(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 25/00 20060101AFI20250109BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B66B25/00 A
B66B31/00 C
(21)【出願番号】P 2024040890
(22)【出願日】2024-03-15
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上垣 修矢
(72)【発明者】
【氏名】西村 清秀
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-001860(JP,A)
【文献】特開平07-117965(JP,A)
【文献】特開平05-051191(JP,A)
【文献】特開2022-177452(JP,A)
【文献】特開2017-214180(JP,A)
【文献】特開2014-037297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00- 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を搬送するために走行するステップと、
前記ステップが搬送する負荷を検出する負荷検出部と、
前記ステップの走行速度を制御する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、第1運転制御と第2運転制御とを切り替え、
前記第1運転制御は、前記負荷検出部で検出された負荷が第1設定値以上である場合に、前記ステップの最大走行速度を第1運転速度とし、前記負荷検出部で検出された負荷が前記第1設定値未満である場合に、前記ステップの最大走行速度を、前記第1運転速度よりも遅い第2運転速度とし、
前記第2運転制御は、前記負荷検出部で検出された負荷に拘わらず、前記ステップの最大走行速度を、前記第2運転速度以下である第3運転速度とする、マンコンベヤであって、
前記処理装置は、既定の時刻によって、前記第1運転制御と前記第2運転制御とを切り替え、
前記処理装置は、既定の第1時刻になった後に前記負荷検出部で検出された負荷が前記第1設定値未満である場合に、前記第1運転制御から前記第2運転制御へ切り替える
、マンコンベヤ。
【請求項2】
人を搬送するために走行するステップと、
前記ステップが搬送する負荷を検出する負荷検出部と、
前記ステップの走行速度を制御する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、第1運転制御と第2運転制御とを切り替え、
前記第1運転制御は、前記負荷検出部で検出された負荷が第1設定値以上である場合に、前記ステップの最大走行速度を第1運転速度とし、前記負荷検出部で検出された負荷が前記第1設定値未満である場合に、前記ステップの最大走行速度を、前記第1運転速度よりも遅い第2運転速度とし、
前記第2運転制御は、前記負荷検出部で検出された負荷に拘わらず、前記ステップの最大走行速度を、前記第2運転速度以下である第3運転速度とする、マンコンベヤであって、
前記処理装置は、既定の時刻によって、前記第1運転制御と前記第2運転制御とを切り替え、
前記処理装置は、既定の第2時刻になった後に前記負荷検出部で検出された負荷が前記第1設定値以上である場合に、前記第2運転制御から前記第1運転制御へ切り替える
、マンコンベヤ。
【請求項3】
人を搬送するために走行するステップと、
前記ステップが搬送する負荷を検出する負荷検出部と、
前記ステップの走行速度を制御する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、第1運転制御と第2運転制御とを切り替え、
前記第1運転制御は、前記負荷検出部で検出された負荷が第1設定値以上である場合に、前記ステップの最大走行速度を第1運転速度とし、前記負荷検出部で検出された負荷が前記第1設定値未満である場合に、前記ステップの最大走行速度を、前記第1運転速度よりも遅い第2運転速度とし、
前記第2運転制御は、前記負荷検出部で検出された負荷に拘わらず、前記ステップの最大走行速度を、前記第2運転速度以下である第3運転速度とする、マンコンベヤであって、
前記処理装置は、前記第2運転制御を実行しているときに、前記負荷検出部で検出された負荷が前記第1設定値よりも大きい第2設定値以上になった場合に、前記第2運転制御から前記第1運転制御へ切り替える
、マンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、人を搬送するために走行するステップと、ステップが搬送する負荷を検出する負荷検出部と、ステップの走行速度を制御する処理装置とを備えている(例えば、特許文献1)。特許文献1に係るマンコンベヤにおいては、負荷検出部で検出された負荷に応じて、ステップの走行速度は、変更されている。
【0003】
ところで、例えば、高齢者や子供がステップに乗るときに、ステップの走行速度が速い場合には、高齢者や子供がステップに乗り難いことがある。そこで、ステップが搬送する負荷だけでなく、例えば、高齢者や子供がマンコンベヤを利用することを考慮して、ステップの走行速度を適切にしたいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、ステップの走行速度を適切にすることができるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マンコンベヤは、
人を搬送するために走行するステップと、
前記ステップが搬送する負荷を検出する負荷検出部と、
前記ステップの走行速度を制御する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、第1運転制御と第2運転制御とを切り替え、
前記第1運転制御は、前記負荷検出部で検出された負荷が第1設定値以上である場合に、前記ステップの最大走行速度を第1運転速度とし、前記負荷検出部で検出された負荷が前記第1設定値未満である場合に、前記ステップの最大走行速度を、前記第1運転速度よりも遅い第2運転速度とし、
前記第2運転制御は、前記負荷検出部で検出された負荷に拘わらず、前記ステップの最大走行速度を、前記第2運転速度以下である第3運転速度とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】同実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図
【
図3】同実施形態に係るマンコンベヤの運転切替制御フロー図
【
図5】他の実施形態に係る時刻と運転制御との関係図
【発明を実施するための形態】
【0008】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0009】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0010】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、
図1~
図4を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、マンコンベアの構成等の理解を助けるために例示するものであり、マンコンベヤの構成を限定するものではない。
【0011】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人(乗客)を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対(
図1においては、一つのみ図示している)の欄干部4と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、装置全体を制御する処理装置6とを備えていてもよい。
【0012】
図1において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向(「幅方向」ともいう)D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向(「前後方向」ともいう)D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0013】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0014】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって回転して走行する無端環状の走行部3aと、人を搬送するために、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとしてもよい。
【0015】
また、例えば、走行部3aは、第1横方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、それぞれの走行部3aに対して第1横方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0016】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、走行部3aの第2横方向D2の第1端部が巻き掛けられて且つ第1横方向D1を軸にして回転する回転部5aと、走行部3aの第2横方向D2の第2端部を支持する支持部5bと、回転部5aを回転させる駆動源5cとを備えていてもよい。これにより、ステップ3bは、回転部5aによって反転し、また、支持部5bによって反転する。
【0017】
特に限定されないが、回転部5aは、例えば、スプロケットとしてもよい。また、特に限定されないが、支持部5bは、例えば、走行部3aを反転するようにガイドするガイド材であってもよく、また、例えば、走行部3aが巻き掛けられて且つ第1横方向D1を軸にして回転する回転材(例えば、スプロケット)であってもよい。また、特に限定されないが、駆動源5cは、例えば、モータとしてもよい。
【0018】
欄干部4は、例えば、回転して走行する無端環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bと、欄干本体部4bの下部を覆うカバー部4cとを備えていてもよい。なお、例えば、手摺ベルト4aが駆動部5の駆動によって走行し、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期してもよい。
【0019】
構造体2は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2のそれぞれの端部に配置される機械室2aを備えていてもよい。マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、機械室2aを上方から覆うように、構造体2に取り付けられる床プレート1aを備えていてもよい。これにより、床プレート1aは、搬送部3に乗り降りするために、搬送部3の第2横方向D2の各端部に配置される乗降部1bを構成している。
【0020】
図2に示すように、マンコンベヤ1は、ステップ3bが搬送する負荷を検出する負荷検出部7を備えている。また、マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、ステップ3bの走行速度を検出する速度検出部8と、ステップ3bに乗る人を検出する人検出部9とを備えていてもよい。また、駆動部5は、例えば、本実施形態のように、ステップ3bの走行速度を変更させる変更部5dを備えていてもよい。
【0021】
変更部5dは、特に限定されないが、例えば、回転部5aの回転速度を変更するために、駆動源5cであるモータに供給する電力の周波数を変更するインバータとしてもよく、また、例えば、回転部5aの回転速度を変更するために、回転部5aと噛合するギアを切り替えるギア装置としてもよい。
【0022】
速度検出部8は、特に限定されないが、例えば、回転部5aの外周の歯を検出するセンサ(例えば、近接センサ、光電センサ)としてもよく、また、例えば、回転部5aの回転を検出するセンサ(例えば、エンコーダ)としてもよく、また、例えば、ステップ3bに接することによって回転するローラの回転を検出するセンサ(例えば、エンコーダ)としてもよい。
【0023】
人検出部9は、例えば、マンコンベヤ1(ステップ3b)に乗る人を検出するために、乗降部1bの人を検出してもよい。そして、人検出部9は、特に限定されないが、例えば、光電センサとしてもよく、また、例えば、上方や側方から撮像するカメラとしてもよく、また、例えば、下方から人の荷重を検出するロードセルとしてもよく、また、例えば、駆動源5cであるモータの負荷(例えば、トルク値、電力値)を検出するインバータや電力計としてもよい。
【0024】
負荷検出部7の構成は、特に限定されない。例えば、負荷検出部7は、駆動源5cのトルク値や電力値を検出するインバータや電力計と、速度検出部8とによって構成されていてもよい。具体的には、例えば、ステップ3bの走行速度が同じである場合に、ステップ3bで搬送する負荷が大きいほど、駆動源5cの電力値が大きくなるため、処理装置6は、駆動源5cの電力値と速度検出部8の速度とに基づいて、ステップ3bで搬送する負荷(例えば、定格負荷に対する負荷率)を演算してもよい。
【0025】
また、例えば、負荷検出部7は、人検出部9で構成されていてもよい。例えば、ステップ3bに乗る人が多いほど、ステップ3bで搬送する負荷が大きくなるため、処理装置6は、人検出部9の検出(例えば、所定時間における検出累積時間、所定時間における検出回数等)に基づいて、ステップ3bで搬送する負荷(例えば、定格負荷に対する負荷率)を演算してもよい。
【0026】
また、マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、各種情報が入力される入力部10と、各種情報を出力する出力部11とを備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、入力部10に入力される情報として、運転モード情報(手動運転選択、自動運転選択)、運転指示情報(運転開始指示、運転停止指示)、ステップ走行方向情報(上側搬送選択、下側搬送選択)、ステップ走行速度情報(定格速度運転選択、低速度運転選択)等としてもよい。
【0027】
また、特に限定されないが、入力部10は、例えば、スイッチ(押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ等)、タッチパネル等としてもよい。また、特に限定されないが、出力部11は、例えば、情報を表示する表示部(例えば、電光掲示板、表示灯)、情報を音で発する発音部(例えば、ブザー、スピーカ)、外部(例えば、中央監視盤等)へ信号を出力する信号出力部等としてもよい。
【0028】
処理装置6は、例えば、本実施形態のように、各部7~10から各情報(データ)を取得する取得部12と、各情報を記憶する記憶部13と、各情報を演算する演算部14と、各部5,11を制御する制御部15とを備えていてもよい。そして、処理装置6は、例えば、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部14、制御部15)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部12、記憶部13)、各種インターフェイス等を備えるコンピュータとしてもよい。
【0029】
これにより、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、処理装置6の各部12,13,14,15が実現される。なお、処理装置6は、例えば、ソフト回路で構成されていてもよく、また、例えば、ハード回路で構成されていてもよく、また、例えば、ソフト回路及びハード回路の組み合わせで構成されていてもよい。
【0030】
また、処理装置6は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、処理装置6の各部12,13,14,15は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0031】
演算部14は、例えば、本実施形態のように、人検出部9の検出に基づいて、マンコンベヤ1に乗る人の有無を判定する有人判定部14aと、負荷検出部7の検出に基づいて、ステップ3bが搬送している負荷を判定する負荷判定部14bとを備えていてもよい。制御部15は、例えば、本実施形態のように、速度検出部8の検出に基づいて、ステップ3bの走行速度を制御するために、変更部5dを制御する駆動制御部15aと、出力部11を制御する出力制御部15bとを備えていてもよい。
【0032】
本実施形態に係るマンコンベヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るステップ3bの走行速度の制御方法について説明する。なお、以下の方法は、ステップ3bの走行速度の制御方法等の理解を助けるために例示するものであり、ステップ3bの走行速度の制御方法を限定するものではない。
【0033】
<第1運転制御>
まず、処理装置6が第1運転制御を実行している場合の、ステップ3bの走行速度の制御方法について、説明する。
【0034】
第1運転制御においては、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値以上であると判定した場合に、駆動制御部15aは、ステップ3bの最大走行速度を、第1運転速度とする。特に限定されないが、ステップ3bの走行速度は、例えば、第1運転速度で一定(同じだけでなく、±10%の誤差を有する略同じも含む)であってもよく、また、例えば、第1運転速度を最大速度とした所定の範囲の速度であってもよい。
【0035】
また、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値未満であると判定した場合に、駆動制御部15aは、ステップ3bの最大走行速度を、第1運転速度よりも遅い第2運転速度とする。特に限定されないが、ステップ3bの走行速度は、例えば、第2運転速度で一定(同じだけでなく、±10%の誤差を有する略同じも含む)であってもよく、また、例えば、第2運転速度を最大速度とした所定の範囲の速度であってもよい。
【0036】
また、特に限定されないが、第1設定値は、例えば、定格負荷に対する15%~25%の負荷率に相当する値としてもよい。また、特に限定されないが、例えば、第1運転速度は、25m/分~30m/分としてもよく、また、例えば、第2運転速度は、20m/分~25m/分としてもよい。
【0037】
なお、有人判定部14aは、人検出部9の検出に基づいて人の有無を判定する。そして、特に限定されないが、例えば、人検出部9が人を検出した場合に、有人判定部14aは、乗る人が有ると判定し、また、例えば、人検出部9が最後に人を検出した後に、設定時間(例えば、ステップ3bが1/2周の距離を走行する時間+30秒)が経過した場合に、有人判定部14aは、乗る人が無いと判定する、という構成でもよい。
【0038】
そして、有人判定部14aが有人と判定した場合に、駆動制御部15aは、ステップ3bの走行速度が運転速度(第1運転速又は第2運転速度)である運転状態(高速運転状態)とする。一方で、有人判定部14aが無人と判定した場合に、駆動制御部15aは、ステップ3bの走行速度が第2運転速度よりも遅い(後述する第3運転速度よりも遅い)待機速度である待機状態とする。特に限定されないが、待機速度は、例えば、ゼロ(0m/秒)~10m/分としてもよい。
【0039】
なお、本実施形態においては、有人判定部14aが無人と判定した場合に、ステップ3bの走行速度は、待機速度になる、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、人検出部9の検出に拘わらず、ステップ3bの走行速度は、運転速度(第1運転速度又は第2運転速度)である、という構成でもよい。即ち、駆動制御部15aは、人検出部9の検出に拘わらず、運転状態(高速運転状態)にする、という構成でもよい。
【0040】
<第2運転制御>
次に、処理装置6が第2運転制御を実行している場合の、ステップ3bの走行速度の制御方法について、説明する。
【0041】
第2運転制御においては、負荷検出部7で検出された負荷に拘わらず、駆動制御部15aは、ステップ3bの最大走行速度を、第2運転速度以下である第3運転速度とする。特に限定されないが、ステップ3bの走行速度は、例えば、第3運転速度で一定(同じだけでなく、±10%の誤差を有する略同じも含む)であってもよく、また、例えば、第3運転速度を最大速度とした所定の範囲の速度であってもよい。また、特に限定されないが、例えば、第3運転速度は、15m/分~20m/分としてもよい。なお、第3運転速度は、例えば、本実施形態のように、第2運転速度よりも遅くなっていてもよい。
【0042】
なお、有人判定部14aは、人検出部9の検出に基づいて人の有無を判定する。そして、特に限定されないが、例えば、人検出部9が人を検出した場合に、有人判定部14aは、乗る人が有ると判定し、また、例えば、人検出部9が最後に人を検出した後に、設定時間(例えば、ステップ3bが1/2周の距離を走行する時間+30秒)が経過した場合に、有人判定部14aは、乗る人が無いと判定する、という構成でもよい。
【0043】
そして、有人判定部14aが有人と判定した場合に、駆動制御部15aは、ステップ3bの走行速度が運転速度(第3運転速度)である運転状態(低速運転状態)とする。一方で、有人判定部14aが無人と判定した場合に、駆動制御部15aは、ステップ3bの走行速度が第3運転速度よりも遅い待機速度である待機状態とする。特に限定されないが、待機速度は、例えば、ゼロ(0m/秒)~10m/分としてもよい。
【0044】
なお、本実施形態においては、有人判定部14aが無人と判定した場合に、ステップ3bの走行速度は、待機速度になる、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、人検出部9の検出に拘わらず、ステップ3bの走行速度は、運転速度(第3運転速度)である、という構成でもよい。即ち、駆動制御部15aは、人検出部9の検出に拘わらず、運転状態(低速運転状態)にする、という構成でもよい。
【0045】
<運転切替制御>
次に、処理装置6が第1運転制御と第2運転制御とを切り替える運転切替制御について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0046】
図3及び
図4に示すように、例えば、起動時刻(
図4においては、6時頃)に、入力部10に、運転開始の情報が入力された場合に(S1の「Y」)、処理装置6は、第1運転制御を実行する(S2)。そして、既定の第1時刻(
図4においては、10時)になるまでは(S3の「N」)、処理装置6は、第1運転制御を実行する(S2)
【0047】
その後、第1時刻になったときに(S3の「Y」)、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値未満であると判定した場合には(S4の「Y」)、処理装置6は、第1運転制御から直ぐに第2運転制御へ切り替える(S5)。これにより、例えば、高齢者や子供がマンコンベヤ1を利用することが多い時間帯に、第2運転制御を実行することができる。
【0048】
一方で、第1時刻になったときに(S3の「Y」)、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値以上であると判定した場合には(S4の「N」)、処理装置6は、第1運転制御を継続する(S2)。これにより、ステップ3bで搬送する負荷が多い場合には、ステップ3bの走行速度を負荷に応じた速度にすることができる。したがって、例えば、乗降部1bでの人の渋滞が発生することを抑制することができる。
【0049】
なお、その後、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値未満になったと判定した場合に(S4の「Y」)、処理装置6は、第1運転制御から第2運転制御へ切り替える(S5)。これにより、ステップ3bで搬送する負荷が少なくなってから、第2運転制御が実行される。
【0050】
また、既定の第2時刻(
図4においては、16時)になったときに(S6の「Y」)、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値以上であると判定した場合には(S7の「Y」)、処理装置6は、第2運転制御から直ぐに第1運転制御へ切り替える。これにより、ステップ3bで搬送する負荷が多い時間帯に、ステップ3bの走行速度を負荷に応じた速度にすることができる。
【0051】
一方で、第2時刻になったときに(S6の「Y」)、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値未満であると判定した場合には(S7の「N」)、処理装置6は、第2運転制御を継続する(S5)。これにより、例えば、ステップ3bで搬送する負荷に対して、ステップ3bの走行速度を必要以上に速くなることを抑制することができる。
【0052】
なお、その後、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値以上になったと判定した場合に(S7の「Y」)、処理装置6は、第2運転制御から第1運転制御へ切り替える(S8)。これにより、ステップ3bで搬送する負荷が多くなってから、ステップ3bの走行速度を負荷に応じた速度にすることができる。そして、例えば、停止時刻(
図4においては、22時頃)に、入力部10に、運転停止の情報が入力された場合に(S9の「Y」)、処理装置6は、運転を停止する。
【0053】
ところで、第2運転制御が実行されているときに(S5)、第2時刻になる前に(S6の「N」)、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値よりも大きい第2設定値以上であると判定した場合に(S10の「Y」)、処理装置6は、第2運転制御から第1運転制御へ切り替える(S11)。
【0054】
これにより、第2運転制御が実行されていても、ステップ3bで搬送する負荷が多い場合に、第1運転制御が実行される。したがって、ステップ3bの走行速度を負荷に応じた速度にすることができるため、例えば、乗降部1bでの人の渋滞が発生することを抑制することができる。
【0055】
なお、その後、負荷判定部14bが、負荷検出部7で検出された負荷が第2設定値未満になったと判定した場合に(S12の「Y」)、処理装置6は、第1運転制御から第2運転制御へ切り替える(S5)。なお、特に限定されないが、第2設定値は、例えば、定格負荷に対する40%~50%の負荷率に相当する値としてもよい。
【0056】
このように、処理装置6が、第1運転制御と第2運転制御とを切り替えるため、第1運転制御によって、ステップ3bの走行速度を、負荷に応じた速度にすることができる、一方で、第2運転制御によって、負荷に拘わらず、ステップ3bの走行速度を高齢者や子供がステップ3bに乗り易い速度とすることができる。
【0057】
したがって、ステップ3bの走行速度を適切にすることができる。なお、ステップ3bの走行速度が急激に変化することを抑制するために、ステップ3bの走行速度の加減速度は、特に限定されないが、例えば、0.1m/(秒)2以下とすることが好ましい。
【0058】
[1]
以上より、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、
人を搬送するために走行するステップ3bと、
前記ステップ3bが搬送する負荷を検出する負荷検出部7と、
前記ステップ3bの走行速度を制御する処理装置6と、を備え、
前記処理装置6は、第1運転制御と第2運転制御とを切り替え、
前記第1運転制御は、前記負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値以上である場合に、前記ステップ3bの最大走行速度を第1運転速度とし、前記負荷検出部7で検出された負荷が前記第1設定値未満である場合に、前記ステップ3bの最大走行速度を、前記第1運転速度よりも遅い第2運転速度とし、
前記第2運転制御は、前記負荷検出部7で検出された負荷に拘わらず、前記ステップ3bの最大走行速度を、前記第2運転速度以下である第3運転速度とする、
という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、第1運転制御においては、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値以上である場合に、ステップ3bの最大走行速度は、第1運転速度とされる一方で、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値未満である場合に、ステップ3bの最大走行速度は、第1運転速度よりも遅い第2運転速度とされる。これにより、第1運転制御によって、ステップ3bの走行速度を、負荷に応じた速度にすることができる。
【0060】
一方で、第1運転制御と第2運転制御とが切り替えられ、第2運転制御においては、負荷検出部7で検出された負荷に拘わらず、ステップ3bの最大走行速度は、第2運転速度以下である第3運転速度とされる。これにより、負荷に拘わらず、ステップ3bの走行速度を、高齢者や子供がステップ3bに乗り易い速度とすることができる。したがって、ステップ3bの走行速度を適切にすることができる。
【0061】
[2]
また、上記[1]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、
前記処理装置6は、既定の時刻によって、前記第1運転制御と前記第2運転制御とを切り替える、
という構成が好ましい。
【0062】
斯かる構成によれば、既定の時刻によって、第1運転制御と第2運転制御とが切り替えられるため、第1運転制御が実行される時間帯と、第2運転制御が実行される時間帯と、に設定することができる。これにより、ステップ3bの走行速度を、負荷に応じた速度にする時間帯と、負荷に拘わらず、ステップ3bの走行速度を、高齢者や子供がステップ3bに乗り易い速度とする時間帯と、に設定することができる。
【0063】
[3]
また、上記[2]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、
前記処理装置6は、既定の第1時刻になった後に前記負荷検出部7で検出された負荷が前記第1設定値未満である場合に、前記第1運転制御から前記第2運転制御へ切り替える、
という構成が好ましい。
【0064】
斯かる構成によれば、既定の第1時刻になったときに、負荷が第1設定値未満である場合には、第1運転制御から直ぐに第2運転制御へ切り替えられる。一方で、既定の第1時刻になったときに、負荷が第1設定値以上である場合には、第1運転制御が継続され、その後、負荷が第1設定値未満になった場合に、第1運転制御から第2運転制御へ切り替えられる。
【0065】
[4]
また、上記[2]又は[3]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、
前記処理装置6は、既定の第2時刻になった後に前記負荷検出部7で検出された負荷が前記第1設定値以上である場合に、前記第2運転制御から前記第1運転制御へ切り替える、
という構成が好ましい。
【0066】
斯かる構成によれば、既定の第2時刻になったときに、負荷が第1設定値以上である場合には、第2運転制御から直ぐに第1運転制御へ切り替えられる。一方で、既定の第2時刻になったときに、負荷が第1設定値未満である場合には、第2運転制御が継続され、その後、負荷が第1設定値以上になった場合に、第2運転制御から第1運転制御へ切り替えられる。
【0067】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れか1つのマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、
前記処理装置6は、前記第2運転制御を実行しているときに、前記負荷検出部7で検出された負荷が前記第1設定値よりも大きい第2設定値以上になった場合に、前記第2運転制御から前記第1運転制御へ切り替える、
という構成でもよい。
【0068】
斯かる構成によれば、第2運転制御が実行されているときに、負荷に拘わらず、ステップ3bの最大走行速度は、第3運転速度とされる。一方で、第2運転制御が実行されているときに、負荷が第1設定値よりも大きい第2設定値以上になった場合に、第2運転制御から第1運転制御へ切り替えられる。
【0069】
なお、マンコンベヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0070】
(A)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、1日において、第1運転制御から第2運転制御への切替回数は、1回である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、1日において、第1運転制御から第2運転制御への切替回数は、複数回である、という構成でもよい。特に限定されないが、例えば、
図5に示すように、1日において、第1運転制御から第2運転制御への切替回数は、2回である、という構成でもよい。
【0071】
(B)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、1日において、第2運転制御から第1運転制御への切替回数は、1回である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、1日において、第2運転制御から第1運転制御への切替回数は、複数回である、という構成でもよい。特に限定されないが、例えば、
図5に示すように、1日において、第2運転制御から第1運転制御への切替回数は、2回である、という構成でもよい。
【0072】
(C)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理装置6は、既定の時刻によって、第1運転制御と第2運転制御とを切り替える、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0073】
例えば、入力部10に、運転切替指示の情報が入力された場合に、処理装置6は、第1運転制御と第2運転制御とを切り替える、という構成でもよい。また、例えば、天候(例えば、雨を検出する雨検出部の検出、照度を検出する照度検出部の検出、温度を検出する温度検出部の検出等)に基づいて、処理装置6は、第1運転制御と第2運転制御とを切り替える、という構成でもよい。
【0074】
また、例えば、負荷検出部7で検出された負荷が第1所定値以上であることが、第1所定時間だけ維持された場合に、第1運転制御にする、という構成でもよい。特に限定されないが、例えば、当該第1所定値は、定格負荷に対する40%~50%の負荷率に相当する値としてもよく、また、例えば、当該第1所定時間は、例えば、30分~60分としてもよい。
【0075】
また、例えば、負荷検出部7で検出された負荷が第2所定値未満であることが、第2所定時間だけ維持された場合に、第2運転制御にする、という構成でもよい。特に限定されないが、当該第2所定値は、上記第1所定値よりも小さい値であって、例えば、定格負荷に対する5%~10%の負荷率に相当する値としてもよく、また、例えば、当該第2所定時間は、例えば、10分~30分としてもよい。
【0076】
(D)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理装置6は、既定の第1時刻になった後に負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値未満である場合に、第1運転制御から第2運転制御へ切り替える、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置6は、既定の第1時刻になった場合に、負荷検出部7で検出された負荷に拘わらず、第1運転制御から第2運転制御へ切り替える、という構成でもよい。
【0077】
(E)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理装置6は、既定の第2時刻になった後に負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値以上である場合に、第2運転制御から第1運転制御へ切り替える、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置6は、既定の第2時刻になった場合に、負荷検出部7で検出された負荷に拘わらず、第2運転制御から第1運転制御へ切り替える、という構成でもよい。
【0078】
(F)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理装置6は、第2運転制御を実行しているときに、負荷検出部7で検出された負荷が第1設定値よりも大きい第2設定値以上になった場合に、第2運転制御から前記第1運転制御へ切り替える、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置6は、第2運転制御を実行しているときに、負荷検出部7で検出された負荷に拘わらず、第2運転制御を維持する、という構成でもよい。
【0079】
(G)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、第3運転速度は、第2運転速度よりも、遅い、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第3運転速度は、第2運転速度と、同じ、という構成でもよい。
【0080】
(H)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示した方法及び装置における動作、手順、ステップ、及び段階等の各工程の実行順序は、前の工程の結果物を後の工程で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0081】
1…マンコンベヤ、1a…床プレート、1b…乗降部、2…構造体、2a…機械室、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…カバー部、5…駆動部、5a…回転部、5b…支持部、5c…駆動源、5d…変更部、6…処理装置、7…負荷検出部、8…速度検出部、9…人検出部、10…入力部、11…出力部、12…取得部、13…記憶部、14…演算部、14a…有人判定部、14b…負荷判定部、15…制御部、15a…駆動制御部、15b…出力制御部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向
【要約】
【課題】 ステップの走行速度を適切にすることができるマンコンベヤを提供する。
【解決手段】 マンコンベヤは、人を搬送するために走行するステップと、ステップが搬送する負荷を検出する負荷検出部と、ステップの走行速度を制御する処理装置と、を備え、処理装置は、第1運転制御と第2運転制御とを切り替え、第1運転制御は、負荷検出部で検出された負荷が第1設定値以上である場合に、ステップの最大走行速度を第1運転速度とし、負荷検出部で検出された負荷が第1設定値未満である場合に、ステップの最大走行速度を、第1運転速度よりも遅い第2運転速度とし、第2運転制御は、負荷検出部で検出された負荷に拘わらず、ステップの最大走行速度を、第2運転速度以下である第3運転速度とする。
【選択図】
図3