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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】記録材処理装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/38 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65H31/38
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020166704
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059151
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大輝
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-137991(JP,A)
【文献】特開2012-250788(JP,A)
【文献】特開2007-099430(JP,A)
【文献】特開2013-049572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向が記録材の排出方向と交差する記録材幅方向に延びるガイド軸と、前記ガイド軸に沿って移動する揃え手段とからなる記録材処理装置であって、
前記揃え手段が、
前記ガイド軸に移動可能に嵌め合わされた軸受け部と、
前記排出方向における外側に露出して設けられ前記記録材の前記排出方向と平行な端面に前記記録材の外側から接触して前記端面の位置を揃える揃え部と、
前記軸受け部と前記揃え部とを繋ぐ腕部と、
前記腕部の面から前記ガイド軸の軸方向において前記記録材の外側に向けて装置本体の面に接触する頂部が前記揃え部よりも前記軸方向において外側になるように突出し、前記揃え手段が前記排出方向に平行な前記装置本体の面に近づいた位置で前記揃え手段に外力が加わったときに前記装置本体の面に接触する突出部と、を備えた、
ことを特徴とする記録材処理装置。
【請求項2】
前記揃え部は、前記軸受け部よりも前記ガイド軸方向の外側から前記腕部によって支えられ、前記腕部は前記軸方向に屈曲しており、前記突出部は前記腕部の前記軸方向において外側にある面から突出して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録材処理装置。
【請求項3】
前記頂部は、前記装置本体の面に接触する面が複数の面で構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録材処理装置。
【請求項4】
前記揃え部は、前記軸りに回転可能で、前記排出方向に平行な前記装置本体の面に近づいた位置が待機位置であって、前記待機位置において、前記突出部の前記装置本体の面に接触する前記頂部と前記腕部の面との間の部分に接触して前記揃え手段が回転しないように支える支え部を有する、
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の記録材処理装置。
【請求項5】
前記支え部は、前記装置本体の前面よりも前記記録材の排出方向上流側に設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載の記録材処理装置。
【請求項6】
前記支え部は、前記軸方向の断面視において略L字形状である、
ことを特徴とする請求項又はに記載の記録材処理装置。
【請求項7】
記録材に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像が形成された前記記録材に後処理を行う後処理装置と、
前記後処理装置で後処理が行われた記録材の排出方向と平行な端面の位置を揃える請求項1ないしのいずれか1項に記載の記録材処理装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送されてくるシート状媒体を排出する排出手段と、この排出手段により排出されるシート状媒体を積載するトレイと、このトレイ上に積載されたシート状媒体を仕分けるべく当該トレイを排出手段のシート状媒体排出方向と直交するシフト方向に所定量移動させて仕分け動作を行なうトレイ移動手段とを備えたシート状媒体処理装置において、トレイ上に積載されたシート状媒体を揃える揃え手段を具備し、この揃え手段は、排出手段から排出されトレイ上に積載されたシート状媒体を、排出方向と平行な当該シート状媒体の2つの端面を挟むようにして揃え部を接しさせて端面の位置を揃える揃え動作を行なう1対の揃え部材を有し、仕分け動作後に積載されたシート状媒体を、仕分け動作前に積載されたシート状媒体と異なる位置に揃えるように揃え動作を行なうシート状媒体処理装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-240295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、外部に露出した揃え手段がガイド軸方向に交差する装置本体の面の近くに位置した際に、軸受け部や揃え部が装置本体に接触する場合より、揃え手段の軸受け部の損傷や揃え手段の揃え部の変形を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の記録材処理装置は、
軸方向が記録材の排出方向と交差する記録材幅方向に延びるガイド軸と、前記ガイド軸に沿って移動する揃え手段とからなる記録材処理装置であって、
前記揃え手段が、
前記ガイド軸に移動可能に嵌め合わされた軸受け部と、
前記排出方向における外側に露出して設けられ前記記録材の前記排出方向と平行な端面に前記記録材の外側から接触して前記端面の位置を揃える揃え部と、
前記軸受け部と前記揃え部とを繋ぐ腕部と、
前記腕部の面から前記ガイド軸の軸方向において前記記録材の外側に向けて装置本体の面に接触する頂部が前記揃え部よりも前記軸方向において外側になるように突出し、前記揃え手段が前記排出方向に平行な前記装置本体の面に近づいた位置で前記揃え手段に外力が加わったときに前記装置本体の面に接触する突出部と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の記録材処理装置において、
前記揃え部は、前記軸受け部よりも前記ガイド軸方向の外側から前記腕部によって支えられ、前記腕部は前記軸方向に屈曲しており、前記突出部は前記腕部の前記軸方向において外側にある面から突出して形成されている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項記載の発明は、請求項1又は2に記載の記録材処理装置において、
前記頂部は、前記装置本体の一面に接触する面が互いに交差した複数の面で構成されている、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の記録材処理装置において、
前記揃え部は、前記軸回りに回転可能で、前記排出方向に平行な前記装置本体の面に近づいた位置が待機位置であって、前記待機位置において、前記突出部の前記装置本体の面に接触する頂部と前記腕部の面との間の部分に接触して前記揃え手段が回転しないように支える支え部を有する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項に記載の記録材処理装置において、
前記支え部は、装置本体の前面よりも前記記録材の排出方向上流側に設けられている、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項又はに記載の記録材処理装置において、
前記は、前記軸方向の断面視において略L字形状である、
ことを特徴とする。
【0013】
前記課題を解決するために、請求項に記載の画像形成システムは、
記録材に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像が形成された前記記録材に後処理を行う後処理装置と、
前記後処理装置で後処理が行われた記録材の排出方向と平行な端面の位置を揃える請求項1ないしのいずれか1項に記載の記録材処理装置と、を備えた、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、に記載の発明によれば、軸受け部や揃え部が装置本体に接触する場合より、揃え手段の軸受け部の損傷や揃え手段の揃え部の変形を抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、処理する記録材幅を広くしながら揃え部に伝わる衝撃を軽減することができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、突出部が装置本体の一面と接触したときの強度を向上させることができる。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、待機位置で揃え部に外力が加わりにくくなるようにすることができる。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、装置の外観を良くするとともに、外部から触れにくくすることができる。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、負荷がかかっても折れにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る画像形成システムを示す概略構成図である。
図2】後処理装置及び記録材処理装置の上方に視点をおいた斜視図である。
図3】記録材処理装置の全体構成を平面視で展開して示す平面模式図である。
図4】(a)は揃え装置を示す斜視図、(b)は揃え装置の揃え部の構成を説明する一部断面図である。
図5】(a)は揃え装置が装置本体側に回転した状態を示す側面図、(b)は揃え装置が揃え動作を行うように装置本体側から記録材排出方向に回転した状態を示す側面図である。
図6】揃え装置による用紙の端面の揃えを説明する図である。
図7】(a)は揃え装置が待機位置に位置する状態を平面視で示す図、(b)は側面視で示す図である。
図8】(a)は変形例の支持体を平面視で示す図、(b)は側面視で示す図である。
図9】(a)は揃え装置が揃え位置に移動する状態を側面視で示す図、(b)は平面視で示す図である。
図10】(a)は揃え位置における揃え動作を平面視で示す図、(b)は側面視で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
尚、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向とする。
【0024】
(1)画像形成システムの全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成システム1を示す概略構成図、図2は後処理装置3及び記録材処理装置5の上方に視点をおいた斜視図である。
図1に示す画像形成システム1は、記録材としての用紙Pに画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す後処理装置3と、画像形成装置2の上面に配置され画像形成装置2から排出される用紙Pを後処理装置3へ搬送する中継装置4と、後処理装置3で後処理された用紙Pの端面を揃える記録材処理装置5を備えている。
以下、図面を参照しながら、画像形成システム1の全体構成及び動作について説明する。
【0025】
(1.1)画像形成装置の構成と動作
図1に示すように、画像形成装置2は、画像形成部10と、画像形成部10の下方に装着された給紙装置20と、画像形成部10の上部に装着された読取装置30と、操作表示部40と、制御装置50と、画像形成部10の左側方に装着された手差し給紙装置70と、を備えて構成されている。
【0026】
画像形成部10は、露光装置12、感光体ユニット13、現像装置14、転写装置15、定着装置16を備えて構成され、画像情報を給紙装置20又は手差し給紙装置70から送り込まれた用紙P上にトナー像として形成する。
【0027】
読取装置30は、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等のイメージセンサ(不図示)で、シートの画像を読み取り、画像を電気信号である画像データに変換する。
【0028】
読取装置30の前面側には、ユーザーインターフェイスである操作表示部40が配置されている。操作表示部40は、液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成され、画像形成装置2の利用者は、操作表示部40を介して各種の設定や指示の入力を行う。また、液晶表示パネルを介して画像形成装置2の利用者へ各種情報を表示する。
【0029】
制御装置50は、画像形成装置2の動作を制御する画像形成制御部501と、印刷処理要求に応じた画像データを準備する画像処理部502、電源装置503等を有する。画像処理部502は、外部の情報送信装置(例えばパーソナルコンピュータ等)から入力された印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して予め設定されたタイミングで、駆動信号を露光装置12に出力する。本実施形態の露光装置12は、LED(Light Emitting Diode)が線状に配置されたLEDヘッドにより構成されている。
電源装置503は、感光体ユニット13、現像装置14、転写装置15等に画像形成のための所定の高圧電圧を印加するとともに、露光装置12及び定着装置16等に電力を供給する。
【0030】
給紙装置20は、多数の用紙Pを収容し、規制板(不図示)で幅方向が位置決めされた用紙Pを、上側から1枚ずつ用紙引き出し部22により前方(-X方向)に引き出してレジストローラ対23のニップ部まで搬送する。
【0031】
手差し給紙装置70は、開閉部材90に対して折りたたみ可能で、非定形サイズの用紙、特定の厚紙、ハガキ、通常サイズよりも長さが長い長尺シート、プラスチックフィルム等の給紙装置20では給送しにくい記録材をレジストローラ対23のニップ部まで送り出す。
【0032】
給紙装置20又は手差し給紙装置70から送り出された用紙Pはレジストローラ対23まで搬送され、レジストローラ対23で先端が整列された状態で二次転写ニップ部へ搬送される。
【0033】
感光体ユニット13は、給紙装置20の上方にそれぞれが並列して設けられ、回転駆動する感光体ドラム31を備えている。露光装置12により静電潜像が形成されたそれぞれの感光体ドラム31上には、それぞれの現像装置14によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像が形成される。
【0034】
各感光体ユニット13の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、転写装置15の中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、レジストローラ対23から送り出され搬送ガイドにより案内された用紙Pに二次転写ローラ52によって一括転写される。
【0035】
定着装置16は一対の加熱モジュール61と加圧モジュール62を有し、加熱モジュール61と加圧モジュール62の圧接領域に定着ニップ部NP(定着領域)が形成されている。転写装置15においてトナー像が一括転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で定着装置16の定着ニップ部NPに搬送され、加熱と圧着の作用でトナー像が定着される。
【0036】
定着トナー像が形成された用紙Pは、切り替えゲートG1、G2によってガイドされ、上下に並べて配置された排出ローラ対のうち、下側の第1排出ローラ対63から画像形成装置2の胴内Sに配置された中継装置4へ排出される。また、切り替えゲートG1の位置を切り替えて上側の第2排出ローラ対64から中継装置4の上面4aに排出される。
【0037】
(1.2)後処理装置、中継装置及び記録材処理装置の構成と動作
中継装置4は、画像形成装置2の第1排出ローラ対63を介して出力される用紙Pを受け取る入口ローラ41と、入口ローラ41で受け取られた用紙Pを下流側へと搬送する第1搬送ローラ42、42と、後処理装置3に向けて用紙Pを搬送する第2搬送ローラ43とを有する。
【0038】
後処理装置3は、中継装置4を介して画像形成装置2から出力された用紙Pを受け取る受け取りローラ301と、用紙Pを複数枚集めて収容するコンパイルトレイ310と、コンパイルトレイ310に向けて用紙Pを排出する一対のローラである排出ローラ302と、用紙Pをコンパイルトレイ310のエンドガイド310bに向けて押し込むよう回転するパドル303と、コンパイルトレイ310上で用紙Pの端部を揃えるためのタンパ305と、を備えている。
【0039】
さらに、後処理装置3は、コンパイルトレイ310に集積された複数枚の用紙からなる用紙束の端部を綴じる綴じ機構320を有している。
コンパイルトレイ310上で束ねられた用紙束や、綴じ機構320で綴じられた用紙束はイジェクトローラ304によって搬送、排出される。
【0040】
後処理装置3の側面側には、イジェクトローラ304によって排出された用紙束を使用者が取りやすいように上下に昇降(Z方向:図1中 矢印参照)して積み重ねるスタッカトレイTRを備える。
【0041】
イジェクトローラ304の上方には、後処理装置3の筐体内に、イジェクトローラ304によってスタッカトレイTR上に排出された用紙束の端面を揃える記録材処理装置5が一体的なユニットとして配置されている。記録材処理装置5は、用紙Pの排出方向と交差する用紙Pの幅方向に延びるガイド軸510と、ガイド軸510に移動可能に保持された揃え手段としての揃え装置520からなり、図2に示すように、揃え装置520の揃え部523がスタッカトレイTR上に排出される用紙Pの外側から端面Paに接触して用紙Pの端面Paを揃えるようになっている(Y方向:図2中 矢印R参照)。
【0042】
(2)記録材処理装置
図3は記録材処理装置5の全体構成を平面視で展開して示す平面模式図、図4(a)は揃え装置520を示す斜視図、(b)は揃え装置520の揃え部523の構成を説明する一部断面図、図5(a)は揃え装置520が装置本体側に回転した状態を示す側面図、(b)は揃え装置520が揃え動作を行うように装置本体側から記録材排出方向に回転した状態を示す側面図、図6は揃え装置520による用紙Pの端面Paの揃えを説明する図である。
以下、図面を参照しながら、記録材処理装置5の構成と作用について説明する。
【0043】
(2.1)記録材処理装置の全体構成
記録材処理装置5は、図3に示すように、軸方向が用紙Pの排出方向と交差(直交)する用紙幅方向(Y、-Y方向)に延びるガイド軸510と、ガイド軸510に沿って移動する揃え手段としての揃え装置520と、からなる。
【0044】
ガイド軸510は、金属製のシャフトからなる第1ガイド軸511と第2ガイド軸512からなり両端部は装置本体に固定されている。第1ガイド軸511には、支持台513が摺動可能に嵌合し、支持台513の一端513aは第1ガイド軸511の軸方向にプーリ514で張架されたタイミングベルト515に固定されている。プーリ514の一つは、モータM1の回転軸に連結され、モータM1が回転することでタイミングベルト515が回動して第1ガイド軸511に沿って支持台513が移動するようになっている。
【0045】
第2ガイド軸512は、第1ガイド軸511と平行に配置され、揃え装置520が互いに向かい合うように左右一対で支持台513に支持されて摺動可能に嵌合している。これにより、モータM1の回転で支持台513が第1ガイド軸511の軸方向に移動すると、揃え装置520が第2ガイド軸512に沿ってその間隔を狭めたり拡げたりするように移動するようになっている。
【0046】
揃え装置520は、第2ガイド軸512に摺動しながら移動可能に嵌め合わされる軸受け部521と、排出方向(X方向)における外側に露出して設けられ用紙Pの排出方向と平行な端面Paに外側(-Y方向)から接触して端面Paの位置を揃える揃え部523と、軸受け部521と揃え部523とを繋ぐ腕部522と、腕部522の面522c(図4(a)に図示)から第2ガイド軸512の軸方向において用紙Pの外側に向けて突出した突出部524とが一体となって構成されている。
本実施形態においては、腕部522の面522cから突出した突出部524の頂部524aが、揃え装置520が排出方向に平行な装置本体の面5a(図3において破線で示す)に近づいた位置で揃え装置520に外力が加わったときに装置本体の面5aに先に接触することで軸受け部521の損傷や揃え部523の変形を抑制するようになっている。
【0047】
図4(a)に示すように、腕部522は、軸受け部521より用紙Pの端面Paから軸方向に離れる方向(-Y方向)に位置するように屈曲した第1腕部522Aと、第1腕部522Aから一体で連続して揃え部523を支持する第2腕部522Bからなり、軸受け部521、第1腕部522A、第2腕部522B、揃え部523の受け部523A、突出部524は、POM(ポリアセタール)等の合成樹脂で一体として形成されている。
【0048】
揃え部523は、図4(b)に示すように、第2腕部522Bの一端から連続して一体的に形成された受け部523Aに対して、用紙Pの端面Paに接触する平坦面を有する接触部523aが軸部523bで受け部523Aの挿通孔523Aaに移動可能に挿通され、スプリング523cを介して用紙Pの端面Paに向け付勢された状態でネジ523dで取り付けられている。
【0049】
このように揃え部523は、接触部523aが受け部523Aに対してスプリング523cで移動可能に付勢され第2ガイド軸512の軸方向に厚みがある二重構造となっているが、受け部523Aを支持する第2腕部522Bが第1腕部522Aで第2ガイド軸512の軸方向に湾曲しているために、より外側から接触して用紙Pの端面Paを揃えることができる。また、揃え部523を二重構造としない場合には、揃え部523は薄くなるため、さらに外側から接触して用紙Pの端面Paを揃えることができる。
【0050】
また、揃え部523は、軸受け部521に対して第2ガイド軸512の軸方向において外側に位置している。これにより、処理する用紙の用紙幅をより広くしながら記録材処理装置5の幅方向を小型化することができる。
【0051】
第2ガイド軸512には回転プレート516が固定されている。図3に示すように、第2ガイド軸512の一端にはプーリ517が固定されタイミングベルト518でモータM2と連結されている。これにより、モータM2が所定パルス数分回転することで第2ガイド軸512が回転し、同時に回転プレート516が回転する。図5(a)に示すように、回転プレート516が回転する(図5(a)中 矢印R2で示す)と、回転プレート516の曲げ部516aが第1腕部522Aに下方(-Z方向)から接触して第1腕部522Aを持ち上げることで揃え部523が装置本体側へ回転する(図5(a)中 矢印R3で示す)。
【0052】
揃え装置520が排出された用紙Pの揃え動作を行うときは、揃え部523が装置本体側へ回転した状態で軸方向(-Y方向、Y方向)に所定距離移動したあと、モータM2が所定パルス数逆回転することで第2ガイド軸512が逆回転し、同時に回転プレート516が逆回転する。回転プレート516が逆回転する(図5(b)中 矢印R4で示す)と、図5(b)に示すように、回転プレート516の曲げ部516aが第1腕部522Aから離間し、揃え部523は自重で下方(-Z方向)に回転して用紙Pの端面Paと対向する状態になる(図5(b)中 矢印R5で示す)。
【0053】
このように構成される揃え部523を有する一対の揃え装置520が、図6に示すように、第2ガイド軸512に沿って用紙Pの端面Paに向かって移動し接触部523aが用紙Pの端面Paに食い込むように(図5中 sで示す)接触すると、接触部523aはスプリング523cを受け部523A側に押し込んだ状態で用紙Pの端面Paを揃えるように作用する。
【0054】
(2.2)揃え動作
図7(a)は揃え装置520が待機位置に位置する状態を平面視で示す図、(b)は側面視で示す図、図8(a)は変形例の支持体526Aを平面視で示す図、(b)は側面視で示す図、図9(a)は揃え装置520が揃え位置に移動する状態を側面視で示す図、(b)は平面視で示す図、図10(a)は揃え位置における揃え動作を平面視で示す図、(b)は側面視で示す図である。
【0055】
(2.2.1)待機位置
記録材処理装置5は、後処理装置3から排出される用紙PをスタッカトレイTR上に受け入れる際は、待機位置で待機している。待機位置は、図7(a)に示すように、揃え装置520が用紙Pを受け入れることができる所定の対向間隔Wをあけるように揃え装置520の揃え部523が排出される用紙Pの端部Paから第2ガイド軸512の軸方向に最も離れた位置である。
【0056】
揃え装置520は第2ガイド軸512の軸りに回転プレート516を介して回転可能であり、揃え動作が終了した場合は、揃え部523を装置本体側へ回転させた状態で待機位置に移動する。そして、待機位置においては、図7(b)に示すように、揃え部523が装置本体側に垂直に近い位置まで回転して揃え部523が用紙Pの排出方向に向かって大きく突出しないようになっている。これにより、揃え部523は外部から触られにくく、外観上もコンパクトに見える。
【0057】
揃え部523は、第2ガイド軸512に固定された回転プレート516が回転することで第1腕部522Aが下方から押し上げられて装置本体側へ回転した状態を維持するが、揃え部523に外力が加わった場合、回転プレート516に負荷がかかり、これを回転させるモータM2にも負荷がかかることになる。
また、揃え部523に外力が加わった場合に、図5(a)の位置よりも回転プレート516が-R2方向に回転してしまった際には、例えば図5(a)から図5(b)への移動が回転プレート516の回転量のみを制御する場合などは、図5(b)の位置も変化してしまう可能性がある。そうすると、揃え部523と用紙側面の位置関係が変化してしまい、揃えにくくなる虞もある。
【0058】
本実施形態においては、装置本体の用紙Pの排出方向に平行な面5aの排出方向上流側には、図7に示すように、軸方向(Y方向)に突出する支え部526が設けられている。支え部526は、図7(b)に示すように、断面視で略L字形状で、待機位置で突出部524の頂部524aと第2腕部522Bの面522cとの間の部分524bに下方から接触して(図7(b)中 矢印Aで示す)揃え装置520が自重で揃え位置へ回転しないように支えている。
【0059】
支え部526は、図8に示すように、装置本体の面5aから軸方向(Y方向)に長く突出するように形成し、第2腕部522Bの下面522Baを受けるようにしてもよい。突出部524に代えて、第2腕部522Bを直接支えることで突出部524の変形を防止することができる。
【0060】
支え部526は、装置本体の用紙Pの排出方向に平行な面5aの排出方向上流側に設けられているために、装置の外観を良くするともに、外部から触れにくくなっている。また、支持体526は、断面視で略L字形状に形成されているために、揃え装置520が自重で回転するような負荷がかかっても折れにくくなっている。
【0061】
このように、待機位置は、揃え装置520の揃え部523が排出される用紙Pの端面Paから第2ガイド軸512の軸方向に最も離れた位置であり、揃え部523が装置本体側に回転して用紙Pの排出方向に向かって大きく突出しない位置となっていることから、外部から触れにくい位置となっている。
【0062】
また、待機位置においては、図7(b)に示すように、揃え部523は装置本体側に回転した状態でも装置本体の面5aとは対向せず、揃え部523の接触部523aを受け部523Aに取り付けているネジ523dの頂部は装置本体の面5aとは干渉しないようになっている。
【0063】
揃え部523の先端付近には、図7(b)に示すように、弾性部材525が設けられている。弾性部材525は、例えばフォーム材で形成され、揃え装置520が装置本体側に回転した際に装置本体の面5bと接触し、装置本体の損傷を抑制している。
【0064】
待機位置においては、揃え装置520に外力が加わったときに突出部524の頂部524aが装置本体の用紙Pの排出方向に平行な面5aに接触するようになっている。頂部524aは、図4(a)に示すように複数の面からなるコの字状であり、突出部524が面5aと接触したときの強度を向上させている。尚、突出部524は全体を中抜きされた角柱状として、頂部524aが4つの面からなる四角形状としてもよい。また、突出部524は円柱状としてもよい。この場合、円柱は必要以上に剛性が高くならないように中空とすることが好ましい。
【0065】
また、上記実施例では、頂部524aが面5aに接する一定程度の面を備えている例を示したが、面5aに接触するのが点となるような頂部524aでもよい。頂部524が点で面5aと接触する場合の具体例としては、突出部524を半円形状としてもよい。半円形状にした場合は、522cからの突出量が少なくなるので、その場合の回転止めは別の部分で受けるてもよい。
【0066】
突出部524は揃え装置520の装置本体の面5aに対向する部分のなかで最も外側に突出しており、図7(a)に示すように、揃え部523に外力(図7(a)中 矢印Fで表示)が加わると、突出部524の頂部524aが装置本体の面5aに先に接触する(図7(a)中 矢印fで表示)ようになっている。そのために、軸受け部521や揃え部523の受け部523Aが装置本体の面5aに接触することはなく、軸受け部521の損傷や揃え部523の変形を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態においては、突出部524が揃え部523の受け部523Aから突出せず、受け部523Aよりも剛性が低い第2腕部522Bの面522cから突出しているために、突出部524の頂部524aが装置本体の面5aに接触した際の音が小さく、第2腕部522Bが第1腕部522Aの一端を基端としてしなりやすく変形を吸収しやすくなっている。また、揃え部523へ衝撃が伝わりにくくなっている。
【0068】
(2.2.2)揃え位置への移動
待機位置からスタッカトレイTR上に排出される用紙Pの端面Paに外側から接触して用紙Pの端面Paを揃える揃え位置へ移動する場合、図9(a)に示すように、まず回転プレート516が回転して(図9(a)中 矢印R6で示す)揃え部523を装置本体側へ回転させる(図9(a)中 矢印R7で示す)ことで、突出部524の支え部524bを装置本体の面5aに設けられた支持体526から離間させる(図9(a)中 rで示す)。
【0069】
そして、図9(b)に示すように、揃え部523が装置本体側へ回転した状態で軸方向(-Y方向、Y方向)に所定位置まで移動したあと、回転プレート516が逆回転すると、回転プレート516の曲げ部516aが第1腕部522Aから離間し、揃え部523は自重で下方(-Z方向)に回転して用紙Pの端面Paと対向する状態になる。
【0070】
(2.2.3)揃え動作
揃え部523が揃え位置に移動した場合、図10に示すように、揃え部523の接触部523aが外側から用紙Pの端部Paをたたくように接触して用紙Pの揃えを行う。
【0071】
(2.2.4)待機位置への移動
揃え動作が終了すると、回転プレート516が回転して揃え部523を装置本体側へ回転させた状態にして待機位置に移動する。
揃え部523が待機位置へ移動すると、回転プレート516が逆回転し、揃え部523は自重で下方(-Z方向)に回転して突出部524の頂部524aと第2腕部522Bの面522aとの間の部分524bが支え部526と接触して揃え装置520が自重で揃え位置へ回転しないように支えている。
【0072】
待機位置では揃え部523に外力が加わると、突出部524の頂部524aが装置本体の面5aに先に接触することで、軸受け部521や揃え部523の受け部523Aが装置本体の面5aに接触することはなく、軸受け部521の損傷や揃え部523の変形を抑制するようになっている。
【0073】
上述した実施形態においては、腕部522が第1腕部522Aと第2腕部522Bからなる場合を説明したが、腕部522が一直線上のものであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1・・・画像形成システム
2・・・画像形成装置
3・・・後処理装置
4・・・中継装置
5・・・記録材処理装置
510・・・ガイド軸
511・・・第1ガイド軸
512・・・第2ガイド軸
516・・・回転プレート
520・・・揃え装置
521・・・軸受け部
522・・・腕部
522A・・・第1腕部
522B・・・第2腕部
523・・・揃え部
523A・・・受け部
523a・・・接触部
523b・・・軸部
524・・・突出部
524a・・・頂部
525・・・弾性体
526・・・支え部
TR・・・スタッカトレイ
図1
図2
図3
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図8
図9
図10