(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】アンテナ用架台
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
H01Q1/12 E
H01Q1/12 C
(21)【出願番号】P 2024090039
(22)【出願日】2024-06-03
【審査請求日】2024-06-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524210356
【氏名又は名称】田中 英行
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 英行
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-026619(JP,A)
【文献】特開2003-179416(JP,A)
【文献】特開2002-374109(JP,A)
【文献】特開2003-069322(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0006926(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びる2本の垂直支柱部材と、前記垂直支柱部材から水平方向に延びる水平支柱部材と、前記水平支柱部材に対して垂直方向に延びて前記水平支柱部材同士を互いに連結する連結部材と、アンテナを支持するL字型のアンテナ固定部と、前記連結部材上に載置されて前記アンテナ
固定部と連結するアンテナ固定部用支持部材と、を有しており、前記水平支柱部材の他端にはパラペットの外壁面側を固定するためのブラケットを備えた外壁面固定部が、前記水平支柱部材の中央にはパラペットの内方張り出し部側を固定するためのブラケットを備えた内壁面固定部がそれぞれ設けられており、
前記外壁面固定部のブラケットは、鉛直下方に向いて前記パラペットの上面に当接する当接面を含む第1固定部と、前記第1固定部の当接面に直交して前記パラペットの外壁面に当接する当接面を含む第2固定部と、を有しており、
前記内壁面固定部のブラケットは、鉛直上方に向いて前記パラペットの内方張り出し部の下面に当接する当接面を含む第3固定部と、前記第3固定部の当接面に直交して前記パラペットの内方張り出し部の内壁面に当接する第4固定部と、を有しており、
前記アンテナ固定部は、前記水平支柱部材に沿って平行に延びる第1アンテナ固定部と、前記第1アンテナ固定部に対して垂直方向に形成される第2アンテナ固定部と、を有していることを特徴とするアンテナ用架台。
【請求項2】
前記アンテナ固定部用支持部材の断面は凹部形状であり、前記第1アンテナ固定部が前記アンテナ固定部用支持部材の凹部内に収容されていて、前記第1アンテナ固定部と前記アンテナ固定部用支持部材はヒンジ部を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ用架台。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、前記アンテナ固定部用支持部材の両側面と前記第1アンテナ固定部を貫通する通しボルトと、前記通しボルトの両端を固定する2個のナットと、から形成されていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ用架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主にビルの屋上などに設置されるアンテナ用の架台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年になって無線通信の普及に伴い、ビルなどの建物の屋上にアンテナを設置する需要が増加している。特に、携帯電話基地局、テレビ放送用アンテナ、インターネット接続用アンテナなど、多種多様な用途でアンテナが設置されている。
【0003】
通常、これらのアンテナは屋上の平面部分に直接取り付けられることが多い。しかし、都市部の高層ビルや既存の建築物では、屋上のスペースが限られている場合が多く、効率的なアンテナ設置が求められる。このため、特許文献1および2に開示されていようにパラペットと呼ばれる屋上の周囲に設けられた手すり状の構造物にアンテナを設置することが増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-179416号公報
【文献】特開2022-026619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されているアンテナ用架台は、屋外に設置されていることから風雨や紫外線に長期間暴露されている。そのため、アンテナを支持している部品などに錆が発生し、破損している場合には、保守や点検のためにアンテナを回収することが困難になる。また、パラペットについても同様であり、長期間において屋外に暴露されていることで風雨や紫外線による壁面の劣化が原因で、アンテナ用架台が不安定になるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、前述した問題点に鑑みて、ビルなどの建物の外壁(壁面)の経年劣化に関わらず架台の安定性を維持できるアンテナ用架台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアンテナ用架台は、鉛直方向に延びる2本の垂直支柱部材と、前記垂直支柱部材から水平方向に延びる水平支柱部材と、前記水平支柱部材に対して垂直方向に延びて前記水平支柱部材同士を互いに連結する連結部材と、アンテナを支持するL字型のアンテナ固定部と、前記連結部材上に載置されて前記アンテナ固定部と連結するアンテナ固定部用支持部材と、を有しており、前記水平支柱部材の他端にはパラペットの外壁面側を固定するためのブラケットを備えた外壁面固定部が、前記水平支柱部材の中央にはパラペットの内方張り出し部側を固定するためのブラケットを備えた内壁面固定部がそれぞれ設けられており、前記外壁面固定部のブラケットは、鉛直下方に向いて前記パラペットの上面に当接する当接面を含む第1固定部と、前記第1固定部の当接面に直交して前記パラペットの外壁面に当接する当接面を含む第2固定部と、を有しており、前記内壁面固定部のブラケットは、鉛直上方に向いて前記パラペットの内方張り出し部の下面に当接する当接面を含む第3固定部と、前記第3固定部の当接面に直交して前記パラペットの内方張り出し部の内壁面に当接する第4固定部と、を有しており、前記アンテナ固定部は、前記水平支柱部材に沿って平行に延びる第1アンテナ固定部と、前記第1アンテナ固定部に対して垂直方向に形成される第2アンテナ固定部と、を有していることを特徴とします。
【0008】
また、アンテナ固定部用支持部材の断面形状を凹部形状として、第1アンテナ固定部をアンテナ固定部用支持部材の凹部内に収容して、第1アンテナ固定部とアンテナ固定部用支持部材をヒンジ部を介して互いに連結することもできる。
【0009】
さらに、ヒンジ部には、アンテナ固定部用支持部材の両側面と第1アンテナ固定部を貫通する通しボルト、通しボルトの両端を固定する2個のナットから形成しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナ用架台は、パラペットの外壁面を固定するブラケットを備えた外壁面固定部およびパラペットの内方張り出し部を固定するブラケットを備えた内壁面固定部が設けられている。そのため、本発明のアンテナ用架台は、パラペットに対して、パラペットの外壁面側で2面(パラペットの外壁面とパラペットの上面)を拘束し、同時にパラペットの内壁面側でも2面(パラペットの内壁面とパラペットの内壁面側の張り出し部の下面)を拘束しているので、紫外線や風雨に晒されるビルの外壁などの壁面が経年劣化してもアンテナ用架台の安定性を維持できるという効果を奏する。
【0011】
加えて、本発明のアンテナ用架台は、L字型のアンテナ固定部がアンテナ固定部用支持材とヒンジ部を介して互いに連結されており、当該ヒンジ部を中心にアンテナ固定部が回動できる。そのため、アンテナの保守、点検時においては、作業者がヒンジ部を回転中心としてアンテナ固定部を起き上がらせる動作のみでアンテナを簡便に回収できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明のアンテナ用架台1の右側面図である。
【
図4】本発明のアンテナ用架台1をパラペットPに設置した時の斜視図である。
【
図5】アンテナ固定部50を90度回転した場合の斜視図である。
【
図6】アンテナ固定部50を180度回転した場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。本発明の一実施形態であるアンテナ用架台1の正面図を
図1、アンテナ用架台1の右側面を
図2、アンテナ用架台1の平面図を
図3、アンテナ用架台1をパラペットPに設置した時のパラペットP近傍の斜視図(模式図)を
図4にそれぞれ示す。
【0014】
本発明のアンテナ用架台1は、
図1ないし
図3に示すように大きく分けて、2本の垂直支柱部材11,12、2本の水平支柱部材21,22、3本の連結部材31,32,33、アンテナ固定部50、同アンテナ固定部50を支持するアンテナ固定部用支持部材60から形成されている。以下、アンテナ用架台1を形成する各部について個別に説明する。
【0015】
〈垂直支柱部材11、12〉
垂直支柱部材11、12は、
図1に示すように鉛直方向に延びる2本の部材である。これらの垂直支柱部材11、12は、アンテナ用架台1全体を起立させることで安定性を確保するために設けられている。材質は、強度と耐久性を持つ金属材料、例えばステンレス鋼等の鋼材やアルミニウム合金などを使用することができる。ステンレス鋼は、耐食性に優れており、屋外での使用に適しているため、特に風雨にさらされるアンテナ架台には適した材質である。一方、アルミニウム合金は軽量でありながら強度が高く、取り扱いや設置が容易であるため、同様に有効である。これらの垂直支柱部材11、12は、ビルの屋上に設置する際に床面にしっかりと固定され、後述する水平支柱部材と連結部材を支持する役割を果たす。
【0016】
なお、本発明のアンテナ用架台1を設置する床面付近に、
図1に示す様に2本の垂直支柱部材11、12をビーム材80で互いに連結することで、床面付近の安定性を維持することができる。また、アンテナ用架台1を床面へ固定する際には、アンカーボルトやケミカルアンカー(登録商標)を使用して行うことで床面との強固な接地性能を確保することもできる。2本の各垂直支柱部材11,12の配置(相互の間隔)は、設計上の荷重分布や建物の構造に応じて適切に選定することができる。
【0017】
〈水平支柱部材21,22〉
水平支柱部材21,22は、
図2ないし
図4に示す様に前述した垂直支柱部材11,12から水平方向(ビルの内壁側から外壁側の方向)に延びる部材である。また、水平支柱部材21,22と垂直支柱部材11,12とは、溶接やねじ止めなどの手段で連結されて、垂直支柱部材11,12と同様にアンテナ用架台1全体の安定性を確保する。材質としては、垂直支柱部材11,12と同様に、ステンレス鋼等の鋼材やアルミニウム合金などを使用できる。
【0018】
水平支柱部材21,22が垂直支柱部材11,12と連結されることにより、構造全体として一貫した強度と耐久性を維持できる。水平支柱部材21,22は、アンテナの設置位置を適切に調整するための基準となる部分であり、長さや断面形状は設計上の要求に応じて選定される。例えば、長さが長くなる場合には、中間部に補強リブを追加することで、たわみや変形を防止できる。また、これらの部材は、アンテナの設置後も安定性を保つために、風雨や地震などの外力に対しても高い耐性を備える。
【0019】
また、水平支柱部材21,22の先端部および略中央部には、
図1、
図2および
図4に示す様にアンテナ用架台をパラペットに設置、固定するための部材(固定部)が設けられる。この固定部は、
図1および
図4に示す様に水平支柱部材21,22の他端側(パラペットの外壁面側)に設けられる外壁面固定部41,42および水平支柱部材21,22の中間位置付近において床面(接地面)方向へ延びて設けられる内壁面固定部46,47に分かれている。以下、外壁面固定部41,42および内壁面固定部46,47について個別に説明する。
【0020】
外壁面固定部41,42は、
図1および
図2に示す様にパラペットの外壁面を固定するためのブラケット(例えば、断面L字型の金具)を備えている。すなわち、外壁面固定部41のブラケットは、
図4に示す様に鉛直下方に向いてパラペットPの上面に当接する当接面を含む第1固定部41a、および第1固定部41aの当接面に直交してパラペットPの外壁面に当接する当接面を含む第2固定部41bを有している。したがって、外壁面固定部のブラケットの第1固定部および第2固定部により、パラペット(建物の外壁部)Pの2面(建物の外壁面とパラペットPの上面)を拘束して、水平支柱部材21,22を確実に固定する。なお、ブラケットは、強度の高い金属製で、錆びにくい処理が施されており、長期間にわたって安定した固定力を維持できる。
【0021】
内壁面固定部46,47は、
図4に示す様にパラペットPの内方(内壁面側)張り出し部PHを固定するためのブラケットを備えている。すなわち、内壁面固定部46のブラケットは、鉛直上方に向いてパラペットPの内方張り出し部PHの下面に当接する当接面を含む第3固定部46a、および第3固定部46aの当接面に直交してパラペットPの内方張り出し部PHの内壁面に当接する第4固定部46bを有している。したがって、内壁面固定部のブラケットの第3固定部および第4固定部により、水平支柱部材を建物の内側にしっかりと固定すると共に、パラペットPの内壁面とパラペットPの張り出し部PHの下面の2面を拘束することで、アンテナ用架台の外壁面への傾きや倒れを防止する。つまり、アンテナが設置される場所におけるアンテナ用架台の安定性を確保し、通信の品質を維持できる。
【0022】
〈連結部材31,32,33〉
連結部材31,32,33は、
図2ないし
図4に示す様に前述の水平支柱部材21,22に対して垂直方向に延びて、すなわち2本の水平支柱部材21,22と直交して、2本の水平支柱部材21,22を互いに連結する部材である。これらの連結部材31,32,33は、複数の水平支柱部材21,22と一体化し、架台全体の構造的な強度と安定性を向上させる役割がある。また、連結部材31,32,33は、アンテナ用架台1の剛性を高めるために不可欠であり、2本の水平支柱部材21,22が独立して動かないようにする。さらに、連結部材31,32,33は前述の水平支柱部材と垂直支柱部材との間にかかる応力を均等に分散させる役割も果たす。
【0023】
連結部材31,32,33が水平支柱部材21,22と連結されることにより、アンテナ用架台1全体が一体となって外力に対抗することができる。また、連結部材31,32,33の上方には後述するアンテナ固定部とアンテナ固定部用支持部材を載置する。そのため、ボルトや溶接などの連結手段で水平支柱部材21,22と接続されるので、各部材間の結合が強固になり、全体の安定性がさらに向上する。連結部材は、設置環境や構造上の要件に応じて、適切な寸法や断面形状が選定される。
【0024】
〈アンテナ固定部50,51~53〉
アンテナ固定部50は、スマートフォンなど各種通信機器のアンテナを取り付けるための部材である。この部材は、アンテナの位置を安定させ、通信性能を最大限に引き出すために重要な役割を果たす。アンテナ固定部50は、
図1ないし
図4に示す様に第1アンテナ固定部51,第2アンテナ固定部52および継手53の3つの部分を備えている。
【0025】
第1アンテナ固定部51は、
図2ないし
図4に示す様に後述する第2アンテナ固定部52に対して垂直方向に形成される部分である。この部分は、設置対象であるアンテナの垂直方向の位置を調整して、最適な角度で固定するためのものである。第1アンテナ固定部51には、アンテナの高さや角度を微調整するための伸縮機構や可動機構が組み込むこともできる。これにより、アンテナの設置後でも容易に位置調整が可能となる。
【0026】
第2アンテナ固定部52は、
図4に示す様にパラペットPの外壁面側に位置して、アンテナを直接固定するための部分である。この部分は、アンテナの基部をしっかりと保持する設計になっており、風雨や振動による揺動を防ぐために十分な強度と耐久性を備えている。材質には、耐候性に優れたステンレス鋼や高強度のアルミニウム合金を使用することができる。また、第2アンテナ固定部52には、アンテナの基部と固定するためのボルト穴やクランプを設けることもできる。
【0027】
継手53は、
図1ないし
図4に示す様に第1アンテナ固定部51と第2アンテナ固定部52を互いに接続するL字型の部品(エルボ)であり、アンテナ固定部50の全体構造を一体化し、安定性を確保する役割を果たす。このL字型の継手53は、各部材の接合部において剛性を高め、外力に対する耐性を向上させる。材質や接合方法についても、使用環境や求められる強度に応じて選定される。一般的には、ボルト締結、ねじ締結、溶接による接合などの締結手段を用いることができる。
【0028】
〈アンテナ固定部用支持部材60〉
アンテナ固定部用支持部材60は、
図1ないし
図4に示す様に前述のアンテナ固定部50を支持するために設置する部材であり、連結部材31~33の上方に載置される。これにより、アンテナの位置と方向を安定させることができる。このアンテナ固定部用支持部材60は、アンテナ固定部50の重量を支えるために十分な強度を持ち、振動や風圧に対しても安定した支持性能を発揮する。また、材質には強度と軽量性を兼ね備えたアルミニウム合金やステンレス鋼などが使用でき、アングル材やチャンネル材を適宜組み合わせて形態とすることができる。
【0029】
〈ヒンジ部70〉
ヒンジ部70は、前述の第1アンテナ固定部51とアンテナ固定部用支持部材60を連結する部分である。具体的には、アンテナ固定部用支持部材60の両側面と第1アンテナ固定部51を貫通する通しボルト、およびその両端を固定する2個のナットから構成されている。これにより、アンテナ固定部50の角度調整が容易になり、アンテナ用架台1の設置後におけるアンテナの保守、点検作業が容易になる。ヒンジ部70の設計には、耐久性と操作性が求められ、長期間の使用に耐える構造となっている。また、定期的なメンテナンスや調整作業が簡便に行えるよう、作業者が容易に作業できる位置(手の届く位置)に設置することが望ましい。
【0030】
次に、
図1ないし
図3に示した本発明のアンテナ用架台1をパラペットに設置した後、アンテナ固定部(アンテナ)の保守点検時の手順について図面を用いて説明する。本発明のアンテナ用架台1の一部を形成するアンテナ固定部50(51~53)をヒンジ部70を中心にして90度回転した場合の斜視図を
図5、アンテナ固定部50(51~53)をヒンジ部70を中心にしてアンテナ固定部50を180度回転した場合の斜視図を
図6にそれぞれ示す。
【0031】
本発明のアンテナ用架台1は、
図1ないし
図4に示す様にヒンジ部70を有しているので、同ヒンジ部70を中心としてアンテナ固定部50(51~53)を回動させることができる。アンテナが設置されている時、
図4に示す様にアンテナ固定部50の一部を形成する第2アンテナ固定部52は、パラペットPの外壁面側に位置している。図示しないアンテナは第2アンテナ固定部52に取り付けられているので、アンテナを保守点検する際には、
図5に示す様にヒンジ部70を中心としてアンテナ固定部50(51~53)を90度回転させる(起立させる)。
【0032】
その後、
図6示す様にアンテナ固定部50(51~53)をさらに90度回転させる、すなわち
図4に示すアンテナ固定部50(51~53)の設置状態からヒンジ部70を中心として180度回転させる。この動作により、第1アンテナ固定部51はアンテナ固定部用支持部材60内に完全に収容される。したがって、
図6に示す状態において、図示しないアンテナを第2アンテナ固定部52から安全かつ容易に着脱することができる。
【0033】
つまり、本発明のアンテナ用架台は、L字型のアンテナ固定部がアンテナ固定部用支持材とヒンジ部を介して互いに連結されており、当該ヒンジ部を中心にアンテナ固定部が回動できる。そのため、アンテナの保守点検時においては、作業者がヒンジ部を回転中心としてアンテナ固定部を起き上がらせる動作のみでアンテナを簡便に回収できるという効果を奏する。
【0034】
以上より、本発明のアンテナ用架台は、パラペットの外壁面を固定するためのブラケットを備えた外壁面固定部およびパラペットの内方張り出し部を固定するためのブラケットを備えた内壁面固定部が設けられている。
【0035】
したがって、本発明のアンテナ用架台は、パラペットに対して、パラペットの外壁面側で2面(パラペットの外壁面とパラペットの上面)を拘束し、同時にパラペットの内壁面側でも2面(パラペットの内壁面とパラペットの内壁面側の張り出し部の下面)を拘束しているので、紫外線や風雨に晒されるビルの外壁などの壁面が経年劣化してもアンテナ用架台の安定性を維持できるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0036】
1 アンテナ用架台
11,12 垂直支柱部材
21、22 水平支柱部材
31,32,33 連結部材
41,42 外壁面固定部
41a 第1固定部
41b 第2固定部
46,47 内壁面固定部
46a 第3固定部
46b 第4固定部
50 アンテナ固定部
51 第1アンテナ固定部
52 第2アンテナ固定部
53 継手(エルボ)
60 アンテナ固定部用支持部材
70 ヒンジ部
80 ビーム材
P パラペット
PH パラペットの張り出し部
【要約】
【課題】本発明は、アンテナの保守作業や交換作業を簡便に行うことができて、かつビルなどの建物の外壁の経年劣化に関わらず架台の安定性を維持できるアンテナ用架台を提供することを課題とする。
【解決手段】垂直支柱部材11と水平支柱部材21と連結部材31~33とアンテナを固定するL字型のアンテナ固定部50とアンテナ固定部50を保護するアンテナ固定部用支持部材60を有して、水平支柱部材21の他端にパラペットPの外壁面を固定する外壁面固定部41、水平支柱部材21の中央にパラペットPの内方張り出し部PHを固定する内壁面固定部46を設けて、アンテナ固定部50は第1アンテナ固定部51と第2アンテナ固定部52とL字型の継手53を有して、第1アンテナ固定部51とアンテナ固定部用支持部材60はヒンジ部70を介して互いに連結するアンテナ用架台1とする。
【選択図】
図4