(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20250108BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20250108BHJP
F24F 11/871 20180101ALI20250108BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20250108BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20250108BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20250108BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20250108BHJP
F24F 140/20 20180101ALN20250108BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/74
F24F11/871
F24F11/86
F24F110:12
F24F110:10
F24F110:20
F24F140:20
(21)【出願番号】P 2023129174
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河添 章寿
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸範
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/070891(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/198390(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/070892(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/194655(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/148846(WO,A1)
【文献】特開2021-008989(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216252(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/65
F24F 11/74
F24F 11/871
F24F 11/86
F24F 110/12
F24F 110/10
F24F 110/20
F24F 140/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱交換部と、前記第1熱交換部に対して減圧機構を介して接続された第2熱交換部とにより構成される室内熱交換器と、室内ファンとを備える室内機と、
前記第1熱交換部を凝縮器、前記第2熱交換部を蒸発器として機能させるように冷媒を前記室内熱交換器に流すことで前記第2熱交換部を凍結させる凍結運転を実行する制御装置と、
室外熱交換器での熱交換を促進する室外ファンを備える室外機と、
前記室外機が設置される室外の温度を測定する外気温センサと、
前記室内機が設置される室内の温度を測定する室温センサと、を備え、
前記制御装置は、
前記外気温センサによる第1測定値又は前記室温センサによる第2測定値の少なくとも一方の測定値を用いて、前記第2熱交換部に凍結異常が生じ得る所定条件を満たすと判定したとき
、前記凍結運転時に駆動させる前記室内ファン又は前記室外ファンのうちの少なくとも一方の回転速度を、前記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、前記凍結運転を実行する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記所定条件は、
前記第1測定値が第1所定値以下、又は、
前記第2測定値が第2所定値以上、
のうちの少なくとも一方の第1条件を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記所定条件は、
前記第1測定値が第2測定値よりも低く、かつ、第1測定値と第2測定値との差が第3所定値以上
である第2条件を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
第1熱交換部と、前記第1熱交換部に対して減圧機構を介して接続された第2熱交換部とにより構成される室内熱交換器と、室内ファンとを備える室内機と、
前記第1熱交換部を凝縮器、前記第2熱交換部を蒸発器として機能させるように冷媒を前記室内熱交換器に流すことで前記第2熱交換部を凍結させる凍結運転を実行する制御装置と、
室外熱交換器での熱交換を促進する室外ファンを備える室外機と、
前記室外機が設置される室外の温度を測定する外気温センサと、
前記室内機が設置される室内の温度を測定する室温センサと、
前記室内の湿度を測定する湿度センサ
と、を備え、
前記制御装置は、
前記外気温センサによる第1測定値又は前記室温センサによる第2測定値の少なくとも一方の測定値を用いて、前記第2熱交換部に凍結異常が生じ得る所定条件を満たすと判定したとき、
前記凍結運転の開始を制限する、又は、
前記凍結運転時に駆動させる前記室内ファン又は前記室外ファンのうちの少なくとも一方の回転速度を、前記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、前記凍結運転を実行し、
前記所定条件は、前記第1測定値、前記第2測定値、及び前記湿度センサにより測定された第3測定値、の何れもが所定範囲内にあり、かつ、前記第2測定値が前記第1測定値よりも高い第4条件を含み、
前記制御装置は、前記第4条件を満たしたときに、前記室内ファン又は前記室外ファンのうちの少なくとも一方の回転速度を、前記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、前記凍結運転を実行する
ことを特徴とす
る空気調和機。
【請求項5】
第1熱交換部と、前記第1熱交換部に対して減圧機構を介して接続された第2熱交換部とにより構成される室内熱交換器と、室内ファンとを備える室内機と、
前記第1熱交換部を凝縮器、前記第2熱交換部を蒸発器として機能させるように冷媒を前記室内熱交換器に流すことで前記第2熱交換部を凍結させる凍結運転を実行する制御装置と、
室外熱交換器での熱交換を促進する室外ファンを備える室外機と、
前記室外機が設置される室外の温度を測定する外気温センサと、
前記室内機が設置される室内の温度を測定する室温センサと、を備え、
前記制御装置は、
前記外気温センサによる第1測定値又は前記室温センサによる第2測定値の少なくとも一方の測定値を用いて、前記第2熱交換部に凍結異常が生じ得る所定条件を満たすと判定したとき、
前記凍結運転の開始を制限する、又は、
前記凍結運転時に駆動させる前記室内ファン又は前記室外ファンのうちの少なくとも一方の回転速度を、前記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、前記凍結運転を実行し、
前記室外ファンの回転速度を、前記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、前記凍結運転を実行する場合、
前記制御装置は、前記第1測定値に基づいて、前記室外ファンの回転速度を制御する
ことを特徴とす
る空気調和機。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記第1測定値が第5所定値以上のとき、前記室外ファンの回転速度を第1速度で回転させ、
前記第1測定値が第5所定値未満のとき、前記室外ファンの回転速度を前記第1速度よりも遅い第2速度で回転させる
ことを特徴とする請求項
5に記載の空気調和機。
【請求項7】
第1熱交換部と、前記第1熱交換部に対して減圧機構を介して接続された第2熱交換部とにより構成される室内熱交換器と、室内ファンとを備える室内機と、
前記第1熱交換部を凝縮器、前記第2熱交換部を蒸発器として機能させるように冷媒を前記室内熱交換器に流すことで前記第2熱交換部を凍結させる凍結運転を実行する制御装置と、
室外熱交換器での熱交換を促進する室外ファンを備える室外機と、
前記室外機が設置される室外の温度を測定する外気温センサと、
前記室内機が設置される室内の温度を測定する室温センサと、を備え、
前記制御装置は、
前記外気温センサによる第1測定値又は前記室温センサによる第2測定値の少なくとも一方の測定値を用いて、前記第2熱交換部に凍結異常が生じ得る所定条件を満たすと判定したとき、
前記凍結運転の開始を制限する、又は、
前記凍結運転時に駆動させる前記室内ファン又は前記室外ファンのうちの少なくとも一方の回転速度を、前記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、前記凍結運転を実行し、
少なくとも前記第2測定値に基づいて、前記凍結運転時の前記第2熱交換部の入口における冷媒温度である入口温度の目標値を決定する
ことを特徴とす
る空気調和機。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記第2測定値が第6所定値以上のとき、前記目標値を第1温度に決定し、
前記第2測定値が第6所定値未満のとき、前記目標値を前記第1温度よりも低い第2温度に決定する
ことを特徴とする請求項
7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記室内熱交換器を流れる冷媒を圧縮する圧縮機を備え、
前記制御装置は、
前記入口温度の実測値と、決定した前記目標値との差分が所定値以上のとき、前記圧縮機を第3速度の回転速度で駆動させ、
前記差分が前記所定値未満のとき、前記圧縮機を、前記第3速度よりも遅い第4速度で駆動させる
ことを特徴とする請求項
7に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記室内の湿度を測定する湿度センサを備え、
前記制御装置は、更に、前記湿度センサにより測定された第3測定値に基づいて、前記目標値を決定する
ことを特徴とする請求項
7に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記制御装置は、
前記第3測定値が第7所定値以上のとき、前記目標値を第1温度に設定し、
前記第3測定値が第7所定値未満のとき、前記目標値を前記第1温度よりも低い第2温度に設定する
ことを特徴とする請求項
10に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の要約書には「室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供する。空気調和機(100)は、圧縮機(31)、凝縮器、室外膨張弁(34)、及び蒸発器を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路(Q)と、少なくとも圧縮機(31)及び室外膨張弁(34)を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器(32)であり、他方は室内熱交換器(12)であり、制御部は、室内熱交換器(12)を蒸発器として機能させ、室内熱交換器(12)を凍結又は結露させ、室内熱交換器(12)を凍結させた後、室外膨張弁34の開度を大きくする。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の空気調和機では、第1室内熱交換器及び第2室内熱交換器のうち、室外熱交換器からの冷媒は、最初に第1室内熱交換器に供給される。そして、凍結運転時、第1室内熱交換器は再熱器として機能するから(段落0085)、凝縮器(放熱)として動作する。しかし、室温又は外気温のうちの少なくとも一方の温度によっては、第1室内熱交換器は、凝縮器ではなく意図せず蒸発器(吸熱)として動作し、冷凍サイクルが成立しない可能性がある。この結果、凍結運転を開始したにもかかわらず、第2室内熱交換器が意図せず正常に凍結しない(即ち凍結異常が生じる)可能性がある。
本開示が解決しようとする課題は、信頼性の高い空気調和機の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の空気調和機は、第1熱交換部と、前記第1熱交換部に対して減圧機構を介して接続された第2熱交換部とにより構成される室内熱交換器と、室内ファンとを備える室内機と、前記第1熱交換部を凝縮器、前記第2熱交換部を蒸発器として機能させるように冷媒を前記室内熱交換器に流すことで前記第2熱交換部を凍結させる凍結運転を実行する制御装置と、室外熱交換器での熱交換を促進する室外ファンを備える室外機と、前記室外機が設置される室外の温度を測定する外気温センサと、前記室内機が設置される室内の温度を測定する室温センサと、を備え、前記制御装置は、前記外気温センサによる第1測定値又は前記室温センサによる第2測定値の少なくとも一方の測定値を用いて、前記第2熱交換部に凍結異常が生じ得る所定条件を満たすと判定したとき、前記凍結運転時に駆動させる前記室内ファン又は前記室外ファンのうちの少なくとも一方の回転速度を、前記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、前記凍結運転を実行する。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【0006】
本開示によれば、信頼性の高い空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】冷凍サイクルが成立せず、熱交換部15bに凍結異常(正常に凍結できない)が生じ得るときのモリエル線図である。
【
図4】第1測定値と室外ファンの回転速度との関係である。
【
図5】室温及び室内湿度に基づく、熱交換部の入口温度の目標値の決定方法を説明する図である。
【
図6】凍結運転における熱交換部の入口温度の経時関係を示すグラフである。
【
図7】凍結運転を行うときのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の一の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。また、同じ実施形態で、必ずしも全ての構成を備える必要はない。
【0009】
図1は、本開示の空気調和機100を示す構成図である。実線矢印及び破線矢印はいずれも冷媒流の方向を示す。実線矢印は、暖房運転時の冷媒流の方向である。破線矢印は、冷房運転及び凍結運転時の冷媒流の方向である。点線矢印は、電気信号線である。
【0010】
空気調和機100は、室内機20と、室外機30とを備える。更に、空気調和機100は、空気調和機100の運転を制御する制御装置50を備える。
図1では、図示の都合上、制御装置50は室内機20及び室外機30から独立して図示される。制御装置50は、室内機20に備えられてもよく、室外機30に備えられてもよい。
【0011】
図2は、制御装置50のハードウェア構成を示すブロック図である。制御装置50は、例えばCPU(Central Processing Unit)1001、RAM(Random Access Memory)1002、ROM(Read Only Memory)1003、I/F(Inter Face)1004、バス1005等を備えて構成される。CPU1001、RAM1002、ROM1003及びI/F1004は、例えばバス1005を介して接続される。制御装置50は、ROM1003に格納されている所定の制御プログラム(例えば本開示の空気調和方法)がRAM1002に展開され、CPU1001によって実行されることにより具現化される。制御装置50と各種機器(サーバ等)、外部のネットワーク等との信号及び情報の授受は、ハードウェア的にはI/F1004を通じて行われる。
【0012】
図1に戻って、室内機20は、室内熱交換器15と、室内ファン16と、減圧機構38とを備える。室内ファン16はインバータ制御される。室内ファン16の回転により、室内空気が室内機20に吸い込まれ、室内熱交換器15と熱交換した後、室内に吹出される。室内熱交換器15は、熱交換部15a(第1熱交換部)と、熱交換部15b(第2熱交換部)とにより構成される。詳細は後記するが、室内機20の凍結運転時、熱交換部15aは凍結せずに再熱器として機能し、熱交換部15bのみが凍結する。熱交換部15bは、熱交換部15aに対して減圧機構38を介して接続される。減圧機構38は、例えば二方弁、膨張弁等である。
【0013】
室外機30は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、室外ファン13と、四方弁17と、減圧機構14(膨張弁等)とを備える。圧縮機11及び室外ファン13はインバータ制御される。室外ファン13は、室外熱交換器12での熱交換を促進するものである。圧縮機11と、室外熱交換器12と、減圧機構14と、上記の室内熱交換器15とが冷媒配管で接続され、冷媒配管内を冷媒が流れることで、冷凍サイクルが構成される。圧縮機11は、室外熱交換器12、減圧機構14及び室内熱交換器15を流れる冷媒を圧縮するものである。圧縮機11は、空気調和機100に備えられる。四方弁17の切替えにより、冷媒流の方向が実線矢印及び破線矢印の何れかに制御される。
【0014】
例えば、通常の空調運転時(冷房運転、暖房運転等)、減圧機構38(膨張機構)が全開にされる。一方で、減圧機構14(膨張機構)は適宜に絞られる。また、所謂再熱除湿時、減圧機構14が全開にされる。一方で、減圧機構38が所定開度に制御される。なお、減圧機構38は、例えば、全開の状態と所定開度の状態とを切替可能に構成されてもよい。また、再熱除湿時、減圧機構14が全開にされる必要は特になく、減圧機構14を介して冷媒が流れる状態であればよい。
【0015】
本開示の空気調和機100では、制御装置50は、例えば使用者のリモコン操作等に応じて、凍結運転を実行する。凍結運転は、室外熱交換器12及び熱交換部15aを凝縮器、熱交換部15bを蒸発器として機能させるように冷媒を室内熱交換器15に流す。これにより、制御装置50は、熱交換部15bを凍結させる。室内ファン16の駆動に伴う空気流では、熱交換部15aは、熱交換部15bよりも下流側に位置する。このため、凍結運転時、熱交換部15b(蒸発器)に放熱して冷やされた空気が、熱交換部15a(凝縮器、再熱器)で温められる。これにより、室内機20では再熱除湿が行われ、特に冷えた空気の室内への吹き出しを抑制できる。これにより、使用者の快適性を向上できる。
【0016】
凍結運転では、冷媒流は破線矢印で示す方向である。凍結運転では、熱交換部15a,15bのうち、破線矢印で示す冷媒流において上流側に位置する熱交換部15aが上記のように凝縮器(再熱器)として機能する。一方で、熱交換部15aからみて下流側に位置する熱交換部15bが、上記のように蒸発器(冷却器)として機能する。凍結運転時、減圧機構14は、全開又は略全開になるように制御される。従って、凍結運転時、冷凍サイクルでの冷媒流として、室外熱交換器12からのガス冷媒が凝縮器となる熱交換部15aで凝縮される。これにより、冷却(除湿)された空気が温められる。熱交換部15aから出た冷媒は、減圧機構38で減圧され、減圧された気液二相流の冷媒が蒸発器となる熱交換部15bで蒸発される。これにより、熱交換部15bが凍結するとともに、室内の空気が冷やされ除湿される。熱交換部15bを出た冷媒は、圧縮機11に向かう。
【0017】
空気調和機100は、更に、外気温センサ61と、室温センサ62と、湿度センサ63とを備える。外気温センサ61は、室外機30が設置される室外の温度を測定するものであり、例えば室外機30に設置される。室温センサ62は、室内機20が設置される室内の温度を測定するものであり、例えば室内機20に設置される。湿度センサ63は、室内機20が設置される室内の湿度を測定するものであり、例えば室内機20に設置される。
【0018】
制御装置50は、外気温センサ61による測定値Tm1(第1測定値)、又は、室温センサ62による測定値Tm2(第2測定値)のうちの少なくとも一方の測定値Tm1,Tm2を用いて、所定条件を満たすか否かを判定する。所定条件は、熱交換部15bに凍結異常が生じ得る条件である。ここでいう凍結異常とは、温度が高くて熱交換部15bがそもそも凍結しないか、凍結しても凍結が不十分(所望の凍結ではない)ことをいう。以下、凍結異常というときは同様の意味である。
【0019】
満たすと判定したとき、制御装置50は、凍結運転の開始を制限する、又は、凍結運転時に駆動させる室内ファン16又は室外ファン13のうちの少なくとも一方の回転速度を、当該所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、凍結運転を実行する。例えば停止を制限することで、意図しない挙動が生じる凍結運転の実行を回避できる。これにより、空気調和機100の信頼性を向上できる。また、回転速度を相対的に遅くして凍結運転(後記の第2凍結運転)を実行することで、予め定められた条件に沿って熱交換部15bを凍結できる。これにより、凍結による熱交換部15bの洗浄効果を所望の通りに発揮でき、空気調和機100の信頼性を向上できる。
【0020】
以下、当該所定条件を満たさないときに行われる通常の凍結運転を「第1凍結運転」と、当該所定条件を満たすときに行われ得る別の凍結運転を「第2凍結運転」ということがある。第1凍結運転は、例えば、上記特許文献1に記載の凍結運転である。一方で、第1凍結運転と第2凍結運転とを特に分けずに総称するときは、単に「凍結運転」という。
【0021】
凍結運転は、例えば、使用者がリモコン(不図示)を用いて操作する等、使用者の操作に応じて実行される。また、凍結運転は、例えば積算運転時間が所定時間を超えた場合等の所定の運転開始条件を満たしたときに、実行されることもある。しかし、上記のように、外気温又は室温のうちの少なくとも一方の温度によっては、冷凍サイクルが成立せず、熱交換部15bが凍結しなかったり、凍結が不十分になったりする(即ち凍結異常が生じる)ことがある。
【0022】
図3は、冷凍サイクルが成立せず、熱交換部15bに凍結異常(正常に凍結できない)が生じ得るときのモリエル線図である。
図3は、凍結運転では再熱器になる熱交換部15aが意図せず吸熱した場合(蒸発器になった場合)のモリエル線図である。横軸は比エンタルピ(h)、縦軸は圧力(p)である。曲線L1は飽和液線、曲線L2は飽和蒸気線である。
【0023】
点A~Bでは、熱交換部15bにおいて冷媒が蒸発し、比エンタルピが増加する。そして、点B~Cでは、圧縮機11が冷媒を圧縮する。点C~Dでは、室外熱交換器12において冷媒が凝縮し、比エンタルピが大きく減少する。点D~Eでは、熱交換部15aにおいて、本来放熱して冷媒が凝縮するにもかかわらず、意図せず吸熱して冷媒が蒸発する。点E~Aで減圧機構38で冷媒は膨張し、点A~Bで、熱交換部15bで冷媒が蒸発する。
【0024】
上記の点D~Eでは、熱交換部15aは、
図3のような吸熱ではなく、本来は放熱することで再熱器(凝縮器)として機能する。この機能を発揮させるためには、室内熱交換器15の入口温度(室内熱交換器15に供給される冷媒の温度)は、室温よりも高くなる。しかし、入口温度が室温よりも低いと、
図3に示すような現象が起き易い。また、室内熱交換器15に供給される冷媒の温度は、外気温によっても影響を受ける。そして、
図3に示す現象により、熱交換部15a,15bの双方で吸熱する。更には、熱交換部15aと熱交換部15bとの間には減圧機構38が備えられ、熱交換部15bには膨張後の冷媒が供給される。このため、冷凍サイクルが成立しなくなり、熱交換部15bに凍結異常が生じる可能性が高まる。
【0025】
そこで、本開示では、熱交換部15bに凍結異常が生じ得る所定条件(好ましくは凍結異常が生じる所定条件)を満たしたときに、第1凍結運転とは異なる処理が行われる。具体的には、例えば使用者等のリモコン操作によって本来であれば凍結運転が行われるものの、当該所定条件を満たしたときには、例えば、凍結運転の開始が制限される。このような所定条件を満たした環境で凍結運転(通常の凍結運転。第1第凍結運転)を行えば、熱交換部15bに凍結異常が生じ、所望の凍結運転が行われない。そこで、凍結運転の開始を制限し第1凍結運転を行わないことで、所望の凍結運転のみを実行できる。この場合、本来行われる凍結運転が行われないため、例えば室内機20、リモコン、使用者が所持する携帯端末等(何れも不図示)に備えられる表示部(不図示)に、凍結運転を行わない内容の表示を行うことができる。
【0026】
ただし、測定値Tm1,Tm2のうちの少なくとも一方の測定値によっては、第1凍結運転(通常の凍結運転)では熱交換部15bに凍結異常が生じるが、第1凍結運転とは異なる制御によって第2凍結運転(本開示の凍結運転)を行えば熱交換部15bを凍結異常が生じない(正常に凍結できる)場合もある。そこで、このような場合には、室内ファン16又は室外ファン13のうちの少なくとも一方の回転速度を、上記所定条件を満たさないときの回転速度(第1凍結運転での回転速度)よりも遅くして、凍結運転を実行する。これにより、室内熱交換器15又は室外熱交換器12のうちの少なくとも一方における熱交換を抑制でき、冷凍サイクルを成立できる。このため、熱交換部15bへの凍結異常の発生を抑制できる。
【0027】
中でも、室内ファン16の回転速度を遅くすることで、熱交換量を減らして、冷凍サイクルのサイクルバランスを調整できる。また、室外ファン13の回転速度を遅くすることで、同じく熱交換量を減らして、圧縮機11から供給される冷媒の温度を過剰に低下させることを抑制できる。これにより、再熱器として機能する熱交換部15aで冷気を十分に昇温できる。
【0028】
上記所定条件を満たす際において、室外ファン13の回転速度を、上記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして凍結運転(第2凍結運転)を実行する場合、制御装置50は、測定値Tm1(第1測定値)に基づいて、室外ファン13の回転速度を制御する。室外ファン13の回転速度が一定の場合、熱交換量も通常は一定であるから、外気温の高低によっては、熱交換部15aに供給される冷媒の温度が所望の温度にならない可能性がある。そこで、測定値Tm1に基づいて、室外ファン13の回転速度を制御することで、冷媒温度を所望温度に制御でき、室内熱交換器15に供給される冷媒の温度が室温よりも低くなることを抑制し易くできる。
【0029】
図4は、測定値Tm1と室外ファン13の回転速度との関係である。横軸は測定値Tm1、縦軸は室外ファン13の回転速度である。制御装置50は、外気温センサ61による測定値Tm1が所定値T5(第5所定値)以上のとき、室外ファン13の回転速度を速度V1(第1速度)で回転させる。一方で、制御装置50は、測定値Tm1が所定値T5未満のとき、室外ファン13の回転速度を速度V2(第2速度)で回転させる。速度V2は、速度V1よりも遅い速度である。
【0030】
これらの制御により、外気温が相対的に高いとき(Tm1≧T5)、相対的に低いとき(Tm1<T5)よりも熱交換を促進できる。これにより、室外熱交換器12から室内熱交換器15(熱交換部15a)に流入する冷媒温度を相対的に下げることができ、減圧機構38によって冷媒温度を十分に低下できる。また、外気温が相対的に低いとき(Tm1<T5)、相対的に高いとき(Tm1≧T5)よりも熱交換量を抑制できる。これにより、熱交換部15aに流入する冷媒温度が過度に低下することを抑制できる。
【0031】
制御装置50による判定に使用される所定条件は、例えば、外気温の測定値Tm1(第1測定値)が所定値T1(第1所定値)以下、又は、室温の測定値Tm2(第2測定値)が所定値T2(第2所定値)以上、のうちの少なくとも一方の第1条件を含む。例えば、外気温が低いような場合、室内熱交換器15に供給される冷媒の温度が室温よりも低くなる場合があり、これにより、凍結運転を適切に実行できない。そこで、この場合には、凍結運転を行わないか、又は、上記の第2凍結運転(例えば室外ファン13の回転速度を第1凍結運転よりも遅くした凍結運転)が行われる。どちらの制御を行うかは、例えば、空気調和機100の仕様によって決定できる。これらの点は、例えば、室温が高い場合、及び、外気温が低くかつ室温が高い場合も、同様である。
【0032】
また、所定条件は、測定値Tm1が測定値Tm2よりも低く、かつ、測定値Tm1と測定値Tm2との差が所定値T3(第3所定値)以上である第2条件を含む。例えば、外気温が低く、かつ外気温と室温との差が大きすぎる(所定値T3以上)場合、冷凍サイクルが正常に機能せず、熱交換部15bに凍結異常が生じ易い。そこで、この場合には、凍結運転を行わないか、又は、上記の第2凍結運転が行われる。どちらの制御を行うかは、例えば、空気調和機100の仕様によって決定できる。
【0033】
所定値T1,T2,T3は、何れも、凍結異常が生じ得る範囲の閾値であり、これに限定されないが例えば固定値である。所定値T1,T2,T3は、例えば、空気調和機100の仕様、設置環境等に応じて、実験、シミュレーション等によって予め決定できる。
【0034】
別の実施形態では、所定条件は、測定値Tm1、測定値Tm2、湿度センサ63により測定された測定値Tm3(第3測定値)、のうちの少なくとも1つが所定範囲外にある第3条件を含む。制御装置50は、第3条件を満たしたときに、凍結運転の開始を制限する。ここでいう所定範囲は、熱交換部15bに凍結異常が生じない室温、外気温及び室内の湿度の各範囲である。所定範囲は、例えば、空気調和機100の仕様、設置環境等に応じて、実験、シミュレーション等によって予め決定できる。第3条件を満たしたときに凍結運転の開始を制限することで、熱交換部15bの凍結異常の発生を抑制できる。
【0035】
別の実施形態では、所定条件は、測定値Tm1,Tm2,Tm3の何れもが所定範囲内にあり、かつ、Tm2(第2測定値)がTm1(第1測定値)よりも高い第4条件を含む。ここでいう所定範囲は、例えば、上記第3条件における所定範囲と同じである。従って、所定条件は、第3条件及び第4条件の双方を含んでもよい。制御装置50は、第4条件を満たしたときに、室内ファン16又は室外ファン13のうちの少なくとも一方(好ましくは双方)の回転速度を、上記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、第2凍結運転を実行する。このようにすることで、室外熱交換器12及び室内熱交換器15での熱交換量を抑制して、第2凍結運転を実行できる。
【0036】
制御装置50は、少なくとも測定値Tm2に基づいて、第2凍結運転時の熱交換部15b(第2熱交換部)の入口における冷媒温度である入口温度の目標値を決定する。室温の高低によって、入口温度を目標値まで下げるための「下げ易さ」が異なる。例えば、室温と目標温度との差が相対的に大きければ相対的に下げ難く、室温と目標温度との差が相対的に小さければ相対的に下げ易い。そこで、少なくとも測定値Tm2を用いて入口温度の目標値を決定することで、圧縮機11等の負荷を軽減できる。
【0037】
図5は、室温及び室内湿度に基づく、熱交換部15bの入口における冷媒温度(入口温度)の目標値の決定方法を説明する図である。熱交換部15bの入口温度が測定され、熱交換部15bの入口温度の目標温度が室温及び室内湿度に基づき決定される。
【0038】
制御装置50は、測定値Tm2(室温の測定値。第2測定値)が所定値T6(第6所定値)以上のとき、上記入口温度の目標値を温度Ta(第1温度)に決定する。また、制御装置50は、測定値Tm2が所定値T6未満のとき、上記入口温度の目標値を温度Tb(第2温度)に決定する。温度Tbは、温度Taよりも低い温度である。このようにすることで、相対的に室温が高いときには、入口温度も相対的に高くして、圧縮機11等の負荷を軽減できる。一方で、相対的に室温が低いときには、入口温度も相対的に低くして、熱交換部15bを凍結し易くできる。
【0039】
制御装置50は、更に、湿度センサ63により測定された測定値Tm3(第3測定値)に基づいて、上記入口温度の目標値を決定する。室内の湿度によって、凍結運転の過程で発生する結露水の量が異なる。そこで、湿度に基づいて目標値を決定することで、結露水の量を適切な量にでき、例えば、凍結後の解凍時にドレンパン(不図示)から結露水が溢れることを抑制できる。
【0040】
具体的には、制御装置50は、測定値Tm3が所定値H7(第7所定値)以上のとき、目標値を温度Ta(第1温度)に設定する。また、制御装置50は、測定値Tm3が所定値H7未満のとき、目標値を温度Tb(第2温度)に設定する。上記のように、温度Tbは、温度Taよりも低い温度である。湿度が相対的に高いときには、結露水の量も相対的に多くなる。そこで、この場合には、入口温度を相対的に高くすることで、結露水の発生量を意図的に抑えることができる。これにより、凍結後の解凍時にドレンパン(不図示)から結露水が溢れることを抑制できる。一方で、湿度が相対的に低いときには、結露水の量も相対的に少なくなる。そこで、この場合には、入口温度を相対的に低くすることで、熱交換部15bでの結露を促進できる。これにより、結露水を用いた熱交換部15bの洗浄効果を向上できる。
【0041】
所定値T6,H7は、何れも、例えば凍結のし易さ、結露水の量等の観点で予め決定される値であり、これに限定されないが例えば固定値である。所定値T6,H7は、例えば、空気調和機100の仕様、設置環境等に応じて、実験、シミュレーション等によって予め決定できる。
【0042】
図5に示す例では、室温の測定値Tm2がT11≦Tm2≦T12を満たし、かつ、室内の湿度の測定値Tm3がH13≦Tm3≦H14を満たす場合に、第2凍結運転が実行される。従って、これらの範囲が、上記第3条件及び第4条件に含まれる。また、図示はしないが、上記第3条件及び第4条件には、外気温の範囲も含まれる。第2凍結運転の実行時、測定値Tm2がT11≦Tm2≦<T6を満たし、かつ、湿度の測定値Tm3がH13≦Tm3<H7を満たす場合に、入口温度の目標値は温度Tbに設定される。一方で、測定値Tm2,Tm3のうちの少なくとも一方がこれらの範囲を満たさない場合には、入口温度の目標値は温度Taに設定される。
【0043】
図6は、凍結運転における熱交換部15bの入口温度の経時関係を示すグラフである。
図6は、一例として入口温度の目標値が温度Taの場合を例示するが、目標値が温度Tbの場合には、以下の記載及び
図6の記載では、温度Taは温度Tbに読み替えられる。また、
図6の例では、凍結運転開始、圧縮機11の回転速度は、暫く速度V3の後、緩やかに低下して速度V4に変化するが、回転速度の変化形態はこの例に限定されない。例えば、回転速度は、差分Δtに応じて増減を繰り返してもよく、例えば、差分ΔTが大きくなれば回転速度を大きくし、差分ΔTが小さくなれば回転速度を小さくしてもよい。また、回転速度は、緩やかな増減ではなく、ステップ状(階段状)に増減してもよい。
図6では、時刻t1で、凍結運転が開始される。
【0044】
制御装置50は、現在(運転中)の熱交換部15bの入口温度と、目標の温度Taとを比較して、圧縮機11の回転速度を変える。具体的には、熱交換部15bの入口温度と目標の温度Taの温度の差分ΔTが大きいほど、回転速度が大きくなる。例えば、圧縮機11の回転速度の上限がVmax、下限がVminであるとする。時刻t1において凍結運転の開始直後には、差分ΔTが大きいため、回転速度はVmax(速度V3の一例)である。凍結運転が進行し、差分ΔTが小さくなる(例えば閾値となる所定値未満になる)と、回転速度が低下し、低下した回転速度である速度V4で凍結運転が継続される。従って、回転速度は、上限Vmaxと下限Vminとの間で、差分ΔTに応じて変動する。
【0045】
また、例えば、制御装置50は、熱交換部15bの入口温度の実測値と、決定した温度Ta(目標値の一例)との差分ΔTが所定値以上以上のとき、圧縮機11を速度V3(第3速度)の回転速度で駆動させる。図示の例では、速度V3は、上記のように回転速度の上限Vmaxである。一方で、制御装置50は、差分ΔTが当該所定値未満のとき、圧縮機11を、速度V4(第4速度)で駆動させる。速度V4は、速度V3よりも遅い速度である。なお、差分ΔTと比較される所定値は、例えば、空気調和機100の仕様、設置環境等に応じて、実験、シミュレーション等によって予め決定できる。
【0046】
このようにすることで、回転速度を変更せずに圧縮機11を駆動させた場合と比べて、低下する入口温度の過度のオーバーシュートを抑制できる。即ち、入口温度が温度Taに近づいたときに回転速度を相対的に遅くすることで、降温速度も相対的に遅くなる。これにより、相対的にゆっくりと入口温度を温度Taに到達できる。
【0047】
凍結運転は、熱交換部15bの入口温度が温度T8以下になっている状態で所定の時間t5だけ維持することで行われる。温度T8は、温度Taよりも高い温度であり、温度T8と温度Taとの差は温度T9である。凍結運転に関する圧縮機11の制御が行われる時間t4中、熱交換部15bの入口温度が温度T8以下になっている時間は時間t5である。時間t5は、時刻t2から時刻t3迄の時間である。時間t5は、熱交換部15bに存在していた結露水を十分に凍結させるための時間である。時間t5は、例えば、空気調和機100の仕様、設置環境等に応じて、実験、シミュレーション等によって予め決定できる。
【0048】
図6の例では、時刻t2に入口温度が温度T8に到達し、時刻t3に入口温度が温度Taに到達する。しかし、必ずしも時刻t3に入口温度が温度Taに到達必要は無く、入口温度が温度T8以下であるが温度Taに到達することなく凍結運転が終了してもよいし、到達したときに圧縮機11を停止させることで降温停止させる等の制御を行ってもよい。また、入口温度の実測値が温度Taをオーバーシュートすることを一切禁止するものではなく、過度のオーバーシュートでなければ許容される。
【0049】
図7は、凍結運転を行うときのフローチャートである。
図7のフローは、制御装置50(
図1)によって実行できる。また、
図7は、上記所定条件として、上記第1条件及び第2条件を含まず、上記第3条件及び第4条件を含む例を示す。
【0050】
例えば使用者によるリモコン操作、積算運転時間が所定時間を超えた場合等によって、凍結運転の開始指示が制御装置50に入力される。制御装置50は、上記所定条件、即ち、第3条件又は第4条件の何れかを満たすか否かを判定する(ステップS1)。満たす場合(Yes)、制御装置50は、第3条件を満たすか否か、即ち、凍結運転の開始を制限するか否かを判定する(ステップS2)。第3条件を満たす、即ち凍結運転の開始を制限する場合(Yes)、凍結運転が行われずに
図7に示すフローが終了する。
【0051】
一方で、凍結運転の開始を制限しない場合(No)、第3条件は満たされず、第4条件が満たされる。そこで、第1凍結運転ではなく、第2凍結運転が行われる。具体的には、制御装置50は、室内ファン16又は室外ファン13のうちの少なくとも一方(好ましくは双方)の回転速度を、ステップS1での所定条件を満たさないときの回転速度(第1凍結運転での回転速度)よりも遅くして、熱交換部15bを凍結する(ステップS21)。所定時間保持後、熱交換部15bが解凍され(ステップS31)、凍結運転が終了する。
【0052】
また、上記ステップS1において、所定条件を満たさない場合(No)、第1凍結運転として、熱交換部15bが凍結される(ステップS22)。所定時間保持後、熱交換部15bが解凍され(ステップS32)、凍結運転が終了する。
【0053】
本開示の空気調和機100によれば、室温又は外気温のうちの少なくとも一方の温度によって冷凍サイクルが成立しない場合に、凍結運転の開始を制限したり第1凍結運転とは異なる条件で第2凍結運転が行われる。これにより、凍結異常の発生を抑制でき、空気調和機100の信頼性を高くできる。
【符号の説明】
【0054】
100 空気調和機
11 圧縮機
12 室外熱交換器
13 室外ファン
14 減圧機構
15 室内熱交換器
15a 熱交換部(第1熱交換部)
15b 熱交換部(第2熱交換部)
16 室内ファン
17 四方弁
20 室内機
30 室外機
38 減圧機構
50 制御装置
61 外気温センサ
62 室温センサ
63 湿度センサ
H7 所定値(第7所定値)
L1 曲線
L2 曲線
t1 時刻
t2 時刻
t3 時刻
t4 時間
t5 時間
T1 所定値(第1所定値)
T2 所定値(第2所定値)
T3 所定値(第3所定値)
T5 所定値(第5所定値)
T6 所定値(第6所定値)
T8 温度
T9 所定値(第9所定値)
Ta 温度(第1温度)
Tb 温度(第2温度)
Tm1 測定値(第1測定値)
Tm2 測定値(第2測定値)
Tm3 測定値(第3測定値)
V1 速度(第1速度)
V2 速度(第2速度)
V3 速度(第3速度)
V4 速度(第4速度)
ΔT 差分
【要約】
【課題】信頼性の高い空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機100は、熱交換部15a,15bにより構成される室内熱交換器15と、室内ファン16とを備える室内機20と、熱交換部15bを凍結させる凍結運転を実行する制御装置50と、室外熱交換器12での熱交換を促進する室外ファン13を備える室外機30と、を備える。制御装置50は、測定値Tm1,Tm2,Tm3を用いて熱交換部15bに凍結異常が生じ得る所定条件を満たすと判定したとき
、凍結運転時に駆動させる室内ファン16及び室外ファン13のの回転速度を、前記所定条件を満たさないときの回転速度よりも遅くして、凍結運転を実行する。
【選択図】
図1