(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電解槽
(51)【国際特許分類】
C25B 13/02 20060101AFI20250109BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20250109BHJP
C25B 1/46 20060101ALI20250109BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20250109BHJP
C25B 9/65 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
C25B13/02 301
C25B1/04
C25B1/46
C25B9/23
C25B9/65
(21)【出願番号】P 2020161245
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000108993
【氏名又は名称】株式会社大阪ソーダ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】羽多野 聡
(72)【発明者】
【氏名】曽田 剛一
(72)【発明者】
【氏名】松井 尚平
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-100286(JP,A)
【文献】特公昭60-037878(JP,B2)
【文献】特開2014-037586(JP,A)
【文献】特開平04-214886(JP,A)
【文献】特許第6559383(JP,B1)
【文献】特開平04-056790(JP,A)
【文献】特公昭62-007275(JP,B2)
【文献】特公昭61-012995(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B1/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、陰極、前記陽極と前記陰極との間に配置された隔膜、導電性弾性体、及び支持体フレームを有して成る電解槽であって、
平面視において、前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方の電極の少なくとも端部エッジが、前記支持体フレームの封止面と重なり合っており、
前記導電性弾性体が前記一方の電極の背面側に設けられることで、前記一方の電極が、他方の電極に向かって押圧されるように付勢され、前記一方の電極と前記隔膜と前記他方の電極との互いの密着化がもたらされており、
前記封止面上に位置付けられたガスケットをさらに有して成り、
前記ガスケットの内側縁と前記支持体フレームの封止面の内側縁との間の封止面上に前記端部エッジが位置づけられている、電解槽。
【請求項2】
前記端部エッジが、前記封止面に位置づけられている、請求項1に記載の電解槽。
【請求項3】
前記端部エッジが、前記支持体フレームの内側縁または該内側縁よりも外側に位置している、請求項1または2に記載の電解槽。
【請求項4】
前記端部エッジと前記封止面とが互いに離隔している、請求項1~3のいずれかに記載の電解槽。
【請求項5】
断面視で、前記電極の端部が湾曲している、請求項1~4のいずれかに記載の電解槽。
【請求項6】
前記ガスケットの内側縁が前記支持体フレームの封止面の内側縁よりも外側に位置している、請求項1~5のいずれかに記載の電解槽。
【請求項7】
平面視において、前記電極のサイズが前記支持体フレームの内側縁により取り囲まれる領域のサイズよりも大きい、請求項1~6のいずれかに記載の電解槽。
【請求項8】
前記隔膜と、前記電極の湾曲の起点部分から電極エッジまでの部分以外の電極主面とが密接しており、
前記隔膜と、前記電極の湾曲の起点部分から電極エッジまでの部分とが密接していない、請求項5に記載の電解槽。
【請求項9】
前記陽極及び前記陰極の一方の前記電極が、該陽極及び該陰極の他方の電極に対して相対的に剛性を有する、請求項1~8のいずれかに記載の電解槽。
【請求項10】
前記電解槽がゼロギャップ式の電解槽である、請求項1~9のいずれかに記載の電解槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解槽に関する。特に、陽極、陰極、隔膜、及び支持体フレームを有して成る電解槽に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種工業において電解が利用されている。電解、すなわち電気分解を行うには電解槽が用いられる。電解槽は、その用途から各種各様の形式があるものの、少なくとも陽極と陰極とを備えている。例えば塩化ナトリウム水溶液の電気分解が行われる電解槽は、塩素、水素および水酸化ナトリウム(いわゆる苛性ソーダ)を取り出すことができ、化学工業の基盤となる原料の生産に用いられている。また、水素製造に用いられるアルカリ水溶液の電解にも用いられている。
【0003】
電解槽では、陽極で生成した物質と陰極で生成した物質との混合を避けるべく隔膜が更に設けられていることが多い。隔膜としてイオン交換膜を用いて塩化ナトリウム水溶液の電気分解を行うプロセスは、“イオン交換膜法食塩電解”等とも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開2018/139613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記イオン交換膜法食塩電解に用いられる電解槽は様々なタイプがあるものの、なかでもゼロギャップ式が主流になっている。ゼロギャップ式の電解槽100’は、主として陽極200B’、陰極200A’、隔膜300’、電極を支持するための支持体400’、およびガスケット500’を有して成る。ゼロギャップ式の電解槽100’では、隔膜300’を陽極200B’と陰極200A’で挟持し密着させて電極間距離を近づけて、電解液抵抗の低減および電力消費の低減が図られている(
図7参照)。
【0006】
ここで、本願発明者は、従前のゼロギャップ式の電解槽では克服すべき課題が依然あることに気付き、そのための対策を講じる必要性を見出した。具体的には、かかる電解槽100’では、支持体400’は、周縁部に位置する支持体フレーム410’が内部空間を形作るように、即ち支持体フレーム410’が内部空間を取り囲むように構成され得る。電極はこの内部空間に収納され、隔膜300’が電極を覆うように配置され得る。生産効率等の観点から、電極の平面サイズと支持体フレーム410’の内側縁412’に取り囲まれる平面サイズとを同一にすることが好ましいものの、その調整は容易でない。かかるサイズ調整が容易ではないことにより、支持体フレームの内側縁412’に沿った電極の端部エッジ211’(即ち電極の最外縁を成すエッジ)の位置合わせ調整がしにくくなり、支持体フレームの内側縁412’と電極の端部エッジ211’との間に隙間が生じる虞がある。かかる隙間が生じる場合、電極上に位置する隔膜300’が一部入り込み、それによって隔膜300’の局所的な変形が相対的に大きくなる虞がある。その結果として、電解槽100’が好適に動作しにくくなる虞がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、電極の取り付け位置を適切に調整することで、隔膜の局所的な変形を抑制可能な電解槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
陽極、陰極、隔膜、及び支持体フレームを有して成る電解槽であって、
平面視において、前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方の電極の少なくとも端部エッジが、前記支持体フレームの封止面と重なり合っている、電解槽が供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる電解槽によれば、隔膜の局所的な変形を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態にかかる電解槽を模式的に示す分解斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の一実施形態に係る電解槽(電解槽ユニット)を模式的に示す平面図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2A内の線分I-I間における本発明の一実施形態に係る電解槽(電解槽ユニット)を模式的に示す断面図である。
【
図2C】
図2Cは、
図2A内の線分II-II間における本発明の一実施形態に係る電解槽(電解槽ユニット)を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る電解槽の特徴部分の模式図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態に係る電解槽の電極の端部エッジ部分を拡大した断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の一実施形態に係る電解槽の電極の端部エッジ部分を拡大した断面図である。
【
図4C】
図4Cは、本発明の一実施形態に係る電解槽の電極の端部エッジ部分を拡大した断面図である。
【
図5】
図5は、電解槽の構成を例示的に説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、電解槽に用いられる導電性弾性体の一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、従来の電解槽(電解槽ユニット)を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照して本発明の一実施形態に係る電解槽をより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、概観や寸法比などは実部と異なり得る。
【0012】
本明細書において「電解槽」とは、広義には、電気分解を行うための装置のことを指しており、狭義には、陽極、陰極およびそれら電極間に設けられる隔膜を少なくとも備えた装置のことを指している。本明細書において「電解用電極」とは、広義には、電気分解を行うための装置に用いられる電極であって、狭義には、かかる装置に用いられる陽極および/または陰極のことを指している。
【0013】
電解槽の使用時において、
図1に示す電解槽の各辺のうち、短辺の延在方向が鉛直に、又は長辺の延在方向が水平となるように設置されて使用されることが多い。そのため、電解槽の使用時(特に、電解槽を構成するユニット同士が組み合わされた状態の運転時)と、そうでない非使用時(特に、電解槽を構成するユニット同士が組み合わされる前の非運転時)とでは槽やその構成要素の向きが相違し得る。
【0014】
本明細書でいう「平面視」とは、電解槽を構成する隔膜及び電極等の延在方向に基づく厚み方向に沿って対象物を上側または下側から捉えた場合の形態に基づいている。また、本明細書でいう「断面視」とは、電解槽を構成する支持体及び電極等の厚み方向に対して略垂直な方向からみたときの状態のことである。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材・部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」に相当し、その逆向きが「上方向」に相当すると捉えることができる。
【0015】
本明細書で言及する各種の数値範囲は、下限および上限の数値そのものも含むことを意図している。つまり、例えば1~10といった数値範囲を例にとれば、下限値の“1”を含むと共に、上限値の“10”をも含むものとして解釈される。
【0016】
まず、本発明の前提となる電解槽の基本的な構成について説明し、その後、本発明の特徴について説明を行う。なお、下記説明においては、電解槽のための電極、すなわち、電解用電極のことを単に「電極」とも称するか、あるいは、より具体的に「陽極」もしくは「陰極」とも称する。
【0017】
[電解槽の基本的構成]
以下、本発明の一実施形態に係る電解槽の基本的構成について説明する。電解槽は、陽極、陰極、それら電極間に配置される隔膜、支持体、およびガスケットを少なくとも有して成る。陽極および陰極は、電解質溶液に外部から電気エネルギーを与えるための電極である。典型的には、陽極は、外部電源の正極に接続される電極であり、電解槽の運転時には酸化反応がもたらされ得る電極である。一方、陰極は、典型的には外部電極の負極に接続される電極であり、電解槽の運転時には還元反応がもたらされ得る電極である。
【0018】
隔膜は、典型的には陽極室と陰極室とを隔てる部材である。好ましくは、陽極で生成した物質と陰極で生成した物質との混合を避けるべく隔膜が設けられる。本発明において、隔膜は電気分解に常套的に用いられるものであってよい。例えば、隔膜はイオン交換膜である。あくまでも1つの例示にすぎないが、ソーダ工業に用いられる電解槽では、隔膜として陽イオン交換膜を用いてよい。
【0019】
電解槽には、導電性弾性体が更に設けられていてよい。導電性弾性体は、その“導電性”に起因して電極間における通電に寄与しつつも、その“弾性”に起因して電極に対して押圧力を与えることができる。つまり、導電性弾性体は、電解槽において反力を呈すことが可能な導電性の部品に相当し、かかる反力を供すべく、弾性変形が可能な構造を少なくとも有している。
【0020】
電解槽のある例示的な構成を
図5に模式的に示す。図示するように、電解槽では陽極、陰極およびそれら電極間のイオン交換膜から少なくとも構成された電極組合せ体に対して導電性弾性体が使用されている。このような電解槽では、陽極、陰極およびそれら電極間のイオン交換膜から少なくとも構成された電極組合せ体の押圧に導電性弾性体の反力が利用される。具体的には、導電性弾性体は、電極組合せ体の背面側において弾性変形に付された状態で使用され、かかる導電性弾性体から供される弾性力(すなわち、反力)によって、電極組合せ体に押圧力がもたらされる。特に、弾性変形に付された導電性弾性体は、一方の電極から他方の電極に向かって押圧力を与えるように働き、それによって電極組合せ体の密着化を促進する。つまり、導電性弾性体の存在によって、陽極とイオン交換膜と陰極との間に緊密な接触がもたらされ、いわゆる“ゼロギャップ”式として電解槽が好適に機能できるようになる。
【0021】
電解槽に用いられる導電性弾性体は、弾性反発力が生じるのであれば、いずれの形態を有していてよい。例示すると、導電性弾性体は、弾性クッションや弾性マット(例えば金属製コイル体から成る部材、金属製の不織布、金属ワイヤーから成る編物・織物など)や板バネなど種々の形態を有し得る。あくまでも1つの具体的な例示にすぎないが、導電性弾性体700は、
図6に示すように取付け開口740および固定部710から延在する波状湾曲の弾性部720を備えていてよい。導電性弾性体は、電解槽においてバネ特性を発現させるべく弾性変形に付された状態で使用される。より具体的には、例えば弾性部の波状湾曲が減じられるように変形に付された状態で導電性弾性体が電解槽に設けられる。このように変形に付された導電性弾性体では、元の形状を取ろうとする応力が働くのでバネ特性として反力が発現されることになる。大型の電解槽においては、導電性弾性体は単数で用いられるよりも複数の導電性弾性体として設けられることが多い。
【0022】
電解槽において、電極は、例えば通液性を有する導電性基材から構成されていてよい。この点、陽極および陰極の少なくとも一方が導電性多孔基材を有して成ることが好ましい。換言すれば、陽極および陰極の少なくとも一方がメッシュ開口を有するようなメッシュ開口電極となっていてよい。あくまでも例示にすぎないが、例えばエキスパンドメタル、金網(平織メッシュ、綾織メッシュ)またはパンチングメタルなどから電極が構成されていてよい。
【0023】
ある好適な態様では、陽極および陰極の双方が導電性多孔基材を有して成っていてよい。例えば両電極が、エキスパンドメタルまたは平織メッシュから構成されていてよく、あるいは、一方の電極がエキスパンドメタルから構成され、もう一方の電極が平織メッシュから構成されていてもよい。つまり、陽極および陰極の双方がエキスパンドメッシュまたは平織メッシュ、若しくは陽極および電極の一方がエキスパンドメッシュ、もう一方が平織メッシュを有していてよい。耐食性を呈し得るなどの観点から、陽極および陰極の各々は、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、タンタル、ジルコニウムおよびニオブ等から成る群から選択される少なくとも1種を含んで成っていてよい。また、そのような陽極および陰極の各々には適当な触媒が担持されていてもよい。導電性の多孔基材における開口率は、特に制限されるわけではないが、20%~90%程度、例えば30%~80%、40%~75%または50%~75%などであってよい。
【0024】
電解槽は、好ましくはゼロギャップ式であるところ、かかるゼロギャップ式に適した特徴を有している。そのような特徴の1つとして、電極材の剛性および可撓性といった所謂“硬さ”や“柔らかさ”の点で陽極および陰極が特徴を有している。具体的には、陽極および陰極の一方が、他方に対して相対的に可撓性を有しており、逆に当該他方が当該一方に対して相対的に剛性を有していることが好ましい。これによって、相対的に可撓性を有する電極が、導電性弾性体の反力を受けて撓むことができる一方、相対的に剛性を有する電極が、その撓みをイオン交換膜を介して受け止めることができる。このような観点で相対的に陽極と陰極とが異なると、陽極とイオン交換膜と陰極との間の互いの密着がより好適になり、電解槽が“ゼロギャップ式”としてより好適に機能できる。このようなことは、電解槽が大型の場合に特に当てはまる。つまり、ゼロギャップ式食塩電解の場合などに代表されるように、ゼロギャップのための押圧を必要とする電極主面が大きい場合に特に当てはまる。
【0025】
所望の電解生成物をより大量に得るには、より大きな電解槽が用いられるが、電極の主面(特に、陽極と陰極とが互いに対向する主面)も、それに伴って大きくなる。大型のゼロギャップ式電解槽は、複数の電解槽ユニットから好ましくは構成され、その電解槽ユニットの各々では、対向する両側面に大きな電極主面が設けられている。あくまでも一例であるが所謂“複極式”の電解槽について
図1を参照して説明すると、電解槽ユニットの対向する両側面の一方に陰極200A(例えば、エキスパンドメタルから成る陰極面)が設けられている一方、当該両側面の他方に陽極200B(例えば、エキスパンドメタルから成る陽極面)が設けられている。電解槽では、そのような電解槽ユニット同士がイオン交換膜300(特に陽イオン交換膜)を介して互いに重ね合わさるように複数連結されている。特に、隣接する電解槽ユニットでは、一方の電解槽ユニットの陰極面と、他方の電解槽ユニットの陽極面とが向き合うようにして重ねられる。このように複数の電解槽ユニットがイオン交換膜を介して組み合わされることによって電解槽が構成されている。なお、複数の電解槽ユニットから構成される電解槽としては“複極式”に限らず、“単極式”であってもよい。つまり、電解槽を構成する電極槽ユニットとして、陽極部と陰極部とを対向する両側面に備えた複極式の電解槽ユニットであることに限らず、対向する両側面に陽極部のみ及び陰極部のみを備えた“単極式”の電解槽ユニットであってもよい。かかる場合、陽極部のみを備える電解槽ユニットと陰極部のみを備える電解槽ユニットとがイオン交換膜を介して交互に配置されるように組み合わされることで、電解槽が構成され得る。
【0026】
電解槽ユニットから構成される電解槽は、電極主面サイズが比較的大きく、その大きな電極面を通じて所望の電解反応がなされるので好ましいものの、電極面の平面度を保つのが難しくなる。具体的には、電極主面は、そのサイズが大きくなればなるほど、自重に起因した撓み等の影響が無視できなくなる傾向があり、また、電極支持体への取付けなども影響し、かかる電極主面は完全な平坦面を取り難い。例えば
図1で例示したような電解槽100でいえば、陽極面および陰極面の主面サイズは、数cmオーダというよりも、むしろmオーダのサイズとなっている。より好適な平坦面となるべく電極に剛性を持たせた場合であっても、そのような大きな電極主面では、上記理由等から例えば±0.5mm~1.0mm程度の平面度となっており、完全な平坦面(すなわち、平面度が0mm)とはなり難い。換言すれば、大型の電解槽において、剛性の電極主面は、巨視的には平坦に見えても、微視的にみれば局所的凹凸を伴った面となる傾向がある。
【0027】
完全な平坦面となっていない電極同士をイオン交換膜を介して密着させると、その凹凸によって、電流分布の均一化が損なわれたりするおそれがある。そこで、好適な電解槽では、剛性電極に対して、それと対を成す電極を柔らかい可撓性電極としている。これにより、イオン交換膜を介して電極同士が強く密着させられたとしても、剛性電極面の凹凸に追随するように可撓性電極が撓むことになり、結果として電流分布の不均一化などがより好適に防止され得る。あくまでも一例であるが、陽極が相対的に硬い剛性のエキスパンドメタルから構成される一方、陰極が相対的に柔らかい可撓性のエキスパンドメタルから構成されていてよい。そして、イオン交換膜を介して陽極の剛性エキスパンドメタルと組み合わされる陰極の可撓性エキスパンドメタルの背面側に導電性弾性体が設けられていてよい。かかる場合、導電性弾性体の反力によって、陰極の可撓性エキスパンドメタルが陽極の剛性エキスパンドメタルに向かって押圧されるが、その際に陰極の可撓性エキスパンドメタルが、陽極の剛性エキスパンドメタルの主面の平面度に応じて局所的に変位することができる。したがって、電解槽ユニット同士が強く締め付けられるように固定され、導電性弾性体の反力が大きく働くような条件にされた場合であっても、陽極とイオン交換膜と陰極とが互いに好適に密着し、電流分布の不均一化などの不都合な現象は引き起こされ難い。
【0028】
特に限定されないが、相対的に硬い剛性のエキスパンドメタルは、“相対的な剛性”ゆえ、厚みが好ましくは0.2~2.0mm程度であってよく、多孔すなわち開口を成すストランドの幅(刻み幅)は好ましくは0.2~2.0mm程度となっていてよい。同様にして特に限定されないが、可撓性エキスパンドメタルは、“相対的な可撓性”ゆえ、例えば、厚みが好ましくは0.1~1.0mm程度、より好ましくは0.1~0.5mm程度であってよく、多孔すなわち開口を成すストランドの幅は好ましくは0.1~2.0mm程度、より好ましくは0.1~1.5mm程度となっていてよい。可撓性電極として金網やパンチングメタルを使用する場合には、”相対的な可撓性”ゆえ、例えば厚みが好ましくは0.1~1.0mm程度、より好ましくは0.1~0.5mm程度であってよい。金網の場合には金網を構成する金属繊維の略直径を意味する線径φは好ましくは0.05~1.0mm程度、より好ましくは0.1~0.5mm程度となってよい。パンチングメタルの場合には、隣接する開口部間の非開口部長さLが0.1~2.0mm程度、より好ましくは0.1~1.5mm程度となってよい。
【0029】
一例としては、エキスパンドメタルの可撓性陰極200Aと、隔膜300と、エキスパンドメタルの剛性陽極200Bとがその順で重ねられた配置に対して、導電性弾性体700が陰極200Aの背面側(すなわち、隔膜300の設置側と反対側)に設けられている。導電性弾性体700は、エキスパンドメタルの陰極200Aと陰極基部との間で狭窄されるように変形に付されて設けられるので、導電性弾性体700の弾性部と直接的に接するエキスパンドメタルの可撓性陰極200Aには導電性弾性体700の弾性力が直接与えられることになる。その結果、エキスパンドメタルの可撓性陰極200Aが、エキスパンドメタルの剛性陽極200Bに向かって押圧されるように付勢され、可撓性陰極200Aと隔膜300と剛性陽極200Bとの互いの密着化がもたらされる。なお、導電性弾性体と直接的に接していない電極となる剛性陽極自体は、電解槽ユニットの電極支持体などに動かないように固定されているので、導電性弾性体の弾性力を受け止めるように作用して密着化に寄与する。
【0030】
後述するが、支持体は電解槽の外装を構成するものである。一例として、1組で2つの支持体が電解槽の外装を構成する。各支持体は、周縁部に位置する支持体フレームおよび支持体フレームに連続しかつ内部空間(具体的には凹部空間)を形作る底部を有して成る。即ち、支持体では、平面視で支持体フレームが内部空間(具体的には凹部空間)を取り囲むように構成される。かかる構成を前提として、2つの支持体は、支持体フレームの封止面同士が上記隔膜および当該封止面に位置づけられたガスケットを挟持するように対向して配置される。
【0031】
[本発明の特徴部分]
以下、本発明の一実施形態に係る電解槽の特徴部分について説明する。本願発明者らは、支持体フレームの内側縁と電極の端部エッジとの間に隙間が生じることに起因した隔膜の局所的な変形を抑制するための解決策について鋭意検討した。その結果、本願発明者らは、下記の特徴を有する本発明の一実施形態に係る電解槽を案出するに至った。
【0032】
本発明の一実施形態に係る電解槽100は、陽極200B、陰極200A、それら電極間に配置される隔膜300、支持体400、およびガスケット500を少なくとも有して成る(
図1~
図3参照)。本発明の一実施形態は、上記[電解槽の基本的構成]の欄で述べた電解槽の構成要素のうち、電極(特に電極の端部エッジ)と支持体フレームとの位置関係に特徴を有する。特に、本発明の一実施形態では、平面視において、陽極200B及び陰極200Aの少なくとも一方の電極の少なくとも端部エッジ211が、支持体フレーム
410の封止面411と重なり合っている(特に
図3参照)。かかる点が本発明の一実施形態に係る電解槽100の技術的特徴部分である。
【0033】
なお、本発明の特徴部分を説明する前に、用語の定義について述べておく。本明細書でいう「電極の端部」とは電極の外縁又は輪郭領域を成す部分を指す。本明細書でいう「電極の端部エッジ」とは、上記電極の端部のうち特に電極の最末端部分を指す。即ち、電極の端部エッジは電極の“最”外縁を成すエッジそのものであり、電極を平面視で見ると電極を構成する各辺部分を示す。本明細書において「支持体フレーム410の封止面411」とは、広義には支持体フレーム410同士が封止されるための面を指し、狭義には支持体フレーム410が有する面のうち電極室内部の電解液および発生ガス等が外部へと漏れ出ることを防ぐための機能を有する面である。
【0034】
又、本明細書でいう「電極の端部エッジが、支持体フレームの封止面と重なり合うように配置する」とは、平面視で
図2Aおよび
図3に示すように、支持体フレームの封止面411の一部と電極の端部エッジ211とが互いに重なるように電極の端部エッジを位置づけることを指す。換言すれば、かかる重なり合う配置とは、支持体フレームの封止面411の一部が電極の端部エッジ211により覆われるまたは電極の端部エッジ211が支持体フレームの封止面411の一部を覆うように、電極の端部エッジを位置づけることを指す。なお、本発明の一実施形態では、電極の端部エッジ211が支持体フレームの封止面411の縁部上、即ち支持体フレームの封止面411を形作る辺上に位置している場合も「重なり合っている」ものとする。
【0035】
本発明の一実施形態に係る電解槽100は、上記技術的特徴を有することで、下記の技術的効果が奏され得る。
【0036】
具体的には、本発明の一実施形態では、平面視で電極の端部エッジ211が支持体フレームの封止面411と重なり合うように配置される(
図3参照)。かかる重なり合う配置により、従前の電解槽と比べると、断面視で電極の端部エッジ211が支持体フレームの内側縁412より外側に位置づけられることとなる。別の観点から言えば、後述するが、断面視で電極の端部エッジ211が支持体フレームの封止面411に又は当該封止面411上に位置づけられることとなる。
【0037】
かかる重なり合う配置は、平面視において、電極サイズが支持体フレーム410の封止面411の内側縁412により取り囲まれる領域のサイズよりも大きいことで実現することができる。なお、本明細書でいう「支持体フレーム410の封止面411の内側縁412により取り囲まれる領域」とは、広義には周囲が支持体フレーム410に囲まれる領域を指し、狭義には支持体フレーム410の封止面411を構成する縁のうち電極室側の縁により囲まれる領域を指す。かかる構成を採ることにより、平面視における電極の端部エッジ211と支持体フレームの封止面411との重なり合う配置が可能となる。
【0038】
上記重なり合う配置を採ることにより、支持体フレームの内側縁412と電極の端部エッジ211との間に隙間が生じることを回避することができる。そのため、電極上に位置する隔膜300が当該隙間に一部入り込むこと自体を回避することができ、それによって、隔膜300の局所的な変形を抑制することができる。それ故、かかる隔膜300の局所的な変形抑制により電解槽100を好適に動作させることが可能となる。
【0039】
又、従前の電解槽100’では、隔膜300’の局所的な変形が生じ得る。かかる局所的な変形により、隔膜300’がV字状に屈曲し、それによって隔膜300’の屈曲部分に負荷が蓄積する虞がある。その結果、隔膜300’自体の損傷を招く虞がある。この点につき、本発明の一実施形態に係る電解槽100では、隔膜300の局所的な変形を抑制できるため、隔膜300の損傷を抑えることもできる。
【0040】
これに加えて、電極の端部エッジ211と支持体フレームの封止面411との重なり合う配置により、電極の端部エッジ211と支持体フレーム410との間の緻密な位置調整を行う必要がなくなる。そのため、電極200を支持体400に配置する作業を効率的かつ簡便に行うことができるため、電解槽100の組立ての時短化を図ることができる。即ち、電解槽100を組み立てる作業効率の向上を図ることもできる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態の技術的特徴(電極の端部エッジと支持体フレームの封止面との重なり合う配置)に基づく作用効果について説明した。以下では、支持体フレーム410の封止面411とガスケット500との位置関係について着目した上で本発明の技術的特徴について説明する。
【0042】
図2B、
図2Cおよび
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る電解槽100では、ガスケット500が支持体フレームの封止面411に位置づけられる。具体的には、ガスケット500は電極室内の電解液又は発生したガスを外部への漏れを防ぐために、支持体フレームの封止面411間を塞ぐように配置される。ガスケット500には弾性があり圧縮による弾性変形を利用することで、支持体フレームの封止面411間に隙間が生じることが好適に防止されている。ガスケット500が支持体フレームの封止面411を覆う領域が広いほどガスケット500による封止特性は向上し、一方で覆う領域が狭くなるほど封止特性は低くなり得る。
【0043】
そこで、上記本発明の技術的特徴(電極の端部エッジと支持体フレームの封止面との重なり合う配置)を好適に達成するために、ガスケット500の内側縁510は支持体のフレームの封止面411の内側縁412よりも外側に位置づけられることが好ましい。本明細書でいう「ガスケットの内側縁」とは、
図3に示すように、ガスケットの縁部のうち電解液が存在する電極室と向かい合う側の縁部を意味する。
【0044】
従前の電解槽では、電極室内から電解液等が外部へ漏れ出ないように、ガスケットを支持体フレームの内側縁と面一となるように配置することが通常である。これに対して、本発明の一実施形態では、ガスケット500の内側縁510は支持体フレームの封止面411の内側縁412よりも外側に位置づけられる。即ち、ガスケット500が支持体フレームの封止面411の一部上に位置づけられている。
【0045】
ガスケット500の内側縁が支持体フレームの封止面411の内側縁412よりも外側に設けられ得る位置としては、電極室から電解液等が外部へ漏れ出ないようなガスケット500の封止特性が得られる位置であれば特に限定されるものではない。例えば、断面視にて、ガスケットの内側縁と支持体フレームの封止面の内側縁との間の距離は、支持体フレーム410の内側縁とこれに対向する外側縁との間の距離の30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であることができる。
【0046】
なお、本発明で用いられるガスケット500は電気分解に常套的に用いられるものであってよい。例えば、ガスケット500は、アルカリ性に対し耐性があり、シール性が高い弾力性のある材料であることが好ましい。例えば天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPMゴム)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDMゴム)、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、多孔質PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等から選択される群から成る少なくとも1種の樹脂材料から構成されていればよい。
【0047】
以下、本発明の一実施形態において、電極の端部エッジ211と支持体フレームの封止面411との採り得る重なり合う態様について説明する。電極の端部エッジ211が支持体フレームの封止面411の一部と重なるならば、その態様は特に制限されるものではない。
【0048】
一例としては、
図4Aに示すように、断面視で、電極の端部エッジ211が支持体フレームの封止面411から離隔して当該封止面411上に位置づけられる態様を採ることができる。別例としては、
図4Bおよび
図4Cに示すように、断面視で、電極の端部エッジ211が支持体フレームの封止面411と接するように位置づけられる態様を採ることができる。即ち、本発明の一実施形態では、電極の端部エッジ211は支持体フレームの封止面411に接してまたは当該封止面411上方に位置づけることができる。
【0049】
上記態様のうち、電極の端部エッジ211は電極の端部エッジ211と支持体フレームの封止面411とが互いに離隔している態様を採ることが好ましい。電極の端部エッジ211が支持体の封止面411と接するように位置づける態様では、電極の端部エッジ211に使用時に負荷がかかり電極の端部エッジ211が損傷する可能性がある。これに対して、離隔配置態様を採る場合、端部エッジ211と支持体フレームの封止面411との間に空間が形成される。これにより、電極の端部エッジ211に負荷がかかることを抑制でき、その結果として電極の端部エッジ211の損傷が好適に抑制され得る。
【0050】
又、一例として、
図4Aおよび
図4Cに示すように電極の端部エッジ211は支持体フレーム410の内側縁412より外側に位置づけることができる。別例としては、
図4Bに示すように、電極の端部エッジ211は支持体フレーム410の内側縁412上に位置づけることもできる。
【0051】
上記態様のうち、電極の端部エッジ211が支持体フレーム410の内側縁412より外側に位置づけられる態様を採ることが好ましい。電極の端部エッジ211が支持体フレーム410の内側縁412上に位置づけられる態様では、使用時において電極の端部エッジ211が電極室内に落下することも想定され得る。
【0052】
これに対して、電極の端部エッジ211が支持体フレーム410の内側縁412より外側に位置づけられる態様では、使用時における電極の端部エッジ211の電極室内への落下を好適に回避することができる。特に、ガスケット500と電極の端部エッジ211との間に隙間がない構造が採られるならば、かかる隙間により隔膜300が外側方向へと向かって押し込まれることを好適に回避することができる。
【0053】
更に、電極の端部エッジ211が支持体フレーム410の内側縁412より外側に位置づけられる態様では、電極の端部エッジ211が支持体フレーム410の内側縁412上に位置づけられる態様と比べて用いるサイズが相対的に大きい電極を用いることができる。これにより、全体として本発明の一実施形態に係る電解槽100の電気分解機能をより向上させることが期待できる。
【0054】
又、断面視で電極の端部210は湾曲していることが好ましい。上記のとおり、電解用電極はエキスパンドメタルのような網目状、多孔状または開口状となっている場合が多いため、電極の端部エッジ211が鋭利化する場合がある。具体的には、電極200の端部エッジ211は、多孔または開口を成す複数の線材に起因してささくれ立ったような鋭利なエッジとなり得る。そのため、当該鋭利な端部エッジ211が隔膜を損傷させることも考えられる。
【0055】
この点につき、本発明の一実施形態に係る電解槽100では、
図4A~
図4Cに示すように、電極の端部エッジ211と支持体フレームの封止面411とが重なり合うように位置づける際、電極の端部エッジ211を含む電極の端部210が湾曲していることで、電極の端部210を隔膜300から離隔する方向に方向づけることができる。別の観点からみれば、電極の端部が湾曲している場合、隔膜300と電極の主要部とが密接する一方、隔膜300と電極の主要部以外の電極の端部210とは密接しないといえる。なお、本明細書において「電極の主要部」とは、電極の端部210を除く電極の主たる領域を意味する。即ち、湾曲の起点部分から電極エッジまでが「隔膜と電極の主要部以外の電極の端部」を意味する。以上により、電極の端部エッジ211と隔膜300とが互いに直接接触することを抑制することができ、その結果として隔膜300の損傷を好適に抑制することができる。
【0056】
上記電極の端部の湾曲の程度は、鋭利な端部エッジ211と隔膜300との接触を抑制できるならば特に制限されるものではない。例えば、電極の主要部(電極のうち端部210を除く部分)と電極の端部エッジ211との間の距離が0.1mm~10mm程度であってよく、好ましくは1mm~6mm程度であり、例えば4mmであることができる。
【0057】
又、上記のとおり、支持体フレーム410の封止面411と重なり合わせる電極は、陽極及び陰極の少なくとも一方の電極でよい。この点につき、本願発明者らが見出した技術的課題(電極上に位置する隔膜が隙間に一部入り込み、それによって隔膜の相対的に大きな局所的な変形の発生)については、導電性弾性体により隔膜が電極側に押し付けられる力が作用することで生じ得る。かかる点を鑑み、支持体フレーム410の封止面411と重なり合わせる電極は、導電性弾性体により隔膜300が押し付けられる側の電極であることが好ましい。又、本願発明者らが見出した技術的課題については、剛性を有する側の電極の端部に隔膜が接触する場合に顕著となる、即ち相対的に大きな局所的変形(即ち屈曲)がより生じやすい。かかる点をふまえ、支持体フレーム410の封止面411と重なり合わせる電極は相対的剛性を有する側の電極であることが好ましい。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に基づく技術は、電解、すなわち電気分解が行われる各種の電解槽に利用できる。本発明は、例えばソーダ工業に用いられる電解槽に利用でき、特に、電極による隔膜の損傷が懸念される電解槽に対して好適に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
100 電解槽
100’ 従来の電解槽
200 電解用電極
200A、200A’ 陰極
200B、200B’ 陽極
210 電極の端部
211 電極の端部エッジ
300、300’ 隔膜
400、400’ 支持体
410 支持体フレーム
411、411’ 支持体フレームの封止面
412、412’ 支持体フレームの内側縁
420 底部
500、500’ ガスケット
510、510’ ガスケットの内側縁
600 リブ
700 導電性弾性体
710 固定部
720 弾性部/双弾性部
740 取付け開口
A 陰極室
B 陽極室