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特許7615321石油流通システムの最適化のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】石油流通システムの最適化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/00 20060101AFI20250108BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20250108BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
G05B13/00 L
G05B19/418 Z
G05B11/36 N
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023529024
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 US2021059381
(87)【国際公開番号】W WO2022104208
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】63/114,407
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/511,358
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523178732
【氏名又は名称】センシア リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】オット ロス アレン
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0096452(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0175030(US,A1)
【文献】国際公開第2015/122051(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/146316(WO,A1)
【文献】特表2012-505289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 11/00-11/60
G05B 13/00-13/04
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプライン系を作動させる方法であって、前記方法は、
前記パイプライン系内のガスのセンサデータを検知ユニットのセンサから得るステップと、
前記センサデータおよび記ガスの物質モデルを用いて実時間かつ閉ループ制御方式を実施して1つ以上の制御決定を出すステップと、を有し、前記ガスの物質モデルは、前記ガスの前記センサデータを受け取り、前記ガスの前記センサデータに基づいて、前記ガスの熱力学的性質を予測するように構成され、前記物質モデルによって予測された前記ガスの前記熱力学的性質は前記センサデータとは異なり、
さらに、1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて、前記1つ以上の制御決定に従って前記ガスの相を調整し、水和物の生成を制限するステップとを含む、方法。
【請求項3】
前記センサデータは、前記パイプライン系に位置決めされた複数の検知ユニットから得られる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記物質モデルによって予測される前記熱力学的性質は、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、前記ガスの臨界点、粘度、密度、れ特性、または、相のうちの少なくとも1つである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出され、前記1つ以上の制御目的は、前記ガス中の水和物の生成の制限、及び
前記ガスを所望の相に維持する目的、
ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、
前記ガスを前記所望の相に転移させる目的、または
前記パイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ユーザのためのディスプレイデータを生成するステップをさらに含み、前記ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、前記ガスの相図、前記センサデータ、または前記物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含み、
ディスプレイデバイスを作動させて前記ディスプレイデータを前記ユーザに提供するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の物質モデルによって推定される前記1つ以上の熱力学的性質は、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、または前記ガスの臨界点のうちの任意のものを含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
パイプライン系用の制御装置であって、前記制御装置は、
前記パイプライン系内のガスのセンサデータを検知ユニットのセンサから得、
前記センサデータおよび記ガスの物質モデルを用いて実時間かつ閉ループ制御方式を実施して1つ以上の制御決定を出し、そして、前記ガスの物質モデルは、前記ガスの前記センサデータを受け取り、前記ガスの前記センサデータに基づいて、前記ガスの熱力学的性質を予測するように構成され、前記物質モデルによって予測された前記ガスの前記熱力学的性質は前記センサデータとは異なり、
さらに、1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて、前記1つ以上の制御決定に従って前記ガスの相を調整し、水和物の生成を制限する処理回路系を有する、制御装置。
【請求項11】
前記センサデータは、前記パイプライン系に位置決めされた複数の検知ユニットから得られる、請求項9記載の制御装置。
【請求項12】
前記物質モデルによって予測される前記熱力学的性質は、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、前記ガスの臨界点、粘度、密度、れ特性、または、相のうちの少なくとも1つである、請求項9記載の制御装置。
【請求項13】
前記1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出され、前記1つ以上の制御目的は、前記ガス中の水和物の生成の制限、及び
前記ガスを所望の相に維持する目的、
ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、
前記ガスを前記所望の相に転移させる目的、または
前記パイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む、請求項9記載の制御装置。
【請求項14】
前記処理回路系はさらに、
ユーザのためのディスプレイデータを生成するよう構成され、前記ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、前記ガスの相図、前記センサデータ、または前記物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含み、
ディスプレイデバイスを作動させて前記ディスプレイデータを前記ユーザに提供するよう構成されている、請求項9記載の制御装置。
【請求項15】
前記1つ以上の物質モデルによって推定される前記1つ以上の熱力学的性質は、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、または前記ガスの臨界点のうちの任意のものを含む、請求項14記載の制御装置。
【請求項17】
パイプライン系であって、
パイプラインと、
センサデータを提供するよう構成された検知ユニットを備えるステーションと、
ガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するよう構成されたパイプライン機器と、
制御装置とを含み、前記制御装置は、
前記パイプライン系内のガスのセンサデータを検知ユニットのセンサから得、
前記センサデータおよび記ガスの物質モデルを用いて実時間かつ閉ループ制御方式を実施して1つ以上の制御決定を出し、そして、前記ガスの物質モデルは、前記ガスの前記センサデータを受け取り、前記ガスの前記センサデータに基づいて、前記ガスの熱力学的性質を予測するように構成され、前記物質モデルによって予測された前記ガスの前記熱力学的性質は前記センサデータとは異なり、
さらに、1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて、前記1つ以上の制御決定に従って前記ガスの相を調整し、水和物の生成を制限するよう構成されている、パイプライン系。
【請求項18】
前記物質モデルによって予測される前記熱力学的性質は、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、前記ガスの臨界点、粘度、密度、れ特性、または、相のうちの少なくとも1つを予測するよう構成されている、請求項17記載のパイプライン系。
【請求項19】
前記1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出され、前記1つ以上の制御目的は、前記ガス中の水和物の生成の制限、及び
前記ガスを所望の相に維持する目的、
ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、
前記ガスを前記所望の相に転移させる目的、または
前記パイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む、請求項17記載のパイプライン系。
【請求項20】
前記制御装置はさらに、
ユーザのためのディスプレイデータを生成するよう構成され、前記ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、前記ガスの相図、前記センサデータ、または前記物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含み、
ディスプレイデバイスを作動させて前記ディスプレイデータを前記ユーザに提供するよう構成されている、請求項17記載のパイプライン系。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年10月26日に出願された米国特許出願第17/511,358号の権益および優先権主張出願であり、この米国特許出願は、2020年11月16日に出願された米国特許仮出願第63/114,407号の権益および優先権主張出願であり、これら特許文献を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0002】
本開示(本発明)は、石油システム用の制御系または方式に関する。特に、本発明は、天然ガスシステム、原油システム、ガソリンシステム、および他の油とガスの混合生産物を含む(これらには限定されない)石油ガスシステム用の閉ループ制御系または方式に関する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一具体化例は、幾つかの実施形態に従ってパイプライン系を作動させる方法である。幾つかの実施形態では、本方法は、パイプライン系内のガス(「気体」ともいう)のセンサデータを検知ユニットのセンサから得るステップを含む。幾つかの実施形態では、本方法はまた、センサデータおよびガスの物質モデルを用いて実時間および閉ループ制御方式を実行して1つ以上の制御決定を出すステップをさらに含む。幾つかの実施形態では、本方法は、1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて、1つ以上の制御決定に従い、ガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するステップを含む。
【0004】
幾つかの実施形態では、センサデータは、ガスの温度、ガスの圧力、ガスの流量、およびガスの組成のうちの任意のものを含む。幾つかの実施形態では、検知ユニットのセンサは、ガスの温度を測定するよう構成された温度センサ、ガスの圧力を測定するよう構成された圧力センサ、ガスの流量を測定するよう構成された流量計、およびガスの組成を測定するよう構成されたガスクロマトグラフ、レーザ干渉計、水センサ、密度センサ、または硫化水素センサのうちの任意のもののうちの任意のものを含む。
【0005】
幾つかの実施形態では、センサデータは、パイプライン系に位置決めされた多数の検知ユニットから得られる。幾つかの実施形態では、物質モデルは、ガスのクリコンデンサーム点、ガスのクリコンデンバール点、ガスの臨界点、粘度、密度、流れ特性、または相のうちの少なくとも1つを推定するよう構成されている。
【0006】
幾つかの実施形態では、1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出される。幾つかの実施形態では、1つ以上の制御目的は、ガス中の水和物の生成を制限する目的、ガスを所望の相に維持する目的、ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、ガスを所望の相に転移させる目的、またはパイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
幾つかの実施形態では、本方法は、ユーザのためのディスプレイデータを生成するステップをさらに含み、ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、ガスの相図、センサデータ、または物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含む。本方法は、ディスプレイデバイスを作動させてディスプレイデータをユーザに提供するステップを含む。
【0008】
1つ以上の物質モデルによって推定される1つ以上の熱力学的性質は、ガスのクリコンデンサーム点、ガスのクリコンデンバール点、またはガスの臨界点のうちの任意のものを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の物質モデルは、ガスの組成に基づいて選択され、生成され、または調節される。
【0009】
本発明のもう1つの具体化例は、幾つかの実施形態としてのパイプライン系用の制御装置である。幾つかの実施形態では、制御装置は、パイプライン系内のガスのセンサデータを検知ユニットのセンサから得るよう構成された処理回路系を有する。幾つかの実施形態では、処理回路系は、センサデータおよびガスの物質モデルを用いて実時間かつ閉ループ制御方式を実施して1つ以上の制御決定を出すよう構成されている。幾つかの実施形態では、処理回路系は、1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて1つ以上の制御決定に従ってガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するよう構成されている。
【0010】
幾つかの実施形態では、センサデータは、ガスの温度、ガスの圧力、ガスの流量、およびガスの組成のうちの任意のものを含む。幾つかの実施形態では、検知ユニットのセンサは、ガスの温度を測定するよう構成された温度センサ、ガスの圧力を測定するよう構成された圧力センサ、ガスの流量を測定するよう構成された流量計、およびガスの組成を測定するよう構成されたガスクロマトグラフ、レーザ干渉計、水センサ、密度センサ、または硫化水素センサのうちの任意のもののうちの任意のものを含む。
【0011】
幾つかの実施形態では、センサデータは、パイプライン系に位置決めされた複数の検知ユニットから得られる。幾つかの実施形態では、物質モデルは、ガスのクリコンデンサーム点、ガスのクリコンデンバール点、ガスの臨界点、粘度、密度、流れ特性、または相のうちの少なくとも1つを推定するよう構成されている。
【0012】
幾つかの実施形態では、1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出される。幾つかの実施形態では、1つ以上の制御目的は、ガス中の水和物の生成を制限する目的、ガスを所望の相に維持する目的、ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、ガスを所望の相に転移させる目的、またはパイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
幾つかの実施形態では、処理回路系はさらに、ユーザのためのディスプレイデータを生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、ガスの相図、センサデータ、または物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含む。幾つかの実施形態では、処理回路系はさらに、ディスプレイデバイスを作動させてディスプレイデータをユーザに提供するよう構成されている。
【0014】
幾つかの実施形態では、1つ以上の物質モデルによって推定される1つ以上の熱力学的性質は、ガスのクリコンデンサーム点、ガスのクリコンデンバール点、またはガスの臨界点のうちの任意のものを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の物質モデルは、ガスの組成に基づいて選択され、生成され、または調節される。
【0015】
本発明のもう1つの具体化例は、幾つかの実施形態としてのパイプライン系である。幾つかの実施形態では、パイプライン系は、パイプラインと、ステーションと、パイプライン機器と、制御装置とを含む。幾つかの実施形態では、ステーションは、センサデータを提供するよう構成された検知ユニットを備える。幾つかの実施形態では、パイプライン機器は、ガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置は、パイプライン系内のガスのセンサデータを検知ユニットのセンサから得るよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置は、センサデータおよびガスの物質モデルを用いて実時間かつ閉ループ制御方式を実施して1つ以上の制御決定を出すよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置は、1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて1つ以上の制御決定に従ってガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するよう構成されている。
【0016】
幾つかの実施形態では、物質モデルは、ガスのクリコンデンサーム点、ガスのクリコンデンバール点、ガスの臨界点、粘度、密度、流れ特性、または相のうちの少なくとも1つを推定するよう構成されている。幾つかの実施形態では、1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出される。幾つかの実施形態では、1つ以上の制御目的は、ガス中の水和物の生成を制限する目的、ガスを所望の相に維持する目的、ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、ガスを所望の相に転移させる目的、またはパイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
幾つかの実施形態では、制御装置はさらに、ユーザのためのディスプレイデータを生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、ガスの相図、センサデータ、または物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含む。幾つかの実施形態では、制御装置は、ディスプレイデバイスを作動させてディスプレイデータをユーザに提供するよう構成されている。
【0018】
本発明のもう1つの具体化例は、幾つかの実施形態に従ってパイプラインを最適化する方法である。幾つかの実施形態では、本方法は、パイプラインのための最適化および作動モードを決定するステップを含む。本方法は、性能変数を将来の計画対象期間にわたってパイプラインの1つ以上の制御決定の関数として定量化する目的関数を得るステップをさらに含む。幾つかの実施形態では、本方法は、1つ以上の制約を受ける目的関数を最適化して、結果的に性能変数の最適値が得られるようにするパイプラインのための制御決定を出すステップを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、パイプラインの機器を制御決定に従って作動させるステップを含む。
【0019】
幾つかの実施形態では、最適化モードは、エミッションまたはエネルギー消費モード、金銭的コストモード、またはスループットモードのうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、エミッションまたはエネルギー消費モードでは、目的関数の性能変数は、エネルギー消費量であり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最小化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって性能変数の最小値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。幾つかの実施形態では、金銭的コストモードでは、目的関数の性能変数は、金銭的コストであり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最小化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって金銭的コストの最小値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。幾つかの実施形態では、スループットモードでは、目的関数の性能変数は、送り出される生産物量であり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最大化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって送り出される生産物量の最大値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、本方法は、パイプラインの全体について制御決定を出すようパイプラインの全体について実施される。幾つかの実施形態では、本方法は、パイプラインのステーションについて制御決定を出すようパイプラインのステーションについて実施される。
【0021】
幾つかの実施形態では、目的関数は、パイプラインのステーションのモデルを含む。幾つかの実施形態では、パイプラインのステーションは、直列にまたは並列に配置されていて生産物をパイプラインに通してポンプ送りするよう構成された複数のポンプを有する。幾つかの実施形態では、ステーションのモデルは、制御決定の関数としてステーションの1つ以上の動作パラメータを予測する。
【0022】
幾つかの実施形態では、制御決定は、将来の計画対象期間の各タイムステップに関するものである。幾つかの実施形態では、制御決定は、パイプラインの1つ以上のポンプに関する設定値、パイプラインに添加すべき抵抗減少剤(DRA)の量、またはパイプラインを作動させるためにユーティリティ提供業者から購入すべきエネルギーの量のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
幾つかの実施形態では、パイプラインは、液体生産物、ガス生産物、または液体とガスの混合物を含む生産物を輸送するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御決定は、パイプラインの生産物に添加すべき添加剤の量および種類を含む。
【0024】
本発明のもう1つの具体化例は、幾つかの実施形態としてのパイプラインである。幾つかの実施形態では、パイプラインは、複数のパイプラインステーションを有し、各パイプラインステーションは、少なくとも1つのポンプまたはコンプレッサ、パイプラインステーションを互いに連結するパイプ、および制御装置を有する。幾つかの実施形態では、制御装置は、パイプラインのための最適化および作動モードを決定するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置はまた、性能変数を将来の計画対象期間にわたってパイプラインの1つ以上の制御決定の関数として定量化する目的関数を得るよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置はまた、1つ以上の制約を受ける目的関数を最適化して、結果的に性能変数の最適値が得られるようにするパイプラインのための制御決定を出すよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置はまた、制御決定に従ってパイプラインの複数のパイプラインステーションの各々の少なくとも1つのポンプまたはコンプレッサを作動させるよう構成されている。
【0025】
幾つかの実施形態では、最適化モードは、エミッションまたはエネルギー消費モード、金銭的コストモード、またはスループットモードのうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、エミッションまたはエネルギー消費モードでは、目的関数の性能変数は、エネルギー消費量であり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最小化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって性能変数の最小値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。幾つかの実施形態では、金銭的コストモードでは、目的関数の性能変数は、金銭的コストであり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最小化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって金銭的コストの最小値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。幾つかの実施形態では、スループットモードでは、目的関数の性能変数は、送り出される生産物量であり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最大化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって送り出される生産物量の最大値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。
【0026】
幾つかの実施形態では、制御装置は、パイプラインの全体について制御決定を出すよう前記パイプラインの全体について目的関数を最適化するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置は、パイプラインの複数のパイプラインステーションのうちの1つに関して目的関数を最適化してパイプラインの複数のパイプラインステーションのうちの1つについて制御決定を出すよう構成されている。
【0027】
幾つかの実施形態では、目的関数は、パイプラインの複数のパイプラインステーションのうちの少なくとも1つのパイプラインステーションのモデルを含む。パイプラインの少なくとも1つのパイプラインステーションは、直列にまたは並列に配置されていて生産物をパイプラインに通してポンプ送りするよう構成された多数または複数のポンプを有し、パイプラインステーションのモデルは、制御決定の関数としてステーションの1つ以上の動作パラメータを予測する。
【0028】
幾つかの実施形態では、制御決定は、将来の計画対象期間の各タイムステップに関するものである。幾つかの実施形態では、制御決定は、パイプラインの1つ以上のポンプに関する設定値、パイプラインに添加すべき抵抗減少剤(DRA)の量、またはパイプラインを作動させるためにユーティリティ提供業者から購入すべきエネルギーの量のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
幾つかの実施形態では、パイプラインは、液体生産物、ガス生産物、または液体とガスの混合物を含む生産物を輸送するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御決定は、パイプラインの生産物に添加すべき添加剤の量および種類を含む。
【0030】
本発明のもう1つの具体化例は、幾つかの実施形態としてのパイプラインを最適化する制御装置である。幾つかの実施形態では、制御装置は、パイプラインのための最適化および作動モードを決定するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置は、性能変数を将来の計画対象期間にわたってパイプラインの1つ以上の制御決定の関数として定量化する目的関数を得るよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置は、1つ以上の制約を受ける目的関数を最適化して、結果的に性能変数の最適値が得られるようにするパイプラインのための制御決定を出すよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置は、パイプラインの機器を制御決定に従って作動させるよう構成されている。
【0031】
幾つかの実施形態では、最適化モードは、エミッションまたはエネルギー消費モード、金銭的コストモード、またはスループットモードのうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、エミッションまたはエネルギー消費モードでは、目的関数の性能変数は、エネルギー消費量であり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最小化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって性能変数の最小値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。幾つかの実施形態では、金銭的コストモードでは、目的関数の性能変数は、金銭的コストであり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最小化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって金銭的コストの最小値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。幾つかの実施形態では、スループットモードでは、目的関数の性能変数は、送り出される生産物量であり、目的関数を最適化するステップは、目的関数を最大化して、結果的に将来の計画対象期間にわたって送り出される生産物量の最大値が得られるようにする制御決定を出すステップを含む。
【0032】
幾つかの実施形態では、目的関数は、パイプラインのステーションのモデルを含む。幾つかの実施形態では、パイプラインのステーションは、直列にまたは並列に配置されていて生産物をパイプラインに通してポンプ送りするよう構成された複数のポンプを有する。幾つかの実施形態では、ステーションのモデルは、制御決定の関数としてステーションの1つ以上の動作パラメータを予測する。
【0033】
幾つかの実施形態では、制御決定は、将来の計画対象期間の各タイムステップに関するものである。幾つかの実施形態では、制御決定は、パイプラインの1つ以上のポンプに関する設定値、パイプラインに添加すべき抵抗減少剤(DRA)の量、またはパイプラインを作動させるためにユーティリティ提供業者から購入すべきエネルギーの量のうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
本発明は、添付の図面を参照して行われる以下の詳細な説明から十分に明らかになり、図中、同一の参照符号は、同一の要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】幾つかの実施形態に従って、計器および制御系を含むパイプ系のためのシステムの略図である。
図2】幾つかの実施形態による図1のパイプ系内のガスの別個の部分の略図であり、ガスの別個の部分がパイプ系に沿って流れているときの長さが増大する状態を示す図である。
図3】幾つかの実施形態に従って図1のパイプ系の一部分の略図であり、混合箇所でメインラインと側方パイプラインの合体部を含む図1のパイプ系の一部分の略図である。
図4】幾つかの実施形態による図3のパイプ系の一部分の略図である。
図5】幾つかの実施形態に従ってガスの新たな別個の部分を形成するために混合されるメインラインガスの別々の部分および側ガスの別々の部分の略図である。
図6】幾つかの実施形態に従ってガスの新たな別個の部分を形成するため混合されるメインラインガスの別々の部分および側ガスの別々の部分の略図である。
図7】幾つかの実施形態による図5および図6のガスの新たな別々の部分の略図である。
図8】幾つかの実施形態による図1のパイプ系の流体の相図である。
図9】幾つかの実施形態に従って1つ以上の制御決定が実行される前における図1の流体の相包絡線、水和物曲線、およびプロセス経路を示すグラフ図である。
図10】幾つかの実施形態に従って1つ以上の制御決定が実行された後における図1の流体の相包絡線、水和物曲線、およびプロセス経路を示すグラフ図である。
図11】幾つかの実施形態による図1の制御系のブロック図である。
図12】幾つかの実施形態に従って図1および図11の制御系を実現するシステムインフラストラクチャを示す図である。
図13】幾つかの実施形態に従ってパイプライン系のガスの物質モデルを用いてパイプライン系を作動させるプロセスの流れ図である。
図14】幾つかの実施形態に従って互いに異なるステーションを含むパイプライン系のブロック図である。
図15】幾つかの実施形態に従って図14のパイプライン系、または図14のパイプライン系のステーションの最適化を実行するよう構成された制御装置のブロック図である。
図16】幾つかの実施形態に従ってパイプライン系の互いに異なるステーションの制御装置と連絡状態にあるクラウドコンピューティングシステムのブロック図であり、制御装置の各々が独立した最適化を実行するように構成されている状態を示す図である。
図17】幾つかの実施形態に従ってパイプライン系について互いに異なる最適化方式を選択するプロセスの流れ図である。
図18】幾つかの実施形態に従って運用コストを最小限に抑えるためにパイプライン系を最適化する方法の流れ図である。
図19】幾つかの実施形態に従ってパイプライン系のエミッションまたはエネルギー使用量を最小限に抑えるようパイプライン系を最適化する方法の流れ図である。
図20】幾つかの実施形態に従ってパイプライン系のスループットを最大にするためにパイプライン系を最適化する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示の実施形態を詳細にした図を参照する前に、本願は、説明中に記載されまたは図示された詳細または方法論には限定されないことは理解されるべきである。また、本技術は、本発明を限定するものとみなされるべきではなく、説明の目的のために過ぎないことも理解されるべきである。
【0037】
概観
【0038】
全体として図を参照すると、パイプラインの最適化のためのシステムおよび方法が幾つかの実施形態に従って示されている。パイプラインは、幾つかの実施形態に従って、生成物または生産物を貯蔵タンク(例えば、炭化水素現場での石油貯蔵施設)から顧客にポンプ送りするためのポンプまたはコンプレッサ(例えば、直列または並列結合)を含む互いに異なるステーションを有する。幾つかの実施形態では、ステーションは、ステーションの作動のためのエネルギーを生じさせるよう構成された発電機(例えば、コジェネレーション(熱電併給)システム、風力タービン、ソーラーパネルなど)を含むのがよい。幾つかの実施形態では、ステーションは、ステーションまたはその機器(例えば、ポンプ)による後での使用のためにエネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置(例えば、バッテリファーム)をさらに含む。幾つかの実施形態では、制御装置は、パイプラインおよびステーションの機器のシステム情報、ユーティリティコスト、パイプラインおよび/またはステーションの異なる機器の数学的モデル、パイプラインからのセンサデータ、最適化モードなどを用いて目的関数を規定するよう構成されている。目的関数は、将来の計画対象期間に対する1つ以上の決定変数で表されるエネルギー消費量、エミッション、スループット、または金銭的コストを決めることができる。最適化は、目的関数を最小化しまたは最大化してエネルギー消費量の最小化、エミッションの最小化、金銭的コストの最小化、またはスループットの最大化のうちの少なくとも1つに対する最適な制御決定を行うよう実行される。幾つかの実施形態では、制御決定は、パイプラインを作動させる上で用いられるパイプラインに対する出力である。最適化は、各ステーションの作動を最適化するよう各ステーションで局所的に実施されてもよく、または全体的パイプラインを最適化するために広域的に実施されてもよい。
【0039】
パイプライン系(例えば、搬送系、精油所、流通センタ、加工システムなど)のための制御系は、幾つかの実施形態に従ってパイプラインを通って流れるガスの温度、圧力、流量、および組成をセンサデータとして測定するよう構成された検知ユニットを含む。制御系は、幾つかの実施形態に従って、検知ユニットからセンサデータを得、そして閉ループ制御方式でガスの物質モデルを用いて、1つ以上の制御決定を出すよう構成された制御装置をさらに含む。センサデータは、物質モデルと組み合わせて、制御装置によって得られるとともに使用されるのがよく、それにより、幾つかの実施形態に従ってリアルタイムで制御決定を出すことができる。制御決定(例えば、圧力の増減、加熱または冷却による温度の増減、注入添加剤による組成の変更など)は、幾つかの実施形態に従って、1つ以上の制御目的を達成するために実行される。幾つかの実施形態に従って、制御目的は、水和物生成の可能性の減少させること、ガスを所望の相に維持すること、ガスを所望の相に移行させること、ガスをクリコンデンサーム点以上で作動させることなどを含むのがよい。
【0040】
低レベル最適化
【0041】
ガスパイプライン
【0042】
図1を参照すると、パイプライン12(例えば、流体、例えばガス(以下「気体」とも言い、本明細書では区別なく用いられる)もしくは液体またはこれらの2類の混合物のためのパイプライン、ガス、例えば圧縮ガス、メタンおよび汚染物を含む天然ガス、酸性ガス、例えば二酸化炭素および硫化水素のためのパイプライン、または液体、例えば天然ガス、ガソリン、航空機用ガソリン、原油、蒸留液、ディーゼル、ブタン、プロパン、エタンなどのためのパイプライン)をモニタするためのシステム10が幾つかの実施形態に従って示されている。システム10は、パイプライン12内を流れまたは移動する流体16(例えば、炭化水素、天然ガス、ガス、液体/気体混合物など)の1つ以上の状態をモニタするよう構成されているのがよい。システム10は、1つ以上の検知ユニット30からのセンサ入力を受け取るとともに用いるよう構成され、1つ以上の検知ユニット30は、流体の1つ以上の条件または性質(例えば、温度、圧力、動圧、静圧、流量など)をモニタして、システム10の1つ以上の装置の作動を調節する(例えば、パイプライン12内の流体16に影響を及ぼす)よう構成された制御系100を含むのがよい。幾つかの実施形態では、パイプライン12は、原油、天然ガス、ガソリン、酸性ガス(例えば、二酸化炭素と硫化水素の混合物を含む)、または油とガスの生産物の諸混合物(これらには限定されない)を含む他の石油生産物のためのものである。
【0043】
パイプライン12は、パイプライン系20の一部であるのがよい。パイプライン系20は、流体16を流通させ、流体16を製造し、または流体16を消費するための流通、製造、または消費システムであるのがよい。幾つかの実施形態では、パイプライン系20は、流体16を集め(例えば、油田からのガスおよび/または油を受け入れ)、流体16を運び(例えば、国中にガスおよび/または油を輸送し)、かつ/あるいは流体16を流通させる(例えば、ガスおよび/または油を最終顧客に流通させる)よう構成されている。理解されるべきこととして、図1は、パイプライン系20の一部しか示していないが、パイプライン系20は、より大がかりである場合があり、かかるパイプライン系は、多くのパイプ、導管、管状部材などを含む場合がある。幾つかの実施形態では、図1に示すような制御系100は、パイプライン系20を下って種々の間隔で繰り返し配置されている。
【0044】
パイプライン12を通って流れる流体16(または他の石油生産物または混合物)は、1つ以上の流体スラグ18としてモデル化できる。例えば、流体スラグ18は、パイプライン12を通って流れる流体16のある特定の量、体積、部分、または分量を表しているといえる。制御系100は、1つ以上のセンサ104を含む検知ユニット30をさらに含む。第1のセンサ104aは、パイプライン12を通って流れる流体16(または流体スラグ18)の温度を測定するよう構成されているのがよい。第2のセンサ104bがパイプライン12を通って流れる流体16(または流体スラグ18)の圧力(例えば、動圧、静圧など)を測定するよう構成されているのがよい。第3のセンサ104cがパイプライン12を通って流れる流体16(または流体スラグ18)の速度または流量(例えば、体積流量、質量流量など、またはこれらの任意の組み合わせ)を測定するよう構成されているのがよい。第4のセンサ104dがパイプライン12を通って流れる流体16(または流体スラグ18)の組成を測定するよう構成されているのがよい。例えば、第4のセンサ104dは、メタン、窒素、二酸化炭素、エタン、プロパン、水、硫化水素、水素、一酸化炭素、酸素、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ヘリウム、アルゴン、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、メタノール、グリコールなどのうちの任意のもの存在または濃度を計測または検出するよう構成された1つ以上のセンサの集成体であるのがよい。理解されるべきこととして、検知ユニット30は、流体16(または流体スラグ18)の他の状態または性質を測定し、または流体16の性質または状態の値の測定/取得を行うよう構成された任意の数のセンサを含むことができ、かかる値は、流体16の他の性質を推定しまたは計算する(例えば、流体16の組成モデルを使用して)よう使用できる(例えば、制御装置によって)。
【0045】
幾つかの実施形態では、第4のセンサ104dは、流体16のサンプルを取得し、流体16の化学成分を分離し、流体16の互いに異なる化学成分の各々の存在および/または濃度を検出しまたは検知するよう構成されたガスクロマトグラフでありまたはこれを含む。幾つかの実施形態に従って、第4のセンサ104dは、流体16の異なる化学成分の各々の検出された存在および/または濃度を閉ループ制御またはフィードバック制御で使用される制御系100の制御装置102に提供するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、第4のセンサ104dは、流体16のある特定の化学成分をモニタするよう構成されたレーザ干渉計でありまたはレーザ干渉計を含む。幾つかの実施形態では、第4のセンサ104dは、水/水分および/またはH2Sの存在および/または濃度を検出するように構成された水センサおよび/または硫化水素(H2S)センサであり、またはこれを含む。
【0046】
理解されるべきこととして、本明細書において説明しているようなパイプライン12は、気体、液体、流体などを移送することができる。幾つかの実施形態では、流体16は、ディーゼル燃料、ガソリン、プロパンなどである。幾つかの実施形態では、流体16は、種々の形式のガスまたは物質を搬送するようになっている。例えば、幾つかの実施形態によれば、パイプライン12は、ディーゼル燃料とガソリンの両方を輸送するよう構成されているのがよい。種々のガスまたは液体または物質をパイプライン12で輸送する場合、種々のガス、液体、または物質は、異なる物質相互間のインターフェースのところで混ざり合う場合がある(その結果、スロップ(slop)またはトランスミックス(transmix)混合物が得られる)。
【0047】
制御系100は、センサデータを検知ユニット30、または検知ユニット30の種々のセンサ104から得るよう構成された制御装置102(例えば、プログラマブル論理制御装置(PLC)、フィードバック制御装置、処理ユニット、処理回路系など)を含む。制御装置102は、検知ユニット30から得られたセンサデータを用いて、パイプライン12内を流れる流体16または流体スラグ18の1つ以上の性質(例えば、相)を求めることができ、しかも1つ以上の制御可能なパイプライン要素106のための制御決定を出すことができる。制御可能なパイプライン要素106は、パイプライン系20(例えば、遮断弁または圧力制御弁)の動作を調節し、またはパイプライン12を通って流れる流体16(または流体スラグ18)の1つ以上の特性を調整/制御するよう構成されているのがよい(例えば、ポンプまたはコンプレッサの動作を調整する)。このように、制御装置102は、閉ループフィードバック制御手順を実施して、1つ以上の検知ユニット30から得られる実時間または現在のセンサデータに基づいて、制御可能なパイプライン要素106の動作を調節することができる。幾つかの実施形態では、温度、圧力、流量、および組成を種々の機器(例えば、加熱コイル、冷却コイル、ボイラー、熱交換器、材料を出し入れするためのポート、圧力を制御するためのコンプレッサまたはポンプ、物体の均質性を変えるためのミキサ)によって制御することができる。制御装置102はまた、パイプライン12を通って流れる流体16(または流体スラグ18)の組成のモデルを用いて、流体16(または流体スラグ18)の相を推定することができる。制御装置102は、制御可能なパイプライン要素106のための制御信号を発生させて、流体16(または流体スラグ18)を所望の相に、または所望の温度および圧力に維持することができる。制御装置102は、制御可能なパイプライン要素106を作動させ、流体16(または流体スラグ18)を所望の相に維持し、それによりパイプライン12が破断する恐れを低下させ、もしくは流体16(または流体スラグ18)内の水和物の量を減少させ、または流体をある特定の相にまたはある特定の温度もしくは圧力に維持することができる。
【0048】
ガス相(気相)図
【0049】
次に図8を参照すると、流体16の相図800が例示の実施形態に従って示されている。相図800は、摂氏で表される流体16の温度を示すX軸、およびMPaまたはpsiaで表される流体16の圧力を示すY軸を含む。相図800は、気液相818、液相802、高密度相804、および気相806を含む。流体16が気液相818内にある場合、流体16(または本明細書において説明する流体スラグのうちの任意のもの)は、液体部分および気体部分の両方を含む。流体16が液相802内にある場合、流体16(または本明細書において説明する流体スラグのうちの任意のもの)は、液体のみを含む。流体16が高密度相804内にある場合、流体16は、液体の性質と気体の性質の両方(例えば、高密度流体、超臨界流体など)を示す場合がある。流体16が気相806内にある場合、流体16は、完全に気体状であるのがよく、そして気体の性質を示すのがよい。
【0050】
図800は、液相802と気液相818とを互いに分ける泡立ち点曲線808および、気相806と気液相818とを互いに分ける露点曲線810をさらに含む。相図800は、クリコンデンバール点812、臨界点814、およびクリコンデンサーム点816をさらに含む。クリコンデンサーム点816は、2つの状態(例えば、液体と気体の両方)が圧力に関係なく存在しうる上限としての温度を示している。クリコンデンバール点812は、2つの状態(例えば、液体と気体の両方)が温度に関係なく存在しうる上限としての圧力を示している。幾つかの実施形態では、制御系100は、制御可能なパイプライン要素106を作動させて、流体16を高密度相804内に(例えば、クリコンデンバール点812よりも高く)維持し、または流体16を気相806内に(例えば、クリコンデンサーム点816よりも高く)維持することを目的としている。図示のような相図800は、流体16が現在どのような相にあるか、および流体16を所望の相内に調節しまたは維持するにはどのステップが実行されるべきであるかを識別する際に用いられるために制御装置102によって生成されるモデル(例えば、図11に示されるような物質モデル120)であるのがよい。相図800は、流体16の組成に基づいて異なる状態に作製されてもよい。例えば、泡立ち点曲線808、臨界点814、クリコンデンバール点812、露点曲線810、およびクリコンデンサーム点816、ならびにこれらによって画定される互いに異なる相領域は、流体16の組成に基づいているのがよく、しかも流体16の互いに異なる組成に合わせて互いに異なるのがよい。
【0051】
図800は、検知ユニット30から得られたセンサデータに基づいて調節、生成、選択などが行われるのがよい。例えば、相図800、またはその種々のパラメータ(例えば、泡立ち点曲線808、臨界点814、クリコンデンバール点812、露点曲線810、およびクリコンデンサーム点816)を検知ユニット30の第4のセンサ104dによって得られる流体16の組成に基づいて生成できる。幾つかの実施形態にでは、モデル(例えば、物質モデル120)は、パイプライン要素106を制御するためのルールに基づく制御方式で用いられる、例えば、泡立ち点曲線808、臨界点814、クリコンデンバール点812、露点曲線810、およびクリコンデンサーム点816のような値を提供する。制御装置102は、チューニングPIDループを用いるのがよい。一実施例では、混合物を冷却して水抽出率を最大にする(脱水状態にする)のがよい。幾つかの実施形態では、制御装置102により、メタノールまたはグリコールを注入して、モデルから提供されるパラメータに基づく水和物生成を阻止する。幾つかの実施形態では、モデルは、最大250種類の化合物を含む組成物を受け取り、そして、圧力、組成、および温度に基づいて適当なパラメータを提供する。パラメータは、物理的定数であるのがよく、例えば、比重、水和物温度、泡立ち点曲線808、臨界点814、クリコンデンバール点812、露点曲線810、クリコンデンサーム点816などである。
【0052】
制御装置線図
【0053】
次に図11を参照すると、制御系100が幾つかの実施形態に従って詳細にしめされている。制御系100は、制御装置102、多数の検知ユニット30、制御可能なパイプライン要素106、およびユーザインターフェース126(例えば、ディスプレイスクリーン、ユーザ入力装置などを含むデバイス)を含む。制御装置102は、検知ユニット30の各々からセンサ入力を得るよう構成されており、かかるセンサ入力としては、流体16の温度、流体16の圧力、流体16の流量(例えば、速度、体積流量など)、および流体16の組成が挙げられる。制御装置102は、センサ入力をモデルに使用して制御可能なパイプライン要素106のための制御操作または制御信号を決定し、それにより、流体16を所望の相内にまたは所望相に維持して、パイプライン12の破断の恐れを低下させることなどをするのがよい。制御装置102はまた、ディスプレイ装置126のための表示情報(例えば、X‐Yプロット、表など)を生成して出力するのがよく、その結果、ディスプレイ装置126は、オペレータまたは技術者のための流体16の現在の状態を表示するよう動作することができるようになっている。
【0054】
制御装置102は、プロセッサ110およびメモリ112を含む処理回路系108を有する。プロセッサ110は、汎用または特定目的用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、一群の処理コンポーネント、または他の適当な処理コンポーネントであるのがよい。プロセッサ110は、メモリ112に記憶され、または他のコンピュータ可読媒体(例えば、CD‐ROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受け取ったコンピュータコードおよび/または命令を実行するよう構成されているのがよい。
【0055】
メモリ112は、本開示において説明する種々のプロセスを完了させかつ/あるいはその達成を容易にするためのデータおよび/またはコンピュータコードを記憶するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、記憶装置、格納装置など)を含むのがよい。メモリ112としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブ記憶装置、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光学メモリ、またはソフトウェアオブジェクトおよび/またはコンピュータ命令を記憶するための任意他の適当なメモリが挙げられる。メモリ112は、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、または本開示で説明する種々のアクティビティおよび情報構造をサポートするための任意他の形式の情報構造を含むのがよい。メモリ112は、処理回路系108を介してプロセッサ110に連絡可能に結合されるのがよく、かつ本明細書において説明される1つ以上のプロセスを実行する(例えば、プロセッサ110によって)ためのコンピュータコードを含むのがよい。
【0056】
メモリ112は、破断限度データベース114、作動相マネージャ116、流体スラグマネージャ118、物質モデル120、パイプライン制御マネージャ122、およびディスプレイデータマネージャ124を含むものとして示されている。物質モデル120は、幾つかの実施形態に従って、制御装置102のメモリ112内にローカルに記憶されてもよく、または制御装置102によって(例えば、作動相マネージャ116によって)アクセス可能なリモート(例えば、サーバ)に記憶されてもよい。破断限度データベース114は、破断の恐れを低下させるために調節(例えば、パイプライン12の動作圧力に対する調節)がなされるべきであるかどうかを判定するためにパイプライン制御マネージャ122によって使用できる種々の破断パラメータを記憶するのがよい。作動相マネージャ116は、検知ユニット30のうちの任意のものから得られたセンサデータ(例えば、温度、圧力、流量、および組成)を用い、それにより、流体16の物質モデル120を用いて、パイプライン12内の流体16の現在の相を識別する(例えば、流体16がどの相に存在するかを決定する)ことができる。幾つかの実施形態では、流体16の種々の検出組成に基づいて、作動相マネージャ116によって種々の物質モデル120が用いられる。流体スラグマネージャ118は、幾つかの実施形態に従って、検知ユニット30から得られたセンサデータを用いて、使用して、1つ以上の流体スラグ(例えば、流体スラグ18)を突き止めてパイプライン系20を通る流体スラグ18を追跡するよう構成されている。流体スラグマネージャ118は、幾つかの実施形態に従って、検知ユニット30からのセンサデータを用いて、センサデータが得られた場所と比較して別の下流側の位置での流体16の1つ以上の状態を予測するよう構成されている。制御信号を制御可能なパイプライン要素106に提供することによって、パイプライン制御マネージャ122は、破壊限界データベース114によって提供される破壊パラメータ、物質モデル120を用いて作動相マネージャ116によって確かめられた流体16もしくは流体スラグの現在の相、または流体16の予測状態(例えば、流体スラグマネージャ118によって予測されるような)のうちの任意のものを用いて、所望の相への流体16の維持、所望の組成への流体16の維持などのうちの少なくとも一方を行うよう制御操作を決定するよう構成されている。
【0057】
メモリ112は、幾つかの実施形態に従って、パイプライン12のための破断限度データベース114を含むものとして示されている。パイプライン12の作動圧力が1900psi未満である場合、パイプライン12の破断は、幾つかの実施形態によれば、無視できるほどでありまたは可能性が低い。しかしながら、パイプライン12の作動圧力が1900psiを超える場合、パイプライン12の破断は、パイプライン12内の流体16(または流体スラグのうちの任意のもの)の現在の条件と考え合わせれば、起こっている可能性が多分にあるといえる。例えば、異なる組成、温度、圧力、または流量の結果として、パイプライン12の破断の恐れが高い場合がある。破断限度データベース114は、パイプライン12に沿う条件(例えば、温度、圧力、流量、組成など)の収まる%Arrest Pipeを推定するために使用できる一連のルックアップテーブルを含むのがよい。例えば、%Arrest Pipeは、パイプライン12内における流体16の温度、圧力、流量、組成などに基づいて決定でき、または破断限度データベース114から選択できる。幾つかの実施形態では、制御装置102は、%Arrest Pipeを80%未満または任意の他の許容可能な所定のしきい値未満に維持しようとする。%Arrest Pipeが所定のしきい値を超えた場合、パイプライン制御マネージャ122は、幾つかの実施形態に従って、%Arrest Pipeを所定のしきい値未満に維持するために1つ以上の応答制御行為(例えば、組成を変更するために追加の物質または混合剤の添加、圧力の増減、流体16の加熱または冷却など)を決定するのがよい。幾つかの実施形態では、%Arrest Pipeに関する限度、または本明細書において説明する任意他の限度は、規制機関および/または工学的研究によって確立されている。
【0058】
幾つかの実施形態では、破断限度データベース114は、オプションである。幾つかの実施形態では、破断限度データベース114は、最大作動圧力、最大化学薬品注入濃度のような種々のパラメータ、またはパイプライン制御マネージャ122の制御論理の動作範囲としての任意他の限度またはパラメータの値を含む動作的性質データベースである。
【0059】
メモリ112は、幾つかの実施形態に従って、作動相マネージャ116を含むものとして示されている。作動相マネージャ116は、物質モデル120(例えば、流体16の組成のモデル)、温度、圧力、および流量を用いて、流体16(または流体スラグのうちの1つ)が現時点においてどの相にあるかを求めるよう構成されている。例えば、作動相マネージャ116は、流体16の組成が所与である場合、流体の現在の温度および圧力に基づき、流体16が現在高密度相804内にあるということを確認することができる。同様に、作動相マネージャ116は、流体16の組成が所与である場合、流体の現在の温度および圧力に基づき、流体16が現在気液相818内にあるということを確認することができる。幾つかの実施形態では、作動相マネージャ116は、流体16の異なる組成について多数の異なる物質モデル120を用いるよう構成されている。例えば、物質モデル120は、流体16の検出された組成(例えば、検知ユニット30のうちの1つの第4のセンサ104dによって検出されたもの)に基づき、相図800のパラメータ(例えば、泡立ち点曲線808、臨界点814、クリコンデンバール点812、露点曲線810、およびクリコンデンサーム点816)に関する異なる値または方程式を用いるのがよい。幾つかの実施形態では、物質モデル120は、パラメータとして、泡立ち点曲線808、臨界点814、クリコンデンバール点812、露点曲線810、またはクリコンデンサーム点816のうちの任意のものを用いる。これらのパラメータは、幾つかの実施形態によれば、流体16の検出された組成に基づいて調節可能であるのがよい。例えば、作動相マネージャ116は、流体16の組成の種々の濃度に基づき、物質モデル120のパラメータを調節するための1つ以上の所定の関係式または方程式を含むのがよい。
【0060】
幾つかの実施形態では、作動相マネージャ116は、流体16の種々の元素、分子、化合物などの検出された存在に基づき、流体16に関する異なる物質モデル120を選択する。例えば、作動相マネージャ116は、各々が異なるパラメータを有する所定の物質モデル120の組から特定のモデルを選択することができる。
【0061】
作動相マネージャ116は、幾つかの実施形態によれば、流体16が現時点においてどの相にあるかを確かめるよう構成され、かかる作動相マネージャは、流体スラグマネージャ118、ディスプレイデータマネージャ124、パイプライン制御マネージャ122、または流体スラグマネージャ118のうちの任意のものに当該相を提供することができる。幾つかの実施形態では、作動相マネージャ116はまた、物質モデル120のパラメータ(例えば、泡立ち点曲線808、臨界点814、クリコンデンバール点812、露点曲線810、およびクリコンデンサーム点816)のうちの任意のものを、流体スラグマネージャ118、パイプライン制御マネージャ122、またはディスプレイデータマネージャ124のうちの任意のものに提供するよう構成されている。例えば、ディスプレイデータマネージャ124は、ディスプレイ装置126経由でオペレータまたはユーザに提示可能に、物質モデル120のパラメータを用いることができる。
【0062】
作動相マネージャ116はまた、幾つかの実施形態によれば、モデル120の1つ以上の相包絡線をディスプレイデータマネージャ124に提供することができる。幾つかの実施形態では、作動相マネージャ116はまた、検知ユニット30から得られたセンサデータを用いて、品質曲線および水和物曲線(例えば、水和物生成曲線)を生成するよう構成されている。作動相マネージャ116は、幾つかの実施形態によれば、品質曲線および/または水和物曲線をディスプレイデータマネージャ124に(および/または流体スラグマネージャ118、パイプライン制御マネージャ122、流体スラグマネージャ118などに)提供することができる。水和物曲線は、幾つかの実施形態によれば、圧力と温度の関係を表すプロット(例えば、図9および図10に示されているように)であるのがよい。幾つかの実施形態では、作動相マネージャ116はまた、検知ユニット30から得られたセンサデータに基づいて包絡(包絡線)線を生成する。作動相マネージャ116はまた、パイプライン系20に沿う互いに異なる場所で互いに異なる検知ユニット30から得られたセンサデータを用いて、プロセス経路(例えば、パイプライン12に沿う互いに異なる場所での温度および圧力点)を生成することができる。
【0063】
特に図9図11を参照すると、作動相マネージャ116は、幾つかの実施形態に従って、グラフ900,1000を生成するよう構成されているのがよい。グラフ900,1000は、流体16の露点または相包絡線曲線904,1004、および水和物曲線906,1006を示している。流体16がパイプライン系20を通って流れているとき、流体16は、プロセス経路902,1002によって示されている圧力および温度変化を受ける場合がある。プロセス経路902,1002は、幾つかの実施形態に従って、それぞれ、点903,1003によって定められるのがよい。点903,1003は、パイプライン系20に沿う互いに異なる場所で検知ユニット30によって記録されまたは測定された流体16の異なる温度および圧力点を示すことができる。包絡線904,1004および水和物曲線906,1006は、物質モデル120、流体16の検出された組成、および/または流体16の予想される組成を用いて作動相マネージャ116によって生成できる。水和物曲線906,1006は、検知ユニット30のうちの1つ以上の検知ユニットの第4のセンサ104dによって検出された水または水分、流体16の検出された組成、および/または流体16の予想される組成に基づき、作動相マネージャ116によって生成できる。
【0064】
特に図9を参照すると、グラフ900は、制御装置102が1つ以上の制御可能なパイプライン要素106の作動を調節するよう1つ以上の制御決定を開始する前におけるプロセス経路902、水和物曲線906、および包絡線904を示している。図9に示すように、プロセス経路902は、経路部分908のところで包絡線904と交差し、経路部分910のところで水和物曲線906と交差している。プロセス経路902が水和物曲線906と交差すると、水和物が流体16中に生じる場合があり、これは望ましくない。流体16中の水和物の生成を制限するため、制御装置102は、水和物曲線906を調節するとともに/あるいは包絡線904を調節するよう、流体16の組成を調節する(例えば、エタノールを注入する)ための制御決定を出すのがよい。同様に、制御装置102は、プロセス経路902を調節するための制御決定(例えば、加熱または冷却作用をパイプライン12に加えることによって、パイプライン系20に沿う異なる場所で流体16の温度を増減し、パイプライン系20に沿う異なる場所で流体16の圧力を増減することなど)を出すのがよい。幾つかの実施形態では、制御装置102は、制御可能なパイプライン要素106を作動させて、パイプライン系20に沿う互いに異なる場所で包絡線904、水和物曲線906、および/またはプロセス経路902のうちの少なくとも1つに影響を及ぼし、その結果、プロセス経路902が包絡線904および/または水和物曲線906と交差することがないようにする。
【0065】
特に図10を参照すると、グラフ1000は、制御装置102が1つ以上の制御可能なパイプライン要素106の作動を調節するための1つ以上の制御決定を開始した後におけるプロセス経路1002、水和物曲線1006、および包絡線1004を示している。図9図10の比較において理解されるように、プロセス経路1002は、経路部分1010(グラフ900の経路部分910に対応する)のところで水和物曲線1006と交差せず、しかも経路部分1008(グラフ900の経路部分908に対応する)のところで包絡線1004と交差しない。有利には、制御装置102は、検知ユニット30から(例えば、パイプライン系20に沿う異なる場所で)得られたセンサデータを用いてグラフ900を構成しまたは生成し(例えば、物質モデル120を用いて)、水和物が生成される可能性のある場所、または流体16が望ましくない相に移行する場合のある場所を識別し、そして、水和物の生成を阻止/制限し、または望ましくない相(例えば、気液相、液相など)への流体16の意向を阻止/制限するための調節(例えば、パイプライン系20に沿う異なる場所での流体16の組成に対する、流体16の温度および/または圧力に対する、など)を実行する。制御装置102はまた、調節の実行後に検知ユニット30から得られたセンサデータをチェックして、調節が水和物の生成を首尾よく制限するとともに/あるいは流体16の望ましくない相への移行を首尾よく制限していることを確かめることができる。このように、制御装置102は、幾つかの実施形態によれば、リアルタイムでセンサデータを用いて閉ループ方式で動作するのがよい。
【0066】
特に図11および図2図7を参照すると、制御装置102は、幾つかの実施形態によれば、時間間隔を置いて(例えば、5分毎、1分毎、1秒毎など)で1つ以上の検知ユニット30からセンサデータを得るのがよい。例えば、制御装置102は、幾つかの実施形態によれば、5分毎に検知ユニット30aからセンサデータを得るのがよい。時間間隔の間、ある量の流体16またはある体積の流体16が、パイプライン12を通って流れることができる(例えば、検知ユニット30aのところでパイプライン12を通る流体16の流量に応じて)。流体16のこの量が流体スラグ18として図2および図3に示されている。流体スラグ18がパイプライン12を通って移動しているとき、流体スラグ18の長さ202は、パイプライン12に沿う圧力降下に起因して増大する場合がある。例えば、図2に示すように、流体スラグ18の長さ202は、幾つかの実施形態によれば、長さ202aから、長さ202bに、長さ202cに、長さ202dに、長さ202eなどに増大する。流体スラグ18は、幾つかの実施形態によれば、パイプライン12に沿って流れているときに体積と長さ202の両方が増大する場合がある。幾つかの実施形態では、流体スラグ18の標準体積は、流体スラグ18がパイプライン12に沿って移動しているときの体積と同一のままである。
【0067】
流体スラグマネージャ118は、幾つかの実施形態によれば、パイプライン系20全体にわたって互いに異なるスラグをモニタして追跡するよう構成されているのがよい。例えば、流体スラグマネージャ118は、流体スラグ18がパイプライン系20を通って移動しているとき、または流体スラグ18が他の流体スラグ(例えば、以下にさらに詳細に説明するように側方スラグ)と混ざり合って新たな流体スラグを形成しているときに、流体スラグ18の前縁を追跡することができる。流体スラグ18のサイズを次のようにして流体スラグマネージャ118によって計算することができる。
【数1】
上式において、Vslugは、流体スラグ18の標準体積であり、Qmainlineは、パイプライン12を通る流体16の体積流量(例えば、所定の値、または検知ユニット30の対応する1つにおける測定値)であり、tsampleは、時間間隔(例えば、5分)である。
【0068】
流体スラグマネージャ118はまた、流体スラグ18の標準体積Vslugを流体スラグ18がパイプライン12内で占める実際の体積Vactualに変換するよう構成されているのがよく、その目的は、流体スラグ18がパイプライン12に沿って延びるパイプライン12の長さを計算することにある。例えば、流体スラグマネージャ118は、次の方程式を用いることによって実際の体積Vactualを推定することができる。
【数2】
上式において、Pstdは、標準圧力または大気圧(例えば、14.696psia)であり、Tstdは、標準温度(例えば、59゜F(15℃))であり、Tactualは、検知ユニット30によって測定される流体16の実際の温度であり、Pactualは、検知ユニット30によって測定される流体16の実際の圧力である。次に、流体スラグマネージャ118は、次の方程式を用いて流体スラグ18の長さLslugを推定しまたは計算することができる。
【数3】
上式において、ここで、Ac,mainlineは、パイプライン12の横断面積である。
【0069】
流体スラグマネージャ118は、流体スラグ18がパイプライン12に沿って下っているときに流体スラグ18(または本明細書において説明している他の流体スラグのうちの任意のもの)の平均速度を用いて、検知ユニット30から混合箇所(例えば、図3および図4に示すような混合箇所22)までの流体スラグ18の平均速度を算定することができる。流体スラグ18の速度は、検知ユニット30によって測定でき、またはパイプライン12を通る流体16の流量の測定値(例えば、体積流量)または予想される流量に基づいて計算できる。
【0070】
流体スラグ18の前縁を幾つかの実施形態によれば、ガスサンプルが分析のために検知ユニット30によって採取される位置および時間によって識別することができる。図3および図4に示すように、パイプライン12は、側方パイプライン(例えば、制御装置102によって定められる1種類以上の化学物質の注入)と交差するのがよい。図3に示すように、パイプライン12はメインラインであり、流体スラグ18は、幾つかの実施形態によれば、混合箇所22のところで2つの側方スラグ24,26と混合される。幾つかの実施形態では、新流体スラグがメインラインの前縁として、または側方スラグが混合箇所のところでメインラインに達した時点で定められる。配合ガス組成は、新スラグ(例えば、図4図7に示すような新スラグ35)について計算できる。
【0071】
特に図5を参照すると、新スラグ35は、幾つかの実施形態によれば、第1のサブスラグ34、第2のサブスラグ36、および第3のサブスラグ38を含むのがよい。幾つかの実施形態では、第3のサブスラグ38の前縁は、流体スラグ18の前縁が混合箇所22に達したときに作られる。幾つかの実施形態では、第2のサブスラグ36の前縁は、第1の側方スラグ24の前縁が混合箇所22に達するときに作られる。幾つかの実施形態では、第1のサブスラグ34の前縁は、流体スラグ19(例えば、パイプライン12に沿って流体スラグ18に対して位置する下流側のスラグ)の前縁が混合箇所22に達するときに作られる。
【0072】
特に図6を参照すると、第3のサブスラグ38は、幾つかの実施形態によれば、流体スラグ19と第1の側方スラグ24の混合物であるのがよい。幾つかの実施形態では、第2のサブスラグ36は、流体スラグ19と側方スラグ32(例えば、第1の側方スラグ24の下流側に位置する側方スラグ)の混合物である。幾つかの実施形態では、第1のサブスラグ34は、パイプライン12に沿いに流体スラグ19の下流側に位置するもう1つの流体スラグと側方スラグ32との混合物である。
【0073】
特に図11および図7を参照すると、制御装置102(より具体的には、流体スラグマネージャ118)は、幾つかの実施形態によれば、パイプライン系20全体を通じて流体スラグ18および新流体スラグ35を追跡することができる。幾つかの実施形態では、流体スラグマネージャ118は、混合箇所22の上流側の検知ユニット30、および混合箇所22の下流側の検知ユニット30から得られた流体スラグ18および側方スラグ24,26,32の組成に関するセンサデータを用いて、流体16(または、側方に供給されたガス、または側方パイプライン13を通って注入された化学物質、例えばメタノール)の組成を比較するよう構成されている。幾つかの実施形態では、流体スラグマネージャ118は、混合箇所22の下流側に位置する箇所で新たな組成物を識別する(例えば、検知ユニット30からのセンサデータに基づいて)よう構成されている。流体スラグマネージャ118は、幾つかの実施形態によれば、追加の制御決定が新たな組成物をさらに調整するよう実行されるべきかどうかを判定する際に使用可能にするために、新たな組成物をパイプライン制御マネージャ122に提供するのがよい。
【0074】
特に図11を参照すると、流体スラグマネージャ118は、幾つかの実施形態によれば、検知ユニット30のうちの1つ以上から得られた上流側のセンサデータを用いて流体16の予想される下流側組成または性質(例えば、混合箇所22の下流側に位置する)を予測するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、流体スラグマネージャ118は、下流側の新たなまたは混合された流体スラグの組成を予測するよう構成されている。予測された組成を幾つかの実施形態によれば、混合箇所22の下流側に位置する検知ユニット30から得られたセンサデータに基づいて確認することができる。幾つかの実施形態では、流体スラグマネージャ118は、サブスラグ34,36,38、または新スラグ35のうちの任意のものに含まれている炭素のモル濃度を計算する。例えば、流体スラグマネージャ118は、次の方程式を用いて、第3のサブスラグ38の炭素のモル濃度(例えば、mole(モル)%Cx,D3)を計算することができる。
【数4】
上式において、VD3は、第3のサブスラグ38の体積であり、VML(A-1)は、流体スラグ19(例えば、メインライン流体スラグA-1)の体積であり、モル%Cx,ML(A-1)は、流体スラグ19の炭素モル濃度(例えば、百分率で表される)であり、VLS1は、側方スラグ24の体積であり、モル%Cx,LS1は、側方スラグ24の炭素モル濃度(例えば、百分率で表される)である。流体スラグマネージャ118は同様に、幾つかの実施形態によれば、第2のサブスラグ36、および第1のサブスラグ34の予想組成を計算しまたは推定することができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、流体スラグマネージャ118は、混合箇所22の下流側に位置するスラグの予測モル濃度(例えば、モル%Cx,D3)を、実際のモル濃度(例えば、検知ユニット30を用いて測定されるモル%Cx,D3)と比較するよう構成されている。ガスの互いに異なるスラグに関して、計算された上流側の組成(例えば、予測組成)と測定された下流側の組成の比較結果を用いると、流体スラグマネージャ118により行われた予測結果を較正しまたは検証するとともに/あるいは下流側の時間計算結果を較正しまたは検証することができる。混合箇所22の下流側の流体16の予測組成、混合箇所22の下流側の流体16の測定組成、および/または混合箇所22の上流側の流体16の測定組成を、幾つかの実施形態に従って、パイプライン制御マネージャ122および/またはディスプレイデータマネージャ124に提供するのがよい。
【0076】
特に図11を参照すると、パイプライン制御マネージャ122は、作動相マネージャ116の出力、破断限度データベース114からの破断パラメータ(例えば、%Arrest Pipe)、流体スラグマネージャ118の出力、または流体スラグマネージャ118の出力(のうちの任意のものを検知ユニット30から得られたセンサデータのうちの任意のものと組み合わせて用いて、制御可能なパイプライン要素106に関する1つ以上の制御決定を出すよう構成されている。制御決定は、幾つかの実施形態によれば、1種類以上の化学薬品または添加物の注入または添加(例えば、プロパンが濃い目のガス注入量、プロパンが濃い目のガスの注入速度、エタノールなど)、流体16の1種類以上の物質の除去(例えば、水分または水の除去)、流体16の温度または圧力を調整するための加熱または冷却作用の適用、パイプライン系20中に流体16を駆動する1つ以上のコンプレッサの作動の調節などを含むのがよい。幾つかの実施形態では、制御決定の結果として、パイプライン系20内における種々の場所における流体16の1つ以上の性質の変化が生じる。例えば、制御決定は、流体16の組成、流体16の温度および/または圧力、流体16の流量などを変化させることができ、その結果、流体16は、クリコンデンサーム点816を回避し(例えば、注入現場の下流側の流体16が所望の相、例えば高密度相804になるように)、パイプライン12の破断の恐れを低下させ、水和物生成の恐れを低下させ、流体16が水和物曲線と交差しないように、液体または気体の生成などの恐れを低下させる。
【0077】
パイプライン制御マネージャ122は、幾つかの実施形態によれば、作動相マネージャ116の出力および検知ユニット30から得られたセンサデータを実時間で用いて閉ループ制御を実施し、それにより、制御可能なパイプライン要素106を作動させることによって、所望の目的(例えば、流体16を所望の相に保ち、流体16中の水和物の生成を制限し、流体16をクルコンデンサーム点816から十分に遠ざけ、パイプライン12の破断の恐れを低下させるなど)を保つ。幾つかの実施形態によれば、制御可能なパイプライン要素106は、加熱装置(例えば、加熱コイル、ボイラー、熱交換器など)、冷却装置(例えば、冷却コイル、熱交換器、ジュール・トンプソン圧力冷却装置など)、注入装置(例えば、プロパンが濃い目のガス、メタノール、またはエタノールなどを、例えば側方パイプラインを通って流体16中に注入するよう構成された注入システムなど)を含む。制御可能なパイプライン要素106が、パイプライン制御マネージャ122により出される制御決定に従って作動した後、パイプライン制御マネージャ122は、新たなセンサデータを得ることができ、そして、作動相マネージャ116、流体スラグマネージャ118、物質モデル120、およびディスプレイデータマネージャ124は、これらの機能を再び実行してパイプライン制御マネージャ122に新たなアップデートされたまたは再び計算された入力(例えば、幾つかの実施形態によれば、パイプライン系20に沿う種々の場所での流体16の新たな相、新たなモデルパラメータ、例えばパイプライン系20に沿う種々の場所での流体16のクリコンデンサーム点など)を提供することができる。次に、パイプライン制御マネージャ122は、新たな制御決定が制御可能なパイプライン要素106によって実行されるべきかどうかを判定することができる。例えば、パイプライン制御マネージャ122は、1つ以上の目的(例えば、流体16を所望の相に維持すること、水和物生成を十分に制限することなど)が達成されたかどうかを判定することができ、そして、目的が達成されていない場合には制御可能なパイプライン要素106に関する新たな制御決定を出すことができる。
【0078】
理解されるべきこととして、パイプライン制御マネージャ122は、幾つかの実施形態に従って、パイプライン系20の別々の部分に関して本明細書において説明した異なる目的を達成するよう動作することができる。例えば、検知ユニット30は、第1の検知ユニット30a、第2の検知ユニット30b、第3の検知ユニット30c……n番目の検知ユニット30nを含むものとして示されており、これら検知ユニットの各々は、幾つかの実施形態によれば、パイプライン系20周りの異なる場所に位置決めされる。幾つかの実施形態では、制御可能なパイプライン要素106(例えば、加熱要素、冷却要素、注入システム、コンプレッサなど)は、パイプライン系20周りに位置決めされる。このように、パイプライン制御マネージャ122は、幾つかの実施形態によれば、多数の制御方式を実行してパイプライン系20の異なる場所または部分の全てのところで目的が達成されるようにすることができる。例えば、パイプライン制御マネージャ122により、流体16がパイプライン系20の特定の場所で所望の相にないことが分かった場合(例えば、検知ユニット30から得られたセンサデータおよび/または作動相マネージャ116の出力に基づいて)、パイプライン制御マネージャ122は、特定の場所での目的を達成するよう、特定の場所の近くに位置する(または、特定の場所で流体16に影響を及ぼすよう動作する)制御可能なパイプライン要素106に関する1つ以上の制御決定を出すことができる。
【0079】
依然として図11を参照すると、ディスプレイデータマネージャ124は、幾つかの実施形態によれば、ディスプレイデータを生成して、ディスプレイデータをディスプレイ装置126に提供するよう構成されている。ディスプレイ装置126は、幾つかの実施形態によれば、リモートデバイス、ユーザデバイス、ディスプレイスクリーンなどであるのがよい。幾つかの実施形態では、ディスプレイデータマネージャ124により生成されるディスプレイデータは、流体16の現在の相、相図800(または任意の他の同様な相図)、および/またはグラフ900,1000(例えば、水和物曲線、包絡線、プロセス経路など)を含む。ディスプレイデータは、幾つかの実施形態によれば、検知ユニット30から得られたセンサデータ、および/または、破断限度データベース114、作動相マネージャ116、流体スラグマネージャ118、またはパイプライン制御マネージャ122の出力、入力、または任意の定められた値のうちの任意のものをさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、ディスプレイデータは、パイプライン制御マネージャ122により出される制御決定をさらに含む。
【0080】
インフラストラクチャの具体化の潜在的可能性
【0081】
特に図12を参照すると、制御系100は、幾つかの実施形態によれば、システムインフラストラクチャ1200上で具体化されるのがよい。システムインフラストラクチャ1200は、幾つかの実施形態によれば、制御論理プロセッサ1202、コンピュータモジュール1204を含むのがよい。コンピュータモジュール1204は、幾つかの実施形態によれば、入出力(I/O)モジュール1206、コンピューティングモジュール1208、ユーザエクスペリエンス(UX)エンジン1210、およびディスプレイサーバ1212を含む。幾つかの実施形態では、制御論理プロセッサ1202は、パイプライン制御マネージャ122の機能のうちの任意のものを実行するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御論理プロセッサ1202は、検知ユニット30からセンサデータ(例えば、温度、圧力、組成、および流量)を得、そしてセンサデータをコンピュータモジュール1204のI/Oモジュール1206に提供するよう構成されている。コンピュータモジュール1204は、幾つかの実施形態によれば、制御論理プロセッサ1202から遠隔に位置決めされる場合があり、コンピュータモジュール1204と制御論理プロセッサ1202との通信は、ワイヤレスであるのがよい。
【0082】
幾つかの実施形態では、I/Oモジュール1206は、センサデータ(例えば、組成、圧力、温度など)をコンピューティングモジュール1208に提供するよう構成されている。幾つかの実施形態では、コンピューティングモジュール1208は、作動相マネージャ116および/または物質モデル120の機能のうちの任意のものを実行するよう構成されている。例えば、コンピューティングモジュール1208は、幾つかの実施形態によれば、物質モデル120を記憶して使用することができる。コンピューティングモジュール1208は、幾つかの実施形態によれば、センサデータを使用するよう構成され、このコンピューティングモジュール1208は、クリコンデンサーム点の値、クリコンデンバール点の値、および臨界点の値をI/Oモジュール1206に出力することができる。I/Oモジュール1206は、幾つかの実施形態によれば、クリコンデンサーム点、クリコンデンバール点、および臨界点の値を閉ループ制御方式における制御決定を生成する際に使用するために、制御論理プロセッサ1202に提供するよう構成されている。幾つかの実施形態では、コンピューティングモジュール1208はまた、圧力、温度、組成、相包絡線、および水和物曲線項目のリアルタイムデータおよび履歴データをUXエンジン1210に提供するよう構成されている。幾つかの実施形態では、UXエンジン1210は、ディスプレイデータマネージャ124の機能を実行するよう構成されている。幾つかの実施形態では、UXエンジン1210は、ディスプレイデータを生成し、そしてこのディスプレイデータをHTMLまたはHTML5ファイルとしてサーバ1212に提供するよう構成されている。ディスプレイデータは、幾つかの実施形態によれば、ディスプレイサーバ1212経由で遠隔装置によってアクセスおよび閲覧可能である。幾つかの実施形態によれば、コンピューティングモジュール1208は、UXエンジン1210からの履歴データリクエストの受け取りに応答して、実時間および履歴の圧力、温度、組成、相、包絡線、および水和物曲線項目をUXエンジン1210に提供する。
【0083】
プロセス
【0084】
ここで図13を参照すると、幾つかの実施形態による、実時間センサデータおよび物質モデルを用いてパイプライン系を作動させるためのプロセス1300の流れ図が示されている。プロセス1300は、幾つかの実施形態に従って、ステップ1302~1314を含み、かかるプロセスをシステム10および/または制御系100によって実施するのがよい。幾つかの実施形態では、プロセス1300は、システムインフラストラクチャ1200によって実施される。
【0085】
プロセス1300は、幾つかの実施形態に従って、パイプライン系周りの異なる場所に位置する1つ以上の検知ユニットから、ガスの温度、圧力、流量、および組成を含むセンサデータを得るステップ(1302)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1302は、検知ユニット30によって実施される。例えば、幾つかの実施形態によれば、温度を第1のセンサ104aによって得ることができ、圧力を第2のセンサ104bによって得ることができ、流量を第3のセンサ104cによって得ることができ、流体の組成を第4のセンサ104dによって得ることができる。センサデータを、幾つかの実施形態によれば、検知ユニット30から制御装置102および/または制御論理プロセッサ1202に提供することができる。
【0086】
プロセス1300は、幾つかの実施形態によれば、パイプライン系周りの異なる場所に位置する流体の組成に基づいて、流体に関する1つ以上の物質モデル(例えば、物質モデル120)を得るステップ(1304)を含む。1つ以上の物質モデルは、幾つかの実施形態によれば、流体の温度および圧力に基づいて、流体の種々の熱力学的性質(例えば、相、クリコンデンサーム点、クリコンデンバール点、臨界点、泡立ち点曲線、水和物曲線、包絡線、露点曲線など)を予測することができる。幾つかの実施形態では、1つ以上の物質モデルを検知ユニット30(より具体的には、第4のセンサ104d)によって検出される流体の組成に基づいて定め、選択し、または生成する。幾つかの実施形態では、1つ以上のモデルの種々のパラメータを流体の検出または検知された組成に基づいて調節する。幾つかの実施形態では、ステップ1304は、作動相マネージャ116またはコンピュータモジュール1208によって実施される(例えば、作動相マネージャ116に関して上記において詳述した技術を用いて)。
【0087】
プロセス1300は、幾つかの実施形態によれば、流体の1つ以上の物質モデルを用いて、パイプライン系周りの異なる場所における流体の1つ以上の熱力学的性質を求めるステップ(1306)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1306は、1つ以上の物質モデルと、検知ユニット30によって検出されるパイプライン系20周りの異なる場所における流体の温度および圧力を用いるステップを含む。幾つかの実施形態では、ステップ1306は、1つ以上の物質モデルを用いて、パイプライン系20周りの1つ以上の場所での流体の臨界点、クリコンデンサーム点、クリコンデンバール点、相などを求めるステップを含む。ステップ1306は、幾つかの実施形態によれば、作動相マネージャ116および/またはコンピュータモジュール1208によって実施される。
【0088】
プロセス1300は、幾つかの実施形態によれば、センサデータおよび1つ以上の熱力学的性質を用いて閉ループ制御を実施して、1つ以上の制御決定を出して1つ以上の制御目的を達成するステップ(1308)を含む。幾つかの実施形態では、用いられるセンサデータは、温度、圧力、および流量を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の熱力学的性質は、クリコンデンサーム点、クリコンデンバール点、臨界点、および流体の相図上の場所(例えば、温度および圧力に基づく物質モデルの出力)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1308は、パイプライン制御マネージャ122または制御論理プロセッサ1202によって実施される。幾つかの実施形態では、1つ以上の制御目的は、流体中の水和物生成の制限または阻止、所望の相(例えば、高密度相)での流体の維持、クリコンデンサーム点を超えるところでの流体の維持などを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の制御決定は、添加剤を流体に注入すること(例えば、プロパンの添加、それにより流体の組成の調節)、加熱または冷却作用を加えること(それにより温度を調節する)、コンプレッサ作動を調節すること(それにより圧力を調節する)などを含む。パイプライン制御マネージャ122は、幾つかの実施形態によれば、PID制御方式を実行して、制御決定を出し、それにより制御目的に合わせるのがよい。
【0089】
プロセス1300は、幾つかの実施形態によれば、1つ以上の制御可能パイプライン要素を作動させて1つ以上の制御目的を達成するステップ(1310)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1310は、制御装置102(例えば、パイプライン制御マネージャ122)からの1つ以上の制御決定を制御可能なパイプライン要素106に提供するステップを含む。幾つかの実施形態では、制御可能なパイプライン要素は、流体に添加剤をポンプ送りしまたは注入する注入システム、加熱要素(例えば、加熱コイル)、冷却要素、コンプレッサ、分離器などを含む。制御可能なパイプライン要素は、幾つかの実施形態によれば、制御可能なパイプライン要素106である。
【0090】
プロセス1300は、幾つかの実施形態によれば、1つ以上の熱力学的性質、センサデータ、および1つ以上の相図のディスプレイデータを生成するステップ(1312)を含む。1つ以上の熱力学的性質は、幾つかの実施形態によれば、クリコンデンサーム点、クリコンデンバール点、臨界点、相図上の流体の作動場所などを含むのがよい。幾つかの実施形態では、センサデータは、流体の温度、流体の圧力、流体の流量、および/または流体の組成を含む。幾つかの実施形態では、相図は、水和物曲線、包絡線、プロセス経路などを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の相図は、グラフ900、グラフ1000、または相図800と類似したグラフまたはチャートを含む。幾つかの実施形態では、ステップ1312は、ディスプレイデータマネージャ124および/またはUXエンジン1210によって実施される。
【0091】
プロセス1300は、幾つかの実施形態によれば、ディスプレイ装置を作動させてディスプレイデータをユーザに提供するステップ(1314)を含む。幾つかの実施形態では、ディスプレイ装置は、ディスプレイ装置126である。幾つかの実施形態では、ディスプレイ装置は、サーバまたはウェブページ(例えば、サーバ1212)経由でディスプレイデータにアクセスするよう構成されている。
【0092】
添付の付録は、本明細書において説明しているシステムおよび方法の種々の例示の実施形態ならびに本明細書において説明しているシステムおよび方法を具体化できる例示のシステムアーキテクチャ、フレームワーク、作動環境などを説明している。本開示のシステムは、添付の付録に記載されたハードウェア、ソフトウェア、または他のコンポーネントのうちの任意のものを含むことができ、かかるシステムは、添付の付録に記載された機能のうちの任意のものを実行するよう構成されているのがよい。同様に、本開示の方法またはプロセスは、付録に記載された処理ステップのうちの任意のものを含むことができる。幾つかの実施形態では、本明細書において説明しているシステムおよび方法は、付録に記載されたシステム、方法、または他の特徴のうちの任意のものを用いて、またはこれと組み合わせて具体化できる。理解されるべきこととして、付録に提供された開示内容は、本発明を限定するものと解されるべきではなく、例示としてのみ提供されている。
【0093】
高レベル最適化
【0094】
図14図20を参照すると、幾つかの実施形態に従って、パイプラインの高レベル最適化を実行する種々のシステムおよび方法が示されている。幾つかの実施形態では、高レベル最適化は、パイプラインの種々のポンプをどのように作動させるかを定めるとともに/あるいは、パイプラインに注入されるべき抵抗減少材または抗力低減剤(DRA)、希釈剤、または他の添加剤の量、DRAを注入すべき場所、DRAを注入すべき時期、ユーティリティ提供業者からまたはエネルギー貯蔵機器からの電気エネルギーを使用し、または違ったやり方でパイプラインを作動させる時期を定めるよう実施されるのがよく、その目的は、パイプラインのエネルギー消費量を最小限に抑え、パイプライン系により生じたエミッションを最小限に抑え、パイプラインの作動と関連したコストを最小限に抑え、またはパイプラインを通る生産物のスループットを最大にすることにある。幾つかの実施形態では、高レベル最適化は、将来の期間(例えば、将来の計画対象期間)にわたりパイプラインに関する最適な制御決定を出すようパイプライン全体について実施されるのがよい。幾つかの実施形態では、高レベル最適化は、パイプラインの多数のステーションの各々のところで別個独立に実施され、その結果、各ステーションがそのスループット、エミッション、エネルギー消費量、運用コストなどを最適化するよう動作する。
【0095】
パイプライン系
【0096】
図14を参照すると、パイプライン1400が幾つかの実施形態に従って示されている。パイプライン1400は、幾つかの実施形態に従って、顧客への配送可能に生産物を貯蔵するよう構成されたタンク1402を含む。幾つかの実施形態では、生産物は、ディーゼル燃料、ガソリン燃料、燃料油、ジェット燃料、または任意の他の炭化水素流体のうちの任意のものを含む。幾つかの実施形態では、タンク1402は、生産物を貯蔵したりおよび排出したりするよう構成された多数のタンク(例えば、タンクファーム)であり、またはこれらを含む。幾つかの実施形態では、生産物は、液体としてタンク1402内に貯蔵される。
【0097】
パイプライン1400は、幾つかの実施形態によれば、第1のステーション1404、第2のステーション1406、および第3のステーション1408をさらに含む。幾つかの実施形態では、ステーション1404~1408の各々は、生産物の流れをパイプライン1400中に駆動するよう構成された1つ以上のポンプを含む。例えば、幾つかの実施形態によれば、第1のステーション1404は、ポンプ1406~1410を含み、第2のステーション1406は、ポンプ1412~1414を含み、第3のステーション1408は、ステーション1416~1418を含む。ステーション1404~1408のポンプ1406~1418は、幾つかの実施形態に従って、生産物をタンク1402から納品現場(例えば、顧客)にポンプ送りする動作を行うよう構成されている。幾つかの実施形態では、ポンプ1406~1414は、並列に配置され(例えば、ステーション1404,1406のところで)、ポンプ1416~1418は、直列に配置されている(例えば、ステーション1408のところで)。理解されるべきこととして、3つのステーション、すなわちステーション1404~1408しか図示されていないが、パイプライン1400は、任意の数の直列配置ポンプ、並列配置ポンプ、またはこれらの任意の組み合わせを含む任意の数のステーションを含むことができる。
【0098】
幾つかの実施形態では、ポンプ1406~1410は、大量の生産物をポンプ送りするよう一斉動作可能な小型ポンプの使用を容易にするためにステーション1404において並列配置されている。幾つかの実施形態では、ステーション1408のポンプ1416,1418は、顧客への生産物の納品前に、生産物の圧力を上げるために直列に配置されている。例えば、ステーション1408から顧客までに高低差がある場合、ポンプ1416,1418を直列に配置することにより、生産物を顧客がいる高い標高のところに駆動するよう生産物の圧力を容易に上げることができる。
【0099】
図14に示すように、ステーション1404~1408の各々は、幾つかの実施形態に従って、ステーションのポンプを作動させるよう構成された機器1432~1434(例えば、変圧器、制御装置、電気モータ、内燃エンジンなど)を含む。幾つかの実施形態では、ステーション1404は、ポンプ1406~1410を作動させるよう構成された機器1430を含む。幾つかの実施形態では、ステーション1406は、ポンプ1412~1414を作動させるよう構成された機器1432を含む。幾つかの実施形態では、ステーション1408は、ポンプ1416~1418を作動させるよう構成された機器1434を含む。
【0100】
ステーション1404~1408の各々は、幾つかの実施形態によれば、電力貯蔵機器1436、電力貯蔵機器1438、および電力貯蔵機器1440として示された電力貯蔵機器をさらに含む。幾つかの実施形態では、電力貯蔵機器1436~1440は、ユーティリティ提供業者(例えば、エネルギー供給者)により提供され、またはステーション1404~1408のところで現場で生成される電気エネルギーを貯蔵するよう構成されている。電力貯蔵機器1436~1442は、電気エネルギーが充電されたり、ステーション1404~1408またはそのポンプを作動させる際に用いられたりするよう、機器1430~1434に放電されるよう構成されたキャパシタ、バッテリ、バッテリファームなどを含むのがよい。
【0101】
幾つかの実施形態では、ステーション1404~1408の各々は、発電機器1442~1446をさらに含む。例えば、幾つかの実施形態によれば、ステーション1404は、発電機器1442を含むのがよく、ステーション1406は、発電機器1444を含むのがよく、ステーション1408は、発電機器1446を含むのがよい。幾つかの実施形態では、発電機器1442~1446は、機器1430~1434によって使用される電気エネルギーを発生させるとともに/あるいはポンプ1406~1418を作動させるために機器1430~1434によって後で使用するために電力貯蔵機器1436~1440のうちの任意のものに貯蔵されるよう構成された風力タービン、ソーラーパネル、水車、水力発電機、ディーゼル発電機などであり、これらを含む。
【0102】
幾つかの実施形態では、パイプライン1400は、DRA添加箇所1420~1426を含み、DRAをパイプライン1400に導入して摩擦を減少させるとともにパイプライン1400の効率を向上させる(例えば、ステーション1404~1408の電力消費量、運用コストなどを減少させる)ことができる。幾つかの実施形態では、DRAは、パイプライン1400内の生産物に注入されまたは導入されると、パイプライン1400中に生産物を押し込むのに必要なエネルギーを減少させる。幾つかの実施形態では、パイプライン1400内の生産物の種類によって、導入できるDRAの量が決定される。例えば、パイプライン1400を通って輸送される生産物がジェット燃料である場合、生産物に提供できるDRAはゼロである。同様に、ディーゼル、ガソリン、燃料油などは、異なるDRA要件を有する。このように、パイプライン1400の生産物に供給されるDRAの量を、パイプライン1400を通って現時点において輸送されている生産物の種類に基づいて決定することができる。幾つかの実施形態では、DRAは、生産物とパイプライン1400のパイプの内部との間に生じる摩擦を減少させる化学添加剤である。幾つかの実施形態では、DRAは、長さが10~12インチ(25.40~30.48cm)の分子構造を有するのがよい。幾つかの実施形態では、DRAがポンプ1406~1418を通過する際、DRAの分子は、ポンプ1406~1418の動翼またはタービンによって切断されまたは寸断される。次に、追加のDRAをポンプの下流側の場所のところに導入するのがよい。例えば、図14に示すように、DRA添加箇所1422は、ステーション1404のポンプ1406~1410の下流側に位置し、DRA添加箇所1424は、ステーション1406のポンプ1412~1414の下流側に位置し、DRA添加箇所1426は、ステーション1408のポンプ1416~1418の下流側に位置する。
【0103】
幾つかの実施形態では、ステーション1404~1408は、40~100マイル(64~161km)間隔で配置されている。このように、生産物がステーション1404を出ると、ステーション1406に至るまで移動し、このステーションで生産物は、再び加圧されて第3のステーション1408に達することができるようになっている。幾つかの実施形態では、多数の異なる生産物がパイプライン1400を通って一度に提供される。例えば、ジェット燃料、ディーゼル燃料、ガソリン、種々の等級のガソリンなどが全て、パイプライン1400を通って納品場所(例えば、顧客)に輸送されるのがよい。種々の生産物を互いに異なる生産物スラグとしてパイプライン1400を通って輸送される場合がある。例えば、第1の生産物を最初にパイプライン1400に導入することができ、そして第1の生産物は、第1のスラグとしてパイプライン1400を通って移動することができ、他方、第2の生産物を第1の生産物の後にパイプライン1400に導入し、この第2の生産物は、第2のスラグとしてパイプライン1400を通って移動する。幾つかの実施形態では、第1のスラグと第2のスラグは、これらの境界部のところで互いに混ざり合ってトランスミックスを生じる。幾つかの実施形態では、トランスミックスは、生産物がその目的地に達して、精製所に送られるときに、パイプライン1400から除去される。幾つかの実施形態では、同様の種類の生産物に関し、トランスミックスは、許容可能であって除去されず、精製所に送られない。例えば、異なる等級のガソリンが混ざり合っている場合、このトランスミックスは、許容可能な場合があり、除去および精製を必要としない。許容可能なトランスミックスは、図1図7を参照して上記において詳述したような技術のうちの任意のものを用いてパイプライン系20にわたって追跡できる。
【0104】
最適化制御装置
【0105】
特に図15を参照すると、幾つかの実施形態に従って、パイプライン1400の作動を最適化するシステム1500が示されている。幾つかの実施形態では、システム1500は、パイプライン1400、機器、ポンプ、DRA導入などを最適に作動させるための制御決定をパイプライン1400について出すよう構成されている。幾つかの実施形態では、システム1500は、制御装置1502、データベース1528、電気計器1514、生産物計器1512、ユーザインターフェース1532、およびパイプライン1400を含む。幾つかの実施形態では、データベース1528は、制御装置1502上にローカルに記憶され、またはクラウドコンピューティングシステム上に記憶される。幾つかの実施形態では、電気計器1514および生産物計器1512は、パイプライン1400のコンポーネントまたはセンサである。幾つかの実施形態では、制御装置1502は、パイプライン1400のシステム情報をデータベース1528から受け取り、パイプライン1400の種々のコンポーネントの電力消費データを電気計器1514から受け取り、納品レートまたは量データをパイプライン1400の生産物計器1512から受け取り、電気コスト、見通し、またはスケジュールをユーティリティ提供業者1510から受け取り、かつ/あるいはセンサおよび/または動作データをパイプライン1400またはそのセンサ(例えば、圧力センサ、流量計、温度センサなど)から受け取るよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置1502はまた、制御装置1502に所望の最適化モードを指示する1つ以上のユーザ入力をユーザインターフェース1532から受け取るよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置1502は、ユーザインターフェース1532を作動させて最適化による結果を表示するよう構成されている。幾つかの実施形態では、制御装置1502は、最適化の結果として出された制御決定に従って、パイプライン1400を作動させる制御決定をパイプライン1400に提供するよう構成されている。幾つかの実施形態では、電気計器1514が設けられておらず、または使用されない場合、電気使用量は、プロセス条件およびポンプ曲線に基づいて推定できる(例えば、経時的なエネルギー消費量を積分する)。幾つかの実施形態では、電気使用量は、制御装置1502によって計算される。
【0106】
制御装置1502は、プロセッサ1506およびメモリ1508を含む処理回路系1504を含む。プロセッサ1506は、汎用または特定目的用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、一群の処理コンポーネント、または他の適当な処理コンポーネントであるのがよい。プロセッサ1506は、メモリ1508に記憶され、または他のコンピュータ可読媒体(例えば、CD‐ROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受け取ったコンピュータコードおよび/または命令を実行するよう構成されているのがよい。
【0107】
メモリ1508は、本開示において説明する種々のプロセスを完了させかつ/あるいはその達成を容易にするためのデータおよび/またはコンピュータコードを記憶するための1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、記憶装置、格納装置など)を含むのがよい。メモリ1508としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブ記憶装置、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光学メモリ、またはソフトウェアオブジェクトおよび/またはコンピュータ命令を記憶するための任意他の適当なメモリが挙げられる。メモリ1508は、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、または本開示で説明する種々のアクティビティおよび情報構造をサポートするための任意他の形式の情報構造を含むのがよい。メモリ1508は、処理回路系1504を介してプロセッサ1506に連絡可能に結合されるのがよく、かつ本明細書において説明される1つ以上のプロセスを実行する(例えば、プロセッサ1506によって)ためのコンピュータコードを含むのがよい。
【0108】
さらに図15を参照すると、メモリ1508は、幾つかの実施形態によれば、目的関数発生器1518、オプティマイザ1526、およびユーザ入力マネージャ1530を含む。幾つかの実施形態では、目的関数発生器1518は、所望のまたは選択された最適化モードをユーザ入力によって提供されるユーザ入力マネージャ1530から受け取るよう構成されている。幾つかの実施形態では、目的関数発生器1518は、コスト目的関数発生器1520、エネルギー目的関数発生器1522、および納品目的関数発生器1524を含む。目的関数発生器1518は、幾つかの実施形態によれば、システム情報および/または実時間センサデータを受け取って最適化モードに従って目的関数を生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、システム情報は、データベース1528によって提供されるシステム情報である。システム情報は、パイプライン1400の機器、機器モデル、互いに異なる機器、ステーション、ポンプなどの相互関係、レイアウトなどに関する情報を含むのがよい。幾つかの実施形態では、システム情報は、互いに異なるステーション(例えば、ステーション1404~1408)のモデル、またはステーション1404~1408の機器の種々のコンポーネントの数学的モデルを含む。例えば、互いに異なるステーションのモデルは、機器性能曲線、数学方程式、多次元グラフなどであるのがよく、これらは、互いに異なる制御決定に対するステーション1404~1408のモデル化されまたは予測された作動状態を示す(例えば、ポンプ1406~1410が全て動作している場合に生産物を特定の流量でパイプライン1400中に駆動するよう作動された場合にステーション1404がどれほど多くのエネルギーを消費するか、ポンプ1406~1410のうちの1つまたは2つだけが動作状態にある場合に生産物を特定の流量でパイプライン1400中に駆動するよう作動された場合にステーション1404がどれほど多くのエネルギーを消費するかなど)。幾つかの実施形態では、システム情報は、ステーション1404~1408間の距離、ステーション1404~1408相互間の高度の変化などに関する情報をさらに含む。幾つかの実施形態では、ステーション1404のモデルは、1つ以上の入力変数(例えば、ステーションのポンプの動作パラメータ、電力貯蔵機器1436に投入されまたはこれから放出されるエネルギーの量、発電量、天候データ、ステーションを通って輸送される生産物の種類など)の関数として、1つ以上の出力変数(例えば、エネルギー消費量、出力流量、生産物の配送レート、出力エミッション、運用コストなど)を予測しまたは推定する。
【0109】
幾つかの実施形態では、実時間センサデータは、電気消費量、配送レート、電気コスト、および/またはセンサデータおよび動作データを含む。幾つかの実施形態では、実時間センサデータは、目的関数を生成するよう目的関数発生器1518によって用いられる。
【0110】
最適化モードがエネルギー消費量を最適化するよう選択された場合、目的関数発生器1518は、エネルギー目的関数発生器1522を実行させて、1つ以上の制約下において1つ以上の制御決定(例えば、ポンプ1406~1418の作動)の関数としてパイプライン1400またはパイプライン1400の単一のステーションのエネルギー消費量を定量的に予測しまたは推定する目的関数を生成する。幾つかの実施形態では、目的関数は、パイプライン1400のステーションまたはステーションのコンポーネントの1つ以上のモデル(例えば、ポンプモデル、ポンプ曲線など)を含み、性能変数または各ステーションまたは各ステーションのコンポーネントのエネルギー消費量を予測しまたは出力する。
【0111】
例えば、目的関数は、1つ以上の制約下における将来の計画対象期間にわたってパイプライン1400のエネルギー消費量を表すことができる。エネルギー消費量目的関数は、次の形態をとることができる。
【数5】
上式において、kは、最適化期間または計画対象期間におけるタイムステップであり、mは、最適化期間または計画対象期間内のタイムステップの総数であり、xは、最適化のための1組の決定または制御可能な変数である。
【0112】
幾つかの実施形態では、最適化は、次の形態をとる。
【数6】
したがって、オプティマイザ1526は、最適化期間または計画対象期間にわたって全エネルギー消費量Eを最小限に抑える決定または制御変数xについて値を求めるよう構成されている。
【0113】
幾つかの実施形態では、決定変数xは、互いに異なるポンプ1406~1418全体に加わり、またはステーション1404~1408全体に加わる流量または圧力であり、またはこれらを含む。例えば、n番目のポンプは、次の関数またはモデルをとることができる。
【数7】
上式において、Epump,nは、タイムステップにわたり、または瞬時にx制御決定(例えば、流量Q、圧力差Δpなど)を達成するよう動作するn番目のポンプによって使用される推定エネルギー量であり、fpump,nは、制御または決定変数の関数としてエネルギー使用量を予測するn番目のポンプについての関数である。
【0114】
幾つかの実施形態では、n番目のポンプのモデルに関する入力は、パイプライン1400に導入されるDRAの分量または量、当該分量または量のDRAがパイプライン1400に導入される場所、現時点においてパイプライン1400を通って輸送されている生産物の種類などを含む。例えば、n番目のポンプは、次の関数またはモデルをとることができる。
【数8】
上式において、xΔpは、n番目のポンプ前後の圧力差であり、xDRAは、パイプラインに導入されるDRAの1つ以上の量を含み、xDRA,locは、1つ以上のDRAの量がパイプライン1400に導入される場所であり、xproductは、パイプライン1400を通ってポンプ送りされている生産物の種類、またはパイプライン1400を通ってポンプ送りされているスラグの生産物の種類である。
【0115】
幾つかの実施形態では、エネルギー目的関数は、1つ以上の制限下において最小限に抑えられる。幾つかの実施形態では、制約は、ポンプの各々の加圧に関する制限、ポンプのランタイム、パイプラインを通って現時点で流れている生産物の種類に基づいて生産物に導入できるDRAの量に関する制限、生産物のスラグがパイプライン1400を通過しているときの生産物スラグの追跡、パイプライン1400のポンプ相互間の関係またはパイプライン1400の互いに異なるステーション相互間の関係(例えば、第1のポンプの加圧を増大させると異なるポンプの加圧能力に影響を及ぼす可能性があることなど)などを含む。幾つかの実施形態では、制約は、決定または制御変数xのうちの任意のものの限度(例えば、上限および下限)である。幾つかの実施形態では、制約は、制御または決定変数xの互いに異なるもの相互間の関係である。例えば、制御決定のうちの1つを調節すると、制御決定の別のものの制限に影響を及ぼす可能性がある。幾つかの実施形態では、制約は、顧客に配送される生産物の最小限の量を含む(例えば、エネルギー消費量を最小限に抑えるが、依然として特定の量の生産物を顧客に送り出す最適な制御決定を見いだす)。
【0116】
幾つかの実施形態では、エネルギー目的関数はまた、パイプライン1400を通る生産物の互いに異なる種類のスラグを追跡する1つ以上のモデルを含む。例えば、生産物が互いに異なると、その結果として、ポンプの加圧に関する互いに異なる制約が生じる場合があり、または生産物のスラグに提供できるDRAの量に関する互いに異なる制約が生じる場合があるので、目的関数発生器1518によって生成される目的関数は、パイプライン1400中の互いに異なるスラグの存在場所に基づいて制約を考慮に入れて、かかる制約を選択的に調節しまたは制御するのがよい。スラグは、パイプライン1400を通る種々の生産物のスラグの移動量をポンプの互いに異なる制御決定の関数として予測する数学的モデルに基づいて、パイプライン1400を介して追跡されるのがよい(例えば、圧力を増大させると、パイプライン1400を通るスラグの移動速度が増大する場合がある)。幾つかの実施形態では、スラグの存在場所は、パイプライン1400(例えば、パイプライン1400を通って輸送されている生産物の互いに異なる種類を検出する化学センサ)から得られるセンサデータに基づいてリアルタイムで得られる。幾つかの実施形態では、処理回路系1504またはシステム1500は、パイプライン1400を通る生産物のスラグを識別して追跡するために、図1図11を参照して上記において詳述したように、センサ、パイプ構造、または制御装置102の技術のうちの任意のものを用いるよう構成されている。
【0117】
幾つかの実施形態では、エネルギー目的関数はまた、発電機器1442~1446のうちの任意のものによって生じる電力を考慮に入れる。例えば、目的関数発生器1518は、発電機器1442~1446の発電量を予測される気象条件の関数として予測する項またはモデルを含むのがよい。例えば、発電機器1442~1446がソーラーパネルを含む場合、気象条件は、日光、曇天などまたはソーラーパネルが受け、ソーラーパネルのエネルギー発生量を予測するよう使用できる太陽光線の予想量を含むのがよい。同様に、発電機器1442~1446が風力タービンを含む場合、気象条件は、将来の計画対象期間にわたって風力タービンのエネルギー発生量を予測するために使用できる平均風力を指示するのがよい。幾つかの実施形態では、エネルギー目的関数はまた、電力貯蔵機器1436へのチャージまたは放出と関連したロスを考慮に入れる。
【0118】
幾つかの実施形態では、エネルギー目的関数発生器1522により生成されまたは定められるエネルギー目的関数の最適化の結果として、エミッションを最適にしまたは最小にするという解決策が決定される。例えば、エネルギー目的関数発生器1522のエネルギー消費量の最小化の結果として、機器の使用が最小限に抑えられ、それにより、環境または大気に放出されるエミッション(例えば、二酸化炭素、温室効果ガスなど)が最小限に抑えられる。幾つかの実施形態では、エネルギー最適化モードは、エミッションを最小限に抑ええるためのエミッション最適化モードとも呼ばれる。
【0119】
幾つかの実施形態では、目的関数発生器1518は、システム情報を用いて目的関数を構成し、そして実時間センサデータを用いて目的関数の1つ以上の項または変数を代入するよう構成されている。例えば、実時間センサデータを用いると、パイプライン1400の現在の状態、パイプライン1400の機器の現在の作動状態、パイプライン1400に沿う互いに異なる場所の気象条件などに関して目的関数発生器1518に通知することができる。
【0120】
依然として図15を参照すると、目的関数発生器1518は、幾つかの実施形態によれば、コスト目的関数発生器1520を含む。幾つかの実施形態では、コスト目的関数発生器1520は、1つ以上の制御決定(例えば、ポンプ1406~1418の作動)の対象となる1つ以上の制御決定の関数としてパイプライン1400またはパイプライン1400の単一のステーションの金銭的コストを予測するコスト目的関数を生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、コスト目的関数は、エネルギー目的関数に類似しているが、互いに異なる時刻のエネルギーの購入と関連したコスト(例えば、電気エネルギー、天然ガスなどの購入と関連したコスト)、後での使用のための電気エネルギーの貯蔵コスト(例えば、電力貯蔵機器1436~1440に電気エネルギーをチャージし、そしてエネルギーコストが高価な場合にある時刻で貯蔵した電気エネルギーを用いる)、発電コスト、炭素税コストなどをさらに考慮に入れている。
【0121】
幾つかの実施形態では、コスト目的関数は、次の形態をとっている。
【数9】
または
【数10】
上式において、Cost(k) は、k番目のタイムステップに関する単位エネルギー当たりのコストである。幾つかの実施形態では、Cost(k) は、時刻に基づいて購入される単位エネルギー当たりのコストを含む。例えば、ユーティリティ提供業者1510は、需要に基づいて一日中変化するエネルギーコスト(例えば、電気エネルギーコスト)のスケジュールを提供することができる。幾つかの実施形態では、エネルギーは、夜間において費用が安い場合があり、したがって、コスト目的関数の最適化または最小化により、エネルギーがコストの観点からは、種々の時刻におけるエネルギーの安い価格を活用するためにパイプライン1400を夜間において高いレートで作動させる上で最適であることが確認できる。幾つかの実施形態では、Cost(k) は、生産でき(例えば、無料で)、貯蔵でき、そして後で使用できるエネルギーのコストを含む。幾つかの実施形態では、Cost(k) は、エネルギーが安価である時点で(例えば、夜間)に購入でき、そしてエネルギーの購入費が高い場合に後で使用することができるエネルギーのコストを含む。このように、コスト目的関数発生器1520によって生成されるコスト目的関数の最適化により、将来の計画対象期間にわたってエネルギーの購入、使用、貯蔵、発生、および放出に関する最適な制御決定を出すことができる。幾つかの実施形態では、処理回路系1504は、機械学習を用いて、ステーション1404~1408の電力貯蔵機器1436~1440内にエネルギーをチャージし、放出し、または蓄える時期を調節しまたは調整するよう構成されている。
【0122】
幾つかの実施形態では、コスト目的関数はまた、1つ以上の制約下において、オプティマイザ1526によって最小限に抑えられる。コスト目的関数を最適化または最小化する制約は、上記において詳述したようなエネルギー目的関数を最適化しまたは最小化するための制約と同一でありまたはこれに類似しているのがよい。このように、制御装置1502は、将来の計画対象期間(例えば、1日、1週間、数日など)にわたって金銭的コストの面で、パイプライン1400またはパイプライン1400の単一のステーションに関する最適な制御決定を出すことができる。
【0123】
依然として図15を参照すると、目的関数発生器1518は、幾つかの実施形態によれば、納品目的関数発生器1524を含む。幾つかの実施形態では、納品目的関数発生器1524は、将来の計画対象期間にわたって生産物の納品量を規定しまたは予測する目的関数を生成するよう構成されている。例えば、生産物の送り出し量は、パイプライン1400の顧客端のところでのパイプライン1400の流量、またはある期間にわたって顧客に輸送される生産物の量(例えば、ガロン、リットル、重量などで表される)として定められるのがよい。幾つかの実施形態では、納品目的関数は、制御または決定変数xで表される生産物の納品量を定める。幾つかの実施形態では、納品目的関数は、オプティマイザ1526に提供されるとともに、結果的に最大生産物納品量をもたらす制御または決定変数を定めるよう最大化される。このように、ポンプ1406~1418は、そのような実施と関連するエネルギー消費量、エミッション、またはコストのいかんに関わらず、顧客に対して可能な限り最多の生産物を納品するよう作動されるのがよい。
【0124】
オプティマイザ1526は、目的関数発生器1518から本明細書において説明した目的関数のうちの任意のものを得、そして、結果的にパイプライン1400の所望の挙動が得られるようにする制御または決定変数を定めるよう目的関数を最適化する(例えば、最大化しまたは最小化する)よう構成されている。幾つかの実施形態では、制御または決定変数は、エミッションの最少化および/またはエネルギー使用量の最小化、金銭的コストの最少化を達成し、またはある期間にわたってパイプライン1400の生産物納品量を最大にするために、DRA、希釈剤、または他の添加剤をどれほど添加すべきであるか、DRAを添加すべき場所および時期、ポンプ1406~1418のうちどれを作動させるべきか、ポンプ1406~1418をどのように作動させるべきか、などについての決定を含む。
【0125】
オプティマイザ1526は、詳細な最適化結果をユーザ入力マネージャ1530にユーザインターフェース1532上に表示可能に提供する(例えば、その結果、ユーザは、パイプライン1400が所望の目的を達成するためにどのように作動されるべきかを観察することができるようになっている)よう構成されており、このオプティマイザはまた、制御決定をパイプライン1400またはこのパイプラインの機器に提供して、制御または決定変数に従ってパイプライン1400を作動させるよう構成されている。幾つかの実施形態では、パイプライン1400は、最適化を実行することによって出される制御決定を用いて、上記期間にわたって作動する。
【0126】
幾つかの実施形態では、本明細書において説明している最適化は、生産物の互いに異なるバッチについて実施される。例えば、本明細書において説明している最適化のうちの任意のものは、ディーゼル用生産物の最初のバッチ、ガソリン用生産物の次のバッチ、ジェット燃料用生産物の次のバッチなどについて実施されるのがよい。最適化モードは、ユーザ(例えば、パイプラインのオペレータ)によって定められるように提供されるとともに使用されるのがよい。幾つかの実施形態では、オペレータは、パイプライン1400の種々のセグメント(例えば、1つのポンプステーションから次のポンプステーションまで)について、またはパイプライン1400全体にわたって、顧客の要件(例えば、互いに異なる最適化モードの要件)を用いるのがよい。例えば、ある顧客が可能な限り迅速に生産物の納品を必要とする場合、最適化モードは、生産物納品を最大にするよう実施されるのがよい。別の顧客が最小限のコストで生産物納品を必要とする場合、最適化は、所望の量の生産物を費用対効果の高い解決策に従って顧客に届けるよう実施されるのがよい(例えば、コスト目的関数発生器1520によって生成されるコスト目的関数を用いる最適化を実施する)。
【0127】
幾つかの実施形態では、最適化は、ステーション1404~1408の各々について個々に実施される。例えば、最適化は、ステーションごとに実施されるのがよく、それにより、最も費用効率のよい仕方で、最もエネルギー効率のよい仕方で、または最大の納品速度の仕方で、生産物を十分に次のステーションまでポンプ送りする(例えば、高度の変化を考慮に入れて)ことができる。有利には、制御装置1502の機能をステーション1404~1408の各々のところで実行することにより、これまた少なくとも部分的にセンサを利用した自律的最適化が容易になり、その結果、通信の機能停止が起こった場合でも、パイプライン1400は、依然として最適に作動することができるようになっている。例えば、第3のステーション1408が電力を喪失し、または停電になった場合、第2のステーション1406のところでの最適化決定は、結果的にパイプライン1400全体の不作動を生じさせないで、第3のステーション1408の不作動を考慮にいれるよう変更可能である。さらに、本明細書において説明する最適化技術は、主題専門家(SME)方式とは対照的に、数学的な基礎を持っている。
【0128】
別々の最適化
【0129】
特に図16を参照すると、幾つかの実施形態によれば、ステーション1404~1408の各々のための別個の最適化システムのブロック図1600が示されている。幾つかの実施形態では、ステーション1404~1408の各々は、これに対応した制御装置1502a~1502cを備えている。幾つかの実施形態では、第1のステーション1404は、制御装置1502aを用いて、実時間センサデータおよび/または所望の最適化モードを指示するユーザ入力を用いて、それ自体の最適化を実施するよう構成されている。同様に、第2のステーション1406および第3のステーション1408は、対応の制御装置1502bおよび1502cを用いて、実時間センサデータおよび所望の最適化モードを指示するユーザ入力に基づいて、これら自身のための最適化を実施するのがよい。このように、最適化は、ステーション1404~1408の機器のための最適化結果および/または制御決定を定めるようステーション1404~1408の各々のところで局所的に実施されるのがよい。幾つかの実施形態では、最適化は、ステーション1404~1408の各々の自律的最適作動を容易にするようステーション1404~1408の各々のところで自律的に実施される。
【0130】
幾つかの実施形態では、クラウドコンピューティングシステム1602が、ステーション1404~1408のうちの任意のものから、またはパイプライン1400からデータを得て、パイプライン1400のための全体的最適化を協調した仕方で実施するよう構成されている。幾つかの実施形態では、クラウドコンピューティングシステム1602は、制御装置1502の機能のうちの任意のものを用いてパイプライン1400の全体的最適化を実施するよう構成されている。このように、図15を参照して上記において詳述したような最適化技術を、各ステーション1404~1408の作動を最適化するよう各ステーション1404~1408のところで局所的に実施されてもよく、あるいは、パイプライン1400の最適な作動を確保するようパイプライン1400全体にわたって広域的にクラウドコンピューティングシステム1602上で実施されてもよい。幾つかの実施形態では、パイプライン1400の全体的最適化は、制御装置1502a~1502cが互いに連絡した状態で、ステーション1404~1408の制御装置1502a~1502c相互間で分散した状態で実施される。幾つかの実施形態では、全体的最適化が実施され(クラウドコンピューティングシステム1602のところで行われるか、または制御装置1502a~1502c相互間で分散した状態で行われる)、通信の途絶が検出された場合、制御装置1502a~1502cは、各ステーション1404~1408に対して個別の最適化を実施するようデフォルト設定される。
【0131】
プロセス
【0132】
特に図17を参照すると、幾つかの実施形態によれば、パイプラインの作動を最適化するプロセス1700が示されている。プロセス1700は、ステップ1702~1710を含み、このプロセスは、図14~16を参照して上記において詳述したように、制御装置1502、制御装置1502a~1502c、またはクラウドコンピューティングシステム1602によって実施されるのがよい。
【0133】
プロセス1700は、幾つかの実施形態に従って、パイプライン系またはステーションの最適化および作動の所望のモードを指示するユーザ入力を受け取るステップ(1702)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1702は、プロセス1700がパイプライン系またはステーションのコストに従って最適化するとともに作動し、パイプライン系またはステーションのエネルギー消費量に従って最適化するとともに作動し、または、パイプライン系またはステーションの納品レートまたは量に従って最適化するとともに作動するよう実施されるべきであるかどうかを指示する入力を受け取るステップを含む。幾つかの実施形態では、パイプライン系またはステーションの最適化および作動の所望のモードは、ユーザ入力に基づいて自律的に決定される。
【0134】
プロセス1700は、幾つかの実施形態によれば、性能変数をパイプライン系またはステーションの制御決定の関数として定量化する目的関数を得るステップ(1704)を含む。幾つかの実施形態では、目的関数は、性能変数を将来の計画対象期間にわたって、パイプライン系またはステーションの制御決定の関数として予測する。幾つかの実施形態では、性能変数は、納品量もしくはスループット、エネルギー消費量もしくはエミッション、またはパイプライン系またはステーションの運用コストのうちの任意のものである。幾つかの実施形態では、ステップ1704は、制御装置1502の目的関数発生器1518、または特に、目的関数発生器1518の種々のモジュールによって実施される。
【0135】
プロセス1700は、幾つかの実施形態によれば、目的関数の性能変数を1つ以上の制約下で最小化しまたは最大化してパイプライン系またはステーションについての制御決定を出すステップ(1706)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1706は、将来の計画対象期間にわたって制御決定の値を変化させまたは調節することによって、性能変数を最小化しまたは最大化するステップを含む。幾つかの実施形態では、ステップ1706は、オプティマイザ1526によって実施される。幾つかの実施形態では、制約は、互いに異なる制御決定、内部パラメータ、ポンプのパラメータ(例えば、最大作動流量など)などに対する制限を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1706は、結果的に将来の計画対象期間にわたって性能変数を最小化しまたは最大化する制御決定を出すよう実施される。
【0136】
プロセス1700は、幾つかの実施形態に従って、パイプライン系またはステーションを制御決定に従って作動させるステップ(1708)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1708は、パイプライン系またはステーションの互いに異なる機器の種々の制御パラメータを制御決定に従って調節するステップを含む。幾つかの実施形態では、ステップ1708は、制御決定をパイプライン系またはステーションの互いに機器に提供するステップを含む。幾つかの実施形態では、ステップ1708は、制御決定に従って、将来の計画対象期間にわたってパイプライン系またはステーションの機器を作動させるステップを含む。制御決定は、互いに異なるポンプ設定値、作動パラメータ、DRAを注入する量、DRAを注入する時期および場所などのスケジュールであるのがよい。ステップ1708は、幾つかの実施形態に従って、パイプライン1400によって実施されるのがよい。
【0137】
プロセス1700は、幾つかの実施形態によれば、最適化結果を表示するステップ(1710)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1710は、ユーザインターフェース1532を作動させて最適化結果のディスプレイデータを提供するステップを含む。幾つかの実施形態では、最適化結果は、将来の計画対象期間わたる予想される互いに異なるパラメータ、制御決定などの表示を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1710は、ユーザインターフェース1532によって実施される。
【0138】
特に図18を参照すると、幾つかの実施形態に従って、パイプラインの運用コストの観点で最適化を実行するプロセス1800が示されている。プロセス1800は、ステップ1802~1806を含み、かかるプロセスは、図15を参照して上記において詳述したように目的関数発生器1518およびオプティマイザ1526によって実施されるのがよい。幾つかの実施形態では、プロセス1800は、パイプライン系またはブースターステーションを最も費用効率のよい仕方でどのように作動させるかを決定するよう実施される。幾つかの実施形態では、プロセス1800は、プロセス1700のステップ1704~1706のように実施される。
【0139】
プロセス1800は、幾つかの実施形態によれば、パイプラインの運用コストを定める目的関数を将来の計画対象期間にわたって1つ以上の制御決定の関数として得るステップ(1802)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1802は、将来の計画対象期間にわたって合計されたパイプライン系の運用コストを表す目的関数を定めるステップを含む。運用コストは、エネルギーの購入(例えば、ユーティリティ提供業者からの電気の購入)と関連するエネルギーコスト、利用可能なエネルギー発生および/または気象条件に基づいて達成できるコスト削減、異なる時刻でのエネルギーの購入、貯蔵および使用と関連するコスト、1日を通しての作動パラメータの調節(例えば、電気が安い夜間に目いっぱい操業する)などを含む。幾つかの実施形態では、運用コストは、将来の計画対象期間にわたって購入されるエネルギーの量および将来の計画対象期間にわたるエネルギーの価格に基づいて定められる金銭的コストである。幾つかの実施形態では、ステップ1802は、コスト目的関数発生器1520によって実施される。
【0140】
プロセス1800は、幾つかの実施形態によれば、目的関数についての1つ以上の制約を得るステップ(1804)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1804は、目的関数に関する1つ以上の制約を定め、生じさせ、または違ったやり方で得るステップを含む。幾つかの実施形態では、制約は、パイプラインの種々の機器の操作性、パイプラインを通って輸送される異なる種類の生産物にどれだけのDRAが提供できるかに関する制限などを含む。幾つかの実施形態では、制約は、解決策が実行可能であり、または現実的に達成可能であるようにするために満たされなければならない追加の方程式または条件である。幾つかの実施形態では、ステップ1804は、目的関数発生器1518またはオプティマイザ1526によって実施される。
【0141】
プロセス1800は、幾つかの実施形態によれば、結果的に目的関数を1つ以上の制約下で最小化して、将来の計画対象期間にわたって運用コストを最も安くする制御決定を定めるステップ(1806)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1806は、多変数最適化を実施して、結果的に運用コストを最も安くしまたは最適にする1つ以上の制約を満たす制御決定を出すステップを含む。幾つかの実施形態では、ステップ1806は、ステップ1804で得られた目的関数に基づいてオプティマイザ1526によって実施される。
【0142】
特に図19を参照すると、幾つかの実施形態によれば、パイプラインのエネルギー消費量またはエミッションの面で最適化を実行するプロセス1900が示されている。プロセス1900は、ステップ1902~1906を含み、このプロセスは、図15を参照して上記において詳述したように、目的関数発生器1518およびオプティマイザ1526によって実施されるのがよい。幾つかの実施形態では、プロセス1900は、パイプライン系1400またはブースターステーションをエネルギー効果の最もよい、またはエミッション的に最も効率的な仕方でどのように作動させるかを決定するよう実施される。幾つかの実施形態では、プロセス1900は、プロセス1700のステップ1704~1706のように実施される。
【0143】
プロセス1900は、幾つかの実施形態によれば、パイプラインのエネルギー消費量を定める目的関数を将来の計画対象期間にわたって1つ以上の制御決定の関数として得るステップ(1902)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1902は、将来の計画対象期間にわたって合計されるパイプライン系のエネルギー消費量またはエミッションを表す目的関数を定めるステップを含む。エネルギー消費量は、制御決定のうちの1つ以上の関数として、種々のポンプ、機器、DRA注入器、エネルギー貯蔵装置のチャージに関連するエネルギーロスなどのエネルギー消費量を含むのがよい。幾つかの実施形態では、制御決定は、パイプラインによって生じるエネルギー消費量またはエミッションに影響を及ぼすパイプラインの種々の制御可能な機器に対する調節である。
【0144】
プロセス1900は、幾つかの実施形態によれば、目的関数についての1つ以上の制約を得るステップ(1904)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1904は、プロセス1800のステップ1804と同一でありまたはこれに類似している。幾つかの実施形態では、ステップ1904は、種々のパラメータ(例えば、制御決定、性能変数、パイプラインの作動パラメータなど)を制限する1つ以上の制約を定めるステップを含む。幾つかの実施形態では、ステップ1904は、目的関数発生器1518またはオプティマイザ1526によって実施される。
【0145】
プロセス1900は、幾つかの実施形態によれば、目的関数を1つ以上の制約下で最小化して結果的にエネルギー消費量を最も少なくしまたはエミッションを最も少なくする将来の計画対象期間にわたる制御決定を定めるステップ(1906)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ1906は、プロセス1800のステップ1806と同一でありまたはこれに類似している。
【0146】
特に図20を参照すると、幾つかの実施形態によれば、スループットまたは生産物納品の観点で最適化を実行するプロセス2000が示されている。プロセス2000は、ステップ2002~2006を含み、このプロセスは、図15を参照して上記において詳述したように目的関数発生器1518およびオプティマイザ1526によって実施されるのがよい。幾つかの実施形態では、プロセス2000は、パイプライン(例えば、パイプライン系1400)をどのように作動させればかかる作動と関連したエネルギー消費量またはコストとは無関係に、可能な限り多量の生産物を、パイプラインを通じて提供するかを定めるよう実施される。幾つかの実施形態では、スループットは、パイプラインを通る生産物の体積、流量などの面で定められる。
【0147】
プロセス2000は、幾つかの実施形態によれば、パイプラインのスループットを定める目的関数を将来の計画対象期間にわたって1つ以上の制御決定の関数として得るステップ(2002)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ2002は、生産物の送り出し量または送り出された生産物の流量を1つ以上の制御決定の関数として定量的に予測する目的関数を定めるステップを含む。幾つかの実施形態では、ステップ2002は、プロセス1900またはプロセス1800のそれぞれのステップ1902またはステップ1802と同一でありまたはこれに類似している。
【0148】
プロセス2000は、幾つかの実施形態に従って、目的関数についての1つ以上の制約を得るステップ(2004)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ2004は、プロセス1900のステップ1904と同一でありまたはこれに類似しており、あるいはプロセス1800のステップ1804と同一でありまたはこれに類似している。プロセス2000は、幾つかの実施形態によれば、目的関数を1つ以上の制約下で最大化して、結果的にパイプラインのスループットを最も高くする将来の計画対象期間にわたって制御決定を出すステップ(2006)をさらに含む。ステップ2006は、幾つかの実施形態では、ステップ2006は、パイプラインのスループットまたは生産物送り出し量を、かかる作動と関連したエネルギー消費量またはコストとは無関係に、最大化するよう実施される。プロセス2000は、プロセス1700のステップ1704~1706のように実施されるのがよい。
【0149】
原油パイプライン最適化
【0150】
再び図14および図15を参照すると、幾つかの実施形態によれば、パイプライン1400は、原油パイプラインであるのがよく、制御装置1502は、原油パイプラインを対象としてその機能を実行するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、原油パイプラインは、パイプライン1400と同様に作動されるが、DRAの代わりに希釈剤(例えば、原油を希釈しまたはその粘度を調節するため)が提供される。制御装置1502は、どれほど多くの希釈剤を添加すべきか、希釈剤の添加時期、および希釈剤の添加場所を決定するよう、その機能を実行するのがよい。幾つかの実施形態では、制御装置1502はまた、パイプライン1400の温度値を得て、かかる温度値を用いて原油の粘度、および所望の粘度を達成するために希釈剤をどれほど多くパイプラインに添加すべきかを決定するよう構成されている。幾つかの実施形態では、目的関数または制約は、パイプライン内の原油の粘度とその時点の粘度で原油をポンプ送りするのに必要なエネルギーの関係を含む。このように、原油の粘度は、原油を輸送しまたは運搬するための原油パイプラインの作動効率を向上させるよう調節されるのがよい。
【0151】
ガスパイプライン最適化
【0152】
再び図14および図15を参照すると、幾つかの実施形態によれば、パイプライン1400は、ガスパイプライン(例えば、天然ガスまたは酸性ガスのためのパイプライン)であるのがよく、制御装置1502は、ガスパイプラインを対象としてその機能を実行するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、ガスパイプラインは、パイプライン1400と同様に作動されるが、添加剤は、パイプライン1400に提供されないのが通例である。制御装置1502は、ステーション1404のポンプをどのように作動させるかを決定して、最適化モードに従って電力、エミッション、コスト、スループットなどを最適化するよう、その機能を実行するのがよい。幾つかの実施形態では、制御装置1502は、例えば、パイプライン1400のどのコンプレッサまたはポンプを作動させるか、パイプライン1400のポンプまたはコンプレッサの速度、コンプレッサまたはポンプの下流側の冷却器を作動させるかどうか、およびどのレベルの冷却作用が提供されるかなどの変数を最適化するよう構成されている。
【0153】
例示の実施形態の構成
【0154】
本明細書で用いられる「ほぼ」、「約」、「実質的に」および類似の用語は、本開示の主題と関連した当業者による通常のかつ受け入れられた使用と調和して広い意味を有するようになっている。本開示内容を検討する当業者によって理解されるべきこととして、これらの用語は、記載されるとともにクレーム請求しているある特定の特徴の説明を当該特徴の範囲を提供されている数値範囲そのものに制約することなく、可能にするようになっている。したがって、これらの用語は、説明するとともにクレーム請求している主題の重要でないまたは取るに足らない改造または変更が特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内にあるものとみなされることを指示するものとして解されるべきである。
【0155】
注目されるべきこととして、種々の実施形態を説明するために本明細書で用いられている「例示の」という用語は、かかる実施形態が考えられる実施形態の考えられる実施例、代表例、および/または例示であることを指示するようになっている(そして、かかる用語は、かかる実施形態が必ずしも意外なまたは最上の実施例であるということを意味するものではない)。
【0156】
本明細書で用いられる「結合され」、「連結され」などの用語は、2つの部材の相互の直接的または間接的な接合を意味している。かかる接合は、動かせない(例えば、永続的)であってもよく、動かせる(例えば、取り外し可能、解除可能など)であってもよい。かかる接合は、2つの部材、もしくは単一の一体型本体として互いに一体的に形成されている2つの部材と任意の追加の中間部材で、あるいは、2つの部材もしくは互いに取り付けられている2つの部材と任意の追加の中間部材で達成されるのがよい。
【0157】
本明細書において要素の位置(例えば、「頂」、「底」、「上」、「下」など)といった場合、これらは、図に示されている種々の要素の向きを説明するために用いられているに過ぎない。注目されるべきこととして、種々の要素の向きは、他の例示の実施形態に従って様々であってよく、しかも、かかるバリエーションは、本開示に含まれるものである。
【0158】
また、「または」という用語がその包括的な意味で用いられており(その排他的な意味ではなく)、その結果、例えば、リストとして示された要素を互いに連結するために用いられる場合、「または」という用語は、当該リスト中の要素の1つ、幾つか、または全てを意味している。結合後、例えば「X、Y、Zのうちの少なくとも1つ」という表現は、別段の特定の指定がなければ、アイテム、用語などがX、Y、Z、XおよびY、XおよびZ、YおよびZ、またはXとYとZ(すなわち、X、Y、およびZ の任意の組み合わせ)である場合があることを意味するよう一般的に用いられている文脈で理解される。かくして、かかる連結語は、一般には、別段の指定がなければ、ある特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つが各々存在するのを必要としているということを意味するものではない。
【0159】
例示の実施形態に示されているようなシステムおよび方法の要素の構成および配置は、例示であるにすぎないことに注目することが重要である。本開示のほんの幾つかの実施形態を詳細に説明したが、本開示を検討する当業者であれば容易に理解されるように、多くの改造(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状および比率、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向きのバリエーション)が可能であり、これは、記載した本主題の新規な教示および利点から著しくは逸脱しない。例えば、一体的に形成されたものとして示されている要素は、多数の部品または要素で構成されてもよい。注目されるべきこととして、本明細書において説明したコンポーネントの要素および/または組立体は、多種多様な色、テキスチャ、および組み合わせのうちの任意のものにおいて、十分な強度または耐久性をもたらす広範な材料のうちの任意のもので構成できる。したがって、かかる改造は全て、本発明の範囲内に含まれるものである。本開示の範囲または添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神から逸脱することなく、好ましい実施形態および他の実施形態の設計、動作条件、および配置の他の置換、改造、変更、および省略を行うことができる。
なお、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1. パイプライン系を作動させる方法であって、前記方法は、
前記パイプライン系内のガスのセンサデータを検知ユニットのセンサから得るステップと、
前記センサデータおよび前記ガスの物質モデルを用いて実時間かつ閉ループ制御方式を実施して1つ以上の制御決定を出すステップと、
1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて、前記1つ以上の制御決定に従って前記ガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するステップとを含む、方法。
2. 前記センサデータは、
前記ガスの前記温度、
前記ガスの前記圧力、
前記ガスの前記流量、および
前記ガスの前記組成のうちの任意のものを含み、
前記検知ユニットの前記センサは、前記ガスの前記温度を測定するよう構成された温度センサ、前記ガスの前記圧力を測定するよう構成された圧力センサ、前記ガスの前記流量を測定するよう構成された流量計、および前記ガスの前記組成を測定するよう構成されたガスクロマトグラフ、レーザ干渉計、水センサ、密度センサ、または硫化水素センサのうちの任意のもののうちの任意のものを含む、請求項1記載の方法。
3. 前記センサデータは、前記パイプライン系に位置決めされた複数の検知ユニットから得られる、請求項1記載の方法。
4. 前記物質モデルは、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、前記ガスの臨界点、粘度、密度、流れ特性、または相のうちの少なくとも1つを推定するよう構成されている、請求項1記載の方法。
5. 前記1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出され、前記1つ以上の制御目的は、
前記ガス中の水和物の生成を制限する目的、
前記ガスを所望の相に維持する目的、
ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、
前記ガスを前記所望の相に転移させる目的、または
前記パイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
6. ユーザのためのディスプレイデータを生成するステップをさらに含み、前記ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、前記ガスの相図、前記センサデータ、または前記物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含み、
ディスプレイデバイスを作動させて前記ディスプレイデータを前記ユーザに提供するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
7. 前記1つ以上の物質モデルによって推定される前記1つ以上の熱力学的性質は、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、または前記ガスの臨界点のうちの任意のものを含む、請求項6記載の方法。
8. 前記1つ以上の物質モデルは、前記ガスの前記組成に基づいて選択され、生成され、または調節される、請求項1記載の方法。
9. パイプライン系用の制御装置であって、前記制御装置は、
前記パイプライン系内のガスのセンサデータを検知ユニットのセンサから得、
前記センサデータおよび前記ガスの物質モデルを用いて実時間かつ閉ループ制御方式を実施して1つ以上の制御決定を出し、そして
1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて前記1つ以上の制御決定に従って前記ガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するよう構成された処理回路系を有する、制御装置。
10. 前記センサデータは、
前記ガスの前記温度、
前記ガスの前記圧力、
前記ガスの前記流量、および
前記ガスの前記組成のうちの任意のものを含み、
前記検知ユニットの前記センサは、前記ガスの前記温度を測定するよう構成された温度センサ、前記ガスの前記圧力を測定するよう構成された圧力センサ、前記ガスの前記流量を測定するよう構成された流量計、および前記ガスの前記組成を測定するよう構成されたガスクロマトグラフ、レーザ干渉計、水センサ、密度センサ、または硫化水素センサのうちの任意のもののうちの任意のものを含む、請求項9記載の制御装置。
11. 前記センサデータは、前記パイプライン系に位置決めされた複数の検知ユニットから得られる、請求項9記載の制御装置。
12. 前記物質モデルは、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、前記ガスの臨界点、粘度、密度、流れ特性、または相のうちの少なくとも1つを推定するよう構成されている、請求項9記載の制御装置。
13. 前記1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出され、前記1つ以上の制御目的は、
前記ガス中の水和物の生成を制限する目的、
前記ガスを所望の相に維持する目的、
ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、
前記ガスを前記所望の相に転移させる目的、または
前記パイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む、請求項9記載の制御装置。
14. 前記処理回路系はさらに、
ユーザのためのディスプレイデータを生成するよう構成され、前記ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、前記ガスの相図、前記センサデータ、または前記物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含み、
ディスプレイデバイスを作動させて前記ディスプレイデータを前記ユーザに提供するよう構成されている、請求項9記載の制御装置。
15. 前記1つ以上の物質モデルによって推定される前記1つ以上の熱力学的性質は、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、または前記ガスの臨界点のうちの任意のものを含む、請求項14記載の制御装置。
16. 前記1つ以上の物質モデルは、前記ガスの前記組成に基づいて選択され、生成され、または調節される、請求項9記載の制御装置。
17. パイプライン系であって、
パイプラインと、
センサデータを提供するよう構成された検知ユニットを備えるステーションと、
ガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するよう構成されたパイプライン機器と、
制御装置とを含み、前記制御装置は、
前記パイプライン系内のガスのセンサデータを検知ユニットのセンサから得、
前記センサデータおよび前記ガスの物質モデルを用いて実時間かつ閉ループ制御方式を実施して1つ以上の制御決定を出し、そして
1つ以上の制御可能なパイプライン要素を作動させて前記1つ以上の制御決定に従って前記ガスの温度、圧力、流量、または組成を調整するよう構成されている、パイプライン系。
18. 前記物質モデルは、前記ガスのクリコンデンサーム点、前記ガスのクリコンデンバール点、前記ガスの臨界点、粘度、密度、流れ特性、または相のうちの少なくとも1つを推定するよう構成されている、請求項17記載のパイプライン系。
19. 前記1つ以上の制御決定は、1つ以上の制御目的に合うよう出され、前記1つ以上の制御目的は、
前記ガス中の水和物の生成を制限する目的、
前記ガスを所望の相に維持する目的、
ガス流に加わるドラグを最小限に抑える目的、
前記ガスを前記所望の相に転移させる目的、または
前記パイプライン系の一パイプラインの破断の恐れを低下させる目的のうちの少なくとも1つを含む、請求項17記載のパイプライン系。
20. 前記制御装置はさらに、
ユーザのためのディスプレイデータを生成するよう構成され、前記ディスプレイデータは、水和物曲線、包絡線、およびプロセス経路を含む線図、前記ガスの相図、前記センサデータ、または前記物質モデルのうちの1つ以上によって推定される1つ以上の熱力学的性質のうちの任意のものを含み、
ディスプレイデバイスを作動させて前記ディスプレイデータを前記ユーザに提供するよう構成されている、請求項17記載のパイプライン系。
21. パイプラインを最適化する方法であって、
前記パイプラインのための最適化および作動モードを決定するステップと、
性能変数を将来の計画対象期間にわたって前記パイプラインの1つ以上の制御決定の関数として定量化する目的関数を得るステップと、
1つ以上の制約を受ける前記目的関数を最適化して、結果的に前記性能変数の最適値が得られるようにする前記パイプラインのための制御決定を出すステップと、
前記パイプラインの機器を前記制御決定に従って作動させるステップとを含む、方法。
22. 前記最適化モードは、エミッションまたはエネルギー消費モード、金銭的コストモード、またはスループットモードのうちの少なくとも1つを含み、
前記エミッションまたはエネルギー消費モードでは、前記目的関数の前記性能変数は、エネルギー消費量であり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最小化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記性能変数の最小値が得られるようにする制御決定を出し、
前記金銭的コストモードでは、前記目的関数の前記性能変数は、金銭的コストであり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最小化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記金銭的コストの最小値が得られるようにする制御決定を出し、
前記スループットモードでは、前記目的関数の前記性能変数は、送り出される生産物量であり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最大化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記送り出される生産物量の最大値が得られるようにする制御決定を出す、請求項21記載の方法。
23. 前記方法は、前記パイプラインの全体について制御決定を出すよう前記パイプラインの全体について実施される、請求項21記載の方法。
24. 前記方法は、前記パイプラインのステーションについて制御決定を出すよう前記パイプラインのステーションについて実施される、請求項21記載の方法。
25. 前記目的関数は、前記パイプラインのステーションのモデルを含み、前記パイプラインの前記ステーションは、直列にまたは並列に配置されていて生産物を前記パイプラインに通してポンプ送りするよう構成された複数のポンプを有し、前記ステーションの前記モデルは、前記制御決定の関数として前記ステーションの1つ以上の動作パラメータを予測する、請求項21記載の方法。
26. 前記制御決定は、前記将来の計画対象期間の各タイムステップに関するものであり、前記制御決定は、前記パイプラインの1つ以上のポンプに関する設定値、前記パイプラインに添加すべき抵抗減少剤(DRA)の量、または前記パイプラインを作動させるためにユーティリティ提供業者から購入すべきエネルギーの量のうちの少なくとも1つを含む、請求項21記載の方法。
27. 前記パイプラインは、液体生産物、ガス生産物、または液体とガスの混合物を含む生産物を輸送するよう構成されている、請求項21記載の方法。
28. 前記制御決定は、前記パイプラインの生産物に添加すべき添加剤の量および種類を含む、請求項21記載の方法。
29. パイプラインであって、
複数のパイプラインステーションを有し、各パイプラインステーションは、少なくとも1つのポンプまたはコンプレッサを備え、
前記複数のパイプラインステーションを互いに連結するパイプを有し、
制御装置を有し、前記制御装置は、
前記パイプラインのための最適化および作動モードを決定し、
性能変数を将来の計画対象期間にわたって前記パイプラインの1つ以上の制御決定の関数として定量化する目的関数を得、
1つ以上の制約を受ける前記目的関数を最適化して、結果的に前記性能変数の最適値が得られるようにする前記パイプラインのための制御決定を出し、そして
前記制御決定に従って前記パイプラインの前記複数のパイプラインステーションの各々の前記少なくとも1つのポンプまたはコンプレッサを作動させるよう構成されている、パイプライン。
30. 前記最適化モードは、エミッションまたはエネルギー消費モード、金銭的コストモード、またはスループットモードのうち少なくとも1つを含み、
前記エミッションまたはエネルギー消費モードでは、前記目的関数の前記性能変数は、エネルギー消費量であり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最小化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記性能変数の最小値が得られるようにする制御決定を出し、
前記金銭的コストモードでは、前記目的関数の前記性能変数は、金銭的コストであり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最小化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記金銭的コストの最小値が得られるようにする制御決定を出し、
前記スループットモードでは、前記目的関数の前記性能変数は、送り出される生産物量であり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最大化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記送り出される生産物量の最大値が得られるようにする制御決定を出す、のうちの少なくとも1つを含む、請求項29記載のパイプライン。
31. 前記制御装置は、前記パイプラインの全体について制御決定を出すよう前記パイプラインの全体について前記目的関数を最適化するよう構成されている、請求項29記載のパイプライン。
32. 前記制御装置は、前記パイプラインの前記複数のパイプラインステーションのうちの1つに関して前記目的関数を最適化して、前記パイプラインの前記複数のパイプラインステーションのうちの前記1つについて制御決定を出すよう構成されている、請求項29記載のパイプライン。
33. 前記目的関数は、前記パイプラインの前記複数のパイプラインステーションのうちの少なくとも1つのパイプラインステーションのモデルを含み、前記パイプラインの前記少なくとも1つのパイプラインステーションは、直列にまたは並列に配置されていて生産物を前記パイプラインに通してポンプ送りするよう構成された複数のポンプを有し、前記パイプラインステーションの前記モデルは、前記制御決定の関数として前記ステーションの1つ以上の動作パラメータを予測する、請求項29記載のパイプライン。
34. 前記制御決定は、前記将来の計画対象期間の各タイムステップに関するものであり、前記制御決定は、前記パイプラインの1つ以上のポンプに関する設定値、前記パイプラインに添加すべき抵抗減少剤(DRA)の量、または前記パイプラインを作動させるためにユーティリティ提供業者から購入すべきエネルギーの量のうちの少なくとも1つを含む、請求項29記載のパイプライン。
35. 前記パイプラインは、液体生産物、ガス生産物、または液体とガスの混合物を含む生産物を輸送するよう構成されている、請求項29記載のパイプライン。
36. 前記制御決定は、前記パイプラインの生産物に添加すべき添加剤の量および種類を含む、請求項29記載のパイプライン。
37. パイプラインを最適化する制御装置であって、前記制御装置は、
前記パイプラインのための最適化および作動モードを決定し、
性能変数を将来の計画対象期間にわたって前記パイプラインの1つ以上の制御決定の関数として定量化する目的関数を得、
1つ以上の制約を受ける前記目的関数を最適化して、結果的に前記性能変数の最適値が得られるようにする前記パイプラインのための制御決定を出し、そして
前記パイプラインの機器を前記制御決定に従って作動させるよう構成されている、制御装置。
38. 前記最適化モードは、エミッションまたはエネルギー消費モード、金銭的コストモード、またはスループットモードのうちの少なくとも1つを含み、
前記エミッションまたはエネルギー消費モードでは、前記目的関数の前記性能変数は、エネルギー消費量であり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最小化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記性能変数の最小値が得られるようにする制御決定を出し、
前記金銭的コストモードでは、前記目的関数の前記性能変数は、金銭的コストであり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最小化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記金銭的コストの最小値が得られるようにする制御決定を出し、
前記スループットモードでは、前記目的関数の前記性能変数は、送り出される生産物量であり、前記目的関数を最適化する前記ステップは、前記目的関数を最大化して、結果的に前記将来の計画対象期間にわたって前記送り出される生産物量の最大値が得られるようにする制御決定を出す、のうちの少なくとも1つを含む、請求項37記載の制御装置。
39. 前記目的関数は、前記パイプラインのステーションのモデルを含み、前記パイプラインの前記ステーションは、直列にまたは並列に配置されていて生産物を前記パイプラインに通してポンプ送りするよう構成された複数のポンプを有し、前記ステーションの前記モデルは、前記制御決定の関数として前記ステーションの1つ以上の動作パラメータを予測する、請求項37記載の制御装置。
40. 前記制御決定は、前記将来の計画対象期間の各タイムステップに関するものであり、前記制御決定は、前記パイプラインの1つ以上のポンプに関する設定値、前記パイプラインに添加すべき抵抗減少剤(DRA)の量、または前記パイプラインを作動させるためにユーティリティ提供業者から購入すべきエネルギーの量のうちの少なくとも1つを含む、請求項37記載の制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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