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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】インクリボンカセット
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/32 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B41J17/32 A
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021072191
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166768
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】久保田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岩下 鷹志
(72)【発明者】
【氏名】春田 雅己
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-016340(JP,A)
【文献】特開平04-071883(JP,A)
【文献】特開平02-200465(JP,A)
【文献】特開2001-205881(JP,A)
【文献】特開2011-011398(JP,A)
【文献】特開昭58-220783(JP,A)
【文献】特開昭61-041553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/00 - 17/42
B41J 27/00 - 27/22
B41J 31/00 - 35/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用前のインクリボンを巻回するための第1芯部を、第1回転軸に回転可能に支持するための元巻きケースと、
使用後のインクリボンを巻回するための第2芯部を、前記第1回転軸と平行な第2回転軸に回転可能に支持するための巻取りケースとを備え、
前記元巻きケースは、
前記第1回転軸及び前記第2回転軸を含む仮想平面に略平行な面部と、
前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って第1方向に距離離間し、前記第1回転軸方向から見た側面視において、前記面部から突出する第1凸部を有する第1係合部と、
前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って第2方向に前記距離離間し、前記側面視において、前記面部から窪む第2凹部を有する第2係合部と、
を有する
インクリボンカセット。
【請求項2】
前記巻取りケースは、
前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って第1方向に第1距離離間した位置に設けられ、前記第1回転軸及び前記第2回転軸を含む仮想平面で区分される2つの領域のうち一方の第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径を有する一方の第1仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する一方の第1突起と、
前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って前記第1方向とは反対方向である第2方向に第2距離離間した位置に設けられ、前記第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径以下の半径を有する第2仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する他方の第1突起と、
前記第2回転軸方向において前記一方の第1突起と前記他方の第1突起との間に位置し、前記仮想平面で区分される2つの領域のうち他方の第2領域において前記第2回転軸を中心とする前記第1半径より大きい半径を有する第3仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する第2突起と、
を有し、
前記元巻きケースの前記第1係合部は、前記第2領域に設けられ、前記第2係合部は、前記第2領域に設けられる
請求項1に記載のインクリボンカセット。
【請求項3】
前記側面視において、
前記一方の第1突起及び前記第2突起に接する接平面に垂直で前記第1回転軸を通過する平面と前記接平面との交線は、前記一方の第1突起と前記接平面との第1接点と、前記第2突起と前記接平面との第2接点との間に位置する、
請求項2に記載のインクリボンカセット。
【請求項4】
前記側面視において、
前記第1係合部は、前記面部から窪む第1凹部を有し、
前記第2係合部は、前記面部から突出する第2凸部を有する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のインクリボンカセット。
【請求項5】
前記第1凸部は、前記巻取りケース側に突出する第1突出部を有し、
前記第2凸部は、前記巻取りケースとは反対方向に突出する第2突出部を有する
請求項4に記載のインクリボンカセット。
【請求項6】
前記第1凸部は、前記面部と、請求項1から5のいずれかに記載のインクリボンカセットと同一形状の第2のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第2のインクリボンカセットの第2凹部に挿入する位置に設けられる
請求項1から5のいずれかに記載のインクリボンカセット。
【請求項7】
前記第2凹部は、前記面部と、請求項1から6のいずれかに記載のインクリボンカセットと同一形状の第3のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第3のインクリボンカセットの第1凸部が挿入する位置に設けられる
請求項1から6のいずれかに記載のインクリボンカセット。
【請求項8】
前記第1突出部は、前記面部と、請求項5に記載のインクリボンカセットと同一形状の第4のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第4のインクリボンカセットの第2突出部と嵌合する位置に設けられる
請求項5に記載のインクリボンカセット。
【請求項9】
前記第2突出部は、前記面部と、請求項5又は8に記載の第5のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第5のインクリボンカセットの第1突出部と嵌合する位置に設けられる
請求項5又は8に記載のインクリボンカセット。
【請求項10】
前記第1距離は、前記第2距離と同等である
請求項2又は3に記載のインクリボンカセット。
【請求項11】
前記第2仮想円筒の半径は、前記第1半径と同等である
請求項2又は3に記載のインクリボンカセット。
【請求項12】
前記距離を第3距離とし、この第3距離は、前記第1距離及び前記第2距離よりも大きい
請求項2又は3に記載のインクリボンカセット。
【請求項13】
前記第1領域に、前記元巻きケースと前記巻取りケースを接続する接続部が更に設けられる、請求項2又は3に記載のインクリボンカセット。
【請求項14】
インクリボンカセットを収容可能に構成され、2つの第1スリットと、第2スリットと、第1係合手段と、第2係合手段とを有するインクリボンカセット収容部と、前記インクリボンカセット収容部に収容されるインクリボンカセットのインクリボンを引出すための搬送手段と、引出されたインクリボンのインクを印刷媒体に熱転写するためのサーマルヘッドと、を備えるプリンタに収容可能に構成されるインクリボンカセットであって、
使用前のインクリボンを巻回するための第1芯部を、第1回転軸に回転可能に支持するための元巻きケースと、
使用後のインクリボンを巻回するための第2芯部を、前記第1回転軸と平行な第2回転軸に回転可能に支持するための巻取りケースとを備え、
前記巻取りケースは、
前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って第1方向に第1距離離間した位置に設けられ、前記第1回転軸及び前記第2回転軸を含む仮想平面で区分される2つの領域のうち一方の第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径を有する一方の第1仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出し、一方の前記第1スリットに挿入可能に構成される一方の第1突起と、
前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って前記第1方向とは反対方向である第2方向に第2距離離間した位置に設けられ、前記第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径以下の半径を有する第2仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出し、他方の前記第1スリットに挿入可能に構成される他方の第1突起と、
前記第2回転軸方向において前記一方の第1突起と前記他方の第1突起との間に位置し、前記仮想平面で区分される2つの領域のうち他方の第2領域において前記第2回転軸を中心とする前記第1半径より大きい半径を有する第3仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出し、前記第2スリットに挿入可能に構成される第2突起と、
を有し、
前記元巻きケースは、
前記仮想平面に略平行な面部と、
前記第1回転軸方向から見た側面視において、
前記第2領域であって、前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って前記第1方向に第3距離離間し、前記面部から突出し、前記第1係合手段に係合可能に構成される第1凸部を有する第1係合部と、
前記側面視において、前記第2領域であって、前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って前記第2方向に前記第3距離離間し、前記面部から窪む第2凹部を有し、前記第2係合手段に係合可能に構成される第2係合部と、
を有する
インクリボンカセット。
【請求項15】
前記側面視において、
前記一方の第1突起及び前記第2突起に接する接平面に垂直で前記第1回転軸を通過する平面と前記接平面との交線は、前記一方の第1突起と前記接平面との第1接点と、前記第2突起と前記接平面との第2接点との間に位置する、
請求項14に記載のインクリボンカセット。
【請求項16】
前記側面視において、
前記第1係合部は、前記面部から窪む第1凹部を有し、
前記第2係合部は、前記面部から突出する第2凸部を有する、
請求項14又は15に記載のインクリボンカセット。
【請求項17】
前記第1凸部は、前記巻取りケース側に突出する第1突出部を有し、
前記第2凸部は、前記巻取りケースとは反対方向に突出する第2突出部を有する
請求項16に記載のインクリボンカセット。
【請求項18】
前記第1凸部は、前記面部と、請求項14から17のいずれかに記載のインクリボンカセットと同一形状の第2のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第2のインクリボンカセットの第2凹部に挿入する位置に設けられる
請求項14から17のいずれかに記載のインクリボンカセット。
【請求項19】
前記第2凹部は、前記面部と、請求項14から18のいずれかに記載のインクリボンカセットと同一形状の第3のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第3のインクリボンカセットの第1凸部が挿入する位置に設けられる
請求項14から18のいずれかに記載のインクリボンカセット。
【請求項20】
前記第1突出部は、前記面部と、請求項17に記載のインクリボンカセットと同一形状の第4のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第4のインクリボンカセットの第2突出部と嵌合する位置に設けられる
請求項17に記載のインクリボンカセット。
【請求項21】
前記第2突出部は、前記面部と、請求項17又は20に記載の第5のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第5のインクリボンカセットの第1突出部と嵌合する位置に設けられる
請求項17又は20に記載のインクリボンカセット。
【請求項22】
前記第1距離は、前記第2距離と同等である
請求項14から21のいずれかに記載のインクリボンカセット。
【請求項23】
前記第2仮想円筒の半径は、前記第1半径と同等である
請求項14から22のいずれかに記載のインクリボンカセット。
【請求項24】
前記第3距離は、前記第1距離及び前記第2距離よりも大きい
請求項14から23のいずれかに記載のインクリボンカセット。
【請求項25】
前記第1領域に、前記元巻きケースと前記巻取りケースを接続する接続部が更に設けられる、請求項14乃至24のいずれかに記載のインクリボンカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、剥離紙付粘着シート等の印刷媒体に、熱等によりインクを印刷することができるプリンタが知られている。このようなプリンタは、インクリボンカセットを収容可能に構成されている。
【0003】
特許文献1には、プリンタに収容される本体ケース(「インクリボンカセット」を含む構成の一例)が記載されている。この本体ケースは、使用前のインクリボンを巻回するための繰り出し芯部が収納される第1の収納部と、使用後のインクリボンを巻回するための巻き取り芯部が収納される第2の収納部を備えている。
【0004】
特許文献2には、プリンタに収容されるインクリボンカートリッジ(「インクリボンカセット」を含む構成の一例)が記載されている。このインクリボンカートリッジは、使用前の熱転写型のインクリボンを巻回するための供給スプール(繰り出し芯部)を軸支するケースと、使用後のインクリボンを巻回するための巻取りスプール(巻き取り芯部)を軸支するケースを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-052155号公報
【文献】特開平09-058078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載されているインクリボンカセットを含む従来のインクリボンカセットは、平置きされて保管されていた。
【0007】
しかしながら、インクリボンカセットを平置きしようとすると、大きな保管スペースを必要としてしまう。更に、複数のインクリボンカセットを平置きして積み上げると、下段のインクリボンカセットを取り出すためには、そのインクリボンカセット上に積み上げられている他のインクリボンカセットを取り出さなければならない。
【0008】
そこで本発明は、縦置きに適したインクリボンカセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願は、使用前のインクリボンを巻回するための第1芯部を、第1回転軸に回転可能に支持するための元巻きケースと、使用後のインクリボンを巻回するための第2芯部を、前記第1回転軸と平行な第2回転軸に回転可能に支持するための巻取りケースとを備えるインクリボンカセットを開示する。このインクリボンカセットの前記巻取りケースは、前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って第1方向に第1距離離間した位置に設けられ、前記第1回転軸及び前記第2回転軸を含む仮想平面で区分される2つの領域のうち一方の第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径を有する一方の第1仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する一方の第1突起と、前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って前記第1方向とは反対方向である第2方向に第2距離離間した位置に設けられ、前記第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径以下の半径を有する第2仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する他方の第1突起と、前記第2回転軸方向において前記一方の第1突起と前記他方の第1突起との間に位置し、前記仮想平面で区分される2つの領域のうち他方の第2領域において前記第2回転軸を中心とする前記第1半径より大きい半径を有する第3仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する第2突起とを有する。更にこのインクリボンカセットの前記元巻きケースは、前記仮想平面に略平行な面部と、前記第1回転軸方向から見た側面視において、前記第2領域であって、前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って前記第1方向に第3距離離間し、前記面部から突出する第1凸部を有する第1係合部と、前記側面視において、前記第2領域であって、前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って前記第2方向に前記第3距離離間し、前記面部から窪む第2凹部を有する第2係合部と、を有する。
【0010】
ここで、「第1回転軸方向中心から」「第1方向に第3距離離間」「する第1係合部」と「第1回転軸方向中心から」「第2方向に」「第3距離離間」「する第2係合部」に関し、第1回転軸方向中心と第1係合部内で選択される任意の位置との距離と、第1回転軸方向中心と第2係合部内で選択される任意の位置との距離とが同一となるような位置が存在する場合、第1係合部及び第2係合部は、上記される位置関係を満足する。即ち、「第1回転軸方向中心」と第1係合部の中心との距離が、「第1回転軸方向中心」と第2係合部の中心との距離と一致する場合のみならず、一致しなくても、「第1回転軸方向中心」と第1係合部が設けられる領域との距離の範囲が、「第1回転軸方向中心」と第1係合部が設けられる領域との距離の範囲と一部重複すれば、第1係合部及び第2係合部は、上記された関係を満足する。
【0011】
前記側面視において、前記一方の第1突起及び前記第2突起に接する接平面に垂直で前記第1回転軸を通過する平面と前記接平面との交線は、前記一方の第1突起と前記接平面との第1接点と、前記第2突起と前記接平面との第2接点との間に位置するように構成されてもよい。
【0012】
また、「第1凹部」、「第2凹部」等の「凹部」は、貫通孔を含む。
【0013】
前記側面視において、前記第1係合部は、前記面部から窪む第1凹部を有し、前記第2係合部は、前記面部から突出する第2凸部を有するように構成されてもよい。
【0014】
前記第1凸部は、前記巻取りケース側に突出する第1突出部を有し、前記第2凸部は、前記巻取りケースとは反対方向に突出する第2突出部を有するように構成されてもよい。
【0015】
前記第1凸部は、前記面部と、上述したいずれかの構成を備えるインクリボンカセットと同一形状の第2のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第2のインクリボンカセットの第2凹部に挿入する位置に設けられるように構成されてもよい。
【0016】
前記第2凹部は、前記面部と、上述したいずれかの構成を備えるインクリボンカセットと同一形状の第3のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第3のインクリボンカセットの第1凸部が挿入する位置に設けられるように構成されてもよい。
【0017】
前記第1突出部は、前記面部と、上述した第1突出部と第2突出部とを有する構成を備えるインクリボンカセットと同一形状の第4のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第4のインクリボンカセットの第2突出部と嵌合する位置に設けられるように構成されてもよい。
【0018】
前記第2突出部は、前記面部と、上述した第1突出部と第2突出部とを有する構成を備えるインクリボンカセットと同一形状の第5のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第5のインクリボンカセットの第1突出部と嵌合する位置に設けられるように構成されてもよい。
【0019】
前記第1距離は、前記第2距離と同等に構成されてもよい。
【0020】
前記第2仮想円筒の半径は、前記第1半径と同等に構成されてもよい。
【0021】
前記第3距離は、前記第1距離及び前記第2距離よりも大きく構成されてもよい。
【0022】
前記第1領域に、前記元巻きケースと前記巻取りケースを接続する接続部が更に設けられるように構成されてもよい。
【0023】
また、本出願は、インクリボンカセットを収容可能に構成され、2つの第1スリットと、第2スリットと、第1係合手段と、第2係合手段とを有するインクリボンカセット収容部と、前記インクリボンカセット収容部に収容されるインクリボンカセットのインクリボンを引出すための搬送手段と、引出されたインクリボンのインクを印刷媒体に熱転写するためのサーマルヘッドと、を備えるプリンタに収容可能に構成されるインクリボンカセットを開示する。このようなインクリボンカセットは、使用前のインクリボンを巻回するための第1芯部を、第1回転軸に回転可能に支持するための元巻きケースと、使用後のインクリボンを巻回するための第2芯部を、前記第1回転軸と平行な第2回転軸に回転可能に支持するための巻取りケースとを備える。そして、前記巻取りケースは、前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って第1方向に第1距離離間した位置に設けられ、前記第1回転軸及び前記第2回転軸を含む仮想平面で区分される2つの領域のうち一方の第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径を有する一方の第1仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出し、一方の前記第1スリットに挿入可能に構成される一方の第1突起と、前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って前記第1方向とは反対方向である第2方向に第2距離離間した位置に設けられ、前記第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径以下の半径を有する第2仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出し、他方の前記第1スリットに挿入可能に構成される他方の第1突起と、前記第2回転軸方向において前記一方の第1突起と前記他方の第1突起との間に位置し、前記仮想平面で区分される2つの領域のうち他方の第2領域において前記第2回転軸を中心とする前記第1半径より大きい半径を有する第3仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出し、前記第2スリットに挿入可能に構成される第2突起と、を有する。更に前記元巻きケースは、前記仮想平面に略平行な面部と、前記第1回転軸方向から見た側面視において、前記第2領域であって、前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って前記第1方向に第3距離離間し、前記面部から突出し、前記第1係合手段に係合可能に構成される第1凸部を有する第1係合部と、前記側面視において、前記第2領域であって、前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って前記第2方向に前記第3距離離間し、前記面部から窪む第2凹部を有し、前記第2係合手段に係合可能に構成される第2係合部と、を有する。
【0024】
前記側面視において、前記一方の第1突起及び前記第2突起に接する接平面に垂直で前記第1回転軸を通過する平面と前記接平面との交線は、前記一方の第1突起と前記接平面との第1接点と、前記第2突起と前記接平面との第2接点との間に位置するように構成されてもよい。
【0025】
前記側面視において、前記第1係合部は、前記面部から窪む第1凹部を有し、前記第2係合部は、前記面部から突出する第2凸部を有するように構成されてもよい。
【0026】
前記第1凸部は、前記巻取りケース側に突出する第1突出部を有し、前記第2凸部は、前記巻取りケースとは反対方向に突出する第2突出部を有するように構成されてもよい。
【0027】
前記第1凸部は、前記面部と、上述したいずれかの構成を備えるインクリボンカセットと同一形状の第2のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第2のインクリボンカセットの第2凹部に挿入する位置に設けられるように構成されてもよい。
【0028】
前記第2凹部は、前記面部と、上述したいずれかの構成を備えるインクリボンカセットと同一形状の第3のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第3のインクリボンカセットの第1凸部が挿入する位置に設けられるように構成されてもよい。
【0029】
前記第1突出部は、前記面部と、上述した第1突出部と第2突出部とを有する構成を備えるインクリボンカセットと同一形状の第4のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第4のインクリボンカセットの第2突出部と嵌合する位置に設けられるように構成されてもよい。
【0030】
前記第2突出部は、前記面部と、上述した第1突出部と第2突出部とを有する構成を備えるインクリボンカセットと同一形状の第5のインクリボンカセットの面部とを対向させたとき、前記第5のインクリボンカセットの第1突出部と嵌合する位置に設けられるように構成されてもよい。
【0031】
前記第1距離は、前記第2距離と同等に構成されてもよい。
【0032】
前記第2仮想円筒の半径は、前記第1半径と同等に構成されてもよい。
【0033】
前記第3距離は、前記第1距離及び前記第2距離よりも大きく構成されてもよい。
【0034】
前記第1領域に、前記元巻きケースと前記巻取りケースを接続する接続部が更に設けられるように構成されてもよい。
【0035】
本出願は、使用前のインクリボンを巻回するための第1芯部を、第1回転軸に回転可能に支持するための元巻きケースと、使用後のインクリボンを巻回するための第2芯部を、前記第1回転軸と平行な第2回転軸に回転可能に支持するための巻取りケースとを備えるインクリボンカセットを開示する。このインクリボンカセットの前記巻取りケースは、前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って第1方向に第1距離離間した位置に設けられ、前記第1回転軸及び前記第2回転軸を含む仮想平面で区分される2つの領域のうち一方の第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径を有する一方の第1仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する一方の第1突起と、前記第2回転軸方向中心から前記第2回転軸に沿って前記第1方向とは反対方向である第2方向に第2距離離間した位置に設けられ、前記第1領域において前記第2回転軸を中心とする第1半径以下の半径を有する第2仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する他方の第1突起と、前記第2回転軸方向において前記一方の第1突起と前記他方の第1突起との間に位置し、前記仮想平面で区分される2つの領域のうち他方の第2領域において前記第2回転軸を中心とする前記第1半径より大きい半径を有する第3仮想円筒内面に内接し、前記第1回転軸から離間する方向に突出する第2突起とを有する。前記第1回転軸方向から見た側面視において、前記一方の第1突起及び前記第2突起に接する接平面と、前記仮想平面とは、鋭角をなす。前記インクリボンの前記元巻きケースの前記第2領域に設けられた表面と、前記インクリボンと同一形状の第6のインクリボンカセットの元巻きケースの第2領域に設けられた表面とを対向させたとき、このインクリボンと前記第6のインクリボンカセットは互いに支え合って自立可能に構成される。このとき、前記インクリボンカセットの前記一方の第1突起と、前記第6のインクリボンカセットの他方の第1突起に接する第2接平面と、前記インクリボンカセットの前記仮想平面とは、前記鋭角よりも直角に近い角度をなす。
【0036】
前記接平面が前記インクリボンカセットと接点以外で交差しないように、前記インクリボンカセットは設けられることが好ましい。接点は、少なくとも3点でよく、すなわち、前記一方の第1突起、前記他方の第1突起及び前記第2突起の各表面上に存在してよい。
【0037】
前記第2接平面が前記インクリボンカセットと接点以外で交差しないように、前記インクリボンカセットは設けられることが好ましい。接点は、少なくとも3点でよく、すなわち、前記インクリボンカセットの前記一方の第1突起、前記他方の第1突起及び前記第6のインクリボンカセットの前記他方の第1突起の表面上に存在してよい。更にこの接平面は、前記第6のインクリボンカセットの一方の第1突起の表面と接してもよい。
【0038】
前記インクリボンカセットは、前記接平面に前記一方の第1突起、前記他方の第1突起及び前記第2突起に接することによって単独に自立可能に構成されてもよい。
【0039】
前記インクリボンカセットは、単独では自立しないように構成されてもよい。この場合、前記インクリボンカセットは、単独で自立せず、しかしながら、2つの前記インクリボンカセットの前記面部同士を対向させたとき、互いに支え合って自立可能に構成される。
【0040】
前記第2領域に設けられた表面は、前記仮想平面に略平行に設けられた面であってもよい。
本出願は、更なるインクリボンカセットを開示する。このインクリボンカセットは、使用前のインクリボンを巻回するための第1芯部を、第1回転軸に回転可能に支持するための元巻きケースと、使用後のインクリボンを巻回するための第2芯部を、前記第1回転軸と平行な第2回転軸に回転可能に支持するための巻取りケースとを備える。前記元巻きケースは、前記第1回転軸及び前記第2回転軸を含む仮想平面に略平行な面部と、前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って第1方向に距離離間し、前記第1回転軸方向から見た側面視において、前記面部から突出する第1凸部を有する第1係合部と、前記第1回転軸方向中心から前記第1回転軸に沿って第2方向に前記距離離間し、前記側面視において、前記面部から窪む第2凹部を有する第2係合部と、を有する。
このようなインクリボンカセットの巻取りケースに、上述した巻取りケースの一部又は全ての構成を適用してもよい。
前記距離は、所定距離又は第3距離と呼ばれる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、一実施形態に係るインクリボンカセットの斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係るインクリボンカセットの平面図及び正面図である。
図3図3は、一実施形態に係るインクリボンカセットの側面図である。
図4図4は、一実施形態に係るインクリボンカセットの断面図である。
図5図5は、一実施形態に係るインクリボンカセットが自立した状態における側面図である。
図6図6は、一実施形態に係る2つのインクリボンカセットが自立した状態を示す斜視図である。
図7図7は、一実施形態に係る2つのインクリボンカセットが自立した状態における側面図等である。
図8図8は、一実施形態に係る印刷装置を概念的に示す模式平面図である。
図9図9は、一実施形態に係る印刷装置の斜視図である。
図10図10は、印刷装置に一実施形態に係るインクリボンカセットを収容させた際の断面図及び部分拡大図である。
図11図11は、印刷装置に一実施形態に係るインクリボンカセットを収容させた際の断面図及び部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態のみに限定する趣旨ではない。
【0043】
図1は、本実施形態に係るインクリボンカセット10の斜視図である。図2(A)及び(B)は、それぞれ、インクリボンカセット10の平面図(上面図)及び正面図である。図3(A)及び(B)は、ぞれぞれ、インクリボンカセット10の右側面図及び左側面図である。図4(A)及び(B)は、それぞれ、第1回転軸AX1(第2回転軸AX2)から見た右側面視において、インクリボンカセット10を、第1回転軸AX1(第2回転軸AX2)に垂直で第2係合部20E2を通過する平面及び第1回転軸AX1(第2回転軸AX2)に垂直で第1係合部20E1を通過する平面で切断した断面図である。図5は、インクリボンカセット10を自立させた状態を示す側面視である。
【0044】
インクリボンカセット10は、インクリボン(不図示)を収納するためのケースである。インクリボンカセットは、インクリボンを予め収納しインクリボンカセットごと交換可能に構成されてもよいし、開閉可能にしてインクリボンのみを詰め替えて交換可能に構成されてもよい。本実施形態に係るインクリボンカセット10は、前者に相当する。従ってインクリボンの使用後、インクリボンカセット10は、新しいインクリボンを収納する新しいインクリボンカセットに交換される。
【0045】
図1等に示されるようにインクリボンカセット10は、元巻きケース20と、巻取りケース30と、元巻きケース20と巻取りケース30とを接続する接続部40とを有する。
【0046】
元巻きケース20は、使用前のインクリボン及び繰出し芯部22(「第1芯部」の一例)を収納するためのケースである。
【0047】
元巻きケース20の長手方向両端部に相当する端面部20A(図3(B))及び端面部20B(図1図3(A))には、それぞれ、円状の開口20A1及び開口20B1が形成される。
【0048】
繰出し芯部22は、使用前のインクリボンが巻き回される部材であり、細長い円筒状に形成される。繰り出し芯部22は、開口20A1及び開口20B1から繰出し芯部22の両端部がそれぞれ突出するように、開口20A1及び開口20B1に挿通される。端面部20Aの開口20A1から突出する繰出し芯部22の端部には第1連結部材24(図3(B))の内周面が嵌合され、開口20B1から突出する端部には第2連結部材26(図3(A))の内周面が嵌合される。第1連結部材24及び第2連結部材26の外周面には、それぞれ、ギアが形成されている。インクリボンカセット10が後述するプリンタに収容されるとき、プリンタ側の駆動ギアが第1連結部材24及び第2連結部材26のギアにそれぞれ噛合してこれらを回転させることにより、第1連結部材24及び第2連結部材26並びにこれら連結部材が嵌合する繰出し芯部22が回転する。なお、第1連結部材24及び第2連結部材26は、複数の部品から構成されてもよい。
【0049】
以上のような構成により繰出し芯部22は、回転可能に支持される。繰出し芯部22の第1回転軸AX1は、円筒状に形成される繰出し芯部22の中心軸に略一致し、かつ、端面部20Aの開口20A1の中心と端面部20Bの開口20B1の中心とを結ぶ仮想直線に略一致する。
【0050】
巻取りケース30は、使用後のインクリボン(不図示)及び巻取り芯部32(「第2芯部」の一例)を収納するためのケースである。
【0051】
巻取りケース30の長手方向両端部に相当する端面部30A(図3(B))及び端面部30B(図1図3(A))には、円状の開口30A1及び開口30B1が形成される。
【0052】
巻取り芯部32は、使用後のインクリボンが巻き回される部材であり、細長い円筒状に形成される。巻取り芯部32は、開口30A1及び開口30B1から巻取り芯部32の両端部がそれぞれ突出するように、開口30A1及び開口30B1に挿通される。端面部30Aの開口30A1から突出する巻取り芯部32の端部には第3連結部材34(図3(B))の内周面が嵌合され、端面部30Bの開口30B1から突出する端部には第4連結部材36(図3(A))が嵌合される。第3連結部材34及び第4連結部材36の外周面には、それぞれ、ギアが形成されている。インクリボンカセット10が後述するプリンタに収容されるとき、プリンタ側の駆動ギアが第3連結部材34及び第4連結部材36のギアにそれぞれ噛合してこれらを回転させることにより、第3連結部材34及び第4連結部材36が嵌合する巻取り芯部32が回転する。なお、第1連結部材24及び第2連結部材26は、複数の部品から構成されてもよい。
【0053】
以上のような構成により巻取り芯部32は、回転可能に支持される。巻取り芯部32の第2回転軸AX2は、円筒状に形成される巻取り芯部32の中心軸に略一致し、かつ、端面部30Aの開口30A1の中心と端面部30Bの開口30B1の中心とを結ぶ仮想直線に略一致する。
【0054】
第1回転軸AX1と第2回転軸AX2は、略平行である。従って図3及び図4は、第1回転軸AX1方向及び第2回転軸AX2方向から見た側面視に相当する。また、これら図面に示されるように、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2を通過する仮想平面P1(図3及び図4)によって空間は、第1領域SP1及び第2領域SP2という二つの三次元領域に区分される。
【0055】
以下、元巻きケース20の詳細構成について説明する。図1及び図2等に示されるように本実施形態に係る元巻きケース20は、第1回転軸AX1方向を長手方向とする直方体状に形成されているため、端面部20A及び端面部20Bを接続する面部20Cは、4つの面部20C1乃至面部20C4を備える。
【0056】
面部20C1(図1等)は、巻取りケース30を向いた面を備える部分である。面部20C1には、端面部20Aから端面部20Bに至るまで第1回転軸AX1方向に延在する矩形状の開口20C11が形成されており、この開口20C11から繰出し芯部22に巻回されているインクリボンを外部に繰出すことが可能となる。図3(A)及び(B)等に示されるように面部20C1の主要部分(80%以上の部分)又は略全ての部分は第2領域SP2に存在し、開口20C11の主要部分(80%以上の部分)又は略全ての部分は、第1領域SP1に存在する。
【0057】
面部20C2(「面部」の一例。図1図2(A)等)は、元巻きケース20の部分のうち、仮想平面P1と略平行であって、第2領域SP2に設けられる部分である。従って面部20C2の外表面も仮想平面P1と略平行である。本実施形態に係る元巻きケース20において面部20C2は、第2領域SP2に設けられた元巻きケース20の部分のうち、後述する第1係合部20E1の第1凸部20E11及び第2係合部20E2の第2凸部20E21を除いて、最も仮想平面P1から離れた領域に設けられた部分に相当する。このように面部20C2を構成することにより、後述するように、面部20C2を他のインクリボンカセットの面部と接触又は近接させるような態様で互いに支え合うことが可能となる。
【0058】
更に図1等に示されるように、本実施形態に係る元巻きケース20において面部20C2は、端面部20Aから端面部20Bに至るまで第1回転軸AX1方向に延在して設けられている。このため安定して、他のインクリボンカセットと支え合うことが可能となる。
【0059】
面部20C3(図3(A)等)は、巻取りケース30と反対の方向を向いた面を備える部分である。
【0060】
面部20C4(図3(A)等)は、仮想平面P1と略平行であって、第1領域SP1に設けられた元巻きケース20の部分である。
【0061】
第1係合部20E1(図1図2(A)等)は、インクリボンカセット10と同一形状のインクリボンカセット110(「第2のインクリボンカセット」、「第3のインクリボンカセット」、「第4のインクリボンカセット」、「第5のインクリボンカセット」を含む「第nのインクリボンカセット(但しnは2以上の整数)」の一例。以下、インクリボンカセット110の各構成要素として、インクリボンカセット10の対応する構成要素と同一の名称を用いると共に、対応する構成要素の符号の数字に100を加えた符号を用いて詳細な説明を省略する。例えば、インクリボンカセット10の第1係合部20E1とインクリボンカセット110の第1係合部120E1は、同一の形状を有する。従って、インクリボンカセット110の第1係合部120E1についての説明は、同時に、第1係合部20E1についての説明にも相当する。その他の構成要素についても同様である。)の第2係合部120E2と係合可能に構成されている部分である。更に第1係合部20E1は、インクリボンカセット10が後述するプリンタに収容されるとき、プリンタ側の第1係合手段SP1と係合する部分である。
【0062】
第1係合部20E1は、図2(A)の平面図に示されるように、第1回転軸AX1方向における元巻きケース20の中心位置C1(「第1回転軸方向中心」の一例)から第1回転軸AX1に沿って図2の紙面左方向である第1方向DR1に第3距離DS3離間した位置に設けられる。なお、本実施形態において第1回転軸AX1方向における元巻きケース20の中心位置C1は、同方向における巻取りケース30の中心位置及びインクリボンカセット10の中心位置と一致する。
【0063】
第1係合部20E1は、図4(B)の側面視に示されるように、第2領域SP2に設けられ、同側面視において面部20C2よりも仮想平面P1から離間する方向に突出する第1凸部20E11と、同側面視において面部20C2よりも仮想平面P1に接近する方向に窪む第1凹部20E12とを有する。従って仮想平面P1と第1凸部20E11との距離は、仮想平面P1と面部20C2との距離より大きく、仮想平面P1と第1凹部20E12との距離は、仮想平面P1と面部20C2との距離より小さい。
【0064】
第2係合部20E2は、インクリボンカセット10と同一形状のインクリボンカセット110の第1係合部120E1と係合可能に構成されている部分である。更に第2係合部20E2は、インクリボンカセット10が後述するプリンタに収容されるとき、プリンタ側の第2係合手段SP2と係合する部分である。
【0065】
第2係合部20E2は、図2(A)の平面図に示されるように、元巻きケース20の中心C1から第1回転軸AX1に沿って図2の紙面右方向であり第1方向DR1の反対方向である第2方向DR2に第3距離DS3離間した位置に設けられる。
【0066】
第2係合部20E2は、図4(A)の側面視に示されるように、第2領域SP2に設けられ、同側面視において面部20C2よりも仮想平面P1から離間する方向に突出する第2凸部20E21と、同側面視において面部20C2よりも仮想平面P1に接近する方向に窪む第2凹部20E22とを有する。従って仮想平面P1と第2凸部20E21との距離は、仮想平面P1と面部20C2との距離より大きく、仮想平面P1と第2凹部20E22との距離は、仮想平面P1と面部20C2との距離より小さい。
【0067】
第1係合部20E1は、中心C1から第1方向DR1に第3距離DS3離間した位置に設けられ、第2係合部20E2は、中心C1から第2方向DR2に第3距離DS3離間した位置に設けられる。このため、インクリボンカセット10の面部20C2と、インクリボンカセット110の面部120C2とを対向させたとき、インクリボンカセット10の第1係合部20E1に対向する位置に、インクリボンカセット110の第2係合部120E2が対向する。従って、第1係合部20E1と第2係合部120E2を係合させることが可能になる。なお、ここでいう係合とは、第1係合部20E1と第2係合部120E2とが接触状態にある場合を含むが、これに限られるものではなく、両者が接触していなくても、第1係合部20E1と第2係合部120E2とが係わり合っていればよく、例えば、第1係合部20E1の第1凸部20E11の少なくとも一部が、第2係合部120E2の第2凹部120E22の内部に存在している状態を含む。このような場合であっても、インクリボンカセット10をインクリボンカセット110に対して相対的に第1回転軸AX1方向に動かそうとしたときに、インクリボンカセット10が相対的に移動することを抑制すること、又は、インクリボンカセット10をインクリボンカセット110に対して相対的に第1回転軸AX1と垂直方向に離れるように動かそうとしたときに、インクリボンカセット10が相対的に移動することを抑制することが可能となる。
【0068】
加えて、第1係合部20E1は第1凹部20E12(図1等)を有し、第2係合部20E2は第2凸部20E21を有する。このため、インクリボンカセット10の面部20C2と、インクリボンカセット110の面部120C2とを対向させたとき、第1凹部20E12と第1凸部120E11とを係わり合わせることが可能となり、例えば、第1凸部120E11の少なくとも一部が第1凹部20E12の内部に存在させることが可能となる。
【0069】
第1係合部20E1及び第2係合部20E2の具体的構成は、様々な形状を適用することが可能である。例えば、第1係合部は、第1凹部20E12のような凹部を有することなく、単一又は複数の円柱を有する凸部から構成されてもよく、第2係合部は、第2凸部20E21のような凸部を有することなく、単一又は複数の円柱を有する凸部を挿入可能な単一又は複数の窪み(貫通孔を含む。)から構成されてもよい。
【0070】
但し後述するように、本実施形態においては、第1係合部20E1は第1凹部20E12を有し、第2係合部20E2は、第2凸部20E21を有し、第1凸部20E11を同一形状のインクリボンカセット110の第2凹部120E22に挿入したとき、同時に、第2凹部20E22は、第2凸部120E21と係合可能に構成されており、より具体的には、第2凹部20E22は第2凸部120E21の挿入を許容するように構成されている。このような構成を実現するために、第1係合部20E1及び第2係合部20E2は、互いに異なる形状に形成されている。
【0071】
更に後述するように、第2係合部20E2が第2凸部20E21を有することにより、プリンタ側の第2係合手段SP2と係合することも可能となるから、プリンタにインクリボンカセット110を安定して保持させることも可能となる。
【0072】
本実施形態においては、図1及び図2に示されるように、第1凹部20E12に囲まれる領域に第1凸部20E11を設け、換言すると、第1凹部20E12は、面部20C2と接続し面部20C2から窪むように形成され、第1凸部20E11は、第1凹部20E12と接続し第1凹部20E12から突出するように形成される。一方で第2凸部20E21に囲まれる領域に第2凹部20E22を設け、換言すると、第2凸部20E21は、面部20C2と接続し面部20C2から突出するように形成され、第2凹部20E22は、第2凸部20E21と接続し第2凸部20E21から窪むように形成される。
【0073】
より具体的には、第1凸部20E11及び第1凹部20E12は、第1方向DR1を向いた面を有する壁部と、第2方向DR2を向いた面を有する壁部と、第1方向DR1を向いた面と第2方向DR2を向いた面とを接続し第1方向DR1及び第2方向DR2と垂直の方向を向いた面を有する壁部という3つの壁部をそれぞれ有する。3つの壁部のうち、面部20C2より突出している部分が第1凸部20E11に相当し、面部20C2より窪んでいる部分が第1凹部20E12に相当する。これら3つの壁部は単一の直方体状に形成されるように一体的に設けられていても、独立した複数の壁部として設けられていても、端部において互いに接続する壁部として設けられていてもよい。
【0074】
一方で、第2凸部20E21及び第2凹部20E22は、第1方向DR1を向いた面を有する壁部と、第2方向DR2を向いた面を有する壁部と、2つの壁部を接続し第1方向DR1及び第2方向DR2と垂直の方向を向いた面を有する壁部という3つの壁部を有する。3つの壁部のうち、面部20C2より突出している部分が第2凸部20E21に相当し、面部20C2より窪んでいる部分が第2凹部20E22に相当する。これら3つの壁部で囲まれる領域に第1凸部20E11を挿入するために、3つの壁部は、独立した複数の壁部として設けられていても、端部において互いに接続する壁部として設けられてもよい。
【0075】
第1凸部20E11は、第2凹部120E22の3つの壁部で囲まれる領域に挿入可能に構成され、かつ、第1凹部20E12は、第2凸部120E21の3つの壁部の挿入を許容するように構成されている。
【0076】
そして、第1凸部20E11をインクリボンカセット110の第2凹部120E22を構成する3つの壁部で囲まれる領域に挿入し、かつ、第1凹部20E12がインクリボンカセット110の第2凸部120E21の3つの壁部の挿入を許容するとき、第1凸部20E11及び第1凹部20E12の第1方向DR1を向いた面と、第2方向DR2を向いた面と、第1方向DR1を向いた面と第2方向DR2を向いた面とを接続し第1方向DR1及び第2方向DR2と垂直の方向を向いた面という3つの面は、それぞれ、第2凹部120E22及び第2凸部120E21の、第1方向DR1を向いた面と、第2方向DR2を向いた面と、第1方向DR1を向いた面と第2方向DR2を向いた面とを接続し第1方向DR1及び第2方向DR2と垂直の方向を向いた面という3つの面に対向する。なお、インクリボンカセット10とインクリボンカセット110を向かい合わせたとき、インクリボンカセット110の各面は、反対の方向を向く(例えば、第2凸部120E21の第1方向DR1を向いた面は第2方向DR2を向き、第2方向DR2を向いた面は、第1方向DR1を向く)。同様に第2係合部20E2は、インクリボンカセット110の第1係合部120E1と係合する。
【0077】
このような構成を採用することにより、インクリボンカセット10とインクリボンカセット110とが相対的に移動することを複数の方向について抑制することが可能となる。
【0078】
更に本実施形態における第1凸部20E11は、巻取りケース30に接近する方向に突出する第1突出部20E11P(図4(B))を有し、第2凸部20E21は、巻取りケース30とは反対方向の巻取りケース30から離間する方向に突出する第2突出部20E21P(図4(A))を有する。そして、インクリボンカセット10とインクリボンカセット110を向かい合わせたとき、第1突出部20E11Pと第2突出部120E21Pとが係合し、第1突出部20E11Pと第1凹部20E12との間に、第2突出部120E21Pが位置し、第2突出部120E21Pと第2凹部120E22との間に、第1突出部20E11Pとが位置するように、構成することが可能である。
【0079】
このような構成を採用することにより、インクリボンカセット10とインクリボンカセット110との係合が外れそうになっても、インクリボンカセット10が相対的に移動することを一層抑制することが可能となる。
【0080】
以下、巻取りケース30の詳細構成について説明する。図1及び図2等に示されるように本実施形態に係る巻取りケース30は、第2回転軸AX2方向を長手方向とする円柱状乃至に形成されているため、それぞれ円状に形成されている端面部30A及び端面部30Bを接続する面部30Cは、円筒面状に形成されている部分を有する。
【0081】
面部30C(図1等)(30Cを図面に反映願います。)の元巻きケース20を向いた面には、端面部30Aから端面部30Bに至るまで第2回転軸AX2方向に存在する矩形状の開口30C11(図4(A))が形成されている。開口20C11から外部に繰出され印刷に使用された後のインクリボンは、開口30C11から巻取りケース30の内部に侵入し、巻き取り芯部32に巻き回されて巻取りケース30内に収納される。
【0082】
巻取りケース30には、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2から離間する方向に突出する2つの第1突起30E1(「一方の第1突起」の一例)及び第1突起30E2(「他方の第1突起」の一例)と、同じく第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2から離間する方向に突出する2つの第2突起30F1及び第2突起30F2とが設けられる。
【0083】
第1突起30E1は、図2(A)の平面図に示されるように、第2回転軸AX2方向における巻取りケース30の中心位置C2(「第2回転軸方向中心」の一例)から第2回転軸AX2に沿って第1方向DR1に第1距離DS1離間した位置に設けられ、第1突起30E2は、巻取りケース30の中心位置C2から第2回転軸AX2に沿って第2方向DR2に第2距離DS2離間した位置に設けられる。ここで、第1距離DS1は、第3距離DS3より小さく、第2距離DS2より小さくても大きくてもよい。第2距離DS2は、第3距離DS3より小さく、第1距離DS1より小さくても大きくてもよい。第1距離DS1と第2距離DS2は、同等でもよい。本実施形態においては、第1距離DS1と第2距離DS2は、実質的に同一(同等)である。
【0084】
図5に示されるように、第1突起30E1及び第1突起30E2は、共に、全部又はその第2回転軸AX2から最も離間した先端を含む主要部分が第1領域SP1に設けられる。また、第1突起30E1は、第2回転軸AX2を中心とする第1半径R1を有する第1仮想円筒内面IC1に内接する。第1突起30E2は、第2回転軸AX2を中心とする第2半径R2を有する第2仮想円筒内面IC2に内接する。第1半径R1は、第2半径R2以上である。従って、第1半径R1は、第2半径R2より大きくてよい。本実施形態においては、第1半径R1と第2半径R2は、実質的に同一(同等)である。
【0085】
第2突起30F1及び第2突起30F2は、それぞれ、図2(A)の平面図に示されるように、第2回転軸AX2方向において一方の第1突起30E1と他方の第1突起30E2との間の位置に設けられる。一方の第2突起30F1は、中心位置C2から第2回転軸AX2に沿って第1方向DR1に第4距離DS4離間した位置に設けられ、他方の第2突起30F2は、中心位置C2から第2回転軸AX2に沿って第2方向DR2に第5距離DS5離間した位置に設けられる。ここで、第4距離DS4は、第2距離DS2及び第3距離DS3より小さく、第5距離DS5より小さくても大きくてもよい。第5距離DS5は、第2距離DS2及び第3距離DS3より小さく、第4距離DS4より小さくても大きくてもよい。第4距離DS4と第5距離DS5は、同等でもよい。本実施形態においては、第4距離DS4と第5距離DS5は、実質的に同一(同等)である。
【0086】
図5に示されるように、第2突起30F1及び第2突起30F2は、共に、全部又はその第2回転軸AX2から最も離間した先端を含む主要部が第2領域SP2に設けられる。また、第2突起30F1は、第2回転軸AX2を中心とする第3半径R3を有する第3仮想円筒内面IC3に内接する。第2突起30F2は、第2回転軸AX2を中心とする第4半径R4を有する第4仮想円筒内面IC4に内接する。第3半径R3は、第1半径R1及び第2半径R2より大きい。第4半径R4は、第1半径R1、第2半径R2及び第3半径R3より大きくても小さくてもよい。2つの第1突起30E1及び第1突起30E2に加えて少なくとも1つの第2突起30F1が設けられていれば、他方の第2突起30F2は必ずしも設けられなくてもよい。本実施形態においては、第3半径R3と第4半径R4は、実質的に同一(同等)である。
【0087】
図5には、側面視において、第1突起30E1及び第2突起30F1に接する仮想的な接平面P2を示している。本実施形態に係る巻取りケース30は、第1突起30E1及び第2突起30F1に接し、巻取りケース30の他の部分と接しないような仮想的な接平面P2が存在する。第1突起30E1と接平面P2との側面視における接点を第1接点CP1とし、第1突起30E1と接平面P2との側面視における接点を第2接点CP2とし、仮想平面P1と接平面P2との側面視における交点を第3交点CP3とする。なお本実施形態においては、側面視において第1突起30E2と接平面P2との側面視における接点も第1接点CP1と同一であり、第2突起30F2と接平面P2との側面視における接点も第2接点CP2と同一である。
【0088】
同図に示されるように、側面視において、本実施形態に係る巻取りケース30の第2接点CP2、第3交点CP3及び第2回転軸AX2とがなす角αは、鋭角をなすように、好ましくは80度以上90度未満となるように、巻取りケース30は形成されている。このため、仮想平面P1は接平面P2に対して傾斜し、縦置きしたときインクリボンカセット10は交点CP2を有する第2突起30F1側に傾斜するように構成されている。従って、面部20C2と、同一形状のインクリボンカセット110の面部120C2とを対向させたとき、面部20C2と面部120C2、第1係合部20E1と第2係合部120E2、又は、第2係合部20E2と第1係合部120E1との少なくとも何れか、又は、全てを係合させることが可能となる。特に、使用前の状態においてはインクリボンのほとんどが元巻きケース20に収納されているため、そうでない場合と比較して、大きな力を互いのインクリボンカセットに作用させることが可能となる。
【0089】
ここで、同図に示されるように、側面視において第2接点CP2と交点CP3との距離は、第1接点CP1と交点CP3との距離より大きくなるように、好ましくは、第2接点CP2と交点CP3との距離は、第1接点CP1と交点CP3との距離の2倍以上となるように、第1突起30E1及び第2突起30F2が形成されている。この構成により、第2回転軸AX2方向において中心位置C2側にある第2突起30F1に、第1突起30E1及び第1突起30E2よりも大きな力がかかることになる。
【0090】
加えて、第2突起30F1(及び第2突起30F2)の第2回転軸AX2を基準とする周方向の最大幅は、第1突起30E1と第1突起30E2の第2回転軸AX2を基準とする周方向の最大幅より大きくなるように、好ましくは、第1突起30E1と第2突起30F2の第2回転軸AX2を基準とする周方向の最大幅の2倍以上となるように、第2突起30F1(及び第2突起30F2)が形成されている。このような構成により、より大きな力が作用する第2突起30F1(及び第2突起30F2)を周方向に大きく形成することとなるから、インクリボンカセット10を安定して支持することが可能になる。
【0091】
更に同図に示されるように、側面視おいて第1接点CP1、第2回転軸AX2及び第2接点CP2とがなす角は、90度未満であることが好ましい。この構成も、第1接点CP1と第2接点CP2との距離を小さくさせるため、縦置き時の安定性を高めることに寄与する。
【0092】
また、使用前のインクリボンが収納される元巻きケース20が上側となるように縦置きを可能としたから、塵埃等が元巻きケース20の開口20C11から入り込んで使用前のインクリボンに付着する可能性を低減することが可能となる。
【0093】
但し、本発明は、上述した第1突起30E1、第1突起30E2、第2突起30F1及び第2突起30F2とは別目的で異なる位置に異なる突起を設けることを妨げるものではない。例えば図5において第2回転軸AX2の紙面右上には、インクリボンカセット10とインクリボンカセット110との平置きを可能とするための平坦な面部が設けられる。この面部の角は、第1仮想円筒内面IC1乃至第2仮想円筒内面IC2又はこれと同程度の大きさの仮想円筒内面に内接し得るように突出して設けられる。このように、本発明は、その作用効果の少なくとも一部が一定程度発揮される限りにおいて、別目的で異なる位置に異なる凸部を設けることを妨げるものではない。但し、第2回転軸AX2を基準として第1回転軸AXから離間する側の中心角が180度の領域内において、第2突起30F1(及び第2突起30F2)が第2回転軸AX2から最も突出する突起であり、第1突起30E1(及び第1突起30E2)が2番目に突出する突起となるように、第1突起及び第2突起を構成することが好ましい。なお、第1突起及び第2突起において、第2回転軸AX2から最も離間した各突端と、接平面との各接点は必ずしも一致していなくてもよい。
【0094】
更に本実施形態に係るインクリボンカセット10は、側面視において、接平面P2に垂直で第1回転軸AX1を通過する仮想平面P3と接平面P2との第4交線CP4(側面視においては点となる。)が、第1接点CP1と第2接点CP2との間に位置するように、より好ましくは、第1接点CP1と第4交線CP4との距離が第2接点CP2と第4交線CP4との距離よりも大きくなるように構成されている。この構成により、元巻きケース20が傾くことによりインクリボンカセット10を倒そうとする力を弱めることが可能となるから、縦置き時の安定性を高めることが可能となる。
【0095】
更に本実施形態に係るインクリボンカセット10は、単独で自立可能に構成されている。従って、側面視において、接平面P2に垂直でインクリボンカセット10の重心を通過する線と接平面P2との交点は、第1接点CP1と第2接点CP2との間に位置する。このとき、インクリボンカセット10は、接平面P2上に、第1突起30E1、第1突起30E2、第2突起30F1及び第2突起30F2のうち、少なくともいずれか3点で接することにより、インクリボンカセット10を支持可能に構成されている。この構成により、二つのインクリボンカセット10及びインクリボンカセット110の一方のみを縦置きさせて保管することも可能となる。
【0096】
但し、例えば、第2突起30F1の高さをわずかに小さくすることによって、インクリボンカセットを自立しないように構成してもよい。このような場合であっても、インクリボンカセットを傾斜させて壁面等に立てかけることにより、インクリボンカセットを縦置きさせて保管させることが可能となる。このとき第2突起は接地面等に当接することにより、インクリボンカセットを支持可能に構成してもよい。
【0097】
接続部40は、元巻きケース20と巻取りケース30を接続(連結)する部材である。接続部40を構成する一方の接続部材40A(図1)は、元巻きケース20の端面部20Aと巻取りケース30の端面部30Aとを接続する。他方の接続部材40B(図1)は、元巻きケース20の端面部20Bと巻取りケース30の端面部30Bとを接続する。図3(A)及び(B)に示されるように、接続部材40A及び接続部材40Bは、その主要部分(80%以上の部分)又は略全ての部分が第1領域SP1に存在するように設けられる。
【0098】
[2つのインクリボンカセットの連結構成]
以下、インクリボンカセット10と同一形状のインクリボンカセット110を連結させた際の構成について説明する。
【0099】
なお、インクリボンカセット10とインクリボンカセット110は、同一色のインクリボンでなくてもよい。例えば、注意看板で頻用されている黄色と黒色のうち、インクリボンカセット10は黄色のインクリボンを収納し、インクリボンカセット110は黒色のインクリボンを収納してよい。同様に、赤色と黒色のペアや、橙色と黒色のペアで2つのインクリボンカセットを連結して縦置きして保管することが可能である。
【0100】
図6及び図7(A)は、それぞれ、インクリボンカセット10とインクリボンカセット110を連結して縦置きした際の斜視図及び第1回転軸AX1方向及び第2回転軸AX2方向から見た側面図である。図7(B)及び(C)は、同じく側面視において、それぞれ、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2に垂直で第2係合部20E2を貫通した平面で切断した断面図、及び、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2に垂直で第1係合部20E1を貫通した平面で切断した断面図である。
【0101】
図5図7を比較することにより明らかなように、図5に示される単独自立のとき、インクリボンカセット10の第1突起30E1、第1突起30E2、第2突起30F1及び第2突起30F2の4つの突起のうち、少なくとも3つを用いてインクリボンカセット10を3点支持可能に構成されていた。
【0102】
一方で図7は、インクリボンカセット10の面部20C2と、インクリボンカセット110の面部120C2とを対向させて連結させた際の自立時(以下、「連結自立」という。)の側面図を示している。単独自立の際、接平面P2に対してインクリボンカセット10の仮想平面P1は傾斜していたため、インクリボンカセット10の面部20C2と、インクリボンカセット110の面部120C2とを対向させたとき、この二つのインクリボンカセットは互いに支え合うことにより自立可能に構成される。このとき面部20C2と面部120C2との間には、力が作用する。従って面部20C2を広く設けることにより(例えば、面部20C2を端面部20Aから端面部20Bまで延在させて設けることにより、又は、面部20C1から面部20C3まで延在させて設けることにより)、安定して互いに支え合うことが可能となる。
【0103】
図7に示される連結自立のとき、インクリボンカセット10の第1突起30E1、第1突起30E2、インクリボンカセット110の第1突起130E1及び第1突起130E2の4つの突起のうち、少なくとも3つを用いてインクリボンカセット10及びインクリボンカセット110を3点支持可能に構成される。
【0104】
このとき、第2突起30F1、第2突起30F2、第2突起130F1及び第2突起130F2は、第2接平面P5(第1突起30E1、第1突起30E2、第1突起130E1及び第1突起130E2の少なくとも3つに接する平面)から離間し、第2接平面P5に当接しない。このため、第2突起30F1、第2突起30F2、第2突起130F1及び第2突起130F2を更に短く形成してもよい。
【0105】
更にこのとき、仮想平面P1と第2接平面P5との角度βは、仮想平面P1と接平面P2との角度αよりも、直角に近い角度βをなす。本実施形態において、角度βは90度である。加えて、接続部材40A、接続部材40B、接続部材140A及び接続部材140Bと第2接平面P5との角度も、直角又は略直角をなす。
【0106】
同時に図7(B)に示されるように、第2係合部20E2と第1係合部120E1とが係合し、具体的には、第2凸部20E21は第1凹部120E12内に挿入され、第2凹部20E22は第1凸部120E11の挿入を許容し、更に第1突出部120E11Pと第2突出部20E21Pとが係合し、第1突出部120E11Pと第1凹部120E12との間に第2突出部20E21Pが位置し、第2突出部20E21Pと第2凹部20E22との間に、第1突出部120E11Pとが位置する。このとき第1突出部120E11Pは、第2突出部20E21Pに嵌り合う関係にあるため、嵌合しているということもできる。
【0107】
更に同時に図7(C)に示されるように、第1係合部20E1と第2係合部120E2とが係合し、具体的には、第1凸部20E11は第2凹部120E22内に挿入され、第1凹部20E12は第2凸部120E21の挿入を許容し、更に第2突出部120E21Pと第1突出部20E11Pとが係合し、第2突出部120E21Pと第2凹部120E22との間に第1突出部20E11Pが位置し、第1突出部20E11Pと第1凹部20E12との間に、第2突出部120E21Pとが位置する。このとき第1突出部20E11Pは、第2突出部120E21Pに嵌り合う関係にあるため、嵌合しているということもできる。
【0108】
このような構成を採用することにより、インクリボンカセット10とインクリボンカセット110とが相対的に移動することを複数の方向について抑制することが可能となる。更に頻繁に使用する2つの色のインクリボンをそれぞれ収納する2つのインクリボンカセットのペアをセットで保管することが可能となる。
【0109】
[プリンタへの取り付け]
以下、インクリボンカセット10をプリンタに収容し、プリンタに取り付けた際の構成について説明する。
【0110】
まずプリンタ300の構成について説明する。なお本実施形態に係るインクリボンカセット10は、プリンタ300以外の構成を備える印刷装置に幅広く適用可能である。
【0111】
図8は、本開示の一実施形態に係る印刷装置の一例であるプリンタ300の構成の一部を概念的に示す模式平面図である。
【0112】
同図に示されるように、プリンタ300は、その主要機能として印刷部310及び搬送部330(「搬送手段」の一例)とを備える。印刷部310は、印刷用シートS(「印刷媒体」の一例)に任意の文字、図形、画像等に相当するインクを熱転写等で転写することによって印刷を行うための印刷ヘッド311(「サーマルヘッド」の一例)と、印刷ヘッド311に接続された印刷ヘッド駆動部312を備える。印刷ヘッド駆動部312は、例えば、印刷ヘッド311の昇降動作、すなわち、印刷用シートSへ印刷ヘッド311を押し付ける動作と印刷用シートSから印刷ヘッド311を退避させる(離間させる)動作を行う例えば昇降用ソレノイド又はモータ(ともに図示せず)を備える。
【0113】
搬送部330は、インクリボンカセット10の繰出し芯部22及び巻取り芯部32を回転させてインクリボンBを引き出すために、第1連結部材24、第2連結部材26、第3連結部材34及び第4連結部材36(図2(A))に形成されたギアに噛合する駆動ギアを回転駆動するためのインクリボン搬送モータ333と、印刷用シートSをその印刷時及び切断時に搬送するためのローラ形状のプラテン331(プラテンロール:第1回転体)及びローラ形状のスプロケット332(スプロケットロール:第2回転体)と、例えばステッピングモータ等の印刷用モータM1(第1モータ)を備える。図示の如く、プラテン331と印刷ヘッド311は、インクリボンBと印刷用シートSを挟んで互いに対向配置され、スプロケット332と切断ヘッド(不図示)は、印刷用シートSを挟んで互いに対向配置される。プリンタ300は、プラテン331及びスプロケット332の両方が印刷用モータM1と無端ベルトEB1及び無端ベルトEB3と接続されており、印刷用シートSの印刷時に、印刷用モータM1によってプラテン331及びスプロケット332が回転駆動され、図8において矢印Yaで示す正方向(給紙方向、排紙方向)に印刷用シートSが搬送されるとともにインクリボンBが搬送される。
【0114】
図9は、カバー320が開かれた状態におけるプリンタ300の斜視図である。カバー320は、開閉可能にプリンタ300に設けられており、その内面側には、インクリボンカセット10を着脱自在に収容するための収容部340が設けられる。なお、プリンタ300は、印刷用シートSを着脱自在に収容可能であり、この印刷用シートSとしては、例えば、長尺状の剥離紙に長尺状のシートが貼着されたものが挙げられ、印刷用シートSの印刷面が外向きとなる外巻と称される形態で巻かれたシートロールとして提供され得る。また、印刷用シートSの幅方向の両端には、スプロケット332と係合するためのスプロケットホールと称する複数の貫通孔(図示せず)が、長手方向に一定の間隔で形成されている。
【0115】
収容部340は、2つの第1スリットS11及び第1スリットS12と、2つの第2スリットS21及び第2スリットS22と、第1係合手段SPR1と、第2係合手段SPR2とを備える。
【0116】
一方の第1スリットS11は、一方の第1突起30E1を挿入することにより、プリンタ300と第1突起30E1とを係合するための部位である。他方の第1スリットS12は、他方の第1突起30E2を挿入することにより、プリンタ300と第1突起30E2とを係合するための部位である。第1突起30E1及び第1突起30E2がそれぞれ挿入可能なように、第1スリットS11及び第1スリットS12は、第1突起30E1と第1突起30E2との間隔と略同一の間隔に形成され、第2回転軸AX2と垂直な方向に延在する、例えば、貫通孔から形成される。
【0117】
一方の第2スリットS21は、一方の第2突起30F1を挿入することにより、プリンタ300と第2突起30F1とを係合するための部位である。他方の第2スリットS21は、他方の第2突起30F2を挿入することにより、プリンタ300と第2突起30F2とを係合するための部位である。第2突起30F1及び第2突起30F2がそれぞれ挿入可能なように、第2スリットS21及び第2スリットS22は、第2突起30F1と第2突起30F2との間隔と略同一の間隔に形成され、第2回転軸AX2と垂直な方向に延在する、例えば、貫通孔から形成される。
【0118】
第1係合手段SPR1は、第1係合部20E1に係合可能な部材であり、具体的には、カバー320の内壁面から突出する板ばねから構成されている。第2係合手段SPR2は、第2係合部20E2に係合可能な部材であり、具体的には、カバー320の内壁面から突出する板ばねから構成されている。
【0119】
以下、インクリボンカセット10をプリンタ300に収容させたときの構成について図面を用いて説明する。
【0120】
なお、インクリボンカセット10をプリンタ300に取り付けるために、使用者は、まず2つの第2突起30F1及び第2突起30F2を、それぞれ、第2スリットS21及び第2スリットS22に挿入し、2つの第1突起30E1及び第1突起30E2を、それぞれ、第1スリットS11及び第1スリットS12に挿入した後、巻取りケース30側を支点として、インクリボンカセット10の元巻きケース20をカバー320に接近する方向に回転させることにより、第1係合部20E1及び第2係合部20E2を、それぞれ、第1係合手段SPR1及び第2係合手段SPR2に係合させることにより、インクリボンカセット10をプリンタ300に取り付ける。
【0121】
図10は、インクリボンカセット10をプリンタ300に収容させたときにおける、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2に垂直で、第2係合部20E2を通過する平面で切断した断面図及び同図の領域Bの部分拡大図である。
【0122】
同図に示されるように2つの第1突起30E1及び第1突起30E2は、第1スリットS11及び第1スリットS12に挿入されるため、カバー320の内側に侵入する。同様に、2つの第2突起30F1及び第2突起30F2は、第2スリットS21及び第2スリットS22に挿入されるため、カバー320の内側に侵入する。プリンタ300は、センサ350を備えており、第2突起30F1の先端が第2スリットS21に挿入されカバー320の内側に侵入したことを検出可能に構成されている。このような構成により、プリンタ300は、インクリボンカセット10を収容したことを検出可能に構成されている。
【0123】
同図拡大図に示されるように第2係合手段SPR2は、第2凹部20E22に囲まれる領域まで侵入して、第2突出部20E21Pの傾斜面に係合することにより、巻取りケース30を矢印AR2の方向、即ち、元巻きケース20に離間する方向かつ仮想平面P1から離れる方向に押圧する。
【0124】
図11は、インクリボンカセット10をプリンタ300に収容させたときにおける、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2に垂直で、第1係合部20E1を通過する平面で切断した断面図及び同図の領域Aの部分拡大図である。
【0125】
同図拡大図に示されるように第1係合手段SPR1は、第1凹部20E12の領域まで侵入して、第1突出部20E11Pの傾斜面に係合することにより、巻取りケース30を矢印AR1の方向、即ち、元巻きケース20から接近する方向かつ仮想平面P1から離れる方向に押圧する。
【0126】
以上のような構成によれば、第2係合部20E2に仮想平面P1に対して傾斜する傾斜面、より具体的には、法線方向が、元巻きケース20から離間し、かつ、仮想平面P1に接近する方向となる傾斜面を設けることにより、第2係合手段SPR2によって矢印AR2の方向の力を作用させ、第1係合部20E1に仮想平面P1に対して傾斜する傾斜面、より具体的には、法線方向が、元巻きケース20に接近し、かつ、仮想平面P1に接近する方向となる傾斜面を設けることにより、第1係合手段SPR1によって矢印AR1の方向の力を作用させることが可能となる。このため、元巻きケース20に対して、巻取りケース30に接近する方向からも離間する方向から力を作用させることが可能となるから、インクリボンカセット10をプリンタ300に対して安定して取り付けることが可能となる。
【0127】
また、第1係合手段SPR1及び第2係合手段SPR2によって元巻きケース20に作用する力は、接続部40を介して、第1突起30E1、第1突起30E2、第2突起30F1及び第2突起30F2からカバー320に作用する。ここで接続部40を第1領域SP1に設けたから、第2領域SP2に設けられるこれら4つの突起からカバー320に作用する力(回転モーメント)を大きくすることが可能になる。従って、インクリボンカセット10をプリンタ300に対して安定して取り付けることが可能となる。
【0128】
更に、第1係合部20E1及び第2係合部20E2は、第1回転軸AX1方向(及び第2回転軸AX2方向)において、元巻きケース20の中心位置C1から第3距離DS3離間した位置に設けられるので、第1突起30E1、第1突起30E2、第2突起30F1及び第2突起30F2は、第1回転軸AX1方向(及び第2回転軸AX2方向)において第1係合部20E1と第2係合部20E2で挟まれる領域に設けられる。このため、第1係合手段SPR1及び第2係合手段SPR2から作用する力を、第1突起30E1、第1突起30E2、第2突起30F1及び第2突起30F2に伝えることが可能となる。従って、インクリボンカセット10をプリンタ300に対して安定して取り付けることが可能となる。
【0129】
また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。たとえば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態における一部の構成要素を他の知られた構成と置換したり、知られた構成要素を追加することができる。例えば、本発明を、リンクリボンを交換するタイプのインクリボンカセットに適用してもよい。例えば、本発明のインクリボンカセットに、複数のインクリボンカセットを平置きして積層させるための構成を追加してもよい。
【符号の説明】
【0130】
10 インクリボンカセット
20A 端面部
20B 端面部
20C1 面部
20C2 面部
20C3 面部
20C4 面部
20E1 第1係合部
20E11 第1凸部
20E11P 第1突出部
20E12 第1凹部
20E2 第2係合部
20E21 第2凸部
20E21P 第2突出部
20E22 第2凹部
24 第1連結部材
26 第2連結部材
30A 端面部
30B 端面部
30C 面部
30E1 第1突起
30E2 第1突起
30F1 第2突起
30F2 第2突起
34 第3連結部材
36 第4連結部材
40A 接続部材
40B 接続部材
300 プリンタ
311 印刷ヘッド
320 カバー
331 プラテン
332 スプロケット
340 収容部
350 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11