IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-エレベータの調速機ロープ引上装置 図1
  • 特許-エレベータの調速機ロープ引上装置 図2
  • 特許-エレベータの調速機ロープ引上装置 図3
  • 特許-エレベータの調速機ロープ引上装置 図4
  • 特許-エレベータの調速機ロープ引上装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】エレベータの調速機ロープ引上装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20250108BHJP
   B66B 5/04 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B5/04 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023197625
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】根本 諒
(72)【発明者】
【氏名】安井 丈人
(72)【発明者】
【氏名】木下 透
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-089264(JP,A)
【文献】中国実用新案第201485153(CN,U)
【文献】中国実用新案第211812889(CN,U)
【文献】特開2018-197143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調速機ロープを引き上げて調速機シーブから浮かすためのエレベータの調速機ロープ引上装置であって、
固定構造体と、
前記固定構造体に回転可能に設けられた駆動シーブと、
前記調速機ロープを引き上げる方向とは反対方向に前記駆動シーブが回転することを防止する回転防止機構と、
前記固定構造体に回転可能に設けられた従動シーブであって、前記駆動シーブとの間に前記調速機ロープを挟み込むように配置された従動シーブと、
前記調速機ロープが前記駆動シーブおよび前記従動シーブから押圧力を受けるシーブ押圧位置と、前記調速機ロープが前記駆動シーブおよび前記従動シーブの押圧力から解放されるシーブ解放位置との間で前記従動シーブを移動させる移動機構と、
を備え
前記移動機構は、前記従動シーブを前記駆動シーブに向けて押圧する押圧力付与部材と、前記押圧力付与部材の押圧力に抗して前記駆動シーブから遠ざかる方向に前記従動シーブを移動させる解放機構と、を含み、
前記解放機構は、前記固定構造体に回動可能に設けられた解放力付与部材を更に含み、
前記解放力付与部材は、前記従動シーブの前記シーブ押圧位置に対応するレバー押圧位置と、前記従動シーブの前記シーブ解放位置に対応するレバー解放位置との間で回動可能である、
エレベータの調速機ロープ引上装置。
【請求項2】
前記回転防止機構は、前記駆動シーブと同期して回転可能なラチェット歯車と、前記ラチェット歯車に噛み合うことにより、前記調速機ロープを引き上げる方向とは反対方向への前記駆動シーブの回転を規制する爪と、を含む、
請求項1に記載のエレベータの調速機ロープ引上装置。
【請求項3】
前記駆動シーブを回転駆動する駆動操作レバー、
を更に備えた、請求項1または2に記載のエレベータの調速機ロープ引上装置。
【請求項4】
前記解放力付与部材を回動駆動する解放操作レバー、
を更に備えた、請求項1または2に記載のエレベータの調速機ロープ引上装置。
【請求項5】
前記移動機構は、前記固定構造体に回動可能に支持されるとともに、前記従動シーブを回転可能に支持する支持部材を更に含み、
前記支持部材は、前記押圧力付与部材の押圧力を受けるとともに、前記レバー解放位置に位置づけられた前記解放力付与部材の力を受ける、
請求項1または2に記載のエレベータの調速機ロープ引上装置。
【請求項6】
前記固定構造体は、調速機の取付台座に着脱可能に取り付けられている、
請求項1または2に記載のエレベータの調速機ロープ引上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、エレベータの調速機ロープ引上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの昇降路内を昇降する乗りかごが速度超過した場合に乗りかごを停止させるための調速機が知られている。調速機は、ガバナとも称されており、乗りかごの昇降に連動して走行する調速機ロープが巻き掛けられた調速機シーブを備えている。調速機は、調速機シーブの回転速度から乗りかごの速度超過を検出するように構成されている。速度超過が検出されると、調速機ロープがロープ掴み具で掴まれる。このことにより、調速機ロープの走行が停止し、調速機ロープに連結された非常止め装置が作動する。非常止め装置は、乗りかごの昇降を案内するガイドレールに、乗りかごを停止させる。
【0003】
一方、ロープ掴み具を用いることなく、調速機ロープの走行を停止させる調速機が知られている。このような調速機は、調速機シーブの回転を停止させるシーブ回転停止機構を備えており、調速機シーブの回転を停止させた場合に、調速機ロープと調速機シーブとの間の摩擦力によって調速機ロープの走行が停止する。調速機ロープと調速機シーブとの間の摩擦力を高めるために、調速機ロープの外表面が摩擦材等で被覆される場合がある。
【0004】
調速機の点検時には、調速機シーブを空転させて調速機の動作確認が行われる。このため、点検時には、調速機ロープを調速機シーブから浮かしている。調速機ロープには、錘等によって構成されたテンショナによって、張力が負荷されている。このため、調速機ロープを調速機シーブから浮かせる場合、ハンドバイスを用いて調速機ロープを掴んで引き上げている。この場合、調速機ロープが傷ついて損傷する可能性が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-213512号公報
【文献】特開2020-6485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施の形態は、調速機ロープを引き上げて調速機シーブから浮かす際に調速機ロープの損傷を防止することができるエレベータの調速機ロープ引上装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態によるエレベータの調速機ロープ引上装置は、調速機ロープを引き上げて調速機シーブから浮かすための装置である。エレベータの調速機ロープ引上装置は、固定構造体と、固定構造体に回転可能に設けられた駆動シーブと、調速機ロープを引き上げる方向とは反対方向に駆動シーブが回転することを防止する回転防止機構と、固定構造体に回転可能に設けられた従動シーブであって、駆動シーブとの間に調速機ロープを挟み込むように配置された従動シーブと、移動機構と、を備えている。移動機構は、調速機ロープが駆動シーブおよび従動シーブから押圧力を受けるシーブ押圧位置と、調速機ロープが駆動シーブおよび従動シーブの押圧力から解放されるシーブ解放位置との間で従動シーブを移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施の形態によるエレベータ装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、本実施の形態による調速機ロープ引上装置が、図1に示す調速機の取付台座に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す調速機ロープ引上装置を示す正面図であって、従動シーブがシーブ押圧位置に位置づけられている状態を示す正面図である。
図4図4は、図2に示す調速機ロープ引上装置を示す正面図であって、従動シーブがシーブ解放位置に位置づけられている状態を示す正面図である。
図5図5は、図3および図4に示す解放機構を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態におけるエレベータの調速機ロープ引上装置について説明する。ここではまず、本実施の形態によるエレベータ装置について説明する。
【0010】
図1に示すように、エレベータ装置1は、昇降路H内に配置された乗りかご2および釣合錘3を備えている。乗りかご2と釣合錘3は、主ロープ4を介して連結されている。主ロープ4は、巻上機5に設けられたトラクションシーブ5aに巻き掛けられている。巻上機5が主ロープ4を巻き上げることにより、乗りかご2および釣合錘3が昇降する。主ロープ4は、反らせシーブ6にも巻き掛けられている。巻上機5は、昇降路Hの上方に設けられた機械室M内に設置されている。機械室Mには、図示しないエレベータ制御装置が設置されている。エレベータ制御装置は、巻上機5を含むエレベータ装置1の全体を制御する装置である。例えば、エレベータ制御装置は、乗場呼び、およびかご呼びに応じて巻上機5の運転を制御し、乗りかご2を呼び登録された階床の乗場に着床させる。
【0011】
なお、エレベータ装置1は、図1に示す形態に限られることはない。例えば、いわゆる機械室レスのエレベータ装置であってもよい。すなわち、機械室Mを設けることなく、巻上機5やエレベータ制御装置を昇降路Hの上部等に設けるようにしてもよい。また、主ロープ4に釣合錘3が連結されずに、乗りかご2に連結された主ロープ4を巻上機5が巻き上げるまたは繰り出すようにしてもよい。この場合においても、巻上機5は、主ロープ4を介して乗りかご2を昇降させることができる。すなわち、エレベータ装置1は、釣合錘3を備えていないエレベータ装置であってもよい。
【0012】
図1に示すように、エレベータ装置1は、非常止め装置7と、エレベータの調速機(以下、単に調速機10と記す)と、を備えている。非常止め装置7は、乗りかご2の下部に取り付けられている。非常止め装置7は、連結部材8を介して、後述する調速機ロープ12に連結されている。乗りかご2が速度超過して調速機ロープ12の走行が停止した場合に非常止め装置7は作動し、乗りかご2の昇降を案内するガイドレール(図示せず)に乗りかご2を停止させる。
【0013】
以下、本実施の形態による調速機10について説明する。調速機10は、乗りかご2が速度超過した場合に乗りかご2を停止させるための装置である。図1に示す例においては、調速機10が機械室Mに設けられているが、エレベータ装置1が機械室レスの場合には、昇降路Hの上部等に設けられていてもよい。
【0014】
図1および図2に示すように、調速機10は、筐体11と、調速機ロープ12と、調速機シーブ13と、テンショナ14と、安全装置15と、ロープ把持機構16と、を備えている。
【0015】
筐体11は、図1に示す機械室Mの床に固定されていてもよい。図2に示すように、筐体11は、取付台座17を介して機械室Mの床に固定されていてもよい。取付台座17は、第1台座部材17aと、第2台座部材17bと、を含んでいてもよい。第1台座部材17aが機械室Mの床に固定され、第1台座部材17a上に、第2台座部材17bが固定されていてもよい。機械室レスの場合には、筐体11は、上述したガイドレールに固定されていてもよい。筐体11は、調速機シーブ13を回転可能に支持しているとともに、安全装置15およびロープ把持機構16を支持している。
【0016】
図1に示すように、調速機ロープ12は、乗りかご2に連結されており、乗りかご2の昇降に連動して走行する。より具体的には、調速機ロープ12は、乗りかご2の下部に取り付けられた上述の非常止め装置7に、連結部材8を介して連結されている。このことにより、調速機ロープ12は、乗りかご2の昇降と同期して走行するように構成されている。
【0017】
図2に示すように、調速機シーブ13は、回転軸18を介して筐体11に回転可能に取り付けられている。調速機シーブ13に、調速機ロープ12が巻き掛けられている。調速機シーブ13は、シーブ溝19を含んでいる。シーブ溝19は、調速機ロープ12が挿入されて当接するように構成されている。シーブ溝19の横断面は、U字状に形成されていてもよい。しかしながら、シーブ溝19の横断面は、V字状に形成されていてもよく、任意である。
【0018】
図1に示すように、テンショナ14は、昇降路Hの底部に配置されており、調速機ロープ12に張力を負荷している。テンショナ14は、テンションシーブ20と、テンション錘21と、を含んでいる。テンションシーブ20に調速機ロープ12が巻き掛けられており、テンション錘21は、テンションシーブ20に取り付けられている。テンション錘21の重量によって、調速機ロープ12に張力が負荷され、調速機ロープ12と調速機シーブ13との間の摩擦力を高めている。
【0019】
図2に示すように、調速機シーブ13に、一対の振子22が取り付けられている。振子22は、調速機シーブ13に、回動軸23を介して取り付けられている。一対の振子22は、調速機シーブ13の回転中心に対して回転対称となる位置に配置されている。回動軸23は、振子22の重心に対して偏心している。
【0020】
一方の振子22の重心側の部分と、他方の振子22の重心とは反対側の部分は、連結棒24によって連結されている。重心側の部分に連結棒24が連結された振子22のうちの重心とは反対側の端部は、調速バネ25を介して調速機シーブ13に連結されている。調速バネ25のバネ力は、各振子22が外周側に開こうとする遠心力に抗する力として各振子22に作用する。各振子22は、遠心力と調速バネ25によるバネ力とが釣り合う姿勢になる。
【0021】
安全装置15は、乗りかご2が速度超過した場合に巻上機5の駆動を停止させるように構成されている。より具体的には、安全装置15は、乗りかご2の速度が、通常速度よりも大きい第1の速度に達した場合に作動して、巻上機5の駆動を停止する。例えば、安全装置15は、作動子(図示せず)と、リミットスイッチ26と、を含んでいてもよい。作動子は、調速機シーブ13の振子22に取り付けられている。作動子は、振子22の重心側の端部に取り付けられている。
【0022】
調速機シーブ13の回転数が第1の回転数に達すると、振子22が外周側に開き、作動子は外周側に移動する。このことにより、作動子は、リミットスイッチ26の検知レバー(図示せず)と接触する。リミットスイッチ26は信号を発信して、巻上機5の駆動を停止させるとともに巻上機5のブレーキを作動させる。第1の回転数は、上述した第1の速度に対応しており、通常運転時の調速機シーブ13の回転数よりも大きい。
【0023】
ロープ把持機構16は、乗りかご2が速度超過した場合に調速機ロープ12を把持するように構成されている。より具体的には、乗りかご2の速度が、第1の速度よりも大きい第2の速度に達した場合に作動して、調速機ロープ12を把持し、調速機ロープ12の走行を停止する。
【0024】
ロープ把持機構16は、掴みバネ27を含んでいてもよい。乗りかご2の速度が第2の速度に達した場合に、掴みバネ27のバネ力を用いて一対のロープ掴み(図示せず)が調速機ロープ12を把持するように構成されている。ロープ把持機構により調速機ロープ12が把持されると、非常止め装置7が動作して、乗りかご2の走行を停止する。
【0025】
本実施の形態による調速機10においては、調速機ロープ12の外表面に形成された樹脂材料によって摩擦力が高められていてもよい。樹脂材料の例としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、シリコン樹脂等を挙げることができる。樹脂材料は、耐摩耗性に優れるとともに高摩擦係数を有するポリウレタンであってもよい。樹脂材料は、合成樹脂に限られることはなく、天然ゴムなどの天然樹脂であってもよい。上述したテンション錘21の重量は、調速機ロープ12の外表面に樹脂材料が形成されていない場合のテンション錘21の重量よりも小さくしてもよい。
【0026】
次に、図2図4を用いて、本実施の形態によるエレベータの調速機ロープ引上装置について説明する。本実施の形態によるエレベータの調速機ロープ引上装置(以下、調速機ロープ引上装置30と記す)は、調速機10の点検時等に、調速機ロープ12を引き上げて調速機シーブ13から浮かすための装置である。
【0027】
図2図4に示すように、本実施の形態による調速機ロープ引上装置30は、固定構造体31と、駆動シーブ40と、回転防止機構50と、従動シーブ60と、移動機構70と、を備えている。
【0028】
図2に示すように、固定構造体31は、上述した調速機10の取付台座17の第2台座部材17bに着脱可能に取り付けられている。固定構造体31は、第2台座部材17bに固定するためのボルトBが挿入可能なボルト孔32を含んでいる。このボルトBによって、固定構造体31が、第2台座部材17bに着脱可能になっている。
【0029】
固定構造体31は、L字状に形成されていてもよい。より具体的には、固定構造体31は、第2台座部材17bに当接する基部33と、基部33から上方に延びる壁部34と、を含んでいてもよい。壁部34は、基部33に垂直であってもよい。基部33に、上述したボルト孔32が形成されている。図3および図4に示すように、基部33には、調速機ロープ12を通すための切欠部35が形成されている。
【0030】
駆動シーブ40は、固定構造体31の壁部34に回転可能に設けられている。駆動シーブ40は、駆動軸41を介して壁部34に回転可能に支持されている。駆動軸41は壁部34に対して回転可能に取り付けられ、駆動シーブ40は、駆動軸41とともに回転可能になっていてもよい。駆動シーブ40の回転中心軸線は、壁部34に対して垂直であってもよく、基部33に平行であってもよい。駆動シーブ40は、固定構造体31の基部33の上方に配置されている。
【0031】
駆動シーブ40は、調速機ロープ12が挿入される駆動シーブ溝(図示せず)を含んでいる。駆動シーブ溝の横断面は、上述したシーブ溝19と同様にU字状に形成されていてもよい。しかしながら、駆動シーブ溝の横断面は、V字状に形成されていてもよい。
【0032】
図3および図4に示すように、回転防止機構50は、調速機ロープ12を引き上げる方向Pとは反対方向Qに駆動シーブ40が回転することを防止するように構成されている。駆動シーブ40の調速機ロープ12を引き上げる方向Pは、図3および図4に示す時計回りとは反対方向である。回転防止機構50は、駆動シーブ40が方向Qに回転することを防止する。
【0033】
回転防止機構50は、図3および図4に示すように、ラチェット歯車51と、爪52と、を含んでいる。ラチェット歯車51は、駆動シーブ40と同期して回転可能になっており、駆動シーブ40と一体に回転するように構成されている。ラチェット歯車51は、駆動シーブ40に固定されていてもよい。爪52は、ラチェット歯車51に噛み合うことにより、上述した方向Qへの駆動シーブ40の回転を規制する。図3に示すように、爪52は、ラチェット歯車51の歯51aの間に形成された凹部51bに挿入されることにより、ラチェット歯車51に噛み合うことができる。このことにより、方向Qへの駆動シーブ40の回転を防止することができる。図3および図4に示す例では、爪52の個数が2個であるが、爪52の個数は3個以上でもよく、任意である。
【0034】
従動シーブ60は、固定構造体31の壁部34に回転可能に設けられている。従動シーブ60は、従動軸61を介して、後述する支持部材73に回転可能に支持されている。従動軸61は支持部材73に対して回転可能に取り付けられ、従動シーブ60は、従動軸61とともに回転可能になっていてもよい。従動シーブ60の回転中心軸線は、駆動シーブ40の回転中心軸線に平行であってもよい。
【0035】
従動シーブ60は、壁部34に対して駆動シーブ40と同じ側に配置されている。従動シーブ60は、駆動シーブ40との間に調速機ロープ12を挟み込むように配置されている。従動シーブ60は、シーブ押圧位置(図3参照)とシーブ解放位置(図4参照)との間で移動可能になっている。
【0036】
従動シーブ60は、調速機ロープ12が挿入される従動シーブ溝(図示せず)を含んでいる。従動シーブ溝の横断面は、上述した駆動シーブ溝の横断面と同様に形成されていてもよい。
【0037】
図3および図4に示すように、移動機構70は、シーブ押圧位置とシーブ解放位置との間で従動シーブ60を移動させるように構成されている。図3に示すように、従動シーブ60がシーブ押圧位置に位置づけられる場合、従動シーブ60が駆動シーブ40に近づく。この場合、調速機ロープ12が駆動シーブ40と従動シーブ60とにより挟持され、駆動シーブ40および従動シーブ60から押圧力を受ける。図4に示すように、従動シーブ60がシーブ解放位置に位置づけられる場合、従動シーブ60は駆動シーブ40から遠ざかる。この場合、調速機ロープ12が、駆動シーブ40および従動シーブ60の押圧力から解放される。
【0038】
図3および図4に示すように、移動機構70は、第1ブロック体71と、押圧力付与部材72と、支持部材73と、解放機構80と、を含んでいる。
【0039】
第1ブロック体71は、固定構造体31の壁部34に固定されている。第1ブロック体71は、壁部34に対して、従動シーブ60と同じ側に配置されており、壁部34と従動シーブ60との間に配置されている。
【0040】
押圧力付与部材72は、従動シーブ60を駆動シーブ40に向けて押圧するように構成されている。押圧力付与部材72は、コイルバネで構成されていてもよい。コイルバネの弾性力によって押圧力付与部材72は従動シーブ60に押圧力を与えてもよい。押圧力付与部材72は、第1ブロック体71と、後述する支持部材73との間に配置されていてもよい。押圧力付与部材72の一端部は第1ブロック体71に当接し、他端部は支持部材73に当接していてもよい。押圧力付与部材72が、コイルバネで構成されている場合、図5に示すように、第1ブロック体71と支持部材73との間に配置されたピン74にガイドされていてもよい。ピン74は、支持部材73または第1ブロック体71に固定されていてもよい。
【0041】
図3および図4に示すように、支持部材73は、固定構造体31の壁部34に回動可能に支持されている。支持部材73は、壁部34に対して、従動シーブ60と同じ側に配置されており、壁部34と従動シーブ60との間に配置されている。支持部材73は、第1ブロック体71よりも駆動シーブ40の側に配置されている。支持部材73は、上述した従動軸61を回転可能に支持しており、従動シーブ60を回転可能に支持している。
【0042】
支持部材73は、シーブ押圧位置とシーブ解放位置との間で従動シーブ60が移動可能となるように、壁部34に対して回動可能になっている。より具体的には、支持部材73は、支持軸75を介して、壁部34に回動可能に支持されている。支持部材73は、上下方向を長手方向とする直方体状に形成されており、支持軸75は、支持部材73の下部に配置されている。支持軸75は、ボルトによって構成されていてもよい。この場合、支持軸75は、支持部材73が壁部34に対して回動可能となるように支持部材73および壁部34に取り付けられている。上述した従動軸61は、支持部材73の上部に配置されている。このことにより、従動軸61および従動シーブ60は、支持軸75を中心にして回動することができ、従動シーブ60は、シーブ押圧位置とシーブ解放位置との間で移動することができる。本実施の形態においては、従動シーブ60がシーブ押圧位置に位置づけられている場合に支持部材73が斜めの姿勢になり、従動シーブ60がシーブ解放位置に位置づけられている場合に支持部材73が垂直な姿勢になっている。しかしながら、従動シーブ60がいずれの位置においても支持部材73の姿勢は任意である。
【0043】
支持部材73は、上述した押圧力付与部材72の押圧力を受けるとともに、後述する解放力付与部材82の解放力を受けるように構成されている。図5に示すように、支持部材73の一方の側面73aには、上述した押圧力付与部材72の一端部が当接している。押圧力付与部材72は、上述した従動軸61の側方に配置されていてもよい。支持部材73の反対側に配置された他方の側面73bには、後述する板バネ83の第2端部83bが当接している。板バネ83の第2端部83bは、従動軸61の側方に配置されていてもよい。
【0044】
図3および図4に示すように、解放機構80は、上述した押圧力付与部材72の押圧力に抗して駆動シーブ40から遠ざかる方向に従動シーブ60を移動させるように構成されている。解放機構80は、第2ブロック体81と、解放力付与部材82と、板バネ83と、を含んでいる。
【0045】
第2ブロック体81は、固定構造体31の壁部34に固定されている。第2ブロック体81は、壁部34に対して、第1ブロック体71および支持部材73と同じ側に配置されており、壁部34と従動シーブ60との間に配置されている。第2ブロック体81は、支持部材73よりも駆動シーブ40の側に配置されている。
【0046】
解放力付与部材82は、固定構造体31の壁部34に回動可能に設けられている。解放力付与部材82は、第2ブロック体81と、上述した支持部材73との間に配置されていてもよい。解放力付与部材82は、壁部34に対して、第2ブロック体81および支持部材73と同じ側に配置されている。
【0047】
図5に示すように、解放力付与部材82は、レバー回動軸82aと、レバー回動軸82aから互いに反対側に延びる一対の羽根部82bと、を含んでいてもよい。レバー回動軸82aは、壁部34に対して回動可能に取り付けられ、一対の羽根部82bとともに回動可能になっていてもよい。解放力付与部材82の回動中心軸線は、壁部34に対して垂直であってもよい。
【0048】
図3および図4に示すように、解放力付与部材82は、従動シーブ60のシーブ押圧位置に対応するレバー押圧位置(図3参照)と、従動シーブ60のシーブ解放位置に対応するレバー解放位置(図4参照)との間で回動可能になっている。解放力付与部材82は、板バネ83の弾性力に抗してレバー解放位置に位置づけられる。解放力付与部材82がレバー押圧位置に位置づけられている場合、従動シーブ60がシーブ押圧位置に位置づけられる。解放力付与部材82がレバー解放位置に位置づけられている場合、従動シーブ60がシーブ解放位置に位置づけられる。解放力付与部材82は、図3図5に示す時計回りとは反対方向に回動することにより、レバー押圧位置からレバー解放位置に回動する。解放力付与部材82は、レバー解放位置に位置づけられている場合に、図示しないロック機構によってロックされていてもよい。このことにより、解放力付与部材82が、レバー解放位置から回動することを防止できる。例えば、ロック機構は、解放力付与部材82が逆回転することを防止可能なロック固定ピン(図示せず)で構成されていてもよい。ロック固定ピンは、ボタンなどでロックを解除可能になっていてもよい。あるいは、ロック機構は、ラチェット機構(図示せず)で構成されていてもよい。
【0049】
板バネ83は、第2ブロック体81と支持部材73との間に配置されている。板バネ83は、折り曲げられていてもよい。より具体的には、図5に示すように、板バネ83は、第2ブロック体81に当接する第1端部83aと、支持部材73に当接する第2端部83bと、折り返し部83cと、を含んでいる。第1端部83aと第2端部83bとの間に、上述した解放力付与部材82が配置されている。板バネ83の折り返し部83cは、第1端部83aと第2端部83bとの間であって、第1端部83aおよび第2端部83bの下方に配置されている。折り返し部83cは、壁部34に固定されたバネ固定部84に取り付けられている。バネ固定部84は、例えば、板バネ固定ピンまたは板バネ固定ボルト等で構成されていてもよい。
【0050】
図3に示すように、解放力付与部材82がレバー押圧位置に位置づけられている場合、解放力付与部材82の一対の羽根部82bは、上下方向または上下方向に近い方向に沿うように配置される。このことにより、板バネ83は、板バネ83の弾性力によって折り畳まれて、板バネ83の第2端部83bが解放力付与部材82に当接する。支持部材73は、押圧力付与部材72の押圧力によって、第2端部83bに当接する位置まで回動する。このため、従動シーブ60が駆動シーブ40に近づき、従動シーブ60はシーブ押圧位置に位置づけられる。
【0051】
一方、図4および図5に示すように、解放力付与部材82がレバー解放位置に位置づけられている場合、板バネ83の弾性力に抗して、解放力付与部材82の一対の羽根部82bは、支持部材73に押圧力を与える。この場合、解放力付与部材82の一方の羽根部82bは、板バネ83の第1端部83aに当接し、他方の羽根部82bは、板バネ83の第2端部83bに当接する。板バネ83は、弾性変形してV字状に開く。このことにより、支持部材73に、解放力付与部材82から力が与えられる。このため、従動シーブ60は、支持部材73とともに駆動シーブ40から遠ざかる方向に移動し、従動シーブ60がシーブ解放位置に位置づけられる。
【0052】
本実施の形態による調速機ロープ引上装置30は、駆動操作レバー90と、解放操作レバー91と、を更に備えていてもよい。駆動操作レバー90は、駆動シーブ40を回転駆動するための操作レバーである。駆動操作レバー90は、上述した駆動軸41に連結可能に構成されている。駆動操作レバー90を図3に示す矢印の方向D1に操作することにより、駆動シーブ40を回転駆動して、調速機ロープ12を引き上げることができる。解放操作レバー91は、解放力付与部材82を回動駆動するための操作レバーである。解放操作レバー91は、上述した解放力付与部材82のレバー回動軸82aに連結可能に構成されている。解放操作レバー91を図3に示す矢印の方向D2に操作することにより、解放力付与部材82を回動駆動してレバー押圧位置に位置づけることができる。解放操作レバー91を図4に示す矢印の方向D3に操作することにより、解放力付与部材82を回動駆動して、レバー解放位置に位置づけることができる。
【0053】
本実施の形態による調速機ロープ引上装置30は、調速機10の点検時に、上述した取付台座17の第2台座部材17bに取り付け、点検終了後に、第2台座部材17bから取り外してもよい。しかしながら、エレベータの通常運転中であっても、調速機ロープ引上装置30が第2台座部材17bに取り付けられていてもよい。この場合、従動シーブ60は、シーブ解放位置に位置づけられていてもよい。
【0054】
次に、このような構成からなる本実施の形態による調速機ロープ引上装置30を用いて、調速機10の点検時に調速機ロープ12を引き上げる方法について説明する。ここでは、エレベータの通常運転中には、調速機ロープ引上装置30が取付台座17に取り付けられていない場合を例にとって説明する。
【0055】
まず、図2に示すように、調速機ロープ引上装置30が、調速機10の取付台座17の第2台座部材17bに取り付けられる。より具体的には、固定構造体31がボルトBを用いて第2台座部材17bに取り付けられる。この場合、駆動シーブ40と従動シーブ60との間に調速機ロープ12が挟み込まれるように、調速機ロープ引上装置30が配置される。
【0056】
続いて、解放操作レバー91が解放力付与部材82のレバー回動軸82aに連結されて、解放操作レバー91が作業者によって操作される。解放操作レバー91は、図3に示す矢印の方向D2に操作される。このことにより、解放力付与部材82が、レバー押圧位置に位置づけられる。解放力付与部材82は、板バネ83の弾性力によって、レバー押圧位置に維持される。
【0057】
支持部材73は、解放力付与部材82の解放力から解放され、押圧力付与部材72の押圧力を受けて回動する。従動シーブ60は、シーブ押圧位置に位置づけられる。このことにより、調速機ロープ12が、駆動シーブ40と従動シーブ60とにより挟持され、駆動シーブ40および従動シーブ60から押圧力を受ける。
【0058】
次に、駆動操作レバー90が駆動シーブ40の駆動軸41に連結されて、駆動操作レバー90が作業者によって操作される。駆動操作レバー90は、図3に示す矢印の方向D1に操作される。このことにより、駆動シーブ40および従動シーブ60によって押圧されている調速機ロープ12が、駆動操作レバー90の回転に伴って引き上げられる。調速機ロープ12は、調速機10の調速機シーブ13から浮いて調速機シーブ13が空転可能になるまで、引き上げられる。回転防止機構50によって、駆動シーブ40が図3に示す方向Qに回転することが防止されているため、調速機ロープ12を引き上げた状態で保持することができる。このため、調速機ロープ12が下降することを防止できる。
【0059】
その後、調速機10の動作確認を行う。
【0060】
調速機10の動作確認の終了後、まず、調速機ロープ12が調速機シーブ13のシーブ溝19の上方に配置される。
【0061】
続いて、解放操作レバー91が作業者によって操作される。解放操作レバー91は、図4に示す矢印の方向D3に操作される。このことにより、解放力付与部材82が、板バネ83の弾性力に抗して、レバー押圧位置からレバー解放位置に回動する。板バネ83は、弾性変形してV字状に開き、解放力付与部材82による解放力が支持部材73に与えられる。
【0062】
支持部材73は、押圧力付与部材72の押圧力に抗して回動し、従動シーブ60は、シーブ解放位置に位置づけられる。調速機ロープ12は駆動シーブ40から離れ、従動シーブ60が調速機ロープ12から離れる。このことにより、調速機ロープ12が、駆動シーブ40および従動シーブ60の押圧力から解放されて下降し、調速機シーブ13(図2参照)のシーブ溝19に挿入される。
【0063】
その後、調速機ロープ引上装置30が、調速機10の第2台座部材17bから取り外される。このようにして、調速機10の点検作業が終了し、エレベータの通常運転が可能になる。
【0064】
このように本実施の形態によれば、移動機構70によって従動シーブ60がシーブ押圧位置に移動して、調速機ロープ12が駆動シーブ40および従動シーブ60から押圧力を受ける。駆動シーブ40が、調速機ロープ12を引き上げる方向Pに回転することにより、調速機ロープ12を引き上げることができる。駆動シーブ40は、回転防止機構50によって調速機ロープ12を引き上げる方向とは反対方向Qに回転することが防止されているため、調速機ロープ12を引き上げた状態で保持することができる。このため、調速機ロープ12を調速機10の調速機シーブ13から浮かすことができる。このように本実施の形態では、調速機ロープ12を掴んで引き上げるための図示しないハンドバイス等を用いることを不要にすることができる。この結果、調速機ロープ12を引き上げて調速機シーブ13から浮かす際に調速機ロープ12の損傷を防止することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、回転防止機構50は、駆動シーブ40と同期して回転可能なラチェット歯車51と、ラチェット歯車51に噛み合うことにより、調速機ロープ12を引き上げる方向とは反対方向Qへの駆動シーブ40の回転を規制する爪52と、を含んでいる。このことにより、調速機ロープ12が下降する方向Qへラチェット歯車51が回転することを爪52によって防止することができる。このため、駆動シーブ40が、調速機ロープ12を引き上げる方向とは反対方向Qに回転することを防止することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、駆動シーブ40が、駆動操作レバー90によって回転駆動される。このことにより、作業者は、駆動操作レバー90を用いて駆動シーブ40を容易に回転駆動することができ、調速機ロープ12を容易に引き上げることができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、移動機構70は、従動シーブ60を駆動シーブ40に向けて押圧する押圧力付与部材72と、押圧力付与部材72の押圧力に抗して駆動シーブ40から遠ざかる方向に従動シーブ60を移動させる解放機構80と、を含んでいる。このことにより、押圧力付与部材72の押圧力によって従動シーブ60をシーブ押圧位置に位置づけることができるとともに、解放機構80によって従動シーブ60をシーブ解放位置に位置づけることができる。このため、従動シーブ60をシーブ押圧位置とシーブ解放位置との間で容易に移動させることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、解放機構80の解放力付与部材82が、従動シーブ60のシーブ押圧位置に対応するレバー押圧位置と、従動シーブ60のシーブ解放位置に対応するレバー解放位置との間で回動可能になっている。このことにより、解放力付与部材82によって、従動シーブ60をシーブ押圧位置またはシーブ解放位置に位置づけることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、解放力付与部材82が、解放操作レバー91によって回動駆動される。このことにより、作業者は、解放操作レバー91を用いて解放力付与部材82を容易に回動駆動することができ、従動シーブ60をシーブ押圧位置またはシーブ解放位置に容易に位置づけることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、移動機構70の支持部材73は、固定構造体31に回動可能に支持されるとともに、従動シーブ60を回転可能に支持している。支持部材73は、押圧力付与部材72の押圧力を受けるとともに、レバー解放位置に位置づけられた解放力付与部材82の解放力を受ける。このことにより、支持部材73は、押圧力付与部材72の押圧力によって従動シーブ60をシーブ押圧位置に位置づけることができるとともに、レバー解放位置に位置づけられた解放力付与部材82の解放力によって従動シーブ60をシーブ解放位置に位置づけることができる。このため、従動シーブ60を、シーブ押圧位置とシーブ解放位置との間で容易に移動させることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、固定構造体31は、調速機10の取付台座17に着脱可能に取り付けられている。このことにより、調速機10の点検時に調速機ロープ引上装置30を取付台座17に取り付けることができ、調速機10の点検終了後に調速機ロープ引上装置30を取付台座17から取り外すことができる。
【0072】
以上述べた実施の形態によれば、調速機ロープ12を引き上げて調速機シーブ13から浮かす際に調速機ロープ12の損傷を防止することができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10:調速機、12:調速機ロープ、13:調速機シーブ、17:取付台座、30:調速機ロープ引上装置、31:固定構造体、40:駆動シーブ、50:回転防止機構、51:ラチェット歯車、52:爪、60:従動シーブ、70:移動機構、72:押圧力付与部材、73:支持部材、80:解放機構、82:解放力付与部材、90:駆動操作レバー、91:解放操作レバー、
【要約】
【課題】調速機ロープを引き上げて調速機シーブから浮かす際に調速機ロープの損傷を防止することができるエレベータの調速機ロープ引上装置を提供する。
【解決手段】実施の形態によるエレベータの調速機ロープ引上装置は、固定構造体と、固定構造体に回転可能に設けられた駆動シーブと、調速機ロープを引き上げる方向とは反対方向に駆動シーブが回転することを防止する回転防止機構と、固定構造体に回転可能に設けられた従動シーブであって、駆動シーブとの間に調速機ロープを挟み込むように配置された従動シーブと、移動機構と、を備えている。移動機構は、調速機ロープが駆動シーブおよび従動シーブから押圧力を受けるシーブ押圧位置と、調速機ロープが駆動シーブおよび従動シーブの押圧力から解放されるシーブ解放位置との間で従動シーブを移動させる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5