(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]エテノンの調製のための方法および中間体
(51)【国際特許分類】
C07C 309/73 20060101AFI20250108BHJP
C07D 263/20 20060101ALI20250108BHJP
C07D 498/04 20060101ALI20250108BHJP
C07D 217/16 20060101ALI20250108BHJP
A61K 31/472 20060101ALN20250108BHJP
A61P 25/28 20060101ALN20250108BHJP
A61P 25/16 20060101ALN20250108BHJP
C07B 53/00 20060101ALN20250108BHJP
【FI】
C07C309/73
C07D263/20 CSP
C07D498/04 101
C07D217/16
A61K31/472
A61P25/28
A61P25/16
C07B53/00 C
C07B53/00 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023152381
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2021575503の分割
【原出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-10-19
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】コール,ケビン ポール
(72)【発明者】
【氏名】コールマン,ニール ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マグナス,ニコラス アンドリュー
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オン。
【請求項2】
結晶性である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オン。
【請求項4】
結晶性である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
化合物[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル] 4-メチルベンゼンスルホネート。
【請求項6】
結晶性である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
化合物(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸。
【請求項8】
結晶性である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
化合物[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノール。
【請求項10】
結晶性である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物を調製する方法であって、
i.)(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、HCO
2H、およびアセトアルデヒドで処理することと、
ii.)必要に応じて、単一のジアステレオマーを結晶化して、(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを得ることと、を含む方法。
【請求項12】
請求項3に記載の化合物を調製する方法であって、(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンのZrCl
4でのジアステレオ選択的ピクテ・スペングラー環化により(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンを得ることを含む、方法。
【請求項13】
達成されるジアステレオマー比が50:1より大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項7に記載の化合物を調製する方法であって、
i.)[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル] 4-メチルベンゼンスルホネートをn-ブチルリチウムと、連続流動条件下および極低温条件下で処理して、[2-[(2S)-3-ベンジルオキシ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)プロピル]-3-ブロモ-フェニル]リチウムを得ることと、
ii.)[2-[(2S)-3-ベンジルオキシ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)プロピル]-3-ブロモ-フェニル]リチウムを、連続流動条件下、(S,E)-N-エチリデン-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドで処理することと、
iii.)キラルスルホンアミド補助剤を、連続流動条件下、HClで切断することと、
iv.)切断された生成物を、無機塩基で処理して、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを提供することと、
v.)(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを、4-トルエンスルホン酸で処理して、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-トルエンスルホン酸を得ることと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、製薬化学および合成有機化学の分野に関し、D1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター(D1 PAM)である2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]エテノンの合成のための方法および重要な中間体、ならびにその組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]エテノンは、ドーパミンD1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター(D1 PAM)であり、認知症および他のドーパミン作動性CNS障害についての潜在的なファーストインクラス治療を表す。2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]エテノン(CAS登録番号1638667-79-4)は、本明細書中でD1 PAM Iと呼ばれる場合があり、構造的に次のように表すことができる。
【化1】
【0003】
D1 PAM Iの有用な形態は、結晶形態(WO2017/070068を参照)、ならびに2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]エタノンおよび4-ヒドロキシ安息香酸(CAS登録番号1638669-32-5)を含む共結晶形態(WO2014/193781を参照)を含む。ポジティブアロステリックモジュレーターとして、ドーパミンD1受容体サブタイプの「増強剤」とも呼ばれるD1 PAM Iは、D1に対して非常に選択的である。D1 PAM Iは、D1受容体の非常に弱い直接アゴニズムを示し、ドーパミンの存在下でのみ活性があり、内因性の調子に依存し、対象に通常のフィードバック制御をすると考えられている。したがって、D1 PAM Iは、パーキンソン病、アルツハイマー病、およびD1シグナル伝達が不足し得る他のドーパミン作動性CNS障害におけるD1シグナル伝達経路を調節するための革新的な薬理学的剤およびアプローチを表す。
【0004】
D1 PAM Iの作成方法は、WO2014/193781、例えば、実施例1および2に記載されている。以下のスキーム1に示されるように、D1 PAM Iを調製するための11工程の合成経路は、米国特許第8,962,654号で以前に開示されている。以下のスキーム1に記載された経路を介した市販の2-ブロモ-D-フェニルアラニンから開始するD1 PAM Iの全体的な収率は、11の工程全てにわたって約17%である。したがって、D1 PAM Iの合成の改善は、実質的かつ多様な利点を提供するであろう。
【0005】
【0006】
合成化学方法ルートは、例えば、収率の向上、結晶性生成物の取得、不純物プロファイルの減少、市販の中間体の利用、エナンチオ選択性および/または立体選択性および/またはジアステレオ選択性の向上または改善、必要な合成工程の数の最小化、必要な投入量および/または生成される副生成物の削減などのさまざまな利点を達成すること、またはそのような改善の有用な組み合わせにより、コストの削減、資源消費が少ない方法の提供、および効率的な生産の促進など、実際の重要な成果を達成することを目的として、再設計または改訂することができる。これらの目的のうちの1つまたは複数を達成する可能性のある、D1 PAM Iを作成するための改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]エテノンおよび/またはその組成物の調製のための方法、およびこれらの方法で使用するための特に有用な中間体を提供する。
【0008】
一実施形態において、本発明は、以下の式の化合物であって、
【化3】
i.)(R)-2-ブロモフェニルアラニンの還元剤およびヨウ素での逐次処理;およびマイルドな鉱塩基および炭酸アルキルでの引き続く処理で(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを得る工程と、
ii.)(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンをアリールスルフィン酸ナトリウムおよびアセトアルデヒドで処理して、(4R)-3-[(1S)-1-(アリールスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを得る工程と、
iii.)必要に応じて、前記(4R)-3-[(1S)-1-(アリールスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを結晶化する工程と、
iv.)必要に応じて、(4R)-3-[(1S)-1-(アリールスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンの立体化学を、単結晶X線分析により検証する工程と、
v.)(4R)-3-[(1S)-1-(アリールスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンの遷移金属ハロゲン化物でのピクテ・スペングラー環化により(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンを得る工程と、
vi.)必要に応じて、(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンを結晶化する工程と、
vii.)必要に応じて、(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンの立体化学を、単結晶X線分析により検証する工程と、
viii.)(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンの2-メチル-3-ブテン-2-オールとのヘックカップリングにより、(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールを得る工程と、
ix.)必要に応じて、(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールを結晶化する工程と、
x.)(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エンを水素化条件下で還元して、4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを得る工程と、
xi.)必要に応じて、4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを結晶化する工程と、
xii.)4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを、2,6-ジクロロフェニル酢酸と、アミド合成用のカップリング剤および非求核性有機塩基の存在下でカップリングさせて、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを得る工程と、
xiii.)必要に応じて、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを結晶化する工程と、
xiv.)2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを、4-ヒドロキシ安息香酸で処理して、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの4-ヒドロキシ安息香酸との共結晶を得る工程と、を含む、方法を提供する。
【0009】
好ましくは、この方法における反応は、流動反応方法論を使用して実施される。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、以下の式の化合物を調製する方法であって、
【化4】
i.)(S)-(+)-ベンジルグリシジルエーテルおよび1,3-ジブロモベンゼンを金属塩基で処理して、(2S)-1-ベンジルオキシ-3-(2,6-ジブロモフェニル)プロパン-2-オールを得る工程と、
ii.)(2S)-1-ベンジルオキシ-3-(2,6-ジブロモフェニル)プロパン-2-オールを、有機塩基の存在下で、塩化アリールスルホニルで処理して、[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]アリールスルホネートを得る工程と、
iii.)[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]アリールスルホネートの、有機金属塩基の存在下での、(S,E)-N-エチリデン-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドでの処理;および、トルエンスルホン酸一水和物での引き続く処理により、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸を得る工程と、
iv.)必要に応じて、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸を結晶化する工程と、
v.)(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸を非求核性鉱塩基でフリーベーシングし、その後の脱ベンジル化により、(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノールを得る工程と、
vi.)[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノールを2-メチルブト-3-エン-2-オールとヘックカップリングさせて、(E)-4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチル-ブト-3-エン-2-オールを得る工程と、
vii.)(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールを、水素化条件下で還元して、4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを得る工程と、
viii.)必要に応じて、4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オーを結晶化する工程と、
ix.)4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンおよび非求核性有機塩基の存在下で2,6-ジクロロフェニル酢酸とカップリングさせて、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを得る工程と、
x.)必要に応じて、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを結晶化する工程と、
xi.)2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを、4-ヒドロキシ安息香酸で処理して、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの4-ヒドロキシ安息香酸との共結晶を得る工程と、を含む、方法を提供する。
【0011】
好ましくは、この方法において、アミド合成のためのカップリング剤が、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンである。好ましくは、この方法における反応が、流動反応法を使用して実施される。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、化合物
【化5】
を調製する方法であって、
i.)(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、HCO
2H、およびアセトアルデヒドで処理することと、
ii.)必要に応じて、単一のジアステレオマーを結晶化して、(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを得ることと、を含む、方法を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、以下の化合物を調製する方法であって、
【化6】
(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを、ZrCl
4でジアステレオ選択的ピクテ・スペングラー環化させて、(5S,10AR)-9-ブロモ-5-メチル1,5,10,10aテトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンを得ることを含む、方法を提供する。
【0014】
好ましくは、化合物を調製するための上記方法は、
【化7】
50:1より大きいジアステレオマー比を実現する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、以下の化合物を調製する方法であって、
【化8】
i.)[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]4-メチルベンゼンスルホネートおよびn-ブチルリチウムを、連続流動条件下および極低温条件下で処理して、[2-[(2S)-3-ベンジルオキシ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)プロピル]-3-ブロモ-フェニル]リチウムを得ることと、
ii.)[2-[(2S)-3-ベンジルオキシ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)プロピル]-3-ブロモ-フェニル]リチウムを、連続流動条件下、(S,E)-N-エチリデン-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドで処理することと、
iii.)キラルスルホンアミド補助剤を、連続流動条件下、HClで切断することと、
iv.)切断された生成物を、無機塩基で処理して、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを提供することと、
v.)(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを、4-トルエンスルホン酸で処理して、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-トルエンスルホン酸を得ることと、を含む、方法を提供する。
【0016】
他の実施形態において、本発明は、D1 PAM Iの合成に有用な化合物を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、化合物
【化9】
を提供し、
これは、(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンと命名され得る。好ましくは、この化合物は結晶性である。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、化合物:
【化10】
を提供し、
これは、(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンと命名され得る。好ましくは、この化合物は結晶性である。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、化合物:
【化11】
を提供し、
これは、(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールと命名され得る。好ましくは、この化合物は結晶性である。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、化合物:
【化12】
を提供し、
これは、[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]4-メチルベンゼンスルホネートと命名され得る。好ましくは、この化合物は結晶性である。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、化合物:
【化13】
を提供し、
これは、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸と命名され得る。好ましくは、この化合物は結晶性である。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、化合物:
【化14】
を提供し、
これは、[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノールと命名され得る。好ましくは、この化合物は結晶性である。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、化合物:
【化15】
を提供し、
これは、(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールと命名され得る。好ましくは、この化合物は結晶性である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に記載の反応は、通常のガラス器具を使用することによる、当業者に公知の標準的な技術により実施され得るか、またはそのような変換用に設計された装置でパイロットおよび/または生産規模で実施され得る。さらに、記載されるこれらの反応のそれぞれは、バッチプロセスまたはフロー反応法のいずれかによって実施され得る。本明細書において用いられる用語「バッチプロセス」は、原材料を反応器または容器中で組み合わせ、反応の最後に生成物を取り出す方法を指す。本明細書において用いられる用語「連続的プロセシング」または「フロー反応」は、原材料の連続的な流入および生成物の流出がある方法を指す。こうした連続的プロセシングは、初期出発物質から出発する完全に連続した一連の操作により最終生成物を合成し得るプラットフォームを可能にする。
【0025】
個々の異性体、エナンチオマー、およびジアステレオマーは、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィなどの方法によって、本発明の化合物の合成における任意の好都合な時点において、当業者により分離または分割され得る(例えば、J.Jacques,et al.,“Enantiomers, Racemates, and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981、ならびにE.L.Eliel and S.H.Wilen,”Stereochemistry of Organic Compounds”,Wiley-Interscience,1994を参照)。
【0026】
加えて、以下の調製に記載されている特定の中間体は、1つ以上の窒素保護基を含んでもよい。可変保護基は、実施される特定の反応条件および特定の変換に応じて、出現ごとに同じでも異なっていてもよい。保護および脱保護条件は、当業者に周知であり、文献(例えば、“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth Edition,Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,John Wiley and Sons,Inc.2007を参照されたい)に記載される。
【0027】
本明細書で使用される場合に以下にリストされる略語は、以下のように定義される:「Å」は、オングストロームまたはオングストロームを意味する。「AcOH」は、酢酸を意味する。「Bn」は、ベンジルを意味する。「nBuLi」は、n-ブチルリチウムを意味する。「CAS番号」は、Chemical Abstracts登録番号を意味する。「CDI」は、カルボニルジイミダゾールを意味する。本明細書で使用される「D1 PAM I」は、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]エタノンおよび4-ヒドロキシ安息香酸を含む共結晶形態を含み得る。「DCM」は、ジクロロメタンを意味する。「DIPEA」は、ジイソプロピルエチルアミンを意味する。「DMSO」は、ジメチルスルホキシド(NMRについて用いる場合は、過重水素化された[d6])を意味する。「dr」は、ジアステレオマー比を意味する。「esd」は、推定標準偏差を意味する。「EtOAc」は、酢酸エチルを意味する。「EtOH」は、エタノールまたはエチルアルコールを意味する。「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを意味する。「h」は、時間を意味する。「HRMS(ESI+)」は、陽イオン化モードでの高分解能エレクトロスプレーイオン化質量分析を意味する。「LAH」は、水素化アルミニウムリチウムを意味する。「LCMS」は、液体クロマトグラフィー質量分析法を意味する。「LDA」は、リチウムジイソプロピルアミドを意味する。「MeOH」は、メタノールまたはメチルアルコールを意味する。「分(min)」は、分を意味する。「MS」は、質量分析または質量スペクトルを意味する。「NCS」は、N-クロロスクシンイミドを意味する。「NMR」は、核磁気共鳴を意味する。「OAc」は、アセテートを意味する。「PFA」は、チューブ材料に関して、パーフルオロアルコキシを意味する。「PPTS」とは、p-トルエンスルホン酸ピリジニウムを意味する。「psig」は、1平方インチゲージあたりのポンドを意味する。「Q-NMR」は、定量的な核磁気共鳴を意味する。「RMS」は、二乗平均平方根を意味する。「室温」は、室温/周囲温度を意味する。「秒」は、時間の単位としての秒(単数または複数)を意味する。「TBAF」とは、フッ化tert-ブチルアンモニウムを意味する。「TBS-Cl」は、tert-ブチルジメチルシリルクロリドを意味する。「TEA」は、トリエチルアミンを意味する。「THF」は、テトラヒドロフランを意味する。「tR」は、保持時間を意味する。「Ts」は、4-トルエンスルホン酸塩を意味する。「v/v」は、体積対体積の比率を意味する。「w/w」は、重量対重量の比率を意味する。
【0028】
D1 PAM Iを調製するための改善されたルートは、ルートIおよびIIとして以下に提供され、その他の追加の方法は以下に提供される。
【0029】
I.D1 PAM Iを調製するためのエポキシドルート。
【化16】
【0030】
方法1は、化合物D1 PAM Iの合成を図示する。ジブロモベンゼン1を、LDAなどの強塩基で極低温条件下(代表的には、-40℃未満)で処理すると、2位の芳香族プロトンが脱プロトン化され、市販のエポキシド1aとの引き続く反応により、アルコール2が供給され得る。変換は、アリールリチウム種を段階的に生成した後、1aに曝露するか、または、LDAの溶液を1および1aの混合物に添加することによって、達成され得る。反応は、バッチモードでまたは連続的プロセシングを使用して達成され得る。トシレート3の形成は、20~80℃の温度で、ピリジンなどの適切な塩基の存在下で、塩化トシルで2を処理することによって達成され得る。反応混合物にEtOHおよび水を加えると、固体3の反応混合物からの直接の結晶化が生じる。トシレート3を、例えば、THFまたは2-Me-THFなどのエーテル溶媒中のnBuLiなどのアルキルリチウム試薬で、-70℃などの極低温条件下で処理すると、リチウム-ハロゲン交換およびアリールリチウム種の形成が起こる。この変換は、生産規模の小さなバッチまたは連続フローモードで実施できる。アリールリチウム種は、イミン3aに曝され得、その結果、ベンジルアミン中間体が形成される。ベンジルアミンの粗溶液を、水性HClなどの酸で処理すると、キラルなスルホキシル助剤が切断されて、アミン塩酸塩が形成される。この切断を達成するために、他の強酸を使用することができる。粗溶液を、炭酸ナトリウム水溶液などの適切な無機塩基で処理してpHを増加させ、遊離アミンによるトシルエステルの求核攻撃を可能にし、4中に存在する6員環を形成する。次に、水性ワークアップでさまざまな不純物および副生成物を除去し得、酢酸イソプロピルなどの溶媒への溶媒交換を使用し得る。粗溶液をTsOH一水和物などの酸に曝すと、結晶性4が形成される。TsOHの代わりに、HClまたはナフタレン-1,5-ジスルホン酸などの他の酸を使用して、結晶性固体の分離を可能にし得る。これらの結晶化により、スキーム1に示すように、代表的に約10%で存在するシス立体異性体の量が減少する可能性がある(例えば、US8,962,654を参照)。脱ベンジル化は、トルエンまたはキシレンのような共溶媒を用いて、BCl3を有するDCMで4の溶液の処理によって達成され得る。次に、生成物5を酸性水中に抽出することによって単離し、有機相を廃棄し、水性NaOHなどの塩基で水相をpH調整することによって、結晶性5を生成し得る。周知の条件下での引き続くヘックカップリングにより、化合物6が得られ得る。水素化条件下で7に還元し、2,6-ジクロロフェニル酢酸との最終的なアミドカップリングにより、化合物D1 PAM Iが得られ得る。
【0031】
さらに、(S)-(-)-tert-ブチルスルフィンアミドを、PPTSまたはAmberlyst-15などの酸性触媒の存在下で、MgSO4などの脱水試薬を用いてまたは用いずに、アセトアルデヒドで処理して、イミン3aを形成し得る。3aの精製は、濾過または溶媒交換、沈殿、および濾過による酸性触媒の除去によって達成され得る。粗製の3aの分解を回避するために、蒸留ポットの温度を約80℃未満に維持しながら、真空蒸留によってさらなる精製を達成することができる。
【0032】
方法1に図示されている方法は、D-2-Br-フェニルアラニンに依存しないD1 PAM Iへのルートを提供するが、これは、調達が難しく、高価であり得る。出発物質は、安価でかつ容易に入手可能である。この方法ルートは、スキーム1ルートよりも工程が少なく、US 8,962,654に開示されている方法よりも大幅に高い全体的な収率で、少ない廃棄物で、D1 PAM Iを生成する。このルートは、大量のD1 PAM Iを製造するためのスキーム1ルートよりも大幅に安価であると予測されており、より短い時間で実施され得る。このルートは、途中で多くの結晶制御点を利用し、中間体および最終化合物の効率的な精製および分離を可能にする。
【0033】
この方法ルートの重要な工程は工程Cに図示されるが、アリールリチウム中間体が不安定であり、大型バッチ反応器からの適切な熱除去を達成するのが困難であるため、約50gを超えるスケールについては、この工程を連続フローモードで実施することが最適である。アリールリチウム中間体は、リチウム化されてもよい2つの臭素原子を有するが、方法1に図示される方法は、モノリチウム化で停止する。中間体は、スルホン酸エステルに組み込まれた求電子試薬を有するが、この官能基との望ましくない反応性が回避され得る。次いで、得られるキラルアリールリチウム種をバッチモードまたはフローモードでキラルスルフィミドと反応させて、2番目の立体中心を設定する。テトラヒドロイソキノリン形成のこの方法は、文献では前例がないと考えられており、窒素に隣接する両方の立体中心を独立して制御する。イミンとの反応後、方法ストリームを直ちに酸で処理して、キラル補助剤の切断に影響を及ぼし得るが、これはまた、リチウムハロゲン交換およびイミン添加と同じ流れで、フローモードでも達成され得る。
【0034】
【0035】
本発明の別の実施形態は、化合物3を、極低温条件下でn-BuLi(またはn-HexLiなど)を使用して連続流でリチウム化することにより、中間体のアリールリチウム種を得る方法である。
【0036】
本発明の別の実施形態は、中間体のアリールリチウム種を、極低温条件下でイミン3aと連続流で反応する方法である。
【0037】
本発明の別の実施形態は、アリールリチウムおよび3aの間の反応の生成物を、HClなどの酸で処理することにより、スルフィンアミド補助剤の切断を達成する方法である。
【0038】
本発明の別の実施形態は、4がそのTsOHまたは1,5-ナフタレンジスルホン酸塩として単離される方法である。
【0039】
II.D1 PAM Iへのジアステレオ選択的ピクテ・スペングラー(PS)ルート。
【化18】
【0040】
方法2に図示される発明は、高度にジアステレオ選択的なピクテ・スペングラーベースの合成方法であって、R-2-ブロモフェニルアラニン8から出発して、約8工程で、必要な立体化学の優れた制御および個々の工程の優れた収率を伴って化合物D1 PAM Iを生成する、方法である。方法2の全ての中間体は、化学的および立体化学的純度の制御を容易にする結晶性固体として分離され得る。R-2-ブロモフェニルアラニン8は、2段階で新規オキサゾリジノン9に変換できる。方法2、工程CでのN-(フェニルスルホニル)アルキルオキサゾリジノン10の調製は、新規化合物10の単一ジアステレオマーの優先的結晶化によって駆動される動的速度論的光学分割(DKR)である(例えば、Pearson,W.H;Lindbeck,A.C;Kampf、J.W.J.Am.Chem.Soc.1993,115,2622)。方法2、工程Cは、キラルなオキサゾリジノンを用いて単一のジアステレオマーとしてN-(フェニルスルホニル)アルキルオキサゾリジノンを形成するDKRの最初の例であると考えられている。10の絶対立体化学は、単結晶X線分析によって決定され得る。方法2、工程Dは、新規なキラルテトラヒドロイソキノリン(THIQ)11を生成するための高度にジアステレオ選択的かつ生産的なピクテ・スペングラー環化であり、D1 PAM Iのコア構造を確立する。11の絶対立体化学は、単結晶X線分析によって決定され得る。ピクテ・スペングラー環化型反応は、通常、塩化チタン(IV)およびその他のルイス酸によって触媒される。方法2、工程Dの反応を促進するためにルイス酸をスクリーニングした後、いくつかがこの目的に有用であることがわかった(表1)。特に、塩化ジルコニウム(IV)は、所望の生成物11の非常に高いジアステレオ選択性および収率、クリーンな反応プロファイル、高転化率に必要とされる比較的低い当量、反応および生成物に付与される色がないこと、ならびに比較的非毒性であり、それらの副生成物、酸化ジルコニウム、および水和物を除去するのが容易であるという点から、ピクテ・スペングラー環化を促進するために望ましい。一般に、より高い希釈およびより低い温度は、ピクテ・スペングラー環化におけるジアステレオ選択性の増加につながる。
【0041】
スキーム1に図示され、以前に米国特許第8,962,654号に開示されたルートと比較した方法2のいくつかの利点には、次のものが挙げられる:(a)約11の合成工程を含む既存のルートと比較すると、ピクテ・スペングラー(PS)ルートは、D1 PAM Iを調製するために、R-2-ブロモフェニルアラニンから出発して、8工程を必要とする。方法2のルートは、約56%の全体収率を生じるが、これは、スキーム1に示すように以前に開示されたルートよりも著しい改善である。方法2のルートでは、スキーム1のルートと比較して、コストが約75%削減され、D1 PAM Iを調製するためのサイクルタイムが約3分の1から半分に短縮されると予測される。スキーム1に開示される合成ルートは、D1 PAM Iを大規模に調製するのに約1.5~2年かかると予測されるが、方法2ルートは、D1 PAM Iを大規模に準備するのに1年未満かかると予測される。スキーム1に開示されるルートは、保護基および極低温化学を使用し、弱い物理的特性または不安定な特性のために分離されない中間体をいくつか有するが、方法2のルートは、これらの魅力的でない特徴を有しない。スキーム1に開示された経路の高度な出発物質の保護基および塩の形態は、高度な出発物質の約3分の1のみがD1の一部となる原子で構成される程度まで、事実上無駄なかなりの質量を追加する。逆に、方法2ルートは、前述の問題のない同様に高度な中間体(PS生成物)を有し、原子の約3分の2が所望の化合物D1 PAM I中に存在するが、これは、D1 PAM Iを生じるのに処理されるキログラムに関して、非常に大きな効率化に相当する。まとめると、米国特許第8,962,654号に開示され、スキーム1に示されるルートは、D1 PAMの実施可能な商業生産ルートを提供できないほどの非効率性および費用に悩まされるが、方法2ルートの効率および比較的低いコストは、D1 PAM Iの商業生産を可能にすると考えられている。
【0042】
【0043】
方法2、工程EおよびFでは、ヘックカップリングを介したgem-ジメチル-第三級アルコール側鎖の導入は、オキサゾリジノンの加水分解に直接順にはめ込んでアミノアルコール12を生成することで達成され得る。オキサゾリジノンの加水分解は、結晶化による生成物12の選択的抽出および精製を可能にすることにより、ホスフィンの除去を容易にする。方法2、工程Gは、二重結合の穏やかでかつほぼ定量的な水素化を図示し、方法2、工程Hは、D1 PAM Iを生成するための選択的アミドカップリングである。
【0044】
調製
以下の方法中間体の調製は、本発明をさらに説明し、様々な化合物の典型的な合成を表す。試薬および出発材料は、容易に入手可能であるかまたは当業者により容易に合成され得る。調製および実施例は、例示のために記載されるもので限定ではなく、当業者により様々な変更が行われ得ることを理解すべきである。
【0045】
LC-ES/MSは、AGILENT(登録商標)HP1100液体クロマトグラフィーシステムで実施される。エレクトロスプレー質量分析測定(ポジティブおよび/またはネガティブモードで獲得)は、HP1100 HPLCにインターフェース接続されたMass Selective Detector四重極質量分析計で実施される。LC-MS条件(低pH):カラム:PHENOMENEX(登録商標)GEMINI(登録商標)NX C18 2.1mm×50mm、3.0μ、勾配:5~100%Bで3分間、次いで100%Bで0.75分間、カラム温度:50℃±10℃、流速:1.2mL/分、溶媒A:0.1%HCOOH含有脱イオン水、溶媒B:0.1%ギ酸含有ACN、波長214nm。代替LC-MS条件(高pH):カラム:XTERRA(登録商標)MS C18カラム2.1×50mm、3.5μm、勾配:5%の溶媒Aで0.25分間、勾配:5%~100%の溶媒Bで3分間、および100%の溶媒Bで0.5分間、または10%~100%の溶媒Bで3分間、および100%の溶媒Bで0.75分間、カラム温度:50℃±10℃、流速:1.2mL/分、溶媒A:10mMのNH4HCO3 pH9、溶媒B:ACN、波長:214nm。
【0046】
NMRスペクトルは、Bruker AVIII HD 400 MHz NMR Spectrometerで実施され、残留溶媒[CDCl3、7.26ppm、(CD3)2SO、2.05ppm]を参照標準として使用して、ppmで報告されるCDCl3溶液または(CD3)2SO溶液として得る。ピーク多重度を報告する場合、次の省略形が使用され得る:s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)、br-s(広帯一重項)、dd(二重項の二重項)、dt(三重項の二重項)。結合定数(J)を報告する場合、ヘルツ(Hz)で報告する。Q-NMRの場合、内部標準としてマレイン酸が使用される。
【0047】
キラルHPLCを、PHENOMENEX(登録商標)LUX--セルロース-1カラムを備えたAgilent 1260 HPLCシステム上で実施される:4.6×250mm、1mL/分の流速、35℃のカラム温度、222nmで検出、移動相:40%(体積)水中に0.1%ジエチルアミンを含む20mM NH4HCO3:60%(体積)ACN、アイソクラティック溶出、特に記載がない限り、実施時間は少なくとも15分である。tRは分で報告される。
【0048】
アキラルHPLC法は、X-BRIDGE(登録商標)C18カラム、3mm×75mm、2,5 2.5μを備えたAgilent 1260 HPLCシステム上で実施される。移動相:5mM NH4CO3、NH4OH(A)/ACN(B)でpH9に調整;勾配(A/B)0分(95/5)-11.25分(5/95)-13.50分(5/95)-13.61分(95/5)-15.75分(95/5);注入量:2μL;カラム温度:40℃、波長:220nm。流速:0.8mL/分。
【0049】
高分解能質量スペクトル(HRMS)は、Thermo Scientific LTQ-ORBITRAP DISCOVERY(商標)システムで、エレクトロスプレーイオン化モード(ESI+)を使用して測定され、質量精度は2ppm未満で、適用質量範囲は75~1500Daである。
【0050】
【0051】
方法1、工程A:窒素不活性化しながら、フラスコに(S)-(+)-ベンジルグリシジルエーテル(CAS番号16495-13-9、Oakwood Chemical;10.0g、61mmol)、1,3-ジブロモベンゼン(18.7g、79mmol)およびTHF(60mL)を撹拌しながら入れる。混合物を、アセトンおよびドライアイスの浴中で、-70℃未満の内部温度まで冷却する。別の窒素不活性フラスコに、THF(40mL)およびDIPEA(11.1mL)を攪拌しながら入れる。溶液を、アセトンおよびドライアイスの混合物の浴中で、0℃未満の内部温度に冷却する。内部温度を0℃未満に保ちながら、ヘキサン中のnBuLiの2.5M溶液(30.5mL、76.3mmol)を徐々に加える。nBuLiの添加が完了してから約10分後、二重先端針/カニューレを使用して、得られたLDA溶液を、エポキシドおよび二臭化物を含むフラスコに徐々に移す。添加中、フラスコを-70℃未満で約1時間超にわたって、アセトン/ドライアイス混合物中で保持するが、その時間の間に黄褐色のスラリーが形成され得る。フラスコを、-70℃未満で約12時間維持する。溶液を、約0℃まで温め、水(50mL)でクエンチする。混合物を、別のフラスコに注ぎ、約100mLの全量まで、減圧下で部分的に濃縮する。トルエン(50mL)を加え、混合物を分液漏斗に移す。5M HCl水溶液(12.2mL)を水(50mL)で希釈し、トルエン混合物にpH約1まで加える。黄色の水層を除去し、有機相を水および飽和NaCl水溶液で順次洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製表題化合物(方法1、化合物2)を黄色のオイルとして得る(30.36g、Q-NMR分析=75.5%w/w、補正収量=22.92g、94%収量)。MS(m/z):418(M+NH4)。
【0052】
【0053】
方法1、工程B:窒素下のフラスコで、粗製(2S)-1-ベンジルオキシ-3-(2,6-ジブロモフェニル)プロパン-2-オール(211.6g、530mmol)をピリジン(424mL)中に溶解させ、4-トルエンスルホニルクロリド(121g、636mmol)を2回に分けて加える。混合物を、75℃に加熱し、18時間撹拌する。追加の4-トルエンスルホニルクロリド(25g、131mmol)を加え、75℃で24時間加熱を続ける。反応混合物を、40℃未満に冷却し、より大きなフラスコに移す。水(500mL)を加え、混合物を5分間撹拌する。EtOH(1L)を加えた後、20℃で、[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]4-メチルベンゼンスルホネート(1g)の種結晶を加える。混合物を攪拌し、固形物がフラスコ内で形成され始めた。追加のEtOH(500mL)を添加し、混合物を20時間撹拌する。水(500mL)を加え、得られたスラリーを、氷水浴で5℃未満まで4時間冷却する。得られた固体を濾過により単離し、1:1(v/v)EtOH/水(400mL)、および冷EtOH(200mL)で洗浄して、白色の固体を得る。集めた固体を真空下40℃で乾燥して、表題化合物(方法1、化合物3)をほぼ白色の固体として得る(258.8g、収率88%)。MS(m/z):572(M+NH4)。
【0054】
【0055】
(S)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(50.0g、404mmol)を、粉末のMgSO4(97g、809mmol)およびDCM(500mL)を含むフラスコに加える。得られた混合物を室温で撹拌し、アセトアルデヒド(45mL、809mmol)およびPPTS(3.1g、12.1mmol)を加える。混合物を、室温で24時間撹拌する。珪藻土(25g)をスラリーに加え、珪藻土を充填したセラミックフリットを通して濾過することにより固形物を除去し、フィルターケーキを、追加のDCM(3x100mL)で洗浄する。濾液を減圧下で約50体積%に濃縮し、ヘキサン(250mL)を加え、溶液を減圧下で約50体積%まで濃縮する。得られた濃縮物にヘキサンを再び加え、溶液を減圧下でほぼ乾燥するまで濃縮して、黄色の固体を形成する。ヘキサン(250mL)を混合物に加え、固形物を濾過により除去し、得られた濾液を減圧下で濃縮する。得られた残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにかけ、4:1ヘキサン:EtOAcで溶出し、所望の生成物画分のエバポレーション後、表題化合物(方法1、化合物3a、53.5g、Q-NMRにより決定される収率90%)を得る。これを真空蒸留(5トル、ポット温度75℃)によりさらに精製して、表題化合物が得られ得る。MS(m/z):148(M+H)。
【0056】
【0057】
方法1、工程C:フラスコに、磁気攪拌棒、[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]4-メチルベンゼンスルホネート(50.0g、90.2mmol)および2-Me-THF(500mL)を入れる。溶液を、50℃に加熱し、約50mLの溶媒を蒸留するために、真空(230トル)を加える。次いで、フラスコを室温に冷却し、ドライアイス、アセトン、および液体窒素の組み合わせを含む浴を使用して、約-80℃の内部温度までさらに冷却する。フラスコに、2-Me-THF(100mL)に溶解した(S,E)-N-エチリデン-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(14.6g、99.2mmol)を攪拌棒と共に入れ、得られた溶液を、アセトン/ドライアイスの浴を使用して-70℃未満まで冷却する。ヘキサン中のnBuLiの2.5M溶液(37.2mL、92.9mmol)を、約150秒間にわたって、撹拌しながら添加する。溶液を、約3分間エージングし、1/8インチのPFAチューブおよび窒素圧を使用して、90秒にわたってイミン溶液を添加する。溶液を、15分間撹拌し、MeOH(100mL)中のAcOH(7.8mL、135mmol)の溶液を加えることによりクエンチし、-15℃に温める。水性HCl(14.8mL、180mmol)の12M溶液を加え、混合物を2時間撹拌しながら30℃に温める。水(400mL)中のNa2CO3(28.7g、271mmol)の溶液を調製し、撹拌しながら反応混合物に加え、45℃に温め、この温度で17時間加熱する。得られた混合物を室温に冷却し、EtOAc(約50mL)で希釈し、得られた層を分離する。有機層を飽和水性NaCl(40mL)で洗浄し、減圧下で濃縮する。得られた残留物を、酢酸イソプロピル(368mL)およびEtOH(23mL)に溶解する。得られた溶液を、撹拌しながら約30℃に加熱し、トルエンスルホン酸一水和物(14.9g、85.7mmol)を加える。得られた混合物を、全ての成分が溶解するまで、50℃に加熱する。溶液を40℃に冷却し、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸(100mg)の種結晶を加えると、スラリーが形成し始める。20分後、温度設定を35℃に下げる。2時間後、得られたスラリーを、50℃に4時間加熱する。スラリー温度を35℃に下げ、2時間保持する。得られたスラリー混合物を、15時間撹拌しながら室温に冷却する。得られたスラリーを氷水浴で3℃に冷却し、固形物を濾過により回収する。フィルターケーキを、スパチュラでプレス乾燥し、1:1酢酸イソプロピル:n-ヘプタンで洗浄し、再度プレス乾燥する。フィルターケーキを、40℃で真空乾燥して、表題化合物(方法1、化合物4、33.0g、NMRによる68%収率のE-異性体およびNMRによる3%シス-異性体)を白色固体として得る。MS m/z 346(M+H)。
【0058】
【0059】
方法1、工程D:(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸(30.0g、58mmol)を、K2CO3(9.78g、70mmol)、水(120mL)、およびトルエン(120mL)の溶液を含むフラスコに添加する。混合物を、固体が溶解するまで撹拌する。得られた層を分離し、水層をトルエン(2x50mL)で抽出する。有機抽出物を、合わせ、飽和NaCl水溶液(10mL)で洗浄し、減圧下で約120mLの体積に濃縮する。得られた濃縮物を、撹拌および氷/水浴で冷却しながら、窒素で不活性化する。BCl3(96mL、96mmol)の1M溶液を添加し、続いてクロロベンゼン(100mL)を添加する。得られた混合物を、35℃に加熱し、DCM(100mL)を撹拌しながら加える。混合物を、室温に冷却し、MeOH(50mL)および水(150mL)を加え、得られた層を分離する。有機相を、水(2x50mL)で抽出する。合わせた水性抽出物を、トルエン(50mL)で洗浄し、NaOHの50%水溶液を撹拌しながら徐々に加えると、白色の固体が形成され、pHが約10に達する。得られた混合物を、室温で22時間撹拌する。得られた沈殿物を、濾過により単離し、水(25mL)およびヘプタン(2×25mL)で洗浄し、収集した固体を、40℃の真空オーブンで乾燥させて、表題化合物(方法1、化合物5)を白色の固体(14.4g、97%の収率)として得る。MS(m/z):256(M+H)。
【0060】
方法中間体5の代替手順
方法1、工程D:(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オン(2.2g、7.9mmol、方法中間体8を参照)を、EtOH(35.6mL)に溶解する。NaOHの50重量%水溶液(15.9mL、79.4mmol)を混合物に加え、続いて70℃に17時間加熱する。反応混合物を濾過し、濾液を、スラリーが生成し始めるまで、減圧下で濃縮する。スラリーを、穏やかな沸騰まで加熱し、EtOHを、混合物が均一になるまで加える。得られた混合物を、撹拌しながら、2時間、室温まで冷却する。得られた固形物を、濾過により収集し、EtOHおよび水の1:1混合物で洗浄する。固形物の第2の収集物が濾液中で形成され、これを濾過によって収集し、水で洗浄し、45℃の真空オーブン中で最初の収集物と組み合わせて、表題化合物(方法1、化合物5、1.88g、収率92%)を得る。MS(m/z):256(M+H)。
【0061】
【0062】
マグネチックスターラー、クライゼンアダプター、窒素入口、熱電対、加熱マントル、空冷コンデンサー、ゴムセプタムを備えた3つ口の250mL丸底フラスコを排気し、窒素で2回埋め戻す。[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノール(13.9g、54.3mmol)に、トルエン(120mL)を入れる。混合物に窒素を5分間散布し、2-メチルブト-3-エン-2-オール(Alfa Aesar、28.4mL、271.3mmol)を加え、続いてTEA(18.9mL、135.7mmol)を加える。得られた混合物に、窒素を5分間スパージし、Pd(OAc)2(244mg、1.1mmol)およびトリオルトトリルホスフィン(661mg、2.2mmol)を加え、窒素スパージをさらに5分間続け、得られた混合物を、86℃で17.5時間加熱する。反応混合物を、室温に冷却する。得られた固形物を、珪藻土の小さなパッドを通して濾過することによって除去する。濾液を、減圧下で1/2体積に濃縮する。得られた残留物を、クエン酸(13g)の水(100mL)中溶液で抽出する。水層を、トルエン(25mL)で洗浄し、50%NaOH水溶液でpH10に中和する。得られた混合物を、EtOAc(250mL)で抽出し、有機抽出物を、飽和NaCl水溶液で洗浄し、有機抽出物を、減圧下で濃縮する。得られた油を、酢酸イソプロピル(56mL)に溶解し、35℃に加熱し、その間にスラリーが形成された。ヘプタン(70mL)を加え、スラリーを室温に冷却し、氷水でさらに冷却する。得られた固体を、濾過により収集し、ヘプタン/酢酸イソプロピルの3:1混合物(30mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物(方法1、化合物6;10.8g、77%収率)を淡黄色の固体として得る。MS m/z 262(M+H)。
【0063】
【0064】
(E)-4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチル-ブト-3-エン-2-オール(10.3g、39.7mmol)のEtOH(125mL)中の溶液を、5%Pd/C触媒(Johnson-Matthey、505mg、59%水湿)を含む300mL Parr(登録商標)水素化容器に添加する。系を、窒素で加圧し、通気し、H2ガスで50psigまで加圧し、室温で1時間撹拌する。反応混合物を排気し、系を窒素で不活性化する。固形物を濾過により除去し、得られた濾液を、減圧下で50mL未満に濃縮する。酢酸イソプロピル(100mL)を加え、溶液を、減圧下で50mL未満に濃縮する。酢酸イソプロピル(100mL)を加え、得られた混合物を、減圧下で50mL未満に濃縮する。追加の酢酸イソプロピル(100mL)を加え、得られた混合物を数分間にわたって40℃に加熱する。混合物を減圧下で濃縮し、得られたスラリーを室温に冷却する。固形物を濾過により収集し、ヘプタン/酢酸イソプロピルの1:1混合物(30mL)で洗浄する。固体を真空下で乾燥させて、表題(方法1、化合物7;9.8g、94%の収率)を白色の固体として得る。MS m/z 264(M+H)。
【0065】
【0066】
方法2、工程AおよびB:鉱油中のNaHの60%分散液(63mg、1.59mmol)を、THF(7.5mL)中のtert-ブチル(R)-(1-(2-ブロモフェニル)-3-ヒドロキシプロパン-2-イル)カルバメート(CAS#944470-60-4、例えば、Journal of Medicinal Chemistry(2007),50(13),2990-3003;0.5g、1.51mmol)に添加し、室温で16.5分間にわたって撹拌する。反応混合物を、45分間にわたって55℃に温め、冷却して室温に戻す。得られた固形物を濾過し、ヘプタンで洗浄し、続いて、固形物を、DCMおよび水性NH4Clの混合物に溶解する。層を分離し、有機相を収集し、水相をDCMで抽出する。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮して、キラルHPLC(Daicel CHIRALPACK(登録商標)IC、4.6mmx150mm、5u;移動相:80/20ヘキサン/EtOH;注入量:2μL;カラム温度:35℃;波長:220nm;流量:1.0mL/分)により94.4%eeの白色固体として表題化合物(方法2、化合物9、356mg;91%)を得る。1H NMR(600MHz、DMSO-d6):δ2.86(dd、J=13.7、7.5Hz、1H)、2.98(dd、J=13.7、5.8Hz、1H)、4.12~4.04(m、1H)、4.02(dd、J=8.4、5.2Hz、1H)、4.27(t、J=8.2Hz、1H)、7.18(td、J=7.6、1.8Hz、1H)、7.32(td、J=7.4、1.3Hz、1H)、7.37(dd、J=7.6、1.8Hz、1H)、7.59(dd、J=8.0、1.3Hz、1H)、7.83(s、1H)。13C{1H}NMR(151MHz、DMSO-d6):δ40.82、51.79、68.48、124.64、128.36、123.20、133.12、136.42、158.99.HRMS(ESI+)C10H11BrNO2についての計算値255.9968、実測値255.9968。
【0067】
方法中間体8の代替手順
方法2、工程AおよびB:(R)-2-ブロモフェニルアラニン(170.1g、0.7mol)およびTHF(1.7L)を合わせ、約5℃に冷却し、NaBH4(63.3g、1.7mol)を少しずつ加えて、温度を5℃未満に維持する。THF(510mL)中のI2(176.9g、0.7mol)の溶液をゆっくりと混合物に加え、内部反応温度を10℃未満に維持する。反応混合物を室温に温め、30分間撹拌しながら45℃に加熱する。MeOH(134.0g、4.2mol)を反応混合物に滴下する。得られた混合物を、内部温度が700トルで68℃に達するまで、蒸留により濃縮する。反応混合物に、THF(238mL)、水性KOH(85%KOH:46.0g、0.7モルおよび水:150mL)およびトルエン(1.7L)を加える。二相混合物を83℃で4時間撹拌し、得られた混合物を20%NaCl水溶液(3x400mL)で洗浄する。有機相を、200トルで90℃に濃縮する。
【0068】
得られた濃縮混合物に、K2CO3(9.7g、69.7mmol)および炭酸ジエチル(330.8g、2.8モル)を加える。得られた混合物を撹拌し、EtOHを大気圧下、還流温度(浴温145℃、内温124℃)で3.5時間蒸留する。混合物を酢酸イソプロピル(850mL)で希釈し、水(3x350mL)で洗浄し、120℃で50トルで濃縮して白色固体のスラリーを得る。スラリーに酢酸イソプロピル(340mL)を70℃で加えて均一な混合物を得、ヘプタン(510mL)を透明な溶液にゆっくりと加えて生成物を結晶化させる。得られたスラリーを-10℃に冷却し、1時間撹拌し、得られた固体を濾過により収集する。固体を、20トル下50℃で乾燥させて、キラルHPLC(Daicel CHIRALPACK(登録商標)IC、4.6mm×150mm、5U;移動相:80/20ヘキサン/EtOH;注入量:2μL;カラム温度:35℃;波長:220nm;流量:1.0mL/分)により94.4%eeで表題化合物(方法2、化合物9;151.8g、収率85%)を得る。tR=10.12。
【0069】
【0070】
方法2、工程C:(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オン(17.5g、64.9mmol)を、反応容器中で、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(12.1g、71.4mmol)、水(87.5mL)、MeOH(8.75mL)、ギ酸(20.1mL)およびアセトアルデヒド(18.5mL、325.0mmol)と組み合わせる。容器を密閉し、反応混合物を、撹拌しながら75℃まで加熱する。40時間後、反応混合物を、撹拌しながら、2.5時間かけて室温まで冷却した。反応器を開封し、得られた結晶性白色固体を濾過により収集し、水(2x50mL)およびヘキサン(2x50mL)で順次洗浄し、50℃の真空オーブン中で48時間乾燥して、キラルHPLC(Daicel CHIRALPACK(登録商標)IC-3、4.6mm×150mm、3μ、移動相;3:2 H2O ACN、注入体積:2μL;カラム温度:25℃;波長:220nm;流量:1.5mL/分)により>99%eeで表題化合物(方法2、化合物10、26.3グラム、95%収率)を得る。tR=17.85分。アキラルHPLCtR=7.7分。(R)-4-(2-ブロモベンジル)-3-((S)-1-(フェニルスルホニル)エチル)オキサゾリジン-2-オンの絶対立体化学を、単結晶X線分析によって確認する。1H NMR(600MHz、DMSO-d6):δ1.77(d、J=7.3Hz、3H)、2.81(dd、J=13.5、10.7Hz、1H)、3.22(dd、J=13.5、3.8Hz、1H)、4.00(dd、J=8.9、2.5Hz、1H)、4.05(m、1H)、4.45(m、1H)、5.24(q、J=7.2Hz、1H)、7.22(td、J=7.7、1.7Hz、1H)、7.36(td、J=7.5、1.3Hz、1H)、7.43(dd、J=7.6、1.7Hz、1H)、7.77(t、J=7.3Hz、1H)、7.63(td、J=8.0、1.4Hz、3H)、7.90(d、J=8.5Hz、2H)、13C{1H}NMR(151MHz、DMSO-d6):δ12.30、39.70、52.63、66.83、70.33、124.66、128.56、129.36、129.80、130.06、132.98、133.33、135.12、135.66、136.55、156.80、HRMS(ESI+)C18H19BrNO4Sに対する計算値424.0213、実測値424.0211。
【0071】
単結晶X線分析:C18H18BrNO4Sの無色透明の棒状の試料であり、おおよその寸法は0.010mmx0.010mmx0.150mmであり、熱トルエンに溶解した後、徐冷結晶化技術を使用して成長させる。これをX線結晶解析に使用する。X線強度データを測定する(λ=1.54178Å)。合計5711のフレームを収集する。総曝露時間は、15.9時間である。ナローフレームアルゴリズムを用いるBruker SAINTソフトウェアパッケージで、フレームを積算する。単斜晶系単位格子を用いるデータの積算は、最大θ角72.47°(0.81Å分解能)までの合計11348の反射を生じるが、そのうち3314は独立であり(平均多重度3.424、完全性=97.3%、Rint=5.77%、Rsig=5.18%)、3067(92.55%)は、2σ(F2)より大きい。a=11.5479(esd=16)Å、b=5.7655(esd=9)Å、c=14.537(esd=2)Å、β=110.348(esd=5)°、体積=907.5(esd=2)Å3の最終格子定数は、6.484°<2θ<144.5°で20σ(I)を上回る8561反射のXYZ重心の精密化に基づく。マルチスキャン法(SADABS)を使用して、吸収効果のデータを修正する。最大見かけ透過率に対する最小見かけ透過率の比は、0.716である。計算された最小および最大透過係数(結晶サイズに基づく)は、0.5610および0.9580である。
【0072】
Bruker SHELXTLソフトウェアパッケージを使用して、空間群P1211を使用し、C18H18BrNO4Sの化学式単位についてはZ=2を用いて構造を解析し、精密化する。252変数でのF2についての最終的な異方性完全行列(full-matrix)最小二乗法による精密化は、観測データではR1=7.83%に収束し、全てのデータではwR2=22.06%に収束する。適合度は、1.142である。最終の差電子密度合成における最大ピークは0.738e-/Å3であり、最大孔が-0.638e-/Å3であり、RMS偏差が0.078e-/Å3である。最終モデルに基づき、計算密度は、1.553g/cm3およびF(000)、432e-である。観測されたフラックパラメータは、-0.03(5)であり、このことは、立体中心が正しく割り当てられていることを示唆する。単結晶X線分析の結果は、方法中間体9、(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンについて上に示した立体化学を確認する。
【0073】
方法中間体9の代替手順
(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オン(100g、0.5mol)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(86g、0.5mol)、水(500mL)、ギ酸(115mL)およびアセトアルデヒド(95.6g、2.2mol)を、1Lオートクレーブに入れる。得られた混合物を、60℃に加熱し、24時間撹拌する。得られたスラリーを、35℃に冷却し、得られた固形物を、濾過により収集する。集めた固体を、水(100mL)で洗浄し、50℃で20トル下で乾燥して、表題化合物(157.5g、95%収率)を単一のエナンチオマーおよびジアステレオマーとして得る。
【0074】
【0075】
方法2、工程D:(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オン(10.0g、23.5mmol)をDCM(100mL)中でスラリー化し、得られた混合物を2℃に冷却する。酸化ジルコニウム(IV)(9.6g、41.1mmol)を混合物に加える。2℃で1.5時間撹拌した後、反応混合物を約10℃に温める。水(50mL)を加え、約20℃まで温度上昇させながら、pH約13まで、50重量%のNaOHの水溶液を加える。得られたスラリーに、珪藻土(20g)を急速に混合しながら加える。スラリーを、水およびDCMを用いて珪藻土で濾過し、得られたフィルターケーキをDCMですすぐ。得られた濾液混合物を分離し、有機相を水(2x50mL)で2回洗浄し、有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、キラルHPLC(Daicel CHIRALPACK(登録商標)IC-3、4.6mm×150mm、3μ、移動相:3:2 H2O:ACN;注入量:2μL;カラム温度:25℃;波長:220nm;流量:1.5mL/分)により>99%eeで表題化合物(方法2、化合物11、6.4g、93%収率;54:1dr)を白色結晶性固体として得る。tR=19.38分。表題化合物の絶対立体化学を、単結晶X線分析によって確認する。1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ1.41(d、J=6.8Hz、3H)、2.57(dd、J=16.6、10.4Hz、1H)、3.11(dd、J=16.6、4.6Hz、1H)、4.14(ddt、J=10.4、8.1、4.6Hz、1H)、4.19(dd、J=8.4、5.3Hz、1H)、4.53(t、J=8.1Hz、1H)、4.84(q、J=6.8Hz、1H)、7.17(t、J=7.8Hz、1H)、7.33(d、J=7.8Hz、1H)、7.51(d、J=7.9Hz、1H)。13C{1H}NMR(151MHz、DMSO-d6):δ22.14、34.43、47.27、48.21、68.75、125.26、127.10、128.52、131.19、131.88、140.34、156.25。HRMS(ESI+)C12H13BrNO2に対する計算値282.0124、実測値282.0127。
【0076】
単結晶X線分析:C12H12BrNO2の無色透明なロッド状の試料であり、おおよその寸法は0.100mmX0.400mmX0.700mmであり、トルエンおよびヘプタンの混合物から、蒸気拡散結晶化技術を用いて成長させる。X線結晶解析に使用する。X線強度データを測定する(λ=1.54178Å)。合計9218のフレームを収集する。総曝露時間は、25.61時間であった。ナローフレームアルゴリズムを用いるBruker SAINTソフトウェアパッケージで、フレームを積算する。単斜晶系単位格子を用いたデータの積算は、最大θ角66.99°(0.83Å分解能)までの合計84492の反射を生じるが、そのうち8122は独立であり(平均多重度10.403、完全性=100.0%、Rint=5.93%、Rsig=2.77%)、7897(97.23%)は2σ(F2)より大きい。a=15.5606(esd=6)Å、b=8.3186(esd=3)Å、c=19.5153(esd=7)Å、β=112.7990(esd=10)°、体積=2328.74(esd=15)Å3は、4.912°<2θ<156.3°で20σ(I)を上回る9449の反射のXYZ重心の精密化に基づく。マルチスキャン法(SADABS)を使用して、吸収効果のデータを修正する。最大見かけ透過率に対する最小見かけ透過率の比は、0.503である。計算された最小および最大透過係数(結晶サイズに基づく)は、0.138および0.651である。
【0077】
構造は、Bruker SHELXTLソフトウェアパッケージを使用して、空間群P1211を使用し、C12H12BrNO2の化学式単位についてはZ=8を用いて解析および精密化する。582変数でのF2についての最終的な異方性完全行列最小二乗法による精密化は、観測データではR1=5.54%に収束し、全てのデータではwR2=18.74%に収束した。適合度は、1.641である。最終の差電子密度合成における最大ピークは0.988e-/Å3であり、最大孔が-1.512e-/Å3であり、RMS偏差が0.102e-/Å3である。最終モデルに基づき、計算密度は、1.609g/cm3およびF(000)、1136e-であった。観測されたフラックパラメータは、0.116(esd=5)であり、立体中心が正しく割り当てられていることを示唆する。単結晶X線分析の結果は、方法中間体10、(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3、4-b]イソキノリン-3-オンについて上に示した立体化学を確認する。
【0078】
方法中間体10の代替手順
(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オン(144.2g;339.9mmol)をDCM(4325mL)と混合し、得られた混合物を-10℃に冷却した。塩化ジルコニウム(IV)(154.0g;660.8mmol)を-10℃で4回に分けて(各38.5g)加え、得られた混合物を、2時間撹拌する。水(721mL)および28%NH3水溶液(721mL)を、反応混合物にゆっくりと加える。水相を分離し、有機相を水(721mL)で洗浄する。有機相を、Na2SO4(306.9グラム)で乾燥し、濾過する。濾液を、50トル下、50℃で濃縮し、得られた白色固体を、20トル下で50℃で乾燥させて、表題化合物(91.6g、95.5%収率、124:1dr)を得る。
【0079】
【0080】
方法2、工程EおよびF:(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オン(6.0g、20.7mmol)を、室温で2-メチル-3-ブテン-2-オール(9.75mL、93.0mmol)およびTEA(4.32mL;31.0mmol)と組み合わせ、得られた白色スラリーを、攪拌しながら10分にわたって、窒素の表面下スパージで脱気する。3分間脱気を続けながら、トリス-o-トリルホスフィン(786mg、2.58mmol)およびPd(OAc)2(232mg;1.03mmol)を反応混合物に加える。ヘッドスペースで窒素を脱気から正圧に切り替え、得られた混合物を、75℃まで6.0時間加熱する。75℃で、EtOH(30mL)および50重量%NaOH(10.9mL、207mmol)を反応混合物に加え、得られた混合物を、75℃で2.5時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過し、EtOHで洗浄し、洗浄液を濾液と組み合わせる。得られた濾液混合物を、減圧下で濃縮する。得られた残留物に、トルエン、水、および水性飽和クエン酸を加える。水相を分離し、トルエンで洗浄する。水相を、50重量%のNaOHでpH約13に調整し、DCMで抽出する。有機相を、Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた残留物を、熱酢酸イソプロピル(6mL)およびヘプタン(6mL)に溶解し、(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールのいくつかの種結晶を加えて、濃厚なスラリーを得る。48時間室温で撹拌して冷却しながら、ヘプタン(24mL)をゆっくりとスラリーに加える。得られたスラリーを濾過し、集めた固体をヘプタンで洗浄し、60℃の真空オーブンで乾燥させて、表題化合物(方法2、化合物12、5.0g;収率89%)を白色固体として得る。1H NMR(600MHz、DMSO-d6):δ1.25(s、6H)、1.31(d、J=6.8Hz、3H)、2.13(br、1H)、2.24(dd、J=16.4、10.1Hz、1H)、2.67(dd、J=16.4、4.2Hz、1H)、3.06(m、1H)、3.39(dd、J=10.3、6.6Hz、1H)、3.46(dd、J=10.3、5.1Hz、1H)、4.08(q、J=6.8Hz、1H)、4.62(br、1H)、4.69(s、1H)、6.17(d、J=15.8Hz、1H)、6.66(d、J=15.8Hz、1H)、6.95(d、J=7.6Hz、1Hz)、7.05(t、J=7.6Hz、1H)、7.21(d、J=7.8Hz、1H)。13C{1H}NMR(151MHz、DMSO-d6):δ24.25、29.57、125.59、30.60、30.63、48.90、50.52、65.77、69.91、122.48、123.25、126.02、131.95、136.51、141.21、141.39。HRMS(ESI+)C16H24NO2に対する計算値262.1802、実測値262.1799。
【0081】
方法中間体11の代替手順
脱酸素化した2-メチル-3-ブテン-2-オール(109.9g、1.3mol)、Pd(OAc)2(318.3mg、1.4mmol)およびトリ-o-トリルホスフィン(2.2g、7.2mmol)を組み合わせ、混合物を16℃で30分間撹拌する。混合物に、(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オン(80g、283.6mmol)および脱酸素したTEA(43g、424.9mmol)を加える。得られた混合物を、5時間加熱還流する。反応混合物を、室温に冷却する。エタノール(400mL)および50重量%NaOH水溶液(226.8g、2.8mol)を、反応混合物に加える。得られた混合物を、75℃に加熱し、3時間撹拌する。反応混合物を、室温に冷却し、濾過する。濾液を、80トル下で、50℃で濃縮する。トルエン(400mL)、水(400mL)および飽和水性クエン酸(640mL)を、濃縮残留物に加える。有機相を分離し、水相をトルエン(400mL)で洗浄する。50重量%のNaOH水溶液(400mL)を、水相にゆっくりと加える。塩基性化した水性混合物を、酢酸イソプロピル(2×800)で抽出し、合わせた有機相を、Na2SO4(160.0g)で乾燥させ、濾過する。濾液を、50トル下で、50℃で濃縮し、得られた残留物を、60℃で、酢酸イソプロピル(320mL)に溶解する。得られた混合物を、37℃に冷却する。得られたスラリーに、ヘプタン(1040mL)を室温で加える。スラリーを、-10℃に冷却し、1時間撹拌し、得られた固形物を、濾過により収集する。集めた固形物を、ヘプタン(160mL)で洗浄し、20トル下で50℃で乾燥して、表題化合物(68.6g、92%収率)を得る。
【0082】
【0083】
方法2、工程G:窒素下、(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オール(50g、191.3mmol)、5%Pd/C(1.1g湿重量)およびEtOH(250mL)をオートクレーブ中で合わせ、窒素でパージし、系を145psigで水素置換する。得られた混合物を、145psigの水素下、室温で4時間撹拌する。反応混合物を、珪藻土の床で濾過し、50トル下で、50℃で濃縮する。得られた固形物を、濾過により収集し、酢酸イソプロピル(200mL)に室温で1時間懸濁および撹拌する。ヘプタン(200mL)を滴下し、得られたスラリーを-10℃に冷却し、1時間撹拌する。得られた固体を、濾過により収集し、ヘプタン(100mL)で洗浄し、20トル下で50℃で乾燥させて、表題化合物(方法2、化合物13、46.2g、92%収率)を、キラルHPLC(Daicel CHIRALPACK(登録商標)AD-H、4.6mm×250mm;5μ;移動相:ACN中の0.1%エタノールアミン;注入量:2μL;カラム温度:35℃;波長:220nm;流速:1.5mL/分)により>99%の白色固体として得る。tR=4.43分。1H NMR(600MHz、DMSO-d6):δ1.13(s、6H)、1.31(d、J=6.8Hz、3H)、1.57~1.45(m、2H)、2.08(s、1H)、2.21(dd、J=16.3、10.1Hz、1H)、2.52(t、J=8.7Hz、2H)、2.64(dd、J=16.3、4.1Hz、1H)、3.06(tt、J=10.4、4.6Hz、1H)、3.37(dd、J=10.3、6.8Hz、1H)、3.46(dd、J=10.5、4.9Hz、1H)、4.07(q、J=6.7Hz、1H)、4.21(s、1H)、4.63(s、1H)、6.89(d、J=7.5Hz、1H)、6.91(d、J=7.4Hz、1H)、7.00(t、J=7.5Hz、1H)。13C{1H}NMR(151MHz、DMSO-d6):δ24.36、27.40、28.87、29.62、29.68、44.73、49.13、50.59、65.79、69.18、124.66、125.44、126.24、132.57、141.20、141.28。HRMS(ESI+)C16H26NO2に対する計算値264.1958、実測値264.1956。
【0084】
【0085】
方法2、工程H:2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(14.7g、83.7mmol)およびACN(400mL)を組み合わせ、4-メチルモルホリン(17.7g、175.0mmol)を0℃で加える。得られた混合物を、30分間撹拌し、2,6-ジクロロフェニル酢酸(20.8g、101.4mmol)を加え、混合物を、0℃で1時間撹拌する。4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オール(20g、75.9mmol)および水(100mL)中の2CO3(11.5g、83.7mmol)の混合物を混合物に加え、0℃で4時間撹拌する。得られた層を分離し、有機相を、酢酸イソプロピル(100mL)および飽和NH4Cl水溶液(100mL)で希釈する。得られた層を分離し、有機相を、水(100mL)で洗浄し、Na2SO4(133.1g)で乾燥させ、濾過する。濾液を、80トル下で50℃で濃縮し、得られた混合物を、酢酸イソプロピル(80mL)に溶解する。得られた混合物を、室温に冷却し、ヘプタン(80mL)を滴下して加え、得られたスラリーを、1時間撹拌しながら-10℃に冷却する。得られた固形物を、濾過により集め、ヘプタン(40mL)で洗浄し、20トル下で50℃で乾燥させ、キラルHPLC(Daicel CHIRALPACK(登録商標)AD-H、4.6mmx250mm、5μ;移動相:9:1ヘキサン:EtOH;注入量:2μL、カラム温度:35℃;波長:220nm;流量:1.0mL/分)により>99%eeの表題化合物(29.2g、85%収率)を得る。tR=14.03。MS(m/z):451(M+H)。
【0086】
D1 PAM Iの追加手順
方法1、工程G:窒素不活性化反応器に、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(6.36g、36.2mmol)およびACN(94mL)を入れる。混合物を0℃に冷却し、N-メチルモルホリン(9.02mL、81.7mmol)を加える。20分後、2-(2,6-ジクロロフェニル)酢酸(7.43g、36.2mmol)を加え、得られた混合物を0℃で60分間撹拌し、ACN(81mL)中でスラリー化した4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オール(9.36g、35.5mmol)およびTHF(25mL)を加える。得られた混合物を、0℃で22時間撹拌する。反応混合物を濾過し、フィルターケーキを、酢酸イソプロピル(100mL)で洗浄する。得られた濾液を、減圧下で150mL未満に濃縮する。得られた混合物を、酢酸イソプロピル(200mL)で希釈し、水/飽和水性NH4Cl(3×50mL)の1:1混合物で洗浄する。合わせた有機抽出物を、水(50mL)、飽和NaHCO3水溶液(50mL)、飽和NaCl水溶液で順次洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。得られた混合物を濾過し、濾液を減圧下で約100mLまで濃縮する。60℃で約50mLまで減圧蒸留することにより溶媒を除去し、50mLの酢酸イソプロピルを加える。蒸留および溶媒交換を、さらに2回以上繰り返す。2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの種結晶(50mg)を加え、得られたスラリーを室温で21時間撹拌し、氷水浴中で2時間にわたって0℃に冷却する。得られた固形物を、濾過により収集する。フィルターケーキをヘプタン/酢酸イソプロピルの1:1混合物(15mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物(12.5g、収率78%)を白色の固体として得る。MS(m/z):450(M+H)。キラルHPLC tR=8.48分(<99%ee)。
【0087】
4-ヒドロキシ安息香酸を用いる共結晶形成の手順D1 PAM I
D1 PAM I(11.5g、25.5mmol)を、マグネチックスターラーを備えた100mLの丸底フラスコ内で、THF(28.8mL)中の4-ヒドロキシ安息香酸(Aldrich、3.6g、26.0mmol)と混合する。得られた混合物を、全ての材料が溶解するまで、50℃で加熱する。溶液を、0.45μmシリンジフィルターでろ過し、オーバーヘッド攪拌、窒素注入口、熱電対、および添加ポートを備えた250mLの3つ口丸底フラスコに入れる。追加のTHF(4.6mL)ですすぐことにより、移し替えおよび濾過を完了する。濾過した溶液を、全ての成分が溶解するまで50℃に加熱し、すぐにヘプタン(18.4mL)を加える。共結晶の種結晶(75mg)を加え、混合物を50℃で30分間撹拌する。追加のヘプタン(48.3mL)を、シリンジポンプにより8時間かけて追加する。得られたスラリーを、室温まで冷却し、12時間撹拌する。得られた固形物を、濾過により収集し、THF:ヘプタンの1:2混合物(23mL)およびTHF/ヘプタンの5:95混合物(23mL)で順次洗浄する。濾過した固体を、真空下で乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得る(13.5g、90%の収率)。MS(m/z):450(M+H)。
【0088】
粉末X線回折(XRPD)
結晶性固体のXRPDパターンを、CuKa源(λ=1.54060Å)およびVantec検出器を備え、35kVおよび45mAで動作するBruker D4 Endeavor X線粉末回折計で得る。試料を、0.03°(2θ)の工程サイズおよび0.5秒/工程の走査速度で、ならびに0.6mmの発散スリット、5.28の固定散乱防止スリット、および9.5mmの検出器スリットを用いて、4~40°(2θ)で走査する。乾燥粉末をゼロバックグラウンド石英試料ホルダーに充填し、ガラススライドを使用して滑らかな表面を得る。結晶形態の回折パターンを、周囲温度および相対湿度で収集する。結晶学の分野において、任意の所与の結晶形態に関して、結晶形態および晶癖などの要因から生じる好ましい配向に起因して、回折ピークの相対強度が変化し得ることは周知である。好ましい配向の効果が存在する場合、ピーク強度は変化するが、多形体の特徴的なピーク位置は変化しない。例えば、The United States Pharmacopeia#23,National Formulary#18,1843-1844頁,1995を参照されたい。さらに、所与の任意の結晶形について、角ピーク位置がわずかに変化し得ることも、結晶学の分野において周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される温度もしくは湿度の変動、試料の変位、または内部標準の有無に起因して変動し得る。本発明の場合、±0.2(2θ)のピーク位置の変動は、示された結晶形態の明確な同定を妨げることなくこれらの潜在的な変動を考慮に入れる。結晶形態の確認は、特徴的なピーク(°2θの単位で)、典型的にはより顕著なピークの任意の固有の組み合わせに基づいて行われ得る。周囲温度および相対湿度にて収集された結晶形の回折パターンは、°2θの8.853および26.774で、NIST675標準ピークに基づき調整する。
【0089】
D1 PAM Iの4-ヒドロキシ安息香酸との結晶性化合物の試料は、CuKa線を用いるXRDパターンによって、以下の表2に記載されるような回析ピーク(2θ値)を有するものとして、特に、0.2度の回折角の公差で、15.0°、16.1°、および21.0°からなる群から選択される1つ以上のピークと組み合わせて7.0°でピークを有するものとして特徴付けられる。
【表2】
項1
以下の式の化合物を調製する方法であって、
【化1】
i.)(R)-2-ブロモフェニルアラニンの還元剤およびヨウ素での逐次処理、およびマイルドな鉱塩基および炭酸アルキルでの引き続く処理で(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを得る工程と、
ii.)(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンをアリールスルフィン酸ナトリウムおよびアセトアルデヒドで処理して、(4R)-3-[(1S)-1-(アリールスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを得る工程と、
iii.)必要に応じて、前記(4R)-3-[(1S)-1-(アリールスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを結晶化する工程と、
iv.)必要に応じて、(4R)-3-[(1S)-1-(アリールスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンの立体化学を、単結晶X線分析により検証する工程と、
v.)(4R)-3-[(1S)-1-(アリールスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンの遷移金属ハロゲン化物でのピクテ・スペングラー環化により、(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンを得る工程と、
vi.)必要に応じて、前記(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンを結晶化する工程と、
vii.)必要に応じて、前記(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンの立体化学を、単結晶X線分析により検証する工程と、
viii.)(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンの2-メチル-3-ブテン-2-オールとのヘックカップリングにより、(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールを得る工程と、
ix.)必要に応じて、前記(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールを結晶化する工程と、
x.)(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールを水素化条件下で還元して、4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを得る工程と、
xi.)必要に応じて、4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを結晶化する工程と、
xii.)4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを、2,6-ジクロロフェニル酢酸と、アミド合成用のカップリング剤および非求核性有機塩基の存在下でカップリングさせて、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを得る工程と、
xiii.)必要に応じて、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを結晶化する工程と、
xiv.)2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを、4-ヒドロキシ安息香酸で処理して、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの4-ヒドロキシ安息香酸との共結晶を得る工程と、を含む、方法。
項2
以下の式の化合物を調製する方法であって、
【化2】
i.)(S)-(+)-ベンジルグリシジルエーテルおよび1,3-ジブロモベンゼンを金属塩基で処理して、(2S)-1-ベンジルオキシ-3-(2,6-ジブロモフェニル)プロパン-2-オールを得る工程と、
ii.)(2S)-1-ベンジルオキシ-3-(2,6-ジブロモフェニル)プロパン-2-オールを、有機塩基の存在下で、塩化アリールスルホニルで処理して、[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]アリールスルホネートを得る工程と、
iii.)[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]アリールスルホネートの、有機金属塩基の存在下での、(S,E)-N-エチリデン-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドでの処理、および、トルエンスルホン酸一水和物での引き続く処理により、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン4-メチルベンゼンスルホン酸を得る工程と、
iv.)必要に応じて、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸を結晶化する工程と、
v.)(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸を非求核性鉱塩基でフリーベーシングし、その後の脱ベンジル化により、[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノールを得る工程と、
vi.)[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノールを2-メチルブト-3-エン-2-オールとヘックカップリングさせて、(E)-4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチル-ブト-3-エン-2-オールを得る工程と、
vii.)(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オールを、水素化条件下で還元して、4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを得る工程と、
viii.)必要に応じて、4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを結晶化する工程と、
ix.)4-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル]-2-メチルブタン-2-オールを、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンおよび非求核性有機塩基の存在下で2,6-ジクロロフェニル酢酸とカップリングさせて、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを得る工程と、
x.)必要に応じて、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを結晶化する工程と、
xi.)2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを、4-ヒドロキシ安息香酸で処理して、2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの4-ヒドロキシ安息香酸との共結晶を得る工程と、を含む、方法。
項3
化合物(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オン。
項4
結晶性である、項3に記載の化合物。
項5
化合物(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オン。
項6
結晶性である、項5に記載の化合物。
項7
化合物(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オール。
項8
結晶性である、項7に記載の化合物。
項9
化合物[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]4-メチルベンゼンスルホネート。
項10
結晶性である、項9に記載の化合物。
項11
化合物(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-メチルベンゼンスルホン酸。
項12
結晶性である、項11に記載の化合物。
項13
化合物[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノール。
項14
結晶性である、項13に記載の化合物。
項15
化合物(E)-4-((1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)-2-メチルブト-3-エン-2-オール。
項16
結晶性である、項15に記載の化合物。
項17
項3に記載の化合物を調製する方法であって、
i.)(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、HCO
2H、およびアセトアルデヒドで処理することと、
ii.)必要に応じて、単一のジアステレオマーを結晶化して、(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンを得ることと、を含む、方法。
項18
項5に記載の化合物を調製する方法であって、(4R)-3-[(1S)-1-(ベンゼンスルホニル)エチル]-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンのZrCl
4でのジアステレオ選択的ピクテ・スペングラー環化により(5S,10aR)-9-ブロモ-5-メチル-1,5,10,10a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンを得ることを含む、方法。
項19
達成されるジアステレオマー比が50:1より大きい、項18に記載の方法。
項20
項11に記載の化合物を調製する方法であって、
i.)[(1S)-1-(ベンジルオキシメチル)-2-(2,6-ジブロモフェニル)エチル]4-メチルベンゼンスルホネートをn-ブチルリチウムと、連続流動条件下および極低温条件下で処理して、[2-[(2S)-3-ベンジルオキシ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)プロピル]-3-ブロモ-フェニル]リチウムを得ることと、
ii.)[2-[(2S)-3-ベンジルオキシ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)プロピル]-3-ブロモ-フェニル]リチウムを、連続流動条件下、(S,E)-N-エチリデン-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドで処理することと、
iii.)キラルスルホンアミド補助剤を、連続流動条件下、HClで切断することと、
iv.)切断された生成物を、無機塩基で処理して、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを提供することと、
v.)(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを、4-トルエンスルホン酸で処理して、(1S,3R)-3-(ベンジルオキシメチル)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン 4-トルエンスルホン酸を得ることと、を含む、方法。
項21
前記アミド合成用のカップリング剤が、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンである、項2に記載の方法。
項22
反応が、フロー反応法を用いて実施される、項1、2および17~21のいずれか一項に記載の方法。
項23
反応が、バッチプロセシング法を用いて実施される、項1、2および17~21のいずれか一項に記載の方法。