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特許7615295マイクログリッドの起動方法及び起動プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】マイクログリッドの起動方法及び起動プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20250108BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20250108BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20250108BHJP
【FI】
H02J3/38 120
H02J3/32
H02M7/48 L
H02M7/48 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023500467
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006427
(87)【国際公開番号】W WO2022176167
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】坂内 容子
(72)【発明者】
【氏名】秋山 雪菜
(72)【発明者】
【氏名】工藤 悠生
(72)【発明者】
【氏名】河内 駿介
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 廣次
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1673494(KR,B1)
【文献】特開2019-193334(JP,A)
【文献】特開2017-070129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/32
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自立的な負荷分担を行う複数のインバータ電源で構成され、前記インバータ電源は最初に起動するマスタと2台目以降に起動するスレーブに分けられるマイクログリッドの起動方法であって、
前記マスタが制御モードとして最初にCVCFモードで起動するマスタ初期起動ステップと、
前記スレーブが制御モードとして最初に系統連系モードで起動するスレーブ初期起動ステップと、
前記マスタ及び前記スレーブは、当該マスタ及び当該スレーブの出力変動が一定閾値以下になった状態、または当該マスタ及び当該スレーブの出力電圧が一定閾値以下になった状態で他の前記インバータ電源あるいは自らの前記インバータ電源が予め設定された運転状態になると、自らの制御モードを変更する制御モード変更ステップと、
を含むマイクログリッドの起動方法。
【請求項2】
前記制御モード変更ステップは、前記マスタのCVCFモードをマスタのドループモードに、並びに、前記スレーブの系統連系モードをスレーブのドループモードに変更するドループへの制御モード変更ステップであり、前記マスタ及び前記スレーブのドループ特性を有効化させるドループ特性有効化ステップと、マイクログリッドの外部からの指令値を更新して外部制御による負荷分担を行う負荷分担ステップと、を含む請求項1に記載のマイクログリッドの起動方法。
【請求項3】
前記ドループへの制御モード変更ステップでは、前記負荷分担ステップを行った後、前記ドループ特性有効化ステップを行い、さらに前記ドループ特性を修正するドループ特性修正ステップを行う請求項2に記載のマイクログリッドの起動方法。
【請求項4】
前記ドループへの制御モード変更ステップでは、マイクログリッドで許容する周波数変動量又は電圧変動量に基づいて、前記ドループ特性有効化ステップ及び前記負荷分担ステップの順序を選択する請求項2又は3に記載のマイクログリッドの起動方法。
【請求項5】
前記制御モード変更ステップは、前記マスタのCVCFモード並びに前記スレーブの系統連系モードをVSGモードに変更するVSGモードへの制御モード変更ステップである請求項1に記載のマイクログリッドの起動方法。
【請求項6】
自立的な負荷分担を行う複数のインバータ電源で構成され、前記インバータ電源は最初に起動するマスタと2台目以降に起動するスレーブに分けられるマイクログリッドの起動方法であって、
前記マスタが最初にCVCFモードで起動するマスタ初期起動ステップと、
前記スレーブがVSGモードで起動するスレーブ起動ステップと、
前記スレーブが起動した後、前記マスタのCVCFモードをVSGに変更するVSGモードへの制御モード変更ステップと、
を含むマイクログリッドの起動方法。
【請求項7】
前記スレーブが起動する前に、マイクログリッドの外部からの指令値を当該スレーブの有効電力出力と一定範囲内で一致させる請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクログリッドの起動方法。
【請求項8】
前記スレーブが作る電圧を系統電圧に合わせるように制御する請求項1~7のいずれか1項に記載のマイクログリッドの起動方法。
【請求項9】
自立的な負荷分担を行う複数のインバータ電源で構成され、前記インバータ電源は最初に起動するマスタと2台目以降に起動するスレーブに分けられるマイクログリッドの起動方法であって、
前記マスタがVSGモードで起動するマスタ起動ステップと、
系統電圧の位相を検出する位相検出ステップと、
前記位相検出ステップにて検出した位相に基づいて前記スレーブがVSGモードで起動するスレーブ起動ステップと、
を含むマイクログリッドの起動方法。
【請求項10】
自立的な負荷分担を行う複数のインバータ電源で構成され、前記インバータ電源は最初に起動するマスタと2台目以降に起動するスレーブに分けられるマイクログリッドの起動プログラムであって、
前記マスタが最初にCVCFモードで起動するマスタ初期起動ステップと、
前記スレーブが最初に系統連系モードで起動するスレーブ初期起動ステップと、
前記マスタ及び前記スレーブは、当該マスタ及び当該スレーブの出力変動が一定閾値以下になった状態、または当該マスタ及び当該スレーブの出力電圧が一定閾値以下になった状態で他の前記インバータ電源あるいは自らの前記インバータ電源が予め設定された運転状態になると、自らの制御モードを変更するモード変更ステップと、
をコンピュータに実行させるマイクログリッドの起動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、動揺なしにマイクログリッドを起動するための方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自立型のマイクログリッドでは、複数の負荷ノードとインバータ電源とが配電線に接続されており、マイクログリッドの領域が形成される。領域内の各インバータ電源には、外部制御システムであるEMS等から指令値が送られることで、各インバータ電源の出力制御が行われる。また、マイクログリッドの一つの領域は開閉器を介して別の系統に接続されている。
【0003】
このようなマイクログリッドでは、領域に連系した別系統で停電が発生しても、自立的に負荷分担を行うインバータ電源だけで電圧を確立して、電力自給を開始することができる。そのため、マイクログリッドの領域内では、上位系統の復旧を待つことなく、予め定められたインバータ電源が自立的に起動することで、停電から速やかに復旧することが可能となる。自立的に負荷分担を行うインバータ電源としては、太陽光発電や蓄電池装置等が利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6433636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自立型のマイクログリッドでは、回転機型の発電機が存在しないと、インバータ電源の制御モードとして系統連系モードを適用しても周波数及び電圧を維持できないおそれがある。また、自立型のマイクログリッドにてインバータ電源を起動する場合、周波数変動が発生することを想定していない。そのため、マイクログリッドの起動に際して、位相や電圧によって動揺が発生する可能性がある。インバータ電源の制御モードとしては、CVCFモード(定電圧定周波数モード)やドループモード(負荷集中抑制モード)、あるいは、VSGモード(仮想同期発電機モード)などが代表的であるが、これらの制御モードでマイクログリッドを起動させる場合に、系統周波数や系統電圧、変換器の出力電流に関して、動揺を回避すべく、具体的な対策を講じることが急務となっている。
【0006】
CVCFモード(定電圧定周波数モード)とは、インバータ電源が自ら一定の電圧と一定の周波数を確立して動作するモードである。ドループモード(負荷集中抑制モード)には、マスタのドループモードとスレーブのドループモードがある。マスタのドループモードは、インバータ電源の有効電力出力の変化に対して周波数を変化させる垂下特性と、無効電力出力の変化に対して周波数を変化させる垂下特性を持ち、スレーブのドループモードは、系統周波数の変化に対してインバータ電源が自らの有効電力出力を変化させる垂下特性と、系統電圧に対してインバータ電源が自らの無効電力出力を変化させる垂下特性を持つ。これらマスタとスレーブの制御方法を組み合わせたものがドループモードである。VSGモード(仮想同期発電機モード)とは、インバータ電源が同期発電機の機械的特性を模擬した特性に基づいて、インバータ電源の有効電力出力の変化に対して周波数を変化させる制御方法である。
【0007】
本発明の実施形態は、上記の課題を解決するためになされたものであり、周波数変動を発生させることなく、安定した起動が可能なマイクログリッドの起動方法及び起動プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態は、自立的な負荷分担を行う複数のインバータ電源で構成され、前記インバータ電源は最初に起動するマスタと2台目以降に起動するスレーブに分けられるマイクログリッドの起動方法であって、前記マスタが最初にCVCFモードで起動するマスタ初期起動ステップと、前記スレーブが最初に系統連系モードで起動するスレーブ初期起動ステップと、前記マスタ及び前記スレーブは、当該マスタ及び当該スレーブの出力変動が一定閾値以下になった状態、または当該マスタ及び当該スレーブの出力電圧が一定閾値以下になった状態で他の前記インバータ電源あるいは自らの前記インバータ電源が予め設定された運転状態になると、自らの制御モードを変更する制御モード変更ステップと、を含むものである。
【0009】
また、実施形態の態様としては、各ステップをコンピュータに実行させる起動プログラムも包含する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の構成を示すブロック図
図2】第1の実施形態の起動シーケンスを示す図
図3】第1の実施形態のマスタ側のドループ制御の制御ブロック図
図4】第1の実施形態のスレーブ側のドループ制御の制御ブロック図
図5】第2の実施形態の起動シーケンスを示す図
図6】第3の実施形態の起動シーケンスを示す図
図7】第3の実施形態において課電された系統にVSGモードで接続する際の制御ブロック図
図8】第4の実施形態の起動シーケンスを示す図
図9】第4の実施形態において課電された系統にVSGモードで接続する際の制御ブロック図
図10】第5の実施形態の起動シーケンスを示す図
【発明の実施の形態】
【0011】
(1) 第1の実施形態
以下、本発明に係る第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は複数のステップを含むマイクログリッドの起動方法であるが、各ステップをコンピュータに実行させる起動プログラムとして捉えてもよい。さらには、当該起動プログラムを記録した記録媒体、あるいは各ステップを実行する構成要素を備えたマイクログリッドの起動装置として捉えることも可能である。
【0012】
(マイクログリッドの構成)
図1は外部系統に連系した自立型のマイクログリッドの系統構成を示すブロック図である。図1に示すように、配電線101には複数の負荷ノード102が接続されている。また、配電線101には2台の太陽光発電103、104と、2台の蓄電池システム105、106が接続されている。これら103-106は負荷分担機能を有するインバータ電源である。
【0013】
負荷ノード102、太陽光発電103、104、蓄電池システム105、106を含む領域107がマイクログリッド化される領域107となる。領域107には開閉器108が設けられており、開閉器108を介して、負荷109などが連系した別の系統(上位系統)が接続されている。また、太陽光発電103、104、蓄電池システム105、106には、マイクログリッドの外部制御であるEMS(系統全体の制御システム)110から指令値が送られるように構成されている。太陽光発電103、104、蓄電池システム105、106は、EMS110からの指令値に基づいて出力制御を行うようになっている。
【0014】
以上のような自立型のマイクログリッドでは、領域107が連系した上位系統にて系統事故等が起きて停電が発生した場合、事故の起きていない領域107に接続された機器を起動させることができる。このため、領域107では、内上位系統の復旧を待たずに停電から速やかに復旧させることが可能である。このとき、領域107には回転機が存在しないので、自立的に負荷分担を行う蓄電池システム105、106だけで系統電圧を確立し、給電を開始する必要がある。
【0015】
(起動シーケンス)
図2を用いて第1の実施形態に係るマイクログリッドの起動方法の起動シーケンスを説明する。ここでは、自立的な負荷分担機能を持ったインバータ電源のうち、蓄電池システム105をマスタ105と呼び、蓄電池システム106をスレーブ106と呼ぶこととする。マスタ105とは、複数あるインバータ電源のうち、最初に起動するインバータ電源のことである。スレーブ106とは、マスタ105以外のインバータ電源、つまり2台目以降に起動するインバータ電源である。
【0016】
第1の実施形態では、まずマスタ105をCVCFモードで起動し、系統周波数及び系統電圧を確立して所内給電を行う(S01:マスタ初期起動ステップ)。続いて、マスタ105を配電線101に接続する(S02)。次に、スレーブ106の変圧器を投入し(S03)、スレーブ106を系統連系モードで起動して出力待機状態(PQ指令値=0)とする(S04:スレーブ初期起動ステップ)。
【0017】
スレーブ106が出力待機状態となりスレーブ初期起動ステップS04が終了すると、マスタ105のCVCFモードとスレーブ106の系統連系モードを全台一斉にドループモードに変更する。マスタ105及びスレーブ106は、マスタ105及びスレーブ106の出力変動が一定閾値以下になった状態、またはマスタ105及びスレーブ106の出力電圧が一定閾値以下になった状態で、他の前記インバータ電源あるいは自らの前記インバータ電源が予め設定された運転状態になると、自らの制御モードを変更する制御モード変更ステップを行う。
【0018】
ここでは、スレーブ106が出力待機状態になると、自らの制御モードを変更する制御モード変更ステップを行う。第1の実施形態では、インバータ電源を全台一斉にドループモードに変更するので、制御モード変更ステップをドループへの制御モード変更ステップと呼ぶ。なお、以下の実施形態ではインバータ電源の制御モードを全台一斉に変更したが、変更のタイミングは全台一斉でなくてもよく、制御モードの変更の順番は任意であってもよい。ただし、制御モードの変更に際しては変更前の出力と変更後の出力指令値の差が小さいほうが望ましい。
【0019】
第1の実施形態において、ドループへの制御モード変更制御ステップでは、先にマスタ105、スレーブ106のドループ特性を有効化させ、ドループ特性に応じてマスタ105及びスレーブ106が負荷分担を行う(S05:ドループ特性有効化ステップ)。その後、EMS110からのマスタ105、スレーブ106の有効電力出力指令値を更新して、マスタ105、スレーブ106のドループ特性を修正し、EMS110による負荷分担を行う(S06:EMSによる負荷分担ステップ)。ドループ特性有効化ステップS05における「ドループ特性の有効化」とは、マスタ105側では図3の制御ブロック図内の点線で囲んだ部分(200、201)を有効化させることであり、スレーブ106側では図4内の点線で囲んだ部分(210、211)を有効化させることである。
【0020】
図3は第1の実施形態のマスタ側のドループ制御の制御ブロック図、図4は第1の実施形態のスレーブ側のドループ制御の制御ブロック図である。図3の200が、マスタのドループモードにおけるインバータ電源の有効電力出力の変化に対して周波数を変化させる垂下特性を持ち、図3の201が無効電力出力の変化に対して周波数を変化させる垂下特性を持つ。
【0021】
図4の200が、スレーブのドループモードにおける、系統周波数の変化に対してインバータ電源が自らの有効電力出力を変化させる垂下特性を持ち、図4の201が系統電圧に対してインバータ電源が自らの無効電力出力を変化させる垂下特性を持つ。また、EMSによる負荷分担ステップS06における「有効電力指令値の更新」とは、マスタ105側では図3のPbias202とQbias203をEMS110から修正することであり、スレーブ106側では図4のPbias212とQbias213を、EMS110から修正することである。なお、図3において、204は一次遅れ回路、205は発電機の電圧を自動的に一定に保つためのACAVR(PI制御)部である
【0022】
(作用及び効果)
第1の実施形態では、マスタ初期起動ステップにてマスタ105をCVCFモードで起動して系統周波数及び系統電圧を確立し、スレーブ初期起動ステップにてスレーブ106を系統連系モードで起動して出力待機状態(PQ指令値=0)とする。その後、制御モード変更ステップであるドループへの制御モード変更制御ステップにおいて、マスタ105のCVCFモード及びスレーブ106の系統連系モードを全台一斉にドループモードに変更する。このような第1の実施形態によれば、インバータ電源起動時の励磁突入電流を抑制することができ、周波数変動の発生を抑えることができる。従って、マイクログリッド起動時の変換器出力電流が変換器保護レベルに抵触する心配がなく、マイクログリッドを安定して起動することが可能となる。
【0023】
また、第1の実施形態においては、マスタ105はまずCVCFモードで起動するため、系統周波数及び系統電圧を確実に確立することができ、スレーブ106の系統連系モードは出力待機状態(PQ指令値=0)で終わるので、周波数及び電圧が維持し易い。しかも、第1の実施形態では、マスタ105とスレーブ106とが同時にドループモードに切り替わるため、出力電圧に過渡的な動揺が発生することなく、バランス良く負荷分散を行うことが可能である。さらに、第1の実施形態におけるドループ制御ステップでは、まずドループ特性有効化ステップS05を行い、その後で、EMSによる負荷分担ステップS06を行うため、負荷分担を迅速に行うことができるといったメリットがある。
【0024】
(2) 第2の実施形態
第2の実施形態以降の実施形態におけるマイクログリッドの基本的な構成は、上記第1の実施形態の同じである。そのため、第2の実施形態以降の実施形態では基本的な構成の説明は省略する。
【0025】
上記第1の実施形態で示したドループ制御ステップでは、先にドループ特性有効化ステップS05を行い、その後で、EMSによる負荷分担ステップS06を行っている。そのため、マスタ105、スレーブ106のドループ特性を有効化したときに、それまでマスタ105のみで給電していたものが、ドループ特性に沿ってマスタ105とスレーブ106とで負荷が分担されることになる。その結果、マイクログリッドの起動時に周波数低下を招く可能性がある。そこで第2の実施形態では、このドループ有効化時の周波数低下を回避するために、図5に示すような起動シーケンスを行うものとする。
【0026】
(起動シーケンス)
図5に示すように、第2の実施形態では、マスタ105をCVCFモードで起動し、系統周波数及び系統電圧を確立したのち(S01’ :マスタ初期起動ステップ)、マスタ105を配電線に接続する(S02’)。次にスレーブ106の変圧器を投入し(S03’)、スレーブ106を系統連系モードで起動して出力待機状態(PQ指令値=0)とする(S04’:スレーブ初期起動ステップ)。ここまでは、上記第1の実施形態の起動シーケンスと同じである。
【0027】
スレーブ106が出力待機状態となりスレーブ初期起動ステップS04’が終了すると、第2の実施形態もドループへの制御モード変更ステップを行う。ただし、第2の実施形態のドループへの制御モード変更ステップと第1の実施形態のドループへの制御モード変更ステップとは、ドループ特性有効化と、EMSによる負荷分担との順番が逆になる。
【0028】
すなわち、第2の実施形態のドループへの制御モード変更ステップでは、まず先にEMS110による負荷分担を行ってしまい、スレーブ106に有効電力指令値を与える(S05’:EMSによる負荷分担ステップ)。その後、マスタ105、スレーブ106のドループ特性を有効化させる(S06’: ドループ特性有効化ステップ)。そしてドループ特性を有効化した後に、EMS110により有効・無効電力のバイアスを修正してドループ特性を修正する(S07’:ドループ特性修正ステップ)。
【0029】
(作用及び効果)
第2の実施形態では、上記第1の実施形と同様、マスタ105のCVCFモード及びスレーブ106の系統連系モードを全台一斉にドループモードに変更することで、インバータ電源の起動時に発生する励磁突入電流を抑制することができる。従って、第2の実施形態によれば、マイクログリッド起動時の変換機出力電流が変換器保護レベルに抵触することなくマイクログリッドを起動することが可能となり、マイクログリッドが安定して起動することができる。また、第2の実施形態におけるドループへの制御モード変更ステップでは、まずはマスタ105とスレーブ106とで負荷分担を行ってからドループ特性を有効化している。そのため、マスタ105のみで給電していた状態からドループ特性に沿ってマスタ105とスレーブ106とで負荷を分担するといったことが無くなり、ドループ有効化時の周波数低下を確実に回避することが可能である。
【0030】
(3) 第3の実施形態
上述した記第1、第2の実施形態では、制御モード変更ステップにおいて、マスタ105及びスレーブ106での初期起動時の制御モードを全台一斉にドループモードへと変更するドループへの制御モード変更ステップを採用した。これに対して、第3の実施形態では、制御モード変更ステップにおいて、マスタ105のCVCFモード並びにスレーブ106の系統連系モードを全台一斉にVSGモードに変更するようになっている。第3の実施形態では、インバータ電源を全台一斉にVSGモードに変更するので、モード変更ステップをVSGへの制御モード変更ステップと呼ぶこととする。VSGモードは電圧型ドループモードとも呼ばれる。
【0031】
(起動シーケンス)
第3の実施形態の起動シーケンスについて、図6を用いて説明する。図6に示すように、第3の実施形態では、まずマスタ105をCVCFモードで起動し、系統周波数及び系統電圧を確立する(S11:マスタ初期起動ステップ)。続いて、マスタ105を配電線101に接続する(S12)。次に、スレーブ106の変圧器を投入し(S13)、スレーブ106を系統連系モードで起動して出力待機状態(PQ指令値=0)とする(S14:スレーブ初期起動ステップ)。ここまでは、上記第1及び第2の実施形態の起動シーケンスと同じである。
【0032】
第3の実施形態では、スレーブ106が出力待機状態となってスレーブ初期起動ステップS14が終了すると、スレーブ106でのVSGモードにおける位相生成を開始する(S15)。S15では、VSGモードにおける位相算出部を空回しさせると共に、スレーブ106の出力電圧Vを固定値もしくはAVR(自動電圧調整器)によって制御する。この点について、図7を用いて説明する。
【0033】
図7は第3の実施形態において課電された系統にVSGモードで接続する際の制御ブロック図である。図7に示す符号のうち、302はPLL(Phase Locked Loop)であって系統電圧の周波数を取得する部分、点線300で囲まれた部分は発電機の機械的な特性の模擬を行う位相生成回路、点線301で囲まれた部分はVSGモードにて電圧制御を行う電圧制御部であり、301aは固定値もしくはAVRを示している。303は、系統連系モードにおける有効・無効電力を指令値に追従させるための電流制御部、304、305は制御切替回路である。306は出力位相に基づいて座標変換を行う回路である(dq/abcと示す)。一般に、系統連系モードではPLL(Phase Locked Loop)で系統電圧を検出してインバータ電源の制御を行うが、VSGモードでは図7の点線300、301で示したように、変換器の有効電力指令値(Pref)と有効電力出力(PPCS)の差分に基づいてインバータ電源を制御する。
【0034】
そのため、VSG制御ステップにおいてスレーブ106の制御モードを系統連系モードからVSGモードに変更する場合に、図7の位相生成回路300での有効電力指令値(Pref)と有効電力出力(PPCS)の差分が大きいと、擾乱が発生する可能性がある。また、位相生成回路301のdq軸上の電圧指令値が急変すると、位相生成回路301が停止するといった不具合が生じる。
【0035】
そこで第3の実施形態では、図6のステップS15を行い、スレーブ106がVSGモードに切り替わる前に、VSGモードにおける位相生成を開始する。ここでは、位相生成回路300を空回しさせておき、かつ電圧制御部301にて出力電圧Vdqの指令値は固定値もしくはAVRによって制御させる。これにより、スレーブ106の系統連系モードをVSGモードに変更した時に、EМS110からの指令値をスレーブ106の有効電力出力と一定範囲内で一致させている。
【0036】
さらに、第3の実施形態では、スレーブ106の制御モードを系統連系モードからVSGモードに変更すると同時に、位相、電圧ともに算出方法を切り替える。例えば、系統連系モードでは系統電圧に基づいて位相を算出し、有効・無効電力の指令値追従制御に基づいて電力を決定していたが、VSGモードでは、発電機の機械的な特性を模擬した特性に基づいて位相を算出し、電圧制御指令値に基づいて電圧を決定する。上記のようなステップS15に続いて、第3の実施形態では、マスタ105のCVCFモードと、スレーブ106の系統連系モードを、全台一斉に、VSGモードに変更する(S16:VSGへの制御モード変更ステップ)。
【0037】
(作用及び効果)
第3の実施形態においては、マスタ初期起動ステップにてマスタ105をCVCFモードで起動して系統電圧を確立させ、スレーブ初期起動ステップにてスレーブ106を系統連系モードで起動させた後、VSGへの制御モード変更ステップにてマスタ105のCVCFモード及びスレーブ106の系統連系モードを全台一斉にVSGモードに変更する。このような第3の実施形態では、前記第1及び第2の実施形態と同じく、インバータ電源の起動時に生じる励磁突入電流を抑制することができる。従って、マイクログリッド起動時の安定性が向上する。
【0038】
また、第3の実施形態では、マスタ105とスレーブ106とが同時にVSGモードで切り替わるので、マスタ105がVSGモードで運転している状態のところに、スレーブ106がVSGモードで起動するといったことがない。従って、スレーブ106の出力電圧に過渡的な動揺が発生することがなく、安定した起動を行うことが可能である。しかも、第3の実施形態におけるマスタ105は、最初はCVCFモードで起動しており、VSGモードでは運転していないので、EMS110が全体を鑑みた有効電力指令値を決定するまでの間に、系統周波数変動が起きる心配も無い。
【0039】
さらに、第3の実施形態によれば、VSGへの制御モード変更ステップS16を行う前に、VSGモードの位相生成回路を空回しさせておき、出力電圧Vdqの指令値を固定値もしくはAVRによって制御してから、スレーブ106の制御モードを系統連系モードからVSGモードに切り替える。そのため、VSG制御ステップS16を行う前に、系統電圧の位相とスレーブ106の有効電力の電圧位相を容易に一致させることができる。従って、スレーブ106の制御モードがVSGモードになっても、位相生成回路300の有効電力指令値(Pref)と有効電力出力(PPCS)の差分を確実に抑えて、擾乱発生を回避することができる。
【0040】
また、第3の実施形態では、出力電圧Vdqの指令値を固定値もしくはAVRによって制御しているので、位相生成回路301のdq軸上の電圧指令値が急変して位相生成回路301が停止することもない。従って、スレーブ106における系統連系モードからVSGモードへの変更に際して、系統位相に同期しつつ系統電圧との乖離を防ぐことができ、マイクログリッドの起動時の安定性がより向上する。
【0041】
(4) 第4の実施形態
上記の第3の実施形態では、S15にてスレーブ106でのVSGモードにおける位相生成を開始する際、系統電圧の位相とスレーブ106側の初期位相とを同期させつつ、系統電圧とスレーブ106側の電圧との乖離を防ぐようにしているが、これを実現するために、出力電圧Vdqの指令値を固定値もしくはAVRによって制御するなど、制御が煩雑化することは否めない。
【0042】
そこで第4の実施形態では、スレーブ106が系統連系モードからVSGモードへ切り替えるのではなく、スレーブ106は最初からVSGモードで起動するものとする。すなわち、第4の実施形態では、マスタ105が最初にCVCFモードで起動するマスタ初期起動ステップと、スレーブ106が最初からVSGモードで起動するスレーブ起動ステップと、マスタ105のCVCFモードをVSGモードに変更するVSGモードへの制御モード変更ステップと、を含む。
【0043】
(起動シーケンス)
図8を用いて第4の実施形態に係るマイクログリッドの起動方法の起動シーケンスを説明する。図8に示すように、まずマスタ105をCVCFモードで起動し、系統周波数及び系統電圧を確立して所内給電を行う(S21:マスタ初期起動ステップ)。続いて、マスタ105を配電線101に接続する(S22)。次に、スレーブ106の変圧器を投入し(S23)、スレーブ106をVSGモードで起動する(S24:スレーブ起動ステップ)。スレーブ106がVSGモードで起動した後、マスタ105のCVCFモードをVSGモードで変更し(S25:VSGモードへの制御モード変更ステップ)、EMS110からのマスタ105、スレーブ106の有効電力出力指令値を更新する(S26)。
【0044】
第4の実施形態に係るスレーブ106では、起動前に、EМS110からの指令値がスレーブ106の有効電力出力と一定範囲内で一致するように設定されている。この点について、図9を用いて説明する。図9は第4の実施形態において課電された系統にVSGモードで接続する際の制御ブロック図である。図9における符号は前記図7と同様である。図9に示すように、スレーブ106は起動する前から、PLL(Phase Locked Loop)で系統電圧の位相を検出すると同時に、VSGモードにおける位相算出部分(図9の点線で示す310の部分)を空回ししている。これにより、スレーブ106では、EМS110からの指令値がスレーブ106の有効電力出力と一定範囲内で一致するようになっている。
【0045】
(作用及び効果)
第4の実施形態では、マスタ初期起動ステップにてマスタ105をCVCFモードで起動して系統電圧を確立させ、スレーブ起動ステップにてスレーブ106をVSGモードで起動させた後、VSGモードへの制御モード変更ステップにてマスタ105のCVCFモードをVSGモードに変更する。このような第4の実施形態では、前記第1-第3の実施形態と同じく、インバータ電源の起動時に生じる励磁突入電流を抑制することができ、マイクログリッド起動時の安定性が向上する。
【0046】
また、第4の実施形態では、マスタ105がVSGモードで運転しているところに、スレーブ106がVSGモードで起動することがない。従って、スレーブ106の出力電圧に過渡的な動揺が発生することがなく、安定した起動を行うことが可能である。しかも、第4の実施形態におけるマスタ105は、最初はCVCFモードで起動しており、VSGモードでは運転していないので、EMS110が全体を鑑みた有効電力指令値を決定するまでの間に、系統周波数変動が起きる心配も無い。
【0047】
さらに、第4の実施形態では、EМS110からの指令値がスレーブ106の有効電力出力と一定範囲内で一致するように予め設定されているので、スレーブ106のモード変更に伴う面倒な制御を実施する必要がなく、系統電圧の位相とスレーブ106の有効電力の電圧位相を簡単に一致させることができる。そのため、スレーブ106では、起動時に位相生成回路を切り替えることで、初期位相が系統電圧の位相と同期しつつ、VSGモードによる位相を用いた運転開始が可能である。
【0048】
従って、スレーブ106がVSGモードを開始した時点で、位相生成回路300の有効電力指令値(Pref)と有効電力出力(PPCS)の差分を抑えることができ、擾乱発生を回避することができる。このような第5の実施形態によれば、スレーブ106における制御モードの変更時に際して、PLLと位相生成の制御切替を用いることで、励磁突入電流と出力電圧の動揺を抑制することができ、マイクログリッドの安定した起動に寄与することができる。
【0049】
(5) 第5の実施形態
上記の第1-第4の実施形態では、マスタ初期起動ステップにてマスタ105は系統電圧が確立するまでCVCFモードで起動し、モード変更ステップにてマスタ105のCVCFモードを、ドループモードあるいはVSGモードに変更するものであった。これに対して、第5の実施形態では、マスタ105が制御モードを変更することなく、初めからVSGモードで起動するものである。
【0050】
第5の実施形態では、マスタ105がVSGモードで起動するマスタ起動ステップと、系統電圧の位相を検出する位相検出ステップと、位相検出ステップにて検出した位相に基づいてスレーブ106がVSGモードで起動するスレーブ起動ステップを含むものである。すなわち、第5の実施形態は、インバータ電源の制御モードを変更するステップが無い代わりに、系統電圧の位相を検出する位相検出ステップを含むものである。第5の実施形態においても、マイクログリッドの起動方法に限らず、各ステップをコンピュータに実行させる起動プログラム、当該起動プログラムを記録した記録媒体、さらには各ステップを実行する構成要素を備えた起動装置として捉えることも可能である。
【0051】
(起動シーケンス)
図10を用いて第1の実施形態に係るマイクログリッドの起動方法の起動シーケンスを説明する。図10に示すように、第5の実施形態では、マスタ105をVSGモードで起動し(S11’:マスタ起動ステップ)、マスタを配電線に接続した後(S12’)、スレーブ106の変圧器を投入し(S13’)、スレーブ106においてVSGモードの位相生成を開始する(S14’:位相検出ステップ)。その後、スレーブ106をVSGモードで起動する(S15’:スレーブ起動ステップ)
【0052】
第5の実施形態においても、上記第4の実施形態と同様に、スレーブ106がVSGモードで起動する前に、系統電圧の位相とスレーブ有効電力の電圧位相を一致させている。つまり第5の実施形態に係るスレーブ106でも、前記図9で示したスレーブ106を採用しており、PLL(Phase Locked Loop)で系統電圧の位相を検出すると同時に、VSGモードにおける位相算出部分(図9の点線で示す310の部分)を空回ししている。これにより、第5の実施形態に係るスレーブ106でも、EМS110からの指令値がスレーブ106の有効電力出力と一定範囲内で一致するようになっている。
【0053】
(作用及び効果)
第5の実施形態にでは、上記第4の実施形態と同じく、EМS110からの指令値がスレーブ106の有効電力出力と一定範囲内で一致するように予め設定されているので、スレーブ106のモード変更に伴う面倒な制御を実施する必要がなくなり、系統電圧の位相とスレーブ106の有効電力の電圧位相を簡単に一致させることができる。そのため、スレーブ106では、起動時に位相生成回路を切り替えることで、初期位相が系統電圧の位相と同期しつつ、VSGモードによる位相を用いた運転開始が可能である。従って、スレーブ106がVSGモードを開始した時点で、位相生成回路300の有効電力指令値(Pref)と有効電力出力(PPCS)の差分を抑えて、擾乱発生を回避することができる。
【0054】
(他の実施形態)
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0055】
例えば、第1の実施形態におけるドループへの制御モード変更ステップと第2の実施形態におけるループへの制御モード変更ステップでは、ドループ特性有効化ステップとEMSによる負荷分担ステップとの順番が逆になっているが、ドループ特性有効化ステップを先にしてEMSによる負荷分担ステップを後にすれば、負荷を早期に分担することができる反面、周波数低下が起き易い。反対に、EMSによる負荷分担ステップを先にしてドループ特性有効化ステップを後にすれば、周波数低下は抑制できるが、最終的な負荷分担は遅くなる。
【0056】
そこで、ドループへの制御モード変更ステップにおいて、マイクログリッドで許容する周波数変動量又は電圧変動量に基づいて、ドループ特性有効化ステップと負荷分担ステップとの順序を選択するようにしてもよい。このような実施形態によれば、マイクログリッドで許容する周波数変動量又は電圧変動量に応じて、ドループ特性有効化ステップと負荷分担ステップとの順序を選択することにより、適切なタイミングで負荷分担を実施しつつ、周波数低下を確実に防ぐことが可能である。
【0057】
また、自立的に負荷分担を行う複数のインバータ電源は2台以上あればよく、インバータ電源が3台以上ある場合にはそのうち1台をマスタとし、残りをスレーブとする。スレーブが複数ある場合、スレーブの起動順序あるいはスレーブにおける制御モードの変更順序などは、あらかじめ決められた順番に順次行うようにしてもよい。
【0058】
さらに、スレーブであるインバータ電源が作る電圧を、系統電圧に合わせるように制御するようにしても良い。例えば、スレーブに相当するインバータ電源の制御モードを変更する前に、dq座標軸上の電圧指令値を一定範囲内に収めるように、電圧指令値に関する変化率の制約又は遅れ制御を行うようにしてもよい。このような実施形態によれば、スレーブ側のインバータ電源が制御モードを変更する際、dq座標軸上の電圧指令値の急変を防ぐことができ、マイクログリッドは安定して起動することができる。また、上記の実施形態では、スレーブ106が出力待機状態になると、マスタ105及びスレーブ106が自らの制御モードを変更するモード変更ステップを行っていたが、自らの制御モードを変更するモード変更ステップを行う契機となるインバータ電源の運転状態には、インバータ電源の出力電圧や出力電流の範囲なども包含される。
【符号の説明】
【0059】
101…配電線
102…負荷ノード
103、104…太陽光発電
105、106…蓄電池システム
107…領域
108…開閉器
109…負荷
110…EMS
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10