(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】対象物を安全に乾燥させるための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A45D 20/10 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
A45D20/10 104
A45D20/10 101
(21)【出願番号】P 2022567564
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 CN2021092177
(87)【国際公開番号】W WO2021227957
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/089408
(32)【優先日】2020-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/095146
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521284381
【氏名又は名称】深▲せん▼汝原科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SZ ZUVI TECHNOLOGY CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 25D, 25/F, Microsoft Ketong Building, 55 Gaoxin South 9th Road, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong Province, China 518057
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン ミンユ
(72)【発明者】
【氏名】シュ シンワン
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/155574(WO,A1)
【文献】特開平09-047056(JP,A)
【文献】特開2010-051068(JP,A)
【文献】特開2017-085878(JP,A)
【文献】特開2016-059387(JP,A)
【文献】特開平07-289347(JP,A)
【文献】特開2004-275645(JP,A)
【文献】特開2019-126412(JP,A)
【文献】実開昭60-007560(JP,U)
【文献】特開平04-332867(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0027940(US,A1)
【文献】特開2018-023754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/00 - 20/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物乾燥用の装置であって、
気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供するように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記気流チャネルを通る気流を生成するように構成された気流生成要素と、
放射を生成し、前記放射を前記ハウジングの外部に向けるように構成された
複数の放射エネルギー源と、
前記気流生成要素及び前記
複数の放射エネルギー源の動作を制御するように構成されたデバイスコントローラと、を備え、
気流が髪に当たる領域は、実質的に髪上の赤外線放射の領域を取り囲むことができ、髪に吹き付ける気流の速度は髪の温度を適切な温度範囲内に維持するように調整することができるように、前記デバイスコントローラが、風速検出デバイスを介して前記気流チャネル内の異常な風速を検出するように構成され、
前記デバイスコントローラが、前記異常な風速を検出した後、前記気流生成要素及び/又は前記
複数の放射エネルギー源をオフにするように動作可能であり、
前記複数の放射エネルギー源が、赤外線放射を生成し、前記赤外線放射を前記ハウジングの外部に向けるように構成されており、
前記複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つの一部が、前記気流チャネル内の気流と接触するように配置され、
前記デバイスコントローラが、アナログデジタル変換器(ADC)モジュールで構成され
前記ADCモジュールが、前記気流生成要素用のモータへの駆動電流をサンプリングし、前記気流生成要素用の前記モータを監視するためのデジタル信号を生成するように動作する装置。
【請求項2】
前記装置が、少なくとも前記放射エネルギー源及び前記気流生成要素に電力を供給するように構成された電力要素を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電力要素が、電源へのワイヤ接続を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記デバイスコントローラが、モータ駆動信号、モータイネーブル信号、及びモータ電源イネーブル信号のうちの1つ又は複数を介して、前記気流生成要素をオフにするように動作可能であり、
前記モータイネーブル信号及び前記モータ電源イネーブル信号のうちの少なくとも1つが、特定の論理ゲートを介して決定することができる事前に構成された一連の命令である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記特定の論理ゲートは、デバイスコントローラ出力ピンの3つと結合する3つのチャネル入力を備える「AND」ゲートである、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記デバイスコントローラが、1つ又は複数の放射源イネーブル信号を介して、前記1つ又は複数の放射エネルギー源をオン又はオフにするように動作可能であり、
前記1つ又は複数の放射源イネーブル信号が特定の論理ゲートを介して決定することができる事前に構成された一連の命令である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記特定の論理ゲートは、デバイスコントローラ出力ピンの3つと結合する3つのチャネル入力を備える「AND」ゲートである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源への電源を管理するように構成された少なくとも1つの電力マネージャを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電力マネージャが、電子回路又は電気機械デバイスであり、交流(AC)を入力電圧レベルから前記気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源の動作電圧レベルに変換するように動作可能である電力変換器を備える、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電力マネージャが、気流生成要素及び放射エネルギー源に電力を供給するように構成されている、請求項
8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも電力マネージャが、分離されたモジュール又は単一のモジュールであるように構成されている、請求項
8又は9に記載の装置。
【請求項12】
外部電源から電力マネージャに電力を分配するように構成された電力アダプタを含む、請求項
8又は9に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、前記気流生成要素用のモータの速度を調整するように構成されたモータ制御回路を更に備える、請求項
8又は9に記載の装置。
【請求項14】
前記モータ制御回路が、電界効果トランジスタを備える、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
前記モータ制御回路が、前記デバイスコントローラから駆動信号を受信し、前記気流生成要素用の前記モータを駆動するための駆動電流を生成するように構成されている、請求項
13に記載の装置。
【請求項16】
前記ADCモジュールが、1つ又は複数の放射エネルギー源への入力電流をサンプリングし、前記1つ又は複数の放射エネルギー源を監視するためのデジタル信号を生成するように動作する、請求項
1に記載の装置。
【請求項17】
前記ADCモジュールは、入力電流の異常な電流値が検出されると、放射エネルギー源に関連付けられた異常状態を検出するように構成されている、請求項
1に記載の装置。
【請求項18】
前記風速検出デバイスが、加熱抵抗器と熱的に結合された感温抵抗器を備え、前記感温抵抗器に関連付けられた温度が異常であると判断することによって前記異常な風速を検出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記デバイスコントローラが、前記感温抵抗器の抵抗値を測定することに基づいて、前記感温抵抗器に関連付けられた前記温度を測定するよう、測定された前記感温抵抗器に関連付けられた温度を事前に構成されたテーブルと比較することによって、異常な風速を検出するように動作可能である、請求項
18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年5月9日に出願された国際出願番号PCT/CN2020/089408号、及び2020年6月9日に出願された国際出願番号PCT/CN2020/095146号に対する優先権を主張し、それぞれの内容は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、対象物乾燥用の装置に関する。より具体的には、本開示は、赤外線(IR)放射を利用して加熱し、髪から水分を除去するヘアドライヤーの安全機能に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のヘアドライヤー(例えば、ブロードライヤー)は、熱風を吹き付けて濡れた髪を乾かす。ヘアドライヤーは、モータ駆動のインペラによって室温の空気を取り込み、抵抗発熱体(ニクロム線など)によって気流を加熱する。熱気流は、髪だけでなく髪の周囲の空気の温度も上昇させる。温度が上昇すると、水滴内の個々の分子が互いの引力を克服し、液体状態から気体状態に変化するのが促進されるため、濡れた髪からの水の蒸発が加速される。髪の周囲の空気の温度が高くなると、濡れた髪の周囲の相対湿度も低下し、蒸発プロセスが更に加速する。
【0004】
気流を加熱する際、従来のヘアドライヤーは抵抗発熱体を使用して電気エネルギーを対流熱に変換する。しかしながら、熱気流の一部のみが髪に到達し、熱気流によって運ばれる熱の一部のみしか髪及び髪上の水分に伝達されないため、対流熱伝達は熱伝達効率が低くなる可能性がある(例えば、熱の一部は周囲の空気に吸収される)。加えて、従来のヘアドライヤーで使用される対流熱は、髪を完全に乾かすために髪を熱気流に過度にさらす。髪の表面だけが加熱されるため、縮れた髪、乾燥した髪、ダメージを受けた髪の原因となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
髪及び布地などの他の対象物乾燥用の、より高いエネルギー効率を備えた改良された装置が必要とされている。赤外線(IR)放射は、本開示の乾燥装置において熱エネルギー源として利用され、対象物から水及び水分を除去する。赤外線放射エネルギー源は赤外線エネルギーを放出して、安定した一貫した熱を提供できる。赤外線エネルギーは対象物(例えば、髪)に向けることができるため、熱は放射熱伝達方式で対象物に直接伝達され、熱伝達効率が向上する。
【0006】
赤外線放射エネルギー源の過熱及びその結果による耐用年数の短縮を防止するために、赤外線放射エネルギー源の動作温度を管理する必要性が存在する。赤外線放射エネルギー源の動作温度は、気流チャネル又は気流チャネル内の気流に接触するように赤外線放射エネルギー源の一部を配置することによって管理され、赤外線放射エネルギー源からの余分な熱は、気流チャネル又は気流に伝達され得るようにする。
【0007】
コンパクトで軽量なコードレスの対象物乾燥用の装置が必要とされている。本開示のコードレス乾燥装置は、再充電可能及び/又は交換可能な内蔵バッテリによって電力を供給され、乾燥装置を携帯可能且つ便利にする。赤外線放射エネルギー源の改善された熱伝達効率及びエネルギー効率の結果として、満足のいく乾燥効果を保証するために高い出力電力密度を維持しながら、バッテリ式コードレス乾燥装置の動作時間を延長することができる。
【0008】
髪への熱ダメージを防ぐ能力を有する髪乾燥用の装置も必要とされている。髪乾燥用の装置には、複数のセンサを設けて、ユーザの髪、周囲の環境及び/又は装置の動作のパラメータを測定することができる。髪乾燥用の装置は、例えば、ユーザが装置を髪に近付けすぎた場合、又は装置に故障が検出された場合、ユーザが装置の動作を調節又は停止できるように、触覚フィードバックをユーザに与えることができる。
【0009】
事故や火災の危険を防止するための十分な安全機能を提供することができる髪乾燥用の装置も必要とされている。髪乾燥用の装置は、装置が動作しているときに安全を確保するために包括的な安全スキームを採用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示されるのは、対象物乾燥用の装置である。装置は、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供するように構成されたハウジングと、ハウジング内に収容され、気流チャネルを通る気流を発生させるように構成された気流生成要素と、赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源であって、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つが気流チャネルに接触せずに配置される第1の部分を備える、1つ又は複数の放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給するように構成された電力要素と、を備えることができる。対象物を乾燥させる方法も開示される。方法は、ハウジングを介して、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供することと、ハウジング内に収容された気流生成要素を介して、気流チャネルを通る気流を発生させることと、1つ又は複数の放射エネルギー源であって、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つが気流チャネルに接触せずに配置されている第1の部分を備える、1つ又は複数の放射エネルギー源を介して赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けることと、電力要素を介して、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給することと、を含むことができる。
【0011】
また、対象物乾燥用の装置が本明細書に開示される。装置は、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供するように構成されたハウジングと、ハウジング内に収容され、気流チャネルを通る気流を発生させるように構成された気流生成要素と、ハウジング内に収容され、赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源と、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つに結合され、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つから熱を放散するように構成された熱結合と、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給するように構成された電力要素と、を備えることができる。対象物を乾燥させる方法も開示される。方法は、ハウジングを介して、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供することと、ハウジング内に収容された気流生成要素を介して、気流チャネルを通る気流を発生させることと、ハウジング内に収容された1つ又は複数の放射エネルギー源を介して赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けることと、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つに結合された熱結合を介して、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つの熱を放散することと、電力要素を介して、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給することと、を含むことができる。
【0012】
また、対象物乾燥用の装置が本明細書に開示される。装置は、ハウジングと、赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源であって、1つ又は複数の放射エネルギー源のそれぞれがリフレクタを含み、リフレクタはハウジングの外部に向かった開口部を有する、1つ又は複数の放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源に電力を供給するように構成された電力要素と、を備えることができる。1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクタのうちの少なくとも1つは、切り欠き形状を有することができる。
【0013】
また、放射エネルギー源が本明細書に開示される。放射エネルギー源は、赤外線放射を生成するように構成された放射エミッタと、少なくとも1つの頂点及び放射エネルギー源の外部に向かう開口部を有するリフレクタであって、赤外線放射を放射エネルギー源の外部に向けるように構成されたリフレクタと、を含むことができる。放射エミッタは、放射エミッタの遠位端が開口部に向かないように配置及び配向することができる。放射エミッタも開示される。放射エミッタは、電力供給時に放射を生成するように構成された放射生成要素と、放射生成要素の下に配置され、放射エミッタの外部に向かって放射の少なくとも一部を反射するように構成された放射反射要素と、放射生成要素及び放射反射要素を封止するように構成された封止部材と、を備えることができる。
【0014】
また、対象物乾燥用の装置が本明細書に開示される。装置は、ハウジングと、赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源であって、1つ又は複数の放射エネルギー源のそれぞれが本開示の放射エミッタ及びリフレクタを含み、リフレクタはハウジングの外部に向かった開口部を有する、1つ又は複数の放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源に電力を供給するように構成された電力要素と、を備えることができる。
【0015】
また、対象物乾燥用の装置が本明細書に開示される。装置は、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供するように構成されたハウジングと、ハウジング内に収容され、気流チャネルを通る気流を発生させるように構成された気流生成要素であって、少なくとも低騒音モータを備える気流生成要素と、ハウジング内に収容され、赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けるように構成された放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給するように構成された電力要素と、を備えることができる。
【0016】
また、対象物を乾燥させる方法が本明細書に開示される。方法は、ハウジングを介して、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供することと、ハウジング内に収容された気流生成要素を介して、気流チャネルを通る気流を発生させることであって、気流生成要素は少なくとも低騒音モータを備える、発生させることと、ハウジングに収容された放射エネルギー源を介して赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けることと、電力要素を介して、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給することと、を含むことができる。
【0017】
また、対象物乾燥用の装置が本明細書に開示される。装置は、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給するように構成された電力要素と、電力要素の動作を制御するように構成された電力要素コントローラと、気流生成要素及び1つ又は複数の放射エネルギー源の動作を制御するように構成されたデバイスコントローラであって、電力要素コントローラが接続されているデバイスコントローラと、を備えることができる。
【0018】
また、対象物乾燥用の装置が本明細書に開示される。装置は、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供するように構成されたハウジングと、放射を生成し、放射をハウジングの外部に向けて、放射によって乾燥される対象物を加熱するように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源と、ハウジング内に収容され,気流チャネルを通る気流を生成して乾燥中の対象物を冷却するように構成された気流生成要素と、感温抵抗器の抵抗値を測定することにより気流チャネル内の風速を検出するように構成されたデバイスコントローラと、を備えることができる。
【0019】
本開示の追加の態様及び利点は、本開示を実施するために企図される最良の形態の単なる例示として、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明されている,以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の及び異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて本開示から逸脱することなく、様々な明白な点で変更が可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【0020】
参照による組み込み
本明細書で言及されたすべての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、及び添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の実施形態による、例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
【
図2】本開示の実施形態による、例示的なヘアドライヤー内の気流生成要素及び放射エネルギー源を示す拡大断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による、例示的な放射エネルギー源を示す概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、例示的なヘアドライヤーの外観を示す側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、別の例示的なヘアドライヤーの外観を示す側面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、別の例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、別の例示的なヘアドライヤーにおける気流生成要素及び放射エネルギー源を示す拡大断面図である。
【
図8】本開示の実施形態による、別の例示的な放射エネルギー源を示す概略図である。
【
図9】本開示の実施形態による、別の例示的なヘアドライヤーの外観を示す側面図である。
【
図10】本開示の実施形態による、更に別の例示的な放射エネルギー源を示す概略図である。
【
図11】本開示の実施形態による、
図10の例示的な放射エネルギー源を示す断面図である。
【
図12】本開示の実施形態による、更に別の例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
【
図13】本開示の実施形態による、ヘアドライヤー内のセンサ構成を示す概略図である。
【
図14】本発明の実施形態による、デバイス制御システムの一例を示す。
【
図15】本発明の実施形態による、対象物を安全に乾燥させるための装置の一例を示す。
【
図16】本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物を安全に乾燥させるための装置の別の例を示す。
【
図17】本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物乾燥用の装置の一例を示す。
【
図18】本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物乾燥用の装置の別の例を示す。
【
図19】本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物を安全に乾燥させる方法の一例を示す。
【
図20】本発明の実施形態による、対象物乾燥用の装置で使用することができる風速検出デバイスの一例を示す。
【
図21】本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物乾燥用の装置で使用できる風速検出デバイスの例示的な設計を示す。
【
図22】本発明の実施形態による、他の安全機能と共に風速検出デバイスを備えた対象物乾燥用の装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、当業者には、そのような実施形態が単なる例として提供されていることが明らかであろう。今や、当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を想起するであろう。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に採用され得ることが理解されるべきである。
【0024】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書における本発明の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。
【0025】
別段の指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用されるコンポーネント、技術的効果などのパラメータを表すすべての数値は、すべての場合において「約」又は「実質的に」という用語によって変更されると理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性及び効果に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、有効桁数と通常の丸め手法に照らして解釈されるべきである。
【0026】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示す数値は可能な限り正確に提供される。しかしながら、数値には、それぞれのテスト測定で検出された標準偏差から必然的に生じる特定の誤差が本質的に含まれている。本明細書を通じて与えられるすべての数値範囲は、あたかもそのような狭い数値範囲がすべて本明細書に明示的に記載されているかのように、そのような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を含む。
【0027】
対象物を乾燥させるための装置及び方法が提供される。本開示の乾燥装置は、赤外線(IR)放射エネルギー源を熱エネルギー源として利用することによって、対象物(例えば、髪、布地)から水及び水分を除去することができる。赤外線放射エネルギー源は、対象物を加熱するために、所定の波長範囲及び電力密度を有する赤外線エネルギーを放出することができる。赤外線エネルギーによって運ばれる熱は、放射熱伝達方式で対象物に直接伝達されるため、熱伝達効率が従来の対流熱伝達方式と比較して改善される(例えば、放射熱伝達方式では周囲の空気に熱が実質的に吸収されないが、従来の対流熱伝達方式では大部分の熱が周囲の空気に吸収されてから吹き飛ばされる)。赤外線放射エネルギー源は、気流生成要素(例えば、モータ駆動のインペラ)と組み合わせて使用することができ、この気流は対象物からの水の蒸発を更に加速する。
【0028】
赤外線放射を熱エネルギー源として利用するもう1つの利点は、赤外線の熱が髪のキューティクルの皮質まで毛幹に浸透するため、髪をより速く乾燥させ、髪をリラックスさせて柔らかくすることである。赤外線エネルギーはまた、頭皮の健康を助け、頭皮の血流を増加させることによって髪の成長を刺激すると考えられている。赤外線放射エネルギー源を利用すると、気流を加熱するための抵抗ワイヤグリッドが必要ないため、コンパクトで軽量な乾燥装置を実現できる。赤外線放射エネルギー源の改善された熱伝達効率及びエネルギー効率はまた、内蔵バッテリによって電力を供給されるコードレス乾燥装置が延長された動作時間で動作することを可能にすることができる。
【0029】
図1は、本開示の実施形態による、例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。ヘアドライヤーは、ハウジング101を備えることができる。気流生成要素102、放射エネルギー源103、制御回路(図示せず)、及び電源アダプタ(図示せず)などの様々な電気的、機械的及び電気機械的コンポーネントをハウジング101内に収容することができる。放射エネルギー源103は、放射熱エネルギーを生成し、熱エネルギーをユーザの髪に向けるように構成することができる。気流生成要素102は、ユーザの髪からの水の蒸発を促進する気流を生成するように構成することができる。ヘアドライヤーは、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素にエネルギーを与えるように構成された電力要素を備えることができる。
【0030】
ヘアドライヤーは、外部電源で電力を供給され得る。電力要素は、外部電源から受け取った電圧及び/又は電流を調整する電力アダプタを備えることができる。例えば、ヘアドライヤーは、電源コードを介して外部バッテリ又は電力網に電気的に接続することによってエネルギーを与えることができる。追加的又は代替的に、ヘアドライヤーは、内蔵電源で電力を供給できる。電力要素は、ハウジング内に収容される1つ又は複数のバッテリを備えることができる。1つ又は複数のバッテリは、再充電可能(例えば、二次バッテリ)及び/又は交換可能であり得る。例示的な例では、1つ又は複数のバッテリ104は、ヘアドライヤーのハウジング(例えば、ハウジングのハンドル)内に収容することができる。バッテリの状況(例えば、バッテリの充電状況、残存電力)は、例えば、ハウジングのスクリーン又は発光ダイオード(LED)インジケータによって提供され得る。
【0031】
ハウジングは、本体及びハンドルを備えることができ、そのそれぞれが、電気的、機械的、及び電気機械的コンポーネントの少なくとも一部を内部に収容することができる。いくつかの場合では、本体とハンドルを一体化することができる。いくつかの場合では、本体とハンドルを別々のコンポーネントにすることができる。例えば、ハンドルは本体から取り外し可能である。例示的な例では、取り外し可能なハンドルは、ヘアドライヤーに電力を供給するために使用される1つ又は複数のバッテリを内部に収容することができる。ハウジングは、電気の流れに対して高い抵抗を有する電気絶縁材料から作ることができる。電気絶縁材料の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、熱可塑性樹脂、シリコーン、ガラス、ガラス繊維、樹脂、ゴム、セラミック、ナイロン、木が含まれ得る。ハウジングはまた、電気絶縁材料でコーティングされた金属材料、又は電気絶縁材料と、電気絶縁材料でコーティングされた又はコーティングされていない金属材料との組み合わせから作ることができる。例えば、電気絶縁材料はハウジングの内層を形成することができ、金属材料はハウジングの外層を形成することができる。
【0032】
ハウジングは、その中に1つ又は複数の気流チャネルを提供することができる。気流生成要素によって生成された気流は、気流チャネルを通してユーザの髪に向けて方向付け及び/又は調整することができる。例えば、気流チャネルは、ヘアドライヤーから出る気流の少なくとも速度、処理量、発散角、又は渦度を調整するように成形することができる。気流チャネルは、気流入口及び気流出口を含むことができる。例示的な例では、気流入口と気流出口は、ヘアドライヤーの長手方向に沿って両端に配置することができる。気流入口と気流出口はそれぞれ、効率的な気流の処理量を可能にする通気孔にすることができる。環境空気は、気流入口を介して気流チャネル内に抽出されて気流を生成することができ、生成された気流は、気流出口を介して気流チャネルから出ることができる。
【0033】
いくつかの場合では、気流入口に1つ又は複数のエアフィルタを設けて、ほこりや髪が気流チャネルに入るのを防ぐことができる。例えば、エアフィルタは、適切なメッシュサイズを有するメッシュであり得る。エアフィルタは、クリーニングやメンテナンスのために取り外し可能又は交換可能である。いくつかの場合では、気流出口に気流調整器を設けることができる。気流調整器は、取り外し可能なノズル、くし、又はカーラーにすることができる。気流調整器は、気流出口から吹き出す気流の速度、処理量、発散角、又は渦度を調整するように構成することができる。例えば、気流調整器は、気流出口から前方の所定の距離で気流を収束させる(例えば、集中させる)ように成形することができる。例えば、気流調整器は、気流出口から出る気流を拡散するような形状にすることができる。
【0034】
本開示の実施形態による例示的なヘアドライヤーにおける気流生成要素及び放射エネルギー源を示す拡大断面図である
図2に例示するように、気流生成要素102は、モータ1022によって駆動されるインペラ1021を備えることができる。インペラは、複数のブレードを備えることができる。モータによって作動されると、インペラの回転により、気流入口を介して気流チャネルに環境空気を抽出し、気流を生成し、生成された気流を気流チャネルを通して押し出し、気流を気流出口から排出することができる。モータは、モータホルダーで支持するか、モータシュラウドに収納することができる。モータは、コントローラ(図示せず)の制御下で回転速度を調整できるブラシレスモータとすることができる。例えば、モータの回転速度は、プリセットプログラム、ユーザの入力、又はセンサデータによって制御することができる。任意の方向で測定したモータの寸法は、14mm(ミリメートル)から21mmの範囲にすることができる。モータの電力出力は、35から80ワット(W)の範囲とすることができる。気流出口から出る気流の最大速度は、少なくとも8メートル/秒(m/s)にすることができる。
【0035】
図1及び
図2では気流生成要素102をハウジングの本体に収容されているものとして図示しているが、当業者は、それがハンドル内に配置することもできることを理解することができる。例えば、インペラの回転は、ハンドルに設けられた通気孔(例えば、気流入口)に空気を抽出し、空気を気流チャネルを通してハウジングの本体の端部に設けられた気流出口に押し出すことができる。したがって、気流チャネルは、ハウジングのハンドル及び本体を通って延びることができる。
【0036】
放射エネルギー源103は、赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けるように構成することができる。放射エネルギー源は、放射エネルギー源ホルダーによって支持されるか、又は放射エネルギー源シュラウドに収容され得る。いくつかの実施形態では、放射エネルギー源は、電気エネルギーを赤外線放射エネルギーに変換する赤外線ランプであり得る。例示的な例では、赤外線ランプは、所定の波長を有する放射を放出するように構成された放射エミッタと、気流チャネルの出口に向かって放射を反射するように構成されたリフレクタとを備えることができる。別の例示的な例では、赤外線ランプは、赤外線発光ダイオード(LED)又は二酸化炭素レーザなどのレーザ装置であってもよい。レーザ装置が赤外線ランプとして利用される例示的な例では、リフレクタは必ずしも必要でない場合がある。レーザ装置からの放射を発散させ、赤外線放射によって放射される領域を増大させるために、光学要素を設けることができる。放射エネルギーは、ユーザの髪に向けることができる。このため、熱は放射熱伝達方式で髪に伝達され、ヘアドライヤーの熱伝達効率が向上する。赤外線ランプの詳細は、以下の開示で提供される。
【0037】
図2に示される例示的な例では、気流チャネルエンクロージャ105を設けて、気流チャネル107を(例えば、気流チャネルの境界として)画定することができる。気流チャネルエンクロージャ105は、ヘアドライヤーの長手方向の一端から長手方向の他端まで実質的に延びることができる。モータとインペラは、気流チャネルエンクロージャの入口端に隣接して配置できる。気流の特性(例えば、速度、発散角、又は渦度)は、気流チャネルエンクロージャによって調整することができる。例えば、気流出口を出る気流の所望の速度分布及び/又は発散角を生成するために、気流チャネルエンクロージャの断面形状は、その長手方向に沿って変化することができる。いくつかの場合では、赤外線ランプは、赤外線ランプエンクロージャ106内に収容することができる。赤外線ランプエンクロージャは、赤外線ランプを保護する役割を果たすことができる。赤外線ランプの外面と赤外線ランプエンクロージャの内面との間の空間は、真空度を備えることができる。いくつかの実施形態では、赤外線ランプエンクロージャ106は、気流チャネルエンクロージャ105内に配置することができる。気流チャネル107の少なくとも一部は、
図2に示すように、気流チャネルエンクロージャ105及び赤外線ランプエンクロージャ106によって画定することができる。この構成を有するヘアドライヤーの側面図が
図4に示されており、赤外線ランプ103の出力は、気流チャネル107の気流出口によって取り囲まれている。いくつかの実施形態では、赤外線ランプエンクロージャは、気流チャネルエンクロージャの外部に配置することができる(例えば、赤外線ランプエンクロージャは、気流チャネルエンクロージャによって取り囲まれない)。この構成を有するヘアドライヤーの側面図が
図5に示されており、赤外線ランプ103の出力は、気流チャネル107の気流出口から分離されている。当業者は、気流チャネルのエンクロージャ又は赤外線ランプのエンクロージャのいずれかがオプションであり得ることを理解するであろう。
【0038】
気流チャネルは、
図1及び
図2においてハウジングの本体の長手方向の一端にある気流入口からハウジングの本体の長手方向の他端にある気流出口まで延びているものとして示されているが、当業者は、気流入口及び/又は気流出口が本開示のヘアドライヤーのハウジング上に分散され、複数の気流チャネル及び/又は気流チャネルの分岐がヘアドライヤーのハウジング内に提供され得ることを理解することができる。一例では、気流入口の少なくとも一部をハウジングのハンドルに配置することができる。別の例では、気流出口の少なくとも一部をハウジングのハンドルに配置して、気流の一部をハンドル内に収容された1つ又は複数のバッテリに導入して通過させ、それによって1つ又は複数のバッテリを冷却できるようにすることができる。
【0039】
図3は、本開示の実施形態による、例示的な放射エネルギー源を示す概略図である。いくつかの実施形態では、放射エネルギー源は赤外線ランプとすることができる。赤外線ランプ103は、気流チャネルの気流出口に向けられた開口部を有するリフレクタ1032と、リフレクタの内部に配置された放射エミッタ1031とを備えることができる。放射エミッタ1031は、所定の波長範囲内の放射を放出するように構成することができる。放射エミッタから放出された放射は、リフレクタ1032の反射面(例えば、内面)によってヘアドライヤーの外部に向かって反射することができる。
【0040】
放射エミッタは、導電性ヒータ(例えば、金属抵抗又は炭素繊維上で動作するヒータ)又はセラミックヒータであり得る。金属抵抗器の例としては、タングステンフィラメント及びクロメル(例えば、ニクロムとしても知られるニッケルとクロムの合金)フィラメントを挙げることができる。セラミックヒータの例は、正温度係数(PTC)ヒータ及び金属セラミックヒータ(MCH)を含むことができる。セラミックヒータは、セラミック内に埋め込まれた金属発熱体、例えば窒化ケイ素又は炭化ケイ素内のタングステンを含む。放射エミッタは、ワイヤ(例えば、フィラメント)の形で提供することができる。ワイヤは、その長さ及び/又は表面を増加させるためにパターン化することができる(例えば、らせんフィラメント)。放射エミッタは、ロッドの形で提供することもできる。例示的な例では、放射エミッタは、所定の直径及び長さを有する窒化ケイ素ロッド、炭化ケイ素ロッド、又は炭素繊維ロッドとすることができる。
【0041】
いくつかの場合では、放射エミッタによって放出される放射は、0.4μmから0.7μmまでの可視スペクトル及び0.7μmを超える赤外線スペクトルを実質的にカバーすることができる。いくつかの場合では、放射エミッタによって放出される放射は、赤外線スペクトルのみを実質的にカバーすることができる。例示的な例では、放射エミッタは、エネルギーが与えられると、0.7μmから20μmまでの波長を有する放射を放出することができる。放射エミッタによって放出される放射の電力密度は、少なくとも、1kW/m2、2kW/m2、3kW/m2、4kW/m2、5kW/m2、6kW/m2、7kW/m2、8kW/m2、9kW/m2、10kW/m2、20kW/m2、30kW/m2、40kW/m2、50kW/m2、60kW/m2、70kW/m2、80kW/m2、90kW/m2、100kW/m2、120kW/m2、140kW/m2、160kW/m2、180kW/m2、200kW/m2、220kW/m2、240kW/m2、260kW/m2、280kW/m2、300kW/m2、350kW/m2、400kW/m2、450kW/m2、500kW/m2、又はそれ以上であり得る。
【0042】
対象物は、熱伝達の形態として赤外線から可視波長範囲で放射する。この熱伝達は黒体放射と呼ばれる。黒体放射は赤外線源として利用できる。黒体は広帯域放射である。中心波長並びにスペクトル帯域幅は、温度が上昇するにつれて減少する。総エネルギーはS×T4に比例し、ここで、Sは表面積を指し、Tは温度である。より高い赤外線放射を得るには、温度を上げることが不可欠である。放射エミッタ1031の温度は、少なくとも、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、又は2000℃であり得る。例示的な例では、放射エミッタの温度は、摂氏900度から1500度であり得る。放射エミッタによって放射される放射の中心波長又は波長範囲は、例えば、少なくとも0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5又は10.0μmだけ調節可能である。放射エミッタから放出される放射の電力密度は、ヘアドライヤーの異なる動作モード(例えば、急速乾燥モード、髪健康モードなど)の下で、例えば、それに供給される電圧及び/又は電流を変更することによって、調節可能であり得る。
【0043】
リフレクタ1032は、放射エミッタから放射される放射を調整するように構成することができる。例えば、リフレクタは、反射された放射ビームの発散角を減少させるように成形することができる。一実施形態では、リフレクタ1032は、
図2に示すように実質的に円錐形を有することができる。例えば、リフレクタの反射面の断面は放物線とすることができる。放射エミッタ1031は、反射された放射ビームが実質的に平行な放射ビームとなるように放物線の焦点に配置することができる。放射エミッタは、放射の反射ビームがヘアドライヤーの前の距離で収束又は発散できるように、放物線の焦点からずらして配置することもできる。リフレクタ1032内の放射エミッタ1031の位置は調節可能であり、したがって放射の出力ビームの収束度及び/又は方向は変更可能である。リフレクタの形状及び放射エミッタの形状は、ヘアドライヤーの外側の所望の位置での所望の加熱電力出力のために、互いに最適化及び変更することができる。
【0044】
リフレクタの反射面は、放射エミッタによって放出される放射の波長又は波長範囲に対して高い反射率を有するコーティング材料でコーティングすることができる。例えば、コーティング材料は、可視スペクトル及び赤外光スペクトルの両方の波長に対して高い反射率を有することができる。反射率の高い材料は、放射エネルギーを反射する際に高い効果を有することができる。コーティング材料の例としては、金属材料及び誘電体材料を挙げることができる。金属材料は、例えば、金、銀、及びアルミニウムを含むことができる。誘電体コーティングは、フッ化マグネシウムとフッ化カルシウムなどの交互の誘電体材料の層を有することができる。リフレクタのコーティングされた反射面の反射率は、少なくとも90%(例えば、入射放射の90%がリフレクタの反射面によって反射される)、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%,93.5%、94%,94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、又はそれ以上であり得る。いくつかの場合では、リフレクタのコーティングされた反射面の反射率は実質的に100%であり、これは、放射エミッタによって放射された実質的にすべての放射がヘアドライヤーの外部に向かって反射できることを意味する。その結果、放射エミッタの温度が高くても、放射エミッタから放出される放射によってリフレクタの表面の温度が実質的に上昇することはない。
【0045】
光学要素1033は、リフレクタの開口部に設けることができる。光学要素は、リフレクタの開口部に気密に当接することができる。光学要素は、レンズ、リフレクタ、プリズム、回折格子、ビームスプリッタ、フィルタ、又は光を修正又は方向転換するそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、光学要素はレンズであり得る。いくつかの実施形態では、光学要素はフレネルレンズであり得る。
【0046】
リフレクタの内部は真空度を有するように構成することができる。リフレクタの内部の圧力は、0.9標準気圧(atm)、0.8atm、0.7atm、0.6atm、0.5atm、0.4atm、0.3atm、0.2atm、0.1atm、0.05atm、0.01atm、0.001atm、0.0001atm以下より小さいものであり得る。例示的な例では、リフレクタの内部の圧力は、約0.001気圧以下であり得る。真空は、放射エミッタ1031の蒸発及び/又は酸化を抑制し、赤外線ランプの寿命を延ばすことができる。真空はまた、放射エミッタと光学要素及び/又はリフレクタとの間の熱対流又は熱伝導を防止することができる。いくつかの場合では、光学要素の内面及びコーティングされたリフレクタによって形成される空間内の空気の温度上昇を低減するために、一定レベルの真空を引き続き維持しながら、リフレクタの内部をある量の非酸化ガスで満たすことができ、これにより熱対流と熱伝導によって温度が上昇するが、最小限である。非酸化性ガスの例としては、窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、及び窒素(N2)を挙げることができる。不活性ガスの存在は、放射エミッタの材料を酸化及び蒸発から更に保護することができる。
【0047】
光学要素は、赤外線透過率の高い材料から作ることができる。光学要素の材料の例としては、酸化物(例、二酸化ケイ素)、金属フッ化物(例、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)、金属硫化物又は金属セレン化物(例、硫化亜鉛、セレン化亜鉛)、結晶(例、結晶性シリコン、結晶性ゲルマニウム)を挙げることができる。追加的又は代替的に、光学要素の片面又は両面を、可視スペクトル及び紫外スペクトルを吸収する材料でコーティングして、赤外線範囲の波長のみが光学要素を通過できるようにすることができる。赤外線スペクトルに含まれない放射は、光学要素によって除去(吸収など)することができる。光学要素の赤外線透過率は、少なくとも95%(例えば、赤外線スペクトルの入射放射の95%が光学要素を透過する)、95.5%、96.0%、96.5%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%以上であり得る。例示的な例では、光学要素の赤外線透過率は99%であり得る。
【0048】
光学要素は、リフレクタによって反射された放射から、特定の波長を有する放射又は所定の波長範囲を有する放射を除去する(例えば、吸収する)ことができる。例えば、光学要素は、赤外線スペクトルの放射のみがユーザの髪に向けられるように、到達する放射から可視光スペクトル及び/又は紫外線スペクトルを選択的に除去することができる。例示的な例では、放射エミッタは、0.4μmから20μmまでの波長を有する放射を放出することができ、リフレクタは、すべての放射を光学要素に向けて反射することができ(例えば、放射は反射面で吸収されない)、光学要素は、0.4μm~0.7μmの可視スペクトル波長を反射放射から除外し、赤外線ランプから出る赤外線スペクトルの放射のみを残すことができる。
【0049】
光学要素は、到達する放射を所定の方向に収束又は発散させるか、又は到着する放射ビームの発散角を減少させるように成形することができる。光学要素は、凸レンズ、凹レンズ、凸レンズ及び/又は凹レンズのセット、又はフレネルレンズであり得る。例えば、導電性抵抗器、セラミックヒータ、又はLEDが放射エミッタとして使用される場合、光学要素は、反射された放射を所定の収束角度で所定の方向に収束させて、ヘアドライヤーの前の所定の距離にある所定の形状及び所定のサイズを有する放射スポットを形成するように構成することができる。例えば、レーザ装置が放射エミッタとして使用される場合、光学要素は、生成された放射ビームを所定の発散角で所定の方向に発散させて、赤外線放射によって放射されるユーザの髪の領域を増加させるように構成することができる。
【0050】
光学要素での温度上昇はわずかであり得る。放射エミッタ1031によって放射される放射中の可視スペクトル及び紫外スペクトルの含有量は低いものであり得る。放射エミッタ1031の材料に応じて、可視スペクトル及び紫外スペクトルの放射によって運ばれるエネルギーは、放射エミッタによって放出される放射の総エネルギーの5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、又は0.1%未満を占めることができる。言い換えれば、放射エミッタ1031によって放射される放射エネルギー(例えば、可視スペクトル及び紫外スペクトルの放射によって運ばれるエネルギー)のわずかな部分のみが光学要素によって吸収されて、温度上昇を引き起こす可能性がある。光学要素での温度上昇は、リフレクタの内部の真空(例えば、光学要素とリフレクタの反射面によって囲まれた空間)によって更に抑えることができ、この真空は、放射エミッタと光学要素の間の熱対流又は熱伝導を防ぐ。いくつかの場合では、気流の一部を気流チャネルから光学要素の外面に導入することができ(例えば、光学要素全体に吹き付ける)、それにより光学要素及び周囲領域の温度を赤外線ランプの動作中は実質的に変化しないように維持することができる。その結果、放射エミッタの温度が高くても、光学要素の温度上昇を小さくすることができる。
【0051】
放射エミッタが反射体から断熱されるように、断熱材(例えば、グラスファイバー、ミネラルウール、セルロース、ポリウレタンフォーム、又はポリスチレン)を放射エミッタとリフレクタの間に挿入することができる。断熱により、放射エミッタの温度が高くても、リフレクタの温度が上昇するのを防止することができる。光学要素がリフレクタから断熱されるように、断熱材を光学要素の周囲とリフレクタとの間に挿入することもできる。
【0052】
上述したように、リフレクタの外面の温度は、放射エミッタがエネルギーを与えられたとしても、放射エミッタによって生成された放射によって実質的に上昇しない。リフレクタの外面の温度上昇の抑制は、リフレクタの反射面のコーティング材料の高い反射率、リフレクタの内部の真空、光学要素の高い赤外線透過率、放射エミッタとリフレクタとの間、並びに光学要素とリフレクタとの間の断熱、又はそれらの組み合わせによって達成できる。その結果、気流は、気流チャネルを通って移動し、ヘアドライヤーを出る間、赤外線ランプによって実質的に加熱されない。赤外線ランプによって生じる気流の温度上昇は、摂氏5度(℃)、4.5℃、4.0℃、3.5℃、3.0℃、2.5℃、2.0℃、1.5℃、1.0℃、0.5℃、0.1℃以下よりも小さいものであり得る。例示的な例では、赤外線ランプによって生じる気流の温度上昇は、3℃未満であり得る。言い換えれば、赤外線ランプで生成された放射は、気流の温度上昇を実質的に説明するものではない。
【0053】
当業者は、気流の温度が、回路、電線、電源リード線、電源アダプタ、及びコントローラなどのヘアドライヤー内の電気コンポーネントによって必然的にある程度上昇する可能性があることを理解することができる。例えば、気流チャネル全体を通過する気流の温度上昇は、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、15℃、14.5℃、14.0℃、13.5℃、13.0℃、12.5℃、12.0℃、11.5℃、11.0℃、10.5℃、10.0℃、9.5℃、9.0℃、8.5℃、8.0℃、7.5℃、7.0℃、6.5℃、6.0℃、5.5℃、5.0℃以下を超えないものであり得る。例示的な例では、室温は25℃であり、本開示のヘアドライヤーの気流チャネル全体を通って移動する気流の温度上昇は最大15℃であり、気流出口における40℃の気流の温度をもたらす。これは、従来の熱風ベースのヘアドライヤーから吹き出す気流の温度よりもはるかに低い温度である。比較例では、従来のヘアドライヤー1番目(Dyson(登録商標)HD01)から吹き出す気流の温度は約140℃である。別の比較例として、従来のヘアドライヤー2番目(Panasonic(登録商標)EH-JNA9C)から吹き出す気流の温度は約105℃である。比較例において、ニクロム線ヒータへの電源を遮断した場合、従来のヘアドライヤー1番目から吹き出す気流の温度は、室温27℃の状態で約36℃である(例えば、ニクロム線ヒータ以外の電気コンポーネントにより、気流は約9℃加熱される)。
【0054】
ユーザの髪に到達する気流の温度は、空気中の熱放散により、ヘアドライヤーの気流出口で測定された温度よりも低くなり得る。例示的な実施例では、本開示のヘアドライヤーの気流出口の前方10cmでの気流温度は、室温が25℃であり、気流出口での気流の温度が約40℃であるという条件下で、約28℃である。比較例において、従来のヘアドライヤー1番目の気流出口手前10cmでの気流温度は、室温が25℃、気流出口の温度が約140℃の条件で、約74.4℃である。
【0055】
相対的に冷たい気流(例えば、室温)は、ユーザの髪を乾かし、スタイリングするのに有益であり得る。例えば、熱気流を吹き付ける従来のヘアドライヤーで発生する可能性のある縮れた髪、乾燥した髪、ダメージを受けた髪を避けることができる。冷気流のもう1つの利点は、高温では役立たない様々なセンサをヘアドライヤーに装備できることである。センサは、温度センサ、近接/測距センサ、及び/又は湿度センサを含むことができる。センサは、例えばハウジングの気流出口側に配置して、ユーザの髪の状況(例えば、湿度の程度)を監視することができる。気流が髪に当たる領域は、実質的に髪上の赤外線放射の領域(例えば、放射スポット)を取り囲むことができる。気流は、髪の周りの湿った空気を吹き飛ばすことにより、髪から加熱された水の蒸発を加速することができる。気流はまた、赤外線放射によって放射される髪の温度を低下させ、髪のダメージを回避することができる。髪を熱くしすぎないようにしながら、髪からの水の蒸発を促進するために、髪と髪の水の温度を適切な範囲に維持する必要がある。適切な温度範囲は摂氏50~60度であり得る。髪に吹き付ける気流の速度は、例えば加熱された水と過剰な熱を吹き飛ばすことによって、髪の温度を適切な温度範囲内に維持するように調整することができる。近接/測距センサと温度センサは、髪の温度を決定し、フィードバックループ制御を介して気流の速度を調整して、髪の一定又はプログラムされた温度を維持するために、集合的に動作できる。
【0056】
図6は、本開示の実施形態による、別の例示的なヘアドライヤーを示す断面図である。
図7は、
図6のヘアドライヤーの本体を示す拡大断面図である。ヘアドライヤーは、外部電源及び/又は内蔵バッテリによって電力を供給され得る。ヘアドライヤーは、ハウジング601を備えることができる。ハウジングは本体とハンドルを含むことができる。気流生成要素602、放射エネルギー源603及びその他の様々な電気的及び機械的コンポーネントをハウジングに収容できる。放射エネルギー源603は、熱エネルギーを生成し、ユーザの髪に向けるように構成することができる。気流生成要素602は、ハウジング内に設けられた気流チャネルを通過する気流を生成するように構成することができる。
【0057】
気流生成要素602は、モータ6022によって駆動されるインペラ6021を備えることができる。生成された気流は、気流チャネル607を通してヘアドライヤーの外部に押し出すことができる。放射エネルギー源603は、実質的にリング形状を有する赤外線ランプとすることができる。
図8に概略的に示すように、リング状の放射エネルギー源603は、実質的にリング状のリフレクタ6032及びリフレクタの内部に配置された実質的にリング状の放射エミッタ6031を備えることができる。放射エミッタは、実質的にリング形状を有するフィラメントとすることができる。放射エミッタ6031はまた、実質的にリング形状を集合的に形成する複数のセクションを備えることができる。放射エミッタは、所定の波長範囲内の放射を放出するように構成することができる。いくつかの場合では、放射エミッタによって放出される放射は、可視スペクトル及び赤外線スペクトルを実質的にカバーすることができる。リフレクタ6032は、ヘアドライヤーの外部に向けられた開口部を有することができる。
【0058】
放射エミッタから放出された放射は、リフレクタ6032の反射面(例えば、内面)によってユーザの髪に向かって反射され得る。反射された放射ビームの発散角は、反射面によって減少され、反射放射エネルギーを、ヘアドライヤーの前方の所定の距離で所定の形状及び所定のサイズを有する放射スポット内に集中させることができる。リフレクタの反射面の断面は、放物線とすることができる。放射エミッタ6031は、リフレクタの放物線反射面(例えば放物線)の焦点に配置するか、又は放物線の焦点からオフセットすることができる。リフレクタ内の放射エミッタの位置は、リフレクタに対する放射エミッタの移動によって調節可能である。リフレクタの反射面は、放射エミッタによって放出された実質的にすべての放射がユーザの髪に向かって反射できるように、放射エミッタによって生成された放射の波長範囲に対して高い反射率を有するコーティング材料でコーティングすることができる。その結果、リフレクタの反射面によってエネルギーが実質的に吸収されないので、リフレクタの外面の温度は放射エミッタからの放射によって実質的に上昇しない。
【0059】
実質的にリング状の光学要素6033は、リフレクタの開口部に設けることができる。光学要素は、リフレクタによって反射された放射から所定の波長範囲を有する放射を除去(例えば、吸収)することができる。例えば、光学要素は、赤外線スペクトルの放射のみがユーザの髪に向けられるように、反射放射から可視光スペクトル及び/又は紫外線スペクトルを選択的に除去することができる。リフレクタの内部は、放射エミッタと光学要素及び/又はリフレクタとの間の熱対流又は熱伝導を防止する真空度を有するように構成することができる。いくつかの場合では、リフレクタの内部を一定量の不活性ガスで満たして、放射エミッタの酸化及び/又は蒸発を防ぐことができる。上述したように、気流の温度は、気流チャネルを通って移動している間、赤外線ランプによって実質的に上昇せず、相対的に冷たい気流は、ユーザの髪を乾燥及びスタイリングするのに有益であり得る。
【0060】
図6及び
図7に示すように、軸方向(例えば、
図6及び
図7では水平方向として示される、気流生成要素から赤外線ランプの開口部への方向)のハウジングの寸法は、リング状の赤外線ランプ構成の結果として更に縮小することができる。例えば、気流生成要素の少なくとも一部は、リング状の赤外線ランプによって取り囲まれた空間内に収容することができ、軸方向の気流チャネルが短縮される。チャンバ611は、赤外線ランプによって取り囲まれた空間に配置することができる。チャンバの開口部は、ユーザの髪に向けることができる。開口部は、透明な封止部材(例えば、SiO
2ガラス)で覆うことができる。開口部は、美的外観のために、着色された封止部材(例えば、コーティングされたSiO
2ガラス)によって覆うことができる。チャンバは、センサなどの様々なコンポーネントを収容するために提供することができる。センサの例は、温度センサ、近接/測距センサ、及び湿度センサを含むことができる。チャンバの壁は、電気絶縁及び/又は断熱材料から作ることができる。上述のように、気流チャネルを通して流れる気流は赤外線ランプによって実質的に加熱されないため、チャンバ内の温度を室温に維持してセンサの測定正確度を向上させることができる。
【0061】
図6及び
図7に示される例示的な例では、気流チャネル607の気流出口は、赤外線ランプ603とチャンバ611との間に配置することができる。
図9は、
図6及び
図7のヘアドライヤーの側面図であり、チャンバは中央に配置され、気流チャネル607から出る気流は赤外線ランプ603によって取り囲まれている。図示されていないが、代替実施形態では、気流チャネル607の気流出口は、ハウジング601と赤外線ランプ603との間に配置されて、赤外線ランプが気流チャネルから出る気流によって取り囲まれる構成を形成することができる。
【0062】
図6及び
図7の放射エネルギー源603は、代替的又は追加的に、複数の赤外線ランプを備えることができる。複数の赤外線ランプは、リング、三角形、正方形、又は扇形などの任意の形状の輪郭に沿って配置することができる。
図10及び
図11は、リングに沿って配置された複数の赤外線ランプを有する放射エネルギー源603を概略的に示す。複数の赤外線ランプの各々は、
図3を参照して上述したものと実質的に同じ構成を有することができる。例えば、複数の赤外線ランプのそれぞれは、ヘアドライヤーの外部に向けられた開口部を有するリフレクタ6032、リフレクタの開口部に当接する光学要素、及びリフレクタの内部に配置された放射エミッタ6031を備えることができる。リフレクタの反射面は、放射エミッタによって生成される放射の波長範囲に対して高い反射率を有するコーティング材料でコーティングすることができる。光学要素は、可視光スペクトル及び/又は紫外スペクトルの放射など、所定の波長又は波長範囲を有する放射を除去することができる。
【0063】
各リフレクタの反射面の断面は放物線とすることができる。放射の反射ビームの発散角は、各赤外線ランプの放物面リフレクタによって減少させることができる。放射エミッタの形状及びリフレクタの形状は、光学シミュレーションソフトウェアを使用して最適化され、ヘアドライヤーの外側の所望の距離での放射出力を最大化することができる。複数のリフレクタのそれぞれの放物面反射面の軸は、互いに実質的に平行であり得る。放物線の軸は、放物線の頂点を通過し、放物線を2つの合同な半分に分割する垂直線である放物線の対称軸を指すことができる。複数の赤外線ランプのリフレクタのそれぞれの放物面反射面の軸は、
図12と組み合わせて
図11に示すように、互いに交差することもできる。複数の赤外線ランプ内のリフレクタのそれぞれの放物線反射面の軸の間の交差角度は、例えば、ヘアドライヤーのハウジングの軸方向に対する1つ又は複数の赤外線ランプの傾斜角度を変更することによって、調節可能であり得る。図示の例示的な例では、気流は、複数の赤外線ランプから熱的に分離することができる。気流は、赤外線ランプによって生成される放射によって加熱されない。いくつかの例では、1つ又は複数の赤外線ランプ又は他のタイプの放射エネルギー源が、1つの共通の光学要素を共有することができる。
【0064】
複数の赤外線ランプから出る赤外線放射は、所定の形状及びサイズを有する放射スポットを形成できるように、ヘアドライヤーの前方の所定の距離で少なくとも部分的に重なることができる。放射スポットは、例えば、円形の形状を有することができる。例示的な例では、ヘアドライヤーの前方約10センチメートルの距離に、直径約10センチメートルの円形スポットを形成することができる。ヘアドライヤーの前方のある距離における放射スポットの形状及び/又はサイズは、それぞれの赤外線ランプのサイズ(例えば、直径)、それぞれのリフレクタの焦点からの放射エミッタのオフセット、それぞれのリフレクタの軸の間の交差角、及びそれぞれの赤外線ランプの光学要素の光学特性のうちの少なくとも1つを調整することによって調節することができる。放射スポットは、複数の赤外線ランプのそれぞれ1つから放出される赤外線放射によって運ばれる総エネルギーの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上を占めることができる。放射スポットの平均電力密度は、少なくとも、1×103、2×103、3×103、4×103、5×103、6×103、7×103、8×103、9×103、1×104、2×104、3×104、4×104、5×104、6×104、7×104、8×104、9×104、1×105ワット/平方メートル(W/m2)以上であり得る。
【0065】
図示されていないが、複数の赤外線ランプは、任意の形状のアレイに配置することもできる。アレイ状に配置された複数の赤外線ランプは、共面であってもなくてもよい。例えば、複数の赤外線ランプは、円、三角形、正方形、又は扇形などの任意の形状を有する領域をカバーするように配置することもできる。それぞれのリフレクタの焦点からの放射エミッタのオフセット、及びアレイ状の複数の赤外線ランプにおけるそれぞれのリフレクタの軸の間の交差角は、
図10及び
図11を参照して上述したものと実質的に同じ構成を有することができる。例えば、アレイ状の赤外線ランプのそれぞれ1つから放出される赤外線放射は、ヘアドライヤーの前で所定の距離で重なり、所望のサイズ及び電力密度を有する放射スポットを形成することができる。リング又はアレイのいずれかとして配置された複数の赤外線ランプは、必ずしも連続して配置されているわけではない。例えば、所望の平均エネルギー密度を有する放射スポットが髪で生成される限り、示された複数の赤外線ランプのいずれか1つをセンサ又は他のコンポーネントと交換すること、又はリングに沿って又はアレイブランク内のある位置を残すことも可能である。
【0066】
複数の赤外線ランプは、気流チャネルのリング状の気流出口の内側又は外側のいずれかに配置することができる。例えば、複数の赤外線ランプは、ヘアドライヤーの横側から見たときに気流出口を取り囲むように、又は気流出口によって取り囲まれるように配置することができる。複数の赤外線ランプは、気流チャネルの気流出口から離れて配置することもできる。例えば、ヘアドライヤーの側面から見たときに、複数の赤外線ランプによって覆われる領域は、気流出口によって覆われる領域と重ならないことがある。チャンバは、例えば、赤外線ランプによって取り囲まれた空間に設けることができる。透明な封止部材はチャンバの開口部上で覆うことができ、開口部はヘアドライヤーの外部に向けられる。チャンバは、センサなどの様々なコンポーネントを中に収容するために設けることができる。気流チャネルを流れる気流は赤外線ランプによって実質的に加熱されないので、チャンバ内の温度を室温に維持してセンサの測定正確度を向上させることができる。
【0067】
本開示のヘアドライヤーは、従来の設計と比較して、少なくとも軸方向(例えば、
図1及び
図6に示される水平方向)に減少した寸法を有することができる。一例では、コンパクトなサイズを有する赤外線ランプを放射エネルギー源として利用することができる。したがって、ニクロム線のグリッドを受容する従来のヒータ空洞は、本開示のヘアドライヤーには設けられていない。リング状の赤外線ランプ又はリングに沿って配置された複数の赤外線ランプを利用することにより、上述のようにヘアドライヤーの軸方向の寸法を更に縮小することができる。ヘアドライヤーは、本体とハンドルを有するハウジングを備えることができる。本体は、その少なくとも一方向、例えば、軸方向及び半径方向(例えば、
図1及び
図6の紙面に垂直な方向)において、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5又は4センチメートル以下の寸法を有することができる。例示的な例では、本体は少なくとも一方向に10センチセンチメートル以下の寸法を有することができる。更なる例示的な例では、本体は少なくとも一方向に8センチメートル以下の寸法を有することができる。更なる例示的な例では、本体は少なくとも一方向に6.5センチメートル以下の寸法を有することができる。本体は、その任意の方向において、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、又は5センチメートル以下の寸法を有することができる。例示的な例では、本体はその任意の方向に8センチメートル以下の寸法を有することができる。別の例示的な例では、本体はその任意の方向に6.5センチメートル以下の寸法を有することができる。
【0068】
本開示のヘアドライヤーは軽量化することができる。従来の重いニクロム線やロッドの代わりに、軽量の放射エネルギー源を熱エネルギー源として利用することができる。ヘアドライヤーは、本体とハンドルを有するハウジングを備えることができる。ヘアドライヤーは、ハンドル内に収容された1つ又は複数のバッテリ又は外部電源のいずれかによって動作することができる。ハンドルはハウジングの本体から着脱可能とすることができる。1つ又は複数のバッテリを含むヘアドライヤーの重量は、1500、1450、1400、1350、1300、1250、1200、1150、1100、1050、1000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、又は300グラム以下であり得る。例示的な例では、1つ又は複数のバッテリを含むヘアドライヤーは、800グラム以下の重量を有することができる。例示的な例では、1つ又は複数のバッテリを含むヘアドライヤーは、600グラム以下の重量を有することができる。更なる例示的な例では、ハンドルを除くヘアドライヤーの本体は、300グラム以下の重量を有することができる。更に別の例示的な例では、ハンドルを除くヘアドライヤーの本体は、250グラム以下の重量を有することができる。したがって、ユーザは、髪を乾かすプロセスの間、ヘアドライヤーを容易に保持して操作することができる。
【0069】
本開示のヘアドライヤーは、消費電力を低減することができる。赤外線ランプなどの放射エネルギー源を、本開示のヘアドライヤーの熱エネルギー源として利用することができる。前述のように、赤外線ランプによって生成される放射の大部分は赤外線スペクトルにあるため、赤外線ランプによって生成される総放射エネルギーにおける、ユーザの髪及び髪の水に伝達される有効エネルギーの比率は、少なくとも80%である可能性がある。加えて、赤外線エネルギーによって運ばれる熱は、放射熱伝達方式で髪及び髪上の水に直接伝達されて印加され得るため、熱伝達効率が向上することになる。例示的な例では、赤外線ランプによって生成される放射の約90%が赤外線スペクトルにある。赤外線エネルギーのわずかな割合がリフレクタと光学要素で失われる可能性があるが、ほとんどの赤外線エネルギーは熱放射の形でユーザの髪に到達し、有効エネルギーの比率は80%より大きくなる。しかし、対流熱伝達が利用される従来のニクロム線ベースのヘアドライヤーでは、ほとんどの熱がユーザの髪に到達する前に周囲の空気に吸収されるため、有効エネルギーと熱伝達効率の比率がはるかに低くなる。従来のヘアドライヤー1番目(Dyson(登録商標)HD01)でのテスト実験では、気流出口の空気温度は約140℃であるが、ヘアドライヤーから10cmの距離では気流の温度は74℃に低下し、ヘアドライヤーから20cmの距離では60℃に低下する。対流熱伝達方式での気流の急激な温度低下は、熱の一部が髪に到達する前に周囲の空気に吸収されるという事実によって引き起こされる。室温が25℃の場合、熱気流によって運ばれるエネルギーの少なくとも50%が髪に到達する前に失われる。髪に到達した後、熱風の一部は髪や髪の水分の加熱に寄与せずに様々な方向に反射され、有効エネルギーと熱伝達効率の比率が低くなる。
【0070】
例示的な例では、本開示のヘアドライヤーは、1つ又は複数の内蔵バッテリで動作させることができる。バッテリは、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90ワット時(Wh、例えば、100ワット時のバッテリは100ワットの電力を1時間、又は20ワットの電力を5時間供給可能)の合計容量を有することができる。テスト実験では、66.6Whの総容量を持つバッテリは、200Wの総電力出力で約20分、又は350Wの総電力出力で13分のヘアドライヤーの連続運転を行うことができる(例えば、すべての電気を消費するコンポーネントの総電力出力には、モータ、赤外線ランプ及び任意の回路が含まれる)。この動作時間は、ユーザの髪を完全に乾かすのに十分である。
【0071】
本開示のヘアドライヤーは、髪からの水の蒸発を加速する強力な気流を提供することができる。従来のニクロム線ベースのヘアドライヤーと比較して、気流生成要素によって生成された気流は、ニクロム線のグリッドを通過せずに気流チャネルに沿って移動できるため、減速されずに、速度が増した出力気流がヘアドライヤーから吹き出されることになる。出力気流の速度は、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25m/sであり得る。例示的な実施例では、出力気流の速度は少なくとも18m/sであり得る。髪に吹き付けられる気流は、過度の熱を除去することにより、髪と髪の水分の温度を下げることができ、そうしないと、赤外線放射による高温下で髪がダメージを受ける可能性がある。前述のように、髪からの水の蒸発は、髪と髪上の水の温度、及び髪を取り囲む空気の相対湿度の両方に依存し得る。髪を乾かすのに適した温度範囲は50~60℃であり、この範囲では水分蒸発と髪の健康のバランスをとることができる。髪に吹き付ける出力気流の速度を調整して、髪と髪の水の温度を適切な温度範囲内に維持し、水分の蒸発を誘発することができ、その間に、気流は髪から過剰な熱を奪い、相対湿度が低い髪の周囲の局所的な環境を作り出して蒸発を加速することができる。
【0072】
上述のように、気流チャネルを通過する際、気流の温度は、赤外線ランプで生成された放射によって実質的に上昇しない。相対的に冷たい気流は、ユーザの髪を乾かしたりスタイリングしたりする際に髪の健康に有益であり得る。加えて、ヘアドライヤーには、他の方法では高温下では機能しない様々なセンサを装備できる。
【0073】
本開示のヘアドライヤーは、髪のパラメータ、ヘアドライヤーの動作、及び/又はヘアドライヤーが動作する周囲環境のうちの少なくとも1つを測定するように構成された1つ又は複数のセンサを備えることができる。ヘアドライヤーの動作を調整するために、ヘアドライヤーに搭載して、又はヘアドライヤーに搭載せずに(例えば、クラウド上のリモートデバイスに)中央処理装置を設けることができる。ヘアドライヤーの動作を調整する例は、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値に基づいて、気流生成要素及び放射エネルギー源のうちの1つ又は複数の動作を調整することを含み得る。センサの例としては、近接センサ、温度センサ、光センサ、モーションセンサ、接触センサ、湿度センサが含まれ得るが、これらに限定されない。センサは、ヘアドライヤーのハウジングに配置すること、ヘアドライヤーのハウジングに内蔵すること、ヘアドライヤーの回路上に配置すること、ヘアドライヤー内に設けることができる(例えば、本開示の別の箇所に記載されているように、赤外線ランプによって取り囲まれた空間に配置されるチャンバ内に)。本開示の実施形態によるヘアドライヤー内のセンサ構成を示す概略図である
図13に示すように、センサ1301~1305は、有線又は無線リンク経由で中央処理装置1306と通信することができる。中央処理装置は、また、ヘアドライヤーの他のコンポーネント、例えば気流生成要素1307及び放射エネルギー源1308と通信することができ、センサ測定に基づくコンポーネントの動作の調整を実施できるようにする。
【0074】
例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサは、赤外線放射で放射されているユーザの髪に対するヘアドライヤーの近接度を測定するように構成された近接センサを含むことができる。一例では、近接センサは、放射された赤外光がセンサに戻るまでの時間間隔を測定し、時間間隔に基づいてセンサと対象の対象物との間の距離を決定する赤外線飛行時間型(TOF)センサとすることができる。赤外線TOFセンサのスペクトルは、放射エネルギー源から放射される赤外線放射のスペクトルとは異なり得る。別の例では、近接センサは、超音波パルスを放出することによって目標対象物までの距離を測定する超音波センサであり得る。更に別の例では、近接センサはミリ波レーダーであり得る。更に別の例では、近接センサは、距離測定アルゴリズムによって目標対象物までの距離を決定する双眼カメラ又は単眼カメラで実装することができる。近接センサは、ヘアドライヤーのハウジングに、例えば気流チャネルの気流出口に近接して設けることができる。近接センサはまた、
図10及び
図11に示されるように、複数の赤外線ランプによって囲まれた空間に設けることができる。近接センサは、ヘアドライヤーから髪まで、5%、4%、3%、2%、又は1%未満の誤差で、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、16cm、17cm、18cm、19cm、20cm、22cm、24cm、26cm、28cm、30cm、35cm、40cm、45cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、又は100cmの距離を測定するように構成できる。一例では、近接センサは、ヘアドライヤーから髪までの10cmの距離を±0.1cmの正確度/精度で測定できる。本開示で上述したように、気流は放射エネルギー源によって実質的に加熱されないので、近接センサの測定正確度/精度は、気流生成要素によって生成された気流によって悪影響を受けない可能性がある。
【0075】
例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、ヘアドライヤーと放射エネルギー源で放射された髪との近接度が所定の距離未満であることを示すことができる。本開示において上述したように、放射スポットは、放射エネルギー源からの赤外線放射でユーザの髪上に形成することができる。放射スポットは、赤外線放射の発散の結果として、ヘアドライヤーの前の所定の距離で所定のサイズを有することができる。例えば、ヘアドライヤーがユーザの髪に近づくと、放射スポットのサイズが小さくなり得、放射スポットの平均電力密度が高くなり得る。放射スポットの平均電力密度が高いほど、放射スポット内の髪の温度が高くなり得る。しかしながら、過度の高温は髪にダメージを与える可能性があるため、避ける必要がある。中央処理装置は、ヘアドライヤーから髪までの近接度が所定の距離(例えば、10cm)未満であることが検出された場合に、ユーザに警告を送信し、放射エネルギー源の総電力出力を減少させ、及び/又は気流生成要素からの気流の速度を増加させて、髪の熱ダメージを防止できるように構成することができる。
図10及び
図11に示すように、放射エネルギー源が複数の赤外線ランプを含む例示的な例では、放射エネルギー源の総電力出力を減少させることは、複数の赤外線ランプのうちの1つ又は複数の赤外線ランプのスイッチを切ることを含むことができる。
【0076】
1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、ヘアドライヤーと放射エネルギー源で放射された髪との近接度が所定の距離を超えていることを示すこともできる。ヘアドライヤーから髪までの最適な距離は、少なくとも、放射エネルギー源の出力、気流生成要素の出力、及び/又は髪の属性(例えば、長いか短いか、濡れているか、カール又はストレートなど)に基づいて決定することができる。ヘアドライヤーから髪までの距離が最適な距離に保たれれば、髪を乾かす効率が最適になり得る。中央処理装置は、ヘアドライヤーの髪への近接が所定の最適距離を超えて検出された場合、放射エネルギー源の総電力出力を増加させる、及び/又は気流生成要素からの気流の速度を減少させて、髪を乾かす効果を最適化するように構成することができる。
【0077】
別の例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサは温度センサを含むことができる。コンポーネントの動作温度を測定するために、ヘアドライヤーの様々なコンポーネントに温度センサを設けることができる。髪の温度を測定するために、温度センサを提供することもできる。周囲の環境の温度を測定するために、温度センサを提供することもできる。例示的な実施形態では、温度センサは、放射エネルギー源の外面に熱的に結合することができる。例えば、温度センサは、放射エネルギー源の外面又はその近傍に配置することができる。温度センサは、負温度係数(NTC)サーミスター、抵抗温度検知器(RTD)、熱電対、又は半導体ベースのセンサのいずれかとすることができる。1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、ヘアドライヤーの動作状況を示すことができる。一例では、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、放射エネルギー源の誤動作を示している可能性がある。本開示に記載されているように、赤外線ランプの外面と赤外線ランプエンクロージャの内面との間の空間、並びに赤外線ランプの内部は真空度を維持することができる。赤外線ランプの外面の温度は、例えば、封止部材の故障による空気の漏れにより真空が正しく維持されない場合、急速に上昇する可能性がある。赤外線ランプの誤動作は、赤外線ランプの外面又はその近傍の温度が所定の温度よりも高いこと、赤外線ランプの外面又はその近傍の温度が所定の値より大きく上昇すること、又は赤外線ランプの外面又はその近傍の温度上昇率が所定の率よりも大きいこと、を含み得る。中央処理装置は、放射エネルギー源で誤動作が検出された場合に、ユーザに警告を送信し、及び/又は放射エネルギー源のスイッチを切るように構成することができる。一例では、赤外線ランプの外面の温度が第1の閾値を超えた場合に警告が最初にユーザに送信され、赤外線ランプの外面の温度が第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えた場合に赤外線ランプのスイッチが切られる、多段階警告メカニズムを設けることができる。
【0078】
更に別の例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサは、気流生成要素に熱的に結合された温度センサを含むことができる。例えば、インペラを駆動するモータに温度センサを結合することができる。温度センサは、モータの動作温度を検出するために、モータの外面又はロータのいずれかに結合することができる。温度センサはまた、気流の温度を測定するために、気流チャネルの出口に設けることもできる。例えば、モータ又は気流の異常に高い温度は、モータの誤動作を示している可能性がある。例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、モータの温度が所定の温度よりも高いことを示すことができる。中央処理装置は、モータの温度が所定の温度よりも高い場合に、ユーザに警告を送信し、気流生成要素の総電力出力を減少させ、及び/又は気流生成要素のスイッチをオフにするように構成することができる。一例では、モータの温度が第1の閾値を超えた場合にモータの総電力出力が減少され(例えば、モータの回転速度を減少させる)、モータの温度が第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えた場合にモータのスイッチが切られる、多段階警告メカニズムを設けることができる。
【0079】
更に別の例示的実施形態では、1つ又は複数のセンサは、ヘアドライヤーの動き及び/又は姿勢/向きを測定するように構成された慣性測定ユニット(IMU)を含むことができる。いくつかの場合では、対象物又は対象物の一部を赤外線放射にさらすことは、対象物へのダメージ又は安全上の問題を防ぐために避ける必要がある。例えば、髪が赤外線放射に連続的にさらされ、髪の水分がすでに除去されている場合、髪の温度が急速に上昇する可能性があり、この高温は髪に熱ダメージを引き起こす可能性がある。例えば、ヘアドライヤーは、布などの髪以外の対象物を乾かすために使用されることがよくある。布を乾燥させる場合、ヘアドライヤーは多くの場合支持部材に対して静止して配置することができる。したがって、ヘアドライヤーが所定の時間にわたって静止状態に維持される場合、ヘアドライヤーのスイッチを切ることが望ましい。例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、装置の姿勢が、所定の持続時間閾値を超える持続時間にわたって変更されずに維持されていることを示すことができる。中央処理装置は、ヘアドライヤーのユーザに警告を送信し、気流生成要素からの気流の速度を増加させ、放射エネルギー源の出力電力を減少させ、及び/又は放射エネルギー源のスイッチを切るように構成することができる。一例では、ヘアドライヤーの姿勢が第1の継続時間閾値にわたって変化しないまま維持される場合に警告がユーザに送信され、ヘアドライヤーの姿勢が第1の継続時間閾値よりも大きい第2の継続時間閾値の間、変更されずに維持される場合に気流生成要素からの気流の速度が増加され、及び/又は放射エネルギー源の出力電力が減少され、そしてヘアドライヤーの姿勢が第2の継続時間閾値よりも大きい第3の継続時間閾値の間、変更されずに維持される場合に放射エネルギー源のスイッチが切られる、多段階警告メカニズムを設けることができる。
【0080】
更に別の例示的実施形態では、1つ又は複数のセンサは、ヘアドライヤーへのユーザの接触(例えば、ユーザがハンドルを握っている)を判断するように構成されたセンサを含むことができる。一例では、ヘアドライヤーに、例えばそのハンドルに近接センサを設けることができる。ユーザがハンドルを持って近接センサに触れると、ユーザの接触を確認する信号を生成できる。ユーザがハンドルを適切に保持しないと、ヘアドライヤーが作動しないようにできる。例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、ヘアドライヤーがユーザによって保持されていないことを示すことができる。中央処理装置は、ユーザに警告を送信し、気流生成要素からの気流の速度を増加させ、放射エネルギー源の出力電力を減少させ、及び/又は放射エネルギー源及び/又は気流生成要素のスイッチを切るように構成することができる。
【0081】
更に別の例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサは、放射エネルギー源からの赤外線放射で放射されるユーザの髪の温度を測定するように構成された髪温度センサを含むことができる。一例では、髪温度センサは、赤外線温度センサであり得る。髪温度センサは、ヘアドライヤーのハウジングに、例えば気流チャネルの気流出口の近くに設けることができる。髪温度センサはまた、
図10及び
図11に示されるように、複数の赤外線ランプによって取り囲まれる空間に設けることができる。例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、髪の温度が所定の温度よりも高いことを示すことができる。中央処理装置は、ユーザに警告を送信し、放射エネルギー源の総電力出力を減少させ、及び/又は気流生成要素からの気流の速度を増加させて、ユーザの髪の熱ダメージを防止するように構成することができる。
【0082】
更に別の例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサは、ヘアドライヤーが動作する周囲環境の湿度を測定するように構成された湿度センサを含むことができる。いくつかの場合では、髪を効果的に乾かすために、周囲環境の湿度が高い場合、放射エネルギー源の電力出力を増加させ、及び/又は気流生成要素からの気流の速度を減少させることができる。湿度センサは、ヘアドライヤーのハウジングに、例えば気流チャネルの入口に設けることができる。例示的な実施形態では、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値は、周囲環境の湿度が所定の湿度よりも高いことを示すことができる。中央処理装置は、放射エネルギー源の総電力出力を増加させる、及び/又は気流生成要素からの気流の速度を減少させるように構成することができる。
【0083】
上述のセンサは、個別に又は集合的に使用することができる。2つ以上のセンサからの測定値を組み合わせるか又は融合することができる。1つ又は複数のセンサからのデータは、相互のコンテキスト内で処理できる。1つ又は複数のセンサからのデータは、精度及び/又は信頼性などに基づいて重み付けされてもよい。
【0084】
個々のセンサデータ又は組み合わされたセンサデータを含み得るセンサデータは、ヘアドライヤーの動作を調整する中央処理装置に提供され得る。例えば、中央処理装置は、ヘアドライヤーの髪との近接度、赤外線放射で放射されている髪の温度、及び周囲の環境の湿度のうちの少なくとも1つに基づいて、放射エネルギー源の総出力電力及び/又は気流生成要素からの気流の速度を決定するように構成することができる。中央処理装置は、所定のルックアップテーブルを検索することによって、放射エネルギー源及び/又は放射エネルギー源のパラメータを決定することができる。一例では、近接センサからのセンサ測定値は、ユーザがヘアドライヤーを髪に近づけすぎていることを示し、髪温度センサからのセンサ測定値は、髪の温度が所定の健康温度よりも高いことを示し、その後、中央処理装置は、放射エネルギー源の出力電力を減少させ、気流生成要素からの気流の速度を増加させることを決定することができ、髪の温度を髪にとって安全で健康的な値まで下げることができるようにする。別の例では、髪温度センサからのセンサ測定値は、髪温度が所定の温度よりも高いことを示し、IMUからのセンサ測定値は、ヘアドライヤーが所定の持続時間より長い時間静止していることを示し、その後、中央処理装置は、最初に警告をユーザに送信し、ユーザが所定の時間内にヘアドライヤーを動かさない場合、放射エネルギー源のスイッチを切ることを決定できる。
【0085】
1つ又は複数のセンサからの測定値は、ヘアドライヤーに搭載されているか、リモートクラウドにあるデータストレージデバイスに保存できる。データストレージデバイスは、電源がなくてもデータを保持するフラッシュメモリであり得る。また、データストレージデバイスは、外部装置が有線又は無線方式で読み取ることができる任意のシステムエラーデータを保存することもできる。一例では、データストレージデバイスからのデータの読み出しを容易にするために、ヘアドライヤーのハウジングに(例えば、ハンドルに)通信インタフェースを設けることができる。データストレージデバイスに保存されたセンサ測定データとシステムエラーデータにより、メンテナンス担当者は故障したコンポーネントを見つけることができる。ヘアドライヤーは、データストレージデバイス内のエラーコードが認定されたメンテナンス担当者によってクリアされない限り、動作を禁止することができる。
【0086】
本開示のヘアドライヤーには、1つ又は複数のセンサから受け取った測定値に基づいて触覚フィードバックを提供するように構成されたフィードバック要素を設けることができる。触覚フィードバックは、視覚、聴覚、及び触覚のフィードバックのうちの少なくとも1つを含むことができる。一例では、フィードバック要素は、光インジケータ、例えば、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。LEDは、ヘアドライヤーのハウジング(例えば、ハンドル又は本体)にリング状に配置することができる。LEDは、ヘアドライヤーの異なった状況を示す様々な照明パターンを提供できる。照明パターンは、照明周波数、色、及びスイッチがオンにされているLEDの数のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、LEDは、第1の周波数で点滅して、ヘアドライヤーがユーザによって保持されていない状況を示し、第2及びより高い周波数で点滅して、ヘアドライヤーが所定の期間の閾値よりも長い時間静止した状態に維持されている状況を示す。一例では、フィードバック要素はバイブレータを含むことができる。バイブレータは、ヘアドライヤーの様々な状況を示すために、様々な周波数及び/又は強さで振動することができる。一例では、フィードバック要素はスピーカー又はブザーを含むことができる。一例では、専用のフィードバック要素はヘアドライヤーに提供されないが、モータ(例えば、気流生成要素)は、ヘアドライヤーの異なる状況を示すために、異なる速度又は異なるパターンでインペラを駆動することができる。例えば、近接センサからの測定値が、ユーザがヘアドライヤーを髪に近づけすぎていることを示している場合、モータは、その回転速度を第1の高速から所定の周波数での第2の低速に切り替えることができ、振動のような効果を生成して、ユーザに通知することができるようにする。
【0087】
また、本開示は、発生する騒音が小さい対象物乾燥用の装置を提供する。装置は、気流入口と気流出口を有する気流チャネルを提供するように構成されたハウジングと、ハウジング内に収容され、気流チャネルを通る気流を発生させるように構成された気流生成要素と、ハウジング内に収容され、赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けるように構成された放射エネルギー源と、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給するように構成された電力要素と、を備えることができる。気流生成要素は、電力要素の少なくとも一部に対して気流の下流に配置することができる。放射エネルギー源の少なくとも一部は、気流生成要素に対して気流の下流に配置することができる。放射エネルギー源の少なくとも一部は、気流チャネルの少なくとも一部に結合することができる。
【0088】
気流生成要素は、少なくとも低騒音モータを備えることができる。気流生成要素は、モータによって駆動されるファンを備えることができ、作動されると、ファンの回転が気流チャネルを通る気流を発生させる。ファンは、複数のブレードを備えることができる。モータの回転速度は、ブレードの数に基づいて決定することができ、モータの回転速度とブレードの数との積に相関するブレード通過周波数が実質的に超音波の周波数範囲内にあるようにされる。したがって、人間は超音波域の周波数の音には敏感ではないので、モータの騒音を抑えることができる。モータは高速モータにすることができる。いくつかの場合では、モータの回転速度は、少なくとも10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、又はそれ以上の毎分回転数(rpm)を超えることができる。ブレードの数は2以外の素数にすることができる。一例では、ブレードの数は、3、5、7、9、11、又は13、又は17に等しいか、又はそれを超えることができる。
【0089】
高速モータは、対象物乾燥用の装置において、本開示の任意の他の態様と組み合わせることができる。例えば、高速モータを有する対象物乾燥用の装置では、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つは、気流チャネルに接触しないように配置された第1の部分を備えることができる。この構成は、高速モータによって気流チャネル内に大量の気流が生成され、この大量の気流が、放射エネルギー源から熱が伝達されたとしても、気流チャネル及び気流の温度の上昇を抑えるため、実現できる。例えば、モータによって生成される気流の量は、装置の出力開口部で測定して、少なくとも毎分5、10、15、20、25又は30立方フィート(CFM)であり得る。放射エネルギー源の熱放散効率は、モータで発生する気流の量と放射エミッタの黒体放射に必要な温度から決定でき、熱放散に必要な放射エネルギー源の領域は、熱放散効率に基づいて決定され得る。熱放散に必要な領域は、放射エネルギー源の動作温度を所定の温度範囲内(例えば、放射エミッタを黒体放射状況で維持するために必要な温度範囲)に維持するために、放射エネルギー源の外壁の全領域の一部とすることができる。したがって、放射エネルギー源の外面の一部を気流チャネルと接触させ、熱結合を放射エネルギー源に結合し、及び/又は比較的短い突出部材(例えば、フィン)を放射エネルギー源から気流チャネルの内部へ延ばして、放射エネルギー源の動作温度を所定の温度範囲内に維持することで充分であり得る。高速モータによって生成される大量の気流により、放射エネルギー源から気流チャネル又は気流に伝達された熱は、気流チャネル又は気流の温度を実質的に上昇させることなく効率的に除去できる。いくつかの場合では、放射エネルギー源から伝達される熱による気流チャネル内の気流の温度上昇は、1、2、3、4、又は5度未満であり得る。
【0090】
モータは、取り付け要素によってハウジング内に結合することができ、この取り付け要素は気流生成要素の一部とすることができる。モータは、取り付け要素のチャンバに収容することができる。取り付け要素は、モータによって生成される振動及び/又は騒音がハウジングに伝達されるのを防止又は低減することができる。取り付け要素は、例えば、エラストマー材料の支持部材を含むことができる。一例では、取り付け要素は、ハウジング、気流チャネル、又は放射エネルギー源のうちの少なくとも1つに結合された部分を備えることができる。
【0091】
本開示は、対象物を乾燥させる方法も提供する。方法は、ハウジングを介して、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供することと、ハウジング内に収容された気流生成要素を介して、気流チャネルを通る気流を発生させることであって、気流生成要素は少なくとも低騒音モータを備える、発生させることと、ハウジングに収容された放射エネルギー源を介して赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けることと、電力要素を介して、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給することと、を含むことができる。
【0092】
ヘアドライヤーを例示している図面を参照して、本開示の対象物乾燥用の装置を説明したが、当業者は、対象物乾燥用の装置が、放射エネルギー源(例えば、1つ又は複数の赤外線ランプ)が熱エネルギー源として利用される限り、ヘアドライヤーに限定されないことを理解することができる。いくつかの実施形態では、本開示の対象物乾燥用の装置は、衣類乾燥機又はハンドドライヤーとして実施することができる。衣類乾燥機は、衣類、ベッドシーツ、カーテン、ぬいぐるみなどの様々な布地からの水の蒸発を促進するために、気流生成要素に関連する熱源として1つ又は複数の赤外線ランプを利用できる。衣類乾燥機のハウジングは、サポート又はスタンドを備えることができる。サポート又はスタンドの高さは調節可能である。
【0093】
図14は、本発明の実施形態による、デバイス制御システムの一例を示す。デバイス制御システムは、本開示の方法及びデバイスを実装するようにプログラムすることができる。
【0094】
デバイス制御システムは、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」ともいう)1405を含み、これは、シングルコア又はマルチコアプロセッサ、又は並列処理のための複数のプロセッサであり得る。デバイス制御システムはまた、通信のためのメモリ又はメモリロケーション1410(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子ストレージユニット1415(例えば、ハードディスク)、1つ又は複数の他のシステムとの通信用の通信インタフェース1420(例えば、ネットワークアダプタ)、及びキャッシュ、他のメモリ、データストレージ、及び/又は電子ディスプレイアダプタなどの周辺装置1425を含む。メモリ1410、ストレージユニット1415、インタフェース1420、及び周辺装置1425は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU1405と通信する。ストレージユニット1415は、データを記憶するためのデータストレージユニット(又はデータレポジトリ)であり得る。デバイス制御システムは、通信インタフェース1420を用いてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)1430に動作可能に結合することができる。ネットワーク1430は、インターネット、インターネット及び/又はエクストラネット、又はインターネットと通信するイントラネット及び/又はエクストラネットであり得る。
【0095】
ネットワーク1430は、いくつかの場合では、電気通信及び/又はデータネットワークである。ネットワーク1430は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にする1つ又は複数のコンピュータサーバを含むことができる。例えば、1つ又は複数のコンピュータサーバは、ネットワーク1430(「クラウド」)を介してクラウドコンピューティングを可能にし、例えば、1つ又は複数の実験環境の構成のキャプチャ、製品(例えば、アプリケーション)の使用分析の実行、及びプロジェクトの統計の出力の提供などの、本開示の分析、計算及び生成の様々な態様を実行することができる。このようなクラウドコンピューティングは、例えば、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、及びIBMクラウドなどのクラウドコンピューティングプラットフォームによって提供され得る。ネットワーク1430は、いくつかの場合では、デバイス制御システムの助けを借りて、デバイス制御システムに結合されたデバイスがクライアント又はサーバとして動作できるようにするピアツーピアネットワークを実装することができる。
【0096】
CPU1405は、プログラム又はソフトウェアで具現化することができる一連のマシン可読命令を実行することができる。命令は、メモリ1410などの記憶場所に格納することができる。命令は、CPU1405を対象とすることができ、CPU1405は、その後、本開示の方法を実施するようにCPU1405をプログラム又は構成することができる。CPU1405によって実行される動作の例には、フェッチ、デコード、実行、及び書き戻しが含まれ得る。
【0097】
CPU1405は、集積回路などの回路の一部であり得る。システムの1つ又は複数の他のコンポーネントを回路に含めることができる。いくつかの場合では、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0098】
ストレージユニット1415は、ドライバ、ライブラリ、及び保存されたプログラムなどのファイルを記憶することができる。ストレージユニット1415は、ユーザ選好データ、例えば、ユーザ選好及びユーザプログラムを記憶することができる。デバイス制御システムは、いくつかの場合では、イントラネット又はインターネットを介してデバイス制御システムと通信するリモートサーバ上に配置されるなど、デバイス制御システムの外部にある1つ又は複数の追加のデータストレージユニットを含むことができる。
【0099】
デバイス制御システムは、ネットワーク1430を介して1つ又は複数のリモートデバイス制御システムと通信することができる。例えば、デバイス制御システムは、ユーザ(例えば、実験環境のユーザ)のリモートデバイス制御システムと通信することができる。リモートデバイス制御システムの例には、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレート又はタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、又は携帯情報端末が含まれる。ユーザは、ネットワーク1430を介してデバイス制御システムにアクセスすることができる。
【0100】
本開示に記載の方法は、例えばメモリ1410又は電子ストレージユニット1415などのデバイス制御システムの電子ストレージ場所に記憶されたマシン(例えばコンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。マシン実行可能コード又はマシン可読コードは、ソフトウェアの形で提供することができる。使用中、コードはプロセッサ1405によって実行することができる。いくつかの場合では、プロセッサ1405による即時アクセスのために、ストレージユニット1415からコードを取り出してメモリ1410に記憶することができる。いくつかの状況では、電子ストレージユニット1415を除外することができ、マシン実行可能命令がメモリ1410に記憶される。
【0101】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有するマシンで使用するために事前にコンパイル及び構成することができ、又は実行時にコンパイルすることができる。コードは、コードを事前コンパイル又は実行時コンパイル方式で実行できるように選択できるプログラミング言語で提供できる。
【0102】
デバイス制御システム1401など、本明細書で提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングで具現化することができる。技術の様々な態様は、典型的にはマシン可読媒体のタイプに保持又は具現化されるマシン(又はプロセッサ)実行可能コード及び/又は関連データの形式の「製品」又は「製造品」と考えることができる。マシン実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスクなどの電子ストレージユニットに記憶することができる。「ストレージ」タイプのメディアは、コンピュータ、プロセッサなどの有形のメモリ、又は、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的なストレージを提供することができる様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの関連モジュールのいずれか又はすべてを含むことができる。ソフトウェアのすべて又は一部は、時にはインターネット又はその他の様々な電気通信ネットワークを介して通信される場合がある。このような通信は、例えば、あるコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータ又はプロセッサへ、例えば、管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへの、ソフトウェアのロードを可能にすることができる。したがって、ソフトウェア要素を担持できる別のタイプの媒体には、ローカルデバイス間の物理インタフェース、有線及び光固定電話ネットワーク、及び様々なエアリンクを介して使用されるような、光、電気、及び電磁波が含まれる。有線又は無線リンク、光リンクなど、そのような波を搬送する物理的要素も、ソフトウェアを運ぶ媒体と見なすことができる。本明細書で使用されるように、非一時的で有形の「ストレージ」媒体に限定されない限り、コンピュータ又はマシン「読み取り可能媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0103】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどのマシン可読媒体は、有形ストレージ媒体、搬送波媒体、又は物理的伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性ストレージ媒体には、例えば、図面に示されるデータベースなどを実装するために使用できるような、任意のコンピュータなどの任意のストレージデバイスなどの光学ディスク又は磁気ディスクが含まれる。揮発性ストレージ媒体には、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの動的メモリが含まれる。有形の伝送媒体には、同軸ケーブル、デバイス制御システム内のバスを備えるワイヤを含む、銅線及び光ファイバが含まれる。搬送波伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるような、電気信号若しくは電磁信号、又は音響波若しくは光波の形をとる場合がある。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形式には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の任意の磁気媒体、CD-ROM、DVD、又はDVD-ROM、その他の任意の光学媒体、パンチカード用紙テープ、穴のパターンを持つその他の任意の物理ストレージ媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、フラッシュEPROM、その他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、データ又は命令を転送する搬送波、そのような搬送波を移送するケーブル又はリンク、又はコンピュータがプログラミングコード及び/又はデータを読み取ることができるその他の任意の媒体が含まれる。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、実行のためにプロセッサに1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを運ぶことに関与し得る。
【0104】
デバイス制御システムは、例えば、モデル管理システムの様々なコンポーネント(例えば、ラボ、ローンチパッド、制御センター、ナレッジセンターなど)を提供するためのユーザインタフェース(UI)1440を備える電子ディスプレイ1435を含むか、又はそれと通信することができる。UIの例には、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)及びウェブベースのユーザインタフェースが含まれるが、これらに限定されない。電子ディスプレイは、スマートフォンなどのユーザ機器のディスプレイとすることができる。
【0105】
本開示の方法及びデバイスは、1つ又は複数のアルゴリズムによって実装することができる。アルゴリズムは、中央処理装置1405による実行時にソフトウェアによって実装することができる。アルゴリズムは、例えば、サンプル転送システムの1つ又は複数のコンポーネントを操作するための命令を生成することができる。
【0106】
図15は、本発明の実施形態による、対象物を安全に乾燥させるための装置の一例を示す。例示的な対象物乾燥用の装置は、前の図に示されているヘアドライヤーであり得る。
【0107】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置は、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルを提供するように構成されたハウジングを備えることができる。
図15に示すように、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、気流生成要素1511などの1つ又は複数の気流生成要素を備えることができる。気流生成要素1511は、ハウジング内の気流チャネルを通る気流を生成することができる。また、対象物乾燥用の装置は、放射エネルギー源1512などの1つ又は複数の放射エネルギー源を備えることができる。放射エネルギー源1512は、放射を生成し、放射をハウジングの外部に向けることができる。ヘアドライヤーの例では、放射エネルギー源1512によって生成された放射及び気流生成要素1511によって生成された気流は、ユーザの髪からの水の蒸発をより効果的且つ効率的に促進することができる。
【0108】
加えて、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、デバイスコントローラ1501を備えることができる。前のパラグラフで説明したようにデバイス制御システムの一部とすることができるデバイスコントローラ1501は、1つ又は複数の気流生成要素及び1つ又は複数の放射エネルギー源の動作を制御することができる。様々な例において、ヘアドライヤーのデバイスコントローラ1501は、乾燥速度及び快適さ、髪の形状及びスタイルをより良く制御することができる。例えば、ヘアドライヤーのデバイスコントローラ1501は、放射エネルギー源1512がその最大電力で出力し、気流生成要素1511が室温の空気を最大速度で吹き出す「急速乾燥モード」を提供することができ、髪が早く乾く。また、ヘアドライヤーのデバイスコントローラ1501は、放射エネルギー源1512がマイルドなレベルで放射エネルギーを出力し、気流生成要素1511がユーザの髪を一定レベルの水分で維持するのに役立つ、非常に柔らかく滑らかな気流を生成することを可能にする「髪保護モード」を提供することができる。別の例では、ヘアドライヤーのデバイスコントローラ1501は、放射エネルギー源1512をオフにしてモード選択中は常温の風を送り込む「通常モード」を提供することができ、これによりユーザがヘアスタイルを維持してとツヤを増すのを助ける。また、ヘアドライヤーのデバイスコントローラ1501は、気流生成要素1511及び放射エネルギー源1512を調節することによって「即時加熱」機能を提供することができるので、ヘアドライヤーが加熱されて髪が乾くのにかかる時間が短くなる。様々な実施形態によれば、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素1511及び放射源1512のスイッチを制御することができる。
【0109】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、1つ又は複数の放射エネルギー源及び1つ又は複数の気流生成要素に電力を供給するように構成された電力要素1510を備えることができる。様々な例において、電力要素1510は、直流(DC)又は交流(AC)のいずれでも電力を供給することができる。ヘアドライヤーの例では、電力要素1510は、動作中の利便性及び安全性を確保するために、比較的低い電圧で直流(DC)で電力を供給することができる。或いは、電力要素1510は、絶え間なく非常に強力な方法で動作する高性能をサポートする必要がある業務用ヘアドライヤーのために特別に設計されたACモータに交流(AC)で電力を供給することができる。
【0110】
電力要素は、1つ又は複数のバッテリ又はバッテリ群などの内蔵電源を備えることができる。例えば、1つ又は複数のバッテリは、再充電可能(例えば、二次バッテリ)及び/又は交換可能であり得る。また、1つ又は複数のバッテリは、ヘアドライヤーのハウジング(例えば、ハウジングのハンドル)に収容することができる。バッテリの状況(例えば、バッテリの充電状況、残存電力)は、例えば、ハウジングのスクリーン又は発光ダイオード(LED)インジケータによって提供され得る。或いは、電力要素は、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)に外部電源で電力を供給できるように、(例えば、コードを介して)外部電源に接続するワイヤ接続を有することができる。電力要素は、外部電源から受け取った電圧及び/又は電流を調整する電力アダプタを備えることができる。例えば、ヘアドライヤーは、電源コードを介して外部バッテリ又は電力網に電気的に接続することによって、エネルギーを与えることができる。
【0111】
様々な実施形態によれば、気流生成要素1511は、モータによって駆動されるインペラを備えることができる。インペラは、複数のブレードを備えることができる。モータによって作動されると、インペラの回転により、環境空気が気流入口を介して気流チャネルに移動して気流を生成し、生成された気流が気流チャネルを通って移動し、気流出口から出ることができる。モータは、モータホルダーで支持するか、モータシュラウドに収納することができる。モータは、ブラシレスモータ又はブラシ付きモータのいずれであってもよい。例えば、モータは、デバイスコントローラ1501の制御下で回転速度を調整することができるブラシレスモータとすることができ、モータの回転速度は、プリセットプログラム、ユーザの入力、又はセンサデータによって制御できる。
【0112】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、気流生成要素1511への電源を管理するように構成された電力マネージャ1502を備えることができる。例えば、電力マネージャは、入力電力を気流生成要素1511へのモータの動作に適した安定した電圧に変換できる電力変換器を備えることができる。電力変換器は、直流電流(DC)を入力電圧レベルから気流生成要素1511用の動作電圧レベルに変換できるDC-DC電力チップなどの電子回路又は電気機械デバイスであり得る。例えば、気流生成要素1511のモータの動作電圧は、12V又は24Vとすることができ、内蔵バッテリ群からの入力電圧は12V~36Vとすることができ、外部電源からの入力電圧は110V又は220Vとすることができる。
【0113】
図15に示すように、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、モータ制御回路1503を備えることができる。モータ制御回路1503、例えばMOSチップは、電界効果トランジスタを含むことができる。モータ制御回路1503は、気流生成要素1511用のモータの速度を調整するように構成することができる。デバイスコントローラ1501は、モータ制御回路1503に駆動信号を送ることができる。例えば、駆動信号は、シングルチャネルでも、3チャネルなどのマルチチャネルであってもよい。モータ制御回路1503は、デバイスコントローラ1501から駆動信号を受信し、気流生成要素1511用のモータを駆動するための駆動電流を生成するように構成することができる。したがって、電力マネージャ1502から電力を供給されるモータ制御回路1503は、デバイスコントローラ1501がモータのスイッチ及びモータの速度を制御できるようにすることができる。様々な例において、デバイスコントローラ1501は、電力マネージャ1502のイネーブル信号及びモータ制御回路1503のイネーブル信号を介してモータのスイッチを制御することができる。様々な例において、デバイスコントローラ1501及びモータ制御回路1503は、同じ処理ユニット内に実装するか、又は同じ回路上に配置することができる。或いは、デバイスコントローラ1501及びモータ制御回路1503は、異なる処理ユニットに実装するか、又は接続された異なる回路上に配置することができる。
【0114】
様々な実施形態では、デバイスコントローラ1501は、1つ又は複数のモータ駆動信号、1つ又は複数のモータイネーブル信号、及び/又は1つ又は複数のモータ電源イネーブル信号を介して、1つ又は複数の気流生成要素1511をオフにすることができる。1つ又は複数のモータイネーブル信号は、特定の論理ゲートを介して決定することができる事前に構成された一連の命令にすることができる。
【0115】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、1つ又は複数の放射エネルギー源への電源を管理するように構成された電力マネージャ1504を備えることができる。例えば、電力マネージャは、直流(DC)を入力電圧レベルから放射エネルギー源1512の動作電圧レベルに変換できる電子回路又は電気機械装置である電力変換器を備えることができる。
【0116】
放射エネルギー源1512は、赤外線放射を生成し、赤外線放射をハウジングの外部に向けるように構成することができる。いくつかの実施形態では、放射エネルギー源は、電気エネルギーを赤外線放射エネルギーに変換する赤外線ランプであり得る。例示的な例では、赤外線ランプは、所定の波長(又は所定の波長範囲)を有する放射を放出するように構成された放射エミッタと、気流チャネルの出口に向かって放射を反射するように構成されたリフレクタとを備えることができる。別の例では、赤外線ランプは、赤外線発光ダイオード(LED)、又は二酸化炭素レーザ又はハロゲンランプなどのレーザ装置であってもよい。レーザ装置が赤外線ランプとして利用される例示的な例では、リフレクタは必要ない場合がある。レーザ装置からの放射を発散させ、赤外線放射によって放射される領域を増大させるために、光学要素を設けることができる。放射エネルギーは、ユーザの髪に向けることができる。このため、熱は放射熱伝達方式で髪に伝達することができ、ヘアドライヤーの熱伝達効率が向上する。
【0117】
様々な実施形態によれば、デバイスコントローラ1501は、放射源イネーブル信号を介して放射源のスイッチを制御することができる。デバイスコントローラ1501は、放射エネルギー源1512に電力を供給し、外部電圧を放射エネルギー源1512が必要とする安定した電圧に変換するDC-DC電力チップであり得る電力マネージャ1504に、イネーブル信号を送信することができる。一例では、デバイスコントローラ1501は、1つ又は複数の放射源イネーブル信号を介して、1つ又は複数の放射エネルギー源をオフにすることができる。1つ又は複数の放射源イネーブル信号は、特定の論理ゲートを介して決定することができる事前に構成された一連の命令にすることができる。例えば、モータイネーブル信号は、デバイスコントローラ出力ピンの3つからの3つの「1」を使用して、3つのチャネル入力を備える「AND」ゲートで生成できる。3つの出力ピンの誤動作は、「AND」ゲートがモータイネーブル信号を適切に生成するのを停止する。また、放射エネルギー源1512を誤ってオンにすることを防止するために、放射源イネーブル信号は、特定の論理ゲートを介して認識及び検証できる、事前に構成された一連の命令とすることができる。同様に、放射源イネーブル信号は、デバイスコントローラ出力ピンの3つからの3つの「1」を使用して、3つのチャネル入力を備える「AND」ゲートで生成できる。3つの出力ピンの誤動作は、「AND」ゲートが放射源イネーブル信号を適切に生成するのを停止する。
【0118】
様々な実施形態によれば、電力マネージャ1502及び電力マネージャ1504は、分離されたモジュールであり得る。したがって、電力マネージャ1502及び電力マネージャ1504は、気流生成要素1511及び放射エネルギー源1512のそれぞれに対して異なる動作電圧レベルで電力を供給することができる。或いは、電力マネージャ1502及び電力マネージャ1504は、共通の回路又はモジュールを共有することができ、集積回路又は単一のモジュールとして実装することができる。
【0119】
様々な実施形態によれば、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素1511などの1つ又は複数の気流生成要素、及び放射エネルギー源1512などの1つ又は複数の放射エネルギー源の、動作中の安全性を監視及び確保することができる。
【0120】
図15に示すように、デバイスコントローラ1501は、アナログデジタル変換器(ADC)モジュール1520で構成することができる。ADCモジュール1520を使用して、気流生成要素1511のモータに供給される駆動電流をサンプリングすることができる。ADCモジュール1520は、駆動電流をサンプリングするアナログ信号をデジタル信号に変換して、気流生成要素1511用のモータを監視することができる。ADCモジュール1520は、動作中に定期的に駆動電流をサンプリングすることができる。したがって、ADCモジュール1520は、駆動電流の異常な電流値が検出されると、気流生成要素1511に関連付けられた異常状態を検出することができる。異常な電流値は、動作電流レベルより上又は下の任意の電流値であり得る。また、想定外の電流値が連続して検出された場合、異常状態を検出することができる。例えば、ヘアドライヤーのデバイスコントローラ1501は、ADCモジュール1520を介してモータ電流をリアルタイムでサンプリングすることができる。モータ電流の変化を検出することにより、デバイスコントローラ1501は、モータがブロックされている、ダメージを受けている、又はエアダクトがブロックされているときの異常状態を検出することができる。モータ電流が異常に発生した場合、例えば、モータ電流が予め設定された値よりも低い場合、デバイスコントローラ1501は、モータのイネーブル制御信号をオフにすることができ、それにより、モータの駆動信号又はモータMOSのイネーブル信号を介してモータをオフにすることができる。また、デバイスコントローラ1501は、ゼロ速度駆動信号をモータドライブに送信することにより、又は、モータMOSのイネーブル信号をオフにすることにより、モータをオフにすることができる。電力マネージャ1502は、モータ用電源へのイネーブル信号を介して同時にオフにすることもできる。
【0121】
様々な実施形態によれば、ADCモジュール1520は、放射エネルギー源1512に提供される入力電流をサンプリングすることもできる。ADCモジュール1520は、入力電流をサンプリングするアナログ信号をデジタル信号に変換して、放射エネルギー源1512用のモータを監視することができる。したがって、ADCモジュール1520は、入力電流の異常な電流値が検出されると、放射エネルギー源1512に関連付けられた異常状態を検出することができる。同様に、異常な電流値は、動作電流レベルより上又は下の任意の電流値であり得る。また、想定外の電流値が連続して検出された場合、異常状態を検出することができる。例えば、ヘアドライヤーのデバイスコントローラ1501は、ADCモジュール1520を介して放射源の電流をサンプリングすることができる。予め記憶された電流データと比較することによって、デバイスコントローラ1501は、放射源が正常電流(又は異常電流)で動作しているか、又は放射源がオフにされているかを判断することができる。デバイスコントローラ1501が直接的又は間接的に生成されたイネーブル信号を介して放射源をオフにしたが、電流サンプリングデータが、電流があることを示している場合、それは、放射源の電力マネージャ1504が異常である可能性があり、オフにできないことを意味する。このとき、デバイスコントローラ1501は、コマンドを、例えばバッテリ管理チップに送信して、放電MOSをオフにすることができる。
【0122】
図16は、本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物を安全に乾燥させるための装置の別の例を示す。例示的な対象物乾燥用の装置は、前の図に示されているヘアドライヤーであることができ、そのような安全機能は、前の図に示されているヘアドライヤーで実施することができる。
【0123】
図16に示すように、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、放射エネルギー源1512などの1つ又は複数の放射エネルギー源、及び気流生成要素1511などの1つ又は複数の気流生成要素に電力を供給するように構成された、電力要素1510を備えることができる。電力要素1510は、バッテリ又はバッテリ群などの内蔵電源、又は外部バッテリ又は電力網などの外部電源のいずれかからエネルギーを引き出すことができる。更に、対象物乾燥用の装置は、1つ又は複数の気流生成要素及び1つ又は複数の放射エネルギー源の動作を制御するように構成されたデバイスコントローラ1501を備えることができる。
【0124】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、電力要素1510の動作を制御するように構成された電力要素コントローラ1601を備えることができる。
図16に示すように、電力要素コントローラ1601は、デバイスコントローラ1501に接続されている。様々な例では、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、異なるチップ上の別個のモジュールとすることができる。或いは、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、同じチップ又はチップセット上にあってもよい。更に、電力要素コントローラ1601とデバイスコントローラ1501との間の通信は、集積回路間(I2C)プロトコル、シリアルペリフェラルインタフェース(SPI)、ユニバーサル非同期送受信機(UART)プロトコル、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、及びメッセージキューイングテレメトリトランスポート(MQTT)などの、様々なデバイス間又はデバイス内通信プロトコル又はインタフェースに基づくことができる。
【0125】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、ヘアドライヤーなどの装置が動作中のときの安全を確保するための安全スキームを採用することができる。1つの例示的な安全スキームを使用して、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、互いの動作状況を監視し、装置の動作中の安全を確保するように構成することができる。例えば、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、両方が適切な状態又は動作状況にあることを検証するために、定期的にハートビート信号を交換することができる。電力要素コントローラ1601又はデバイスコントローラ1501のいずれかのコントローラの1つが適切に機能していない場合(例えば、ハートビート信号の送信又はハートビート信号の受信に失敗した場合)、装置を自動的にオフ又はシャットダウンすることができる。
【0126】
一例では、デバイスコントローラ1501が、電力要素コントローラ1601が適切に動作していないことを検出するか、又は通信チャネルの異常状態を検出すると、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源をオフにすることができる。例えば、デバイスコントローラ1501が電力要素コントローラ1601からハートビート信号を受信しない場合、デバイスコントローラ1501は、電力要素コントローラ1601が正常に動作していないか、通信チャネルに異常状態が存在すると判断できる。電力要素コントローラ1601が故障した場合、装置を動作させる上での安全性が著しく損なわれる可能性がある。例えば、ユーザが、電力要素コントローラに関連付けられた電源オフボタンを押すことによってデバイスの電源をオフにできない場合がある。このような場合、装置を使用して乾燥される対象物がダメージを受ける可能性があり、人体への傷害や火災の危険さえも引き起こす可能性がある。対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)を操作する際の安全を確保するために、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素1511及び/又は放射エネルギー源1512をオフにすることができる。例えば、デバイスコントローラ1501は、モータ駆動信号、モータイネーブル信号、及び/又はモータ電源イネーブル信号を介して気流生成要素1511をオフにすることができる。また、デバイスコントローラ1501は、例えばバッテリ出力を正常にオフにすることができない場合、放射源イネーブル信号を介して放射エネルギー源1512をオフにすることができる。
【0127】
別の例では、電力要素コントローラが、デバイスコントローラ1501が適切に作動していないことを検出するか、通信チャネルに異常な状態を検出すると、電力要素コントローラ1601は、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源をオフにすることができる。例えば、電力要素コントローラ1601がデバイスコントローラ1501からハートビート信号を受信しないと、電力要素コントローラ1601は、デバイスコントローラ1501が正常に動作していないか、通信チャネルに異常な状態が存在すると判断することができる。これは、デバイスコントローラ1501に正常にイネーブル信号を介して放射源又はモータをオフにする方法がないなどの安全上の問題がある可能性があることを示す。その後、電力要素コントローラ1601は、1つ又は複数の電力イネーブル信号(例えば、バッテリ放電イネーブル信号及び/又はバッテリイネーブル信号のうちの1つ又は複数)を介して、気流生成要素1511及び/又は放射エネルギー源1512をオフにすることができる。
【0128】
様々な実施形態では、デバイスコントローラ1501及び電力要素コントローラ1601のうちの1つが正常に動作している限り、システムの安全な動作を確保することができる。例えば、デバイスコントローラ1501の故障確率がp1、電力要素コントローラ1601の故障確率がp2の場合、同時故障の確率はp1×p2であり、これは実際には非常に小さい数値になり得る。このようにして、乾燥手段として熱/熱放射及び風を使用するドライヤーの安全性及び信頼性を大幅に向上させることができる。
【0129】
様々な実施形態によれば、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素1511及び放射源1512のスイッチを制御することができる。例えば、気流生成要素1511のモータを誤ってオンにすることを防止するために、モータイネーブル信号及びモータ電源イネーブル信号は、特定の論理ゲートを介して認識及び検証できる、事前に構成された一連の命令とすることができる。例えば、モータイネーブル信号は、デバイスコントローラ出力ピンの3つからの3つの「1」を使用して、3つのチャネル入力を備える「AND」ゲートで生成できる。3つの出力ピンの誤動作は、「AND」ゲートがモータイネーブル信号を適切に生成するのを停止する。また、放射エネルギー源1512を誤ってオンにすることを防止するために、放射源イネーブル信号は、特定の論理ゲートを介して認識及び検証できる、事前に構成された一連の命令とすることができる。同様に、放射源イネーブル信号は、デバイスコントローラ出力ピンの3つからの3つの「1」を使用して、3つのチャネル入力を備える「AND」ゲートで生成できる。3つの出力ピンの誤動作は、「AND」ゲートが放射源イネーブル信号を適切に生成するのを停止する。
【0130】
いくつかの実施形態では、デバイスコントローラ1501は、例えば様々なイネーブル信号(例えば、モータイネーブル信号及びモータ電源イネーブル信号、放射源イネーブル信号)を送受信するためのデバイスコントローラ1501のピンがダメージを受ける可能性があるとき、気流生成要素1511と放射源1512を切り替える能力を失う可能性がある。また、放電信号を制御するバッテリマネージャのイネーブルピンがダメージを受ける可能性があり、その場合、バッテリマネージャは放電MOSのスイッチを制御できなくなる。安全な動作を確保するために、デバイスコントローラ1501又は電力要素コントローラ1601を介して間接的にイネーブル信号を生成することができる。したがって、特定の論理ゲートがそれをイネーブル信号として認識できるように、特定の一連の命令を生成することができる。
【0131】
図17は、本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物乾燥用の装置の一例を示す。例示的な対象物乾燥用の装置は、前の図に示されているヘアドライヤーであることができ、そのような安全機能は、前の図に示されているヘアドライヤーで実施することができる。
【0132】
図17に示されているように、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、ハウジング内に収容され、気流チャネルを通る気流を生成するように構成された気流生成要素1511を備えることができる。また、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、放射を生成し、放射をハウジングの外部に向けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源1512を備えることができる。
【0133】
図17示す例では、対象物乾燥用の装置は、1つ又は複数のバッテリ/バッテリ群1710などの内蔵電源を利用することができる。例えば、バッテリ/バッテリ群1710は、ハウジング内に収容することができる。1つ又は複数のバッテリ/バッテリ群1710は、再充電可能(例えば、二次バッテリ)及び/又は交換可能であり得る。例示的な例では、1つ又は複数のバッテリは、ヘアドライヤーのハウジング(例えば、ハウジングのハンドル)内に収容することができる。バッテリの状況(例えば、バッテリの充電状況、残存電力)は、例えば、ハウジングのスクリーン又は発光ダイオード(LED)インジケータによって提供され得る。一例では、ヘアドライヤーは、内蔵電源で電力を供給できる。
【0134】
様々な実施形態によれば、バッテリ管理システムを使用して、対象物乾燥用の装置をサポートすることができる。バッテリ管理システムは、カットオフ電界効果トランジスタ(FET)、残量ゲージモニタ、セル電圧モニタ、セル電圧バランス、リアルタイムクロック(RTC)、温度モニタ、及びステートマシンを含む様々な機能ブロックを備えることができる。様々な種類のバッテリ管理ICが利用可能である。機能ブロックのグループ化は、バランシングと監視を提供し、マイクロコントローラ(MCU)を必要とする単純なアナログフロントエンドから、自律的に実行されるスタンドアロンの高度に統合されたソリューションまで、様々である。
【0135】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、1つ又は複数のバッテリ/バッテリ群1710における1つ又は複数のバッテリセル又はセル群の放電を制御するように構成されたバッテリ放電回路1703を備えることができる。様々な例において、バッテリ放電回路は、1つ又は複数の電界効果トランジスタ(FET)を備えることができる。例えば、充放電機能を実現するために、2つの金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を使用できる。他の例では、より複雑なシステムを使用して、より高度な機能を実現できる。
【0136】
図17に示すように、バッテリ放電回路1703は、電力マネージャ1502及び電力マネージャ1504に電力を分配する役割を担うことができる。様々な例において、電力マネージャ1502は、モータ制御回路1503を介して気流生成要素1511用のモータに電力を供給することができ、電力マネージャ1504は、放射エネルギー源1512に電力を供給することができる。2つの電力チップは、バッテリ電圧をモータと放射源にそれぞれ必要な電圧に変換し、出力を安定させることができる。デバイスコントローラ1501は、イネーブル信号を介して2つの電力チップによる電力の出力を別々に制御することができる。
【0137】
加えて、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、電力要素の動作を制御して放射エネルギー源1512及び気流生成要素1511に電力を供給するように構成された電力要素コントローラ1601を備えることができる。電力要素コントローラ1601は電力制御回路1702に関連付けることができる。電力要素コントローラ1601は、電力制御回路1702などのバッテリ電力管理チップに送信されるイネーブル信号を介して、バッテリの放電回路を有効にすることができ、バッテリの電気を電力マネージャ1502及び電力マネージャ1504などの2つの電力チップの入力端子に供給する。
【0138】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、装置が動作しているときの安全を確保するための安全スキームを採用することができる。このような安全スキームを使用して、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、互いの動作状況を監視し、装置の動作中の安全を確保するように構成することができる。例えば、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、両方が適切な状態又は動作状況にあることを検証するために、定期的にハートビート信号を交換することができる。電力要素コントローラ1601又はデバイスコントローラ1501のいずれかのコントローラの1つが適切に機能していない場合(例えば、ハートビート信号の送信又はハートビート信号の受信に失敗した場合)、装置を自動的にオフ又はシャットダウンすることができる。
【0139】
図17に示すように、電力要素コントローラ1601が適切に動作していないことをデバイスコントローラが検出すると、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源をオフにすることができる。例えば、デバイスコントローラ1501は、デバイスコントローラ1501が電力要素コントローラからハートビート信号を受信しないか、又は通信の異常状態を検出すると、電力要素コントローラ1601が正常に動作していないと判断することができる。電力要素コントローラ1601が故障した場合、装置を動作させる上での安全性が著しく損なわれる可能性がある。例えば、ユーザが、電力要素コントローラに関連付けられた電源オフボタンを押すことによってデバイスの電源をオフにできない場合がある。このような場合、装置を使用して乾燥される対象物がダメージを受ける可能性があり、人体への傷害や火災の危険さえも引き起こす可能性がある。対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)を操作する際の安全を確保するために、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素1511及び/又は放射エネルギー源1512をオフにすることができる。
【0140】
更に、電力要素コントローラ1601が、デバイスコントローラ1501が適切に作動していないことを検出するか、通信に異常な状態を検出すると、電力要素コントローラ1601は、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源をオフにすることができる。例えば、電力要素コントローラ1601がデバイスコントローラ1501からハートビート信号を受信しないと、電力要素コントローラ1601は、デバイスコントローラ1501が正常に動作していないと判断することができる。これは、デバイスコントローラ1501が、イネーブル信号を介して放射源又はモータを正常にオフにすることができない可能性があることを示しており、安全上の問題につながる可能性がある。
【0141】
図17に示すように、電力要素コントローラ1601は、バッテリ放電イネーブル信号及びバッテリイネーブル信号のうちの1つ又は複数を介して、気流生成要素及び1つ又は複数の放射エネルギー源への電源をオフにすることができる。
【0142】
図18は、本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物乾燥用の装置の別の例を示す。例示的な対象物乾燥用の装置は、前の図に示されているヘアドライヤーであることができ、そのような安全機能は、前の図に示されているヘアドライヤーに採用及び/又は適用することができる。
【0143】
図16に示されるのと同様に、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、ハウジング内に収容され、気流チャネルを通る気流を生成するように構成された気流生成要素1511を備えることができる。また、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、放射を生成し、放射をハウジングの外部に向けるように構成された1つ又は複数の放射エネルギー源1512を備えることができる。
【0144】
図18に示す例では、対象物乾燥用の装置は、外部電源1810から電力マネージャ1502及び電力マネージャ1504に電力を分配することができる電力アダプタ1801を備えることができる。様々な例において、電力マネージャ1502は、モータ制御回路1503を介して気流生成要素1511用のモータに電力を供給することができ、電力マネージャ1504は、放射エネルギー源1512に電力を供給することができる。
【0145】
加えて、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、電力要素の動作を制御して放射エネルギー源1512及び気流生成要素1511に電力を供給するように構成された電力要素コントローラ1601を備えることができる。更に、電力要素コントローラ1601は、電力制御回路1802に関連付けることができる。電力要素コントローラ1601は、電力制御回路1802などの電源管理チップをイネーブルでき、及び外部電源1810から2つの電力チップの入力端子に電気を供給する。
【0146】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、装置が動作しているときの安全を確保するための安全スキームを採用することができる。このような安全スキームを使用して、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、互いの動作状況を監視し、装置の動作中の安全を確保するように構成することができる。例えば、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、両方が適切な状態又は動作状況にあることを検証するために、定期的にハートビート信号を交換することができる。電力要素コントローラ1601又はデバイスコントローラ1501のいずれかのコントローラの1つが適切に機能していない場合(例えば、ハートビート信号の送信又はハートビート信号の受信に失敗した場合)、装置を自動的にオフ又はシャットダウンすることができる。
【0147】
図16に示されるのと同様に、電力要素コントローラ1601が適切に動作していないことをデバイスコントローラが検出すると、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源をオフにすることができる。電力要素コントローラ1601が故障した場合、装置を動作させる上での安全性が著しく損なわれる可能性がある。例えば、デバイスコントローラ1501は、デバイスコントローラ1501が電力要素コントローラからハートビート信号を受信しないか、又は通信の異常状態を検出すると、電力要素コントローラ1601が正常に動作していないと判断することができる。続いて、デバイスコントローラ1501は、気流生成要素1511及び/又は放射エネルギー源1512をオフにすることができる。
【0148】
更に、電力要素コントローラ1601が、デバイスコントローラ1501が適切に作動していないことを検出するか、通信に異常な状態を検出すると、電力要素コントローラ1601は、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源をオフにすることができる。例えば、電力要素コントローラ1601がデバイスコントローラ1501からハートビート信号を受信しないと、電力要素コントローラ1601は、デバイスコントローラ1501が正常に動作していないと判断することができる。
【0149】
図18に示すように、電力要素コントローラ1601が、デバイスコントローラ1501が適切に作動していないことを検出するか、通信に異常な状態を検出すると、電力要素コントローラ1601は、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源をオフにすることができる。例えば、電力要素コントローラ1601がデバイスコントローラ1501からハートビート信号を受信しないと、電力要素コントローラ1601は、デバイスコントローラ1501が正常に動作していないと判断する。
【0150】
図18に示すように、電力要素コントローラ1601は、電力制御回路1802のスイッチをオフにするか、又は電力アダプタ1801を無効にして外部電源1810を遮断することにより、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源への電源をオフにすることができる。
【0151】
図19は、本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物を安全に乾燥させる方法の一例を示す。対象物を乾燥させる例示的な方法は、前の図に示されているヘアドライヤー
に実施することができ、様々な安全機能は、前の図に示されているヘアドライヤーに採用及び/又は適用することができる。
【0152】
図19に示すように、ステップ1901で、気流入口及び気流出口を有する気流チャネルがハウジング内に提供される。ステップ1902で、ハウジング内に収容された1つ又は複数の気流生成要素が、気流チャネルを通る気流を生成することができる。ステップ1903で、1つ又は複数の放射エネルギー源が放射を生成し、ハウジングの外部に向けることができる。ステップ1904で、デバイスコントローラは、気流生成要素及び1つ又は複数の放射エネルギー源の動作を制御することができる。ステップ1905で、電力要素は、少なくとも放射エネルギー源及び気流生成要素に電力を供給することができる。ステップ1906で、デバイスコントローラと接続している電力要素コントローラは、電力要素の動作を制御することができる。
【0153】
図20は、本発明の実施形態による、対象物乾燥用の装置で使用することができる風速検出デバイスの一例を示す。
図20に示す風速検出デバイスは、前の図に示したヘアドライヤーなどの例示的な対象物乾燥用の装置に統合又は適用することができる。
【0154】
様々な実施形態によれば、気流生成要素1511などの1つ又は複数の気流生成要素は、気流チャネル2010を通る気流を生成することができる。気流生成要素1511などの1つ又は複数の気流生成要素によって生成される気流は、気流チャネル2010を通して、ユーザの髪などの目標対象物に向けて誘導及び/又は調整することができる。例えば、気流チャネル2010は、ヘアドライヤーから出る気流の少なくとも速度、処理量、発散角、又は渦度を調整するように成形することができる。気流チャネル2010は、少なくとも気流入口及び気流出口を含むことができる。気流入口と気流出口はそれぞれ、効率的な気流の処理量を可能にする通気孔にすることができる。環境空気は、気流入口を介して気流チャネル2010内に移動されて気流を生成することができ、生成された気流は、気流出口を介して気流チャネル2010から出ることができる。
【0155】
様々な実施形態において、気流チャネル2010は、異なる幾何学形状で構成され得る。一例では、気流入口及び気流出口は、ヘアドライヤーの長手方向に沿って両端に配置することができる。他の例では、気流チャネル2010は、1つ又は複数の気流生成要素によって生成される気流の効率的な移動を可能にする円弧形状、らせん形状、又は任意の3D幾何学形状で構成することができる。
【0156】
様々な実施形態によれば、気流生成要素1511は、気流チャネル2010の入口に配置することができる。或いは、気流生成要素1511は、気流チャネル2010の出口の近くに配置することができる。様々な実施形態では、気流チャネル2010を通して気流を効率的に移動させるために、気流チャネル2010の異なるセクションに配置される複数の気流生成要素が存在し得る。また、気流チャネル2010は、例えばユーザの髪を乾かすための所望の気流を達成するために、気流生成要素をそれぞれに備えることができる複数の経路を有することができる。例えば、気流はすべての経路から同時に出ることができる。或いは、気流は、経路の一部のみから出て、特定の気流を達成することができる。
【0157】
様々な実施形態によれば、風速検出デバイスを気流チャネル2010内に配置して、気流チャネル2010内の気流の速度を検出することができる。このように、対象物乾燥用の装置は、気流生成要素1511が故障などの異常状態を有しているかどうかを判断することができる。
【0158】
加えて、気流チャネル2010内に2つ以上の風速検出デバイスがあってもよい。例えば、風速検出デバイスは、気流チャネル2010の異なるセクションで気流の速度を検出するために、気流チャネル2010の異なるセクションに配置することができる。様々な実施形態によれば、異なるフォームファクタ及び容量を有する異なるタイプの風速検出デバイスを使用することができる。例えば、気流チャネル2010の狭い経路では、フォームファクタの小さい風速検出デバイスを使用することができる。また、風速が急激に変化する場所には検出範囲の広い風速検出デバイスを設置することができる。
【0159】
図20に示すように、デバイスコントローラ2005は、気流チャネル2010内の気流の速度を決定するために風速検出デバイスからの信号を受信することができるので、デバイスコントローラ2005は故障などの異常状態が発生しているかどうかを判断することができる。或いは、気流チャネル2010内の気流の検出された速度は、デバイスコントローラ2005に提供することができ、デバイスコントローラ2005は、故障などの異常状態が発生しているかどうかを判断することができる。例えば、気流生成要素1511の下流又は上流に風速検出デバイスを配置することができ、そのため風速検出デバイスは、気流生成要素1511がいつモータの誤動作又は閉塞などの誤動作に遭遇したかを検出することができる。
【0160】
様々な実施形態によれば、気流チャネル2010内の気流の速度を検出するために、異なるタイプの風速検出デバイスを使用することができる。例えば、カップ型風速計、熱線風速計、熱流風速計、圧力管風速計、超音波風速計、レーザドップラー風速計などの各種風速計を使用することができる。
【0161】
例示的な風速検出デバイスは、加熱抵抗器2001、感温抵抗器2002を備えることができ、それは、気流チャネル2010内の気流にさらされる。様々な実施形態によれば、感温抵抗器は、温度による電気抵抗率の変化を示す十分に高い抵抗温度係数を有することができる。感温抵抗器は、気流の速度を測定するために使用できる。例えば、感温抵抗器は、熱線又は熱フィルムのいずれかの形をとることができる。感温抵抗器が気流内の周囲の空気によって冷却されると、感温抵抗器の電気抵抗が減少し、これは気流の速度を反映している。
【0162】
様々な実施形態において、感温抵抗器2002は、加熱抵抗器2001に熱的に結合することができる。加熱抵抗器2001及び感温抵抗器2002は、熱伝導性(及び電気絶縁性)材料を使用して一緒に結合することができる。加えて、加熱抵抗器は、感温抵抗器2002の近くに配置することができる。例えば、加熱抵抗器2001と感温抵抗器2002の両方をプリント回路基板(PCB)上に配置することができる。
【0163】
様々な実施形態において、加熱抵抗器2001と感温抵抗器2002の両方を、気流チャネル2010などの対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)内に配置することができる。また、加熱抵抗器2001が発生する熱エネルギーを制限することができる。このように、従来のヘアドライヤーとは異なり、加熱抵抗器は気流を加熱する目的で使用されないので、ユーザの髪を乾かすための暖かい気流を生成することができる。ここで、加熱抵抗器2001は、気流チャネル2010内の気流の速度を簡便に検出する目的で使用される。したがって、気流入口での温度と気流出口での温度は、実質的に同じにすることができる(例えば、数度だけ異なる)。当業者は、気流の温度が、回路、電線、電源リード線、電源アダプタ、及びコントローラなどのヘアドライヤー内の電気コンポーネントによって必然的にある程度上昇する可能性があることを理解することができる。例えば、気流チャネル全体を通過する気流の温度上昇は、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、15℃、14.5℃、14.0℃、13.5℃、13.0℃、12.5℃、12.0℃、11.5℃、11.0℃、10.5℃、10.0℃、9.5℃、9.0℃、8.5℃、8.0℃、7.5℃、7.0℃、6.5℃、6.0℃、5.5℃、5.0℃以下を超えないものであり得る。例示的な例では、室温は25℃であり、本開示のヘアドライヤーの気流チャネル全体を通って移動する気流の温度上昇は最大15℃であり、気流出口における40℃の気流の温度をもたらす。これは、従来の熱風ベースのヘアドライヤーから吹き出す気流の温度よりもはるかに低い温度である。比較例では、従来のヘアドライヤー1番目(Dyson(登録商標)HD01)の気流吹き出し温度は約140℃である。別の比較例として、従来のヘアドライヤー2番目(Panasonic(登録商標)EH-JNA9C)の気流吹き出し温度は約105℃である。
【0164】
様々な実施形態によれば、1つ又は複数の放射エネルギー源などの他のコンポーネントを気流チャネル2010の近くに配置することができる。
図20に示す例では、放射エネルギー源1512の包囲構造の一部など、放射エネルギー源1512の外面の一部は、気流チャネル2010内の気流にさらされ得る。したがって、気流は、放射エネルギー源1512によって生成された大量の熱を除去して放射エネルギー源1512の適切な動作状態を維持することができる。一例では、風速検出デバイスの感温抵抗器2002は、放射エネルギー源1512から離れた場所に配置することができるので、放射エネルギー源1512によって生成される熱は感温抵抗器2002の状態には影響しない。
【0165】
ヘアドライヤーの例では、風速検出デバイスが気流チャネル2010内の気流を乱さないように、風速検出デバイスは小さなフォームファクタを有することができることが好ましい。またそれは、気流チャネル2010内の気流の速度を測定する精度を向上させることができる。
【0166】
図21は、本発明の実施形態による、様々な安全機能を備えた対象物乾燥用の装置で使用できる風速検出デバイスの例示的な設計を示す。
図21に示すように、気流中の風速を検出するために、感温抵抗器2102を加熱抵抗器2101に熱的に結合することができる。
【0167】
図21に示すように、感温抵抗器2102は、加熱抵抗器2101に近接して配置されるので、加熱抵抗器2101に電源が接続されると、加熱抵抗器2101が感温抵抗器2102を加熱することができる。例えば、抵抗器2101によって生成された放射は、感温抵抗器2102を直接加熱することができる。また、加熱抵抗器2101は、近くの気流を加熱することができ、次に、熱を感温抵抗器2102に、例えば空気対流によって伝導することができる。或いは、加熱抵抗器2101は、熱伝導性であるが電気的に絶縁性の材料を介して感温抵抗器2102と結合することができるので、加熱抵抗器2101によって生成された熱は、感温抵抗器2102に伝導することができる。
【0168】
一方、周囲の気流は、感温抵抗器2102の近くから熱を放散することができる。気流が強ければ強いほど、感温抵抗器2102からより多くの熱を放散することができる。その結果、感温抵抗器2102の温度を低下させ、感温抵抗器2102の抵抗値を変化させることができる。様々な実施形態において、感温抵抗器2102の温度は、感温抵抗器2102の抵抗値を測定することによって決定することができる。したがって、気流の速度は、加熱抵抗器2101によって加熱される前の流入気流の温度(例えば、環境温度)、及び感温抵抗器2102で測定された抵抗値に基づいて(例えば、経験的に)決定することができる。
【0169】
様々な実施形態によれば、感温抵抗器2102における温度と気流の速度との間の対応関係を維持するためにテーブルを構築することができる。例えば、様々な環境温度に対してテーブルを作成できる。したがって、気流の速度は、感温抵抗器2102の抵抗値を測定することによって決定することができる。
【0170】
気流の速度が変化すると、装置は感温抵抗体の温度を検出することでモータの異常を検出し、潜在的な安全上のリスクを発見し、放射源とモータをオフにする。例えば、装置は、ADCモジュール2104を介して感温抵抗器2102の電圧に関する情報を収集することができる。次いで、気流の速度は、テーブル内の感温抵抗器2102の温度を調べることによって決定することができる。
【0171】
様々な実施形態において、風速検出デバイスは、両方とも加熱抵抗器2101から近い距離内に配置することができる、感温抵抗器2102及び温度不感抵抗器2103を備える回路を含むことができ、その両方とも気流にさらされる可能性があるため、感温抵抗器2102と温度不感抵抗器2103の両方の温度は、実質的に同じであり得る。
【0172】
図21に示す例では、温度不感抵抗器2103は、感温抵抗器2102の下流に配置することができる。或いは、温度不感抵抗器2103は、加熱抵抗器2101の反対側に配置することができ、そのため温度不感抵抗器2103と加熱抵抗器2101との間の距離は、加熱抵抗器2101と感温抵抗器2102との間の距離と実質的に同じにすることができる。
【0173】
様々な実施形態によれば、温度不感抵抗器2103の抵抗値は、温度が変化しても劇的には変化しない。温度不感抵抗器は、抵抗の温度係数が十分に低いものであり得、これは電気抵抗率が温度によって変化しないことを示している。温度不感抵抗器は、気流の速度を測定するための基準として使用できる。
【0174】
図21に示すように、温度不感抵抗器2103は、感温抵抗器2102と直列に接続されている。したがって、感温抵抗器2102の抵抗値は、温度不感抵抗器2103の既知の抵抗値及び相対電圧降下に基づいて決定することができる。
【0175】
また、
図21に示すように、MCU2105などのデバイスコントローラは、感温抵抗器2102の抵抗値を測定することによって気流チャネル内の気流の速度を検出するように構成することができる。MCU2105は、感温抵抗器2102と温度不感抵抗器2103との間のポイントで電圧値(U
Measured)を測定するために使用できるADCモジュール2104を備えることができる。したがって、MCU2105は、感温抵抗器における電圧降下及び温度不感抵抗器における電圧降下を計算することができる。次いで、MCU2105は、温度不感抵抗器における電圧降下に対する感温抵抗器における電圧降下及び温度不感抵抗器2103の既知の抵抗値を評価することによって、任意の所与の時間における感温抵抗器の抵抗値を決定することができる。例えば、次の式を使用する。
【0176】
代替的な設計では、温度不感抵抗器2003と感温抵抗器2002を並列接続で構成することができる。したがって、感温抵抗器2102の抵抗値は、温度不感抵抗器2103の既知の抵抗値と電流比に基づいて決定することができる。このような代替的な設計では、デバイスコントローラは、感温抵抗器での電流値と温度不感抵抗器での電流値を測定できるADCモジュールを折衷することができる。したがって、コントローラは、温度不感抵抗器の電流値と比較して、感温抵抗器の電流値を評価することにより、感温抵抗器の抵抗値を決定できる。
【0177】
図20を参照すると、デバイスコントローラ2005は、気流チャネル2010内の気流の速度を決定することができる。例えば、
図21に示すような風速検出器を利用することにより、デバイスコントローラ2005は、感温抵抗器2002の抵抗値を測定することによって、気流チャネル内の気流の速度を決定することができる。したがって、デバイスコントローラ2005は、気流生成要素1511及び放射エネルギー源1512の動作状態及び状況を認識することができる。
【0178】
様々な実施形態によれば、デバイスコントローラ2005は、異常状態が検出された場合、装置への電力をオフにするか、又は遮断することができる(例えば、気流生成要素及び/又は1つ又は複数の放射エネルギー源を遮断するために)。一例では、デバイスコントローラ2005は、感温抵抗器2002の抵抗値が異常であると判断することによって、気流チャネル2010内の異常な風速を検出することができる。例えば、デバイスコントローラ2005は、抵抗値を事前に構成されたテーブルと比較することによって、感温抵抗器2002の抵抗値が異常であると判断できる。別の例では、デバイスコントローラ2005は、感温抵抗器の抵抗値を評価することによって感温抵抗器2002に関連付けられた温度を取得できる。デバイスコントローラ2005は、感温抵抗器に関連付けられた温度が異常であると判断することによって、気流チャネル内の異常な風速を検出することができる。例えば、デバイスコントローラ2005は、温度を事前に構成されたテーブルと比較することによって、感温抵抗器に関連付けられた温度が異常であると判断することができる。
【0179】
図22は、本発明の実施形態による、他の安全機能と共に風速検出デバイスを備えた対象物乾燥用の装置の一例を示す。例示的な対象物乾燥用の装置は、前の図に示されているヘアドライヤーであることができ、風速検出デバイスを含む様々な安全機能は、前の図に示されているヘアドライヤーに実装及び/又は適用することができる。
【0180】
様々な実施形態によれば、気流生成要素1511などの1つ又は複数の気流生成要素は、気流チャネル2010を通る気流を生成することができる。気流生成要素1511などの1つ又は複数の気流生成要素によって生成される気流は、ユーザの髪などの目標対象物に向けて誘導及び/又は調整することができる。例えば、気流チャネル2010は、ヘアドライヤーから出る気流の少なくとも速度、処理量、発散角、又は渦度を調整するように成形することができる。気流チャネル2010は、少なくとも気流入口及び気流出口を含むことができる。気流入口と気流出口はそれぞれ、効率的な気流の処理量を可能にする通気孔にすることができる。環境空気は、気流入口を介して気流チャネル2010内に移動されて気流を生成することができ、生成された気流は、気流出口を介して気流チャネル2010から出ることができる。
【0181】
様々な実施形態によれば、気流チャネル2010は、放射熱エネルギーを生成し、熱エネルギーを対象物、例えばユーザの髪に向けることができる1つ又は複数の放射エネルギー源を取り囲むように構成することができる。
図1及び
図2に示す例では、ヘアドライヤーはハウジング101を備えることができる。ハウジング101は、その中に1つ又は複数の気流チャネルを提供することができる。気流チャネルエンクロージャ105を設けて、気流チャネル107を(例えば、気流チャネルの境界として)画定することができる。モータとインペラは、気流チャネルエンクロージャの入口端に隣接して配置できる。例えば、気流出口を出る気流の所望の速度分布及び/又は発散角を生成するために、気流チャネルエンクロージャの断面形状は、その長手方向に沿って変化することができる。いくつかの場合では、赤外線ランプなどの放射エネルギー源は、赤外線ランプエンクロージャ106内に収容することができる。赤外線ランプエンクロージャは、赤外線ランプを保護する役割を果たすことができる。赤外線ランプの外面と赤外線ランプエンクロージャの内面との間の空間は、真空度を備えることができる。いくつかの実施形態では、赤外線ランプエンクロージャ106などの1つ又は複数の放射エネルギー源を気流チャネルエンクロージャ105内に配置することができる。
図2に示すように、気流チャネル107の少なくとも一部は、気流チャネルエンクロージャ105及び赤外線ランプエンクロージャ106によって画定することができる。この構成を有するヘアドライヤーの側面図が
図4に示されており、赤外線ランプ103の出力は、気流チャネル107の気流出口によって取り囲まれ得る。
【0182】
様々な実施形態によれば、1つ又は複数の放射エネルギー源は、気流チャネル2010の少なくとも一部を取り囲むように構成することができる。
図6及び
図7に示される例では、気流チャネル607の気流出口は、赤外線ランプ603とチャンバ611との間に配置することができる。
図9は、
図6及び
図7のヘアドライヤーの側面図であり、チャンバは中央に配置され、気流チャネル607から出る気流は赤外線ランプ603によって取り囲まれている。図示されていないが、代替実施形態では、気流チャネル607の気流出口は、ハウジング601と赤外線ランプ603との間に配置されて、赤外線ランプが気流チャネルから出る気流によって取り囲まれる構成を形成することができる。
【0183】
いくつかの実施形態では、赤外線ランプエンクロージャは、気流チャネルエンクロージャの外部に配置することができる(例えば、赤外線ランプエンクロージャは、気流チャネルエンクロージャによって取り囲まれない)。この構成を有するヘアドライヤーの側面図が
図5に示されており、赤外線ランプ103の出力は、気流チャネル107の気流出口から分離されている。当業者は、気流チャネルのエンクロージャ又は赤外線ランプのエンクロージャのいずれかがオプションであり得ることを理解するであろう。
【0184】
図22に示すように、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、放射エネルギー源1512などの1つ又は複数の放射エネルギー源、及び気流生成要素1511などの1つ又は複数の気流生成要素に電力を供給するように構成された、電力要素1510を備えることができる。電力要素1510は、バッテリ又はバッテリ群などの内蔵電源、又は外部バッテリ又は電力網などの外部電源のいずれかからエネルギーを引き出すことができる。更に、対象物乾燥用の装置は、1つ又は複数の気流生成要素及び1つ又は複数の放射エネルギー源の動作を制御するように構成されたデバイスコントローラ1501を備えることができる。
【0185】
様々な実施形態によれば、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)は、ヘアドライヤーなどの装置が動作中のときの安全を確保するための包括的な安全スキームを採用することができる。本装置のデバイスコントローラ2005は、温度センサ、湿度センサなどの様々なタイプのセンサを利用して、包括的な状況認識を達成することができる。加えて、1つ又は複数の風速検出デバイスを様々なタイプのセンサと組み合わせて使用することができる。
【0186】
様々な実施形態によれば、風速検出デバイスを気流チャネル2010内に配置して、気流チャネル2010内の気流の速度を検出することができる。例えば、気流生成要素1511の下流又は上流に風速検出デバイスを配置することができ、そのため風速検出デバイスは、気流生成要素1511がいつ過熱又は閉塞状態などの誤動作に遭遇したかを検出することができる。
【0187】
図22に示すように、デバイスコントローラ2005は、気流チャネル2010内の気流の速度を決定するために風速検出デバイスからの信号を受信することができるので、デバイスコントローラ2005は、気流生成要素1511の故障などの異常状態が発生しているかどうかを判断することができる。或いは、気流チャネル2010内の気流の検出された速度は、デバイスコントローラ2005に提供することができ、デバイスコントローラ2005は、気流生成要素1511の故障などの異常状態が発生しているかどうかを判断することができる。
【0188】
様々な実施形態によれば、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、互いの動作状況を監視し、装置の動作中の安全を確保するように構成することができる。例えば、電力要素コントローラ1601及びデバイスコントローラ1501は、両方が適切な状態又は動作状況にあることを検証するために、定期的にハートビート信号を交換することができる。電力要素コントローラ1601又はデバイスコントローラ1501のいずれかのコントローラの1つが適切に機能していない場合(例えば、ハートビート信号の送信又はハートビート信号の受信に失敗した場合)、装置を自動的にオフ又はシャットダウンすることができる。
【0189】
図22に示されるような包括的な安全スキームを使用して、デバイスコントローラ1501は、複数の異なるメカニズムを介して、気流生成要素1511又は放射エネルギー源1512で発生する異常状態を検出することが可能であり得る。したがって、1つ又は複数の安全手段が適切に機能しない場合でも、装置は安全に動作することができる。
【0190】
一例では、デバイスコントローラ1501は、ADCモジュールから異常なモータ駆動電流値を受信するときに(例えば、モータの過熱又は閉塞がある場合)、異常状態を検出可能であり得る。別の例では、デバイスコントローラ1501は、気流チャネル内の異常な風速を検出するときに、異常状態を検出可能であり得る。したがって、デバイスコントローラ1501は、異常状態が発生する兆候が1つしかない場合でも、異常状態を検出可能であり得る。
【0191】
様々な実施形態によれば、デバイスコントローラ1501が誤警報状態を回避することも可能である。例えば、気流チャネル内の風速は、異なるヘアドライヤーアタッチメント(例えば、コンセントレーターノズル又はディフューザーアタッチメント)がヘアドライヤーにつけられる場合に影響を受ける可能性がある。このような場合、デバイスコントローラ1501が気流チャネルの異常な風速を検出した場合でも、デバイスコントローラ1501は、ADCモジュールから受信したモータ駆動電流値及び/又は気流の温度を測定する温度センサをチェックすることにより、状況を検証することができる。わずかに異常な風速が検出されても、サンプリングされた電流値と温度の読み取り値が正常な場合、デバイスコントローラ1501が誤警報状況と判断するのは合理的であり得る。或いは、サンプリングされた電流値、温度指示値のいずれか1つが正常で、検出された風速が異常である場合に、デバイスコントローラ1501が異常状況と判断するのも合理的であり得る。
【0192】
加えて、風速検出器及び様々なセンサなどの様々な感知デバイスを利用することによって、デバイスコントローラ1501は、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)の動作状態に関する情報を収集及び分析することができる。したがって、対象物乾燥用の装置(例えば、ヘアドライヤー)の動作状態の包括的な状況認識を達成することができる。様々な実施形態において、デバイスコントローラ1501は、異常な状態が発生する前であっても、潜在的なリスクをユーザに警告することができる。例えば、デバイスコントローラ1501は、気流チャネル内の部分的な閉塞(例えば、髪)についてユーザに警告することができるので、ユーザは、そのような部分的な閉塞を(例えば、手で髪を除去することによって)解決し、ヘアドライヤーの安全且つ効率的動作を確保することができる。
【0193】
上記から、特定の実装が図示及び説明されたが、それに対して様々な変更を行うことができ、本明細書で企図される、ということが理解されるべきである。また、本明細書で提供される特定の例によって本発明が限定されることも意図されていない。本開示を参照して本発明を説明してきたが、本明細書における好ましい実施形態の説明及び例示は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。好ましい実施形態の態様は、他の実施形態に組み合わせることができる。例えば、気流チャネルに接触しないように配置された第1の部分を有する1つ又は複数の放射エネルギー源と、1つ又は複数の放射エネルギー源のうちの少なくとも1つに結合された熱結合と、切り欠き形状を有する1つ又は複数の放射エネルギー源のリフレクタと、放射エミッタの遠位端がリフレクタの開口部を向かないように放射エミッタが配置され方向付けられ、放射エミッタが1つ又は複数の放射反射要素を有する、放射エネルギー源と、高速モータとは、本開示に特に記載されていない他の実施形態において任意に組み合わせることができる。更に、本発明のすべての態様は、様々な条件及び変数に依存する、本明細書に記載の特定の描写、構成、又は相対的比率に限定されないことを理解されたい。本発明の実施形態の形態及び詳細における様々な変更は、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、そのような変更、変形、及び均等物も包含するものと考えられる。