(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/98 20060101AFI20250109BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20250109BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20250109BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20250109BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61K8/98
A61K8/02
A61K8/73
A61K8/81
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020137235
(22)【出願日】2020-08-17
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2019151387
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和1年9月20日 ウェブサイト https://www.catalog-taisho.com/2900.phpにて公開 (2)令和2年5月18日 ウェブサイト https://www.taisho-direct.jp/products/detail/ADYLM-00-L2F000Xにて公開 (3)令和1年10月1日及び23日 ウェブサイト https://taisho-beauty.jp/TB/shop/g/gTB9999-10/にて公開 (4)令和1年8月27日 ウェブサイト https://www.taisho.co.jp/company/news/2019/20190827000229.htmlにて公開 (5)令和1年12月7日~令和1年12月15日 KITTE丸の内 1Fアトリウムにて試供品配布 (6)令和1年10月24日 ラグナヴェールアトリエ渋谷にて試供品配布 (7)令和1年12月16日 ラグナヴェールアトリエ渋谷にて試供品配布 (8)令和1年12月20日 顧客に対し、試供品を郵送 (9)令和2年1月31日~令和2年5月15日 大正製薬の商品の購入者に対し、試供品として同梱 (10)令和2年1月31日~令和2年5月15日 大正製薬の商品であるモイストケアセットの定期購入者に対し、試供品として同梱 (11)令和2年3月23日~令和2年4月23日 オイシックスの購入者に対し、試供品として同梱
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】古林 典之
(72)【発明者】
【氏名】緒方 真由美
(72)【発明者】
【氏名】竹内 伸之
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006696(JP,A)
【文献】特開2000-264820(JP,A)
【文献】特開2019-006697(JP,A)
【文献】特開2006-321781(JP,A)
【文献】特開2002-205937(JP,A)
【文献】特開2001-019611(JP,A)
【文献】特開2012-036176(JP,A)
【文献】特開2019-099530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61K 9/00- 9/72
A61K 31/00-33/44
A61K 38/00-38/58
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヘパリン類似物質、(b)プラセンタエキス、及び(c)ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、シロキクラゲ多糖体、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジェランガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ポリアクリレートクロスポリマー11、ポリエチレングリコール、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の増粘剤、を含有
し、
ビタミンEニコチネート、エチニルエストラジオール、エクジステロイド、チョレイエキス、ブクリョウエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、又はミノキシジルを含有する発毛促進用組成物ではない外用組成物であって、
前記外用組成物中における(a)ヘパリン類似物質、(b)プラセンタエキス、及び(c)増粘剤の含有量が、それぞれ0.01~1.0w/w%、0.01~1.0w/w%、及び0.001~20w/w%であることを特徴とする外用組成物。
【請求項2】
さらに、(d)多価アルコールを含有する請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
(d)多価アルコールが、1,2-ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び1,2-プロパンジオールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の外用組成物。
【請求項4】
20℃における粘度が1mPa・s以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の外用組成物。
【請求項5】
さらに、(e)水を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の外用組成物。
【請求項6】
剤形が、ローション、クリーム、乳液、ゲル、又はパックである、請求項1~5のいずれか一項に記載の外用組成物。
【請求項7】
外用組成物が、化粧料、医薬部外品、又は医薬品である、請求項1~6のいずれか一項に記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘパリン類似物質及びプラセンタエキスを含有する外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパリン類似物質は、酸性ムコ多糖類の一種であり、皮膚に対する保湿効果や抗炎症作用、血流促進、瘢痕・ケロイドの治療や予防など幅広い効果があることから医薬品や医薬部外品などの外用製剤に配合されている。従来、ヘパリン類似物質の効果を向上させる検討は種々行われており、例えば、ヘパリン類似物質にベタイン類を併用することで、ヘパリン類似物質の角質水分保持増強作用とベタイン類の保湿作用が相乗的に作用し、肌荒れに対して顕著な改善・予防効果を示すことが知られている(特許文献1)。このように皮膚への有用性が示される一方で、ヘパリン類似物質を外用製剤に配合する際に、使用感の悪さが課題になることが知られており、ヒアルロン酸オリゴ糖を配合することによって使用感を向上できることが報告されている(特許文献2)。また、ヘパリン類似物質は乾皮症やアトピー性皮膚炎の治療にも用いられている。ヘパリン類似物質は多硫酸化多糖類を主成分とするため、皮膚に対して多少の刺激感を有するが、乾皮症やアトピー性皮膚炎の患者においては皮膚が刺激に対して過敏になっているため、この刺激を極力抑える製剤の開発が行われている(特許文献3)。
【0003】
プラセンタエキスはブタ、ウシ、ウマ、ヒト又はヒツジなどの哺乳動物の胎盤から抽出されたエキスである。哺乳動物の胎盤組織には、胎児の成長に不可欠な栄養素であるアミノ酸、活性ペプチド、ビタミン、ミネラル、糖類、酵素、核酸などが豊富に蓄えられており、前記哺乳動物の胎盤から抽出されたエキスをプラセンタエキスという。前記プラセンタエキスには、細胞増殖作用、免疫力の向上、血圧の改善、抗酸化作用、抗炎症作用、鎮痛作用、血液凝固抑制作用などの効用があり、美白効果化粧品などの化粧品、疲労回復効果飲料などの健康補助食品、アンチエイジング薬などの医薬品などに原料として使用されている(特許文献4)。
【0004】
一般的に、化粧料など皮膚に適用する外用組成物は、その目的や用途に応じた粘度に調整されており、製剤に応じて様々な増粘剤が用いられている。前記増粘剤としては、具体的には、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、セルロース、グアーガム、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー等の水溶性高分子がよく用いられている。これらを用途別に使い分け、配合量、配合成分等を変えることで、ローションのとろみのような低粘度製剤からヘアチックのような固形ジェル状態のものまで調製することができる(特許文献5)。また、粘性のある化粧料などの製剤は、とろみ感のある外観や使用時の濃厚感、保湿感等が優れているために、商品性が向上するとして利用されることも多い(特許文献6)。
【0005】
ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを配合した化粧料として、2019年5月にアドライズ(登録商標) アクティブローションが発売されている。しかし、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスと水溶性の増粘剤を配合した外用組成物は知られておらず、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを配合した外用組成物に水溶性の増粘剤を配合すると製剤にどのように影響するかについては全く報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-143486号公報
【文献】特開2017-66060号公報
【文献】特開2015-203029号公報
【文献】特開2011-160742号公報
【文献】特開2017-36217号公報
【文献】特開2014-185118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、これまでの感触とは異なる粘性のある外用組成物を提供するため、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有する外用組成物に水溶性の増粘剤を配合して保存したところ、経時的に着色が見られ、製剤安定性が劣るといった新たな課題を見出した。製剤の着色は、製剤安定性や商品性の観点から好ましくない。
【0008】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有し、経時的な着色を抑えた外用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ヘパリン類似物質、プラセンタエキス、及び特定の増粘剤を配合した外用組成物は、上記課題を解決できることを見出した。さらに、多価アルコールを配合すると、より高い改善効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)(a)ヘパリン類似物質、(b)プラセンタエキス、及び(c)ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、シロキクラゲ多糖体、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジェランガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ポリアクリレートクロスポリマー11、ポリエチレングリコール、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の増粘剤を含有することを特徴とする外用組成物、
(2)さらに、(d)多価アルコールを含有する(1)に記載の外用組成物、
(3)(d)多価アルコールが、1,2-ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び1,2-プロパンジオールからなる群から選択される少なくとも1種である、(2)に記載の外用組成物、
(4)20℃における粘度が1mPa・s以上である、(1)~(3)のいずれかに記載の外用組成物、
(5)さらに、(e)水を含有する(1)~(4)のいずれかに記載の外用組成物、
(6)剤形が、ローション、クリーム、乳液、ゲル、又はパックである、(1)~(5)のいずれかに記載の外用組成物、
(7)外用組成物が、化粧料、医薬部外品、又は医薬品である、(1)~(6)のいずれかに記載の外用組成物、
を包含する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ヘパリン類似物質、プラセンタエキス、及び特定の増粘剤を含有し、着色を抑制した製剤安定性に優れた外用組成物を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の外用組成物において用いる各成分は、通常医薬品、医薬部外品、又は化粧料に用いられる品質のものを適宜使用することができる。
【0013】
本発明の外用組成物中におけるヘパリン類似物質の含有量は、0.001~10w/w%が好ましく、0.01~1.0w/w%がより好ましい。
【0014】
本発明の外用組成物中におけるプラセンタエキスの由来としては、例えばヒト、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジなどが挙げられるが、好ましくはブタである。また、プラセンタエキスとして市販されている商品(例えばビオカタライザープラセンタAPF(SW)(M-PE-APF))を使用してもよい。本発明のプラセンタエキスの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~10w/w%が好ましく、0.01~1.0w/w%がより好ましい。
【0015】
本発明の特定の増粘剤とは、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、シロキクラゲ多糖体、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジェランガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ポリアクリレートクロスポリマー11、ポリエチレングリコール、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。増粘剤は一種、又は二種以上を用いることができる。また、上記各成分は一種であってもよく、二種以上であってもよい。
【0016】
本発明のヒドロキシエチルセルロースの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。
【0017】
本発明のキサンタンガムの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。
【0018】
本発明のシロキクラゲ多糖体とは、シロキクラゲ科シロキクラゲ(Tremella fuciformis Berk.)の子実体から、水あるいは水と水溶性溶媒の混合物で抽出したものを使用することができる。市販品であれば、例えば日本精化株式会社から販売されているTremoist-TP(商品名)やTremoist-SL(商品名)を用いることができる。シロキクラゲ多糖体の含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。
【0019】
本発明のカルボキシビニルポリマーの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。必要に応じてpH調整を行い、更なる増粘効果を期待できる。
【0020】
本発明のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。
【0021】
本発明のプルランの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい
【0022】
本発明のコンドロイチン硫酸ナトリウムの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。
【0023】
本発明のジェランガムの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。
【0024】
本発明のカルボキシメチルデキストランナトリウムの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。
【0025】
本発明のポリアクリレートクロスポリマー11の含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。市販品であれば、例えばクラリアントジャパン株式会社から販売されているAristflex Velvet(商品名)を用いることができる。
【0026】
本発明のポリエチレングリコールの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。市販品であれば、例えば日油株式会社から販売されているPEG#1000(商品名)やPEG#4000P(商品名)を用いることができる。
【0027】
本発明の(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。市販品であれば、例えば株式会社成和化成から販売されているSEPPIC S.A.社製のSIMULGEL EG(商品名)を用いることができる。
【0028】
本発明の疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、本発明の外用組成物中、0.001~20w/w%が好ましく、0.01~10w/w%がより好ましい。市販品であれば、例えば大同化成工業株式会社から販売されているサンジェロース 90L(商品名)やサンジェロース 60L(商品名)を用いることができる。
【0029】
本発明の外用組成物は、多価アルコールを含有すると本発明の着色抑制効果の点から一層好ましいものとなる。本発明の多価アルコールとしては、1,2-ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び1,2-プロパンジオールなどが挙げられる。(d)成分の含有量は本発明の外用組成物中0.01~30w/w%が好ましく、0.1~20w/w%がより好ましい。
【0030】
また、本発明の外用組成物は、水を含有することが好ましい。本発明の外用組成物中における水の含有量は、1~99.99w/w%が好ましく、20~99.9w/w%がより好ましく、50~99.5w/w%がさらに好ましく、60.0~98.0w/w%がよりさらに好ましい。
【0031】
本発明の外用組成物の粘度は、20℃において1mPa・s以上10,000Pa・s以下(B型粘度計)であることが好ましい。より好ましくは3mPa・s以上1,000Pa・s以下(B型粘度計)である。本願ではB型粘度計(TVB-25L/東機産業(株))を使用し、条件の設定は本機の取扱説明書に準拠し、20℃における粘度を測定する。
【0032】
本発明の外用組成物は、上記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧品、医薬部外品、医薬品などに用いられる各種成分を適宜配合することができる。例えば、pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等)、香料、清涼化剤(メントール、ハッカ油、カンフル等)、抗炎症剤(サリチル酸、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸、アラントイン等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール等)、防腐剤(パラベン類(メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン等)、安息香酸又はその塩、フェノキシエタノール等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、アミノ酸(L-セリン、L-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、グリシン等)、リピジュア、ソルビトール、マルチトール等)、各種動植物(オウレン、オウバク、海藻、ボタンピ、カンゾウ、ローズマリー、セージ等)の抽出物、ビタミン類(パルミチン酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン、リボフラビン、ニコチン酸アミド等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、粘着剤等が挙げられる。
【0033】
これらの成分の添加量は、特に制約はなく、使用感等を考慮しながら適宜定めることができる。
【0034】
本発明の外用組成物は化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に使用できる。
本発明の外用組成物は皮膚に適用できる剤形である限り、その形態は特に制限されない。具体的な剤形としては、ローション、クリーム、乳液、ゲル、パック等が挙げられる。本発明の外用組成物は、W/O又はO/W型のエマルション製剤であってもよく、このうち好ましいのはO/W型のエマルション製剤である。
本発明の外用組成物は、剤形に応じて常法により製造することができる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例、比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、数値は全て質量%を意味するものとする。尚、比較例3及び実施例12の増粘剤の配合量は、プレミックス原料としての量を記載する。
【0036】
(外用組成物の調製法)
下記表1~表3に示す処方に従い、ヘパリン類似物質、プラセンタエキス、増粘剤、及び多価アルコールを精製水に均一に混合し、実施例1~21及び比較例1~5の外用組成物を得た。最終組成物の粘度は、B型粘度計(TVB-25L/東機産業(株))を用いて、回転数60rpm、ローターNo.1及び設定時間1minの条件で測定した。
【0037】
(着色の評価)
実施例1~21、比較例1~5の各外用組成物を30mLのスクリュー管に充てんし、65℃で2週間保管した。保管品は20mLの遠沈管に移し替え、不純物の除去を目的に2000rpmで10分間遠心分離を行った。当該サンプルに対して波長400nmで吸光度を測定し、着色を評価した。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
表1~表3の結果から明らかなように、ヘパリン類似物質、プラセンタエキス、及びアクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー、カチオン化グアガム、又はアクリレーツコポリマーからなる群から選ばれる増粘剤を配合した外用組成物は経時的に著しく着色した(比較例1~3)。一方、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、シロキクラゲ多糖体、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジェランガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ポリアクリレートクロスポリマー11、ポリエチレングリコール、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、又は疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合した実施例1~13の組成物は比較例1~3に比べて経時的な着色を抑制することができた。また、実施例4の処方に対して多価アルコールを配合した実施例14~19の組成物は、更なる着色の抑制が確認された。また、ヘパリン類似物質、及びプラセンタエキスの濃度が0.01%、0.1%の場合も、アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーを配合した比較例4、比較例5と比べ、カルボキシビニルポリマーを配合した実施例20、実施例21で着色が抑制された。
【0042】
(処方例)
【0043】
【0044】
*1:2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体含有組成物は、例えば商品名「Lipidure-NR」(日油株式会社製)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明により、ヘパリン類似物質、プラセンタエキス、及び増粘剤を配合し、製剤安定性に優れた外用組成物を提供することが可能になった。