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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/22 20110101AFI20250109BHJP
【FI】
F24F1/22
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020146849
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041571
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-06-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠太
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-068743(JP,A)
【文献】特開平06-018065(JP,A)
【文献】特開2002-204598(JP,A)
【文献】実開昭59-191521(JP,U)
【文献】特開平06-281204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/20-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を備え、上記筐体には上部に送風ファンを有する送風機室が配置され、下部に熱交換器、圧縮機および電装品箱が配置される機械室が配置されており、上記機械室の正面側に上記電装品箱が配置されている空気調和機の室外機において、
上記機械室の正面が上記送風機室を支持する支柱により左側機械室と右側機械室とに区画されているとともに、上記電装品箱が上記左側機械室内に配置される第1電装品箱と上記右側機械室内に配置される第2電装品箱とに分割されており、
上記支柱の前面が、上記第1電装品箱と上記第2電装品箱との間に掛け渡される接続配線の配線引き回し部として用いられ、
上記第1電装品箱の上記支柱側の側面と上記第2電装品箱の上記支柱側の側面には、それぞれ上記接続配線の引出部が形成され、
上記支柱の前面には、上記配線引き回し部および上記引出部を覆う配線カバーが着脱可能に取り付けられることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
筐体を備え、上記筐体には上部に送風ファンを有する送風機室が配置され、下部に熱交換器、圧縮機および電装品箱が配置される機械室が配置されており、上記機械室の正面側に上記電装品箱が配置されている空気調和機の室外機において、
上記機械室の正面が上記送風機室を支持する支柱により左側機械室と右側機械室とに区画されているとともに、上記電装品箱が上記左側機械室内に配置される第1電装品箱と上記右側機械室内に配置される第2電装品箱とに分割されており、
上記支柱の前面が、上記第1電装品箱と上記第2電装品箱との間に掛け渡される接続配線の配線引き回し部として用いられ、
上記第1電装品箱の上記支柱側の側面と上記第2電装品箱の上記支柱側の側面の各前端側の一部分に形成された切り欠き溝からなる、それぞれ上記接続配線の引出部が形成され、
上記支柱の前面には、上記配線引き回し部を覆う配線カバーが上記切り欠き溝に嵌まるように着脱可能に取り付けられることを特徴とする空気調和機の室外機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に関し、さらに詳しく言えば、室外機に搭載される電装品箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機は、多くの場合、直方体形状の筐体を備え、その筐体の内部が送風ファンが収納される送風機室と、熱交換器や圧縮機が収納される機械室とに区画されている。
【0003】
上吹出型の室外機では、筐体の天面(上面)に空気吹出口が設けられ、送風機室が筐体の上部に配置され、機械室は筐体の下部に配置される。機械室内には制御系や駆動系の電気部品が収納されている電装品箱も設けられる。
【0004】
電装品箱は、メンテナンス性を考慮して機械室のサービスパネルが取り付けられる正面側に配置されている。通常、電装品箱は筐体の正面側の左側もしくは右側のサイドピラー(側柱)にヒンジを介して回動可能に支持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、大きな空調能力が要求される例えば送風ファン、圧縮機ともに2台が搭載されるような大型の室外機になると、制御系や駆動系の電装部品や基板の数も2台分となるため、電装品箱が大型となり重量も増加する。
【0006】
そうすると、作業者一人(一人作業)での電装品箱の取り扱い(付け外し)が難しくなり、電装品箱の筐体への組み立て性やメンテナンス性が悪くなる。
【0007】
この問題を解決する方法の一つとして、電装品箱を分割してそれぞれを小型化することが考えられるが、電装品箱を分割すると、分割した電装品箱に収容される電気部品同士を接続配線で接続する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-225537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、電装品箱が分割されている空気調和機の室外機において、組み立て性やメンテナンス性を損なわず、分割された各電装品箱間に接続配線を掛け渡すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、筐体を備え、上記筐体には上部に送風ファンを有する送風機室が配置され、下部に熱交換器、圧縮機および電装品箱が配置される機械室が配置されており、上記機械室の正面側に上記電装品箱が配置されている空気調和機の室外機において、
上記機械室の正面が上記送風機室を支持する支柱により左側機械室と右側機械室とに区画されているとともに、上記電装品箱が上記左側機械室内に配置される第1電装品箱と上記右側機械室内に配置される第2電装品箱とに分割されており、
上記支柱の前面が、上記第1電装品箱と上記第2電装品箱との間に掛け渡される接続配線の配線引き回し部として用いられ、
上記第1電装品箱の上記支柱側の側面と上記第2電装品箱の上記支柱側の側面には、それぞれ上記接続配線の引出部が形成され、
上記支柱の前面には、上記配線引き回し部および上記引出部を覆う配線カバーが着脱可能に取り付けられることを特徴とする。

【0011】
本発明の第2の態様は、上記支柱の前面には、上記配線引き回し部を覆う配線カバーが着脱可能に取り付けられることを特徴としている。
【0012】
本発明の第3の態様は、上記支柱は、上記支柱の前面にあたる正面部、左側面部および右側面部でなることを特徴としている。
【0013】
本発明の第4の態様は、上記第1電装品箱の上記支柱側の側面と上記第2電装品箱の上記支柱側の側面には、それぞれ上記接続配線の引出部が形成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明の第5の態様は、上記配線カバーは、さらに上記引出部も覆うことを特徴としている。
【0015】
本発明の第6の態様は、上記引出部は、上記第1電装品箱の上記支柱側の側面と上記第2電装品箱の上記支柱側の側面の各前端側の一部分に形成された切り欠き溝からなることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の第7の態様は、上記配線カバーは、上記切り欠き溝に嵌まるように配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、組み立て性やメンテナンス性を損なわず、分割された各電装品箱間に接続配線を掛け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の外観を示す斜視図。
図2】上記室外機の筐体からサービスパネルを分離して示す斜視図。
図3】上記室外機の機械室の正面全体を露出させた状態を示す斜視図。
図4】上記室外機の2分割された電装品箱を示す正面図。
図5】電装品箱カバーを外して上記電装品箱の内部を示す正面図。
図6】上記電装品箱内の空気流路を示す模式図。
図7】上記2分割された電装品箱の両方を開いた状態を示す斜視図。
図8】センターピラーおよびその両側に隣接する電装品箱の一部を示す正面図。
図9】上記センターピラーに取り付けられるヒンジ部分を分解して示す斜視図。
図10】上記電装品箱のヒンジ構造を説明するための要部拡大図。
図11】2分割された電装品箱に形成される引出部を示す要部斜視図。
図12】2分割された電装品箱間に掛け渡される接続配線の引き回し部を示す模式図。
図13】上記接続配線の引き回し部を配線カバーで覆った状態を示す要部斜視図。
図14】上記配線カバーの(a)前方から見た斜視図、(b)後方から見た斜視図。
図15】上記配線カバーの好ましい態様を示す後方から見た斜視図。
図16】上記配線カバーの両側に電装品箱カバーを被せた状態を示す要部拡大斜視図。
図17図16のA-A線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図1ないし図17により、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0020】
《全体構成(基本的な構成の実施形態)》
まず、図1ないし図4を参照して、本実施形態に係る空気調和機の室外機(以下、単に室外機ということがある)1は、直方体形状の筐体10を備えている。室外機1は上吹出型であることから、筐体10の上部に送風機室20が配置され、その下部に機械室30が配置されている。
【0021】
送風機室20は、正面パネル231、左側面パネル232、右側面パネル233、背面パネル234および天面パネル235によって囲まれており、その内部には、2台のプロペラファン型の送風ファン210a,210bが左右方向に横並びに配置されている。また、送風機室20の天面パネル235には、送風ファン210a,210bのためのファンガード220a,220bが設けられている。図4において、筐体10を正面から見て、送風機室20のうち、左側の送風ファン210a(第1送風ファン)が配置されている空間を左送風機室20L,右側の送風ファン210b(第2送風ファン)が配置されている空間を右送風機室20Rとする。
【0022】
機械室30は、正面、左側面、右側面および背面(後面)で囲まれた空間で、図1および図2にはこの内の正面30a,右側面30bおよび左側面30cが示されている。なお、機械室30の底面にはベースとなる底板301が配置されており、機械室30の上面は送風機室20に連通している。
【0023】
機械室30の正面30aには、メンテナンス時に取り外される4枚のサービスパネル311,312,313,314が設けられている。これらサービスパネル311~314を区別する必要がない場合には、総称としてサービスパネル310という。
【0024】
機械室30内には圧縮機や熱交換器36等が収納されている。詳しくは図示しないが、本実施形態において、熱交換器36は、第1送風ファン210a,第2送風ファン210bの配置に合わせて機械室30の左側面30cから背面と筐体10の中央にかけて、平面視でほぼU字状(コ字状)に配置されている。この熱交換器36は2台に分割された左右対称の形状である。
【0025】
機械室30の正面30a側の上部には電装品箱320が配置されるが、図3に電装品箱320を取り外して機械室30の正面30a全体を露出させた状態を示す。
【0026】
この室外機1は、ビル用マルチエアコン(業務用マルチエアコン)等に用いられる大型の室外機で、冷凍サイクルの熱源側の熱源部350として、第1圧縮機351と第2圧縮機352の2台の圧縮機を備えている。本実施形態において、圧縮機は圧縮機収納箱(コンプレッサーボックス)353内に収納されているため図示されない。
【0027】
また、電装品箱320も大型で、機械室30の正面30aの左端部30Lから右端部30Rにかけての全幅にわたる大きさを有している。本実施形態において、図4および図5に示すように、電装品箱320は、左側の第1電装品箱321と右側の第2電装品箱322の2台からなる。
【0028】
機械室30の正面30aの中央には、筐体10の剛性を高めるために所定の幅を有するのセンターピラー(中央に配置される支柱)40が立設されている。センターピラー40によって機械室30の正面30aは左側と右側に分けられ、第1電装品箱321は機械室30の正面30aの左側(左端部30Lとセンターピラー40との間)に配置され、第2電装品箱322は機械室30の正面30aの右側(右端部30Rとセンターピラー40との間)に配置されている。所定の幅を有するセンターピラー40を挟んで、第1電装品箱321と第2電装品箱322は離れて配置されており、互いに及ぼす熱の影響が少なくなる。
【0029】
第1電装品箱321および第2電装品箱322はともに、四角形状の側枠と底板を含む前面が開放された箱本体を有し、第1電装品箱321の正面には電装品箱カバー321a、第2電装品箱322の正面には電装品箱カバー322aがそれぞれ取り付けられている。
【0030】
電装品箱カバー321a、電装品箱カバー322aは着脱可能で、これら電装品箱カバー321a,322aを外すと、図5に示すように、第1電装品箱321と第2電装品箱322の内部が露出する。なお、第1電装品箱321の電装品箱カバー321aには、内部の制御部50を点検するための小窓321bが設けられている。
【0031】
本実施形態において、図1図2に示すように、機械室30の正面30aは仮想的に2行×2列の4面に分割されており、その各々にサービスパネル310が取り付けられている。サービスパネル310は、第1サービスパネル311、第2サービスパネル312、第3サービスパネル313および第4サービスパネル314の4枚で、このうち、第1サービスパネル311と第2サービスパネル312の2枚が電装品箱の正面30a側を覆うサービスパネルである。
【0032】
第1サービスパネル311と第2サービスパネル312は、外形、大きさがともに同じであり、第1電装品箱321と第2電装品箱322を機械室30の正面30a側から覆うように左右に並べて配置される。
【0033】
第3サービスパネル313と第4サービスパネル314は、圧縮機350(第1圧縮機351,第2圧縮機352)等の正面30a側を覆うサービスパネルである。第3サービスパネル313と第4サービスパネル314も、外形、大きさがともに同じであり、第1圧縮機351と第2圧縮機352を機械室30の正面30a側から覆うように左右に並べて配置される。第3サービスパネル313と第4サービスパネル314を取り外すことにより、圧縮機350(第1圧縮機351、第1圧縮機352)等に触れることができる。
【0034】
すなわち、機械室30の正面30aは、電装品箱用の第1サービスパネル311,第2サービスパネル312および機械室用の第3サービスパネル313,第4サービスパネル314の4枚のサービスパネルで覆われている。各サービスパネル310は、それぞれ、左辺の2箇所、右辺の2箇所の計4箇所で機械室30の正面30a側にネジ止めされる。
【0035】
図3には第1ないし第4の4枚のサービスパネル310と、電装品箱320(第1電装品箱321、第2電装品箱322)を取り外して、機械室30の内部を露出させた状態が示されている。機械室30のうち、左送風機室20Lの風上側を左機械室300L,右送風機室20Rの風上側を右機械室300Rという。なお、風上側とは送風機室(送風ファン)から見て空気が流れてくる上流側で、風下側とは送風機室(送風ファン)から空気が送り出される下流側である。
【0036】
《発熱部品の冷却(第1実施形態)》
図4図5を参照して、電装品箱320の構成について説明する。上記したように、本実施形態に係る室外機1は、2台の圧縮機(第1圧縮機351,第2圧縮機352)と、2台の送風ファン(第1送風ファン210a,第2送風ファン210b)とを備えている。第1圧縮機351,第2圧縮機352は、ともにインバータ制御による可変速圧縮機である。
【0037】
そのため、電装品として、2枚の圧縮機駆動用のインバータ基板(第1インバータ基板511,第2インバータ基板512)と、2枚の送風ファン駆動用のファンドライバ基板(第1ファンドライブ基板521,第2ファンドライブ基板522)とを備えている。なお、これらファンドライブ基板は、ファンモータ用のインバータ基板である。
【0038】
第1インバータ基板511が第1圧縮機351用、第2インバータ基板512が第2圧縮機352用で、第1ファンドライバ基板521が第1送風ファン210a用、第2ファンドライバ基板522が第2送風ファン210b用である。
【0039】
これらの各基板511,512,521,522には、一例として電力用半導体素子であるIPM(Intelligent Power Module)が搭載されている。IPMは動作することにより発熱する。また、電解コンデンサを含む2枚の平滑回路基板(第1平滑回路基板531、第2平滑回路基板532)を備えている。第1平滑回路基板531が第1インバータ基板511用、第2平滑回路基板532が第2インバータ基板512用である。これら平滑回路基板531,532に含まれている電解コンデンサもIPMの動作により発熱する。
【0040】
そのため、図7に示すように、各基板511,512,521,522の裏面には発熱部品の放熱のためにヒートシンク54が取り付けられている。
【0041】
本実施形態によると、発熱部品を有するインバータ基板(第1インバータ基板511,第2インバータ基板512)、ファンドライバ基板(第1ファンドライバ基板521,第2ファンドライバ基板522)および平滑回路基板(第1平滑回路基板531,第2平滑回路基板532)は、第2送風ファン210bの風上側の第2電装品箱322(請求項1における第2電装品箱に相当)に集約して配置されている。
【0042】
図6に示すように、少なくとも第2電装品箱322は、下部に空気流入部320a、上部に空気流出部320bを備えており、第2送風ファン210bの運転により、空気流入部320aから空気流出部320bに向けて第2電装品箱322内に空気が流れる(図6の矢印参照)。なお、第1電装品箱321側にも下方に空気流入部320a、上方に空気流出部320bが設けられてよい。
【0043】
本実施形態において、第1電装品箱321側には、第1送風ファン210a,第2送風ファン210bおよび第1圧縮機351,第2圧縮機352等の運転を制御するための制御部50が設けられている。制御部50には、マイロコンピュータやCPU(中央演算処理ユニット)等が用いられてよい。制御部50は第2電装品箱322側に設けられてもよい。
【0044】
制御部50は、例えば室内機が設置された空間の温度が設定温度付近に達した場合や、室内機の稼働台数が少なくなった場合には、第1送風ファン210a,第2送風ファン210bのうちのいずれか一方のみを運転する1ファン運転モードに入るが、この1ファン運転モード時、制御部50は常に第2電装品箱322の風上側に当たる送風ファン210bを選択する。
【0045】
これにより、第2電装品箱322に集約して配置されたインバータ基板(第1インバータ基板511,第2インバータ基板512)、ファンドライバ基板(第1ファンドライバ基板521,第2ファンドライバ基板522)の裏面にあるヒートシンク54に確実に空気が流れ、それぞれが効果的に冷却される。この場合において、1ファン運転モード時に運転休止側となる第1送風ファン210aのファンドライバ基板521は発熱しないため、第2電装品箱322側ではなく、第1電装品箱321側に設けられてもよい。
【0046】
なお、各発熱部品を有するインバータ基板(第1インバータ基板511,第2インバータ基板512)やファンドライバ基板(第1ファンドライバ基板521,第2ファンドライバ基板522)が第1電装品箱321側に集約して配置される場合には、1ファン運転モード時、第1電装品箱321の風上側の送風ファン210aが選択されることになる。
【0047】
また、圧縮機は、冷凍機油の偏り防止のため交互に運転する必要がある。そのため、圧縮機を駆動するためのインバータ基板が搭載される基板は、1ファン運転時に運転する送風ファンの直下に配置される必要がある。
【0048】
電装品箱320内における各基板の配置について、平滑回路基板(第1平滑回路基板531,第2平滑回路基板532)は電装品箱内の上部、インバータ基板(第1インバータ基板511,第2インバータ基板512)およびファンドライバ基板(第1ファンドライバ基板521,第2ファンドライバ基板522)は、それよりも下方に配置されることが好ましい。
【0049】
このような配置にすることで、インバータ基板(第1インバータ基板511,第2インバータ基板512)と圧縮機(第1圧縮機351,第2圧縮機352)との間の距離がより短くなるため、配線作業が容易になる。また、インバータ基板(第1インバータ基板511,第2インバータ基板512)やファンドライバ基板(第1ファンドライバ基板521,第2ファンドライバ基板522)のヒートシンク54が平滑回路基板(第1平滑回路基板531,第2平滑回路基板532)を冷却して暖められた空気に晒されることもない。従って、、平滑回路基板より発熱量の大きいインバータ基板やファンドライバ基板の冷却を効果的に行うことができる。
【0050】
また、発熱部品による高温領域と、これ以外の低温領域との間に仕切り板を設ける態様も熱の伝搬を防止するうえで有効である。先に説明したように、第1電装品箱321と第2電装品箱322は、センターピラー40により離されており、互いに熱の影響が少なくなる。また、第1電装品箱321の右側面版321Rと第2電装品箱322の左側面版322Lにより距離が離される。これにより、第1電装品箱321と第2電装品箱322の中を流れる風も上下に流れやすくなる。
【0051】
《電装品箱の開閉機構(第2実施形態)》
次に、図7ないし図10を参照して、電装品箱320(第1電装品箱321,第2電装品箱322)の開閉機構について説明する。
【0052】
本実施形態に係る室外機1では、電装品箱320の大型化に伴って、電装品箱320を第1電装品箱321と第2電装品箱322とに分割しているが、筐体10に対する組み立て性(付け外し性)とメンテナンス性を改善するため次の構成を採用している。
【0053】
先にも説明したように、センターピラー40によって機械室30の正面30aは左側と右側に分けられ、左側の第1電装品箱321は、機械室30の正面30aの左側に配置され、右側の第2電装品箱322は、機械室30の正面30aの右側に配置されるが、第1電装品箱321の右側枠(右辺)321Rおよび第2電装品箱322の左側枠(左辺)322L側がそれぞれヒンジを介してセンターピラー40に開閉可能かつ付け外し可能に連結されている。
【0054】
図8および図9に示すように、センターピラー40は、正面部(前面部)40F、左側面部40Lおよび右側面部40Rを含むコ字状の柱でなる。図3を参照して、正面部40Fは機械室30の正面30aに対して所定間隔をもって筐体10の内側に配置されている。すなわち、センターピラー40は、機械室30の正面30aよりも一段奥まった位置に配置されている。
【0055】
これは後述するように、第1電装品箱321と第2電装品箱322とを電気的につなぐ接続配線329(図12参照)を機械室30の正面30aから出っ張らせることなく、センターピラー40の正面部40F側を通すためである。
【0056】
図10に示すヒンジのうち、第1電装品箱321の右側枠321R側の第1ヒンジ6は、その回転軸(ボス612,632)がセンターピラー40の左側面部40Lの側方(図8において左側)で、かつ、センターピラー40の正面部40Fよりも機械室30の正面30a側寄りの特定された左側の支点位置60aに配置される。
【0057】
また、第2電装品箱322の左側枠322側に配置される他方の第2ヒンジ7は、その回転軸(ボス712,732)がセンターピラー40の右側面部40Rの側方(図8において右側)で、かつ、センターピラー40の正面部40Fよりも機械室30の正面30a側寄りの特定された右側の支点位置70aに配置される。
【0058】
第1ヒンジ6の左側の支点位置60aと第2ヒンジ7の右側の支点位置70aは、機械室30の正面30aよりも内側でセンターピラー40を挟んで左右対称である。
【0059】
このように、第1ヒンジ6の左側の支点位置60aと第2ヒンジ7の右側の支点位置70aを特定された位置にすることにより、第1電装品箱321と第2電装品箱322をセンターピラー40により近接させた位置で支障なく開閉することができる。
【0060】
次に、第1電装品箱321の右側枠321R側の第1ヒンジ6の具体的な構成について説明する。第1ヒンジ6には、第1電装品箱321の右側枠321Rとセンターピラー40の左側面部40Lとの間で、かつその間の上部に配置される第1上ヒンジ6Uと、第1電装品箱321の右側枠321Rとセンターピラー40の左側面部40Lとの間で、かつその間の下部に配置される第1下ヒンジ6Lとが含まれている。
【0061】
第1上ヒンジ6Uは、雄ヒンジ部61と雌ヒンジ部62の組み合わせからなる。雄ヒンジ部61は、センターピラー40の左側面部40Lから横方向(図8,9において左方向)に向けて水平(筐体10の底板301と平行)に張り出す舌片部611と、舌片部611の上面に垂直に立設された円筒もしくは円柱状のボス612とを備えている。
【0062】
雌ヒンジ部62は、第1電装品箱321の右側枠321Rから上記舌片部611と重なり合うように水平に張り出すヒンジ片621を有し、ヒンジ片621には上記ボス612に嵌合する軸受孔622が穿設されている。
【0063】
第1下ヒンジ6Lは、雄ヒンジ部63と雌ヒンジ部64の組み合わせからなる。雄ヒンジ部63は、センターピラー40の左側面部40Lから横方向(図8,9において左方向)に向けて水平に張り出す舌片部631と、舌片部631の上面に垂直に立設された円筒もしくは円柱状のボス632とを備えている。
【0064】
第1上ヒンジ6Uのボス612と第1下ヒンジ6Lのボス632は、ともに同軸として上記左側の支点位置60aに配置されている。
【0065】
雌ヒンジ部64は、第1電装品箱321の右側枠321Rから上記舌片部631と重なり合うように水平に張り出すヒンジ片641を有し、ヒンジ片641には上記ボス632に嵌合する軸受孔642が穿設されている。
【0066】
次に、第2電装品箱322の左側枠322L側の第2ヒンジ7について説明する。第2ヒンジ7には、第2電装品箱322の左側枠322Lとセンターピラー40の右側面部40Rとの間で送風機室20側寄りの上部に配置される第2上ヒンジ7Uと、第2電装品箱322の左側枠322Lとセンターピラー40の右側面部40Rとの間で底板301側寄りの下部に配置される第2下ヒンジ7Lとが含まれている。
【0067】
第2上ヒンジ7Uは、雄ヒンジ部71と雌ヒンジ部72の組み合わせからなる。雄ヒンジ部71は、センターピラー40の右側面部40Rから横方向(図8,9において右方向)に向けて水平に張り出す舌片部711と、舌片部711の上面に垂直に立設された円筒もしくは円柱状のボス712とを備えている。
【0068】
雌ヒンジ部72は、第2電装品箱322の左側枠322Lから上記舌片部711と重なり合うように水平に張り出すヒンジ片721を有し、ヒンジ片721には上記ボス712に嵌合する軸受孔722が穿設されている。
【0069】
第2下ヒンジ7Lは、雄ヒンジ部73と雌ヒンジ部74の組み合わせからなる。雄ヒンジ部73は、センターピラー40の右側面部40Rから横方向(図8,9において右方向)に向けて水平に張り出す舌片部731と、舌片部731の上面に垂直に立設された円筒もしくは円柱状のボス732とを備えている。
【0070】
第2上ヒンジ7Uのボス712と第2下ヒンジ7Lのボス732、ともに同軸として上記右側の支点位置70aに配置されている。
【0071】
雌ヒンジ部74は、第2電装品箱322の左側枠322Lから上記舌片部731と重なり合うように水平に張り出すヒンジ片741を有し、ヒンジ片741には上記ボス732に嵌合する軸受孔742が穿設されている。
【0072】
本実施形態において、第1上ヒンジ6Uの雄ヒンジ部61と第2上ヒンジ7Uの雄ヒンジ部71は、アタッチメント金具410に一体として形成され、ブラケット411を介してセンターピラー40の正面部40Fに固定される。
【0073】
また、第1下ヒンジ6Lの雄ヒンジ部63と第2下ヒンジ7Lの雄ヒンジ部73は、アタッチメント金具420に一体として形成され、同アタッチメント金具420を介してセンターピラー40の正面部40Fに固定される。図10において、参照符号421は、電装品箱用のサービスパネル311,312の一部分を係止するための受け金具である。
【0074】
このようなヒンジ(第1ヒンジ6,第2ヒンジ7)を採用することにより、図7に示すように、メンテナンス時に、第1電装品箱321および第2電装品箱322をセンターピラー40側を支点として適宜開くことができる。
【0075】
また、第1電装品箱321を持ち上げて、軸受孔622,642をボス612,632から外すことにより、第1電装品箱321を取り外すことかできる。同様に、第2電装品箱321を取り外すには、第2電装品箱322を持ち上げて、軸受孔722,742をボス712,732から外せばよい。
【0076】
第1電装品箱321を例にして取付方について説明すると、軸受孔622,642をボス612,632に嵌合させることにより、第1電装品箱321をセンターピラー40に回動可能(開閉可能)に取り付けることができるが、下方のボス632の軸長を上方のボス612の軸長よりも長くすることが好ましい。
【0077】
これによれば、まず、下方の軸受孔642をその相手方のボス632に嵌合させ、その後に上方の軸受孔622をその相手方のボス612に嵌合させる手順となり、上下2つの軸受孔622,642を同時にボス612,632に嵌合させる場合に比べて、嵌合作業が容易となる。
【0078】
《各電装品箱の間に掛け渡される接続配線の引き回し(第3実施形態)》
先に説明したように、電装品箱320が第1電装品箱321と第2第1電装品箱322とに分割されるに伴って、それら第1電装品箱321と第2電装品箱322との間に接続配線が掛け渡されることになるが、その配線作業やメンテナンスの都合上、センターピラー40の正面部40Fに配線経路を確保することが好ましい。そこで、図11ないし図17を参照して、その構成について説明する。
【0079】
まず、図11に示すように、好ましい態様として、センターピラー40の正面部40Fに幕板430が取り付けられる。幕板430は化粧板を兼ねるが、機械室30の正面30aから見て、左側の第1電装品箱321の右側枠321Rとセンターピラー40の左側面部40Lとの間の隙間G(図8参照)および右側の第2電装品箱322の左側枠322Lとセンターピラー40の右側面部40Rとの間の隙間G(図8参照)を覆い隠す幅を有している。
【0080】
次に、電装品箱から接続配線を引き出すにあたって、電装品箱の電装品箱カバーに開口部を設けることは雨水の浸入を許すおそれがあるので、サービスパネル311,312(310)に対向する電装品箱カバーに開口部を設けることは好ましくない。
【0081】
そこで、図11および図12に示すように、第1電装品箱321側にはその右側枠321Rに接続配線329の引出部330を形成する。また、第2電装品箱322側にはその左側枠322Lに接続配線329の引出部330を形成する。
【0082】
本実施形態によれば、第1電装品箱321の引出部330をその右側枠321Rの前端側の一部分に形成された切り欠き溝331とし、同様に、第2電装品箱322の引出部330をその左側枠322Lの前端側の一部分に形成された切り欠き溝332としている。
【0083】
なお、本実施形態では、切り欠き溝331,332をそれぞれ一つの大きな切り欠きとしているが、図7に示すように、切り欠き溝331,332をそれぞれ2つ形成してもよい。切り欠き溝331,332をいくつ設けるかは任意である。
【0084】
幕板430の正面で、切り欠き溝331,332との間が接続配線329の引き回し部440として用いられる。先に説明したように、センターピラー40はその正面部40Fが機械室30の正面30aよりも筐体10の内側に引っ込められているため、幕板430を設けたとしても、接続配線329を機械室30の正面30aより出っ張らせることなくセンターピラー40の正面部40Fの前方を通すことができる。
【0085】
図13および図14を併せて参照して、配線引き回し部440に配線カバー450が被せられる。配線カバー450は、第1電装品箱321側の切り欠き溝331および第2電装品箱322側の切り欠き溝332を覆う大きさ(切り欠き溝331,332間を跨ぐ大きさ)を有している。
【0086】
本実施形態において、配線カバー450は板金製であるため、その切り口部分によって接続配線329に傷が付かないように、配線カバー450の両端451,451を正面側に折り返して切り口が当たらないようにしている。
【0087】
本実施形態によると、図12に示すように、配線引き回し部440に接続配線329の配線押さえ部材411が設けられている。また、図15に示すように、配線カバー450の裏面542側にも接続配線329の配線押さえ部材453が設けられている。配線押さえ部材411,453はスポンジ等の弾性材であることが好ましく、配線カバー450を配線引き回し部440に取り付けるに伴って、配線押さえ部材411,453により接続配線329が挟まれる。なお、配線押さえ部材411,453の一方は省略されてもよい。さらに好ましい態様として、配線カバー450の裏面452側には、結露対策としての断熱材454が設けられている。
【0088】
図16を併せて参照して、配線引き回し部440において、配線カバー450はその両端451が第1電装品箱321の電装品箱カバー321aと第2電装品箱322の電装品箱カバー322aとによって押さえられ。より密閉性が高められる。
【0089】
以上説明したように、本第3実施形態によれば、電装品箱がセンターピラーを挟んで第1電装品箱と第2電装品箱の2つに分割される空気調和機の室外機において、各電装品箱間に掛け渡される接続配線をセンターピラーの前側を通すことができるとともに、各電装品箱のセンターピラーと対向する側の側枠に接続配線の引出部を形成したことにより、雨水等の浸入や機外延焼を防止し得る密閉性の高い電装品箱が得られる。
【符号の説明】
【0090】
1 室外機
10 筐体
20 送風機室
210 送風機
220 ファンガード
30 機械室
30a 機械室の正面
310(311~314) サービスパネル
320 電装品箱
321 第1電装品箱
321a 第1電装品箱カバー
322 第2電装品箱
322a 第2電装品箱カバー
329 接続配線
330 引出部
331,332 切り欠き溝
350 熱源部(圧縮機)
351 第1熱源部(第1圧縮機)
352 第2熱源部(第2圧縮機)
40 センターピラー
40F 正面部
40L 左側面部
40R 右側面部
411,453 配線押さえ部材
440 配線引き回し部
450 配線カバー
50 制御部
511,512 インバータ基板
521,522 ファンドライバ基板
531,532 平滑回路基板
54 ヒートシンク
6,7 ヒンジ
6U,7U 上ヒンジ
6L,7L 下ヒンジ
60a,70a 支点位置
61,63,71,73 雄ヒンジ部
62,64,72,74 雌ヒンジ部
612,632,712,732 ボス(回転軸)
622,642,722,742 軸受孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17