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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】積層型電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/528 20210101AFI20250109BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20250109BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20250109BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20250109BHJP
   H01G 11/72 20130101ALI20250109BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALN20250109BHJP
【FI】
H01M50/528
H01M50/534
H01M10/04 Z
H01M10/0585
H01G11/12
H01G11/72
H01M10/0562
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020105879
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022000840
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 聡美
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-534361(JP,A)
【文献】特開2007-172943(JP,A)
【文献】特開2018-049719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0293994(US,A1)
【文献】国際公開第2010/087472(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50 -50/598
H01M 10/0585
H01G 11/12
H01G 11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成され、厚み方向を積層方向として積層された複数の電極体であって、互いに隣接して積層された第1の電極体および第2の電極体と、
前記第1の電極体および第2の電極体を互いに電気的に接続する接続端子と、
前記複数の電極体をいずれも内部に収容する一つの外装体と、
を備え、
前記第1の電極体および前記第2の電極体の各々は、前記一つの外装体の内部において、板面に沿って該電極体の外側に延びる正極集電タブおよび負極集電タブを備え、該正極集電タブおよび負極集電タブは、該電極体から互いに異なる方向へ延びており、
前記電極体の形状は矩形板状であり、前記正極集電タブおよび負極集電タブは、前記電極体における一対の幅広面を囲う4つの側面のうち、互いに対向する一対の側面の各々に別々に設けられており、
前記正極集電タブおよび負極集電タブが各々設けられた前記側面の長手方向を前記電極体の幅方向とした場合に、前記正極集電タブおよび負極集電タブの前記幅方向における位置が互いに異なり、
前記第1の電極体における前正極集電タブと、前記第2の電極体における前負極集電タブが、前記一つの外装体の内部において、前記積層方向において互いに反対の方向から前記接続端子に接合されたことを特徴とする、積層型電池。
【請求項2】
前記接続端子の材質が、前記正極集電タブおよび負極集電タブの少なくとも一方の材質と同じであることを特徴とする、請求項1に記載の積層型電池。
【請求項3】
前記接続端子が、前記正極集電タブおよび負極集電タブの一方の材質と他方の材質を接合した接合部材であることを特徴とする、請求項1に記載の積層型電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電極体を積層させた積層型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の電池は、パソコンや携帯端末等のポータブル電源、あるいはEV(電気自動車)、HV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車)等の車両駆動用電源として広く用いられている。電池は、発電要素として電極体を備える。電極体には、一対の集電タブ(正極集電タブおおび負極集電タブ)が設けられる場合がある。集電タブには端子が接合される。例えば、特許文献1に開示されている電池の電極体では、一対の集電タブが同一の方向に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-24783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電極体を積層させた積層型電池では、複数の電極体の各々の集電タブを共に端子に接合することで、複数の電極体を電気的に接続する必要がある。従来の積層型電池では、複数の集電タブと端子の間に不要な力が加わる結果、接合の外れや、電極体を構成する箔の破損等の不具合が生じる場合があった。また、複数の集電タブと端子の接合部分の体積を小さくすることが困難であり、積層型電池のエネルギー密度が低下してしまう場合もあった。
【0005】
本発明の典型的な目的は、複数の電極体の各々の集電タブと端子が適切に接合された積層型電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を実現するべく、ここに開示される一態様の積層型電池は、板状に形成され、厚み方向を積層方向として積層された複数の電極体と、互いに隣接して積層された第1の上記電極体と第2の上記電極体を電気的に接続する接続端子と、を備え、上記第1の電極体および上記第2の電極体の各々は、板面に沿って外側に延びる一対の集電タブを備え、上記第1の電極体における一方の上記集電タブと、上記第2の電極体における一方の上記集電タブが、上記積層方向において互いに反対の方向から上記接続端子に接合されたことを特徴とする。
【0007】
積層された2つの電極体の各々から延びる2つの集電タブは、積層方向にずれている。従って、2つの集電タブを、積層方向において同一の方向から接続端子に接合させる場合には、一方の集電タブを、他方の集電タブよりも大幅に曲げた状態で接合させる必要がある。よって、接合部分に不要な力が加わり易く、接合部分の体積を小さくすることも困難であった。これに対し、本開示に係る積層型電池では、2つの集電タブの間に接続端子が位置する。従って、複数の電極体の積層方向と、集電タブが延びる方向に共に交差する方向から接続端子を見た場合に、接続端子に対する各々の集電タブの接合形状が、対称な形状となり易い。よって、接合部分に不要な力が加わり難く、接合部分の体積を小さくすることも容易である。
【0008】
ここに開示される積層型電池の効果的な一態様では、一対の集電タブが、電極体から互いに異なる方向へ延びる。この場合には、一対の集電タブが同じ方向に延びる場合に比べて、各々の集電タブの幅を広くして抵抗を減少させることが容易となる。また、集電タブを接続端子に接合する際の作業スペースも確保し易い。
【0009】
ここに開示される積層型電池の効果的な一態様では、電極体の形状は矩形板状であり、一対の集電タブが、電極体における一対の幅広面を囲う4つの側面のうち、互いに対向する一対の側面の各々に設けられている。この場合には、電極体の形状が円形等である場合に比べて、複数の電極体を積層させる際の位置合わせが容易である。また、一対の集電タブを備える電極体の形状が、回転対称に近い形状となるので、製造時における電極体の取り扱いも容易である。
【0010】
ここに開示される積層型電池の効果的な一態様では、集電タブが設けられた側面の長手方向(つまり、複数の電極体の積層方向と、集電タブが延びる方向に共に交差する方向)を電極体の幅方向とした場合に、一対の集電タブの幅方向における位置が互いに異なる。この場合、同一の2つの電極体の一方の表裏を反転させて積層させることで、一方の側で正極集電タブと負極集電タブが接続端子に接合されると共に、反対側における正極集電タブと負極集電タブの幅方向における位置が異なる位置となる。よって、同一の電極体である第1の電極体と第2の電極体が、適切に直列接続される。
【0011】
ここに開示される積層型電池の効果的な一態様では、接続端子の材質が、一対の集電タブの少なくとも一方の材質と同じである。この場合、一対の集電タブの少なくとも一方が、より高い強度で接続端子に接合される。
【0012】
ここに開示される積層型電池の効果的な一態様では、接続端子が、一対の集電タブの一方の材質と他方の材質を接合した接合部材である。この場合、一対の集電タブの各々が、共に高い強度で接続端子に接合される。なお、接合部材である接続端子の具体的な態様は、適宜選択できる。例えば、異なる材質の金属を、圧力を加えた状態で延ばすことで接合したクラッド材が、接続端子として用いられてもよい。また、異なる材質の金属が、超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、または締結等によって接合された接合部材が、接続端子として用いられてもよい。この場合、複数の金属の接合は、集電タブが接続端子に接合されるよりも前に予め行われてもよい。また、集電タブが各金属に接合された後に、複数の金属が接合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】外装体5およびホルダ40を省略した状態の、積層型電池1の平面図である。
図2】第1電極体10A、第2電極体10B、絶縁部材7、および接続端子30の分解斜視図である。
図3】集電タブ11A,12Bと接続端子30の接合部分を幅方向(図1における下方)から見た図である。
図4】集電タブ11A,12Bと接続端子30の接合部分を伸長方向(図1における右方)から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0015】
本明細書において、「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、一次電池および二次電池を含む概念である。「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池(すなわち化学電池)の他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する。
【0016】
図1および図2を参照して、本実施形態の積層型電池1の構成について説明する。図1および図2における紙面奥行き方向を、電極体10の積層方向(つまり、電極体10の厚み方向)とする。図1における紙面上下方向を、積層型電池1および電極体10の幅方向とする。図1における紙面左右方向を、積層型電池1および電極体10の伸長方向とする。
【0017】
本実施形態の積層型電池1は、外装体5、複数の電極体10(第1電極体10Aおよび第2電極体10B)、外部端子21,22(正極外部端子21および負極外部端子22)、接続端子30、およびホルダ40を備える。図1では、外装体5は、電極体10等の周囲を覆う点線で示されている。また、図1では、ホルダ40は、接続端子30を含む接合部分を覆う点線で示されている。
【0018】
外装体5は、電極体10等を内部に収容する。一例として、本実施形態の外装体5には、適度な可撓性を有するラミネートフィルムが用いられている。しかし、外装体5の材質を変更することも可能である。例えば、適度な剛性を有する金属製または樹脂製の外装体が用いられてもよい。
【0019】
電極体10は、積層型電池1における発電要素である。積層型電池1は、種々の電池の中でもエネルギー密度が高い二次電池であることが好ましい。本実施形態の積層型電池1は、特に好適な二次電池の一例であるリチウムイオン電池である。ただし、積層型電池1は、リチウムイオン電池以外の二次電池(例えば、ニッケル水素電池等)であってもよい。また、本実施形態の積層型電池1は、電解液を固体電解質に置換した全固体電池である。ただし、積層型電池1は全固体電池でなくてもよく、外装体5の内部に電解液が収容されていてもよい。
【0020】
本実施形態の電極体10では、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および負極集電体層が順に積層されている。正極集電体層および負極集電体層としては、任意の集電体層を用いることができる。例えば、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、またはチタン等の各種金属の集電体層を用いることができる。正極活物質層は、正極活物質と、随意に導電助剤、バインダー、および固体電解質粒子とを含む。正極活物質としては、マンガン、コバルト、ニッケル、およびチタンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属、および、リチウムを含む金属酸化物(例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、およびニッケルコバルトマンガン酸リチウム等)を挙げることができる。固体電解質層には、全固体電池の固体電解質として利用可能な材料を用いることができる。例えば、8LiO・67LiS・25P、LiS、P、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P若しくはLiI-LiS-B等の硫化物系非晶質固体電解質粒子、LiO-B-P若しくはLiO-SiO等の酸化物系非晶質固体電解質粒子、又はLi1.3Al0.3Ti0.7(PO若しくはLi1+x+yTi2-xSi3-y12(Aは、Al又はGa、0≦x≦0.4、0<y≦0.6)等の結晶質酸化物等を用いることができる。負極活物質層は、負極活物質と、随意に導電助剤、バインダー、および固体電解質粒子とを含む。負極活物質としては、リチウムイオン等の金属イオンを吸蔵・放出可能であれば特に限定されない。
【0021】
図2に示すように、電極体10の外形は板状に形成されている。詳細には、本実施形態の電極体10の形状は、幅方向を短手方向とする矩形板状であり、一対の幅広面15と、幅広面の周囲を取り囲む4つの側面16A,16Bを有する。積層型電池1では、複数の電極体10が厚み方向に積層される。詳細には、複数の電極体10は、互いに隣接する2つの電極体10の幅広面15同士を一致させた状態で積層される。一例として、本実施形態の積層型電池1では、2つの電極体10(第1電極体10Aおよび第2電極体10B)が積層される。しかし、積層される電極体10の数は、3つ以上であってもよい。また、本実施形態では、同一の電極体10が積層されて、積層型電池1に搭載される。従って、異なる電極体を別々に製造して積層させる場合に比べて、積層型電池1の製造工程が簡略化される。
【0022】
なお、本実施形態では、互いに隣接する2つの電極体10の間(本実施形態では、第1電極体10Aと第2電極体10Bの間)に、短絡を防止する絶縁部材7(図2参照)が配置される。ただし、電極体10の表面に予め絶縁層が設けられている場合等には、絶縁部材7を省略することも可能である。
【0023】
図2に示すように、複数の電極体10の各々は、一対(2つ)の集電タブを備える。一対の集電タブは、電極体10の板面に沿って外側に延びる。詳細には、第1電極体10Aは、正極集電タブ11Aと負極集電タブ12Aを備える。第2電極体10Bは、正極集電タブ11Bと負極集電タブ12Bを備える。
【0024】
本実施形態における一対の集電タブは、電極体10から互いに異なる方向へ延びている。仮に、一対の集電タブが電極体10から同じ方向へ(例えば平行に)延びる場合には、板状である電極体10のうち同一の縁部(同一の側面16)に、一対の集電タブが共に設置される必要がある。この場合、同じ電極体10に設けられた2つの集電タブが電気的に接続されてしまうことを防止するために、各々の集電タブの幅を制限する必要がある。これに対し、一対の集電タブを、電極体10から互いに異なる方向へ延ばすことで、各々の集電タブの幅を広くして抵抗を減少させることが容易となる。また、各々の集電タブの位置が離間するので、後述する接合作業等を行う際のスペースも確保し易い。
【0025】
より詳細には、一対の集電タブは、電極体10における一対の幅広面15A,15Bを囲う4つの側面(第1電極体10Aの4つの側面16A、および第2電極体10Bの4つの側面16Bの各々)のうち、互いに対向する一対の側面の各々に設けられている。つまり、一対の集電タブは、互いに正反対の方向に延びている。従って、一対の集電タブを備える電極体10の形状が、回転対称に近い形状となる。よって、積層型電池1を製造する際の電極体10の取り扱いも容易である。
【0026】
また、集電タブが設けられた側面の長手方向(つまり、複数の電極体の積層方向と、集電タブが延びる伸長方向に共に交差する方向)を、幅方向とする。この場合、一対の集電タブの幅方向における位置が、互いに異なる。例えば、図2に示す状態では、第1電極体10Aの正極集電タブ11Aは、第1電極体10Aの側面の幅方向中心よりも紙面下側に位置するのに対し、負極集電タブ12Aは、第1電極体10Aの側面の幅方向中心よりも紙面上側に位置する。その結果、第1電極体10Aと第2電極体10Bが適切に直列接続されるが、この詳細は後述する。
【0027】
接続端子30は、互いに隣接して積層された第1電極体10Aと第2電極体10Bを電気的に接続する。一例として、本実施形態の積層型電池1では、第1電極体10Aと第2電極体10Bは、直列に接続される。詳細には、本実施形態では、第1電極体10Aの正極集電タブ11Aと、第2電極体10Bの負極集電タブ12Bが、接続端子30によって電気的に接続されることで、第1電極体10Aと第2電極体10Bが直列に接続される。ただし、本実施形態で例示する接続端子30と集電タブの接合構造(詳細は後述する)は、第1電極体10Aと第2電極体10Bを並列に接続する際に使用されてもよい。つまり、本実施形態で例示する技術は、2つの正極集電タブ11A,11Bを接続端子に接続する場合、および、2つの負極集電タブ12A,12Bを接続端子に接続する場合にも適用できる。
【0028】
外部端子21、22は、積層型電池1を外部に電気的に接続する。一例として、本実施形態では、直列に接続された第1電極体10Aおよび第2電極体10Bのうち、第2電極体10Bの正極集電タブ11Bに正極外部端子21が接合され、且つ、第1電極体10Aの負極集電タブ12Aに負極外部端子22が接合される。なお、図1に示すように、外装体5は、外部端子21、22を外方に突出させた状態で、電極体10等を内部に収容する。また、本実施形態では、外部端子21、22と外装体5の間に、隙間を密閉するためのタブシール25が設けられた状態で、電極体10等が外装体5の内部に密閉される。
【0029】
ホルダ40(図1参照)は、互いに接合された一対の集電タブ11A,12Bと接続端子30を覆うことで、絶縁性を担保する。ホルダ40は、例えば、絶縁性と適度な剛性を有する材質(例えば樹脂等)によって形成されればよい。
【0030】
以下、本実施形態における接続端子30と集電タブ11A,12Bの接合構造について詳細に説明する。なお、図3は、集電タブ11A,12Bと接続端子30の接合部分を幅方向(図1における下方)から見た図である。図4は、集電タブ11A,12Bと接続端子30の接合部分を伸長方向(図1における右方)から見た図である。
【0031】
図3および図4に示すように、本実施形態の積層型電池1では、第1電極体10Aにおける一方の集電タブ(本実施形態では正極集電タブ11A)と、第2電極体10Bにおける一方の集電タブ(本実施形態では負極集電タブ12B)が、積層方向において互いに反対の方向から接続端子30に接合される。つまり、図3および図4に示す例では、正極集電タブ11Aは、図の上方から接続端子30に接合されているのに対し、負極集電タブ12Bは、図の下方から接続端子30に接合されている。なお、集電タブ11A,12Bと接続端子30の接合方法には、例えば、超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接等の少なくともいずれかを採用できる。
【0032】
図3に示すように、積層された2つの電極体10A,10Bの各々から延びる2つの集電タブ11A,12Bは、積層方向にずれている。従って、2つの集電タブ11A,12Bを、積層方向において同一の方向から接続端子30に接合させる場合には、一方の集電タブを、他方の集電タブよりも大幅に曲げた状態で接合させる必要がある。この場合、接合部分に不要な力が加わり易く、接合部分の体積を小さくすることも困難であった。これに対し、本実施形態の積層型電池1では、2つの集電タブ11A,12Bの間に接続端子30が位置する。従って、図3に示すように、幅方向から接続端子30を見た場合に、接続端子30に対する各々の集電タブ11A,12Bの接合形状が、対称(図3では上下対称)な形状となり易い。よって、接合部分に不要な力が加わり難く、接合部分の体積を小さくすることも容易である。さらに、本実施形態では、接合部分に装着されるホルダ40(図1参照)の構造も簡素化される。
【0033】
本実施形態では、正極集電タブ11A,11Bの材質と、負極集電タブ12A,12Bの材質が異なる。ここで、集電タブの材質と接続端子の材質が異なる場合、接合強度が低下する可能性もある。しかし、本実施形態の接続端子30は、2つの集電タブ11A,12Bの一方の材質と他方の材質を接合した接合部材である。詳細には、本実施形態の接続端子30は、正極集電タブ11A,11Bと同じ材質の金属31Aと、負極集電タブ12A,12Bと同じ材質の金属31Bを、圧力を加えた状態で延ばすことで接合したクラッド材である。従って、正極集電タブ11Aが金属31Aに接合され、且つ負極集電タブ12Bが金属31Bに接合されることで、2つの集電タブ11A,12Bが共に高い強度で接続端子30に接合される。
【0034】
図2に示すように、本実施形態の電極体10(第1電極体10Aおよび第2電極体10Bの各々)では、一対の集電タブの幅方向における位置が、互いに異なる。従って、同一の2つの電極体10の一方の表裏を反転させて積層させることで、一方の側(図2における右側)で正極集電タブ11Aと負極集電タブ12Bが接続端子30に接合されると共に、反対側(図2における左側)における正極集電タブ11Bと負極集電タブ12Aの幅方向における位置が、異なる位置となる。よって、同一の電極体10である第1電極体10Aと第2電極体10Bが、適切に直列接続される。
【0035】
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施形態の積層型電池1では、2つの電極体10が積層される。しかし、3つ以上の電極体が積層される積層型電池でも、本開示で例示した技術を適用できる。この場合、互いに隣接する2組以上の電極体のうち、少なくともいずれかの電極体の組を電気的に接続する際に、本開示で例示した技術が採用されればよい。
【0036】
上記実施形態の接続端子30は、2つの集電タブ11A,12Bの一方の材質と他方の材質を接合した接合部材である。しかし、接続端子の構成を変更することも可能である。例えば、接続端子の材質は、正極集電タブ11A,11Bおよび負極集電タブ12A,12Bの一方の材質と同じであってもよい。この場合、正極集電タブ11A,11Bおよび負極集電タブ12A,12Bの一方が高い強度で接続端子に接合され、且つ、接続端子の構成が簡素化される。また、正極集電タブ11A,11Bの材質と、負極集電タブ12A,12Bの材質が同じである場合には、接続端子の材質は、正極集電タブ11A,11Bおよび負極集電タブ12A,12Bの材質と同じであってもよい。この場合、2つの集電タブが共に高い強度で接続端子に接合される。
【符号の説明】
【0037】
1 積層型電池
10A,10B 電極体
11A,11B 正極集電タブ
12A,12B 負極集電タブ
15A,15B 幅広面
16A,16B 側面
30 接続端子

図1
図2
図3
図4