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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
B66B3/00 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023214450
(22)【出願日】2023-12-20
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薬師寺 航平
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特許第7513176(JP,B1)
【文献】特開2021-190913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごのドアが戸開すると、前記乗りかごに乗車する利用者の顔と服装の一部とを少なくとも含む画像を撮影するカメラと、
所定のサービスを利用するサービス利用者によって所持される情報端末と、
前記サービス利用者の特徴を示す特徴情報を予め記憶する特徴情報記憶手段と、
前記カメラによって撮影された画像に映る利用者の特徴情報を抽出する特徴情報抽出手段と、
前記特徴情報抽出手段によって抽出された特徴情報を、前記特徴情報記憶手段に予め記憶された特徴情報と照合し、前記画像に映る利用者が前記サービス利用者であるか否かを判別するサービス利用者判別手段と、
前記画像に映る利用者が前記サービス利用者であると判別された場合、前記所定のサービスとして、当該画像の画像データを前記情報端末に送信する画像送信手段と、
を具備する、エレベータシステム。
【請求項2】
前記特徴情報記憶手段は、前記サービス利用者の顔に関する特徴情報を予め記憶し、
前記特徴情報抽出手段は、前記画像に映る利用者の顔に関する特徴情報を抽出し、
前記サービス利用者判別手段は、前記画像に映る利用者の顔に関する特徴情報と、前記サービス利用者の顔に関する特徴情報とを照合し、前記画像に映る利用者が前記サービス利用者であるか否かを判別する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記画像送信手段は、前記サービス利用者が映る画像から前記サービス利用者個人を特定可能な部分が削除された状態の画像の画像データを、他のサービス利用者によって所持される他の情報端末に送信する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記画像送信手段は、前記サービス利用者個人を特定可能な部分が削除された状態の画像として、前記サービス利用者の服装部分のみが映る画像の画像データを、前記他の情報端末に送信する、
請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記サービス利用者が映る画像の画像データと、当該サービス利用者を識別するための識別情報と対応づけて記憶する画像記憶手段をさらに具備し、
前記情報端末には、前記画像記憶手段に記憶された画像データがリスト形式で表示される、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記情報端末には、前記サービス利用者によって入力された日時および地域の天気、温度、湿度または雨雲情報のうちの少なくとも1つを含む環境データが、前記画像データのリストに加えて表示される、
請求項5に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記画像送信手段は、前記サービス利用者が映る画像に他の利用者または他のサービス利用者が映り込んでいる場合、当該画像から当該サービス利用者が映っている部分以外が削除された状態の画像の画像データを、前記情報端末に送信する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記サービス利用者が映る画像の画像データと、当該サービス利用者を識別するための識別情報と、当該画像が撮影された日の天候を示す天候データとを対応づけて記憶する画像記憶手段と、
前記サービス利用者によって予め設定された地域の当日の天候を示す天候データを収集する天候データ収集手段と、
前記画像記憶手段に記憶された画像データのうち、前記天候データ収集手段によって収集された天候データにより示される天候と類似する天候を示す天候データに対応づけられた画像データを前記情報端末に送信する推奨服装画像送信手段と、
をさらに具備する、請求項1に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像から各種の情報を収集する技術が知られている。その一つに、街中に設置されたカメラによって撮影された画像から、当該画像に映る人物の服装に関する情報(例えば、画像に映る人物が着用している衣服の種別や形状、色彩を示す情報)を収集・解析し、流行している服装(ファッショントレンド)をユーザに提供する技術が知られている。
【0003】
ところで、毎日の服装の選択に悩む人は少なくない。上記した技術では、ファッショントレンドを知ることはできるものの、例えばユーザ個人が日々どのような衣服を着用しているかなど、ユーザ個人の服装を管理(チェック)することはできないため、上記した悩みを解消することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6089157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、エレベータに設置されたカメラを用いて、ユーザ個人の服装を管理するサービスを提供することが可能なエレベータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るエレベータシステムは、乗りかごのドアが戸開すると、前記乗りかごに乗車する利用者の顔と服装の一部とを少なくとも含む画像を撮影するカメラと、所定のサービスを利用するサービス利用者によって所持される情報端末と、前記サービス利用者の特徴を示す特徴情報を予め記憶する特徴情報記憶手段と、前記カメラによって撮影された画像に映る利用者の特徴情報を抽出する特徴情報抽出手段と、前記特徴情報抽出手段によって抽出された特徴情報を、前記特徴情報記憶手段に予め記憶された特徴情報と照合し、前記画像に映る利用者が前記サービス利用者であるか否かを判別するサービス利用者判別手段と、前記画像に映る利用者が前記サービス利用者であると判別された場合、前記所定のサービスとして、当該画像の画像データを前記情報端末に送信する画像送信手段と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示す図である。
図2図2は、同実施形態におけるエレベータシステムにおいて実行される個人情報および特徴情報を登録する処理を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、同実施形態におけるエレベータシステムにおいて実行されるサービス利用者に画像データを提供する処理を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、同実施形態における服装管理アプリの画面例を示す図である。
図5図5は、第2実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示す図である。
図6図6は、同実施形態におけるエレベータシステムにおいて実行されるサービス利用者に推奨服装の画像データを提供する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
以下においては、エレベータを利用する利用者に対して、エレベータに設置されたカメラを用いた服装管理サービスを提供することが可能なエレベータシステムについて説明する。服装管理サービスとは、エレベータに乗車した際の利用者の服装の画像(服装画像)を、当該利用者が所持する情報端末において管理・閲覧することを可能にするサービスである。なお、本明細書においては、エレベータを利用する利用者(換言すると、後述する乗りかごに乗車する利用者)を単に「利用者」と表記し、エレベータを利用する利用者のうち、上記した服装管理サービスを利用する利用者を「サービス利用者」と表記して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示す図である。
図1に示すように、乗りかご11の出入口上部にはカメラ12が設置されている。具体的には、カメラ12は、乗りかご11の出入口上部を覆う幕板11aの中にレンズ部分を直下方向に向けて設置されている。カメラ12は、例えば魚眼レンズ等の超広角レンズを有し、180度以上の視野角で乗りかご11内および乗場15を含む撮影対象を広範囲に撮影する。カメラ12は、1秒間に数コマ(例えば、30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。カメラ12は、乗りかご11に乗車する利用者の顔と服装の一部とを少なくとも含む画像を撮影する。好ましくは、カメラ12は、乗りかご11に乗車する利用者の全身(顔と全服装)を含む画像を撮影する。
【0011】
なお、カメラ12の設置場所は、乗りかご11の出入口上部でなくてもよい。例えば、カメラ12は、乗りかご11の天井面や背面側の側板、乗場15の壁面などに設置されていてもよい。また、カメラ12の設置個数は、1つ以上であればよく、複数のカメラ12が各所に設置されてもよい。複数のカメラ12が各所に設置されることで、乗りかご11に乗車する利用者を様々な角度から撮影することができるため、より高品質な服装管理サービスを提供することが可能である。
【0012】
各階の乗場15において、乗りかご11の到着口には乗場ドア14が開閉自在に設置されている。乗場ドア14は、乗りかご11の到着時にかごドア13に係合して開閉動作する。なお、動力源(ドアモータ)は乗りかご11側にあり、乗場ドア14はかごドア13に追従して開閉するだけである。
【0013】
本実施形態において、サービス利用者によって所持される情報端末20(例えば、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータなど)には、服装管理サービスを利用するためのアプリケーション(以下、服装管理アプリと表記)20aが予めインストールされる。なお、服装管理アプリ20aは、例えば、エレベータシステムの関連企業によって開発されたアプリケーションであり、情報端末20のOS(Operating System)に依存するWebサイトから自由にダウンロードすることができる。
【0014】
詳細については後述するが、サービス利用者は、服装管理サービスを利用するために服装管理アプリ20aにおいて、服装画像を含む画像の画像データの送信先(例えば、情報端末20に設定されたメールアドレス)と、自身の顔画像とを含む個人情報の登録を事前に行う。なお、個人情報には、上記した画像データを送信するタイミングに関する情報がさらに含まれていてもよい。
【0015】
特徴情報記憶装置30は、サービス利用者によって事前に登録された個人情報と、当該個人情報に含まれる顔画像から抽出される各種特徴点(例えば、目、鼻、口など)の位置関係や各種特徴点の形状を示す特徴情報とを対応づけて記憶している。なお、特徴情報記憶装置30は、クラウド上のサーバ装置であってもよいし、乗りかご11が設置された建物内の管理人室やサーバルームに設置されたサーバ装置であってもよいし、後述する画像処理装置40に内蔵される記憶装置であってもよい。
【0016】
カメラ12によって撮影された画像は、画像処理装置40によって解析処理される。
図1に示すように、画像処理装置40は、特徴情報抽出部41と、サービス利用者判別部42と、画像送信部43と、を備えている。
【0017】
特徴情報抽出部41は、カメラ12によって撮影された画像に映る利用者の特徴情報を抽出する。より詳しくは、特徴情報抽出部41は、カメラ12によって撮影された画像に映る利用者の顔部分(顔画像)を抽出し、抽出された顔部分から、各種特徴点(例えば、目、鼻、口など)の位置関係や各種特徴点の形状を示す特徴情報を抽出する。
【0018】
また、特徴情報抽出部41は、カメラ12によって撮影された画像に映る利用者の服装部分(服装画像)を抽出し、抽出された服装部分から、当該服装(衣服)の種別や形状、色彩を示す服装情報を抽出する。
【0019】
サービス利用者判別部42は、特徴情報抽出部41によって抽出された特徴情報を、特徴情報記憶装置30に予め登録(記憶)された特徴情報と照合し、乗りかご11に乗車する利用者であって、特徴情報抽出部41によって抽出された特徴情報に対応する利用者がサービス利用者であるか否かを判別する。
【0020】
画像送信部43は、特徴情報抽出部41によって抽出された特徴情報に対応する利用者がサービス利用者であると判別された場合に、当該特徴情報に対応する顔画像と共に抽出された服装画像を含む画像の画像データを、当該サービス利用者によって事前に登録された個人情報に含まれる送信先(例えば、情報端末20に設定されたメールアドレス)に送信する。
【0021】
ここで、図2のフローチャートを参照して、服装管理サービスを利用するために必要な処理であって、特徴情報記憶装置30に個人情報および特徴情報を登録する処理について説明する。
【0022】
まず、情報端末20には、服装管理アプリ20aがサービス利用者によってインストールされる(ステップS1)。
【0023】
個人情報の登録が完了していない状態で服装管理アプリ20aが起動されると、情報端末20のディスプレイには、服装管理サービスを利用するために必要な個人情報を登録するための画面が表示される。情報端末20は、各種入力インタフェースを用いたサービス利用者による個人情報の入力(例えば、メールアドレスの入力と、顔画像の添付)を受け付けると(ステップS2)、当該個人情報を画像処理装置40に送信する(ステップS3)。
【0024】
画像処理装置40は、情報端末20によって送信された個人情報を受信すると、当該個人情報に含まれる顔画像から、各種特徴点の位置関係や各種特徴点の形状を示す特徴情報を抽出し、抽出された特徴情報を、受信された個人情報に対応づけて特徴情報記憶装置30に登録する(ステップS4)。
【0025】
以上説明した図2に示す一連の処理が実行されることにより、服装管理サービスを利用するために必要な個人情報および特徴情報の登録が完了する。
【0026】
次に、図3のフローチャートを参照して、サービス利用者に服装画像を含む画像の画像データを提供する処理(つまり、サービス利用者に対して服装管理サービスを提供する際に実行される処理)について説明する。
【0027】
利用者による呼び登録操作に応じて乗場呼びが登録され、乗りかご11が乗車階に到着し、当該乗りかご11のかごドア13が戸開すると(ステップS11)、カメラ12は、当該乗りかご11に乗車する利用者を含む画像を連続的に撮影する(ステップS12)。カメラ12によって連続的に撮影された画像は、画像処理装置40に随時送られる。
【0028】
画像処理装置40の特徴情報抽出部41は、カメラ12によって撮影された画像の1つに映る利用者の顔部分(顔画像)および服装部分(服装画像)を抽出する(ステップS13)。
【0029】
続いて、特徴情報抽出部41は、顔画像および服装画像が正常に抽出されたか否かを確認し(ステップS14)、顔画像および服装画像が正常に抽出されていないことが確認された場合(ステップS14のNo)、カメラ12による画像の撮影が失敗したとして、ステップS13の処理に戻り、カメラ12によって撮影された次の画像を対象にして、顔画像および服装画像の抽出を行う。
【0030】
一方、ステップS14の処理において、顔画像および服装画像が正常に抽出されたことが確認された場合(ステップS14のYes)、特徴情報抽出部41は、抽出した顔画像から、各種特徴点の位置関係や各種特徴点の形状を示す特徴情報を抽出する(ステップS15)。抽出された特徴情報は、サービス利用者判別部42に送られる。
【0031】
次に、サービス利用者判別部42は、ステップS15の処理において抽出された特徴情報を、特徴情報記憶装置30に予め登録されている特徴情報と照合し、カメラ12によって撮影された画像に映る利用者(換言すると、ステップS15の処理において抽出された特徴情報に対応する利用者)がサービス利用者であるか否かを判別する(ステップS16)。なお、ステップS16の処理において、画像に映る利用者がサービス利用者でないと判別された場合(ステップS16のNo)、当該利用者に対して服装管理サービスは提供されないため、ここでの一連の処理を終了させる。
【0032】
一方、ステップS16の処理において、画像に映る利用者がサービス利用者であると判別された場合(ステップS16のYes)、画像送信部43は、カメラ12によって撮影された画像の画像データ(より詳しくは、ステップS13の処理において抽出された服装画像を含む画像の画像データ)を、当該サービス利用者によって事前に登録された個人情報に含まれる送信先(つまり、情報端末20)に送信し(ステップS17)、ここでの一連の処理を終了させる。
【0033】
以上説明した図3に示す一連の処理が実行されることにより、サービス利用者は、情報端末20にインストールされた服装管理アプリ20a上で、ステップS17の処理において画像処理装置40から送信された画像データにより示される画像(服装画像)を管理・閲覧することができる(図4参照)。なお、図4では、服装管理アプリ20aの画面例として、画像データによって示される画像(服装画像)と、当該画像の撮影日(つまり、サービス利用者が当該画像の服装であった日付)とが対応づけて表示される服装リスト画面100を示している。服装リスト画面100において、サービス利用者は、特定の画像をお気に入りの服装として登録することや、特定の画像を不要な画像として削除することもできる。
【0034】
以上説明したように、サービス利用者は、服装リスト画面100に表示される服装画像を閲覧することで、自身の過去の服装を参考にして、毎日の服装を選択することができる。これによれば、サービス利用者の服装に対する満足度を向上させることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、服装画像を含む画像の画像データが、サービス利用者によって所持される情報端末20に送信される場合を説明したが、これに限定されず、当該画像データは、クラウド上のサーバ装置に送信・記憶されても構わない。
【0036】
この場合、画像データは、サービス利用者のアカウント情報(例えば、サービス利用者によって所持される情報端末20の端末IDなど)と対応づけて、クラウド上のサーバ装置に記憶されることが好ましい。サービス利用者は、情報端末20にインストールされた服装管理アプリ20aを起動し、例えばログイン操作を通じて、クラウド上のサーバ装置に自身のアカウント情報を送信することで、当該アカウント情報に対応づけられた画像データを当該サーバ装置から読み出し、上記した服装リスト画面100を閲覧することができる。これによれば、情報端末20の記憶容量が、服装画像を含む画像の画像データによって圧迫されてしまうことを防ぐことができる。
【0037】
なお、服装リスト画面100には、サービス利用者によって入力された日時および地域の天気、温度、湿度または雨雲情報のうちの少なくとも1つを含む環境データがさらに表示されてもよい。サービス利用者は、例えば、外出先(地域)と当該外出先にいるであろう日時とを入力することによって、当該日時における当該外出先の環境データを服装リスト画面100に表示させることができるため、自身の過去の服装だけでなく、当該環境データも考慮して、その日の服装を選択することができる。
【0038】
また、本実施形態では、服装画像を含む画像の画像データが、当該画像に映るサービス利用者に提供される場合を説明したが、これに限定されず、当該画像データは、当該画像に映るサービス利用者個人を特定可能な情報(例えば、顔画像)が削除された状態で、当該画像に映るサービス利用者以外の他のサービス利用者(例えば、カメラ12が設置された建物のオーナーや建設業者、当該建物に入っている店舗のオーナーなど)に提供されても構わない。この場合、画像送信部43は、予め設定された他のサービス利用者の送信先(例えば、他のサービス利用者によって所持される情報端末)に、画像に映るサービス利用者個人を特定可能な情報が削除された状態の画像データ(例えば、服装画像の画像データ)を送信する。
【0039】
これによれば、上記した他のサービス利用者は、例えばカメラ12が設置された建物に訪れる利用者のファッショントレンドを知ることができるため、当該ファッショントレンドを、建物に入っている店舗(例えば、服屋)の売上を向上させるための情報として利用することができる。
【0040】
本実施形態では、主に、カメラ12によって撮影された画像に一人の利用者またはサービス利用者のみが映っている場合を想定したが、カメラ12によって撮影された画像に複数人の利用者またはサービス利用者が映っている場合にも、エレベータシステムは同様な服装管理サービスを提供することができる。なお、カメラ12によって撮影された画像に複数人の利用者またはサービス利用者が映っている場合、サービス利用者には、当該画像から自身が映っている部分以外が切り取られた状態(削除された状態)の画像データが提供されることが好ましい。
【0041】
これによれば、自身以外の利用者またはサービス利用者のプライバシーを保護することができる上に、カメラ12によって撮影された画像(元画像)の画像データよりもデータサイズを小さくすることができるため、画像データを記憶する情報端末20やクラウド上のサーバ装置にかかる負荷を軽減することができる。
【0042】
以上説明したエレベータシステムにおいて、カメラ12はサービス利用者の上方から当該サービス利用者を撮影するため、当該エレベータシステムは、サービス利用者に対して上記した服装管理サービスだけでなく、例えば、頭髪の状態のチェックを促すサービスをさらに提供することも可能である。
【0043】
以上説明した第1実施形態に係るエレベータシステムは、乗りかご11に乗車する利用者の顔と服装の一部とを少なくとも含む画像を撮影可能なカメラ12と、服装管理サービスを利用するサービス利用者によって所持される情報端末20と、サービス利用者の特徴を示す特徴情報を予め記憶する特徴情報記憶装置30と、カメラ12によって撮影された画像に映る利用者の特徴情報を抽出する特徴情報抽出部41と、特徴情報抽出部41によって抽出された特徴情報を、特徴情報記憶装置30に予め記憶された特徴情報と照合し、画像に映る利用者がサービス利用者であるか否かを判別するサービス利用者判別部42と、画像に映る利用者がサービス利用者であると判別された場合、服装管理サービスとして、当該画像の画像データを情報端末20に送信する画像送信部43と、を備えている。
【0044】
これによれば、サービス利用者は、情報端末20にインストールされた服装管理アプリ20a上で、自身の過去の服装を閲覧することができるため、自身の過去の服装を参考にして、毎日の服装を選択することができるようになる。つまり、本実施形態に係るエレベータシステムによれば、サービス利用者の服装に対する満足度を向上させることができる。
【0045】
以上説明した服装管理サービスにおいては、サービス利用者が定常的に通る場所にカメラが設置されていることが好ましい。この観点によれば、例えばマンションやオフィスビルに設置された乗りかご11(エレベータ)のカメラ12を用いて、服装管理サービスを提供する態様は非常に好ましい。また、服装管理サービスが、乗りかご11に設置されたカメラ12を用いて提供される場合、1つのカメラ12を用いて、多数のサービス利用者(例えば、マンションに住む多数のサービス利用者、オフィスビルで働く多数のサービス利用者)に服装管理サービスを提供することができるため(つまり、少ないカメラ個数で多数のサービス利用者に服装管理サービスを提供することができるため)、服装管理サービスを提供可能なエレベータシステムは、この点においても非常に好ましい。
【0046】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るエレベータシステムは、図5に示すように、服装管理サーバ装置50をさらに備えている点で、第1実施形態と相違している。以下では、主に、第1実施形態と相違する要素について説明し、第1実施形態と同様な要素についての説明を省略する。
【0047】
服装管理サーバ装置50は、情報端末20および画像処理装置40と通信可能に接続される。服装管理サーバ装置50は、図3に示した一連の処理が実行されることによって、画像処理装置40から送信された服装画像を含む画像の画像データを管理・記憶するサーバ装置である。図5に示すように、服装管理サーバ装置50は、画像記憶部51と、天候データ収集部52と、推奨服装画像送信部53と、を備えている。
【0048】
画像記憶部51には、サービス利用者のアカウント情報毎に、服装画像を含む画像の画像データと、当該服装画像が撮影された日の天候(例えば、天気、気温、湿度など)を示す天候データと、当該服装画像から抽出された服装情報とが対応づけて記憶されている。服装情報は、第1実施形態において説明したように、画像処理装置40の特徴情報抽出部41によって、画像に映るサービス利用者の特徴情報と共に抽出される情報であり、当該サービス利用者の服装(衣服)の種別や形状、色彩を示す情報である。
【0049】
なお、本実施形態における、サービス利用者のアカウント情報は、当該サービス利用者によって所持される情報端末20の端末IDに加えて、当該サービス利用者が居住する地域を示す情報(あるいは、当該サービス利用者がよく乗車する乗りかご11が設置された建物の住所を示す情報)を含むことが好ましい。
【0050】
天候データ収集部52は、外部装置(図示せず)から天候データを収集する。より詳しくは、天候データ収集部52は、サービス利用者によるログイン操作を通じて情報端末20から送信されるアカウント情報を受信すると、当該アカウント情報によって示される地域のその日の天候データを外部装置から収集する。
【0051】
推奨服装画像送信部53は、サービス利用者によるログイン操作を通じて情報端末20から送信されるアカウント情報を受信すると、当該アカウント情報の画像データのうち、天候データ収集部52によって収集された天候データにより示される天候に適した服装の画像データを、推奨服装の画像データとして選択する。具体的には、推奨服装画像送信部53は、受信されたアカウント情報の画像データのうち、天候データ収集部52によって収集された天候データにより示される天候と類似する天候を示す天候データと対応づけられた画像データを、推奨服装の画像データとして選択する。選択された画像データは、その日の推奨服装を示す画像データとして、情報端末20に送信される。
【0052】
ここで、図6のフローチャートを参照して、サービス利用者にその日の天候に適した推奨服装の画像データを提供する処理について説明する。
【0053】
サービス利用者によって服装管理アプリ20aが起動され、ログイン操作が行われると、情報端末20は、当該サービス利用者のアカウント情報を服装管理サーバ装置50に送信する(ステップS21)。
【0054】
服装管理サーバ装置50の天候データ収集部52は、情報端末20から送信されたアカウント情報を受信すると、当該アカウント情報によって示される地域のその日の天候データを外部装置から収集する(ステップS22)。
【0055】
その後、推奨服装画像送信部53は、受信されたアカウント情報の画像データのうち、ステップS22の処理において収集された天候データにより示される天候と類似する天候を示す天候データと対応づけられた画像データを、推奨服装の画像データとして選択し、画像記憶部51から読み出す(ステップS23)。
【0056】
しかる後、推奨服装画像送信部53は、ステップS23の処理において読み出された推奨服装の画像データを、受信されたアカウント情報によって示される情報端末20に送信し(ステップS24)、ここでの一連の処理を終了させる。
【0057】
以上説明した第2実施形態に係るエレベータシステムは、第1実施形態に示した構成に加えて、サービス利用者が映る画像の画像データと、当該サービス利用者を識別するためのアカウント情報と、当該画像が撮影された日の天候を示す天候データとを対応づけて記憶する画像記憶部51と、サービス利用者によって予め設定された地域の当日の天候を示す天候データを収集する天候データ収集部52と、画像記憶部51に記憶された画像データのうち、天候データ収集部52によって収集された天候データにより示される天候と類似する天候を示す天候データに対応づけられた画像データを情報端末20に送信する推奨服装画像送信部53と、を備えている。
【0058】
これによれば、サービス利用者は、情報端末20にインストールされた服装管理アプリ20a上で、自身の過去の服装の中から、その日の天候に適した推奨服装を知ることができるため、当該推奨服装を参考にして、その日の服装を選択することができるようになる。つまり、本実施形態に係るエレベータシステムによれば、サービス利用者の服装に対する満足度をさらに向上させることができる。
【0059】
なお、推奨服装画像送信部53は、選択された推奨服装の画像データに対応づけられた服装情報を情報端末20にさらに送信してもよい。これによれば、推奨服装の画像データに加えて、当該推奨服装に関する服装情報(例えば、推奨服装の種別や形状、色彩など)を、情報端末20に表示させることが可能となり、サービス利用者の服装に対する満足度をさらに向上させることができる。
【0060】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、エレベータに設置されたカメラを用いて、ユーザ個人の服装を管理するサービスを提供することが可能なエレベータシステムを提供することができる。
【0061】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
11…乗りかご、12…カメラ、20…情報端末、20a…服装管理アプリ、30…特徴情報記憶装置、40…画像処理装置、41…特徴情報抽出部、42…サービス利用者判別部、43…画像送信部、50…服装管理サーバ装置、51…画像記憶部、52…天候データ収集部、53…推奨服装画像送信部。
【要約】
【課題】エレベータに設置されたカメラを用いて、ユーザ個人の服装を管理するサービスを提供することが可能なエレベータシステムを提供すること。
【解決手段】一実施形態に係るエレベータシステムは、乗りかごに乗車する利用者の顔と服装の一部とを少なくとも含む画像を撮影可能なカメラと、所定のサービスを利用するサービス利用者により所持される情報端末と、サービス利用者の特徴を示す特徴情報を予め記憶する特徴情報記憶手段と、画像に映る利用者の特徴情報を抽出する特徴情報抽出手段と、特徴情報抽出手段により抽出された特徴情報を、特徴情報記憶手段に予め記憶された特徴情報と照合し、画像に映る利用者がサービス利用者であるか否かを判別するサービス利用者判別手段と、画像に映る利用者がサービス利用者であると判別された場合、所定のサービスとして、当該画像の画像データを情報端末に送信する画像送信手段と、を備える。
【選択図】 図1
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図2
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図4
図5
図6