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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】ホースおよびホースセット
(51)【国際特許分類】
   A62C 33/00 20060101AFI20250108BHJP
   F16L 11/02 20060101ALI20250108BHJP
   F16L 11/12 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A62C33/00 C
F16L11/02
F16L11/12 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023133431
(22)【出願日】2023-08-18
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 匠
(72)【発明者】
【氏名】戸城 賢三
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲治
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0200536(US,A1)
【文献】登録実用新案第3091293(JP,U)
【文献】米国特許第05551484(US,A)
【文献】中国実用新案第210770755(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 33/00
F16L 11/02
F16L 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる、たて糸およびよこ糸を織ることによって形成されたジャケットを備え、
前記ジャケットは、
前記長手方向に延びる複数の前記たて糸と、
前記たて糸と交差し、外部から視認可能な光を発光する、前記よこ糸である光ファイバと、を有している、
ホース。
【請求項2】
前記光ファイバは、前記たて糸と織られることによってらせん状に形成されている、
請求項1に記載のホース。
【請求項3】
前記ジャケットを覆う透明な保護層をさらに備えている、
請求項1に記載のホース。
【請求項4】
請求項に記載のホースと、
前記光ファイバに接続される光源ユニットと、を備え、
前記光ファイバは、前記ホースの端部から延びる延出部を有し、
前記光源ユニットは、前記延出部が接続される接続部と、前記延出部に光を照射する光源と、を有している、
ホースセット。
【請求項5】
前記光源ユニットは、
前記光源と電気的に接続された電源と、
前記光源への電力の供給を切り替えるための操作部と、をさらに有している、
請求項4に記載のホースセット
【請求項6】
前記光源ユニットは、前記光源から照射される光を制御可能に構成された制御部をさらに有している、
請求項4または5に記載のホースセット。
【請求項7】
前記光源ユニットが設けられるとともに、前記ホースに接続される媒介具をさらに備えている、
請求項に記載のホースセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースおよびホースセットに関する。
【背景技術】
【0002】
ホースの一例である消防用ホースには、様々な提案がなされている。ビル等の建物で火災が発生した場合、建物の外から放水するだけでなく、建物内に消防用ホースを引き込んで消防隊員が消火作業を行う。このような消火作業中に建物外へ避難する必要が生じた場合、消防用ホースが消防隊員や避難者の退路を示す手段として利用されることがある。
【0003】
特許文献1には、消防用ホースが開示されている。当該消防用ホースは、ホース本体と、複数の第1輝光部材と、第2輝光部材と、を備えている。前記ホース本体は、第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部と、前記第1端部から前記第2端部に亘って長尺に延びる筒状のジャケットと、前記ジャケットの内面に設けられたライニング層とを含む。前記複数の第1輝光部材は、前記ジャケットの表面に設けられ、前記ホース本体の長手方向に並ぶ。前記第2輝光部材は、前記ジャケットの表面に設けられ、前記複数の第1輝光部材に接続されるとともに前記長手方向において直線状に延びる。さらに、前記複数の第1輝光部材の各々は、前記ホース本体の前記第1端部を指す形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-159301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された消防用ホースは、消防用ホースの使用時において当該ホースに沿った特定の方向を容易に判別可能とすることを目的の一つとする。特許文献1に開示されているように、ホースには使用時における視認性の向上が要望の一つとしてある。
【0006】
そこで、本発明は、視認性をより向上させることができるホースおよびホースセットを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るホースは、長手方向に延びる、たて糸およびよこ糸を織ることによって形成されたジャケットを備える。前記ジャケットは、前記長手方向に延びる複数の前記たて糸と、前記たて糸と交差し、外部から視認可能な光を発光する、前記よこ糸である光ファイバと、を有している。
【0008】
前記光ファイバは、前記たて糸と織られることによってらせん状に形成されていてもよい。前記ホースは、前記ジャケットを覆う透明な保護層をさらに備えていてもよい。
【0009】
一実施形態に係るホースセットは、前記ホースと、前記光ファイバに接続される光源ユニットと、を備える。前記光ファイバは、前記ホースの端部から延びる延出部を有している。前記光源ユニットは、前記延出部が接続される接続部と、前記延出部に光を照射する光源と、を有している。
【0010】
前記光源ユニットは、前記光源と電気的に接続された電源と、前記光源への電力の供給を切り替えるための操作部と、をさらに有していてもよい。
【0011】
前記光源ユニットは、前記光源から照射される光を制御可能に構成された制御部をさらに有していてもよい。
【0012】
記ホースセットは、前記光源ユニットが設けられるとともに、前記ホースに接続される媒介具をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、視認性をより向上させることができるホースおよびホースセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態に係るホースセットの構成の一例を示す概略的な平面図である。
図2図2は、ホース本体の第1端部の近傍を概略的に示す図である。
図3図3は、ホース本体の概略的な断面図である。
図4図4は、図1に示されたホースの第1接続具の近傍を概略的に示す図である。
図5図5は、図1に示された媒介具および光源ユニットを概略的に示す図である。
図6図6は、光ファイバに光が照射された状態を説明するための図である。
図7図7は、第2実施形態に係るホースセットの構成の一例を示す図である。
図8図8は、第3実施形態に係るホースの一例を示す図である。
図9図9は、図8に示されたホース本体の概略的な断面図である。
図10図10は、第4実施形態に係るホース本体の概略的な断面図である。
図11図11は、第4実施形態に係るホース本体の概略的な断面図である。
図12図12は、第5実施形態に係るホース本体の構成の一例を示す図である。
図13図13は、第5実施形態に係るホース本体の概略的な断面図である。
図14図14は、第5実施形態に係るホース本体の概略的な断面図である。
図15図15は、第6実施形態に係るホース本体の概略的な断面図である。
図16図16は、第6実施形態に係るホース本体の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。各実施形態においては、ホースの一例として、消防用ホースを開示する。ホースは、例えば呼称40mmから65mmであるが、この例に限られない。各実施形態に係るホースの構成は、消防用ホース以外のホースにも適用することができる。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係るホースセット100の構成の一例を示す概略的な平面図である。図2は、ホース本体11の第1端部E1の近傍を概略的に示す図である。図3は、ホース本体11の概略的な断面図である。図4は、図1に示されたホース1の第1接続具12の近傍を概略的に示す図である。図5は、図1に示された媒介具2および光源ユニット3を概略的に示す図である。
【0017】
図2においては、第1接続具12および第1止め具14の図示を省略している。図3においては、長手方向LDに沿う断面の一部を示している。
【0018】
ホースセット100は、消火時において、消火剤の一例である水を供給する供給部(図示しない)に接続される。供給部は、例えば消火栓、可搬ポンプ、ポンプ車などである。ホースセット100は、ホース1と、媒介具2と、光源ユニット3と、を備えている。
【0019】
ホース1は、筒状のホース本体11と、第1接続具12と、第2接続具13と、第1止め具14と、第2止め具15と、を備えている。ホース本体11は、例えば保形ホースである。保形ホースは、保管状態においても外形がほぼ円筒状に保持される。
【0020】
ホース本体11は、長手方向LDに延びている。ホース本体11は、第1端部E1と、第1端部E1の反対側の第2端部E2と、を有している。本実施形態において、端部は、端とその近傍の領域を含む。第1接続具12は第1端部E1に設けられ、第2接続具13は第2端部E2に設けられている。
【0021】
第1接続具12および第2接続具13の各々は、例えば筒状の金具である。具体的には、第1接続具12および第2接続具13は、平成二十五年総務省令第二十三号 消防用ホースに使用する差込式又はねじ式の結合金具及び消防用吸管に使用するねじ式の結合金具の技術上の規格を定める省令で規定される消防用ホースの差込み式結合金具である。
【0022】
より具体的には、例えば、第1接続具12は受け金具であり、第2接続具13は差し金具である。なお、第1接続具12および第2接続具13は、雌雄の区別なく接続可能な構成を有していてもよい。
【0023】
消火剤は、例えば第1接続具12から第2接続具13に向けて流れる。ホース本体11においては、第1端部E1が上流側に相当し、第2端部E2が下流側に相当する。第1接続具12には、図1に示す例において、媒介具2が接続されている。
【0024】
第2接続具13には、例えば水を放出するためのノズル(図示しない)が接続される。なお、第2接続具13には、ノズル以外の他の部材を接続することもできる。例えば、第2接続具13に他のホース1の第1接続具12を接続することによって、ホースを延長できる。
【0025】
第1止め具14はホース本体11に対して第1接続具12を固定し、第2止め具15はホース本体11に対して第2接続具13を固定している。第1止め具14は第1端部E1においてホース本体11を覆い、第2止め具15は第2端部E2においてホース本体11を覆っている。第1止め具14および第2止め具15は、例えば筒形状を有している。第1止め具14および第2止め具15は、例えば金属材料で形成されているが、この例に限られない。
【0026】
ホース本体11は、図2に示すように、光ファイバF1を含むジャケット20(第1ジャケット)と、ライニング層30と、を有している。ジャケット20は、長手方向LDに延びる筒形状を有している。
【0027】
ライニング層30は、ジャケット20の内面に設けられている。ライニング層30は、液密性を有している。ライニング層30は、例えばゴムまたは合成樹脂などの樹脂材料で形成されている。ライニング層30は、一層で形成されてもよいし、2層以上で形成されてもよい。ライニング層30が複数の層で形成される場合には、それぞれの層が異なる材料で形成されてもよい。
【0028】
ジャケット20は、図2および図3に示すように、複数のたて糸41と、光ファイバF1と、を有している。複数のたて糸41は、周方向CD(図2に示す)に並んでいる。たて糸41は、例えば、複数の繊維を撚り合わせることによって形成されている。
【0029】
本実施形態において、光ファイバF1は、ジャケット20におけるよこ糸に相当する。光ファイバF1は、第1端部E1から第2端部E2にわたり、らせん形状を有している。
【0030】
ジャケット20は、例えば、織機(例えば自動織機)によって、複数のたて糸41と、光ファイバF1とを織ることによって形成される。このように、光ファイバF1は、ホース本体11に設けられている。具体的には、光ファイバF1は、ジャケット20に設けられている。
【0031】
光ファイバF1は、外部から視認可能な光を発光する。光ファイバF1は、例えば側面から発光するように構成された光ファイバである。光ファイバF1は、入光した光を光ファイバF1の延出方向に伝播するとともに、側面から光を照射する。
【0032】
ジャケット20は、図2に拡大して模式的に示すように、例えば平織で形成されている。言い換えると、光ファイバF1は、たて糸41と交互に交差している。図2においては、よこ糸に相当する部材(図2に示す例では光ファイバF1)に斜線を付している。
【0033】
光ファイバF1が発光すると、光は隣接するたて糸41の間から漏れたり、たて糸41を透過したりする。これにより、ユーザ(例えば消防隊員)は、外部から光を視認できる。
【0034】
光ファイバF1は、第1端部E1または第2端部E2の少なくとも一方から延びる延出部50を有している。延出部50は、図4に示す例において、第1端部E1から延びている。
【0035】
第1止め具14との関係において、延出部50は、例えば第1止め具14よりも第1接続具12側から延びている。延出部50は、光が照射される入光部51を有している。入光部51は、例えば延出部50の端に設けられている。
【0036】
媒介具2は、複数の流路を接続する。媒介具2は、ホース1に接続されている。媒介具2は、図5に示すように、本体21と、接続具23,25と、を備えている。本体21は、接続具23,25をつなぐ円筒部を有している。接続具23は本体21の一端に設けられ、接続具25は本体21の他端に設けられている。
【0037】
一例では、接続具23は第1接続具12と接続可能な構造を有し、接続具25は第2接続具13と接続可能な構造を有している。言い換えると、接続具23は差し金具と同様の構造を有し、接続具25は受け金具と同様の構造を有している。接続具23は、図1に示す例において、第1接続具12に接続されている。
【0038】
ホース1は、媒介具2を介して、供給源(図示しない)に接続される。接続具25は、供給源に直接接続されてもよいし、他のホースセット100などを介して供給源に接続されてもよい。
【0039】
なお、媒介具2は、ホース1とホース1との接続に使用されてもよいし、ホース1と他の機器(例えば、流量計、ストレーナなど)との接続に使用されてもよい。
【0040】
光源ユニット3は、光ファイバF1に光を照射する。光源ユニット3は、図1に示す例において、媒介具2の本体21に設けられている。光源ユニット3は、図1に示す例において、媒介具2よりも下流側に位置するホース本体11の光ファイバF1に光を照射している。
【0041】
光源ユニット3は、図5に示すように、ケース31と、電源32と、接続部33と、光源34と、操作部35と、表示灯36と、を有している。電源32、接続部33、光源34、操作部35および表示灯36は、ケース31に設けられている。電源32は、一例ではバッテリである。電源32は、ケース31の外部に設けられていてもよい。
【0042】
接続部33には、光ファイバF1の延出部50が接続される。接続部33は、例えばケース31の一部を開口することによって形成されている。接続部33は、図5に示す例において、下流側に向けて開口している。
【0043】
接続部33は、延出部50と接続可能に構成されている。接続部33は、例えば延出部50に設けられた接続具53(図4に示す)と接続可能に構成されてもよい。接続具53を介して延出部50を接続することによって、ユーザは、延出部50を接続部33に容易に接続できる。
【0044】
光源34は、接続部33に接続された延出部50に光を照射する。具体的には、光源34は、延出部50の入光部51に光を照射する。光源34は、接続部33に接続された入光部51に向かい合うように設けられている。
【0045】
光源34は、電源32と電気的に接続されている。これにより、光源34には、電源32から電力が供給される。光源34から照射された光は、入光部51から入射し、第2端部E2側に位置する光ファイバF1の端に向けて伝播される。
【0046】
光源34は、一例では発光ダイオード(LED)である。光源34は、単色の発光ダイオードで構成されてもよいし、複数色の発光ダイオードで構成されてもよい。光源34は、他の例ではレーザーであってもよいし、電球であってもよいし、これら以外であってもよい。光源34と接続部33との間には、レンズなどの他の部材がさらに設けられていてもよい。
【0047】
操作部35および表示灯36は、ケース31の外部に位置している。表示灯36は、例えば光源34が光を照射している際に点灯する。これにより、ユーザは、光源34が光を照射しているか否かを外部から確認できる。ユーザは、操作部35によって光源ユニット3を操作する。ユーザは、例えば操作部35を操作することによって、光源34への電力の供給を切り替えることができる。
【0048】
光源ユニット3は、制御部37をさらに有していてもよい。制御部37は、ケース31に設けられている。制御部37は、光源34から照射される光を制御可能に構成されている。制御部37は、光源34から照射される光を制御することで、光ファイバF1における発光を制御する。
【0049】
制御部37は、一例では、使用時において光ファイバF1が常に発光するように光源34から照射される光を制御してもよい。制御部37は、他の例では、経過する時間に応じて、光源34の発光を変化させたり、発光する色を変化させたりするように光源34から照射される光を制御してもよい。
【0050】
制御部37には、例えば予め発光の種類に応じた、少なくとも1つの動作モードが設定されていてもよい。操作部35には、予め設定された動作モードを選択するためのボタンが設けられていてもよい。
【0051】
図6は、光ファイバF1に光が照射された状態を説明するための図である。図6においては、発光している光ファイバF1を破線にて示している。図6においては、点灯している表示灯36にドットを付している。
【0052】
光ファイバF1に光源ユニット3から光が照射されると、光が入光部51から第2端部E2側に位置する光ファイバF1の端に向けて伝播されるとともに、光ファイバF1の側面から光が照射される。これにより、ジャケット20に設けられた光ファイバF1は、第1端部E1から第2端部E2にわたり発光する。
【0053】
光ファイバF1は、図6に示す例において、らせん状に発光している。ユーザは、光ファイバF1の光を外部から視認することによって、ホース1の位置を確認できる。
【0054】
以上のように構成されたホース1であれば、使用時における視認性をより向上させることができる。具体的には、ホース1は、光ファイバF1を有している。光ファイバF1は外部から視認可能な光を発光する。
【0055】
これにより、ユーザは、暗所において、ホース1の位置を確認できる。例えば、火災現場等において視界が不明瞭な場合であっても、光ファイバF1が発光するため、ユーザは、ホース1の位置を容易に確認できる。
【0056】
比較例に係るホースとしては、例えば、蓄光ホース、反射ホース、矢印入りホースなどがある。蓄光ホースは、ホース本体の外面に設けられた蓄光部を有している。蓄光部を発光させるためには、予めホース本体に光を当て、蓄光部に光を蓄える必要がある。
【0057】
矢印入りホースは、ホース本体の外面に設けられた矢印を有している。矢印は、退路方向を示している。当該矢印を確認するため、ユーザは、ホース本体の近くで当該矢印を確認する必要がある。
【0058】
反射ホースは、ホース本体の外面に設けられた反射部を有している。反射部は、外部から光が当たると、光を再帰反射させる。そのため、ユーザは、反射ホースの位置を確認するために光源を携帯し、本体に向けて光を照射する必要がある。
【0059】
本実施形態に係るホース1であれば、予めホースに光を当てる必要もないし、ホース本体の近くで矢印を確認する必要もない。本実施形態に係るホース1であれば、光ファイバF1が発光するため、ホース1の位置が確認しやすく、上述の比較例に係る各ホースよりも使用時における視認性を向上させることができる。
【0060】
本実施形態に係るホース1であれば、光ファイバF1が発光するため、ユーザが外部からホース1に向けて光を照射する必要もない。本実施形態に係るホース1であれば、上述の比較例に係るホースよりも使用時における利便性を向上させることができる。
【0061】
使用時における視認性が向上することによって、ホース1に沿って避難する際、ユーザが退路を確認しやすくなるとともに、使用時にユーザがホース1に躓くなどのトラブルの発生を抑制できる。
【0062】
本実施形態において、光ファイバF1は、らせん形状を有している。これにより、ホース本体11の周方向CDに沿って、光ファイバF1が発光する。その結果、使用時にホース本体11が捻じられた状態であっても、視認する方向によらず、ユーザは光ファイバF1の光を確認できる。
【0063】
比較例に係るホースのようにホース本体の外面に蓄光部などが設けられた場合、繰り返しの使用により、蓄光部などが視認しにくくなるおそれがある。ホース1において、光ファイバF1は、ジャケット20におけるよこ糸に相当する。
【0064】
この場合、光ファイバF1は外部にほとんど露出しないため、ホース本体11が使用時に引きずられても、光ファイバF1の破損、摩耗を抑制できる。その結果、ホース1であれば、光ファイバF1の発光を妨げにくくなり、使用時における視認性を確保できる。
【0065】
ジャケット20は、複数のたて糸41と光ファイバF1とを織機によって織ることで形成することができる。本実施形態における光ファイバF1の配置態様であれば、製造工程において、光ファイバF1を設けるための機械等を新たに準備する必要がない。その結果、ホース1における製造コストを抑制できる。
【0066】
本実施形態において、光源ユニット3は、図1に示すように、媒介具2に設けられている。これにより、ユーザは、ホース1に接続された媒介具2とともに、光源ユニット3を移動することができる。その結果、ホースセット100であれば、現場における作業を妨げにくい。以上の他にも本実施形態から種々の好適な効果を得ることができる。
【0067】
本実施形態において、ホース本体11が保形ホースである例を開示したが、扁平に潰された状態や円筒形に膨らんだ状態にもなり得るような柔軟性を有するホース本体11に光ファイバF1が設けられてもよい。
【0068】
ジャケット20を形成する際、たて糸41の密度を変更したり、織構造を変更したりすることによって、光ファイバF1が外部に露出する量を調整してもよい。光ファイバF1が外部に露出する量を増加させることで、ユーザは、外部から光ファイバF1の光をより視認しやすくなる。
【0069】
他の例として、ジャケット20は、平織によって形成されてもよいし、綾織によって形成されてもよいし、朱子織によって形成されてもよいし、これら以外の織り方によって形成されてもよい。
【0070】
本実施形態において、光源ユニット3が媒介具2に設けられる例を開示したが、光源ユニット3は、媒介具2に設けられていなくてもよい。光源ユニット3は、例えば、第1接続具12または第2接続具13に設けられていてもよいし、他の部材に設けられていてもよい。また、光源ユニット3は、単独で設けられていてもよい。
【0071】
次に、他の実施形態について説明する。なお、以下に述べる他の実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略あるいは簡略化する場合がある。
【0072】
[第2実施形態]
図7は、本実施形態に係るホースセット100Aの構成の一例を示す図である。本実施形態においては、媒介具2および光源ユニット3は、ホース本体11よりも下流側に位置している点が第1実施形態と相違している。
【0073】
媒介具2の接続具23には、ノズルが接続されてもよいし、他のホース1が接続されてもよい。ホース1の第1接続具12には、供給源が接続されてもよいし、他のホース1が接続されてもよい。
【0074】
光ファイバF1は、第2端部E2から延びる延出部50Aを有している。延出部50Aは、延出部50Aの端に設けられた入光部(図示しない)を有している。延出部50Aは、光源ユニットの接続部33に接続されている。光源ユニット3の接続部33は、例えば上流側に向けて開口している。
【0075】
本実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態において、光源ユニット3が媒介具2よりも上流側に位置するホース本体11の光ファイバF1に光を照射している。
【0076】
制御部37(図5に示す)によって光源34を制御することによって、例えば、矢印(図7に示す)に示す方向に光が流れるように光ファイバF1を発光させることができる。これにより、上流側に向けて光が流れるように光ファイバF1が発光する。
【0077】
ホース1の使用時において、ホース1の下流側から上流側に向かう方向は、ユーザの退路方向に相当する場合がある。ユーザは、暗所において、光が流れる方向を視認することによって、退路方向を容易に確認できる。言い換えると、ユーザは、光が流れる方向に移動することで建物などから避難できる。
【0078】
[第3実施形態]
図8は、本実施形態に係るホース1Bの一例を示す図である。図9は、図8に示されたホース本体11Bの概略的な断面図である。本実施形態においては、光ファイバF1がジャケット20におけるたて糸に相当する点が第1実施形態と相違している。図8においては、第1端部E1の近傍を示している。図8においては、第1接続具12および第1止め具14の図示を省略している。
【0079】
ジャケット20は、複数のたて糸41と、よこ糸43と、を有している。よこ糸43は、例えばたて糸41と同様の材料によって形成されている。ジャケット20は、2本の光ファイバF1をさらに有している。光ファイバF1は、例えば2本であるが、3本以上でもよいし、1本でもよい。
【0080】
2本の光ファイバF1は、複数のたて糸41と同様、長手方向LDに沿って延びている。よこ糸43は、複数のたて糸41とともに、2本の光ファイバF1とも織られている。2本の光ファイバF1は、延出部50をそれぞれ有している。
【0081】
延出部50の各々は、光源ユニット3の接続部33と接続される。言い換えると、接続部33は、複数の延出部50と接続可能に構成されている。光源34は、複数の入光部51(図4に示す)に光を照射可能に構成されている。
【0082】
ホース本体11Bは、例えば扁平に潰された状態や円筒形に膨らんだ状態にもなり得るような柔軟性を有している。ホース本体11Bは、扁平に潰された状態において、屈曲する一対の耳部60a,60bと、一対の耳部60a,60bの間の腹部61a,61bと、を有している。
【0083】
光ファイバF1は、例えば一対の耳部60a,60bにそれぞれ設けられている。ただし、光ファイバF1は、腹部61a,61bに設けられていてもよいし、耳部60a,60bと腹部61a,61bとにそれぞれ設けられていてもよい。一対の耳部60a,60bと腹部61a,61bとの間には、図8に示すように、境界線63が設けられていてもよい。
【0084】
ホース本体11Bは、ジャケット20を覆う保護層70をさらに有していてもよい。保護層70は、第1端部E1から第2端部E2にわたり形成されている。図8においては、保護層70の一部を破断している。
【0085】
保護層70は、例えば、ジャケット20の外面に透明な塗料を塗布することによって形成されている。ただし、光ファイバF1の光の外部からの視認を妨げないのであれば、この例に限られない。保護層70は、図9に示す例において、一層で形成されているが、2層以上で形成されてもよい。
【0086】
本実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。ジャケット20は、例えば、図2を用いて説明したように、例えば平織で形成されている。この場合、光ファイバF1は、外部に露出している。
【0087】
本実施形態におけるホース本体11Bは、保護層70を有している。ジャケット20が保護層70によって覆われることによって、ホース本体11Bが使用時に引きずられても、光ファイバF1の破損、摩耗を抑制できる。
【0088】
本実施形態における光ファイバF1の配置態様は、上述の各実施形態に適用できる。本実施形態における保護層70は、上述の各実施形態に適用できる。
【0089】
[第4実施形態]
図10および図11は、本実施形態に係るホース本体11Cの概略的な断面図である。本実施形態においては、光ファイバF1の配置態様が上述の各実施形態と相違している。
【0090】
本実施形態において、光ファイバF1は、ジャケット20とライニング層30との間に設けられている。言い換えると、光ファイバF1は、ジャケット20によって外側から覆われている。
【0091】
光ファイバF1は、一例では1本であるが、2本以上であってもよい。光ファイバF1は、図10に示す例において、らせん形状を有している。光ファイバF1は、図11に示す例において、長手方向LDに沿って延びている。言い換えると、光ファイバF1は、直線形状を有している。
【0092】
本実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態において、光ファイバF1がジャケット20によって覆われることによって、ホース本体11Cが使用時に引きずられても、光ファイバF1の破損、摩耗を抑制できる。複数本の光ファイバF1が設けられる場合、光ファイバF1は、それぞれ異なる形状を有していてもよい。
【0093】
[第5実施形態]
図12は、本実施形態に係るホース本体11Dの構成の一例を示す図である。図13および図14は、本実施形態に係るホース本体11Dの概略的な断面図である。本実施形態においては、ジャケット80をさらに有する点が上述の各実施形態と相違している。図12においては、第1端部E1の近傍を示している。図12においては、第1接続具12および第1止め具14の図示を省略している。
【0094】
ホース本体11Dは、ジャケット20(第1ジャケット)と、ライニング層30と、ジャケット20を覆うジャケット80(第2ジャケット)と、光ファイバF1と、を有している。
【0095】
ジャケット80は、長手方向に延びる筒状に形成されている。ジャケット80は、複数のたて糸41およびよこ糸43を有している。ただし、ジャケット80は、たて糸41およびよこ糸43とは異なる材料によって形成されてもよい。
【0096】
ジャケット80は、例えばジャケット20と同様に、複数のたて糸41およびよこ糸43を織ることによって形成されている。ただし、ジャケット80は、ジャケット20と異なる織り方によって形成されていてもよい。
【0097】
本実施形態において、光ファイバF1は、ジャケット20とジャケット80との間に設けられている。言い換えると、光ファイバF1は、ジャケット80によって外側から覆われている。
【0098】
光ファイバF1は、一例では1本であるが、2本以上であってもよい。光ファイバF1は、図13に示す例において、らせん形状を有している。光ファイバF1は、図14に示す例において、長手方向LDに沿って延びている。言い換えると、光ファイバF1は、直線形状を有している。
【0099】
本実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態において、光ファイバF1がジャケット80によって覆われることによって、ホース本体11Dが使用時に引きずられても、光ファイバF1の破損、摩耗を抑制できる。複数本の光ファイバF1が設けられる場合、光ファイバF1は、それぞれ異なる形状を有していてもよい。
【0100】
[第6実施形態]
図15および図16は、本実施形態に係るホース本体11Eの概略的な断面図である。本実施形態においては、光ファイバF1の配置態様が第5実施形態と相違している。
【0101】
ホース本体11Eは、ジャケット20(第1ジャケット)と、ライニング層30と、ジャケット20を覆うジャケット80(第2ジャケット)と、を有している。光ファイバF1は、ジャケット80に設けられている。
【0102】
光ファイバF1は、図15に示す例において、ジャケット80におけるよこ糸に相当する。この場合、光ファイバF1は、らせん形状を有している。光ファイバF1は、図16に示す例において、ジャケット80におけるたて糸に相当する。光ファイバF1は、長手方向LDに沿って延びている。図16に示す例において、光ファイバF1は、一例では1本であるが、2本以上であってもよい。
【0103】
本実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態において、ホース本体11Eは、ジャケット80を覆う保護層をさらに有していてもよい。これにより、ホース本体11Eが使用時に引きずられても、光ファイバF1の破損、摩耗を抑制できる。
【0104】
上述の各実施形態において、光ファイバF1は、第1端部E1または第2端部E2のどちらか一方から延びる延出部を有する例を開示したが、光ファイバF1は第1端部E1および第2端部E2からそれぞれ延びる延出部を有していてもよい。
【0105】
以上の第1実施形態乃至第6実施形態は、本発明の範囲を各実施形態にて開示した構成に限定するものではない。その他にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をホースに適用できる。
【符号の説明】
【0106】
1…ホース、2…媒介具、3…光源ユニット、11…ホース本体、12…第1接続具、13…第2接続具、20…ジャケット、30…ライニング層、32…電源、33…接続部、34…光源、41…たて糸、43…よこ糸、50…延出部、51…入光部、70…保護層、80…ジャケット、100…ホースセット、E1…第1端部、E2…第2端部、F1…光ファイバ。
【要約】
【課題】 視認性をより向上させることができるホースを提供する。
【解決手段】 一実施形態に係るホースは、外部から視認可能な光を発光する光ファイバを有している。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図14
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図16