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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】鉄道車両用電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   B61C 17/00 20060101AFI20250109BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20250109BHJP
【FI】
B61C17/00 A
H02M7/48 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020076058
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021172171
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】矢野 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 将光
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-154758(JP,A)
【文献】特開平02-013266(JP,A)
【文献】特開2020-044949(JP,A)
【文献】特開2018-207630(JP,A)
【文献】特開2007-131128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0143961(US,A1)
【文献】中国実用新案第202260976(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61C 17/00
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換部本体と前記電力変換部本体の内部の熱を放熱するための放熱部とを含む電力変換ユニットと、
前記放熱部を含む前記電力変換ユニットの全体を収容するユニット収容部と、
鉄道車両に設けられ、前記ユニット収容部を内部に収納する密閉された筐体と、を備え、
前記放熱部を含む前記電力変換ユニットが収容された前記ユニット収容部を前記筐体内に収納することにより、前記放熱部の全体を外部に露出させることなく密閉された前記筐体内に収納可能に構成されている、鉄道車両用電力変換装置。
【請求項2】
前記ユニット収容部は、第1電力変換ユニットと第2電力変換ユニットとを含む複数の電力変換ユニットを収容可能に構成されており、
前記第1電力変換ユニットは、前記電力変換部本体の内部の熱を放熱するための前記放熱部である第1放熱部を含み、
前記第2電力変換ユニットは、前記電力変換部本体の内部の熱を放熱するための前記放熱部である第2放熱部を含む、請求項1に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項3】
前記筐体内の空気を循環させることにより、前記放熱部を冷却するように構成されている冷却ファンをさらに備え、
前記第1放熱部および前記第2放熱部は、共通の前記冷却ファンにより、冷却されるように構成されている、請求項2に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項4】
前記第1電力変換ユニットおよび前記第2電力変換ユニットは、前記ユニット収容部内において、前記第1放熱部と前記第2放熱部とが互いに対向した状態で収容されるように構成されており、
前記筐体の底面に垂直な方向から見て、前記第1放熱部および前記第2放熱部と前記冷却ファンとが、重なるように配置されている、請求項3に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項5】
前記ユニット収容部は、前記ユニット収容部の前記冷却ファンが配置される側において、前記冷却ファンから送風される冷却風が通過する第1冷却用開口部を有する、請求項3または4に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項6】
前記冷却ファンは、前記筐体の底面側に設けられており、
前記放熱部は、放熱フィンを含み、
前記ユニット収容部が前記筐体に締結固定されることにより、前記筐体の底面に垂直な方向から見て、前記第1放熱部と前記第1冷却用開口部と前記冷却ファンとが、重なるように配置されている、請求項5に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項7】
前記電力変換ユニットに電気的に接続される電子機器が設けられた電子機器ユニットをさらに備え、
前記電子機器ユニットは、前記ユニット収容部に収容された前記電力変換ユニットに対して前記冷却ファンとは反対側において、前記冷却ファンに対向するように前記筐体内に配置されるとともに、前記冷却ファンから送風される冷却風が通過する第2冷却用開口部を有する、請求項6に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項8】
前記ユニット収容部は、複数の枠が組み合わされた形状を有しており、前記電力変換ユニットが収容された状態で、前記ユニット収容部の枠部分が把持可能に構成されている、請求項4~7のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項9】
前記ユニット収容部は、前記第1電力変換ユニットの下面に対応する位置に設けられる下面部と、前記第2電力変換ユニットの下面に対応する位置に設けられ、前記第2電力変換ユニットに接続される配線を支持する支持部とを含む、請求項8に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項10】
前記筐体は、前記筐体の内部において、前記電力変換ユニットが収容された前記ユニット収容部を作業者が把持した状態で、前記ユニット収容部をスライド移動させるためのスライド部が設けられる、請求項8または9に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項11】
前記冷却ファンは、前記筐体の底面に垂直な方向から見て、前記スライド部と重ならないように配置されている、請求項10に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道車両用電力変換装置に関し、特に、放熱部が筐体内に収納可能に構成されている鉄道車両用電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放熱部が筐体内に収納可能に構成されている鉄道車両用電力変換装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、放熱フィンを含む冷却装置と、冷却装置が載置される底板フレームと、底板フレームと対向するように設けられる上部フレームと、底板フレームと上部フレームとを接続する側壁と、冷却装置が取り付けられる冷却装置取付フレームと、を備える鉄道車両用電力変換装置が開示されている。冷却装置は、下部に開口部を有する底板フレーム上に載置された状態で、冷却装置取付フレームに取り付けられ、上部フレームと、側壁と、底板フレームと、冷却装置取付フレームとに囲まれた空間(筐体内)に収納されている。また、冷却装置の下部には、冷却装置の放熱フィンを冷却するための空気の通り穴として、パンチ穴が設けられている。この特許文献1に記載の鉄道車両用電力変換装置は、冷却装置の下部のパンチ穴と、冷却装置が載置される底板フレーム(筐体)の下部の開口部とを介して、上部フレームと、側壁と、底板フレームと、冷却装置取付フレームとに囲まれた空間(筐体内)に、放熱フィン(放熱部)を冷却するための空気が筐体外部から供給されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-196579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の鉄道車両用電力変換装置において、上部フレームと、側壁と、底板フレームと、冷却装置取付フレームとに囲まれた空間(筐体内)には、冷却装置の下部のパンチ穴と、冷却装置が載置される底板フレーム(筐体)の下部の開口部とを介して、放熱フィンを冷却するための空気が筐体外部から供給されるように構成されている。しかしながら、上記特許文献1の鉄道車両用電力変換装置は、放熱フィンを冷却するための空気が筐体外部から供給される際に、空気とともに、外部から異物が侵入してしまうという不都合がある。そのため、冷却装置の下部のパンチ穴と底板フレーム(筐体)の下部の開口部とを介して、外部から侵入した異物などにより、放熱フィン(放熱部)への異物付着および汚損が発生することにより、放熱フィンの冷却機能が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、異物付着および汚損による放熱部の冷却機能の低下を抑制可能な鉄道車両用電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による鉄道車両用電力変換装置は、電力変換部本体と電力変換部本体の内部の熱を放熱するための放熱部とを含む電力変換ユニットと、放熱部を含む電力変換ユニットの全体を収容するユニット収容部と、鉄道車両に設けられ、ユニット収容部を内部に収納する密閉された筐体と、を備え、放熱部を含む電力変換ユニットが収容されたユニット収容部を筐体内に収納することにより、放熱部の全体を外部に露出させることなく密閉された筐体内に収納可能に構成されている。
【0008】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置では、上記のように、放熱部を含む電力変換ユニットが収容されたユニット収容部を筐体内に収納することにより、放熱部を密閉された筐体内に収納可能に構成されている。これにより、電力変換ユニットの放熱部が密閉された筐体内に収納されることによって、異物付着および汚損の原因となる筐体外部からの異物の侵入を防止することができる。その結果、異物付着および汚損による放熱部の冷却機能の低下を抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、ユニット収容部は、第1電力変換ユニットと第2電力変換ユニットとを含む複数の電力変換ユニットを収容可能に構成されており、第1電力変換ユニットは、電力変換部本体の内部の熱を放熱するための放熱部である第1放熱部を含み、第2電力変換ユニットは、電力変換部本体の内部の熱を放熱するための放熱部である第2放熱部を含む。このように構成すれば、ユニット収容部に複数の電力変換ユニットを収容することができるので、複数の電力変換ユニットを筐体内へ収納する際、または、複数の電力変換ユニットを筐体内から取り出す際に、複数の電力変換ユニットを同時に収納、または、複数の電力変換ユニットを同時に取り出すことができる。その結果、ユニット収容部に電力変換ユニットを1つのみ収容する場合に比べて、複数の電力変換ユニットを筐体内へ収納する際、または、複数の電力変換ユニットを筐体内から取り出す際の作業量の増加を抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、筐体内の空気を循環させることにより、放熱部を冷却するように構成されている冷却ファンをさらに備え、第1放熱部および第2放熱部は、共通の冷却ファンにより、冷却されるように構成されている。このように構成すれば、密閉された筐体内の空気を冷却ファンによって、循環させることができるので、外気を取り入れなくても、放熱部を冷却することができる。また、共通の冷却ファンにより第1放熱部および第2放熱部を冷却することによって、第1放熱部および第2放熱部の各々に対応して冷却ファンを設ける場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【0011】
上記冷却ファンを備える構成において、好ましくは、第1電力変換ユニットおよび第2電力変換ユニットは、ユニット収容部内において、第1放熱部と第2放熱部とが互いに対向した状態で収容されるように構成されており、筐体の底面に垂直な方向から見て、第1放熱部および第2放熱部と冷却ファンとが、重なるように配置されている。このように構成すれば、筐体の底面に垂直な方向から見て、第1放熱部および第2放熱部と冷却ファンとが、重なるので、容易に共通の冷却ファンから送風される冷却風によって第1放熱部および第2放熱部の両方の冷却を行うことができる。
【0012】
上記冷却ファンを備える構成において、好ましくは、ユニット収容部は、ユニット収容部の冷却ファンが配置される側において、冷却ファンから送風される冷却風が通過する第1冷却用開口部を有する。このように構成すれば、冷却風が通過する第1冷却用開口部により、冷却ファンから送風される冷却風がユニット収容部に遮られることなく、冷却風を第1放熱部および第2放熱部に当てることができる。その結果、ユニット収容部が第1冷却用開口部を有しない場合に比べて、効率的に第1放熱部および第2放熱部の冷却を行うことができる。
【0013】
この場合、好ましくは、冷却ファンは、筐体の底面側に設けられており、放熱部は、放熱フィンを含み、ユニット収容部が筐体に締結固定されることにより、筐体の底面に垂直な方向から見て、第1放熱部と第1冷却用開口部と冷却ファンとが、重なるように配置されている。このように構成すれば、ユニット収容部を筐体に締結固定することにより、筐体の底面に垂直な方向から見て、第1放熱部と第1冷却用開口部と冷却ファンとが重なるように配置されるので、ユニット収容部を筐体に締結固定するだけで、第1冷却用開口部を介して、冷却ファンから送風される冷却風が当たる位置に第1放熱部を配置することができる。その結果、第1放熱部と第1冷却用開口部と冷却ファンとの位置合わせを容易に行うことができる。また、冷却ファンが筐体の底面側に設けられていることによって、冷却風を筐体の底面側から第1放熱部および第2放熱部に当てることができる。これにより、第1放熱部および第2放熱部から放熱される熱により発生する上昇気流を利用して、密閉された筐体内の空気を循環させることができるので、より効率的に第1放熱部および第2放熱部の冷却を行うことができる。また、放熱部が放熱フィンを含むことによって、放熱部が放熱フィンを含まない場合に比べて、放熱部の電熱面積が広がるので、放熱の効率を向上させることができる。
【0014】
上記冷却ファンが筐体の底面側に設けられる構成において、好ましくは、電力変換ユニットに電気的に接続される電子機器が設けられた電子機器ユニットをさらに備え、電子機器ユニットは、ユニット収容部に収容された電力変換ユニットに対して冷却ファンとは反対側において、冷却ファンに対向するように筐体内に配置されるとともに、冷却ファンから送風される冷却風が通過する第2冷却用開口部を有する。このように構成すれば、電子機器ユニットが、冷却風が通過する第2冷却用開口部を有することによって、第1放熱部および第2放熱部を冷却した冷却風を、第2冷却用開口部を介して、筐体上面の内壁面に当てることができる。その結果、筐体内のユニット収容部に収容された電力変換ユニットに対して冷却ファンとは反対側において、冷却ファンに対向するように、電子機器ユニットを配置した場合においても、電子機器ユニットが第2冷却用開口部を有しない場合に比べて、冷却風により第1放熱部および第2放熱部から奪った熱を筐体から放熱することができる。
【0015】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、ユニット収容部は、複数の枠が組み合わされた形状を有しており、電力変換ユニットが収容された状態で、ユニット収容部の枠部分が把持可能に構成されている。このように構成すれば、電力変換ユニットが収容された状態で、作業者がユニット収容部の枠部分を把持することができるので、電力変換ユニットが収容されたユニット収容部の筐体内への収納作業、または、電力変換ユニットが収容されたユニット収容部の筐体内からの取り出し作業をより容易に行うことができる。
【0016】
この場合、好ましくは、ユニット収容部は、第1電力変換ユニットの下面に対応する位置に設けられる下面部と、第2電力変換ユニットの下面に対応する位置に設けられ、第2電力変換ユニットに接続される配線を支持する支持部とを含む。このように構成すれば、第2電力変換ユニットに接続される配線を支持部により支持することによって、ユニット収容部の筐体内への収納作業、または、ユニット収容部の筐体内からの取り出し作業の際に、第2電力変換ユニットに接続される配線が筐体とユニット収容部との間に挟み込まれるのを防止することができる。また、ユニット収容部の第1電力変換ユニットの下面に対応する位置に下面部が設けられることによって、第1電力変換ユニットを下面側からの衝撃から保護することができる。
【0017】
上記ユニット収容部が複数の枠が組み合わされた形状を有する構成において、好ましくは、筐体は、筐体の内部において、電力変換ユニットが収容されたユニット収容部を作業者が把持した状態で、ユニット収容部をスライド移動させるためのスライド部が設けられる。このように構成すれば、作業者が把持したユニット収容部をスライド部の上において滑らせることによって、作業者が把持したユニット収容部を筐体内のユニット収容部の取り付け位置に容易にスライド移動させることができる。
【0018】
この場合、好ましくは、冷却ファンは、筐体の底面に垂直な方向から見て、スライド部と重ならないように配置されている。このように構成すれば、スライド部が冷却ファンから送風される冷却風を遮ることを防止することができるので、筐体の底面に垂直な方向から見て、冷却ファンがスライド部と重なる場合に比べて、第1放熱部および第2放熱部の冷却を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、異物付着および汚損による放熱部の冷却機能の低下を抑制可能な鉄道車両用電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による電力変換装置を備えた鉄道車両を示した図である。
図2】本発明の一実施形態による鉄道車両の車体下面に備えられた電力変換装置の正面図である。
図3】本発明の一実施形態による鉄道車両の車体下面に備えられた電力変換装置の側面図である。
図4】本発明の一実施形態による鉄道車両の車体下面に備えられた電力変換装置の上面図である。
図5】本発明の一実施形態による電力変換装置の各部の構成を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態の電力変換装置による電力変換ユニットの斜視図である。
図7】電力変換ユニットの上面図である。
図8】電力変換ユニットの背面図である。
図9】本発明の一実施形態の電力変換装置による電力変換ユニットを収容したユニット取付フレームの斜視図である。
図10】本発明の一実施形態の電力変換装置によるユニット取付フレームの斜視図である。
図11】ユニット取付フレームの上面図である。
図12】ユニット取付フレームの下面図である。
図13】ユニット取付フレームの側面図である。
図14】ユニット取付フレームの正面図である。
図15】ユニット取付フレームの背面図である。
図16】ユニット取付フレームへの電力変換ユニットの取り付けを説明するための図である。
図17】電力変換ユニットを収容したユニット取付フレームの側面図である。
図18】本発明の一実施形態の電力変換装置による電子機器ユニット、スライド部および冷却ファンの構成を示した斜視図である。
図19】ユニット取付フレームの収納作業および取り出し作業を説明するための図である。
図20】ユニット取付フレームの筐体への締結固定を説明するための図である。
図21】ユニット取付フレームと筐体のフレーム取付部との締結固定を説明するための図である。
図22】ユニット取付フレームと筐体のフレーム取付部との締結固定の解除を説明するための図である。
図23】本発明の一実施形態の電力変換装置による筐体内での冷却ファンおよび電力変換ユニットの放熱部の配置を説明するための筐体の側面側から見た模式図である。
図24】筐体内での冷却ファンと、電力変換ユニットの放熱部と、ユニット取付フレームの開口部との配置を説明するための筐体の底面側から見た模式図である。
図25】筐体内での冷却ファンおよび電子機器ユニットの開口部の配置を説明するための筐体の底面側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1図25を参照して、本発明の一実施形態による鉄道車両101用の電力変換装置100の構成について説明する。なお、電力変換装置100は、特許請求の範囲の「鉄道車両用電力変換装置」の一例である。
【0023】
鉄道車両101(図1参照)は、架線からの電力を利用して走行する車両であり、走行時において、架線からの電力を半導体素子のスイッチングにより変換して、駆動輪を回転させる誘導電動機の回転制御を行う電力変換装置100を車体下面101aに備えている。以下では、鉄道車両101の走行方向をX方向とし、X方向と直交する枕木方向をY方向とし、XY面に直交する上下方向をZ方向として説明を行う。
【0024】
図2図4に示すように、電力変換装置100は、空調機や制御機器などその他の複数の機器類102に囲まれた位置に配置されている。そして、電力変換装置100は、図2図4に示すように、車体下面101aに吊り下げられて固定されている。電力変換装置100は、取り外し可能なカバー11が取り付けられた筐体10を備える。筐体10は、筐体10正面側(Y2方向側)にカバー11を取り付けることにより、内部を密閉するように構成されている。
【0025】
(電力変換装置の筐体内の構成)
図5に示すように、電力変換装置100は、密閉された筐体10内に、電力変換ユニット1と、電力変換ユニット2と、電力変換ユニット1および2を収容するユニット取付フレーム3とを備える。なお、電力変換ユニット1は、特許請求の範囲の「第1電力変換ユニット」の一例であり、電力変換ユニット2は、特許請求の範囲の「第2電力変換ユニット」の一例である。また、電力変換ユニット1および電力変換ユニット2は、特許請求の範囲の「複数の電力変換ユニット」の一例であり、ユニット取付フレーム3は、特許請求の範囲の「ユニット収容部」の一例である。
【0026】
また、電力変換装置100は、冷却ファン4と、電子機器ユニット5とを備える(図5参照)。
【0027】
冷却ファン4は、筐体10内の底面側(Z2方向側)に設けられており、筐体10内の空気を循環させることにより、電力変換ユニット1の放熱部1b(図6図10参照)および電力変換ユニット2の放熱部2b(図9参照)を冷却するように構成されている。なお、放熱部1bは、特許請求の範囲の「第1放熱部」の一例であり、放熱部2bは、特許請求の範囲の「第2放熱部」の一例である。
【0028】
電子機器ユニット5は、図示しないEMC(ElectroMagnetic Compatibility)フィルタ、ヒューズ、冷却ファン用電源などの電子機器が設けられたユニットである。また、電子機器ユニット5に設けられた電子機器は、電力変換ユニット1および2に電気的に接続するように構成されている。電子機器ユニット5は、ユニット取付フレーム3に収容された電力変換ユニット1および2に対して冷却ファン4とは反対側(Z1方向側)において、冷却ファン4に対向するように筐体上面の内壁面に配置されている。
【0029】
また、筐体10内には、中継コネクタ6およびI/F基板7が配置されている。中継コネクタ6は、電力変換ユニット1および2と配線C(図9参照)により接続され、電力変換ユニット1および2を主回路および制御回路に電気的に接続するように構成されている。また、筐体10には、スライド部12が設けられている。なお、本実施形態では、筐体10内には、電力変換ユニット1および2を収容したユニット取付フレーム3が2つ収納されている。
【0030】
(電力変換ユニット)
電力変換ユニット1は、電力変換部本体1a(図6図9参照)と電力変換部本体1aの内部の熱を放熱するための放熱部1b(図6図9参照)とを含む。
【0031】
また、放熱部1bは、放熱フィンF1(図6図9参照)および締結用穴部B1(図6および図8参照)を含む。放熱部1bは、放熱フィンF1により、電力変換部本体1aの内部の熱を放熱するとともに、ユニット取付フレーム3に締結固定されるように構成されている。締結用穴部B1は、放熱部1bを締結固定するために、放熱部1bの四隅(図6および図8参照)に設けられている。
【0032】
また、電力変換ユニット2は、電力変換ユニット1と同様に、電力変換部本体2a(図9参照)と電力変換部本体2aの内部の熱を放熱するための放熱部2b(図9参照)とを含み、放熱部2bは、放熱フィンF2(図9および図16参照)および締結用穴部B2(図16参照)を含む。
【0033】
(ユニット取付フレーム)
次に、ユニット取付フレーム3の構成について、説明する。
【0034】
図9に示したように、電力変換ユニット1および電力変換ユニット2は、電力変換ユニット1の放熱部1bと電力変換ユニット2の放熱部2bとが互いに対向した状態で、ユニット取付フレーム3に取り付けられることにより、ユニット取付フレーム3内に収容されるように構成されている。また、電力変換ユニット1および電力変換ユニット2は、上下方向(Z方向)に互いにずらした状態で、ユニット取付フレーム3に取り付けられる。
【0035】
ユニット取付フレーム3は、複数の枠が組み合わされた形状(図9および図10参照)を有している。具体的には、ユニット取付フレーム3は、図10に示すように、下面部3aと、上面部3bと、支持部3cと、側面部3dと、側面部3eと、取付板部3fと、固定部3gとを含む。
【0036】
下面部3aは、電力変換ユニット1を取り付けた際に、電力変換ユニット1の下面(Z2方向側の面)に対応する位置(図9参照)に設けられる。また、上面部3bは、電力変換ユニット2を取り付けた際に、電力変換ユニット2の上面(Z1方向側の面)に対応する位置(図9参照)に設けられている。下面部3aは、取付板部3fの下方側(Z2方向側)から正面方向(Y2方向)に延びる様に形成(図11図13参照)されている。また、上面部3bは、取付板部3fの上方側(Z1方向側)から背面方向(Y1方向)に延びる様に形成(図11図13参照)されている。
【0037】
ユニット取付フレーム3には、下面部3aと、取付板部3fとに跨るように開口部A1(図9および図10参照)が設けられるとともに、上面部3bと、取付板部3fとに跨るように、開口部A2(図9および図10参照)が設けられている。開口部A1は、ユニット取付フレーム3の冷却ファン4が配置される側(Z2方向側)に設けられている。なお、開口部A1は、特許請求の範囲の「第1冷却用開口部」の一例である。
【0038】
また、下面部3aには、ユニット取付フレーム3を、筐体10に締結固定するための締結用穴部B3が設けられている。ユニット取付フレーム3は、後述する筐体10内のスライド部12の締結用穴部B4(図18参照)と、下面部3aの締結用穴部B3とを用いて、ねじ部材93(図20参照)により、締結固定可能に構成されている。
【0039】
また、支持部3cは、略U字形状(図9図10および図12参照)を有しており、電力変換ユニット2に接続される配線C(図9参照)を支持するように構成されている。支持部3cは、電力変換ユニット2を取り付けた際に、電力変換ユニット2の下面(Z2方向側の面)に対応する位置(図9参照)に設けられている。支持部3cは、電力変換ユニット1および電力変換ユニット2が対向する方向(Y方向)において、取付板部3fに対して、下面部3aとは反対側(Y1方向側)に配置(図13参照)される。
【0040】
側面部3dは、取付板部3fの電力変換ユニット1および2の側面に直交する方向(X方向)の一方(X2方向側)の端部から正面方向(Y2方向)および背面方向(Y1方向)に延びる(図10および図11参照)ように形成されている。また、側面部3eは、取付板部3fの取付板部3fの電力変換ユニット1および2の側面に直交する方向(X方向)の他方(X1方向側)の端部から正面方向(Y2方向)および背面方向(Y1方向)に延びる(図10および図11参照)ように形成されている。
【0041】
側面部3dは、電力変換ユニット1を取り付けた際に、電力変換ユニット1の側面に対応する位置に開口部A3およびA4が設けられる(図10参照)とともに、電力変換ユニット2を取り付けた際に、電力変換ユニット2の側面に対応する位置に開口部A5が設けられる(図10参照)。また、側面部3eは、電力変換ユニット1を取り付けた際に、電力変換ユニット1の側面に対応する位置に開口部A6およびA7が設けられる(図10参照)とともに、電力変換ユニット2を取り付けた際に、電力変換ユニット2の側面に対応する位置に開口部A8が設けられる(図10参照)。側面部3dおよび3eは、電力変換ユニット1の側面に対応する位置において、電力変換ユニット1の側面に直交する方向(X方向)から見て、電力変換ユニット1の側面外周を覆う(図9および図17参照)ように構成されている。また、側面部3dおよび3eは、電力変換ユニット2の側面に対応する位置において、電力変換ユニット2の側面に直交する方向(X方向)から見て、電力変換ユニット2の側面の上方側(Z1方向側)を覆う(図9および図17参照)ように構成されている。
【0042】
取付板部3fは、板形状を有しており、電力変換ユニット1および2を締結固定するための締結用穴部B5およびB6(図14および図15参照)を有する。電力変換ユニット1および2は、取付板部3fを挟み込むように、ユニット取付フレーム3の取付板部3fに締結固定される(図16参照)ように構成されている。
【0043】
締結用穴部B5は、電力変換ユニット1の締結用穴部B1に対応して、取付板部3fに4箇所(図14および図15参照)設けられている。電力変換ユニット1は、4つのねじ部材91により、締結用穴部B1と取付板部3fの締結用穴部B5とを用いて、ユニット取付フレーム3に締結固定(図16参照)される。
【0044】
締結用穴部B6は、電力変換ユニット2の締結用穴部B2に対応して、取付板部3fに4箇所(図14および図15参照)設けられている。電力変換ユニット2は、4つのねじ部材92により、締結用穴部B2と取付板部3fの締結用穴部B6とを用いて、ユニット取付フレーム3に締結固定(図16参照)される。
【0045】
固定部3gは、ユニット取付フレーム3を筐体10に締結固定するための締結用穴部B7(図10参照)が設けられている。締結用穴部B7は、固定部3gと、上面部3bとに跨るように設けられている。
【0046】
さらに、締結用穴部B7は、上方側(Z1方向側)に設けられ、ねじ部材94(図21および図22参照)のねじ頭よりも穴の幅が狭い部分と、下方側(Z2方向側)に設けられ、ねじ部材94(図21および図22参照)のねじ頭よりも穴の幅の広い部分とが組み合わせて形成されたダルマ穴形状(図14および図15参照)を有する。ユニット取付フレーム3は、後述する筐体10内のフレーム取付部13(図20図22参照)と、固定部3gの締結用穴部B7とを用いて、ねじ部材94(図20図22参照)により、筐体10に締結固定可能に構成されている。
【0047】
また、ユニット取付フレーム3に電力変換ユニット1を取り付けた(収容した)状態(図17参照)において、ユニット取付フレーム3の下面部3a、側面部3dおよび3eの正面側(Y2方向側)の端部は、電力変換ユニット1の電力変換部本体1aよりも、正面側(Y2方向側)に位置する。これにより、電力変換ユニット1が取付板部3fに取り付けられた状態で、取付板部3fの電力変換ユニット2が取り付けられる面を上方(電力変換ユニット1が取り付けられる面を下方)に向けて、ユニット取付フレーム3を載置しても、載置された面に電力変換ユニット1の電力変換部本体1aが接しない。したがって、電力変換ユニット1が取付板部3fに取り付けられた状態でも、取付板部3fの電力変換ユニット2が取り付けられる面を上方に向けることができるので、ユニット取付フレーム3(取付板部3f)への電力変換ユニット2の取り付け、または、取り外しが容易に可能である。
【0048】
また、ユニット取付フレーム3の支持部3cおよび固定部3gの背面側(Y1方向側)の端部は、電力変換ユニット2の電力変換部本体2aよりも、背面側(Y1方向側)に位置する。これにより、電力変換ユニット2が取付板部3fに取り付けられた状態で、取付板部3fの電力変換ユニット1が取り付けられる面を上方(電力変換ユニット2が取り付けられる面を下方)に向けて、ユニット取付フレーム3を載置しても、載置された面に電力変換ユニット2の電力変換部本体2aが接しない。したがって、電力変換ユニット2が取付板部3fに取り付けられた状態でも、取付板部3fの電力変換ユニット1が取り付けられる面を上方に向けることができるので、ユニット取付フレーム3(取付板部3f)への電力変換ユニット2の取り付け、または、取り外しが容易に可能である。
【0049】
図18を参照して、電力変換ユニット1および2が収容されたユニット取付フレーム3を取り出した状態における筐体10内の構成を説明する。なお、簡略化のため、I/F基板7は省略している。
【0050】
筐体10内において、冷却ファン4は、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、スライド部12と重ならないように配置(図18参照)されている。
【0051】
電子機器ユニット5は、冷却ファン4から送風される冷却風が通過する開口部A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、および、A16(図18参照)を有しており、電子機器ユニット5の開口部A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、および、A16を介して、筐体10の底面側(Z2方向側)から、筐体10の上面側(Z1方向側)に向かって、冷却ファン4から送風される冷却風が、筐体10上面の内壁面に当たるように構成されている。なお、開口部A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、および、A16は、特許請求の範囲の「第2冷却用開口部」の一例である。
【0052】
また、スライド部12は、ユニット取付フレーム3をスライド移動させるスライド面S1において、ユニット取付フレーム3を締結固定するための締結用穴部B4(図18参照)を有する。
【0053】
ユニット取付フレーム3の側面部3dおよび3eは、ユニット取付フレーム3に電力変換ユニット1および2を取り付けた(収容した)状態で、電力変換ユニット1および2の側面(X方向)において、電力変換ユニット1および2の側面と離間(図5参照)するように構成されている。これにより、ユニット取付フレーム3の側面部3dおよび3e(枠部分)は、電力変換ユニット1および2を取り付けた(収容した)状態で、作業者200のより把持可能に構成(図19参照)されている。
【0054】
作業者200は、中継コネクタ6(図5参照)を避けるように、ユニット取付フレーム3の側面部3dおよび3eを把持した状態(図19参照)で、ユニット取付フレーム3をスライド部12のスライド面S1(図18図20参照)上に載せて、スライド移動させることができる。
【0055】
そして、ユニット取付フレーム3は、図20に示すように、筐体10内において、ユニット取付フレーム3の下面部3aを、筐体10内のスライド部12に対して、ねじ部材93により締結固定するとともに、ユニット取付フレーム3の固定部3gを、筐体10内のフレーム取付部13に対して、ねじ部材94により締結固定することにより、筐体10内に締結固定可能に構成されている。
【0056】
なお、スライド部12を含む筐体10、ユニット取付フレーム3は、アルミ材などの導電性の部材により構成されている。そして、ユニット取付フレーム3に取り付けられた(収容された)電力変換ユニット1および2は、ユニット取付フレーム3、スライド部12および筐体10本体を介して、鉄道車両101の車体下面101a(図1参照)から鉄道車両101にアース接続されるように構成されている。
【0057】
また、ユニット取付フレーム3の固定部3gの締結用穴部B7が、前述したダルマ穴形状を有することにより、締結固定した状態(図21参照)から、ねじ部材94を緩め、ユニット取付フレーム3を上方(Z1方向)に持ち上げる(図22参照)ことによって、ねじ部材94を筐体10のフレーム取付部13から取り外すことなく、ユニット取付フレーム3をフレーム取付部13から取り外し可能に構成されている。
【0058】
(冷却ファンに対する配置)
次に、放熱部1bおよび2bと、ユニット取付フレーム3の開口部A1およびA2と、電子機器ユニット5の開口部A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、および、A16との冷却ファン4に対する配置を、図23図25を参照して、説明する。
【0059】
ユニット取付フレーム3が、図23に示した位置において、筐体10に締結固定されることにより、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、放熱部1bと開口部A1と冷却ファン4とが、重なるように配置(図24参照)されている。また、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、放熱部2bと開口部A2と冷却ファン4とが、重なるように配置(図24参照)されている。
【0060】
さらに、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、放熱部1bおよび放熱部2bと冷却ファン4とが、重なるように配置(図23および図24参照)されているので、放熱部1bおよび2bは、共通の冷却ファン4により、冷却することが可能である。
【0061】
電力変換ユニット1および2の側面に直交する方向(X方向)の一方側(X1方向側)に配置された冷却ファン4と、開口部A9が、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、重なるように配置(図25参照)されている。また、電力変換ユニット1および2の側面に直交する方向(X方向)の他方側(X2方向側)に配置された冷却ファン4と、開口部A12、A13、および、A14が、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、重なるように配置(図25参照)されている。
【0062】
また、ユニット取付フレーム3が、図23に示した位置において、筐体10に締結固定されることにより、ユニット取付フレーム3の下面部3aに設けられた開口部A1を冷却ファン4から送風される冷却風が通過するように構成されている。冷却ファン4から送風される冷却風は、放熱部1bおよび放熱部2bを冷却するとともに、ユニット取付フレーム3の上面部3bに設けられた開口部A2を通過する。そして、放熱部1bおよび放熱部2bを冷却した冷却風は、電子機器ユニット5に設けられた開口部A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、および、A16を通過して、筐体10上面の内壁面に当たるとともに、筐体10内を循環する。
【0063】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
本実施形態では、上記のように、放熱部1bを含む電力変換ユニット1および放熱部2bを含む電力変換ユニット2が収容されたユニット取付フレーム3を筐体10内に収納することにより、放熱部1bおよび2bを密閉された筐体10内に収納可能に構成されている。これにより、電力変換ユニット1の放熱部1bおよび電力変換ユニット2の放熱部2bが密閉された筐体10内に収納されることによって、異物付着および汚損の原因となる筐体10外部からの異物の侵入を防止することができる。その結果、異物付着および汚損による放熱部1bおよび2bの冷却機能の低下を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、ユニット取付フレーム3は、電力変換ユニット1および2を収容可能に構成されている。これにより、ユニット取付フレーム3に電力変換ユニット1および2を収容することができるので、筐体10内から電力変換ユニット1および2を筐体10内へ収納する際、または、電力変換ユニット1および2を筐体10内から取り出す際に、電力変換ユニット1および2を同時に収納、または、電力変換ユニット1および2を同時に取り出すことができる。その結果、ユニット取付フレーム3に電力変換ユニット1、または、電力変換ユニット2のいずれか1つのみを収容する場合に比べて、電力変換ユニット1および2を筐体10内へ収納する際、または、電力変換ユニット1および2を筐体10内から取り出す際の作業量の増加を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、放熱部1bおよび放熱部2bは、共通の冷却ファン4により、冷却されるように構成されている。これにより、密閉された筐体10内の空気を冷却ファン4によって、循環させることができるので、外気を取り入れなくても、放熱部1bおよび2bを冷却することができる。また、共通の冷却ファン4により放熱部1bおよび放熱部2bを冷却することによって、放熱部1bおよび放熱部2bの各々に対応して冷却ファン4を設ける場合に比べて、部品点数の増加を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、放熱部1bおよび放熱部2bと冷却ファン4とが、重なるように配置されている。これにより、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、放熱部1bおよび放熱部2bと冷却ファン4とが、重なるので、容易に共通の冷却ファン4から送風される冷却風によって放熱部1bおよび放熱部2bの両方の冷却を行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、ユニット取付フレーム3は、ユニット取付フレーム3の冷却ファン4が配置される側(Z2方向側)において、冷却ファン4から送風される冷却風が通過する開口部A1を有する。これにより、冷却風が通過する開口部A1により、冷却ファン4から送風される冷却風がユニット取付フレーム3に遮られることなく、冷却風を放熱部1bおよび放熱部2bに当てることができる。その結果、ユニット取付フレーム3が開口部A1を有しない場合に比べて、効率的に放熱部1bおよび放熱部2bの冷却を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、冷却ファン4は、筐体10の底面側(Z2方向側)に設けられており、放熱部1bが放熱フィンF1を、放熱部1bが放熱フィンF2を含み、ユニット取付フレーム3が筐体10に締結固定されることにより、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、放熱部1bと開口部A1と冷却ファン4とが、重なるように配置されている。これにより、ユニット取付フレーム3を筐体10に締結固定することにより、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、放熱部1bと開口部A1と冷却ファン4とが重なるように配置されるので、ユニット取付フレーム3を筐体10に締結固定するだけで、開口部A1を介して、冷却ファン4から送風される冷却風が当たる位置に放熱部1bを配置することができる。その結果、放熱部1bと開口部A1と冷却ファン4との位置合わせを容易に行うことができる。また、冷却ファン4が筐体10の底面側(Z2方向側)に設けられていることによって、冷却風を筐体10の底面側(Z2方向側)から放熱部1bおよび2bに当てることができる。これにより、放熱部1bおよび2bから放熱される熱により発生する上昇気流を利用して、密閉された筐体10内の空気を循環させることができるので、より効率的に放熱部1bおよび放熱部2bの冷却を行うことができる。また、放熱部1bが放熱フィンF1を含み、放熱部1bが放熱フィンF2を含むことによって、放熱部1bが放熱フィンF1を、放熱部1bが放熱フィンF2を含まない場合に比べて、放熱部1bおよび2bの電熱面積が広がるので、放熱の効率を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、電子機器ユニット5は、冷却ファン4から送風される冷却風が通過する開口部A9を有する。これにより、電子機器ユニット5が、冷却風が通過する開口部A9を有することによって、放熱部1bおよび放熱部2bを冷却した冷却風を、開口部A9を介して、筐体10上面の内壁面に当てることができる。その結果、筐体10内のユニット取付フレーム3に収容された電力変換ユニット1および2に対して冷却ファン4とは反対側において、冷却ファン4に対向するように、電子機器ユニット5を配置した場合においても、電子機器ユニット5が開口部A9を有しない場合に比べて、冷却風により放熱部1bおよび放熱部2bから奪った熱を筐体10から放熱することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、ユニット取付フレーム3は、複数の枠が組み合わされた形状を有しており、電力変換ユニット1および2が収容された状態で、ユニット取付フレーム3の枠部分が把持可能に構成されている。これにより、電力変換ユニット1および2が収容された状態で、作業者200がユニット取付フレーム3の枠部分を把持することができるので、電力変換ユニット1および2が取り付けられた(収容された)ユニット取付フレーム3の筐体10内への収納作業、または、電力変換ユニット1および2が取り付けられた(収容された)ユニット取付フレーム3の取り出し作業をより容易に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、ユニット取付フレーム3は、下面部3aと、電力変換ユニット2に接続される配線Cを支持する支持部3cとを含む。これにより、電力変換ユニット2に接続される配線Cを支持部3cにより支持することによって、ユニット取付フレーム3の筐体10内への収納作業、または、ユニット取付フレーム3の筐体10内からの取り出し作業の際に、電力変換ユニット2に接続される配線Cが筐体10とユニット取付フレーム3との間に挟み込まれるのを防止することができる。また、ユニット取付フレーム3の電力変換ユニット1の下面に対応する位置(Z2方向側の位置)に下面部3aが設けられることによって、電力変換ユニット1を下面側からの衝撃から保護することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、筐体10は、筐体10の内部において、電力変換ユニット1が収容されたユニット取付フレーム3を作業者200が把持した状態で、ユニット取付フレーム3をスライド移動させるためのスライド部12が設けられる。これにより、作業者200が把持したユニット取付フレーム3をスライド部12のスライド面S1上において滑らせることによって、作業者200が把持したユニット取付フレーム3を筐体10内のユニット取付フレーム3の取り付け位置に容易にスライド移動させることができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、冷却ファン4は、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、スライド部12と重ならないように配置されている。これにより、スライド部12が冷却ファン4から送風される冷却風を遮ることを防止することができるので、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、冷却ファン4がスライド部12と重なる場合に比べて、放熱部1bおよび放熱部2bの冷却を容易に行うことができる。
【0075】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0076】
たとえば、上記実施形態では、筐体10は、内部に、電力変換ユニット1(第1電力変換ユニット)および電力変換ユニット2(第2電力変換ユニット)を収容したユニット取付フレーム3(ユニット収容部)を2つ収納する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、筐体は、内部に、1つのユニット収容部を収納するように構成してもよいし、3つ以上のユニット収容部を収納するように構成してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ユニット取付フレーム3(ユニット収容部)は、電力変換ユニット1(第1電力変換ユニット)および電力変換ユニット2(第2電力変換ユニット)を収容可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ユニット収容部は、1つの電力変換ユニットを収容するように構成してもよいし、3つ以上の電力変換ユニットを収容するように構成してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、放熱部1b(第1放熱部)および放熱部2b(第2放熱部)は、共通の冷却ファン4により、冷却されるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1放熱部および第2放熱部は、別々の冷却ファンにより、冷却されるように構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、放熱部1b(第1放熱部)および放熱部2b(第2放熱部)と冷却ファン4とが、重なるように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体の底面に垂直な方向から見て、第1放熱部、または、第2放熱部のいずれか一方のみが、冷却ファンに重なるように配置されるように構成してもよい。また、本発明では、筐体の底面に垂直な方向から見て、第1放熱部および第2放熱部と、冷却ファンとが重ならないように構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、電子機器ユニット5は、筐体10内のユニット取付フレーム3(ユニット収容部)に収容された電力変換ユニット1(第1電力変換ユニット)および電力変換ユニット2(第2電力変換ユニット)に対して冷却ファン4とは反対側(Z1方向側)において、冷却ファン4に対向するように配置され、冷却ファン4から送風される冷却風が通過する開口部A9(第2冷却用開口部)を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電子機器ユニットは、第2冷却用開口部を設けずに、ユニット収容部の側面側の位置に電子機器ユニットを配置させてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、ユニット取付フレーム3(ユニット収容部)は、複数の枠が組み合わされた形状を有しており、電力変換ユニット1(第1電力変換ユニット)および電力変換ユニット2(第2電力変換ユニット)が収容された状態で、ユニット取付フレーム3の枠部分が把持可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ユニット収容部は、複数の電力変換ユニットの側面を囲う箱形状を有してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、支持部3cは、電力変換ユニット2(第2電力変換ユニット)を取り付けた際に、電力変換ユニット2の下面(Z2方向側の面)に対応する位置に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、支持部は、第2電力変換ユニットの上面に対応する位置に設けられてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、冷却ファン4は、筐体10の底面に垂直な方向(Z方向)から見て、スライド部12と重ならないように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体の底面側に設けられたスライド部に対して、筐体の底面側とは反対側の筐体の上面側に冷却ファンを設けて、筐体の底面に垂直な方向から見て、冷却ファンとスライド部とが重なるように配置してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 電力変換ユニット(第1電力変換ユニット)
1a 電力変換部本体
1b 放熱部(第1放熱部)
2 電力変換ユニット(第2電力変換ユニット)
2a 電力変換部本体
2b 放熱部(第2放熱部)
3 ユニット取付フレーム(ユニット収容部)
3a 下面部
3c 支持部
4 冷却ファン
5 電子機器ユニット
10 筐体
12 スライド部
100 電力変換装置(鉄道車両用電力変換装置)
101 鉄道車両
A1 開口部(第1冷却用開口部)
A9 開口部(第2冷却用開口部)
A10 開口部(第2冷却用開口部)
A11 開口部(第2冷却用開口部)
A12 開口部(第2冷却用開口部)
A13 開口部(第2冷却用開口部)
A14 開口部(第2冷却用開口部)
A15 開口部(第2冷却用開口部)
A16 開口部(第2冷却用開口部)
C 配線(第2電力変換ユニットに接続される配線)
F1 放熱フィン
F2 放熱フィン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25