組立体に関する具体的な説明は前述の通りである。
【0047】
前記エアロゾル発生装置は、使用者の吸入により生成されたエアロゾルを排出するマウスピースを含む。前記マウスピースは、エアロゾル発生部から発生されたエアロゾルを吸入するために使用者の口部と直接接触される部分であってもよい。前記マウスピースは、口部との接触による微生物の発生抑制のために香菌素材を含むことができ、香味を付加するために加香要素を含むことができる。前記マウスピースは、エアロゾル生成部に通じて生成されたエアロゾルが使用者に容易に伝達されることができるものであれば、大きさ及び形状は特に制限されない。
【0048】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示したが、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されることであるだけで、本発明がこれに限定されるものではない。
【0049】
実施例1及び2:エアロゾル発生装置の製造
【0050】
[実施例1]
ガラスビード(直径:145μm)をバインダーと混合し焼成させ、多孔性ウィックを製造した。前記多孔性ウィックの下部面上に横パターン及び縦パターンが繰り返し連結された加熱パターンを含むヒーターを結合し、ウィック・ヒーター組立体を製造した。このとき、前記ヒーターは、縦パターン間の間隔が180μmと一定であった。
【0051】
前記ウィック・ヒーター組立体を液状のエアロゾル発生基材を含むカートリッジと結合させた後、これを支持する本体に連結し、エアロゾル発生装置を製造した。
【0052】
[実施例2]
ウィック・ヒーター組立体の製造時に直径115μmであるガラスビード及び縦パターン間の間隔が210μmであるヒーターを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でエアロゾル発生装置を製造した。
【0053】
実験例1:ホルムアルデヒド(Formaldehyde)排出量の測定
【0054】
前記実施例1及び2により製造されたエアロゾル発生装置を用いてエアロゾルを発生させた後、ホルムアルデヒド測定装備(Waters社、LC/UV)を用いてエアロゾル内に含まれたホルムアルデヒドの排出量(μg/100cm)を測定し、その結果を下記の表1に示した。
【表1】
【0055】
上記表1の結果から、ホルムアルデヒドに対する最大露出が容認される限界点であるMEL(Maximum Exposure Limit)5.5μg/100cm基準、実施例1及び2により排出されるエアロゾルは、ホルムアルデヒド排出量が容認されることができる範囲内であることを確認した。
【0056】
以上において、本発明はたとえ限定された実施例と図面により説明されたが、本発明はこれにより限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と以下に記載する特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10: 多孔性ウィック
11: 多孔性ビード
20: ヒーター
21: 横パターン
22: 縦パターン
30:液状のエアロゾル発生基材
A:縦パターン間の間隔
B:多孔性ビードの直径
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6