(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給送機構、画像形成装置及び給送トレイ
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20250109BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20250109BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20250109BHJP
B65H 16/02 20060101ALI20250109BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20250109BHJP
B65H 19/12 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65H1/26 310Z
B65H3/44 G
B65H1/04 320A
B65H16/02
B41J15/04
B65H19/12 B
(21)【出願番号】P 2020219781
(22)【出願日】2020-12-29
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】野田 憲吾
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-012167(JP,A)
【文献】特開2010-099852(JP,A)
【文献】特開平06-179277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/26
B65H 3/44
B65H 1/04
B65H 16/02
B41J 15/04
B65H 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な給送トレイを備えた給送機構であって、
前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体であるロール媒体が、その巻き解かれる方向と直交する方向である幅方向に関して少なくとも1つの凸形状を有する曲げ形状となるように、前記ロール媒体を曲げる曲げ機構
と、
前記ロール媒体と接触して前記ロール媒体を送り出す給送ローラと、を備えており、
前記曲げ機構は、少なくとも前記ロール媒体における前記給送ローラと接触する部分が凸形状となるように前記ロール媒体を曲げることを特徴とする給送機構。
【請求項2】
前記曲げ機構は、前記給送ローラによる前記ロール媒体の搬送方向に関して前記給送ローラよりも上流側において前記ロール媒体を曲げることを特徴とする請求項
1に記載の給送機構。
【請求項3】
前記給送ローラは、前記ロール媒体における前記幅方向の中央部に接触することを特徴とする請求項
1又は2に記載の給送機構。
【請求項4】
前記曲げ機構は、前記ロール媒体の前記幅方向の中央部において前記ロール媒体の下面と当接可能な第1平面と、前記幅方向に関して前記第1平面の両側にそれぞれ位置しており、前記ロール媒体を押し下げ可能な一対の第2平面と、を有していることを特徴とする請求項
3に記載の給送機構。
【請求項5】
積層状態の複数のシート状媒体を下方から支持する支持部材をさらに備えており、
前記ロール体から巻き解かれた前記ロール媒体は、前記支持部材の下方を通り、
前記第2平面は、前記支持部材の下面に設けられていることを特徴とする請求項
4に記載の給送機構。
【請求項6】
前記曲げ機構は、前記第1平面における前記給送ローラによる前記ロール媒体の搬送方向の上流側の端部に繋がっており且つ前記搬送方向の上流側に向かって次第に下方に向かうように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする請求項
4又は5に記載の給送機構。
【請求項7】
前記曲げ機構は、前記幅方向に関して前記一対の第2平面の両側にそれぞれ位置しており、前記ロール媒体を押し上げ可能な一対の第3平面を有していることを特徴とする請求項
4~6のいずれか1項に記載の給送機構。
【請求項8】
前記第1平面の高さ位置は、前記第3平面の高さ位置よりも高いことを特徴とする請求項
7に記載の給送機構。
【請求項9】
前記幅方向に離隔して設けられた一対のサイドガイドであって、前記ロール媒体の前記幅方向の端と当接可能な側部当接面と、前記側部当接面と接続されており且つ前記ロール媒体の下面と当接可能な下部当接面と、を有するサイドガイドをさらに備えており、
前記第3平面は、前記サイドガイドの前記下部当接面であることを特徴とする請求項
7又は8に記載の給送機構。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の給送機構を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
シート状媒体がロール状に巻回されたロール体
から巻き解かれたシート状媒体であるロール媒体を送り出す給送ローラを備えた給送機構に設けられ、前記ロール体を収容可能な給送トレイであって、
前
記ロール媒体が、その巻き解かれる方向と直交する方向である幅方向に関して少なくとも1つの凸形状を有する曲げ形状となるように、前記ロール媒体を曲げる曲げ機構を備えて
おり、
前記曲げ機構は、少なくとも前記ロール媒体における前記給送ローラと接触する部分が凸形状となるように前記ロール媒体を曲げることを特徴とする給送トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能である給送トレイを備えた給送機構、画像形成装置及び給送トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているファクシミリ(画像形成装置)は、ロール紙(ロール媒体)用の支持部が設けられており、ロール紙を収容可能な給紙カセット(記録媒体カセット)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート状媒体がロール状に巻回されたロール体から巻き解かれたロール媒体は、長手方向に関してカールしている。長手方向に関してカールしたロール媒体は、その先端が搬送中の周囲の部材に引っかかったり、ジャムの原因となったりして、搬送が不安定となるおそれがある。また、ロール媒体の腰が弱い場合は、より搬送が不安定となりやすい。
【0005】
本発明の目的は、ロール体から巻き解かれたロール媒体の搬送の不安定化を抑えることができる給送機構、画像形成装置及び給送トレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給送機構は、シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な給送トレイを備えた給送機構であって、前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体であるロール媒体が、その巻き解かれる方向と直交する方向である幅方向に関して少なくとも1つの凸形状を有する曲げ形状となるように、前記ロール媒体を曲げる曲げ機構を備えている。
【0007】
本発明の画像形成装置は、上述の給送機構を備えている。
【0008】
本発明の給送トレイは、シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能な給送トレイであって、前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体であるロール媒体が、その巻き解かれる方向と直交する方向である幅方向に関して少なくとも1つの凸形状を有する曲げ形状となるように、前記ロール媒体を曲げる曲げ機構を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給送機構、画像形成装置及び給送トレイによると、曲げ機構により、ロール体から巻き解かれたロール媒体を曲げ形状とすることで、ロール媒体の長手方向に関するカールを抑えることができる。また、ロール媒体の腰を高めることができる。したがって、ロール媒体の搬送の不安定化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【
図3】
図2に示す給送トレイのIII-III線に沿う断面図である。
【
図5】(a)は
図4に示す給送トレイのVa-Va線に沿う断面図であり、(b)は
図4に示す給送トレイのVb-Vb線に沿う断面図である。
【
図6】第1変形例にかかる給送トレイの断面図である。
【
図7】第2変形例にかかる給送トレイの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な一実施形態に係るプリンタ100(本発明の画像形成装置)について、
図1を参照しつつ、以下に説明する。なお、
図1に示す上下方向、前後方向及び左右方向を、プリンタ100の上下方向、前後方向及び左右方向とする。
【0012】
(プリンタ100の全体構成)
プリンタ100は、筐体100a、給送機構3、搬送機構4、カッター5、ヘッド6、排紙トレイ7及び制御部10を主に備えている。給送機構3は、給送トレイ1、給送ローラ2及び分離片31を有している。給送トレイ1は、筐体100aの下部に着脱可能である。給送トレイ1は、筐体100a内においてヘッド6の下方に配置されている。排紙トレイ7は、筐体100a内においてヘッド6の前方であって、給送トレイ1の上方に配置されている。給送トレイ1は、筐体100aの前壁に形成された開口101を介して筐体100aに対して前後方向に沿って挿抜可能である。排紙トレイ7は、筐体100aの前壁に形成された開口102を介して筐体100aに対して前後方向に沿って挿抜可能である。
【0013】
給送トレイ1は、カット紙Kp及びロール体Rの両方を共に収容可能であり、ロール体Rを収容可能な第1収容部8と、上下方向に積層された複数のカット紙Kpを収容可能な第2収容部9と、を有している。ロール体Rは、円筒状の芯部材Rcの外周面に、用紙がロール状に巻回されたものである。給送トレイ1内のカット紙Kp及びロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpの幅方向は、左右方向と一致している。
【0014】
給送ローラ2は、第1収容部8に収容されたロール体Rから巻き解かれたロール紙Rp又は第2収容部9に収容されたカット紙Kpを給送トレイ1から送り出す。以降の説明において、カット紙Kpとロール紙Rpとを区別しない場合には、「用紙P」と称する。給送ローラ2は、アーム2aの先端に軸支されており、図示しない給送モータの駆動により回転する。アーム2aは、支軸2bに回動自在に支持されている。アーム2aは、図示しない付勢部材により給送ローラ2が給送トレイ1の底面に近づくように付勢されている。給送ローラ2は、給送トレイ1に収容されたロール紙Rp又はカット紙Kpにおける幅方向の中央部に接触する。
【0015】
制御部10の制御により給送モータが駆動されると、給送ローラ2が回転して、給送ローラ2と接触する用紙Pに対して前方から後方に向かう方向の搬送力が付与される。これにより、用紙Pが給送トレイ1から送り出される。なお、アーム2aは、給送トレイ1を筐体100aに対して脱着する際に上方へ退避可能に構成されている。
【0016】
分離片31は、給送トレイ1からカット紙Kpを送り出す際に重送を防ぐためのものである。分離片31は、給送ローラ2による用紙Pの搬送方向(前方から後方に向かう方向:以降の説明においては単に「搬送方向」と称する)に関して、給送トレイ1の下流側に位置している。分離片31は、後方側の端部が前方側の端部よりも上方に位置するように傾斜している。分離片31の表面には、細かい凹凸パターンが形成されている。分離片31は、カット紙Kpの幅方向の中央部と接触し、給送ローラ2と接触するカット紙Kpとそれ以外のカット紙Kpとを分離する。給送トレイ1から送り出されて分離片31に接触した用紙Pは、斜め上方に案内される。
【0017】
搬送機構4は、中間ローラ対41、搬送ローラ対42、排紙ローラ対43及びガイド部材44を有している。中間ローラ対41は、図示しない中間モータの駆動により回転する駆動ローラと駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。制御部10の制御により図示しない中間モータが駆動されると、中間ローラ対41が用紙Pを挟持しつつ回転して用紙Pを搬送する。中間ローラ対41は、分離片31の上方に位置している。中間ローラ対41は、給送ローラ2によって給送トレイ1から送り出された後に分離片31によって斜め上方に案内される用紙Pを挟持しつつ上方に搬送する。ガイド部材44は、中間ローラ対41の上方に位置している。ガイド部材44は、中間ローラ対41によって上方に搬送される用紙Pを前方に案内する。
【0018】
搬送ローラ対42は、図示しない搬送モータの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。排紙ローラ対43は、図示しない排紙モータの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。制御部10の制御により図示しないの搬送モータ及び排紙モータが駆動されると、搬送ローラ対42及び排紙ローラ対43が用紙Pを挟持しつつ回転して用紙Pを搬送する。搬送ローラ対42はヘッド6の後方に位置しており、排紙ローラ対43はヘッド6の前方に位置している。搬送ローラ対42は、ガイド部材44によって前方に案内された用紙Pを挟持しつつ前方に搬送する。排紙ローラ対43は、搬送ローラ対42によって前方に搬送される用紙Pを挟持しつつ前方に搬送する。
【0019】
カッター5は、分離片31と中間ローラ対41との間に位置している。カッター5は、例えば円板状の回転刃及び従動刃からなる。カッター5は、図示しない切断モータの駆動により回転刃が回転し、且つ、左右方向に沿って往復移動する。ロール体Rから巻き解かれて搬送されたロール紙Rpは、制御部10の制御により切断モータが駆動されることで、カッター5によりロール紙Rpの幅方向に切断される。
【0020】
ヘッド6は、下面に形成された複数のノズル(図示せず)と、図示しないドライバICとを含む。制御部10の制御によりドライバICが駆動されると、ノズルからインクが吐出され、搬送機構4によって搬送された用紙Pがヘッド6の下面と対向する画像形成位置を通過するときに、用紙Pに対して画像が形成される。なお、ヘッド6は、位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式、及び、左右方向に移動しつつノズルからインクを吐出するシリアル式のいずれでもよい。ヘッド6により画像が形成された用紙Pは、排紙トレイ7に受容される。
【0021】
制御部10は、内部バス(図示せず)を介して、給送モータ、中間モータ、搬送モータ、排紙モータ、切断モータ及びドライバICと接続されている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。ROMには、CPUが各種制御を行うためのプログラムやデータが格納されている。RAMは、CPUがプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。
【0022】
(給送トレイ1の構成)
次に、
図2~
図5を参照しつつ、給送トレイ1の構成について説明する。以下の説明においては、筐体100aに装着された状態の給送トレイ1の姿勢をもとに、給送トレイ1の各部の方向を説明する。給送トレイ1は、上面視で略四角形状を有している。給送トレイ1は、底壁11と、底壁11の縁に設けられた側壁12~15とを有しており、上方に開口した箱状に形成されている。
【0023】
底壁11は、
図3及び
図5(a)、(b)に示すように、上下方向と直交する面内に延びている。底壁11の上面は、給送トレイ1の底面11aとなっている。側壁12、13は、底壁11の左右の両端縁から上方に延びている。また、側壁12、13は、底壁11の前端部から後端部まで前後方向に沿って延びている。側壁14は、底壁11の前方の端縁から上方に延びている。さらに、側壁14は、底壁11の右端部から左端部まで左右方向に沿って延びている。
【0024】
側壁15は、底壁11の後方の端縁に4つ設けられている。側壁15は、底面11aの後端部に繋がっており且つその上端部が下端部よりも後方に位置するように傾斜しているガイド面15aを有している。4つの側壁15は、左右方向に互いに離隔している。
図2に示すように、給送トレイ1が筐体100aに装着されたとき、左右方向に並んだ4つの側壁15のうちの内側に位置する2つの側壁15の間に、分離片31が位置する。側壁15のガイド面15aは、分離片31と共に、給送ローラ2によって後方に搬送される用紙Pを斜め上方に案内する。
【0025】
底壁11の後端部における左右方向の中央部には、上方に突出する凸部16が形成されている。凸部16の上面16aは、水平な面となっている。上面16a上に用紙Pがない場合は、
図3に示すように、給送ローラ2は上面16aに接触する。上面16aに用紙Pがある場合には、給送ローラ2は用紙Pと接触する。すなわち、搬送方向に関して凸部16の上面16aが設けられている位置が、給送ローラ2が用紙Pに搬送力を付与する搬送位置となっている。
【0026】
搬送方向に関して上面16aの上流側には、上面16aに繋がっており且つ搬送方向の上流側に向かって次第に下方に向かうように傾斜した傾斜面16bが設けられている。
図3に示すように、傾斜面16bにおける搬送方向の上流側の端部の高さ位置は、給送トレイ1の底面11aの凸部16が形成されている部分以外の部分の高さ位置と同じとなっている。
【0027】
給送トレイ1は、一対の側壁12、13の内側に配置されており、左右方向に互いに離隔する一対のサイドガイド17を有している。一対のサイドガイド17は、前後方向に関して凸部16の上面16aと部分的にオーバーラップしている。サイドガイド17は、左右方向に移動可能となるように底壁11に支持されており、左右方向に互いに対向して配置されている。一方のサイドガイド17と他方のサイドガイド17とは、例えば、互いに対向するラックと両ラックに噛み合うピニオンからなる公知の連動機構(図示せず)により、互いに離接する方向に連動移動可能となっている。なお、本実施形態のサイドガイド17はセンターレジ方式であり、サイドガイド17によりガイドされた用紙Pは、その幅方向の中心が給送トレイ1の左右方向の中心と一致する。
【0028】
サイドガイド17は、側壁12、13と平行な第1部分17aと、底壁11と平行な第2部分17bからなる。
図5(b)に示すように、第2部分17bは、第1部分17aの下端部から、対向するサイドガイド17側に向かって右方又は左方に向かって延びている。一対のサイドガイド17の各第1部分17aの対向する面は、用紙Pの幅方向の端と当接可能な側部当接面18となっている。一対のサイドガイド17の側部当接面18により用紙Pをガイドすることで、給送トレイ1内における用紙Pの左右方向に関する位置決めを行うことができる。一対のサイドガイド17の第2部分17bの上面は、用紙Pの下面と当接する下部当接面19となっている。下部当接面19は、側部当接面18の下端に接続されている。
【0029】
給送トレイ1は、上述のように、ロール体Rを収容可能な第1収容部8と、上下方向に積層された複数のカット紙Kpを収容可能な第2収容部9と、を有している。第1収容部8と第2収容部9とは、搬送方向に沿って並んでいる。第2収容部9は、第1収容部8よりも搬送方向の下流側に位置している。
【0030】
第1収容部8は、ロール体Rを、その軸方向が左右方向に一致する姿勢で収容する。第1収容部8に収容されたロール体Rは、前後方向に巻き解かれる。第1収容部8は、
図3に示すように、ロール体Rを支持する支持台81と2つのローラ81a、81bとを有している。支持台81は、左右方向に沿って延びている。ローラ81a、81bは、いずれも左右方向に延びており、前後方向に互いに離隔して配置されている。ローラ81a、81bは、いずれも左右方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能に支持台81の上端部に支持されている。ローラ81a、81bは、ロール体Rの下側部分の外周面と接触した状態で当該ロール体Rを下方から支持する。
【0031】
支持台81の下面と給送トレイ1の底面11aとの間には、すき間Gが形成されている。後述するように、給送トレイ1にロール紙Rpをセットする際、支持台81に支持されたロール体Rは、
図3中時計回りに回転させられ、ロール体Rの前方側部分からロール紙Rpが引き出される。そして、ロール体Rから引き出されたロール紙Rpは、すき間Gを通って支持台81の前方側から支持台81の後方側まで引き出される。
【0032】
第1収容部8は、
図3に示すように、支持台81に支持されたロール体Rの後方を覆う後方部分82aと、支持台81に支持されたロール体Rの上方を覆う上方部分82bとからなるカバー82を有している。後方部分82aは、支持台81に支持されたロール体Rの後方に位置しており、前後方向と直交する面内に延びる。上方部分82bは、後方部分82aの上端部に接続されている。上方部分82bは、支持台81に支持されたロール体Rの上方に位置しており、上下方向と直交する面内に延びる。カバー82は、後方部分82aの下端部に位置する左右方向に沿って延びる回動軸(図示せず)を中心に後方側に回動可能である。
図3に示すように支持台81に支持されたロール体Rを覆う位置にあるカバー82を、後方側に回動させることで、支持台81の上方のロール体Rの収容空間を露出させることができる。
【0033】
第2収容部9は、積層状態で載置される複数のカット紙Kpを下方から支持する支持板91(本発明の「支持部材」に相当する)を有している。なお、第1収容部8に収容されたロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpを給送トレイ1から送り出して画像の形成を行う場合には、第2収容部9からカット紙Kpを取り除く。
【0034】
支持板91は、搬送方向に関して前方側の端部に位置しており左右方向に沿って延びる回動軸91aを中心に上下に回動可能である。回動軸91aは、カバー82の後方部分82aよりも搬送方向の下流側において、後方部分82aの近傍に位置している。支持板91は、回動軸91aから搬送方向の下流側に向けて、給送トレイ1の底壁11における搬送方向の下流側の端部の位置まで延びている。
【0035】
ここで
図3に示すように、給送トレイ1の側壁12には、上下方向に長尺な楕円形状を有する開口12aが形成されている。支持板91の回動軸91aの一端部(右端部)は、側壁12の開口12aに差し込まれている。同様に、側壁13には、支持板91の回動軸91aの他端部(左端部)が差し込まれる上下方向に長尺な楕円形状を有する開口(図示せず)が形成されている。回動軸91aは、側壁12の開口12a及び側壁13の開口(図示せず)内で上下に移動可能である。
【0036】
側壁12、13には、支持板91の下方への回動を規制する規制部12b、13bがそれぞれ形成されている。
図4に示すように、規制部12b、13bは、搬送方向に関してサイドガイド17よりも上流側及び下流側に設けられている。規制部12b、13bは、側壁12、13における第2収容部9の左右方向の両側に位置する部分に設けられている。
図5(a)に示すように、規制部12bは、側壁12の下端部から側壁13側に向かって突出している。規制部13bは、側壁13の下端部から側壁12側に向かって突出している。支持板91の左右方向の両端部が、規制部12b、13bの上面に当接することで、支持板91の下方への回動が規制される。
【0037】
回動軸91aが側壁12の開口12a及び側壁13の開口(図示せず)の下端部に位置しており、且つ、規制部12b、13bにより下方への回動が規制された状態(以降、「規制状態」と称する)の支持板91は、前端部と後端部とを結ぶ方向が搬送方向とほぼ一致する姿勢となる。また、支持板91が規制状態にあるとき、給送トレイ1の底面11aと支持板91の下面91dとは離隔しており、底面11aと支持板91との間に空間が確保されている。
【0038】
図3及び
図5(a)、(b)に示すように、給送トレイ1の底壁11と支持板91とにより、第1収容部8に収容されたロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpを導く導入経路Iが画定されている。すなわち、ロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpは、第2収容部9(支持板91)の下方を通る。給送トレイ1の底面11aは、ロール紙Rpが搬送される搬送面であり、ロール紙Rpの下面と当接可能である。導入経路Iは、搬送方向に沿って、第1収容部8の近傍から、給送ローラ2の搬送位置を通って給送トレイ1の底壁11における搬送方向の下流側の端部まで延びている。
【0039】
ロール体Rから巻き解かれて支持台81の後方まで送り出されたロール紙Rpは、導入経路Iにおける搬送方向の上流側の端部から導入経路I内に送り込まれる。ここで、導入経路Iの入口となる搬送方向の上流側の端部には、支持板91の回動軸91aが設けられている。回動軸91aは、上述のように、側壁12の開口12a及び側壁13の開口(図示せず)内で上下に移動可能である。よって、ロール紙Rpが導入経路I内に送り込まれる際、
図3において破線で示すように、回動軸91aは先端がカールしたロール紙Rpに押されて上方に移動する。これにより、支持板91における搬送方向の上流側の端部が持ち上がり、導入経路Iの入口が広がった状態となる。
【0040】
支持板91には、
図2及び
図4に示すように、切欠91b、91cが形成されている。切欠91bは、支持板91における搬送方向の下流側の端部に形成されている。上面視で凸部16の上面16aは、切欠91b内に位置している。切欠91cは、支持板91における左右方向の両端部にそれぞれ形成されている。サイドガイド17の第1部分17aは、切欠91c内に位置している。第1部分17aの下端部は支持板91の下方に位置しており、第1部分17aの上端部は支持板91の上方に位置している。サイドガイド17の第1部分17aは、切欠91cの範囲内で左右方向に移動する。
【0041】
図2及び
図4に示す状態において、一対のサイドガイド17は、上面視で下部当接面19が支持板91と重ならない位置にある。一対のサイドガイド17は、
図2及び
図4に示す位置から互いに近づく方向に移動することで、上面視で下部当接面19が支持板91と重なる状態となる。
【0042】
図5(b)に示すように、規制状態の支持板91の下面91dの高さ位置H1は、サイドガイド17の下部当接面19の高さ位置H2よりも高い。したがって、サイドガイド17は、上面視で下部当接面19が支持板91と重なる位置にあるときも、支持板91と接触することはない。
【0043】
給送トレイ1は、ロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpを幅方向に関して曲げる曲げ機構20を備えている。曲げ機構20は、凸部16の上面16a及び傾斜面16bと、支持板91の下面91dと、一対のサイドガイド17の各下部当接面19と、で構成される。凸部16の上面16a及び傾斜面16bは、導入経路Iを通るロール紙Rpの下面と当接可能である。凸部16の上面16a、支持板91の下面91d及び一対のサイドガイド17の各下部当接面19は、それぞれ本発明の第1平面、第2平面及び第3平面に相当する。
【0044】
図5(b)に示すように、規制状態の支持板91の下面91dの高さ位置H1は、凸部16の上面16aの高さ位置H3よりも低い。
図3に示すように、凸部16の上面16aに繋がっている傾斜面16bは、搬送方向の下流側端部が支持板91の下面91dよりも上方に位置しており、搬送方向の上流側端部が支持板91の下面よりも下方に位置している。また、
図5(b)に示すように、凸部16の上面16aの高さ位置H3は、サイドガイド17の下部当接面19の高さ位置H2よりも高い。サイドガイド17の下部当接面19の高さ位置H2は、給送トレイ1の底面11aの高さ位置H4よりも高い。また、凸部16の上面16aの高さ位置H3は、規制状態の支持板91の上面の高さ位置H5よりも高い。
【0045】
凸部16の上面16aと支持板91の下面91dとが前後方向にオーバーラップする領域A(
図3及び
図4参照)においては、凸部16の上面16aの左右方向の両側に支持板91の下面91dがそれぞれ位置している。よって、領域Aにおいては、導入経路I内で送られるロール紙Rpは、その下面が凸部16の上面16aに当接し、且つ、上面16aの左右方向の両側において支持板91の下面91dによって押し下げられる。これにより、ロール紙Rpは、その幅方向の中央部に上方に突出する凸形状を有する曲げ形状となる。ロール紙Rpの幅方向の中央部に凸形状を形成することで、ロール紙Rpの長手方向に関するカールを緩和することができる。また、ロール紙Rpの腰を高めることができる。
【0046】
図3及び
図4に示すように、領域Aは、サイドガイド17の下部当接面19が配置される領域である領域Bと、サイドガイド17の下部当接面19が配置されない領域である領域Cと、に区分けできる。
図3に示すように、領域Bは、搬送方向に関して傾斜面16bの下流側であって、且つ、給送ローラ2の上流側に位置している。給送ローラ2は、搬送方向に関して領域Cに位置する。
【0047】
図4に示すように、領域Bにおいては、凸部16の左右方向の両側に支持板91がそれぞれ位置している。さらに、凸部16の左右方向の両側にそれぞれ位置する支持板91に対して凸部16とは反対側にサイドガイド17の下部当接面19がそれぞれ位置している。よって、領域Bにおいては、導入経路I内で送られるロール紙Rpは、凸部16の左右方向の両側において支持板91の下面91dによって押し下げられ、且つ、支持板91に対して凸部16とは反対側においてサイドガイド17の下部当接面19により押し上げられる。
【0048】
これにより、ロール紙Rpは、
図5(b)に示すように、その幅方向の中央部に位置する上方に突出する凸形状と、中央部において上方に突出する凸形状に対して幅方向の両側にそれぞれ位置する上方に突出する凸形状とを有する曲げ形状であるコルゲート形状となる。ロール紙Rpをコルゲート形状とすることで、ロール紙Rpの長手方向に関するカールを確実に緩和することができる。また、ロール紙Rpの腰を一層高めることができる。
【0049】
領域Cには、サイドガイド17の下部当接面19がないので、ロール紙Rpは、その幅方向の中央部に形成された上方に突出する1つの凸形状のみを有する曲げ形状となる。1つの凸形状のみを有する曲げ形状であっても、ロール紙Rpの長手方向に関するカールを緩和し、且つ、ロール紙Rpの腰を高める効果は得られる。
【0050】
ここで、給送トレイ1へのロール紙Rpのセット手順の一例について説明する。まず、給送トレイ1を後方から前方に向かう方向に引っ張り、筐体100aから引き抜く。そして、第1収容部8のカバー82を回動させて第1収容部8のロール体Rの収容空間を露出させ、支持台81にロール体Rを支持させる。続いて、ロール体Rを手動で回転させてロール体Rからロール紙Rpを巻き解き、ロール紙Rpの先端部を底面11aにおける凸部16の上面16aまで送る。
【0051】
ロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpは、まず支持台81の下方のすき間Gを通って支持台81の前方側から支持台81の後方側に送られる。さらにロール紙Rpは、支持板91における搬送方向の上流側の端部の回動軸91aを上方に移動させつつ、給送トレイ1の底壁11と支持板91とにより画定された導入経路I内に送り込まれる。
【0052】
導入経路I内においてサイドガイド17が配置された位置に到達したロール紙Rpは、その下面がサイドガイド17の下部当接面19に当接する。このとき、ロール紙Rpの幅方向の両端部は、サイドガイド17の下部当接面19により押し上げられる。さらに、ロール紙Rpの先端部は、凸部16の傾斜面16bを駆け上がって上面16aに到達する。このとき、ロール紙Rpの幅方向の中央部は、底面11aの高さ位置H4から凸部16の上面16aの高さ位置H3まで、傾斜面16bにより押し上げられる。
【0053】
凸部16の上面16aに到達したロール紙Rpは、領域Bにおいて、幅方向の中央部が凸部16の上面16aに当接し、凸部16の左右方向の両側において支持板91の下面91dによって押し下げられ、且つ、幅方向の両端部がサイドガイド17の下部当接面19により押し上げられる。これにより、ロール紙Rpは、コルゲート形状となる。また、ロール紙Rpは、領域Cにおいて、幅方向の中央部が凸部16の上面16aに当接し、凸部16の左右方向の両側において支持板91の下面91dによって押し下げられ、1つの凸形状のみを有する曲げ形状となる。
【0054】
次に、ロール紙Rpを給送トレイ1から送り出す手順の一例について説明する。まず、上述の手順でロール紙Rpを給送トレイ1にセットした後、一対のサイドガイド17の左右方向の位置を調整し、ロール紙Rpの幅方向の両端が側部当接面18に当接するようにする。その後、第2収容部9にカット紙Kpを収容することなく給送トレイ1を筐体100aに装着する。給送トレイ1を筐体100aに装着することで、給送ローラ2が、ロール紙Rpにおける凸部16の上面16aに配置されている部分に接触する。より詳細には、給送ローラ2は、領域Bの下流側の領域Cにおいてロール紙Rpと接触する。
【0055】
このとき、上述のように、凸部16の上面16aに配置されているロール紙Rpは、曲げ機構20により領域Bにおいてコルゲート形状とされている。これにより、ロール紙Rpは、長手方向に関するカールが緩和されている。したがって、領域Bの下流側の領域Cにおいて給送ローラ2がロール紙Rpと接触する際に、カールによりジャムが生じるのをことができる。また、ロール紙Rpは、領域B、Cを通過した後でも、領域Cの近傍においては曲げ形状が維持される。したがって、搬送方向に関して領域Cの下流側におけるジャムの発生も抑制することができる。その後、給送モータの駆動により給送ローラ2を回転させることでロール紙Rpに搬送力を付与して、ロール紙Rpを給送トレイ1から送り出す。
【0056】
なお、直ちにロール紙Rpに画像の形成を行わない場合やカット紙Kpに画像の形成を行う場合には、ロール紙Rpをセットした後、第2収容部9にカット紙Kpを収容した状態で給送トレイ1を筐体100aに装着することもできる。この場合、ロール紙Rpに画像の形成を行うときに、改めて給送トレイ1を筐体100aから引き出してカット紙Kpを第2収容部9から取り除いた後、給送トレイ1を筐体100aに装着する。
【0057】
続いて、カット紙Kpを給送トレイ1から送り出す手順の一例について説明する。まず、給送トレイ1を筐体100aから引き出し、支持板91の上面に積層状態の複数のカット紙Kpを載置する。そして、一対のサイドガイド17の左右方向の位置を調整し、カット紙Kpの幅方向の両端が側部当接面18に当接するようにする。その後、給送トレイ1を筐体100aに装着する。給送トレイ1を筐体100aに装着することで、給送ローラ2が、積層状態の複数のカット紙Kpのうち最も上方に位置するカット紙Kpに接触する。その後、給送モータの駆動により給送ローラ2を回転させることでカット紙Kpに搬送力を付与して、カット紙Kpを給送トレイ1から送り出す。
【0058】
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態のプリンタ100に搭載された給送機構3は、用紙がロール状に巻回されたロール体Rを収容可能な給送トレイ1を備えている。給送トレイ1は、ロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpが、その巻き解かれる方向と直交する方向である幅方向に関して少なくとも1つの凸形状を有する曲げ形状となるように、ロール紙Rpを曲げる曲げ機構20を備えている。
【0059】
上述の構成では、曲げ機構20により、ロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpを曲げ形状とすることで、ロール紙Rpの長手方向に関するカールを抑えることができる。また、ロール紙Rpの腰を高めることができる。したがって、ロール紙Rpの搬送の不安定化を抑えることができる。
【0060】
また、上述の実施形態の給送機構3は、ロール紙Rpと接触してロール紙Rpを送り出す給送ローラ2をさらに備えている。曲げ機構20は、ロール紙Rpにおける給送ローラ2と接触する部分、すなわち、領域Cに位置するロール紙Rpの幅方向の中央部が、上方に突出する凸形状となるようにロール紙Rpを曲げる。したがって、ロール紙Rpにおける給送ローラ2と接触する部分のカールを確実に抑えることができる。よって、給送ローラ2によりロール紙Rpを適正に搬送することができる。
【0061】
さらに、上述の実施形態の給送機構3では、曲げ機構20は、給送ローラ2によるロール紙Rpの搬送方向に関して給送ローラ2よりも上流側の領域Bにおいてロール紙Rpを上方に突出する凸形状を3つ有するコルゲート形状となるように曲げる。ロール紙Rpは、領域Bにおいてコルゲート形状とされることで、長手方向に関するカールが緩和される。したがって、領域Bの下流側において給送ローラ2がロール紙Rpと接触する際に、カールによりジャムが生じるのを抑制することができる。
【0062】
加えて、上述の実施形態の給送機構3では、曲げ機構20は、ロール紙Rpの幅方向の中央部においてロール紙Rpの下面と当接可能な凸部16の上面16aと、幅方向に関して凸部16の上面16aの両側にそれぞれ位置しており、ロール紙Rpを押し下げ可能な支持板91の下面91dと、を有している。したがって、ロール紙Rpの下面が凸部16の上面16aと当接した状態で、支持板91の下面91dによりロール紙Rpを押し下げることで、ロール紙Rpの幅方向の中央部を凸形状とすることができる。
【0063】
また、上述の実施形態の給送機構3では、支持板91は、積層状態の複数のカット紙Kpを下方から支持する。ロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpは、支持板91の下方を通る。したがって、カット紙Kpを支持する支持板91を利用して、ロール紙Rpを曲げることができる。
【0064】
また、上述の実施形態の給送機構3は、曲げ機構20は、凸部16の上面16aにおける搬送方向の上流側の端部に繋がっており、且つ、搬送方向の上流側に向かって次第に下方に向かうように傾斜した傾斜面16bを有している。したがって、傾斜面16bによって、搬送方向に沿って送られるロール紙Rpを凸部16の上面16aまで押し上げることができる。
【0065】
加えて、上述の実施形態の給送機構は、曲げ機構20は、幅方向に関して支持板91の両側にそれぞれ位置しており、ロール紙Rpを押し上げ可能な一対のサイドガイド17の下部当接面19を有している。したがって、下部当接面19でロール紙Rpを押し上げることによって、ロール紙Rpを、その幅方向の中央部に形成された凸形状の両側にさらに凸形状が形成されるように曲げることができる。したがって、ロール紙Rpの腰をさらに高めることができる。
【0066】
さらに、上述の実施形態の給送機構3では、凸部16の上面16aの高さ位置H3は、サイドガイド17の下部当接面19の高さ位置H2よりも高い。したがって、ロール紙Rpの幅方向の中央部に形成される凸形状の高さは、その両側にさらに形成される凸形状の高さよりも高くなる。曲げ機構20によってロール紙Rpを幅方向に関して曲げることで、ロール紙Rpの幅は、ロール紙Rpが幅方向に関して平坦である場合に比べて短くなる。ロール紙Rpの幅が狭くなると、ロール紙Rpの搬送が不安定となるおそれがある。そこで、重要度が比較的高いロール紙Rpの中央部の凸形状を高くしつつ、重要度が比較的低い中央部の凸形状の両側の凸形状は低くすることで、ロール紙Rpの幅の減少を最小限に留めることができる。よって、ロール紙Rpの幅が減少することに起因するロール紙Rpの搬送の不安定化を抑えることができる。
【0067】
加えて、上述の実施形態の給送機構3は、幅方向に離隔して設けられた一対のサイドガイド17であって、ロール紙Rpの幅方向の端と当接可能な側部当接面18と、側部当接面18と接続されており且つロール紙Rpの下面と当接可能な下部当接面19と、を有するサイドガイド17をさらに備えている。したがって、サイドガイド17を利用して、ロール紙Rpを幅方向に関して曲げることができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
上述の実施形態においては、凸部16の上面16aの高さ位置H3が、規制状態の支持板91の上面の高さ位置H5よりも高い場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、
図6に示す上述の実施形態の第1の変形例にかかる給送トレイ201の曲げ機構220においては、凸部216の上面216aの高さ位置H6は、規制状態の支持板91の上面の高さ位置H5よりも低い。
【0070】
また、上述の実施形態においては、支持板91の下方への回動を規制する規制部12b、13bが形成されており、底面11aと支持板91との間に空間が確保されている場合について説明したがこれには限定されない。すなわち、
図7に示す上述の実施形態の第2の変形例にかかる給送トレイ301においては、支持板391の下方への回動を規制する規制部は設けられておらず、ロール紙Rpがセットされていないときは、支持板391は給送トレイ301の底面11aと接触している。
【0071】
給送トレイ301においては、一対のサイドガイド17の下部当接面19が上面視で支持板391と重ならない位置にあるとき、支持板391の上面の高さ位置は、サイドガイド17の下部当接面19の高さ位置と実質的に同じである。したがって、第2収容部9に収容されたカット紙Kpを支持板391の上面とサイドガイド17の下部当接面19とでまっすぐに支持することができる。
【0072】
また、給送トレイ301においては、一対のサイドガイド17の下部当接面19が上面視で支持板391と重なる位置に移動するとき、サイドガイド17の第2部分17bの左右方向の端部に形成された傾斜面17cが支持板391に当接し、傾斜面17cによって支持板391が上方に押され、最終的にはサイドガイド17の下部当接面19と支持板391の下面391dとが当接する。これにより、支持板391は上方に回動する。
【0073】
さらに、上述の実施形態においては、規制状態の支持板91の下面91dの高さ位置H1が、凸部16の上面16aの高さ位置H3よりも低い場合について説明したが、これには限定されない。支持板91の下面91dの高さ位置H1は、ロール紙Rpにおける凸部16の上面16aと当接している部分の両側を押し下げ可能であれば、凸部16の上面16aの高さ位置H3以上であってもよい。すなわち例えば、支持板91の下面91dの高さ位置H1は、ロール紙Rpの厚さ未満であれば、凸部16の上面16aの高さ位置H3よりも高い位置にあってもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、曲げ機構20は、領域Bにおいて、ロール紙Rpを、その幅方向に関して上方に突出する凸形状を3つ有する曲げ形状であるコルゲート形状とし、搬送方向に関して領域Bの下流側に位置する領域Cにおいて、ロール紙Rpを、その幅方向に関して上方に突出する凸形状を1つ有する曲げ形状とする場合について説明したが、これには限定されない。曲げ機構20は、領域B及び領域Cの両方でロール紙Rpを同じ曲げ形状に曲げてもよい。また、曲げ機構20によってロール紙Rpに対して幅方向に関して形成される凸形状の数は、少なくとも1つであればよい。したがって、凸形状が2つ形成されてもよいし、凸形状が4つ以上形成されてもよい。また、下向きに突出する凸形状が1つ形成されるような形状であってもよい。
【0075】
また、上述の実施形態においては、曲げ機構20が、給送ローラ2がロール紙Rpと接触する領域を含む領域Cと、搬送方向に関して領域Cの上流側において領域Cに隣接する領域Bにおいて、ロール紙Rpを曲げる場合について説明したが、曲げ機構20がロール紙Rpを曲げる領域はこれに限定されるものではない。
【0076】
また、上述の実施形態においては、給送ローラ2が、ロール紙Rpの幅方向の中央部に接触する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、ロール紙Rpにおける給送ローラ2が接触する位置は中央部でなくてもよい。さらに、ロール紙Rpの幅方向に複数の給送ローラ2が配置されていてもよい。
【0077】
加えて、上述の実施形態では、曲げ機構20が、ロール紙Rpにおける給送ローラ2が接触する部分に上方に突出する凸形状が形成されるようにロール紙Rpを曲げる場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、曲げ機構20は、ロール紙Rpにおける給送ローラ2が接触する部分に下方に突出する凸形状を形成してもよい。また、曲げ機構20は、ロール紙Rpにおける給送ローラ2が接触する部分に凸形状を形成しなくてもよい。
【0078】
さらに、上述の実施形態においては、カット紙Kpを支持する支持板91を利用して、ロール紙Rpにおける凸部16の上面16aと当接する中央部の両側を押し下げる場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、給送トレイ1の底面11aにおける支持台81の下方の部分において、幅方向の中央部分に凸部を形成し、ロール紙Rpにおけるこの凸部の上面と当接する部分の両側を支持台81の下面で押し下げるようにしてもよい。
【0079】
加えて、上述の実施形態においては、曲げ機構20が、凸部16の上面16aにおける搬送方向の上流側の端部に繋がっており、且つ、搬送方向の上流側に向かって次第に下方に向かうように傾斜した傾斜面16bを有している場合について説明したが、傾斜面16bはなくてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態においては、曲げ機構20は、幅方向に関して支持板91の両側にそれぞれ位置しており、ロール紙Rpを押し上げ可能な一対のサイドガイド17の下部当接面19を有している場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、給送トレイ1の底面11aに形成された凸部の上面によって、幅方向に関して支持板91の両側においてロール紙Rpを押し上げてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態においては、凸部16の上面16aの高さ位置H3が、サイドガイド17の下部当接面19の高さ位置H2よりも高い場合について説明したが、高さ位置H3は高さ位置H1以下であってもよい。
【0082】
本発明は、ロール体を収容可能な給送トレイを有する給送機構を備えた画像形成装置全般に適用され得る。シート状媒体は紙に限定されず、シート状であれば布などであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 給送トレイ
2 給送ローラ
3 給送機構
16a 上面(第1平面)
16b 傾斜面
17 サイドガイド
18 側部当接面
19 下部当接面(第3平面)
20 曲げ機構
91 支持板(支持部材)
91d 下面(第2平面)
100 プリンタ(画像形成装置)
Kp カット紙(カット媒体)
R ロール体
Rp ロール紙(ロール媒体)