(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20250108BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/04 Z
(21)【出願番号】P 2023515994
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016431
(87)【国際公開番号】W WO2022224432
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 良宗
(72)【発明者】
【氏名】近藤 毅
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/161830(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/225002(WO,A1)
【文献】特開2010-076226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0050267(US,A1)
【文献】国際公開第2018/142547(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/159319(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/105016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物に対してスクリーンマスクを用いて粘性流体の印刷処理を行う印刷部を備えた印刷装置と、
前記印刷装置に配設され該印刷装置で使用される印刷関連部材を前記印刷装置との間で自動交換する交換ユニットと、
部品を前記処理対象物に実装する実装部を備えた1以上の実装装置と、
前記実装装置の周囲で移動し前記実装装置で用いられる実装関連部材を前記実装装置との間で自動着脱する移動作業装置と、を備え、
前記印刷装置と前記実装装置とは前面が同じ側になるよう配設され、前記交換ユニットと前記移動作業装置とは同じ側に配設されて
おり、
前記交換ユニットは、前記印刷関連部材を収容した収容ラックを受け入れる受入部と、前記収容ラックを前記印刷装置の筐体内部へ引き入れる収容位置と前記収容ラックを前記筐体から突出させる交換位置との間で前記収容ラックを移動させるラック移動部と、を備える、
実装システム。
【請求項2】
請求項1に記載の実装システムであって、
前記交換ユニットが用いる前記印刷関連部材の搬送及び/又は前記移動作業装置が用いる前記実装関連部材の搬送を行う自動搬送車、を備え、
前記自動搬送車は、前記交換ユニット及び前記移動作業装置が配設された側に走行路を有する、
実装システム。
【請求項3】
前記交換ユニットは、前後方向の長さが前記収容ラックの前後方向の長さよりも短く形成されている、請求項
1又は2に記載の実装システム。
【請求項4】
前記交換ユニットは、前記収容ラックが前記収容位置にあるときには該交換ユニットの本体前面と同じ面か該本体前面より内側に前記収容ラックを収容し、前記収容ラックが前記交換位置にあるときには該交換ユニットの本体前面より突き出た位置に前記収容ラックを支持する、請求項
1~3のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項5】
前記交換ユニットは、前記印刷装置の筐体の左側に配設された左側ユニットと前記筐体の右側に配設された右側ユニットとにより構成され、前記左側ユニットと前記右側ユニットとの間に前記収容ラックが昇降する昇降空間を有する、請求項
1~
4のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項6】
前記収容ラックは、前記印刷関連部材を移動させる動力を備えていない、請求項
1~
5のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の実装システムであって、
前記印刷装置と前記実装装置との間に前記実装関連部材を保管する保管装置、を備え、
前記移動作業装置は、前記保管装置と前記実装装置との間で前記実装関連部材を交換し、
前記保管装置は、交換作業位置が前記交換ユニット及び前記移動作業装置と同じ側になるよう配設されている、実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、実装システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、基板などの印刷対象に対してスクリーンマスクを用いて粘性流体の印刷処理を行う印刷装置において、印刷位置の後方に次に使用するスクリーンマスクを待機するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、印刷装置としては、印刷装置の前面にマスク交換ユニットを備えたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、印刷装置と実装装置とを備えた実装システムにおいて、実装装置の前面に実装装置で用いる部材を交換する移動作業装置を備えたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-39173号公報
【文献】国際公開2018/142547号
【文献】国際公開2019/016924号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した印刷装置では、スクリーンマスクを後方で待機させる場合は、交換する部材の供給が印刷装置は後方から、実装装置では前方からとなり、スペース効率も作業効率もよくなかった。このように、実装システムでは、部材を交換するに際して、作業効率やスペース効率をより高めることが課題であった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、実装システムに用いられる部材を交換する際に、作業効率及びスペース効率をより高めることができる実装システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する実装システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の実装システムは、
処理対象物に対してスクリーンマスクを用いて粘性流体の印刷処理を行う印刷部を備えた印刷装置と、
前記印刷装置に配設され該印刷装置で使用される印刷関連部材を前記印刷装置との間で自動交換する交換ユニットと、
部品を前記処理対象物に実装する実装部を備えた1以上の実装装置と、
前記実装装置の周囲で移動し前記実装装置で用いられる実装関連部材を前記実装装置との間で自動着脱する移動作業装置と、を備え、
前記印刷装置と前記実装装置とは前面が同じ側になるよう配設され、前記交換ユニットと前記移動作業装置とは同じ側に配設されているものである。
【0008】
この実装システムでは、印刷装置の交換ユニットと、実装装置の移動作業装置とが同じ側に配設されるため、部材の交換を行うに際して作業効率や、作業するスペース効率などをより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実装システム10及び印刷装置11の一例を示す概略説明図。
【
図4】印刷装置11、交換ユニット40及び収容ラック80の一例を示す説明図。
【
図5】実装装置15及びローダ18の一例を示す説明図。
【
図6】収容ラック80を受け入れ、収納位置と交換位置との間で移動する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本開示の実装システム10及び印刷装置11の一例を示す概略説明図である。
図2は、収容ラック80の概略説明図である。
図3は、ラック移動部43の一例を示す説明図である。
図4は、印刷装置11、交換ユニット40及び収容ラック80の一例を示す説明図である。
図5は、実装装置15及びローダ18の一例を示す説明図である。
図6は、収容ラック80を受入部42が受け入れ、収納位置と交換位置との間で移動する説明図である。
図7は、実装システム10の平面図であり、
図7Aが収容位置に収容ラック80が位置する図、
図7Bが交換位置に収容ラック80が位置する図である。この実装システム10は、印刷装置11と、印刷検査装置12と、保管装置13と、実装装置15と、自動搬送車16と、管理コンピュータ(PC)17と、ローダ18と、図示しない実装検査装置と、図示しないリフロー装置とを備えている。実装システム10は、例えば、印刷装置11の下流側に処理対象物としての基板Sに部品Pを実装処理する実装装置15が基板Sの搬送方向に配列された生産ラインとして構成されている。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1、3~6に示した通りとする。
【0011】
印刷検査装置12は、印刷装置11により基板Sに印刷されたはんだペーストなどの粘性流体の状態を検査する装置である。実装検査装置は、基板Sに実装された部品Pの状態などを検査する装置である。リフロー装置は、はんだが印刷され部品Pが実装された基板をリフローする装置である。管理PC17は、実装システム10の各装置の情報を管理する装置である。この管理PC17は、実装処理を行う生産ラインの各装置の進捗状況などを管理する。
【0012】
印刷装置11は、
図1~4に示すように、スキージ25を用いてスクリーンマスクM上のはんだをスクリーンマスクMに形成されたパターン孔に押し込むことによりそのパターン孔を介して下方の処理対象物としての基板Sに、粘性流体としてのはんだを塗布(印刷)する装置である。ここで「処理対象物」としては、例えば、部品Pを実装する基板Sや立体物である基材などが挙げられる。「粘性流体」としては、はんだペーストや導電性ペースト、接着剤などが挙げられる。ここでは、基板Sとはんだペーストとを一例として以下説明する。スクリーンマスクMは、枠29の内側に固定されている。枠29は、数種の大きさのスクリーンマスクMを固定可能であり、収容ラック80の棚部81に収容される大きさを有する(
図1参照)。印刷装置11は、
図4に示すように、印刷制御部20と、印刷部22と、マスク作業部26と、基板処理部30と、清掃部33と、流体供給部35と、検出部37と、操作パネル38と、交換ユニット40とを備えている。また、印刷装置11には、メンテナンス時など、作業者Wが装置内部へアクセスする際に開放、閉鎖される作業扉11aがその前面側に設けられている。
【0013】
印刷制御部20は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、印刷装置11の全体を制御する。印刷制御部20は、印刷部22、マスク作業部26、基板処理部30、清掃部33、流体供給部35、操作パネル38、交換ユニット40のほか、外部装置としての管理PC17へ信号を出力する。また、印刷制御部20は、印刷部22、マスク作業部26、基板処理部30、清掃部33、流体供給部35、検出部37、操作パネル38、交換ユニット40のほか、外部装置としての管理PC17から信号を入力する。この印刷制御部20は、印刷処理する基板Sの情報や、基板Sへ印刷処理を行う印刷処理プログラム、交換部27による枠29の交換処理を実行する部材交換処理プログラムなどが記憶されている記憶部を有している。
【0014】
印刷部22は、印刷装置11の上段に配設されており、スクリーンマスクMを用いて粘性流体を基板S上に印刷処理するユニットである。印刷部22は、
図1、4に示すように、印刷ヘッド23と、印刷移動部24と、図示しないスキージ昇降部と、スキージ25とを備えている。印刷移動部24は、印刷ヘッド23を所定の印刷方向(ここでは前後方向)に移動するものであり、前後方向に形成されたガイドとガイドに沿って移動するスライダとスライダを駆動するモータとを備えている。スキージ25は、印刷ヘッド23の下面側に配設され、スキージ昇降部により昇降される。印刷部22は、前後方向にそれぞれ用いられる2つのスキージ25を有している。マスク作業部26は、
図4に示すように、上下方向において印刷部22と基板処理部30との間に配設されており、スクリーンマスクMを固定保持するユニットである。マスク作業部26は、交換部27と、マスク固定部28とを備えている。交換部27は、印刷ヘッド23に設けられた搬送ロッドであり、図示しないエアシリンダによりスクリーンマスクMに当接する位置に降下され、回動することによって、枠29に当接する当接部が前後方向へも移動する(
図4点線参照)。印刷ヘッド23と、交換部27とは、収容ラック80の所定の高さの棚部81と印刷部22との間で枠29に係合して枠29を移動させるものである。マスク固定部28は、スクリーンマスクMを位置決めして水平な姿勢で支持固定する。スクリーンマスクMは、交換部27に押されマスク作業部26のガイドに沿って前後に移動され、マスク固定部28により固定される。基板処理部30は、マスク作業部26の下方に配設され、基板Sを搬入し、搬入した基板Sを位置決めして支持し、スクリーンマスクMに接触,離間させるユニットである。基板処理部30は、基板Sを左右方向に搬送する基板搬送部31と、基板Sを下方から支持する支持部材32と、基板処理部30の全体や支持部材32を昇降させる基板昇降部とを備える。清掃部33は、上下方向においてマスク作業部26と基板処理部30との間に配設されており、スクリーンマスクMの裏面を清掃する清掃処理を行うユニットである。清掃部33は、清掃部材34を有しており、この清掃部材34が当接してスクリーンマスクMを清掃する。流体供給部35は、カートリッジ36に収容されたはんだをスクリーンマスクM上に供給するユニットである。流体供給部35は、印刷ヘッド23の前方に配設されている。流体供給部35は、カートリッジ36に圧力を加えてカートリッジ36からはんだを吐出させる。清掃部材34やカートリッジ36は消耗品であり必要に応じて交換される。検出部37は、印刷装置11の前方内部に収容ラック80が存在するか否かを検出するセンサである。操作パネル38は、作業者Wからの入力を受け付けると共に作業者Wへ情報を提示するユニットである。この操作パネル38は、印刷装置11の前面に配設されており、ディスプレイである表示部と、タッチパネル式及びボタンを有する操作部とを備えている。
【0015】
収容ラック80は、印刷部22で行われる印刷処理に関する印刷関連部材としてのスクリーンマスクMを支持可能な枠29を収容する収容体である。収容ラック80は、
図1、2に示すように、ラック本体80aと、ハンドル83と、キャスター部84と、支持固定部材85とを有している。ラック本体80aは、複数の棚部81と、1つの開口部82とを有している。棚部81は、スクリーンマスクMを支持した枠29を上下方向に載置可能となるように、上下方向に所定間隔に並んで配設されている。開口部82は、印刷部22など外部と連通しており、枠29は、この開口部82を介して搬入搬出される。この収容ラック80は、枠29を収容するのみであり、枠29を移動させる駆動部や枠29を昇降する駆動部など、動力源を備えていない。この収容ラック80では、より構成を簡略化することができる。棚部81は、各種の印刷関連部材の枠サイズに対応したサイズを有している。即ち、棚部81は、最大の枠29を収容可能なサイズに形成されている。この収容ラック80は、各種の印刷関連部材の枠サイズに対応した棚部81をそれぞれ有するものとしてもよいし、ひとつの収容ラック80の有するサイズが全て同じである複数の棚部81を有するものとしてもよい。後者の場合、外形が同一サイズの複数の収容ラック80を用意し、各々の収容ラック80の棚部81が、各種の印刷関連部材の枠サイズのいずれかに対応するものとしてもよい。この場合、収容ラック80の種別が増加するが、対応する印刷関連部材の枠サイズが異なっていても、収容ラック80の外形サイズが同じであるので、各収容ラック80は受入部42を共用することができる。ハンドル83は、ラック本体80aの上部に固定されている。ハンドル83は、作業者Wがつかむ棒状体と棒状体を固定する支持部材とによって構成されている。キャスター部84は、ラック本体80aの下部に配設されている。このキャスター部84は、中央に空間を有する構造体と、構造体の下面側に配設された車輪を有するキャスターとにより構成されている。作業者Wは、このハンドル83を持って収容ラック80を移動させることもできる。なお、印刷関連部材としては、スクリーンマスクMのほか、例えば、スキージ25、支持部材32、清掃部材34、カートリッジ36などが挙げられる。
【0016】
支持固定部材85は、ラック本体80aの前方下面側の左右端部に固定された板状の部材である。この支持固定部材85は、交換ユニット40へ接続する際に使用される部材である。支持固定部材85は、
図2に示すように、ブロック部86と、受け部87と、係止穴88と、挿入穴89とを有している。ブロック部86は、交換ユニット40が備えているフック部47を接続する部材であり、2つのブロックの間にフック部47が挿入される空間を有している。受け部87は、交換ユニット40が備えている昇降部材44に配設されたカムフォロア44aを受け止める部分であり、円弧状の切り欠き部分を有している。係止穴88は、交換ユニット40の昇降部材44に配設された固定部50のクランプレバー52が挿入される貫通孔である。挿入穴89は、交換ユニット40の昇降部材44に配設された固定部50の挿入ピン53が挿入される貫通孔である。
【0017】
交換ユニット40は、処理対象物に対してスクリーンマスクMを用いて粘性流体の印刷処理を行う印刷部22を備えた印刷装置11に用いられ、印刷装置11で使用される印刷関連部材を印刷装置11との間で自動交換するユニットである。交換ユニット40は、枠29に固定されたスクリーンマスクMなどの印刷関連部材を収容した収容ラック80を受け入れ、収容ラック80を昇降移動する装置として構成されている。交換ユニット40は、左側ユニット41と右側ユニット51とを有している。左側ユニット41は、印刷装置11の筐体の前方左側に配設されている。右側ユニット51は、印刷装置11筐体の前方右側に配設されている。この左側ユニット41及び右側ユニット51は、
図4に示すように、枠29の移動方向に沿う長さAが収容ラック80の長さBよりも短く形成されている。この交換ユニット40は、左側ユニット41と右側ユニット51との中央に収容ラック80が昇降する昇降空間49を有する。この交換ユニット40は、収容ラック80が収容位置にあるときには、この交換ユニット40の本体前面と同じ面かこの本体前面より内側に収容ラック80を収容し、収容ラック80が交換位置にあるときには、この交換ユニット40の本体前面より突き出た位置に収容ラック80を支持する。なお、右側ユニット51は、左側ユニット41と向き合う以外、左側ユニット41と同様の構成を有するものとして、その詳細な説明を省略する。なお、右側ユニット51は、受入部、ラック移動部、昇降部材、カムフォロア、昇降駆動部、前後移動部、フック部、前後駆動部及び固定部などを備える。
【0018】
左側ユニット41は、受入部42と、ラック移動部43と、固定部50とを備えている。受入部42は、印刷装置11で使用される印刷関連部材を支持可能な枠29を収容する複数の棚部81を有する収容ラック80を受け入れ、この収容ラック80を下面側から支持して昇降するものである。ラック移動部43は、印刷関連部材を交換する交換位置と、この交換位置よりも下方の上昇可能位置と、収容ラック80が印刷装置11の筐体内部に入り込む収容位置との間で収容ラック80を昇降、前後動させるものである。ラック移動部43は、
図3に示すように、昇降部材44と、昇降駆動部45と、フック部47と、前後駆動部48とを備えている。昇降部材44は、左側ユニット41の右側ユニット51に対向する面に設けられた板状部材である。この昇降部材44は、昇降駆動部45によって左側ユニット41の筐体内側の面に沿って上下動する。昇降部材44には、その前後の端部にカムフォロア44aが配設されている。カムフォロア44aは、収容ラック80に配設された支持固定部材85を下方から支持し、昇降部材44の上下動に伴い、収容ラック80を上下動する。昇降駆動部45は、例えば、昇降軸を有するボールネジと駆動モータを有し昇降部材44を上下動するものとしてもよいし、リニアモーターにより昇降部材44を上下動するものとしてもよい。また、このラック移動部43は、収容ラック80が上昇可能位置に移動し昇降可能状態になると収容ラック80の水平方向への移動及び/又は落下を規制する固定部50を有している。固定部50は、収容ラック80がラック移動部43によって昇降される際に、収容ラック80の意図しない移動や落下を防止する安全機構である。固定部50には、支持固定部材85に形成された係止穴88に挿入されるクランプレバー52を有するクランプ部や、支持固定部材85に形成された挿入穴89に挿入される挿入ピン53を有するストッパ部などが含まれている。フック部47は、昇降可能に前後駆動部48の軸に配設され、収容ラック80に設けられたブロック部86に対して上昇して、このブロック部86に係合する部材である。前後駆動部48は、フック部47を収容位置と上昇可能位置との間で移動させるものである。前後駆動部48は、ボールネジと駆動モータとを有し、フック部47を前後動するものとしてもよいし、リニアモーターによりフック部47を前後動するものとしてもよい。
【0019】
交換ユニット40は、交換制御部59を有している。交換制御部59は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、交換ユニット40の全体を制御する。交換制御部59は、昇降駆動部45や前後駆動部48のほか、印刷制御部20へ信号を出力する。また、交換制御部59は、印刷制御部20から信号を入力する。この交換制御部59は、収容ラック80が受入部42に受け入れられた信号を取得するとフック部47を上昇させて、このフック部47をブロック部86に係合させる処理を行う。また、交換制御部59は、印刷関連部材を交換する際に収容ラック80を収容位置から上昇可能位置を介して交換位置までラック移動部43により上昇させる処理を行う。また、交換制御部59は、印刷関連部材の交換が終了すると、収容ラック80を交換位置から上昇可能位置を介して収容位置までラック移動部43により移動させる。
【0020】
実装装置15は、部品Pを採取して処理対象物としての基板Sへ実装させる装置である。この実装装置15は、
図5に示すように、実装制御部60と、基板処理部61と、部品供給部63と、実装部64とを備えている。また、実装装置15には、メンテナンス時など、作業者Wが装置内部へアクセスする際に開放、閉鎖される作業扉がその前面側に設けられている。基板処理部61は、基板Sの搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うと共に、基板Sを支持部材62により下方から支持する処理を行う。支持部材62は、台座であるバックアッププレートと、基板Sに応じて任意の位置に配置されるバックアップピンなどによって構成される。このバックアップピンは、実装部64によってバックアッププレートの所定位置に配置されるものとしてもよい。実装制御部60は、CPU60aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。実装制御部60は、部品Pの情報や部品Pを基板Sへ実装する配置順、配置位置、部品Pを採取するフィーダFの装着位置などの情報が含まれる実装条件情報(生産ジョブ)などが記憶された記憶部を有している。実装制御部60は、基板処理部61や部品供給部63、実装部64、操作パネル68へ制御信号を出力する一方、基板処理部61や部品供給部63、実装部64、操作パネル68からの信号を入力する。部品供給部63は、実装部64へ部品Pを供給するユニットである。この部品供給部63は、部品Pを保持した保持部材としてのテープを巻き付けたリールを含むフィーダFを1以上の装着部に装着している。この部品供給部63は、実装処理に用いるフィーダFを装着する実装用装着部63aと、予備のフィーダFを装着するバッファ用装着部63bとを上下段に備える。ここでは、実装用装着部63aやバッファ用装着部63bを装着部と総称する。フィーダFは、図示しないコントローラを備えている。このコントローラは、フィーダFに含まれるテープのIDや部品Pの種別、残数などの情報を記憶している。フィーダFが装着部に装着されると、このコントローラはフィーダFの情報を実装制御部60へ送信する。また、部品供給部63には部品Pを複数配列して載置する保持部材としてのトレイを有するトレイユニットを備えていてもよい。
【0021】
実装部64は、部品Pを部品供給部63から採取し、基板処理部61に固定された基板Sへ配置するユニットである。実装部64は、ヘッド移動部65と、実装ヘッド66と、ノズル67とを備えている。ヘッド移動部65は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。実装ヘッド66は、1以上の部品Pを採取してヘッド移動部65によりXY方向へ移動するものである。この実装ヘッド66は、スライダに取り外し可能に装着されている。実装ヘッド66の下面には、1以上のノズル67が取り外し可能に装着されている。ノズル67は、負圧を利用して部品Pを採取するものである。なお、部品Pを採取する採取部材は、ノズル67のほか部品Pを機械的に保持するメカニカルチャックなどとしてもよい。操作パネル68は、作業者Wからの入力を受け付けると共に作業者Wへ情報を提示するユニットである。この操作パネル68は、実装装置15の前面に配設されており、ディスプレイである表示部と、タッチパネル式及びボタンを有する操作部とを備えている。
【0022】
保管装置13は、
図1に示すように、実装装置15で用いられる実装関連部材としてのフィーダFを一時的に保管する保管場所である。保管装置13は、基板Sを搬送する搬送装置と情報を管理するホストPC13aとを有し、印刷検査装置12と実装装置15との間に設けられている。保管装置13には、部品供給部63と同様の装着部を有している。フィーダFがこの装着部に接続されると、フィーダFのコントローラは、保管装置13に接続されたホストPC13aへフィーダFの情報を出力する。なお、保管装置13では、自動搬送車16によりフィーダFが運ばれるほか、作業者WによりフィーダFが運ばれてもよい。自動搬送車16は、実装システム10で用いられる部材、例えば、交換ユニット40が用いる印刷関連部材の搬送や、ローダ18が用いる実装関連部材の搬送を行う。この自動搬送車16は、例えば、印刷関連部材や実装関連部材などを図示しない倉庫と保管装置13との間で自動搬送する。この自動搬送車16は、予め定められた走路を移動するAGV(Automatic Guided Vehicle)としてもよいし、周囲を検知して自由なルートで目的地まで移動するAMR(Autonomous Mobile Robot)としてもよい。なお、自動搬送車16は、収容ラック80を移動する際には、例えば、キャスター部84の中央の空間へ入り込んだ状態で、上面に配設された図示しない積載部をリフトさせて、収容ラック80を移動するものとしてもよい(後述
図6A参照)。
【0023】
ローダ18は、移動型作業装置として構成されており、実装装置15の正面側の実装装置15の周囲に存在する移動領域内で移動し、フィーダFなど実装装置15に用いられる実装関連部材を自動着脱し、回収及び補給する装置である。このローダ18は、
図5に示すように、移動制御部70と、記憶部72と、収容部73と、交換部74と、移動部75と、通信部78とを備えている。移動制御部70は、CPU71を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。この移動制御部70は、フィーダFを部品供給部63から回収し又はフィーダFを部品供給部63へ補給し、フィーダFを保管装置13との間で移動させるよう装置全体を制御する。記憶部72は、例えばHDDなど、処理プログラムなど各種データを記憶する記憶媒体を有する。収容部73は、1以上のフィーダFを収容する収容空間を有する。この収容部73は、例えば、4つのフィーダFを収容可能に構成されている。交換部74は、フィーダFを収容部73から出し入れすると共に上下段に移動させる機構である。交換部74は、フィーダFをクランプするクランプ部と、クランプ部をY軸方向(前後方向)に移動させるY軸スライダと、クランプ部をZ軸方向(上下方向)に移動させるZ軸スライダとを有している。交換部74は、実装用装着部63aでのフィーダFの装着及び装着解除と、バッファ用装着部63bでのフィーダFの装着及び装着解除と、保管装置13の装着部でのフィーダFの装着及び装着解除を実行する。移動部75は、実装装置15の正面に配設されたX軸レール19に沿ってローダ18をX軸方向(左右方向)へ移動させる機構である。通信部78は、保管装置13が有するホストPC13aや実装装置15などの外部機器と情報のやりとりを行うインタフェースである。このローダ18は、現在位置や実行した作業内容をホストPC13aへ出力する。このローダ18は、実装関連部材として、フィーダFを自動着脱可能であるが、そのほか、支持部材62や、実装ヘッド66、ノズル67など、実装処理に関連する部材を回収、補給するよう構成してもよい。
【0024】
この実装システム10では、印刷装置11と実装装置15とは前面が同じ側になるよう配設され、交換ユニット40と移動作業装置としてのローダ18とは同じ側に配設されている。また、実装システム10では、印刷装置11の作業扉11aと、実装装置15の作業扉と、印刷装置11の操作パネル38と、実装装置15の操作パネル68と、が同じ前面側に配設されている。特に、実装システム10では、交換ユニット40及びローダ18は、印刷装置11及び実装装置15の前面側に配設されている。この実装システム10において、保管装置13は、印刷装置11と実装装置15との間に、交換作業位置が交換ユニット40及びローダ18と同じ側になるよう配設されている。また、この実装システム10では、
図1に示すように、自動搬送車16は、交換ユニット40及びローダ18が配設された側に走行路14を有する。ローダ18は、保管装置13と実装装置15との間で実装関連部材としてのフィーダFを交換する。
【0025】
次に、まず、こうして構成された印刷装置11の印刷処理について説明する。印刷処理を実行する際に、自動搬送車16は、交換ユニット40に収容ラック80を搬送し(
図6の1段目)、装着する作業を行う(
図6の2段目)。作業者Wは、自動搬送車16によって交換ユニット40が収容ラック80を受け入れたのち、印刷処理の実行を操作パネル38から入力する。印刷処理を実行する印刷処理ルーチンは、印刷制御部20の記憶部に記憶され、印刷制御部20が作業者Wから印刷処理の実行指令が入力されたあと、実行される。印刷処理ルーチンを開始すると、印刷制御部20のCPU21は、まず、基板Sを基板処理部30により搬送、固定させて上昇させることでスクリーンマスクMに基板Sを当接させる処理を行う。このとき、CPU21は、マスク作業部26によりスクリーンマスクMの位置を調整し、パターン孔と基板Sとの位置合わせを行う。次に、CPU21は、カートリッジ36をスクリーンマスクM上に移動させ、これにはんだを吐出させる。次に、CPUは、印刷ヘッド23を移動させると共にスキージ25を下降させてスキージ25をスクリーンマスクMの上面に当接させると共に前後方向に移動させてはんだを基板S上に印刷する。このように、印刷制御部20は、基板搬送固定処理、はんだ供給処理、及びスキージ移動処理を含む印刷処理を行って、基板Sに印刷を行う。また、CPU21は、スクリーンマスクMの使用が終了すると、次のスクリーンマスクMと交換する処理を実行する。まず、CPU21は、収容ラック80を印刷装置11の筐体内部から引き出し(
図6の3段目)、収容ラック80を交換位置まで上昇させる(
図6の4段目)。そして、CPU21は、交換部27を用いてスクリーンマスクMを交換させ、交換が終了すると、収容ラック80をラック移動部43によって収容位置へ移動させる。CPU21は、製造計画にある全ての種別の基板Sの生産処理が完了するまで、スクリーンマスクMを取り替えながら印刷処理を繰り返し行う。
【0026】
次に、実装装置15が部品Pを基板Sへ実装する処理について説明する。実装制御部60のCPU60aは、実装処理を開始すると、まず、基板Sを搬入、固定するよう基板処理部61を制御する。次に、CPU60aは、実装条件情報を読み出し、この実装条件情報に基づいて、部品供給部63に装着されたフィーダFから部品Pを実装ヘッド66に採取させ、基板Sに配置する処理を行う。基板Sに部品Pを配置し終わると、CPU60aは、基板Sを基板処理部61に排出させ、上述した処理を繰り返す。CPU60aは、この実装処理中に、各フィーダFの部品消費数を管理し、部品残数が所定の警告値以下になると、その情報をホストPC13aへ送信する。ホストPC13aは、この指示リストに基づいて、ローダ18に交換作業を実行させる。ローダ18は、X軸レール19に沿って保管装置13と実装装置15との間を移動し、作業対象の実装装置15でフィーダFの交換処理を実行する。
【0027】
印刷装置11は、
図7Aに示すように、収容ラック80が収容位置に収容されているときには、収容ラック80が交換ユニット40の前面よりも内側に収容されているため、自動搬送車16が走行する走行路14を広くすることができる。また、印刷装置11は、
図7Bに示すように、スクリーンマスクMを交換する一時的な期間のみ、収容ラック80を交換位置へ移動するため、走行路14の領域が制限される期間をより短くすることができる。
【0028】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷部22が印刷部に相当し、交換ユニット40が交換ユニットに相当し、実装装置15が実装装置に相当し、ローダ18が移動作業装置に相当し、自動搬送車16が自動搬送車に相当し、走行路14が走行路に相当する。また、受入部42が受入部に相当し、ラック移動部43がラック移動部に相当し、左側ユニット41が左側ユニットに相当し、右側ユニット51が右側ユニットに相当し、昇降空間49が昇降空間に相当し、保管装置13が保管装置に相当する。
【0029】
以上説明した本実施形態の実装システム10では、処理対象物である基板Sに対してスクリーンマスクMを用いて粘性流体の印刷処理を行う印刷部22を備えた印刷装置11と、印刷装置11に配設されこの印刷装置11で使用される印刷関連部材を印刷装置11との間で自動交換する交換ユニット40と、部品Pを処理対象物である基板Sに実装する実装部64を備えた1以上の実装装置15と、実装装置15の周囲で移動し実装装置15で用いられる実装関連部材を実装装置15との間で自動着脱する移動作業装置としてのローダ18を、を備えている。この実装システム10は、印刷装置11と実装装置15とは前面が同じ側になるよう配設され、交換ユニット18と移動作業装置とは同じ側に配設されている。この実装システム10では、印刷装置11の交換ユニット40と、実装装置15のローダ18とが同じ側に配設されるため、部材の交換を行うに際して作業効率や、作業するスペース効率などをより高めることができる。また、実装システム10では、印刷装置11、保管装置13及び実装装置15が同じ側を前面側とし、その前面側に、ローダ18や保管装置13の装着部、交換ユニット40、印刷装置11の作業扉11a、実装装置15の作業扉、印刷装置11の操作パネル38、実装装置15の操作パネル68などが配設されているため、作業者Wや自動搬送車16などが装置の裏面側に移動することをより抑制することが可能であり、作業者Wや自動搬送車16の作業効率をより高めることができる。
【0030】
また、実装システム10は、交換ユニットが用いる印刷関連部材の搬送及びローダ18が用いる実装関連部材の搬送を行う自動搬送車16、を備え、自動搬送車16は、交換ユニット及び前記移動作業装置が配設された側に走行路14を有する。この実装システム10では、交換する部材を自動搬送車16で搬送するため、作業者Wの作業量をより低減することができる。また、自動搬送車16が交換ユニット40やローダ18へ移動する際に、これらと同じ側を走行するため、自動搬送車16の移動効率や、移動スペースの効率、交換作業の効率などをより高めることができる。
【0031】
更に、交換ユニット40は、印刷関連部材を収容した収容ラック80を受け入れる受入部42と、収容ラック80を印刷装置11の筐体内部へ引き入れる収容位置と収容ラック80を筐体から突出させる交換位置との間で収容ラック80を移動させるラック移動部43と、を備える。この実装システム10において、交換ユニット40は、印刷関連部材を収容した収容ラック80ごと移動させることから、収容ラック80の内部に動力源が不要であり、収容ラック80自体をコンパクトにすることができる。また、この交換ユニット40は、収容ラック80での交換を行わないときなどには、収容ラック80を印刷装置11の筐体内部に引き込んだ状態とすることから、印刷装置11の筐体自体もよりコンパクト化を図ることができる。そして、印刷装置11をコンパクト化することができるため、部材を交換する作業スペースなどの効率もより高めることができる。また、交換ユニット40は、前後方向の長さAが収容ラックの前後方向の長さBよりも短く形成されている。この実装システム10では、交換ユニット40が収容ラック80を利用するとき以外において、装置サイズをよりコンパクト化することができ、ひいては部材を交換する作業スペースや作業効率などをより高めることができる。
【0032】
更に、交換ユニット40は、収容ラック80が収容位置にあるときには、この交換ユニット40の本体前面と同じ面か、この本体前面より内側に収容ラック80を収容し、収容ラック80が交換位置にあるときには、この交換ユニット40の本体前面より突き出た位置に収容ラック80を支持する。この実装システム10では、収容ラック80が収容位置にあるときは、特に装置サイズをよりコンパクト化することができ、ひいては部材を交換する作業スペースや作業効率などもより高めることができる。また、交換ユニット40は、印刷装置11の筐体の左側に配設された左側ユニット41と筐体の右側に配設された右側ユニット51とにより構成され、左側ユニット41と右側ユニット51との間に収容ラック80が昇降する昇降空間49を有する。この実装システムでは、交換ユニット40において、左側ユニット41と右側ユニット51との間に形成された昇降空間49に収容ラック80を挿入して収容ラック80を交換することができるため、印刷関連部材の交換がより容易である。また、収容ラック80は、印刷関連部材を移動させる動力を備えていない。この実装システム10では、収容ラック80のコンパクト化をより図ることができ、ひいては印刷関連部材や実装関連部材を交換する作業スペースの効率をより高めることができる。更に、実装システム10は、印刷装置11と実装装置15との間に実装関連部材を保管する保管装置13を備え、ローダ18は、保管装置13と実装装置15との間で実装関連部材を交換し、保管装置13は、フィーダFの交換作業位置が交換ユニット40及びローダ18と同じ側になるよう配設されている。この実装システム10では、印刷関連部材や実装関連部材を交換する際に、これらの装置と同じ側で作業することができるため、部材の交換を行うに際して作業効率や、作業するスペース効率などをより高めることができる。
【0033】
なお、本開示の実装システム10は、上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、実装システム10は、自動搬送車16を備え、印刷関連部材や実装関連部材を自動搬送するものとしたが、特にこれに限定されず、作業者Wが印刷関連部材や実装関連部材を搬送するものとしてもよい。この実装システム10においても、交換ユニット40とローダ18とが同じ側に配設されているので、作業者Wの作業効率や、作業者Wの作業スペースの効率をより高めることができ、好ましい。
【0035】
上述した実施形態では、印刷装置11は、受入部42とラック移動部43とを備え、収容ラック80を収容位置と交換位置との間で移動するものとしたが特にこれに限定されず、収容ラック80を移動しないものとしてもよい。この実装システム10においても、交換ユニット40とローダ18とが同じ側に配設されているので、部材の交換の作業効率や、作業スペースの効率をより高めることはできる。なお、収容ラック80を本体側へ収容する構成の方が、スペース効率がよく、好ましい。また、上述した実施形態では、交換ユニット40は、その長さAが収容ラック80の長さBよりも短く形成されているものとしたが、特にこれに限定されず、長さAが長さBよりも短くなくてもよい。この実装システム10においても、交換ユニット40とローダ18とが同じ側に配設されているので、部材の交換の作業効率や、作業スペースの効率をより高めることはできる。なお、交換ユニット40の長さAは、より短い方が、スペース効率がよく、好ましい。また、上述した実施形態では、交換ユニット40は、収容ラック80が収容位置にあると、収容ラック80の前面が交換ユニット40の前面と同じかそれ以内に収容ラック80を収容するものとしたが、特にこれに限られない。例えば、交換ユニット40は、収容ラック80の前面が交換ユニット40の本体前面よりも突き出た位置に収容ラック80を支持するものとしてもよい。この実装システム10においても、交換ユニット40とローダ18とが同じ側に配設されているので、部材の交換作業効率や、部材の交換作業スペースの効率をより高めることはできる。なお、収容ラック80の前面は、交換ユニット40の前面よりも突き出ていない方が、作業スペースの効率がよく、好ましい。
【0036】
上述した実施形態では、交換ユニット40は、左側ユニット41と右側ユニット51とを備え、印刷装置11の筐体の左右にそれぞれ交換ユニット40の本体が配設されているものとしたが特にこれに限定されず、収容ラック80を収容する空間があれば、交換ユニット40を一体的な構造としてもよい。また、交換ユニット40は、印刷装置11の前面側に配設されるものとしたが、ローダ18と同じ側に配設されるものとすれば、特にこれに限定されず、後面側に配設されてもよい。なお、交換ユニット40とローダ18とは、印刷装置11や実装装置15の前面側に配設されることが、作業を行うスペースを統一することができるため、より好ましい。
【0037】
上述した実施形態では、受入部は、収容ラック80の左右端部を下面側から支持して収容ラック80を受け入れるものとしたが、収容ラック80を受け入れ可能であれば、特にこれに限定されず、例えば、収容ラック80の下面全体を支持するものとしてもよいし、収容ラック80の側面や上面から収容ラック80を支持して受け入れるものとしてもよい。また、上述した実施形態では、交換ユニット40は、収容ラック80を上方に持ち上げることによって、収容ラック80を受け入れるものとしたが、収容ラック80の受け入れができれば、特にこれに限定されない。
【0038】
上述した実施形態では、交換部27は、印刷ヘッド23に配設された当接部を有するロッド構造としたが、特にこれに限定されず、印刷ヘッド23以外に配設された独立した機構としてもよい。また、上述した実施形態では、交換部27は枠29に係合するロッド機構としたが、例えば、印刷関連部材を含む枠29を載置させ移動するコンベア機構としてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、収容ラック80は、枠29を載置する棚部81を備えたものとしたが、複数の枠29を収容可能であれば、特にこれに限定されない。
図8は、別の収容ラック80Bの一例を示す説明図である。この収容ラック80Bは、枠29の端部が挿入されてこれを支持する棚部81Bを左右に備えている。この収容ラック80Bでは、棚部81をより簡素化することができる。また、上述した実施形態では、収容ラック80は、キャスター部84を備えたものとしたが、特にこれに限定されず、キャスター部84を省略してもよいし、キャスター部84を取り外し可能に構成してもよい。また、収容ラック80は、ハンドル83を備えるものとしたが、これを省略してもよい。
【0040】
上述した実施形態では、収容ラック80は、枠29を移動する駆動部を有さないものとして説明したが、特にこれに限定されず、収容ラック80は、枠29移動する駆動部を有するものとしてもよい。この実装システム10においても、交換ユニット40とローダ18とが同じ側に配設されているので、部材の交換作業効率や、部材の交換作業スペースの効率をより高めることはできる。
【0041】
上述した実施形態では、交換ユニット40が交換する印刷関連部材をスクリーンマスクMとして説明したが、印刷装置11において交換を要するものであればこれに限定されず、スクリーンマスクMのほか、スキージ25や、処理対象物としての基板Sを支持する支持部材32、スクリーンマスクMの清掃に用いられる清掃部材34、粘性流体を収容するカートリッジ36などのうち1以上としてもよい。また、粘性流体をはんだペーストとしたが、導電性ペーストや接着剤などとしてもよい。また、上述した実施形態では、ローダ18が交換する実装関連部材をフィーダFとして説明したが、実装装置15において交換を要するものであれば、特にこれに限定されず、フィーダFのほか、基板Sを支持する支持部材62や、実装ヘッド66、ノズル67などのうち1以上としてもよい。また、処理対象物を基板Sとしたが、粘性流体を印刷するものや部品Pを実装処理するものとすれば、特にこれに限定されず、立体物などとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示は、部品を実装処理する装置の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 実装システム、11 印刷装置、11a 作業扉、12 印刷検査装置、13 保管装置、13a ホストPC、14 走行路、15 実装装置、16 自動搬送車、17 管理PC、18 ローダ、19 X軸レール、20 印刷制御部、21 CPU、22 印刷部、23 印刷ヘッド、24 印刷移動部、25 スキージ、26 マスク作業部、27 交換部、28 マスク固定部、29 枠、30 基板処理部、31 基板搬送部、32 支持部材、33 清掃部、34 清掃部材、35 流体供給部、36 カートリッジ、37 検出部、38 操作パネル、40 交換ユニット、41 左側ユニット、42 受入部、43 ラック移動部、44 昇降部材、44a カムフォロア、45 昇降駆動部、47 フック部、48 前後駆動部、49 昇降空間、50 固定部、51 右側ユニット、52 クランプレバー、53 挿入ピン、59 交換制御部、60 実装制御部、60a CPU、61 基板処理部、62 支持部材、63 部品供給部、63a 実装用装着部、63b バッファ用装着部、64 実装部、65 ヘッド移動部、66 実装ヘッド、67 ノズル、68 操作パネル、70 移動制御部、71 CPU、72 記憶部、73 収容部、74 交換部、75 移動部、78 通信部、80,80B 収容ラック、80a ラック本体、81,81B 棚部、82 開口部、83 ハンドル、84 キャスター部、85 支持固定部材、86 ブロック部、87 受け部、88 係止穴、89 挿入穴、A,B 長さ、M スクリーンマスク、S 基板、P 部品、W 作業者。