(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】玩具部品及び人形玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/46 20060101AFI20250108BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20250108BHJP
A63H 3/16 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A63H3/46 B
A63H3/36 L
A63H3/16
(21)【出願番号】P 2024099684
(22)【出願日】2024-06-20
(62)【分割の表示】P 2022178154の分割
【原出願日】2022-03-11
【審査請求日】2024-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519133961
【氏名又は名称】株式会社BANDAI SPIRITS
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 篤史
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 由輔
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-132858(JP,A)
【文献】登録実用新案第3171931(JP,U)
【文献】特開2016-032508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立て式の人形玩具の玩具部品であって、
第1のパーツと、
前記第1のパーツを少なくとも部分的に収容する第2のパーツと
を備え、
前記第2のパーツは、
内部に第1の空洞を有し、かつ、一体成型されており、
前記第1の空洞は、前記第2のパーツの第1の開口と前記第1の開口の反対側の第2の開口とを接続し、
前記第2の開口から前記第1の空洞に挿入される前記第1のパーツを前記第2のパーツ内で位置決めする凸部を前記第1の空洞の内側に有し、
前記第1のパーツの、前記第2の開口側に位置する前記第2のパーツに収容されない部分は、第3のパーツと接続するための円筒部を有
し、
前記凸部は、前記第1のパーツの外面に形成された凹部と係合することにより、前記第1のパーツを前記第2のパーツ内で位置決めする、玩具部品。
【請求項2】
前記第1のパーツは第4のパーツと接続可能に構成され、前記第1のパーツと前記第4のパーツとが接続された状態において、前記第4のパーツは前記第1の開口において外部のパーツと接続可能に構成されている、請求項1に記載の玩具部品。
【請求項3】
前記第4のパーツは、前記第1のパーツと接続された状態において、前記第1の開口内で回動可能に構成されている、請求項
2に記載の玩具部品。
【請求項4】
前記凸部は、前記第1の開口と前記第2の開口との間で、前記第2のパーツの長手方向に形成されている、請求項1から
3のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項5】
前記第1の開口は、前記第2のパーツの上面から側面にかけて開口するように構成され、
前記第2の開口は、前記第2のパーツの底面に設けられている、請求項1から
4のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項6】
前記第1のパーツは、前記円筒部を介して前記第3のパーツと回転可能に接続される、請求項1から
5のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項7】
前記第1のパーツが、前記第2のパーツと前記第3のパーツとに接続された状態において、少なくとも前記第1のパーツの側面は、前記第2のパーツと前記第3のパーツとに覆われる、請求項1から
6のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項8】
前記第1のパーツが、前記第2のパーツと前記第3のパーツとに接続された状態において、前記第2のパーツと前記第3のパーツとで前記玩具部品の外面の一部を構成する、請求項1から
7のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項9】
前記玩具部品は、前記人形玩具の脚部の一部を構成する、請求項1から8のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項10】
前記人形玩具の脚部の一部は、大腿部の一部である、請求項9に記載の玩具部品。
【請求項11】
前記玩具部品は、前記人形玩具の股関節を介して前記人形玩具の胴体部と接続される、請求項1から10のいずれか1項に記載の玩具部品。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか1項に記載の玩具部品を備えた、組み立て式の人形玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具部品及び人形玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
組立て玩具(例えば、人形型の組立玩具)は、複数のパーツを組み合わせることで組み立てられる。例えば、特許文献1では、プラスチック製のパーツが表裏2個で1組となって各部位が組み立てられるプラスチックモデルが記載されている。当該プラスチック製のパーツに凹凸が形成されており、これを組み合わせることでパーツが結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、2つのパーツを組み合わせて部位を形成する場合、連結部分の継ぎ目(分割線)が外部から認識されると、玩具の部位によっては美観が損なわれると共に、見る者に対し違和感を感じさせることがある。
【0005】
本発明は、表面に継ぎ目が出ないようにして、外観における美観を維持することを可能とする玩具部品及び人形玩具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、組み立て式の人形玩具の玩具部品であって、第1のパーツと、前記第1のパーツと回動可能に接続される第2のパーツと、前記第1のパーツと前記第2のパーツとを少なくとも部分的に収容する第3のパーツとを備え、前記第3のパーツは、内部に第1の空洞を有し、かつ、表面に継ぎ目なく一体成型されており、前記第1のパーツと前記第2のパーツとが接続された状態において前記第3のパーツの前記第1の空洞に収容された場合に、前記第1のパーツと前記第2のパーツとの接続部を覆うカバー部材を含む。
【0007】
また、本発明は、例えば、組み立て式の人形玩具の玩具部品であって、第4の部材と、前記第4の部材の開口と回動可能に接続する第5の部材と、前記第4の部材と前記第5の部材とを、接続状態において、内部の第2の空洞に収容する第6の部材とを備え、前記第6の部材は、前記第4の部材と前記第5の部材とを前記第2の空洞内に受け入れる第1の開口と、収容された前記第5の部材が、第2の他の部材と接続するための第2の開口とを有し、表面に継ぎ目なく一体成型されている。
更に、本発明は、上記の玩具部品を備えた、組み立て式の人形玩具である。
また、本発明は、組み立て式の人形玩具の玩具部品であって、第1のパーツと、前記第1のパーツを少なくとも部分的に収容する第2のパーツとを備え、前記第2のパーツは、内部に第1の空洞を有し、かつ、一体成型されており、前記第1の空洞は、前記第2のパーツの第1の開口と前記第1の開口の反対側の第2の開口とを接続し、前記第2の開口から前記第1の空洞に挿入される前記第1のパーツを前記第2のパーツ内で位置決めする凸部を前記第1の空洞の内側に有し、前記第1のパーツの、前記第2の開口側に位置する前記第2のパーツに収容されない部分は、第3のパーツと接続するための円筒部を有し、前記凸部は、前記第1のパーツの前記外面に形成された凹部と係合することにより、前記第1のパーツを前記第2のパーツ内で位置決めする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面に継ぎ目が出ないようにして、外観における美観を維持することを可能とする玩具部品及び人形玩具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施形態に係る人形玩具の外観正面の一例を示す図。
【
図1B】実施形態に係る人形玩具の外観側面の一例を示す図。
【
図2】実施形態に係る人形玩具の(a)胴体部の分解斜視図、及び(b)胸部の分解斜視図。
【
図3】実施形態に係る人形玩具の肩関節部の(a)斜視図、(b)断面図、及び(c)分解図。
【
図4】実施形態に係る人形玩具の肩関節部の回動動作を説明するための図。
【
図5】実施形態に係る人形玩具の(a)胴体部の分解斜視図、及び(b)腰部の分解斜視図。
【
図6】実施形態に係る人形玩具の脚部の可動機構(a)分解斜視図、及び、(b)断面図
【
図7】実施形態に係る人形玩具の脚部の可動機構の(a)斜視図、及び、(b)断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
また、各図において、紙面における上下左右方向を、本実施形態における部品(またはパーツ)の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。なお本発明は、以下に説明する実施形態おいて成形材料としてABS(アクリロニトリル (Acrylonitrile)・ブタジエン (Butadiene)・スチレン (Styrene))樹脂及び、SBC(スチレン(styrene)・ブタジエン(butadiene)共重合体(copolymer)、スチレン系特殊透明樹脂)等を例示するがこれに限定されず、他の材質(ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、軟質樹脂、金属等)の利用を排除するものではない。
【0012】
<人形玩具の外観>
まず、
図1A及び
図1Bを参照して、本実施形態に係る人形玩具100の外観構成の一例について説明する。
図1Aは人形玩具100の外観正面を示す。
図1Bは人形玩具100の外観側面を示す。なお、上下、左右、前後の矢印については図における人形玩具の向きを示し、他の図面についても同様である。
【0013】
人形玩具(人形体)100は、頭部101、胸部102、腕部103r、103l、腹部104、腰部105、及び脚部107r、107lを備える。人形玩具100は、組み立て式の可動フィギアなどの可動式の人形玩具であり、各パーツは他の部材との関係で生じる制限領域の範囲内で可動させることができる。頭部101は胸部102に球形状の連結部材によって連結される(以下では、ボールジョイントとも称する。)。胸部102には、さらに右腕103r及び左腕103lを含む腕部103が球形状の連結部材で連結され、下部において腹部104が連結される。胸部の詳細な構成については後述する。腹部104には腰部105が連結される。腰部105には右脚部107r及び左脚部107lを含む脚部107が連結され、スカート等の服飾部で覆われる。
【0014】
なお、以下では、頭部101、胸部102、及び腕部103を含む上半身を上体部と称する。また、腰部105、脚部107r、107lを含む下半身を下体部と称する。上体部及び下体部は腹部104を介して連結される。また、胸部102、腹部104、及び腰部105をまとめて胴体部とも称する。以下では、本実施形態に係る関節構造として、胸部102に球形状の連結部材(ボールジョイント)によって腕部103bを連結する肩関節構造と、腰部105と連結する股関節構造とについて説明する。しかしながら、本発明を限定する意図はなく、以下で説明する関節構造は、肩関節や股関節に限らず、他の関節部、例えば肘関節、膝関節などの関節部に適用することも可能である。
【0015】
<上体部(胸部)の構成>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る人形玩具100の上体部における胸部102の詳細構成ついて説明する。
図2(a)は上体部のうち胸部102と、腹部104及び腰部105とを分解した斜視図である。
図2(b)は胸関節及び肩関節を含む胸部102の分解図である。腕部103r、103lは肩関節に接続されるが、
図2では、腕部103rについては省略してある。
【0016】
図2(a)に示すように、胸部102は腹部104に対して球形状の連結部(ボールジョイント)で連結される。即ち、本実施形態に係る胸関節はボールジョイントで可動可能に胸部102を腹部104に対して連結するものである。しかし、本発明を限定する意図はなく、球形状の連結部に代えて他の形状の連結部を採用してもよい。
【0017】
図2(b)に示すように、胸部102は、複数のパーツ201~207を含んで構成される。パーツ201は、複数の関節の基部となるパーツである。パーツ201に対して下部からパーツ202が挿入され、胸関節が形成される。また、パーツ201に対してパーツ202が挿入された状態で、両側からパーツ203r、203lがそれぞれ嵌め込まれる。これにより、パーツ202がパーツ201から抜け落ちることを防止することができる。
【0018】
パーツ203r、203lにはそれぞれパーツ204r、204lが接続され、パーツ201とともに肩関節が形成される。さらに、パーツ204r、204lには腕部103r、103lが接続される。
図2(b)では、腕部103lのみを示している。なお、胸部の外部パーツであるパーツ205と、背中上部の外部パーツであるパーツ206とが、パーツ201~203を挟み込むように組み付けられることにより、各パーツが係止されて固定される。
【0019】
パーツ201の上部にはさらに凹部が形成される。当該凹部にはパーツ207の球形状に形成された連結部が接続される。パーツ201及びパーツ207の連結により、人形玩具100の首関節が形成される。このように、本実施形態によれば複数の関節の基部となるパーツ201を用いて胸関節、肩関節、及び首関節を実現することができ、より少ないパーツで種々の可動を可能にすることができる。また、各関節において球形状の連結部が用いられる場合は、他のパーツの空間的な制限の範囲内で全方向に回動することができる。
【0020】
<胸関節に接続される肩関節の構成>
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る胸関節に接続される肩関節の詳細構成について説明する。
図3(a)は腕部103lにおける肩関節を構成する一部の構成を示す斜視図である。ここでは、肩関節部300と称する。
図3(b)は
図3(a)の肩関節部300の断面構造の一例を示す断面図である。
図3(b)の断面図は、
図3(a)のA-A'線の断面を、矢印の方向から見た図である。
図3(c)は、当該肩関節部300の分解図の一例を示す。以下、
図3(a)から
図3(c)を参照して説明する。
【0021】
図3において肩関節部300は、パーツ203l、パーツ204l(第2のパーツ)、パーツ301(第3のパーツ)、パーツ302(第1のパーツ)の組み合せにより構成されている。
図3では、左右のパーツを識別するためのr、lの符号を省略しているが、
図3は左腕の構成を示しており、右腕部103rにも同様のパーツが使用されているものとする。
【0022】
パーツ203lは、一方の端部に球形状の連結部203laが形成されると共に、他方の端部には開口203lbが形成されている。この開口203lbに対してパーツ204lの一方の端部に形成された球形状の連結部204laが、例えば
図3(b)で矢印321で示す方向に回動可能に接続される。また、パーツ204lの他方端部には、開口204lbが形成されており、開口204lbには、パーツ302の上端側に形成された突起部302aが、例えば矢印322で示す方向に回動可能に接続される。この回動範囲は、パーツ204lのパーツ302との接続面側に設けられた凹部の端部204lc及び204ldと、パーツ302の突起部302aの下側に設けられた突起部302cとの係合により規制される。また、開口204lbと突起部302aとの接続部分は、外部に露出しないようにパーツ301の上端側のカバー部材301a、301bにより覆われる。カバー部材301aと301bの上端部の形状は、パーツ204lがパーツ302に対して回動する際の連結部204laの軌道と対応するよう円弧状となっている。これにより、パーツ204l回動時の連結部204laの軌道を妨げることが無い。
【0023】
ここで、パーツ301は、一体的に形成されており表面には継ぎ目がない。これにより肩部や素肌を見せる構造の人形玩具100において、連結部分を視覚的に目立たないようにしつつ、継ぎ目による違和感を排して素肌感を印象付けることができる。また、パーツ301には上側の開口と下側の開口とを接続する空洞(第1の空洞、貫通孔)が内部に形成されており、当該空洞にパーツ204lとパーツ302とを、開口204lbと突起部302aとを接続させた状態において、パーツ301の上側の開口より挿入する。パーツ302の上端部には上述の突起部302aが形成されており、他端部側は空洞に挿入される筒状の部材として構成されている。また、筒状部材には段差302b(第1の段差)が設けられており、段差302bを介して、他端部側に向かう方が筒状部材の内径がより細くなっている、或いは、筒状部材の内径が異なっている。
図3では、段差を1段しか設けていないが、筒状部材の内径を3以上異ならせることで複数段の段差を設けるようにしてもよい。段差302bに対応する段差はパーツ301内の空洞にも設けられており(段差301d:第2の段差)、段差301dと段差302bとが係合することにより、パーツ302のパーツ301に対する挿入深さが規定される。また、このときパーツ302の下端部がパーツ301の空洞から突き出した状態で維持される。パーツ302の下側の開口から突出した部材には、人形玩具100の腕部103lを構成する他のパーツが接続される。
【0024】
図4は、パーツ204lとパーツ302との回動動作を説明するための図である。
図4(a)は、パーツ204lの構成を
図3(c)で示した側とは反対の側から示した図であり、パーツ204lのパーツ302との接続面側には、端部204lcと204ldとで規定される凹部204leが、開口204lbに沿って形成されている。
図4(b)は、パーツ302の構成を
図3(c)で示した側とは逆側から示した図であり、突起部302cを点線で示している。
【0025】
図4(c)は、パーツ204lとパーツ302とが回動可能に接続され、回動する際の回動範囲を示している。突起部302cは、凹部204leと係合し、端部204lcから204ldの範囲において移動可能であり、このようにしてパーツ302に対するパーツ204l(或いはその逆)の回動範囲が規定される。
【0026】
<腰部の構成>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る人形玩具100の腰部105の詳細構成ついて説明する。
図5(a)は胸部102及び腹部104と、腰部105とを分解した斜視図である。
図5(b)は腰関節及び股関節を含む腰部105と、脚部107r、107lの一部との分解図である。
【0027】
図5(a)に示すように、腰部105は腹部104に対して球形状の連結部(ボールジョイント)で連結される。これにより、腰部105を腹部104に対して回動可能に接続することができる。
【0028】
次に、
図5(b)に示すように、腰部105は、少なくとも複数のパーツ501~504を含んで構成される。パーツ501は、複数の可動機構の基部となるパーツである。パーツ502はパーツ501に対して回動可能に接続される。パーツ502は、人形玩具100の服飾の一部である。より詳細には、パーツ502は人形玩具100のパンツ部分となる。したがって、本実施形態に係る人形玩具100では、パンツ部分が他の可動機構や他のパーツから独立した軸可動で動作するものである。パーツ502には、さらに、人形玩具100の臀部や服飾の一部であるスカートを表現するパーツ504が接続される。したがって、パーツ502の回動に合わせてパーツ504も同様に回動する。パーツ503r、503lのそれぞれは、パーツ501の一端に形成された円筒部に順次接続される。これにより、人形玩具100の股関節が形成される。パーツ503r、503lのそれぞれには、さらに、脚部107r、107lの一部のパーツ505r、505lが接続される。
【0029】
<脚部の可動機構>
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る股関節に接続される脚部の可動機構505ついて説明する。
図6(a)は脚部107rの一部のパーツ505rの分解図を示す。
図6(b)はパーツ503rとパーツ505rとを接続した状態の断面図を示す。なお、
図6を参照して右脚の可動機構の構成について説明するが、左脚の構成についても同様であるため説明を省略する。
【0030】
図6(a)に示すように、脚部107rのパーツ505rは、さらにパーツ601~604を含んで構成される。パーツ601(第4の部材)はパーツ505rの基部となるパーツであり、上部の受け入れ部において球形状のパーツ602を回動可能に受け入れる。パーツ602(第5の部材)の回動方向は、
図6(b)の矢印621で示す方向であり、パーツ602は、パーツ601に収容された状態において、連結部602aを介してパーツ503rと接続可能である。パーツ602は球形状を有しており、パーツ503rに対してボールジョイントとして機能する。パーツ601とパーツ602とは、パーツ603(第6の部材)の内部に設けられた空洞(第2の空洞、貫通孔)603a内に収容される。空洞603aは、パーツ603が、パーツ601とパーツ602とを受け入れる側の下側の開口と、パーツ602の連結部602aをパーツ603の外部に露出するための上側の開口とをつなぐように形成されている。
【0031】
空洞603aの内側には突起部603bが形成されており、当該突起部603bは、パーツ601に設けられた凹部601aと係合することにより、パーツ603内でのパーツ601及びパーツ602の位置決めを行うことができる。この位置決め機構により、パーツ602の連結部602aをパーツ603の上側の開口の位置に合わせて、パーツ503rとの連結を確保することができる。
【0032】
ここで、パーツ603は、一体的に形成されており表面には継ぎ目がない。これにより脚部や素肌を見せる構造の人形玩具100において、連結部分を視覚的に目立たないようにしつつ、継ぎ目による違和感を排して素肌感を印象付けることができる。
【0033】
図6(b)に示すように、パーツ503rとパーツ602とが組み付けられてボールジョイントを形成し、脚部107rの内部に設けられる。したがって、パーツ602に接続される脚部107rは、股関節に対して他のパーツの制限の範囲内で矢印
621に示すように全方向に回動可能となる。また、パーツ601の下部の円筒部がパーツ604の凹部に回転可能に挿入される。したがって、脚部107rでは、パーツ604以下の部分がパーツ601に対して矢印522の方向に回転可能である。
【0034】
次に
図7を参照して、脚部107の可動機構505の構造を更に説明する。
図7(a)は、可動機構505の一部の構成として、パーツ601とパーツ602とが接続されて、パーツ603内に収容された状態を示す図である。パーツ602は、パーツ601が有する開口から、パーツ603が有する上側の開口を介して連結部602aを外部に露出させ、パーツ503rを受け入れ可能としている。
【0035】
図7(b)は、
図7(a)のB-B'線の断面を上側から見た図である。
図7(b)によれば、パーツ603内にパーツ601とパーツ602とが収容された状態において、パーツ602はパーツ601とパーツ603とに挟まれて、パーツ603の外に抜けないような構成となっていることが理解できる。具体的に、パーツ602は、パーツ601の開口の内壁と、パーツ603の空洞の内壁とに挟まれて配置されている。パーツ601の開口の内壁は、パーツ602の球形状の外形に対応した形状を有しており、これにより、パーツ602はパーツ601内で回転することができる。また、
図7(b)の状態において、パーツ601の凹部とパーツ603の突起部603bとが係合して、位置決めされていることがわかる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る玩具部品は、組み立て式の人形型の玩具体の肩部や脚部といった、外部に露出する部分の構成にかかり、いずれの構成においても、外側に露出するパーツを一体的に形成することで、従来のような2つのパーツを組み合わせることで発生する継ぎ目や分割線を表面からなくすことができるので、見る者に対して視覚的な違和感を与えることがなく、自然な素肌感を感じさせることが可能となる。また、一体的なパーツは、関節部分を形成し、内部に少なくとも2つのパーツから成る連結部材を収納し、連結部材を覆うことで、関節部分が外部に露出することを防ぐことができる。なお、本実施形態では、玩具体の肩部や脚部の素肌部分に適用する場合を説明したが、例えば単色の衣服が表現されている場合等、継ぎ目や分割線が発生すると違和感を抱く部分に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
100:人形玩具、101:頭部、102:胸部、103r、103l:腕部、104:腹部、105:腰部、107r、107l:脚部