(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G01L5/00 103D
G01L5/00 103E
(21)【出願番号】P 2024511260
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2022048614
(87)【国際公開番号】W WO2023188665
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2022057382
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 伸児
(72)【発明者】
【氏名】西山 輝
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-098603(JP,A)
【文献】実開昭61-145110(JP,U)
【文献】特開2021-169998(JP,A)
【文献】特開2002-162300(JP,A)
【文献】実開昭62-030134(JP,U)
【文献】実開平05-075635(JP,U)
【文献】米国特許第03151258(US,A)
【文献】中国特許出願公開第112924073(CN,A)
【文献】特開2017-211377(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112763125(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00,5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部及び第2端部を有する本体部と、前記第1端部がある第1側と前記第2端部がある第2側とを結ぶ方向に前記本体部を貫通する貫通孔とを有し、前記貫通孔に締結機構のボルト部が挿通される起歪体と、
前記締結機構によって前記貫通孔の延在方向に加えられる締結軸力による前記起歪体の歪みを検出する歪センサと、
前記起歪体の前記本体部の少なくとも一部を前記本体部の第1外側面に沿って収容するケースと
を含み、
前記起歪体は、前記貫通孔を囲む周方向において前記第1外
側面に少なくとも1つ設けられる凸部であって、前記第1外側面よりも平面視で外側に突出する凸部を有し、
前記ケースは、前記第1外側面に対向する対向壁部を有し、
前記対向壁部は、平面視で外側に向かって凹み、前記凸部を収容する凹部を有する、検出装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記第1側に位置する第1表面を有する第1壁部と、前記第1壁部に設けられる第1開口部と、前記第2側に位置する第2表面を有する第2壁部と、前記第2壁部に設けられる第2開口部とを有し、
前記第1開口部、前記対向壁部、及び前記第2開口部は、前記起歪体の前記本体部の少なくとも一部を収容する収容部を形成し、
前記起歪体の前記第1端部の第1端面は、前記第1開口部から表出するとともに、前記貫通孔の延在方向において前記第1表面よりも前記第1側に突出し、
前記起歪体の前記第2端部の第2端面は、前記第2開口部から表出して、前記貫通孔の延在方向において前記第2表面よりも前記第2側に突出する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記起歪体の前記第1端部の第1端面と、前記第2端部の第2端面とは平坦面である、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記本体部は、
前記第1側に第3端部を有するとともに前記第2側に前記第2端部を有し、前記貫通孔を囲む基部と、
前記基部の側部から平面視で外側に延在する延在部と、
前記延在部の前記第1側の部分から前記貫通孔の延在方向における前記第1側に突出するとともに、前記基部の第2外側面との間に間隔を空けて前記第2外側面を囲繞する囲繞壁部と
をさらに有し、
前記第1端部の第1端面は、前記囲繞壁部の前記第1側の端面であり、前記貫通孔の延在方向において、前記第3端部の第3端面よりも前記第1側に突出しており、
前記第1外側面は、前記延在部の外側面である、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記本体部は、
前記貫通孔の周囲に沿って前記第1端部に設けられ、前記第1端部の第1端面よりも前記貫通孔の延在方向における前記第2側に凹む、複数の第1凹部と、
前記貫通孔の周囲に沿って前記第2端部に設けられ、前記第2端部の第2端面よりも前記貫通孔の延在方向における前記第1側に凹む、複数の第2凹部と
を有し、
前記複数の第1凹部と、前記複数の第2凹部とは、前記貫通孔の周囲に沿って、交互に配置される、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項6】
前記複数の第1凹部と、前記複数の第2凹部とは、前記貫通孔を囲む方向において、重複区間を有するように配置される、請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
第1端部及び第2端部を有する本体部と、前記第1端部がある第1側と前記第2端部がある第2側とを結ぶ方向に前記本体部を貫通する貫通孔とを有し、前記貫通孔に締結機構のボルト部が挿通される起歪体と、
前記締結機構によって前記貫通孔の延在方向に加えられる締結軸力による前記起歪体の歪みを検出する歪センサと、
前記起歪体の前記本体部の少なくとも一部を前記本体部の第1外側面に沿って収容するケースと
を含み、
前記起歪体は、前記貫通孔を囲む周方向において前記第1外
側面に少なくとも1つ設けられる凹部であって、前記第1外側面よりも平面視で内側に凹んだ凹部を有し、
前記ケースは、前記第1外側面に対向する対向壁部を有し、
前記対向壁部は、平面視で外側に向かって突出し、前記凹部
に収容される凸部を有する、検出装置。
【請求項8】
前記第1端部の第1端面は、前記締結機構のナットと、前記締結機構によって締結される被締結部材とのいずれか一方に当接し、
前記第2端部の第2端面は、前記締結機構のナットと、前記締結機構によって締結される被締結部材とのいずれか他方に当接する、請求項1又は7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記凸部は、前記貫通孔の延在方向において、前記第1端部の第1端面よりも前記第2側で、かつ、前記第2端部の第2端面よりも前記第1側に位置し、前記凸部と前記第1端面との間には段差があり、前記凸部と前記第2端面との間には段差がある、請求項
1に記載の検出装置。
【請求項10】
前記ケースは、平面視で前記凸部と重なり、前記対向壁部よりも前記第1外側面側に突出し、前記凸部の前記第1端部側の部分と係合する係合部をさらに有する、請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
前記凹部は、前記貫通孔の延在方向において、前記第1端部の第1端面よりも前記第2側に凹んでおり、前記凹部と前記第1端面との間には段差がある、又は、前記凹部は、前記貫通孔の延在方向において、前記第2端部の第2端面よりも前記第1側に凹んでおり、前記凹部と前記第2端面との間には段差がある、請求項7に記載の検出装置。
【請求項12】
前記ケースは、前記対向壁部の一部に設けられ、前記歪センサに接続される信号線を通す切り欠き部又は孔部をさらに有する、請求項1又は7に記載の検出装置。
【請求項13】
前記起歪体の前記第1外側面と、前記ケースの前記対向壁部との間に充填される充填材をさらに含む、請求項1又は7に記載の検出装置。
【請求項14】
第1端部及び第2端部を有する本体部と、前記第1端部がある第1側と前記第2端部がある第2側とを結ぶ方向に前記本体部を貫通する貫通孔とを有し、前記貫通孔に締結機構のボルト部が挿通される起歪体と、
前記締結機構によって前記貫通孔の延在方向に加えられる締結軸力による前記起歪体の歪みを検出する歪センサと、
前記起歪体の前記本体部の少なくとも一部を前記本体部の外側面に沿って収容するケースと
を含み、
前記起歪体は、平面視において前記本体部の前記外側面から前記貫通孔の開口面視で外側に突出するフランジを有し、
前記フランジは、前記貫通孔を囲む周方向において前記フランジの外縁部に少なくとも1つ設けられる切欠部であって、前記フランジの外縁部よりも平面視で内側に切欠かれた切欠部を有し、
前記ケースは、前記フランジの前記外縁部に対向する対向壁部を有し、
前記対向壁部は、平面視で内側に突出し、前記切欠部に収容される凸部を有する、検出装置。
【請求項15】
前記本体部は、複数の前記フランジを有し、
前記複数のフランジは、前記本体部の前記外側面に前記貫通孔の貫通方向に沿って離間して設けられており、
前記歪センサは、前記本体部の前記外側面のうちの前記複数のフランジの間の部分に設けられている、請求項
14に記載の検出装置。
【請求項16】
第1のOリングと、
第2のOリングと
をさらに含み、
前記複数のフランジは、前記貫通孔の貫通方向における第1側に配置される第1フランジと、前記貫通孔の貫通方向における第2側に配置される第2フランジとを有し、
前記第1のOリングは、前記第1フランジと前記ケースとの間に潰された状態で設けられ、
前記第2のOリングは、前記第2フランジと前記ケースとの間に潰された状態で設けられる、請求項
15に記載の検出装置。
【請求項17】
第1端部及び第2端部を有する本体部と、前記第1端部がある第1側と前記第2端部がある第2側とを結ぶ方向に前記本体部を貫通する貫通孔とを有し、前記貫通孔に締結機構のボルト部が挿通される起歪体と、
前記締結機構によって前記貫通孔の延在方向に加えられる締結軸力による前記起歪体の歪みを検出する歪センサと、
前記起歪体の前記本体部の少なくとも一部を前記本体部の外側面に沿って収容するケースと
を含み、
前記起歪体は、前記貫通孔を囲む周方向において前記
外側面に少なくとも1つ設けられる切欠部であって、前記外側面よりも平面視で内側に切欠かれた切欠部を有し、
前記ケースは、前記外側面に対向する対向壁部を有し、
前記対向壁部は、平面視で内側に突出し、前記切欠部に収容される凸部を有する、検出装置。
【請求項18】
リーダ装置から送信される信号の電力で起動し、前記歪センサによって検出される歪みに応じたデータを含む信号を放射する通信部をさらに含む、請求項1、7、
14、及び
17のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内側に第1鍔部と第1ネジ山を有する筒状の第1部材と、前記第1部材と同心状に配置され、外側に第2鍔部と第2ネジ山を有する筒状の第2部材と、筒状で、外側に前記第1ネジ山に螺合される第3ネジ山を有する第1構造体と、前記第1構造体の内側に設けられ、筒状で内側に前記第2ネジ山に螺合される第4ネジ山を有する第2構造体と、前記第1構造体と前記第2構造体との間に設けられ、弾性を有する第3構造体とを有し、前記第1構造体の外側に前記第1部材が装着され、前記第2構造体の内側に前記第2部材が装着される第1起歪体と、第1端部が前記第1構造体と前記第1鍔部との間に設けられ、第2端部が前記第2構造体と前記第2鍔部との間に設けられ、歪センサを有する少なくとも1つの第2起歪体と、を具備するロードセルがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のロードセルでは、第1ネジ山と第3ネジ山とが螺合されることにより、第1部材が第1起歪体の第1構造体の外側に装着されるが、第1部材と、第1起歪体の第1構造体との間で螺合されたネジが緩むと、第1部材に対して第1起歪体が回動するおそれがある。第1起歪体が回動すると、歪センサの配線の断線や、第1部材に対してガタつきが生じることによる検出精度の低下等の問題が生じ得る。
【0005】
そこで、起歪体の回動を抑制した検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の検出装置は、第1端部及び第2端部を有する本体部と、前記第1端部がある第1側と前記第2端部がある第2側とを結ぶ方向に前記本体部を貫通する貫通孔とを有し、前記貫通孔に締結機構のボルト部が挿通される起歪体と、前記締結機構によって前記貫通孔の延在方向に加えられる締結軸力による前記起歪体の歪みを検出する歪センサと、前記起歪体の前記本体部の少なくとも一部を前記本体部の第1外側面に沿って収容するケースとを含み、前記起歪体は、平面視において前記本体部の前記第1外側面よりも外側に突出する凸部を有し、前記ケースは、前記第1外側面に対向する対向壁部を有し、前記対向壁部は、平面視で外側に向かって凹み、前記凸部を収容する凹部を有する。
【発明の効果】
【0007】
起歪体の回動を抑制した検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1の検出装置100を示す斜視図である。
【
図2】検出装置100を分解した状態を示す図である。
【
図5】起歪体120及び歪センサ130を示す図である。
【
図6】起歪体120及び歪センサ130を示す図である。
【
図7】検出装置100から上ケース110Uを取り外し、封止樹脂150を省いた状態を示す図である。
【
図8】下ケース110Lに起歪体120及び歪センサ130を配置した状態を示す図である。
【
図9】下ケース110Lに起歪体120及び歪センサ130を配置した状態を示す図である。
【
図10】検出装置100の使用状態の一例を示す図である。
【
図11A】実施形態1の第1変形例の検出装置100Aを示す図である。
【
図11B】検出装置100Aを分解した状態を示す図である。
【
図12A】実施形態1の第1変形例の検出装置100Bを示す図である。
【
図12B】検出装置100Bを分解した状態を示す図である。
【
図13A】第3変形例の起歪体120Cを示す図である。
【
図13B】第3変形例の起歪体120Cを示す図である。
【
図14A】第4変形例の起歪体120Dを示す図である。
【
図14B】第4変形例の起歪体120Dを示す図である。
【
図15A】第5変形例の起歪体120Eを示す図である。
【
図15B】第5変形例の起歪体120Eを示す図である。
【
図16】実施形態2の検出装置200を示す斜視図である。
【
図17】実施形態2の検出装置200を示す斜視図である。
【
図18】検出装置200を分解した状態を示す図である。
【
図19】検出装置200を分解した状態を示す図である。
【
図23】検出装置200から上ケース110Uを取り外し、封止樹脂150を省いた状態を示す図である。
【
図25】起歪体220に締結軸力を加えた場合の歪みの分布を計算したシミュレーション結果を示す図である。
【
図26】実施形態3の起歪体320を示す図である。
【
図27】起歪体320に締結軸力を加えた場合の歪みの分布を計算したシミュレーション結果を示す図である。
【
図28A】実施形態4の起歪体420を示す図である。
【
図28B】実施形態4の起歪体420を示す図である。
【
図29A】実施形態4の変形例の起歪体420を示す図である。
【
図29B】実施形態4の変形例の起歪体420を示す図である。
【
図30A】実施形態5の検出装置500を示す斜視図である。
【
図30B】実施形態5の検出装置500を示す斜視図である。
【
図31A】検出装置500を分解した状態を示す図である。
【
図31B】Oリング560が装着された起歪体520を示す図である。
【
図32A】ケース510の下ケース510Lと起歪体520を示す図である。
【
図32B】ケース510の下ケース510Lと起歪体520を示す図である。
【
図34】実施形態5の第1変形例の検出装置500M1を示す図である。
【
図35A】実施形態5の第2変形例の起歪体520M2を示す図である。
【
図35B】実施形態5の第2変形例の起歪体520M2を示す図である。
【
図36A】実施形態5の第3変形例の起歪体520M3を示す図である。
【
図36B】実施形態5の第3変形例の起歪体520M3を示す図である。
【
図37A】実施形態5の第4変形例の起歪体520M4を示す図である。
【
図37B】実施形態5の第4変形例の起歪体520M4を示す図である。
【
図38A】実施形態5の第5変形例の起歪体520M5を示す図である。
【
図38B】実施形態5の第5変形例の起歪体520M5を示す図である。
【
図38C】実施形態5の第5変形例の起歪体520M5を含む検出装置500M5の分解図である。
【
図38D】検出装置500M5の一部分を拡大して示す図である。
【
図38E】検出装置500M5の一部分を拡大して示す図である。
【
図39A】実施形態5の第6変形例の起歪体520M6を示す図である。
【
図39B】実施形態5の第6変形例の起歪体520M6を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の検出装置を適用した実施形態について説明する。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、平面視とはXY面視することをいう。また、以下では構成が分かり易くなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。
【0010】
<実施形態1>
図1は、実施形態1の検出装置100を示す斜視図である。
図2は、検出装置100を分解した状態を示す図である。
図3は、
図1のA-A矢視断面を示す図である。A-A矢視断面は、貫通孔123の中心軸を含み、XZ平面に平行な切断面における断面である。
図4は、
図1のB-B矢視断面を示す図である。B-B矢視断面は、貫通孔123の中心軸を含み、+Z方向から見て、XZ平面を時計回りに45度回転させた平面に平行な切断面における断面である。このため、
図4にはZ軸のみを示す。
【0011】
検出装置100は、ケース110、起歪体120、歪センサ130、配線基板140、通信制御部145、及び封止樹脂150を含む。ケース110は、下ケース110Lと上ケース110Uとを有する。検出装置100において、下側(-Z方向側)は第1側の一例であり、上側(+Z方向側)は第2側の一例である。第1側と第2側を結ぶ方向は、上下方向である。
【0012】
以下では、
図1乃至
図4に加えて、
図5乃至
図9を用いて説明する。
図5及び
図6は、起歪体120及び歪センサ130を示す図である。
図7は、検出装置100から上ケース110Uを取り外し、封止樹脂150を省いた状態を示す図である。
図8及び
図9は、下ケース110Lに起歪体120及び歪センサ130を配置した状態を示す図である。
図8では、起歪体120及び歪センサ130を破線で示す。
【0013】
<検出装置100の概要>
検出装置100は、起歪体120の貫通孔123に締結機構のボルト部が挿通された状態で、ケース110から上下に突出する起歪体120の下面121Aと上面121Bとに、締結機構と被締結部材とが当接する。下面121A及び上面121Bは、平坦面である。締結機構と被締結部材とが安定的かつ確実に当接できるようにするためである。
【0014】
検出装置100の使用状態には、例えば、下面121Aに締結機構が当接して上面121Bに被締結部材が当接する場合と、下面121Aに被締結部材が当接して上面121Bに締結機構が当接する場合とが有り得る。検出装置100は、締結機構が被締結部材に対して検出装置100を締結する際に、ボルト部に掛かる締結軸力を検出する。検出装置100は、通信制御部145及びアンテナ141を介して、締結軸力を表す歪検出信号を外部に無線通信で出力する。
【0015】
<検出装置100の各部の構成>
ケース110は、下ケース110Lと上ケース110Uとを有する。検出装置100は、無線通信を行うため、ケース110は、樹脂等の誘電体で形成される。ケース110は、Y方向に長い。ケース110は、起歪体120の本体部121の少なくとも一部を本体部121の外側面121Cに沿って収容する。ケース110が起歪体120の本体部121の少なくとも一部を収容しているのは、本体部121の下端部と上端部は、ケース110から突出しているからである。
【0016】
下ケース110Lは、底板部111、下面111L、側壁111S、開口部112L、及びリブ113Lを有する。下面111Lは、第1表面の一例であり、下面111Lを有する下ケース110Lの底板部111は、第1壁部の一例である。開口部112Lは、第1開口部の一例である。リブ113Lは、対向壁部の一例である。
【0017】
下面111Lは、検出装置100の下面であり、ケース110の下面である。ただし、下面111Lよりも起歪体120の下面121Aの方が下側に突出している。側壁111Sは、底板部111の外縁に沿って設けられ、底板部111から+Z方向に延在している。
【0018】
下ケース110Lは、底板部111のうちの起歪体120を収容する-Y方向側の部分の中央部に、開口部112L(
図2乃至
図4及び
図8参照)を有する。開口部112Lは、平面視で正方形の四隅を緩やかな凸曲線で面取りした八角形状の開口であり、起歪体120の本体部121の下端部の平面形状に合わせた開口形状を有する。
【0019】
開口部112Lとリブ113Lは、上ケース110Uの開口部112Uとともに、起歪体120を収容する空間である収容部を形成する。開口部112Lが囲む空間は、リブ113Lが囲む空間に連通し(繋がり)、リブ113Lが囲む空間は、開口部112Uが囲む空間に連通している(繋がっている)。
【0020】
開口部112Lには、
図3、
図4、及び
図8に示すように、起歪体120の本体部121の下端部が挿通される。開口部112Lは、起歪体120の本体部121の下端部が挿通された状態で、本体部121の下端部の外側面との間に殆ど隙間が生じないように、平面視でのサイズ及び形状が合わせられている。
【0021】
リブ113Lは、
図7及び
図8に示すように、開口部112Lの開口縁に沿って設けられており、底板部111の上面から上側に延在している。リブ113Lは、起歪体120が下ケース110Lのリブ113Lで囲まれた空間(収容部)に配置された状態で、起歪体120の本体部121の外側面121Cに対向する。
【0022】
リブ113Lの底板部111に対する高さは、側壁111Sの底板部111に対する高さと等しい。リブ113Lは、±X方向側と、±Y方向側との4箇所において、平面視で外側に凹んだ凹部113LA(
図4及び
図7乃至
図9参照)と、切り欠き部113LB(
図7乃至
図9参照)とを有する。凹部113LAは、リブ113Lの一部であり、凹部113LAが形成されていない部分のリブ113Lよりも平面視で外側に凹んでいる。
【0023】
4つの凹部113LAには、起歪体120の4つの凸部122がそれぞれ収容される。凹部113LAの下側には、底板部111が開口部112Lの中心側に延出した係合部111Aが設けられている。係合部111Aは、平面視で起歪体120の凸部122と重なり、リブ113Lよりも起歪体120の本体部121の外側面側に突出している。係合部111Aは、凸部122の下端部と係合し、起歪体120の抜け落ちを防止する。なお、凹部113LAは、少なくとも1つあればよく、凸部122の数に合わせて設ければよい。
【0024】
切り欠き部113LBは、リブ113Lのうちの隣り合う2つの凹部113LAの間の区間に設けられている。切り欠き部113LBは、通信制御部145と4つの歪センサ130とを接続する信号線145A(
図7参照)を通すために、リブ113Lの上端から切り欠かれた部分である。なお、切り欠き部113LBの代わりに、信号線145Aを通す孔部(貫通孔)を設けてもよい。
【0025】
下ケース110Lは、
図2及び
図7に示すように、起歪体120が配置される部分よりも+Y方向側において、配線基板140を収容する。
【0026】
上ケース110Uは、
図1及び
図2に示すように、平面視で下ケース110Lの底板部111と同様の形状を有しており、上面111Uと開口部112Uを有する。上ケース110Uは、平板状であり、第2壁部の一例である。上面111Uは、第2表面の一例であり、開口部112Uは、第2開口部の一例である。上面111Uは、検出装置100の上面であり、ケース110の上面である。ただし、上面111Uよりも起歪体120の上面121Bの方が上側に突出している。
【0027】
開口部112Uは、平面視で下ケース110Lの開口部112Lと同じ位置に形成されており、同一の開口形状を有する。開口部112Uが囲む空間は、
図2に示すように、上ケース110Uが下ケース110Lに取り付けられた状態で、リブ113Lが囲む空間に連通する。
【0028】
開口部112Uには、起歪体120の本体部121の上端部が挿通される。開口部112Uは、起歪体120の本体部121の上端部が挿通された状態で、本体部121の上端部の外側面との間に殆ど隙間が生じないように、平面視でのサイズ及び形状が合わせられている。
【0029】
上ケース110Uは、
図2に示すように、下ケース110Lの内部に、起歪体120と、通信制御部145を実装した配線基板140とを収容した状態で、ネジ孔にネジ115を挿通し、ネジ115を下ケース110Lのネジ穴に締結させることで、
図1に示すように下ケース110Lに固定される。上ケース110Uは、下ケース110Lに対する板状の上蓋である。起歪体120と、通信制御部145を実装した配線基板140とを下ケース110Lに収容した状態で、下ケース110Lの上部を上ケース110Uで閉じれば、検出装置100が完成する。このように、上ケース110Uが単なる上蓋であり、下ケース110Lは、起歪体120と、通信制御部145を実装した配線基板140とを収容可能であり、かつ、係合部111Aによって起歪体120の脱落が防がれる。このため、検出装置100は、組み立て性が良好である。なお、上ケース110Uは、板状の上蓋である構成に限らず、下ケース110Lの側壁111Sのような側壁(下方に延在する側壁)を有する構成であってもよい。
【0030】
起歪体120は、本体部121、4つの凸部122、及び貫通孔123を有する。起歪体120は、例えば、ステンレス鋼等の金属素材が好適に用いられて形成される。
【0031】
本体部121は、貫通孔123を囲む部分であり、下端に位置する下面121A、上端に位置する上面121B、外側面121Cを有する。下面121Aは、第1端面の一例であり、上面121Bは、第2端面の一例である。本体部121のうち、下面121Aがある下側の下端部は、第1端部の一例であり、上面121Bがある上側の上端部は、第2端部の一例である。外側面121Cは、第1外側面の一例である。本体部121は、平面視で開口部112L及び112Uと同様に、平面視で正方形の四隅を緩やかな凸曲線で面取りした八角形状であり、中央部に円形の貫通孔123が位置する。
【0032】
本体部121の下端部は、
図3及び
図4に示すように、下ケース110Lの開口部112Lに挿通され、下面121Aは、下ケース110Lの下面111Lよりも下側に突出する。本体部121の上端部は、
図3及び
図4に示すように、上ケース110Uの開口部112Uに挿通され、上面121Bは、上ケース110Uの上面111Uよりも上側に突出する。
【0033】
外側面121Cは、本体部121の外側の側面であり、起歪体120が下ケース110Lのリブ113Lで囲まれた空間に配置された状態で、リブ113Lに対向する。外側面121Cの±X方向側と、±Y方向側との4つの角部には、凸部122が設けられている。
【0034】
外側面121Cは、
図5及び
図6に示すように、4つの凸部122が設けられていない部分に、4つの平坦面121C1を有する。4つの平坦面121C1のうちの2つは、XZ平面を+Z方向から見て時計回りに45度回転した平面に平行であり、残りの2つは、XZ平面を+Z方向から見て反時計回りに45度回転した平面に平行である。
【0035】
凸部122は、平面視で平坦面121C1を除いた外側面121Cよりも外側に突出しており、上下方向では、下面121Aよりも上側で、かつ、上面121Bよりも下側に位置する。このため、凸部122の上下には、外側面121Cが位置し、凸部122と下面121Aとの間には段差があり、凸部122と上面121Bとの間には段差がある。凸部122は、
図5に示すように、平面視における両端が面取りされている。
【0036】
起歪体120が下ケース110Lのリブ113Lで囲まれた空間に配置された状態で、凸部122は、下ケース110Lの凹部113LAに収容される。このため、ケース110に対して、起歪体120が回動することを抑制できる。また、この状態で、凸部122の下面は、係合部111Aに係合する。この状態で、凸部122は、平面視で係合部111Aと重なっている。このため、起歪体120が開口部112Lから脱落することを防ぐことができる。なお、凸部122の数は、少なくとも1つあればよい。
【0037】
貫通孔123は、本体部121の平面視における中央部で下面121Aと上面121Bを繋ぐように貫通している。貫通孔123は、締結機構のボルト部が挿通されるため、ボルト部の平面サイズに合わせた開口サイズを有する。貫通孔123は、円筒状の孔部であり、起歪体120の下面121Aと上面121Bとを接続している。
【0038】
このような起歪体120の下面121Aと上面121Bとに、締結機構と被締結部材とが当接した状態で、貫通孔123を貫く方向(Z方向)の締結軸力が加わって、起歪体120は上下方向において圧縮されると、外側面121Cが外側に膨らむように起歪体120が撓むことで、歪みが生じる。
【0039】
歪センサ130は、
図5及び
図6に示すように、起歪体120の本体部121の外側面121Cのうち、4つの凸部122が設けられていない4つの平坦面121C1に設けられている。
【0040】
歪センサ130は、1又は複数の歪検出素子を有し、起歪体120の歪みを検出する。例えば、歪検出素子の各々には、歪み量に応じて抵抗値が変化する歪み抵抗素子が用いられる。歪検出素子を4つ設けて、ブリッジ状に接続してもよい。
【0041】
歪検出素子は、サーメットまたはバインダが合成樹脂であるコンポジット抵抗体を印刷することによって、平坦面121C1に形成されてもよい。歪検出素子を、平坦面121C1における所定の設置位置に対して、容易且つ確実に設置することができる。特に、複数の起歪体120を並べた状態で、複数の起歪体120に対して、歪検出素子の印刷、乾燥、および硬化を纏めて行うことができるため、複数の起歪体120に対して、歪検出素子を容易且つ確実に設置することができる。
【0042】
また、例えば、歪検出素子は、リジッド基板またはフレキシブル基板に実装された状態で、リジッド基板またはフレキシブル基板とともに、平坦面121C1に貼り付けられてもよい。この場合も、設置面が平面であるため、歪検出素子を、平坦面121C1における所定の設置位置に対して、容易且つ確実に設置することができる。
【0043】
配線基板140は、一例として、FR-4(Flame Retardant type 4)規格等の配線基板である。配線基板140は、平面視でY字型であり、下ケース110L内に収容され、下ケース110Lに対してネジ143で固定されている。
【0044】
配線基板140の上面には、アンテナ141が形成される。アンテナ141は、一例として、モノポールアンテナであり、配線を介して通信制御部145に接続されている。アンテナ141は、検出装置100のリーダ装置から放射される電波を受信し、通信制御部145に伝送する。また、アンテナ141は、通信制御部145が出力する歪検出信号を放射する。
【0045】
通信制御部145は、配線を介して4つの歪センサ130とアンテナ141に接続されている。通信制御部145と4つの歪センサ130とを接続する信号線145A(配線)は、
図7に示すように、下ケース110Lのリブ113Lの切り欠き部113LBを通されている。
【0046】
通信制御部145は、歪センサ130の出力に基づいて起歪体120の歪みの度合を表す歪検出信号を生成する制御部と、アンテナ141を用いて無線通信を行う通信部とを内蔵している。通信部は、検出装置100のリーダ装置からアンテナ141で受信した電力を制御部に供給し、制御部を動作させる。制御部は、起歪体120の歪みの度合を表す歪検出信号を生成して通信部に伝送する。通信部は、アンテナ141を通じて歪検出信号を放射する。放射された歪検出信号は、検出装置100のリーダ装置によって受信される。
【0047】
封止樹脂150は、
図3及び
図4に示すように、下ケース110Lのリブ113Lと起歪体120との間に充填される充填材の一例である。このような封止樹脂150としては、例えば、発泡ウレタン等を用いることができる。一例として、リブ113Lと起歪体120との間に発泡ウレタンを注入すればよい。封止樹脂150を設けることにより、リブ113Lの切り欠き部113LBが封止される。また、下ケース110Lと上ケース110Uとの隙間や、開口部112L及び112Uと起歪体120との間の隙間を封止することができる。
【0048】
このような封止樹脂150を設けることにより、ケース110の内部空間を密封できるとともに、起歪体120をケース110に対してより強固に固定することができる。なお、例えば、凹部113LAの下側の係合部111Aと凸部122との間等の起歪体120とケース110との間に、スポンジ等で構成されるスペーサを設けてもよい。
【0049】
<検出装置100の使用状態>
図10は、検出装置100の使用状態の一例を示す図である。
図10には、固定部10、締結機構20、及び被締結部材30を示す。固定部10は、建物、道路、トンネル、又は橋脚等の構造物の一部、又は、構造物に固定的に取り付けられている部材である。平板状の被締結部材30は、固定部10の取り付け面11に対して、締結機構20のボルト21とナット22とのネジ締結によって固定される。ボルト21は、ネジが形成されたボルト軸21Aと、頭部21Bとを有する。固定部10及び被締結部材30は、ボルト軸21Aを通す貫通孔を有する。
【0050】
図10に示す例において、検出装置100は、ナット22と被締結部材30との間に設けられている。被締結部材30及び検出装置100の起歪体120の貫通孔123(
図1参照)には、固定部10の取り付け面11とは反対の下面12から上側に延在するボルト軸21Aが挿通されている。ボルト21の頭部21Bは、固定部10の下面12側に位置する。ナット22は、ボルト軸21Aの先端部側から、ボルト軸21Aに対してネジ締められる。なお、ボルト21の頭部21Bは、固定部10に埋設されて固定されていてもよい。
【0051】
図10に示す例において、ボルト21とナット22が締結されると、固定部10に対して、被締結部材30及び検出装置100が固定される。この際に、検出装置100の起歪体120の本体部121の下面121A(
図3及び
図4参照)は、被締結部材30の上面31に当接し、本体部121の上面121B(
図3及び
図4参照)は、ナット22の下面に当接する。このため、起歪体120には、ボルト軸21Aの軸方向(Z方向)の締結軸力が加わる。ここで、起歪体120の本体部121の下面121Aは、下ケース110Lの下面111Lよりも下側に突出しており、上面121Bは、上ケース110Uの上面111Uよりも上側に突出している。このため、被締結部材30の上面31には起歪体120の本体部121の下面121Aのみが当接し、下ケース110Lの下面111Lは当接しない。また、ナット22の下面には、起歪体120の本体部121の上面121Bのみが当接し、上ケース110Uの上面111Uは当接しない。このような構成により、起歪体120は、ナット22から加わる締結軸力を、確実に受け止めることができる。
【0052】
その結果、起歪体120には、ナット22の締め付けトルクに応じた歪みが生じる。起歪体120に生じた歪みは、検出装置100の4つの歪センサ130によって検出される。4つの歪センサ130の各々によって検出された歪み(歪み検出素子の抵抗値の変化)に基づいて、通信制御部145の制御部は、ナット22の締め付けトルクに応じた歪検出信号を生成する。通信制御部145の通信部は、アンテナ141を通じて歪検出信号をケース110の外部に放射する。検出装置100のリーダ装置は、検出装置100から受信した歪検出信号が表す電圧値に基づいて、ナット22の締め付け状態を判断することができる。
【0053】
なお、ここでは、一例として、検出装置100がバッテリ及びメモリを備えず、リーダ装置から受信した信号から起電コイル等によって電力を生成し、生成した電力で通信制御部145がリーダ装置に歪検出信号を送信する形態について説明した。但し、これに限らず、検出装置100は、バッテリ及びメモリの少なくともいずれか一方を備えた構成としてもよい。
【0054】
<効果>
以上のように、起歪体120は、平面視において本体部121の平坦面121C1を除いた外側面121Cよりも外側に突出する凸部122を有し、ケース110は、外側面121Cに対向するリブ113Lを有し、リブ113Lは、平面視で外側に向かって凹み、凸部122を収容する凹部113LAを有する。このため、凸部122が凹部113LAに係合し、ケース110に対して、起歪体120が回動することを抑制できる。
【0055】
したがって、起歪体120の回動を抑制した検出装置100を提供することができる。
【0056】
また、ケース110は、下側に位置する下面111Lを有する底板部111と、底板部111に設けられる開口部112Lと、上側に位置する上面111Uを有する上ケース110Uと、上ケース110Uに設けられる開口部112Uとを有する。開口部112L、対向壁部113L、開口部112Uは、起歪体120の本体部131の下端部と上端部を除いた少なくとも一部を収容する収容部を形成する。起歪体120の下端の下面121Aは、開口部112Lから表出するとともに、貫通孔123の延在方向において下面111Lよりも下側に突出する。起歪体120の上端の上面121Bは、開口部112Uから表出して、貫通孔123の延在方向において上面111Uよりも上側に突出する。
【0057】
このため、被締結部材30の上面31には起歪体120の本体部121の下面121Aのみが当接し、下ケース110Lの下面111Lは当接しない。また、ナット22の下面には、起歪体120の本体部121の上面121Bのみが当接し、上ケース110Uの上面111Uは当接しない。
【0058】
したがって、起歪体120は、ナット22から加わる締結軸力を、確実に受け止めることができ、起歪体120の回動を抑制した検出装置100を提供することができる。
【0059】
また、起歪体120の下端の下面121Aと、上端の上面121Bとは平坦面である。このため、起歪体120は、ナット22から加わる締結軸力を、平坦な下面121A及び上面121Bで、より確実に受け止めることができ、起歪体120の回動を抑制した検出装置100を提供することができる。
【0060】
また、下端の下面121Aは、締結機構20のナット22と、締結機構20によって締結される被締結部材30とのいずれか一方に当接し、上端の上面121Bは、締結機構20のナット22と、締結機構20によって締結される被締結部材30とのいずれか他方に当接する。このため、締結機構20のナット22と、締結機構20によって締結される被締結部材30とに、下面121Aと上面121Bとが当接することで、締結軸力をより確実に受け止めることができる。
【0061】
また、凸部122は、貫通孔123の延在方向において、下端の下面121Aよりも上側で、かつ、上端の上面121Bよりも下側に位置し、凸部122と下面121Aとの間には段差があり、凸部122と上面121Bとの間には段差がある。このため、凸部122が凹部113LAに係合することで、ケース110に対する起歪体120の回動を抑制するとともに、下面121Aと上面121Bとが、締結機構20のナット22と、締結機構20によって締結される被締結部材30とに当接する構成を実現でき、起歪体120の回動を抑制と、締結軸力の確実な伝達とを両立した検出装置100を提供することができる。
【0062】
また、ケース110は、平面視で凸部122と重なり、リブ113Lよりも外側面側に突出し、凸部122の下端側の部分と係合する係合部111Aをさらに有する。このため、起歪体120が開口部112Lから脱落することを防ぐことができ、組み立て性の良好な検出装置100を提供することができる。
【0063】
また、ケース110は、リブ113Lの一部に設けられ、歪センサ130に接続される信号線145Aを通す切り欠き部113LB又は孔部をさらに有する。このため、ケース110の閉じられた空間の外に位置する起歪体120に取り付けられる歪センサ130が出力する信号をケース110の閉じられた空間の中に位置する通信制御部145に確実に伝達できる構成を実現できる。
【0064】
また、起歪体120の外側面121Cと、ケース110のリブ113Lとの間に充填される封止樹脂150をさらに含むので、リブ113Lの切り欠き部113LB又は孔部、下ケース110Lと上ケース110Uとの隙間、開口部112L及び112Uと起歪体120との間の隙間等が封止される。このため、内部に配線基板140及び通信制御部145等が収容されるケース110の密閉性を長期にわたって保持できるとともに、起歪体120をケース110に対してより強固に固定することができ、長期にわたって安定的に締結軸力を検出可能な検出装置100を提供することができる。
【0065】
<実施形態1の変形例>
ここでは、実施形態1の検出装置100との相違点を中心に説明する。実施形態1の検出装置100の構成要素と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、図面においては、一部の符号のみを示す。
【0066】
<第1変形例の検出装置100A>
図11Aは、実施形態1の第1変形例の検出装置100Aを示す図である。
図11Bは、検出装置100Aを分解した状態を示す図である。
【0067】
検出装置100Aは、全体が円盤状に構成されている。ケース110の下ケース110L及び上ケース110Uは、
図2に示す下ケース110L及び上ケース110Uを平面視で円形にしたものであり、配線基板140Aは、
図2に示す配線基板140を円環状にしたものである。その他の構成は、実施形態1の検出装置100と同様である。
【0068】
<第2変形例の検出装置100B>
図12Aは、実施形態1の第1変形例の検出装置100Bを示す図である。
図12Bは、検出装置100Bを分解した状態を示す図である。
【0069】
検出装置100Bは、実施形態1の検出装置100の起歪体120の代わりに、本体部121の上端の外径を小さくした起歪体120Bを含む。起歪体120の本体部121の上面121Bの内径は、実施形態1の検出装置100の起歪体120の本体部121の上面121Bの内径と等しいが、外径は小さくなっている。このような変更に伴い、上ケース110Uの開口部112Uの開口径は、小さくなっている。
【0070】
検出装置100Bの起歪体120は、本体部121の上端の外径を小さくなっていることで、本体部121の下端側と上端側との間には段差がある。その他の構成は、実施形態1の検出装置100と同様である。
【0071】
<第3変形例の起歪体120C>
図13A及び
図13Bは、第3変形例の起歪体120Cを示す図である。起歪体120Cは、凸部122Cの平面視における両端が面取りされていない点が、
図5に示す凸部122と異なる。このような起歪体120Cを起歪体120の代わりに用いてもよい。
【0072】
<第4変形例の起歪体120D>
図14A及び
図14Bは、第4変形例の起歪体120Dを示す図である。起歪体120Dは、
図13A及び
図13Bに示す起歪体120Cの凸部122Cを凹部122Dに変更した構成を有する。
【0073】
起歪体120Dの本体部121は、円環状の部材であり、外周部に凹部122Dが設けられるとともに、中央に貫通孔123が設けられている。凹部122Dは、円環状の起歪体120の周方向において、90度間隔で4箇所に設けられており、下面121A側と上面121B側の上下2箇所に設けられている。凹部122Dは、本体部121の外側面121Cよりも径方向の内側に凹んでいる。
【0074】
このような起歪体120Dを用いる場合には、下ケース110Lは、凹部113LA(
図3、
図8、及び
図9参照)の代わりに、凸部113LDを有する構成であればよい。凸部113LDは、凹部122Dに対応して、上下に2つ設けられている。このような起歪体120Dを起歪体120の代わりに用いてもよい。
【0075】
<第5変形例の起歪体120E>
図15A及び
図15Bは、第5変形例の起歪体120Eを示す図である。起歪体120Eは、
図13A及び
図13Bに示す起歪体120Cの凸部122Cを凹部122Eに変更した構成を有する。
【0076】
凹部122Eは、
図14A及び
図14Bに示す凹部122Dを起歪体120Eの周方向において短くした構成を有する。このような起歪体120Eを起歪体120の代わりに用いてもよい。
【0077】
<第2実施形態>
図16及び
図17は、実施形態2の検出装置200を示す斜視図である。
図18及び
図19は、検出装置200を分解した状態を示す図である。
図16及び
図18には、斜め上側から見た状態を示し、
図17及び
図19には、斜め下側から見た状態を示す。
図20及び
図21は、
図16のC-C矢視断面を示す図である。C-C矢視断面は、貫通孔223の中心軸を含み、XZ平面に平行な切断面における断面である。
図22は、
図16のD-D矢視断面を示す図である。D-D矢視断面は、貫通孔223の中心軸を含み、+Z方向から見て、XZ平面を時計回りに45度回転させた平面に平行な切断面における断面である。
図23は、検出装置200から上ケース110Uを取り外し、封止樹脂150を省いた状態を示す図である。
図24は、
図23の一部を拡大して示す図である。
【0078】
以下では、実施形態1の検出装置100との相違点を中心に説明する。実施形態1の検出装置100の構成要素と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
検出装置200は、ケース110、起歪体220、歪センサ130、配線基板140、通信制御部145、及びスペーサ155を含む。検出装置200は、実施形態1の検出装置100の封止樹脂150と同様の封止樹脂を含むが、ここでは省略する。
【0080】
<検出装置200の各部の構成>
ケース110は、下ケース110Lと上ケース110Uとを有する。実施形態2では、起歪体220の下側の部分が、実施形態1の起歪体120の下側の部分よりも平面視で大きいため、実施形態2の下ケース110Lのリブ113L及び凹部113LAは、平面視で実施形態1の下ケース110Lのリブ113L及び凹部113LAよりも外側に広がっている。また、実施形態2の下ケース110Lの開口部112Lは、平面視で実施形態1の下ケース110Lの開口部112Lよりも大きい。
【0081】
起歪体220は、本体部221、4つの凸部222、及び貫通孔223を有する。起歪体220は、例えば、ステンレス鋼等の金属素材が好適に用いられて形成される。貫通孔223には、ボルト部が挿通される。
【0082】
本体部221は、貫通孔223を囲む部分であり、基部224、延在部225、及び囲繞壁部226を有する。基部224は、貫通孔223を囲む円筒状の部分である。
【0083】
基部224は、下面224A、上面224B、及び外側面224Cを有する。上面224Bは、第2端面の一例であり、
図10に示す使用状態では、ナット22の下面に当接する。基部224の下面224Aがある下端部は、第3端部の一例であり、下面224Aは第3端面の一例である。上面224Bがある上端部は、第2端部の一例である。外側面224Cは、第2外側面の一例である。
【0084】
延在部225は、基部224の外側部から平面視で外側に延在しており、基部224の周囲を囲む円環状の部分である。
図21及び
図22を比較して分かるように、4つの凸部222は、延在部225の外側面225Cから外側に突出している。延在部225の外側面225Cは、第1外側面の一例である。外側面225Cは、
図22に示すように、下ケース110Lのリブ113Lと対向する。
【0085】
延在部225の下側には、円筒状の囲繞壁部226が設けられている。
図22に示すように、延在部225の外側面225Cは、囲繞壁部226の外側面226Cと貫通孔223の径方向における位置が等しく、外側面225C及び外側面226Cは、延在部225及び囲繞壁部226の外側面225C及び226Cに囲まれる仮想的な円柱体の外周面を形成する。
【0086】
基部224の下端部と、囲繞壁部226の下端部との間は、延在部225の下面側で溝225Aを形成している。延在部225の上面225B(
図20及び
図21参照)には、
図23に示すように、4つの歪センサ130が配置される。また、上面225B(
図20及び
図21参照)と上ケース110Uとの間には、4つのスペーサ155(
図18、
図19、及び
図20参照)が挟み込まれている。スペーサ155は、例えばウレタンスポンジ等である。延在部225の上面225Bにおいて、4つの歪センサ130と、4つのスペーサ155とは、貫通孔223の周囲に互い違いに配置されている。
【0087】
囲繞壁部226は、延在部225の下部から貫通孔223の延在方向(Z方向)における下側に突出するとともに、基部224の外側面224Cとの間に間隔を空けて外側面224Cを囲繞する円筒状の部分である。このような構成により、基部224の下端部と、囲繞壁部226の下端部との間には、溝225Aが形成されている。
【0088】
囲繞壁部226は、下面226Aと外側面226Cを有する。下面226Aは、第1端面の一例であり、基部224の下面224Aよりも下側に突出している。下面226Aは、実施形態1の検出装置100における起歪体120の下面121Aに相当し、使用状態では、
図10に示す被締結部材30の上面31に当接する。基部224の下面224Aは、囲繞壁部226の下面226Aよりも上側に位置するため、使用状態では
図10に示す被締結部材30の上面31に当接しない。
【0089】
このような起歪体220において、基部224、延在部225、及び囲繞壁部226を有する本体部221の貫通孔223の径方向に垂直な断面は、
図21及び
図22に示すように、h字型である。そして、
図10に示す検出装置100の代わりに検出装置200を用いると、使用状態では、上面224Bは、ナット22の下面に当接し、下面226Aは、被締結部材30の上面31に当接する。また、基部224の下面224Aは、被締結部材30の上面31に当接しない。
【0090】
このため、使用状態では、ナット22の締結軸力が加わると、起歪体220の上面224Bと下面226Aとの間に力が加わる。囲繞壁部226は、基部224の外周部から径方向の外側に延在する延在部225の下側に位置するため、起歪体220のh字型の断面構造が、ばねとして機能する。
図21及び
図22において、上面224Bにナット22の締結軸力がZ方向に加わると、延在部225がXY面に対して撓むことで、起歪体220に歪みが生じる。
【0091】
実施形態2では、歪センサ130は、延在部225の上面225Bに配置されているため、ナット22の締結軸力が加わると、延在部225が撓むことで、起歪体220に生じた歪みは、4つの歪センサ130によって検出される。
【0092】
<シミュレーション結果>
図25は、起歪体220に締結軸力を加えた場合の歪みの分布を計算したシミュレーション結果を示す図である。
図25におけるグレースケールの濃淡は、平面視でX軸及びY軸に対して45度の角度を有する方向(
図25中に両矢印で示す方向)において起歪体220の表面に生じる歪みの量(度合)を表す。
図25では一部の符号のみを示すが、延在部225の上面225Bに歪みが生じていることが分かる。このため、延在部225の上面225Bに配置した歪センサ130で起歪体220に生じた歪みを検出することができる。
【0093】
以上のように、起歪体220の本体部221は、貫通孔123を囲む基部224と、基部224の側部から平面視で外側に延在する延在部225と、延在部225の下側の部分から貫通孔223の延在方向における下側に突出するとともに、基部224の外側面224Cとの間に間隔を空けて外側面224Cを囲繞する囲繞壁部226と有する。囲繞壁部226の下面226Aは、貫通孔223の延在方向において、基部224の下面224Aよりも下側に突出している。このため、ナット22の締結軸力が上面224Bに加わると、延在部225がXY面に対して撓むことで、起歪体220に歪みが生じる。
【0094】
起歪体220は、平面視において本体部221の外側面225Cよりも外側に突出する凸部222を有し、ケース110は、外側面225Cに対向するリブ113Lを有し、リブ113Lは、平面視で外側に向かって凹み、凸部222を収容する凹部113LAを有する。このため、凸部222が凹部113LAに係合し、ケース110に対して、起歪体220が回動することを抑制できる。
【0095】
したがって、起歪体220の回動を抑制した検出装置200を提供することができる。
【0096】
<実施形態3>
図26は、実施形態3の起歪体320を示す図である。
図26には、歪センサ130も示す。起歪体320は、一例として、実施形態1の起歪体120の代わりに検出装置100に用いることができる。
【0097】
起歪体320は、本体部321、4つの凸部322、及び貫通孔323を有する。起歪体320は、例えば、ステンレス鋼等の金属素材が好適に用いられて形成される。起歪体320は、締結軸力による歪みの生じ方が、実施形態1の起歪体120と異なる。貫通孔323には、ボルト部が挿通される。
【0098】
本体部321は、貫通孔323を囲む円環状の部材であり、下面321A及び上面321Bを有する。下面321Aは、第1端面の一例であり、上面321Bは、第2端面の一例である。
図10に示す使用状態では、下面321Aは、被締結部材30の上面31に当接し、上面321Bは、ナット22の下面に当接する。
【0099】
本体部321は、下面321Aよりも貫通孔323の延在方向における上側に凹む複数の第1凹部324Aと、上面121Bよりも貫通孔323の延在方向における下側に凹む複数の第2凹部324Bとを有する。
図26では、一例として、本体部321は、4つの第1凹部324Aと、4つの第2凹部324Bとを有する。4つの第1凹部324Aと、4つの第2凹部324Bとは、貫通孔323を囲む本体部321の周方向において、重複区間を有するように配置されている。周方向において本体部321に歪みが生じ易くするためである。
【0100】
第1凹部324Aと第2凹部324Bとが本体部321の周方向において重複区間を有しないと、周方向における第1凹部324Aと第2凹部324Bとの境界における本体部321の剛性が高くなり、締結軸力が加わったときに歪みが生じにくくなるからである。なお、第1凹部324Aと第2凹部324Bとが本体部321の周方向において重複区間を有しなくても本体部321に十分な歪みが生じる場合には、第1凹部324Aと第2凹部324Bとは重複区間を有しなくてもよい。
【0101】
図10に示す使用状態では、下面321Aは、被締結部材30の上面31に当接するが、4つの第1凹部324Aは、被締結部材30の上面31に当接しない。同様に、上面321Bは、ナット22の下面に当接するが、4つの第2凹部324Bは、ナット22の下面に当接しない。
【0102】
このため、使用状態において、ナット22の締結軸力が加わると、起歪体320の下面321Aと上面321Bとの間に力が加わり、本体部321の周方向において、第1凹部324Aが存在する区間と、第2凹部324Bが存在する区間とが撓むことで、起歪体320に歪みが生じる。
【0103】
4つの歪センサ130は、4つの第2凹部324Bの表面に配置されているため、ナット22の締結軸力が加わると、起歪体320が撓むことで生じる歪みは、4つの歪センサ130によって検出される。
【0104】
<シミュレーション結果>
図27は、起歪体320に締結軸力を加えた場合の歪みの分布を計算したシミュレーション結果を示す図である。
図27には、起歪体320の上面側における歪みの分布を示す。
図27におけるグレースケールの濃淡は、平面視でX軸及びY軸に対して45度の角度を有する方向(
図27中に両矢印で示す方向)において起歪体220の表面に生じる歪みの量(度合)を表す。
図27では一部の符号のみを示すが、4つの第2凹部324Bの歪みが大きいことが分かる。起歪体320は、下面321A側と、上面321B側とが対称な構成であるため、4つの第1凹部324Aの歪みも同様に大きいと考えられる。このため、4つの第2凹部324Bの表面に配置した4つの歪センサ130で起歪体320に生じた歪みを検出することができる。
【0105】
以上のように、起歪体320の本体部321は、貫通孔323の周囲に沿って下端に設けられ、下面321Aよりも貫通孔323の延在方向における上側に凹む複数の第1凹部324Aと、貫通孔323の周囲に沿って上端に設けられ、上面321Bよりも貫通孔323の延在方向における下側に凹む複数の第2凹部324Bとを有する。複数の第1凹部324Aと、複数の第2凹部324Bとは、貫通孔323の周囲に沿って、交互に配置される。
【0106】
このため、使用状態では、起歪体320の下面321Aと上面321Bとの間に力が加わり、起歪体320に歪みが生じる。
【0107】
起歪体320は、平面視において本体部321の外側面321C(第1外側面の一例)よりも外側に突出する凸部322を有し、凸部322は、ケース110の凹部113LAに係合するため、ケース110に対して、起歪体320が回動することを抑制できる。
【0108】
したがって、起歪体320の回動を抑制した実施形態3の検出装置を提供することができる。
【0109】
また、複数の第1凹部324Aと、複数の第2凹部324Bとは、貫通孔323を囲む本体部321の周方向において、重複区間を有するように配置されるので、起歪体320が周方向において撓み易くなり、歪センサ130で締結軸力をより確実に検出することができる。
【0110】
<実施形態4>
図28A及び
図28Bは、実施形態4の起歪体420を示す図である。
図28A及び
図28Bには、歪センサ130も示す。起歪体420は、一例として、実施形態1の起歪体120の代わりに検出装置100に用いることができる。
図28Bには、起歪体420にOリング460を取り付けた状態を示す。
【0111】
起歪体420は、本体部421、4つの凸部422、及び貫通孔423を有する。起歪体420は、例えば、ステンレス鋼等の金属素材が好適に用いられて形成される。貫通孔423には、ボルト部が挿通される。
【0112】
本体部421は、貫通孔423を囲む円環状の部材であり、下面421A及び上面421Bを有する。下面421Aは、第1端面の一例であり、上面421Bは、第2端面の一例である。
図10に示す使用状態では、下面421Aは、被締結部材30の上面31に当接し、上面421Bは、ナット22の下面に当接する。本体部421の外側面421Cには歪センサ130が取り付けられる。
【0113】
図28Bに示すように、本体部421の外側面421Cには2個のOリング460が上下に装着される。下側のOリング460は、第1のOリングの一例であり、上側のOリング460は、第2のOリングの一例である。下側のOリング460は、歪センサ130よりも下側に位置するように外側面421Cに取り付けられ、上側のOリング460は、歪センサ130よりも上側に位置するように外側面421Cに取り付けられる。2個のOリング460は同一のものであり、内径は本体部421の外形よりも少し小さい。このため、Oリング460は、円周方向に少し引き伸ばされた状態で本体部421の外側面421Cに密着している。
【0114】
このような起歪体420を収容するケース(図示せず)は、外側面421Cに対応した円筒状の収容部と、4つの凸部422を収容する凹部を有していればよい。起歪体420は、ケースの収容部の内側面との間にOリング460を挟んだ状態で取り付けられる。すなわち、Oリング460は、径方向に圧縮される。このため、上下の2個のOリング460で挟まれた空間に歪センサ130が位置することになり、ケースの内部空間を密封できるとともに、起歪体420をケースに対してより強固に固定することができる。また、上下2個のOリング460とケースとで囲まれた空間内に歪センサ130が位置するので、防水性の高い構造が得られる。
【0115】
使用状態では、下面421Aは、被締結部材30の上面31(
図10参照)に当接し、ナット22の締結軸力が加わると、起歪体420の下面421Aと上面421Bとの間に力が加わり、本体部421の周方向において、起歪体420に歪みが生じる。起歪体420の歪みは、4つの歪センサ130によって検出される。
【0116】
起歪体420は、平面視において本体部421の外側面421Cよりも外側に突出する凸部422を有し、凸部422は、ケース110の凹部113LAのような凹部に係合するため、ケースに対して、起歪体420が回動することを抑制できる。
【0117】
したがって、起歪体420の回動を抑制した実施形態4の検出装置を提供することができる。
【0118】
また、上下2個のOリング460とケースとで囲まれた空間内に歪センサ130が位置するので、防水性の高い構造が得られ、長期にわたって信頼性の高い検出装置を提供することができる。
【0119】
なお、起歪体420は、
図29A及び
図29Bに示すように、外側面421CのOリング460が取り付けられる位置に、外側面421Cの周方向にわたって設けられる凹部421Dが設けられた構成であってもよい。凹部421Dは、Oリング460の形状に合わせて、外側面421Cの上下において、1周にわたって設けられている。
【0120】
このような凹部421Dを形成すれば、Oリング460の位置ずれを抑制でき、起歪体420の回動を抑制できるとともに、さらに信頼性の高い検出装置を提供することができる。
【0121】
<実施形態5>
図30A及び
図30Bは、実施形態5の検出装置500を示す斜視図である。
図31Aは、検出装置500を分解した状態を示す図である。
図31Bは、Oリング560が装着された起歪体520を示す図である。
図32A及び
図32Bは、ケース510の下ケース510Lと起歪体520を示す図である。
図33A及び
図33Bは、
図30A及び
図30BのE-E矢視断面を示す図である。E-E矢視断面は、貫通孔523の中心軸を含み、XZ平面に平行な切断面における断面である。
【0122】
検出装置500は、ケース510、起歪体520、歪センサ130、配線基板540、及びOリング560を含む。歪センサ130は、実施形態1の歪センサ130と同一である。検出装置500は、アンテナ141及び通信制御部145と同様のアンテナ及び通信制御部を配線基板540に備えるが、ここでは省略する。
【0123】
ケース510は、下ケース510Lと上ケース510Uとを有する。検出装置500において、下側(-Z方向側)は第1側の一例であり、上側(+Z方向側)は第2側の一例である。第1側と第2側を結ぶ方向は、上下方向である。
【0124】
<検出装置500の概要>
検出装置500は、起歪体520の貫通孔523に締結機構のボルト部が挿通された状態で、ケース510から上下に突出する起歪体520の下面521Aと上面521Bとに、締結機構と被締結部材とが当接する。下面521A及び上面521Bは、平坦面である。締結機構と被締結部材とが安定的かつ確実に当接できるようにするためである。
【0125】
検出装置500の使用状態には、例えば、下面521Aに締結機構が当接して上面521Bに被締結部材が当接する場合と、下面521Aに被締結部材が当接して上面521Bに締結機構が当接する場合とが有り得る。検出装置500は、締結機構が被締結部材に対して検出装置500を締結する際に、ボルト部に掛かる締結軸力を検出する。検出装置500は、通信制御部及びアンテナを介して、締結軸力を表す歪検出信号を外部に無線通信で出力する。締結軸力は、歪センサ130で検出される歪みに応じた力である。このため、締結軸力を表すデータは、歪センサ130で検出される歪みに応じたデータである。検出装置500は、歪センサ130で検出される歪みに応じたデータを含む信号を通信制御部からアンテナを介して検出装置500の外部に放射する。
【0126】
<検出装置500の各部の構成>
ケース510は、下ケース510Lと上ケース510Uとを有する。検出装置500は、無線通信を行うため、ケース510は、樹脂等の誘電体で形成される。ケース510は、円環状の形状を有する。ケース510は、起歪体520の本体部521の少なくとも一部を本体部521の外側面521Cに沿って収容する。ケース510が起歪体520の本体部521の少なくとも一部を収容しているのは、本体部521の下端部と上端部は、ケース510から突出しているからである。
【0127】
下ケース510Lは、底板部511、下面511L、側壁511S、開口部512L、及び壁部513Lを有する。下面511Lは、第1表面の一例であり、下面511Lを有する下ケース510Lの底板部511は、第1壁部の一例である。開口部512Lは、第1開口部の一例である。壁部513Lは、対向壁部の一例である。
【0128】
下面511Lは、検出装置500の下面であり、ケース510の下面である。ただし、下面511Lよりも起歪体520の下面521Aの方が下側に突出している。側壁511Sは、底板部511の外縁部に沿って設けられ、底板部511から+Z方向に延在している。
【0129】
下ケース510Lは、底板部511のうちの起歪体520を収容する-Y方向側の部分の中央部に、開口部512L(
図31A参照)を有する。開口部512Lは、平面視で円形であり、起歪体520の本体部521の下端部の平面形状に合わせた開口形状を有する。
【0130】
開口部512Lと壁部513Lは、上ケース510Uの開口部512U及び壁部513Uとともに、起歪体520を収容する空間である収容部を形成する。開口部512Lが囲む空間は、壁部513Lが囲む空間に連通し(繋がり)、壁部513Lが囲む空間は、壁部513U及び開口部512Uが囲む空間に連通している(繋がっている)。なお、壁部513L及び513Uの間は上下方向において離間しているが、下ケース510Lと上ケース510Uとの合わせ目で閉じられている。
【0131】
開口部512Lには、
図33A及び
図33Bに示すように、起歪体520の本体部521の下端部が挿通される。開口部512Lは、起歪体520の本体部521の下端部が挿通された状態で、本体部521の下端部の外側面との間に殆ど隙間が生じないように、平面視でのサイズ及び形状が合わせられている。
【0132】
壁部513Lは、
図32A、
図33A、及び
図33Bに示すように、開口部512Lの開口縁に沿って設けられた円筒状の壁部であり、底板部511の上面から上側に延在している。壁部513Lは、下ケース510Lの径方向の内側の内周面が上側に行くほど内径が大きくなるように拡がっている。すなわち、壁部513Lの内周面は、上下を反転させた円錐台の側面のような形状をしている。
【0133】
壁部513Lは、起歪体520が下ケース510Lの壁部513Lで囲まれた空間(収容部)に配置された状態で、起歪体520の本体部521の外側面521Cに対向する。この状態で、壁部513Lの内周面には、起歪体520の下側に取り付けられるOリング560が当接する。Oリング560は、壁部513Lの内周面と起歪体520の本体部521との間で押し潰される。下側のOリング560は、第2のOリングの位置である。
【0134】
壁部513Lの底板部511に対する高さは、開口部512Lに挿入された状態における起歪体520の下側のフランジ522の底板部511に対する高さと等しい。下側のフランジ522は、第1フランジの一例である。壁部513Lは、±X方向側と、±Y方向側との4箇所において、平面視で内側に突出した凸部513LA(
図32A、
図32B、
図33A、及び
図33B参照)を有する。凸部513LAは、壁部513Lの上端部に位置し、壁部513Lの上端部の周方向における4箇所に設けられている。凸部513LAは、壁部513Lの一部であり、壁部513Lの上端部では、凸部513LAが形成されていない部分よりも平面視で下ケース510Lの径方向における内側に突出している。
【0135】
4つの凸部513LAには、起歪体520の2つのフランジ522のうちの下側のフランジ522の4つの切欠部522Aがそれぞれ当接する。壁部513Lの内周面は、上側に行くほど内径が大きくなり、換言すれば、壁部513Lの内周面は、下側に行くほど開口部512Lに向かって内径が小さくなっており、起歪体520の下側のフランジ522が係合しているため、起歪体520の抜け落ちを防止する。なお、凸部513LAは、少なくとも1つあればよく、切欠部522Aの数に合わせて設ければよい。
【0136】
下ケース510Lは、
図31A、
図33A、及び
図33Bに示すように、起歪体520が配置される部分よりも径方向の外側において、配線基板540を収容する。
【0137】
上ケース510Uは、
図31A、
図33A、及び
図33Bに示すように、下ケース510Lと略同様の形状を有しており、上面511Uと開口部512Uを有する。上ケース510Uは、下ケース510Lの天地を反転させたような形状を有し、第2壁部の一例である。上面511Uは、第2表面の一例であり、開口部512Uは、第2開口部の一例である。上面511Uは、検出装置500の上面であり、ケース510の上面である。ただし、上面511Uよりも起歪体520の上面521Bの方が上側に突出している。
【0138】
開口部512Uは、平面視で下ケース510Lの開口部512Lと同じ位置に形成されており、同一の開口形状を有する。開口部512Uには、壁部513Uの内周面が連通しており、壁部513Uの内周面の内径は、下側に行くほど大きくなっている。このように、壁部513Uは、下ケース510Lの壁部513Lの天地を反転させたような形状を有する。壁部513Uの内周面は、円錐台の側面のような形状をしている。
【0139】
開口部512U及び壁部513Uが囲む空間は、
図33A及び
図33Bに示すように、上ケース510Uが下ケース510Lに取り付けられた状態で、壁部513L及び開口部512Lが囲む空間に連通する。
【0140】
開口部512Uには、起歪体520の本体部521の上端部が挿通される。開口部512Uは、起歪体520の本体部521の上端部が挿通された状態で、本体部521の上端部の外側面との間に殆ど隙間が生じないように、平面視でのサイズ及び形状が合わせられている。
【0141】
この状態で、壁部513Uの内周面には、起歪体520の上側に取り付けるOリング560が当接する。Oリング560は、壁部513Uの内周面と起歪体520の本体部521との間で押し潰される。上側のOリング560は、第2のOリングの一例である。
【0142】
壁部513Uの内周面は、上側に行くほど開口部512Uに向かって内径が小さくなり、起歪体520の上側のフランジ522が係合しているため、起歪体520は、上側にも抜けないように構成されている。上側のフランジ522は、第2フランジの一例である。
【0143】
なお、一例として、壁部513Uは、下ケース510Lの壁部513Lとは異なり、凸部513LAに相当する凸部を有しない。このため、起歪体520の上側のフランジ522の切欠部522Aは、上ケース510Uには係合しない。しかしながら、上ケース510Uの壁部513Uに、凸部513LAに相当する凸部を設けて、起歪体520の上側のフランジ522の切欠部522Aと上ケース510Uとを係合させてもよい。また、下ケース510Lの壁部513Lの凸部513LAを備えずに、上ケース510Uの壁部513Uが凸部を有する構成であってもよい。
【0144】
上ケース510Uは、
図33A及び
図33Bに示すように、下ケース510Lとで囲む内部空間に、起歪体520と、通信制御部及びアンテナ等を実装した配線基板540とを収容した状態で、ネジ孔にネジ515を挿通し、ネジ515を下ケース510Lのネジ穴に締結させることで、
図30A及び
図30Bに示すように下ケース510Lに固定される。上ケース510Uは、下ケース510Lに対する上蓋である。起歪体520と、通信制御部及びアンテナ等を実装した配線基板540とを下ケース510Lとの間の内部空間に収容した状態で、下ケース510L及び上ケース510Uをネジ515で締結すれば、検出装置500が完成する。このときに、下ケース510Lの開口部512Lと、上ケース510Uの開口部512Uとは、2つのOリング560によって封止される。また、
図31Aに示すように、下ケース510Lと上ケース510Uの径方向における外側の合わせ目にはOリング575Aを挟み込み、ネジ515を通すネジ孔にはOリング575Bを挟み込む。このため、起歪体520が下ケース510L及び上ケース510Uに取り付けられた状態で、下ケース510L、上ケース510U、及び起歪体520の間は、Oリング560によって封止され、下ケース510L及び上ケース510Uの合わせ目は、Oリング575A及び575Bによって封止される。このようにして、検出装置500は、防水構造を有することになる。
【0145】
起歪体520は、本体部521、2つのフランジ522、4つの切欠部522A、及び貫通孔523を有する。起歪体520は、例えば、ステンレス鋼等の金属素材が好適に用いられて形成される。
【0146】
本体部521は、貫通孔523を囲む部分であり、下端に位置する下面521A、上端に位置する上面521B、外側面521Cを有する。下面521Aは、第1端面の一例であり、上面521Bは、第2端面の一例である。本体部521のうち、下面521Aがある下側の下端部は、第1端部の一例であり、上面521Bがある上側の上端部は、第2端部の一例である。外側面521Cは、第1外側面の一例である。起歪体520は、平面視で正方形の四隅を緩やかな凸曲線で面取りした八角形状であり、中央部に円形の貫通孔523が位置する。
【0147】
本体部521の下端部は、
図33A及び
図33Bに示すように、下ケース510Lの開口部512Lに挿通され、下面521Aは、下ケース510Lの下面511Lよりも下側に突出する。本体部521の上端部は、
図33A及び
図33Bに示すように、上ケース510Uの開口部512Uに挿通され、上面521Bは、上ケース510Uの上面511Uよりも上側に突出する。
【0148】
外側面521Cは、本体部521の外側の側面であり、起歪体520が下ケース510Lの壁部513Lと上ケース510Uの壁部513Uとで囲まれた空間に配置された状態で、壁部513L及び513Uに対向する。外側面521Cには、上下の2箇所に2つのフランジ522が設けられている。フランジ522は、円環状の突出部であり、外側面521Cから径方向の外側に突出している。各フランジ522の±X方向側と、±Y方向側との4つの部分には、切欠部522Aが設けられている。切欠部522Aは、円環状の突出部であるフランジ522の外縁部を切り欠いた部分であり、フランジ522の外縁部のうちの切欠部522Aが設けられていない部分よりも径方向で内側にオフセットしている。
【0149】
上述したように、下側のフランジ522の切欠部522Aは、下ケース510Lの壁部513Lの凸部513LAに係合するが、上側のフランジ522の切欠部522Aは、上ケース510Uの壁部513Lに係合しない。上側のフランジ522の切欠部522Aは、下側のフランジ522の切欠部522Aを形成する際に、同時に形成されるために存在している。上側のフランジ522には、切欠部522Aを設けなくてもよい。また、ここでは起歪体520の本体部521に2つのフランジが設けられる形態について説明するが、フランジ522は、本体部521の軸方向(Z方向)に3つ以上設けられていてもよい。
【0150】
起歪体520が下ケース510Lの壁部513Lと上ケース510Uの壁部513Uとで囲まれた空間に配置された状態で、切欠部522Aは、下ケース510Lの凸部513LAに係合する。このため、ケース510に対して、起歪体520が回動することを抑制できる。また、上側のフランジ522の上側には上側のOリング560が嵌め込まれ、下側のフランジ522の下側には、下側のOリング560が嵌め込まれている。
【0151】
下側のOリング560は、下側のフランジ522と、下ケース510Lの壁部513Lの内周面との間で押し潰され、上側のOリング560は、上側のフランジ522と、上ケース510Uの壁部513Uの内周面との間で押し潰される。この状態で、上下の2つのフランジ522は、Oリング560を介して、上下の壁部513L及び513Uによって保持される。このため、起歪体520が開口部512L及び512Uから抜けることを防ぐことができる。なお、切欠部522Aの数は、少なくとも1つあればよい。
【0152】
貫通孔523は、本体部521の平面視における中央部で下面521Aと上面521Bを繋ぐように貫通している。貫通孔523は、締結機構のボルト部が挿通されるため、ボルト部の平面サイズに合わせた開口サイズを有する。貫通孔523は、円筒状の孔部であり、起歪体520の下面521Aと上面521Bとを接続している。
【0153】
このような起歪体520の下面521Aと上面521Bとに、締結機構と被締結部材とが当接した状態で、貫通孔523を貫く方向(Z方向)の締結軸力が加わって、起歪体520は上下方向において圧縮されると、外側面521Cが外側に膨らむように起歪体520が撓むことで、歪みが生じる。
【0154】
歪センサ130は、
図31Bに示すように、起歪体520の本体部521の外側面521Cのうち、4つの切欠部522Aが設けられている位置に対応する位置に設けられている。
【0155】
歪センサ130は、1又は複数の歪検出素子を有し、起歪体520の歪みを検出する。例えば、歪検出素子の各々には、歪み量に応じて抵抗値が変化する歪み抵抗素子が用いられる。歪検出素子を4つ設けて、ブリッジ状に接続してもよい。
【0156】
配線基板540は、一例として、FR-4規格等の配線基板である。配線基板540は、平面視でY字型であり、下ケース510L及び上ケース510Uの内部空間に収容されている。
【0157】
以上のような検出装置500を実施形態1の検出装置100と同様に、ボルト21(
図10参照)を通してナット22と被締結部材30との間に設ければ、起歪体520には、ナット22の締め付けトルクに応じた歪みが生じる。このため、検出装置500のリーダ装置は、検出装置500から受信した歪検出信号が表す電圧値に基づいて、ナット22の締め付け状態を判断することができる。
【0158】
<効果>
検出装置500は、下端部及び上端部を有する本体部521と、下端部がある下側と上端部がある上側とを結ぶ方向に本体部521を貫通する貫通孔523とを有し、貫通孔523に締結機構20のボルト21が挿通される起歪体520と、締結機構20によって貫通孔523の延在方向に加えられる締結軸力による起歪体520の歪みを検出する歪センサ130と、起歪体520の本体部521の少なくとも一部を本体部521の外側面に沿って収容するケース510とを含み、起歪体520は、平面視において本体部521の外側面から貫通孔523の開口面視で外側に突出するフランジ522を有し、フランジ522は、フランジ522の外縁部に貫通孔523の開口面視で内側に切欠かれた切欠部522Aを有し、ケース510は、フランジ522の外縁部に対向する壁部513L及び513Uを有し、壁部513L及び513Uは、平面視で内側に突出し、切欠部522Aに収容される凸部を有する。このため、切欠部522Aが凸部513LAに係合し、ケース510に対して、起歪体520が回動することを抑制できる。
【0159】
したがって、起歪体520の回動を抑制した検出装置500を提供することができる。
【0160】
また、本体部521は、複数のフランジ522を有し、複数のフランジ522は、本体部521の外側面に貫通孔523の貫通方向に沿って離間して設けられており、歪センサ130は、本体部521の外側面のうちの複数のフランジ522の間の部分に設けられている。このため、ケース510の上側及び下側において、ケース510が起歪体520を安定的に保持でき、安定的に締結力を検出できる。
【0161】
また、下側のOリング560と、上側のOリング560とをさらに含み、複数のフランジ522は、貫通孔523の貫通方向における下側に配置される下側のフランジ522と、貫通孔523の貫通方向における上側に配置される上側のフランジ522とを有し、下側のOリング560は、下側のフランジ522とケース510との間に潰された状態で設けられ、上側のOリング560は、上側のフランジ522とケース510との間に潰された状態で設けられる。このため、ケース510と起歪体520との間から、ケース510及び起歪体520で囲まれた空間内に水や塵埃が浸入することを抑制でき、防水構造を有し、信頼性の高い検出装置500を提供できる。
【0162】
また、リーダ装置から送信される信号の電力で起動し、歪センサ130によって検出される歪みに応じたデータを含む信号を放射する通信部をさらに含む。歪みに応じたデータは、一例として締結力を表す。このため、リーダ装置で歪みに応じたデータを取得でき、作業員等が直接的に締結力を測定することなく、無線通信を利用して遠隔的に締結力を測定できる。締結力の測定が非常に容易になる。また、検出装置500は、リーダ装置から送信される信号の電力で起動するため、バッテリが不要である。
【0163】
<実施形態5の変形例>
以下では、実施形態5の検出装置500との相違点を中心に説明する。実施形態5の検出装置500の構成要素と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、図面においては、一部の符号のみを示す。
【0164】
<実施形態5の第1変形例>
図34は、実施形態5の第1変形例の検出装置500M1を示す図である。検出装置500M1は、ケース510M1の構造が実施形態5の検出装置500のケース510と異なる。ケース510M1は、起歪体520を収容する部分よりも+Y方向側に大きく、バッテリを収容する収容部514M1を有する。ケース510M1の収容部514M1の外形は、バッテリの形状に合わせて膨らんでいる。
【0165】
<実施形態5の第2変形例>
図35A及び
図35Bは、実施形態5の第2変形例の起歪体520M2を示す図である。
図35Bには、起歪体520M2に歪センサ130とOリング560を取り付けた状態を示す。
【0166】
起歪体520M2の本体部521M2は、下面521A、上面521B、外側面521Cを有し、外側面521Cには、Oリング560を嵌め込み、位置決めするための溝521C1が設けられている。このため、Oリング560の位置決めが容易で、位置ずれを抑制できる。
【0167】
<実施形態5の第3変形例>
図36A及び
図36Bは、実施形態5の第3変形例の起歪体520M3を示す図である。
図36Bには、起歪体520M3に歪センサ130とOリング560を取り付けた状態を示す。
【0168】
起歪体520M3のフランジ522M3は、実施形態5の起歪体520のフランジ522よりも径方向における突出量が小さい。2つのOリング560は、2つのフランジ522M3の上下に嵌め込まれている。このように突出量の小さいフランジ522M3を有する起歪体520M3は、図示しないケースの内周面が本体部521の外側面521Cと平行である場合に対応したものである。Oリング560は、外側面521Cと、外側面521Cと平行なケースの内周面との間で押し潰される。
【0169】
<実施形態5の第4変形例>
図37A及び
図37Bは、実施形態5の第4変形例の起歪体520M4を示す図である。
図37Bには、起歪体520M4に歪センサ130とOリング560を取り付けた状態を示す。
【0170】
起歪体520M4は、フランジを有さず、本体部521M4の外側面521Cの上下に、切欠部521Dを設けた構成を有する。また、外側面521Cは、下側及び上側の間の部分の径方向のサイズが、下側及び上側の部分の径方向のサイズよりも小さい。このように、フランジを設けずに、本体部521M4に切欠部521Dを設けた構成の起歪体520M4を用いても、起歪体520の回動を抑制できる。なお、Oリング560は、一例として、第3変形例と同様に、外側面521Cと、外側面521Cと平行なケースの内周面との間で押し潰される。
【0171】
<実施形態5の第5変形例>
図38A及び
図38Bは、実施形態5の第5変形例の起歪体520M5を示す図である。
図38Bには、起歪体520M5に歪センサ130とOリング560を取り付けた状態を示す。
【0172】
起歪体520M5は、実施形態5の第4変形例の起歪体520M4の本体部521の径方向のサイズを下面521A側から上面521B側まで均等にした構成の本体部521を有する。
【0173】
図38Cは、実施形態5の第5変形例の起歪体520M5を含む検出装置500M5の分解図である。
図38Cでは、ネジ515やOリング575A及び575B(
図31A参照)を省略する。
【0174】
検出装置500M5のケース510M5は、下ケース510M5Lと、上ケース510M5Uとを有する。下ケース510M5Lは、壁部513Lの下端にある開口部512Lにおいて、径方向の内側に突出する凸部513LAと、壁部513Lの下端で径方向の内側に突出する凸部513LBとを有する。壁部513Lの下端と上端の間の内周面は、Oリング560を嵌め込むために径方向のサイズが大きくなっており、壁部513Lの内周面の1周にわたって径方向の外側に凹んでいる。
【0175】
上ケース510M5Uは、壁部513Uを有する。壁部513Uは、下ケース510M5Lの壁部513Lと同様に、壁部513Uの上端にある開口部512Uにおいて、径方向の内側に突出する凸部513UAと、壁部513Uの下端で径方向の内側に突出する凸部513UBとを有する。壁部513Uの下端と上端の間の内周面は、Oリング560を嵌め込むために径方向のサイズが大きくなっており、壁部513Uの内周面の1周にわたって径方向の外側に凹んでいる。
【0176】
図38D及び
図38Eは、検出装置500M5の一部分を拡大して示す図である。
図38Dに示すように、下側のOリング560は、下ケース510M5Lの壁部513Lの凸部513LA及び513LBの間の凹部に嵌め込まれている。これは、上ケース510M5U側でも同様である。
【0177】
また、
図38Eに示すように、起歪体520M5の下側の切欠部521Dは、下ケース510M5Lの壁部513Lの凸部513LAに係合しており、凸部513LBは、外側面521Cに当接している。同様に、起歪体520M5の上側の切欠部521Dは、上ケース510M5Uの壁部513Uの凸部513UAに係合しており、凸部513UBは、外側面521Cに当接している。
【0178】
このようなケース510M5を用いれば、起歪体520M5の回動を抑制できる。なお、下側のOリング560は、外側面521Cと、外側面521Cと平行な下ケース510M5Lの壁部513Lの内周面との間で押し潰され、上側のOリング560は、外側面521Cと、外側面521Cと平行な上ケース510M5Uの壁部513Uの内周面との間で押し潰される。
【0179】
検出装置500M5は、下端部及び上端部を有する本体部521と、下端部がある下側と上端部がある上側とを結ぶ方向に本体部521を貫通する貫通孔523とを有し、貫通孔523に締結機構20のボルト21が挿通される起歪体520M5と、締結機構20によって貫通孔523の延在方向に加えられる締結軸力による起歪体520M5の歪みを検出する歪センサ130と、起歪体520M5の本体部521の少なくとも一部を本体部521の外側面に沿って収容するケース510M5とを含み、起歪体520M5は、平面視において本体部521の外側面よりも内側に切欠かれた切欠部521Dを有し、ケース510M5は、外側面に対向する壁部513L及び513Uを有し、壁部513L及び513Uは、平面視で内側に突出し、切欠部521Dに収容される凸部513LA及び513UAを有する。このため、切欠部521Dが凸部513LA及び513UAに係合し、ケース510M5に対して、起歪体520M5が回動することを抑制できる。
【0180】
したがって、起歪体520M5の回動を抑制した検出装置500M5を提供することができる。
【0181】
<実施形態5の第6変形例>
図39A及び
図39Bは、実施形態5の第6変形例の起歪体520M6を示す図である。
図39Bには、起歪体520M6に歪センサ130とOリング560を取り付けた状態を示す。
【0182】
起歪体520M6のフランジ522M6は、実施形態5の第3変形例のフランジ522M3に、Oリング560を嵌め込むための凹部522Bを設けた構成を有する。
図39A及び
図39Bには、上側のフランジ522M6の凹部522Bを示す。上側のフランジ522M6の凹部522Bは、上側のフランジ522M6の上面側から外側面521Cに沿って下方向に凹んでいる。このような凹部522Bは、外側面521Cの1周にわたって設けられている。凹部522Bのサイズは、Oリング560に合わせられている。
【0183】
下側のフランジ522M6にも上側のフランジ522M6の凹部522Bと同様の凹部が設けられており、下側のフランジ522M6の凹部は、下側のフランジ522M6の下面側から外側面521Cに沿って上方向に凹んでいる。
【0184】
このような起歪体520M6を用いれば、Oリング560の位置決めが容易になり、位置ずれを抑制できる。また、起歪体520M6の回動を抑制できる。下側のOリング560は、下ケース510LのXY平面に平行な内側面と、下側のフランジ522との間で上下方向に押し潰される。上側のOリング560は、上ケース510UのXY平面に平行な内側面と、上側のフランジ522との間で上下方向に押し潰される。
【0185】
以上、本開示の例示的な実施形態の検出装置について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0186】
なお、本国際出願は、2022年3月30日に出願した日本国特許出願2022-057382に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0187】
20 締結機構
21 ボルト
21A ボルト軸
22 ナット
30 被締結部材
100、100A、100B 検出装置
110 ケース
110L 下ケース
110U 上ケース(第2壁部の一例)
111 底板部(第1壁部の一例)
111A 係合部
111L 下面(第1表面の一例)
111U 上面(第2表面の一例)
112L 開口部(第1開口部の一例)
112U 開口部(第2開口部の一例)
113L リブ(対向壁部の一例)
113LA 凹部
113LB 切り欠き部
113LD 凸部
120、120B、120C、120D、120E 起歪体
121 本体部
121A 下面(第1端面の一例)
121B 上面(第2端面の一例)
121C 外側面(第1外側面の一例)
122、122C 凸部
122D、122E 凹部
123 貫通孔
130 歪センサ
140、140A 配線基板
145A 信号線
150 封止樹脂(充填材の一例)
200 検出装置
220 起歪体
221 本体部
222 凸部
223 貫通孔
224 基部
224A 下面(第3端面の一例)
224B 上面(第2端面の一例)
224C 外側面(第2外側面の一例)
225 延在部
225C 外側面(第1外側面の一例)
226 囲繞壁部
226A 下面(第1端面の一例)
320 起歪体
321 本体部
321A 下面(第1端面の一例)
321B 上面(第2端面の一例)
321C 外側面(第1外側面の一例)
322 凸部
323 貫通孔
324A 第1凹部
324B 第2凹部
420 起歪体
421 本体部
421A 下面
421B 上面
421C 外側面
421D 凹部
422 凸部
423 貫通孔
460 Oリング
500、500M1、500M5 検出装置
510、510M1、510M5 ケース
510L、510M5L 下ケース
510U、510M5U 上ケース
511 底板部
511L 下面
511S 側壁
511U 上面
512L 開口部
512U 開口部
513L 壁部
513LA 凸部
513LB 凸部
513U 壁部
513UA 凸部
513UB 凸部
514M1 収容部
515 ネジ
520、520M2、520M3、520M4、520M5、520M6 起歪体
521 本体部
521A 下面
521B 上面
521C 外側面
521C1 溝
521D 切欠部
521M2 本体部
521M4 本体部
522、522M3、522M6 フランジ
522A 切欠部
522B 凹部
523 貫通孔
540 配線基板
560 Oリング
575A Oリング
575B Oリング