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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20250109BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20250109BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20250109BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H05K7/06 C
B60R16/02 610A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021016302
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119299
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 明日香
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195845(WO,A1)
【文献】特開2014-128073(JP,A)
【文献】特開2005-130634(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047425(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H02G 3/14
H05K 7/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバ本体部及び外部機器と接続するためのバスバ端子部を有するバスバと、前記バスバが設けられている箱本体と、前記箱本体を覆うカバーと、を備え、
前記箱本体は、前記バスバ本体部が設けられ前記カバーにより当該バスバ本体部が覆われる第一領域と、前記バスバ端子部が設けられ前記カバーにより覆われずに当該バスバ端子部を露出させる第二領域と、を有し、
前記第二領域は、前記バスバを流れる電流を計測するセンサを取り付けるセンサ取り付け部を有し、
前記バスバは、前記第一領域に取り付けられている前記バスバ本体部としての第一部材と、前記バスバ端子部を含み前記第一部材と着脱可能となって接続されている第二部材と、を有し、
前記センサは、前記バスバ端子部と共に前記カバーに覆われずに露出し、前記第二部材と一体となっていると共に当該第二部材を電流の検出対象とし、
前記第二部材は、第一の方向に長い導体であり、当該導体の一端側に前記バスバ端子部が設けられ、当該導体の中央部が前記センサによる電流の検出対象部であり、当該導体の他端側が前記第一部材との接続部であり、
前記カバーは、前記第一部材及び前記接続部を両側方から覆う一対のカバー側部と、前記一対のカバー側部を繋ぐカバー本体部と、を有し、前記カバー本体部に、前記接続部を通過可能とする開口が設けられている、
電気接続箱。
【請求項2】
前記センサ取り付け部に、前記センサを規定位置に位置決めするために当該センサが有する凸部又は凹部が嵌る凹部又は凸部が設けられている、請求項に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記凸部と前記凹部とは密着して嵌合する、請求項に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記第二部材は、前記第一部材に、当該第一部材に当該第二部材が重なる方向に締め付けるボルトによって固定され、
前記凸部は、前記重なる方向と平行な方向に突出していて、前記凹部は前記重なる方向に平行な方向に凹んでいる、請求項又はに記載の電気接続箱。
【請求項5】
バスバ本体部及び外部機器と接続するためのバスバ端子部を有するバスバと、前記バスバが設けられている箱本体と、前記箱本体を覆うカバーと、を備え、
前記箱本体は、前記バスバ本体部が設けられ前記カバーにより当該バスバ本体部が覆われる第一領域と、前記バスバ端子部が設けられ前記カバーにより覆われずに当該バスバ端子部を露出させる第二領域と、を有し、
前記第二領域は、前記バスバを流れる電流を計測するセンサを取り付けるセンサ取り付け部を有し、
前記センサは、前記バスバ端子部と共に前記カバーに覆われずに露出し、
前記センサ取り付け部に、前記センサを規定位置に位置決めするために当該センサが有する凸部又は凹部が嵌る凹部又は凸部が設けられ、
前記第一領域に取り付けられている前記バスバ本体部としての第一部材に、前記バスバ端子部を含み前記第一部材と着脱可能となって接続されている第二部材は、当該第一部材に当該第二部材が重なる方向に締め付けるボルトによって固定され、
前記凸部は、前記重なる方向と平行な方向に突出していて、前記凹部は前記重なる方向に平行な方向に凹んでいる、電気接続箱。
【請求項6】
前記バスバは、前記第一領域に取り付けられている前記バスバ本体部としての第一部材と、前記バスバ端子部を含み前記第一部材と着脱可能となって接続されている第二部材と、を有し、
前記センサは、前記第二部材と一体となっていると共に当該第二部材を電流の検出対象とする、請求項5に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記凸部と前記凹部とは密着して嵌合する、請求項5に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車などの工業製品では、電気接続箱(「ジャンクションボックス」ともいう。)が用いられる。電気接続箱は、電源装置、車載機器、又は別の電気接続箱などの外部機器同士を接続し、電力を供給するために用いられる。例えば、バッテリから複数の車載機器それぞれに電力を供給するために、バッテリからの電線は、電気接続箱に一旦接続され、その電気接続箱から各車載機器にそれぞれ電線が接続される。電気接続箱は、バスバが設けられる箱本体と、カバーとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-154412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気接続箱は、自動車などの製品の組立工場において、外部機器と接続するための作業が行われる。組立工場では、電気接続箱は、バスバが設けられている箱本体にカバーが予め取り付けられた状態にあり、例えば自動車の車体フレームに固定される。電気接続箱が有するバスバの端子部に外部機器のバスバを接続する際、電気接続箱のカバーを一旦、取り外し、バスバの接続作業を行い、その後、カバーを取り付ける必要がある。
【0005】
このため、自動車などの製品の生産ラインにおいて、特に数多くの電気接続箱それぞれのバスバの端子部に対して、外部機器のバスバを接続する作業が行われる場合、カバーの取り外し及びその取り付けの手間が、作業効率を悪化させる。
そこで、本開示では、バスバに外部機器を接続する作業が容易となる電気接続箱を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電気接続箱は、バスバ本体部及び外部機器と接続するためのバスバ端子部を有するバスバと、前記バスバが設けられている箱本体と、前記箱本体を覆うカバーと、を備え、前記箱本体は、前記バスバ本体部が設けられ前記カバーにより当該バスバ本体部が覆われる第一領域と、前記バスバ端子部が設けられ前記カバーにより覆われずに当該バスバ端子部を露出させる第二領域と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電気接続箱のバスバに外部機器を接続する作業を容易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
図2図2は、図1に示す電気接続箱の分解斜視図である。
図3図3は、箱本体からカバーを外した状態を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示す電気接続箱から、カバー及びセンサを外した状態の説明図である。
図5図5は、電気接続箱の一部の平面図である。
図6図6は、センサを下から見た場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)本実施形態の電気接続箱は、バスバ本体部及び外部機器と接続するためのバスバ端子部を有するバスバと、前記バスバが設けられている箱本体と、前記箱本体を覆うカバーと、を備え、前記箱本体は、前記バスバ本体部が設けられ前記カバーにより当該バスバ本体部が覆われる第一領域と、前記バスバ端子部が設けられ前記カバーにより覆われずに当該バスバ端子部を露出させる第二領域と、を有する。
【0010】
本実施形態の電気接続箱によれば、箱本体が有する第一領域のバスバ本体部はカバーに覆われるのに対して、箱本体が有する第二領域のバスバ端子部はカバーに覆われずに露出する。このため、カバーを外さなくても、バスバ端子部に外部機器を接続する作業を行うことができる。つまり、電気接続箱のバスバに外部機器を接続する作業が容易となる。その結果、特に数多くの電気接続箱それぞれのバスバ端子部に外部機器を接続する作業が行われる場合であっても、その作業の効率を高めることが可能となる。
【0011】
(2)また、好ましくは、前記第二領域は、前記バスバを流れる電流を計測するセンサを取り付けるセンサ取り付け部を有し、前記センサは、前記バスバ端子部と共に前記カバーに覆われずに露出する。
この場合、カバーを外さなくても、センサを取り外したり取り付けたりする作業を行うことができる場合がある。センサにおいてケーブルを接続するコネクタ部が露出していれば、カバーを外さなくても、センサにケーブルを接続する作業が可能となる。
【0012】
(3)また、好ましくは、前記バスバは、前記第一領域に取り付けられている前記バスバ本体部としての第一部材と、前記バスバ端子部を含み前記第一部材と着脱可能となって接続されている第二部材と、を有し、前記センサは、前記第二部材と一体となっていると共に当該第二部材を電流の検出対象とする。
この場合、第二部材を第一部材から外せば、その第二部材と共にセンサを箱本体から取り外すことが可能となる。
【0013】
(4)また、好ましくは、前記第二部材は、第一の方向に長い導体であり、当該導体の一端側に前記バスバ端子部が設けられ、当該導体の中央部が前記センサによる電流の検出対象部であり、当該導体の他端側が前記第一部材との接続部であり、前記カバーは、前記第一部材及び前記接続部を両側方から覆う一対のカバー側部と、前記一対のカバー側部を繋ぐカバー本体部と、を有し、前記カバー本体部に、前記接続部を通過可能とする開口が設けられている。
この場合、バスバにおいて、第一部材と接続される第二部材は、カバー本体部の開口から取り外し可能となる。このため、センサが第二部材と一体となっていても、第二部材を第一部材から取り外すことで、センサを箱本体の第二領域から外すことが容易となる。
【0014】
(5)また、好ましくは、前記センサ取り付け部に、前記センサを規定位置に位置決めするために当該センサが有する凸部又は凹部が嵌る凹部又は凸部が設けられている。
この場合、第二領域に対するセンサの位置決め及び取り付けが容易となる。
(6)さらに好ましくは、前記凸部と前記凹部とは密着して嵌合する。この場合、嵌合する凸部と凹部とによって、センサは第二領域の規定位置に固定される。
【0015】
(7)また、好ましくは、前記第二部材は、前記第一部材に、当該第一部材に当該第二部材が重なる方向に締め付けるボルトによって固定され、前記凸部は、前記重なる方向と平行な方向に突出していて、前記凹部は前記重なる方向に平行な方向に凹んでいる。
この場合、凸部と凹部との位置を合わせた状態で、センサと一体となる第二部材を第一部材に取り付けるために、ボルトを締め付けると、凸部と凹部とが嵌る。その結果、センサを箱本体の第二領域に取り付ける作業が容易となる。
【0016】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照して、本開示の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0017】
本実施形態の電気接続箱10(図1参照)は、例えば自動車に搭載され、図示しないが、車載バッテリから複数の車載機器それぞれに電力を供給するための経路の途中に用いられる。本実施形態の電気接続箱10は、中継用の電気接続箱であるとも言える。自動車の組立工場において、自動車の例えば車体フレームに固定された電気接続箱10に対して、外部機器のバスバ及びワイヤーハーネスを接続する作業が行われる。
【0018】
〔電気接続箱10の全体構成〕
図1は、本実施形態に係る電気接続箱10の斜視図である。図1において、第一の外部機器と接続するためのバスバ90、及び第二の外部機器と接続するためのワイヤーハーネス91を、仮想線(二点鎖線)で示している。図2は、図1に示す電気接続箱10の分解斜視図である。電気接続箱10は、バスバ11と、バスバ11が設けられる箱本体12と、箱本体12を覆うカバー13とを備える。図3は、箱本体12からカバー13を外した状態を示す斜視図である。
【0019】
本開示の電気接続箱10に関して、上下、前後及び左右について定義する。電気接続箱10は、凹凸を有するが、全体として偏平となる箱形状を有する。偏平方向、つまり、厚さが薄くなっている方向を上下方向と定義する。図1及び図2に示す電気接続箱10は、第一の方向を長手方向とする第一ブロックB1と、前記第一の方向に交差(直交)する第二の方向を長手方向とする第二ブロックB2とを有し、上から見た場合に、ほぼL字形状となる。本開示では、前記第一の方向を前後方向と定義し、前記第二の方向を左右方向と定義する。
【0020】
第一ブロックB1において、第一の外部機器用のバスバ90が接続される側を「前側」とし、その反対側であり第二ブロックB2と繋がる側を「後側」とする。第二ブロックB2において、第二の外部機器用のワイヤーハーネス91が接続される側を「左側」として、その反対側を「右側」とする。各図にXYZ直交座標を示す。Z方向は下から上に向かう方向(上下方向)であり、Y方向は前後方向(前から後ろに向かう方向)であり、X方向は左右方向(左から右に向かう方向)である。
【0021】
箱本体12は、第一ケース(上ケース)14と第二ケース(下ケース)15とを有する。図1図2及び図3では、第一ケース14と第二ケース15とが連結された状態を示している。図3において、第一ケース14とカバー13との間にメインのバスバ11が設けられる。第一ケース14と第二ケース15との間に、図示しないサブのバスバが設けられる。第二ケース15は、第一ケース14を下から覆う。カバー13は、第一ケース14を上から覆う。
【0022】
第一ケース14、第二ケース15、及びカバー13は、合成樹脂製であり、それぞれ射出成形によって成形される。第一ケース14の各部には、上に向かって延びる壁部16が設けられていて、第一ケース14は全体として上に向かって開口している。対向する一対の壁部16,16間にバスバ11(第一のバスバ11)が設けられる。本実施形態では、第一のバスバ11の他に、二点鎖線で示す第二のバスバ18が設けられる。第一のバスバ11は、箱本体12の形状にあわせて、上から見た場合に、ほぼL字形状となる。なお、電気接続箱10(箱本体12)及びバスバ11の形状は、変更自在であり、L字形状以外であってもよい。
【0023】
電気接続箱10に、センサ19が取り付けられる。センサ19は、バスバ11と共に、箱本体12に取り付けられる。センサ19は、バスバ11の一部(後述の第二部材32の一部)を流れる電流を非接触で検出する。センサ19の検出信号は、センサ19のコネクタ部19aに接続されるケーブルを通じて、図外の制御ユニットに出力される。センサ19により、電気接続箱10が含まれる導電路の電流が監視される。箱本体12に対するセンサ19の取り付け構造については後に説明する。
【0024】
第一のバスバ11及び第二のバスバ18は、ボルトによって、箱本体12に取り付けられる。後に説明するが、第一のバスバ11は、第一部材31と第二部材32とにより構成されていて、第二部材32は、センサ19の取り替えなどの保守のために取り外し可能である。第二部材32が取り外される場合であっても、第一部材31は取り外されない。保守の際、第一部材31を固定していて外されないボルトを「固定ボルト17」と称する。これに対して、第二部材32の取り付け及び取り外しのために、固定ボルト17とは別のボルト46,47が用いられる。一方のボルト46を「第一取り付けボルト46」と称し、他方のボルト47を「第二取り付けボルト47」と称する。
【0025】
第一のバスバ11「以下、単に「バスバ11」と称する。」は、バスバ本体部36、及び、第一の外部機器用のバスバ90(図1参照)と接続するためのバスバ端子部37を有する。図3に示すように、バスバ本体部36及びバスバ端子部37それぞれは、箱本体12上に設けられていて、箱本体12からはみ出していない。図1に示すように、バスバ本体部36は、カバー13に覆われるが、バスバ端子部37は、センサ19と共に、カバー13に覆われておらず、外部に露出している。
【0026】
カバー13が箱本体12に取り付けられた状態で、箱本体12のうち、バスバ本体部36が設けられていて、カバー13によりそのバスバ本体部36が覆われる領域が「第一領域21」である。カバー13が箱本体12に取り付けられた状態で、箱本体12のうち、バスバ端子部37が設けられていて、カバー13により覆われずにバスバ端子部37を露出させる領域が「第二領域22」である。
【0027】
バスバ11についてより具体的に説明する。図4は、図1に示す電気接続箱10から、カバー13及びセンサ19を外した状態の説明図である。バスバ11は、バスバ本体部36としての第一部材31と、バスバ端子部37を含む第二部材32とを有する。第二部材32は、第一部材31と別部材であり、第一部材31と着脱可能となって接続される。第一部材31は、第一領域21に沿って固定ボルト17により取り付けられている。第二部材32は、前後方向(前記第一の方向)に長い導体である。第二部材32の一端側にバスバ端子部37が設けられていて、第二部材32の長手方向の中央部38が、センサ19による電流の検出対象部であり、第二部材32の他端側が第一部材31との接続部39である。
【0028】
図2に示すように、箱本体12の第一領域21の一部に、前記第一取り付けボルト46用の第一ボルト穴41が設けられている。第一部材31の一部に、第一取り付けボルト46を通過させる貫通孔35が形成されている。第一部材31が固定ボルト17によって第一領域21に固定されている状態で、上から見た場合に、第一部材31の貫通孔35は、第一ボルト穴41と同じ位置にある。
【0029】
第二部材32の接続部39に、前記第一取り付けボルト46を通過させる貫通孔33が設けられている。第一領域21に設けられている第一部材31の上に、第二部材32の接続部39が重ねられる。第一取り付けボルト46を、第二部材32の貫通孔33、及び第一部材31の貫通孔35を通過させ、第一ボルト穴41に締め付ける。つまり、第一取り付けボルト46によって、第一部材31及び第二部材32の接続部39が箱本体12に共締めされる。
【0030】
箱本体12の第二領域22に、第二ボルト穴42が設けられている。第二部材32のバスバ端子部37に、第二取り付けボルト47を通過させる貫通孔34が形成されている。第二取り付けボルト47を、第二部材32の貫通孔34を通過させ、第二ボルト穴42に締め付ける。これにより、第二部材32のバスバ端子部37が箱本体12に取り付けられる。なお、第二取り付けボルト47によって第二部材32のバスバ端子部37を箱本体12に取り付ける際、その第二取り付けボルト47によって、第一の外部機器用のバスバ90(図1参照)が共締めされる。
【0031】
箱本体12が有する壁部16について説明する。箱本体12が有する第一ブロック部B1における第一領域21に、第一部材31を左右両側から覆う一対の壁部16a,16aが設けられている。その一対の壁部16a,16aの左右方向の間隔は、前方に向かうにつれて狭くなる。第一部材31の前部31aにおける左右方向の幅は、その一対の壁部16a,16aの左右方向の間隔にあわせて、前側に向かうにつれて狭くなっている。一対の壁部16a,16aは、第一部材31上に重ねられる第二部材32の接続部39を左右方向の両側から覆う(図4参照)。一対の壁部16a,16aの前端部の間から、更に前方に向かって第二部材32が延びて設けられる。
【0032】
〔カバー13について〕
図2及び図3において、カバー13は、箱本体12の第一ブロック部B1のうち、第一領域21を覆う第一カバー部51と、箱本体12の第二ブロック部B2を覆う第二カバー部52とを有する。第一カバー部51は、前記一対の壁部16a,16aを左右両側から覆う一対のカバー側部53,53と、一対のカバー側部53,53の上部同士を繋ぐカバー本体部54とを有する。カバー13が箱本体12に取り付けられると、一対のカバー側部53,53は、一対の壁部16a,16aの間に設けられる第一部材31の一部(前部)及び第二部材32の一部(接続部39)を左右両側から覆う。
【0033】
一対のカバー側部53,53のうち、一方(右側)のカバー側部53は、前側に延長するカバー延長部55を有する。カバー延長部55はカバー本体部54と繋がっている。カバー延長部55と、一対のカバー側部53のうち、他方(左側)のカバー側部53との間は開口している。その開口が第一開口部56である。第二部材32が箱本体12に取り付けられている状態で、その第二部材32は第一開口部56を通過した状態となる。
【0034】
図5は、電気接続箱10の一部(第一ブロック部B1の前部)の平面図である。カバー本体部54に、第二部材32を箱本体12から取り外すために、その第二部材32の接続部39を通過可能とする開口が設けられている。その開口が第二開口部57である。図2及び図3に示すように、第二開口部57は、カバー本体部54の前側に形成されていて、第一開口部56と連続している。
【0035】
電気接続箱10は、カバー13を箱本体12に取り付けるための複数の係合部及び複数の被係合部を有する。図3において、箱本体12が三つの被係合部28a,28b,28cを有する。箱本体12が有する第一ブロックB1の左右一方側に一つの被係合部28aが設けられていて、第一ブロックB1の左右他方側に一つの被係合部28bが設けられている。第一の被係合部28aは、第一ブロックB1の後側に設けられている。第一ブロックB1の後部から左方向に第二ブロックB2が延びて設けられていて、その第二ブロックB2の左側に一つの被係合部28cが設けられている。
【0036】
カバー13が三つの係合部27a,27b,27cを有する。カバー13が箱本体12に正規の位置で取り付けられた状態で、三つの係合部27a,27b,27cは、三つの被係合部28a,28b,28cと係合する。これにより、カバー13は、箱本体12に取り付けられた状態となる。なお、係合部及び被係合部の数は、それぞれ三つである場合について説明したが、その数について変更可能である。
【0037】
〔センサ19について〕
図6は、センサ19を下から見た場合の斜視図である。センサ19は、その筐体61に貫通孔62を有する。その貫通孔62を第二部材32が貫通する(図3参照)。センサ19は、貫通孔62を貫通する第二部材32の中央部を電流の検出対象とする。
【0038】
図6において、センサ19は、筐体61の一部としてベース部63を有する。ベース部63の上面が、貫通孔62の一部を構成する。貫通孔62を第二部材32が貫通した状態で(図3参照)、その第二部材32が第一取り付けボルト46及び第二取り付けボルト47によって箱本体12に取り付けられる。これにより、センサ19のベース部63は、第二部材32と、箱本体12とに上下方向に挟まれた状態となり、センサ19は、第二部材32と共に箱本体12に固定される。つまり、センサ19は、第二部材32と一体となって箱本体12に固定される。
【0039】
図3及び図4において、箱本体12のうち、センサ19が固定される部分が「センサ取り付け部25」である。センサ取り付け部25は、箱本体12のうち、カバー13により覆われない第二領域22に含まれる。つまり、カバー13により覆われない第二領域22が、センサ取り付け部25を有する。このため、センサ19がセンサ取り付け部25に取り付けられた状態で(図1参照)、そのセンサ19は、第二部材32が有するバスバ端子部37と共にカバー13に覆われずに外部に露出する。
【0040】
図6に示すように、センサ19は、その筐体61の下面に、下に突出する凸部64を有する。図2に示すように、センサ取り付け部25に、凸部64が嵌ることのできる凹部26が設けられている。凹部26は、箱本体12に形成されている孔により構成されている。センサ19が第二部材32と共にセンサ取り付け部25の規定位置に取り付けられた状態で、凸部64が凹部26に嵌る。つまり、凸部64と凹部26とによって、センサ19が位置決めされて取り付けられる。
【0041】
本実施形態では、センサ19が凸部64を有し、箱本体12が凹部26を有するが、これとは反対に、図示しないが、センサ19が凹部を有し、箱本体12が凸部を有していてもよい。つまり、センサ19を規定位置に位置決めするために、センサ取り付け部25に凹部又は凸部が設けられていて、その凹部又は凸部に、センサ19が有する凸部又は凹部が嵌る。この構成により、箱本体12の第二領域22に対するセンサ19の位置決め、及び、取り付けが容易となる。
【0042】
更に、本実施形態では、凸部64と凹部26とは密着して嵌合するように、凸部64及び凹部26の大きさが設定されている。例えば、凸部64は円柱形状を有し、凹部26は円柱に沿った形状の孔であり、その凸部64の外径は、その凹部26の内径よりも僅かに大きく設定されている。なお、凸部64の凹部26への挿入を容易とするために凸部64の先端または凹部26の開口端にテーパ面が形成されているのが好ましい。凸部64と凹部26とが密着して嵌合することで、センサ19は第二領域22の規定位置に固定され、ガタつくのを抑えることが可能となる。
【0043】
図4により、バスバ11を構成する第一部材31と第二部材32との連結構造に関して説明する。第一部材31の上に第二部材32が重なった状態で、第一取り付けボルト46によって、これら第一部材31及び第二部材32が箱本体12に固定される。つまり、第一部材31に第二部材32が重なる方向が上下方向であり、その上下方向に第一取り付けボルト46を締め付けることによって、第二部材32は第一部材31に固定される。
【0044】
そして、センサ19が有する前記凸部64は、上下方向と平行な方向(上下方向のうちの下方)に突出していて、センサ取り付け部25の前記凹部26は、上下方向に平行な方向(上下方向のうちの下方)に凹んでいる。このため、凸部64と凹部26との位置を合わせた状態で、センサ19と一体となる第二部材32を第一部材31に取り付けるために、第一取り付けボルト46及び第二取り付けボルト47を締め付けると、凹部26に凸部64を徐々に嵌めることができる。このため、センサ19を箱本体12の第二領域22に取り付ける作業が容易となる。
【0045】
〔本実施形態の電気接続箱10について〕
以上のように、本実施形態の電気接続箱10は、バスバ11と、そのバスバ11が設けられている箱本体12と、その箱本体12を覆うカバー13とを備える。バスバ11は、バスバ本体部36、及び、第一の外部機器用のバスバ90(図1参照)と接続するためのバスバ端子部37を有する。箱本体12は、第一領域21と第二領域22とを有する。第一領域21は、バスバ本体部36が設けられていて、カバー13によりそのバスバ本体部36が覆われる領域である。第二領域22は、バスバ端子部37が設けられていて、カバー13により覆われずにそのバスバ端子部37を露出させる領域である。
【0046】
前記構成を備える本実施形態の電気接続箱10によれば、第一領域21のバスバ本体部36はカバー13に覆われるのに対して、第二領域22のバスバ端子部37はカバー13に覆われずに露出する。このため、カバー13を外さなくても、バスバ端子部37に第一の外部機器用のバスバ90を接続する作業を行うことができる。つまり、電気接続箱10のバスバ11に第一の外部機器用のバスバ90を接続する作業が容易となる。その結果、
例えば自動車の生産ラインにおいて、数多くの電気接続箱10それぞれのバスバ端子部37に、第一の外部機器用のバスバ90を接続する作業が行われる場合であっても、その作業の効率を高めることが可能となる。
【0047】
箱本体12の第二領域22は、バスバ11を流れる電流を計測するセンサ19を取り付けるセンサ取り付け部25を有する。センサ取り付け部25に取り付けられたセンサ19は、バスバ端子部37と共に、カバー13に覆われずに露出する。このため、カバー13を外さなくても、センサ19を取り外したり取り付けたりする作業を行うことが可能となる。また、センサ19においてケーブルを接続するコネクタ部19aが露出しているので、カバー13を外さなくても、センサ19にケーブルを接続する作業が可能となる。
【0048】
バスバ11は、第一領域21に取り付けられている前記バスバ本体部36としての第一部材31と、バスバ端子部37を含む第二部材32とを有する。第二部材32は、第一部材31と着脱可能となって接続されている。そして、センサ19は、第二部材32と一体となっていて、その第二部材32の一部を電流の検出対象とする。このため、第二部材32を、第一部材31から外せば、センサ19を第二部材32と共に、箱本体12から取り外すことが可能となる。また、センサ19を、第二部材32と共に、箱本体12に取り付けることが可能となる。その結果、センサ19の交換などの保守も容易となる。
【0049】
バスバ11を構成する第二部材32は、前後方向に長い導体であり、その導体の前端側にバスバ端子部37が設けられ、その導体の後端側が第一部材31との接続部39である。カバー13は、第一部材31の全体、及び、第二部材32の接続部39を左右方向の両側方から覆う一対のカバー側部53,53と、これらカバー側部53,53を繋ぐカバー本体部54とを有する。カバー本体部54に、開口(第二開口部57)が設けられていて、その第二開口部57を、第二部材32の接続部39は通過可能である。
【0050】
このため、第一部材31と接続される第二部材32は、カバー本体部54の開口(第二開口部57)から取り外しが可能となる。よって、センサ19が第二部材32と一体となっていても、第二部材32を第一部材31から取り外すことで、センサ19を箱本体12から外すことが容易となる。
【0051】
このように、カバー本体部54に開口(第二開口部57)が設けられる構成以外として、カバー13のうち、第二部材32の近傍の部分を全て省略してもよい。つまり、カバー13のうち、カバー側部53,53の前部及びカバー本体部54の前部を省略してもよい。しかし、この場合、第一部材31と第二部材32との連結部が左右方向についても露出してしまい、作業者が指で触れる可能性がある。これに対して、本実施形態のように、カバー本体部54に開口(第二開口部57)を設けられることで、第一部材31と第二部材32との連結部に作業者が指で触れ難くなる。
【0052】
前記実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、前記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0053】
10 電気接続箱
11 バスバ
12 箱本体
13 カバー
14 第一ケース
15 第二ケース
16 壁部
16a 壁部
17 固定ボルト
18 第二のバスバ
19 センサ
19a コネクタ部
21 第一領域
22 第二領域
25 センサ取り付け部
26 凹部
27a,27b,27c 係合部
28a,28b,28c 被係合部
31 第一部材
32 第二部材
33 貫通孔
34 貫通孔
35 貫通孔
36 バスバ本体部
37 バスバ端子部
38 中央部
39 接続部
41 第一ボルト穴
42 第二ボルト穴
46 第一取り付けボルト
47 第二取り付けボルト
51 第一カバー部
52 第二カバー部
53 カバー側部
54 カバー本体部
55 カバー延長部
56 第一開口部
57 第二開口部
61 筐体
62 貫通孔
63 ベース部
64 凸部
90 バスバ
91 ワイヤーハーネス
B1 第一ブロック
B2 第二ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6