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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】電子レンジ加熱用食品包材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024095966
(22)【出願日】2024-06-13
【審査請求日】2024-06-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596124678
【氏名又は名称】三菱商事パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100142125
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 研太
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】川上 宗人
(72)【発明者】
【氏名】沖田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】大石 敬洋
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-106090(JP,A)
【文献】実開平05-016675(JP,U)
【文献】特開平11-105942(JP,A)
【文献】特開2002-293385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に見たときに長方形形状を有し、前記長方形の第1の辺に隣接して前記第1の辺に沿って延びる第1外縁領域と、前記第1の辺と向かい合う前記長方形の第2の辺に隣接して前記第2の辺に沿って延びる第2外縁領域と、前記第1の辺および前記第2の辺に直交する前記長方形の第3の辺に隣接して前記第3の辺に沿って延びる第3外縁領域と、前記第3の辺と向かい合う前記長方形の第4の辺に隣接して前記第4の辺に沿って延びる第4外縁領域と、を有する1つの基材シートが折り曲げられ、接着剤層で接着された電子レンジ加熱用食品包材であり、内部に閉空間を有し、水分を含む食品を前記閉空間に収容する電子レンジ加熱用食品包材であって、
前記電子レンジ加熱用食品包材は、前記食品から水蒸気が放出されるように、電子レンジを用いて前記食品を加熱するために用いられ、
前記電子レンジ加熱用食品包材は、
第1主面と前記第1主面と厚み方向において反対に位置する第2主面とを有する紙製の前記基材シートと、
前記第1外縁領域、前記第2外縁領域、前記第3外縁領域および前記第4外縁領域のそれぞれの前記第1主面に配置され、50℃以上100℃以下の融点を有するホットメルト接着剤から構成される前記接着剤層と、
を備え、
前記第3外縁領域が、前記第3外縁領域に沿う第1方向における中央を含む第1部と、前記第1方向において前記第1部の両側にそれぞれ位置する第2部および第3部と、を含み、
前記第4外縁領域が、前記第1方向における中央を含む第4部と、前記第1方向において前記第4部の両側にそれぞれ位置し、前記厚み方向および前記第1方向に直交する第2方向において前記第2部および前記第3部とそれぞれ向かい合う第5部および第6部と、を含み、
前記電子レンジ加熱用食品包材は、
前記第1外縁領域の前記第1主面が前記第2外縁領域の前記第1主面と向かい合うように、前記第1外縁領域が前記第2外縁領域と前記接着剤層によって接着され、前記第2方向に延びる第1接着部と、
前記第1部の前記第1主面が前記第2部および前記第3部の前記第1主面と向かい合うように前記第3外縁領域が折り曲げられ、前記第1部が、前記第2部および前記第3部と前記接着剤層によって接着された第2接着部と、
前記第4部の前記第1主面が前記第5部および前記第6部の前記第1主面と向かい合うように前記第4外縁領域が折り曲げられ、前記第4部が、前記第5部および前記第6部と前記接着剤層によって接着された第3接着部と、
を備え、
前記第2方向における前記第1接着部の長さが、前記第1方向における前記第2接着部の長さおよび前記第3接着部の長さのそれぞれより長く、
前記接着剤層が、前記第1主面の全域に配置され、
前記接着剤層の厚みは、1μm以上、25μm以下であり、前記基材シートの厚みに対する前記接着剤層の厚みの比は、0.0005以上、1.0以下である、電子レンジ加熱用食品包材。
【請求項2】
前記第3外縁領域が、前記第1方向において前記第2部の途中に介在する第7部をさらに含み、
前記第4外縁領域が、前記第2方向において前記第7部と向かい合い、前記第1方向において前記第5部の途中に介在する第8部をさらに含み、
前記電子レンジ加熱用食品包材は、
前記第7部が折り畳まれ前記接着剤層によって接着され、かつ、前記第8部が折り畳まれ前記接着剤層によって接着されることで前記第7部および前記第8部の間に形成される第1まち部をさらに備える、請求項1に記載の電子レンジ加熱用食品包材。
【請求項3】
前記第3外縁領域が、前記第1方向において前記第3部の途中に介在する第9部をさらに含み、
前記第4外縁領域が、前記第2方向において前記第9部と向かい合い、前記第1方向において前記第6部の途中に介在する第10部をさらに含み、
前記電子レンジ加熱用食品包材は、
前記第9部が折り畳まれ前記接着剤層によって接着され、かつ、前記第10部が折り畳まれ前記接着剤層によって接着されることで前記第9部および前記10部の間に形成される第2まち部をさらに備える、請求項2に記載の電子レンジ加熱用食品包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ加熱用食品包材に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に閉空間を有し、食品を閉空間に収容する電子レンジ加熱用食品包材が知られている(特許文献1参照。)。特許文献1に記載の電子レンジ加熱用食品包材は、第1基材フィルムと、第2基材フィルムと、蓋片と、を備える。特許文献1に記載の電子レンジ加熱用食品包材では、第1基材フィルムの中央部には、開口部が形成される。第2基材フィルムは、厚み方向において第1基材フィルムと重ね合わされる。第2基材フィルムの外周領域は、第1基材フィルムの外周領域と接着される。第1基材フィルムおよび第2基材フィルムのそれぞれは、合成樹脂製である。蓋片は、開口部を閉塞する。蓋片の裏面には、ホットメルト接着剤がコートされる。蓋片には、切れ目が形成されている。特許文献1では、電子レンジを用いて電子レンジ加熱用食品包材内の食品を加熱して、食品から水蒸気が放出される。すると、水蒸気が閉空間に充満し、水蒸気の熱によりホットメルト接着剤が軟化する。また、閉空間内の圧力が高くなり、切れ目が押し広げられる。すると、水蒸気が切れ目から外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭59-31590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子レンジ加熱用食品包材には、部品点数の低減および簡易な構成が求められる。また、電子レンジ加熱用食品包材には、環境への負荷の低減が求められる。電子レンジ加熱用食品包材には、食品の加熱時に所望の部分から水蒸気が外部に放出されることが求められる。
【0005】
本開示は、食品を加熱する時に選択的に第1接着部から水蒸気が放出され、部品点数が低減され、構成が簡易であって、環境への負荷が低減された電子レンジ加熱用食品包材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電子レンジ加熱用食品包材は、厚み方向に見たときに長方形形状を有する。電子レンジ加熱用食品包材は、長方形の第1の辺に隣接して第1の辺に沿って延びる第1外縁領域と、第1の辺と向かい合う長方形の第2の辺に隣接して第2の辺に沿って延びる第2外縁領域と、第1の辺および第2の辺に直交する長方形の第3の辺に隣接して第3の辺に沿って延びる第3外縁領域と、第3の辺と向かい合う長方形の第4の辺に隣接して第4の辺に沿って延びる第4外縁領域と、を有する1つの基材シートが折り曲げられ、接着剤層で接着されている。電子レンジ加熱用食品包材は、内部に閉空間を有し、水分を含む食品を閉空間に収容する。電子レンジ加熱用食品包材は、食品から水蒸気が放出されるように、電子レンジを用いて食品を加熱するために用いられる。電子レンジ加熱用食品包材は、第1主面と第1主面と厚み方向において反対に位置する第2主面とを有する紙製の基材シートと、第1外縁領域、第2外縁領域、第3外縁領域および第4外縁領域のそれぞれの第1主面に配置され、50℃以上100℃以下の融点を有するホットメルト接着剤から構成される接着剤層と、を備える。第3外縁領域が、第3外縁領域に沿う第1方向における中央を含む第1部と、第1方向において第1部の両側にそれぞれ位置する第2部および第3部と、を含む。第4外縁領域が、第1方向における中央を含む第4部と、第1方向において第4部の両側にそれぞれ位置し、厚み方向および第1方向に直交する第2方向において第2部および第3部とそれぞれ向かい合う第5部および第6部と、を含む。電子レンジ加熱用食品包材は、第1外縁領域の第1主面が第2外縁領域の第1主面と向かい合うように、第1外縁領域が第2外縁領域と接着剤層によって接着され、第2方向に延びる第1接着部と、第1部の第1主面が第2部および第3部の第1主面と向かい合うように第3外縁領域が折り曲げられ、第1部が、第2部および第3部と接着剤層によって接着された第2接着部と、第4部の第1主面が第5部および第6部の第1主面と向かい合うように第4外縁領域が折り曲げられ、第4部が、第5部および第6部と接着剤層によって接着された第3接着部と、を備える。第2方向における第1接着部の長さが、第1方向における第2接着部の長さおよび第3接着部の長さのそれぞれより長い。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電子レンジ加熱用食品包材では、食品を加熱する時に選択的に第1接着部から水蒸気が放出され、部品点数が低減され、構成が簡易であって、環境への負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、電子レンジ加熱用食品包材の斜視図である。
図2図2は、接着される前の基材シートおよび接着剤層の斜視図である。
図3図3は、基材シートの平面図である。
図4図4は、電子レンジ加熱用食品包材の平面図である。
図5図5は、図4に示す電子レンジ加熱用食品包材の断面図である。図5は、図4のXX線に沿う断面図である。
図6図6は、図4に示す電子レンジ加熱用食品包材の断面図である。図6は、図4のYY線に沿う断面図である。
図7図7は、図4に示す電子レンジ加熱用食品包材の断面図である。図7は、図4のZZ線に沿う断面図である。
図8図8は、第1接着部を形成する工程を示す。
図9図9は、第7部から第10部を折り畳む工程を示す。
図10図10は、電子レンジで食品を加熱する工程を示す。図10は、図4のXX線に沿う断面図に相当する。
図11図11は、電子レンジで食品を加熱する工程を示す。図11は、図4のZZ線に沿う断面図に相当する。
図12図12は、変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本開示の電子レンジ加熱用食品包材は、厚み方向に見たときに長方形形状を有する。電子レンジ加熱用食品包材は、長方形の第1の辺に隣接して第1の辺に沿って延びる第1外縁領域と、第1の辺と向かい合う長方形の第2の辺に隣接して第2の辺に沿って延びる第2外縁領域と、第1の辺および第2の辺に直交する長方形の第3の辺に隣接して第3の辺に沿って延びる第3外縁領域と、第3の辺と向かい合う長方形の第4の辺に隣接して第4の辺に沿って延びる第4外縁領域と、を有する1つの基材シートが折り曲げられ、接着剤層で接着されている。電子レンジ加熱用食品包材は、内部に閉空間を有し、水分を含む食品を閉空間に収容する。電子レンジ加熱用食品包材は、食品から水蒸気が放出されるように、電子レンジを用いて食品を加熱するために用いられる。
【0010】
電子レンジ加熱用食品包材は、第1主面と第1主面と厚み方向において反対に位置する第2主面とを有する紙製の基材シートと、第1外縁領域、第2外縁領域、第3外縁領域および第4外縁領域のそれぞれの第1主面に配置され、50℃以上100℃以下の融点を有するホットメルト接着剤から構成される接着剤層と、を備える。
【0011】
第3外縁領域が、第3外縁領域に沿う第1方向における中央を含む第1部と、第1方向において第1部の両側に位置する第2部および第3部と、を含む。第4外縁領域が、第1方向における中央を含む第4部と、第1方向において第4部の両側に位置し、厚み方向および第1方向に直交する第2方向において第2部および第3部とそれぞれ向かい合う第5部および第6部と、を含む。電子レンジ加熱用食品包材は、第1外縁領域の第1主面が第2外縁領域の第1主面と向かい合うように、第1外縁領域が第2外縁領域と接着剤層によって接着され、第2方向に延びる第1接着部と、第1部の第1主面が第2部および第3部の第1主面と向かい合うように第3外縁領域が折り曲げられ、第1部が、第2部および第3部と接着剤層によって接着された第2接着部と、第4部の第1主面が第5部および第6部の第1主面と向かい合うように第4外縁領域が折り曲げられ、第4部が、第5部および第6部と接着剤層によって接着された第3接着部と、を備える。第2方向における第1接着部の長さが、第1方向における第2接着部の長さおよび第3接着部の長さのそれぞれより長い。
【0012】
本開示の電子レンジ加熱用食品包材の閉空間に食品を収容し、食品から水蒸気が放出されるように、電子レンジを用いて食品を加熱すると、水蒸気が食品から放出されて閉空間内に充満する。すると、閉空間内の圧力が上がる。そうすると、電子レンジ加熱用食品包材全体に力がかかる。
【0013】
そして、本開示では、第1接着部が第2接着部および第3接着部のそれぞれより長い。そのため、第1接着部に力が加えられたときの第1接着部の変形の自由度が、第2接着部に力が加えられたときの第2接着部の変形の自由度、および、第3接着部に力が加えられたときの第3接着部の変形の自由度のそれぞれよりも高い。そのため、第1接着部において第1外縁領域が第2外縁領域から剥がれ、剥がれ部分から水蒸気が外部に放出される。その結果、食品を加熱する時に選択的に第1接着部から水蒸気が放出される。
【0014】
第1基材フィルムおよび第2基材フィルムの2つのフィルムを備える特許文献1の基材シートと異なり、本開示の電子レンジ加熱用食品包材では、1つの基材シートが折り曲げられ、接着剤層で接着されている。そのため、この電子レンジ加熱用食品包材では、部品点数が低減され、構成が簡易である。
【0015】
2つの基材フィルムが樹脂製である特許文献1と異なり、本開示の電子レンジ加熱用食品包材では、基材シートが紙製であるので、環境への負荷が低減される。
【0016】
上記した電子レンジ加熱用食品包材では、第3外縁領域が、第1方向において第2部の途中に介在する第7部をさらに含んでもよい。第4外縁領域が、第2方向において第7部と向かい合い、第1方向において第5部の途中に介在する第8部をさらに含んでもよい。電子レンジ加熱用食品包材は、第7部が折り畳まれ接着剤層によって接着され、かつ、第8部が折り畳まれ接着剤層によって接着されることで第7部および第8部の間に形成される第1まち部をさらに備えてもよい。電子レンジ加熱用食品包材は、第1まち部を備えるので、閉空間を大きくできる。そのため、電子レンジ加熱用食品包材の閉空間において収容できる食品の量を多くできる。
【0017】
上記した電子レンジ加熱用食品包材では、第3外縁領域が、第1方向において第3部の途中に介在する第9部をさらに含んでもよい。第4外縁領域が、第2方向において第9部と向かい合い、第1方向において第6部の途中に介在する第10部をさらに含んでもよい。電子レンジ加熱用食品包材は、第9部が折り畳まれ接着剤層によって接着され、かつ、第10部が折り畳まれ接着剤層によって接着されることで第9部および第10部の間に形成される第2まち部をさらに備えてもよい。電子レンジ加熱用食品包材は、第2まち部を備えるので、閉空間を大きくできる。そのため、電子レンジ加熱用食品包材の閉空間において収容できる食品の量を多くできる。
【0018】
上記した電子レンジ加熱用食品包材では、接着剤層が、第1主面の全域に配置されてもよい。接着剤層が第1主面の全域に配置されているので、電子レンジ加熱用食品包材の構成が簡易である。
【0019】
[実施形態の具体例]
[電子レンジ加熱用食品包材1の基本構成]
図1および図2を参照して、電子レンジ加熱用食品包材の基本構成を説明する。図1は、電子レンジ加熱用食品包材の斜視図である。図2は、接着される前の基材シートおよび接着剤層の斜視図である。
【0020】
図1に示すように、電子レンジ加熱用食品包材1は、内部に閉空間CSを有し、食品100(仮想線)を閉空間CSに収容するために用いられる。図2に示すように、電子レンジ加熱用食品包材1は、1つの基材シート2が折り曲げられ、接着剤層3(図2参照)で接着されている。
【0021】
[基材シート2]
基材シート2は、厚み方向TDに見たときに長方形形状を有する。上記した基材シート2は、接着される前である。長方形は、第1の辺E1と、第2の辺E2と、第3の辺E3と、第4の辺E4と、を有する。第2の辺E2は、第1の辺E1と向かい合う。第3の辺E3は、第1の辺E1および第2の辺E2に直交する。第4の辺E4は、第3の辺E3と向かい合う。本実施形態では、長方形は、厳密に、4つの直角を有さなくてもよい。4つの角部のいずれか少なくとも1つが湾曲形状を有してもよい。4つの角部のいずれか少なくとも1つが切り欠かれて(面取りされて)いてもよい。
【0022】
基材シート2は、第1外縁領域21と、第2外縁領域22と、第3外縁領域23と、第4外縁領域24と、を有する。第1外縁領域21は、第1の辺E1に隣接して第1の辺E1に沿って延びる。第1外縁領域21と、第2外縁領域22と、第3外縁領域23と、第4外縁領域24とは、厚み方向TDに見たときに、枠形状を有する(仮想線参照)。第1外縁領域21と、第2外縁領域22と、第3外縁領域23と、第4外縁領域24とは、枠の周方向に連続する。第1外縁領域21は、厚み方向TDに見て、第1の辺E1と重なる部分を含んでもよく、第1の辺E1と離れる部分を含んでもよい。第2外縁領域22は、第2の辺E2に隣接して第2の辺E2に沿って延びる。第2外縁領域22は、厚み方向TDに見て、第2の辺E2と重なる部分を含んでもよく、第2の辺E2と離れる部分を含んでもよい。第3外縁領域23は、第3の辺E3に隣接して第3の辺E3に沿って延びる。第3外縁領域23は、厚み方向TDに見て、第3の辺E3と重なる部分を含んでもよく、第3の辺E3と離れる部分を含んでもよい。第4外縁領域24は、第4の辺E4に隣接して第4の辺E4に沿って延びる。第4外縁領域24は、厚み方向TDに見て、第4の辺E4と重なる部分を含んでもよく、第4の辺E4と離れる部分を含んでもよい。
【0023】
基材シート2は、第1主面25と、第2主面26とを有する。第2主面26は、第1主面25と厚み方向TDにおいて反対に位置する。
【0024】
[接着剤層3]
接着剤層3は、基材シート2に接触して配置される。接着剤層3は、第1外縁領域21、第2外縁領域22、第3外縁領域23および第4外縁領域24のそれぞれの第1主面25に配置される。本実施形態では、接着剤層3が、第1主面25の全域に配置される。つまり、接着剤層3は、第1外縁領域21、第2外縁領域22、第3外縁領域23および第4外縁領域24のそれぞれの第1主面25と、第1外縁領域21、第2外縁領域22、第3外縁領域23および第4外縁領域24の内側の領域の第1主面25と、に配置される。
【0025】
[電子レンジ加熱用食品包材1の詳細]
図3から図7を参照して、電子レンジ加熱用食品包材の詳細を説明する。図3は、基材シートの平面図である。図4は、電子レンジ加熱用食品包材の平面図である。図5は、図4に示す電子レンジ加熱用食品包材の断面図である。図5は、図4のXX線に沿う断面図である。図6は、図4に示す電子レンジ加熱用食品包材の断面図である。図6は、図4のYY線に沿う断面図である。図7は、図4に示す電子レンジ加熱用食品包材の断面図である。図7は、図4のZZ線に沿う断面図である。
【0026】
電子レンジ加熱用食品包材1は、上記した基材シート2と、上記した接着剤層3(図2)と、を備える。
【0027】
[基材シート2]
基材シート2は、紙製である。紙としては、例えば、上質紙およびクラフト紙が挙げられる。基材シート2の厚みは、25μm以上、145μm以下である。基材シート2の坪量は、30g/m以上、100g/m以下である。基材シート2の第2主面26には、印刷層(または化粧層)(図示せず)が形成されてもよい。図3に示すように、基材シート2は、上記した第1外縁領域21と、第2外縁領域22と、第3外縁領域23と、第4外縁領域24と、を有する。
【0028】
[第1外縁領域21]
第1外縁領域21は、第1の辺E1に隣接するように第3の辺E3から第4の辺E4にわたって形成される。第1外縁領域21は、第2方向D2に延びる。第2方向D2における第1外縁領域21の長さは、第1の辺E1の長さと同一である。
【0029】
[第2外縁領域22]
第2外縁領域22は、第2の辺E2に隣接するように第3の辺E3から第4の辺E4にわたって形成される。第2外縁領域22は、第2方向D2に延びる。第2方向D2における第2外縁領域22の長さは、第2の辺E2の長さと同一である。
【0030】
[第3外縁領域23]
第3外縁領域23は、第3の辺E3に隣接するように、第1外縁領域21と第2外縁領域22との間に形成される。第3外縁領域23は、第1方向D1に延びる。第1方向D1は、厚み方向TDおよび第2方向D2に直交する。つまり、第2方向D2は、厚み方向TDおよび第1方向D1に直交する。第1方向D1における第3外縁領域23の長さは、第3の辺E3の長さより短い。第1方向D1において、第3外縁領域23の両端は、第1外縁領域21と第2外縁領域22とにそれぞれ接する。
【0031】
第3外縁領域23は、第1部231と、第2部232と、第3部233と、を含む。第3外縁領域23は、第1境界2311と、第2境界2312とを、含む。第1部231は、第1方向D1における第3外縁領域23の中央23Cを含む中間部である。第2部232および第3部233は、第1方向D1において第1部231の両側にそれぞれ位置する。第2部232は、第1部231に接する。第2部232と第1部231との間に、第2部232と第1部231との境界である第1境界2311がある。第1境界2311は、第2方向D2に沿う。第1境界2311は、折り曲げられる前の第3外縁領域23において視認されない。第3部233は、第1部231に接する。第3部233と第1部231との間には、第3部233と第1部231との境界である第2境界2312がある。第2境界2312は、第2方向D2に沿う。第2境界2312は、折り曲げられる前の第3外縁領域23において視認されない。
【0032】
[第4外縁領域24]
第4外縁領域24の配置、形状および構成は、第3外縁領域23の配置、形状および構成と同様である。具体的には、第4外縁領域24は、第4部241と、第5部242と、第6部243と、を含む。第4外縁領域24は、第3境界2411と、第4境界2412と、を含む。第4部241は、第1方向D1における第4外縁領域24の中央24Cを含む中間部である。第5部242および第6部243は、第1方向D1において第4部241の両側にそれぞれ位置する。第5部242および第6部243は、第2方向D2において第2部232および第3部とそれぞれ向かい合う。
【0033】
[接着剤層3]
接着剤層3は、ホットメルト接着剤から構成される。ホットメルト接着剤は、常温(25℃)でタック性(粘着性)を有さず、加熱によりタック性を有する接着剤である。ホットメルト接着剤は、50℃以上100℃以下の融点を有する。言い換えれば、ホットメルト接着剤の融点の下限は、50℃である。ホットメルト接着剤の融点の上限は、100℃である。また、ホットメルト接着剤の融点の下限は、好ましくは、60℃、より好ましくは、70℃、さらに好ましくは、80℃、とりわけ好ましくは、85℃である。ホットメルト接着剤の融点の上限は、好ましくは、95℃、より好ましくは、90℃である。ホットメルト接着剤の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求められる。ホットメルト接着剤が市販品であれば、市販品の製品カタログに記載された値がホットメルト接着剤の融点として採用される。ホットメルト接着剤の融点が上記した下限以上であれば、常温(25℃)または低温(-20度以上、-10度以下)において第1接着部11、第2接着部12および第3接着部13を確実に形成できるとともに、常温において接着剤層3がはみ出ることを抑制できる。ホットメルト接着剤の融点が上記した下限以上であれば、常温(25℃)で、第1接着部11、第2接着部12および第3接着部13のそれぞれにおける剥がれを抑制でき、また、ブロッキングを抑制できる。ホットメルト接着剤の融点が上記した上限以下であれば、閉空間10内に収容される食品を電子レンジを用いて加熱したときに発生する水蒸気によって、第1接着部11における接着剤層3を確実に軟化でき、第1接着部11において第1外縁領域21が第2外縁領域22から確実に剥がれることができる。ホットメルト接着剤の融点が上記した上限以下であれば、接着剤層3が、第1主面25の全域に配置されるときに、閉空間10内に収容される食品を電子レンジを用いて加熱したときに発生する水蒸気が、第1接着部11、第2接着部12および第3接着部13以外の領域の接着剤層3を透過(通過)できる(蒸通できる)。ホットメルト接着剤としては、オレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、アイオノマー樹脂、および、エチレン-酢酸ビニル重合樹脂が挙げられる。ホットメルト接着剤として、好ましくは、アイオノマー樹脂が挙げられる。接着剤層3の厚みは、1μm以上、25μm以下である。基材シート2の厚みに対する接着剤層3の厚みの比は、0.0005以上、1.0以下である。
【0034】
[第1接着部11、第2接着部12および第3接着部13]
図4に示すように、電子レンジ加熱用食品包材1は、第1接着部11と、第2接着部12と、第3接着部13と、を備える。
【0035】
[第1接着部11]
図5および図6に示すように、第1接着部11では、第1外縁領域21の第1主面25が第2外縁領域22の第1主面25と向かい合うように、第1外縁領域21が第2外縁領域22と接着剤層3によって接着されている。第1接着部11は、第2方向に延びる。本実施形態では、図6に示すように、第1外縁領域21の全域が、第2外縁領域22の全域と接着される。第1外縁領域21と第2外縁領域22とが向かい合い重なった状態で、接着剤層3が加熱され、その後、常温(25℃)に放冷されることによって、第1外縁領域21が第2外縁領域22と接着される。接着剤層3の加熱温度は、50℃以上、200℃以下である。
【0036】
[第2接着部12]
図7に示すように、第2接着部12では、第1部231の第1主面25が第2部232および第3部233の第1主面25と向かい合うように第3外縁領域23が折り曲げられ、第1部231が、第2部232および第3部233と接着剤層3によって接着される。第1境界2311および第2境界2312のそれぞれを山にして、第3外縁領域23が折り曲げられ、第2部232および第3部233が第1部231と重ねられる。第2部232および第3部233が第1部231と向かい合い重なった状態で、接着剤層3が加熱されて、その後、放冷されることによって、第1部231が第2部232および第3部233と接着される。第3外縁領域23における接着剤層3の加熱条件は、第1外縁領域21および第2外縁領域22の接着剤層3の加熱条件と同一である。
【0037】
[第3接着部13]
図4および図6に示すように、第3接着部13では、第4部241(図3参照)の第1主面25(図2参照)が第5部242および第6部243の第1主面25と向かい合うように第4外縁領域24が折り曲げられ、第4部241が、第5部242および第6部243と接着剤層3によって接着される。第3接着部13の折り曲げ、接着および条件(温度を含む)のそれぞれは、第2接着部12の折り曲げ、接着および条件のそれぞれと同一である。
【0038】
[第1接着部11、第2接着部12および第3接着部13のサイズ]
図4に示すように、第2方向D2における第1接着部11の長さL1は、第1方向D1における第2接着部12の長さL2および第3接着部13の長さL3のそれぞれより長い。第1方向D1における第2接着部12の長さL2に対する第2方向D2における第1接着部11の長さL1の比(L1/L2)である第1アスペクト比は、1超過、好ましくは、1.1以上、より好ましくは、1.2以上、さらに好ましくは、1.3以上である。第1アスペクト比の上限は、限定されない。第1アスペクト比の上限は、10、好ましくは、5、より好ましくは、3である。第1方向D1における第3接着部13の長さL3に対する第2方向D2における第1接着部11の長さL1の比(L1/L3)である第2アスペクト比は、上記した第1アスペクト比と同様である。
【0039】
第1方向D1における第1接着部11の長さ(幅)W1は、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、30mm以下、好ましくは、20mm以下である。第2方向D2における第2接着部12の長さ(幅)W2は、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、30mm以下、好ましくは、20mm以下である。第2方向D2における第2接着部12の長さ(幅)W2に対する第1方向D1における第1接着部11の長さ(幅)W1の比(W1/W2)は、0.3以上、好ましくは、0.5以上であり、3以下、好ましくは、2以下である。第2方向D2における第3接着部13の長さ(幅)W3は、第2方向D2における第2接着部12の長さ(幅)W2と同一である。
【0040】
[第1まち部15および第2まち部16]
図5に示すように、電子レンジ加熱用食品包材1は、第1まち部15と、第2まち部16と、をさらに備える。第1まち部15は、図3に示す第7部234と第8部244とのそれぞれの折り畳みによって形成される。第2まち部16は、第8部244と第10部245とのそれぞれの折り畳みによって形成される。折り畳まれる前の基材シート2において、第3外縁領域23は、第7部234と、第9部235とを、さらに含む。第7部234は、第1方向D1において第2部232の途中に介在する。第9部235は、第1方向D1において第3部233の途中に介在する。折り畳まれる前の基材シート2において、第4外縁領域24は、第8部244と、第10部245と、をさらに含む。第8部244は、第2方向D2において第7部234と向かい合う。第8部244は、第1方向D1において第5部242の途中に介在する。第10部245は、第2方向D2において第9部235と向かい合う。第10部245は、第1方向D1において第6部243の途中に介在する。
【0041】
図1に示すように、第7部234が折り畳まれ接着剤層3によって接着され、かつ、第8部244(図5参照)が折り畳まれ接着剤層3によって接着されることで第7部234および第8部244の間に、第1まち部15が形成される。第7部234および第8部244のそれぞれの折り数は、1回または2回以上であり、本実施形態では、好ましくは、1回である。第8部244の折り数は、第7部234の折り数と同一である。第1まち部15は、第2方向D2に沿う。第1まち部15では、接着剤層3によって基材シート2が接着されていない。
【0042】
第9部235が折り畳まれ接着剤層3によって接着され(図7参照)、かつ、第10部245が折り畳まれ接着剤層3によって接着されることで第9部235および第10部245の間に第2まち部16が形成される。第9部235および第10部245のそれぞれの折り数は、1回または2回以上であり、本実施形態では、好ましくは、1回である。第10部245の折り数は、第9部235の折り数と同一である。第9部235および第10部245の折り数は、第7部234および第8部244の折り数と同一であっても、相違してもよい。第2まち部16は、第1方向D1において第1まち部15と向かい合う。第2まち部16は、第1方向D1において第1まち部15から離れて位置する。第2まち部16は、第2方向D2に沿う。第2まち部16では、接着剤層3によって基材シート2が接着されていない。
【0043】
[第1接着部11から第3接着部13の形成、食品100の収容および加熱]
図1図2図5から図9を参照して、電子レンジ加熱用食品包材の閉空間に食品を収容する方法を説明する。図8は、第1接着部を形成する工程を示す。図9は、第7部から第10部を折り畳む工程を示す。
【0044】
図2に示すように、まず、1枚の基材シート2の第1主面25に、接着剤層3を配置する。第1主面25に接着剤層3を配置するには、例えば、ホットメルト接着剤を第1主面25に塗布する。具体的には、接着成分および溶媒を含有する接着組成物を第1主面25に塗布して塗膜を形成する。溶媒としては、水および有機溶媒が挙げられる。溶媒としては、好ましくは、水が挙げられる。接着組成物において、接着成分は、溶媒に分散する。接着組成物として、接着成分が水に分散した水分散型接着組成物が挙げられる。接着組成物として市販品を用いることができ、例えば、ケミパールシリーズ(水分散型接着組成物、三井化学社製)が挙げられる。接着組成物として、好ましくは、ケミパールS500(水分散型接着組成物、三井化学社製)が挙げられる。次いで、塗膜を加熱して、塗膜から溶媒(水)が除去される。加熱温度は、55℃以上、好ましくは、60℃以上であり、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。これにより、ホットメルト接着剤から構成される接着剤層3が第1主面25に形成される。
【0045】
図8に示すように、次いで、基材シート2の第1外縁領域21および第2外縁領域22を向かい合せて、第1接着部11を形成する。具体的には、第1外縁領域21の接着剤層3および第2外縁領域22の接着剤層3が接触するように、第1外縁領域21の第1主面25および第2外縁領域22の第1主面25を互いに向い合せる(重ね合わせる)。続いて、例えば、ヒートシールによって、第1外縁領域21および第2外縁領域22を接着剤層3を介して接着する。ヒートシールでは、重ね合わされた第1外縁領域21および第2外縁領域22を重ね方向の両側から熱プレス(加熱および加圧)する。ヒートシールの温度は、50℃以上、好ましくは、70℃以上であり、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。接着部13の形成において、第2外縁領域22において第2の辺E2(図5参照)の反対側に位置する端縁に、第3方向D3に沿う折れ部221が形成されてもよい。折れ部221は、第2外縁領域22とそれ以外の領域との境界に形成される。折れ部221は、第2方向D2に沿う。
【0046】
図9に示すように、その後、第7部234と、第9部235と、それらの間の部と、が折り畳まれる。第8部244と、第10部245と、それらの間の部と、が折り畳まれる。上記した折りと、接着部13の形成とが、同時に実施されてもよい。あるいは、上記した折りの後に、接着部13が形成されてもよい。
【0047】
図6および図7に示すように、第2接着部12を形成する。第1部231が第2部232および第3部233と向かい合うように、第3外縁領域23を折り曲げて、第1部231が第2部232および第3部233と接着剤層3(図2参照)を介して接着される。
【0048】
続いて、食品100を、製造途中の電子レンジ加熱用食品包材1の内部に収容する。食品100を、開放される第4外縁領域24側から、電子レンジ加熱用食品包材1の内部に挿入する。
【0049】
その後、図1および図6に示すように、第3接着部13を形成する。第4部241が第5部242および第6部243と向かい合うように、第4外縁領域24を折り曲げて、第4部241が第5部242および第6部243と接着剤層3(図2参照)を介して接着される。これによって、電子レンジ加熱用食品包材1の内部に閉空間CSが形成される。
【0050】
図10および図11を参照して、食品を電子レンジを用いて加熱する方法を説明する。図10は、電子レンジで食品を加熱する工程を示す。図10は、図4のXX線に沿う断面図に相当する。図11は、電子レンジで食品を加熱する工程を示す。図11は、図4のZZ線に沿う断面図に相当する。
【0051】
図10および図11に示すように、食品100を収容した電子レンジ加熱用食品包材1を電子レンジ4にセットする。電子レンジ4は、ステージ41を有する。ステージ41は、上面42を有する。上面42は、水平方向HDに沿う。第1接着部11がステージ41の反対側に位置するように、電子レンジ加熱用食品包材1をステージ41に配置する。具体的には、電子レンジ加熱用食品包材1において第1接着部11が上部に配置されるように、電子レンジ加熱用食品包材1をステージ41の上面42に配置する。食品100は、水分を含む。水分は、固形状または液状である。
【0052】
次いで、電子レンジを駆動させる。食品100に含まれる水分が加熱されて、水蒸気(ガス状の水)となる。つまり、食品100から水蒸気が放出される。水蒸気は、閉空間CS内に充満する。この際、図10に示すように、第1まち部15および第2まち部16のそれぞれが開く。
【0053】
水蒸気の閉空間CS内の充満によって、閉空間CS内の圧力が上がる。そうすると、電子レンジ加熱用食品包材1全体に力がかかる。第1接着部11では、第1外縁領域21が第2外縁領域22から剥がれる力がかかる。第2接着部12では、第3外縁領域23において第1部231が第2部232および第3部233から剥がれる力がかかる。第3接着部13では、第4外縁領域24において第4部241が第5部242および第6部243から剥がれる力がかかる。第1接着部11と第2接着部12と第3接着部13とに上記した力がかかるとともに、水蒸気の熱によって接着剤層3のホットメルト接着剤が軟化し、ホットメルト接着剤の凝集力が低下する。
【0054】
本実施形態では、図4に示すように、第2方向D2における第1接着部11の長さL1が第1方向D1における第2接着部12の長さL2および第3接着部13の長さL3のそれぞれより長い。そのため、第1接着部11に力が加えられたときの第1接着部11の変形の自由度が、第2接着部12に力が加えられたときの第2接着部12の変形の自由度、および、第3接着部13に力が加えられたときの第3接着部13の変形の自由度のそれぞれよりも高い。そうすると、第2接着部12における上記した第3外縁領域23の剥がれ、および、第3接着部13における上記した第4外縁領域24の剥がれのそれぞれの前に、第1接着部11において第1外縁領域21が第2外縁領域22から剥がれる。つまり、最初に、第1外縁領域21が第2外縁領域22から剥がれた部分(空隙)から水蒸気が外部に放出される。具体的には、第2方向D2における第1接着部11の中央部において、上記した剥がれを生じる。すると、電子レンジ加熱用食品包材1の閉空間CSが開放され、電子レンジ加熱用食品包材1の内部の圧力が低下して外部の圧力と同じとなる。すると、第2接着部12および第3接着部13には力がかからない。そのため、第2接着部12における第3外縁領域23の剥がれ、および、第3接着部13における第4外縁領域24の剥がれの前に、第1接着部11において第1外縁領域21が第2外縁領域22から確実に剥がれる。つまり、第2接着部12および第3接着部13から水蒸気が放出されず、第1接着部11から水蒸気が選択的に放出される。したがって、食品100を加熱する時に選択的に第1接着部11から水蒸気が放出される。
【0055】
[変形例]
図12を参照して、電子レンジ加熱用食品包材1の変形例を説明する。図12は、変形例の断面図である。
【0056】
電子レンジ加熱用食品包材1は、第1まち部15(図5参照)および第2まち部16(図5参照)を備えない。変形例では、第3外縁領域23は、第7部234(図3参照)と、第9部235(図3参照)とを、含まない。第4外縁領域24は、第8部244(図3参照)と、第10部245(図3参照)と、を含まない。
【0057】
図示しないが、電子レンジ加熱用食品包材1は、第1まち部15を備える一方、第2まち部16を備えなくてもよい。
【0058】
接着剤層3が、第2外縁領域22、第3外縁領域23および第4外縁領域24のそれぞれの第1主面25に配置され、第1外縁領域21、第2外縁領域22、第3外縁領域23および第4外縁領域24の内側の領域の第1主面25に配置されなくてもよい。
【0059】
本開示の実施形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1 電子レンジ加熱用食品包材、2 基材シート、3 接着剤層、4 電子レンジ、10 閉空間、11 第1接着部、12 第2接着部、13 第3接着部、15 第1まち部、16 第2まち部、21 第1外縁領域、22 第2外縁領域、23 第3外縁領域、23C 中央、24 第4外縁領域、24C 中央、25 第1主面、26 第2主面、41 ステージ、42 上面、100 食品、221 折れ部、231 第1部、232 第2部、233 第3部、234 第7部、235 第9部、241 第4部、242 第5部、243 第6部、244 第8部、245 第10部、2311 第1境界、2312 第2境界、2411 第3境界、2412 第4境界、CS 閉空間、D1 第1方向、D2 第2方向、D3 第3方向、E1 第1の辺、E2 第2の辺、E3 第3の辺、E4 第4の辺、HD 水平方向、TD 厚み方向。
【要約】
【課題】食品を加熱する時に選択的に第1接着部から水蒸気が放出され、部品点数が低減され、構成が簡易であって、環境への負荷が低減された電子レンジ加熱用食品包材を提供すること。
【解決手段】電子レンジ加熱用食品包材は、紙製の基材シートと、ホットメルト接着剤から構成される接着剤層と、を備える。電子レンジ加熱用食品包材は、第1外縁領域が第2外縁領域と向かい合うように、第1外縁領域が第2外縁領域と接着剤層によって接着される第1接着部と、第3外縁領域が折り曲げられ、第1部が、第2部および第3部と接着剤層によって接着された第2接着部と、第4外縁領域が折り曲げられ、第4部が、第5部および第6部と接着剤層によって接着された第3接着部と、を備える。第1接着部の長さが、第2接着部の長さおよび第3接着部の長さのそれぞれより長い。
【選択図】図1
図1
図2
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図11
図12