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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】サプライユニット
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61G12/00 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021004359
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022109038
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 佳江
(72)【発明者】
【氏名】竹重 正崇
(72)【発明者】
【氏名】大島 宗平
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 篤哉
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06668493(US,B1)
【文献】特開2016-112316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給線に接続される供給口を備え、建築物の室内に設置されるサプライユニットであって、
複数のパーテーション部材を組み合わせて内部空間を有する柱状に形成されるとともに外面に前記供給口が設けられ、前記建築物の床上に配置されるユニット本体と、
前記建築物の天井の下面に固定され、前記ユニット本体の上端を支持する天井側レールと、を有し、
前記天井側レールが、前記天井の下面に配置される基板部分と、それぞれ対応する前記パーテーション部材がスライド式に嵌め込まれる複数のレール部とを一体に有することを特徴とするサプライユニット。
【請求項2】
前記ユニット本体が、前記供給口として、電気コンセント、医療ガスの接続口及びLANコネクタの、少なくとも何れか1つを備えている、請求項1に記載のサプライユニット。
【請求項3】
前記ユニット本体が、3つの前記パーテーション部材を組み合わせた略三角柱状である、請求項1または2に記載のサプライユニット。
【請求項4】
前記パーテーション部材が、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに間隔を空けて平行に配置された一対のフレーム部と、一対の前記フレーム部を連ねる板状部とを備えている、請求項1~3の何れか1項に記載のサプライユニット。
【請求項5】
前記パーテーション部材が、一対の前記フレーム部の間に、補強用部材を備えている、請求項4に記載のサプライユニット。
【請求項6】
前記ユニット本体が、補助部材を上下方向に位置調整可能に取り付けることが可能な取付け用レールを備えている、請求項1~5の何れか1項に記載のサプライユニット。
【請求項7】
前記パーテーション部材が、前記内部空間を外部に開放可能な蓋体を備えている、請求項1~6の何れか1項に記載のサプライユニット。
【請求項8】
前記建築物の床の上面に固定され、前記ユニット本体の下端を係止する床側レールを有する、請求項1~7の何れか1項に記載のサプライユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力やガスなどを供給するサプライユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の室内において、多くの電力やガス等の供給が必要な場合、サプライユニットが用いられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば、病院の集中治療室(ICU)では、ベッドの周辺において多くの電力や医療ガスが必要となるため、集中治療室内に専用のサプライユニットを設置し、集中治療室で使用される機器や患者等に対して、当該サプライユニットから電力や医療ガスの供給を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-144500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
病院の集中治療室で用いられるサプライユニットとしては、天井から吊り下げられた吊下げタイプのものや、床と天井との間に支持された柱タイプのものが多く用いられている。
【0006】
しかし、従来のサプライユニットは、天井の内部において建築物の梁等に専用の架台を設置し、当該架台によりサプライユニットの上部を支持する構造となっているので、サプライユニットの設置に多くの期間とコストを要する、という問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、短期間で安価に設置することが可能なサプライユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のサプライユニットは、供給線に接続される供給口を備え、建築物の室内に設置されるサプライユニットであって、複数のパーテーション部材を組み合わせて内部空間を有する柱状に形成されるとともに外面に前記供給口が設けられ、前記建築物の床上に配置されるユニット本体と、前記建築物の天井の下面に固定され、前記ユニット本体の上端を支持する天井側レールと、を有し、前記天井側レールが、前記天井の下面に配置される基板部分と、それぞれ対応する前記パーテーション部材がスライド式に嵌め込まれる複数のレール部とを一体に有することを特徴とする。
【0009】
本発明のサプライユニットは、上記構成において、前記ユニット本体が、前記供給口として、電気コンセント、医療ガスの接続口及びLANコネクタの、少なくとも何れか1つを備えているのが好ましい。
【0010】
本発明のサプライユニットは、上記構成において、前記ユニット本体が、3つの前記パーテーション部材を組み合わせた略三角柱状であるのが好ましい。
【0011】
本発明のサプライユニットは、上記構成において、前記パーテーション部材が、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに間隔を空けて平行に配置された一対のフレーム部と、一対の前記フレーム部を連ねる板状部とを備えているのが好ましい。
【0012】
本発明のサプライユニットは、上記構成において、前記パーテーション部材が、一対の前記フレーム部の間に、補強用部材を備えているのが好ましい。
【0013】
本発明のサプライユニットは、上記構成において、前記ユニット本体が、補助部材を上下方向に位置調整可能に取り付けることが可能な取付け用レールを備えているのが好ましい。
【0014】
本発明のサプライユニットは、上記構成において、前記パーテーション部材が、前記内部空間を外部に開放可能な蓋体を備えているのが好ましい。
【0015】
本発明のサプライユニットは、上記構成において、前記建築物の床の上面に固定され、前記ユニット本体の下端を係止する床側レールを有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、短期間で安価に設置することが可能なサプライユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るサプライユニットが設置された集中治療室のレイアウト図である。
図2図1に示すサプライユニットの左側面図である。
図3図1に示すサプライユニットの右側面図である。
図4図1に示すサプライユニットの背面図である。
図5図1に示すサプライユニットの横断面図である。
図6図5におけるA-A線に沿う横断面図である。
図7図5におけるB-B線に沿う横断面図である。
図8図5におけるC-C線に沿う横断面図である。
図9】天井側レールの底面図である。
図10】床側レールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るサプライユニットについて、図面を参照しつつ詳細に例示説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るサプライユニット1は、建築物である病院2の集中治療室(ICU)3の内部に設置され、例えば人工呼吸器4、透析監視装置5、シリンジポンプ6、モニター7等の、集中治療室3で使用される機器に電力を供給するとともに、人工呼吸器4等の機器や集中治療室3のベッド8に収容された患者等に、酸素等の医療ガスを供給するものである。
【0020】
図2図3図4及び図5に示すように、サプライユニット1はユニット本体10を備えている。ユニット本体10は、複数のパーテーション部材11~13を組み合わせて内部空間14を有する柱状に形成されている。ユニット本体10は、集中治療室3の床3aから天井3bまでの高さと略一致する高さを有し、床3aの上に配置されている。
【0021】
本実施形態では、ユニット本体10は、左側のパーテーション部材11、右側のパーテーション部材12及び背面側のパーテーション部材13の3枚のパーテーション部材11~13を組み合わせて内部空間14を有する略三角柱状に形成されている。
【0022】
図5図6に示すように、左側のパーテーション部材11は、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに間隔を空けて平行に配置された一対のフレーム部11aと、これらのフレーム部11aを連ねる板状部11bとを備えた構成となっている。本実施形態では、左側のパーテーション部材11は、フレーム部11aが断面矩形のスチール製のパイプ材で構成されるとともに、板状部11bが内部に石膏ボードを挟み込んだ長方形状のスチール製とされた、所謂スチールパーテーションとして構成されている。
【0023】
同様に、図5図7に示すように、右側のパーテーション部材12も、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに間隔を空けて平行に配置された一対のフレーム部12aと、これらのフレーム部12aを連ねる板状部12bとを備えた構成となっている。本実施形態では、右側のパーテーション部材12も、フレーム部12aが断面矩形のスチール製のパイプ材で構成されるとともに、板状部12bが内部に石膏ボードを挟み込んだ長方形状のスチール製とされた、所謂スチールパーテーションとして構成されている。
【0024】
同様に、図5図8に示すように、背面側のパーテーション部材13も、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに間隔を空けて平行に配置された一対のフレーム部13aと、これらのフレーム部13aを連ねる板状部13bとを備えた構成となっている。本実施形態では、背面側のパーテーション部材13も、フレーム部13aが断面矩形のスチール製のパイプ材で構成されるとともに、板状部13bが内部に石膏ボードを挟み込んだ長方形状のスチール製とされた、所謂スチールパーテーションとして構成されている。
【0025】
図5に示すように、左側のパーテーション部材11と右側のパーテーション部材12は、正面側連結部材15により互いに連結されている。より具体的には、正面側連結部材15は、左側のパーテーション部材11の板状部11bと右側のパーテーション部材12の板状部12bとに滑らかに連なる円弧面状の外側面15aを有する中空の柱状となっている。左側のパーテーション部材11と右側のパーテーション部材12は、互いに直交する姿勢で配置され、左側のパーテーション部材11の一方のフレーム部11aと右側のパーテーション部材12の一方のフレーム部12aとが、それぞれ正面側連結部材15にねじを用いて固定されることで互いに連結されている。
【0026】
左側のパーテーション部材11と背面側のパーテーション部材13は、左側連結部材16により互いに連結されている。より具体的には、左側連結部材16は、背面側のパーテーション部材13の板状部13bの外面に垂直な左側面16aを有する中空の柱状となっている。左側のパーテーション部材11は、背面側のパーテーション部材13に対して鋭角に傾斜した姿勢で配置され、左側のパーテーション部材11の他方のフレーム部11aと背面側のパーテーション部材13の一方のフレーム部13aとが、それぞれ左側連結部材16にねじを用いて固定されることで互いに連結されている。
【0027】
同様に、右側のパーテーション部材12と背面側のパーテーション部材13は、右側連結部材17により互いに連結されている。より具体的には、右側連結部材17は、背面側のパーテーション部材13の板状部13bの外面に垂直な右側面17aを有する中空の柱状となっている。右側のパーテーション部材12は、背面側のパーテーション部材13に対して鋭角に傾斜した姿勢で配置され、右側のパーテーション部材12の他方のフレーム部12aと背面側のパーテーション部材13の他方のフレーム部13aとが、それぞれ右側連結部材17にねじを用いて固定されることで互いに連結されている。
【0028】
正面側連結部材15、左側連結部材16及び右側連結部材17は、それぞれスチール製の板材を曲げ加工して形成されたものとすることができる。
【0029】
上記構成により柱状に構成されたユニット本体10は、集中治療室3の床3aの上に配置される。集中治療室3の天井3bの下面には天井側レール20が固定されており、ユニット本体10の上端は天井側レール20によって天井3bに支持されている。
【0030】
図9に示すように、例えばスチール製とされる天井側レール20は、天井3bの下面に配置される基板部分21と、左側のパーテーション部材11のフレーム部11aの上端が嵌め込まれる左側レール部22と、右側のパーテーション部材12のフレーム部12aの上端が嵌め込まれる右側レール部23と、背面側のパーテーション部材13のフレーム部13aの上端が嵌め込まれる背面側レール部24とを一体に有する構成とすることができる。天井側レール20は、集中治療室3の天井3bの下面に、ねじを用いて容易に固定することができる。
【0031】
サプライユニット1は、床側レール30を有する構成とすることもできる。床側レール30は、集中治療室3の床3aの上に固定され、ユニット本体10の下端を床3aに係止する。
【0032】
図10に示すように、例えばスチール製とされる床側レール30は、床3aに配置される基板部分31と、左側のパーテーション部材11のフレーム部11aの下端が嵌め込まれる左側レール部32と、右側のパーテーション部材12のフレーム部12aの下端が嵌め込まれる右側レール部33と、背面側のパーテーション部材13のフレーム部13aの下端が嵌め込まれる背面側レール部34とを一体に有する構成とすることができる。床側レール30は、集中治療室3の床3aにアンカーを用いて容易に固定することができる。
【0033】
このような構成のサプライユニット1は、例えば、集中治療室3内において、床3aに床側レール30を固定するとともに天井3bに天井側レール20を固定し、床側レール30の左側レール部32、右側レール部33、背面側レール部34及び天井側レール20の左側レール部22、右側レール部23、背面側レール部24に、それぞれ対応するパーテーション部材11~13を順次スライド式に係合させ、次いでこれらのパーテーション部材11~13を正面側連結部材15、左側連結部材16及び右側連結部材17を用いて互いに連結するだけの簡単な作業により、集中治療室3内において組み立てて設置することができる。
【0034】
ユニット本体10の外面には、供給口が設けられている。供給口は、ユニット本体10の外面に複数設けられてもよい。この場合、ユニット本体10の外面に同一種類の供給口を複数設けてもよく、ユニット本体10の外面に異なる種類の供給口を1つずつないし複数設けてもよい。
【0035】
本実施形態では、図2図6に示すように、ユニット本体10を構成する左側のパーテーション部材11の板状部11bには、供給口として、上下方向に間隔を空けて並ぶ3つの医療ガスの接続口40と、医療ガスの接続口40よりも下方側に配置されたLANコネクタ41と、LANコネクタ41よりも下方に配置されたTV端子42と、医療ガスの接続口40よりも上方側に上下方向に間隔を空けて並べて配置された2つの電気コンセント43とが設けられている。これらの供給口は、それぞれ板状部11bに設けられた開口孔に嵌め込まれ、板状部11bの外面に露出するとともに内部空間14にも露出している。
【0036】
また、本実施形態では、図3図7に示すように、ユニット本体10を構成する右側のパーテーション部材12の板状部12bには、供給口として、上下方向に間隔を空けて並ぶ3つの医療ガスの接続口40と、医療ガスの接続口40よりも下方側に上下方向に間隔を空けて並べて配置された3つの電気コンセント43と、電気コンセント43よりも下方に配置されたアース端子44と、医療ガスの接続口40よりも上方側に上下方向に間隔を空けて並べて配置された2つの電気コンセント43とが設けられている。これらの供給口は、それぞれ板状部12bに設けられた開口孔に嵌め込まれ、板状部12bの外面に露出するとともに内部空間14にも露出している。
【0037】
さらに、本実施形態では、図4図8に示すように、ユニット本体10を構成する背面側のパーテーション部材13の板状部13bには、供給口として、上下方向に間隔を空けて3つずつ2列に並べて配置された6つの電気コンセント43が設けられている。これらの供給口は、それぞれ板状部13bに設けられた開口孔に嵌め込まれ、板状部13bの外面に露出するとともに内部空間14にも露出している。
【0038】
それぞれの医療ガスの接続口40は、内部空間14に露出する側において、天井3bから内部空間14に通された供給線としての医療ガス供給用配管40aに接続され、医療ガス供給用配管40aを通して医療ガスが充填されたガス供給減から医療ガスが供給される。医療ガスの接続口40に供給される医療ガスは、例えば酸素、窒素、亜酸化窒素等とすることができるが、他のガスであってもよい。医療ガスの接続口40は、ホース等が接続されたときに開く接続バルブを備えた構成とすることができる。
【0039】
LANコネクタ41は、内部空間14に露出する側において、天井3bから内部空間14に通された供給線としてのLANケーブル41aに接続され、LANケーブル41aを通してLAN(ローカルエリアネットワーク)に接続されている。したがって、パーソナルコンピュータ等の機器をLANコネクタ41に接続することで、当該機器をLANに接続することができる。
【0040】
TV端子42は、内部空間14に露出する側において、天井3bから内部空間14に通された供給線としてのTVアンテナ線42aに接続されている。したがって、モニター7をTV端子42に接続することで、モニター7でテレビを視聴することができる。
【0041】
それぞれの電気コンセント43は、内部空間14に露出する側において、天井3bから内部空間14に通された供給線としての電気配線43aに接続されている。電気配線43aは天井を通して商用電源に接続されている。したがって、人工呼吸器4、透析監視装置5、シリンジポンプ6及びモニター7等の機器を電気コンセント43に接続することで、当該機器に電力を供給することができる。
【0042】
アース端子44は、内部空間14に露出する側において、天井3bから内部空間14に通されたアース線44aにより接地されている。
【0043】
このように、本実施形態のサプライユニット1は、ユニット本体10の外面に、各種の供給口40~44が複数設けられた構成となっているので、集中治療室3で用いられる複数の機器等に、電力や医療ガス等を十分に供給することができる。また、それぞれの供給口40~44へ電力やガス等を供給する供給線40a~44aは、ユニット本体10の内部空間14に収納されるので、ユニット本体10に多数の供給口40~44を設けた構成としても、これらの供給口40~44に接続される供給線40a~44aが邪魔になることがない。
【0044】
なお、医療ガスの接続口40、LANコネクタ41、TV端子42、電気コンセント43及びアース端子44は、これらの少なくとも1つが設けられていれば、その配置や個数は、それぞれ適宜変更可能である。
【0045】
上記の通り、本実施形態のサプライユニット1では、建築物である病院2の床3a上に配置されるユニット本体10を、複数のパーテーション部材11~13を組み合わせて内部空間14を有する柱状に形成されるとともに外面に医療ガスの接続口40、LANコネクタ41、TV端子42、電気コンセント43、アース端子44等の供給口が設けられた構成とし、ユニット本体10の上端を、天井3bの下面に固定される天井側レール20によって天井3bに支持する構成としたので、ユニット本体10を、複数のパーテーション部材11~13を組み合わせた簡素な構成であるとともに天井側レール20を用いた簡単な構成で天井3bに支持されるものとすることができる。したがって、ユニット本体10を設置する際に、天井3bの内部において建築物の梁に架台を設ける必要をなくして、サプライユニット1を、建築物の室内に短期間で安価に設置することが可能なものとすることができる。
【0046】
また、本実施形態のサプライユニット1では、ユニット本体10を、供給口として、電気コンセント43、医療ガスの接続口40及びLANコネクタ41の、少なくとも何れか1つを備えた構成としたので、サプライユニット1を、集中治療室(ICU)3や高度治療室(HCU)、脳卒中治療室(SCU)等の病院2の治療室への設置に適したものとすることができる。これにより、本実施形態のサプライユニット1を、医療機器メーカーが製造する従来のサプライユニットと同等の供給能力を有しつつ、治療室内に短期間で安価に設置することが可能なものとすることができる。
【0047】
さらに、本実施形態のサプライユニット1では、ユニット本体10を、3つのパーテーション部材11~13を組み合わせた略三角柱状のものとしたので、ユニット本体10の外面に医療ガスの接続口40、LANコネクタ41、TV端子42、電気コンセント43、アース端子44等の複数の供給口を設けるスペースを十分に確保しつつ、ユニット本体10の上下方向に垂直な断面積を小さくして、建築物の室内におけるサプライユニット1のレイアウト性を高めることができる。
【0048】
特に、本実施形態の略三角柱状のサプライユニット1は、図1に示すように、集中治療室3のベッド8の長手方向の端部(枕元)の近傍に、背面側のパーテーション部材13がベッド8の長手方向に垂直となる姿勢ないし向きで配置するのが好ましい。当該配置により、サプライユニット1をベッド8の近傍に配置して供給口をベッド8の周辺に配置された機器に接続し易くしつつ、左側のパーテーション部材11がベッド8に対して傾斜する分、サプライユニット1とベッド8との間にスペースが生じるようにして、医療従事者の作業や供給口である電気コンセント43や医療ガスの接続口40に接続された電気コードやホース等の取り回しを容易に行い得るようにすることができる。
【0049】
さらに、本実施形態のサプライユニット1では、パーテーション部材11~13を、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに間隔を空けて平行に配置された一対のフレーム部11a、12a、13aと、一対のフレーム部11a、12a、13aを連ねる板状部11b、12b、13bとを備えたものとしたので、パーテーション部材11~13を建材として使用されるスチールパーテーションのような簡素な構成のものとして、サプライユニット1を、建築物の室内により短期間でより安価に設置することが可能なものとすることができる。
【0050】
さらに、本実施形態のサプライユニット1では、建築物の床3aの上面に床側レール30を固定し、床側レール30によりユニット本体10の下端を係止する構成としたので、ユニット本体10を建築物の床3aに容易に固定することができるようにして、サプライユニット1を、建築物の室内にさらに短期間でさらに安価に設置することが可能なものとすることができる。
【0051】
ユニット本体10は、補助部材を上下方向に位置調整可能に取り付けることが可能な取付け用レール50を備えた構成とすることができる。
【0052】
本実施の形態では、図2図3図4に示すように、ユニット本体10の左側連結部材16の左側面16aと、右側連結部材17の右側面17aとに、それぞれ取付け用レール50が固定され、右側連結部材17の右側面17aに固定された取付け用レール50に、補助部材としてのモニター7が取り付けられている。モニター7は、取付け用レール50に当該取付け用レール50に沿って上下方向に移動自在のスライダ51に連結されたアーム部材52に支持されており、スライダ51が取付け用レール50に沿って上下方向に移動することで上下方向に位置調整が可能となっている。なお、スライダ51は、取付け用レール50の所望の上下方向位置に固定される手段を備えた構成となっている。本実施の形態では、取付け用レール50を、パーテーション部材11~13の板状部11b~13bではなく、左側連結部材16及び右側連結部材17に取り付けるようにしたので、パーテーション部材11~13として板状部11b~13bの厚みが薄い標準品を用いることを可能として、サプライユニット1のコストを低減することができる。
【0053】
なお、取付け用レール50は、左側連結部材16の左側面16aと右側連結部材17の右側面17aとに限らず、例えばパーテーション部材11~13の板状部11b~13bなど、ユニット本体10の他の部位に設けられてもよい。また、取付け用レール50に取り付けられる補助部材は、モニター7に限らず、例えば機材を置くためのテーブル、収容ケース等の他の部材であってもよい。
【0054】
このように、本実施形態のサプライユニット1では、ユニット本体10を、補助部材を上下方向に位置調整可能に取り付けることが可能な取付け用レール50を備えた構成としたので、サプライユニット1に種々の補助部材を設けることを可能として、サプライユニット1の利便性を高めることができる。
【0055】
図5に示すように、パーテーション部材11、12は、一対のフレーム部11a、12aの間に、補強用部材60を備えた構成とすることができる。特に、取付け用レール50をパーテーション部材11、12の板状部11b、12bに設ける場合には、当該部分に補強用部材60を設けて板状部11b、12bを補強するのが好ましい。補強用部材60は、例えばスチール製の板材を曲げ加工して、板状部11b、12bに重ねて配置される部分と当該部分から垂直に立ち上がるリブ状部分(フランジ状部分)とを備えた構成とすることができる。一対のフレーム部11a、12aの間に補強用部材60を設けることで、パーテーション部材11、12の剛性を高めて、取付け用レール50に補助部材が取り付けられても、ユニット本体10が変形等を生じることを防止することができる。
【0056】
パーテーション部材11~13は、内部空間14を外部に開放可能な蓋体70を備えた構成とすることができる。
【0057】
本実施の形態では、図4図8に示すように、蓋体70として、背面側のパーテーション部材13の板状部13bの上下方向の中間部分と上側部分とが、それぞれ別体の蓋体70a、蓋体70bとして構成されている。蓋体70aは、4隅に設けられた4つのねじ71により背面側のパーテーション部材13のフレーム部13aに固定されており、これらのねじ71を緩めることで、背面側のパーテーション部材13のフレーム部13aから取り外すことができる。蓋体70aが取り外されると、背面側のパーテーション部材13の上下方向の中間部分が開口し、ユニット本体10の内部空間14が外部に開放される。同様に、蓋体70bは、4隅に設けられた4つのねじ71により背面側のパーテーション部材13のフレーム部13aに固定されており、これらのねじ71を緩めることで、蓋体70aとは個別に、背面側のパーテーション部材13のフレーム部13aから取り外すことができる。蓋体70bが取り外されると、背面側のパーテーション部材13の上側部分が開口し、ユニット本体10の内部空間14が外部に開放される。したがって、供給口と供給線との内部空間14における接続部分の不具合等が生じた場合に、蓋体70aないし蓋体70bを取り外すことにより生じる開口から内部空間14の内部に手や工具等を挿入して、当該不具合の修正や修理等の作業を行うことができる。また、蓋体70aないし蓋体70bを取り外すことにより生じる開口から内部空間14の内部に手や工具、部品等を挿入して、医療ガスの接続口40、LANコネクタ41、TV端子42、電気コンセント43、アース端子44等の供給口を増設する作業を行うこともできる。
【0058】
本実施の形態では、蓋体70を、2つの蓋体70a、蓋体70bに分けた構成としたので、背面側のパーテーション部材13に大きな開口を設けることを可能としつつ、蓋体70a、蓋体70bをフレーム部13aにがたつきを生じさせることなく確実に固定することができる。
【0059】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0060】
例えば、前記実施形態では、ユニット本体10は、3枚のパーテーション部材11~13を組み合わせて内部空間14を有する略三角柱状に形成されたものとされているが、これに限らず、複数のパーテーション部材を組み合わせて内部空間を有する柱状に形成されていれば、例えば2枚のパーテーション部材を互いのフレーム部を突き合わせて重ねるように組み合わせ、それぞれ板状部の間に内部空間14が形成される構成としたり、4枚以上のパーテーション部材を多角形状に組み合わせた構成としたりするなど、パーテーション部材の枚数、ユニット本体10の横断面の形状等は、種々変更可能である。
【0061】
また、本実施の形態では、サプライユニット1を病院2の集中治療室3に設置されるものとしているが、これに限らず、例えば、学校、オフィスビル、工場などの種々の建築物の室内に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 サプライユニット
2 病院(建築物)
3 集中治療室
3a 床
3b 天井
4 人工呼吸器
5 透析監視装置
6 シリンジポンプ
7 モニター
8 ベッド
10 ユニット本体
11 左側のパーテーション部材
11a フレーム部
11b 板状部
12 右側のパーテーション部材
12a フレーム部
12b 板状部
13 背面側のパーテーション部材
13a フレーム部
13b 板状部
14 内部空間
15 正面側連結部材
15a 外側面
16 左側連結部材
16a 左側面
17 右側連結部材
17a 右側面
20 天井側レール
21 基板部分
22 左側レール部
23 右側レール部
24 背面側レール部
30 床側レール
31 基板部分
32 左側レール部
33 右側レール部
34 背面側レール部
40 医療ガスの接続口(供給口)
40a 医療ガス供給用配管(供給線)
41 LANコネクタ(供給口)
41a LANケーブル(供給線)
42 TV端子(供給口)
42a TVアンテナ線(供給線)
43 電気コンセント(供給口)
43a 電気配線(供給線)
44 アース端子(供給口)
44a アース線(供給線)
50 取付け用レール
51 スライダ
52 アーム部材
60 補強用部材
70 蓋体
71 ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10