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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】媒介具
(51)【国際特許分類】
   F16L 25/00 20060101AFI20250108BHJP
   F16L 35/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
F16L25/00 Z
F16L35/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023076230
(22)【出願日】2023-05-02
(65)【公開番号】P2024160824
(43)【公開日】2024-11-15
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲治
(72)【発明者】
【氏名】玉田 和之
(72)【発明者】
【氏名】戸城 賢三
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 操
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-056051(JP,U)
【文献】中国実用新案第214618388(CN,U)
【文献】特開2013-094428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 25/00
F16L 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路を接続する媒介具であって、
内部に前記複数の流路を接続するための接続流路と、前記接続流路につながるポートと、を有する筒体と、
前記筒体の第1端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第1接続具と、
前記筒体の第2端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第2接続具と、
前記ポートを閉じる閉止部材と、を備え
前記筒体は、前記ポートに重なるとともに、前記閉止部材が接続された突出部をさらに有し、
前記閉止部材は、前記突出部からの前記筒体の軸を中心とする半径方向における突出量に応じて、前記接続流路から排出される流量を調整可能な排出流路を有する、
媒介具。
【請求項2】
前記排出流路は、前記筒体の前記軸から離れる向きの前記半径方向に沿って、断面積が小さくなるテーパ形状を有する、
請求項1に記載の媒介具。
【請求項3】
前記閉止部材は、前記接続流路につながる貫通孔を有する、
請求項2に記載の媒介具。
【請求項4】
前記閉止部材と前記筒体とをつなぐ連結部材をさらに備える
請求項2に記載の媒介具。
【請求項5】
複数の流路を接続する媒介具であって、
内部に前記複数の流路を接続するための接続流路と、前記接続流路につながるポートと、を有する筒体と、
前記筒体の第1端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第1接続具と、
前記筒体の第2端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第2接続具と、
前記ポートを閉じる閉止部材と、
前記筒体の外周面と前記閉止部材の内周面との間に設けられ、前記筒体の軸を中心とする環状に形成された第1スペーサおよび第2スペーサと、を備え、
前記閉止部材は、前記筒体を覆い、前記筒体の軸を中心とする周方向に前記筒体の周りを回転可能に設けられるとともに、前記筒体の軸を中心とする半径方向において、前記ポートと重なる貫通孔を有し、
前記第1スペーサおよび前記第2スペーサは、前記筒体の両端部に位置している、
介具。
【請求項6】
シール部材をさらに備え、
前記筒体は、前記外周面に形成されるとともに、前記シール部材が配置された、前記ポートを囲う略長方形状の溝をさらに有し、
前記第1スペーサは、前記ポートおよび前記溝を挟んで、前記第2スペーサと並んでいる、
請求項5に記載の媒介具。
【請求項7】
前記閉止部材の前記周方向の回転をロックするためのロック機構をさらに備える、
請求項5に記載の媒介具。
【請求項8】
複数の流路を接続する媒介具であって、
内部に前記複数の流路を接続するための接続流路と、前記接続流路につながるポートと、を有する筒体と、
前記筒体の第1端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第1接続具と、
前記筒体の第2端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第2接続具と、
前記ポートを閉じる閉止部材と、を備え、
前記筒体は、前記第1接続具および前記第2接続具よりも前記筒体の軸を中心とする半径方向に突出し、前記ポートが形成された拡径部を有し
前記拡径部は、前記半径方向に突出する一対の側壁と、前記一対の側壁をつなぎ、前記半径方向において前記第1接続具および前記第2接続具よりも前記筒体の軸から離れて設けられた連結壁と、を有し、
前記ポートは、前記一対の側壁の双方に形成されている、
介具。
【請求項9】
前記閉止部材は、前記連結壁よりも前記半径方向に突出した部分を有していない、
請求項に記載の媒介具。
【請求項10】
前記閉止部材は、バルブである、
請求項8または9に記載の媒介具。
【請求項11】
複数の流路を接続する媒介具であって、
内部に前記複数の流路を接続するための接続流路と、前記接続流路につながるポートと、を有する筒体と、
前記筒体の第1端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第1接続具と、
前記筒体の第2端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第2接続具と、
前記ポートを閉じる閉止部材と、
前記筒体の軸を中心とする周方向に前記筒体の周りを回転可能に設けられ、前記ポートに対する前記閉止部材の開度を調整可能な調整部材と、を備える、
介具。
【請求項12】
前記閉止部材は、前記筒体と前記調整部材との間に設けられ、
前記調整部材は、前記筒体の軸を中心とする環状に形成され、前記閉止部材に向かい合う内周面を有し、
前記内周面は、前記閉止部材に重なると前記ポートからの流体の排出を防止する第1領域と、前記閉止部材に重なると前記ポートからの流体の排出が可能である第2領域と、を有する、
請求項11に記載の媒介具。
【請求項13】
前記閉止部材は、前記筒体の軸と平行な軸を中心に回転可能に前記筒体に設けられている、
請求項12に記載の媒介具。
【請求項14】
前記調整部材は、前記筒体の軸を中心とする一対のリングと、前記一対のリングをつなぐ複数の連結部材と、を有し、
前記閉止部材は、前記筒体と前記複数の連結部材との間において、前記筒体の軸を中心とする半径方向に移動可能に設けられ、
前記複数の連結部材は、前記閉止部材に重なると前記ポートからの流体の排出を防止する第1連結部材と、前記閉止部材に重なると前記ポートからの流体の排出が可能である第2連結部材と、を有する、
請求項11に記載の媒介具。
【請求項15】
前記第2連結部材と前記閉止部材との前記半径方向における距離は、前記第1連結部材と前記閉止部材との前記半径方向における距離よりも大きい、
請求項14に記載の媒介具。
【請求項16】
前記複数の連結部材は、前記閉止部材との前記半径方向における距離が前記第2連結部材と前記閉止部材との前記半径方向における距離よりも大きい第3連結部材をさらに有する、
請求項15に記載の媒介具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の流路を接続する媒介具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の流路を接続する媒介具の一例として、一対の消防用ホースを接続する媒介具が知られている。このような媒介具は、筒体と、当該筒体の両端に設けられた一対の接続具とを備えている。これら接続具を各ホースの端部に設けられた金具に接続することにより、各ホース内の流路を接続することができる。例えば特許文献1に開示されたように、送水後の残水を抜くためのバルブや、媒介具内の流路の圧力を計測するための圧力計を筒体の外部に備えた媒介具も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-271049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒介具は、上述した消防分野だけでなく、飲料水の送水、農業用および産業用の送水など、他の分野でも利用される。そのため、各分野において、より使いやすい媒介具が求められている。そこで、本発明は、利便性を向上させることが可能な媒介具を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る媒介具は、複数の流路を接続する媒介具であって、内部に前記複数の流路を接続するための接続流路と、前記接続流路につながるポートと、を有する筒体と、前記筒体の第1端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第1接続具と、前記筒体の第2端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第2接続具と、前記ポートを閉じる閉止部材と、を備える。前記筒体は、前記ポートに重なるとともに、前記閉止部材が接続された突出部をさらに有し、前記閉止部材は、前記突出部からの前記筒体の軸を中心とする半径方向における突出量に応じて、前記接続流路から排出される流量を調整可能な排出流路を有する。
【0006】
前記排出流路は、前記筒体の前記軸から離れる向きの前記半径方向に沿って、断面積が小さくなるテーパ形状を有してもよい。前記閉止部材は、前記接続流路につながる貫通孔を有してもよい。前記閉止部材と前記筒体とをつなぐ連結部材をさらに備えてもよい。
【0007】
他の実施形態に係る媒介具は、複数の流路を接続する媒介具であって、内部に前記複数の流路を接続するための接続流路と、前記接続流路につながるポートと、を有する筒体と、前記筒体の第1端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第1接続具と、前記筒体の第2端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第2接続具と、前記ポートを閉じる閉止部材と、前記筒体の外周面と前記閉止部材の内周面との間に設けられ、前記筒体の軸を中心とする環状に形成された第1スペーサおよび第2スペーサと、を備える。前記閉止部材は、前記筒体を覆い、前記筒体の軸を中心とする周方向に前記筒体の周りを回転可能に設けられるとともに、前記筒体の軸を中心とする半径方向において、前記ポートと重なる貫通孔を有し、前記第1スペーサおよび前記第2スペーサは、前記筒体の両端部に位置している。
【0008】
前記媒介具は、シール部材をさらに備えてもよい。前記筒体は、前記外周面に形成されるとともに、前記シール部材が配置された、前記ポートを囲う略長方形状の溝をさらに有してもよい。前記第1スペーサは、前記ポートおよび前記溝を挟んで、前記第2スペーサと並んでいてもよい。前記媒介具は、前記閉止部材の前記周方向の回転をロックするためのロック機構をさらに備えてもよい。
【0009】
さらに他の実施形態に係る媒介具は、複数の流路を接続する媒介具であって、内部に前記複数の流路を接続するための接続流路と、前記接続流路につながるポートと、を有する筒体と、前記筒体の第1端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第1接続具と、前記筒体の第2端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第2接続具と、前記ポートを閉じる閉止部材と、を備える。前記筒体は、前記第1接続具および前記第2接続具よりも前記筒体の軸を中心とする半径方向に突出し、前記ポートが形成された拡径部を有する。前記拡径部は、前記半径方向に突出する一対の側壁と、前記一対の側壁をつなぎ、前記半径方向において前記第1接続具および前記第2接続具よりも前記筒体の軸から離れて設けられた連結壁と、を有する。前記ポートは、前記一対の側壁の双方に形成されてい。前記閉止部材は、前記連結壁よりも前記半径方向に突出した部分を有していなくてもよい。前記閉止部材は、バルブであってもよい。
【0010】
さらに他の実施形態に係る媒介具は、複数の流路を接続する媒介具であって、内部に前記複数の流路を接続するための接続流路と、前記接続流路につながるポートと、を有する筒体と、前記筒体の第1端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第1接続具と、前記筒体の第2端に設けられ、前記複数の流路のうちの少なくとも1つを接続するための第2接続具と、前記ポートを閉じる閉止部材と、前記筒体の軸を中心とする周方向に前記筒体の周りを回転可能に設けられ、前記ポートに対する前記閉止部材の開度を調整可能な調整部材と、を備え。前記閉止部材は、前記筒体と前記調整部材との間に設けられ、前記調整部材は、前記筒体の軸を中心とする環状に形成され、前記閉止部材に向かい合う内周面を有してもよい。
【0011】
前記内周面は、前記閉止部材に重なると前記ポートからの流体の排出を防止する第1領域と、前記閉止部材に重なると前記ポートからの流体の排出が可能である第2領域と、を有してもよい。前記閉止部材は、前記筒体の軸と平行な軸を中心に回転可能に前記筒体に設けられてもよい。
【0012】
前記調整部材は、前記筒体の軸を中心とする一対のリングと、前記一対のリングをつなぐ複数の連結部材と、を有してもよく、前記閉止部材は、前記筒体と前記複数の連結部材との間において、前記筒体の軸を中心とする半径方向に移動可能に設けられてもよい。前記複数の連結部材は、前記閉止部材に重なると前記ポートからの流体の排出を防止する第1連結部材と、前記閉止部材に重なると前記ポートからの流体の排出が可能である第2連結部材と、を有してもよい。
【0013】
前記第2連結部材と前記閉止部材との前記半径方向における距離は、前記第1連結部材と前記閉止部材との前記半径方向における距離よりも大きくてもよい。前記複数の連結部材は、前記閉止部材との前記半径方向における距離が前記第2連結部材と前記閉止部材との前記半径方向における距離よりも大きい第3連結部材をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、利便性を向上させることが可能な媒介具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る媒介具が設置された状況の一例を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る媒介具の概略的な斜視図である。
図3図3は、図2に示された接続具を示す概略的な側面図である。
図4図4は、図2に示されたキャップを示す概略的な斜視図である。
図5図5は、図2に示されたキャップを示す概略的な正面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る媒介具の概略的な斜視図である。
図7図7は、第2実施形態に係る媒介具の概略的な平面図である。
図8図8は、図6に示された第1カバー部材を示す概略的な斜視図である。
図9図9は、第1カバー部材の動きを説明するための図である。
図10図10は、第1カバー部材の動きを説明するための図である。
図11図11は、第2実施形態に係る媒介具が設置された状況の一例を示す模式図である。
図12図12は、第3実施形態に係る媒介具の概略的な斜視図である。
図13図13は、第3実施形態に係る媒介具の概略的な断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る媒介具が設置された状況の一例を示す模式図である。
図15図15は、第3実施形態に係る媒介具の変形例を説明するための図である。
図16図16は、第4実施形態に係る媒介具の概略的な斜視図である。
図17図17は、第4実施形態に係る媒介具の概略的な斜視図である。
図18図18は、第4実施形態に係る媒介具の概略的な斜視図である。
図19図19は、図16に示された調整部材を示す概略的な斜視図である。
図20図20は、第2カバー部材の動きを説明するための図である。
図21図21は、第2カバー部材の動きを説明するための図である。
図22図22は、第2カバー部材の動きを説明するための図である。
図23図23は、第4実施形態に係る媒介具が設置された状況の一例を示す模式図である。
図24図24は、第5実施形態に係る媒介具の概略的な斜視図である。
図25図25は、第5実施形態に係る媒介具の概略的な斜視図である。
図26図26は、図25に示された凹部の近傍を示す拡大図である。
図27図27は、図25に示された第3カバー部材の概略的な斜視図である。
図28図28は、図24に示された調整部材を示す概略的な斜視図である。
図29図29は、調整部材と第3カバー部材との関係を説明するための図である。
図30図30は、第3カバー部材の動きを説明するための図である。
図31図31は、第3カバー部材の動きを説明するための図である。
図32図32は、第3カバー部材の動きを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。各実施形態においては、媒介具の一例として、消防用水、農業用水、産業用水などを送水するための送水路(送水システム)に用いられる媒介具を開示する。
【0017】
媒介具は、複数の流路を接続する。媒介具は、例えば、一方のホースの端部に設けられた結合金具と、他方のホースの端部に設けられた結合金具と、を媒介する。媒介具は、例えば、結合金具のサイズが150Aから400Aに適用することができる。ただし、媒介具は、上述のサイズ以外の結合金具(例えば、150Aよりも小さいサイズ)にも適用することができる。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る媒介具100が設置された状況の一例を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る媒介具100の概略的な斜視図である。図3は、図2に示された接続具2A,2Bを示す概略的な側面図である。図4は、図2に示されたキャップ31を示す概略的な斜視図である。図5は、図2に示されたキャップ31を示す概略的な正面図である。図3においては、筒体1および接続具2Aの一部を断面にて示している。
【0019】
媒介具100は、図1に示す例において、可撓性を有するホース101A,101Bを接続するために用いられている。
【0020】
媒介具100は、図2に示すように、筒体1と、接続具2A(第1接続具)と、接続具2B(第2接続具)と、複数の閉止部材3と、を備えている。媒介具100の各部は、例えば金属材料で形成することができる。ただし、媒介具100は、樹脂などの非金属材料で形成された部材を含んでもよい。
【0021】
筒体1は、軸CXを有している。ここで、筒体1の軸CXに沿う方向を軸方向Xと定義し、軸CXを中心として軸CXから遠ざかる方向を半径方向Rと定義する。軸CXを中心とする周方向θを定義する。
【0022】
筒体1は、例えば軸CXに沿う円筒形状を有している。筒体1は、軸方向Xにおいて、第1端1aと、第1端1aの反対側の第2端1bと、外周面11と、を有している。接続具2Aは第1端1aに設けられ、接続具2Bは第2端1bに設けられている。
【0023】
接続具2A,2Bは、複数の流路のうちの少なくとも1つをそれぞれ接続する。ホース101A,101Bは、図1に示すように、それぞれ端部に接続具103A,103Bを有している。ホース101A,101Bは、固定具105A,105Bによって、接続具103A,103Bとそれぞれ固定されている。固定具105A,105Bは、バインディングなどと呼ばれる場合がある。固定具105A,105Bは、例えば外周面107A,107Bを有している。
【0024】
図1には、一例として、流れ方向を矢印Aで示している。この場合、一次側(上流側)配管であるホース101Aから供給される流体(例えば、水)は、媒介具100を介して、二次側(下流側)配管であるホース101Bへ流れる。
【0025】
図1に示す例において、接続具2Aは接続具103Aと接続し、接続具2Bは接続具103Bと接続している。接続具103Aの軸は、接続具2Aと接続具103Aとを接続した状態において、筒体1の軸CXと一致する。接続具103Bの軸は、接続具2Bと接続具103Bとを接続した状態において、筒体1の軸CXと一致する。
【0026】
接続具2Aは、接続具103Aと接続可能な構造を有している。接続具2Bは、接続具103Bと接続可能な構造を有している。接続具2A,103Aは、例えば雌雄の区別のない同一の構造を有している。接続具2B,103Bについても、接続具2A,103Aと同様の構造を有している。
【0027】
ここで、接続具2A,103Aに適用可能な構造の一例について説明する。接続具2Aは、図3に示すように、円筒状のベース20と、ベース20の端部から突出する複数の凸部21と、を備えている。隣り合う凸部21の間には、凹部22が形成されている。
【0028】
ベース20は、筒体1と連結されている。ベース20は、筒体1の内側に嵌められている。ベース20の先端には、環状のシール部材23が設けられている。さらに、ベース20と筒体1との間には、環状のシール部材24が設けられてもよい。
【0029】
凸部21は、周方向θにおいて、軸CXと略平行な第1側面210と、軸CXに対して傾いた第2側面220と、を有している。第1側面210には、フック211が設けられている。第2側面220には、付勢部材221が設けられている。付勢部材221は、例えば、金属製のボールと、このボールを押すコイルばねと、を備えたボールプランジャである。
【0030】
このような形状の接続具2Aは、同じ形状の接続具103Aと接続可能である。すなわち、接続具103Aが接続具2Aと同じ形状を有している場合、接続具2Aに接続具103Aを軸方向Xに突き合わせることで、接続具2Aの凸部21が接続具103Aの凹部22に入り、接続具103Aの凸部21が接続具2Aの凹部22に入る。
【0031】
さらに、接続具2A,103Aの隣り合う凸部21の付勢部材221が互いに押し合い、接続具2A,103Aの隣り合う凸部21のフック211が係合する。接続具2Aと接続具103Aとを接続した状態においては、接続具2A,103Aのシール部材23が接触し、流路が密閉される。接続具103Bが接続具2Bと同じ形状を有している場合、同様に、接続具2Bは、接続具103Bと接続可能である。
【0032】
このような接続具2A,2Bであれば、雌雄の区別なく相手の接続具と接続することができる。ただし、接続具2A,2Bは、雌雄の区別のある形状など、種々の構造を適用することができる。接続具2Aは、接続具2Bとは互いに異なる構造を有してもよい。
【0033】
筒体1は、図2に示すように、接続流路13と、複数(例えば、6つ)のポート15と、を有している。接続流路13は、複数の流路を接続する。接続流路13は、筒体1の内部に形成されている。複数のポート15は、接続流路13とそれぞれつながっている。閉止部材3は、複数のポート15を閉じる。
【0034】
接続流路13は、ホース101Aが有する流路とホース101Bが有する流路とを接続する。ポート15は、第1端1aと第2端1bとの間に位置している。複数のポート15は、例えば周方向θに等間隔に設けられている。複数のポート15は、このような一定のピッチで配置されなくてもよい。ポート15は、筒体1を半径方向Rに貫通している。ポート15は、一例では、円形状を有しているが、この例に限られない。
【0035】
筒体1は、複数(例えば、6つ)の突出部17をさらに有している。複数の突出部17は、筒体1の外周面11から半径方向Rに突出している。突出部17は、半径方向Rにポート15に重なっている。
【0036】
突出部17は、半径方向Rに延びる筒形状を有している。突出部17は、例えば円筒形状を有するが、この例に限られない。突出部17は、内周面171と、端面173と、を有している。内周面171によって、排出流路19が形成されている。排出流路19は、ポート15を介して、接続流路13につながっている。内周面171には、例えば雌ねじが形成されている。
【0037】
端面173には、溝175が形成されている。溝175は、突出部17の軸を中心とする環状に形成されている。媒介具100は、複数のシール部材41をさらに備えている。シール部材41は、溝175に設けられている。シール部材41は、例えば環状のパッキンであり、例えばOリングであるが、この例に限られない。シール部材41は、例えば樹脂材料で形成されている。
【0038】
本実施形態において、閉止部材3は、キャップ31である。図2に示す例においては、説明の都合上、複数の突出部17のうち、一部にのみキャップ31を設けている。キャップ31が突出部17に取り付けられることによって、ポート15は閉じられる。キャップ31は、突出部17に着脱可能に設けられる。
【0039】
キャップ31は、図4および図5に示すように、第1部分33と、第2部分35と、を有している。第1部分33および第2部分35は、例えば一体で形成されている。例えば、第1部分33は円柱形状を有し、第2部分35は円板形状を有している。
【0040】
キャップ31が突出部17に取り付けられた状態において、第1部分33および第2部分35の軸3Xは、突出部17の軸と一致する。第1部分33の外周面331には、雄ねじが形成されている。この雄ねじは、突出部17の内周面171の雌ねじと接続可能に形成されている。
【0041】
第2部分35は、第1部分33よりも大きな直径を有している。第2部分35は、第1部分33に向かい合う面351と、面351の反対側の面353と、を有している。面351がシール部材41に接触することによって、シール部材41がつぶれ、突出部17からの水の流出を防止する。第2部分35は、貫通孔355を有している。貫通孔355は、面351と面353とを貫通することによって形成されている。
【0042】
キャップ31は、排出流路37を有している。貫通孔355は、排出流路37につながっている。貫通孔355は、排出流路37を介して、接続流路13につながる。排出流路37は、例えば、軸3Xと交差する方向に第1部分33を切り欠くことによって形成される。言い換えると、排出流路37は、軸3Xを挟んで向かい合う、面333と面335とによって規定される。
【0043】
排出流路37は、図5に示すように、テーパ形状を有している。具体的には、面333および面335は、第2部分35に向かうにしたがい、互い近づくように傾斜している。他の観点からは、排出流路37は、第2部分35に向かうにしたがい、断面積が小さくなっている。
【0044】
ここで断面積とは、軸3Xと直交する方向に平行な面における排出流路37の面積である。接続流路13を流れる水は、ポート15および排出流路19,37を介して、突出部17から排出される。
【0045】
キャップ31は、ねじ接続により、突出部17に接続されている。言い換えると、キャップ31は、突出部17からの突出量を調整することができる。これにより、排出流路37は、突出部17に対する半径方向Rのキャップ31の位置に応じて、接続流路13から排出される流量を調整することができる。
【0046】
具体的には、キャップ31の突出部17からの突出量が大きくなるにしたがい、排出流路37を介して、接続流路13から排出される流量を大きくすることができる。さらに、排出流路37は、テーパ形状を有している。これにより、排出流路37は、排出される流量を任意の流量に調整しやすくなる。
【0047】
キャップ31は、バルブ39をさらに有してもよい。バルブ39の流路は、貫通孔355につながっている。これにより、接続流路13には、バルブ39、貫通孔355、排出流路19,37およびポート15を介して、外部から空気が取り込まれる。これにより、接続流路13の排水作業を効率的に行うことができる。バルブ39には、バルブ39の流路を開閉するための弁体を操作するハンドル391が設けられている。バルブ39は、一例では、ボール弁であるが、この例に限られない。
【0048】
キャップ31は、把持部357をさらに有してもよい。把持部357が設けられることによって、ユーザは、キャップ31の着脱作業を円滑に行うことができる。把持部357は、図4および図5に示す例において、第2部分35の面353に設けられている。把持部357は、面353よりも上方に突出している。把持部357は、例えば半オーバル形状を有している。把持部357の形状は、この例に限られない。
【0049】
媒介具100は、キャップ31と筒体1とをつなぐ連結部材5(図4に示す)をさらに備えてもよい。連結部材5は、図4に示す例においては、連結部51と、ストッパ部53と、を有している。連結部51は、例えば、ひも状の部材、チェーンなどである。
【0050】
連結部51の一端はキャップ31につながり、連結部51の他端はストッパ部53につながっている。ストッパ部53は、一例では、クロス形状を有している。ストッパ部53は、一対の棒状部材531A,531Bを有している。
【0051】
一対の棒状部材531A,531Bは、ポート15の直径よりも大きな長さを有している。キャップ31が突出部17に取り付けられた状態において、連結部材5は、筒体1の内部に位置する。
【0052】
具体的には、ストッパ部53は、接続流路13に位置する。これにより、キャップ31を突出部17から取り外した場合であっても、筒体1からキャップ31が落下しない。その結果、ユーザは、キャップ31を紛失しにくい。
【0053】
連結部材5は、上述の例に限られない。連結部材5は、例えば、筒体1の外周面11とキャップ31とをつなぐチェーンでもよいし、他の構造が適用されてもよい。
【0054】
媒介具100は、図1に示す例において、地面Gに配置されている。接続具2A,2Bは、例えば、半径方向Rにおいて、突出部17よりも突出している。固定具105A,105Bは、例えば、半径方向Rにおいて、接続具2A,2Bよりも突出している。言い換えると、外周面107A,107Bは、接続具2A,2Bの外周面よりも大きい直径を有している。
【0055】
キャップ31との観点において、キャップ31は、固定具105A,105Bよりも半径方向Rに突出した部分を有していないほうが好ましい。キャップ31は、接続具2A,2Bよりも半径方向Rに突出した部分を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0056】
キャップ31は、着脱時において、突出部17に対して最も突出した半径方向Rの位置において、固定具105A,105Bより半径方向Rに突出した部分を有していないほうがより好ましい。
【0057】
固定具105A,105Bの外周面107A,107Bが地面Gに接触するように置かれた場合、接続具2A、2Bおよびキャップ31は、地面Gに接触しない。言い換えると、キャップ31と地面Gとの間には、隙間SP1を形成することができる。固定具105A,105Bが接続具2A,2Bよりも大きい場合、隙間SP1は、地面Gと接続具2A,2Bとの間にも形成される。
【0058】
キャップ31は、例えば、媒介具100とホース101A,101Bとの内部に形成される流路に通水した後、当該流路に残った水を排出するために用いられる。例えばホース101A,101Bのサイズが150A以上の大型である場合を想定する。媒介具100がこのサイズに対応する大きさを有している場合、ホース101A,101Bを含む流路に残った水の質量が大きい。
【0059】
そのため、媒介具100と接続具103A,103Bとの接続をユーザが解除できない可能性がある。突出部17からキャップ31を取り外し、排水することによって、流路内の圧力は下がり、排水が進むにしたがって当該流路に残った水の質量も減少する。
【0060】
その結果、媒介具100と接続具103A,103Bとの接続の解除が容易となる。閉止部材3であるキャップ31を利用することによって排水作業を行うことができるため、媒介具100であれば、利便性を向上させることができる。
【0061】
媒介具100にて2つのホースの流路を接続して通水すると、内部の圧力などにより各ホースが捩れることがある。このような捩れ、あるいはホースの捩れが元に戻ろうとする力により媒介具100が動くことがある。ここで動くとは、地面G上において、媒介具100が水平方向に移動したり、回転方向に動いたりすることをいう。
【0062】
キャップ31が接続具2A、2Bおよび固定具105A,105Bよりも突出した部分を有していると、媒介具100が動いた場合、ホースの動きを妨げたり、キャップ31が破損したりする恐れがある。
【0063】
本実施形態のように、地面Gとの間に隙間SP1が形成されることによって、ホース101A,101Bの動きがキャップ31によって妨げられることを抑制できる。ホース101A,101Bが動いた場合、キャップ31が破損しにくい。隙間SP1が地面Gと接続具2A,2Bとの間にも形成される場合には、接続具2A,2Bが破損しにくい。
【0064】
ユーザは、手、工具などを隙間SP1に入れることができるため、キャップ31、接続具2A,2Bの着脱作業を容易に行うことができる。キャップ31にバルブ39が設けられている場合、隙間SP1によって、ハンドル391の操作が妨げられにくく、排水における作業性を向上させることができる。
【0065】
本実施形態に係る媒介具100であれば、固定具105A,105Bの外周面107A,107Bが地面Gに接触するため、ホース101A,101Bと媒介具100との間で地面Gからの高さに違いが生じにくい。言い換えると、ホース101A,101Bの曲げが発生しにくい。そのため、媒介具100を含む送水システムの安全性を向上させることができる。
【0066】
本実施形態において、キャップ31は、排出流路37を有している。そのため、キャップ31を突出部17から完全に取り外すことなく、排出流路37を介して、接続流路13を流れる水を排出することができる。
【0067】
本実施形態において、キャップ31は、ねじ接続により、突出部17に接続されている。排出流路37は、突出部17に対する半径方向Rのキャップ31の位置に応じて、接続流路13から排出される流量を調整可能である。言い換えると、キャップ31の位置に応じて、段階的に水を排出することができる。
【0068】
これにより、突出部17から排出される水の圧力を徐々に減少させることができる。その結果、キャップ31を取り外しても、水の圧力によって、キャップ31が急激に押し出されにくくなり、排水作業における安全性を向上させることができる。
【0069】
本実施形態において、排出流路37は、図4および図5を用いて説明したような形状を有している。このような排出流路37であれば、突出部17に対する半径方向Rの位置に応じて、排出される流量を調整することができる。
【0070】
本実施形態において、筒体1には、複数のポート15が設けられている。ユーザは、操作しやすい位置にあるポート15を閉じるキャップ31を優先的に利用することができる。また、複数のキャップ31を同時に取り外すことにより、排水作業を効率的に行うことができる。
【0071】
以上のように構成された媒介具100であれば、利便性を向上させることが可能である。具体的には、排水作業における利便性を向上させることができる。以上の他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。
【0072】
なお、筒体1に形成されるポート15は、1つでもよい。複数のポート15は、5つ以下でもよいし、7つ以上でもよい。本実施形態において、排出流路37は、テーパ形状を有する例を開示するが、排出流路37は軸3Xに沿うストレート形状を有してもよい。
【0073】
本実施形態において、突出部17に雌ねじが形成され、キャップ31に雄ねじが形成される例を開示するが、突出部17に雄ねじが形成され、キャップ31に雌ねじが形成されるように構成されてもよい。
【0074】
本実施形態において、突出部17とキャップ31との接続形式はねじ接続である例を開示するが、突出部17とキャップ31との接続形式は他の接続形式を適用してもよい。例えば、接続具2A,2Bと同様に接続されてもよいし、JIS B 9911で規定される消防用ホースの差込み式結合金具により接続されてもよいし、フェルール金具によって接続されてもよい。
【0075】
次に、他の実施形態について説明する。以下に述べる他の実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略あるいは簡略化する場合がある。
【0076】
[第2実施形態]
図6は、本実施形態に係る媒介具100Aの概略的な斜視図である。図7は、本実施形態に係る媒介具100Aの概略的な平面図である。図8は、図6に示された第1カバー部材65を示す概略的な斜視図である。図7においては、第1カバー部材65を省略して示している。
【0077】
媒介具100Aは、筒体1と、接続具2Aと、接続具2Bと、閉止部材3と、を備えている。
【0078】
筒体1は、図7に示すように、突出部61A,61Bをさらに有している。突出部61A,61Bは、筒体1の第1端1aおよび第2端1bにそれぞれ設けられている。突出部61A,61Bは、接続具2A,2Bにそれぞれ近接している。突出部61A,61Bは、外周面11よりも半径方向Rに突出している。
【0079】
突出部61A,61Bは、外周面613A,613Bと、側面615A,615Bと、を有している。外周面613A,613Bは、軸方向Xに一様な径を有している。側面615Aは、側面615Bと向かい合っている。複数のポート15は、軸方向Xにおいて、側面615Aと側面615Bとの間に位置している。側面615A,615Bは、外周面11から延びている。
【0080】
筒体1の外周面11には、図7に示すように、複数の溝111が形成されている。具体的には、溝111は、ポート15を囲うように形成されている。溝111は、ポート15の軸に沿って見て、例えば略長方形状を有している。長方形状には、正方形状が含まれる。なお、溝は、ポート15の軸に沿って見て、円形状でもよい。
【0081】
媒介具100Aは、複数のシール部材43をさらに備えている。複数のシール部材43は、複数の溝111にそれぞれ設けられている。シール部材43は、例えばつぶししろを与えて使用するパッキンである。シール部材43は、溝111に対応した形状を有している。シール部材43は、例えば樹脂材料で形成されている。
【0082】
本実施形態において、閉止部材3は、第1カバー部材65である。第1カバー部材65は、図6に示すように、筒体1の外周面11を覆っている。第1カバー部材65は、側面615Aと側面615Bとの間に位置している。第1カバー部材65の軸は、筒体1に取り付けられた状態において、筒体1の軸CXと一致する。以下、第1カバー部材65の軸を軸CXと称する場合がある。
【0083】
第1カバー部材65は、図8に示すように、軸CXを中心とする略円筒形状を有している。第1カバー部材65は、筒体1の外周面11に向かい合う内周面651と、外周面653と、を有している。第1カバー部材65は、軸方向Xに一様な内径および外径を有している。第1カバー部材65の内径は、筒体1の外周面11における外径よりも大きい。
【0084】
第1カバー部材65は、複数の貫通孔655をさらに有している。貫通孔655は、半径方向Rにおいて、内周面651と外周面653とを貫通している。貫通孔655は、一例では、円形状を有しているが、この例に限られない。
【0085】
本実施形態において、第1カバー部材65が有する貫通孔655の数は筒体1が有するポート15の数と等しい。本実施形態において、貫通孔655の大きさはポート15の大きさと等しい。
【0086】
なお、貫通孔655の数は、ポート15の数よりも多くてもよいし、少なくてもよい。貫通孔655の大きさは、ポート15の大きさよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0087】
媒介具100は、図7に示すように、スペーサ6A,6Bをさらに備えてもよい。スペーサ6A,6Bは、筒体1の外周面11と第1カバー部材65との半径方向Rの間隔を調整する。これにより、当該間隔の大きさは、軸方向Xにおいて、おおよそ等しくなる。
【0088】
スペーサ6A,6Bは、筒体1の外周面11と第1カバー部材65との間に設けられている。スペーサ6Aは、軸方向Xにおいて、ポート15を挟んで、スペーサ6Bと並んでいる。
【0089】
スペーサ6Aは突出部61Aに近接し、スペーサ6Bは突出部61Bに近接している。スペーサ6A,6Bは、図7に示す例において、軸CXを中心とする環状に形成されている。
【0090】
スペーサ6A,6Bの断面形状は、一例では、略長方形状であるが、この例に限られない。スペーサ6A,6Bは、第1カバー部材65の内周面651に接触する接触面62A,62Bを有している。
【0091】
第1カバー部材65は、周方向θに筒体1の周りを回転可能に設けられている。第1カバー部材65は、周方向θの貫通孔655の位置に応じて、ポート15を開放したり、閉じたりすることができる。図9および図10は、第1カバー部材65の動きを説明するための図である。
【0092】
図6に示す例において、ポート15は、第1カバー部材65の内周面651と半径方向Rに重なっている。言い換えると、貫通孔655からは、筒体1の外周面11が露出している。この状態において、複数のポート15は、第1カバー部材65によって、閉じられている。
【0093】
第1カバー部材65を矢印Bの方向に回転させると、第1カバー部材65は、図9に示す位置に移動する。図9に示す例において、ポート15の一部は第1カバー部材65の内周面651と半径方向Rに重なり、ポート15の他の部分は貫通孔655と半径方向Rに重なっている。言い換えると、ポート15の一部は、開放されている。
【0094】
第1カバー部材65を矢印Bの方向にさらに回転させると、第1カバー部材65は、図10に示す位置に移動する。図10に示す例において、ポート15は、貫通孔655に重なっている。
【0095】
言い換えると、ポート15は、開放され、第1カバー部材65によって閉じられている部分がない。貫通孔655が半径方向Rにポート15に重なることによって、接続流路13を流れる水は、ポート15を介して、貫通孔655から排出される。第1カバー部材65によってポート15を閉じる場合には、第1カバー部材65を矢印Bの方向の反対の方向に回転させる。
【0096】
媒介具100Aは、ロック機構67をさらに備えてもよい。ロック機構67は、第1カバー部材65の周方向θの回転をロックするように構成されている。ここで、ロック機構67に適用可能な構造の一例について説明する。
【0097】
ロック機構67は、例えば周方向θに1つ設けられている。ロック機構67は、ベース671と、ハンドル673と、係止部675と、を備えている。
【0098】
ハンドル673は、棒形状を有している。ハンドル673は、一例では、角柱(例えば、四角柱)であるが、この例に限られない。ハンドル673は、ベース671に支持された端部673aと、端部673aの反対側の端部673bと、を有している。
【0099】
ベース671は、第1カバー部材65に設けられている。ベース671は、例えば、ハンドル673の端部673aを挟む、一対の壁部で構成される。ベース671は、軸CXと交差(例えば、直交)する方向に延びる軸部材6Xを有している。軸部材6Xは、端部673aを貫通している。ハンドル673は、端部673aにおいて、軸部材6Xを中心に回転可能に支持されている。
【0100】
係止部675は、突出部61Bの外周面613Bに設けられている。係止部675は、一対の壁部677A,677Bを有している。壁部677Aは、所定の間隔を置いて、壁部677Bと周方向θに並んでいる。一対の壁部677A,677Bの周方向θの間隔は、ハンドル673の幅よりも大きい。
【0101】
壁部677Aと壁部677Bとによって、隙間SP2が規定されている。隙間SP2にハンドル673の端部673bが位置した状態において、第1カバー部材65の周方向θの回転がロックされる。
【0102】
隙間SP2にハンドル673の端部673bが位置していない状態において、第1カバー部材65は、周方向θに回転することができる。ロック機構67は、図6に示す例において、第1カバー部材65の内周面651がポート15に重なる状態で、第1カバー部材65の周方向θの回転をロックしている。
【0103】
ハンドル673は、第1カバー部材65を回転させるために、ユーザが把持することができる把持部として機能する。ユーザは、ハンドル673を把持することによって、第1カバー部材65の周方向θの回転を円滑に行うことができる。
【0104】
図11は、本実施形態に係る媒介具100Aが設置された状況の一例を示す模式図である。媒介具100Aは、図11に示す例において、地面Gに配置されている。
【0105】
第1カバー部材65およびロック機構67は、固定具105A,105Bよりも半径方向Rに突出した部分を有していないほうが好ましい。第1カバー部材65およびロック機構67は、接続具2A,2Bよりも半径方向Rに突出した部分を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0106】
固定具105A,105Bの外周面107A,107Bが地面Gに接触するように置かれた場合、第1カバー部材65およびロック機構67は、地面Gに接触しない。言い換えると、第1カバー部材65と地面Gとの間には、隙間SP1を形成することができる。これにより、第1カバー部材65の周方向θの回転は、妨げられにくくなる。ハンドル673が地面Gに接触しにくいため、ロック機構67の動作が妨げられにくくなる。
【0107】
本実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態であれば、第1カバー部材65を周方向θに回転させることによって、複数のポート15を開放したり、閉じたりすることができる。その結果、媒介具100Aの排水作業における利便性を向上させることができる。
【0108】
本実施形態において、筒体1には、複数のポート15が設けられている。そのため、第1カバー部材65を回転することによって、複数のポート15を同時に開放することができる。その結果、排水作業を効率的に行うことができる。
【0109】
本実施形態において、媒介具100Aは、スペーサ6A,6Bをさらに備えている。スペーサは、筒体1と第1カバー部材65との半径方向Rの間隔を調整する。当該間隔を調整することによって、第1カバー部材65は、周方向θに回転しやすくなる。
【0110】
当該間隔を調整することによって、第1カバー部材65によるシール部材43のつぶし量を調整し、シール部材43が偏ってつぶれることを抑制することができる。これにより、ポート15からの水の流出を抑制することができる。
【0111】
本実施形態に係る媒介具100Aは、ロック機構67をさらに備えている。これにより、意図せずに第1カバー部材65が周方向θに回転することを防止することができる。その結果、媒介具100Aの安全性を向上させることができる。
【0112】
なお、ロック機構67は、周方向θに複数設けられてもよい。本実施形態において、ロック機構67が第1カバー部材65の内周面651とポート15が重なる状態で第1カバー部材65をロックする例を開示するが、ロック機構67は、貫通孔655とポート15が重なる状態で第1カバー部材65をロックしてもよい。
【0113】
媒介具100Aは、第1カバー部材65の内周面651とポート15が重なる状態で第1カバー部材65をロックするように構成されたロック機構67と、貫通孔655とポート15が重なる状態で第1カバー部材65をロックするように構成されたロック機構67と、をそれぞれ備えてもよい。ロック機構67において、係止部675の数は、ベース671およびハンドル673の数と異なってもよい。
【0114】
[第3実施形態]
図12は、本実施形態に係る媒介具100Bの概略的な斜視図である。図13は、本実施形態に係る媒介具100Bの概略的な断面図である。図13においては、接続具2A,2Bを省略して示している。媒介具100Bは、筒体1と、接続具2Aと、接続具2Bと、複数の閉止部材3と、を備えている。
【0115】
筒体1は、拡径部70を有している。拡径部70は、接続具2A,2Bよりも半径方向Rに突出している。拡径部70は、軸方向Xにおいて、接続具2Aと接続具2Bとの間に位置している。
【0116】
拡径部70は、外周面11から半径方向Rに突出する一対の側壁71A,71Bと、一対の側壁71A,71Bをつなぐ連結壁73と、を有している。側壁71Aは、側壁71Bと向かい合っている。側壁71A,71Bは、半径方向Rに延びている。側壁71A,71Bは、軸方向Xに見て、円形状を有している。
【0117】
連結壁73は、半径方向Rにおいて、接続具2A,2Bよりも軸CXから離れている。連結壁73は、軸CXを中心とする略円筒形状を有している。連結壁73は、図12に示す例において、軸方向Xに一様な内径および外径を有している。一対の側壁71A,71Bおよび連結壁73によって、空間77が規定されている。空間77は、接続流路13につながっている。
【0118】
拡径部70は、複数のポート15を有している。具体的には、ポート15は、一対の側壁71A,71Bの少なくとも1つに形成されている。本実施形態においては、複数のポート15が、一対の側壁71A,71Bのそれぞれに形成されている。
【0119】
複数のポート15は、周方向θに等間隔に並んでいる。複数のポート15は、このような一定のピッチで配置されなくてもよい。複数のポート15の大きさは、それぞれ等しいが、それぞれ異なってもよい。ポート15は、軸方向Xに一対の側壁71A,71Bを貫通している。
【0120】
本実施形態において、閉止部材3は、バルブ79である。バルブ79は、本体791と、弁体793と、ハンドル795と、を有している。
【0121】
本体791は、軸方向Xにポート15に重なるように設けられている。本体791は、ねじ接続などによって、側壁71A,71Bに固定される。本体791は、側壁71A,71Bからそれぞれ軸方向Xに延びている。
【0122】
本体791は、ポート15と接続される流路797と、本体791の端に位置する排出口799と、を有している。排出口799は、軸方向Xに向いている。ハンドル795は、流路797を開閉する弁体793を操作するためのものである。バルブ79は、例えば、連結壁73よりも半径方向Rに突出した部分を有していない。
【0123】
図14は、本実施形態に係る媒介具100Bが設置された状況の一例を示す模式図である。媒介具100Bは、図14に示す例において、地面Gに配置されている。
【0124】
拡径部70は、接続具2A,2Bよりも半径方向Rに突出している。拡径部70は、固定具105A,105Bよりも半径方向Rに突出していてもよい。
【0125】
連結壁73が地面Gに接触するように置かれた場合、固定具105A,105Bおよび接続具2A,2Bは、地面Gに接触しない。言い換えると、固定具105A,105Bおよび接続具2A,2Bと地面Gとの間には、隙間SP3を形成することができる。
【0126】
さらに、連結壁73は、バルブ79よりも半径方向Rに突出しているので、バルブ79も地面に接触しない。したがって、媒介具100Bが動いた場合において、接続具2A,およびバルブ79が破損しにくい。
【0127】
バルブ79は地面Gから離れているために、バルブ79が媒介具100Bの下方に位置する場合でも、ハンドル795の操作が妨げられにくく、排水時の作業性を向上させることができる。
【0128】
ハンドル795の操作範囲を広く確保できるために、バルブ79の位置によらずバルブ79内の流路797を十分に開けることができる。これにより、ホース101A,101Bを含む流路内に残った水を容易に排出できる。ユーザは、手、工具などを隙間SP3に入れることができるため、ホース101A,101Bの着脱作業を効率的に行うことができる。
【0129】
本実施形態においては、複数のポート15が側壁71A,71Bに形成されている。ユーザは、操作しやすい位置にあるポート15を閉じるバルブ79を優先的に利用することができる。以上のように構成された媒介具100Bであれば、排水作業における利便性を向上させることができる。
【0130】
図15は、本実施形態に係る媒介具100Bの変形例を説明するための図である。図15に示す例において、連結壁73の外径は図14に示された媒介具100Bよりも小さく、媒介具100Bの軸方向Xの長さは図14に示された媒介具100Bよりも大きい。言い換えると、側壁71A,71Bと接続具2A,2Bとの距離を大きくすることで、連結壁73の外径を小さくすることができる。
【0131】
このように構成することによって、連結壁73の外径が小さい場合であっても、ユーザによるハンドル795の操作が妨げられにくい。これにより、媒介具100Bの操作性を向上させることができる。
【0132】
本実施形態において、拡径部70が複数のポート15を有する例を開示するが、ポート15は、1つでもよい。本実施形態においては、閉止部材3がバルブ79である例を開示するが、閉止部材3はキャップでもよい。当該キャップには、第1実施形態におけるキャップ31を適用してもよい。
【0133】
[第4実施形態]
図16乃至図18は、本実施形態に係る媒介具100Cの概略的な斜視図である。図19は、図16に示された調整部材8を示す概略的な斜視図である。図17および図18においては、調整部材8を省略して示している。
【0134】
媒介具100Cは、筒体1と、接続具2Aと、接続具2Bと、閉止部材3と、調整部材8と、を備えている。
【0135】
筒体1は、図17および図18に示すように、凹部113を有している。凹部113は、外周面11から半径方向Rと反対の方向に凹んでいる。ポート15は、凹部113に位置している。凹部113は、ポート15の軸に沿って見て、軸方向Xに長尺な長方形状を有している。
【0136】
凹部113は、底面115を有している。底面115には、図18に示すように、溝117が形成されている。溝117は、ポート15を囲うように形成されている。溝117は、ポート15の軸に沿って見て、環状に形成されている。
【0137】
媒介具100Cは、シール部材45をさらに備えている。シール部材45は、溝117に設けられている。シール部材45は、例えばOリングであるが、この例に限られない。
【0138】
本実施形態において、閉止部材3は、第2カバー部材91である。第2カバー部材91は、筒体1の外周面11に設けられている。具体的には、第2カバー部材91は、図17に示すように、凹部113に位置している。凹部113は、第2カバー部材91の収容部として機能している。
【0139】
第2カバー部材91の大きさは、ポート15の軸に沿って見て、凹部113の大きさとおおよそ等しい。第2カバー部材91が凹部113に位置することによって、第2カバー部材91がポート15を閉じる。調整部材8との観点において、第2カバー部材91は、図16に示すように、半径方向Rにおいて、筒体1と調整部材8との間に設けられている。
【0140】
第2カバー部材91は、略長方形状を有している。第2カバー部材91は、底面115に向かい合う面911と、面911の反対側の面913と、を有している。第2カバー部材91は、軸方向Xに見て、周方向θに外周面11に沿う形状を有している。言い換えると、面913は、筒体1の外周面11と実質的に等しい曲率半径を有している。ここで実質的に等しいとは、許容範囲内の製造上の誤差を含む。
【0141】
第2カバー部材91は、周方向θの端部91aにおいて、筒体1の軸CXと平行な軸9Xを中心に回転可能に凹部113に支持されている。ここで平行とは、軸CXに対して、わずかに傾く場合を含む。
【0142】
第2カバー部材91は、例えばヒンジなどによって回転可能に支持される。第2カバー部材91が軸9Xを中心に回転することによって、第2カバー部材91は、ポート15を開放したり、閉じたりすることができる。
【0143】
調整部材8は、ポート15に対する第2カバー部材91の開度(位置)を調整可能に構成されている。ここで開度とは、凹部113に設けられた第2カバー部材91の位置を基準とした、第2カバー部材91の回転量をいう。
【0144】
調整部材8の軸は、筒体1に取り付けられた状態において、筒体1の軸CXと一致する。以下、調整部材8の軸を軸CXと称する場合がある。調整部材8は、図19に示すように、軸CXを中心とする環状に形成されている。調整部材8は、リング81A,81Bと、複数の連結部材83と、を有している。
【0145】
リング81A,81Bは、筒体1の外周面11を囲っている。リング81Aは、軸方向Xにおいて、ポート15を挟んで、リング81Bと並んでいる。リング81A,81Bは、軸CXを中心とする環状に形成されている。
【0146】
リング81Bは、リング81Aと同等に構成されている。ここでは、リング81Bについて説明する。リング81Bは、筒体1の外周面11および第2カバー部材91の面913に向かい合う内周面85を有している。
【0147】
内周面85は、第1領域A1と、第2領域A2と、を有している。第1領域A1における内周面85と軸CXとの距離は、筒体1の外周面11の直径よりもわずかに大きい。第2領域A2における内周面85と軸CXとの距離は、第1領域A1における内周面85と軸CXとの距離よりも大きい。
【0148】
第2領域A2における内周面85と軸CXとの距離は、一例では、第2カバー部材91が回転した際、第2カバー部材91と内周面85とが接触しない十分な距離である。図19に示す例において、第2領域A2の周方向θにおける範囲は、第1領域A1の周方向θにおける範囲よりも小さい。
【0149】
内周面85は、第3領域A3をさらに有してもよい。第3領域A3は、第1領域A1と第2領域A2との間に位置している。第1領域A1および第2領域A2における内周面85と軸CXとの距離は周方向θに一様であるのに対し、第3領域A3における内周面85と軸CXとの距離は、周方向θに沿って変化する。
【0150】
具体的には、第3領域A3における内周面85と軸CXとの距離は、第1領域A1における内周面85から第2領域A2における内周面85に向かうにしたがい、大きくなっている。第3領域A3における内周面85は、一例では、傾斜面を形成している。
【0151】
複数の連結部材83は、リング81Aとリング81Bを連結している。複数の連結部材83は、軸方向Xに延びている。複数の連結部材83は、例えば周方向θに等間隔に設けられている。複数の連結部材83は、このような一定のピッチで配置されなくてもよい。
【0152】
調整部材8は、周方向θに筒体1の周りを回転可能に設けられている。第2カバー部材91は、周方向θにおける調整部材8の位置に応じて、ポート15を開放したり、閉じたりすることができる。図20乃至図22は、第2カバー部材91の動きを説明するための図である。図20乃至図22においては、第2カバー部材91の近傍を拡大して示している。
【0153】
図20に示す例において、第2カバー部材91は、第1領域A1における内周面85と半径方向Rに重なっている。この状態において、第2カバー部材91は、回転しない。言い換えると、ポート15は、第2カバー部材91によって閉じられている。
【0154】
すなわち、調整部材8は、第1領域A1における内周面85が第2カバー部材91に重なることで、ポート15からの水の排出を防止することができる。図20に示す調整部材8の位置は、ホース内に通水している状態に相当する。
【0155】
調整部材8を矢印Cの方向に回転させると、調整部材8は、図21に示す位置に移動する。図21に示す例において、第2カバー部材91は、第3領域A3における内周面85と半径方向Rに重なっている。この状態において、第2カバー部材91は、接続流路13を流れる水の圧力によって、押し上げられる。
【0156】
第2カバー部材91が押し上げられることによって、ポート15は、開放される。第2カバー部材91が回転すると、面913が第3領域A3における内周面85に接触する。そのため、第2カバー部材91の回転が止まる。言い換えると、第2カバー部材91の開度は、第3領域A3における内周面85によって調整される。
【0157】
調整部材8を矢印Cの方向にさらに回転させると、調整部材8は、図22に示す位置に移動する。図22に示す例において、第2カバー部材91は、第2領域A2における内周面85と半径方向Rに重なっている。
【0158】
第2カバー部材91は、接続流路13を流れる水の圧力によってさらに押し上げられる。これにより、第2カバー部材91の開度は、さらに大きくなる。図22に示す例において、面913は、第2領域A2における内周面85に接触しない。
【0159】
調整部材8は、第2領域A2および第3領域A3における内周面85が第2カバー部材91に重なることで、ポート15からの水の排出が可能である。図21および図22に示す調整部材8の位置は、排水している状態に相当する。
【0160】
調整部材8が図21に示す位置に位置すると、凹部113と第2カバー部材91との間に形成される隙間から、水が排出される。調整部材8は、当該隙間の大きさによって、排水量を調整することができる。言い換えると、第2カバー部材91に重なる内周面85の位置によって、排水量を調整することができる。
【0161】
図23は、本実施形態に係る媒介具100Cが設置された状況の一例を示す模式図である。媒介具100Cは、図23に示す例において、地面Gに配置されている。
【0162】
第2カバー部材91は、接続具2A,2Bよりも半径方向Rに突出した部分を有していないほうが好ましい。調整部材8は、固定具105A,105Bよりも半径方向Rに突出した部分を有していないほうが好ましい。調整部材8は、接続具2A,2Bよりも半径方向Rに突出した部分を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0163】
固定具105A,105Bの外周面107A,107Bが地面Gに接触するように置かれた場合、調整部材8は、地面Gに接触しない。言い換えると、調整部材8と地面Gとの間には、隙間SP4を形成することができる。これにより、調整部材8の周方向θの回転は、妨げられにくくなる。
【0164】
本実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態であれば、ポート15の周方向θの位置に関わらず、調整部材8を回転させることによって、ポート15を開放したり、閉じたりすることができる。言い換えると、ポート15の周方向θの位置に関わらず、排水作業を行うことができる。その結果、媒介具100Cの排水作業における利便性を向上させることができる。
【0165】
本実施形態において、筒体1が1つのポート15を有する例を開示するが、ポート15は2つ以上でもよい。ポート15の数に応じて、第2カバー部材91の数および調整部材8の形状は、適宜調整することができる。複数のポート15を設けた場合には、調整部材8を回転させることによって、複数のポート15を同時に開放することができる。その結果、排水作業を効率的に行うことができる。
【0166】
[第5実施形態]
図24および図25は、本実施形態に係る媒介具100Dの概略的な斜視図である。図26は、図25に示された凹部131の近傍を示す拡大図である。図27は、図25に示された第3カバー部材95の概略的な斜視図である。図28は、図24に示された調整部材8Aを示す概略的な斜視図である。図29は、調整部材8Aと第3カバー部材95との関係を説明するための図である。図25においては、調整部材8Aを省略して示している。図29においては、調整部材8Aを軸方向Xに見て、一部を拡大して示している。
【0167】
媒介具100Dは、筒体1と、接続具2Aと、接続具2Bと、閉止部材3と、調整部材8Aと、を備えている。筒体1は、複数の凹部131(図26に示す)を有している。複数の凹部131は、外周面11から半径方向Rと反対の方向に凹んでいる。ポート15は、図26に示すように、凹部131に位置している。凹部131は、ポート15の軸に沿って見て、円形状を有している。
【0168】
凹部131は、底面133を有している。底面133には、溝135が形成されている。溝135は、ポート15を囲うように形成されている。溝135は、ポート15の軸に沿って見て、環状に形成されている。媒介具100Dは、シール部材47をさらに備えている。シール部材47は、溝135に設けられている。シール部材47は、例えばOリングであるが、この例に限られない。
【0169】
本実施形態において、閉止部材3は、第3カバー部材95である。第3カバー部材95は、筒体1の外周面11に設けられている。具体的には、第3カバー部材95は、凹部131に位置している。凹部131は、第3カバー部材95の収容部として機能している。調整部材8Aとの観点において、第3カバー部材95は、図24に示すように、半径方向Rにおいて、筒体1と調整部材8Aとの間に設けられている。
【0170】
第3カバー部材95は、図27に示すように、第3部分97と、第4部分99と、を有している。第3部分97および第4部分99は、例えば一体で形成されている。例えば、第3部分97は略円錐台形状を有し、第4部分99は略円板形状を有している。ただし、第3部分97および第4部分99の形状は、この例に限られない。
【0171】
第3部分97はポート15に位置し、第4部分99は凹部131に位置する。これにより、第3カバー部材95は、ポート15を閉じる。この場合、第3部分97および第4部分99の軸は、ポート15の軸と一致している。
【0172】
第4部分99は、第3部分97よりも大きな直径を有している。第4部分99は、底面133と向かい合う面991と、面991の反対側の面993と、を有している。面991がシール部材47に接触することによって、シール部材47がつぶれる。面993は、軸方向Xに見て、周方向θに外周面11に沿う形状を有している。言い換えると、面993は、筒体1の外周面11と実質的に等しい曲率半径を有している。
【0173】
第3カバー部材95は、凹部131に対して、半径方向Rに移動可能に設けられている。具体的には、第3カバー部材95は、接続流路13を流れる水の圧力によって、半径方向Rに移動可能である。第3カバー部材95が半径方向Rに移動することによって、第3カバー部材95は、ポート15を開放したり、閉じたりすることができる。
【0174】
調整部材8Aは、ポート15に対する第3カバー部材95の開度(位置)を調整可能に構成されている。ここで開度とは、凹部131に設けられた第3カバー部材95の位置を基準とした、第3カバー部材95の半径方向Rの移動量をいう。
【0175】
調整部材8Aの軸は、筒体1に取り付けられた状態において、筒体1の軸CXと一致する。以下、調整部材8Aの軸を軸CXと称する場合がある。調整部材8Aは、図28に示すように、軸CXを中心とする環状に形成されている。
【0176】
調整部材8Aは、リング81C,81Dと、複数の連結部材87A,87B,87C,87Dと、を有している。本実施形態において、複数の連結部材87Aは第1連結部材の一例であり、複数の連結部材87Bは第2連結部材の一例であり、複数の連結部材87Cは第3連結部材の一例である。連結部材87A,87B,87C,87Dは、例えばそれぞれ6つ設けられているが、この例に限られない。
【0177】
リング81C,81Dは、筒体1の外周面11を囲っている。リング81Cは、軸方向Xにおいて、複数のポート15を挟んで、リング81Dと並んでいる。リング81C,81Dは、軸CXを中心とする環状に形成されている。リング81C,81Dは、筒体1の外周面11に向かい合う内周面89を有している。
【0178】
複数の連結部材87A,87B,87C,87Dは、リング81Cとリング81Dとをつないでいる。複数の連結部材87A,87B,87C,87Dは、軸方向Xに延びている。複数の連結部材87A,87B,87C,87Dは、例えば周方向θに所定の間隔に設けられている。複数の連結部材87A,87B,87C,87Dは、半径方向Rにおいて、第3カバー部材95と重なる。
【0179】
複数の連結部材87A,87B,87C,87Dは、例えば棒状部材であり、一例では円柱形状を有している。言い換えると、複数の連結部材87A,87B,87C,87Dは、円形の断面形状を有している。
【0180】
例えば、連結部材87Aの直径は連結部材87Bの直径と実質的に等しく、連結部材87Cの直径は連結部材87Dの直径と実質的に等しい。例えば、連結部材87Aの直径および連結部材87Bの直径は、連結部材87Cの直径および連結部材87Dの直径よりも大きい。連結部材87Aは、図29に示す例において、内周面89よりも軸CXに向けて突出している。
【0181】
連結部材87Bは連結部材87Aよりも半径方向Rの外側に位置し、連結部材87Cは連結部材87Bよりも半径方向Rの外側に位置し、連結部材87Dは連結部材87Cよりも半径方向Rの外側に位置している。
【0182】
続いて、連結部材87A,87B,87C,87Dと第3カバー部材95との関係について説明する。図29においては、外周面11および面993の位置を破線にて示している。連結部材87A,87B,87C,87Dは、図29に示す例において、周方向θにそれぞれ2つ並んでいる。第3カバー部材95は、筒体1と複数の連結部材87A,87B,87C,87Dとの間において、半径方向Rに移動可能に設けられている。
【0183】
複数の連結部材87Aは、第3カバー部材95と半径方向Rに重なると、面993に接触する。言い換えると、第3カバー部材95の移動量はゼロである。すなわち、ポート15は、第3カバー部材95によって閉じられる。
【0184】
半径方向Rにおいて、連結部材87Bと面993との距離RD1(図29に示す)は、連結部材87Aと面993との距離よりも大きい。言い換えると、連結部材87Bと面993との間には、隙間が形成される。
【0185】
半径方向Rにおいて、連結部材87Cと面993との距離RD2(図29に示す)は、連結部材87Bと面993との距離RD1よりも大きい。半径方向Rにおいて、連結部材87Dと面993との距離RD3(図29に示す)は、連結部材87Cと面993との距離RD2よりも大きい。
【0186】
開度の観点において、連結部材87Bに第3カバー部材95が重なる領域A5における開度は、連結部材87Aに第3カバー部材95が重なる領域A4における開度よりも大きい。連結部材87Cに第3カバー部材95が重なる領域A6における開度は、連結部材87Bに第3カバー部材95が重なる領域A5における開度よりも大きい。
【0187】
連結部材87Dに第3カバー部材95が重なる領域A7における開度は、連結部材87Cに第3カバー部材95が重なる領域A6における開度よりも大きい。言い換えると、開度は、周方向θに沿って次第に大きくなっている。
【0188】
開度は、連結部材87A,87B,87C,87Dの大きさ(直径)を変更したり、半径方向Rにおける連結部材87A,87B,87C,87Dの位置を変更したりすることによって、適宜設定することができる。複数の連結部材87A,87B,87C,87Dは、例えばポート15の数に合わせて設けられる。
【0189】
調整部材8Aは、周方向θに筒体1の周りを回転可能に設けられている。このように複数の連結部材87A,87B,87C,87Dが設けられることによって、第3カバー部材95は、周方向θにおける調整部材8Aの位置に応じて、ポート15を開放したり、閉じたりすることができる。
【0190】
図30乃至図32は、第3カバー部材95の動きを説明するための図である。図30乃至図32においては、第3カバー部材95の近傍を拡大して示している。
【0191】
図30に示す例において、第3カバー部材95は、半径方向Rに連結部材87Aに重なっている。この状態において、連結部材87Aと第3カバー部材95とが接触するため、第3カバー部材95は、半径方向Rに移動しない。言い換えると、ポート15は、第3カバー部材95によって閉じられている。
【0192】
すなわち、調整部材8Aは、連結部材87Aが第3カバー部材95に重なることで、ポート15からの水の排出を防止することができる。図30に示す調整部材8Aの位置は、ホース内に通水している状態に相当する。この場合、第3カバー部材95と複数の連結部材87Aとが重なることで、確実にポート15を閉じることができる。
【0193】
調整部材8Aを矢印Dの方向に回転させると、調整部材8Aは、図31に示す位置に移動する。図31に示す例において、第3カバー部材95は、半径方向Rに連結部材87Bに重なっている。この状態において、第3カバー部材95は、接続流路13を流れる水の圧力によって、押し上げられる。
【0194】
第3カバー部材95が押し上げられることによって、ポート15は、開放される。第3カバー部材95が押し上げられると、面993が連結部材87Bに接触する。そのため、第3カバー部材95の半径方向Rの移動が止まる。言い換えると、第3カバー部材95の開度は、連結部材87Bによって調整される。
【0195】
調整部材8Aを矢印Dの方向にさらに回転させると、調整部材8Aは、図32に示す位置に移動する。図32に示す例において、第3カバー部材95は、半径方向Rに連結部材87Dに重なっている。
【0196】
第3カバー部材95は、接続流路13を流れる水の圧力によってさらに押し上げられる。これにより、第3カバー部材95の開度は、さらに大きくなる。図32に示す例において、面993が連結部材87Dに接触する。
【0197】
第3カバー部材95が半径方向Rに連結部材87Cと重なる場合も、第3カバー部材95が半径方向Rに連結部材87Dと重なる場合と同様に、第3カバー部材95は、水の圧力によって、押し上げられる。
【0198】
調整部材8Aは、連結部材87B,87C,87Dが第3カバー部材95に重なることで、ポート15からの水の排出が可能である。図31および図32に示す調整部材8Aの位置は、排水している状態に相当する。
【0199】
調整部材8Aが図31に示す位置に位置すると、凹部131と第3カバー部材95との間に形成される隙間から、水が排出される。調整部材8Aは、当該隙間の大きさによって、排水量を調整することができる。さらに、複数の連結部材87A,87B,87C,87Dを棒状部材によって形成することによって、複数の連結部材87A,87B,87C,87Dの隙間から外部に水を排出することができる。
【0200】
調整部材8Aは、図示されていないが、固定具105A,105B(図1に示す)よりも半径方向Rに突出した部分を有していないほうが好ましい。固定具105A,105Bの外周面107A,107Bが地面Gに接触するように置かれた場合、調整部材8Aは、地面Gに接触しない。言い換えると、調整部材8Aと地面Gとの間には、隙間を形成することができる。これにより、調整部材8Aの周方向θの回転は、妨げられにくくなる。
【0201】
本実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態であれば、ポート15の周方向θの位置に関わらず、調整部材8Aを回転させることによって、ポート15を開放したり、閉じたりすることができる。言い換えると、ポート15の周方向θの位置に関わらず、排水作業を行うことができる。その結果、媒介具100Dの排水作業における利便性を向上させることができる。
【0202】
複数のポート15を有する場合であっても、複数の連結部材87A,87B,87C,87Dを周方向θに設けることによって、調整部材8Aを回転させるだけで、複数のポート15を同時に開放することができる。
【0203】
媒介具100Dは、調整部材8Aの回転をロックするためのロック機構をさらに備えてもよい。これにより、調整部材8Aが意図せずに回転することを防止することができる。ロック機構には、様々な構造を適用することができる。
【0204】
本実施形態において、筒体1が3つのポート15を有する例を開示するが、ポート15は2つ以下でもよいし、4つ以上でもよい。
【0205】
本実施形態において、調整部材8Aは第3カバー部材95の開度をより多段階に変化させるように複数の連結部材を構成してもよい。これにより、ポート15の開度の調整がより行いやすくなる。
【0206】
本実施形態において、複数の連結部材87A,87B,87C,87Dは円柱形状を有している例を開示するが、これ以外の形状を有してもよい。
【0207】
以上説明した各実施形態は、発明の範囲をこれらの実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明は、その他の様々な形態で実施することが可能である。各実施形態にて開示した構成やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0208】
媒介具は、上述の各実施形態にて開示したようにホースとホースとの接続に用いられるものに限定されない。媒介具は、ホースと機器(例えば、ポンプ、流量計、ストレーナなど)との接続に用いられてもよい。
【0209】
その他にも、各実施形態にて開示した媒介具は、種々の用途に応用することができる。上述の各実施形態において、筒体1が直管である例を開示するが、筒体1はエルボ管、分岐管などでもよい。
【符号の説明】
【0210】
100…媒介具、1…筒体、1a…第1端、1b…第2端、2A…接続具、2B…接続具、3…閉止部材、5…連結部材、6A,6B…スペーサ、8,8A…調整部材、11…外周面、13…接続流路、15…ポート、37…排出流路、67…ロック機構、70…拡径部、71A,71B…側壁、73…連結壁、79…バルブ、81C,81D…リング、85…内周面、87A,87B,87C,87D…連結部材。
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