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  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250109BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20250109BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20250109BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20250109BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/00 303
B41J29/393 105
H04N1/12 Z
H04N1/00 567Q
H04N1/00 567M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020088111
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021182108
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 大樹
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-199572(JP,A)
【文献】特開平09-190021(JP,A)
【文献】特開2020-040820(JP,A)
【文献】特開2007-206667(JP,A)
【文献】特開2012-107940(JP,A)
【文献】特開2019-032450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0025788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
B41J 29/393
H04N 1/04
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置により記録媒体の搬送方向に直交する主走査方向における前記記録媒体の異なる位置に形成された複数の検知用画像の位置を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果を基に前記複数の検知用画像の主走査方向における各位置を求める制御部と、
を備え、
前記検知部は、前記主走査方向において、前記記録媒体の幅以下の検知範囲を有し、
前記制御部は、前記検知部による検知結果を基に、前記記録媒体の主走査方向における同一の端部を基準とする各検知用画像までの距離を算出することにより、前記複数の検知用画像の主走査方向の各位置を求める、
画像読取装置。
【請求項2】
前記検知範囲は、前記画像形成装置で使用可能な最大の記録媒体の幅以下である、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記主走査方向における前記記録媒体の一方の端部を跨ぐように配置される、
請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記搬送方向である副走査方向において、前記記録媒体の端部と前記検知用画像との距離を算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、算出された前記距離に基づいて、予め規定された前記検知用画像の規定位置との位置ずれ量を算出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記検知用画像は、前記記録媒体の表面及び裏面の少なくとも一方において、前記主走査方向及び前記搬送方向である副走査方向の少なくとも一方の位置が異なる3箇所以上に形成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記検知部は、
前記記録媒体の表面に形成された前記検知用画像の位置を検知する第1検知部と、
前記記録媒体の裏面に形成された前記検知用画像の位置を検知する第2検知部と、
を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像読取装置と、
を備え、
前記画像読取装置は、前記画像形成部により前記記録媒体に形成された前記検知用画像の位置を検知する、
画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成部は、前記画像読取装置での前記検知用画像の位置の検知結果に応じて、前記記録媒体に前記画像を形成する位置を変更する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像読取装置は、前記記録媒体毎に前記検知用画像の位置を検知し、
前記画像形成部は、前記検知結果に応じて、前記記録媒体毎に前記画像を形成する位置を変更する、
請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体である用紙に画像形成を行う画像形成装置においては、用紙に対する画像の位置合わせに厳しい規格(条件)が設定される場合がある。画像の位置合わせのために、用紙の端部や四隅に検出マークを画像形成し、画像形成された検出マークをCIS(Contact Image Sensor)などの画像読取装置で読み取っていた。そして、画像読取装置で読み取った検出マークと用紙端部との距離に応じて、画像形成条件(例えば、画像形成のタイミングなど)を変更して、画像形成の位置を補正することで、画像の位置合わせを行っていた(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-305324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した画像の位置合わせ方法では、用紙の搬送方向に直交する主走査方向(用紙幅方向)の用紙サイズが大きくなればなるほど、画像読取装置の主走査方向の幅が広くなる。つまり、用紙サイズの大きい用紙の四隅や端部に画像形成された検出マークを読み取るために、画像読取装置の主走査方向の幅を広くする必要がある。そのため、画像読取装置自体が大型化し、装置コストが高くなるという問題があった。また、画像読取装置の大型化を防ぐため、用紙の主走査方向の両側に比較的小さい画像読取装置を2つ配置する方法も考えられるが、画像読取装置の個数が増加することにより、装置コストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、装置コストを抑制可能な画像読取装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像読取装置は、
画像形成装置により記録媒体の搬送方向に直交する主走査方向における前記記録媒体の異なる位置に形成された複数の検知用画像の位置を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果を基に前記複数の検知用画像の主走査方向における各位置を求める制御部と、
を備え、
前記検知部は、前記主走査方向において、前記記録媒体の幅以下の検知範囲を有し、
前記制御部は、前記検知部による検知結果を基に、前記記録媒体の主走査方向における同一の端部を基準とする各検知用画像までの距離を算出することにより、前記複数の検知用画像の主走査方向の各位置を求める。
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像読取装置と、
を備え、
前記画像読取装置は、前記画像形成部により前記記録媒体に形成された前記検知用画像の位置を検知する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示すブロック図である。
図3A】画像読取部を説明する図であって、用紙の側方から見た図である。
図3B】画像読取部を説明する図であって、用紙の上方から見た図である。
図4】画像読取部を用いる画像位置合わせ方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。また、図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示すブロック図である。
【0012】
画像形成装置1は、枚葉紙などの用紙(記録媒体)に画像を形成可能なものである。画像形成装置1は、図1に示すように、画像形成装置本体100、給紙部300、バッファ部400、画像読取部500、排紙部600などを備える。
【0013】
画像形成装置本体100は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。即ち、画像形成装置本体100は、感光体上に形成されたCMYKの各色のトナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。なお、CMYKは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のことである。
【0014】
画像形成装置本体100には、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に一回の手順で各色のトナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0015】
画像形成装置1は、図2に示すように、画像処理部10、画像形成部20、定着部30、用紙搬送部40、通信部71、記憶部72、制御部200、給紙部300、バッファ部400、画像読取部500、排紙部600などを備える。
【0016】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202及びRAM(Random Access Memory)203などを備える。CPU201は、ROM202から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM203に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されているLUT(Look Up Table)などの各種データが参照される。記憶部72は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂、フラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0017】
制御部200は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部200は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成する。通信部71は、例えば、LANカードなどの通信制御カードで構成される。
【0018】
制御部200には、操作表示部(図示省略)、画像処理部10、画像形成部20、定着部30、用紙搬送部40、通信部71、記憶部72、給紙部300、バッファ部400、画像読取部500、排紙部600が、それぞれ接続されている。これらは、制御部200の指示に基づいて所定の処理を実行する。
【0019】
操作表示部は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部及び操作部として機能する。表示部は、制御部200から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況などの表示を行う。操作部は、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。
【0020】
画像処理部10は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じた画像処理を行う回路などを備える。画像処理が施された画像データに基づいて、画像形成部20が制御される。
【0021】
画像形成部20は、画像形成ユニット21(21Y、21M、21C、21K)、中間転写ユニット22、二次転写ユニット23などを備える。画像処理部10からの画像データに基づいて、画像形成ユニット21Yは、Y成分の有色トナーによる画像を形成する。同様に、画像形成ユニット21Mは、M成分の有色トナーによる画像を形成し、画像形成ユニット21Cは、C成分の有色トナーによる画像を形成し、画像形成ユニット21Kは、K成分の有色トナーによる画像を形成する。
【0022】
画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kは、同様の構成を有する。具体的には、画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kは、各々、露光装置、現像装置、感光体ドラム、帯電装置、ドラムクリーニング装置などを有する。露光装置、現像装置、感光体ドラム、帯電装置、ドラムクリーニング装置としては、公知の技術を採用することができるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0023】
中間転写ユニット22は、中間転写ベルトなどを備える。中間転写ベルトは、複数の支持ローラーにループ状に張架され、矢印A方向に走行する。支持ローラーとしては、バックアップローラー、一次転写ローラー、駆動ローラーなどのローラーを有しているが、ここでは、これらの図示を省略する。中間転写ベルトは感光体ドラムに圧接されており、これにより、感光体ドラムから中間転写ベルトへトナー像を転写する。
【0024】
なお、中間転写ユニット22は、中間転写ベルトの表面に摺接する板状のベルトクリーニングブレードなどを有するベルトクリーニング装置を備えた構成でもよい。ベルトクリーニング装置は、二次転写後に中間転写ベルトの表面に残留する転写残トナーなどを除去する。
【0025】
二次転写ユニット23は、二次転写ローラーなどを備える。二次転写ローラーは、中間転写ベルトに圧接されている。これにより、中間転写ベルトと二次転写ローラーとの間に二次転写ニップが形成される。
【0026】
二次転写ユニット23においては、二次転写ニップに用紙が搬送されると、中間転写ベルトに担持されている各色のトナー像が用紙上に一括転写される。トナー像が転写された用紙は、二次転写ローラーによって、定着部30に向けて搬送される。
【0027】
なお、二次転写ユニット23としては、二次転写ローラーなどを有するローラー式の二次転写ユニットに代えて、複数の支持ローラーに張架された二次転写ベルトなどを有するベルト式の二次転写ユニットでもよい。
【0028】
定着部30は、定着ローラー、加圧ローラーなどを備える。定着ローラーは、所定の定着温度に加熱されており、加圧ローラーは、定着ローラーとの間で用紙を挟持して搬送する定着ニップを形成している。この定着部30では、トナー像が二次転写されて搬送されてきた用紙を定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙にトナー像を定着させている。
【0029】
用紙搬送部40は、給紙搬送部41、搬送経路部42、排紙搬送部43などを備える。給紙搬送部41、搬送経路部42、排紙搬送部43は、例えば、複数の搬送ローラーと、これらを回転駆動する駆動モーターなどから構成されている。給紙搬送部41は、給紙部300から送り出された用紙を搬送経路部42に搬送する。搬送経路部42は、用紙を画像形成部20に搬送し、画像形成部20で画像を形成する。その後、定着部30で定着処理された用紙を、排紙搬送部43は、バッファ部400に搬送する。
【0030】
給紙部300は、用紙を搬送する方向である用紙搬送方向Dにおいて、画像形成装置本体100の上流側に配置されて、画像形成装置本体100と接続されている。給紙部300は、複数の給紙トレイを有し、各給紙トレイには、坪量やサイズなどに基づいて識別された枚葉紙(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。給紙部300は、画像形成装置本体100から指示に基づいて、画像形成装置本体100の給紙搬送部41に指示された用紙を送り出して供給する。
【0031】
バッファ部400は、用紙搬送方向Dにおいて、画像形成装置本体100の下流側に配置されて、画像形成装置本体100と接続されている。バッファ部400は、画像形成装置本体100と画像読取部500との間に設けられ、画像形成装置本体100での用紙の搬送速度と画像読取部500での用紙の搬送速度との速度差などを吸収するための調整装置である。なお、給紙部300と画像形成装置本体100との間に、同様の調整装置を設けてもよい。また、バッファ部400は、必須の構成ではなく、バッファ部400を省略して、画像読取部500を画像形成装置本体100に接続するようにしてもよい。
【0032】
画像読取部500は、用紙搬送方向Dにおいて、バッファ部400の下流側に配置されて、バッファ部400と接続されている。画像読取部500は、画像形成装置本体100により用紙に形成された複数の検知用画像(図3A及び図3Bを参照)の位置を検知する検知部501、502を有する。検知部501(第1検知部)は、搬送される用紙の表面の検知用画像を読み取り、検知部502(第2検知部)は、用紙の裏面の検知用画像を読み取るように配置されている。なお、検知部501、502の詳細については、図3A及び図3Bを参照して後述する。この画像読取部500は、検知用画像を用いた画像の位置合わせに使用されるが、これだけでなく、形成した画像の欠陥などの検査や各種のキャリブレーションなどにも使用される。
【0033】
排紙部600は、紙搬送方向Dにおいて、画像読取部500の下流側に配置されて、画像読取部500と接続されている。排紙部600は、画像読取部500から搬送された用紙を機外に排紙して、排紙トレイ601に載置する。
【0034】
画像形成装置1において、画像形成装置本体100は、検知部501、502で読み取った検知用画像の位置と用紙端部との距離に応じて、画像形成条件を変更して、画像形成の位置を補正することで、画像の位置合わせを行うようにしている。
【0035】
ところで、従来の画像読取装置は、主走査方向の用紙サイズが大きくなればなるほど、画像読取装置の主走査方向の幅を広くする必要があった。つまり、用紙サイズの大きい用紙の四隅や端部に画像形成された検知用画像を読み取るために、画像読取装置の主走査方向の幅を広くする必要があった。そのため、画像読取装置自体が大型化し、装置コストが高くなるという問題があった。画像読取装置の大型化を防ぐため、用紙の主走査方向の両側に比較的小さい画像読取装置を2つ配置する方法も考えられるが、画像読取装置の個数が増加することにより、装置コストが高くなるという問題があった。
【0036】
そこで、本実施の形態において、画像形成装置1の画像読取部500は、画像形成装置本体100により用紙の主走査方向の異なる位置に形成された複数の検知用画像の位置を検知する検知部501、502を備える。そして、検知部501、502は、主走査方向において、用紙の幅以下の検知範囲を有する。
【0037】
検知部501、502について、図3A及び図3Bを参照して具体的に説明する。検知部501は、用紙搬送方向D(副走査方向)に搬送される用紙Sの表面の検知用画像M11~M14を読み取るように、用紙Sの上方に配置されている。また、検知部502は、用紙Sの裏面の検知用画像M21~M24を読み取るように、用紙Sの下方に配置されている。また、ここでは、用紙搬送方向Dにおいて、検知部501が検知部502より下流側に配置されている。また、検知部501、502は、主走査方向において、用紙Sの一方の端部Eを跨がるように配置されている。
【0038】
主走査方向において、検知部501、502の幅は、用紙Sの幅以下であるが、用紙Sの幅未満でもよい。また、画像形成装置1が複数のサイズの用紙を搬送可能である場合には、主走査方向において、検知部501、502の幅は、画像形成装置1で使用可能な最大の用紙Sの幅以下であるが、その用紙Sの幅未満でもよい。
【0039】
検知部501、502は、例えば、画像形成装置1で使用可能な最大のサイズの用紙Sにおいては、その全幅を読み取り可能ではない。そのため、検知部501、502が検知する検知用画像M11~M14、M21~M24を、用紙Sの四隅に画像形成するのではなく、用紙Sの検知範囲R内に形成している。
【0040】
例えば、用紙Sの表面において、検知用画像M11及びM13は、用紙Sの一方の端部E1側に画像形成されているが、検知用画像M12及びM14は、用紙Sの他方の端部E2から離れた位置であって、用紙Sの検知範囲R内に画像形成されている。これは、用紙Sの裏面に画像形成される検知用画像M21~M24でも同様である。なお、ここでは、検知用画像M11~M14、M21~M24を十字形状の画像としているが、位置を検知できれば、他の形状の画像でもよい。
【0041】
また、ここでは、画像位置合わせを行うため、用紙Sの表面に4つの検知用画像M11~M14、裏面に4つの検知用画像M21~M24を形成しているが、検知用画像は、用紙Sの表面又は裏面の一方に形成されていればよい。また、検知用画像は、用紙Sの表面又は裏面の一方において、主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方の位置が異なる3箇所以上に形成されていればよい。一例として、3つのうちの2つの検知用画像は、主走査方向の同一線上に配置され、また、3つのうちの2つの検知用画像は、用紙搬送方向Dの同一線上に配置される。
【0042】
このように、本実施の形態においては、主走査方向において、検知部501、502の幅を用紙Sの幅以下とし、主走査方向における用紙Sの検知範囲R内に、検知用画像M11~M14、M21~M24を形成している。そのため、特許文献1に示す従来の装置と比較して、検知部501、502の幅を小さくすることができ、検知部501、502の小型化を図ると共に装置の低コスト化を図ることができる。
【0043】
このような、検知部501、502としては、光学系を用いたCISやCCD(Charge-Coupled Device)又はカメラなどを使用可能である。
【0044】
次に、上述した検知部501、502を有する画像読取部500を用いた画像位置合わせ方法について、図3Bと共に、図4を参照して説明する。図4は、画像読取部500を用いる画像位置合わせ方法を説明するフローチャートである。
【0045】
(ステップS11)
制御部200は、給紙部300を制御することにより、画像形成装置本体100の画像形成部20に用紙Sを給紙する。
【0046】
(ステップS12)
制御部200は、画像形成部20を制御することにより、給紙された用紙Sに検知用画像M11~M14、M21~M24の画像形成を行う。このとき、画像形成部20は、上述したように、用紙Sの検知範囲R内に検知用画像M11~M14、M21~M24を画像形成する。
【0047】
(ステップS13)
制御部200は、画像読取部500を制御することにより、定着部30、バッファ部400を経由して画像読取部500に搬送された用紙Sの端部E1、E3と検知用画像M11~M14、M21~M24の位置を検知する。ここで、端部E3は、用紙搬送方向Dの下流側の端部である。
【0048】
画像読取部500の検知部501、502は、例えば、用紙Sで反射した反射光の光量の変化を検知することにより、端部E1、E3、検知用画像M11~M14、M21~M24の位置を検知する。端部E1、E3については、用紙Sの有無で反射光の光量が変化し、また、検知用画像M11~M14、M21~M24については、それらの画像部分の有無で反射光の光量が変化する。従って、このような反射光の光量の変化を検知部501、502で検知することで、端部E1、E3、検知用画像M11~M14、M21~M24の位置を検知可能である。
【0049】
(ステップS14)
制御部200(算出部)は、用紙Sの端部E1、E3と検知用画像M11~M14、M21~M24との距離を算出する。
【0050】
ここで、図3Bを参照して、用紙Sの端部E1、E3と検知用画像M11~M14、M21~M24との距離の算出について説明する。
【0051】
検知部501は、用紙Sの端部E1と検知用画像M11の位置を検知し、制御部200は、用紙Sの主走査方向において、用紙Sの端部E1と検知用画像M11との距離X1を算出する。また、検知部501は、用紙Sの端部E1と検知用画像M12の位置を検知し、制御部200は、用紙Sの主走査方向において、用紙Sの端部E1と検知用画像M12との距離X2を算出する。このように、制御部200は、用紙Sの主走査方向において、端部E1を基準とする検知用画像M11、M12までの距離X1、X2を算出する。これは、検知用画像M13、M14に対しても同様であり、また、検知部502が検知する検知用画像M21~M24に対しても同様である。
【0052】
また、検知部501は、用紙Sの端部E3(用紙搬送方向Dの下流側の端部)と検知用画像M11の位置を検知し、制御部200は、用紙搬送方向D(副走査方向)において、用紙Sの端部E3と検知用画像M11との距離Y1を算出する。また、検知部501は、用紙Sの端部E3と検知用画像M12の位置を検知し、制御部200は、用紙搬送方向Dにおいて、用紙Sの端部E3と検知用画像M12との距離Y2を算出する。このように、制御部200は、用紙搬送方向Dにおいて、端部E3を基準とする検知用画像M11、M12までの距離Y1、Y2を算出する。これは、検知用画像M13、M14に対しても同様であり、また、検知部502が検知する検知用画像M21~M24に対しても同様である。なお、検知用画像M13、M14、M23、M24の場合は、用紙Sの端部E4(用紙搬送方向Dの上流側の端部)を基準とする検知用画像M13、M14、M23、M24までの距離を算出してもよい。
【0053】
(ステップS15)
制御部200は、算出した距離(例えば、距離X1、X2、Y1、Y2)が予め規定した基準値の所定範囲内かどうかを確認し、所定範囲内であれば(YES)、ステップS16へ進み、所定範囲内でなければ(NO),ステップS17へ進む。基準値は、検知用画像M11~M14、M21~M24の各々において規定されている。例えば、検知用画像M11の中心位置が予め規定されている(規定位置)。そして、主走査方向において、端部E1から規定位置までの距離が距離X1に対する基準値として規定され、副走査方向において、端部E3から規定位置までの距離が距離Y1に対する基準値として規定される。他の検知用画像M12~M14、M21~M24でも、上記と同様の基準値が規定される。
【0054】
(ステップS16)
制御部200は、算出した距離(例えば、距離X1、X2、Y1、Y2)が基準値の所定範囲内であれば、画像位置OKをユーザーに通知して、画像位置合わせ方法を終了する。制御部200は、例えば、画像形成装置1が備えるスピーカーや表示部を用いて、音声や画面表示により、画像位置OKを通知する。
【0055】
(ステップS17)
制御部200は、算出した距離(例えば、距離X1、X2、Y1、Y2)が基準値の所定範囲内でなければ、測定した距離と基準値との差分(位置ずれ量)を算出する。
【0056】
(ステップS18)
制御部200は、算出した差分に基づいて、画像形成部20において画像形成位置に関連する画像形成条件を変更し、検知用画像M11~M14、M21~M24を形成する位置を変更して、ステップS11へ戻る。つまり、制御部200は、算出した距離(例えば、距離X1、X2、Y1、Y2)が基準値の所定範囲内となるまで、検知用画像の形成、検知、位置変更を繰り返す。画像形成位置に関連する画像形成条件としては、例えば、主走査方向及び副走査方向における画像形成の開始タイミングなどであり、画像形成の開始タイミングを変更することで、画像形成位置を変更する。
【0057】
ここで、距離X1に対する基準値をX01と呼び、距離X2に対する基準値をX02と呼び、距離Y1に対する基準値をY01と呼び、距離Y2に対する基準値をY02と呼んで、上記ステップS15、S17、S18を説明する。
【0058】
例えば、用紙Sの検知用画像M11側(図3B中の左上側)の主走査方向の画像位置合わせは、用紙Sの端部E1から検知用画像M11までの距離X1を算出し、距離X1が基準値X01の所定範囲内かどうかを判断する。もし、基準値X01の所定範囲内から外れていた場合、距離X1と基準値X01との差分を算出し、基準値X01の所定範囲内に収まるように、画像形成条件を変更することで、画像形成位置を変更する。
【0059】
同様に、用紙Sの検知用画像M12側(図3B中の右上側)の主走査方向の画像位置合わせは、用紙Sの端部E1から検知用画像M12までの距離X2を算出し、距離X2が基準値X02の所定範囲内かどうかを判断する。もし、基準値X02の所定範囲内から外れていた場合、距離X2と基準値X02との差分を算出し、基準値X02の所定範囲内に収まるように、画像形成条件を変更することで、画像形成位置を変更する。
【0060】
用紙Sの検知用画像M13側(図3B中の左下側)及び検知用画像M14側(図3B中の右下側)の主走査方向の画像位置合わせについても、検知用画像M11、M12の場合と同様である。このように、主走査方向の画像位置合わせは、用紙Sの端部E1を基準とする。
【0061】
また、用紙Sの検知用画像M11側(図3B中の左上側)の用紙搬送方向Dの画像位置合わせは、用紙Sの端部E3から検知用画像M11までの距離Y1を算出し、距離Y1が基準値Y01の所定範囲内かどうかを判断する。もし、基準値Y01の所定範囲内から外れていた場合、距離Y1と基準値Y01との差分を算出し、基準値Y01の所定範囲内に収まるように、画像形成条件を変更することで、画像形成位置を変更する。
【0062】
同様に、用紙Sの検知用画像M12側(図3B中の右上側)の用紙搬送方向Dの画像位置合わせは、用紙Sの端部E3から検知用画像M12までの距離Y2を算出し、距離Y2が基準値Y02の所定範囲内かどうかを判断する。もし、基準値Y02の所定範囲内から外れていた場合、距離Y2と基準値Y02との差分を算出し、基準値Y02の所定範囲内に収まるように、画像形成条件を変更することで、画像形成位置を変更する。
【0063】
用紙Sの検知用画像M13側(図3B中の左下側)及び検知用画像M14側(図3B中の右下側)の用紙搬送方向Dの画像位置合わせについても、検知用画像M11、M12の場合と同様である。なお、検知用画像M13、M14側の位置合わせについては、上述した用紙Sの端部E4を基準としてもよい。
【0064】
ここでは、用紙Sの表面に画像形成した検知用画像M11~M14について説明したが、用紙Sの裏面の画像形成した検知用画像M21~M24についても同様の画像位置合わせを行えばよい。これにより、用紙Sの表面だけでなく、裏面に対しても画像位置合わせを行うことができる。
【0065】
このようにして、用紙Sの表面に画像形成した検知用画像M11~M14の位置(検知結果)に基づいて、画像形成位置を変更している。これにより、用紙Sの表面に形成する画像において、主走査方向、副走査方向、回転方向の位置ずれや主走査方向、副走査方向の倍率を補正することができる。同様に、用紙Sの裏面に画像形成した検知用画像M21~M24の位置(検知結果)に基づいて、画像形成位置を変更している。これにより、用紙Sの裏面に形成する画像において、主走査方向、副走査方向、回転方向の位置ずれや主走査方向、副走査方向の倍率を補正することができる。
【0066】
上述した画像の位置合わせは、画像形成装置1の調整時(印刷時以外のとき)に実施してもよいが、印刷時に用紙毎に行ってもよい。この場合、上記ステップS12においては、検知用画像M11~M14、M21~M24と共に印刷用画像も用紙Sに画像形成される。そして、上記ステップS18においては、検知用画像M11~M14、M21~M24と共に印刷用画像の画像形成位置も変更する。このように、用紙毎に画像形成位置を変更するので、上述した主走査方向、副走査方向、回転方向の位置ずれや主走査方向、副走査方向の倍率の補正の精度が向上し、また、リアルタイムの補正が実施可能となる。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1において、画像読取部500は、画像形成装置本体100により用紙の主走査方向の異なる位置に形成された複数の検知用画像の位置を検知する検知部501、502を備える。そして、検知部501、502は、主走査方向において、用紙の幅以下の検知範囲を有する。
【0068】
このように構成した本実施の形態の画像形成装置1によれば、検知部501、502の主走査方向における幅を小さくできるので、装置コストを抑制することができる。そして、主走査方向における幅を小さくした検知部501、502を用いて、画像の位置合わせを行うことができる。
【0069】
上記実施の形態においては、制御部200が、用紙Sの端部E1、E3と検知用画像M11~M14、M21~M24との距離や基準値との差分を算出する算出部として機能しているが、この算出部を画像読取部500に設けてもよい。その場合、制御部200は、画像読取部500で算出した差分に基づいて、画像形成位置を変更すればよい。
【0070】
また、上記実施の形態において、検知部501、502は、用紙S全面を検知する必要はなく、検知用画像M11~M14、M21~M24が形成されている部分のみ検知するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、画像読取部500は、検知部501及び検知部502を備えているが、検知部501及び検知部502の一方を備える構成であってもよい。例えば、検知部501を備える構成の場合は、検知用画像M11~M14を用紙Sの表面に形成し、検知部502を備える構成の場合は、検知用画像M21~M24を用紙Sの裏面に形成すればよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、画像読取部500は、画像形成装置本体100から独立した別の装置として構成されているが、画像読取部500を、定着部30と排紙搬送部43との間に配置して、画像形成装置本体100内部に組み込む構成としてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態において、画像形成装置1は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置やスキャナーと称される原稿画像走査装置などを有する構成ではないが、これらを有する構成でもよい。この場合、自動原稿給紙装置は、複数の原稿を原稿画像走査装置へ自動的に連続して搬送し、原稿画像走査装置は、搬送された原稿の画像(両面を含む)を連続して読み取って、入力画像データを生成する。この入力画像データは、画像処理部10に入力される。
【0074】
なお、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又は、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
10 画像処理部
20 画像形成部
30 定着部
40 用紙搬送部
100 画像形成装置本体
200 制御部
300 給紙部
400 バッファ部
500 画像読取部
600 排紙部
図1
図2
図3A
図3B
図4