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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】電池測定治具
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/42 20060101AFI20250108BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01M10/48 301
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023158927
(22)【出願日】2023-09-22
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】503374488
【氏名又は名称】株式会社トヨタシステムズ
(73)【特許権者】
【識別番号】507071774
【氏名又は名称】株式会社アイヴィス
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高木 淳
(72)【発明者】
【氏名】成井 隆
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-144874(JP,A)
【文献】特開2021-190159(JP,A)
【文献】特開2019-175670(JP,A)
【文献】特開2017-107667(JP,A)
【文献】特開2017-091990(JP,A)
【文献】特開2014-203778(JP,A)
【文献】特開2003-059543(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093652(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/178236(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0027744(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の一部をなす電池端子と接続するプローブを有する電池端子接続部ベースと、電池端子ガイドとを含む複数の電池端子接続部をフラットバーに配設した電池測定治具であって、
前記電池端子ガイドは、前記電池の電池端子方向にスライド可能に前記電池端子接続部ベースに組み合わせられ、
前記電池端子接続部ベースは、前記電池の前記電池端子方向と垂直な方向に移動できるようにクリアランスをもって前記フラットバーに設けられる
ことを特徴とする電池測定治具。
【請求項2】
前記電池端子ガイドは、
前記電池端子ガイドを前記電池端子接続部ベースに支持する第1の弾性体と、前記電池端子を導くテーパ形状穴とを有し、
前記プローブは、
第2の弾性体が設けられ、前記電池の前記電池端子方向にスライド可能であり、
前記電池端子接続部ベースは、
前記フラットバーとの間に隙間を作るように前記フラットバーに第1の締付部材で装着され、前記フラットバー又は前記電池端子接続部ベースに設けられた取り付け穴を、前記電池端子の方向と垂直な方向に二次元的に前記第1の締付部材が移動可能となるように前記第1の締付部材の径よりも大きくする
ことを特徴とする請求項1に記載の電池測定治具。
【請求項3】
前記フラットバーに複数装着された前記電池端子接続部は、締結クランプにより一定圧で前記電池の前記電池端子に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電池測定治具。
【請求項4】
前記フラットバーに複数装着された前記電池端子接続部は、前記フラットバーが第2の締付部材によって前記電池の前記電池端子に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電池測定治具。
【請求項5】
前記フラットバーと前記電池端子接続部ベースとの取り付けについて、
前記フラットバー側の取り付け穴、又は前記電池端子接続部ベース側の取り付け穴が、前記電池の積層方向と前記電池の前記電池端子方向とに垂直方向に長軸を持つ楕円形である
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池測定治具。
【請求項6】
前記電池端子接続部を前記電池端子に接続する前の状態において、
前記プローブの電池端子側先端は、前記電池端子ガイドの端子側端部よりも前記電池端子接続部ベース側に位置し、テーパ形状穴に前記電池端子が挿入され、前記電池端子ガイドが前記電池端子に接触した後、前記プローブが前記電池端子に接続する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池測定治具。
【請求項7】
前記電池端子接続部ベースに第3の弾性体を介して接続判定バーが設けられ、
前記電池端子ガイドは、ゲージを有し、
前記接続判定バーは、前記プローブの押し付け量に応じて、前記電池端子ガイド側へ傾き、
前記電池の積層方向から、複数の前記接続判定バーの前記ゲージに対する位置に基づいて前記プローブが前記電池端子に適切に接続しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池測定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池端子の位置調整に要する人的労力を軽減しつつ、効率的に複数の電池の性能を測定できる電池測定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池の製造時、又は二次電池の再利用において、二次電池の充放電を行うことにより電池性能の確認を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、複数の二次電池のための充放電装置であって、複数の二次電池を固定可能な固定治具と、複数の二次電池が有する複数の電極端子に接続可能な複数の充放電プローブと、複数の電極端子に複数の充放電プローブを当接可能な当接機構により、複数の電極端子に複数の充放電プローブを当接させた状態で、複数の電極端子と複数の充放電プローブとを一括で摺動可能な摺動機構を備える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-186105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1のものは、複数の電池を並べる場合に、複数の電池の各電池の電極端子の位置が一様になるよう、あらかじめ整列しなければならならない。このため、事前準備に人的労力を要するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術による問題点(課題)を解決するためになされたものであって、電池端子の位置調整に要する人的労力を軽減しつつ、効率的に複数の電池の性能を測定できる電池測定治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、電池の一部をなす電池端子と接続するプローブを有する電池端子接続部ベースと、電池端子ガイドとを含む複数の電池端子接続部をフラットバーに配設した電池測定治具であって、前記電池端子ガイドは、前記電池の電池端子方向にスライド可能に前記電池端子接続部ベースに組み合わせられ、前記電池端子接続部ベースは、前記電池の前記電池端子方向と垂直な方向に移動できるようにクリアランスをもって前記フラットバーに設けられる。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記電池端子ガイドは、前記電池端子ガイドを前記電池端子接続部ベースに支持する第1の弾性体と、前記電池端子を導くテーパ形状穴とを有し、前記プローブは、第2の弾性体が設けられ、前記電池の前記電池端子方向にスライド可能であり、前記電池端子接続部ベースは、前記フラットバーとの間に隙間を作るように前記フラットバーに第1の締付部材で装着され、前記フラットバー又は前記電池端子接続部ベースに設けられた取り付け穴を、前記電池端子の方向と垂直な方向に二次元的に前記第1の締付部材が移動可能となるように前記第1の締付部材の径よりも大きくする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記フラットバーに複数装着された前記電池端子接続部は、締結クランプにより一定圧で前記電池の前記電池端子に接続される。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記フラットバーに複数装着された前記電池端子接続部は、前記フラットバーが第2の締付部材によって前記電池の前記電池端子に接続される。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記フラットバーと前記電池端子接続部ベースとの取り付けについて、前記フラットバー側の取り付け穴、又は前記電池端子接続部ベース側の取り付け穴が、前記電池の積層方向と前記電池の前記電池端子方向とに垂直方向に長軸を持つ楕円形である。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記電池端子接続部を前記電池端子に接続する前の状態において、前記プローブの電池端子側先端は、前記電池端子ガイドの端子側端部よりも前記電池端子接続部ベース側に位置し、テーパ形状穴に前記電池端子が挿入され、前記電池端子ガイドが前記電池端子に接触した後、前記プローブが前記電池端子に接続する。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記電池端子接続部ベースに第3の弾性体を介して接続判定バーが設けられ、前記電池端子ガイドは、ゲージを有し、前記接続判定バーは、前記プローブの押し付け量に応じて、前記電池端子ガイド側へ傾き、前記電池の積層方向から、複数の前記接続判定バーの前記ゲージに対する位置に基づいて前記プローブが前記電池端子に適切に接続しているか否かを判定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電池端子の位置調整に要する人的労力を軽減しつつ、効率的に複数の電池の性能を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態1に係る電池測定治具の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る電池測定システムのシステム構成図を示す図である。
図3図3は、図1に示した電池端子接続部の構成を示す図である。
図4図4は、図3に示した電池端子ガイドの形状を説明するための図である。
図5図5は、図3に示した電池端子接続部ベースの形状を説明するための図である。
図6図6は、電池端子接続部とフラットバーとの接続を説明するための図である。
図7図7は、電池ユニット及びフラットバーの位置決めを説明するための図である。
図8図8は、電池モジュールの電池端子と電池端子接続部との接続を説明するための図である。
図9図9は、温度測定治具の概要を示す図である。
図10図10は、電池ID読取部の概要を示す図である。
図11図11は、変形例に係る電池測定治具の接続判定部の概要を示す図である。
図12図12は、実施形態2に係る電池測定治具の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る電池測定治具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
[実施形態1]
<電池測定治具の概要>
まず、本実施形態1に係る電池測定治具の概要について説明する。図1は、実施形態1に係る電池測定治具の概要を示す図である。電池測定治具は、複数の電池モジュール210(請求項の「電池」に対応)から形成される電池ユニット200の電流電圧特性を一括で測定するために用いられる治具である。
【0020】
図1に示すように、実施形態1に係る電池測定治具は、複数の電池端子接続部20と、フラットバー30と、位置決め板35と、温度測定治具40と、電池ID読取部50と、締結クランプ60と、電池設置台70と、電池ユニット固定枠201とを有する。
【0021】
電池ユニット200(図示せず)は、複数の電池モジュール210により形成される。具体的には、モジュール結合バー230及び結合プレート220を用いて複数の電池モジュール210を結合することにより、電池ユニット200が形成される。
【0022】
電池端子接続部20は、電池モジュール210の図示しない電池端子211に接続される接続部である。この電池端子接続部20に電池端子211を接続した状態で電池モジュール210を充放電させる。また、電池端子接続部20は、電池モジュール210の電流電圧特性を測定するための計測器(デジタルマルチメータ100、定電流電源110等)に接続される。
【0023】
電池端子接続部20は、図示しない電池端子ガイド21及び電池端子接続部ベース22からなる。電池端子接続部ベース22は、X軸方向及びY軸方向に移動可能となるようにフラットバー30に取り付けられる。これにより、電池モジュール210の電池端子211の取り付け位置のブレを吸収する。
【0024】
また、電池端子接続部20は、電池端子ガイド21の一部をなすプローブ23と電池モジュール210の電池端子211とをより確実に接触させるために、Z軸方向に移動可能に取り付けられる。位置決め板35は、フラットバー30に固定される板であり、位置決め板を結合プレート220に沿って移動させることにより、複数の電池モジュール210の電池端子211とそれぞれ当接する複数の電池端子接続部20の位置決めが行われる。
【0025】
温度測定治具40は、複数のサーミスタ41を備え、各サーミスタ41により複数の電池モジュール210の温度を測定する。温度測定治具40は、電池モジュール210に付された二次元バーコードを撮像するための電池ID撮像窓47を有する。温度測定治具40は、固定フック46を用いて電池モジュール210の上部に取り付ける。
【0026】
電池ID読取部50は、複数の電池モジュール210の各電池モジュールIDを読み取る。具体的には、電池ID読取部50は、複数のIDリーダ51を有し、電池モジュール210に付された電池モジュール210に固有のIDを示す二次元バーコードを読み取る。
【0027】
締結クランプ60は、フラットバー30に接続された複数の電池端子接続部20を一定の圧力で複数の電池モジュール210の電池端子211に押し当てる。ここでは、4個の締結クランプ60を用いている場合について示している。電池設置台70は、複数の電池モジュール210で構成された電池ユニット200を設置する台である。
【0028】
電池ユニット固定枠201は、図示しない電池ユニット200を収納するための枠である。図示しない電池ユニット200は、結合プレート220に設けられた金具により、電池ユニット位置決めネジ240を用いて電池ユニット固定枠201に取り付ける。なお、電池ユニット200は、電池ユニット固定枠201に突起を設け、結合プレート220に設けられたくぼみを嵌め込んで取り付けてもよい。
【0029】
<電池測定システムのシステム構成>
次に、電池モジュール210の電流電圧特性を測定する電池測定システムのシステム構成について説明する。図2は、実施形態1に係る電池測定システムのシステム構成図を示す図である。図2に示すように、電池測定システムは、サーミスタ41a、41b、41c(以下、「サーミスタ41」と総称する)と、IDリーダ51a、51b(以下、「IDリーダ51」と総称する)と、デジタルマルチメータ100a、100b、100c(以下、「デジタルマルチメータ100」と総称する)と、定電流電源110a、110b、110c(以下、「定電流電源110」と総称する)と、ノートPC120と、データロガー130と、HUB140a、140b、140c、140dとを有する。
【0030】
電池ユニット200は、複数の電池モジュール210a、210b、210c(図1の電池モジュール210に対応する)から構成される。電池モジュール210aは、電池モジュール210aの電池端子211の電圧及び電流を測定するためのデジタルマルチメータ100aと、電池モジュール210aの充放電を行う定電流電源110aと、電池モジュール210aの電池温度を測定するためのサーミスタ41aが接続されており、サーミスタ41aは、データロガー130に接続されている。なお、電池モジュール210b及び210cも同様の構成となる。
【0031】
デジタルマルチメータ100aは、HUB140cに接続され、デジタルマルチメータ100aで測定されたデータはLAN150を介してノートPC120に送信される。定電流電源110aは、HUB140dに接続され、LAN150を介してノートPC120に接続される。データロガー130は、HUB140bに接続され、サーミスタ41aで測定された電池モジュール210aの温度は、データロガー130、HUB140b、LAN150を介してノートPC120に送信される。
【0032】
電池モジュール210a、210b、210cに付された固有の二次元バーコードは、IDリーダ51a又はIDリーダ51bによって読み込まれ、HUB140a及びLAN150を介してノートPC120に送信される。
【0033】
ノートPC120は、定電流電源110を制御する制御信号を送信するとともに、デジタルマルチメータ100により測定された電流データ及び電圧データ、データロガー130により取得された温度データ、IDリーダ51により読み取られたIDデータを受信する。なお、ノートPC120は、電流データ、電圧データ、温度データ及びIDデータを用いて、電池モジュール210の充放電特性の解析を行うことができる。
【0034】
<電池端子接続部20の構成>
次に、電池端子接続部20の構成について説明する。図3は、図1に示した電池端子接続部20の構成を示す図である。図3に示すように、電池端子接続部20は、電池端子ガイド21、電池端子接続部ベース22及びプローブ23を有する。電池端子ガイド21は、テーパ形状穴21dと、プローブ穴21eと、ガイド溝21hと、ガイド抜け止めネジ穴21iとを有する。
【0035】
テーパ形状穴21dは、電池モジュール210の電池端子211と電池端子接続部20との位置を調整するための穴であり、電池端子ガイド21の上部から下部に向けて先細るテーパ形状を有する穴である(図4(a)を参照)。プローブ穴21eは、プローブ23を挿入するための穴であり、テーパ形状穴21dの両側に同じ径となる一対の貫通穴となる(図4(a)及び図4(b)を参照)。
【0036】
ガイド溝21hは、後述するガイド突起22fを嵌めるための溝である。かかるガイド溝21hにより、電池端子接続部ベース22がZ軸方向に移動可能となる。ガイド抜け止めネジ穴21iには、ガイド抜け止めネジ21kが挿入される。ガイド抜け止めネジ21kは、ガイド抜け止めネジ穴21iに貫通され、ガイド溝21hに挿入されたガイド突起22fが抜けないようにするためのネジである。
【0037】
電池端子接続部ベース22は、プローブ穴22d及びガイド突起22fを有する。プローブ穴22dは、プローブ23を挿入するための貫通穴である。ガイド突起22fは、電池端子ガイド21に設けられたガイド溝21hに挿入され、電池端子ガイド21が、ガイド溝21hに沿って動くように設けられた突起である。ガイド溝21hにガイド突起22fが挿入されたならば、電池端子ガイド21が電池端子接続部ベース22に嵌められた状態になる。
【0038】
電池端子ガイド21は、ガイド突起22fを有する電池端子接続部ベース22により支持されており、ガイド溝21h及び支持スプリング21c(請求項の第1の弾性体に相当)を有する。
【0039】
電池端子ガイド21が電池端子接続部ベース22に嵌められた状態において、電池端子211が電池端子ガイド21に接触していない場合は、電池端子接続部ベース22のガイド突起22fが、ガイド抜け止めネジ21kに接触した状態で保持される。
【0040】
プローブ23は、電池端子ガイド21のプローブ穴21e及び電池端子接続部ベース22のプローブ穴22dに貫通するように挿入され、プローブスプリング22k(請求項の第2の弾性体に相当)により-Z軸方向にテンションを掛けられる。
【0041】
また、プローブ23は、プローブ固定ナット22eにより電池端子接続部ベース22から抜けないように保持される。また、図示しないデジタルマルチメータ100及び定電流電源110に接続されるケーブル22hは、プローブ23のプローブ固定ナット22eに接続される。
【0042】
<電池端子ガイド21の形状>
次に、電池端子ガイド21の形状について説明する。図4は、図3に示した電池端子ガイド21の形状を説明するための図である。図4(a)に示すように、電池端子ガイド21の上部には、テーパ形状穴21d及びプローブ穴21eが設けられる。
【0043】
また、図4(b)に示すように、電池端子ガイド21は、コの字を立てた形状をしており、テーパ形状穴21dは、所定の深さに設けられる。プローブ穴21eは、電池端子ガイド21を貫通するように設けられる。電池端子ガイド21の内側には、支持スプリング固定突起21g及びガイド溝21hを有する。
【0044】
支持スプリング固定突起21gは、支持スプリング21cを挿入する突起である。また、電池端子接続部ベース22に設けられたガイド突起22fが抜けないように、ガイド抜け止めネジ21kを挿入するガイド抜け止めネジ穴21iを有する。電池端子ガイド21のガイド溝21hは、図4(c)に示すように、電池端子ガイド21の内側の中央部に所定の幅で設けられる。
【0045】
<電池端子接続部ベース22の形状>
次に、電池端子接続部ベース22の形状について説明する。図5は、図3に示した電池端子接続部ベース22の形状を説明するための図である。図5に示すように、電池端子接続部ベース22の上面には、プローブ穴22dと、ガイド突起22fと、支持スプリング挿入穴22gとを有する(図5(a)参照)。
【0046】
図5(b)に示すように、プローブ穴22dは、電池端子接続部ベース22の上部凸部を貫通するように設けられる。ガイド突起22fは、所定の長さの突起である。支持スプリング挿入穴22gは、所定の深さを持つ穴である。また、図5(c)に示すように、電池端子接続部ベース22の底面には、図示しないフラットバー30に接続するための電池端子接続部ベース固定穴22iが設けられる。
【0047】
<電池端子接続部20とフラットバー30との接続>
次に、電池端子接続部20とフラットバー30との接続について説明する。図6は、電池端子接続部20とフラットバー30との接続を説明するための図である。図6(a)に示すように、電池端子ガイド21及び電池端子接続部ベース22で構成される電池端子接続部20は、ボルト31(請求項の「第1の締付部材」に対応する)と、ナット32と、ワッシャー33とを用いて接続される。
【0048】
具体的には、ボルト31を電池端子接続部20側から挿入し、電池端子接続部20とフラットバー30との間にワッシャー33を挟み、フラットバー30側からナット32を用いて接続する。ここで、ナット32は、電池端子接続部20がX軸方向及びY軸方向に移動可能となるように所定のトルクで取り付ける。
【0049】
また、図6(b)に示すように、フラットバー30に設けられた取り付け穴34は、電池端子接続部20がX軸方向及びY軸方向に移動できるようにするために、ボルト31の直径よりも大きい楕円形状とする。この楕円形状は、電池モジュール210の積層方向に垂直な長軸を持つ楕円形状となる。
【0050】
<電池ユニット200及びフラットバー30の位置決め>
次に、複数の電池モジュール210で構成された電池ユニット200及びフラットバー30の位置決めについて説明する。図7は、電池ユニット200及びフラットバー30の位置決めを説明するための図である。
【0051】
図7(a)に示すように、電池ユニット200は、図示しない電池設置台70に設けられた電池ユニット固定枠201に収められ、結合プレート220に設けられた金具により、電池ユニット位置決めネジ240を用いて電池ユニット固定枠201に取り付けられる。なお、電池ユニット200は、電池ユニット固定枠201に突起を設け、結合プレート220に設けられたくぼみを嵌め込んで取り付けてもよい。
【0052】
そして、図7(b)に示すように、フラットバー30は、フラットバー30に取り付けられた位置決め板35a、35b(図1の位置決め板35に対応する)を用いて電池ユニット200の所定の位置に設置される。具体的には、フラットバー30は、位置決め板35a、35bを用いて、電池ユニット200の両側の2つの結合プレート220に沿って移動させることにより、電池端子接続部20を含むフラットバー30を所定の位置に設置することが可能となる。
【0053】
<電池モジュール210の電池端子211と電池端子接続部20との接続>
次に、電池モジュール210の電池端子211と電池端子接続部20との接続について説明する。図8は、電池モジュール210の電池端子211と電池端子接続部20との接続を説明するための図である。ここでは、電池モジュール210の電池端子211と、電池端子接続部20の接続部分とがY軸方向にずれている場合に、どのように接続して行くかについて説明する。
【0054】
図8(a)に示すように、電池端子接続部20(電池端子ガイド21及び電池端子接続部ベース22)が電池モジュール210の電池端子211に接続する前の状態において、電池端子接続部20は、電池モジュール210の電池端子211に対して-Y軸方向にずれている状態を示している。この状態で、プローブ23の電池端子側先端は、電池端子ガイド21の端子側端部よりも電池端子接続部ベース22側に位置している。
【0055】
そして、図8(b)に示すように、電池端子接続部20が電池端子211側に押し込まれると、電池端子211は、電池端子ガイド21に設けられたテーパ形状穴21dのテーパ部に当たり、テーパ形状に沿って電池端子接続部20が+Y軸方向に移動する。さらに電池端子接続部20を電池端子211側に押し込むと、図8(c)に示すように、電池端子接続部20がさらに+Y軸方向に移動するとともに、電池端子211がテーパ形状穴21dの底に当たり、電池端子211と電池端子ガイド21のY軸方向のずれが調整される。
【0056】
その後、電池端子接続部20をさらに押し込むと、図8(d)に示すように、電池端子接続部ベース22が電池端子211方向に押し込まれ、プローブ23が電池端子211に接続する。ここで、プローブ23は、プローブ23に取り付けられたプローブスプリング22kにより電池端子211に所定の圧力で接続する。
【0057】
<温度測定治具40の概要>
次に、図1に示した温度測定治具40の概要について説明する。図9は、温度測定治具40の概要を示す図である。図9に示すように、温度測定治具40は、複数の電池モジュール210の各電池モジュール210の温度を測定するために複数のサーミスタ41が装着される。また、温度測定治具40は、各電池モジュール210に付された個体識別用の二次元バーコードを後述する電池ID読取部50で読み取るために電池ID撮像窓47が設けられる。
【0058】
図9(b)は、図9(a)のA-A面の断面図である。図9(b)に示すように、温度測定治具40は、上部プレート42と、下部プレート43と、プレート固定部44と、押しバネ45(請求項の「第3の弾性体」に対応)を有する。上部プレート42には、サーミスタ41を挿入するための上部プレート穴48を有する。下部プレート43には、サーミスタ41を挿入するための下部プレート穴49を有する。
【0059】
サーミスタ41は、押しバネ45と、上部プレート穴48と、下部プレート穴49とを貫通し、電池モジュール210に設けられた図示しない温度測定穴に挿入される。ここで、上部プレート42に設けられた上部プレート穴48及び下部プレート43に設けられた下部プレート穴49は、サーミスタ41がサーミスタ41の挿入方向に垂直な方向(X軸方向及びY軸方向)に移動できるようにサーミスタ41の径よりも大きい径の穴である。
【0060】
また、図9(c)に示すように、電池モジュール210の温度測定穴の位置ずれを吸収するように、下部プレート43に設けられた下部プレート穴49の径は、上部プレート42に設けられた上部プレート穴48の径よりも大きい径とする。温度測定治具40は、電池ユニット200を形成するため複数の電池モジュール210を結合するモジュール結合バー230の上部に設置され、図示しない固定フック46を用いて取り付ける。
【0061】
<電池ID読取部50の概要>
次に、電池ID読取部50の概要について説明する。図10は、電池ID読取部50の概要を示す図である。ここで、電池モジュール210の上部に設置される温度測定治具40は、説明の都合上省略する。
【0062】
図10に示すように、電池ID読取部50は、複数のIDリーダ51を有する。IDリーダ51は、各電池モジュール210の上部に付せられた二次元バーコードを読み取るリーダである。ここでは、2つのIDリーダ51を配し、電池ユニット200を構成する複数の電池モジュール210の二次元バーコードを読み取る。例えば、28個の電池モジュール210が電池ユニット200を構成する場合には、1つのIDリーダ51により14個の電池モジュール210の各二次元バーコードの読み取りを行う。
【0063】
上述してきたように、本実施形態1では、電池測定治具は、電池ユニット200を構成する複数の電池モジュール210の電池端子211をフラットバー30にX、Y軸方向に可動できるように複数の電池端子接続部20を固定し、締結クランプ60を用いて電池端子接続部20を電池端子211に接続して、一度に複数の電池モジュール210の電流電圧特性を測定する。また、電池端子接続部20は、電池端子ガイド21、電池端子接続部ベース22及びプローブ23を有し、電池端子ガイド21には、テーパ形状穴21dを設け、電池端子211がテーパ形状穴21dをガイドとして電池端子接続部20がX軸方向及びY軸方向に移動することにより電池端子接続部20と電池端子211の位置ずれを調整することができる。さらに、プローブ23は、電池端子接続部20と電池端子211の位置ずれ修正後、電池モジュール210の電池端子211に接続するように構成したので、電池端子211の位置調整に要する人的労力を軽減しつつ、効率的に複数の電池の性能を測定できる。
【0064】
<変形例>
次に、電池測定治具の変形例について説明する。ここでは、各電池端子接続部20に接続判定部80をそれぞれ設け、接続判定部80により容易に接続判定が可能にする場合について説明する。
【0065】
<接続判定部80の概要>
図11は、変形例に係る電池測定治具の接続判定部80の概要を示す図である。なお、実施形態1と同様の部位には、同じ符号を付しその詳細な説明は省略する。図11(a)に示すように、接続判定部80は、接続判定バー81と、ゲージ82と、トーションスプリング83(請求項の「第4の弾性体」に対応)と、接続判定バー支持部84を有する。
【0066】
接続判定バー81は、接続判定バー支持部84によって電池端子接続部ベース22に回転できるように取り付ける。また、接続判定バー81は、片端がプローブ23の下部に接触するように設けられ、プローブ23がZ軸方向に押されることにより、接続判定バー81のもう一方の片端が電池端子ガイド21に近づくように回転する。接続判定バー81は、電池端子接続部20が電池モジュール210の電池端子211に接触していない場合には、トーションスプリング83の力により電池端子ガイド21から遠ざかる場所に位置する。
【0067】
電池端子ガイド21が、図11(b)に示すように、電池モジュール210の電池端子211に接触し、電池端子接続部ベース22が電池端子211側に押し込まれると、プローブ23が電池端子211に接触し、プローブ23の電池端子側の反対側の端面が電池端子接続部ベース22の内側に吐出する。接続判定部80の接続判定バー81は、プローブ23が電池端子接続部ベース22の内部において、Z軸方向に押し出されると、ゲージ82に重なるように接続判定バー支持部84を軸に回転する。接続判定バー81は、プローブ23が適正に電池モジュール210の電池端子211に接触すると、ゲージ82の適正接続範囲82aに位置する。
【0068】
一方、図11(c)に示すように、例えば、異物250がプローブ23と電池モジュール210の電池端子211との間に入ると、プローブ23の電池端子側の反対側の端面が、さらに電池端子接続部ベース22の内側に吐出する。この場合には、接続判定部80の接続判定バー81は、接続判定バー支持部84を軸にさらに回転し、ゲージ82の適正接続範囲82aの範囲外に位置し、プローブ23が電池端子211に適正に接続していない状態を確認することができる。なお、電池モジュール210の積層方向(X軸方向)から、複数の接続判定バー81のゲージ82に対する位置に基づいて複数のプローブ23が電池端子211に適正に接続しているか否かを判定することができる。
【0069】
[実施形態2]
ところで、上記実施形態1では、複数の電池モジュール210の複数の電池端子211に電池端子接続部20を接続するために、締結クランプ60を用いて接続する場合について説明したが、実施形態2では、固定ボルト61及び固定ナット62を用いて接続する場合について説明する。なお、実施形態1と同様の部位には、同じ符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0070】
図12は、実施形態2に係る電池測定治具の概要を示す図である。図12に示すように、実施形態2に係る電池測定治具は、複数の電池端子接続部20と、フラットバー30と、位置決め板35と、温度測定治具40と、電池ID読取部50と、固定ボルト61(請求項の「第2の締付部材」に対応)と、固定ナット62と、電池設置台70と、電池ユニット固定枠201とを有する。
【0071】
フラットバー30は、フラットバー30に設けられた貫通穴に固定ボルト61を貫通させ、固定ナット62を用いて電池端子接続部20を電池モジュール210の電池端子211に接続する。
【0072】
上述してきたように、本実施形態2では、フラットバー30に設けられた貫通穴に固定ボルト61を貫通させ、固定ナット62を用いて電池端子接続部20を電池モジュール210の電池端子211に接続するように構成したので、電池測定治具全体が占めるスペースを小さくすることができる。
【0073】
上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る電池測定治具は、電池端子の位置調整に要する人的労力を軽減しつつ、効率的に複数の電池の性能を測定する場合に適している。
【符号の説明】
【0075】
20 電池端子接続部
21 電池端子ガイド
21c 支持スプリング
21d テーパ形状穴
21e、21f プローブ穴
21g 支持スプリング固定突起
21h ガイド溝
21i ガイド抜け止めネジ穴
21k ガイド抜け止めネジ
22 電池端子接続部ベース
22c プローブ穴
22d プローブ固定ナット
22e ガイド突起
22f 支持スプリング挿入穴
22g ケーブル
22h 電池端子接続部ベース固定穴
22i プローブスプリング
23 プローブ
30 フラットバー
31 ボルト
32 ナット
33 ワッシャー
34 取り付け穴
35、35a、35b 位置決め板
40 温度測定治具
41、41a、41b、41c サーミスタ
42 上部プレート
43 下部プレート
44 プレート固定部
45 押しバネ
46 固定フック
47 電池ID撮像窓
48 上部プレート穴
49 下部プレート穴
50 電池ID読取部
51、51a、51b IDリーダ
60 締結クランプ
61 固定ボルト
62 固定ナット
70 電池設置台
80 接続判定部
81 接続判定バー
82 ゲージ
82a 適正接続範囲
83 トーションスプリング
84 接続判定バー支持部
100、100a、100b、100c デジタルマルチメータ
110、110a、100b、100c 定電流電源
120 ノートPC
130 データロガー
140a、140b、140c、140d HUB
150 LAN
200 電池ユニット
201 電池ユニット固定枠
210、210a、210b、210c 電池モジュール
211 電池端子
220 結合プレート
230 モジュール結合バー
240 電池ユニット位置決めネジ
250 異物
【要約】
【課題】電池端子の位置調整に要する人的労力を軽減しつつ、効率的に複数の電池の性能を測定することを課題とする。
【解決手段】電池測定治具10は、フラットバー30にX軸方向及びY軸方向に可動できるように複数の電池端子接続部20を固定し、締結クランプ60を用いて電池端子接続部20を電池端子211に接続して、一度に複数の電池モジュール210の性能を評価する。電池端子接続部20は、電池端子ガイド21、電池接続部ベース22及びプローブ23を有し、電池端子ガイド21には、テーパ形状穴21dを設け、電池端子211がテーパ形状穴21dをガイドとして電池端子接続部20がX軸方向及びY軸方向に可動することにより電池端子接続部20と電池端子211の位置ずれを調整することができる。プローブ23は、Z軸方向に可動でき、電池端子211に対してより確実に接触させることができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12