IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-エレベータシステム 図1
  • 特許-エレベータシステム 図2
  • 特許-エレベータシステム 図3
  • 特許-エレベータシステム 図4
  • 特許-エレベータシステム 図5
  • 特許-エレベータシステム 図6
  • 特許-エレベータシステム 図7
  • 特許-エレベータシステム 図8
  • 特許-エレベータシステム 図9
  • 特許-エレベータシステム 図10
  • 特許-エレベータシステム 図11
  • 特許-エレベータシステム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/20 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
B66B1/20 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024041277
(22)【出願日】2024-03-15
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薬師寺 航平
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-099893(JP,A)
【文献】特開2021-138476(JP,A)
【文献】特開2019-167199(JP,A)
【文献】特開2019-108189(JP,A)
【文献】特開2019-011198(JP,A)
【文献】特許第4476546(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の乗りかごと、
前記各乗りかごが運転可能な階床を複数の組に分けて前記各乗りかごを運転させる分割運転を実施する群管理制御装置と、
前記乗りかご毎に設置されるカメラと、
前記カメラにより撮影された画像から乗客および当該乗客の属性を検出する乗客検出手段と、
前記検出された乗客が乗りかごに乗車した階床および当該乗客が当該乗りかごから降車した階床を示す乗降階を検出する乗降階検出手段と、
前記検出された属性と、当該属性に対して予め設定された係数と、前記検出された乗降階とに基づき、当該属性により重み付けされた乗客の人数に相当する重み付け人数を乗降階毎に算出する重み付け人数計算手段と、
前記算出された重み付け人数に基づき、前記分割運転に適した組分けを行う組分け手段と、
を備える、エレベータシステム。
【請求項2】
前記検出された属性と前記検出された乗降階とが対応づけられた乗降情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記重み付け人数計算手段は、
所定の条件下で行う分割運転に適した組分けが前記群管理制御装置から要求された場合に、当該条件に適合する乗降情報を前記記憶手段から抽出し、
前記抽出された乗降情報の各々に含まれる前記属性および前記乗降階に基づいて、各属性の乗客の人数を乗降階毎にカウントし、
前記カウントされた各属性の乗降階毎の乗客の人数に、前記属性毎に設定された係数を掛けることで、前記各属性の重み付け人数を乗降階毎に算出し、
前記算出された各属性の重み付け人数を乗降階毎に合計し、乗降階毎の重み付け人数を算出する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記乗降情報は、前記乗客検出手段によって乗客が検出された日時をさらに含み、
前記所定の条件は、日付、時間帯または曜日のうちの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記組分け手段は、
運転可能な階床を各々含む複数の組からなる複数の組分け候補を生成し、
前記生成された複数の組分け候補のうち、前記各組の重み付け人数の差分が最も小さい組分け候補を、前記分割運転に適した組分けとして決定し、
前記各組の重み付け人数は、前記各組に含まれる階床に対応する乗降階の重み付け人数の合計である、
請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記組分け手段は、
前記抽出された乗降情報の各々に含まれる前記属性および前記乗降階に基づいて、所定の属性の往来が多い乗降階を特定し、
前記特定された所定の属性の往来が多い乗降階を同じ組に含むように前記組分け候補を生成する、
請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記組分け手段は、
前記各組が前記特定された所定の属性の往来が多い乗降階を含むように前記組分け候補を生成する、
請求項5に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記所定の属性は、前記乗りかごを利用しないと階床間を移動することが難しい乗客の種別である、
請求項5または請求項6に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記組分け手段は、
前記各組が基準階に相当する階床を含むように前記組分け候補を生成する、
請求項7に記載のエレベータシステム。
【請求項9】
前記組分け手段は、
前記各組に含まれる階床に対応する乗降階以外の乗降階の重み付け人数を、いずれかの組の重み付け人数に加算する、
請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項10】
前記群管理制御装置は、前記組分けの結果にしたがって、前記分割運転を実施する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの利用者が多く、かつ、利用者の大部分が出発基準階から乗り込む時間帯(例えば、出勤時間帯等)では、各乗りかごが運転可能な階床を少なくとも2つの組(グループ)に分けて運転する「分割運転」が実施される。
【0003】
分割運転では、乗りかご毎に運転可能な階床(停止可能な階床)が制限されるため、各乗りかごが昇降路を1周するのに要する平均時間を短縮することができ、時間当たりに輸送可能な人数を増加させることができる。このような分割運転では、各乗りかごの乗車人数に偏りが少ない組分けが必要である。
【0004】
各乗りかごの乗車人数に偏りが少ない組分けを行う方法の一つに、乗降階毎の乗客の人数を集計し、乗降階毎の乗客の人数の差分が小さくなるように組分けを行う方法がある。しかしながら、この方法では、例えば一般利用者と車椅子利用者等、乗降に要する時間が異なることが予想される乗客であっても同じ1人として集計されてしまうため、実際に分割運転を行った際に、各乗りかごの乗車人数に偏りが出てしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第7284115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、分割運転を実施するための組分けに関し、各乗りかごの乗車人数に偏りが少ない組分けを行うことが可能なエレベータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るエレベータシステムは、複数の乗りかごと、前記各乗りかごが運転可能な階床を複数の組に分けて前記各乗りかごを運転させる分割運転を実施する群管理制御装置と、前記乗りかご毎に設置されるカメラと、前記カメラにより撮影された画像から乗客および当該乗客の属性を検出する乗客検出手段と、前記検出された乗客が乗りかごに乗車した階床および当該乗客が当該乗りかごから降車した階床を示す乗降階を検出する乗降階検出手段と、前記検出された属性と、当該属性に対して予め設定された係数と、前記検出された乗降階とに基づき、当該属性により重み付けされた乗客の人数に相当する重み付け人数を乗降階毎に算出する重み付け人数計算手段と、前記算出された重み付け人数に基づき、前記分割運転に適した組分けを行う組分け手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示すブロック図である。
図2図2は、同実施形態におけるカメラの機能と、情報処理装置の概略構成例とを説明するための図である。
図3図3は、同実施形態における乗降情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4図4は、同実施形態における重み付け人数計算部において実行される処理を説明するための図である。
図5図5は、同実施形態における重み付け人数計算部において実行される処理を説明するための図である。
図6図6は、同実施形態における重み付け人数計算部において実行される処理を説明するための図である。
図7図7は、同実施形態における重み付け人数データの一例を示す図である。
図8図8は、同実施形態における重み付け人数データの一例を示す図である。
図9図9は、同実施形態における組分け部において実行される処理を説明するための図である。
図10図10は、同実施形態における組分け部において実行される処理を説明するための図である。
図11図11は、同実施形態における組分け部において実行される処理を説明するための図である。
図12図12は、同実施形態におけるエレベータシステムにおいて実行される動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0010】
図1は一実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示すブロック図であり、複数台のエレベータが群管理された構成が示されている。なお、ここで言う「エレベータ」とは、基本的には「乗りかご」のことである。図1の例では、A号機およびB号機と称される2台の乗りかごが群管理された構成を示しているが、群管理される乗りかごの台数は2台以上であれば、任意の数であって構わない。なお、本実施形態では、乗りかごが設置された建物が5階建てであるものとして説明する。
【0011】
図中の11a,11bはエレベータ制御装置(かご制御装置とも言う)、12a,12bは乗りかごである。エレベータ制御装置11aは、乗りかご12aの運転制御を行う。具体的には、エレベータ制御装置11aは、乗りかご12aを昇降動作させるための図示せぬモータ(巻上機)の制御やドアの開閉制御等を行う。エレベータ制御装置11bも同様に、乗りかご12bの運転制御を行う。これらエレベータ制御装置11a,11bは、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータによって構成される。
【0012】
乗りかご12a,12bは、モータの駆動により昇降路内を昇降動作する。乗りかご12aの室内には、行先階ボタン、戸開ボタン、戸閉ボタン等を含む各種ボタンを有するかご操作盤13aが設置されている。これらボタンの信号は、A号機のエレベータ制御装置11aを介して群管理制御装置30に伝送される。
【0013】
同様に、乗りかご12bの室内には、行先階ボタン、戸開ボタン、戸閉ボタン等を含む各種ボタンを有するかご操作盤13bが設置されている。これらボタンの信号は、B号機のエレベータ制御装置11bを介して群管理制御装置30に伝送される。
【0014】
詳細については後述するが、乗りかご12aの室内にはカメラ14aが設置され、乗りかご12bの室内にはカメラ14bが設置されている。カメラ14a,14bは、後述する情報処理装置40と通信可能に接続されている。
【0015】
乗場(エレベータホール)には、乗客(利用者)がホール呼びを登録するための登録装置として、ホール呼びボタン21a,21bが設置されている。ホール呼びボタンの数は、乗りかごの台数等を考慮して任意に決められる。本実施形態では、図1の例のように、乗りかごの台数と同数のホール呼びボタン21a,21bが設置されているものとして説明する。なお、実際には、各階の乗場に対して、乗りかごの台数と同数のホール呼びボタン21a,21bが設置されている。
【0016】
ホール呼びボタン21a,21bは、上方向ボタンと下方向ボタンからなり、乗客の行先方向(上方向/下方向)に応じて、上方向ボタンまたは下方向ボタンを押下するように構成されている。なお、最下階では上方向ボタン、最上階では下方向ボタンだけで構成される。
【0017】
「ホール呼び」とは、各階の乗場に設置されたホール呼びボタンの操作により登録される呼びの信号のことであり、登録階(当該ホール呼びが登録された階)と行先方向(上方向または下方向)の情報を含む。また、「かご呼び」とは、かご室内に設けられた行先階ボタンの操作により登録される呼びの信号のことであり、行先階の情報を含む。
【0018】
以下の説明においては、エレベータ制御装置11a,11b、乗りかご12a,12b、かご操作盤13a,13b、カメラ14a,14b、および、ホール呼びボタン21a,21bを特に区別する必要がない場合は、符号の末尾の「a」および「b」を省略する。
【0019】
群管理制御装置30は、複数の乗りかご12の運転を群管理制御するための装置であり、エレベータ制御装置11と同様に、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータによって構成される。群管理制御装置30は、ホール呼びが登録された際に、複数の乗りかご12の中から最適な乗りかごを選出して当該乗場呼びの登録階に応答させる割当制御を行う。また、群管理制御装置30は、特定の条件下で、各乗りかご12が運転可能な階床を少なくとも2つの組(グループ)に分けて運転する分割運転を実施する。分割運転では、乗りかご毎に運転可能な階床(停止可能な階床)が制限されるため、各乗りかご12が昇降路を1周するのに要する平均時間を短縮することができ、時間当たりに輸送可能な人数を増加させることができる。このような分割運転では、各乗りかご12の乗車人数に偏りが少ない組分けが必要である。
【0020】
群管理制御装置30は、日付、時間帯または曜日等のうちの少なくとも1つを条件として指定し、指定した条件下で分割運転を実施する際の好適な組分けを要求する組分け要求を情報処理装置40に送信する。詳細については後述するが、情報処理装置40は、群管理制御装置30からの組分け要求を受信すると、当該組分け要求に含まれる条件下で分割運転を実施するのに適した組分け(つまり、各乗りかご12の乗車人数に偏りが少ない組分け)を行う。群管理制御装置30は、情報処理装置40により決定された組分けの結果にしたがって、分割運転を実施する。
【0021】
次に、図2を参照して、乗りかご12に設置されるカメラ14と、情報処理装置40とについて詳しく説明する。
【0022】
図2に示すように、乗りかご12の出入口上部にはカメラ14が設置されている。具体的には、カメラ14は、乗りかご12の出入口上部を覆う幕板の中にレンズ部分を直下方向に向けて設置されている。カメラ14は、例えば魚眼レンズ等の超広角レンズを有し、180度以上の視野角で乗りかご12内および乗場17を含む撮影対象を広範囲に撮影する。カメラ14は、1秒間に数コマ(例えば、30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。
【0023】
なお、カメラ14の設置場所は、かごドア15付近であれば、乗りかご12の出入口上部でなくてもよい。例えば、乗りかご12の出入口に近い天井面等、乗りかご12内の床面全域を含むかご室内全体と、戸開時に出入口付近の乗場17とを撮影可能な場所であればよい。
【0024】
各階の乗場17において、乗りかご12の到着口には乗場ドア16が開閉自在に設置されている。乗場ドア16は、乗りかご12の到着時にかごドア15に係合して開閉動作する。なお、動力源(ドアモータ)は乗りかご12側にあり、乗場ドア16はかごドア15に追従して開閉するだけである。
【0025】
カメラ14によって連続的に撮影された各画像(映像)は、情報処理装置40に送信され、情報処理装置40によってリアルタイムに解析処理される。
【0026】
図2に示すように、情報処理装置40は、乗客検出部41と、乗降階検出部42と、記憶部43と、重み付け人数計算部44と、組分け部45と、を備えている。
【0027】
乗客検出部41は、カメラ14の撮影画像を用いて、乗りかご12内や乗場17にいる乗客を検出すると共に、当該乗客の属性を検出する。乗客の属性とは、乗りかご12の乗降時間に影響する要素の1つである乗客の種別を示すものであり、例えば、一般利用者、高齢者、子供、車椅子利用者、ベビーカー利用者、グループ客、杖を突いている人、等が一例として挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0028】
乗降階検出部42は、乗客検出部41によって検出された乗客の動きを追うことで、当該乗客が乗りかご12に乗車したことを検出すると共に、当該乗客が乗りかご12に乗車した階床(以下、乗車階と表記する)を検出する。
【0029】
また、乗降階検出部42は、乗客検出部41によって検出された乗客の動きを追うことで(より詳しくは、乗りかご12に乗車したことを検出した所定の乗客の動きを追うことで)、当該乗客が乗りかご12から降車したことを検出すると共に、当該乗客が乗りかご12から降車した階床(以下、降車階と表記する)を検出する。
【0030】
上述の所定の乗客に関し、乗客検出部41によって検出された属性と、乗降階検出部42によって検出された乗車階および降車階と(乗降階)は、当該所定の乗客が乗客検出部41によって検出された日時と対応づけられて、記憶部43に記憶される。
【0031】
記憶部43は、乗客検出部41によって検出された乗客に関する乗降情報を記憶している。ここで、図3を参照して、記憶部43に記憶される乗降情報のデータ構造について説明する。
【0032】
図3に示すように、乗降情報は、日時と、属性と、乗車階と、降車階とが対応づけられた情報である。
【0033】
例えば図3に示す乗降情報i1によれば、「2023/9/28 15:01」に乗客検出部41によって検出された乗客が「一般利用者」であり、当該乗客が「1階」から乗りかご12に乗車し、当該乗客が「5階」で乗りかご12から降車したことが示される。
【0034】
また、図3に示す乗降情報i2によれば、「2023/9/29 15:01」に乗客検出部41によって検出された乗客が「高齢者」であり、当該乗客が「5階」から乗りかご12に乗車し、当該乗客が「4階」で乗りかご12から降車したことが示される。
【0035】
さらに、図3に示す乗降情報i3によれば、「2023/9/30 15:01」に乗客検出部41によって検出された乗客が「車椅子利用者」であり、当該乗客が「2階」から乗りかご12に乗車し、当該乗客が「1階」で乗りかご12から降車したことが示される。
【0036】
ここでは、乗降情報i1~i3について具体的に説明したが、乗降情報i4,i5についても同様である。なお、乗降情報には、乗客検出部41によって乗客が検出された日時の天候がさらに対応づけられていてもよい。これによれば、組分け要求に含まれる条件として、天候が群管理制御装置30により指定される場合にも対応することができる。
【0037】
再度図2の説明に戻る。
重み付け人数計算部44は、記憶部43に記憶された乗降情報のうち、群管理制御装置30から受信した組分け要求に含まれる条件に適合する乗降情報を記憶部43から抽出する(読み出す)。
【0038】
重み付け人数計算部44は、抽出された乗降情報に含まれる属性と乗降階とに基づき、各属性の乗客の人数を乗降階毎にカウントする。
【0039】
重み付け人数計算部44は、属性毎に予め設定された係数に基づき、属性により重み付けされた乗客の人数(以下、重み付け人数と表記する)を乗降階毎に算出する。より詳しくは、重み付け人数計算部44は、カウントされた各属性の乗降階毎の乗客の人数に、属性毎に予め設定された係数を掛けることで、各属性の重み付け人数を乗降階毎に算出する。各属性の重み付け人数が乗降階毎に合計されることで、乗降階毎の重み付け人数を示す重み付け人数データが生成される。
【0040】
ここで、図4図7を参照して、重み付け人数計算部44において実行される処理について、より具体的に説明する。なお、ここでは、図3に示した乗降情報i1~i5が記憶部43に記憶され、かつ、時間帯「15:00-16:00」を条件として含む組分け要求が群管理制御装置30から受信された場合を想定する。
【0041】
この場合、重み付け人数計算部44は、群管理制御装置30から受信した組分け要求に含まれる条件に適合する乗降情報として、日時によって示される時間が「15:00-16:00」内の時間を示す乗降情報i1~i4を記憶部43から抽出する。
【0042】
重み付け人数計算部44は、抽出された乗降情報i1~i4に各々含まれる属性と乗降階とに基づき、各属性の乗客の人数を乗降階毎にカウントする。
【0043】
具体的には、「一般利用者」の属性を有する乗客の乗降階毎の人数は、図4(a)に示すように、乗降情報i1によって示される1階から乗車し5階で降車した乗客が「1人」と、乗降情報i4によって示される4階から乗車し2階で降車した乗客が「1人」とカウントされる。
【0044】
また、「高齢者」の属性を有する乗客の乗降階毎の人数は、図4(b)に示すように、乗降情報i2によって示される5階から乗車し4階で降車した乗客が「1人」とカウントされる。
【0045】
さらに、「車椅子利用者」の属性を有する乗客の乗降階毎の人数は、図4(c)に示すように、乗降情報i3によって示される2階から乗車し1階で降車した乗客が「1人」とカウントされる。
【0046】
重み付け人数計算部44は、各属性の重み付け人数を乗降階毎に算出する。具体的には、重み付け人数計算部44は、「一般利用者」の属性を有する乗客の重み付け人数と、「高齢者」の属性を有する乗客の重み付け人数と、「車椅子利用者」の属性を有する乗客の重み付け人数と、を乗降階毎に算出する。
【0047】
ここでは、図5に示すように、「一般利用者」の属性に対して設定された係数が「1」であり、「高齢者」の属性に対して設定された係数が「1.5」であり、「車椅子利用者」の属性に対して設定された係数が「2」である場合を想定するが、各属性に対して設定される係数の値はこれに限定されるものでない。
【0048】
重み付け人数計算部44は、「一般利用者」の属性を有する乗客の乗降階毎の人数に対して係数「1」を掛けることで、「一般利用者」の属性により重み付けされた乗降階毎の重み付け人数を算出する(図6(a)参照)。
【0049】
また、重み付け人数計算部44は、「高齢者」の属性を有する乗客の乗降階毎の人数に対して係数「1.5」を掛けることで、「高齢者」の属性により重み付けされた乗降階毎の重み付け人数を算出する(図6(b)参照)。
【0050】
さらに、重み付け人数計算部44は、「車椅子利用者」の属性を有する乗客の乗降階毎の人数に対して係数「2」を掛けることで、「車椅子利用者」の属性により重み付けされた乗降階毎の重み付け人数を算出する(図6(c)参照)。
【0051】
重み付け人数計算部44は、算出された各属性の重み付け人数を乗降階毎に合計することで、属性により重み付けされた乗降階毎の重み付け人数を算出する。これによれば、図7に示す重み付け人数データが生成される。
【0052】
図7に示す重み付け人数データによれば、「15:00-16:00」の間に、1階から乗車し5階で降車した乗客が「1人」であり、5階から乗車し4階で降車した乗客が「1.5人」であり、2階から乗車し1階で降車した乗客が「2人」であり、4階から乗車し2階で降車した乗客が「1人」であることが示される。
【0053】
ここでは説明の容易化を図るために、記憶部43に記憶された乗降情報が乗降情報i1~i5のみであり、かつ、組分け要求に含まれる条件に適合する乗降情報が乗降情報i1~i4のみである場合を想定したが、実際には、記憶部43にはより多くの乗降情報が記憶され、重み付け人数計算部44は、算出された各属性の重み付け人数を乗降階毎に合計することで、図8のような重み付け人数データを生成する。なお、乗降階毎の重み付け人数が、図7の「1.5人」のように小数を含む値となる場合、当該重み付け人数は、例えば四捨五入、切り上げ、切り捨て等の方法によって整数の値に変換されてもよい。
【0054】
また、重み付け人数計算部44は、乗客検出部41によって検出された乗客が複数の属性を含む場合(例えば、「高齢者」と「車椅子利用者」の属性を有する乗客が乗客検出部41によって検出されている場合)、属性毎に予め設定された係数を参照し、当該乗客を、より係数が大きい属性の乗客であるとみなして、各種処理を実行してもよい。
【0055】
なお、ここでは、1つの属性に対して1つの係数が設定されている場合を想定したが、これに限定されず、複数の属性に対して1つの係数が設定されていてもよい。例えば、「高齢者」の属性に対して設定される係数や、「車椅子利用者」の属性に対して設定される係数とは別に、「高齢者、車椅子利用者」の属性に対して1つの係数が設定されていてもよい。これによれば、重み付け人数計算部44は、乗客検出部41によって検出された乗客が複数の属性を含む場合であっても、当該乗客が1つの属性を含む場合と同様に各種処理を実行することが可能である。
【0056】
また、ここでは、重み付け人数計算部44が、抽出された乗降情報に含まれる属性と乗降階とに基づき、各属性の乗客の人数を乗降階毎にカウントするとしたが、これに限定されず、重み付け人数計算部44は、抽出された乗降情報の各々について、乗降情報に含まれる属性により重み付けされた乗客の人数を算出し、算出された重み付け人数を乗降階毎に合計することで、上述の重み付け人数データを生成してもよい。これによれば、各属性の乗客の人数を乗降階毎にカウントする処理を省略することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、重み付け人数計算部44が、抽出された乗降情報に含まれる属性と乗降階とに基づき、各属性の乗客の人数を乗降階毎にカウントするとしたが、各属性の乗客の人数を乗降階毎にカウントする処理は、群管理制御装置30からの組分け要求を受信するより前に実行されていてもよい。群管理制御装置30からの組分け要求を受信するより前に上述のカウント処理を実行する場合、当該カウント処理は例えば組分け要求に含まれる条件として指定可能な時間間隔の最小単位を10分とした場合には、10分毎に実行される。これによれば、各属性の乗客の乗降階毎の人数を示すデータ(例えば、図4(a)~(c)に相当するデータ)を、記憶部43に常時保存しておくことができる。この場合、重み付け人数計算部44は、群管理制御装置30から受信した組分け要求に含まれる条件に適合する乗降情報を記憶部43から抽出するのではなく、当該条件に適合した各属性の乗客の乗降階毎の人数を示すデータを記憶部43から抽出することで、各属性の重み付け人数を算出する処理を実行することができる。
【0058】
再度図2の説明に戻る。
組分け部45は、重み付け人数計算部44により生成された重み付け人数データに基づき、群管理制御装置30から受信した組分け要求に含まれる条件に適した組分けを行う。
【0059】
具体的には、まず、組分け部45は、運転可能な階床を各々含む複数の組(例えば、乗りかごの台数と同数の組)からなる複数の組分け候補を生成する。なお、複数の組分け候補に各々含まれる複数の組は、それぞれ基準階に相当する階床を含むものとする。また、以下では、組分け部45が、各組が基準階に相当する階床を含み、かつ、各組が同数の階床を含むようにした上で、全ての階床の組み合わせを網羅するように組分け候補を生成する場合について説明するが、これに限定されず、組分け部45は、各組が同数の階床を含まない組分け候補を生成しても構わない。例えば、基準階に相当する1階と、ある1つの階床である5階とに乗りかご12が停車する回数が、他の階床に比べて顕著に多いことが過去データから推測されるような場合、組分け部45は、「1階、5階」および「1階、2階、3階、4階」という2つの組を含む組分け候補(つまり、各組が同数の階床を含まない組分け候補)を生成してもよい。
【0060】
また、組分け部45は、上述した属性を考慮して、複数の組分け候補を生成してもよい。具体的には、組分け部45は、抽出された乗降情報に含まれる属性および乗降階に基づいて、例えば「車椅子利用者」や「ベビーカー利用者」等、エレベータを利用しないと階床間を移動することが難しい特定の属性の往来が多い乗降階を特定し、特定されたこれら乗降階を同じ組に含むようにした上で、組分け候補を生成してもよい。これによれば、上述したような、特定の属性の乗客から不満が出てしまうこと(例えば、エレベータを利用しないと階床間を移動することが難しいにも関わらず、その階床に停止する乗りかごが無くて困る、等の不満が出てしまうこと)を防ぐことができる。
【0061】
さらに、組分け部45は、エレベータを利用しないと階床間を移動することが難しい特定の属性の往来が多い乗降階を特定した場合、特定されたこれら乗降階を、上述の基準階のように全ての組に含むようにした上で、組分け候補を生成してもよい。これによれば、上述したような、特定の属性の乗客から不満が出てしまうことをさらに防ぐことができる。
【0062】
本実施形態では、乗りかご12の台数が2台であり、これら乗りかご12が設置されている建物が5階建てであり、基準階が1階である場合を想定する。このため、組分け部45は、「1階、2階、3階」および「1階、4階、5階」という2つの組を含む第1組分け候補と、「1階、2階、4階」および「1階、3階、5階」という2つの組を含む第2組分け候補と、「1階、3階、4階」および「1階、2階、5階」という2つの組を含む第3組分け候補と、を生成する。
【0063】
組分け部45は、生成された複数の組分け候補のうち、組分け候補に含まれる各組の重み付け人数の差分が最も小さい組分け候補を、分割運転に適した組分けとして決定する。
【0064】
ここで、図9図11を参照して、組分け部45において実行される処理について、より具体的に説明する。なお、ここでは、上述の第1組分け候補、第2組分け候補および第3組分け候補が組分け候補として生成され、かつ、重み付け人数計算部44により図8に示した重み付け人数データが生成されている場合を想定する。
【0065】
組分け部45は、第1組分け候補に含まれる2つの組の重み付け人数の差分を算出するために、第1組分け候補に含まれる2つの組の重み付け人数をそれぞれ算出する。
具体的には、「1階、2階、3階」の組の重み付け人数(つまり、運転可能な階床が「1階、2階、3階」の乗りかご12に乗車する乗客の重み付け人数)は、図9(a)において斜線が付された重み付け人数の合計に相当し、「320人」と算出される。なお、運転可能な階床が「1階、2階、3階」の乗りかご12に乗車する乗客とは、「1階、2階、3階」のうちのいずれかの階床から当該乗りかご12に乗車し、「1階、2階、3階」のうちのいずれかの階床で当該乗りかご12から降車する乗客である。
【0066】
また、「1階、4階、5階」の組の重み付け人数(つまり、運転可能な階床が「1階、4階、5階」の乗りかご12に乗車する乗客の重み付け人数)は、図9(a)においてドットが付された重み付け人数の合計に相当し、「682人」と算出される。なお、運転可能な階床が「1階、4階、5階」の乗りかご12に乗車する乗客とは、「1階、4階、5階」のうちのいずれかの階床から当該乗りかご12に乗車し、「1階、4階、5階」のうちのいずれかの階床で当該乗りかご12から降車する乗客である。
【0067】
これによれば、組分け部45は、図9(b)に示すように、第1組分け候補に含まれる2つの組(第1組、第2組)の重み付け人数の差分として、「362人(=|320-682|)」を算出する。
【0068】
同様に、組分け部45は、第2組分け候補に含まれる2つの組の重み付け人数の差分を算出するために、第2組分け候補に含まれる2つの組の重み付け人数をそれぞれ算出する。
具体的には、「1階、2階、4階」の組の重み付け人数(つまり、運転可能な階床が「1階、2階、4階」の乗りかご12に乗車する乗客の重み付け人数)は、図10(a)において斜線が付された重み付け人数の合計に相当し、「415人」と算出される。なお、運転可能な階床が「1階、2階、4階」の乗りかご12に乗車する乗客とは、「1階、2階、4階」のうちのいずれかの階床から当該乗りかご12に乗車し、「1階、2階、4階」のうちのいずれかの階床で当該乗りかご12から降車する乗客である。
【0069】
また、「1階、3階、5階」の組の重み付け人数(つまり、運転可能な階床が「1階、3階、5階」の乗りかご12に乗車する乗客の重み付け人数)は、図10(a)においてドットが付された重み付け人数の合計に相当し、「636人」と算出される。なお、運転可能な階床が「1階、3階、5階」の乗りかご12に乗車する乗客とは、「1階、3階、5階」のうちのいずれかの階床から当該乗りかご12に乗車し、「1階、3階、5階」のうちのいずれかの階床で当該乗りかご12から降車する乗客である。
【0070】
これによれば、組分け部45は、図10(b)に示すように、第2組分け候補に含まれる2つの組(第1組、第2組)の重み付け人数の差分として、「221人(=|415-636|)」を算出する。
【0071】
さらに、組分け部45は、第3組分け候補に含まれる2つの組の重み付け人数の差分を算出するために、第3組分け候補に含まれる2つの組の重み付け人数をそれぞれ算出する。
具体的には、「1階、2階、5階」の組の重み付け人数(つまり、運転可能な階床が「1階、2階、5階」の乗りかご12に乗車する乗客の重み付け人数)は、図11(a)において斜線が付された重み付け人数の合計に相当し、「545人」と算出される。なお、運転可能な階床が「1階、2階、5階」の乗りかご12に乗車する乗客とは、「1階、2階、5階」のうちのいずれかの階床から当該乗りかご12に乗車し、「1階、2階、5階」のうちのいずれかの階床で当該乗りかご12から降車する乗客である。
【0072】
また、「1階、3階、4階」の組の重み付け人数(つまり、運転可能な階床が「1階、3階、4階」の乗りかご12に乗車する乗客の重み付け人数)は、図11(a)においてドットが付された重み付け人数の合計に相当し、「500人」と算出される。なお、運転可能な階床が「1階、3階、4階」の乗りかご12に乗車する乗客とは、「1階、3階、4階」のうちのいずれかの階床から当該乗りかご12に乗車し、「1階、3階、4階」のうちのいずれかの階床で当該乗りかご12から降車する乗客である。
【0073】
これによれば、組分け部45は、図11(b)に示すように、第3組分け候補に含まれる2つの組(第1組、第2組)の重み付け人数の差分として、「45人(=|545-500|)」を算出する。
【0074】
組分け部45は、生成された複数の組分け候補のうち、組分け候補に含まれる各組の重み付け人数の差分が最も小さい組分け候補を、分割運転に適した組分けとして決定するため、ここでは、上述の第3組分け候補が分割運転に適した組分けとして決定される。決定された組分けを示す組分け情報は、情報処理装置40から群管理制御装置30に送信される。
【0075】
なお、ここでは、組分け部45は、組分け候補に含まれる2つの組のどちらにも該当しない重み付け人数(つまり、図9(a)、図10(a)および図11(a)においてハッチングが付されていない乗降階の重み付け人数)を、どちらか一方の組の重み付け人数に加算してもよい。
【0076】
例えば、上述の第3組分け候補に含まれる2つの組の重み付け人数を算出する場合において、2階から乗車し4階で降車する乗客は、運転可能な階床が「1階、2階、5階」の乗りかご12に乗車したとしても、運転可能な階床が「1階、3階、4階」の乗りかご12に乗車したとしても、2階から4階に直接移動することはできないため、当該乗客は、まず、出発階(2階)から目的階の最寄り階(5階)までエレベータで移動し、当該最寄り階から目的階(4階)まで階段やエスカレータを利用して移動することが予想される。つまり、2階から乗車し4階で降車する乗客は、運転可能な階床が「1階、2階、5階」の乗りかご12に乗車することが予想されるため、組分け部45は、2階から乗車し4階で降車する乗客の重み付け人数を、「1階、2階、5階」の組の重み付け人数に加算するとしてもよい。このように、組分け候補に含まれる2つの組のどちらにも該当しない重み付け人数を、どちらか一方の組の重み付け人数に加算する(振り分ける)ことで、実際の状況をより考慮した組分けを行うことが可能である。
【0077】
但し、組分け候補に含まれる2つの組のどちらにも該当しない重み付け人数であって、隣接する階床間を移動する乗客の重み付け人数は、どちらの組にも振り分けられなくてもよい。例えば、上述の第3組分け候補に含まれる2つの組の重み付け人数を算出する場合における2階から乗車し3階で降車する乗客等、隣接する階床間を移動する乗客は、出発階から目的階まで直接移動できるエレベータがないのであれば、エレベータを利用せずに、階段やエスカレータを利用して移動することが予想されるためである。これによれば、実際の状況をさらに考慮した組分けを行うことが可能である。
【0078】
次に、図12のフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータシステムにおいて実行される動作の一例について説明する。
【0079】
カメラ14により撮影された映像は、情報処理装置40によって常時収集される(ステップS1)。情報処理装置40の乗客検出部41は、カメラ14から収集された映像を用いて、乗りかご12内や乗場17にいる乗客および当該乗客の属性を検出する(ステップS2)。
【0080】
情報処理装置40の乗降階検出部42は、ステップS2の処理において検出された乗客の動きを追うことで、当該乗客の乗車階および降車階(乗降階)を検出する(ステップS3)。その後、乗降階検出部42は、ステップS2の処理において乗客が検出された日時および属性と、ステップS3の処理において検出された乗車階および降車階とが対応づけられた乗降情報を、記憶部43に記憶する(ステップS4)。
【0081】
上述のステップS1~S4の処理は、常時実行される。一方、以下に示す処理は、情報処理装置40が群管理制御装置30からの組分け要求を受信した場合に実行される。
【0082】
群管理制御装置30からの組分け要求を受信すると(ステップS5)、情報処理装置40の重み付け人数計算部44は、受信された組分け要求に含まれる条件に適合する乗降情報を記憶部43から抽出する(ステップS6)。
【0083】
続いて、重み付け人数計算部44は、ステップS6の処理において抽出された乗降情報に含まれる属性および乗降階に基づき各属性の乗客の人数を乗降階毎にカウントし、カウントされた各属性の乗降階毎の乗客の人数と、属性毎に予め設定された係数とに基づき、各属性の重み付け人数を乗降階毎に算出する(ステップS7)。その後、重み付け人数計算部44は、ステップS7の処理において算出された各属性の重み付け人数を乗降階毎に合計することで、乗降階毎の重み付け人数を算出する(ステップS8)。これによれば、乗降階毎の重み付け人数を示す重み付け人数データが生成される。
【0084】
次に、情報処理装置40の組分け部45は、運転可能な階床を各々含む複数の組からなる複数の組分け候補を生成する(ステップS9)。その後、組分け部45は、ステップS9の処理において生成された組分け候補の各々について、各組の重み付け人数を算出し、各組の重み付け人数の差分を算出する(ステップS10)。そして、組分け部45は、ステップS10の処理において算出された差分のうち、最も小さい差分が算出された組分け候補を、分割運転に適した組分けとして決定する(ステップS11)。決定された組分けを示す組分け情報は、情報処理装置40から群管理制御装置30に送信される。
【0085】
しかる後、群管理制御装置30は、情報処理装置40から受信した組分け情報によって示される組分けにしたがって、分割運転を実施し(ステップS12)、ここでの一連の動作を終了させる。
【0086】
以上説明した一実施形態に係るエレベータシステムにおいては、乗降階毎の乗客の人数を単に数えて分割運転の組分けを行うのではなく、乗客の属性により重み付けされた乗降階毎の乗客の人数(重み付け人数)を算出して、分割運転の組分けを行うため、実際の状況をより考慮した分割運転の組分けを行うことが可能である。
【0087】
例えば、乗降階毎の乗客の人数を単に数える場合、一般利用者と車椅子利用者等、乗降に要する時間が異なることが予想される乗客であっても同じ1人として数えられるが、本実施形態に係るエレベータシステムにおいては、一般利用者と車椅子利用者とを異なる人数として数えるため(例えば、一般利用者に対して設定された係数が「1」であり、車椅子利用者に対して設定された係数が「2」の場合、1人の一般利用者を乗客1人と数え、1人の車椅子利用者を乗客2人と数えられるため)、実際の状況をより考慮した分割運転の組分けを行うことが可能である。つまり、本実施形態に係るエレベータシステムによれば、乗降階毎の乗客の人数を単に数えて分割運転の組分けを行った場合に比べて、各乗りかご12の乗車人数に偏りが少ない組分けを行うことが可能であり、各乗りかご12の待ち時間の偏りを少なくすることができる。
【0088】
以上説明した一実施形態によれば、分割運転を実施するための組分けに関し、各乗りかごの乗車人数に偏りが少ない組分けを行うことが可能なエレベータシステムを提供することができる。
【0089】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
12a,12b…乗りかご、14a,14b…カメラ、30…群管理制御装置、40…情報処理装置、41…乗客検出部、42…乗降階検出部、43…記憶部、44…重み付け人数計算部、45…組分け部。
【要約】
【課題】分割運転を実施するための組分けに関し、各乗りかごの乗車人数に偏りが少ない組分けを行うことが可能なエレベータシステムを提供すること。
【解決手段】一実施形態に係るエレベータシステムは、各乗りかごが運転可能な階床を複数の組に分けて各乗りかごを運転させる分割運転を実施する群管理制御装置と、乗りかご毎に設置されるカメラと、撮影画像から乗客および当該乗客の属性を検出する乗客検出手段と、検出された乗客が乗りかごに乗車した階床および乗客が乗りかごから降車した階床を示す乗降階を検出する乗降階検出手段と、検出された属性と、当該属性に対して予め設定された係数と、検出された乗降階とに基づき、当該属性により重み付けされた乗客の人数に相当する重み付け人数を乗降階毎に算出する重み付け人数計算手段と、算出された重み付け人数に基づき、分割運転に適した組分けを行う組分け手段と、を備える。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12