(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】燃焼装置および燃焼方法
(51)【国際特許分類】
F23D 14/28 20060101AFI20250108BHJP
F23C 3/00 20060101ALI20250108BHJP
F24H 1/16 20220101ALN20250108BHJP
【FI】
F23D14/28 Z
F23C3/00
F24H1/16 B
(21)【出願番号】P 2024165391
(22)【出願日】2024-09-24
【審査請求日】2024-09-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514276942
【氏名又は名称】株式会社CDSI
(73)【特許権者】
【識別番号】000151210
【氏名又は名称】株式会社土谷製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥間 保胤
(72)【発明者】
【氏名】土谷 敏行
(72)【発明者】
【氏名】清水 光
(72)【発明者】
【氏名】猪子 純一
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-521583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0165467(US,A1)
【文献】特表2018-529620(JP,A)
【文献】特開昭63-089401(JP,A)
【文献】特開2014-088280(JP,A)
【文献】特開2014-105152(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1185208(KR,B1)
【文献】特表2004-504243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/00-14/84
F23C 3/00
F24H 1/10
F23K 5/00
C01B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部内の液体と反応させて水素を放出する、常温で固体の燃料を配置する
前記貯留部内に設けられた配置部と、
発生した水素を
前記貯留部内の液体の表面で燃焼させる燃焼部と、
前記液体の温度を制御する温度制御部と、
を有することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記温度制御部は、前記貯留部に流入および流出する液体の流量を調整する請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記温度制御部は、反応により生じる水素の量を制御する請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
液体を貯留する貯留部に、前記貯留部内の液体と反応させて水素を放出する、常温で固体の燃料を
前記貯留部内に配置し、
発生した水素を
前記貯留部内の液体の表面で燃焼させ、
前記液体の温度を制御する、
ことを特徴とする燃焼方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼装置および燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスの燃焼方法が知られている。例えば、水素ガスまたは水素を主成分とする燃焼ガスを、予め水中を気泡状で通過させるか、または水面と接触させて5~50容量%の水蒸気を添加し、次いでこのガスを燃焼させる燃焼方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素は、その性質上取り扱いが難しく、また、安定して燃焼させることが難しいという問題がある。
1つの側面では、本発明は、安全かつ容易に水素を燃焼させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の燃焼装置が提供される。この燃焼装置は、液体を貯留する貯留部と、貯留部内の液体と反応させて水素を放出する、常温で固体の燃料を配置する配置部と、発生した水素を燃焼させる燃焼部と、液体の温度を制御する温度制御部と、を有している。
【発明の効果】
【0006】
1態様では、安全かつ容易に水素を燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態の燃焼システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の燃焼装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の燃焼システムを説明する図である。
燃焼装置100は、温水生成部1と制御部(コンピュータ)2とを有している。
温水生成部1は、常温で固体の燃料を液体中に配置し、発生した水素を液体の表面で燃焼させることにより温水を生成する。
制御部2は温水生成部1の燃焼が安全に行われるように温度や液体の流量を制御する。
図2は、実施の形態の温水生成部を示す斜視図である。
図3は、実施の形態の温水生成部の透過側面図である。
図4は、
図3に示すA-A線での断面図である。
実施の形態の温水生成部1は、燃焼筒11と燃料投入口12と第1注水口13と排水・残渣排出口14と第2注水口15と排水口16とを有している。
【0010】
燃焼筒11は、筒状をなしている。燃焼筒11の上部には蓋部111が配置されている。蓋部111には開口部111aが形成されている。開口部111aには燃料投入口12が挿通されている。
【0011】
燃料投入口12は、開口部121を備えており、この開口部121から固体燃料が投入される。開口部121には、手動で固体燃料を投入できるほか、図示しない固体燃料投入装置を配置することができ、制御部2の指示に従って単位時間当たりの固体燃料投入量を制御することができる。この固体燃料投入装置は、一般的な定量供給装置が使用できる。この固体燃料は、液体と反応することで水素ガスを放出する、常温で固体の燃料である。固体燃料としては、例えば、水素化マグネシウム(MgH2)や水素化カルシウム(CaH2)等が挙げられる。
【0012】
図3に示すように、燃焼筒11内には、貯留部112と、配置部(燃料トラップ)113と、燃料ガイド114と、吸気口115と熱交換器116とが設けられている。
【0013】
貯留部112には、固体燃料を反応・燃焼用の液体(例えば水や酸性の液体)を貯留する。本実施の形態では水を貯留するものとして説明する。
図4において、貯留された水を斜線で示している。
【0014】
配置部113には、開口部121から投入された固体燃料が配置される。配置部113は、端部が燃焼筒11の壁面に沿って形成され、平面視で燃料ガイド114の周りを取り囲む環状をなしている。配置部113は細かい網の目構造をなしている。反応が進んだ固体燃料は、網の目からこぼれ落ちる。
燃料ガイド114は、投入された固体燃料を配置部113に導く。
吸気口115は、外部の空気を燃焼筒11の内部に取り込むことができる。
【0015】
第1注入口13からは、固体燃料を反応・燃焼用の水が注入される。以下の説明では、第1注入口13から注入され、貯留部112に貯留される水を「貯留水」と言う。燃焼筒11内の貯留水の水面20は発生した水素ガスの燃焼部となる。以下の説明では、水面20を燃焼面20とも言う。
【0016】
排水・残渣排出口14は、第1注入口13から注入された貯留水や、反応後の固体燃料の残渣の排出口である。排水・残渣排出口14には図示しない弁が配置されている。弁が閉鎖されることで、燃焼筒11内に所定量の貯留水が貯留される。
【0017】
第2注水口15からは、液体(例えば水)が注入される。本実施の形態では水を注入するものとして説明する。第2注水口15は熱交換器116に接続されている。熱交換器116を通過する水は、水素ガスの燃焼により得られる熱により熱せられる。
【0018】
排水口16は、熱せられた水(温水)の出口である。排水口16には図示しない弁が配置されている。弁が閉鎖されることで、熱交換器116内に所定量の水が貯留される。
【0019】
ところで、燃焼筒11には、貯留水の温度を制御する各種センサが設けられている。具体的には、燃焼筒11には、水温センサ31と、火炎温度センサ32と、水素発生量検出センサ33とを有している。
水温センサ31は、燃焼面20の近傍に配置されている。水温センサ31は、燃焼面20近傍の貯留水の温度を計測する。
火炎温度センサ32は、燃焼面20のやや上方に配置されている。火炎温度センサ32は、燃焼により発生する火炎の温度を計測する。
【0020】
水素発生量検出センサ33は、燃焼面20の近傍に配置されている。この水素発生量検出センサ33は、例えばドップラーセンサや加速度センサを有している。水素発生量検出センサ33は、燃焼面20近傍の貯留水内を通過する気泡の流量を計測する。
これら水温センサ31と、火炎温度センサ32と、水素発生量検出センサ33の計測結果は制御部2に送信される。
【0021】
制御部2は、計測結果に基づいて第1注水口13から注入する水の流量や、燃料投入口12からの固体燃料の投入量を制御することができる。具体的には貯留水の水温が一定温度以上のときには第1注水口13から注入する水量を増やし、排水・残渣排出口14から流出する水量を増やすことができる。これにより、水温を下げることができる。
【0022】
火炎温度が高いときには第1注水口13から注入する水量を増やしたり、固体燃料の投入量を減らしたりすることができる。これにより、火炎温度を下げることができる。水素発生量が多い場合には、固体燃料の投入量を減らすことができる。これにより水素発生量を減らすことができる。
【0023】
また、制御部2は、燃料投入口12からの燃料の投入量や、第2注水口15から注水する水の流量や、排水・残渣排出口14の弁の開閉等も制御することができる。
【0024】
次に、燃焼装置1の使用方法の一例を説明する。下記処理は一例であり、一部の処理の順番を入れ替えたり、ここに記載のない任意の処理を追加したりしてもよい。
【0025】
制御部2は、排水・残渣排出口14の弁を閉鎖した状態で第1注水口13から燃焼筒11に水を注入する。これにより、所定量の貯留水が貯留部112に貯留される。また、制御部2は、第2注水口15から熱交換器116に水を注入する。
次に制御部2は、燃料投入口12から固体燃料を投入する。投入された固体燃料は、燃料ガイド114により配置部113に導かれる。
図5は、投入された固体燃料の一例を示す図である。
【0026】
図5において投入された固体燃料50を図示している。固体燃料50は貯留水と反応して水素を放出する。このタイミングで水面20に火種を近づけることで、水面20で水素が燃焼する。
また、また、水温センサ31と、火炎温度センサ32と、水素発生量検出センサ33は、計測結果を制御部2に送信する。
制御部2は、水温センサ31の検出結果に基づき、貯留水の水温を、例えば60~70℃を保つように制御する。
また、制御部2は、熱交換器116内の温水の温度が所定の温度に達すると、排水口16の弁を開放し、温水の放出を開始する。
【0027】
また、制御部2は、各種センサの計測結果に基づいて第1注水口13から注入する水の流量や、前述した固体燃料投入装置により燃料投入口12からの固体燃料の投入量を制御する。
【0028】
以上述べたように、実施の形態の燃焼装置100によれば、水を貯留する貯留部112と、貯留部112内の水と反応させて水素を放出する、固体燃料を配置する配置部113と、発生した水素を燃焼させる燃焼部と、を備える温水生成部1と、貯留水の水温を制御する制御部2と、を有する。従って、安全かつ容易に水素を燃焼させることができる。
【0029】
なお、本実施の形態では、水素の燃焼により温水を生成する場合を説明したが、燃焼装置の用途は温水の生成に限定されず、燃焼を他の用途に使用してもよい。他の用途としては、例えば食品加工装置等が挙げられる。
【0030】
また、本実施の形態では制御部2は燃焼装置100と一体のものとして説明したが、CPUや記憶部を有する他の装置の一部で代替することもできる。例えば、デスクトップPCやタブレットやスマートフォンによって制御部2の機能が代替されてもよい。すなわち、燃焼装置100が行った処理が、複数の装置によって分散処理されるようにしてもよい。
【0031】
以上、本発明の燃焼装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0032】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、制御部2が有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記憶装置には、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクには、DVD、DVD-RAM、CD-ROM/RW等が挙げられる。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0033】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0034】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0035】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0036】
1 温水生成部
2 制御部
11 燃焼筒
111 蓋部
111a 開口部
112 貯留部
113 配置部(燃料トラップ)
114 燃料ガイド
115 吸気口
116 熱交換器
12 燃料投入口
121 開口部
13 第1注水口
14 排水・残渣排出口
15 第2注水口
16 排水口
20 水面(燃焼面)
31 水温センサ
32 火炎温度センサ
33 水素発生量検出センサ
50 固体燃料
100 燃焼装置
【要約】
【課題】安全かつ容易に水素を燃焼させること。
【解決手段】燃焼装置は、水を貯留する貯留部112と、貯留部112内の水と反応させて水素を放出する、固体燃料を配置する配置部113と、発生した水素を燃焼させる燃焼部と、を備える温水生成部1と、貯留水の水温を制御する制御部と、を有する。
【選択図】
図4